転載元:俺を拾った女の話を書く

 
8:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:24:27.65 ID:AvmYbN9t.net

文字通り、俺はある女に「拾われた」





   

 


【画像】東京グール、セッ●スシーンをがっつり描写してしまうwwww
【画像あり】今年の新人No.1候補!桁違いに可愛いチアリーダーがS1からAVデビュー!
関東近郊のNo.1キャバ嬢が酔った勢いでAVデビュー
【動画】最近のアイドル、ガチで女性器を見せてしまう・・・
【衝撃画像】 ロシアのバレリーナ(16)の素足が狂気染みてる・・・ うっ・・・
【画像】 エoチな戦隊ピンクすこすこ祭りwwwぐうシコwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
【流出画像】中澤裕子、入浴フルヌード流出事故…再燃したお宝最大の盗撮全裸晒しモノ事件…
【画像】彡(゜)(゜)「奴隷買うたで!…せや!」
女「私の彼なんてハッキリいってATMだしぃ〜」 女友「ひっどーい!」
日本人「コーラ!!ポテチ!!あとアイス」日本人の内臓「オヨヨヨやめてぇ死ぬぅ」
女「キャーッ、痴漢!」 男「線路に逃げなきゃ!」 女「逃がすかぁっ!」 運転士「神聖なる線路内に立ち入るとは……許せん!」
【GIFあり】童貞殺しの腰使いがコチラwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww...
【※GIF】い き な り 精 液 ぶ っ か け ら れ た 小 ● 生 の 反 応 ク ッ ソ ワ ロ タwwwwwwww...
【エ□GIF】現役CAのフ●ラ抜きを盗撮した映像 これは抜けるwww
【※GIFあり】最近テレビでよく見かける天木じゅん(Iカップ)の爆乳お●ぱい、こうしてGIFで見るとちょっ...



 
9:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:25:08.86 ID:AvmYbN9t.net

当時、ロックバンドをしていた俺は、ライブの打ち上げの途中、メンバーと別れてひとり酒を飲んでいた。

「ある悩み」を抱えてた俺は打ち上げ特有の馬鹿騒ぎに付き合う気になれず、ひとりで静かに悩み事の整理をしたかった。





   
 
11:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:25:59.58 ID:AvmYbN9t.net

打ち上げにはライブスタッフやメンバーの関係者、ライブには必ず足を運んでくれる固定ファンなど、売れてないバンドにもかかわらず結構な数の「知らないひと」がいて、その知らないひとと話をするのが少し苦痛だった。





   
 
13:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:26:39.72 ID:AvmYbN9t.net

脱退したメンバーの後釜という俺の立場では、内輪トークの盛り上がりはただの疎外感しか生まなかった。

打ち上げを早々に切り上げて、俺は馴染みのバーで悩み事を肴に、酒のペースを忘れて飲み続けていた。記憶に残っている最後の映像は、カウンターに置かれたスコッチの琥珀色だった。





   
 
14:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:27:15.55 ID:AvmYbN9t.net

目を覚ますと、あっ生きてた、という女の声がした。

「歩道でね、いまどき見ないくらいの見事な行き倒れっぷりだったよ」

女は笑いながら言った。





   
 
15:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:28:06.79 ID:AvmYbN9t.net

「あなたを中心に人だかりが出来ててさ、誰かが警察呼んで、とか言ってたから、友達と一緒にあなたを拾ってきちゃったの」


「あっ、でも大丈夫、エッチな事はしてないからね。」





   
 
16:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:28:49.51 ID:AvmYbN9t.net

女は一方的に話した。

何か飲むかと尋ねられ、水が欲しいと頼むと代わりに黒い液体を差し出された。





   
 
17:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:29:23.78 ID:AvmYbN9t.net




「特製黒酢蜂蜜ジュースだよ」

女は得意気に言った。





   
 
18:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:29:59.61 ID:AvmYbN9t.net

歳は同じか少し上か、という感じだった。長い髪は多少ウェーブがかっていて、小綺麗にまとめあげられていた。慌ただしく部屋を片付けたり俺の世話をやくその容姿は、細身で背丈も幾分あった。

「じゃあ、もう仕事にいくから。鍵、置いておくからお店まで返しに来てね。」





   
 
20:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:30:32.78 ID:AvmYbN9t.net



「あと、黒酢蜂蜜ジュース好きに飲んでいいからね。部屋は勝手に触らないように。じゃ、行ってきます」

そう残すと女は足速に部屋を後にした。「お店」の場所も名前も告げずに。





   
 
21:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:31:25.60 ID:AvmYbN9t.net

ひとり部屋に残された俺は、今自分が置かれてる現実を順を追って整理してみた。

ライブの打ち上げがあった。途中で抜けてバーに行った。女の部屋にいる。スジが通らない。





   
 
22:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:32:01.46 ID:AvmYbN9t.net

飲み過ぎて記憶がなくなることは、初めてではない。道に倒れていたというのは流石に初めてだが、起こり得ない事ではない。

しかし、見ず知らずの人間に介抱され、更には泊めてもらったというのは、有難いを通り越し少々不気味さを感じた。こんな事が起こり得るのだろうか。





   
 
24:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:33:09.10 ID:AvmYbN9t.net

自分に置き換えて考えてみても、それは起こり得ない事だった。見ず知らずの女が道で倒れている。介抱くらいはするかもしれない。けれども最終的にはは警察に任せるであろう。素性の知れない人間に関われば親切が仇となり返ってくることはままある。異性であれば当然、性的な問題もあるだろう。俺が変質者だったら彼女はレイプされていたかも知れない。





   
 
25:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:33:43.79 ID:AvmYbN9t.net

