引用元
タラちゃん「銃弾は残り一発です」
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1229297061/


 
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:24:21.75 ID:goTjjm+k0
タラオ「おじいちゃんから譲り受けたこの銃で
この悪夢を・・・・終わらせるです」
三河屋のサブ「あれえーおっかしいなあ・・・
たらちゃーん・・・何処にいるのかなぁ・・・参っちゃうなあもう・・・



出て来いよっっっこのクソガキッッ!!」

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:28:35.89 ID:goTjjm+k0
サブ「良いのかなあタラちゃーん
出て来ないとワカメちゃん死んじゃうよーーーー?」
その一言がタラオの決意を揺さぶる
大好きなお姉ちゃんが友達の家から帰って来てしまったのだ
タラ(三郎に捕まってしまったですか?)
カツオの机の下からするりと出て、タラオは襖に近寄りそっと開いて
三郎の声のする台所を見た


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:31:59.62 ID:goTjjm+k0
三郎が頭を掴んでいる。おかっぱ頭の女の子だった。
しかしその少女には胴体が無かった。
血をボタボタと垂れ流すその球体がクルリと此方へ振り向いた
信じられない物を見た顔・・・・恐怖というよりかは驚きの表情
タラオ「わ・わかめ・・・」
サブ「そこかいタラちゃん・・・・」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:37:44.98 ID:goTjjm+k0
三郎はゆらゆらと体を揺らしながら
ゆっくりとした動きで近付いてくる
タラオ「う・・・・ううう」
叫び声を上げながら逃げ出すタラオ、その時手に掴んでいた銃を落としてしまった
タラオは息を上げながらサザエ達の寝室の押入れに逃げ込んだ。
(もう駄目です、全部僕のせいです。銃も取られたです
僕も皆の後を追うです)
タラオはついさきほどまで幸せだった家庭を想い涙ぐんだ。

磯野家連続殺人と呼ばれる幻のこの回の切っ掛けは
ペットであるタマの死から始まる

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:40:00.86 ID:goTjjm+k0
タラオ「うわーーーーーーーん、タマがーーーー
タマが死んじゃったですーーーーーーーーー」
カツオ「ど、どうしたんだいタラちゃん?あっ
タマッッタマどうしたんだっっ・・・・・」
そこには頭から脳漿を垂れ流している一匹の猫が居た
タマ「に・・・・にゃあ・・・・」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:45:19.02 ID:goTjjm+k0
タラオ「うわああああっっどうしようーーー」
カツオ「うっっいったい誰がこんな酷いことを??」
カツオは込み上げる吐気を抑えながらタラオに聞いた
タラオ「僕です、ちょっとタマを脅かそうと思って
あの・・・タマを乗せたベッドの上で跳ねていたら」
カツオ「ベッドって・・・」
それは昔赤ん坊だったタラオを寝かす為の乳幼児の為のベッドだった
脚が折れ、使われていた木材が散乱している

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:50:21.57 ID:goTjjm+k0
タラオ「近くのタンスの上に乗せてあったダンベルがタマの・・・
タマの頭の上に・・・」
カツオはバラバラに分解されたそれに近付く、その中に
黒光りするダンベルがあった
紐のような物体とともにどす黒い血がダンベルについている
カツオ「・・・これは・・・」
中嶋「おい磯野ーーー何やってんだよ野球遅れ・・・・」
待ちくたびれて玄関からいけないと知りつつも
勝手に入ってきてしまった中嶋は激しく後悔した
冷たい汗を背にかき、中嶋はゆっくりと口を開いた
中嶋「ど・・・どういうことだよ・・・」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:53:24.68 ID:goTjjm+k0
中嶋は次の瞬間充満する獣特有の臭気と汚物にまみれたその
光景を目にして吐いてしまった。
タラオ「カツオにいちゃーん、まだ。。まだタマは
生きてるです。タマは・・・タマは・・・・」
カツオ「残念だけど・・・・悲しいけどもうタマは駄目だよ」
タラオ「嫌ですっっ絶対に嫌ですぅぅぅああああああああああん・・・」
カツオは生まれて来て初めて姉の息子である目の前の
子供を憎らしいと思っていた。

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 08:57:51.40 ID:goTjjm+k0
一瞬の激しい憎悪。しかし、すぐに我に返りカツオは
タラオを抱いて言った
カツオ「仕方ないことだよ、これは誰のせいでもないよ」
タラ「ううううううう・・・・」
その時ふすまが開いた。タラオとカツオは驚いて見る
洗面所で口をゆすいだ、中嶋だった
カツオ「お、驚かせるなよ、姉さんかと思ったじゃないか・・・」
タラオ「見つかったら不味いですか?やっぱり怒られるですか・・・」
その言葉にタラオは過敏な反応を示した。
そしてまた泣き出すタラオにカツオは顔をゆがめた。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:02:00.83 ID:goTjjm+k0
中嶋の顔に精気がない。恐らく洗面所でまた吐いたのだろう
カツオはそう思った
タラオ「たま・・・たま・・・」
タマは異常に早い呼吸を繰り返し、目の焦点が合っていない
カツオはそれをなるべく見ないようにしていた
カツオ「どうしよう・・・・まだ生きているし
病院に連れて行ってもこれじゃあ・・・・」
中嶋「磯野・・・あれ・・・試してみたらどうかな?」
カツオ「あれって何だよ中島?」


中嶋「ペ ッ ト セ メ タ リ ー だよ」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:07:15.55 ID:goTjjm+k0
カツオは驚いていた。こんな状況を見て中嶋がおかしくなったとそう考えた。
カツオ「おいおい中嶋、あれはただの噂話じゃないか
そんなのにタマを預けられるか」
中嶋「でも・・・このままにしておくわけにはいかないし
いずれ死ぬんだ。どっちにしろ埋めるならペットセメタリー
でも構わないじゃないか」
カツオ「・・・確かにそうだけど・・・」
タラオ「・・・ペットセメタリーって何ですか?」
憔悴しきったタラオがカツオに聞いた。
目の周りが蜂にさされたように赤く腫れている
カツオ「ペットセメタリーっていうのは・・・・」
カツオは昔から学校で噂になっている。裏山に存在するという
その墓地について語り始めた

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:13:36.59 ID:goTjjm+k0
七不思議などではない。何故か古くから存在が噂される裏山の墓地

・・・ペットセメタリー・・・

そこに埋葬された生物は魂を取り戻し蘇ると、そう言われていた

カツオ「でも・・・その噂にはキチンとついてくる
おまけがあってね」
タラオ「なんですかそれは・・・」
中嶋「ペットセメタリーに埋められた生物は生き返るが
その時引き連れてきた魂は決して生前のものとは限らない」
不気味な噂話だった。しかし、カツオは中嶋の言うとおり、
例え生き返らなくてもタマを埋葬することが出来るし、
何より言い訳になると思った。
早く、早くこの血なまぐさい部屋をどうにかしなくちゃならない
カツオは姉の悲しい顔を見たくなかった

