引用元
タラちゃん「銃弾は残り一発です」
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1229297061/


まずはこっちから
タラちゃん「銃弾は残り一発です」前編



 
794 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/15(月) 23:26:11.07 ID:goTjjm+k0
タラオは後ろを振り返りながら必死に頭を回転させていた。
どうすれば良いのか。どうすれば倒せるのか。
サブはワカメとサザエは無事だというようなことを言っていた。
サザエは外に出て行ったまま行方が知れない
・・ワカメは学校の帰りに友達と寄る所があると昨晩言っていた。
二人はまだ帰っては来ない筈・・・・
タラオは身を潜め、息を整えた。

タラオ「おじいちゃんから譲り受けたこの銃で
この悪夢を・・・・終わらせるです」
サブ「あれえーおっかしいなあ・・・
たらちゃーん・・・何処にいるのかなぁ・・・参っちゃうなあもう・・・

出て来いよっっっこのクソガキッッ!!」

802 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:31:11.14 ID:goTjjm+k0
サブは家の構造には詳しくなかった。いつも勝手口からの景色
だった為だ。
サブ「クソっ案外広いなこの家・・」
ワカメ「あっこんにちはサブロウさん・・・」

サブ「やあ・・・・ワカメちゃん・・・・」
サブは狐のように目を細め、歯を剥き出して笑うと
いつもの調子でそう言った。

813 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:34:00.08 ID:goTjjm+k0
数分後・・・・・

サブの大きな胴間声が部屋の中まで届いた。
サブ「良いのかなあタラちゃーん
出て来ないとワカメちゃん死んじゃうよーーーー?」
その一言がタラオの決意を揺さぶる
大好きなお姉ちゃんが友達の家から帰って来てしまったのだ
タラ(サブロウに捕まってしまったですか?)
カツオの机の下からするりと出て、タラオは襖に近寄りそっと開いて
三郎の声のする台所を見た

827 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:39:20.75 ID:goTjjm+k0
ワカメ「あっあっあっ」
サブ「良い声で泣くねえほらほらー頑張らないと
首と胴体が離れちゃうよワカメちゃん」
ワカメ「いや・・・・いやあああああああああああ」
サブ「駄目、アウトー」
力任せにねじ切られたワカメの顔は胴体の上で
踊るようにクルクルとまわった。

サブ「良いのかなあタラちゃーん
早く出てこないからーーーーもう死ぬよーーーー」

タラオが覗き見た時、既にワカメは事切れていた。
三郎が頭を掴んでいる。おかっぱ頭の女の子、見紛うはずも無く、
磯野家次女のワカメだった。
血をボタボタと垂れ流すその球体がクルリと此方へ振り向いた時
タラオはワカメと目が合った。
信じられない物を見た顔・・・・恐怖というよりかは驚きの表情
タラオ「わ・わかめ・・・」
サブ「そこかいタラちゃん・・・・」

840 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:42:46.80 ID:goTjjm+k0
三郎はゆらゆらと体を揺らしながらゆっくりとした動きで近付いてくる
タラオ「う・・・・ううう」
叫び声を上げながら逃げ出すタラオ、
その時うっかり、手に掴んでいた銃を落としてしまった
おじいちゃんから託された大切な銃は・・・サブロウに拾われてしまった。
サブ「プレゼントかい気がきくね」
タラオは息を上げながらサザエ達の寝室の押入れに逃げ込んだ。
(もう駄目です、全部僕のせいです。銃も取られたです
僕も皆の後を追うです)
タラオはついさきほどまで幸せだった家庭を想い涙ぐんだ。

後を・・・・追うです・・・・全てのケリをつけたその後に・・・・

978 :ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :2008/12/16(火) 00:14:27.22 ID:uvFmIGTf0
サブ「ここかな・・・? いや・・・こっちかなあ・・・」
サブはもうタラオのいる場所が分かっていた。
寝室の押入れ・・・隠れる所はここにしかない・・・
サブ「うーーん・・・何処かなあ・・・」
しかし敢えて気づかない振りをし、サブは口笛を吹いて辺りを見回した。
(突然開けて奴の驚いた顔拝んでやる)
サブは下品な笑いを浮かべ、ナンブを握り締めた。
サブ「ええとお・・・・・もしかして・・・・・


此処か?」

53 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 00:27:14.05 ID:uvFmIGTf0
しかし、押入れには誰も居なかった。
タラオ「たああああーーー」
サブが振り返るよりも早く
タラオの渾身の力を込めた出刃包丁がサブの脇腹に突き刺さった。
サブ「お・・・お前・・・何処に・・・・」
タラオ「桐箪笥の上です・・・」
サブ「ち・・・ちくしょう・・・俺がこんな・・・こんなガキに・・・」

76 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 00:34:43.14 ID:uvFmIGTf0
サブ「こんなガキにーーーーーーふ・・・ふふ・・・
アハハははははははあははl
タラオ「あ・・・え・・・」
サブは柄を握ると勢い良く引き抜いた。
サブ「だから・・・・だからどうしたんだよガキ」
サブは腸を握り締めてタラオに見せ付けた
サブ「俺もうこんなになってんだぜ?何コレ?何なの?」
タラオ「う・・・ううああああ」
サブ「気持ち悪い擬音発してんじゃねえよ・・・
まあ面白かったぜ・・・・お前のジジイの銃で

ア バ ヨ ーーーーーーー」

サブはトリガーにゆっくりと指をかけた

タラオはもう打つ手がないことを悟り・・・
悔しさと・・・恐怖から小便を垂れ流した。




ここで話は少し遡る。
ペットセメタリーの墓守達は知らなかった。
そう、タマを埋めた時に居た中嶋の存在を・・・・・。

89 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 00:39:11.98 ID:uvFmIGTf0
中島はタマを埋めた翌日、朝から嫌な気分だった。
胸を覆う霧のような疑問がどうしても晴れないのだ。
あの時、自分は本当に親友を思って――
「ペットセメタリー」を勧めたのだろうか・・・・?
僕はもしかして・・・好奇心から友人を実験台にしたのでは・・・
中島は学校で開口一番にそのことを磯野に謝ろうと
そう心に決めていた。

99 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 00:44:01.90 ID:uvFmIGTf0
中島は登校中、磯野を探したが見つからなかった。
(先に着いているのか?)
しかし、学校に着いた時家に迎えに行くべきだったとすぐに後悔をした。
磯野カツオは学校にきていなかった。