あるいは、美人局の様な事がこれから起こるのだろうか。ヤクザがこの部屋に乗り込んで来て、ひとの女に手を出しやがって、と金を脅し取られるのだろうか。しかし、彼女は「エッチはしていない」と言った。それはつまりセックスをしていないという事だろう。よく分からなかった。





   
 
26:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:34:29.58 ID:AvmYbN9t.net

とりあえず場所の把握をする必要がある。ここの住所まで分からないにしろ、だいたいの位置が分かれば昨日の足取りが掴めるかもしれない。借りた鍵で部屋の施錠をして、外に出て見る事にした。

足取りはすぐに掴めた。打ち上げ会場、バー、女の部屋、それから駅。多少ジグザグはするがほぼ直線で結ぶことができる位置関係だ。おそらくバーから駅に向かう途中で倒れていたのだろう。そばには誰かが吐いた吐しゃつ物が片付けられないで残っている。





   
 
27:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:35:07.69 ID:AvmYbN9t.net

おそらくは俺のものであろう。

俺は一度女の部屋に戻ることにした。





   
 
28:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:35:57.58 ID:AvmYbN9t.net

居場所が分かり帰る方法も掴めたけれど、問題は「鍵」をどうするか、という事だった。

女は鍵を返せと言った。だが、肝心の女の居どころが分からない。開け放しで帰る訳にもいかない。かと言って持ち帰る訳にもいかない。鍵を掛け、新聞受けに放って置いたとして、鍵がスペアキーでなければ、困るのは女の方だ。何よりも、女にもう一度会って礼を言いたかった。





   
 
29:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:39:08.65 ID:AvmYbN9t.net

俺は女が帰ってくるまで待つことにした。





   
 
30:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:39:57.15 ID:AvmYbN9t.net

女の部屋は小綺麗に片付けられていた。百円均一の廉価店で買った様なものを上手に工夫して収納を確保していた。

大量のCD。音楽が好きなのであろうか。

それから、これもまた、大量の女性ファッション誌。





   
 
31:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:40:36.91 ID:AvmYbN9t.net

そして、十数冊の文庫本。小説だろうか。シェイクスピア、トルストイ、カフカ、スタインベック、カミュ・・・全て、聞いた事はあるが読んだ事はないものだった。そして全てが教科書に出てきそうな海外の作家のものだった。





   
 
32:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:41:21.78 ID:AvmYbN9t.net

退屈凌ぎに、一番薄いという理由でカミュの「シーシュポスの神話」という本を手にとってみた。





   
 
33:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:42:09.11 ID:AvmYbN9t.net



「神を欺いたことで、シーシュポスは神々の怒りを買ってしまい、大きな岩を山頂に押して運ぶという罰を受けた。彼は神々の言い付け通りに岩を運ぶのだが、その岩には細工がしてあって、山頂に運び終えたその瞬間に岩は転がり落ちてしまうのだ・・・」





   
 
34:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:43:04.28 ID:AvmYbN9t.net

読んでいる途中、携帯電話が鳴った。バンドメンバーのDからだ。昨日、打ち上げを途中で抜けてきた事が少し後ろめたかったが出ない訳にはいかない。

「もしもし、たかお君?昨日はどうしちゃたの?」

Dは軽く責めるような口調で言った。





   
 
35:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:45:16.87 ID:AvmYbN9t.net

「ごめん。ちょっと調子悪くなって、先に帰っちゃって。昨日は集計どうだった?CDは売れた?」

「客入りは悪くないし、CDも結構売れた。機材、預かってるから、また取りに来てよ。」

じゃあ、またスタジオで、と要件だけ告げるとDは電話を切った。





   
 
36:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:46:20.30 ID:AvmYbN9t.net

Dはこのバンドでギターを担当していた。曲を作り、アレンジをして、バンドの方向性を決めるいわゆる「バンドマスター」としての役割りも担っていた。俺は抜けたドラムスの代わりとして入ったばかりで、お互いまだ多少の距離を感じていた。今回のライブは自主制作CDの発売ライブという位置づけで、打ち上げを途中で抜けるというのはメンバーとして、やはりまずかったのかもしれない。





   
 
37:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:46:59.91 ID:AvmYbN9t.net

軽い動揺から本を諦めた俺は、いつ帰るかも分からない女を待つうちに、再び暴力的な睡魔に意識を奪いとられていた。





   
 
38:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:47:32.17 ID:AvmYbN9t.net

そしていつも見る夢に、また捕まっていた。





   
 
40:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:50:18.74 ID:AvmYbN9t.net

携帯電話が鳴る。電話に出る。相手がものすごい勢いで怒っている。女の声だ。内容は分からない。ただ、その怒気だけは伝わってくる。俺にも言い分がある。伝えなければと口を挟もうとする。けれども何故かこちらの言い分は全く声にならない。そうしているうちに、一方的に電話を切られ俺は呼吸が出来なくなっている。





   
 
42:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:51:49.01 ID:AvmYbN9t.net

声を出さないと不味い事になる、と懸命に声を出そうとする。けれどもやはり声が出ない。何故だか後悔の念が湧いてくる。そうこうしているうちに目が覚めるのだ・・・。





   
 
44:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:53:16.17 ID:AvmYbN9t.net

「ねえ、ちょっと大丈夫?」

目を覚ますと女の声がした。

汗でシャツも髪の毛も濡れていた。不意に悪寒が襲った。朦朧とする意識の回復を待って伝えなければならない言葉を探した。





   
 
46:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:58:55.85 ID:AvmYbN9t.net

「ごめん、鍵を返そうと思ったんだけれど場所が分からなくて・・・」

「ごめんね、店の場所教えてなかったから。それより、うなされてたよ。本当に大丈夫?」





   
 
47:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:00:29.98 ID:AvmYbN9t.net