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:21:02.75 ID:goTjjm+k0
カツオ「行こう中島・・・・」
カツオはタマを抱きかかえた。激しい臭気に顔をしかめる
潰れた頭を撫でてやった。血に塗れる手。
こうすることがカツオが出来るタマへの最期の愛情表現だった
タマは静かになっていた。
中嶋「もう野球どころじゃないな・・・」
タラオ「僕も・・・僕も行くです・・・・」
カツオはタラオを制し言う
カツオ「良いんだタラちゃん・・・タラちゃんは家で待っていて」
タラオ「でも・・・」
カツオ「誰が悪い訳じゃない。最期にタマに挨拶して」
タラオ「タマ・・・タマ・・・・ごめんなさい・・・・」
カツオ「最期まで謝ってたらタマも悲しむよ」
タラオ「うう・・・ありがとうですタマ・・・今まで・・・」

こうして、カツオと中嶋の二人は学校の裏山へと向かった

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:28:18.76 ID:goTjjm+k0
裏山に到着した二人は早速その場所を探し始めた
中嶋「でも本当にそんな場所あるのかな」
カツオ「お前が言い出したんだぜ」
中嶋「いや・・・でもあの時はああするしか」
カツオ「分かってる、感謝してるよ・・・見つからなかったら
見つからなかったで、此処に墓を立てるよ」
中嶋「磯野・・・・」
二人は茂みの奥の奥へと歩を進めていく
低木を越え、高く生い茂る草木をかきわけ、その場所を探す
カツオ「ないな・・・まあ初めからそんな感じはしたけれど」
中嶋「仕方ないな、じゃあ此処ら辺に埋めてしまおうか」
カツオ「ああ・・・スコップ貸してくれ。あそこ少し
土が見えているから、あそこにしよう」
腐葉土と枯れ木を掘り進み、二人は造った穴にタマを寝かせた。
タマはその時もう死んでいた。
カツオ「安らかに眠ってくれ」
今までの日々が思い起こされカツオは泣いた。
その泣き声は長く山に響いた。タラオの前では我慢していたのだ。
中嶋「磯野・・・」カツオ「ああ・・行こう」
中嶋に寄り添われて、カツオはタマの墓を後にした

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:32:01.58 ID:goTjjm+k0
外はもう暗くなり、月が出ていた。
それほどまでに濃縮された時間を過ごしていたのだ。
月は盛り土だけの墓を照らす。
少し離れた場所に古く朽ち果てた木の立て札が転がっていた。
そこには英語でこう書かれていた
ペット・セメタリー

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:39:33.15 ID:goTjjm+k0
暗い面持ちで玄関を開けたカツオをワカメが出迎えてくれた
ワカメ「ああーどこ遊びに行っていたのー?怒ってるよおとうさん」
カツオ「あ・・・そう・・・」
タマの件で叱られるのだろう。そう思っていた。
夕食はもう始まっていた
波平「ばっかもーーーーーーーーん、今まで何処ほっつき歩いておった?
お前は晩飯抜きじゃ」
カツオ「えっ・・・・うん・・・ごめんなさい」
カツオは頭を下げ、自室へと帰っていった
その様子を見た皆は一人を除き、皆驚いていた
サザエ「何かあぅたのかしら・・・・」
波平「おい、サザエ」
サザエ「はい、何ですか」
波平「あとで夕食持っていってやれ・・・それで何かあったのか聞いてみろ」
サザエ「はい分かりました」
サザエはウフフと笑った。
フネ「あなたが聞いたらどうです?」
波平「いや、ワシはいい・・・」
フネ「まったく素直じゃないんだから」
タラオ「もう、ご飯いらないです」
サザエ「どうしたのタラちゃん」
タラオ「カツオ兄ちゃんを元気づけてくるです」
サザエ「そう、偉いわねえ」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:48:47.17 ID:goTjjm+k0
カツオは黙って机に座っていた
「カツオ兄ちゃん」
突然そう声を掛けられ、振り向くとそこにはタラオが居た
カツオ「タラちゃん」
カツオは肩で息をすると、声を低くした。
カツオ「皆には・・・まだ言っていないんだね・・・・」
タラオ「綺麗にしておきました、臭いは何とかなったです・・・」
カツオ「こびりついた血は・・・・」
タラオ「僕がもっと汚したです、ダンベルは隠しておいたです」
カツオ「そうか・・・・でもそんなことをしても
いずれバレるんだから早めに父さんたちに言った方が良いよ」
タラオ「嫌です」
カツオ「えっ?」
タラオ「タマは死んでいないです、ペット何とかで生き返るんです」
カツオ「タラちゃん」
タラオの声の調子はやけに明るかった。
しかし、以前とは違い、感情の色がない。恐らく現実を受け入れる
ことが出来なかったのだろう。
あんなに可愛がっていたタマを故意でないとはいえ自らの
手で殺してしまったのだ仕方ない。カツオは深い溜め息を吐いた。

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:54:46.91 ID:goTjjm+k0
サザエ「入るわよーー」
サザエは部屋にいる二人を見て思わず夕飯を乗せた盆を落としそうになった。
振り向いた二人の顔が、今までに見たことのないほどに暗く、
しかし目はギラギラと張り裂けそうなほどに見開かれ、光っていた。
サザエ「ど、どうしたの二人とも」
カツオ「いや、何でもない・・・ねえタラちゃん」
タラオ「何も無いですー」
サザエ「そ、そう?」
カツオ「あっ姉さん今日は春巻きだったね食べて良いの」
カツオは飛びぬけるような声を出し、椅子から立ち上がって舌なめずりをした。
サザエ「父さんが反省してるようだから許すって、明日
もう一度謝っておきなさい」
カツオ「はーい」
サザエ(気のせい。。。だったみたいね・・・・)
カツオ「美味しい・・・・本当に美味しいよ・・・」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 09:57:38.89 ID:goTjjm+k0
深夜・・・・
月が雲に隠れ、街明かりが落ちる頃。

引き摺るような音とともにそれはやってきた。

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 10:02:41.17 ID:goTjjm+k0
物語に関係のない、男が一人。
愚痴を垂れ流しながら家路をのらりくらりと歩いていた
男「ったくよーーーざけんじゃねえよ」
会社で残業をおしつけられ、腹が立った男は一人憤っていた。
腹の底に溜めたアルコールが揺れる。
男「ちっつまんねえなあ毎日よ」
そう言いながら、男が家路につながる角を曲がろうとした時のことだった。
ズルッペチャッズルッペチャッ
引き摺る音に続いて地面を叩く音、交互に繰り返されるリズム
男は首を傾げた。月が隠れた深夜、それは暗くて良く見えない。

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 10:11:47.70 ID:goTjjm+k0
街灯が無機質な明かりを道路に向けて投げている。
男は目を凝らした。ただの犬か猫の類だと思っていた。
街灯が作り出す舞台にそれは現れる。
頭がパックリと割れ、片方の目は崩れ落ち、顔半分がえぐれている。
引き摺っているのは折れた左の前足だった。
男は声も出せなかった。体は凍りつき動かない
その男の脇をゆっくりとそれは通り過ぎていった。
体中泥だらけで男はそれが何か分からなかった。
タマ「に・・・・にゃあ・・・・」

