転載元:|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです

1: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:43:39.98 ID:ark0cRN00

《CDCよりカタパルト、状態知らせ》

《カタパルトよりCDC、状態良好。問題なし》

《CDC了解。待機中の全機に通達、カタパルトの状態良好。

現在時刻マルナナヒトマル、順次発艦を開始せよ》

ミ ゚ ゚彡《了解、これより発艦する─────Spear-01, Take off》

《Spear-02, Take off!!》

視界の端で、誘導員が三機目……即ち私の機体を空に上げるべく腕を振る。私は後部座席の観測員に手で合図を送りながら、ラダーペダルの上部から足を離してブレーキを外す。エンジンスロットルを80%の位置まで動かしつつ、ちらりと今一度計器類に目をやる。

全ての計器のランプが安全を示す緑色を灯しているのを確認し終えると同時に、機体は滑走路を駆け出す。

速度120ノット。操縦桿を手前に引く。200M先にあったジャンプ台は一瞬で目の前だ。

アフターバーナーを始動、ピッチ角が10°に達する。

機体が浮き上がり、ジャンプ台を駆け上がり、空へと解き放たれる。

|w´‐ ‐ノv「……Spear-03, Take off」

全身をGに押さえ付けられつつ、目の前に空が迫ってくる。

そうして私は、空に軌跡を描き出す。









【画像】元AKBまたまた脱ぐwwww
これを口にはめるとスゴいらしい。歯医者さんが考えた、アレを昇天させるためのマウスピース
【エ□注意】海外女のお●ぱいGIFエ□すぎwwwww 白人とセッ●スしたい
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千歌「どうすれば梨子ちゃんのオシッコを顔にかけてもらえると思う?」
悟空「はああああああああ……! ダメだ、もっと力を振り絞らねえと!」
悟空「クリリンの頭ってドラゴンボールの代わりになるんじゃねえか!?」


2: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:44:43.32 ID:ark0cRN00

天空を駈け、敵機を見つけ、ただ撃墜しろ。あとはくだらないことだ

───マンフレート・フォン・リヒトホーフェン




3: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:45:17.50 ID:ark0cRN00

〜|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです〜




4: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:46:02.28 ID:ark0cRN00

「皆違って、皆いい」という言葉が表すとおり、元々人間は各々が個性的な生物種族だ。

その中でも私は筋金入りの変わり種だったらしく、同年代の少年少女と話が合った記憶はほとんどない。
社交的で頭の回転が速い昔馴染みが傍にいてくれたおかげで、幸い孤立したりいじめられたりはしていない。自身の率直な感想や思考を口に出した結果周囲の人間から苦笑いされるという、特にありがたくもない経験を無駄に豊富に積む羽目になったが。

とにかく、私の名前……砂尾秋留(スナオ・アキル)になぞらえて「シュール」なんて渾名がつく程度には周囲から「浮いていた」私は、抱く夢もまた二重の意味で「浮いていた」。




5: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:47:13.73 ID:ark0cRN00

空を飛びたい。

それは例えば幼子がよく抱く、鳥のように飛びたい等の憧憬の念ではない。
私は自身が母の胎内から放出され呼吸を始めてからの経過年数が片手で足りる時分より、「戦闘機であれ旅客機であれ、空を飛ぶ職に就き空を駆けてみたい」という明確な目標意識とそれを達成するための計画を既に胸中に抱いていた。

………そのきっかけが何であったかは、流石に時が経ちすぎて忘れたが。

ともあれ、現在航空自衛隊二等空尉として戦闘機を駆り空に舞い上がっている私は、某漫画の如く「計画通り」と悪辣な笑みを浮かべられる程度には順調に人生を送っているのかも知れない。



まぁ、尤も。

ミ ゚ ゚彡《Spear-01よりCDC、小隊全機の発艦、編隊編成を完了。全機状況はオールグリーン》

《CDC了解。既に青ヶ島防衛線にて同島鎮守府の駐屯艦隊が迎撃戦を展開中。至急援護に回れ、オーバー》

ミ ゚ ゚彡《Spear-01了解。全機急行する。

Spear-01より各機、後続しろ》

《Spear-02、了解》

|w´‐ ‐ノv「Spear-03、了解」

《Spear-04、了解!》

覚悟の上とはいえ基本的にフライトする時は職務上死と隣り合わせなので、手放しに喜べない面もあるにはあるが。




6: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:48:32.67 ID:ark0cRN00

|w´‐ ‐ノv「……」

風防ガラス越しに、私は眼下の海を見下ろす。今し方飛び立った防空指揮艦【かが】の横には、大洗女子学園の巨躯が横たわっている。
私は挨拶するように学園艦に向けて軽く左手を挙げてから、隊長機に続いてその場を飛び去る。

……見えないことは知っているが、これは出撃前の軽い儀式のようなものだ。

私が生きている限り、やめることはない。

ミ ゚ ゚彡《青ヶ島鎮守府、聞こえるか。此方は第2機動防空隊所属、富佐儀虎(ふさ・よしとら)二等空佐。

現在F-14J 4機編隊をもって其方に急行中、状況オクレ》

《此方青ヶ──府、旗艦龍驤!S……-01、到着は──……分後や!?》

応じた声は、雑音と轟音に飲まれがちで途切れ途切れに聞こえてくる。
どうやら激戦の真っ只中にあるらしい。

ミ ゚ ゚彡《到着は20分以内と見込まれる。状況オクレ》

《当鎮守──的…利!既に随伴艦巻雲、天龍が中…─戦闘能力を喪失!