大丈夫、よくある事だ、といい、俺は昨日助けてもらった礼を言った。そして長居を悪く思って帰ろうとしたが、お腹が空いたなぁ、と女が言うので
昨日のお礼に食事に誘った。女は近くにある居酒屋に行きたいというので、2人で行く事にした。





   
 
48:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:01:15.67 ID:AvmYbN9t.net

生ビールとつまみを数種頼み、運ばれたビールで軽く乾杯をしたあと、お互い自己紹介をした。





   
 
49:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:01:51.58 ID:AvmYbN9t.net

女の名前は「みどり」と言った。歳は俺より二つ上で三十路に足を踏み入れるところだと言った。家から地下鉄でふた駅行ったところのデパートに入っている服屋で雇われ店長をしているとのことだ。知人に路上で酔い潰れて亡くなったひとがあるしく、放って置けなくて俺を拾ったらしい。






   
 
50:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:02:39.44 ID:AvmYbN9t.net

「まあ、悪いひとには見えなかったっていうのもあるけどね。」

少なくとも美人局でないことに、俺は安堵した。





   
 
52:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:03:27.27 ID:AvmYbN9t.net

それから、俺も少しずつ自分の話をした。人付きあいが下手で今も勉強中である事。仕事が特殊でひと月に4日しかない事もあれば、数ヶ月休みが取れない事があること。音楽を聴くのが苦手なのに、バンドマンである矛盾を抱えている事。





   
 
53:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:04:32.66 ID:AvmYbN9t.net

「えっ?じゃあ何でバンドなんかやってるの?」

みどりは笑いながら聞いた。

「要求が明確だから。」

俺は、答えた。人付きあいに於いての要求は俺には難解であった。俺は過去に2人の女の子と交際した事があった。2人とも、性格も容姿も物の好みも全く違っていた。けれども別れ際に言われた言葉だけは全く同じだった。





   
 
54:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:05:20.29 ID:AvmYbN9t.net

「たかお君が何を考えているのか全然分からない。」

それが辛い、と。





   
 
55:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:06:06.65 ID:AvmYbN9t.net

ひとに求められる事が俺にとって、一番大切な事だった。求められることが存在理由を確認できる唯一だった。求められれば出来る限りのことで返した。相手が逢いたくなったならそれが夜中でも必ず逢いに行ったし、話したいときには話すがままに、話をじっと聞いた。欲しいものがあればお金が許す限り要求されたものを渡したし、相手が望む理想の人間になれるようひたすら努力した。





   
 
56:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:07:13.23 ID:AvmYbN9t.net

ただひとつ、致命的に出来なかったこと、それは自分から、他人に何かを要求する事だった。





   
 
57:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:07:45.52 ID:AvmYbN9t.net

けれども、音楽は違った。バンドのメンバーとして、自分のパートを確実にこなせば必要とされるし、間違っていれば努力の目標をくれた。それに応える事ができる限り、俺は他人から必要とされる。それが嬉しかった。





   
 
58:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:08:44.96 ID:AvmYbN9t.net

「ふーん、バンドマンねえ。売れてんの?」

みどりは酒が回ってきたのか、少しぞんざいな言い方だった。

「だいたい、30歳過ぎてバンドやってるんだったら、もうある程度の結果が出てないとおかしいだろって話」

みどりは吐き捨てる様に言ってすぐに謝った。





   
 
59:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:09:32.28 ID:AvmYbN9t.net

「ごめん、たかお君のことじゃないから、ごめんね」

「いや、別に構わないよ。俺もそう思うし。彼氏がバンドマンなの?」





   
 
60:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:10:13.52 ID:AvmYbN9t.net

元彼氏、だけどね。みどりは言った。もともと浮気の多い男だったが、今回は本気らしく、突然の別れを告げられたそうだ。バンドは集客も上がってきていたらしい。





   
 
61:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:11:24.17 ID:AvmYbN9t.net

「7年だよ、7年!売れないバンドマンを支えた時間が、7年!たかお、分かるか?」

大分酔いが回っているようだった。口調が少し絡むような感じに変わってきた。そろそろお開きに、とみどりを促し会計を済ませ部屋まで送っていった。





   
 
62:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:12:14.13 ID:AvmYbN9t.net

部屋に入るとみどりは吐いた。やはり飲み過ぎだったのだ。みどりの吐しゃ物の始末をしていると、みどりは泊まってゆけ、といった。そして介抱しろと。

「それでこそ、五分と五分だ。」

といった。その男らしい言葉遣いに少し笑ってしまった。





   
 
63:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:12:59.28 ID:AvmYbN9t.net

俺は近くのコンビニで歯ブラシと替えのパンツ、そしてTシャツを買って部屋に戻るとみどりはローテーブルに突っ伏し眠っていた。みどりをベッドに移しシャワーを借りて着替えを済ませた。半日眠っていたせいか少しも眠くならなかった。

みどりは自棄になっているのだろう。
俺はみどりと元彼のことを考えた。
売れないバンドマンか、とひとりごちた。元彼と俺は歳が違うだけで「売れないバンドマン」であることは同じだった。彼女は淋しさを埋める必要があるのだろう。もし彼女が俺で淋しさを埋められるのであれば、必要なだけ側にいよう。





   
 
64:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:13:33.48 ID:AvmYbN9t.net

よく眠っているみどりの顔を眺めながら、そう考えていた。





   
 
65:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:14:07.64 ID:AvmYbN9t.net

俺は眠れない時間を埋めるべく、今朝諦めた本を手にとってみどりが起きるまで読みふけっていた。





   
 
66:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:14:53.09 ID:AvmYbN9t.net

