転載元:エレン「ドリフターズ?」

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エレン「ドリフターズ?」【前編】【後編】

431: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 21:48:29 ID:4oFdWyb6

………
……



エルヴィン「ノブナガ、君は彼女が………アニ・レオンハートが、内通者と?」

信長「――――――って思うじゃん?」

リヴァイ「おい……勿体ぶるな。結論を言え」


 厭らしく笑みを浮かべる信長に、リヴァイはうざったそうに顔を顰めた。


信長「せっかちじゃのう。まあいい……結論から言えば、限りなく黒に近い灰色だ。まだ確定ではない」

リヴァイ「ここまで話を引っ張っておいてそれかてめえ」

信長「そう言われてもな、『これ』だけじゃあ断言できんのだ。このアニとかいう小娘、こやつは元々憲兵団志望じゃ」

ハンジ「うん。トロスト区防衛戦を経て、巨人の恐怖を知り、ますます内地入りの意志が固まり、当然のように憲兵団を選んだ……ということも考えられるワケだね」

エルヴィン「ならば、その可能性をつぶさねばならない。どうするつもりだノブナガ。まさか本人に『おまえは巨人か?』と問い詰める訳にもいくまい」

信長「うむ。そこでハンジよ。お主が持ってきたこの資料に、何か糸口が隠されているやもしれん」








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432: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 21:51:56 ID:4oFdWyb6

ハンジ「え? これに?」

信長「五年前はさぞかしゴタついていたのであろう。ちょいと身元が怪しくても訓練兵団に入団できる状況であったことは火を見るより明らかぞ。そんな怪しいヤツがついでに上位成績まで稼いだりしたらどうじゃ。どう思う?」

ハンジ「怪しさプンプンですねわかります」

リヴァイ「そうか。つまりはこのアニっていうメスガキの周辺を洗い出していけば……」

エルヴィン「結果として彼女は白にも黒にもなりうる。しかし黒となった時、彼女とつながりのあるものは全て黒となる」

信長「そういうことじゃ―――――調べるぞ。お主らの得意分野であろう?」


 ニヤニヤとした笑みを浮かべる信長であったが、エルヴィンも、リヴァイも、ハンジも、笑わなかった。

 信長の瞳は、ここでない何かを見ている。細められた視線の先に何があるかは知る由もなかったが、三人は見られているそれを哀れに思った。

 信長の目は、殺意に満ち満ちていたのだから。



……
………





433: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 21:53:53 ID:4oFdWyb6

………
……


〜ウォールマリア・壁上〜


エレン「で、話ってなんだよ。そろそろ聞かせろよ」

ライナー「他の連中には聞かれたくない。もうちょっと離れてからだ」

エレン「内緒話にしたって、そこまで離れることはないだろ? 見ろよ、与一たちが壁にガッツンガッツン矢を射掛けて、どんどん石壁生やしてやがるんだ。大声出したって声なんざ届かねえよ」


 壁上を延々歩き続けるベルトルトとライナーの背に、焦れたようにエレンが声をかける。

 ライナーはちらりと肩口から視線だけ振り返り、エレンと他の兵士たちとの距離を測った。

 彼我の距離はおよそ30メートル。立体機動装置を用いても1秒強はかかる距離。

 さらにエレンが言うとおり、与一らとエルフはより精度の高い階段を作るために、バスバスと石壁の符付きの矢を放っていた。

 石壁が生える際の轟音があちこちから反響し、騒音をまき散らしている。

 ライナーとベルトルトは視線を合わせ、頷きあう――――充分だ、と。

 二人は振り返り、エレンを見下ろしながら語り始めた。





434: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:01:07 ID:4oFdWyb6

ライナー「俺達は五年前……壁を破壊して人類への攻撃を始めた」

ベルトルト「…………僕が壁を破壊した」


 ライナー、ベルトルトが選択したのは『説得』だった。

 この状況下において巨人化しての拉致は得策ではない。

 人類最強のリヴァイ兵長がおり、何よりも得体のしれぬドリフターズが何をしてくるのかも分からない。

 エレンを確保することは容易かろうと、そこから詰みに陥るのは明白だった。


エレン「…………はぁ?」

ライナー「俺が『鎧の巨人』で、こいつが『超大型巨人』ってやつだ」

ベルトルト「エレン。君が鍵だ。君さえ僕達と一緒に来てくれるのなら、もう壁を壊す必要なんてないし、人類を殺す必要もなくなるんだ」

エレン「はあ? わかんねえよ……それに一緒にって………どこにだ?」


 ただライナーとベルトルトには二つの誤算があった。

 一つはライナーとベルトルトが思っているよりも、エレンの『巨人』に対する理解度が低かったことだろう。





435: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:01:46 ID:4oFdWyb6

『座標』たる彼は、その恩恵と力を未だ知らず、自覚していない。

 だが自覚していたのであれば、エレンは彼らに助力しただろうか。


 ――――否。断じて否だ。


 それが誤算のもう一つ。

 エレンは巨人を害獣としか認識していないし、これからその認識が変わることはないだろう。

 故に無意味な説得であった。


ライナー「そりゃ言えん。まあ言ってみれば、俺達の故郷ってやつだな」

ベルトルト「そ、そうだよ。エレン、君さえ来てくれるなら、僕たちは………」

ライナー「悪い話じゃあないだろう? 俺達と一緒に来てくれ。おまえなら、わかるだろ?」

エレン「だから、わかんねえって………俺ならってなんだよ。巨人化できるとなにか分かるようになるのが当たり前なのか?」


 ここに来て、ライナーとベルトルトは悟る。自分たちの誤解を。

 思いのほか、エレンはこの世界の仕組みについての理解がない。





436: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:13:56 ID:4oFdWyb6

ここで説明して納得させることは可能だが、それは逆の危険性を孕む。

 『座標』であることを自覚した彼が、その力をどう揮うようになるか。

 敵か、味方か。

 その危険性を天秤にかけ、ライナーとベルトルトは――――


ライナー「悪いが、お喋りはここまでだ。こっちにこい。俺が巨人化して、そのまま離脱する。ベルトルト、おまえは足止めだ。いよいよとなったら『アレ』使えば、逃げられるだろう?」

ベルトルト「分かった」


 両者を包む空気が明らかに変化した。

 兵士から戦士へ。

 味方から敵へ。

 友愛は殺意へ。

 それを間近で、誰よりも確実に感じ取った筈のエレンは、



エレン「―――――なあ、ライナー、ベルトルト。いくつか聞きたいことがあるんだ」





437: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:15:04 ID:4oFdWyb6

波紋ひとつ広がらない湖面の如き落ち着きようだった。

 いっそ不気味なほどに冷たく、静かで、それがあまりにもエレン・イェーガーに相応しくなく、恐ろしい。

 エレンを確保しようと近づいてきたライナーの足が、思わず止まってしまうほどにはだ。


エレン「俺は巨人が憎いって、そう言ったよな。ライナー、ベルトルト。同じ部屋で、話しただろう? 誰が俺の母さんを殺したのか知っているだろう」

ライナー「それは………仕方なかった。仕方なかったんだ」

ベルトルト「気の毒、だとは思う……だけど、僕たちはああするしかなかった」

エレン「仕方なく。気の毒。そうか、そうか」


 二人の言葉を噛みしめるように繰り返し繰り返し、エレンはつぶやいた。納得するように。

 しかし、



エレン「仕方なくで、お気の毒で、殺されたのか。俺の母さんは。そうか、そうか、そうか、そうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうか」ブツブツ



 今度はエレンの雰囲気が、目まぐるしく変化していく。

 水面の水が一瞬で蒸発するほどの爆熱を伴って、熱風が吹き荒れるかのよう。





438: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:18:04 ID:4oFdWyb6

視線に質量があるならば、ライナーやベルトルトに命はなかっただろう。

 エレンは、怒り狂っていたが、よく感情を制御していた。

 ただ冷静に、狂っていた。

 『どうすればこいつらにとって最も苦しい殺し方ができるだろうか』

 それだけを考える、人殺しの目をしていた。


エレン「よく、分かったよ。おまえら、どうしようもねえクズだ。生きてる価値がないなんてもんじゃねえよ。マイナスだ。生きていられるだけで迷惑だ」

ライナー「ッ、なんとでも、言えよ……それでも俺は、俺達は、おまえを捕まえて、故郷に帰るんだ」

ベルトルト「許してくれとは言わない。だけど、目的は必ず達成させてもらうよ。エレン、君を連れて――――」

エレン「俺と、おまえと、ライナーと、後はどうした?」

ライナー「何?」


 燃えるような瞳のまま、口元をわずかにゆがめて、エレンが言う。



エレン「――――アニは連れて行かなくていいのか? 一人ぼっちじゃ可愛そうだろうが」





439: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:26:20 ID:4oFdWyb6

ライナー「ッ!?」

ベルトルト「な、あ………アニ!?」


 予想外の名前を聞かされて、両者の体が強張り固まった。

 アニ!? 何故!? どうしてそれを知っている?! アニがすでに捕まっている!? 自分たちのことを吐いた!?

 そして思考はかき乱され、冷静な判断能力と状況把握力を失う。

 その直後、エレンが呟いた。



エレン「―――――だ、そうだぜ。豊久、兵長」




豊久「応」

リヴァイ「ああ」


 エレンが立つ壁の横から、島津豊久とリヴァイが飛び出した。





440: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:28:56 ID:4oFdWyb6

エレンが立つ壁の横から、島津豊久とリヴァイが飛び出した。


ベルトルト「っぅ、ぅわあああああああああああああ!!!!」


 更なる驚愕に塗りつぶされ、訳も分からずベルトルトは拳を繰り出す。


豊久「阿呆が。所詮は小童じゃな」


 罵倒する声に呆れが混ざる。漫然と繰り出された右の拳を首の動きだけで回避し、一歩を強く踏み込む。


豊久「反吐をブチ撒けい」


 踏み込んだ逆の脚に全体重を込めて、鳩尾に膝蹴りを突き刺す。

 どぅん、という重低音は、確実に内臓へと威力が伝わった証左だろう。

 ベルトルトはうめき声も無く意識を失い、ぐったりとしたまま膝を折り、壁に沈んだ。


ライナー「っ、が、あ…………」

リヴァイ「拳なんぞ繰り出す暇があるなら、巨人化でもしていればよかったものを……」





441: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:31:48 ID:4oFdWyb6

ライナーは、何一つ抵抗できないまま、地面を噛んでいた。

 リヴァイの関節技が完全に極まり、左腕の関節が逆に締め上げられている。

 唯一動かせられる箇所は―――――右腕。


ライナー「ぐっ………!!」

豊久「遅い」


 慌てて手をかみ切ろうとしたライナーの動きに先んじて、ベルトルトを沈めた豊久が抜いた刀を振りかぶった。

 突き付けるのではない。振りかぶったのだ。天高く。


豊久「動けば首ば落とす。喋れば首ば落とす。怪しげな動きを見せれば首―――――置いて行ってもらうど」

ライナー「ッ………」

豊久「大人しゅうしとれ。お前らが何がやらかすよりも早く、俺はお前らの首ぃ刎ねることができっど」

ライナー「ッ………!? ッ!?」

エレン「なんで? どうして? そんな顔してるな。おまえらは知らなかったんだろうがな―――――トヨヒサたちの世界には、こういう便利なものがあるらしいぜ」


 そう言ってエレンが懐から取り出したのは、通信用の水晶球。





442: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:36:34 ID:4oFdWyb6

信長『まァ、そういうこった。お主らの自白、一言一句余すところなく聞かせてもらった』


ライナー(水晶から、こ、声、が………!?)

エルヴィン『104期の上位成績者十名のうち、八名も調査兵団に入ると聞いたときには喜んだものだが……真に残念だ、ライナー・ブラウン。そしてベルトルト・フーバー……』

ライナー(ハメられた………ま、またしても。エレンを単独で行動させていたのは、誘いだったのか)

信長『えるふと与一に壁を射掛けさせていた理由ももう分かったろ? 気づいたときには、ハイ手遅れってやつだ』

ライナー(立体機動のガス噴出音を、あのアホみたいな轟音でごまかしていたのか………近づいていることを悟らせないため……)

信長『ちなみにこの会話はな、ここにいる全調査兵団に届いている。今は違うが―――――ほう? ヤケになって他にも巨人化するアホが出てこないかと思ったが、おらんな?』

エルヴィン『つまり、君たちだけということでいいのかな? ああ、返事はしなくていい。その瞬間、もう何も聞き出せなくなってしまう』

豊久「首、獲ってはいかんのか?」

信長『ダメ』

エルヴィン『ダメ』

ハンジ『ダメ』

リヴァイ「やめろ」

豊久「ぐぬぬ」





443: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:42:58 ID:4oFdWyb6

エルヴィン『確定だな、信長。灰色は黒になった。白二つは黒二つとなった。ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、そしてアニ・レオンハート、この三名が内通者――――巨人だ』

信長『うむ、ではとりあえず、りばいよ、やってしまえ』

リヴァイ「ああ」

ライナー「ッ、ぶ、ぐっ………!?」


 リヴァイは極めていた左腕を開放し、すぐさまライナーの首を捕えた。変則的なチョークスリーパー。

 数秒と待たず、ライナーの意識もまた暗闇に落ちていった。


豊久「眠っておれ。起きた時がお前らにとっての地獄の始まりじゃ」

エレン「それまでに考えておくよ………お前らがどうやったら苦しんで死んでくれるか。俺、頑張るからさ……」


 そう言って、豊久とエレンは暗い笑みを浮かべる。

 『鎧』、そして『超大型』

 人類の策に堕ちる―――――。



……
………





444: ◆B2mIQalgXs:2014/03/11(火) 22:46:35 ID:4oFdWyb6

※おまけ〜本日のユミルさん〜


ユミル「セーーーーーーッフッ!! 私セーーーーーフゥッ!!」ゼェゼェハァハァ

クリスタ「バレたらとんでもない目に合ってたね」

ユミル「やめろ………私に乱暴する気なんだろう……? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!」ガクガクブルブル

クリスタ「大丈夫よ、ユミル。そんなことになっても、私だけはずっと貴女のそばにいる。貴女は私が守るから……」

ユミル「うん、あたちガンバる」エグッエグッ

クリスタ「よちよち」ナデナデ


 実際、ユミル捕まったら信長あたりに「女を拷問? そりゃレイプが一番。生娘ならなおさら」とか真顔で言いそうだし。

 マジでやりかねないから困るのが信長。





461:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/23(日) 21:36:42 ID:wvSAv55o

〜ウォールマリア・東突出区・地下室〜


リヴァイ「チッ………埃っぽいところだな。気分が悪い」

ミケ「我慢してくれ、リヴァイ」

リヴァイ「分かっている。地下室はあのデカブツ二人を隔離できる場所だ。万一巨人化されてもすぐに捕えることができる」

ハンジ「リヴァイは潔癖症すぎるんだよ。ほら、ここだ。お願いだから尋問の最中に掃除とか始めないでよ?」

リヴァイ「するか、クソメガネ」


 ガチャッ


信長「ぬ、来たか」

エルヴィン「待っていたよ、リヴァイ、ミケ、ハンジ――――それに、エレン、アルミン、ミカサも。エレン、君は少しは冷静に―――――」

エレン「…………ろす、殺す、殺す、殺す」ブツブツ

エルヴィン「―――――なっていないようだな。ミカサ、リヴァイ。いざという時は二人で押さえつけてくれ。こんなところで巨人化されたら敵わない」

リヴァイ「分かってる」

ミカサ「エレン。落ち着いて。これから尋問して、いろいろと聞かなきゃいけないことがある」





462: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 21:39:39 ID:wvSAv55o

エレン「それが、それが終わったら、いいんだよな? 殺しても、こ、こっ、殺して、いいんだよ、な……?」

ミカサ「え、エレン?」

エレン「敵、仇、そうだ、仇だ……母さんを、シガンシナの皆を、殺した、あいつらなんか、あいつらなんか……」

豊久「阿呆」ゴツンッ


 殺意をまき散らすエレンの脳天に向かって、豊久は刀の柄尻を思い切り振り下ろした。


エレン「ってえええええええ!! 何しやがるてめえ!!!」

豊久「阿呆と言うた。お前こそ何ばしょうつもりじゃ。戦場にて首ば狩り獲るは武者の誉ぞ。ばってん、降り首ば獲るんは恥じゃ」

エレン「ッ、けど、豊久! あいつら、あいつらはっ、俺の家族を、母さんを………」

アルミン「よすんだ、エレン」

エレン「知ってるだろ、おまえも!! あいつが蹴った壁の破片が家に当たって、家が崩れて、母さんはその下敷きになって――――何もできずに、巨人に喰われて死んだんだ!!」

エレン「俺はそれを、見てることしかできなかった。力がなかったから!! だけど、だけど今は違う! 殺せる! 殺せるんだ、あいつらを!!」

豊久「然れども、えれん。身動き一つ取れぬ者を一方的に嬲るは、武士の行いではなか。侍ではなか! 恥じゃ! えれん、弁えよ。斯様な真似ぞしたならば、お前はお前の母者ば喰ろうた巨人と変わらぬ」

エレン「ぐっ…………」

豊久「お前は強か志の持ち主であろう。優しか。強か、良か男(にせ)じゃあ。そげん殺気だっておっだら、みかさが怯えようぞ」





463: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 21:44:02 ID:wvSAv55o

エレン「ミカサ……?」

ミカサ「エレン、落ち着いて………私だって、怒っている。怒っているけれど、今は、そうやって感情をまき散らすような場面じゃない」

エレン「………そっか。そうだよな。ごめん、ミカサ。頭冷えたよ………」

ミカサ「うん」

豊久「うむ。はやり夫婦はかくあらねばならぬ。夫が過つならば、妻が正す。良か、良か夫婦じゃ」

エレン「っば………だ、だから、俺とミカサは、め、めめめ、夫婦とか、そ、そういうんじゃねえ!! か、家族だって」

豊久「姉弟か? そうは見えぬ。お前らは恋仲ではなかか?」

ミカサ「こ、恋仲とか、そういうのではなく………か、家族です」

豊久「嘘をつけい。こげん睦まじか男女(なんにょ)が恋仲でなくてなんだというんじゃ」


 戦国脳の豊久であるが、男女の機微にはそれなりに通じている。朴念仁ではあるが、エレンほどに唐変木というほどでもない。

 戦国の世にあっては14,5で婚約することはさして珍しい話でもなく、豊久からすればこの二人はとうに恋仲であるように見えていた。

 だが、エレンとミカサは違う、という。頬を朱に染めて、互いの顔をちらちらと窺うように見ては逸らす。その様子に、豊久は首を傾げた。


豊久「まどろっこしいのう。えれん、お前はまだみかさとまぐわっておらんのか?」





464: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 21:51:24 ID:wvSAv55o

エレン「ま、まぐわ………///」カァァッ

ミカサ「そ、そ、そん、そんなこと、して、ない」カァァアアア

豊久「ほうか。まだ童貞に未通女(おぼこ)か。うむ、えれんよ。後で俺の宿所ば来やれ。閨での作法ば教えてやる。覚えたらみかさと結ばれい」

エレン「さ、作法ッ!?」

豊久「応。閨での営みば、男子の作法あってのものじゃ。おなごにそげんこつさせるは、男の名折れぞ。しかと導いてやらねばいかぬ」

ミカサ「み、導く………え、エレンに………ッ////」ボンッ

エレン「っ、ば、だ、だから、ミカサッ、おまえが、そ、そんな顔、赤くしてっから、こういう誤解を、だな………////」アセアセ

ミカサ「ご、誤解じゃ、ないと言ったら、エレンは信じてくれるの、だろうか………?////」カァアア

エレン「なっ、なに、言って………そ、それって、おま、いや、でも、お、俺は、ミカサのこと、その………」ドッドッドッ

ミカサ「……………」ドキドキ

ハンジ「ニヤニヤ」

アルミン「爆発しろ」

ミケ「臭い。ここだけ甘ったるい匂いがする」

リヴァイ「よそでやれ」

エルヴィン「後でやってくれ」





465: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 21:58:39 ID:wvSAv55o

信長「金柑頭殴りてえわー。なんとはなしに金柑殴りてーわー。あーもー、戻ったら真っ先に金柑頭殺そう」

ハンニバル「か、かるたごー、かるたごー。妻よー、妻ー」ブツブツ

与一「いいですねえ。初々しい。幼馴染で恋仲ですか。ふふ、なんだかとても微笑ましい」フフフ

豊久「うむ。やはり若い者が結ばれるのは良か」

エルヴィン「そのあたりにしてくれ。エレンも落ち着いたようだしな」

エレン「ッ! し、失礼いたしましたッ!!」バッ

ミカサ「も、申し訳ありません!」バッ

エルヴィン「君たちの仲が良いのは分かったが、今後は時と場所を考えるように。いいね?」

エレン「は、はい。ッ〜〜〜〜〜〜〜」カァアアア

ミカサ「ッ〜〜〜〜〜〜〜はいッ」カァアアッ

アルミン(僕が何をどうしても進展しなかったこの二人が、あっさりお互いを意識し始めた………やっぱりおトヨさんはすごい)


エルヴィン「さて、本題に入るぞ」

リヴァイ「二人は?」

モブリット「隣の部屋で拘束しています。こちらです」





466: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 22:04:12 ID:wvSAv55o

扉を開けた先には、拘束された大男が二人いた。

 両手両足を鉄の輪で拘束され、大の字に寝転がされている。

 口元には猿轡だ。自害を防止するためのものではあるが、これは『自傷』を防ぐための意味が大きい。


エレン「ッ………」


 エレンの瞳が僅かに険を帯びる。握りしめた拳からは血が滴っていた。

 だが、豊久の茶化すような説得が功を奏したのか、エレンはがなり立てることも暴れることもなく、よく己の感情を抑えているように見えた。

 それを確認したエルヴィンが、モブリットに指示を出す。


モブリット「今から猿轡をとるけれど、自傷行使は慎むように。やったとしたら、殺さざるを得なくなるかね?」


 そう警告しながら、モブリットはライナーの猿轡を外し、次いでベルトルトのも外した。


リヴァイ「さて、ではおまえらには聞きたいことが山ほどある。拒否権はない。死んでも吐いてもらうぞ、人類の敵が」

ライナー「…………俺たちは敵じゃあない」


 開口一番、ライナーがそう告げるや否や、リヴァイがブレードを抜き放ちつつ、駆け出した。





467: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 22:05:37 ID:wvSAv55o

誰も、豊久ですら止める暇もなく―――――リヴァイはライナーの顔の真横に、ブレードを突き立てた。


ライナー「ッ………ぅ、あ」

リヴァイ「素直に話すのは構わんが、少し言葉を選べ。壁外に出た時はいつもこうだ―――――どうにも興奮のせいか、手が滑りやすい」

ベルトルト「ら、ライナー………」

リヴァイ「もう一度同じことをほざいてみろ………次はもう少し下の方に手が滑るかもしれん。おまえらは二人いるから、一人までは問題ないだろうしな………試してみても構わんぞ? ン? どっちがいい?」

ライナー「ッ………」ゾクッ

ベルトルト「ひ………」ビクッ


信長(脅し文句としては極上の類だな。ブチ切れた演技もなかなかだ。こやつ腹芸もなかなか達者ではないか)

豊久「ぬ? えれんよ、何を震えておる」

エレン「な、なんでもねえ………」ガクガクブルブル

アルミン(ああ………トラウマか)ムリモナイ

ミカサ「エレン、落ち着いて。大丈夫、私がついてる。私が守る」ギュッ

エレン「だ、だだ大丈夫だよ………こ、こりゃ、あれだ、そ、そう、トヨヒサが言ってたヤツだ、ムシャブルイってヤツだ」カチカチ

豊久「おお、その意気や良し。お前は男子じゃな。よかにせじゃ」ハッハッハ





468: ◆B2mIQalgXs:2014/03/23(日) 22:09:26 ID:wvSAv55o

エルヴィン「リヴァイ、下れ。そう脅しつけるな」

リヴァイ「チッ………了解だ、エルヴィン」

信長「では儂から質問させてもらうぞ? お主らの目的はなんじゃ?」

ライナー「聞いていたんだろう? 俺たちは五年前、この壁内の人類を皆殺しにするためにウォールマリアシガンシナ区の壁を破壊した」

信長「ああ、壁を破ってから五年間、兵士としての訓練を受け、壁内の様子を窺っていたことは分かる。だがとろすと区防衛戦からのお主らの行動には一貫性がない」

ライナー「それは―――――」

エルヴィン「エレン、か。君たち以外にも巨人化できる存在が現れたことが、君たちの行動方針の変更を余儀なくさせた」

ライナー「そこまで分かっているのなら、話は早い。エレンをこちらに渡してくれ。早くしないと手遅れになる」

エレン「ふざけるな!!! 誰がてめえらなんぞと!! どういう神経してんだ!! 俺の家族を、母さんを殺したてめえらが!!」

ハンジ「落ち着きなさい、エレン!」

ミカサ「待って、エレン……ライナー。貴方にはいろいろと思うところがあるけれど………エレンが巨人化できるのは、貴方たちの目的に深く関わることなの?」


 ミカサの言葉に、ライナーとベルトルトは揃って目を丸くし、示し合わせたように、次いでエレンを見た。


エレン「………なんだよ」

ライナー「―――――そうか。エレン、おまえは覚えてないのか」





495: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 21:50:20 ID:B3bhodFw

エレン「俺が憶えていない? 何を憶えてないってんだ」

ライナー「………お前が忘れているのは」

ベルトルト「ライナー!! それは!!」

ライナー「ここまでだ、ベルトルト。お前の言いたいことも分かる………」

ベルトルト「何故だ! まだ、まだ僕たちは負けちゃいない!! アニがいる!!」

ライナー「忘れたか、ベルトルト。壁上で、エレンは確かにアニの名を出した。既にアニは疑われてる。そして――――あの用意周到な眼帯男が、そんな疑わしいヤツをノコノコ泳がせておくと思うか?」