花沢「なーにをキョロキョロしてのよっっ」
後ろから肩を強打され、中島は咳き込んだ。
花沢「あーらごめんなさい。ちょっとやり過ぎちゃったかしらん」

120 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 00:54:22.67 ID:uvFmIGTf0
中島「あのさ・・・中島さん・・・
磯野・・・・今日来てないよね」
花沢「あら?そーみたいね
おかしいわね、馬鹿は風邪引かないっていうじゃない?ガハハ」
中島「ああ、そうだね」
中島は冷めた口調でそう言い返すと、席に着き、机の上に肘を着いた。
中島は今日ばかりは花沢の真っ直ぐな明るさに付き合うのが
面倒でたまらなかった。
花沢「なーーーーによーーーー中島君何か暗いんじゃない?
ねえかおりちゃん?」
かおり「そうね・・・・もしかして喧嘩とかしたのかもしれないわ・・・」
花沢「でもそれで休むのはおかしいわよ、多分磯野さん家風邪が
流行っちゃったんじゃないかな。ワカメちゃんも今日見なかったし・・」
その何気ない花沢の一言が中島の耳に突き刺さった。
中島「な・・・・・・何だって・・・おい・・・」
花沢「何よいきなり擦り寄ってきて気持ち悪い。今日来てないんじゃないの
ワカメちゃん」
中島「そんな・・・ちょっと見てくるよ」

かおり「どうしたのかな中島君?」
花沢「ロリコンにでも目覚めたのかしら」
花沢は焦り教室を出る中島を豚のような声を上げて笑い飛ばした。

134 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 00:59:04.75 ID:uvFmIGTf0
中島はワカメのクラスを覗き、隈なく彼女を探したが
やはり何処にも彼女は居なかった。
そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り響いた。

144 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 01:06:12.75 ID:uvFmIGTf0
担任の名前ググッたけど出て来ないから勝手につけるわ

森にしよう

151 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 01:12:09.86 ID:uvFmIGTf0
森「よーし授業始めるぞーーん?磯野は居ないのか?」
中島「先生、磯野が何で休んでいるのか聞いていないんですか?」
中島は立ち上がって担任に問い掛けた。
森「いや、聞いていないが?」
中島の疑惑は既に確信の域にまで達していた。

所有者と同じ魂が帰ってくるとは限らない。
中島はそのフレーズを小さく口の中で繰り返した。

166 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 01:28:02.12 ID:uvFmIGTf0
中島「せ・・・先生」
森「どうした中島」
中島「ちょっとお腹が痛くて・・・」
森「そうか・・・じゃあ保険委員・・」
中島「大丈夫です、自分で・・・自分で行きますっっ」
森「そ、そうか大事にな・・」

中島は帰宅の途につきながら、
もう一度あの本を詳しく調べてみようと思った。

(磯野・・・ごめん・・・本当は俺・・・・あの墓に埋めたら
何かが起こるだろうって少し・・・思っていたんだ・・・・)
中島には隠れた趣味があった。
その師こそ・・・浪人生でいざという時に頼り無いが・・・
人一倍民俗学、郷土研究を愛する男

そう・・・中島の実の兄である

そして・・・これはカツオには言うまいとしていたことがあった・・・
中島にはその自分が確実に犯したであろう過ちが胸に一つ楔となって
残っていた。

中島はあの時・・・・
裏山のペットセメタリーにカツオに気づかれないように
それとなく誘導していたのだ・・・。

342 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 17:57:14.74 ID:uvFmIGTf0
ペットセメタリーの正確な場所を中島は把握していた。
何せ、以前兄と二人で訪れたことがあるのだから。
実際その現場に行ってみるまで半身半疑だった中島も、
そこに立てかけられていた朽ちかけの木の看板。
英語でペットセメタリーと書かれたその看板を見て、
兄の話を信じるに至ったのだ。
喜んで学校中の奴らに話したら、
あれでもない、これでもないと勝手な尾ひれがついて、
最早中島の手の届かないところでその物語は、
まるで昔から存在したかのような真実味を帯びていった。

(そうさ、兄貴だ。兄貴に聞けば何かが分かる)

345 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 17:58:47.38 ID:uvFmIGTf0
話を詳しく聞かなければいけない。
中島はそれがカツオの為になるのかは分からなかったが、
今となってはこれは自分の義務だと感じていた。
磯野とワカメちゃんが何故休んだのか僕には分かる。
タマが死んで、良く分からない墓地なんかに埋めたのがバレタんだきっと。
ショックだっただろうな……。
僕だけ、のほほんと学校の授業なんて受けていられない。
全てを調べた上で磯野の家にお見舞いと称して行こう。

プリンでも持って行けば、少しは悲しむあいつの心も癒されるさ。

348 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:02:30.71 ID:uvFmIGTf0
ここで一旦話は切れる。忘れられたエピソード。前日、晩、サザエ。

「ったくもう何処まで行ったのかしら」
サザエは肩にかけた毛布を引き寄せ、足から立ち上る寒気に身震いした。
しかし、深夜の桜新町は静まりかえり、人の気配は何処まで行っても無さそうだった。
(入れ違いになったのかしら)
欠伸を一つしてサザエが帰ろうとしたその時だった。
突然闇が動いたかと思えば、
眼前にその姿を現したのは異形の化け物だった。
「何よこれ……?」
化け物は唸り声をあげて今にも飛びかかろうとその態勢を整えていた。
「ふんっっ喧嘩を売ってるの?やったろうじゃないの」
サザエがそれを死んだタマだと気づくことはなかった。

351 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:03:38.85 ID:uvFmIGTf0
忘れられたエピソード。

「ああめんどくせえ」
サブは家に帰る途中だった。こんなにも遅くなってしまった。これじゃあ、もうすぐ朝になってしまう。
注文を聞き間違え大将にこってりと絞られた後、付き合いで深夜遅くまで飲まされていたのだ。
「ったくあの酔っ払い、残業代も出ねーってのに引き止めた挙句に、飲酒でバイクは不味いだの、今日は泊まっていけだのと、馬鹿野郎ふざけるなってんだ」
ふらふらと蛇行で運転するそのバイクに突然飛び出してきた何かがぶつかった。
「何だあ?」
吹き飛んだそれはコンクリート塀にぶつかり、地面に倒れ伏した。暗闇の中に照らされるその奇妙な姿。
良く目を凝らして見ると、それは猫ぐらいの大きさだったが、動物というよりかは肉塊のようだった。ヒクヒクと蠢くそれを見てサブは気味が悪くなった。
「わ、わりいな。じゃ、お休み」
この時、獣塚の鍵をサブが殺したことを、誰も知らない。

354 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:05:34.40 ID:uvFmIGTf0
中島の兄は初めて学校をサボり、
自室に突然やってきた弟に驚きながらも、
それを激しく咎めることは無くテーブルに入れてあった
温かいジャスミン茶を可愛い弟に勧めた。
「んで、わざわざ学校サボって
俺の部屋に来た理由が世田谷の歴史について知りたい?
 なんだいそりゃ、何かの冗談かい?」
「いいから、お願いだよほら、以前言っていたじゃないか」
「戦国時代で良いのか」
「そうそう、兄貴頼む」
中島の兄は頭を掻いた。我が弟はこんなにも勤勉だっただろうか、
磯野君と野球に打ち込むいつもの彼とは少し違っていた。
「ああ、まあちょっと休憩をしようと思っていた所だ。
別に構わないよ、でもお前、俺から聞きかじるだけで充分
、こんな難しい本読みたくもないって言ってたじゃないか?」
「少しだけ、興味が出てきたんだよ」
兄はふうんと言って手近にあった本を取り出し弟に渡した。
タイトルは戦国時代の世田谷。まんまである。
中島は紫色に金の箔押しがしてあるハードカバーの本を受け取ると
、緊張した面持ちでその最初のページを捲り始めた――