敵規模、…容は不…!正面にヲ級elite3、リ級1、ル──2!他20〜30隻が…方を包囲!》

ミ ゚ ゚彡《敵艦載機の総数は?》

《全容把…は不…能や!少────500近くやと…う!》

ミ ゚ ゚彡《情報提供感謝する、なんとか耐えてくれ!》

|w´‐ ‐ノv「……500近くとは穏やかじゃないですねー」

青ヶ島鎮守府は、先ほど通信を受けた龍驤の他に瑞鶴も配備されており、加えて基地航空隊も編制されている。

対深海棲艦の重要拠点の一つなだけあって、戦力は充実している。だがそれは、“質と量を両立した敵”を跳ね返せるほどのものではない。

ミ ゚ ゚彡《救援を急ぐ。加速しろ!》

《《《了解!》》》

富佐隊長の声は冷静ながら、一刻も早く苦戦中の友軍を救いたいという焦燥がその下に見え隠れしていた。

その声に釣られたか柄にも無く鼓動を早める胸を抑えつつ、私も機体を加速させた。

まぁ、私の焦りの原因は隊長とは別のところにあるけれども。




7: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:50:24.06 ID:ark0cRN00

退役済の型落ち機体を急遽下請け・改装した代物とはいえ、巡航速度の時点でマッハに近い速度を叩き出せる第4世代ジェット戦闘機。
大洗港から青ヶ島までというなかなか途方もない距離であっても、到着にかかる時刻は14、5分に過ぎない。

だが、時の流れは状況によって速く感じることも遅く感じることもある。今の私たちにとって、音速を超えての飛行すらまるで亀の歩みだ。

永遠と同意義であった900秒のフライトの果てに、私たちはようやく“それ”を視認する。

《……うへ》

4番機の三尉がうめき声を上げた。それ以上の言葉は発していないが、飲み込まれた言葉は私にも解る。

なんて数だ。

遠目から見ると、青ヶ島一帯に黒いもやがかかっているように見える。
言うまでも無く、それらは全て深海棲艦の艦載機。

先ほど龍驤は確認できている艦載機を“500近く”と報告してきたが、これはどう少なく見積もっても2000は下らない。

ミ# ゚ ゚彡《全機怯むな、突貫しろ!

Spear-01, FOX-3!!》

《Spear-02, FOX-3》

|w´‐ ‐ノv「Spear-03, FOX-3 FOX-3」

《Spear-04, FOX-3!!》

機関砲発射を告げる符号が飛び交い、4筋の火線がF-14J各機の機首より迸る。20mm口径からはき出された鉄の塊は空気摩擦で熱を帯びつつ、敵機の群れの中に飛び込み機体を貫き抉り取っていく。

「Hit hit hit!!」

その小ささから個別に射撃することは困難でも、膨大な数が一定の空間にひしめき合う状態なら話は別だ。ある程度の狙いをつけて撃てば勝手に向こうが当たる。

後部座席で観測員が叫び、幾つもの火炎が黒雲の中で咲き乱れた。私たちはなおも弾丸を深海棲艦機に向けて小刻みに放ちながら、「塊」の真上スレスレをかすめるようにして飛び過ぎる。

敵に、そして何よりも敵群の只中で戦い続ける味方に、私たちの到来を見せつけるための軌道だ。




8: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:52:50.92 ID:ark0cRN00

《旗艦龍驤より青ヶ島鎮守府全域に通達!!増援来る、増援来る!!!》

反響はすぐだった。無線からきこえてきた龍驤の声は、恋い焦がれた相手に告白された乙女もかくやの華やぎぶり。さっき富佐隊長が通信を繋いだときの、ドドメ色一色といった具合の声色からえらい変わり様だ。

しかし、無理もないか。私が同じ状況だとしたら、例えそれが役割だと解っていても最低生米一俵は積んで貰わなければ間違いなく敵前逃亡しているね。

……さて、一撃を加えたはいいが、奴さん方は此方に見向きもしない。少なくとも50を超える機体が撃墜されたはずだが、反撃に転ずる機影は一つも無かった。

|w´‐ ‐ノv「深海棲艦に動きは?」

「ないです。なおも青ヶ島鎮守府への攻撃を続行」

|w´‐ ‐ノv「あぁんいけずぅ」

観測員に一応確認をとるが、残念ながら結果はかわらなかった。

私は龍驤と瑞鶴の共通した特徴である“すれんだーぼでぃ”を思い出し確信する。こんないい女が上空を飛び去っていくのにあちらにご執心とは、今回の敵艦隊旗艦はロリコンに違いない。

|w´‐ ‐ノv「Spear-03よりSpear-01、敵航空隊は青ヶ島鎮守府艦隊への全面攻撃を継続中。動きありません」

ミ#゚ ゚彡《なら何度でも殴って振り向かせるまでだ!全機反転、敵艦載機群へ再度攻撃をかける!》

《《了解!》》

|w´‐ ‐ノv「了解」

やや減速しつつ、フットペダルを踏み込み操縦桿を左に倒す。猛烈なGで飛びそうになる意識を腹に力を込めてつなぎ止め、隊長機の軌道をなぞるように旋回する。

そうして、もう一度私は雷雲の如く渦巻く「群れ」を視界に捉えた。

ミ#゚ ゚彡《FOX-3!!》

|w´‐ ‐ノv「FOX-3」

コールサインになぞらえて、私たちは「槍」を放つ。




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/03/26(日) 21:55:44.76 ID:hS0NJ1erP

支援
いいね、ミリタリー




10: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:58:07.69 ID:ark0cRN00

「Hit Hit Hit!!」

より深く、より長く、私たちは群れの中に槍を突き入れ続ける。M61バルカンの六連装銃身が唸りを上げ、貪欲かつ愚直に進路上の敵機を薙ぎ払っていく。

今度は、深海棲艦たちも無視しなかった。

《っとぉ!?》

ミ;゚ ゚彡《Break Break Break!!》

|w;´‐ ‐ノv「おおうっ……!」

「群れ」の中に無数の煌めきを見た瞬間、反射的に操縦桿を傾ける。フットペダルをめいっぱい右に踏み込みつつ、急旋回。

先ほどまで私たちが居た空間を、銃火の嵐と百を超える敵機群が駆け抜ける。

「食いつきました!深海棲艦機、此方を追撃してきます!」

|w´‐ ‐ノv「おっけ、捕まってなさい」

後部座席に一言投げかけ、エンジンを吹かす。巣をつつかれた怒れる蜂の如く次々と飛び出してきた敵機を、一瞬で後方に置き去り距離を開ける。

「敵機射撃!………あ、届きませんね」

|w´‐ ‐ノv「あったりっまえーっとくらぁ」

深海棲艦機が装備する機銃は、口径や射程に関しては私たちの扱う戦闘機と大して変わらない。が、無駄に零式艦上戦闘機に酷似した性能を持つ奴等の最高速度は、500km/h半ば。