「あ、生きてた」

みどりが目を覚ますと、俺は笑いながら言った。

「特製黒酢ジュース飲む?二日酔いには最適だよ。」

俺は得意げに言った。





   
 
67:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:15:33.50 ID:AvmYbN9t.net

ありがとう、そう言う代わりにみどりは俺を抱きしめた。みどりは俺に口づけをし、彼女の求るがままに俺たちはひとつになった。俺たちの交際はこうして始まった。





   
 
68:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:16:20.70 ID:AvmYbN9t.net

それから、俺とみどりは同棲生活を送った。俺は仕事の少ない時期にかかっていたので退屈な時間を彼女の部屋で過ごした。必要なものを購入して、食事の準備をしてみどりの帰りを待った。初めて居酒屋に行った時にみどりが注文していた料理から好みを推測し、そこから味を組み立てていった。

時には朝に食べたいものをリクエストしてもらい、少しずつみどりの好きなものの傾向を学んでいった。





   
 
69:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:16:52.41 ID:AvmYbN9t.net

彼女はいつも喜んでくれた。調味料が少しずつ増えていった。増えていく調味料を眺めるのが何故だか誇らしく思えた。食材にかかった費用は頑なに断わった。俺は彼女に必要とされている事を感じたし、それに応えられる自分が嬉しかった。





   
 
70:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:17:56.58 ID:AvmYbN9t.net

食事が終わるといつも2人で借りてきた映画を見た。映画はみどりが選んだ。彼女が選ぶ映画はどれも面白かった。普段映画など見ない俺には全て新鮮に映ったし、そんな映画を知っているみどりを凄いとも思っていた。2人で映画の感想を話したり、たまには酒も飲みにいった。





   
 
71:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:19:07.50 ID:AvmYbN9t.net

楽しかった。





   
 
72:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:20:10.38 ID:AvmYbN9t.net

こんな生活がずっと続けばいいと、心の底から思った。彼女の淋しさを埋められたら、何て思っていた自分が恥ずかしく思えた。必要とされているのかどうかなど、もう、どうでも良かった。彼女との時間は失う訳にはいかない、大切なものに変わって行った。俺が彼女を必要としていたのだ。けれども物事はそういつも上手く運ぶわけではなかった。





   
 
73:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:21:24.26 ID:AvmYbN9t.net

その日は何の不穏の予感もない、いつもと変わらない普通の日だった。
みどりを仕事に送り、掃除をすませ、買い出しに出かけてひと息ついた時のこと。

Dから電話がかかってきた。恐らく練習の打ち合わせだろう。電話に出ると相変わらず要件を伝えるだけの簡素な内容だった。

今度の音合わせに新曲を持ってくるから、〇〇というバンドの〇〇というアルバムの何曲目を聴いておけ、とのことだった。俺たちの音楽の意思疎通はいつもこんな感じだった。Dがリズムのイメージを既存の曲で指示をする。
俺はそのイメージにアレンジを加えたものを複数用意してくる。あとは、Dが勝手に気に入ったものを選択して曲に組み込む。音合わせをして思い描いたものと違えば、また別の曲を聴けと指示をする。





   
 
74:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:22:15.12 ID:AvmYbN9t.net

俺は経験からドラマーは主張しない方がバンドはうまく行くことを知っていた。バンド内の力関係はだいたい曲を作る奴が握っている。そしてドラマーがアートを主張し始めるとだいたいギターと衝突する。慢性的な人手不足のドラムというポジションで、ドラマーがバンドを辞めさせられると言うことは、下手くそか、主張が強いかのどちらかだ。





   
 
75:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:22:54.49 ID:AvmYbN9t.net

俺はDから指定されたアルバムを借りにレンタルショップに行ってみようかと考えたが、みどりの部屋のCDもなかなかの品揃えだ。もしかしたらあるかも知れない、と普段見向きもしない棚に同じタイトルを探した。





   
 
77:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:25:11.77 ID:AvmYbN9t.net

そこで、ふと違和感を感じるCDがあった。綺麗に揃えてあるCDの中に、タイトルが見えないように逆さにしまってある一枚があった。しまい間違えたのかな、と表に直すために手にとったCDのタイトルを見て俺は驚愕した。





   
 
80:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:28:25.36 ID:AvmYbN9t.net

俺たちのバンドのアルバムだった。

何故こんなものがここにあるのだろう。





   
 
81:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:29:17.91 ID:AvmYbN9t.net

このCDは先日のライブ会場で販売されたものだった。レコード屋に置いてあるものではない。そもそも、俺はみどりに自分のバンド名を明かしていなかった。元彼がバンドマンということでバンドの話は極力しないように努めていたし、聞かれもしなかった。

友達からもらったものなのかも知れない、そう考えてもみた。けれども、それでは何故この一枚だけ隠すように裏側にしまってあったのかと考えると明らかに不自然だった。このCDはあの日、つまりみどりと出会った日のライブに来ていなければてに入らないものだった。様々な憶測と逡巡の末に辿り着いた結論。





   
 
82:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:29:55.90 ID:AvmYbN9t.net

それは、みどりは俺のことを知っていた、ということだった。





   
 
83:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:30:45.65 ID:AvmYbN9t.net

けれども何故それを隠しているのだろう。それが分からなかった。隠すからには隠すだけの理由があるのだろう。その理由は自分の知ってる情報だけでは推測すら出来なかった。しかし、一点、みどりと付き合うに至ったきっかけ、見ず知らずの男を部屋に泊めたこと、この部分は少なくとも見ず知らずではなかったということだ。合点がいった。やはりそんなことなどあり得ないのだ。





   
 
84:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:31:28.37 ID:AvmYbN9t.net