356 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:10:37.38 ID:uvFmIGTf0
戦国時代。世田谷付近の支配者は世田谷城を本拠地とする吉良氏だった。
吉良氏は室町幕府将軍足利氏に縁続きの家柄で
、三河・遠江守護などを兼ね、
東海一の弓取りと賞賛された大大名今川氏とも縁続きの家柄。
(吉良氏と言えば、真っ先に思い起こされる、
いわゆる「忠臣蔵事件」で赤穂藩主浅野長矩に刃傷に及ばれた
高家筆頭吉良上野介義央とは遠縁だが、直接の祖先ではない。
吉良氏は鎌倉時代中期に
足利義氏の子義継が三河国吉良荘の地を与えられて
吉良氏を名乗ったのが始まりで、
こちらが「忠臣蔵事件」の吉良氏の祖先で、三河吉良氏と呼ばれる。
一方今回話になっている世田谷吉良氏は
足利義氏の子で義継の弟にあたる長氏の長男で
満氏が吉良氏を名乗ったのがその始まりである。
ちなみに、満氏 の弟国氏が三河国今川荘を与えられて
今川氏を名乗ったのが今川氏の始まりである)

359 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:14:51.59 ID:uvFmIGTf0
吉良氏は南北朝時代に奥州探題として東北地方に拠ったが
のち奥州を去り、各地を転々としたのち、
鎌倉公方に属して関東に入り、
吉良頼高が室町時代後期から戦国時代初期までには
小田原の北条氏に属して武蔵世田谷に入りました。
こうして戦国時代には小田原北条氏の許、
氏朝まで5代に渡って繁栄したのである。

366 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:19:42.63 ID:uvFmIGTf0
「……これじゃあキリが無いよ、
兄貴、前に話してくれた戦国時代のペットセメタリーって話あったろ?
それについて載っている箇所を教えてくれよ?」
「……出来ることなら俺は
お前に成り立ちから知って欲しいんだけどな
、継ぎ接ぎの知識なんて何の役目にも立たないぞ」
兄はぶつぶつと小言を言いながら、
棚に収められた膨大な資料の山を繁々と眺めた。

367 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:22:08.05 ID:uvFmIGTf0
「頼むよ兄貴、薀蓄には今度付き合うからさ」
兄は思い出したように笑う。
「そう思えば、お前は随分あの話気に入ってくれていたな。
でもな、あの話は

・・・・・・・ただの俺の作り話だぞ」

兄は弟にとってとても重大なことをサラリと言ってのけた。
「え?」
この兄は突然何を言い出すのだろう。
中島は此方の熱の伝わらぬ兄にやきもきしていた。

381 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:33:06.41 ID:uvFmIGTf0
兄「そんな顔しなくても、少し考えれば分かるだろう?
 世田谷の郷土資料に何でペットセメタリーなんて
語句が飛び出すのさ? 
此処は暦とした日本国だぜ?」
中島「じ、じゃあ何で……そんな、嘘だろ?」
兄「嘘じゃあないさ、
原作はかの有名なスティーブン・キング。
ホラーとしちゃあ中々の傑作さ。お前も見てみると良い」
中島「嘘だったのかよ、
だって兄貴……あそこに英語でペットセメタリーって――」
兄「ありゃスティーブン・キングのいちファンとしての
俺の可愛い暴走だよ意外に良く出来てたろ?」

388 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:35:41.80 ID:uvFmIGTf0
中島「そんな……じゃあ初めからあの場所は……
ただの何でもない裏山だっていうの?」
中島は心の奥底から笑いが込み上げてきた。
ただの自分の勘違いだったのだ。
が、次に兄が発した一言によって、
すぐに、笑ってはいられないということを中島は理解する。

394 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:37:30.25 ID:uvFmIGTf0
兄「いやそれも違う。
あの裏山の歴史とスティーブン・キングの
ペットセメタリーには面白い共通点がいくつかある。
だからこそ両方のファンである俺が目をつけた訳だ」
兄は取り出した分厚い本を中島に手渡した。
兄「ほら、あったぞ。この本の……確か百二十五ページから先だ」
兄は何かを言いたげな弟を制して、
とりあえず呼んでみな。と促した。

その内容は戦国時代世田谷を統治した、吉良氏の呪術研究について
記された本だった。

397 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:40:03.01 ID:uvFmIGTf0
第三節、人身御供となった領民

戦国時代、呪術の力をもって、
戦国の世を我が物にしようと画策していた吉良氏は
呪術師の進言により、地位の安定、ひいては向上を図るため、
毎年領土から神に捧げる生贄を
鴎神社と呼ばれた神社に供え、
その神社の裏の山を獣塚と呼び、纏めて埋めていた。

402 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:44:17.28 ID:uvFmIGTf0
その役目を課された獣追い祭では、
その年の災厄を祓う為という表面上の目的を担い、
「獣追人(けものおうひと)」と名付けられ、
そう呼ばれた一部の村人達を使って、
道端や街道に居た獣や畜生を片っ端から集めては殺していた。

403 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:46:04.74 ID:uvFmIGTf0
しかし、いくら獣を殺しても、
吉良氏が強大な小田原の北条家を越えることは出来なかった。

このままでは天下を取ることは出来ぬ――。

焦った吉良氏の許で、
獣追い祭りは段々とその性格を歪めていき、
単なる獣、畜生では神がお怒りになるとした吉良氏は、
一部の有力者達の助力を得て、
ついには動物の代わりに人を立てることにした。

405 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:50:18.12 ID:uvFmIGTf0
同じ呼び名だが、持つ意味はまるで違う……
追う側から追われる側の意味を指すことになった言葉、
畜生の代わりにその責任を負わせる
「獣負人(けものおうひと)」
として生贄を立て始めたのである――。

406 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:55:36.89 ID:uvFmIGTf0
獣負人には誰がなるのかまったくわからなかった。
名前を変えた毎年の獣負い祭りは最早、
村人達にとって単なる災厄だった。
往還の村人を無差別的に捕えてくるという
獣負い捕りが行われた。
獣負人を誰にするかという選択は
獣負人を捕えに行く集団が
最初に出会った者という偶然性に委ねられていたのである。