ベルトルト「ッ…………!!」


 苦々しげに言葉を吐き出すと、ライナーは忌々しいものを見るような目で、信長を見つめた。

 信長は鼻で笑って首肯した。


信長「ああ。当然、あのアニとかいうのには監視をつけた。監視役には通信用水晶球を持たせてある」

ライナー「厄介なもんだな、その水晶球は。それ以上に、あんたが」

信長「最高の褒め言葉じゃな。そうそう、先ほど捕縛したと連絡が入ったぞ」

ベルトルト「ッ……アニに、手を出すな!!」

信長「注文出せる立場か? 精々従順にこちらの言葉に従えば、考えてやらんでもないぞデカいの。そっちの金髪のゴツいのは、分かってるようだがな」ククククククク





496: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 21:56:17 ID:B3bhodFw

ライナー「…………」ギリッ

ベルトルト「く、くそ…………」ガックリ


信長(まあ―――――実際は捕縛なんぞしとらんし、つーか監視役が『しーな』で見失ったという体たらくじゃが、黙っておくか)

信長(おそらくは巨人化して、虚報の行軍経路で一人待ち伏せでもしておるのだろう)

信長(来るはずのない俺らを待ってな…………ク、ククク、考えただけで笑える)プークスクス

豊久(本当に嫌な奴じゃのう)

リヴァイ(ロクな死に方しねえな、絶対)


エレン「………で、俺が何を憶えていないって言うんだ」

エルヴィン「待て、エレン。それは後で聞く。ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー。君たちに立場を理解して貰ったところで………そろそろ尋問を開始したい。言うまでもないが、君たちに拒否権はない」

ライナー「ッ………分かっている」

ライナー(こうなった以上、こちらに協力してもらうしかねえ………となると、厄介なのはやはりエレンだ。あんにゃろう、全然人の話を聞きやしねえ。難儀だが、どうにかしてこちらに協力して貰わなければ)

ベルトルト(アニが捕まったなら………もう、これしかない。どうにかしてエレンを説得する。何が何でも)





497: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 21:58:41 ID:B3bhodFw

ライナー「………どこから話すべきかな。まあ、言ったところでおよそ信用してくれるとは思わんが……」

エルヴィン「それはこちらで決めることだ」

ライナー「では、何から話す? 俺達の目的か? 俺達の敵か?」

エルヴィン「もちろん聞かせてもらうが、それは後回しだ。今聞くことはただ一つ」


エルヴィン「―――――巨人とは、なんだ?」

ライナー「……核心ついてきてるな。流石は団長」


 苦笑交じりの溜息をつきながらも、ライナーは心底で安堵した。

 ―――――その質問を先にしてくれるのならば、説得はやりやすい。


ライナー「なら、順を追って話す必要がありそうだな。まず団長、その問いについてだが………こっちからもいくつか質問しなければ答えられない類のものだ。許可をいただけるか?」

エルヴィン「…………いいだろう」

ライナー「助かる。こうなっちまった以上、こちらとしてもあんたらに正しく物事を理解して貰わないと困るんでな」

ベルトルト(後は、君たちの良心に賭けるだけだが………)





498: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 21:59:19 ID:B3bhodFw

ライナー「エレン。おまえはどうやって『戻った』のか、覚えているか」

エレン「あ?」

ライナー「ああ、残酷なことを聞いているのは分かってる。おまえ、誰を『食った』?」

エレン「は? どういう意味だそりゃ。生憎と俺は人を食う趣味も生態も持ち合わせちゃいねえよ」

ライナー「やはりか」

ベルトルト「覚えていないんだね。無理もないよ………僕たちの時も『そう』だった」

エレン「何を、言ってんだ………? 何が言いたいんだよ、てめえら」


 苛立たしさを隠そうともせずに問うエレンに対し、ライナーは対照的に冷めた態度で、その事実を告げた。



ライナー「何を言いたいか? おまえがいつ『巨人』から『人間』に戻ったか、という話をしているつもりだが」



 その瞬間、時が停止したように、誰もが息を呑んだ。

 言葉を発したライナーと、それを見守るベルトルトだけが、どこか冷やかな視線を彼らに向けていた。


リヴァイ「な………に?」





499: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 22:09:43 ID:B3bhodFw

エルヴィン「ッ!!」

ライナー「その反応から察するに………エルヴィン団長、聡明なアンタのことだ。『巨人』がもともと『人間』だってことぐらいは想定してるんだろう」

エルヴィン「…………ああ。ハンジ、そしておそらくはノブナガ、君もだろう?」

信長「ま、ありえん話ではないな」

ハンジ「…………まあ、ね」

エレン「ッ!? そ、そんな馬鹿なこと………馬鹿な………」

アルミン「………ッ」

ベルトルト「………アルミン。君もか」

エレン「あ、アルミン?! お、おまえまで、こんな馬鹿な話を信じるのかよ!?」

アルミン「……………巨人はうなじを削がれたら死ぬ。そしてエレン。君は『うなじ』の中に入っていた。巨人の本体として」

エルヴィン「可能性としては、考えられることだった。巨人の体は非常に高温だ。うなじを切り飛ばした後、本体である人間はその高熱で溶けて消える、そんな仮説も考えた」

ベルトルト(半分正解ってところかな)

ハンジ「ソニーとビーンを殺したのは、君たちか。その事実を知られては困ると、そう思ったのかな」

ライナー「出来れば俺かベルトルトが殺っちまいたいところだったんだがな…………やったのはアニだ」

アルミン(ッ………じゃあ、やっぱりあの立体機動装置は、アニじゃなくてマルコの………!!)





500: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 22:11:54 ID:B3bhodFw

ライナー「話を戻すぞ。巨人とは何か、という問いだが―――――言葉の通りだ。巨人とは『巨大』な『人』。人が巨大化して、理性を失った存在。それが『巨人』だ」

エレン「ッ、なんだ、そりゃ………!! それが、俺が人を食うことと、どうつながるってんだ!!」

ライナー「順を追って説明すると言っただろう。そうだな………誰か、そこに二人。横に並んでくれるか」

ベルトルト「その二人の間に、エレンが立ってくれるかい」

リヴァイ「エレン。言うとおりにしろ」

エレン「へ、兵長! しかし!!」

リヴァイ「命令だ。やれ」

エレン「ッ………わかりました」


 不満たらたらといった表情で、エレンはリヴァイとエルヴィンの間に立った。


ライナー「まずは左の………リヴァイ兵長。あんたがただの人間の立ち位置だ。巨人化能力を持たない、ただの人間」

リヴァイ「…………」

ライナー「次の段階が、エレンだ。巨人化能力を備えた人間。強い目的意識を持って自傷することで、巨人に変身することができる存在」

エレン「ッ………」

ライナー「そして右………エルヴィン団長。巨人化能力を制御できなくなり、巨人化したまま理性を失った存在………無知性巨人があんただ」





501: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 22:25:30 ID:B3bhodFw

エルヴィン「巨人化能力を、制御できなくなった? ………ッ、そうか! トロスト区防衛戦でのエレンの暴走は!!」

ライナー「御想像の通りだ。あの時は焦ったぞ………巨人化についてはズブのド素人であるエレンをいきなり実戦に投入し、挙句に暴走するなんてな」

ベルトルト「巨人化能力は諸刃の剣だ。恩恵には代償が必要になる。巨人化は人を人たらしめる強い自我と理性、膨大な体力を消耗する。少しでも気を抜けば『取り込まれて』そのままずっと巨人から戻れなくなってしまう」

アルミン「待って………巨人はどうして人を襲う? 人だけを襲うの? ただ理性を失うだけならば、やみくもに周囲のものを破壊したりするんじゃあ」

ライナー「本能、と言っちまえばそれまでなんだが………簡単なことだ。人を食って、人に戻るためだ」

与一「んー………分かりませんねぇ。巨人には『しょうかきかん』とやらがなくて、食べてもすぐに戻してしまうと聞きましたが?」

ベルトルト「言いたいことは分かるよ。ただの人間を食っても、巨人は人には戻れない。だが、その人間が『巨人化能力者』なら話は別だ」

ライナー「巨人が巨人化能力者を食うことで、その巨人は『巨人化能力』を備えた人間に戻る。理性を取り戻すということだ」

エレン「じゃ、じゃあ…………お、俺が、覚えてないってのは」


ライナー「そういうことだ。だから聞いたんだ――――おまえは、誰を食ったのか、と」

エレン「お、おれは、俺は、誰かを、く、食ったの、か………?」ブルブル

ミカサ「エレン!! しっかりして!!」

エレン「ち、ちが………違う、ミカサ。俺は、違うんだ。そんなこと…………分からねえ。なんでだ、なんで、俺の記憶は、こんなに曖昧なんだよ………」ガタガタ





502: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 22:39:09 ID:B3bhodFw

ライナー「記憶があいまいなのは仕方ないことだ。俺たちの時も――――俺たちが人間に戻った時も、そうだったんだ。誰を食ったのかも覚えちゃいない」

ベルトルト「あまり、気に病むことはない………」

ハンジ「そうか。だから他の巨人はエレンを攻撃するのか。本能的にエレンが人間だってことが分かるのかな? うーん、だとすると………」ブツブツ

ライナー(エレン、おまえは誰を食った…………マルセルを食ったのは、別の巨人だ。エレンの巨人体とは姿形、大きさもまるで似通うところがない)

ベルトルト(僕たちが気になったのはそこだ。ひょっとしたら、エレンは『人』ではなく、『アレ』を口にしたのかもしれない)

信長(………少しだけ読めて来た、が………まだ足りんな)チラッ

エルヴィン(………)コクリ

エルヴィン「つまり、君たちがエレンを狙うのは………これは想像だが、例えば君たちの仲間に、理性を失った巨人がいて、そいつにエレンを食わせて正気を取り戻させるためだと?」

ライナー(ッ、来たか、その質問が………)

ベルトルト(正念場だ………ここからはうまく誤魔化さなければならない)

リヴァイ「どうした。考え中か? さっさと答えろ」

ライナー「………それは、違う。俺は、俺達は、エレンが持っているかもしれない能力に期待している」

信長「ン? そういや、『エレンが来たら、壁内の人類を皆殺しにする必要がなくなる』とか言うておったか」

ベルトルト「そ、そうだ。そのことで、エレンに協力を求めたいんだ」

エレン「………ッ、おまえらが何を俺に求めてんのか知らねえが、俺がそれに協力すると思うか?」





503: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 22:48:19 ID:B3bhodFw

ベルトルト「………思うよ。楽観しての発言じゃあない。どの道、このままじゃあ遅かれ早かれ人類側は詰む。その時、君は真っ先に人類にとって敵という立場に立つだろう」

エレン「俺が人類の敵だと?」

ライナー「そうだ。おまえも同じ巨人化能力者ならわかるだろう? いや、まだ自覚症状が出ていないか?」

エレン「何の話だ!!」

ライナー「理性だよ。巨人化能力は万能じゃあない。巨人化能力者を食って、人間に戻って、それで終わりというわけじゃない」

ベルトルト「巨人化能力を使い続けると、いずれ巨人に戻る」

エレン「――――――は?」

ライナー「分かり辛かったか? 簡単に言えばだ―――――おまえも俺もベルトルトもアニも、このままじゃあいずれは他の無知性巨人になっちまうって話だ」

ミカサ「ッ、そんな………!!」

アルミン「エレンが………そ、そんなの、嘘だ!! エレンに無理やり協力を取り付けるために、君たちが嘘をついてる可能性だって!!」

ライナー「証明できる手段はない。だが、覚えておけ。これからエレンが巨人化するたびに思い出せ。そのたびに、エレンは人から巨人へと近づいていく」

エレン「そ、そんな………嘘だ………嘘だ………」ガクッ

エルヴィン「ッ………ハンジ。リヴァイ。エレンを退室させてやってくれ」

リヴァイ「分かった。こい、エレン」グイッ

エレン「嫌だ……そんな、俺は、この力で、世界を………シガンシナを………」ブツブツ





504: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 22:53:33 ID:B3bhodFw

ハンジ(錯乱してる………無理もない)スッ

ミカサ「え、エレンは、私が連れていきます!! お願いします、団長!!」

アルミン「ぼ、僕も!! どうか、私にもその役目を!!」

エルヴィン「…………分かった。許可する。エレンを別室で休ませてくれ。彼は今、酷く疲れているだろう」

ミカサ「はっ! エレン………肩を」スッ

アルミン「しっかりして、エレン。大丈夫だよ。僕と、ミカサがついてるから………」

エレン「あ………あ………嫌だ、嫌だ」ポロポロ


 ミカサとアルミンに引きずられるように退出したエレンを見送った後、エルヴィンはライナーとベルトルトに向き直った。


エルヴィン「――――このままでは、人類側は詰むと言ったな。どういうことだ」

ライナー「言葉の通りだ。俺たちが壁を破壊しようがすまいが、どのみち壁内は地獄になる」

リヴァイ「その根拠を言えと言っている」

ベルトルト「…………『猿』です」

ハンジ「はい? 『さる』?」

信長「ん? 『猿』がどうかしたか」





505: ◆B2mIQalgXs:2014/04/06(日) 23:03:28 ID:B3bhodFw

リヴァイ「なんだ、その『さる』というのは?」

ライナー「壁外にいる哺乳動物だ。賢く、人と大差ない外見をしてる。毛むくじゃらだがな――――その『猿』に見た目が酷似した『獣の巨人』が、いずれ壁内にやってくる」

ベルトルト「猿は巨人化したままでも理性を保ち続け、人の言葉を話し、そして――――普通の人間を、巨人に変えてしまう『座標』を持っている」

ベルトルト「彼によって巨人になった者は、昼夜を問わずに活動できる。お構いなしだ。何より、猿には壁の恩恵が意味をなさない――――登って乗り越えてしまうだろう」

ミケ「な、にぃ………!?」

ライナー「遠くない未来、やつはやってくる。そうなれば、壁内は巨人で溢れかえり、人類はなすすべもなく抹殺されるだろう」

ベルトルト(………彼についていけば、故郷に帰れることは、伏せておこう)チラッ

ライナー(ああ。言ってもこっちに不利になるからな)コクリ


信長「―――――そこで、エレンに繋がるのか。エレンはどんな能力を持っておるのじゃ?」


ライナー「ああ、あいつの手に渡った『座標』は恐らく――――――『巨人に対する絶対命令権』だ」

エルヴィン「巨人に対する、絶対命令権?」

ベルトルト「そうだ。巨人を律し、従わせ、操る。それをうまく使えば―――――すべての巨人を人間に戻すことができるかもしれないんだ」





582: ◆B2mIQalgXs:2014/06/01(日) 20:48:15 ID:F.To/9iQ

女型の巨人は、アニ・レオンハートは考えていた。


女型の巨人「……………」


女型の巨人(何度考えても―――――持ちうる情報で得られる答えは二つに絞られる。調査兵団が不測の事態により撤退した、あるいはトロスト区から出られない状況にある。もう一つは、私たちが調査兵団に出し抜かれたということ)

女型の巨人(前者の可能性の方が断然高い。物資の調達漏れがあったから出立が遅れているとか、出立早々に巨人の集団に襲われて撤退を余儀なくされたとか、いくらでも説明がつく)

女型の巨人(だが――――ライナーとベルトルトが危険を省みずに送ってきたドリフターズに関する資料。あれがどうにもひっかかる)

女型の巨人(百メートル近く離れた的を射ぬく矢の名手がいるとか、悪魔のような頭脳を持った隻眼がいるとか、執拗に首を狩り取ることを生きがいにする妖怪がいるとか……)

女型の巨人(挙句に耳の長い美形の男どもがぞろぞろいるとか………ふざけた報告書だった。異世界から来たとか、怪しげな魔術を使うとか、本当にふざけている。正気を疑う報告内容だったけれど)

女型の巨人(それが事実だとすれば、ドリフターズとは、もはや私たちの固定概念が通用しない、想像力すら飛び越えた存在ということになる。私の考えすぎ?)


 混濁する思考を、首を振って否定しつつ、アニは今一度情報の洗い出しと精査を行った。


女型の巨人(………待て。思い返してみれば、シーナで振り切ったあの尾行………ぬるま湯につかった憲兵とは思えなかった)

女型の巨人(かなりの手練れ………王政の中央憲兵? 諜報員? いや、それにしてはお粗末だ。調査兵団員と考えたらどうだろう? 糸一本分ではあるけれど、後者の結論へと繋がる)

女型の巨人(調査兵団が私に尾行をつけたとすれば、ライナーとベルトルトの正体を調査兵団がカンづいていることは明白。この一連の事態が、それに起因しているとすれば――――)

女型の巨人(私の戦闘定石だ。いつもと変わらない。考えろ。私たちが、巨人が、最も『やられたら嫌なこと』はなんだ? 私たちが彼らであれば、どうするのが正解だ?)





583: ◆B2mIQalgXs:2014/06/01(日) 20:52:12 ID:F.To/9iQ

女型の巨人(今回の遠征では、彼らも、ドリフターズも同伴するという。何のために? 何故? 利害が一致した? 調査兵団にとっての利は? 目的は? 彼らはどこへ行きたい?)


 アニの思考はかつてないほどにクリアになり、より多くの要素を取り込んだ思考回路は確実に一つの答えに向かって回転を続けていた。


女型の巨人(もはや『どうやって』とか『不可能』だとか、そんな甘えた考えは捨てなければならない。シンプルに行こう――――ドリフターズには、それが『できる』のだと)



女型の巨人(―――――決まっている。シガンシナだ)




 アニはそう確信した。

 彼らはそこに辿り着くための術を得たのだ。

 そしてその術を実行している。

 実行したからこそ、迂回路を取っている。

 女型の巨人と遭遇しなかったのは単なる偶然だが、こと此処に至り、アニは己の失策を嘆く。





584: ◆B2mIQalgXs:2014/06/01(日) 20:53:30 ID:F.To/9iQ

――――私が奇行種どもをひきつけて待ち伏せするつもりが、結果的にあいつらの行軍経路から巨人を除外して、進軍の手助けをしてしまった形になる。


 後悔の念を思考の隅に追いやり、再びアニは思考の海へと埋没する。

女型の巨人(―――――もう昼を回った。迷っている暇はない。私はどちらだ………)

女型の巨人(ストヘス区へと帰還するか。それとも行くか。行くならどちらだ―――――東か、南か)

女型の巨人(行くも地獄、退くも地獄か。必要なのは決断だ)

 アニは聡明だった。調査兵団がトロスト区を出たのであれば、行軍ルートを確実に変更していることを察していた。

 待ち伏せを警戒して、本来の行軍ルートよりも更に大きく迂回路を取っているのならば、このまま南のシガンシナ区へ向かうのが正解。

 調査兵団がなんらかの手段で『壁の上を行く』方法を見出したとすれば、東の突出区だ。

 即決が必要だと、アニは感じていた。背筋をチリチリと焼きながら這い上がっていく感覚は、焦りに似ている。

 根拠の乏しい『女の勘』とでもいうべき感覚であったが、アニはこの感覚に全幅の信頼を置いている。


女型の巨人(確実性を取るならば南。賭けに出るなら東………)


 そして、アニは一歩を踏み出した。

 直観の赴くままに。





619: ◆B2mIQalgXs:2014/07/17(木) 23:23:42 ID:3Alf.g72

〜ウォールマリア・東突出区・地下室〜

信長「ふん、『猿』とやらを聞いて、大体察しはついたわ………お主ら巨人側の勢力も、一枚岩ではないということか」

ライナー「………ああ、その通りだ」

エルヴィン「つまり、その『さる』は君たちにとっては味方ではない、と」

信長「ということは、こんな感じか。お主らを知性巨人側、猿を猿側という勢力で呼称するとして――――互いに争っている。しかし猿側とは違い、お主らの方には巨人を増やす術がない。つまり物量による劣勢に立たされている」

ライナー「………そうだ。壁外にいるほとんどの巨人は猿側の巨人だ。当然、俺たちが巨人化しても襲ってくる」

信長「故に壁内人類を皆殺しにすることで、奴らが巨人を作る大本である人類を断つ。それによって戦局を有利に進めようとした。そういうことか?」

ベルトルト「概ね、そういうことだ。だけど、そこでイレギュラーが発生した。それがエレンだ」

ハンジ「成程ね。エレンの『巨人を統率する』という力が本当にあれば、敵が多くても関係ない。むしろ多ければ多いほど同士討ちを誘えるし、戦略兵器として用いればこれ以上のものはないだろうね」

ライナー「そういうことだ――――あいつに壁の中にいる巨人を統率して貰えば、そして猿側の巨人を滅ぼすことができれば、もう争う必要もなくなるんだ」

リヴァイ「――――まて。おいデカブツ、てめえ今、聞き捨てならねえことを言ったな。壁の中に巨人がどうとか……」

ライナー「察しぐらいついてたんだろう? それとも、分かっていて目をそらしていたか。そうだ――――壁は巨人の硬化能力によって造りだされたものだ。巨人たちは今も壁の中で眠っている」

ハンジ「ちょ、ちょっと待って!! そ、それって、そうか、壁が巨人でできていて………じゃあ、じゃあ人類がこの大陸に移民してきたとき、壁は最初からあったっていう伝承は、まさか、まさか……!?」

リヴァイ「どうした、クソメガネ。落ち着け」


 巨人が壁を造った。その言葉に真っ先に反応したのはリヴァイだったが、続いて反応したハンジは、爆発する勢いでライナーにかみついた。





620: ◆B2mIQalgXs:2014/07/17(木) 23:28:18 ID:3Alf.g72

ハンジ「壁は巨人が、作った……元々用意していた? 何のために? 人類を、囲うために……? ちょ、ちょっと待って……ライナー・ブラウン、壁を作ったのは、どっち側だい? 君たちか、それとも猿か?」

ライナー「猿側だ」

ハンジ「そ、そんな……そんなこと、って……」


 ハンジは放心した顔で膝をついた。見れば、顔から唇まで真っ青になって震えている。寒さにも似た恐怖を堪えるように、必死の形相で胸をかき抱いていた。


リヴァイ「どういうことだ。クソメガネ、分かるように説明しろ」


 リヴァイは舌打ちしながら、崩れ落ちるハンジを無理やりに立たせ、席に座らせる。


ハンジ「こ、ここは、壁内に栄えた、人類は…………で、でも、そんな、そんなの、って」


 ハンジは震えていた。言葉をつむごうとしても、続きが出てこない。
 業を煮やしたリヴァイが文句の一つでも言おうと口を開いた、その時だった。



信長「猿が巨人を増やすための――――人間という資材の繁殖場。そういうことだろ。成程、辻褄が合うわ」



 冷徹な信長の言葉に、一堂は絶句した。





621: ◆B2mIQalgXs:2014/07/17(木) 23:29:26 ID:3Alf.g72

信長「閉じた文化圏とはいえ、国は国。一定以上の繁栄は約束される。繁栄しきって人が増えたところで、猿どもは『収穫』を行うつもりだったのだろうよ。だが、その繁栄に待ったを掛ける輩が、確か壁内にはいたよな、エルヴィン」

エルヴィン「――――王政、か!」

信長「そうだな。王政はこの秘密を握っていたんだろうよ。うぉーる教とかいう宗教はこの秘密を知っていたのだろうて。そりゃあ秘密にもするだろう。文明を過度に発展させるための研究を禁制にするのは、それが理由だな。彼奴等は彼奴等なりに、壁内を守ろうとしていたのかもしれん。一定以上の人口が増えないように、猿がやってこないようにとな。だがあるいはその逆もある――――」


 その或いはが臭い――――と信長は考える。

 王政は猿側の巨人と通じており、巨人をも殺しかねない兵器の発展を恐れ、抑制しているという可能性もある。というより、こちらが高い。

 そうなると最悪だ。調査兵団は調査兵団のみで、一揆を―――クーデターを成し遂げなければ、王政と猿を打倒できないということになる。


ミケ「だ、だが、だったら何故、壁のことを俺達には秘密にしていたんだ?!」

信長「チョボヒゲ、少し考えてみろ。どこの施政者が民草に言える―――――お主らは家畜だと。んなこと口走ったその日に、壁内全域で一揆が起こるわ」

ミケ「ッ…………そう、か、そういうことか」

信長「憲兵やうぉーる教は、執拗にエレンを殺したがっていたらしいが、それはやはり壁の秘密が公となる可能性を持つものは、全て殺したかった、ということか?」

エルヴィン「………君たちが、壁内の人類を有無を言わさず滅ぼそうとしたのは、それが理由か」

ライナー「……そうだ。言えるわけがない。壁の中でのうのうと生きて来たお前らが、自分が家畜だということを認められるか? 暴動が起こるだけだ。かといって王政を説得するか? 無理だな。権威に凝り固まった保守派の連中は、真っ先に俺たちを排斥しようとするだろう。何せバレたら自分たちは立場を追いやられるんだ」

ベルトルト「そんな連中を信用して、危ない橋は渡れなかった。殺すしかなかった………誰かが、やらなきゃならないことだった。そしてそれを、僕たちがやった……これは、それだけの、本当にそれだけの話だ」

ライナー「そうだ。遅かれ早かれ、この壁内は地獄になる。猿が滅ぼすか、俺たちが滅ぼすか、お前たちが勝手に死ぬか、その三択だ」





622: ◆B2mIQalgXs:2014/07/17(木) 23:34:30 ID:3Alf.g72

信長「だが、エレンがいれば――――第四の選択ができるということじゃな?」

ベルトルト「そうだよ………アニは、奇行種をある程度統率する力を持っているが、同士討ちさせることはできない。足りないんだ、手が。だけど、エレンが入れば、このジリ貧の状況を盛り返すことができる」

ライナー「エレンの能力で猿の巨人たちを皆殺しにしたうえで、巨人化した無知性巨人を人間へと戻す。それしかもう、方法はない」

信長「…………概ね、分かった。エルヴィンよ、どうする? このまま尋問を続けてもいいが、ひとまずはシガンシナへ向かうか? まだ日も高い。行けるところまで行くべきではないか?」

エルヴィン「彼らの扱いをどうするかによるな。聞いた話が真実ならば、もはや王政や憲兵団に彼らを引き渡すことはできない。法に則って裁きを下すならば死刑が妥当。だが――――殺されては、王政のやり方を弾劾する物証を失うことになる」

信長「保留、がいいところであろうな。少なくとも、お主らから見ても、調査兵団だけは味方につけることができる可能性は高いじゃろ?」

ライナー「ああ。王政は無論、その犬の憲兵団は下の下、更にその統率下にある駐屯兵団も問題外だ。交渉次第で、こっち側に立つ奴もいるだろうが」

ベルトルト「今のところは調査兵団だけだ。300余名の、心細い味方だけどね。僕たちは恨まれてもいる」

信長「自分の立場を理解できているなら結構。エルヴィン、こいつらもシガンシナへ連れていくぞ。ただし拘束したまま、馬車に乗せてだ」

エルヴィン「ああ、それが最善だな………ここに放置するのも一つだが、軍を分けるのは避けたい。かの『猿』や、アニ・レオンハートが今後襲撃してくる可能性を考えれば、我々と行動してもらうのが安全だろう」


 そして彼らは――――ウォール・マリアの壁上を行き、シガンシナへと向かうことを次の目的と定めた。

 ―――ライナー、ベルトルトの思惑通りに。

 後は彼らは、『機』を待つばかりだった。





650: ◆B2mIQalgXs:2014/09/04(木) 10:28:25 ID:uQEpivQg

※独り言。ちょっと時間がかかりそう。というのもミーナがいないのが悪い。このSSを書いたうえで悔いが残っているとすれば、ミーナだ……。

 彼女はもう時系列的に死んでいる。つまり登場させられない。弄れない。あんまりだ。英語で言えばANNMARIDA。

 ミーナってゅうのゎ……ミーナ・カロライナってゅう女の子……ゎたしはミーナが大好きなんだョ……。

 英語で「mina carolina」……並び替えると……「cali ni mara on」……カリにマーラがオンしてるの……すっごく香ばしいょね………諌山先生。

 名前通りで……髪型が独創的で……マヂでちんちんみたぃな形をしてる……。

 だからマーラ・カリデカイナってゅう名前にして……ゎたし、ぃっぱぃ弄った……ジュマンジ書いてた頃から……がんばったョ………みんながょろこんでくれると思ったから……。

 なのにゎたしのSSを読んでくれる人は……『もぉゃめてぁげなょ』とゅう………。

 どぅみてもちんちんなのに……ぃみゎかんなぃ……。

 もぅマヂ無理……マララギダインしょ……。


ミーナ「やめてよ!! もうやめてよぉ!! いつになったら私がヒロインのSS書いてくれるんだよ!!」


 永遠にねーよ。この亀頭に似たフォルムの女め。いや、むしろ亀頭こそが貴様に似ているのだ。君の頭はカリに似ている。君のマラはミーナに似ている。全米が驚愕、マーラ・カリデカイナ誕生秘話。

 もういっそドリフ世界側の廃棄物扱いで亀頭の巨根出そうか本気で悩んだけど、あんなの黒王様に見つかったら一発で性病の呪いかけられるに決まってるでゲス。

 ゲッゲッゲ、そう、そうなんでゲスよ。流石に不憫になったのでやめたんでゲス。私ってホント優しい人でゲスね。ゲゲルゲルゲ。





651:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/09/04(木) 12:39:39 ID:1yfnJO1Y

>>650
もういい…!!もう休め…!!!