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 14:54:38.66 ID:goTjjm+k0
同刻、寝室で夫婦の営みが今行われようとしていた。
マスオ「サザエ、綺麗だよ」
サザエ「いやだ、あなたったらウフフ」
その愛しく、しなやかな肢体をマスオは指でなぞる。
両指は二つの突起を撫で上げ、やがて濡れた丘に至る。
マスオ「サザエ、準備が出来てるみたいだね」
そう言うと、サザエは処女のように頬を染め、
恥ずかしさを噛み殺すようにして言い返す。
サザエ「あなたのだって・・・こんなになってる」
母の顔、磯野家の長女の顔。その二つを脱捨てた
サザエは妖艶な笑みを浮かべて
マスオのいきり立ち、充血したソレを包むように握り込んだ
マスオ「サザエ・・・・もう・・・」
マスオの息子が悲鳴をあげそうなほどに怒張した時のことだった
突然音がした、金属質・・・・ガラスの割れる音。
サザエ「えっ・・・・何かしら?」
マスオ「サザエ、そんなことより・・」
サザエ「駄目よ、あなたちょっと見てきて」
マスオ「はい・・・」
マスオのモノは萎れてしまった。

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 14:59:35.60 ID:goTjjm+k0
タラオ「どうしたですか?」
眠気の混じった声でタラオが聞いた。
サザエ「あっタラちゃん起きちゃったの?何か音がしたから
今パパが見に行ってくれてるの」
タラオ「おしっこ行ってくるです」
サザエ「してきなさい」
タラオ「ねえママ?」
サザエ「なあに?」
タラオ「どうして裸ですか?」
サザエ「・・・・・・」
タラオは襖を開け、足早に駆け出した。
タラオ(タマです。。。タマが帰って来たんです)

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 15:11:57.36 ID:goTjjm+k0
マスオが辿り着いたのは縁側だった。ガラスの破片が辺りに
飛び散っている。
マスオ「危ないなあ・・・誰がこんなこと。。」
「にゃあ・・・」
マスオ「タマかい?何処にいるの?」
「にゃ・・・・」
タラオ「パパー」
マスオ「あれこんな夜更けにどうしたのタラちゃん?」
タラオ「タマは・・・タマは・・・」
マスオ「ああ、どうやら縁の下にいるみたいだね、泣いているよ」
タラオは涙を零した。生き返ったのだ。噂は本当だった。
マスオ「えっタラちゃん・・どうしたんだい?」
タラオ「ううん・・・ちょっとトイレに行ってくるです」
マスオ「そうかい?・・・それにしてもこのガラスは・・・・」
マスオが拾い上げたその破片にはうっすらと赤黒いものが付着していた。

タラオ「カツオ兄ちゃん」
タラオはワカメを起こさぬように声を潜めて襖越しに語りかけた。
カツオ「ん・・・どうしたんだいタラちゃん」
タラオ「帰って来たです、タマが」
カツオ「ハハハ・・・・何を言っているんだい?」
タラオ「パパが今迎えに行ってるデス」
カツオ「何処に・・・いるの・・・」
カツオは心の何処かでもしかしたら・・・という願いがあった。
タマが帰ってくれば誰も悲しまずに済む。
その時、庭の方から音がした。
カツオ「行ってみよう・・・タマを迎えに行こう」
タラオ「ハイですーーー」

180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 15:17:40.55 ID:goTjjm+k0
マスオ「タマどうしたんだい?そんなに怒って」
タマの悲しい泣き声は止み、軒下からは激しく唸るような威嚇が続いていた。
マスオ「大丈夫、怖がることは無いよ、タマおいで・・・」
マスオはそのタマの声のする闇に手を伸ばした・・・・。

186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 15:27:33.72 ID:goTjjm+k0
タラオとカツオが縁側に到着した時、目にしたのは月明かりの下もつれ合う
異形の物体とマスオの姿だった。
マスオ「ぐっ・・・・・・クソっっ」
か細いその獣の腕を振り払うことは造作も無いように二人には初め見えたが、
実際上に乗りかかられているのはマスオの方だった。
マスオの腕からはおびただしい量の血液が流れ出ている。
カツオ「マスオ・・・兄さん・・・・」
マスオ「ああ助かった・・・頼むカツオ君!こいつを・・・」
マスオは言葉を上手く発することが出来ないようだった。
それ程必死にマスオはその獣の両腕を抑えているということだ。
迫る獣の腕はマスオの首目掛けて爪を伸ばしていた。
カツオはすぐに状況を理解し、走り寄ってその獣の背中を掴んだ。
ガサリとごわついた毛、その感触の下はタイヤのように硬い体。
動いている筈なのに生をまるで感じない冷たさだった。
まるで死体のような・・・・

193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 15:38:16.24 ID:goTjjm+k0
マスオ「カツオ君・・・・カツオッッ」
マスオ兄さんの小さく、悲鳴に似た懇願がカツオの耳にも
届いていた。
しかし、いくら力を込めても獣は引き剥がせない。
カツオ「畜生っこうなったら・・・」
カツオは心の何処かに遠慮があった。
そう・・・もう理解していた。この黒くて硬くて冷たい獣はタマだ。
しかし、もう余裕は無かった。
カツオは力一杯に首の根元を掴み、爪に力を込めた
カツオ「マスオ兄さんから離れろっっ」
タマであった獣の首が少しづつ、少しづつ浮き始めた。
マスオ「よし、良いぞカツオ君、もう少しだ」
しかし、なおも獣は低く唸りながら、その体をマスオから離そうとはしない。
見た目の体積に比べ、ずっしりとその体は重かった。
カツオ「もう少し。。。。頑張ってマスオ兄さん」
カツオが腰を入れてその首をもぎ取ろうかという時、
カツオの腕に二本の腕がかかった。
カツオ「タラちゃん?・・・・・・・何するんだ・・・・・・・・離せよ」

203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 15:52:40.34 ID:goTjjm+k0
タラオ「嫌です・・・・タマを・・・タマを虐めないで下さい」
カツオ「何言ってるんだタラちゃん・・・こいつは・・・・
こいつはもうタマじゃない」
タラオ「タマです・・・首輪してるです・・・」
その獣の首につけられた首輪。その先に揺れる鈴。悲しい音色。
マスオ「おい・・・頼む・・・・頼む・・」
マスオの肩が痙攣していた。
カツオ「手をどけろ、だからと言って・・・この・・・・化け物っっ」
タラオ「タマは化け物じゃないです・・・ねえタマ
・・・話を聞いて・・・・」
その時、カツオが掴んでいたタマの体が、何かが抜け落ちたかのように
・・・ふぅっと軽くなった。
タマの爪はしまわれ、腕をだらんと垂れ下げた。
マスオは顔を紅潮させて荒い息を吐いている。
カツオの首を絞めた手が震えた。
タラオ「タマ・・・」
タラオは泣いていた。
そしてタマもその片目から涙を流していた。
タマはゴキゴキと渇いた音を鳴らしながら、顔を百八十度回転させ、
カツオに向けて一声鳴いた。
カツオ「タマ・・・・・」

205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 15:55:35.75 ID:goTjjm+k0
その顔にカツオは見覚えがあった。
自由気ままで、餌を貰う時だけ愛らしく擦り寄ってくる飼い猫
カツオは首を掴んでいた手を緩め、その崩れた頭を撫でた。
タマ「にゃ・・・」