409 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:57:12.72 ID:uvFmIGTf0
そこでは槍や刀で武装した者達が、
集団となって獣負人を捕えに向かい、
そして運悪く獣負人として捕えられた者は、
彼らに殴る、蹴る、刺す、切るの暴力を受けながら
神社まで無理やり連れて行かれるのだ。
要するに、この獣負い祭は、
確実に死に至る獣負人に誰がなるのかわからないという
領民全ての人達の恐怖と緊張の上に成り立っていたのである。

411 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 18:58:40.26 ID:uvFmIGTf0
兄「読んだか?」
中島「うん、こんな風習があったなんて」
兄「そしてな……こっちの文献はもっと貴重だぞ」
そういうと中島の兄は古めかしく埃を被った本を取り出した、
文献と呼びはしたが、厚さはそれ程無い。
中島「それは……」
兄「歴史の裏に隠されたエピソードだ。
この兄が中身について教えて進ぜよう」
結局兄の薀蓄からは逃れられないのか、と
中島は諦め、兄の話に耳を傾けることにした。

416 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:03:06.21 ID:uvFmIGTf0
兄「それは悲しい事故、って言っても
自業自得なんだけどね、
ある年のこと、いつもの如く祭りによって
家来に捕らえられた娘が居てね、
なんとその娘は吉良氏御付きの呪術師の娘だったのさ」
中島「でも助かったんでしょ?」
兄「そう、家来も勿論助けるものだと思ったから
捕らえてはみたものの、
傷つけることなく神社へと連れて行き、吉良氏に聞いたんだ」

418 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:07:03.32 ID:uvFmIGTf0
兄「この娘、隣に坐る呪術師の娘にして、
一人娘に御座います。如何いたしましょうってね」

中島「その時、呪術師は?」
兄「そりゃあ吉良氏の隣で怒り狂ったさ、
娘を獣負人とするなんて何たる不届きっ、てね……だけど」
中島「まさか……」
兄「そう、そのまさか」

「貴賎の別無し、例外は一人として許さぬ、
それは神に対する冒涜行為だ」

420 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:09:23.06 ID:uvFmIGTf0
兄「呪術師は吉良氏の言葉に耳を疑い、困惑した。
しゃがれた声で慌ててこう言ったんだ」

「お……お願いします、何かの間違いです。
娘を生贄にするなど、
親の私の気持ちを考えてください。
たのみます、たのみます」

兄「膝をつき、額を地面につけて、
呪術師は泣きながら何度も何度も頭を下げた」

422 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:13:20.45 ID:uvFmIGTf0
兄「その時さ、家来の一人が即興で歌ったんだよ、
普通そういう場で歌を詠むなんてことは考えられなかった。
畏れながら、なんてもんじゃない、打ち首覚悟の独り歌さ」
中島「な、なんて言ったの」
中島はゴクリと重い唾を飲み込んだ。

「犬は 野良 人は 畜生 区別なし
いとしい娘は 誰ぞも 知らん
何の違いも ありゃせん ありゃせん」

423 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:14:57.31 ID:uvFmIGTf0
中島「それって……」
兄は顎に手をやり、短い髭を撫でた。
兄「飼い犬は野良犬のような扱いを受け、
人である筈の者も畜生のような扱いを受ける。
そこに区別は無い。例え愛しい娘であっても、
誰も知らない、知ったことではない。
いったい何の違いがあるのだろうかっていう意味さ」
中島「す、凄い歌だね。それ」
兄「ああ、その呪術師を皮肉ったフレーズは節をつけられ、
二番、三番と歌詞も練られてその当時流行ったらしい。
余程恨みをかっていたんだろうね、
もしかしたら歌った家来の娘も捕り殺されていたのかもしれない」

424 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:17:57.53 ID:uvFmIGTf0
兄「そして……親である呪術師の前で娘の拷問は始まった」
娘の白く柔らかい肉は刀で容易く削げ落ち、
進みを止めるとその肉は腿から垂れ下がるようにして宙で揺れた。
骨を粉々にするように叩き、限界まで間接を伸ばし
舌を抜き、目を穿り、指を取る。
それでもその娘は父である呪術師に恨み言の一つも告げず、
血の華を咲かせながら最期を迎えるその時まで微笑を浮かべていたそうだ。

427 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:21:09.60 ID:uvFmIGTf0
その呪術師は三日三晩泣き通し、
叫び、怒り狂ったと言われる。
そして四日目の朝、吉良氏の枕元に立ち、
恨みがましくこう云ったと伝えられている。
「獣にもこころあるやふ、哀しその御霊を、
我がいとしきまなむすめの御霊によりそひ、
あわせて叶へたまへ、人追ひ、まさしく負わせたまへ」

429 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:23:49.37 ID:uvFmIGTf0
中島「どういうこと?」
兄「殺された獣にも心がある。
その魂を集め、あの世でも寂しくないように愛しい娘に寄り添わせよう。
そしてその魂を、人に遭わせて、人を追わせ、
罪を負わせてくれってことかな?」

兄「墓地に埋められた魂が罪を負いに人を追う……
どうだい?スティーブン・キングの名作そのものだろう?」

431 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 19:27:22.43 ID:uvFmIGTf0
中島「もしかして……その神社の裏の獣塚って……」
兄「まあ俺の拙い推理ではあるが、
お前の通っている学校の裏山に位置していると睨んでいる。
まあだからこそ、あそこにペットセメタリーなんていう
看板を立てた訳だけどな」

中島「なら……学校は」
兄「お前が想像している通りだ。
縁起が良くないって取り壊された鴎神社のあとに建てられたのが……
お前の通う、かもめ第三小学校さ」。

447 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:05:47.40 ID:uvFmIGTf0
しばらくの間、室内を重苦しい空気が流れていた。
中島は何も知らなかった。自分達の住む街に存在した悲しい歴史を。
中島「……でも、でもそんなの逆ギレじゃないかっ
自分で大量の人を殺しておいて」
兄は意味ありげに口許を緩めた。
兄「ところが、この兄から言わせると、少し違った話が見えてくる」
中島「どういう事?」

449 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:07:20.47 ID:uvFmIGTf0
兄「想像してごらんよ、
お前なら愛する我が娘を祭の日に
簡単に捕らえられるようなところに置いておくか?」
中島「そ、それは」
兄「恐らく、吉良氏は天下統一を諦め、
北条家に完全に恭順することを誓った時、こう考えた」

兄「この祭の真の意味を知られてはならぬ……ってね」

兄「元々呪術なんてのは相手を呪い殺す為のものだ、
国を挙げてそんな物騒なもんやってたなんて、
呪っていた相手に知られたりしたら困るのさ」
中島「ってことは口封じ?」
兄「そう、吉良氏は全ての責任を結局呪術師に背負わたのさ」
中島「でも、自分から提案したんでしょ」

450 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:09:02.02 ID:uvFmIGTf0
兄「人をいくら殺してもかまわないなんていう暴虐な王様に、
何か方法を捻り出せと言われたらお前も困るだろ」
中島「で……でも」
兄「まあそれ以上は分からない、
でもそう考えるだけで浪漫が生まれると思わないか」
中島「ちっともロマンチックなんかじゃないよ」