                 
663: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 21:10:27 ID:MtoexrKU

・ウォールマリア壁上


 尋問をあらかた済ませた後、ドリフターズを有する調査兵団は一路シガンシナへ向け、ウォールマリア壁上を行軍していた。

 ライナー・ベルトルトの両名は縄を打たれた上で、厳重な監視の中、荷馬車に転がされていた。


与一「…………」ニコリ

ライナー「」

ベルトルト「」


 よりにもよって、与一の監視付きである。曰く、『泣いたり笑ったり巨人化しようとしたりしたら即座に脳天を射抜く』そうである。

 まさにゲンジバンザイ状態である。

 壁上を馬で駆ける調査兵たちの表情は明るい。

 『超大型』と『鎧』の両名を捕縛したのだ。これまで全くと言っていいほど戦果を挙げることができなかった調査兵団の、初にして最大最高の手柄である。

 壁上を行く彼らは、巨人に襲われる憂いもなく、後はシガンシナでエレンの生家地下室を調査すれば良い。

 その調査に関しても、ドリフターズ達が壁を塞ぐ手段を持つというため、さほどの気負いもなかった。

 そうなれば残る問題は調査後の帰り道と、壁内の無知性巨人たちの掃討のみである。





664: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 21:25:48 ID:MtoexrKU

そんな中、愁いを帯びた表情を滲ませる者たちもいた。

 第104期訓練兵団の卒団生―――今期の新兵たちである。

 同期の男子兵士の中で最も信頼されていたあのライナー・ブラウンが、鎧の巨人だった。その友人であるベルトルト・フーバーでさえも。

 特にライナーに憧れていた節もあったコニー・スプリンガーは、酷く取り乱していた。信じられないという表情で、唇を噛みしめ震えている。

 そんなコニーを気丈にも励まそうと話しかけるのは、サシャ・ブラウス。逆に落ち込んだコニーの気を奮わせるように悪言をまき散らすユミルに、それを窘めるクリスタ・レンズ。

 ぶつぶつと一人、悪態をつくジャン・キルシュタイン。


ハンジ「……………無理もないか」


 それを遠見に、どこか憐れむように見つめるハンジ・ゾエ。

 軍において同期というものは、特別な意味を持つ。卒団まもない彼らにとって、同期は寝食を共にした第二の家族に等しいほど強い絆で結ばれている。

 その中に裏切り者がいた。よりにもよって、最も信頼厚い者が裏切り者だった。そのショックは計り知れないものがあるだろう。


ハンジ(………しかし、こっちの方が問題かもしれない)


 第104期訓練兵団の卒団生から視線を切ると、ハンジは一台の荷馬車に視線を向けた。

 その荷馬車の荷台では一人、エレン・イェーガーがうなだれていた。





665: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 21:36:24 ID:MtoexrKU

エレン「…………」


 生気の無い瞳で、膝を抱えて座り込み、口は何事かを絶え間なく呟いている。

 それもまた無理もない、とハンジは思う。

 彼とて裏切り者が出たことは、他の同期同様ショックであったろう。しかしその上、『いずれ無知性の巨人と成り果てる』と言われたその心境は、余人には窺い知れないほどに乱れに乱れきっているに違いない。

 ましてや、『あの』エレン・イェーガーである。訓練兵団への入団当初から調査兵団を志望し、誰よりも巨人を憎み、巨人を殺すことを目的とした彼である。

 真の意味で『巨人になる』ということは、どれだけの絶望だろうか。


エレン(俺は…………誰を食ったんだろう。これから誰を食ってしまうんだろう。調査兵団の先輩方だろうか。壁内の住人達だろうか。同期だろうか、それとも―――――)


 その考えに思い至った瞬間、ぶるり、とエレンの肩が震えた。

 脳裏に浮かんだのは、親友と家族。

 最悪の想定だった。


エレン(その前にリヴァイ兵長に殺されるんだろうか………それともオルオさんか。ペトラさんだろうか。精鋭たちなら俺を殺してくれるだろうか。ジャンに殺されるのは嫌だなあ。それとも―――――)


 また、脳裏に親友と家族の姿がちらつき、エレンは目頭が熱くなった。





666: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 21:45:58 ID:MtoexrKU

エレン(こんな、こんなことって、あるか……俺は、俺は、巨人を殺すんだ。殺して、壁の外を冒険して、そして、それからなのに……俺が、巨人になっちまうのかよ。俺が、人類に仇なす者になるってのかよ。母さんを食い殺したヤツと、同じものになっちまうのかよ……)


 そう思ってしまったら、もう耐えられなかった。ぽろぽろと涙が零れた。みっともなく喉奥から嗚咽が漏れ、より深く膝を抱えた。

 屈辱だった。恥辱だった。これに比べればどんな拷問だろうと耐えられるとエレンは思った。

 そんなものになってしまうのならば、


エレン(だったら、いっそ………)


 エレンの瞳が、荷馬車の隅に詰まれた資材の一つの、超硬化ブレードを捉える。

 これで首を掻き切ったら、今よりもずっとずっとマシになるのだろうか。

 のろのろと、エレンの手がブレードに向かって伸びていく。

 その指先が、ブレードの取っ手に触れたとき、


 ―――――エレン。


 自分の名前を呼ぶ声に、エレンははっと振り向くと、いつの間にか荷馬車に接近していた者がいた。

 ミカサ・アッカーマンと、アルミン・アルレルトである。





667: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:02:06 ID:MtoexrKU

アルミン「エレン。バカなことはやめるんだ」


 毅然と、アルミン・アルレルトはまっすぐにエレンの虚ろな瞳を見つめて言った。

 それがあまりに眩しくて、エレンはみじめだった。視線を逸らして、再び俯く。


エレン「……じゃあ、俺はどうしたらいい? どうすればいいんだ、アルミン。頭のいいお前なら、教えてくれるのか?」

アルミン「…………」

エレン「なあ、教えてくれよ。俺は、どうしたらいい? もう、何もかも分からなくなっちまった。ライナーとベルトルトが敵で、だけど敵を殺すだけじゃあ何も解決しないと分かって、挙句に俺はいずれただの巨人になって、人間に戻れないと来た」

アルミン「…………」

エレン「ただ、巨人を殺せばいいと思った。殺して、殺して、殺して、殺して、殺しつくせば、いずれいなくなるんだって、そう思ってた。でも、そうじゃないんだろ。ハンジさんから聞いたよ。王も、貴族も、敵になるかもしれないんだろ? なあ。どうすりゃいいんだ、俺は、俺は………!!」


 悲鳴にも似た声だった。恥も外聞もなく、涙と鼻水で汚れた顔を晒して、エレンは己の心を吐露した。

 ここでアルミンが死ねというなら死ぬだろう。生きろというなら生きるだろう。

 それほどまでに、今のエレンは参っていた。心がじわじわと内側から腐っていくような心地に、エレンはいっそ狂ってしまいたいとすら思った。

 そんなエレンに―――――アルミンは微笑んだ。


アルミン「エレン―――――おトヨさんが言ったことを覚えているかい。僕たちは支え合うものだと」





668: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:08:17 ID:MtoexrKU

エレン「…………」

アルミン「君が悲しいのなら、僕も悲しもう。君が辛いのならば、僕がそれを半分請け負おう。僕とミカサが、君の苦しみも悲しみも、一緒に抱えたい。支えたいんだ、エレン」


 アルミンは、笑った。


アルミン「おトヨさんの言ったこと、僕は尤もだと思う。一人ですべての物事を成し遂げられる人なんていないよ。僕たちは羽の一枚一枚だ。それが連なって、僕らは調査兵団の翼になるんだ。なんとかなる。絶対に何とかする。それが駄目でも、安心して」

エレン「何を、何を、安心しろって、言うんだよ………」

アルミン「気休めに聞こえるかもしれない。だけどなんとかする。なんとかならなくても、なんとかするんだ。僕が言えるのは、君が何を考え、何であろうと、僕は君の親友だ。やることは変わらない。何も変わらない。僕は君が大好きだ。僕は君を信じてる。心の底から、君を尊敬している」

エレン「お、俺は、そのうち、人を食うようになって、おまえや、ミカサも――――」

アルミン「君が何であろうと、どうであろうと、何に成り果てようと――――僕とミカサは、君の味方だ。そうでありたいと思う。そうして死んでいけたら誇らしいと思う。人生に意味はあったと思える。それだけは、覚えておいてほしい」

エレン「あ、アルミン……」


 言うだけ言い切ると、アルミンは微笑み、馬首を切って荷馬車から離れていった。

 呆然とするエレンの前に、次はミカサが立つ。

 いつの間にやら馬から飛び移り、荷台へ降り立っていた。

 ミカサは膝をついて、エレンと視線を合わせる。手に持った布巾でエレンの顔をゆっくりと優しい手つきで、拭っていった。





669: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:13:52 ID:MtoexrKU

ミカサは膝をついて、エレンと視線を合わせる。手に持った布巾でエレンの顔をゆっくりと優しい手つきで、拭っていった。

 いつもならば悪態をついて突き放しているはずが、エレンは何もできなかった。ただされるがままに、頬を伝うぬくもりに身を委ねるしかなかった。


エレン「ミカサ…………」

ミカサ「エレン。私は、エレンの家族。エレンが何であろうと、どうであろうと、私にとって、エレンはエレン。何も変わらない」


 ひとしきり拭きおわった後、ミカサはエレンの手を取り、抱きしめるように両手で包んだ。


エレン「………ミカサ?」

ミカサ「エレンは、私にマフラーを巻いてくれた。寂しくて寒くてつらくて、悲しくて……私は、泣くこともできなかった。どこにも帰れなかった私に、マフラーを巻いてくれた。今でも鮮明に覚えてる。本当に嬉しくて、暖かくて、涙が止まらなかった」


 失ったことを思った。喪ったことを思った。なのに涙は一滴も流れ出てくることはなくて、ただ虚しさだけがあった。

 心臓が動いているだけだった。心が凍りついてしまいそうだった。


ミカサ「お父さんとお母さんを失って、空っぽになってしまった私を、エレンは満たしてくれた。死んでいた私が息を吹き返したのは、エレンの優しさがあったから。大げさなんかじゃない。私はあの時、一度死んでいた」


 あのまま誰かに引き取られていたとしても、ミカサはゆっくりと死んでいったのだろう。

 満たされるものがないまま、もう二度と満たされることのないまま、家族という安心と幸せを奪われたまま、何もかもに絶望して、死んでいたのだろう。





670: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:24:36 ID:MtoexrKU

ミカサ「死んでいた私を生き返らせてくれたのは、助けてくれたのは、手を差し伸べてくれたのは……エレン、貴方だった」

エレン「だから、か? だから、おまえはいつも俺を、助けようと…………」

ミカサ「今度こそ家族を守る。そう思ったから。そう、思ってた。それだけだと、思っていたが……」

エレン「が?」

ミカサ「……今は、少し違う」


 ミカサはマフラーをほどき、エレンに手渡す。


ミカサ「これは、私とエレンが家族になった証。私が生まれ変わった証。私が、わ、私、が…………こ、この、マフラーは、こ、これは」


 ミカサの頬が真っ赤に染まった。視線は泳ぎ、額には汗も浮かんでいる。


ミカサ「私が貴方を…………す、好きになった、証」

エレン「――――」


 不意打ちだった。

 盛大な闇討ちに等しい襲撃に、エレンは目を丸くして固まった。鈍感な彼ではあるが、ミカサが言っていることの意味を、正しく理解した。





671: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:33:39 ID:MtoexrKU

ミカサ「ミ、ミカサ・アッカーマンは、エレン・イェーガーを、お、お、お…………お慕いして、いる。か、か、か、家族として、そ、傍に、これからもずっと、ずっと、一緒にいたい」

エレン「え、あ、う」


 訳の分からない音が、自然とエレンの喉から漏れた。先ほどまで暖かかった頬が、焼けるような熱を帯びた。汗まで出てくる。

 釣り野伏に釣られた武将の心境はきっとこれに似た感じなのだろうかと、エレンの脳内は絶賛混乱の極みにあった。

 その様子に気づかず、ミカサはまくし立てる。


ミカサ「け、け、結婚、結婚を前提とした、お、お付き合いを、しょ、所望する。お、夫が不在の間、お家を守るのがつ、つ、つつ妻としての責務だと、トヨヒサは言っていた。の、ので、つ、強い女がいい。そうだ、エレンの伴侶は強い女こそ相応しい」

エレン「ミ、ミカサ?」

ミカサ「つまり、わ、わ…………あ、あ、あ」


 戸惑うようなエレンの様子にようやく気づいたのか、ミカサは耳まで真っ赤に染めて俯いた。

 今しがた口走ったことを後悔するように、肩を震わせる。


エレン「ミ、ミカサ、落ち着け。俺は落ち着く。落ち着こうとしているから、ちょっと待て。ちょっとだけ待て――――!」


 まるであべこべだった。慰める側が慰められるような立場に立っている。





672: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:42:37 ID:MtoexrKU

エレンは知らなかった。武辺一辺倒の彼に、こんな時の作法や心得などない。こんな戦況は想定にないのだ。

 兵法学においての兵士の心構えに、常に冷静沈着にて事に当たるべしとある。そのために想定される最悪を、頭の出来が悪いなりに全て叩き込んでいたつもりだった。


エレン「…………ミ、カサ?」

ミカサ「……………」


 ――――だが、これはない。


 吸い込まれそうな黒い瞳に、すっと通った鼻梁。己の家族として見ていた少女がとんでもなく美しいことを、エレンは初めて知った。

 艶やかに濡れた唇は、紅を引いたかのように赤い。己の内の何かが刺激されるのを感じた。

 星屑を纏った闇夜のようにきらめく黒髪から覗く、艶めいた白い肌。思わず、ごくりと喉がなった。


 ――――こんなことは学んでいない。


 きっとアルミンだって想定していないと、エレンは思った。何故アルミンが離れていったのかを考えもせずに。





673: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:51:17 ID:MtoexrKU

ミカサ「私じゃ、駄目、だろうか………」

エレン「――――」


 追撃の一撃は更なる苛烈であり、実際のところ止めであった。うなじをズッパリと刈り取られた巨人の如しである。詰みである。

 今にも泣き出しそうな潤んだ瞳で上目遣い、更に蚊の鳴くような細い声でまるで手弱女のように健気なことを、ミカサは呟いた。

 古今東西、男はこれに弱い。

 エレンはミカサの背後に、魔王を自称するどこかのうつけの姿を幻視した。


エレン「あ、う、え、っと…………お、おう」

ミカサ「エレン?」

エレン「あー、えっと、その、まあ、なんだ…………おう」

ミカサ「おう、では分からない」

エレン「う、ぐ…………ん、そう、だな、えっと…………うん」

ミカサ「うん、でも分からない。やっぱり、私じゃ………」

エレン「ああ、もう分かったよ!! 俺も好きだよ!! 文句あるか!!」

ミカサ「……………ん」





674: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 22:54:04 ID:MtoexrKU

ミカサは、はにかむように微笑んだ。

 その花咲くような笑顔に、エレンは思わず見惚れる一方で―――――初めてミカサの笑顔を見た気がした。




……
………





675: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:04:32 ID:MtoexrKU

………
……


 その後、二人はいろんなことを話した。

 くだらない世間話や、訓練兵時代の思い出、これからのことや、そしてそれからのことも――――。


エレン「俺は………一人で、深く考えすぎてたのかな。俺は、人間なのか、化け物なのかって……自分でも分からなくてさ。ライナーとベルトルトの話を聞いたら、ますますワケがわからなくなって」


 照れ臭そうに、エレンは語った。ぽつりぽつりと、一つずつ丁寧に、述懐するように。


エレン「でもさ、俺の味方は、いつだって近くにいたんだよな。アルミンとミカサだけじゃない。同期や、リヴァイ兵長たちも、みんな」

エレン「俺は、それでもミカサだけには頼りたくなかった………そんな顔すんなよ。そういう意味じゃない。弟や息子みたいな扱いで、あれこれ世話を焼かれるのが、嫌だったんだ」

エレン「ミカサは、ミカサは女の子なのに、俺なんかよりずっと強くて、だから、それに嫉妬した」

エレン「ガキみたいに喚いて、必死に蓋をしてたんだ、俺……いつだって、ミカサはミカサのままで、俺のことを心配してくれてたのにな」

エレン「変わっちまったのは、俺の方だ。そこから必死に目ェ逸らして、聞こえないふりして、つまらねえ嫉妬でミカサを傷つけて……」

ミカサ「エレンは、変わってない」


 エレンの述懐に、ミカサの言葉が差し込まれる。互いに、互いを語っていく。





676: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:09:03 ID:MtoexrKU

ミカサ「意地っ張りで、嘘をつくと耳が赤くなって……私にとって、太陽のような人。いつだって、私の心を温かくしてくれる、私に居場所を与えてくれる。私に、幸せを教えてくれる」

エレン「好きって感情を押し込んでた。無理やり家族って型にはめ込んで、俺は、いつだって、傍にいてくれるおまえの存在が心地よかったのに、疎ましいと思い込んでた」

ミカサ「だから、私はエレンの傍にいたいと思った。傍にいるには強くなる必要があった。エレンを守りたいから、強くなった」

エレン「知ってるよ。知ってたさ、おまえが、俺のために強くなってるってことぐらい。だから俺だって強くなりたかった。ミカサにそんな思いをさせてまで、守られたくなかった。俺がミカサを守りたかったんだ」

ミカサ「私は、貴方が大好き。エレンのことが、すき。ずっと言わないでおこうと、そう思ったのに……」

エレン「俺は、ミカサが好きだ。ずっと言わないでおこうと、そう思ってたけどな……」

ミカサ「だから、私はずっとずっと、貴方のそばにいたい。振り向いてくれなくってもいい。だけど……」

エレン「俺は弱いから、すぐに死ぬかもしれないから。おまえだけは遠ざけたかった」

ミカサ「おいて、いかないで。一人ぼっちは、もう嫌だ……嫌だ。エレン……寂しいのは、家族がいないのは、もう、嫌なの……」

エレン「……………」


 先に押し黙ったのは、エレンだった。

 鈍感なエレンにも、ようやくミカサが自分にまとわりついてきたことの真意を理解した。

 エレンに度々お節介を焼いていたのは、エレンを弟や息子のように見ていたからではない。

 それは不器用なミカサなりの甘えであり、エレンに対する依存だった。





677: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:09:57 ID:MtoexrKU

本当は気づいていたはずだった。だけど、エレンは必死に蓋をした。

 ミカサより強くありたい。ミカサに頼りたくない。ミカサに弟や息子のような扱いをされたくない。

 口から出てくるのは、ミカサを突き離すような発言ばかり。
 
 それは彼女の強さに対する嫉妬だろうか? それもある。

 自らを弟や息子のように扱う彼女が煩わしいと思ったからか? それもある。

 だが、一番許せなかったのは、自分自身だ。

 大好きな女の子一人、守ることもできない。自分自身の弱さが、エレンは悔しかった。

 ――――ミカサに、一人の男として、認められたい。ただの家族は、もう嫌なのだ。ミカサと堂々と比肩できる、背中で守れる、そんな男になりたいのだ。

 ミカサが、そんなことを望んでいないということを理解しながらも、どうしようもなくエレンは強くなりたいと望んでしまった。

 だけど、エレンはそれすら見ないことにした。

 ミカサを突き離すのは、自分が男の子だからだ。俺とミカサは家族だからだ。ミカサは女の子だから、男の俺が強くなりたい――――そんな言い訳で、見ないふりをしていた。

 それが、このありさまだ。

 ミカサが、泣いている。

 そばにいたい、と。おいていかないで、と。縋るように、涙を溢して、懇願している。

 それは、エレンが本当に望んだ、ミカサとの関係だっただろうか。





678: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:11:43 ID:MtoexrKU

こごえそうな寒さに震えながら、ミカサは自らの身を掻き抱いた。


ミカサ「だか、ら…………また、私にマフラーを、巻いて、ほしい……」

エレン「巻いてやるよ、こんなの、いつだって巻いてやる」


 エレンはミカサの首にマフラーを巻き付け、軽く引っ張った。

 ミカサの体勢が崩れ、距離が近まる。互いに互いしか認識できないほどに近く。

 エレンは静かに、ミカサに口付けた。ミカサの瞳が驚きに見開かれ――――しかし、すぐに閉じられる。

 初めて交わした口づけは、涙で塩っ辛かったけど、互いの唇は柔らかく、そして甘かった。


ミカサ「あの時は言えなかった……」

エレン「ん?」

ミカサ「……私にマフラーを巻いてくれて、ありがとう」

エレン「…………ああ」





679: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:14:31 ID:MtoexrKU

エレン「けど、な。俺はいずれ巨人になるかも分からねえ」

ミカサ「それは…………きっとアルミンが、いいことを思いついてくれる」

エレン「そこまで万能じゃないだろアルミンは……」

ミカサ「…………」ジワッ

エレン「ああもう、泣くな。なんだ、まるでウチに来たばっかの頃のミカサだな」

ミカサ「だって………」

エレン「あー、だからな。その、えっと、トヨヒサが言ってたろ。その、お家を守るんなら、そ、その」

ミカサ「え……あっ」

エレン「こ、ここっ、こ、こ、子供を、だな………」






信長「――――――で、あるか」ニョキッ

エレン「」

ミカサ「」





680: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:20:28 ID:MtoexrKU

信長「ん? どうした? 続きは? ホレ、はよ。やれよ。聞いてるから」

ミカサ「」

エレン「…………ノブナガ」

信長「なんじゃ、えれん」

エレン「どこから聞いてた?」

信長「は? 馬鹿じゃねえの? 馬鹿じゃねえの? うつけじゃねえの?」プークスクス

エレン「ノブナガ」シャガッ

信長「分かった。やめい。その目をやめい。思えばあの金柑頭も最後に会うた時にそんな目をしていた。やめよ」

エレン「言え」

信長「良かろう。ではなんだ、あれだ、『ひんと』という奴をやろう―――――己の胸に聞いてみよ」

エレン「自分の胸って、おい、はぐらか…………!!!」


 その時、エレンの体に電流走る。

 次いでエレンの顔が真紅に染まり、蒼へと変わる。エレンは隊服の内ポケットをまさぐる。


 ―――ポケットの中には通信用水晶球がぴつたり入つてゐた。





681: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:24:16 ID:MtoexrKU

エレン「……………ひょっとして、あれか。全部?」

信長「お主が自害する可能性もあったので、全員が耳を傾けておったな。うむ、全部」

エレン「ホントに最初から最後まで全部?」

信長「くどい」

エレン「……………」

ミカサ「……………」















エレン「」

ミカサ「」





682: ◆B2mIQalgXs:2014/09/14(日) 23:31:50 ID:MtoexrKU

エルヴィン『…………まあ、なんだ。若いな。いいことだ』アタリサワリノナイセリフ

与一『いいですねえ、初々しい』ウフフ

オルミーヌ『いやー、いい話ですね。ちょっとウルッと来ちゃいましたよ私』クスン

ハンジ『やーやー、おめでぶへぇえええwwwwwwうへええええええwwwww』ブフーッ

モブリット『ハンジさん、貴女に人の心はありますか!?』

ミケ『水晶球ごしでも臭いわ。塩に漬かりたいわ』フンッ

豊久『うむ。よか。実によか。みかさ、良き子ば孕め。えれん、励め。後で作法ば教えてやっがら』ウム

リヴァイ『オイ、終わったか。途中から馬鹿馬鹿しくなったんでおまえの同期にコレ投げ渡したんだが。オイ、返事をしろ。聞こえてるか?』アァン?