211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:04:34.70 ID:goTjjm+k0
弛緩した空気が流れたその時
カツオに細く、尖り、吹き出る血がかかった。
カツオ「え・・・・・・・」
タマがマスオの首に喰らいついていた。
マスオ「あ・・・・あああ・・・・」
カツオとタラオの二人はいったい何が起きたのか分からなかった。
肉を混ぜ込むような音を立て、タマがマスオの首から顔にかけて
爪と牙を踊らせている。肉片が飛び散り、目玉が抉り出されている。
カツオ「おい・・・やめろ・・・やめろよっっ」
カツオはそう声を発してタマに蹴りを繰り出したが、
タマはその重い体からは想像できぬ動きで宙を舞い、その場から飛びのいた。
あとに残ったのはミミズのような蠕動をして片目で虚空を睨むマスオだった。
マスオは声にならない声を上げながら、やっと視界に捉えた二人に
ゆっくりと手を伸ばす・・・・。
しかし、二人がその手を握ろうとした時、マスオの手は地を着き
苦しそうにもがく体はその動きを止めた。

219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:08:54.53 ID:goTjjm+k0
カツオ「マスオ兄さん・・・・マスオ兄さーーーーーーーーーんっっ」
タラオ「パパ・・・パパ・・・・」
カツオ「こ・・・この野郎・・・」
タマはゴロゴロととてもリラックスした様子で毛づくろいをしていた。
カツオは立てかけてあったスコップに手を伸ばし、
タマに向けて力一杯振り下ろした・・・・が・・・・。
タマは軽々と身を交わし、庭の柵を飛び越え、闇夜の街へと消えた。

225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:15:04.08 ID:goTjjm+k0
タラオ「パパーーーーーーパパーーーーーーーーーーー」
カツオ「くそっくそっ僕のせいだっ僕が気を許したから・・・」
タラオ「嫌ですーーーパパーーーー」
カツオ「黙れっっ・・・・
タラオ「えっ・・・・」
カツオ「黙れって言ってるんだ・・・・静かにしろ」
タラオ「うっ・・・・」
タラオはカツオの鋭い声に泣き声を引っ込めた。
カツオ「ごめん・・タラちゃん・・・」
カツオは気が狂いそうになりながらも、何とかタラオの義兄として苛立ちを抑えた。
泣き叫びたいのは自分も同じだった。
タラオ「うう。。。」
カツオ「タラちゃん・・・・姉さんの所に戻っているんだ・・・」
タラオ「えっ・・・・」
カツオ「こうなったらもう・・・・引き下がることは出来ない・・・」

231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:19:10.26 ID:goTjjm+k0
カツオはマスオをその背に担ぎ、路地を歩いていた
何の力も加えられていない大人一人の死体はとんでもない重さだった。
汗がマスオの血とともに路地にシミをつくる。
息を切らしながら、カツオは歯を食いしばり、裏山へと向かう。

あのペットセメタリーへと・・・・・

237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:24:02.04 ID:goTjjm+k0
カツオは何故タマがあんな行動を取ったのかを考えていた。
恐らく自らの死を理解出来なかったタマは錯乱し、
本能から住みかに戻っては来たものの・・・あんなことになってしまったのだろう

しかし、あの力・・・・・そうあの力は何だろう?
ただの猫が、まるで虎のような膂力を身につけたのだ。
その謎は解けぬまま、カツオはタマを埋めたあの場所へと戻って来た。
(中嶋・・・お前の言うとおりあったよちゃんと・・・
此処がそうだったんだ・・・此処がペットセメタリーだったんだ)

245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:29:49.12 ID:goTjjm+k0
カツオはマスオを土で埋めながら、彼の顔を見た
絶命する瞬間のマスオの顔は苦悶の表情を浮かべ、
もう生前の面影は欠片も残っていなかった。
優しかったマスオさん・・・マスオさんは僕の憧れだった。
優しく常に場を和ませ、カツオを庇ってくれたマスオ。。。
そのマスオが居なくなることはカツオには考えられなかった。
そしてふと・・・この状況を見られたなら・・・・

まるで本当に僕がマスオ兄さんを殺したみたいだな・・・
カツオは口だけを歪ませ奇妙に笑った。
墓標の無い墓、作り上げたのは今日で二度目だった。

253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:37:09.87 ID:goTjjm+k0
同刻、磯野家――。

サザエ「タラちゃん・・・マスオさん遅いわねえ
何してるのかしら」
タラオ「トイレですか・・・何してるですか・・・・」
サザエ「タラちゃん・・・隠し事してるでしょ」
その声の響きと表情で母は分かってしまう。
タラオ「何にも無いです」
サザエ「嘘よ、ったく見てくる、タラちゃんは待ってて」
タラオ「嫌です・・・ママ寂しいです」
サザエ「すぐ戻ってくるから・・・ね・・・」
タラオ「ママ・・・ママー嫌です嫌ですーーー」
タラオは子供ながらに言葉では言い表せぬ凶兆のようなものを感じていた。
母を行かせてはならない。そう直感したのだ・・・・。
しかし・・・・その母は息子をベッドに横たわらせると、
襖の向こうへと・・・行ってしまった。

256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:41:59.14 ID:goTjjm+k0
サザエは何かが起きているということを感じ取っていた。
深夜、ガラスの音、様子のおかしい息子、そして――

縁側に残る赤黒い染み・・・これは血ではないだろうか。。。。
サザエ「あなた・・・・あなたーーー」
トイレにもいない。和室にも、台所にも居ない。
(そうだ・・・玄関)
マスオの靴は玄関にあった。少し外に出ているというわけでは無さそうだ
しかし・・・家の何処にもマスオは居ない
そして・・・カツオの靴が無くなっていた
(あの子・・・・)
カツオが居なくなっていることを確かめると、サザエは夜の街へと
疑惑の答えを探しに外へと出かけた――

262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:51:19.56 ID:goTjjm+k0
クリスマス近い冬空。音の無い夜の山に
白い息が一つ上がっていた。
かじかむ手に息を吐きかけ、カツオは夜の山を降りていた。
マスオの声がカツオの胸中に浮かんでは消え、
脳裏に焼きついた暖かな映像は繰り返し流れて、彼を苦しめた。
カツオ「マスオ兄さん・・・僕、これからもし
マスオ兄さんが生き返って・・・大変な思いしたら・・・
僕も一緒に背負うよ。だから・・・帰って来てよ・・・」
カツオはまた手に息を吐きかけると、
泥にまみれた暗い足元を一歩一歩進めていく。

その様子を照らす月が一つ。黒い山に落ちる影が二つ。

270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 16:59:27.44 ID:goTjjm+k0
「カツオくん」
懐かしい声が脳内に響いた。優しいマスオの声。
カツオはその声が聞こえただけで、安心することが出来る。
「カツオくん」
カツオは以前、デパートに行った時
内緒でドーナツを買って貰ったことを思い出した。
サザエには内緒だよ。。。マスオのこのフレーズはもう何度も聞いた。
「カツオくん、ねえ・・・カツオ君・・・」
記憶の中に眠るその声は確かに背後からする。
カツオは精一杯の笑顔で振り向いた
「か・・・カツオ君・・・」
カツオは何の驚きもしなかった。
片目が無くても、首が横から食いちぎられていても・・・
土と血だらけの顔でも・・・・・
(だって・・・失礼じゃないか・・・ねえマスオ兄さん)
カツオはおどけるようにして、明るく大きな声を出した。
「おかえりっっ!マスオにいさんっっ!!」