兄「イイや、浪漫を感じずにはいられないよ、きっとお前は」
中島「何だよ兄貴、言いたいことがあるなら言えよ」
兄は悪戯っぽく笑った。この兄はいくつになってもこの調子だ。

454 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:14:25.13 ID:uvFmIGTf0
兄「びっくりするぞーーお前、
吉良氏についていた。その呪術師の名前……分かるか?」
中島「分かる訳ないだろう」
兄「いや、お前も知っているさ苗字だけなら」
中路m「えっ嘘?教えてくれ兄貴、それ誰のこと?」

477 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:30:01.29 ID:uvFmIGTf0
兄「その名を伊佐坂氏胤――……もう分かるだろ?」

中島「兄貴、それ……その伊佐坂って……」
兄「ああそうだ。伊佐坂さんのトコだよ。
あの家は呪術師の血を受け継いでいるのさ。
良いよなあ、戦国から脈々と続く呪術師の家系なんて
ロマンチックだと思わないかい?」
中島「この本借りるね。ちょっと僕、伊佐坂さんの家行って来る」
兄「おい、どうしたんだよお前いったい?」
引きとめようと弟の腕を掴んだ兄は、
見せた事の無い真剣な彼の眼差しに気圧され、すぐに離した。

491 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:35:03.42 ID:uvFmIGTf0
中島「行かなきゃいけないんだよ、
ここまで来たら僕は全てを明らかにして磯野に報告しなくちゃいけない」
兄「そうか、なら一つだけ言わせてくれ」
中島は黙って頷いた。
兄「浩、お前が何を考えているか知らないが、
俺は民俗学や郷土史に興味があるし、
ペットセメタリーなんていうホラーも大好きさ、
でもだからと言ってホントに人を殺せるくらいの呪術が
あるだなんて思えないよ……
本当にあるとするならそれは……
心理的に追い詰められた人間の単なる暴挙なんじゃないかな?」
中島は何も言い返さなかった。
そして、「行ってくるよ」と声をかけ、兄の部屋を後にした。

495 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:37:19.70 ID:uvFmIGTf0
伊佐坂家――

伊「いやいや、これは突然どうしたのかな?」
中島「先生にお話があるんです」
伊「学校はどうしたんだい?良いのかい?」
中島「・・・・大事な話なんです」
その様子から伊佐坂は何かを感じ取った。
伊「そうか、まあ入りなさい」

503 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:43:57.90 ID:uvFmIGTf0
中島は今までのことを全て包み隠さず話した。
伊佐坂は子供の言う事と笑わず、真剣に話を聞いてくれた。
伊「成る程、しかし驚いたな。その資料は今何処にあるんだい?」
中島「僕が今、持っています」
伊「ほう……成る程……ここまで詳しく書いてあるとは……」
中島「何か知っていることがあったら教えてください」
伊「ああ、教えてあげよう・・・・全てを・・・ね・・・」

508 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:47:36.35 ID:uvFmIGTf0
中島は自身の体の異変にこの時初めて気がついた。
目の前が霞む、
まるで眼鏡をかけていないように、
目の前の人物がぶれる。
強烈な眠気、中島はテーブルに頭を打ちつけてしまう。
まどろみの中で、中島は気づく。
目の前にいる伊佐坂は間違いなく悪だということを。
中島が飲んでいた温かい緑茶の底に、白く輝く粉が溜まっていた。

521 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:54:32.48 ID:uvFmIGTf0
中島「こ、ここは」
中島は黒いパネルで囲まれた部屋の中心で寝かされていた。
部屋のあちこちに中島が見たことの無い奇妙な物が転がっている。
中にはピンク色にぬめぬめと光る逞しい男性器を模した物もある。
伊「ああ、起きたかね。いや中々調整が難しくてね、あの薬。
私が楽しむ前に君に死なれでもしたら
悔やんでも悔やみきれないところだったよ」
着物の袖を捲くった伊佐坂のその手には輝く包丁が握られていた。
伊「真実に近付くということは、
それだけ危険も多い。そうは思わないかね?」
伊佐坂は中島にそう語りかけた。

527 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 20:58:10.75 ID:uvFmIGTf0
中島「せ、先生」
体を起こそうとした中島は愕然とした。
両手足首を縛られ、ベッドの上に固定されている。
中島「先生?」
伊「ううん、中島君は知っているかな?
SMっていうんだよ。私と家内は嵌っていてね。
そこらに転がっているのも昔からの愛用品だ」
中島「え……えすえむ?」

540 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:02:01.34 ID:uvFmIGTf0
伊「そう、あれはあんな顔して相当の好きモノでな、
薄くなった皮に鞭うってやると、
馬のように涎を垂らして良く鳴くのさ」
伊佐坂は両手に拳をつくり挙げると、馬の鳴き真似をした。

伊「ひとつどうかね君も・・・?
痛みと恍惚は隣合わせの感情だ
家内はそれを良く分かっている」
伊佐坂が拾い上げたシリコンのペニスが
スイッチを入れると同時に激しい振動を開始した。

むいぃぃいいいいいいいいいいいぃいいいい

伊「うむ、良い音だ」

556 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:08:55.52 ID:uvFmIGTf0
中島「先生はやっぱり……悪い奴だったんだ」
伊「悪い奴って……語彙が貧弱だねえ、
何だか可哀想だよ。ああ、そうそう
今頃磯野さん家は大変なことになっているだろうね、
さっき波平のやつがサブロウに骨折られて苦しんでいたよ。ハハハ」
中島「な、何だって」
伊「おや、まだ半信半疑だったのかな、というよりか
、もしかして君、カマをかけたのかいこの私に。
てっきり全てを知っているものだと思っていたよ。
磯野さん家は今頃全滅だよ」
中島「嘘を吐けっっ」
伊「嘘じゃあないったら、本当のことだよ」

561 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:14:26.84 ID:uvFmIGTf0
中島「お前か……お前がやったのか?」
伊「馬鹿言っちゃいけないよ、
タマを殺したのは僕じゃない、タラちゃんなんだろ?
僕は何もしていない」
中島「で、でも……」


伊「って言えば、私は永遠に安全な位置で暮していける」
中島「やっぱりっっ何をした?」
伊「おいおい呪術なんてそんな大層なもんじゃないんだ・・・・
まあ大袈裟に言えば私は物事の確率を
少しだけずらすことが出来るのさ」
中島「確率を……ずらす?」
伊「そう、つまらん能力だがね、
さらに言えば少しだけ人を不幸にすることが出来る。
もしかすれば、ペットが死んでしまうかもしれない程度の影響力
悪戯な確率を少しだけ不幸な方へ
、その揺らぎを生み出す力。
普通に皆が生活してたんじゃあ
そんな揺らぎは大した結果を生まない。
中々上手くはいかないけれど、
最近仕事も無くて暇でね、辛抱強く毎日毎日
呪いをかけてね、頑張っていたんだよ」