コニー『ぶわははははははは!!!』

ユミル『がはははははははは!!!』

クリスタ『ちょっ、二人とも笑っちゃだめだよ! ミ、ミカサ? お、お幸せにね!! よかったね!!』

サシャ『大変です! ジャンが! ジャンが笑みを浮かべたまま呼吸が! 止まっています!!』

ジャン『』

アルミン『…………ごめんね、二人とも。やっぱり様子が気になって、一緒に聞いちゃった』アハハ


 エレンとミカサは赤面した。





707: ◆B2mIQalgXs:2014/09/30(火) 23:12:01 ID:6JJnaHSg

※場しのぎ的投下ですまぬ

『ドリフターズの人々』

エルヴィン「超いまさらながら、本スレに登場してるドリフターズの紹介」

ハンジ「だよ」

リヴァイ「以下、独断と偏見も混ざっているがほぼ史実らしいぞ」



島津豊久

釣りが大好き戦の申し子。釣りは養父や叔父さんたちも大好き。釣られた獲物は死ぬ。

14歳の時に初めて首をもぎ取った。14歳である。大事なことだから二回言いました。親ッ父ー、首とったどー!!(中学二年生)

多感な中二の時期にこの子ったら首なんてもぎ取っちゃってまぁ。しかし父親は笑顔で褒め称えたそうな。こうして豊久は見事な妖怪・首おいてけとしてすくすく成長しました。

史実では御存じ天下分け目の関ヶ原からの退却戦において、兵を率いて捨てがまりを連発。徳川四天王の井伊直政に後の死因となる鉄砲疵を与えておっ死んだとされる。

「マイナー武将」とか「うわっ、こいつのステータス中途半端マジ使いづれえ」とか「島津豊久? 誰それ、農民?」は禁句。キレて本気で首を獲りにくる。

ド田舎モンではあるが、史実によると礼儀作法に通じ、馬上から挨拶なんぞした日には怒鳴り返されたそうな。馬面のジャンの命がヤバい。

実は徳川も光成も嫌いというウワサ。





708: ◆B2mIQalgXs:2014/09/30(火) 23:13:02 ID:6JJnaHSg

織田信長

言わずと知れた戦国三英傑の一人。鳴かぬなら殺してしまえばいいじゃない。ただし光秀、テメーは鳴いても駄目だ斬首。

クズエピソードが多すぎて何から手に付ければいいやら分からない。戦国DQN四天王の森長可(※1)を重用したりとかもう意味不明。(※1:戦国におけるサウザー。退きません媚びへつらいません反省しません。そして殺す。女子供? 駄目だ殺す)

当時朝廷と懇意にあり、犯すべからざる聖域とされた比叡山を焼き討ちにして女子供皆殺し。

義弟である浅井との約定を破って朝倉攻め。最終的に浅井はぬっ殺され、それはもう見事な髑髏の杯になりました。(ほっこり)

本能寺の変はいろいろ陰謀説もあり真実は定かではないものの、コイツが殺される理由は多すぎて特定できないという説に加賀百万石。

もう全員黒幕でいいじゃん。光秀も家康も秀吉も朝廷も足利義昭もみんな信長キライでいいじゃん。それでいいじゃん。

つーかいまどき男の信長なんざ流行んねーんだよ。ナニ取れよ。信奈になれよ。そんで若返れよ。

光秀の首を持って行けば、エラいと褒められ百万年無税。





709: ◆B2mIQalgXs:2014/09/30(火) 23:14:24 ID:6JJnaHSg

那須与一

言わずと知れた源氏の大英雄。射撃の名手。汚い暗殺者。和製シモ・ヘイヘ。

兄が十人おり、一名が罪人、九名が平家についたので家督を継ぐことになった苦労人。美形かどうかは知らん。

扇を落とした伝承から分かるように、弓矢使わせたら右に出るものなし。呂布かお前は。

全員が頚動脈、気道、食道を傷つけずに、首を貫通させる技を持ってるらしい。

足場が不安定な場所での狙撃が得意。馬だろーが水上だろーが空中だろうが狙撃可能。

FFT獅子戦争におけるバルフレアの如きバランスブレイカー。乱れうち。大将は死ぬ。

余談だが与一の晩年の伝承はちょっとあやふやであり、いつ亡くなったか正確には不明。





710: ◆B2mIQalgXs:2014/09/30(火) 23:15:51 ID:6JJnaHSg

ハンニバル・バルカ

木いちご大好きカルタゴの将軍。バルカとは「雷光」を意味する、中二心をくすぐるカッケー名前の爺さんだが、名前に劣らぬ伝説の大将軍である。

幼いころから父親に『ローマは敵、ローマ滅ぼせ』と言われ続けてきた結果、ローマ人とみるや重労働を課し、そして殺す。ナチも震え上がる立派な差別主義者としても有名。

得意技は地形無視して移動後、敵を包囲して『滅べ! ローマ人だ! ローマ人だろう!? なあ、ローマ人だろおまえ!』と叫んでマップ兵器を使用する。ローマ人は死ぬ。別名『大妖怪ローマ滅ぼす』。

ローマを滅ぼすためならカルタゴ人でも殺す。人類皆兄弟、ただしローマ人を除く。ローマ人には実際ムゴイ。

不可能を可能にする男の代名詞であり、当時人も物も金も全てにおいて最強帝国だったローマを震え上がらせた存在。

アレクサンドロス(イスカンダル)大好き。おまえ絶対『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』にいただろ。

戦略においては史実上の公式チート、そのおぞましいほどの軍才とイクサぶりを前に、ローマはしめやかに失禁せざるを得ない。

アルプス越えようぜ。冬だから無理? 大丈夫、なんとかなる。なんとかしないとカルタゴほろぶ。炭酸水うめえ。そしてなんとかなりました。ローマは絶許。みなごろし。

カンナエの戦いとかローマ側からしたら悪夢以外の何物でもなく、カルタゴ五万に対しローマ七万でおっぱじめたところ、ローマ側は六万死んで一万人が捕虜とかいう神の介入を疑うレベルのスコアを残した。もう戦争ってか虐殺レベル。

ワーこのお爺ちゃんスゴーイ、人間じゃなくね? そりゃ信長を『小僧』呼ばわりしても許されます。

そんな爺ちゃんの失敗はそう、カンナエでスキピオ・アフリカヌスをぬっ殺せなかったこと。後にザマの戦いにおいてカンナエの戦いを丸々パクられて敗北。スキピオはころす。ぜったいにだ。

結局のところカルタゴは滅んでしまうのだが、滅びた後もローマ史上最大の敵として後世まで語り伝えられていた。





711: ◆B2mIQalgXs:2014/09/30(火) 23:22:08 ID:6JJnaHSg

ミカサ「どいつもこいつもキチ○イじみてる」

エレン「ハッキリ言いすぎだミカサ」

コニー「このメンツの中だとトヨヒサって意外と影がうす………もがっ!」

ユミル「黙ってろ死ぬ気かバカ」

ジャン(トヨヒサですら影が薄くなるというドリフのメンツが異常すぎる。こええ。やっぱこいつらおっかねえ)

サシャ「ヨイチさんすごいですねえ。船の上から狙撃なんて」

与一「あの腐れ判官ってば私に無茶振りしかしねーんですもの」ゲンナリ

クリスタ「お爺ちゃんすごい人だったんだね」

ハンニバル「マゴーネー、マハルバルー、起きろー! 戦の時間じゃー! ローマ滅ぼすぞーい!」





712: ◆B2mIQalgXs:2014/09/30(火) 23:23:56 ID:6JJnaHSg

アルミン「これは酷い。特にノブさんとお爺ちゃんが酷い」

豊久「うつけん名に相応しい。ノブは絶対長生きせんわな」

信長「……………島津忠恒(※2)」ボソッ

豊久「ッ!? テ、テメー、よりにもよっであんクズの話ば出す気か……」


島津忠恒

島津の卑劣様とはヤツのことを言う。とにかく陰湿で卑劣で人としての軸がぶれている。汚いなさすが忠恒きたない。俺はこれで島津きらいになったな。あもりにもひきょう過ぎるでしょう?

島津の名を貶める存在。義弘が鬼島津ならこっちは鬼畜島津。マジでDQN。詳しくはググると良し。吐き気がしても責任は持てない。

卑劣な島津だ………。


エレン「亡くなった奥さんに『おめー死んでも悲しくねえからゲハハ』とかなんだこいつ………しかも墓も建てねえとか」

ミカサ「汚い。この島津汚い」

与一「ゲスミンとかハンジ・ゲスが可愛く見える腐れ外道ですなあ」

信長「アンサイクロペディアは勿論としても、ウィキペですら読んでてDQN臭さが漂うこのおぞましさ」

豊久「ぐぬぬ」

『完』





713:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/10/01(水) 05:25:36 ID:sbR3qXqw

信長のやろう、自身に対する評価では豊久に勝てねーからって島津家の中でも最大のDQNで対抗してきやがったwww
なんてヤツだwww






714:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/10/01(水) 18:31:13 ID:Sq1XqHIk

戦国DQN四天王の一角、悪い方の家久





755: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:23:10 ID:hfwxcG/.

ジャン「ジャンとー」

マルコ「マルコのー」


ジャン&マルコ「「人情紙芝居ドントストップミーナウのコーナー」」


マルコ「あーまーはいはいはーい、そういうワケでこの『エレン「ドリフターズ?」』もじきに完結なワケですよ」

ジャン「そうか。続きは? はよ」

マルコ「明日から怒涛の更新予定」

ジャン「今日やれ、今日。どうせまた約束破るんだろ? あの作者のように」

マルコ「あの作者のように? ヒラコー? ヒラコーのことなの?」

ジャン「で、実際どうなの?」

マルコ「実は転職活動してましてね。ようやく内定が取れたそうですよ。んで、明日からちょいと時間が余ると」

ジャン「なるほど。じゃあ明日から連続更新ですね?」

マルコ「まあそんなことは置いておきましょう。そんなことより」

ジャン「そんなことより?」





756: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:26:51 ID:hfwxcG/.

マルコ「みんな『七つの大罪』見た? 超面白いんですけどアレ」

ジャン「こ・こ・わーーーッ! 進撃の巨人スレですーーーーーッ!! 全くカンケーねえ話はやめろーーーーーッ!!」


マルコ「は? イヤイヤ、まったく関係ないってことはないでしょ。週刊でも別冊でもマガジンはマガジンだし。どっちも巨人出てるじゃなァい」

ジャン「あー、ディアンヌかー」

マルコ「アニメじゃ主人公のボイスがなんかどこかで聞いたことある人だし、おまえエンディングテーマ歌ってるし」

ジャン「中の人の話はやめろ」

マルコ「さておきディアンヌですよ。エロいよねー」

ジャン「異論はねえ。マジエロいわー。そもそも鈴木央センセーの絵って超エロいわー。異論は認めない」

マルコ「超ナイスバディなのにボクっ娘でピチピチレオタードみてーなレザースーツ姿、挙句にツインテールで一途なやきもち焼きの健康的エロス娘とかマジ狙いすぎてね? とか思ってたらでもやっぱりあんのじょう、ガッチリと俺の股間を掴んではなさねえ」オレモハナスキモネエ

ジャン「あーエロいわディアンヌ超エロい。ありゃ太ももでコスってレオタードにブッかけられるために生まれてきたような女だ」コドモセンセイダシ

マルコ「進撃世界の巨人もみんなディアンヌたんみたいだったらいいのに」

ジャン「いやダメだろ人類側詰むわ。壁なんか意味ねえし。ディアンヌたんって鎧とか超大型とかメじゃねーぐらい強ェーし」

マルコ「なんにしても冬コミが楽しみで仕方ないよワタシは。12月いっぱいは有休使い果たした上で辞めるし、今年は行ける。今からワクテカが止まらない」





757: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:28:47 ID:hfwxcG/.

ジャン「さて、そろそろ本題に入りましょう。っていうか、オレなんも聞いてねーんだけど、今日のお題は?」

マルコ「本日はゲストをお呼びしてるんですよね」

ジャン「ウッソー、誰ー? 誰誰ー? イケメン? それともゲロマブのカワイコちゃん? まさかディアンヌ? やっべ、超おっきしてきた」

マルコ「到着が遅れているようですが、このお二人の予定です」

ジャン「何々………ミーナ・カロライナと、廃棄物のグリゴリー・ラスプーチン?」

マルコ「ですよ」

ジャン「こりゃまたなんの関連性もねえ二人だな。何話せっつーんだよ――――――ッ! 待てよ」ハッ!?

マルコ「どうしたんだ、ジャン」

ジャン「分かったぞ…………この二人にはある一つの共通点がある」

マルコ「ではお答えをどうぞ」







ジャン「…………ちんこだ」

マルコ「!?」





758: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:29:41 ID:hfwxcG/.

マルコ「ハァ? ちょっと待てよ親友。そんなワケねーだろ………公共の場でちんことかいうなち○こって言え」

ジャン「いや、そうは言うけどな親友。だって、ホラ、ミーナとラスプーチンだぞ? ミーナとかけてラスプーチンと説くんだよ? そのこころは?」

マルコ「…………」

ジャン「…………」



















マルコ「…………ちんこ、だな」

ジャン「だろ?」





759: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:30:26 ID:hfwxcG/.

マルコ「ラスプーチンといえば巨根で有名な度し難い変態だ。名前にもチンがついてて、まっことちんこだ」

ジャン「せやろ?」

マルコ「そしてミーナといえば十人中十人がマーラと答える。頭にもちんこがのっかってて、まっことちんこだ」

ジャン「せやろせやろ?」

マルコ「えー……じゃあなに? 僕らここでちんこの話すんの? あの二人と?」

ジャン「冗談じゃねえな。何の罰ゲームだオイ。デカマラ二人を前にしてちんこトークとか自虐的すぎるわ」

マルコ「二人揃って卑猥の戦士マラキュアってか」マッラキュッアー♪





760: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:31:09 ID:hfwxcG/.

ジャン「卑猥っていうか汚猥ですね。進撃とドリフの二大ちんこの超スペクタクル大合戦。2015年夏・映画化決定」

マルコ「まじで!?」

ジャン「しかも全年齢」

マルコ「まじか!? 映倫も思い切ったな!」

ジャン「全米が悲鳴と絶叫に包まれた」

マルコ「大ヒット間違いなしだな。興行収益百兆円とか行くんじゃね」

ジャン「収益? 損害の間違いじゃなくて?」

マルコ「ですよね」

『完』





761: ◆B2mIQalgXs:2014/11/24(月) 15:33:07 ID:hfwxcG/.

『おまけ』

ラスプーチン「えっ、私の出番は?」

ミーナ「はァ? あるわけないでしょう、何言ってんのこのヒト」ホジホジ

ラスプーチン「えっ」

ミーナ「まあ、すぐなれますよ。こういう芸風のスレなんで。私なんかヤツの初SSのときからちんこ扱いです」

ラスプーチン「何それヒドイ」

ミーナ「ナカーマ」ニヤニヤ

ラスプーチン「やめろ!! 同族の誕生を祝福するかのような目で私を見るな!! 呪うぞ小娘!」

ミーナ「いかな貴様の30センチ砲でも、私のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の完成度には勝てんよ」ビクンビクン

ラスプーチン「ウワー、マジご立派ー。完成度高ェなオイ」

ミーナ「」チーン

ラスプーチン「」コ

『完』(姦)


※おかしいなー。私、そんなちんこ好きじゃないのになー。
 まあ、明日あたりからぼちぼち投下するんでヨロシク。お茶濁しでごめんよ。





766: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 21:51:39 ID:V1SCc/yA

二日後、太陽が中天に輝く頃、彼らは目的の地へと辿り着いた。


エルヴィン「ここが………ここが、シガンシナ区か?」


 かつてまだエルヴィンが調査兵団の一兵団員に過ぎなかった頃、彼はこの地区を訪れたことがある。

 五年以上も前の話だ。

 そう。

 超大型巨人がウォールマリアを陥落させてから、もう五年もの月日が過ぎていた。

 長らく人の手も入らず風雨に晒されてきた木製の建物の板壁はどこも腐りかけ、いつ屋根が落ちても不思議ではなかった。

 ガラスを失った木製の窓枠は、各所でぐずぐずに腐り、鉄製の扉は赤茶けた錆が浮かび、石の壁は緑に苔むしている。

 かつては多くの人で賑わいを見せていたであろう大通りの石畳は雑草で埋め尽くされている。

 そうした道のところどころに、白い物体が落ちている。

 人骨だ。巨人に踏みつぶされたか、食い殺された後に吐き出され、そのまま野ざらしになっていたもののなれの果てだろう。





767: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:02:30 ID:V1SCc/yA

ウォールマリア・シガンシナ区。


 無惨な戦場跡を思わせる光景は、ドリフターズやエルフの面々にとって見慣れたものであったが、調査兵団にとってはまさしく地獄と言えた。


ジャン(………言葉もねえとは、このことか。こんな、こんな地獄から、エレンは、ミカサは、アルミンは、逃げて来たってのか)

コニー(なんだよ、なんだよこれ………)

クリスタ「酷い………こんな、こんなの、酷いよ」

ユミル「…………」


 荒涼としてまったく人気を感じさせない街並みに、調査兵団の誰もがうすら寒いものを覚えた。

 幾度か壁外調査の中継地点として訪れただけのエルヴィンにとってすら目を疑う光景である。

 五年前に起きた惨劇が、どれほどまでに凄まじいものであったかを、まざまざと見せつけられた気分だった。

 同時に、誰もが思う。

 このシガンシナの惨劇を直接目の当たりにした、エレン、アルミン、ミカサの心に染み広がるのは、どのような思いだろうかと。


エレン「…………シガンシナ、だ」





768: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:03:05 ID:V1SCc/yA

ミカサ「エレン?」


 その声は震えていた。


エレン「壊れてようと、廃墟だろうと、関係ねえよ! ここはシガンシナだ! 俺たちの故郷だ!」


 誰が聞いても、強がりだと思っただろう。

 エレン自身が、それを誰よりも理解していた。

 今でも夢に見る。

 ―――――母が、咀嚼されていく悪夢を。

 大好きだったおかあさんが。

 死んでいく光景を。殺されていく悲痛を。

 その時の黒く塗りつぶされるような絶望と無力感を、覚えている。

 母が噛み潰されていくその音が、耳にこびりついて離れない。





769: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:05:21 ID:V1SCc/yA

カルラ『エレン!! 生き延びるのよ!!』


 母が残した言葉は、最後まで息子の未来を案じたもので。

 夢に見るたびエレンの胸中を、母に対する愛しさと、失った悲しみと、奪ったものへの憎悪が混ざり合った混沌とした思いが渦巻いた。


 ミカサも、同じ思いを抱いた。同じ痛みを知っている。その後悔を覚えている。


 ――――それは、どちらも一瞬の事でした。


 ほんの一瞬の事でした。


 帰る家がなくなったのです。

 帰りを待つ人がいなくなったのです。


 大切なものが一瞬にしてなくなったのです。


 帰るところを奪ったのは、同じ人間でした。

 帰るところのために戦う………同じ人間でした。





770: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:10:43 ID:V1SCc/yA

しかしその痛ましくすらある虚勢を張るエレンの背を支えるものが、今は確かにあった。

 ミカサにとってエレンが救いであったように。

 生きる動力が復讐心のみであったこれまでとは違い、今のエレンには、命に代えても守りたいものがあった。


エレン「トロスト区なんかより、ずっといい!! 故郷だ! ………帰ってきたんだ。俺たちは、帰ってきたんだ!! ここが、これからが、俺たちの始まりだ!!」


 ここからだ、と。

 人間、死ぬことは決まっている。何を成し遂げるか、何を残せるのか。

 エレンは廃墟となった故郷を目の当たりにし、その第一歩こそがここなのだと、一つの決意を抱いた。眼下に広がる廃墟を掻き抱くように両手を広げ、叫ぶ。

 豊久のように雄々しく。信長のように不敵に。与一のように飄々と。

 その顔に笑みを浮かべ、英雄たちの背中を追いかけていく。


ミカサ「………………ええ。やっと、やっと、帰ってこれた」

アルミン「……………ああ、そうだね。そうだとも。カルラおばさんのお墓も、造ってあげられる。マリアを取り戻して、壁内の残存巨人を全滅させて、それからだ」


 その背を見て、幼馴染の二人も何か感じ入るものがあったのだろう。

 伏した視線を上げ、真っ直ぐに前を見つめる瞳に、もう迷いはなかった。





771: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:14:45 ID:V1SCc/yA

リヴァイ(…………ほう。悪くない。強がりとはいえ、悪くないことを言えるようになった)

オルオ「ふ、ふん。し、新兵の分際で、いいこと言うじゃあねえか………えぐっ、ひぐっ」ポロポロ

ペトラ「鼻水垂らして何言ってんの。はい、ちり紙」ホレ


 その様子を見守っていたリヴァイ班の精鋭もまた、エレン達の虚勢を好意的に受け取っていた。

 決して諦めない。最後の最後まで絶望しない。前へ。ただひたすらに前へ。

 その気骨こそが調査兵団の兵に求められる最たるものである。


エルヴィン「…………その通りだ、エレン。ここからだ。ここから始まった。そしてまた、ここから始まるのだ。我々の、人類の進撃はこれより始まる」


 静かに、しかし力強い語調で、エルヴィンが言葉を発する。


エルヴィン「各班に通達、シガンシナ区内に残存する巨人の索敵および殲滅を行え。立体機動装置の使用を許可する。木製の建築物は劣化が激しいため、アンカーの射出点はくれぐれも吟味すること」

「「「「はっ」」」」


 エルヴィンの号令の下、さしあたっての安全性確保のため、残存巨人殲滅の作業が開始される。

 幸いというべきか、奇行種を除く多くの巨人は、より多くの人間が集まるウォールローゼ側へと抜けていったのだろう。シガンシナ区内には僅かに数体の奇行種が残るばかりで、討伐は容易であった。





772: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:18:31 ID:V1SCc/yA

エルヴィン「では、壁の閉塞作業に入る。オッパ……オルミーヌさん、よろしく」

オルミーヌ「今オッパイって言おうとしたなこのヅラ野郎。なに? その呼び方流行ってんの? やめてくんない? 本当にやめてくんない?」

エルヴィン「す、すまない。ノブナガや部下の多くが君のことをそう呼ぶものだからついうっかり………」

エルド「オッパイー、オッパイー。俺の彼女にもご利益がありますように」オガミオガミ

グンタ「おまえチクられたくなかったら今度酒オゴりな。しかしスゴいオッパイだー。ありがたやありがたや」ナムナム

オルオ「ああ、あんないいオッパイそうそうねえよ。まるで格好は痴女だけど、いいオッパイだー」ナムナム

ペトラ(!? へ、兵長は………まさか、まさかですよね? 兵長はオッパイなんかに屈したりしませんよね?)ジッ

リヴァイ「……………」キリッ

ペトラ(ホッ………良かった、兵長はいつも通りだ)フゥ


 食糧難の壁内において、イヤらしく肥大化した脂肪の塊は今や絶滅危惧種であり、重要なセックスアピールポイントである。

 また、ゆったりとしたトップにロングスカートという組み合わせが流行りの壁内文明において、オルミーヌの生足を露出したニーソックスはある種の革命であった。

 それは男たちの視線を釘づけにし、女たちに新たなオシャレの可能性の片鱗を見せつけた。


リヴァイ(…………でけえのも悪くない)キリッ


 それは人類最強の男とて例外ではない。





773: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:22:47 ID:V1SCc/yA

オルミーヌ「こ、こいつら………なんかここ数週間、こっちのヤローどもにやたら親切にされたのはそういうことか!? なんかやたらお茶やら食事やら気を配ってくれたの紳士的だなぁって思った私のトキメキを返せ!!」ギャース

与一「あれ? ひょっとしてオルパイヌ殿はご存じない? 巷ではアナタってば「生足オッパイメガネちゃん」と呼ばれてますよ」マジデ

オルミーヌ「一刻も早くこの世界から逃げ出してえ」ウワァ

信長「呼び方なんかどうでもいいだろうが、オラッ、早く符を出せオルミーオッパイ。なんなら出すのはオッパイでもいいぞ。兵どもの士気も上がる」

ハンニバル「オッパイ? そんなものいいから木いちごだー、木いちごを出せー。さもなくばローマ滅ぼす」

豊久「乳がら出すんか? 乳ば出すんか? とっとと出せい、オルミー乳」

エルフA「出せよー、オッパイ出せよー」

エルフB「出せー、早く出せーオッパイー」

オルミーヌ「畜生、いつか見てろよ………あっ、クリスタちゃん、手伝って!」

クリスタ「あっ、は、はい!(おっきいなぁ………いいなぁ………)」


 ブツブツと文句を言いながらも、オルミーヌはこの数週間で作り溜めた石壁の符を大量に取り出した。

 信長の提案はシンプルなもので、破砕されたウォールマリアの壁を、大量の石壁の符によって塞ぐというものだった。

 壁の高さは五十メートルに及ぶものであるが、壊された内門の高さは精々が十七メートル前後で、石壁の強度もギリギリで耐えられる。

 一枚一枚の石壁は薄いが、それも積み重ねて展開すれば通常の無知性巨人の突進程度には耐えられるものになる。





774: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:28:17 ID:V1SCc/yA

全ては順調に行われているように見えた。


ライナー「…………」

ベルトルト「…………」


 全てはここから。エレン・イェーガーはそう言った。

 そうだ。全てはここから始まり、ここで終わるのだ。

 何もかもが順調に、全ては予定調和として、そうして運命の道は決する。



アニ「――――――――――――」

 