285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:08:34.23 ID:goTjjm+k0
マスオ「いヤあ・・・ハハはハハ・・・参っちゃったなもう」
カツオ「・・・大丈夫?」
マスオ「これガ大じょう夫なヨゥに見えるカイ?」
マスオはおかしな抑揚で・・・笑顔を作り答えた。
悲しみと喜び。複雑な感情。カツオの目から枯れた涙がまた溢れた。
マスオ「あンマリ・・上マくシゃベれナイやーー」
カツオ「直そう・・・一緒に直そうよ・・・」
マスオ「手ツダってクぅれるノかい?」
カツオ「勿論だよ・・・そんなの・・・当然だよ・・・
あっそうだコレ・・・やっぱりマスオさんにはこれが無くちゃ」
マスオはカツオから差し出されたその眼鏡を受け取りかけると、
純朴な笑顔を浮かべ、優しく微笑んだ
マスオ「アリガトウ・・・・・・・・・・じゃあ・・・・・」

306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:24:00.14 ID:goTjjm+k0
マスオ「まズは・・・ヲ前のノドを代ワりに寄コせっっ!!」
カツオは喉に食らいついたその手を掴んだ時、悟った。
もう助からない。でも・・・・何だろうか・・・・悲しいけれど・・・
悔しいけれど・・・・少し肩の荷が下りた気がした。
この先、続くであろう悪夢を、もう見ないで済むのだから――

握り潰される頚椎、カリカリと骨と肉が擦れ合う音を出しながら凹む喉仏。
その喉が勝手にカヒュッッと空気を押し出すような音を出した。
次の場面、首と胴体が離れた時の状態をカツオは最期にその目で見た。
マスオの嬌声が遠くなっていき・・・
焼けるような熱はやがて全てを真っ白に吹き飛ばし、
カツオの命は潰えた。


マスオ「ハカモリ・・・ワレはハカモリの血ナリ・・・・」

309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:26:32.17 ID:goTjjm+k0
マスオはくぐもった声でそう呟くと、
右手にカツオの頭を持ち、左脇に胴体を抱えて・・・
また・・・・元居た場所へと帰っていく・・・・・。

315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:30:09.67 ID:goTjjm+k0
深夜三時半、磯野家――。
タラオは布団の奥深くに潜り込み、恐怖でその身を震わせていた。
明日になれば・・・・明日になれば・・・・
朝が来れば・・・・皆元通り・・・・皆笑っているです・・・・
これは夢です・・・・・コレは・・・・
タラオはそう言い聞かせると、興奮冷めやらぬまま、
全身を支配する疲労に急かされるようにして眠りにおちた。

324 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:36:48.52 ID:goTjjm+k0
翌朝、異変にまず気づいたのはフネだった
フネ「あら・・・あの子遅いわね起きてくるの・・・
全くもう・・・」
そう思えば、最近久しくしていなかったが、
寝坊は本来娘サザエの専売特許のようなものだった。
フネ「サザエーーサザエーーーーー」
呼びかけるも返事は無い。フネは我が娘ながら情けなかった。
(仕方ない、起こしに行ってあげようかね)
フネは割烹着に身を包みながら、娘夫婦の寝室へ足を運んだ。
フネ「サザエ、マスオさん入りますよ・・・・あら?」
娘は部屋にも居ない。
そして何故かマスオも部屋に居ない。
子供には少し広いその部屋で、タラオがすやすやと寝息を立てていた。

334 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:46:12.10 ID:goTjjm+k0
「かあさーーーんかあさーーーん」
波平の声がした、フネは声のした方へと向かう。
縁側で波平が首を傾げていた。
波平「ああ、かあさん。これはどういうことだろう」
フネ「あらやだ・・・割れてる・・・」
ガラスの破片が飛び散り、ガラス戸は全開になっていた。
フネはそこでハッと思い出し、
「あなた・・そう言えばサザエとマスオさんが何処か出掛けているみたいなの」
と波平に告げた。
波平「何だって・・・今日は平日だぞ」
フネ「本当どうしたのかしら」
波平「ゴミ捨てにでも行ったのかもしれん」
フネ「今日はゴミ捨ての日じゃあありませんよ」
波平「どういうことだろう・・・」

二人が首を捻っていたその時、玄関のチャイムが鳴った。

343 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:53:19.96 ID:goTjjm+k0
波平「誰だろう、母さん出てくれんか?」
フネ「きっとあの二人ですよまったく」
チャイムは鳴り止まず、ずっと鳴り続けている。
フネ「はいはい」
玄関を開けると、そこにはカツオの顔・・・・。
顔だけのカツオが玄関の前に置かれていた。

354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 17:59:26.85 ID:goTjjm+k0
カツオ「何だよ母さん、そんなに驚くことないじゃあないか」
カツオは笑顔でそう言った。
フネ「か・・・・カツオ・・・・」
首だけの息子を見て、フネは気を失いその場に倒れこんでしまった。
カツオ「ったくだらしないなあ・・・息子が顔だけになっても頑張って
いるっていうのに・・・なあ」
呼びかけた玄関の脇から出て来た胴体が、
倒れこんだフネの首根っこを掴んで持ち上げた。
カツオ「交代だよ母さん・・・次は母さんの番だ・・・
生き埋めなら綺麗なままだから楽で良いよね」

377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 18:09:06.33 ID:goTjjm+k0
フネの悲鳴が聞こえて、波平は玄関へと向かった。
そこで・・・波平はおぞましい光景を目にした。
服を見れば分かる、あれは息子の体。首から上が無い・・・・。
右手にカツオの顔、左手には母さんを抱えている。
波平はその場にへたり込み、声を上げることも出来ずに、
その異形の化け物を見送った。
波平「ど・・・どういうことだ・・・警察・・・・警察だ・・・」
黒電話の受話器を手に取り、ダイヤルを回す。
しかし、気が動転していて上手く回すことが出来ない。
1 1 0 を回すだけ、たったそれだけなのに・・・・
慌てる波平の後頭部をがっしりと掴んだのは・・・・
波平「お前は・・・・」
次の瞬間ヒューズが飛ぶように波平の視界暗くなった。
カツオ「父さん順番は守らなきゃ
邪魔だから一目につかないトコでくたばっていてよ」
顔はペラペラと饒舌に喋った。


387 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 18:17:05.85 ID:goTjjm+k0
ワカメが起きたのは朝九時を回ろうかという頃だった。
ワカメ「あれ?嘘っ嘘でしょーーーー何で起こしてくれないのよーーー」
泣きそうになりながら、大急ぎで着替えを済ますと、
ワカメは居間をちらりと覗いた。
(誰もいない・・・皆酷い・・・今日って・・・平日だよね)
朝食を諦め、ワカメは台所に怒りを込め、声をかけた。
ワカメ「もう、何で起こしてくれないのっっもうっっ」
フネとサザエがいるのだと思った。いなくても、
この家のどこかにいるのだろう・・・・と・・・・
ワカメは行って来ますとは言わなかった。なかなか怒りは収まらなかった。
(お兄ちゃんも酷いよっ一人で行っちゃうなんて・・・)
ワカメはこの時、静まり返る家と、学校の遅刻を秤にかけて
然したる疑問も持たずに学校へと登校していった。