マッハ2.3のジェット戦闘機からすれば、カタツムリの歩みも同然である。

《《─────FOX-3!!》》

そして私たちが奴等の反撃を避けきった直後、全く別の方向から更なる火線が何本も群れに突き刺さる。

機銃掃射の軌道を爆散した深海棲艦機がオレンジの炎で染め上げる中、青ヶ島の上空を飛びすぎていく8機のF-15J戦闘機。

《百里基地所属Jaguar-01、現地に到着。これより交戦を開始する》

《同Elbow-01、麾下編隊と共にSpear並びに青ヶ島鎮守府の援護に回る》

ミ ゚ ゚彡《Spear-01よりElbow-01、Jaguar-01、援護を感謝する。

Spear各機、【作戦】は順調に推移している。引き続き戦闘を継続せよ》

《《了解!》》

|w´‐ ‐ノv「了解」

隊長の檄を聞いて操縦桿を握る手に力を込めながら、私はふと自身の高揚に気づく。




やはり、空を飛ぶというのは良い。




11: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 21:59:07.48 ID:ark0cRN00

戦いは相手次第。生き様は自分次第

────小野田寛郎




12: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:07:36.99 ID:ark0cRN00








「───青ヶ島上空、百里基地並びに第二機動防空艦隊より飛行部隊が到着。敵航空隊への攻撃に成功。

敵航空隊はSpear,?Elbow,?Jaguarへの反撃を開始、此方への攻勢が著しく鈍化しています」

「グアム島より出航していた米海軍艦娘のサラトガ-01が父島・母島両鎮守府の駐屯艦隊と合流。【いずも】を旗艦とする第一機動防空艦隊も展開、南海域は海上封鎖を完了しました」

「南鳥島鎮守府艦隊、米第七艦隊並びに艦娘アイオワ・サラトガ-02と合流しました!【ひゅうが】旗艦の第三機動防空艦隊も展開完了です!」

「横須賀司令府、三宅島鎮守府、八丈島鎮守府からは既に増援艦隊の出撃が完了。

この内八丈島鎮守府はあと10分足らずで当海域への攻撃を開始します」

次々と通信士が伝えてくる情報は、どれもこれも此方の優勢と順調な作戦推移を表しているものではある。
本来なら小躍りして喜びたいのだが、そうするには報告がまだ一つ足りない。

(´Д`)「………龍驤達我が鎮守府の迎撃艦隊の安否は?」

「第一〜第四、損害大なるも全艦娘健在です!轟沈艦はいません!」




13: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:08:46.31 ID:ark0cRN00

(;´Д`)「─────よぉおおお〜〜〜〜〜かっっっっったぁああああーーーーー………」

その報告を聞いて僕────青ヶ島鎮守府提督、八頭進(はっとう・すすむ)一等海佐相当官は、ようやく安堵の息をついて椅子に座り込んだ。

小躍りどころの話じゃない。ずっと早鐘のように鼓動していた心臓が、今の報告を聞くや肋骨の中で跳ね回り始めている。
正直今すぐ司令室から飛び出して、困難な戦闘を成功させた皆にキスをして回りにいきたいぐらいだ(勿論そんなことをすれば僕のクビが飛ぶのだが)。

(*´Д`)「勿論皆もう下げていいんだよな!?というか下げるぞ!!誰がなんと言おうと下げるからな!?高速修復材あるだけ入渠にぶち込んでくれ!」

《落ち着きーな君!まだ作戦は序の序の序やで!?》

(;´Д`)「アッ、龍驤サン……」

意味も無くレッドゾーンを振り切る僕のテンションをおさめてくれたのは、頼れる我が鎮守府の総旗艦殿である。

《心配してくれるのは嬉しいけど、今は作戦中や!冷静に頼むで!!》

(´Д`)「……うん、そうだね」

彼女の厳しくも暖かい檄を受けて、沸騰していた脳が冷静さを取り戻す。

そうだ、今はまだこの【作戦】の第一段階が終わったに過ぎない。ここで僕が下手な指揮をすれば、今までの苦労は一瞬で水の泡になる。

(´Д`)「龍驤さん、瑞鶴さん、艦載機の残余は?!」

《ウチの方はもう10機もないわ!甲板は無事やけどこのままやと戦えへん、ごめんな!》

《私の方も素寒貧よ!秋月ちゃんが頑張ってくれたおかげで甲板は無事だけど!》

(´Д`)「わかった、補充を送る!

基地航空隊に配備していた部隊の内、艦載機隊はどれだけ使える!?」

「96式が40機弱、温存していた最終予備戦力の零戦21型が40機!

艦攻、艦爆はそもそも出していないので無傷です!」

報告を聞き頷く。

何機なのか数えることすらバカらしくなる、あの大空襲を迎え撃ってそれだけ戦力が残っていれば上等なんてものじゃない。




14: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:11:24.08 ID:ark0cRN00

(´Д`)「各艦隊で現在損耗を受けている艦は中破以上は艦種を問わず全艦鎮守府正面海域から退却!