 帳尻を合わせるために。





775: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 22:37:23 ID:V1SCc/yA

最初にその異変に気付いたのは、ミケ・ザカリアスであった。

 彼の鋭敏な嗅覚は、数キロ先の巨人をも察知する。

 その感覚がシガンシナ南方の方角より、巨人の存在を訴えた。強烈なまでに。


ミケ「…………?」


 今、壁外へつながるシガンシナ正門では、ハンジが主導する壁の補修作業班が、慎重に石壁の符を破砕箇所へと設置している。

 同伴するオルミーヌは、おっかなびっくりその指導を行っていた。

 エルヴィンや信長をはじめ、調査兵団の兵とドリフターズの多くが、それを壁上から見守る形だ。

 リヴァイ班はライナーとベルトルトにつき、彼らを監視している。

 故に、その異変に気付いたのは、ミケ・ザカリアスだけであった。


ミケ「―――――――――――――!?」


 それは南の空から飛んできた。

 巨岩。





776: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 23:09:54 ID:V1SCc/yA

ミケ「退避しろォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 怒号めいたミケの声に即座に反応できたものは、僅かに数名。

 一人は野生の猫よりも危機察知に優れたミカサ・アッカーマン。すぐさまエレンとアルミンを押し倒すように、『壁内』へ向かって飛び降りる。

 もう一人はサシャ・ブラウス。元より勘に鋭い彼女は、背筋を這い上がってくる得体のしれない嫌な予感に、警戒を強めていたことが上げられる。すぐさま近くにいた同期のメンバーを促し、直近の着弾点からやや逸れるであろう『壁外』へと退避した。

 そしてドリフターズ、那須与一。弓兵として培われた優れた視力がそれを捉えた瞬間、彼は『壁外』へと跳んだ。

 それぞれの選択・判断に誤りはない。誤りがあるとすれば―――――。

 数瞬の遅れと共に、エルヴィンが状況を理解し、即座に通信球を通じてハンジらの班へと退避を促す。

 着弾は、三秒後だった。

 文字通り地を穿つ轟音と共に、巨大な岩がシガンシナ正門へと衝突する。

 咄嗟にオルミーヌを抱えて退避を命じたハンジであったが、十数名の班員は逃げ遅れ、巨岩の下敷きとなって果てた。

 外壁の上部へと跳び退ったハンジの相貌には驚愕と、滲み出る怒りがある。

 破片によってひび割れた眼鏡の奥、その視線の先には―――――。


 まるで獣の様相を思わせる、

 毛むくじゃらな巨人の姿があった。





777: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 23:12:56 ID:V1SCc/yA

そして第二、第三の投石による災害の雨が降り注ぐ。

 マリアの壁上部を僅かに擦るように、その直上の人間を根こそぎ抉り取るような容赦の無い破砕の流星。

 次いで、リヴァイもまた南の空より迫る巨岩と、その原因たる巨人の存在に気づき、視線を向ける。

 捕虜を有しているが故、直接作業を行う正門直上の壁からはやや離れた位置に陣取っていたことが、この時は災いした。


リヴァイ「――――――――ッ」


 リヴァイをはじめ、精鋭の意識が捕虜二名から逸れる。

 それも致し方のないほどの衝撃であり、事情があった。

 もとよりライナー・ベルトルトの両名は綿密な身体検査の上、強固なワイヤーロープによって捕縛され、猿轡を噛まされている。

 僅かに気を逸らした程度で、どうこうできるほどの策は、彼らには残っていないはずだった。

 彼ら『には』。

 故にこそ、流石のリヴァイも、対処が僅かに一手だけ遅れる。


アニ「一手は一手。けれど、こちらは鬼札(ジョーカー)。」


 誰もが壁の外、あろうことか巨岩を投じてくる巨人に注視する中、その冷たい声は、壁の内側――――よりにもよって、リヴァイの背後から響いた。





778: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 23:18:20 ID:V1SCc/yA

リヴァイ「ッ!?」


 完全に埒外の状況に、リヴァイは己の死をも覚悟した。

 その後に取ったリヴァイの行動は最適解であった。

 振り返る間をも惜しんだか、即座に抜刀と共に前方宙返り。背後から迫ってくるであろう敵に備え、刃を十字に構える。防御の構(カマエ)。

 古武道の柔にも通じる柔軟な動作は、ここまでわずか一秒。信長や豊久が見れば驚嘆するほどであっただろう。

 だが、その行動が、結果として悪手であった。


 アニ・レオンハートは、全ての賭けに勝利した。


 ――――『調査兵団とドリフターズは、シガンシナ区へと辿り着く』。

 ――――『ライナーとベルトルトは、何らかの罠にはまり捕縛され、シガンシナ区へと同行する』。


 そして。


 『ウトガルド城にて駐留する『獣の巨人』と合流し、行動を共にする』


 そちらに全ての手札をベットした。





780: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 23:21:45 ID:V1SCc/yA

アニは冷静に状況を分析していた。シガンシナ区内の民家に潜み、捕虜となった二人を解放する隙を窺う。ここまでは良い。

 問題は捕虜二人の監視を行う、リヴァイ班の精鋭達だ。

 リヴァイが引き連れる者たちはいずれも精鋭。人間のまま立ち回るにも二人殺せるかどうか。

 かといって壁上に陣取られては、巨人化したところで逃げ切られる。

 ならば、注意を逸らした隙を、どのように使うか。


アニ「こちらは鬼札(ジョーカー)を切った。後は運否天賦に任せるだけだ。賭けというのは元々そういうものでしょう? ねえ、リヴァイ兵長」

リヴァイ「――――――ッ!? リヴァイ班、『壁内』に退避だッ!!」


 アニの冷たい流し目に、リヴァイは己の失策を悟る。

 防御ではなく、攻撃をするべきであった。あるいは、ライナー・ベルトルトの両名を殺害すべきであった、と。

 アニ・レオンハートの狙いはリヴァイの殺害に非ず。

 アニの両手には、それぞれ一本の手投げナイフ。既に投擲姿勢に入っており、その先には――――ライナーとベルトルト。





781: ◆B2mIQalgXs:2014/11/25(火) 23:27:44 ID:V1SCc/yA

投じられたナイフの尖鋭は、過つことなくライナーとベルトルトの体に突き刺さる。

 神経が痛みを脳へと伝えるその前に、ライナーとベルトルトは胸に一つの『決意』を抱く。

 直前、リヴァイ班は全員が壁内へと退避していた。


アニ「一手…………遅かったね…………!!」ガブッ


 アニは壁外へと身を投げながら、同じく『決意』を込めて、己が手を噛み締め、


 三条の紫電を思わせる閃光が弾ける。


 熱波が巻き起こり、壁上に粉塵を巻き上げた。

 煙が晴れた先には、


 超大型巨人。

 鎧の巨人。

 女型の巨人。


 三種三様の、知性巨人が姿を現していた――――。





805: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:06:47 ID:7.9DFCSc

エルヴィン「ノブナガ。ライナーとベルトルトが地下室で供述した内容は――――」

信長「一度白紙だな」

エルヴィン「結果論だが、あれはエレンを動揺させ、巨人化を躊躇させるための布石だったと見るべきか」

信長「で、あるな。まァ、それなりに効果はあったが今はホレ――――御覧の通り、あのガキは元気いっぱいだ」

エルヴィン「愛する者がいる、というのはそれだけで力となるものなのだな」

信長「くさい」

エルヴィン「やかましい」

信長「案外余裕があるじゃねえかハゲ。だが、そろそろ下知を下してやらんとマズい。下の連中が混乱してやがる」

エルヴィン「分かってる。ノブ、君はトヨヒサとヨイチの方に連絡を頼む」

信長「おう。といっても―――――豊久の性格上、向かっていくのは十中八九」



豊久「首置いてけ!! 大将首だ!! 大将首だろう!? なあ大将首だろうおまえ!!!」



 信長が言い切る前に、シガンシナ区全域に、豊久の猿叫が如き大声が響き渡る。





806: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:13:55 ID:7.9DFCSc

未だ土煙が舞い上がる壁上に立ち、その相貌が睨みつける先に、超大型巨人がいた。


豊久「どでかいのう! だいだらぼっち!! 他ん巨人(やつ)よりいっとうデカか!! 掻き取りがいがありそうじゃ!!」

超大型「ッガアアアアアアアアア!!(シマヅ……トヨヒサ……!!)」


エルヴィン「だろうな。ではヨイチにはあの獣の巨人を任せたい。ミケの班をつける」

信長「で、あるか………聞いているな、与一。みけの隊とえるふ共を何名か連れて、あの獣を討ち果たせい」

与一『生け捕りは?』

信長「できるならってトコだな。ぶっちゃけ鎧や超大型と違って未知だ。殺せる機があれば、迷わず殺せ」

与一「あい」

ミケ「了解した。よろしく頼む、ヨイチ」

与一「ええ、よしなに、ミケ殿」


 ミケにせよ与一にせよ、感覚で生きる者。どこか通じ合うものがあったのだろう。

 互いに薄く笑みを見せ、次の瞬間には殺意に満ちた両目で、獲物を見据えていた。





807: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:15:09 ID:7.9DFCSc

ミケ「幸い、馬は無事だ。石壁の階段を一気に駆け下り、先行する与一の援護だ!! 部下たち、エルフたち、オレに続け!!」

ナナバ「了解です!!」

クリスタ「は、はいっ!!」

ユミル「―――――了解」

サシャ「はいっ!!」

ジャン「ッ、くそがッ! やってやろうじゃねえか!!」

コニー「ああっ!! 手柄上げて、英雄になって帰ってやろうぜ!!」

エルフC「ヨイチさんを援護だゲンジバンザイ」

エルフD「射程距離になったら一気に射掛けろゲンジバンザイ」


 馬を駆り、弓を背負い、獣の巨人に向かって駆け出す。

 そんな彼らを押しとどめんとする動きを見せる者がいた。


 ――――壁外に飛び出した『女型の巨人』である。





808: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:21:16 ID:7.9DFCSc

先行を許してしまった与一については無視するとしても、弓兵を有する存在を獣の巨人に近づけるのは得策ではない。

 獣の巨人は遠距離砲台だ。遠くから岩を投げるだけで牽制し、他の巨人たちの援護を行うことができる。

 故に女型の巨人は獣の巨人に接近しようとする一団の殲滅のため、その駿足でもって立ちふさがろうとした。

 だが、それに待ったをかける者がいる。

 立体機動装置を駆使し、女型へと近づく者の数はわずかに五人。

 問題なくワイヤーを掴んで、振り落してやろうとした。

 だが、ワイヤーを掴むはずの手は空を切り。

 左足の感覚が消え、無様に地に付す。


女型の巨人「!? !!!?」


 何が起こったかも理解できない。

 何が己の行く手を遮ったのか――――振り返って、空を仰げば、


リヴァイ「よう――――さっきぶりだな、クソアマ」


 人類最強の男が、刃を振り上げて迫っていた。





809: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:22:12 ID:7.9DFCSc


……
………

〜数分前〜

エルヴィン「リヴァイ。君は――――」

リヴァイ「俺はあの女の巨人をやる」


 エルヴィンの言葉を両断するように、リヴァイの鋭い声が響いた。

 声に込められた感情は、まぎれもなく怒りであった。


エルヴィン「………ああ。おまえの班を率いて、女型の相手をしてくれ。超大型や鎧とは違い、完全に未知数の敵だ、十分注意を」

リヴァイ「言われるまでもねえ…………あのアマ―――――俺を、俺達を嘲りやがった。このツケは支払わせる。必ず、必ずだ」

エルヴィン「可能であれば捕えろ。絶対とは言わないがな」

リヴァイ「了解した………聞いたな、おまえら。遅れずついてこい」

ペトラ「はいっ!!」

エルヴィン「私は他の団員を率い、周囲の巨人の掃討に当たる」





810: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:23:29 ID:7.9DFCSc

ハンジ「エルヴィン、私は!? 指示を」

エルヴィン「君はノブナガ、モブリットと共に壁の上に陣取り、全体の戦局を把握。逐一水晶球で伝令を送ってくれ」

ハンジ「そんな!? 私も戦うよ!!」

信長「阿呆、必要な役割だ。オメーや俺はその適任だ。受け入れろ」

ハンジ「っ………ああもう、分かったよ! 武運を、エルヴィン」

エルヴィン「頼んだ。モブリット、君にも水晶球を渡しておこう」

モブリット「了解しました!」

リヴァイ「鎧のクソはエレンに任せりゃいいが、援護に何名か回しておけ。じゃあ、俺たちは行くぞ――――」

信長「待て、りばい」

リヴァイ「なんだ、ノブ」

信長「持ってけ。念のためじゃ」

リヴァイ「これは………」

信長「鎧っつーわかりやすい例がある。ヤツもそうであると用心するは当然よ。おまえならば使いこなせよう?」

リヴァイ「………一理ある。貰っておこう」





811: ◆B2mIQalgXs:2014/11/28(金) 22:26:39 ID:7.9DFCSc

………
……


 切断された左足の腱をすぐさま再生させた女型の巨人は迫るリヴァイ班に対し背を向ける形で、ウォールマリア外南東の方角へ向かって疾走していた。

 少しでもリヴァイ班を獣の巨人へと近づけないためであろう。

 その背後をリヴァイ班が追う。


リヴァイ「エルド・グンタは女型の左右前方から距離を保ちつつ、ヤツの注意を逸らせ」

エルド・グンタ「はっ!」

リヴァイ「オルオ・ペトラは左右後方から牽制。隙を見て、俺が手足いずれかの腱を断ち切る。しかる後に追撃を加えろ」ジャキッ

オルオ・ペトラ「はいっ!」

リヴァイ「作戦前にも伝えたが………改めて言っておく。ヤツは俺たちが今まで殺してきた巨人とは違う。巨人大の人間だ。つまり戦術を用いてくる。人間のできることは全てできると思え。これまでの規定概念を捨てろ」


 怒りの滲む感情を抑え、リヴァイは冷静に部下たちに指示を下す。


リヴァイ「ヤツは他の巨人と比較しても敏捷性が段違いだ。いいか、ヤツがそれらしい隙を見せようとも、全て誘いだと思え。俺がゴーサインを出すまでは、決して深追いするなよ―――――行け」

四人「「「「はっ!!!」」」」





859: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 20:15:31 ID:iqKms0Pk

………
……




与一「うは、速い速い。ホント佳き馬ですこと。かの呂布の赤兎馬とはこのようなものでありましょうか」パカラッパカラッ


 先行し、単独で獣の巨人へと突撃する与一。

 出し惜しみすることなく、乗馬の脚を使い切る心算で最高速を駆ける。


与一「あー、与一より後続の新生源氏のつわもの達へ告ぐー。我これより単騎にてあれなる獣に一手馳走する所存なり。みけ殿はじめ、皆奮って後に続くように。それと口を開く前と後ろに源氏バンザイとつけろ」

ミケ『了解した。総員、飛んでくる岩に留意しつつ距離を詰めろ!! 与一に続く!!』

サシャ『了解しましたゲンジバンザイ!』

コニー『やってやるぜゲンジバンザイ!』

クリスタ『みんながんばろう! ゲンジバンザイ!』

ジャン『言わなきゃいけない流れかゲンジバンザイ?』

ユミル『勝手に言ってろ』





860: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 20:22:18 ID:iqKms0Pk

与一「では宣言通り、まずは―――― 一手、馳走………!!」ギュパッ


 射法八節に則り引き絞られた矢は、虎の子の棒火矢。殺せるときに殺す与一の流儀は健在で、出し惜しみなしの本気を示していた。

 挨拶代わりに放たれた棒火矢は寸分違わず獣の巨人へと直撃し、爆散するかに見えた。だが投擲体勢に入っていた獣の巨人は飛来する閃光を黙視するや否や、軽やかに身を躱す。


与一(―――――棒火矢を避けた………!! 彼奴も『知性巨人』とやらですか。それもかなり素早い。まさしく『猿』か)


 冷静に敵戦力を評価しつつ、与一は距離を詰めつつ更に三本の矢をつがえる。いずれも棒火矢。そして――――。


与一「もとより様子見の一射よ! いかに素早かろうと、この距離ならば避けきれまい!!」ヒュバッ


 狙いは人体における水月、心臓、眉間に値する急所。いずれか一撃でも当たれば仰向けに倒れるのは必至の三連射である。

 先ほどの一射にて測った獣の巨人の身体能力、反射神経、どれをとっても回避不能と思われる『詰み』の攻勢である。

 だが、その『詰み』を、


与一「なんと!?」


 ―――獣の巨人は持ち上げた岩を縦に薙ぎ、与一の三連射をことごとく打ち払うことで、『詰み』をひっくり返した。





861: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 20:24:23 ID:iqKms0Pk

とてつもない膂力と、常軌を逸した咄嗟の判断力。巨人という超常の存在であるが故の対処法であった。

 それにはさしものの那須与一といえど瞠目すべき膂力ではあったが、


与一「あはは――――下らねー」


 与一はそれを一笑に臥す。所詮は猿の浅知恵と。

 那須与一の弓の本領は、針の穴を射抜く精密射撃のみに非ず。

 皆中は前提に過ぎず、速射をはじめ、曲射(斜め上に射ることで着弾のタイミングをずらす技法。芸達者は相手の頭上へ矢を降らせたりもできる)にも通じる。

 まして、与一と獣の巨人はお行儀よく一対一で対峙しているわけでもない。

 矢の恐ろしさとは、その数にあるのだ。

 笑みを浮かべ、与一は馬首を切り、獣の巨人を中心に円を描くような軌道を取る。


与一「私が背後に回り込みます。前後に挟んで鴨撃ちと参りましょう」

ミケ『エルフ隊は棒火矢構え!! 敵は未知数だ! とっておきの棒火矢だが、惜しまずありったけを食らわせるぞ!! 一気に『獣の巨人』を押し潰す!!」

エルフC「はいッ!」シュッ

エルフD「了解!!」スチャッ





862: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 20:35:02 ID:iqKms0Pk

今度こそ、これで詰み。

 エルフの弓術が与一のそれに幾段か劣るものであろうと、織り込み済みの策だ。数の暴力こそが弓矢の真骨頂である。

 雨あられと降り注ぐ矢の暴風は、いかな腕力を誇ろうとも防ぐこと能わず、『獣の巨人』を蜂の巣の如き穴だらけの肉塊に変えるだろう。

 この時、与一に油断はなかった。だが、見誤っていたのであろう。

 正しく『獣の巨人』が、彼らにとって未知の存在であることを、失念していた。



獣の巨人「キィィイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

与一「うわっ!?」


 突然、獣の巨人が雄たけびを上げた。

 まさしく猿叫。大気を奮わせるほどの音響に、さしもの調査兵団の馬も驚き嘶いた。



ミケ「ッ、なんて声を出す…………」


 興奮した馬をなだめつつ、ミケはその叫びの意味を考える。

 単なるこけおどしか、なにか重要な意図があるのか。





863: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 20:37:19 ID:iqKms0Pk

判断に迷うミケだったが、首を振って全ての考えを棄却する。その迷いこそが獣の巨人の狙いであると結論付け、


ミケ「総員、命令に変更はない!! このまま獣の巨人を囲い、棒火矢で殺しつくす!!」

与一「否! ―――――みけ殿。作戦変更。その場で待機、弓兵を前へ、剣兵はその後背へ!」

ミケ『ッ!? どうしたヨイチ!? 何があった!?』

与一「あの猿………他の知性の無い巨人どもを、操っている。こちらへ来る。向かってきている!」

ミケ『……ああ、こちらも捕えた。糞ッ、この匂い………二十、三十、いや、もっと………!!』

与一「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜!! 岩の投擲に留意しつつ、突撃してくる巨人どもへは、行軍時と同様の対処を。恐らく消耗戦となります」

ミケ『わかった!! 総員、待機だッ!! 三十を超える奇行種がこちらに接近中! およそ数分で接敵だ! エルフ達弓兵は前へ出ろ!!』

ジャン「ハハハ、オイ、三十以上だってよ――――ああクッソ。こっちは貧乏くじだったかよ」

ユミル「イヤなら帰ってママのオッパイでも吸ってるかジャン坊」

ジャン「抜かせ。どうせ吸うならババァの乳よかデカイ乳だろ。オルミーオッパイ吸うわ」

コニー「おれ、帰ったらオッパイーヌのオッパイ吸うんだ。あとゲンジバンザイ」

サシャ「コニー、それ結構言ったらヤバい類の台詞です。ゲンジバンザイ」

クリスタ「みんなまじめにやってよ!! それとゲンジバンザイ!!」





864: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 21:02:04 ID:iqKms0Pk

………
……



与一『――――与一より、豊久殿へ。豊久殿、聞こえておりますか、豊久殿』

豊久「応。聞こえとるど」

与一『申し訳ありませぬ。手早く終わらせ、そちらへ向かう所存でしたが………少しばかり手間を取っております故――――私の援護はご期待なさらぬよう』

豊久「よか。そんだけ歯ごたえばある手柄首っちゅうことじゃ。誉れぞ。逃さず掻き獲って来い」

与一『必ずや。では豊久殿も、八幡大菩薩のご加護がありますよう』ブツッ

豊久「うむ―――――という訳じゃ。お前もつくづく運がない」


 壁上に仁王立ちし、嘲笑する豊久の前方、超大型巨人が白い蒸気を上げて佇んでいる。


豊久「偽りの投降なんぞせなんだら。逃げなんだら。捕虜のままなんだら。俺にそん首、掻き獲られずに済んだのにのう? べるとるとよ」ズラァアアアアッ


 超硬化ブレードを抜き放ちながら、嘲るように豊久は言った。

 挑発、ではない。嘘偽りのない豊久の本心であろう。





865: ◆B2mIQalgXs:2014/12/29(月) 21:14:48 ID:iqKms0Pk

豊久「降り首ば獲るんは恥じゃ。されどお前は裏切り者じゃ。お前ん胎の内など知らぬし、お前にいかなる道理があろうとも、お前は裏切った。兵を! 同胞を! 友を!」

超大型巨人「ッ…………!!」

豊久「裏切り者ん末路は、斬首と相場が決まっておる。さくりと死ね。
   ・・
   お前は兵子ではない。まして将でも軍師でもなか。薄汚い外道じゃ―――――さぞかしお前の郷里の親父も母堂も、お前に負けぬ『人でなし』であろうよ」

超大型巨人「―――――――――――――――――――ッ、ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 その言葉は、ベルトルトの逆鱗に触れたのだろう。緩慢な、しかし迷いのない動きで、超大型巨人はその拳を振り上げた。

 ―――――お前に何が分かる。お前に何が分かる。外道畜生の誹りを受けようと、使命に殉じるしかなかった自分たちを、よりにもよって異世界の住人の貴様が! 貴様が!!

 怒りの感情を乗せた拳が、壁上へと振り下ろされた。砂礫を巻き上げ、粉塵が舞い上がるが、豊久は曲芸の如く立体機動装置を駆使し、その被害から逃れる。


豊久「は!! とろい野郎じゃ。人でなしが人でなしと言われると、一丁前に腹を立てよるか!!」


 更に挑発を繰り返しつつ、シガンシナ区外周から西へ西へと走る。


超大型巨人「ッグギャ゙アアアアアアアアアアアアア!!」


 怒りに我を忘れた超大型巨人は、他の全てが見えなくなったかのように、豊久を追いかける。全てが豊久の掌上での謀であるとは、想像もせずに。





871: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:03:15 ID:v8fJ6LW.

………
……



エレン「ッガァアアアアアアアアア!!!」

鎧の巨人「ルォオオオオオオオオッ!!」


 乱打に次ぐ乱打。撃ち込まれる互いの拳に込められた威力は悉くが必殺であったが、互いに一歩も引かぬ。

 紙一重でそれを捌き、躱し、受け流す。


ミカサ「くそ………近づけないッ」

シャラ「どうにかエレンの援護は出来ないか!?」

アルミン「ダメだシャラさん! あの鎧は大砲すら跳ね返した! 棒火矢じゃ効くか分からないし、明らかに防御で劣るエレンが巻き込まれる!」


 いかなミカサとはいえ、竜巻のように暴風荒れ狂う両者の間に飛び込むことはできず、戦局の行方を見守っていた。

 与一隊と二手に分かれたシャラ率いるエルフたちといえど同様である。援護としての棒火矢を命中させること自体は容易。

 されど、あれだけの超近接戦を行う両者の間に棒火矢を撃ち込めば、エレンの巨人体へも被害が及ぶ。

 まして相手は大砲すら跳ね返す、圧倒的な防御力を誇る『鎧の巨人』だ。足元を狙ってバランスを崩させるにしても、エレンの巨人体との距離が近すぎて狙いを外す可能性も高かった。





872: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:03:47 ID:v8fJ6LW.

両者の巨躯から繰り出される拳は、振るわれるたびに暴風さながらの余波を周囲に齎す。

 手数は互角。否、僅かながらエレンの巨人体が瞬発力において上回っている。

 だが、優勢は鎧の巨人にあった。

 『鎧の巨人』にエレンの巨人体ほどの瞬発力はないが、純粋な膂力において勝っている。何よりも全身の至る所を覆い尽くす『鎧』が、エレンの打撃をことごとく無効化していた。

 右のフックが鎧の左頬を完全に捉えるも、僅かに鎧の首を揺るがしただけで、撃ち負けたのはエレンの拳だ。手首までが吹き飛んでいる。


エレン(ッ、クソが………撃ち込んだこっちの拳が壊れやがる。どんな耐久力してやがんだ!)


 大砲を無力化するほどの防御力は五年前から知ってはいたが、大砲を上回る威力の巨人の拳ですら歯が立たない事態など、エレンの想定外であった。

 そしてエレンは別の理由で、鎧との格闘戦に違和を感じていた。それはかつて訓練兵であった頃の記憶。

 鎧の巨人としてではなく、ライナー・ブラウンとの対人格闘訓練の記憶だ。十や二十では利かぬほどの戦績を重ね、エレンが勝ち越していた。

 その記憶に基づくライナー・ブラウンの戦闘能力から推測される、巨人体へ変じた後の戦闘能力が合致しない。エレンの感じる違和の原因はそれだった。


 ―――鎧が繰り出す技を読み違える。

 ―――確実に極まるはずの打撃をすり抜けられる。

 ―――充分に余裕をもって回避したはずの打撃が頬をかすめる。





873: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:04:17 ID:v8fJ6LW.