397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 18:32:00.70 ID:goTjjm+k0
カツオ「大きな空を眺めたらーっと」
カツオは胴体に穴を掘らせていた。
カツオ「よしこんぐらいの大きさで良いかな・・・良いよ、放り投げて」
胴体がフネを放り投げて入れた。
裏山のふもとではサイレンが鳴り響いている。
カツオ「クソっ何てこったい・・・誰かに通報されたかな・・・
顔ちゃんとくっつけていったのに・・・」
叩きつけられた衝撃で目を覚ましたフネがカツオの生首と胴体を
交互に見比べていた。
フネ「カツオ・・・あんたカツオなのかい?」
カツオ「そうだよ母さん・・僕だよ」
フネ「あんた・・・あんた・・・何が・・・」
フネはとても状況を理解することは出来なかった。
カツオ「母さん・・・シネバ分かるよ・・・」
胴体は機械的に掘り返した土をフネにかける。
フネ「ぺっぺっ・・・・ちょっと・・・やめて・・・」
胴体は土をフネにかける。
フネ「お願い・・・お願いだから・・・・」
這い出ようとするフネを胴体がスコップで力任せに殴りつけた。
濁った声を発して、フネは鼻と口から鮮やかな血を流した。
フネ「か・・・・・か・・・・つお・・・・」
腰の砕けたその母に、息子の胴体はさらに土をかける。
その目が最期に映したその恨みの篭った目、
その表情は息絶えるその時まで、土の中で・・・

406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 18:42:28.52 ID:goTjjm+k0
?「さて、これでこの魂の役目は終わった」
それはカツオであってカツオの声ではなかった。
老齢を思わせるしゃがれていて、重く耳に引っ掛かるような声。
もう一つ作ってあった穴にカツオは自ら頭を胴体に投げ入れさせた。
胴体はその体を潜り込ませ、自らに土を少しづつ、
少しづつかき入れていく。

「墓はこれで三つ」

410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 18:45:55.44 ID:goTjjm+k0
三郎は三河屋の御用聞きをやって長い、もう何年になるのか
毎日毎日近所のババアのご機嫌を伺い、媚び、へつらう。
慣れたものだが、当然楽しくはなかった。
今日もお得意先の一つをまわりに
ダサいバイクを走らせる。
あの磯野家へ――。

453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:31:07.20 ID:goTjjm+k0
フネ「さあお父さん、逝きましょうね」
家に戻ったフネが肩をかし、書斎でうな垂れた波平を持ち上げた時。
勝手口から声が飛んできた。

「ちわーーーーーーーーーーー」

「おやおや・・・まあ良いでしょう。なら、お父さんはあと回しで・・・」
勝手口へと向かうフネを・・・波平は割れた眼鏡の奥の奥で
じっと見つめていた。

454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:32:03.00 ID:goTjjm+k0
サブ「ちわーーーーー三河屋でーーーーーーーーすっっ」
台所に人は居ない。裏口に一人立つサブ。
サブ(ったく早く出て来いよ・・・この後も何軒か
回んなきゃなんねえんだからよ・・・・)
サブ「ちわーーーーーーーー」
(おかしいな・・・留守か? 買い物にでも出かけたか?)
サブ「すいませ・・・・」
フネ「あらあらどうしたのそんな大声出して」
サブ「えっいや・・・すいません・・・あの・・・大丈夫ですか?」
サブが初めにそう聞いたのも無理は無い。
フネは右手でタオルを顔にあてがっていた。
抑えたところからタオルに赤い血が広がっている。

456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:34:02.33 ID:goTjjm+k0
サブ「いや・・・ちょっとそれ普通じゃないですよ・・・
救急車呼びましょう」
フネ「大丈夫だよ」
サブ「でも一応・・・」
フネ「ダイジョウブだよ」
サブ「なら応急処置でも・・・傷口はどんな感じですか?」

462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:43:07.09 ID:goTjjm+k0
フネ「こんな感じかねえ」
その瞬間、臭気と共に血の塊がボトリと落ち、奇妙な形をした
頭が姿を現した。
髪は振り乱れ、鼻は潰れ、口は無理矢理に曲がっていた。
そしてよくよく思えばフネの顔のパーツは異様に中心に片寄っていた。
「うわ・・・・わ・・・ああ・・・」
フネ「どうしたんだい?」
その柔らかい声で何とか保たれた平静。
何で生きているんだ・・・?そう心の隅でサブが呟いた。
サブ「えっと・・・ハハ。。。やっぱり僕救急車・・」

464 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:50:47.79 ID:goTjjm+k0
フネ「ダイジョウブだって言ってるだろうっっ!!」

ザグ・・・・

右手に握り込んだそのフォークはサブの右目を
視神経ごと引きずり出した
サブ「あ・・・ああああああああああああ」
目を抑えて呻くサブを見てフネは嬉しそうにして、目玉を頬張った。
フネ「次は何にしようかネ」
サブ「ち・・・ちきしょう・・・てめえ・・・
何しやがるババア・・・・クソいてえええええよっクソがああああああ」
フネ「汚い言葉を使うのはおよしヨ」
フネは鼻歌交じりにそう言った。
サブはこの時、現在起こっている出来事の異常性や非現実を
片隅に置いて、自分の命が危険に晒されているということを理解出来た。
サブはその点、磯野家の誰よりも適切に、情に流されることなく
行動できた筈だった。

474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:54:49.97 ID:goTjjm+k0
サブはやろうと思えば勝手口から逃走を図ることも出来た
しかし、それをしなかった。
サブはまだ、目の前にいる老婆が死んでいることや
その圧倒的な怪力の存在も知らなかった。
動いているなら生きている。
そう、頭を打ち付けたかなんかでおかしくなっちまった
サブはそう考えたのである。

サブ「かかって来い、ババア・・・殺してやる・・」

479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 19:57:30.23 ID:goTjjm+k0
自分の右目がババアの口の中でクチュクチュと美味そうな音を立てる度、
頭痛が酷く響いた。
(死ぬのか・・・俺は・・・)
サブは痛いみに顔を歪めた。けれど、左目はしっかりとフネを捉えて離さない。
フネ「あら・・・大丈夫かい・・・・?」

483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 20:01:49.06 ID:goTjjm+k0
サブ「だ・・・・大丈夫な訳ねーーだろうがババアッッ」
サブの渾身の力を込めた一撃はフネの右頬にねじ込むようにして
入った。
硬い。。。サンドバッグを殴っているような。。。砂を殴るような。。。
サブは笑った。放出されたアドレナリンが右目の痛みと頭痛を
忘れさせてくれる。
(・・・ざまあみやがれ・・・・殺っちまったよ)
フネの顔は吹き飛び、顔が逆方向に曲がっていた。

488 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 20:05:32.47 ID:goTjjm+k0
フネ「大丈夫みたいだねえ・・・」
フネは顔の位置を元に戻すと、優しくサブの顔を掴んだ。
サブは震えていた。
「や・・・やめてくれ・・・頼む・・・頼むから」