それと、龍驤さんと瑞鶴さんも下がって!艦載機の予備を其方に回す、沿岸で悪いけど受け取って!」

《解ったで!》

《了解!!》

(´Д`)「隠蔽していた対空車両は!?」

「“ハエ叩き”、二両とも損傷ありません!」

(´Д`)「随伴歩兵四個小隊をつけた上で急ぎ展開を!退却してくる艦隊並びに鎮守府正面海域のしんがり部隊を対空射撃で援護!」

《Gun Tank-01了解、支援射撃任務に就く!》

《Gun Tank-02、了解!》

リスボンでの惨劇は、命を落とした人々に対して不謹慎極まりない言い方だけれど人類にとってかなり実りの多い戦いだった。
ドイツ陸軍が示した、深海棲艦の艦載機と対峙するに当たって「対空車両と小銃携行の随伴歩兵による共同迎撃の有効性」もその一つだ。

(´Д`)「しんがり戦が展開できる艦は!?」

《はい、榛名は小破なので大丈夫です!》

《此方足柄、損耗軽微!まだまだいけるわよ!》

《龍田、まだまだいけるわ〜……天龍ちゃんを傷つけた奴等、許さないんだから〜》

《秋月、損耗ありません!弾薬もまだあります、やれます!》

《那珂ちゃんのステージ、まだまだ終わらないんだから!!》

《ねえ!この作戦って夜戦は!?夜戦までもつれ込むんでしょ!?》

(´Д`)「(夜戦は)ないです」

六隻……丁度一個艦隊に匹敵する戦力が抽出できた。

(´Д`)「榛名さんを旗艦としてしんがり艦隊の皆は同島を包囲する深海棲艦の遅滞迎撃を開始!敵艦隊には基本的に手を出さないでいいです、あくまで艦載機の撃墜と上陸阻止に尽力を!

それと、少し遅くなりますがここから敵艦隊規模の把握を急いで下さい!

とはいえあくまで“確認しうる限り”で十分です、得た情報は増援部隊に全て共有!」

《《《了解!!》》》

《ウイッス》

(´Д`)「川内さんやる気失いすぎじゃない?」




15: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:14:48.46 ID:ark0cRN00

「お疲れ様なのね〜♪」

(;´Д`)「あ、ありがとう……っふぅ」

矢継ぎ早に指示を出し終えて一息ついた僕の眼前に、湯飲みに入ったお茶が置かれる。龍驤さんが前線に出ているため代理秘書艦となっている、伊19さんの入れたものだ。

(´Д`)「……あ」

しまった、伊19さんの入れたお茶が普通であるはずg

(´Д`)・∴゚。「ブボハァッ!!」

「にしし、唐辛子入りなのね。つかれてそうだったから、お気遣いなのね♪」

(;´Д`)「そりゃどーも。

あ、辛い凄い辛い。辛すぎて逆に冷静になるぐらい辛い」

「喉にダメージがいかないように強烈だけどあっさりめの辛さにしたの」

(;´Д`)「その気遣いをもう少し進めて普通のお茶を入れるという選択をしてほしかったかなぁ」

「肩の力を抜くときは、笑いが1番なの。それに、唐辛子が疲れに効くのは本当なの」

(´Д`)「……うん、ありがとう」

………他の伊19の例に漏れず、この子もまた危ない言動やいたずらが多い。尤もいたずらの大半は本当に子供の遊びのようなもので、今のように僕の緊張をほぐそうと思って仕掛けてくることも多々ある。決して悪い子ではないのだろう。

(´Д`)「あ、伊19さん、そろそろ」

「龍驤さん達に渡す補充の艦載機や弾薬は既に輸送可能なように集積してるの。あとは帰ってきたところにお渡しするだけなの。

イクもあと10分もしたら、イムヤ達を率いてしんがり艦隊の支援に向かうの。提督の補佐は妙高さんに任せるのね」

(´Д`)「流石」

何より、彼女は優秀だ。いたずらでは無いことに対しても、その頭の回転の速さは十二分に発揮される。

今では龍驤さんに次ぐ練度も相まって、名実共に青ヶ島鎮守府所属艦娘のNo.2だ。

「それにしても、この作戦考えた人凄いのね〜。やっぱり、自衛隊でも名前が売れてる人なのね?」

(´Д`)「うーん……僕が中央のそういう事情に興味がないせいもあるけど、少なくとも有能だとか人望があるとか、そういう話は聞いたことが無いなぁ」

「……そうなの?」

僕の言葉に、伊19さんはきょとんとかわいらしく首をかしげてみせた。

(´Д`)「うん。

あ、でも“有名”なのは間違いじゃないよ。悪い意味で、だけど」

「悪い意味、なの?」




16: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:19:13.92 ID:ark0cRN00

(´Д`)「“危険思想の持ち主で自衛隊を蝕みかねない”って」




17: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:31:25.21 ID:ark0cRN00











《Elbow-02, FOX-3!!》

《榛名よりSpear-01、鎮守府正面海域の深海棲艦戦力を確認!

レーダーに確認できた艦影は70〜80、内空母・軽空母が20以上!姫級、鬼級は見受けられません!》

ミ#゚ ゚彡《ならそこにもう30ほど追加しろ!Spear-01より展開戦力各位に通達、五時方向より艦影多数確認!内ヲ級2、ル級、タ級各3、ホ級flagship 3を認む!》

《海上封鎖前に入り込んでた奴等か……!足止めせんと流石に青ヶ島の物量差がヤバいぞ!》

《八丈島鎮守府より入電。基地航空隊並びに空母艦隊の戦爆連合出撃済、此方への到着後40秒とのこと!》

《八丈島に敵後続艦隊の座標を送信しろ!最低限度ヲ級の艦載機を引きはがせる!》

待つほども無く、群体への反復攻撃をかける私たちの横をF-14Jより遙かに小さな──せいぜい1m20cm程度、つまり深海棲艦のそれと同じくらいの──レシプロ戦闘機が隊伍を組んで飛んでいく。

間違いなく艦娘の艦載機隊。
八丈島鎮守府に所属する空母と言えば、世に名高き赤城・加賀の一航戦だ。これほど頼もしい存在はない。




18: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:33:04.81 ID:ark0cRN00

《青ヶ島鎮守府高射部隊、Gun Tank-01より周辺空域各員に伝達。対空掃射を開始する、注意されたし!》

《Jaguar-01よりGun Tank-01、自衛隊に味方の弾に当たる間抜けはいない。存分にばらまかれたし!》

────戦況は急速に動き出していた。

青ヶ島の周辺を半円状に包囲した深海棲艦たちは、砲弾をまさしく雨の如く青ヶ島とその目前の海域に降り注がせる。

対する青ヶ島艦隊は圧倒的寡兵で逃げの一手に見えて、その実要所要所で的確に反撃ししばしば敵艦隊の勢いを寸断していた。

《敵群体捕捉!