最初はたまたまだと思った。偶然に過ぎないと。

 二度目はまさかと思った。手の内を読まれるのはエレンの側で、片やエレンは『鎧』の動きを読み損なう。

 数を重ねるごとに、疑惑は確信へと近づき、次いでエレンの心中に湧きあがったのは深刻なまでの敗北感と屈辱である。


エレン(ッのクソ野郎………訓練の時は手ェ抜いてやがったな?)


 あまりの屈辱に、内心で毒づく。

 三年間の訓練兵としての日々が、エレンの中にささやかながら己の武に対する誇りを抱かせていた。ライナーのそれは、エレンの誇りを土足で踏みにじるが如き行為である。


エレン(上等だてめえ。吠え面かかせてやる!)


 闘志を燃やしつつも、頭の中を冷たく。手の内が読まれているのならば読まれているで構わない。

 それならばそれで――――やりようはある。

 一秒ごとに『鎧の巨人』への憎悪と戦気を高めつつ、エレンは巨人体へと命を下す。超近接での打撃戦から逃れるように背後へと跳び、距離を取る。


鎧の巨人「―――――――ッ」


 エレンの挙動に、鎧の巨人の動きが止まる。





874: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:04:47 ID:v8fJ6LW.

エレンの巨人体が打撃主体の構えを解き、両足のスタンスを広く、重心を低く構え直したのだ。

 その意図するところは即ち、


ライナー(………打撃から関節技に切り替えたか。押し倒せばどうとでもなると考えているな)


 戦術を切り替えたと判断する。

 鎧の防御を抜くほどの威力は、巨人の力をもってしても難しい。

 しかしそれは打撃技においてのことでり、関節技であれば話が変わる。

 鎧とて万能ではない。一定以上の機動力を有するために関節部位は鎧に覆われておらず、並の巨人と同等程度の防御力である。

 何よりも動きを封じられることが問題だ。その時点で『詰み』となる。

 エレンが鎧の巨人を押さえ込んでいる間に、他の調査兵団員によって、『火薬』による攻撃が敢行されるのは明らかだ。

 いかに堅固な鎧であろうと、あの威力は脅威である。ヘタをすれば鎧ごと中身を吹き飛ばされる可能性があった。

 だが、とライナーは心中でエレンを嘲る。


ライナー(状況判断を誤ったな。おまえの関節技は、アニに教わったものだろう? 当然、対処法は俺も心得ている)


 狙いが分かっていれば対処は容易。エレンの巨人体の重心の低さは、明らかに下半身の関節を狙いすましたものだ。





875: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:05:44 ID:v8fJ6LW.

ならば、と鎧の巨人は、腰溜めに構えていた右拳を上げ、顔の横に構え直した。左手は腰の高さのままである。


ライナー(恐らくひざ裏を狙ったタックル。諸手で俺を仰向けに倒した後に、足の関節を極める肚か。突進の瞬間にローキックを顔面に叩き込み、肘で押し潰す。その後は即座にエレンを確保し、離脱を図る……)


 仮にエレンのタックルが腰を狙ってきたとしても、その際は腰だめに残した左肘を振り切って顔を狙い打てる。

 これで詰み、とライナーは確信する。


エレン「………ガァッ!!」

鎧の巨人「!!!(来た!!)」


 そして、エレンの巨人体が動いた。軌道は低い。狙いはひざ裏。


ライナー(狙い通り! 終わりだ!!)


 確信を持って放たれた右のローキックは、満を持してエレンの巨人体へ着弾する。

 ――――頭部を覆うように堅牢なガードを固めた、巨人体へと。


ライナー(!?)





876: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:07:46 ID:v8fJ6LW.

エレン(ッ、打撃は効果が薄い。んなもん分かりきってるよ。確かに効果は薄いだろうが――――)


 激烈な重さを誇る右の蹴りであったが、エレンの巨人体は全身のバネを総動員することでなんとか受け止めた。

 ライナーにとって、エレンの行動は不可解極まりないものだった。まるで最初から鎧の一撃を受け止めようとしていたような動き。

 想定外のエレンの行動に、鎧の動きが硬直する。その隙を突き、エレンは鎧の巨人との距離を更に詰めた。


ライナー(!? 馬鹿な、また接近戦!?)

エレン(――――こういうのはどうだ?)


 懐に潜り込み、中腰に溜めた左拳からのアッパーカット。

 そのテレフォンな挙動をエレンの焦りと見た『鎧』の注意が左拳へと向いた瞬間、


鎧の巨人「ッ―――――――――!」


 再び、ライナーの背筋に怖気が走った。

 意識を左へと向ければ、鎧にとって死角となる、深い弧の軌道を描く右フックが繰り出されている。


ライナー(!!! そうか、こいつの狙いは………!!)





877: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:09:13 ID:v8fJ6LW.

氷塊が滑り落ちたような寒気が、ライナーの総身を包む。

 エレンの狙いは『うなじへの打撃』だ。さしもの鎧に守られていたところで、うなじへの直接的な衝撃は中のライナーにとってはこの上ないダメージとなる。

 不意を突いた完璧なタイミングだ。全てを薙ぎ払うかのような強烈な一撃は、すぐそこへ迫っていた。


ライナー(う、動け!! 動けぇええええええええええええええっ!!)


 焦るも、カウンターを合わせようと前進していた鎧の巨人の体は、思うように働かない。

 だが、その焦りが逆に功を奏した。


エレン(ッ!!)

ライナー(うっ!?)


 鎧の巨人の足元、シガンシナ区内の荒廃した石畳の路面に刻まれた亀裂が、身じろいだ拍子に、その体を崩させた。

 間一髪のタイミングで、鎧はエレンの一撃をのけぞるように回避する。

 運といえばそれまでであろう。だが、


鎧の巨人「ッ、ガアア!?」





878: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:11:15 ID:v8fJ6LW.

その運を加味したうえで、エレンはライナーの更に上を行った。

 エレンにとっては、躱そうと直撃しようと、どちらでも問題はなかったことを、数秒後にライナーは気づく。


エレン(捕まえた)

ライナー(!? これも誘い!? 否、保険? どっちでもいい! なら奴の本命は? この体勢! まさか!! アレを狙っているのか!? それはマズい!!)


 乱雑な思考が、経験則から強引に情報を引き出す。なかば本能的に身をよじらせ、エレンから離れようと試みるが、荒れた路面が今度はライナーを祟った。

 両足が滑り、思うように巨人体の平衡を維持できない。

 右フックが空振りに終わった瞬間、エレンは右拳を開き、鉤状に曲げた肘を首に絡みつかせ、左腕は『鎧』の側頭部を掴む。

 典型的な首相撲の形を取ったエレンの狙い、それは、


鎧の巨人「ッ!!!!!」


 ようやく地に足をつけた『鎧』は慌てて振りほどこうともがくが、既に遅い。


エレン(懐に引き込んで膝蹴りを食らわせる際には、力で引き寄せるんじゃあなくて、首に引っ掛けてねじり、巻き込むように引き込む!!)


 膂力で勝る屈強な『鎧』の上半身が、技によって落ちる。





879: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:22:32 ID:v8fJ6LW.

無防備となった顔面に向かって繰り出されたその技は、皮肉にも敵である戦士の持ち技の一つ――――アニ・レオンハートをして必殺と言わしめた蹴り技、


ミカサ「!! エレン! その作戦でいい!! 行って!! 行ける!! 倒せる!!」

アルミン「いいぞエレン!! そのまま行けぇ!!」

ライナー(『膝蹴り』ッ!!! 想定外、どころじゃ、ないッ………マジで、やべえッ………!!)

エレン(『裏側』からだろうと、衝撃は伝わる!! てめえの鎧がいかに硬かろうと、これだけの威力なら殺せねえだろう………!!)


 ――――膝蹴り。熟練者ならば一撃で人間を殺害せしめることも可能な危険な技である。そしてエレンは三年間、こうした格闘術の研鑽を重ねて来た。その威力は押して知るべきであろう。

 まして熟練者の蹴りの威力は、拳の三倍と言われている。

 それが一発、二発、三発、四発、五発。


鎧の巨人「ッ!? ッ、ッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

エレン(こっちの膝がブッ壊れるのが先か! てめえが中でスクランブルエッグになるのが先か!! 我慢比べ? いいや違うね、このまま蹴りつぶしてやるッ!!)


 生身の人間であろうと絶命必至の必殺の膝蹴りを喉元に連発する。

 まして巨人の膂力によって繰り出されるそれは、筆舌に尽くしがたい。





880: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:32:26 ID:v8fJ6LW.

ライナー(き、効く………ぐっ、三半規管が、揺れる。吐き気が止まらん………衝撃が、内臓を、揺らす。まずい、まずい、意識、が、き、切れ………)

エレン「ゥォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!」

ライナー(だ、ダメ、だ。こ、この体は、き、『切り捨てる』………う、うなじから、り、離脱を、逃げ……!!?)


 ライナーにとっての不運はもう一つあった。

 エレンの取った戦法が『膝蹴り』であったこと。膝蹴りを行う側は、両手で相手の首元を――――うなじを押さえつける。


ライナー(く、首元、をっ………うなじをっ、押さえられて、いる。駄目だ、に、逃げられ、ない………!!)


 そして三十二発目の蹴りが『鎧の巨人』の喉元に突き刺さった時、『鎧』の表面に亀裂が入った。

 そこが、エレンの巨人体の限界でもあった。右膝が割れ、肉がひしゃげ、足が千切れる。

 重心を支えきれなくなった鎧の巨人と、エレンの巨人体が、もつれ合うようにして倒れ伏す。


ミカサ「た、倒した………ッ!? エレン!! エレン!!」


 焦燥に駆られた表情でエレンの巨人体へ向かって飛翔するミカサ。

 それを視界に捉えたのか、エレンは巨人体に命じ、倒れたまま片手を持ち上げ、手を振り、





881: ◆B2mIQalgXs:2014/12/30(火) 22:35:35 ID:v8fJ6LW.




               ・・・・・・
ミカサ「――――――違うッッ!! エレン!! まだだ!! まだその鎧の巨人の体は『崩れていない』ッ!!!」

エレン(え――――――――?)




 振り向いたエレンの眼前には、高速で迫る巨大な拳があり、


エレン(あ………)


 エレンの意識は、そこで一度途絶えた。


 エレンに誤算があったとすれば、それは二つ―――――。


 一つは路面の荒れ――――膝蹴りに威力が最大限に乗らなかったこと。

 そしてもう一つは――――『鎧』の耐久力が………ライナーの精神力が、想像の遥か上であったこと。





900: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 20:44:14 ID:Mbrmk5.c

………
……



与一「―――――――――いかぬ」


 『獣の巨人』の抑えに回る与一は、端正な顔立ちを苦虫を噛み潰したように歪めていた。

 与一は『獣の巨人』の戦闘能力を概ね把握した。

 さながら『猿』の如き敏捷性に、大岩を振り回し、投擲するほどの膂力。

 体中を覆う体毛の防御力は、『鎧』には及ばぬもののなかなか高い。練度の高い調査兵団の兵たちの中でも上位のものでなければ、あの体毛を切り裂いてうなじを抉ることは難しいだろう。

 なるほど、脅威だ。

 しかしそれらの脅威を踏まえても、与一の敵ではない。与一の狙撃能力の精密性と速射性、そして棒火矢の威力、それらの前では的も同然。

 その筈だった。

 敵ではない、筈だった。

 だが、『奇行種』を呼び寄せる能力、これが彼我の実力差を帳消しにするだけの『戦術』級の効果を発揮していた。


与一(戦場における基本。それは『数の多い方が勝つ』ということだ)





901: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 20:45:18 ID:Mbrmk5.c

まして相手は超常の存在たる『巨人』である。いかに知性がないとはいえ、生身の人間との実力差は歴然だ。

 それが、およそ五十体。既に与一を抜いて、彼の後背にて待機するエルフ達やミケ達の隊へと迫っていた。

 現状はエルフ達の棒火矢がそれらを跳ね返してはいるものの、最悪なことに、『獣』は更に増援を呼び寄せんと、高らかに叫びを上げている。させまいと与一が牽制の矢を放つも、まるで糠に釘だ。


与一(糞。彼奴め、私をまともに相手どるつもりがない。防御に徹し、物量にモノを言わせた『奇行種』どもが背後の軍を食いつぶすまで、時間を稼ごうと言う腹か)


 『獣』もまた与一の脅威を悟っていたのだろう。極力距離を詰めようとはせず、与一の射程圏内から距離を取り、決して自ら攻めようとはしない。

 かといって与一が後背の軍へ加勢に向かおうとすれば、再び岩の投擲を始めるだろう。

 ――――与一は、『獣』に釘づけにさせられていた。せざるを得ない状況へと追い込まれていた。

 戦略としては正解だろう。だが、


与一(この私を、那須与一を、既に無き者として見るかの如きその態度―――――断じて許せん)


 怜悧な風貌に見合わぬ暴虐な空気が、与一の総身を覆いつくさんとしていた。





902: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 20:47:17 ID:Mbrmk5.c

武人としての誇り、矜持、それらを全て否定されたかのような屈辱感が、与一の闘志を燃やす。


与一(信長殿、はんじ殿、何か一手を。一手を投じてくだされ。さすればこの与一は―――――彼奴めに一泡吹かせて御覧に入れる)


 源氏の大英雄は、静かに機を待つ。刻一刻と高まり続ける殺意を、その身に満たしながら。





……
………





903: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 20:57:12 ID:Mbrmk5.c

………
……


 ミケ率いる部隊の戦況は芳しくなかった。

 エルフたちの棒火矢による応戦によって、今のところ被害を出してはいないものの、迫る巨人の数は一向に増え続けるばかりだった。

 未だ待機する新兵達―――――元・第104期訓練兵団の兵たちは、戦場から忍び寄る静かな絶望感に、焦りと恐れを抱き始めていた。


サシャ「う、うう………やだよぉ、死にたくないぃ………」

ジャン「クソッタレ………マジで貧乏くじだ。どんだけ増えるんだ。このままじゃジリ貧だぞ」

ユミル「棒火矢もいずれは尽きる。そうなりゃ……」

クリスタ「ッ………う、く。み、みんな! 弱気になっちゃだめだよ! きっと、きっとノブナガさんやハンジさんたちが、なんとかして………」

ユミル「は、そいつは随分楽観的な意見だぁな。あのオッサンは確かにすげえが、そりゃ人間としちゃって話だろう。あんだけの数をどうこうできるとは思えない」

クリスタ「で、でも………」

サシャ「ああ………もっと美味しいもの、食べたかったなぁ………」

ジャン「こんなことならミカサにきちんと思いを………」





904: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 21:04:12 ID:Mbrmk5.c

ゲルガー「くッそがァ! 討伐数が増えんのはいいが、これ次の考課で給料上がるかわかんねぇなァオイ!! とっとと帰っていい酒呑みてぇ!!」

ナナバ「だったら口じゃなくて手を動かして。生きて帰らなきゃ、酒も呑めないよ」

リーネ「あとどれだけ倒せばいいの!? 今はまだガスもブレードもあるけど、このままじゃ………!」

ヘニング「ッ、ここが踏ん張りどころだろ! 弱音を吐くんじゃあない!」


 絶望が広がっていく。

 諦観が心を包む。

 希望を見出せぬ状況に、新兵はおろか古参の兵たちの心までが余裕をなくしていく。


コニー「なあ、サシャ。不思議だなあ」


 そんな中―――――雲霞の如く襲い来る巨人を前に、コニーは呟くように言った。


コニー「すんげえ数の巨人に囲まれてよ、死にそうな状況だってのによ……おれさ、不思議と怖くねえんだ。出撃前はあんなにビビッてたのによ」


 その声は奇声を上げて迫る巨人たちが跋扈する戦場においても、不思議と響く声だった。

 サシャだけではなく、ジャン、ユミル、クリスタといった同期達、古参の兵たちも、コニーの声に耳を傾けた。





905: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 21:12:06 ID:Mbrmk5.c

コニー「おれはウォールローゼのラガコ村っていうしょっぱい田舎の生まれでよ。ホントにチンケなところでな。なーんにもねえんだ。そんなところにおれは生まれた。

    おれんちは兄弟が多くてさ、父ちゃんも母ちゃんも毎日働いてて、生活はお世辞にも楽じゃなかった」

ユミル「おいバカ、何の話を――――」

クリスタ「待って、ユミル」


 懐かしむように語るコニーに、ユミルが噛みつこうとするが、それをクリスタが制した。


コニー「おれはあんな村嫌いだ。どいつもこいつもおれをバカにする。頭が悪い、覚えが悪いチビだって。だけど、おれの家族は違ったよ。父ちゃんも母ちゃんも、おれに優しかった。兄弟たちもおれを慕ってくれた。

    おれはみんなの兄ちゃんだったからさ、家族に楽させてやりてえって思ったよ。けど、おれはあんまし頭は良くねえから、お医者先生とか商人とか、頭を使う仕事はちょっと無理そうだった」

ジャン「………それがどうしたってんだ」

コニー「だけど体を動かすのは得意だったから、そいつを活かして兵士になろうって、憲兵になろうって思ったぜ。立体機動が上手けりゃおれみたいな馬鹿でも憲兵になれるって思った。

    憲兵になりゃいっぱい金が貰える。金があれば、家族を、母ちゃんを、サニーを、マーティンを、楽させてやれるって、そう思ってた。あんなちっぽけな村なんて捨てて、内地で贅沢させてやれるって、それがおれにできることだって、そう思ってた」

サシャ「じゃ、じゃあ、なんで調査兵団に…………?」

コニー「そいつがな、さっきまでよく分かんなかった。憲兵になってりゃ今頃、内地で家族にいい思いさせられてたって、そう思う。けどよ、そうじゃない。そうじゃなかったんだよな。違うよな、もっと家族にしてやれること、あるよな」

ジャン「コニー………おまえ」





906: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 21:16:28 ID:Mbrmk5.c

コニーの表情は、いつになく真剣だった。

 覚悟を決めた男の表情だった。ジャンらが怯むほどに、コニーは前を見つめていた。

 ジャンは、彼らはその目に覚えがあった。

 自分たち同期の間で『死に急ぎ野郎』と揶揄された彼と、同じ瞳をしていた。


コニー「ここでおれらが踏んばらねえと―――――いっぱい人が死ぬんだよな。

   トロスト区南にあった安くてウマいメシ出してくれる食堂のおっちゃんも、口うるせえスポンサーのお偉いさんも、名前も知らねえ誰かも。

   今はまだ破られてないローゼの壁内にいるおれの家族も、おまえらの家族も、他の兵団に行った同期も、先輩も、後輩連中も、おっかねえキース教官だって………みんなみんな死んじまうよな」

ゲルガー「!」

ナナバ「――――」

コニー「それを考えると、ただただムカムカしやがる。大嫌いだったラガコ村が、すげえ大事なもんだって、そう思った」

リーネ「………」

ヘニング「…………」


 もはや言葉もない。誰もがコニーの言葉に耳を傾けていた。ただ静かに闘志が燃える彼の瞳を見つめていた。





907: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 21:26:09 ID:Mbrmk5.c

コニー「あいつは、あいつらは、巨人どもは、おれたちを、おれたちの家族を、仲間を、殺そうとしていやがる。おれたちの大切なモンを、好きな連中も嫌いな連中も知らねえ連中も、一切合財奪おうとしていやがる」

   そいつがおれには、どうにも我慢ならねえ。きっとエレンもずっとこんな気持ちだったんだろう。母ちゃん食われちまったあいつはきっと、もっと怒ってるんだと思う」

 その闘志が怒りへと変貌していく。

 人一倍、誰かに馬鹿にされてきたコニーだからこそ、それを支えてくれる家族の存在が在るコニーだからこそ、その心境に共感できるのだろう。


コニー「だからよ、サシャ、ジャン、ユミル、クリスタ。戦おうぜ。あいつら全員ぶっとばしてやろうぜ。そんで胸張って帰ろう。おれたちこそ兵士の中の兵士なんだって、立派に戦ったんだって、調査兵団に入って良かったって、憲兵なんか糞喰らえだって、そう言って笑ってやろうぜ」

クリスタ「――――!」

ユミル「………」


 実直だった。愚直だった。ただただ前へ。ひたすらに前へ。

 単純故に、それは人の心を揺さぶった。いつしか兵たちの心の迷いや恐れは霧散していた。


コニー「おれは馬鹿だからよ。難しいことはわかんねえ。だからやれることをやるぜ。頭使うのは頭の良いノブナガとか、ハンジさんとかに任せた。きっとなんとかしてくれるって、そう思うことにした。

   ――――戦おうぜ、みんな。きっと、おれたちは、ここで戦うために生まれてきたんだ」


 トヨヒサに引っ張られたのは、エレンだけではない。彼もまた一人の『兵士』として、『男』として、成長を遂げていた。

 ユミルも、ジャンも、刮目して彼を見る。もはや彼は自分たちが知る馬鹿のコニーではない、と。





908: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 21:33:12 ID:Mbrmk5.c

クリスタ「そうだね……―――――うん。そうだよ、コニー」

ユミル「ッハ……バカなりに、たまにゃあイイこと言うじゃあねえか……」

ジャン「まったくだ。トヨヒサが言ってたよなあ。巨人なんてものは単なる獣だって。本当に怖いことってのは、負けるってのは、諦めることだって………諦めるには、ちっと早いよな」

サシャ「…………そう、そうですね。ええ、壁の中で縮こまって生きる家畜のような生き方しかできないなんて、ごめんですよね………」


 意志の通る言葉には、血の通う言葉には、力が宿る。

 
サシャ「! 私、弓を借りてきます! ヨイチさんほどじゃないですけど、そっちなら私だってきっと力になれるはずです!」

ジャン「トヨヒサは、たった一人であの一番バカでけぇのを引きつけてんだ。オレたちが先に諦める訳にゃあ、いかねえよな」

クリスタ「私たちが頑張って、みんなを家畜じゃなくしてあげれば、みんなみんな、笑って生きられるようになる。そうだ。死ななくても、私でも、誰かの力に、助けになれる。戦えば、戦えば!」

ユミル(そう、だよな。ああ、そうだ…………ホント、まさかてめえに諭されるたぁ思わなかったよ、コニー)





909: ◆B2mIQalgXs:2015/01/25(日) 21:38:19 ID:Mbrmk5.c

みるみる闘志を取り戻していく新兵に、古参の兵たちもまた心を震わされていた。


ヘニング「いい顔してやがる。兵士の顔だ。やはり実践を経てなお調査兵団に入ったコイツらは、モノが違う」

ナナバ「ああ、強いね。いい子たちだ。次代の調査兵団を担うに相応しい」

リーネ「死なせたくないね。彼らはきっと、これからもっともっと大きくなる」

ゲルガー「ハッ、次代だ? そこまで歳食った覚えはねえよ。まだまだオレらが引っ張ってやらにゃあな」


 新兵にここまで言われて怖気づくような小胆の持ち主は、そもそも調査兵団にはいない。

 絶望に抗う彼らの心に、小さな、しかし確実に火が灯った。

 今は小さな風で消えてしまう灯火に過ぎぬそれは、単なる鼬の最後っ屁か、戦況を変える大火となるか、それは―――――。



……
………





933: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:43:01 ID:Z2UqFgg.

………
……



 豊久が超大型に掛かり切りとなり、与一、そしてエレンらが劣勢を強いられ、他の巨人達の掃討に苦戦する中――――リヴァイ班だけは優勢であった。

 アニ・レオンハートは己の見通しの甘さを痛感する。

 実力至上主義の調査兵団においてなお精鋭と呼ばれるリヴァイ班、そしてリヴァイ自身の実力を見縊っていた。

 精鋭中の精鋭と音に聞いてはいた。しかし調査兵団は結果が伴わぬ無駄飯喰らいの赤貧兵団だ―――――壁内ではそう認識されている。

 遠征の度に被害ばかりを出し、一度も成果を上げたことがない。ただの一度もだ。

 そんな兵団において精鋭? エリート? 生え抜き?

 どうせスポンサーからの資金調達のための宣伝文句で演出されたものに過ぎないと高を括っていた。

 その認識が誤りだったと悟ったのは、戦い始めてすぐのことだ―――――他の調査兵団の兵士がどうであるかは定かではないが、どうやらリヴァイ班に対しての評価は、その噂に掛け値が一切ない。

 エルフ達による棒火矢の支援なくして、女型の巨人と互角以上に渡り合っている―――――どころか、巨人体となったアニが、手も足も出ない。

 班は五人で一隊。五人で一体。

 女型の両足の腱を、腕を、肩を、両目を、顎を、人体においてバランスを司る様々な筋線維をブレードを振るう度に切り刻み、断ち切り、沈める。

 女型に一切の反撃を許さない。ハンドサイン一つどころか、視線一つ交わさずに繰り出される連携。彼らは文字通りに『兵士』としての理想を体現していた。

 リヴァイ班は、彼らは強い。アニはその身をもって理解した。





934: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:43:57 ID:Z2UqFgg.