499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 20:17:23.32 ID:goTjjm+k0
サザエ「起きなさい、朝よタラちゃん」
タラオ「ふわぁああ・・・マ・・・ママ・・・?」
サザエ「どうしたのそんな顔して・・・?」
タラオ「うわあああーーーん」
サザエ「どうしたの急に泣き出したりなんかして・・・」
タラオ「怖い・・・とても怖い夢を見たんです」
サザエはタラオを優しく抱いて囁いた。
サザエ「そう、でももう大丈夫よ・・・ほら泣かないで・・・」
タラオ「はいです・・・あっそうだ・・・カツオにいちゃーーん」
タラオは寝ているカツオを起こしに行った。
カツオ「うううん・・・おはようタラちゃん」
カツオは眠そうに瞼を擦り、タラオに話しかけた
タラオ「おはようです・・・エヘへ・・・」
サザエ「朝食出来てるわよー早く来なさーい」
ワカメ「はーーーい」
タラオの隣をワカメが通り過ぎていった。
タラオはその後につづいて居間へと向かった。
タラオ「パパ・・・パパーーー」
マスオ「タラちゃんおはよーーー」
タラオはマスオの胸に飛び込んだ
マスオ「どうしたんだい?タラちゃん?」
サザエ「何か怖い夢を見たんですって」
波平「それは大変だったねタラちゃん」
フネ「まだパパとママに甘えたいんだねえ」

一同「ハッハッハ・・・」

519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 20:25:55.61 ID:goTjjm+k0
タラオ「あれ?朝からオムライスですかーー」
サザエ「ええ、大好物だったでしょタラちゃん・・・」
タラオ「うん大好きですーーー」
トロトロの卵に閉じられたチキンライスを掻き出そうと
タラオは一生懸命にフォークで卵を咲き、突き、切り裂く。
しかし、いつまで経ってもチキンライスは出て来ない。
ずっとドロドロとした黄色い卵・・・卵黄が・・・・
段々と血の気を帯び・・・・脳漿へと変わりゆく
タラオ「ま・・・まま・・・ママーーーーーーーーーッッッ」
タラオの絶叫を聞き、朝食を囲んだ一堂は一斉に笑い出した。
サザエ「駄目よ残しちゃ」
カツオ「自分で始末しなきゃタラちゃん」
フネ「タマも可哀想にねえ」
ワカメ「美味しそう・・・良いなあタラちゃんだけ」
波平「栄養あるぞ」
マスオ「僕の肉も食うかい?」
タラオがタマのオムライスから顔を上げると、そこには
首の抉れたマスオが笑顔で座っていた。

タラオ「ああ・・・ああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ」

526 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 20:27:48.41 ID:goTjjm+k0
タラオは自分の叫び声で目を覚ました。
酷く疲れている・・・体がだるかった。
タラオ「夢じゃ・・・・ないです・・・」

606 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 21:26:08.87 ID:goTjjm+k0
タラオは今が何時か分からなかった。
随分寝ていた気がする
そっと襖を開ける
何の音もしない・・・誰の気配もない家・・・
タラオ「み・・みんなーーーー・・・みんな何処ですかーーー」
呼びかけてみたが返事は無い。
タラオ「みんなーーーー何処ですかーーーーー」
台所、寝室、居間、誰も居ない。
縁側の外にも居ない・・・・・。
(皆は・・・皆はどうしたんですか・・・・・?)

613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 21:29:44.00 ID:goTjjm+k0
ゴトリ・・・という何か重たいものが倒れたような音が耳に入った。
その音は庭の物置から聞こえてきたようだった。
タラオ「だ・・・誰か居るデスカ?」
タラオはそっと物置のドアを開いた。

625 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 21:35:09.96 ID:goTjjm+k0
それは頭から血を流した波平だった。
タラオ「お、おじいちゃん・・・大丈夫ですかーーー」
波平「た・・・たらちゃんか・・・・たらちゃんは・・・・
本当にたらちゃんなのかい・・・・?」
タラオ「僕は僕ですーーー」
波平「今まで何処に・・・」
タラオ「寝てたですーーー」
波平「な・・・奇跡か・・・それとも・・・
一人づつじゃなければいけない理由でも・・・・
しかしワシは・・・」
タラオ「お・・・おじいちゃん」
波平はタラオの頭をゆっくりと撫でて言った。
波平「いいかいタラちゃん・・・今な・・・
お家が大変なことになっている・・・分かるかな」
タラオはその大変なことがどういう類のものかを既に知っていた。
そうして二回・・・確かめるように強く頷いた。

633 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 21:43:15.26 ID:goTjjm+k0
波平「いいかい・・・おばあちゃんな・・・
少し疲れたのかもしれない・・・
思えば結婚してから今まで苦労のかけどおしだった
憎まれても仕方ない、嫌われても・・・」
波平は言葉に詰まり、頭を押さえた。
タラオ「おじいちゃん・・・・」
(血が・・・血が出ている・・・また・・・
血が出ている・・・・・)
タラオはその流れる血を止めようと着ている服を破り、
その布を波平の頭にあてた。
それが単なる気休めであることはタラオにも分かっていた。
波平「でもな・・・おじいちゃんは信じない。
あんな母さんは信じない・・だからね・・・
きっと何か悪い誰かが・・・きっと姿を借りて悪さをしているんだ・・・」
タラオ「そうです・・・きっとそうです」
波平「それでな・・・どうやら・・・おかしくなると・・・
一人づつ・・・やってくるみたいなんだよ・・・このお家に・・・
だからね、タラちゃんは追い払わなきゃならないその悪い奴を・・・」
タラオ「僕が・・・ですか・・・」
波平「そうとも・・・・」

647 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 21:56:02.36 ID:goTjjm+k0
波平は時々辛そうに咳き込みながらも優しい微笑を浮かべて
話を続けた。
まだ幼い孫に対してのせめてもの配慮だった。
波平「書斎の掛け軸の裏に・・・鍵がはりつけてある・・・
それでおじいちゃんの寝室の引き出しの一番下の中の奥・・・
そこを開けてごらん・・・銃がしまってある」
タラオ「銃ですか?」
波平「そう・・・ワシぐらいの年のもんは有事の際の護身用として
昔から受け継がれていたりするものなんだ・・それをタラちゃんに託す
でも決して撃ってはいけないよ・・・タラちゃんは人殺しになっちゃいけない
人を殺すということは人生が・・・つまり自分が死ぬということと同じだ
相手を威嚇して・・・逃げるんだ・・・
まだそこら辺に潜んでいるかもしれない」
タラオ「大丈夫です・・・さっき誰もいませんでした・・・」
波平「なら・・警察に連絡を・・・・すぐに行きなさい
誰か戻ってくるかもしれない」
タラオ「分かったです・・・さっおじいちゃんも行くです・・・」
波平「駄目だおじいちゃんはもう動けない・・・・」

タラオ「嫌です・・・嫌ですーーーー」


波平「馬鹿モン・・・泣く奴があるか・・・
タラオ・・・こういう時・・・漢は・・・漢なら・・・
ただ黙って・・・言うんだ・・はい・・・と・・・」

タラオ「・・・・・はい」

661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:01:22.29 ID:goTjjm+k0
タラオは眠りについた波平を振り返らなかった。