Jaguar-04 FOX-3!!》

《照準を付けられないように気をつけろ!》

一方我らが空はといえば……まぁ、一言で表すなら“宴もたけなわ”ってところか。

|w´‐ ‐ノv《Spear-03, FOX-3 FOX-3》

12機のジェット戦闘機による、八方からの波状攻撃。群れの内外から伸びてくる火線に撃ち抜かれた深海棲艦機が、次々と火の玉と化して波間に消える。
本来その小ささと旋回性能の高さ、何より数の多さで世界中の空軍機を蹂躙してきた悪魔の下僕。だが、“鎮守府”という餌に釣られて巨大な群体として密集してしまった今、利点を捨てた奴等はほとんど射的の的も同然だ。

だがその一方で、反撃の間隔は短く、勢いは激しくなっていく。青ヶ島正面海域や沿岸部を覆っていた群体も、徐々に範囲を広げ、間隔を開けて分散の気配を見せる。

《駆逐イ級4、此方に向けて一斉に発砲!》

《Break, Break!!》

更に、いよいよ駆逐艦や軽巡が此方に向けての対空射撃を開始した。

《敵群体、散開の気配を見せています!》

ミ#゚ ゚彡《許すな!間断なく射撃を加えて動きを抑制しろ!!》

とどのつまり、私たちは“敵艦隊を青ヶ島に釘付けにする”という任務を完璧に遂行していたと言える。




19: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:37:24.17 ID:ark0cRN00

|w´‐ ‐ノv「おーい観測士君、敵艦載機隊の数はどうかね」

「まだめちゃんこいますよ」

|w´‐ ‐ノv「うげぇ……」

それだけ多くの艦載機を釣りあげ拘束することに成功したのだから、横須賀司令府の作戦通りという意味では喜ばないといけないのかもしれない。だが、それはあくまでも上の考え方であって現場からすればやはり骨が折れる。

いかに「現代戦闘機でも有効な対応が可能である」とはいえ、最適解が「艦娘の艦載機を当てる」ことである点は変わらない。
別に私たちがこのまま殲滅まで攻撃し続ける必要が無いと解っていても、やはり気が滅入る。

|w´‐ ‐ノv「信○の野望も大勢力化して作業ゲータイムになると飽きる派」

「関係ないこと言ってないで仕事して下さい」

|w´‐ ‐ノv「うい」

無論、口ではこんなことを言いつつも油断したり気を緩めるつもりは毛頭無い。小さかろうが遅かろうが、奴等が“私たちを殺す力を持つ”存在であることに変わりは無い。
私にとってはその一事だけで、十分すぎるほど奴等は脅威的な存在だ。

それに、何より。

|w´‐ ‐ノv「そぉら、FOX-3っと」

「爆炎六つを確認!

…群体より発砲光!」

|w´‐ ‐ノv「歯ぁ食いしばりな。Break!!」

空をとんでいるというだけで、私にとって他のあらゆる事象は些末な存在だ。




20: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:40:08.97 ID:ark0cRN00

本日十何度目かの旋回で再び青ヶ島へと向き直ったところで、私の視界内で群体が唐突に大きく揺らぐ。

一瞬大規模散開の前兆かと身構えたが、それが違うということは群れの内部から機銃を放ちつつ出てきた小さな零戦の編隊によって示される。

《補給完了や!軽空母龍驤、これより戦線に復帰するで!!

艦載機の皆ぁ、お仕事お仕事ぉ!!》

《瑞鶴、同じく!第一次攻撃隊、発艦!!》

(´Д`)《鎮守府司令室より正面海域しんがり艦隊に通達、龍驤と瑞鶴に至急合流!火力を正面に集中、敵艦隊を打撃せよ!》

《《《了解!!》》》

|w´‐ ‐ノv「………ぉおおお」

「凄いですね……」

激烈な対空砲火と、獰猛な零戦と96式の編隊が巨大な深海棲艦機隊の塊を内側から食い破っている。いかに私たちが削りに削ったとはいえ未だ雲霞の如く飛び回っていたはずの敵機を、100にも満たないはずの機数で追い散らし、たたき落とし、蹂躙している。

日本海上防衛の要の一つにして「世界最強の艦娘艦隊」と謳われる青ヶ島鎮守府艦隊の戦いぶりを前に、流石に私も感嘆の声を漏らした。

しかし零戦はともかくとして、96式で無双は正直頭がおかしいとしか言い様がない。

もしこの光景を他国の人間が見たなら、また日本という国への誤解が広まることだろう。




21: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 22:58:58.34 ID:ark0cRN00

そして、この戦いぶりを目の当たりにしたからこそ、思う。

ミ ゚ ゚彡《見とれている場合じゃないぞ。俺たちも撃ち続けろ!