女型「ッ………(私が一方的に刻まれている。私の見通しが甘かったか………流石はリヴァイ班。流石は人類最強。流石はリヴァイ兵士長)」


 そして思い出した。三兵団の中で最も異色を放つ、調査兵団独自の任務、それは―――――。


オルオ「甘いんだよメスガキ。こちとら寝ても醒めても、考えてることは巨人をブッ殺すことだけなんだぜ?」

ペトラ「ちょいと三年かそこら訓練所で汗水流した程度で、立体機動の全てを理解したと思われるのは心外よ」

エルド「羨ましいぐらいだ。お前らがチンタラ訓練やってる間、オレ達ゃ壁外調査で地獄見てきてんだよ」

グンタ「少しばかり図体がデカくなっただけでオレ達をどうにかできると思ったか? ブチ殺すぞ女型が!」


 ――――壁外を調査する。そのために巨人を殺す、巨人から生き延びる、巨人から逃げる。そんなことを何年も続けてきた。

 自然と残るのは強者のみ。彼らは総じて生き汚く、往生際が悪く、泥を啜ってでも生き延びる覚悟がある。生物としての質が高いものだけが厳選され、弱い者は自然と淘汰されていく。

 精鋭が残るのは道理だ。ただ唯一の、巨人に対する反撃の嚆矢。それこそが調査兵団の特異性だ。

 まず、女型の巨人は彼女が視認できない速度で両目を潰された。それが斬撃によるものかすらわからない。気が付けば視界が黒く染まっていた。

 そこからは一方的だった。気が付けば両足に力が入らなくなり、次いで腕が上がらなくなる。ガスを蒸かす音とブレードの風切り音、そして肉を引き裂く音だけが耳朶に響く。

 あっという間に膝をつき、うつぶせに倒れ伏して、アニは己の認識がどれだけ甘かったかを痛感していた。

 リヴァイ班は、精鋭中の精鋭たる者だけが集う班である。身体能力、判断能力、危機察知、五感から第六感に至るまでが常人のそれを凌駕する、文字通りの『巨人殺し』のスペシャリストだ。





935: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:45:42 ID:Z2UqFgg.

巨人を殺すことも、巨人から逃げることも、全てにおいてが対巨人戦闘に特化している。


リヴァイ「――――いいぞグンタ。そのタイミングがいい。右足をそぎ落とせば―――――オルオ! そこの位置だ! タイミングはお前に合わせる!! 行け!」

オルオ「了解ッ!! いくぜテメェエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」


 ましてやそんな彼らを率いるのは、『あの』リヴァイだ。

 彼の『人類最強』の二つ名にこそ、まさしく一切の掛け値が存在しない。


アニ(―――――理解した。瞬殺とまでは行かないと、理解したよ)


 リヴァイとオルオが女型のうなじへと迫る。

 しかしアニに焦りはなかった。

 何故ならば。


リヴァイ「チッ………硬ぇ」バキンッ

オルオ「ッ………何故だ。刃が、通らねえ………」ボロッ


 両者の渾身を込めた双剣の連撃はまさに必殺の威力を備えていたが、女型のうなじに触れた途端にブレードが砕け散った。





936: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:47:36 ID:Z2UqFgg.

いかに速かろうと、腕が立とうと、調査兵団では、否、兵士では『女型』を殺せぬ理由がある。

 彼らのブレードは、己のうなじを削ぎ落す威力を持たないことを、アニは確信していた。巨人の体内で静かにほくそ笑む。

 これで三度目。既にリヴァイとオルオは、並の巨人ならば絶命を確信するであろう一撃を、合計三回も女型のうなじに叩き込んでいる。

 だがその尽くが失敗に終わった。うなじを切り裂くはずのブレードが破砕し、うなじには毛筋ほどの傷すらつけられない。


アニ(これであんたらは手詰まりだ。『叫び』で奇行種を誘因して止めを刺してもいいが………音から察するに、今は『猿』が呼び寄せている。ヘタにこちらに呼び寄せて『猿』が劣勢になるのは避けたい。リヴァイ班のガス切れを待ち―――――殺す)


 アニは静かに、リヴァイ班の殲滅を決意した。

 ガス切れを待ち、その後は放置して『獣』の援護に向かうという選択もあったが、リヴァイ班は捨て置くには強すぎる戦力だ。

 『鎧』や『女型』にとっては恐れるに足りぬと言えど、無知性巨人にとってリヴァイ班は確かな脅威。僅かに五名とはいえ、無知性巨人では二十体いても敵わぬだろう。ここで殺すのが正しい判断と言えた。

 
ペトラ「グンタ、エルド。見た? ヤツのうなじに変化が見られたわ」

グンタ「ああ、こっちも確認した。ブレードを叩き込む直前に、何か魚の鱗みてえなものがうなじを守っていたな」

エルド「そいつがヤツの能力ってわけか。面倒だな………回数制限があるのか確かめたいところだが」

リヴァイ「―――――………そんなヒマも余裕もねえ」


 一方リヴァイ班の面々は、ブレードでうなじが切り裂けぬ事態に直面してなお狼狽えなかった。三度の失敗は無駄でも無意味でもなく、確かな情報として次に生かす。





937: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:49:16 ID:Z2UqFgg.

ブレードを叩きこもうとする一瞬前に、魚の鱗にも似た硬質の小片状の組織がうなじを覆い尽くし、それがあらゆる強烈な衝撃を打ち消してしまう―――――女型の巨人の『硬質化』能力である。

 リヴァイ班は精鋭中の精鋭。生きるために何をすべきか、巨人を速やかに殺すためには何を得るべきか、さながら呼吸をするように実行する。

 ましてリヴァイが直接率いる彼らの戦意は高く、今のリヴァイ班は完全であった。

 肉体的、精神的に絶頂を迎えた状態にある、完璧な仕上がりであった。

 リヴァイの命令を忠実にこなす。そこに一切の油断も慢心もなく、驕りなど欠片もない。

 誰よりも臆病であるが故に慎重であり、死を忌避する故に迅速な行動を備えた選りすぐりのエリートである。

 そんなエリートたちが全幅の信頼を置くリヴァイ兵士長の実力は、推して知るべきことだった。


グンタ「鎧の巨人と同じ硬質化した外皮………そいつを任意で展開できるってわけかよ。確かに回数制限があるのか確かめてみたいが」

エルド「そうも言ってられんだろ。消耗戦になればこちらのガスが持たん。手足の腱をブッた斬って大人しくさせちゃあいるが、ブレードだって有限だ」

リヴァイ「それだけじゃあなさそうだ…………再生にかかる時間も、通常の巨人どもと比べて、速い。任意の負傷部位の再生速度もコントロールできるのか………ペトラ、エルド、念を入れて今後は女型の目は二十秒のスパンで刻むようにしろ」

ペトラ「了解です。こんなことなら、エレンの巨人化実験、もっと念入りにやっとくべきでしたね」

リヴァイ「ほう、何か分かるまでエレンの巨人体を切り刻んだほうが良かったってか。いい趣味してるじゃねえか」

ペトラ「!?」

オルオ「おっかねえこと考えるなーオマエ」





938: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:50:08 ID:Z2UqFgg.

エルド「今後はCPSP(クレイジーサイコスライサーペトラ)と呼ぼう」

グンタ「特技は肉を削ぐことで、趣味も肉を削ぐことか。まあ好きこそものの上手なれってヤツだろ? いいんじゃね? けど嫁の貰い手は諦めろ。あと今後俺たちの後ろに立つなよ。ワリとマジで」

ペトラ「ち、違ッ!?」


 軽口を叩きあうも、その立体機動に一切のブレはなく、油断など微塵もない。

 程よく緊張感を保ちつつも冗談を言えるだけの『余裕』が彼らにはあった。慎重に慎重を期し、しかし判断は即決即行。


アニ(こっちの誘いに乗ってこない――――やっかいな部隊だ。我武者羅に攻めてくれば早々に決められるものを………私が勝つことは決定事項としても、突き崩すには隙が無い。弱点がない。欠点と言える人員が一人もいない。誰かが死ねば動揺も生まれるんだが)


 アニは巨人体の眼球の再生速度を優先的に高めている。眼球が再生したところであからさまな隙を見せ、そうして不用意に飛び込んでくる迂闊な兵士が出てくる機を待っていた。

 リヴァイ班の誰かが迂闊に飛び込んで来れば握りつぶすなり蹴り殺すなりいくらでも殺し方はある。一人殺せば班内に動揺が広がり、手数も減り、早期に彼らを片付けることができる――――そんな算段だった。

 だが、一人として独断専行を行う者はいない。班員全てが「すべての隙は誘いと思え。行くときは俺が直接命じる」というリヴァイの命令を忠実に守っているのだ。

 アニとしては早々に彼らを始末し、『獣』やライナー、ベルトルトたちの援護に向かいたい。逆にアニが焦れ始めていた。


アニ(落ち着け。どのみちこいつらに私を殺す手段はない。時間はかかるが、ここは『籠城』だ。耐えて堪えて、その後に奴らの命運を絶えてやる)


 熱くなり始めた思考を、アニは再び冷却する。





939: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:51:57 ID:Z2UqFgg.

この状況を乗り切れば、リヴァイ班の末路はガス切れ。補給のために一度退くことを考えるだろう。

 退けばそれはそれでよし、その間に『女型』は『獣』に苦戦する与一に引導を渡しに行く。

 退かぬのならばそれでよし、リヴァイ班を全滅させたのち、ゆるりと与一を始末する。

 ドリフターズの中でも抜群の射撃能力を備えた『那須与一』は、アニの中で最も優先順位の高い殺害対象だった。

 アニが巨人体の中で、再び己の行動方針を固め終ったころ―――――リヴァイの声が、アニの耳に届いた。


リヴァイ「――――――ッ、ノブか。どうした」

アニ「………?(なんだ? ノブ? 確かドリフターズの………ここに来ているのか?)」


 巨人体の両目を潰されたアニには、水晶球でリヴァイが会話していることなど知る由もなかった。


リヴァイ「………ああ、見てたんなら分かるだろ………そうだ。残念だが、どうにも時間をかけていられる状況でもないか」


 そうして、リヴァイは何かを諦めたような溜息をつき、


リヴァイ「―――――仕方ねえ。使うぞ」


 一つの覚悟を決めた。





940: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:53:08 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「オルオ、ペトラ、余ったブレードを一本ずつ寄越せ」

オルオ「はっ!」

リヴァイ「よし。おまえらは少しここから離れろ――――待機だ」

「「「「はっ!!!」」」」

アニ(!? 何? 補給? 一時撤退? だが、それは――――)


 悪手である、とアニは判断する。

 だが、精鋭たるリヴァイ班の兵士四名は、迷わず返答し、女型から距離を取った。

 リヴァイがどのような意図でその命令を下したかは彼らにも分からない。

 だが、リヴァイが無意味なことをさせるわけがない―――――リヴァイ班のリヴァイに対する絶対の信頼感の表れである。


リヴァイ「よう、聞こえてるか、アニ・レオンハート」

アニ(ッ………コイツとは初対面の筈。なのに私の名前を、迷いもせず言い当てた。やはり、ライナーやベルトルトの正体はバレていたのかい)


 両手両足の腱を切られ、瞳も切り裂かれ、身動きの取れぬ女型の頭頂を足場に、リヴァイは言った。





941: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:54:18 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「大方、この状況を維持したまま、ガス切れを待った後で俺たちを始末し、その後は悠々と『獣の巨人』を援護しようってハラだろう?

     遠距離から巨人らの視界を奪うヨイチの狙撃はてめえらからすりゃ厄介だ。早々に始末しておきたい相手だろう」

アニ(―――――)


 図星であった。だがアニの心に焦りはない。


アニ(だが読めたからなんだっていうんだい? あんたらに私の『硬質化』を突破する術はない。みすみす私を押さえられる兵たちを引かせて、一人で何をするっていうんだ?)


 もうじき両目は修復が完了する。

 次いで右肩、右腕、左肩、左足、そして両足の順で再生は完了する。そうなれば折角動きを殺した女型の巨人が完全な状態で復活する。

 アニはリヴァイ班が撤退するのも良しと考えていた。いかな精鋭と言えど、あくまでも人間の枠における精鋭だ。

 うなじを切り落とさねば死なない巨人にとって、ブレードによる斬撃は大した脅威ではない。

 そう、ブレードによる斬撃では、だ。

 アニは知らない。知る由もない。

 彼らが本作戦においてから使い始めた新兵装の存在を、未だ知らないのだ。


リヴァイ「だからどうした、とでも思ってるんだろうが、少々危機感が足りないんじゃあないか? おまえにとって残念なニュースだ―――――俺たちはてめえの生け捕りは諦めた。『生け捕り』はな」





942: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:55:09 ID:Z2UqFgg.

アニ(…………?)


 アニは気づかない。リヴァイの声がいつもよりもなお不快気な低音で奏でられていることに気づかない。

 両目を切り裂かれたアニは気づかない。女型の頭上に立つリヴァイの表情に、今、どれだけの憤怒が走っているのか、気づいていない。

 それを遠目に見るリヴァイ班の精鋭たちが、怯えたような視線をリヴァイに向けていることに―――――気づかない。

 知らないだろう。

 一体どれだけの覚悟を、リヴァイが抱いているのか。

 一体どれだけの想いを、リヴァイが背負っているのか。

 アニ・レオンハートは、全てを見誤った。


リヴァイ「これからは………『てめえが死んでも構わない』………そういう攻撃に切り替えることにする。こちらとしても賭けでな。生憎と手加減できん」


 それは冷たい殺意だ。

 憎悪がある。怨恨がある。激怒がある。

 そんな感情を直接向けられたことのないアニには、それがなんなのか理解できなかった。

 ただ、高熱を発する巨人体の中にあってなお―――――寒い、と。そう感じた。





943: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:56:23 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「目の見えない状態でも、声は聞こえるだろう? 音は届くだろう?」

アニ(………何を言っている?)

リヴァイ「さっきから遠くでドカンドカン喧しい音がしてただろう。アレは何の音だと思う? 『超大型』や『鎧』とロクに打ち合わせもせずに巨人化したことを後悔させてやるよ。コイツだ」パチリッ

アニ(? 何か、ポーチを開く音? 何かを取り出した? 何を―――――)

リヴァイ「ッ―――――!!」ヒュオッ

アニ「!」


 ずぶり、とアニのうなじ近辺に『何か』が突き刺さる。

 アニはそれをブレードによる斬撃と判断したが、『硬質化』は行わない。する必要がないのだ。

 女型のうなじのやや上方に突き立った何かは、精々が10センチ程度だけを肉にめり込ませ、そのまま動かなくなった。

 立体機動による加速度を得ない斬撃は、腕や背筋の力のみで行われる、『死んだ斬撃』だ。鎧は無論、並の巨人の首すらまともに落とすこともできないだろう。できても精々が2メートル級巨人までだ。

 仮に彼女の相手がライナーらの報告にあった『脅威』たるドリフターズ・島津豊久であれば迷わず硬質化を行っただろう。生木を抉り倒すほどの膂力の持ち主だ。報告書を読んだアニは、女型の硬質化とて万が一があると踏み、誰よりも島津豊久を脅威と見ていた。

 しかし、今の彼女の相手はリヴァイ兵長だ。島津豊久ではない。

 だから、問題は、ない。

 そんな驕った決めつけが、どこかにあったのだろう。アニは己が油断していることに、気づいていなかった。





944: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 20:57:50 ID:Z2UqFgg.

そんな己の判断が致命的な誤りであったことを、アニは数秒後に悟ることになる。


 リヴァイ・アッカーマンが―――――誇張も水増しもなしに『人類最強』の二つ名を背負っていることの意味を知る。


 ジジジジジ、と、どこかで聞いた音が、アニの耳朶を打った。


リヴァイ「何の音か分かるか?」ジジジジジジジッ

アニ「!?(なんだこの音………どこかで、確か………)」

リヴァイ「おまえの『家』のドアをノックする音だ。少々荒っぽいが、こじ開けて押し入らせて貰う――――強盗のようにな。覚悟はできたか? できていまいとお構いなしだがな」

アニ「!!(何か、マズイ!! 『硬質化』を!!)」


 それは戦士としての勘か、女としての勘か、アニは咄嗟にうなじを『硬質化』させる。

 直後、鼓膜が破れるほどの轟音と、全身を叩きつけられるような衝撃がアニを襲った。


アニ「ギィイイイイッ!?(が、あ、あああッ…………あ、み、耳がッ?! ぐ、あ、な、に………!?)」

アニ(ば、ばくは、つ………ま、まさか、か、火薬、か!? が、あ、ゆ、揺れる………ま、マズイ、耳が、耳が聞こえな、い………な、何も、きこえ、ない。さ、再生、を)


 火薬の爆発の威力はすさまじく、内に籠るアニの鼓膜を破り、三半規管をしたたかに揺らす。





945: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:01:53 ID:Z2UqFgg.

アニ(ッ、だ、だが、こんな爆発じゃ、あいつも、まきこまれ、て………)


 そうだ。爆発に巻き込まれ、リヴァイも肉片と化したはずだ。

 なのに―――――キィンとノイズが走るぼんやりとした聴覚に、人の声と思しきものが届く。


リヴァイ「咄嗟に硬質化しやがったか………いい子だ。だが愚かだ」

アニ(え? 火薬、ばくはつ、して。あ、だれ、の、こえ? 上、から、聞こえる? 遠い? 高い? 爆発で、あいつも、上に、吹っ飛ばされた、の?)


 爆発する直前、リヴァイは女型のうなじに両アンカーを撃ち込み、上空へ跳躍していた。

 爆発の衝撃を上空方向へと逃がしつつ高度を得る、絶人の域にまで高められた立体機動術。




リヴァイ「最初から最後まで徹頭徹尾ナメてかかってりゃ―――――硬質化しなけりゃ、楽に死ねたものをよ………」

アニ(――――――――)


 アニは、先ほどから自分の身体を襲っていた寒気がなんなのか、理解した。

 ああ、これは。





946: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:04:07 ID:Z2UqFgg.

生け捕りを諦めたということは。

 殺すつもりで来るということは。

 それは、もはや、手段を選ばないと言うことで。

 それはつまり―――――。


アニ(こ、怖、い、よ………)


 恐怖だ。

 これは、死の恐怖。全身から戦意が失われていく。見えない視線が、己の命を見据えている。それを奪わんと欲している。


リヴァイ「さあ――――――仕置きの時間だ」


 リヴァイの身体から上昇のための運動エネルギーが失われゼロになる。

 そしてリヴァイ独特の逆手に握られた立体機動装置のグリップが、左右の腰に装着されたブレードを挟み込む。



 ――――抜刀術の構(カマエ)。





947: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:04:57 ID:Z2UqFgg.

推奨BGM:




 プスプスと焦げ付いた肌を不機嫌そうな表情で歪ませながら、リヴァイはトリガーを引いた――――――行く。

 硬質化した皮膚が剥げ落ちた、剥き出しの女型のうなじへ一直線に。


アニ(!!!!!!! しょ、正気じゃ、ない。こ、コイツ………!!)


 目も見えず、耳も聞こえない。だが、アニはリヴァイが何をやっているのかが手に取るようにわかった。

 爆発の衝撃により、突き刺したアンカーの片方は千切れかけていたが、まだ生きている。ガスを蒸かせ、殺人的な加速でリヴァイがうなじに向かって迫る。

 高さは女型のうなじから更に二十メートルも上空。一般的な建造物の高さからいえば、ビルの十階に匹敵する高度から、頭頂を完全に地面に晒した天地真逆の姿勢で垂直落下。さらにガスによる加速がリヴァイの肉体を後押しする。

 ゼロスピードからの爆発的な加速力。限界までガスを蒸かせ、一瞬でトップスピードに。常人ならば即座に意識を失って墜落するほどの殺人的圧力がリヴァイの肉体を襲う。

 リヴァイの両目が真紅に染まり、端からは血の涙が流れる。


リヴァイ「ッ…………ルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 だが、リヴァイは行く。更にその先へ、先へ、先へ。肉体を放たれた矢の如く収斂させ、抜刀のタイミングに全神経を注ぎ込む。





948: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:05:53 ID:Z2UqFgg.

アニ「!?!!!!?(あ、あ、く、来る、来るのか………!? ま、まずい、硬質化した、皮膜、が、は、剥がれ、て………さ、再展開、を………)」


 リヴァイ班の班員たちが瞠目する。

 見ている。

 ほぼ垂直の落下軌道を取る、あの恐ろしい機動術を、彼らは知っている。

 あの一撃に全てを込め、後先を考えぬ出鱈目な機動術は――――。


オルオ「あ、あの技は!」

ペトラ「嘘―――――さっきの、トヨヒサさんの!?」

エルド「い、いや。あれより高い。速い!!」

グンタ「兵長!! まさか、兵長もアレを!?」





949: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:06:25 ID:Z2UqFgg.

……時は二週間ほど前に遡る。


リヴァイ『――――マルメ・クランド? そいつがなんだってんだ?』


 ――――丸目蔵人(まるめくらんど)、という剣客の名を、島津豊久の口から知った。


豊久『凄か剣客じゃ。俺の剣はその剣術――――タイ捨を用いておる。若い士じゃ示現が流行っておったがの。俺にはこっちが合う』


 ――――タイ捨流は丸目蔵人に出るといふ。流名も体捨なるべけれども、片仮名に書く事伝授也といふ。


 捨て身、つまりは体を棄てると書いて『体棄』。半身より斬り上げ、半身より斬り下ろすが故の『体斜』。待ちを捨てて攻めること即ち『待捨』。

 字義に囚われぬ幅広い意味を持ったこの流派は、剣術は無論、蹴り技、目潰し、あらゆる組手甲冑術を内包した実戦兵法であった。

 島津豊久の口から語られたそれに、リヴァイは興味を惹かれた。


豊久『お主らん兵法の、りったいきどうとやらには馴染む刀法じゃ。どうじゃ、学んでみっが?』

リヴァイ『…………』


 そしてリヴァイは―――――二週間という僅かな期間ではあるが、島津豊久よりその術理の手ほどきを受けた。





950: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:07:17 ID:Z2UqFgg.

タイ捨流には飛び掛り飛び廻って相手を撹乱して打つ技や、中国拳法の動きを取り入れた刀と蹴り技を組み合わせた剣技が多い。

 元々が人を宙へと飛ばし、巨人のうなじを削ぐことを目的とした立体機動術と、タイ捨の術理は恐ろしく相性が良かった。

 そして、既に常軌を逸した兵士の長は、更なる高みへと至ることになる。


リヴァイ(こういう時はなんと言うんだったか………ああ、そうだ。こうだったな)


 これよりリヴァイの両手から繰り出されるのは僅か二つの太刀。しかしその二刀の斬撃には、リヴァイの全てが乗っている。

 体を捨て、半体を捨て、掛かるを捨て、待を捨て、剣運に己の命脈を賭ける。


リヴァイ「兵法タイ捨流剣術、裏太刀………『嵐勢刀』が崩し」


 さながらそれは、獲物を捕獲する燕の宙返り。

 美しく、儚く、そして―――――自由への渇望を秘め、嵐の中を飛ぶ翼の羽撃きの如し。



リヴァイ「立体機動抜刀術―――――『飛燕』」



 火花と共に左右の白刃が鞘走る。もはや視認どころか認識すらできぬ神速の抜刀術。流星の速度で落下するリヴァイの両腕より、雷光の如き剣牙の暴虐が露わとなった。





951: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:08:41 ID:Z2UqFgg.

それは死狂いの剣であった。外れれば死ぬ。当たってもその後に墜落死するしれない。文字通りの必殺必死の絶剣である。

 陰流より生まれ、新陰流に発展し、タイ捨へと至ったその過程。極限にまで高められた『斬る』という概念が、立体機動術との邂逅を経て、二刀に圧縮されたその殺人刀太刀。


アニ(間に合え! こ、硬質化!!)パキキッ


 リヴァイのブレードがうなじに届く寸前、うなじの表面に硬質化した皮膚が展開される。

 されど。リヴァイ・アッカーマンの、巨人殺しの極地として昇華したその技は、



リヴァイ「―――――首おいてけ、クソ女型」



 まるであっけなく、溶けかけたバターを切るように女型のうなじを『首ごと』削ぎ落した。


アニ「が………………………!!」


 『巨人殺し(ジャイアント・キリング)』を成す、リヴァイ・アッカーマン最強の魔剣である。


……
………





952: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:10:14 ID:Z2UqFgg.

………
……



 リヴァイ班の面々は、コマ送りのように女型の首が輪切りにされるのを、誰もが口をあんぐりと開けて眺めていた。


グンタ「ば、爆発で、うなじの『硬質化』をはがして………間髪入れず斬撃を叩き込んだ」

エルド「そ、そりゃ、理屈で言えばだがよ………言葉にすりゃ、簡単だ、けどよ」

ペトラ「う、うなじの『硬質化』………間に合ってたよね? な、なのに」

オルオ「あの滅茶苦茶固い皮膚を、ゼリーみてえに………」


 一瞬でも爆発のタイミングを見誤れば、爆発の威力に巻き込まれて、リヴァイも肉片と化していただろう。

 一瞬でも姿勢制御を誤れば、意識を失い地面に墜落死していただろう。

 一瞬でも抜刀のタイミングを誤れば、うなじに激突して死んでいただろう。

 刃筋を立てていなければ、ブレードは根元からへし折れていた。威力が不足していても同様だった。ワイヤーが途中で千切れていたら。他にも、他にも、他にも。

 それらの状況を把握し、対応する判断を瞬刻の猶予の中で正確に執り行った。

 その事実に、傍で見ていただけの四人の総毛が逆立った。





953: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:11:45 ID:Z2UqFgg.

先ほどの斬撃は人としての域を上回るものであった。抜群の戦闘能力と判断能力を必須条件として、尋常ならざる精神状態、いわば『狂気』が必要不可欠である。


 『魔剣』は存在する。されど正気を以って為すこと能わず。極めて冷徹な術理と、『狂気』を以ってそれは為る。


 抜群の戦闘センスと戦闘論理、そして信仰の域にまで高められた『狂気』、その内どれか一つが欠けた時点で実現不可能な、極めて論理だった理論に基づいた、超人の技。

 生物として本能に刻まれた『死の恐怖』という最後のいちじくの葉を外した狂気の領域にまで精神を追い込んだ者のみが為しえる、リヴァイ・アッカーマンの『魔剣』であった。


オルオ「ほ、ほら、見ろよ。やっぱ、トヨヒサなんかより、ウチの兵長の方がずっとすげえぜ」ヒククッ

ペトラ「笑顔ひきつってるわよ、オルオ。けど、凄い。本当に凄いなぁ、リヴァイ兵長は………って、兵長!? だ、大丈夫ですか兵長ッ!!」

グンタ「ッ!? そ、そうだ! 兵長! 兵長!! ご無事ですかッ、リヴァイ兵長ッ!!」


 半ば放心していた四人が、気付いたように正気を取り戻す。

 女型のうなじを削いだ後、リヴァイはそのまま地面に落下していた。恐らく爆発の衝撃と、急激に巻きとられたワイヤーへの負荷により、立体機動装置が故障したのだろう。

 斬撃によって落下速度は減速したとはいえ、アンカーの巻取り機構が働かないままの約四十メートル強の自由落下だ。誰であろうと死んでいても自然である。いかな人外染みた身体能力を誇るリヴァイであっても、危険な高さからの落下だ。

 慌てふためきながら、班員たちはリヴァイが落下した地点へと急いだ。


……
………





954: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:13:25 ID:Z2UqFgg.