涙を腕で拭い、書斎へと走り向かった。

遠くからバイクの音が近付いていた・・・・。

675 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:12:31.09 ID:goTjjm+k0
波平の瞼がゆっくりと開いた。
波平「ハハハ・・・嫌な予感が止まらん
・・・孫をほっぽりだして・・・眠りこけようとした矢先に・・・
この老体にもまだやることがあるみたいだな・・・・」

サブ「ちわっすーーー三河屋っすーーー誰か生きている人ーー
手挙げてーーー注文聞きますよーーー」
波平「ここに・・・ここにおるぞーーーーーーーーーっっ」
波平は腹の底から声を張り上げた。聞きつけたサブが庭に回る。
サブ「あれー今声したような気がしたんですけど・・・」
波平「ここだ・・・」
波平は体を捻るようにして物置から転がり出・・・
よろよろと立ち上がった。
サブ「あれえ?かくれんぼですか?良い歳した大人が」
サブは青白い顔で腸の飛び出た腹を抱えて笑った。
波平「お前も良い年して・・・出とるぞ・・・ハシタナイ・・・」
サブ「しかも、何か勝手に致命傷なんですけど・・・ハハはハハはハハは
こいつはおもしれえーーー」
狂ったように笑うサブに波平は苦笑いをした。
(タラちゃん・・・・これ相手に逃げるのは
叶わんかもしれん・・・これは・・・化け物じゃ・・・
わしが時間を稼いでいる間に警察を・・・)

695 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:24:26.52 ID:goTjjm+k0
タラオの手は震えていた。
電話のコードの先が鋭利な刃物によって切られている。
タラオの手に力が篭る。
その手には波平のニューナンブが握られていた。

703 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:32:00.24 ID:goTjjm+k0
サブ「脆い・・・・脆いよ・・・こいつ・・・」
波平「あ・・あああ・・・ガアアアアアッ」
サブは右の足の親指から順に波平の骨を折って遊んでいた。
一本折る度に、波平の体が激しく弾んだ。
サブ「人間の骨っていくつあんだろうなあ・・・
習った気するけど忘れちゃったから・・・・
ちょっと体で教えてくれよ・・・な・・・」

709 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:35:35.68 ID:goTjjm+k0
サブ「よぉーーし・・これで・・・ええと何本だっけ・・・」
波平「く・・・か・・・」
サブ「両足指と両手指で二十本だろお?あとは肋骨と・・・
めんどくせえな・・次は太いのいってみよう・・な・・・
太腿いこう・・・〆は頭だから・・・な・・・頑張ろうぜ」
ニヤニヤとサブは笑って聞くが、
波平はもう正常な思考を保つことすら難しかった。

712 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:40:25.15 ID:goTjjm+k0
その波平の姿を震える体で・・・
歯をガチガチと鳴らして・・・タラオはただ柱の影から見ていた。

何も出来ない

殺されるに決まっている

無駄なことはやめた方が良い

おじいちゃんは僕に生き延びて欲しいと願っている

タラオの脳内に泡のように思考が湧き起こり、すぐに消え、
残るのは絶対的な恐怖だった。

731 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 22:51:57.61 ID:goTjjm+k0
サブ「ねえったら・・・いくよ・・・折るよ・・
中々難しそうだけど」
波平は強く歯を噛み締めた。
その様子を見たサブは物置から持ち出してきた工具用のハンマーを下ろすと
溜め息をついた
サブ「なあ・・つまんないんだけど・・・もっと叫べよ」
波平「ば・・・っかもん・・・どうせ死ぬんじゃ・・・一緒・・・」
サブ「あっそう、さっきから誰に気を使ってんのか知んないけど
皆殺すから・・・今のトコ墓に埋めてねえのはサザエとワカメと・・・
タラちゃんか・・・何処行っても殺すから・・・警察だとか
民家に逃げ込むだとか関係ないんだよね」
波平「何で・・・何でなんだ・・・?わしら一家がいったい
何をしたっていうんじゃ」
サブ「単なる生贄さ・・・基本的にペットセメタリーに関わった者は
全て死ななきゃならない」
波平「ペット・・・なんじゃそれは・・・」
サブ「知らないの? ハハハハハご愁傷様
自分がどうして死ぬのかも分からないままサヨナラだ」
サブのハンマーが波平の頭目掛けて振り下ろされようとした時
「や・・・やめろーーーーーーーーーっっ」
それは声を振り絞ったタラオの叫びだった。

753 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:04:19.72 ID:goTjjm+k0
タラオ「や・・・やめろ・・・・おじいちゃんに
それ以上何かしてみろ・・・殺す・・・殺してやるです・・」
サブ「おいおいガキがおもちゃ持って粋がっても
全く怖くないぞ」
タラオ「これは・・・これはおもちゃじゃないです・・・」
タラオは引き金をひいた。
波平「な・・何をしとるんじゃ・・タラちゃん逃げろ・・・」
タラオ「嫌です・・・・」
波平「何を言っておる・・・タラ・・」
タラオ「嫌ですーーーーっっ」
タラオは顔を振り、激しく泣き叫んだ。
サブ「へっおもしれえ・・ジジイはほっといても死ぬんだ
行くぞガキ・・・・」

780 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:16:10.49 ID:goTjjm+k0
引き金はずっしりと重かった。
手の甲で押し込んでどうにか下りたその拳銃を
初めから上手く使いこなせる訳が無い。
化け物にヒトの造った武器は効かん・・・
波平「タラちゃん・・タラちゃん・・・」
波平はタラオに希望を持たせてしまったことを後悔していた。
一般人なら怖がることもあったかもしれない
しかし、相手は化け物だったのだ。
そして当たらない・・・
弾が一つしか入っていないあの銃じゃあ・・・どうやっても・・・
波平の後悔は深く、黒い波に飲まれた。

787 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:21:04.05 ID:goTjjm+k0
サブ「さあ撃てよ・・・なあ殺したいんだろ・・・」
タラオ(弾は一発しか入ってないです・・・もし外したら・・・・)
サブ「ほら、撃てよ近いぞ」
タラオ「う・・・う・・・」
タラオは一歩、二歩と後ずさり、背中を向けて逃げ出した。
サブ「おおい何処行くんだよかくれんぼの次はオニごっこか?
おじいちゃんどうすんだーー?ハハハ・・・別に構わないけどな
付き合ってやるよ・・・」

794 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 23:26:11.07 ID:goTjjm+k0
タラオは後ろを振り返りながら必死に頭を回転させていた。
どうすれば良いのか。どうすれば倒せるのか。
サブはワカメとサザエは無事だというようなことを言っていた。
サザエは外に出て行ったまま行方が知れない
・・ワカメは学校の帰りに友達と寄る所があると昨晩言っていた。
二人はまだ帰っては来ない筈・・・・
タラオは身を潜め、息を整えた。

タラオ「おじいちゃんから譲り受けたこの銃で
この悪夢を・・・・終わらせるです」
サブ「あれえーおっかしいなあ・・・
たらちゃーん・・・何処にいるのかなぁ・・・参っちゃうなあもう・・・

出て来いよっっっこのクソガキッッ!!」




タラちゃん「銃弾は残り一発です」後編



 

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