正直に言えば、気にはなった。気にはなったが隠していることを問い詰めても、それで分かった事実が真実とは限らない。話すべき時が来たら話すだろうし、話さないならそれは大した話ではないのだろう。取り出したCDを裏向きにしたまま元の位置に戻した。





   
 
85:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:32:39.41 ID:AvmYbN9t.net

そして自分はどうだと考えた。特に何かを隠しているつもりはない。ただ敢えて言わないでいることはある。正直、その話は聴かされて楽しい話ではないし、みどりの興味がある話でもないと考えていた。でも、彼女が聞きたいか聞きたくないか、興味があるかないか、その判断を俺がするのはやめようと思った。話した上で判断して貰えば良いと考え直した。





   
 
86:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:33:26.94 ID:AvmYbN9t.net

みどりが帰ってきたら話してみよう、俺が夢にうなされる原因となった話を。過去に犯した些細な過ちが、人生に少なからず影響を及ぼす、そんな話を。みどりの隠し事が過ちを孕んでなければそれでいい。けれども、後ろめたさを感じているならば、自らの意思で話したほうが良いのだ。彼女がいつか話をしてくれる。その呼び水になってくれるのなら、そう考えていた。





   
 
88:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:34:30.12 ID:AvmYbN9t.net

遅くなってごめんと、みどりが帰ってきた。食事の準備をする気になれなかった俺は、今日は飲みに行かない?と誘ってみた。行く行く、とふたつ返事ではしゃぐ彼女を見ると心が重くなった。





   
 
90:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:37:12.94 ID:AvmYbN9t.net

いつもの居酒屋に着いて軽く乾杯をかわし、料理もあらかた食べた頃合いを見て、俺は聞いて欲しい事がある、と切り出した。なにを改まってと笑ったみどりの顔に微かな緊張が見てとられた。

俺は夢にうなされる、その理由について掻い摘んで話し始めた。





   
 
91:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:38:03.82 ID:AvmYbN9t.net

高校の時、好きな娘ができた。初恋だった。彼女は俺の親友の事が好きだった。けれども、親友には他に好きな娘がいた。結局、俺と彼女はそれぞれの思いを遂げることなく、高校時代が終わった。

「なにそれ、よくある話じゃん」

みどりは笑った。続きがある、と俺は話した。





   
 
93:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:39:00.29 ID:AvmYbN9t.net

高校卒業後、その娘は職場の上司と不倫をした。上司は親友に似ていた。幼い恋を上手に終わらせられなかった彼女は、親友の影を上司に重ねて不倫に溺れていった。

やがて不倫は露見する事となり、彼女は上司と別れさせられた。上司との子の堕胎を条件に訴訟を免れた彼女は、心の傷を埋めるべく他の男達の間を転々としてゆく。

男達と関係を結ぶたび彼女は子を宿した。子を宿すたび彼女は堕胎を迫られた。堕胎をさせると男達は彼女から逃げていった。3人目は堕胎をさせられる事はなかった。けれどもやはり男は逃げていった。

彼女は子を産むと、やがて子供の存在は彼女の家計を圧迫していった。そして身体を売り生計を立てねばならぬ程に彼女は身をやつしていった。





   
 
94:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:41:38.17 ID:AvmYbN9t.net

「その娘は気の毒かもしれないけど、たかお君関係ないじゃん。」

みどりは擁護してくれた。





   
 
95:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:42:31.47 ID:AvmYbN9t.net

「実は卒業後その娘と2回会ってるんだ。不倫発覚直後と転落してしまった後に」





   
 
96:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:43:23.39 ID:AvmYbN9t.net

一度目に会ったとき、俺はその娘の転落を予感した。いや、誰が見てもそう感じただろう。俺は助けたいと思った。方法は問わない。彼女が望む通りにしてやりたいと思った。けれども彼女はそれを拒んだ。彼女にとって俺の存在など何の助けにもならないことを、俺はこの時思い知った。





   
 
97:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:44:27.43 ID:AvmYbN9t.net

二度目の時、彼女は金を借りに来た。
いや、正確には身体を売りに来たのだ。俺は彼女の希望通りに金を渡した。勿論、彼女を抱くことはなかった。
そしてその時に初めて彼女の転落を知った。外れるべき俺の予感は、俺の予想を超えた悪い形で当たってしまっていた。





   
 
98:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:46:44.40 ID:AvmYbN9t.net

一度目、二度目に共通して彼女に頼まれたこと、それは、彼女が好きだった俺の親友にだけは、話が漏れないようにしてくれ、ということだった。彼女にとって親友はいつまでも特別な存在である事に、俺は人知れず傷ついていた。





   
 
99:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:48:25.86 ID:AvmYbN9t.net

俺は彼女の頼みを一度目は守った。けれども、二度目は裏切った。拭いきれない親友への劣等感と嫉妬を事あるごとに思い出させる彼女の願いに、俺は冷静な判断を失っていた。そして、彼女を傷つける目的で彼女との約束を破った。やがてその目的は、彼女の自殺という形で果たされる。無論それは俺が望んだ形からはかけ離れていた。





   
 
100:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:49:10.29 ID:AvmYbN9t.net

みどりは押し黙ったまま真剣な表情で話を聞いていた。





   
 
101:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:50:11.24 ID:AvmYbN9t.net

「その娘との最期のやりとりが少し形を変えて、今も時々夢に出てくるんだ。彼女は電話をかけてきて俺を罵倒する。弁解をしようとするが、俺の思いは声にならない。声を出せないうちに呼吸も出来なくなっていく。このままでは不味いという焦りから、ひたすらに声を出そう、声を出そうと繰り返す。それでもやはり声は出ない。そうしているうちにやっと目が覚めるんだ。」





   
 
102:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:51:14.96 ID:AvmYbN9t.net