西から那覇鎮守府の龍驤-02、東から横須賀第5警備府の蒼龍が新たに戦爆連合を発艦させている!これの突入を援護しろ!》

《《了解!》》

|w´‐ ‐ノv「……了解」

「……ニ尉、如何致しました?」

|w´‐ ‐ノv「うんにゃ。ちと痰が絡んで返事が遅れただけだよ」

青ヶ島鎮守府は、艦娘先進国である日本国内でも屈指の精鋭。特に旗艦の軽空母龍驤、八頭提督の懐刀である潜水艦伊19はどちらも「1隻で深海棲艦一個主力艦隊に匹敵する」とまで言われる。そういった話題にあまり興味が無い私ですら、この程度のことは知り得ている。

逆説、青ヶ島鎮守府とこれに連動しやはり精強無比な艦隊を揃える八丈島鎮守府は、所属艦娘1隻の損失でも甚大だ。





これを、敵艦隊が百隻規模で押し寄せてくると知りながら囮に使いこの作戦を立てた人間は、いったいどれほど狂った思考の持ち主なのだろうか。




22: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 23:23:45.72 ID:ark0cRN00



────何故ダ。

眼前の、周囲の惨状を目の当たりにしながら、この艦隊の旗艦────ヲ級flagshipはそれを現実として受け止めることが出来なかった。

人類が「ポルトガル」と呼んでいる国への、同胞達の侵攻。装甲空母姫という圧倒的な力の持ち主がいながら失敗に終わったそれを、彼女は“戦力不足である”と分析していた。

損耗を極限まで抑えざるを得ない程度の艦載機しか投入できなかった結果、人類の悪あがきに足止めされ艦娘達による反撃を受けて装甲空母姫達は全滅した。

ならば同じ轍を踏まぬように、此方は圧倒的な物量を備えて行けばよい。更に言えば、敵の中核戦力たる“艦娘”を、それも練度のそれなりに高い存在を粉砕してから進軍することで後顧の憂いも立てる。
敵の連携を絶つために、めぼしい拠点への攻撃部隊まで用意して万端の戦力でこの戦いに望んだ。

だが、その結果はこれだ。
膨大な数で望んだ艦載機隊は、今まで歯牙にもかけなかった“人類の”戦闘機に一方的に撃墜されている。

何故、私タチガ負ケテイルノカ。




23: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 23:26:13.11 ID:ark0cRN00

目の前で砲撃を行っていたル級が、右手の砲塔を吹き飛ばされて蹈鞴を踏む。
態勢を立て直したところに魚雷が直撃し、彼女はそのままゆっくりと沈んでいく。

100隻を越える艦隊は、未だ健在であった。が、今やそれは上空の艦載機共々“ただそこにいるだけの射撃の的”に成り下がりつつあった。

人類の戦闘機の間に混じり、空母艦娘の放った烈風や零戦が空域に斬り込んでくる。

いつの間にか両翼に展開した戦艦部隊から、砲弾が降り注いでいる。海域にひしめき合って回避運動すらまともに取れない状況に追い込まれた彼女の随伴艦達は、為す術無く沈んでいく。

ヲ級の脳裏には、深海棲艦に共通する特有の意思伝達波……人間で言うところの無線が、仲間達から休むこと無く飛び込み続けてきている。

曰く、攻撃先に長大な防護火線が展開され、陸海からの重厚な火砲で一方的に叩きつぶされている。

曰く、海のど真ん中で四方八方から人間と艦娘の艦隊に包囲され、袋だたきにされている。

曰く、友軍の救援に向かおうとしたが海上に強力な防衛艦隊が展開し、突破を試みたが一方的に粉砕されている。

異口同音に窮状を叫ぶ仲間達は、しかし結論は共通していた。

人間ニ、沈メラレル。




24: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 23:39:22.12 ID:ark0cRN00

『………ア』

ヲ級の眼前に、艦娘の砲撃が着弾し巨大な水柱が上がる。我に返った彼女は、同時にあることを思い出す。

それは、“個であり、全である”深海棲艦の、【全の意思】に語りかけていたときのこと。
今回の、人類を滅殺するための大いなる聖戦を行うと宣言したときに、きこえてきた“雑音”を。

数多の同胞達が【全の意思】に混じり彼女に賞賛と激励を送る中、ただ一つ【個】であったその声を、思い出した。




25: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 23:45:50.63 ID:ark0cRN00



───モウスコシ、“人間”ニ気ヲ向ケタ方ガイイト思ウケドネ。

───皆艦娘バカリ気ニシテ、人間ハタダ滅ボス対象ナンテ思ッテルミタイダケドサ

───ソモソモ、艦娘ノヤツラガクルマエカラ、私タチハ人間ヲ滅ボセナカッタジャナイカ

───人間ニハ、艦娘ノヨウナ力ハナイケレド、賢クテオモシロイ奴ハマダマダイル

ズンッ、と音がした。

ヲ級に向けて、一発の砲弾が飛んでくる。

────私たちを滅ぼすとしたら、それは艦娘じゃない。





「私たちはきっと、人間に滅ぼされる」




26: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/26(日) 23:58:07.64 ID:ark0cRN00




「────じ、状況……終了………」

横須賀司令府の戦闘指揮所に、オペレーターの声が響く。

勝利した側のそれとは思えない、静寂の降りた部屋の中に。

「……信じられない」

やがて、ようやく一人が口を開く。彼は陸自の一佐であり、直接的に今回の作戦に参加はしていない。不測の事態が発生した際に水際で深海棲艦を迎撃するという使命を帯びてはいたが、彼は事実上ゲストとして招かれた観戦武官だ。

そしてその彼の前で、“人類の兵器を主体に据えた”戦法が百隻を越える深海棲艦を事実上完封したのである。

「これほど一方的な勝利、おそらく六年前から世界のどの地域でも確認されていないぞ」

長らく国防上問題視されてきた、“青ヶ島・八丈島”と“父島・母島”の間に広がる防御的空白。

そこを埋めるのではなく、そこに敵の大軍を無抵抗で引き込み、わざわざ最精鋭部隊を苦境に叩き込んで囮にし、包囲殲滅する。

理外の発想だ。そもそも、思いついたとして実行できる人間はいない。もし何かの手違いで青ヶ島鎮守府の救援が間に合わず全滅すれば、日本はおろか世界全体の損失といっても差し支えないのだ。




27: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 00:09:29.75 ID:LOjI/4Bw0

「さて、諸君。これで十分分かり得たはずだ。我が輩が長らく主張してきた言葉の意味が」

だが、この男はそれを立案し、提案し、そして断行してしまった。誰もが「気が狂っている」と口を極めて批判したその作戦は、今居並ぶ将官たちの目の前で完膚なきまでに成功してしまったのだ。