565 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:21:57.93 ID:uvFmIGTf0
中島「ま、まさか」
伊「タマ死んじゃったねえ、可哀想に・・・
まあ別に何処の畜生が死のうが正直良かったんだけどね」
中島「お前……」
伊「君があの墓を上手くPRしてくれたおかげで私も助かったよ、
いくら畜生を殺したところで、
あの獣塚に埋めてくれなきゃ
墓守の呪術は発動しないからね……
ペットセメタリーって言うんだろ?
元々伊佐坂家が広めていた救済の墓なんていう
空々しいものよりか全然良いね響きが、若い感性とでも言うのかな」

567 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:25:18.52 ID:uvFmIGTf0
中島「救済の墓?」
伊「ああ、伊佐坂家はその呪術の性格から
人に噂を流すのが上手くてね、
それは単にペットの命を救うという良い噂なんだけれど、
あまり効果は高くなかったね」
中島「そんな話、聞いたこともないよ」
中島は吐き捨てるように言った。
伊「ハハハ・・・ともあれ昔からあった話と相まって
随分と有名にしてくれたもんだ、
しばらくは馬鹿な人間が出て来るんじゃないかな……
わざわざ鴨を誘い込んでくれたんだよ君は、笑いが止まらんよ」
中島「クソっ」
僕の……僕のせいだっていうのか。
たまの死から始まった全ての事件
それらの全てに・・・僕が関わっていると言うのか。

570 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:30:49.54 ID:uvFmIGTf0
涙を流す中島を見て伊佐坂は笑った。
伊「いやいや、私も常々思ってはいたんだよ。
呪術ってのは卑怯者のやることだなあってね」
中島「よくも抜け抜けと」
伊「いや、本当そう思うよ、
自分ではまるで手を下さずに、
勝手に偉大なご先祖様が作り出したシステムが
魂を刈り取ってくれる。
最初に人が死んだ時は怯えた、
次は震えた、
その次に奇妙な興奮が起こってね、
それから後はただただ笑いが止まらなかったよ」
伊佐坂はそう言うと、包丁を研ぎだした。その煌く白刃に自分の顔を映す。

574 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:36:12.06 ID:uvFmIGTf0
伊「それにしても君、大したものだよ。
今までで君だけだここまで辿り着いたのは、
呪術信仰の根強かった昔々ならともかく、
良くそんな夢物語みたいな話を信じて良くここまでやってきたね」
中島「その夢物語は実在したじゃないか」
伊佐坂は困ったような顔をして言う。
伊「私だって最初は信じていなかったさ、
実際人が死ぬまでね。
いや人が死んでもまだ何処かで疑心はあったが……
やっぱり若いっていうのは良いねえ、
真っ直ぐで、突きつけられた現実を
キチンと受け止めることが出来るんだから。
頭の硬い大人じゃ、私に喰ってかかる奴なんて居よう筈も無いんだ」
伊佐坂は少し残念そうな顔をしてそう言った。

582 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:41:45.88 ID:uvFmIGTf0
伊「まあ、私もそろそろ引退さ、
息子の甚六に墓守の力を譲り渡そうと思っている。
あれも親泣かせの遊び人だが、
自分の高貴な血統を知り、その役目を知れば変わってくれるだろう」
中島「何で、何でそんなことをする必要があるんだ」
伊「知りたいかい? 天下をね……統一するんだ」
中島「天下を……」
伊「そう、数え切れないほどの人の魂をもって、
偉大なるご先祖様の伊佐坂氏胤の悲願は達成されるのさ」
中島「氏胤はそんなことを思って
あの塚に呪いをかけたんじゃないっっ
娘を殺されて……」

591 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:46:25.66 ID:uvFmIGTf0
伊「そうだそうだ、誰に吹き込まれたのか知らないけど、
君そんな馬鹿みたいな持論を展開してたね、
違うよ、別に氏胤は娘なんてどうでも良かったんだよ」
中島「嘘だっ」
伊「嘘じゃないよ、何処で歴史なんて曲げられるか分からないよねえ
まるでおとぎ話だ」
中島「歌が……当時氏胤を皮肉ったっていう、歌があったじゃないか……」
伊「あれは氏胤が娘の前で、娘に向けて歌ったものだよ」
中島「な……」
伊「歴史っていうものは受け取る人によってその姿を歪めてしまうのさ」
伊佐坂は刃文を指でなぞり、うっとりとした顔を見せた。

596 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:51:32.54 ID:uvFmIGTf0
伊「もう良いだろう聞きたいことあるかい?
私も一応作家を生業としているものでね、
君の好奇心には理解があるし、
ここまで来たことへの尊敬の念もある。可能な限り受け付けよう」
中島「まだ二つ言いたいことがある」
伊「よし、聞こうじゃないか」
中島「何で僕を殺そうとする、
お前のいうとおり、いくら声を大にして言っても、
僕の夢物語なんて誰も真面目にとりあいはしない。
こうして僕を殺そうとすること事態がお前にとって
、自ら危険を冒すことになる」
伊「うーーーーーーーーん、良いな。
最期に良い質問だ。それには三つも答えがあるぞ」
中島「言ってみろよ」
伊「一つ目、完全に単なる趣味。人をこの手で殺したかったんだ」

伊「二つ目、君は夢物語って言うけどねえ。
僕は心配性なのさ。資料もあるとなると、黙ってはいられないねえ」

伊「三つ目、最近本業の方が芳しく無くてね、
表現の幅を広げる為に仕方なく、君を解体しようと、
私の崇高なる作品の為に死んでくれるよね?」

603 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 21:54:44.86 ID:uvFmIGTf0
伊「さて、もう一つは何かな?」
中島「……やろ……」
伊「えっ良く聞こえないよ、なんだって?」
中島「死んじまえっこの糞野郎って言ったんだっっ」
伊「何を馬鹿なことを死ぬのは君だよ」
伊佐坂が刃を振り上げた時、その背中に調子外れの声がかかった。


「あれれ、お取り込み中ですかね?」

621 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:00:41.43 ID:uvFmIGTf0
中島「あ、兄貴っっ・・・」
ピンクのマフラーにハンチング帽をかぶった
いつものダサい兄貴がそこにいた。
兄「どういうことですかね、これは……伊佐坂先生」
伊「勝手に人の家に入ってくるなんて、
感心せんなあ・・・いつからいたんだい?」
兄「先生の話は大体聞きましたよ。
靴があるのに、どこにもいない。
おかしいと思ったらこんな趣味の悪い地下室作っちゃってまあ」

兄「まあ可愛い弟をそんな風に縛り付けているってんで、
おあいこってことで」
伊佐坂は高笑いをして、包丁の切っ先を兄に向けた。
伊「中々ユーモアのある青年だが、
君みたいなありふれたキャラクターは
今日び担当にも読者にもウケが悪いんだよ」