「あの、アーーッ!ってやつだよね」

そう、と俺は答えた。

「でも、その娘は本当に自殺だったの?死因は分からないって言ってたよね?」





   
 
104:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:52:13.31 ID:AvmYbN9t.net

死因は分からない、と俺は答えた。ただ彼女の死が、彼女との最後のやりとりから一週間後であることは偶然とは思えなかった。仮に彼女の死が自殺でなかったとしても、変わらない事実がひとつだけある。それは、俺の悪意が彼女の人生の最期の出来事になってしまった、ということだった。その負い目を俺は未だに拭いきれないでいる。





   
 
105:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:53:48.12 ID:AvmYbN9t.net

「嫉妬や劣等感に心が蝕まれたとき、その隙をついて悪意が生まれる事がある。そのほんの少しの悪意が思いもしない結果をもたらすこともある。その教訓だけは彼女との記憶の形見として持ち続けなければならない。今はそんな風に考えているんだ。」





   
 
106:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:54:27.43 ID:AvmYbN9t.net

そう話すと、みどりの顔は暗く沈んでいった。目には涙が滲んでいた。しばらく沈黙が続いた。





   
 
107:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:55:16.83 ID:AvmYbN9t.net

「正直、たかお君は悪くないとは思うけど、ごめん、今日は一緒に居られない。うまく言えないけど・・・ごめんね」





   
 
109:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:55:47.05 ID:AvmYbN9t.net

突然、彼女は席を立って帰ってしまった。





   
 
110:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:56:32.81 ID:AvmYbN9t.net



俺はあまりに突然の出来事に動揺した。動揺のあまりみどりを追うこともできなかった。確かに気持ちの良い話ではない。人殺し、と思ったのだろうか。あるいは昔のことをいつまでも女々しい奴、と呆れたのだろうか。仕事で疲れて帰ってきたらこんな重たい話を、と腹を立てたのだろうか。けれどもみどりは、俺は悪くないと言ってくれた。何故彼女は帰ってしまったのだろう。





   
 
111:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:57:18.26 ID:AvmYbN9t.net

そっとしておいた方がいいのかもしれない、そう考えたとき、みどりからのメールが来た。





   
 
112:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:58:07.84 ID:AvmYbN9t.net

「私たち、しばらく会わない方がいいかも。ごめんなさい。気持ちの整理ができたらきちんと話します。それまで待って下さい。」

頭が真っ白になった。





   
 
113:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:58:54.60 ID:AvmYbN9t.net

久しぶりに自宅に戻ってみると、部屋はまるで他人の様に俺を迎えいれた。こんな部屋だったであろうか、微かな未視感を覚える。

部屋には必要なものが必要な分だけ置いてあった。この曲のこのフレーズを聞いておけ、とDから渡された十数枚のCD。ドラムスティックと練習用パット。酒が数本。あとは、冷蔵庫、ベッドなどの生活用家具。飾りなど一切ない。事務所よりも無機質な空間はまるで自分自身を投影しているかの様だった。





   
 
114:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:59:40.91 ID:AvmYbN9t.net

それから一週間がたっても、みどりからの連絡は無かった。彼女が待って欲しいと言った以上、待つしか方法が無かった。途中に何度も挫けそうになった。携帯を開いては、電話番号を押し、最後の一押しで思い留まった。他の人から電話に何度も落胆し、メールの送信ボタンを何度も見送った。





   
 
115:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:00:14.67 ID:AvmYbN9t.net

起きている時はみどりのことを考え、考え疲れると何も考えないでいた。その繰り返しのあと、ようやく訪れた眠りにはあの時の夢がいつも付いて回った。頭がおかしくなりそうだった。もう、嫌われても何でもいい、とにかく話がしたかった。





   
 
116:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:01:20.65 ID:AvmYbN9t.net

みどりと離れてから10日後、とうとう我慢できずに電話をかけてしまった。





   
 
117:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:01:58.82 ID:AvmYbN9t.net

繋がらなかった。送ったメールは未配信だった。前にもこんな経験をした事がある。嫌な予感がした。

俺はみどりの部屋に向かった。





   
 
118:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:02:44.51 ID:AvmYbN9t.net

みどりの部屋についてインターホンを押す。反応は無かった。反応がないというより、インターホンそのものが鳴らなかった。電気が止まっているのだ。ガスのメーターも閉栓中の札がかかっていた。みどりは部屋を引き払っていた。





   
 
119:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:03:42.33 ID:AvmYbN9t.net

一体どういう事だ。みどりに何があったんだ。何がどうなってるんだ。混乱の中、立ちすくんでいるとドアの新聞受けに封筒が挟んであるのに気付いた。宛名は俺の名前になっていた。封筒を開けるとみどりから俺宛の手紙が入っていた。俺は慌てて貪る様に手紙を読んだ。





   
 
120:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:04:26.30 ID:AvmYbN9t.net

突然いなくなって、ごめんなさい。メールでも電話でもなく、こんな形で話を伝える事を申し訳なく思います。本当にごめんなさい。

あなたが私の部屋に来るかどうかは、分かりませんが、それなのにこの様な形を取ってしまったのは、私の中であなたに本当のことを伝えるべきかどうか迷いがあったからです。最後まで自分勝手ですね。伝わらない方がいい、という自分と伝えるべきだという自分が戦ってます。だから、手紙をこんなところに置いていきました。





   
 
122:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:05:43.20 ID:AvmYbN9t.net

あなたと居酒屋で別れたあと、部屋に戻った私はすぐにCDの位置がずれている事に気づきました。あなたが突然あんな話をするなんて、何かあったんだろうなと思って確認したからです。あなたは気づいてしまったんですね。
だから、あなたの後悔を話してくれた。私も話さなくてはなりません。全て正直に話します。いままで嘘をついててごめんなさい。