それも長らく“イカれた戦争論者”で自衛隊においておくべき存在ではないとされてきた、三等海尉に過ぎない男が。

「言ったであろう、艦娘は深海棲艦に対する“切り札”にはなり得ても、その数の少なさから“決戦兵器”にはなり得ないのである。

無論人間のみの力でも、深海棲艦の数を伴う質には勝利し得ない。故に、艦娘と人間の諸兵科連合思想こそが、人間を勝利へと導きえるのだ」






( ФωФ)「さて、目の前のこの結果を見てなお我が輩の………杉浦六真(すぎうら・りくま)の論に異を唱えるものは居るのかね?」




28: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 00:17:22.42 ID:LOjI/4Bw0

no title



オレンジ:人類側の防衛線
マーカー:鎮守府、各国海空軍基地
黒矢印:深海棲艦の攻勢ルート
赤矢印:人類側の戦力移動
赤丸:日本の国防空白海域




29: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 00:33:37.57 ID:LOjI/4Bw0

( ФωФ)「無論、今回の戦いは我が輩達が勝利した。“幸運にも”な。

だが、今回の戦闘で確信した。奴等には知性があり、学習能力があり、そして向上心がある。

断言するが次も同じ戦法が通用する確率は0だ。奴等はきっと今回の失敗に学び、次の戦法を編み出して我が輩達の前に立ち塞がる。奴等は今回“人類が”油断成らない存在であると知った。次はどのような手で出てくるか、皆目見当もつかん」

杉浦は神経質に右手を振りながら、室内を歩き回り声高に説く。声こそ高圧的だが、その言い方には出来の悪い生徒にかんで含めてものを教える教師のような響があった。

( ФωФ)「故に我が輩達も備えねばならん。先日のリスボン沖以来ドイツが唱え続けているとおりだ。

更なる装備の充実を。
艦娘の艤装の強化を。
深海棲艦の根源の調査を。
兵員の増強を。
国家連携の強化を。

その舵を取るのはアメリカでも中国でもない。艦娘先進国たる日本が主導するべきだ。

幸いにして我が輩達には今回の作戦の成功という最高の材料がある。

これを世界に喧伝し交渉材料にすれば、国際社会も日本の軍拡にとやかくは」

「待ちたまえ!待ちたまえ!!」

“呑まれて”いた一同で、ようやく空自の三将が声を上げた。横須賀司令府の総指揮を任されている彼は、精一杯の威厳を持って杉浦の“暴走”を制止しようとした。




30: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 00:50:14.04 ID:LOjI/4Bw0

「深海棲艦を倒すために人類の力が増さなければならないというのは理解する!
だが何故それを日本が主導しなければならない!?深海棲艦との戦いのためには、主導権など捨てて国際社会に協力してこそ」

( ФωФ)「………三将、三将はまさか、我々の敵が深海棲艦“だけ”だと思っておられるのですか?」

杉浦は、心底信じられないという眼で彼を見る。いっそ憐憫すら籠もっていそうなその視線に、思わず身じろぎした。

「し、深海棲艦は世界の共通の敵だ。だからこそ、今各国は互いに手を携えて」

( ФωФ)「共通の敵が出たからといって、人類同士が全員仲間になったといつから錯覚しているのですか?」

一蹴。

齢50を優に超える三将の反駁を、杉浦はまさに一蹴した。

( ФωФ)「まぁしかし、三将だけを責めるのはお門違いでしょうな。

おそらくこの世界において、“国際協調”などという幻想を本気で抱いているのは日本だけです。

中国もアメリカも欧州諸国も、誰もが理解している。だからこそあれほどの惨事に見舞われたにもかかわらず、EU内部で意地汚い権力争いが起きているのですから。

……いや、そもそも、誰も彼もが既に“深海棲艦と”は戦っていないのかも知れない」

「な、何を言ってるんだ……君は、何を言って……」

( ФωФ)「有り体に言いますとですな、深海棲艦は戦争の道具なのですよ」




31: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 00:53:50.97 ID:LOjI/4Bw0

( ФωФ)「これは深海棲艦を通した人類同士の戦争である。

殺しても誰の手も汚れず、殺せば殺しただけ人類に平和が近づき、殺せば殺しただけその国の戦後の影響力が増していく………どうです、誰も悲しまずに済む上に日本でも公然と参加できる、最高の戦争ではないか」




32: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 01:03:36.26 ID:LOjI/4Bw0








【かが】に帰投した私は、その足で連絡艇へと乗り込み大洗女子学園に乗船する。

柄にも無く念入りにシャワーを浴び、柄にも無く香水なんてつけて、柄にも無く腕時計で時間を気にしつつ、一軒の居酒屋の前にたどり着く。ちらりとスマートフォンを確認してラインを見ると、帰還と待ち合わせ時間を告げる私の書き込みに「すぐいく」と平仮名で四文字だけの返信。

何よりも焦りが伝わる相変わらずのその返信に少し微笑みをこぼしていると、後ろから荒い息で絶え絶えな「お待たせ」が聞こえてきた。

|w´‐ _‐ノv「きゃー痴漢よー。おまわりさーん」

(; ω )「おまっ…ぜえっ…黙れ…おっ…ハァッ」

無駄に立派な名前を持った、昔馴染みがそこにいた。




33: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 01:16:42.70 ID:LOjI/4Bw0

何度か訪れているこの店で、私と内藤の顔は既に覚えられているらしい。

座った途端、最初に頼むビールとカシスオレが目の前におかれる。

(;^ω^)「っっっほぁああ〜〜〜……生き返るお〜〜〜……」

|w´‐ _‐ノv「毎度思うんだけど私と貴方の飲み物逆じゃないですかね」

( ^ω^)「やっかましいわ子供舌なめんな。ビールとか苦すぎてマジ無理」

|w´‐ _‐ノv「そのくせゴーヤ好きよな」

( ^ω^)「アレは健康にもいいからセーフ」

笑い合いながら、意味など特にない他愛ない会話を交わす。くぴりとビールを口に含んで喉に流し込み、これ見よがしに「うまい!」と叫んだ後に内藤の子供舌をからかう。

とても下らないことなのだけれど、この瞬間の私の気分は空を飛んでいるときと同じくらい高揚する。

店の備え付けのテレビでは、今日青ヶ島で行われた一連の作戦───毛利元就の名戦に準えて【イツクシマ作戦】と名付けられた戦いの報道が始まっていた。
犠牲者0での敵艦隊殲滅という類のない戦果を、普段無味乾燥な口調の国営放送のアナウンサーが興奮状態で読み上げていた。