632 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:06:33.58 ID:uvFmIGTf0
兄「先生の便所の落書きにも劣る作品に登場予定はありませんよ」
伊「なん……だと……」
伊佐坂の雰囲気が変わったのが中島には分かった。
兄「聞こえなかったのかな?
何冊か読ませてもらったけどね、

まるで駄目。

古典は古典だから面白いんだよ、
お前みたいな一応現役がいくら模倣したところで
単に古臭くて回りくどいだけだ、
分かるか老害?
そんなんだからいつまで経っても――」

「黙れーーーーーーーーーーーっっっっ」
猛る伊佐坂を兄は鼻で笑う。




兄「本が売れやしないのさ」

642 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:12:43.37 ID:uvFmIGTf0
弟を助けにやってきた勇ましい兄が、
隠すように握り込んだ手の中は多量の汗で溢れ、
搾れそうな程だった。
伊「許さん……許さんぞ」
兄「何がですか、そうだ。
売れない作家はニートと同じって、僕の友人が言ってましたよ」
伊「まとわりつく羽虫の分際で
この伊佐坂を愚弄することは許さんぞっ
たかが浪人がっっ凡庸で、
痘痕で凸凹のメレンゲのような中身を持つその頭を垂れろっ
私の伊太利職人手製の洒落た革靴を、
その不健康に脂ぎった頬で磨けっ
私の前で醜く悪臭を放ちながら晒す
その存在を許して欲しいとただただひたすらに哀願しろっ」
兄「それが、あなたの隠していた本性ですか?」
伊「五月蝿い五月蝿い五月蝿い、
黙れ、貴様を微塵に刻んで
その死肉をフードに混ぜて庭のハチに喰わせてやるっっ」
切りつけようと振り回すその刃先を、
兄はかわし、円を描くように距離を取る。

646 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:20:20.21 ID:uvFmIGTf0
慌ててはいけない。冷静にことを運ばなくては――。

兄(包丁を持っているよぼよぼの爺さんと、
運動不足の浪人生は比べたらどっちが強いのかな)
この答えは実はもう出ていた。

この狭い室内という状況において、
一対一で相対した時、
リーチのある刃物を持たれた時点で
兄の勝率は限りなく低かった。それは兄も良く分かっていた。
さらに加えて、捕らえられている弟の
無事を確保しなくてはならない為、
上手く挑発をしなくてはいけなかった。
実は中島を人質に取られた場合、兄の敗北は決まっていたのだ。
しかし、伊佐坂はどうにかして
目の前の生意気な若造に一太刀入れてやろう――と、
既に頭の中はそのことで一杯だった。
そんな怒り狂った伊佐坂を前に、中島兄に確固たる勝算はなかった。

649 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:23:57.95 ID:uvFmIGTf0
中島「兄貴・・・兄貴」
伊「死ね・・・氏ね・うっ」
兄を追いかけ包丁を振り回していた伊佐坂が態勢を崩した瞬間、
中島の兄はその懐へと飛び込んだ――

655 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:31:07.04 ID:uvFmIGTf0
手は首に届いていた――
湯葉のような薄皮一枚で守られた伊佐坂の首・・・
一撃で捻ればことは足りた・・・・・・が・・・・

中島の兄の腹部には伊佐坂の持つ包丁が突き立っていた。

兄「あ・・・ああ・・・」
伊「馬鹿な奴だ。少し隙を見せてやったら
自分から飛び込んできおって・・・それ・・」
伊佐坂が拳を半周回そうとする度、
引っ掛かる肉が音を立てて血とともに削げて落ちた。
伊「やはり刺突には向いているが・・・こうしてかき混ぜるには
不便だな・・・そら・・・」


兄「ぐあああああああああああああああああっっっ」

670 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:40:17.33 ID:uvFmIGTf0
伊佐坂は首を傾げると、突き刺した腹から下腹部へと切りすすんでいく。
拡張された腹部からは千切れた臓物が溢れ出てきていた。
伊「ふむ、良く切れる」
兄「・・・がっ・・・・・・あ・・ああ」

中島「兄貴・・・兄貴・・・・・アニキーーーーーーーーーー」

伊「もっとだ、もっと。。。ハハハ・・・凄いぞ・・・
この色・・・・本物だ・・・艶めくピンクなどではない
これは何と表現したら良いのだ・・・ああメモ帳が欲しい。。
この興奮を今すぐ書き殴りたいっっ」
刹那――兄が気を失おうかというその時、
無意識に兄の手は伊佐坂の口の中に入っていた
伊「ひゃ・・おえ・・・」
伊佐坂は慌てて包丁を捨て、
その手を掴み、引きずり出そうとしたが、
死に際の兄の力は・・・老人ではかなわなかった。
兄「・・・・」

681 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:47:30.63 ID:uvFmIGTf0
伊「ご・・・ごごご・・」
伊佐坂は眼球が天井を向いたまま動かせなかった。
手が・・・喉を通っているのだ
じたばたと体を動かし、口から腕の隙間を通して血液と胃液が漏れ出ていた。
鈍く光る赤色が混じった糞尿を撒き散らした時、
伊佐坂は口を手に突っ込まれながら絶命した
中島「あ・・・・アニキ・・おいアニキ・・・」
兄はもう返事をしなかった。
目を開いたまま、膝を崩し、体を倒した。

中島「兄貴ーーーーーーーーーーーーーっっ」

686 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:50:16.28 ID:uvFmIGTf0
そして物語は――磯野家へと戻る・・・

サブ「ア バ ヨ −−−−−−−−−ハハハ」
サブが引き金を引いた瞬間。
タラオの眼前が光り輝いた。

699 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:57:08.98 ID:uvFmIGTf0
サブ「ハハハハハ・・・ハ? えっ・・・」
サブが銃を握っていた筈の右手・・・・が、無い。
手首から先にかけて、裂け崩れた肉の花が咲いていた。
タラオは酷い耳鳴りにこめかみを押さえた。
サブ「て・・・てめえ・・・・こんな粗悪品
掴ませやがって・・・・・コロシテやるっっ」
サブはその小さなタラオの顔を両手で持ち上げた。
タラオ「痛い・・・痛いですっっ」

713 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 22:59:53.96 ID:uvFmIGTf0
こめかみを通して圧迫される眼球が浮き上がり、
今にも飛び出しそうになっていた。
タラオ「いたいーーーーーー痛いですーーーーーーーー」
サブ「ここで終わりですーーーーフフっっ・・・
ハハハハ・・・・



あーーーーーーっはっはっはっ」

731 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 23:11:32.65 ID:uvFmIGTf0
タラオが意識を失いかけた時、体は畳みの上に放り出された。
タラオ「え・・・・」
サブが体を変な方向にまげて、光の無い瞳孔でタラオを見つめていた。
タラオ「こ・・・これは・・・・どういうことですか・・・」