   
 
123:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:06:36.65 ID:AvmYbN9t.net

私はあなたのことを知っていました。





   
 
124:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:07:55.32 ID:AvmYbN9t.net

私の元彼はあなたのバンドのDです。Dに別れを告げられた私は、最後の見納めにライブを見に行きました。Dへの未練というよりも、バンドへの未練の方が正しいかもしれません。長い間関わってきたバンドです。愛着もうまれます。新加入のドラムですってあなたが紹介されていたのも当然見ていました。その時は、あー、新しい人が入ったんだなぁ、というくらいの感想でした。





   
 
125:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:08:42.93 ID:AvmYbN9t.net

けれども、あなたに会ったのは本当に偶然でした。私のうちの近くにひとだかりができてて、何だろうと覗いてみるとあなたが倒れてました。





   
 
126:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:09:29.97 ID:AvmYbN9t.net

Dのバンドのドラム君だ、どうしよう、と思ってDに電話しようと思ったけど、Dが他の女といるかもしれないと思うとできませんでした。

誰かが警察を呼ぼうとしているのを聞いて、とっさに知り合いのふりをしてあなたを部屋に運び込みました。これはあなたにも言いましたね。





   
 
127:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:10:11.69 ID:AvmYbN9t.net

あなたを部屋に連れ込んで、さあ、どうしようと考えたとき、私の頭にまたDが浮かんできました。そして一緒にいるかもしれない女の事も。





   
 
128:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:10:55.70 ID:AvmYbN9t.net

ここからはあなたにとってとても辛いことを書きます。そして私にとっても。あの日あなたが言った「悪意」の話、私にはすごく分かります。





   
 
129:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:11:33.24 ID:AvmYbN9t.net

私はあなたを利用してDに復讐をしようと思い付きました。





   
 
130:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:12:08.31 ID:AvmYbN9t.net

あなたが私を抱けばあなたを利用できると考えました。





   
 
131:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:13:38.60 ID:AvmYbN9t.net

あなたを連れ込んこんだ日、目を覚ましたあなたが私を抱くかもしれない。それはそれでいいと思っていました。けれどもあなたは目を覚ましませんでした。

あなたが目を覚ました時、鍵を渡したのはあなたを逃さない為でした。仕事を終えてからあなたを口説こうと思ったからです。だから、あえて忘れた振りをして店の名前も教えずにさっさと出て行ったのです。あなたが鍵を持って帰ってしまっても私は引越すつもりだったのでそれはそれでも構わないと思ってました。仕事も辞めるつもりでした。





   
 
132:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:14:11.48 ID:AvmYbN9t.net

家に帰ると、あなたは待っていました。正直、下心を感じていました。男なんて、隙を見せればすぐ下心を見せる、そう思ってました。





   
 
133:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:14:56.59 ID:AvmYbN9t.net

居酒屋に行って、男に振られた女が酔い潰れれば、あなたはきっと私を口説く、そう信じていたのにあなたはこの時も口説きませんでした。男なんてばれなければ適当な事を言ってやりたいばっかりだと思ってたし、事実、Dはそういう男でした。

私に魅力が無いのか、正直自信が無くなりました。どんなに隙を見せてもあなたは乗ってこなかったから。





   
 
134:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:15:29.94 ID:AvmYbN9t.net

私はあなたと関係を持って、Dの前で堂々と私の新しい彼氏だと言ってやろうか、それともあなたに強引に迫られたと言おうか、寝た振りをしながらどんな形がDにとってショックか、そんなことばかり考えてました。





   
 
135:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:16:24.63 ID:AvmYbN9t.net

けれどもあなたは私がわざと寝返りをうって、下着を見せて誘っても、優しく布団をかけてなおしてくれるだけでした。脈なしか、しょうがない諦めようって、思ったら本当に眠ってしまいました。





   
 
136:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:17:13.89 ID:AvmYbN9t.net

朝、目が覚めるとあなたは結局、一晩起きていたみたいでした。そして私の真似をして「黒酢ジュース飲む?」
って笑顔を見せた時、急に愛おしく感じてしまいました。もう、復讐なんてどうでもいい、私はあなたが好き。瞬間的にそう思いました。その後の事はあなたも覚えてますよね?





   
 
137:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:18:08.57 ID:AvmYbN9t.net

あなたとの時間は本当に楽しかった。料理が私より全然上手なのにびっくりしたし、本当に美味しくできていました。何より私の為にいろいろ頑張ってくれるあなたの優しさに、心の底から癒やされました。





   
 
138:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:18:54.67 ID:AvmYbN9t.net

正直、復讐の事なんて忘れていました。引越しも退職もやめてあなたとずっと過ごしたいと考えていたし、そうしようと思っていました。





   
 
139:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:20:31.29 ID:AvmYbN9t.net

けれど途中で気付いてしまいました。

辻褄が合わない、と。





   
 
140:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:21:09.71 ID:AvmYbN9t.net

あなたがDとバンドをしている限り、私はどこかでこのことがバレてしまうと考えました。私たちの出会いが、初めましてじゃなかったよねと。





   
 
141:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:21:52.38 ID:AvmYbN9t.net

何故嘘をついたのか。そう聞かれた時
私はどう取り繕うか言い訳ばかり考えていました。あなたとの時間を失いたくなかったからです。自分のことばかり考えていました。でもどう考えてもうまい言い訳が思い付きませんでした。





   
 
142:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:22:41.13 ID:AvmYbN9t.net

そして、私があなたと付き合っていることがDに知れた時、あなたとDの関係が崩れること、そしてあなたの居場所が無くなることを思ったら急に自分のした事が恐くなりました。





   
 
143:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:23:16.66 ID:AvmYbN9t.net