34: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 01:27:22.23 ID:LOjI/4Bw0

|w´‐ _‐ノv「おやっさん、白米一丁。塩抜きで」

( ^ω^)「……ほんっと米好きだおね秋留は」

|w´‐ _‐ノv「こればかりはやめられんよブーン先生」

( ^ω^)「待て何故知っている」

|w´‐ _‐ノv「噂で聞いた」

( ^ω^)「マッジかよお前」

衝撃の事実に頭を抱えた内藤の視線が、ふとテレビの画面に止まる。

ニュースは、丁度【かが】から飛び立つ私たちの機体を撮していた。

( ^ω^)「……秋留」

|w´‐ _‐ノv「やめんよ私は」

(;^ω^)「もう空w早い早い早い。いつものこととはいえせめて全部言わせろお」

|w´‐ _‐ノv「何度も言っていることだ。こればかりはやめるわけにはいかないんだ、どんなに危ないことだと解っていても」

……この昔馴染みの前で、いつからか私は“シュール”ではいられなくなっている。本当に、柄にも無いことばかりしてしまう。

柄にも無く多弁な私は、ビールを一息に飲み干す。

|w´‐ _‐ノv「私は空を飛ぶのが好きなんだ。

“君が見ている空”を飛ぶのが好きなんだ」

( ^ω^)「………知ってるお」




35: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 01:42:36.88 ID:LOjI/4Bw0

『僕はお空をみてるのが好きなんだお!あおい空にひこーきが飛んで、後ろにヒコーキ雲がつづいているのがすきなんだお!』

『しろいはしがかかってるみたいで、とってもとってもきれいだお!』

独白の中で、私は一つ嘘をついた。

空を飛びたいと思ったきっかけを、忘れたことなんて一度も無い。

無邪気な笑顔で舌っ足らずにそんなことを捲し立てるこいつを見たとき、私の夢は決まったのだ。

こいつが心底から好きなものを、私自身が空に描いてやりたい。こいつの笑顔を他人じゃ無くて、私が作れたらどんなにいいだろう。

それは一種、気色の悪い独占欲なのかも知れない。しかし例えそうだとしても、私はもう、そういう生き方にしか興味を持てなくなっていた。

今更他の生き方を探すなんて、出来たものじゃない。

|w´‐ _‐ノv「………しかし思うんだがね、ラインで無事は確認できているし待ち合わせ時間は君の職業を考えて余裕を持たせてる。

もうちょいゆっくり来たってバチはあたらんべ」

( ^ω^)「……」

|w´‐ _‐ノv「特に今日みたいな出撃日だとホント息も絶え絶えで飛んでくるしな。何をそんなに慌てて」

( ^ω^)「安心できないお」

|w´‐ _‐ノv

( ^ω^)「文字だけじゃ。

秋留の姿を、実際に会って、見ないと、安心できねえんだお」




36: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 01:55:23.19 ID:LOjI/4Bw0

|w´‐ _‐ノv

(;^ω^)「……?どうしtいっててててて!おま、お前現役の自衛官が殴るな!平手なのにいてぇ!!滅茶苦茶いてぇ!!骨身に染みるんだけど!?」

|w;*´‐ _‐ノv「うっせ、うっせ、うっせ!!お前がそういうこと言うから私はますます空から降りられないんだよバーカバーカ!!!」

(;^ω^)「なんだおその野党も真っ青な責任転嫁は!?」

|w;*´‐ _‐ノv「黙れバーカ!!背中腫れて寝返り打てなくなれ!!」

シュールだなどと言われながら、自分に素直に生きてきて。

でもこの昔馴染みに対してだけは、どうにもそれが上手く出来なくて。

いつ上手に出来るのか、その算段もつかぬまま。

(;^ω^)

|w;*´‐ _‐ノv



また私は性懲りも無く、空に白い軌跡を描く。




37: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 01:56:56.34 ID:LOjI/4Bw0

空と人生の一番の違いは何だか知ってるか?
「空」は誰のもんでもない「人生」は自分のもんだ 人生はコントロールが効く

───【宇宙兄弟】デニール・ヤングの台詞より




39: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 02:06:23.66 ID:LOjI/4Bw0

〜|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです〜

完!これ




38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/03/27(月) 02:03:36.38 ID:NtO7/WmA0

秋留はいいなあw
それに欧州戦線に対してこの心強さといったら…

おまけにブーンにもヒロイン枠が…とおもったらお前がヒロイン枠かいwwwwww




41: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 02:08:44.24 ID:LOjI/4Bw0

〜このssは、素直シュール、内藤ホライゾン、ss速報vipの提供でお送り致ししました〜

no title




42: ◆vVnRDWXUNzh3 2017/03/27(月) 02:14:55.80 ID:LOjI/4Bw0

>>38
まぁここのブーンはアルファベットZも使えないしオーバーゼニスもできないので。
ただの戦車道史に詳しいだけの童顔教師なので




43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/03/27(月) 02:33:25.41 ID:NtO7/WmA0

おつです!
なるほど…それと米早すぎましたねorz
六真の話もある種真理だし、現状打破すら命がけな他国に比べれば…まあそういう点を弁えた交渉なんて日本に向いてはいないけどw





・SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
 【SS速報VIP】|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです
【画像】元AKBまたまた脱ぐwwww
これを口にはめるとスゴいらしい。歯医者さんが考えた、アレを昇天させるためのマウスピース
【エ□注意】海外女のお●ぱいGIFエ□すぎwwwww 白人とセッ●スしたい
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