伊佐坂が死んだことによって・・・人形はその効力を失っていた。
氏胤のかけた呪い・・・その本当の仕組みに気づいている者は
誰一人として居なかったのである。

動物を獣塚に埋葬することによって
その動物は鍵となり、人を襲う
鍵に襲われた人間は埋葬しなくてもその呪力を取り込み、
人形と化す。
人形は人形を一体ずつしか生み出せず、
また新たな人形を誕生させた以前の人形は自らを埋葬し、
その魂を伊佐坂家に捧げる・・・
人に永らくばれぬよう・・・それは氏胤が考え出したルールだった。
これこそが獣塚にかけられた呪術だった。

741 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 23:20:34.21 ID:uvFmIGTf0
しばらく腰を上げることが出来なかった。
それほどの恐怖とショックをタラオは受けたのだ。

その時、玄関の開く音がした――。

タラオは這いながら部屋を出て、その来客者を確認した。

757 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/16(火) 23:38:46.51 ID:uvFmIGTf0
その姿を目に映した時・・・タラオの目から涙が溢れた・・・。
いつものパーマ、派手な色だが単色の安っぽいスカート
地味な刺繍のセーター・・・

サザエ「あら?どうしたのタラちゃん?泣いちゃって」
タラオ「ママーーーーー」
タラオは母の胸に飛び込んだ。
懐かしくて、優しい母の匂いがした・・・。
サザエ「どっどうしたのっ体中傷だらけじゃない?」
タラオ「怖かった・・・怖かったですーーーー」
サザエ「あら・・・皆はどうしたの?」
タラオ「皆・・・皆・・・あ・・・おじいちゃんが・・・
おじいちゃんが・・・・」
サザエ「おじいちゃんがどうかしたの?」
タラオは波平の無事を願った。

851 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/17(水) 03:28:03.50 ID:udVOJUHR0
タラオ「おじいちゃんが死んじゃうですーーーーっっ」

サザエ「そう・・・でも・・・・


あ な た も も う シ ぬ の よ 」

壊れたテープレコーダーのようにゆっくりとした・・・
低く口の中で反響するような声だった――

860 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/17(水) 03:48:52.70 ID:udVOJUHR0
タラオの瞳は現在を映すのをやめた
その濡れた瞳は・・・今もなお焼き残る。
優しかった母と・・・大好きな家族を思い出していた――
タラオ「ママ・・・・マ・・・マ・・・」
次々と光景が目の前に蘇っていく。
この玄関で迎えた皆・・・大好きだった家族・・・。
カツオ「ただいまタラちゃん」
ワカメ「ただいまーーーあら? タラちゃん ただ今」
マスオ「ただいま、おおタラちゃん、元気にしてたかい?」
フネ「ただいま、タラちゃん」
波平「おお・・・お出迎えしてくれたのかい? タラちゃん」

サザエ「ただい・・・タだ・・・・・い・・マ・・」
幸せな過去をタラオは最期見た。
その映像は途切れ・・・変わり果てた母の声が聞こえてきた時・・・
カキッカキッと・・
タラオは自分の首の骨が折れる音を聞いた
口から血を含んだ泡を吐き、白目を向いたタラオは既に事切れていた

サザエ「ウフフフ・・・ウフフ・・・
フフフフフフフフフフフフフフフフフフフ・・・・
フフフ・・・ハハハ。。。」
サザエはねじ切った我が子の顔を右手で胸に抱き、
左手で脇に抱えると、また元の塚に戻るべく・・・・
その足を裏山へと向けた・・・。

870 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/17(水) 04:09:00.83 ID:udVOJUHR0
その後・・・息子の甚六によって通報され、
世田谷署の警官が向かった地下室で中島の兄と伊佐坂の死体は発見された。
そこで四肢を固定され、惨劇を目の当たりにしたと見られている
警察に保護された中島は正常な意識を保ってはいなかった。
中島「あ・・・あは・・・あにき・・アニギ・・・」
救急車に搬送されようとした時、
集まった警察官のうちの一人が無線に向かって何かを言っている
・・・それは薄れゆく自我の中で中島の耳にも届いた
警官「殺人?そっちもか?ガイシャは?
家の中に三人も?え・・・ホシは・・・死んだ・・・?
おい・・・死んだってどういうことだ?まさか殺したのか・・・えっ・・・
初めから死んでいたって・・・?」
中島は思った。
獣塚に行かなくちゃ駄目だよ・・・
きっとあそこに残りの人が埋まってるんだ・・
でも、もう僕は声をあげることは出来ない・・・
すぐに皆見つかって大量の死体を警察が発見した時・・・
もう誰も、あの塚に近付く者はいないだろう・・
もう誰も・・・誰も・・何故なら・・・
真犯人は兄貴が・・あ・・アニギ・・・

中島「うううああああああ・・・・
あああああああああああああああああっっっ
あああアアアアあああああああああああああああああああ
あああああああああああアアあああああアああああっっっtぅtっ」

873 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/17(水) 04:15:38.05 ID:udVOJUHR0
事件が明るみになる晩――。
衝撃的な磯野家の惨事が速報で、日曜のお茶の間に届けられる頃。
かおりと花沢の二人は暗い山道を登っていた。
花沢「ったくもう、辛気臭いトコなんだからん」
花沢はスカートの裾を気にしながら、
枝木を手で払い、足にかかる根を蹴り退けた。
かおりはその後を泣きながら追う。
花沢「かおりちゃん、泣いていたって
何も始まんないんだから、ねっ、元気出して行こうよお」
かおり「でも……でもピーちゃんが、私・・・大切にしていたのに」
花沢「そのインコちゃんが死んだのは
かおりちゃんのせいじゃないってばあ」
かおり「でも、私が……目を離していたから……」
花沢「んもう、仕方ないでしょ、死んじゃったんだから」
花沢の人の心を踏み荒らすような励ましは、
傷ついたかおりの心をさらに砕いた。
かおりは俯き、立ち止まってしまう。
花沢は苛立ちを隠そうともせずに言う。
花沢「ああ、もうメンドクサイ。
あんたの為にここまで来てあげてるんだからね。
大丈夫よ、前に中島君も言ってたじゃない鼻を高くしてさ・・・・・・」


「ペ ッ ト セ メ タ リ ー に入れれば大丈夫って……」


――――――――――――――――――――――――――――――完

986 名前:ちゃぴぃ◆jse.PorBNE 投稿日:2008/12/17(水) 08:49:49.39 ID:udVOJUHR0
>>1->>1000
thank you for reading!

prezented by ちゃぴぃ

「BOW!BOW!」









822 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:38:10.98 ID:PZbrZF1l0
物語が終わってもまだ最後のクライマックが残ってる。




























それはジャンケンだ・・・







つジャン




ケン





(*´Д`*)V




 

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