あなたは「ほんの少しの悪意が思いもよらない結果をもたらす事がある。」
って言ってたけど、私に向けて言われているようで、グサリと胸に刺さりました。でも、あなたからその話を聞いた時はもう遅かったのです。





   
 
144:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 02:24:06.51 ID:AvmYbN9t.net

あなたは何も聞かなかった。そして気付いていない振りをしてくれた。あなたの話を聞いたあと、せめてその優しさだけは裏切ってはいけない、そう思って手紙を書きました。

バンド、頑張ってください。密かに応援をしています。私の事は忘れてください。

本当にごめんなさい。そして短かったけど楽しい時間をありがとうございました。

さようなら。

みどり





   
 
154:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:41:49.76 ID:Rx2uoqhO.net

俺は手紙をしまい、みどりとよく行った居酒屋でひとり酒を飲みに行った。誰にも邪魔されず、考えを整理したかったからだ。

復讐が為に始まった恋が、復讐が故に終わりを迎える、とみどりは考えていた。
何かに似ている。思い出せない。何だろう。そんな思いが逡巡し、ふとみどりの部屋を思い浮かべた。





   
 
155:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:42:19.79 ID:Rx2uoqhO.net

そうか、カミュ、か。





   
 
156:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:42:56.89 ID:Rx2uoqhO.net

俺は思い出した。落ちると分かっいて岩を山頂まで運ばなければならない男の話。みどりと出会った日に読んだ「シーシュポスの神話」それだった。





   
 
157:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:43:30.10 ID:Rx2uoqhO.net

神を欺いた罪に神々が与えた罰、山頂まで岩を運んでも、岩は山頂に運ばれた途端に麓まで落ちる様に細工されている。何度も麓まで降りては永延と岩を運ばないといけない、確かそんな話だった。





   
 
158:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:44:08.93 ID:Rx2uoqhO.net

みどりは終わると分かっていた恋を育てていた。まるでシーシュポスのように。転げ落ちると分かりながら、素知らぬ顔で。

俺はDに電話をした。バンドを辞める。それだけ伝えると電話を切った。
Dは何かを言っていたが、聞かずに切った。面倒なので携帯の電源ごと切ってやった。俺はそれどころではないのだ。





   
 
160:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:44:55.64 ID:Rx2uoqhO.net

みどりが俺を利用しようとしたとして、それの何がいけないのだろう。
それで出会えたではないか。
Dとの関係は切った。バンドもやめた。責めることも責められることも、気にすることも気に病むこともなにもない。





   
 
161:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:45:50.79 ID:Rx2uoqhO.net

繰り返す無意味な労働のなかに人間の不条理を暴いた。と、カミュは言う。

それがどうした。俺はカミュに言い返した。

神が同じ結果を用意できるとするならば、人は次は違う結果になるかも知れないと想像する事が出来る。同じ結果になったとしても、いつか訪れる別の結果に必要なことと思うことができれば、無意味なことなどなにもない。





   
 
162:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:46:27.70 ID:Rx2uoqhO.net

俺はみどりを必ず探し出す。そのことを彼女がどう思うかはわからない。ただ傷つくことを恐れて、求めることを諦めるのなら、人生はただの労働でしかないのだ。





   
 
163:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:47:03.84 ID:Rx2uoqhO.net

そして、いつか彼女を探し出した時は、俺はきっとこう言うだろう。

「あ、生きてた」と。

生きてる限り、やり直せるのだ。





   
 
164:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 04:50:04.50 ID:Rx2uoqhO.net

終わりです。
もし見いるひとがいたら本当にありがとうございます。
キモくてクサイ文章ですみません。
たぶん、消せないんでしょうね。





   
 
179:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 11:23:45.42 ID:+2MdalA4.net

みどり探せたのかな





   
 
180:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 11:35:08.06 ID:Q4DbZk1Z.net

面白かった。必ず探し出せよ。応援してるぞ





   

・ニュース速報VIP+@2ch新機能実験場に投稿されたスレッドの紹介でした
 俺を拾った女の話を書く
【画像】東京グール、セッ●スシーンをがっつり描写してしまうwwww
【画像あり】今年の新人No.1候補!桁違いに可愛いチアリーダーがS1からAVデビュー!
関東近郊のNo.1キャバ嬢が酔った勢いでAVデビュー
【動画】最近のアイドル、ガチで女性器を見せてしまう・・・
【衝撃画像】 ロシアのバレリーナ(16)の素足が狂気染みてる・・・ うっ・・・
【画像】 エoチな戦隊ピンクすこすこ祭りwwwぐうシコwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
【流出画像】中澤裕子、入浴フルヌード流出事故…再燃したお宝最大の盗撮全裸晒しモノ事件…
【画像】彡(゜)(゜)「奴隷買うたで!…せや!」
女「私の彼なんてハッキリいってATMだしぃ〜」 女友「ひっどーい!」
日本人「コーラ!!ポテチ!!あとアイス」日本人の内臓「オヨヨヨやめてぇ死ぬぅ」
女「キャーッ、痴漢!」 男「線路に逃げなきゃ!」 女「逃がすかぁっ!」 運転士「神聖なる線路内に立ち入るとは……許せん!」
【GIFあり】童貞殺しの腰使いがコチラwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww...
【※GIF】い き な り 精 液 ぶ っ か け ら れ た 小 ● 生 の 反 応 ク ッ ソ ワ ロ タwwwwwwww...
【エ□GIF】現役CAのフ●ラ抜きを盗撮した映像 これは抜けるwww
【※GIFあり】最近テレビでよく見かける天木じゅん(Iカップ)の爆乳お●ぱい、こうしてGIFで見るとちょっ...






 

最新記事50件