………
……



リヴァイ「ぐッ………どこぞの妖怪の無茶苦茶ぶりに当てられたかよ………我ながら、無茶を、する………」


 頭を強く打ったのだろう。額から少なくない量の血を流し、攻撃の起点となった左からの斬撃を担った左腕が力なくぶらさがっている。

 急激なGがかかった影響か、両目からはとめどなく血の涙が流れている。

 だが、それでも、肩を押さえて力強く立ち上がる。


リヴァイ「俺が最初に引きずり出すのはエレンになるとばかり思ってたが―――――」


 よろよろと足を動かして向かう先には、己が削いだ女型のうなじの肉片―――――否、


リヴァイ「お前が先だったな、アニ・レオンハート。綺麗に両手両足だけをブッた斬れたのは重畳。調子はどうだ、オイ?」

アニ「ぐ、ぐぁ………つぅっ…………!」

リヴァイ「初めましてだ。今日限りの付き合いになるかじっくりと腰を据えた付き合いになるかは、おまえの行動次第だ。元々ブチ殺すつもりで攻撃したからな。死んだところで問題はなかった」


 両手両足を削ぎ落とされ、あおむけに倒れるアニが、恨めしげにリヴァイを見上げる。





955: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:14:49 ID:Z2UqFgg.

リヴァイは相変わらずの仏頂面で視線を受け止めながら、淡々と目から流れる血をハンカチで拭う。


リヴァイ「どうした? 巨人化しないのか? ちょっとばかり手足が千切れただけじゃあねえか。ン? なんだ、致命的な負傷を追うと巨人化できないのか?」

アニ(ッ…………!!! け、『結晶化』を………ッ!!? で、出来ない!? 駄目だ。傷が深すぎる!)

リヴァイ「図星か。あのデカブツ二匹と一緒で腹芸は苦手と見える」

リヴァイ「ほお。やはりエレンと同じで再生するのか………人間なら致命傷だろうが、手足まで新しく生え替わるらしい。気持ち悪い奴等だ」

アニ「ぐ、く………」


 アニの心中は敗北感に包まれていた。負けた。油断で負けた。注意を払っていれば、脅威と認識していれば、結果は逆だったかもしれない。

 しかし、全ては後の祭りである。立って敗者を見下しているのはリヴァイで、恨めしげに勝者を見上げるのがアニだ。


リヴァイ「…………チッ、アンカーは完全に終わったな。ワイヤーが焼き切れて巻取り機構が死んでやがる。あの技は今後使用禁止だな………一度使ったら立体機動装置がオシャカだ」

エルド「あんな自爆めいた博奕技をポンポン使わんで下さい」

グンタ「フツーの巨人相手に使ったらオーバーキルにも程があります」

リヴァイ「来たか、おまえら」





956: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:15:53 ID:Z2UqFgg.

ペトラ「来たか、じゃないです!! ボロボロじゃないですか兵長!! 大丈夫ですか!?」

オルオ「あんなの二度と使わないで下さいよ!! 見てるこっちの寿命が縮みます!!」

リヴァイ「だから使用禁止にすると言ってる………チッ、ブレードも売り切れに、ガスも切れる寸前と来た。てめえらはどうだ?」

エルド「俺の方はブレードが心許ないですね」

グンタ「こっちはそこそこ余ってますが、壁を登れるほどでは」

オルオ「ガスもブレードもほぼ使い切りました」

ペトラ「私はまだどちらもそこそこ残っています。壁の上までなら十分に持つかと」

リヴァイ「そうか………ではペトラ。比較的消耗の少ないおまえは先にノブのところへ行き、補給後は指示を仰げ。恐らく別の部隊への援護を命じられるだろう」

ペトラ「え、えッ? でも、それならば、その………」

リヴァイ「言いたいことは分かる。本来ならお前の立体機動装置を借りて俺が行きたいところだが―――――まあ、無茶のツケが祟ったな。この腕じゃあ少し厳しい」

ペトラ「あッ………!!」


 ペトラが瞳を見開いて口元を押さえた。リヴァイの左肩が不自然に歪み、力なく揺れている。





957: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:17:54 ID:Z2UqFgg.

オルオ「ッ、へ、兵長、そ、それ、まさか折れ………!?」

リヴァイ「脱臼してるだけだ。嵌めればこのとおり動く、が―――――全力でブレードを振るうには少々心許ない。視界も少々霞む。討伐支援ぐらいならできるだろうが………」ゴギッガギンッ


エルド(ッうわ………無理にはめ込んだ。痛くねえのかアレ)ゾッ

グンタ(顔色一つ変えねえよこの人………もうやだ、ホントに人間か?)ビクビク

ペトラ(使う度に肩外れる技とか絶対ヤダ)ゾッ

オルオ(へいちょすげー。でも絶対真似できねえ)ガクブル


リヴァイ「エルド、おまえはこの水晶球でノブに連絡取れ」シュッ

エルド「っ、と」パシッ

リヴァイ「俺たちの分のガス、ブレード、立体機動装置、それとこのメスガキをふん縛る鎖を、手すきの兵士に持ってこさせろ」

エルド「はっ!」

リヴァイ「何をしてるペトラ。おまえは馬を呼んでさっさと行け」

ペトラ「は、はっ!! では失礼します!!」ピューイッ


 慌ただしくペトラは指笛で馬を呼び出し、壁へ向かって駆けて行った。





958: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:22:39 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「さて………」

アニ「ッ」ビクッ


 リヴァイが振り返り、アニを見下ろす。その目は、アニの瞳をまっすぐに見据えていた。

 どろどろとした感情が渦巻いた汚泥の底を思わせる瞳に、アニの背筋に氷柱を差し込んだような寒気が走る。


リヴァイ「なんとも幸運だったな。俺にとっては不運極まるが――――まあ、どっちにせよやることは変わらないな」

アニ「…………? な、何? 何を、言って…………がっ!?」


 アニの腹部に、リヴァイの蹴りがめり込む。


リヴァイ「こういえば分かるか? 女子供がいなくなったおかげで……俺は気兼ねなくおまえを痛めつけられる………死ぬ寸前までな」

アニ「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

リヴァイ「恨むなら生け捕りを命じたエルヴィンと、てめえ自身の所業を呪え。俺をコケにしくさったこともそうだが、何よりてめえらは殺し過ぎた。この壁内に生きる全ての人類は、どの道てめえらを生かしておかん」


 言いながら、リヴァイはアニの無くなった左足の傷口を思い切り踏みつけた。ゴギリ、と骨が砕ける音が響く。


アニ「っ、ぎゃ、あ、あああああああああああああああ!!!?」





959: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:26:05 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「精々、噛みしめろ………痛いか? これはおまえらのせいで死んだ、このシガンシナ区の住人達の分だ」

アニ「ふっ、ふーっ、ぐ、あ、あ、あああが、ぐ………ごぁがっ!?」


 次いで、踵落としがアニの胸に叩き込まれる。


リヴァイ「こいつはトロスト区防衛戦で死んだ住人達の分だ。痛いか? 肺に折れた骨が突き刺さったか。だがおまえを哀れとは思わんね。人様の留守中に下らねえマネをしやがった当然の報いだ。さて」

アニ「ッ………! ッ、ッ――――!!!」


 もはや、声も出ない。当然だ。アニの口に、リヴァイの靴のつま先が半ばまでめり込んでいる。


リヴァイ「お次はこの五年間で死んだ、俺たちの仲間の分だ。痛いだろ? 声も出ないか? 口の奥から割れた歯がカラカラとぶつかり合う音がするってのはたまらない恐怖だろう?」

アニ「ッ! ッ〜〜〜〜〜〜〜!! ッ、ッ!?」

リヴァイ「なまじ再生能力なんか持っているせいで、地獄を見ることになる。死んだ方がマシか? 馬鹿言え………てめえらのせいで死んだ俺の仲間は、俺の部下は」


 つま先を引き抜きながら、リヴァイは冷たく、


リヴァイ「誰一人として、死にたくなんかなかった。誰も彼もが最後の最後まで、歯を食いしばって戦った。だからてめえも歯を食いしばれ。どうせすぐに生えてくるんだろう?」

アニ「あ、ぁ、あ、あああ、あ………」





960: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:28:05 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「次も次も次も次も調査兵団の………死んだ俺の部下の分だ」

アニ「―――――ひっ!?」


 そうして、アニにとって地獄の時間が始まった。そうだ。まだ始まったばかりだった。


リヴァイ「てめえらにどんな事情があるかは知らん。知りたくもない。だが『覚悟』してたんだろ? していないとは言わせない。どんな理由があろうと、大義があろうと、てめえらは」


 振り下ろされる暴力に次ぐ暴力。


リヴァイ「――――大勢の人を殺したんだ。何万人が死んだと思う? 泣き喚くガキや絶望した民衆の顔を見たことがあるか? その時、てめえはどんな気分だった?」


 だが、リヴァイの表情は変わらない。


リヴァイ「「何のためだ」とか「それ以外に道はなかったのか」などとお行儀のいいことを聞くつもりはねえ。なんの力もない人間を一方的に虐殺するのは楽しかったか? 嫌々か? どうでも良かったか?」


 返り血にまみれても、眉ひとつ動かさない。


リヴァイ「死んだ方からすりゃ、どんな理由だろうとたまったもんじゃあないんだよ。死にたい奴なんていない。

     大義のため、家のため、誰かのため、夢のため、何かのために死ねる、トヨヒサのような、エレンのような奴はいるが、それを強要するのはお門違いだ。ン? 何を寝ていやがる。これからだぞ、俺の躾は」





961: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:30:41 ID:Z2UqFgg.

アニの顔を踏みつけながら、リヴァイは右手に握ったブレードで、アニの腹を掻きまわす。


アニ「ぎゃ、あ、や、や、べで…………」

リヴァイ「てめえの顔の踏み心地はなかなか悪くないな。おかげで俺はすこぶる気分がいいぞ。どうした? てめえは今どんな気分だ? 答える余裕もないか? なら―――――」


 リヴァイは嗤った。

 誰も見たことのない表情で、笑みを浮かべたのだ。



リヴァイ「せいぜい豚のように悲鳴を上げて――――――俺の溜飲が一刻も早く下がることを祈ってろ」



 そしてアニは、己の心が折れる音を聞いた。



……
………





962: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:31:38 ID:Z2UqFgg.

………
……



リヴァイ「―――――こんなところか」

アニ「あ………が、ぶぇ………」

リヴァイ「チッ………返り血か。汚ねえ」


 アニが死ぬ寸前まで、リヴァイの殴打は続いた。


エルド「…………お、おお、お、お疲れ様でした、兵長(おっかねえええええええええ)」ガタガタ

グンタ「お疲れ様です、兵長(怖ェエエエエエエ)」ブルブル

オルオ「へ、兵長、どうぞハンカチを………か、返り血がぶへっ(痛ッてェエエエエエ)」ガブッ

リヴァイ「ああ…………それで、補給は?」フキフキ

エルド「じ、じきにやってくるかと………」

リヴァイ「そうか、ならいい」





963: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:32:27 ID:Z2UqFgg.

アニ「」ピクッ、ビクンッ、ビクッ


オルオ(ペトラェ………おまえあっち行っててよかったぞマジで)ガクブル

グンタ(オゾましすぎる……女子供にはとても見せられないよ!!)ヒィイイイ

エルド(千年の恋も冷める手際だった。明らかに殴り慣れてる。い、生きてんのかコレ…………うおお、生きてる。マジで生きてる。キッチリ『死ぬ寸前』じゃねえかどんだけだよ)ビクビク


リヴァイ「エルド、水晶球よこせ」ホレ、サッサト

エルド「は、はっ! どうぞ!」スッ

リヴァイ「――――ノブ、ハンジ、聞こえるか。戦況はどうなってる?」

信長『…………』

ハンジ『…………』

リヴァイ「ノブ? ハンジ?」

信長『う、うわッ、うわーッ、怖ぇー……おっかねぇー……ごめんなーりばい、ごめんなーりばいー、もう二度とかりあげおチビとか言わねえよ。だからお願いします、謝るので殺さないでください』

ハンジ『ごめんねー、ごめんねぇー、もう二度とその人類の平均値を下げる体長のことをからかったりしないよー。だから命だけは、命だけは助けてね』

リヴァイ「見るも無惨に殺すぞてめえら」





964: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:33:52 ID:Z2UqFgg.

リヴァイ「見えてるだろうが、『女型』は片づけた。そちらの戦況はどうなっている?」

信長『お、おう。遠目で見てたぞ。えっげつねー武を使うんだニャア、オメー。全く怖い奴よ』

ハンジ『ウワー、まるでおトヨが二人いるみたーい』

リヴァイ「うるせえ。いいからさっさとどうなってるか言え」

信長『おう。獣は与一が足止め中だ。あの猿野郎、奇行種どもを呼び寄せる力があるらしい。エルフ隊とチョボヒゲの部隊が応戦しとるが、今のところは目立った被害もない。今のところは、だが』

リヴァイ「………肝はエルフたちだな。棒火矢による援護が尽きれば、後は奇行種共の物量で潰れちまう、か。…………トヨヒサは?」

ハンジ『凄いよ! 絶好調だね。あの調子なら討伐は無理でも、しばらくの間は彼一人でこっちの戦場から超大型を引き離せる』

信長『はン。あんな図体だけのガキなどお豊の手玉よ。しばらくはあやつ一人で凌げるであろう』

エルヴィン『――――それは何よりだ』

リヴァイ「ッ、エルヴィンか。周囲の巨人どもの掃討は?」

エルヴィン『あらかた終了した。これより『獣』の呼び寄せた奇行種共の抑えに合流する。しかし、トヨヒサを信用しているんだな、ノブナガ』

信長『ヘッ、お主がりばいを信頼してるのと同じぐらいにはな。あ奴は馬鹿ではあるが、うつけではない。この戦場で己が今何を為すべきかを本能的に分かっている。豊久を単なる猪武者と思うてくれるな』

リヴァイ「何よりだ。では、エレンは――――鎧は」

ハンジ『――――結構ヤバいね。最初はエレンが優勢で取っ組み合ってたんだけど、まあ油断だね。エレンが頭部を破壊されて人間に戻っちゃった』

リヴァイ「ッチ…………肝心要でしくじりやがったか、あの馬鹿野郎」





965: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:35:27 ID:Z2UqFgg.

エルヴィン『ミカサをはじめ何名かのエルフがなんとか足止めしてはいるが、これではジリ貧だ。おまえに援護に向かってほしいんだが』

リヴァイ「そうしたいところではあるが………俺は生憎左肩がイカレてブレードを万全に振れん。少しばかり視界もやられた。先にペトラを向かわせたから、てめえの裁量で好きに使え」

信長『ぺとら? おお、あの別嬪か。やるのか?』

リヴァイ「伊達や酔狂で俺の班には入れん。正真正銘の手練れだ。討伐補佐にかけては俺の班でも右に出る者はいない。上手く使え。遅れてオルオ、エルド、グンタも送る。誰であろうと鎧の継ぎ目である関節を狙った斬撃程度なら、余裕でこなすだろう」

信長『―――――であるか。ならば、やはり当面の問題は『獣』か』

ハンジ『ああ。正直言って『鎧』の能力と私たち調査兵団の戦術の相性は最悪だ。与一をはじめエルフたちが『鎧』に当たるべきだったかもしれない』

リヴァイ「だがヨイチら主力の弓兵隊を『鎧』にあてがえば、『獣』と奇行種共の脅威が野放しだ。大岩の投擲と、他の奇行種どもを呼び寄せるとかいう能力は厄介極まりない。ヘタすりゃ際限なく奇行種共が集まってくる」

エルヴィン『―――――あちらを立てればこちらが立たず、か。…………二手だな。二手が不足している。その二手の一ツ一ツが、届きそうで届かん』

信長『ふむ…………捕えた『女型』の中身を人質にでも立ててみるか? ひれ伏せー、ひれ伏さんととってもヒドいことするぞー、嫁に行けんようになるぞーっつって』

リヴァイ「ホントに性根が腐敗してんなおまえ」

ハンジ『どうやって国を治めてたんだよ』

信長『阿呆、戦国の世において人質、裏切り、脅迫、謀反、密約、暗殺、奇襲、朝駆け闇討ちは作法の一つじゃぞ? なぁに大義があればどうとでもなるものよ。なければないででっちあげるか言い掛かりつけりゃいい』コレガデキナキャハンニンマエ

エルヴィン『なんて嫌すぎる世界だ……』

リヴァイ「クズしかいねえのかおまえらの世界は」





966: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:37:53 ID:Z2UqFgg.

信長『ダルマにした上でボッコボコにした悪鬼が何言ってやがる』

エルヴィン(確かに)

ハンジ『けど一考には値する手段だね』

リヴァイ「クソメガネ、おまえもなかなかノブに染まってきたな」

ハンジ『勝利のため、そして兵の命が一人でも多く助かるのであれば、私は悪鬼でも悪魔でもなんでもいいよ』

エルヴィン『そうだな。そのためならば私は相手が神だろうと踏みにじるし、魂を売り渡して悪魔にでもなろう』

信長『その心意気やよし。いっぱしの将のツラになってきたなヅラとメガネ』

リヴァイ「…………フン。まあ、やらねえんだろう?」

信長『ああ。まず通じんだろう。というより、此方にも彼方にも利点がない』

エルヴィン『だろうな。こちらの目的と巨人側の目的が平行線である以上、それでどうこうなるはずもない』

ハンジ『ッあーーーーーーッ!! もぉーーーーーーーーーーッ!! このまま現状維持はマズいんだって!! なんか考えないとホントにこのまま全滅もありうるよ!?』


 人質を盾に投降を促したところで聞きはしないだろう。既に調査兵団に顔が割れてしまっている以上、巨人たちは死にもの狂いでこちらを全滅させにかかるだろう。

 ただの一人でも撃ち漏らせば、そこからライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、アニ・レオンハートが巨人であることが壁内全土に伝わるのだ。





967: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:39:10 ID:Z2UqFgg.

そんな時だ。


ハンニバル「―――――おい、小僧、ハゲ、メガネ」

信長『!』

エルヴィン『!』

ハンジ『え? お、おじいちゃん?』


 確かな理性の光を瞳に宿した老年の将が、動きを見せた。


ハンニバル「木いちごはな、目の前にあるから食えるんじゃ。ウマいんじゃ。遠くにあったら食えんのじゃ。そいつがどんなにウマくても」

エルヴィン『は?』

信長『はァ?』

ハンジ『また木いちご?』





968: ◆B2mIQalgXs:2015/02/02(月) 21:39:56 ID:Z2UqFgg.

ハンニバル「逆を言えばだ――――――ウマくて大事な木いちごを、誰かに食わせたくないなら、遠くにやっちまえばいいのだ。ウマい木いちごほど、誰もが食いたくなるもんじゃ」

エルヴィン『………!』

信長『ッ………そうか。やっぱすげえな、木いちごじいちゃん』

ハンジ『あっ、あーーーーーっ!!! そっか! そういうことか………! ホント何者だよこのおじいちゃん』

リヴァイ「? どうしたノブ、エルヴィン、ハンジ。そちらで何があった」

エルヴィン『作戦が決まった。リヴァイよ、そちらにいるオルオとエルド、グンタを借りられるか?』

リヴァイ「………? どういうことだ?」



 カルタゴの鬼才が動き出す。

 足りぬ二手のうち、一手を埋めるべく。



……
………





973:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/02/02(月) 22:15:28 ID:q0S9oWGk

おつ
ゲンジバンザイ





982: ◆B2mIQalgXs:2015/02/04(水) 22:23:55 ID:ES3ll9eU

※中途半端にスレ余ったのでおまけ投下


『もしもあの人もドリフターズとして進撃世界に呼ばれていたら』


菅野「あぁん!? なんだこりゃどこだよここバカヤロウまたかよどこなんだここはバカヤロウコノヤロウなっげえ壁だな万里の長城かよ」


 バルバルバルバルバル


エレン「な、なんだあれ………」ビクビク

アルミン「て、鉄の塊が! 鉄でできた鳥が飛んでるよ!! すごいよ!!」キラキラ

ミカサ「だ、誰か乗ってる…………う、うわぁー、例によって東洋人だー」

エルヴィン「君らの知り合いか、ノブナガ」

信長「知らん。だが―――――」

エルヴィン(空を飛ぶ、だと………立体機動のように跳ぶのではなく、文字通りに飛んでいる。アレを調査兵団で運用できれば、巨人との戦闘を避けつつより広範囲の索敵を行い、かつ壁外調査が捗る………)

信長(もはや言うまでもなく戦略的価値は大。極大。あんなんに火薬詰ませて飛ばしたら小田原だろーがなんだろうが即落とせる。イヤまてよ、軍にアレを複数用意できれば行軍日数までもが………山だろうが海だろうが越え放題!)

信長&エルヴィン((超欲しいんだけどコレ))

リヴァイ(考えてることが手に取るようにわかるなこの二人)





983: ◆B2mIQalgXs:2015/02/04(水) 22:29:27 ID:ES3ll9eU

ジャン「うおお、すっげえなアレ。マジで飛んでやがるぞ」

ユミル「ドリフの世界にはあんなんまであるのかよ………反則すぎだろ」

クリスタ「あっ、手を振ってる。おーい! おおーい!」フリフリ

コニー「すっげぇーーーー! いいなぁ!! 乗ってみてえ!! どんな景色が見えんだろ!!」ワクワク

アルミン「僕も乗ってみたい!!」キラキラ

エレン「お、おっかなくねえか? すっげえ高いぞ………」

ハンジ「あっ、降りて来た!!」

ミカサ(まともな人でありますように)


 スタッ


菅野「ああ゛!? なんだバカヤロウコノヤロウ、外人ばっかじゃねえかコノヤロウ! どこん国の連中だテメーら! アメ公だったらブッ飛ばすぞコノヤロウ」

クリスタ「」ビクッ

コニー「」ガクガク

エレン(直接的な意味で超怖いんだがこの人)ガクブル

ミカサ(もうやめてほしい。東洋人のイメージがネガティブな方向へどんどん崩れていく)ズーン





984: ◆B2mIQalgXs:2015/02/04(水) 22:31:46 ID:ES3ll9eU

豊久「なんの騒ぎじゃ………? ばるばると喧しい」

与一「うひゃー、黒金でできた鳥とは、これまた奇天烈な」

菅野「あっ! 日本人!」

信長「何者じゃお主」


菅野「一人総火の玉、七生報国、三百一飛「新撰組」隊長・菅野直とは俺のことだコノヤロウ!! てめえらこそ何だバカヤロウ」

信長「織田上総介信長(新撰『組』なのに『隊』長ってどういうこった。うつけか)」

与一「那須資隆与一(姿形を見る限り、かなり後の時代の日ノ本の住人でしょうか)」

豊久「島津豊久(なかなかの面構えだの。死線ば潜った武士の目じゃ)」

菅野「なんだとコノヤロウバカヤロウ、三英傑の一人に源氏の英雄だとコノヤロウ!」

信長「俺はそんな風に後世に伝わっておるのか。あんなに寺焼いたのにニャア」

与一「いやーテレますな」ハッハッハ

菅野「憧れてました握手してくれ」


 菅野直。麻酔なしで太腿から銃弾を抉りだすほどに性根が座った男であり、士官学校時代からあらゆる戦闘機を破壊しまくったため『デストロイヤー』の名を欲しいままにしていた彼であった。





985: ◆B2mIQalgXs:2015/02/04(水) 22:33:04 ID:ES3ll9eU

が、少年時代は軟派な男(趣味は読書とかのインドア的な意味)であり、実は文学少年という一面を持っている(※マジで)

 そしてシスコン。姉と添い寝しないと寝れない子だったらしい。


信長「お、おう」ガシッ

菅野「やったぜコノヤロウ」ブンブン

与一「いいですとも」ガシッ

菅野「感謝感激」ブンブン

豊久「まあよかろ」スッ

菅野「は?」

豊久「む?」





986: ◆B2mIQalgXs:2015/02/04(水) 22:33:58 ID:ES3ll9eU

菅野「ワリ。誰? 島津? ああ、あの九州の端っこの超イナカモンの。関ヶ原まで影の薄い? ハイハイ知ってる。で? 義弘以外は知らねんだけど」

豊久「殺す!!」フギャーーーッ

菅野「あんだコラやんのかコノヤロウ誰だよてめえ誰なんだよブッ飛ばすぞコノヤロウ」ギャオーーーッ

豊久「てめえ首よごぜぇええええええ!!!」

菅野「うるせえよ芋でも食ってろ芋連合のイモ野郎そもそも薩摩の連中は気に入らねんだコノヤロウてめえらがいなければ徳川の天下はなあ!! 薩奸死すべし慈悲はねえ」ギャーブオーギャー

豊久「んだらてめえ東軍側かよ是非もねえブッ殺してやる首出せ晒し首じゃ」ギャーブワー

サシャ「お芋の連合と聞いて」シュバッ

ユミル「お呼びじゃねえ。すっこんでろ死ぬぞ」

クリスタ(この人たちなんていうかもう存在が怖い)プルプル


『完』





987: ◆B2mIQalgXs:2015/02/04(水) 22:35:19 ID:ES3ll9eU

※豊久とデストロイヤーが会ったらこうなると思うの

 >>1個人としては、菅野直の逸話は超面白いので本買って読むのオススメ。後期の日本海軍航空隊きっての最後の撃墜王である。

 まともにアレとドッグファイトできそうな航空機乗りってドイツの某サーカス団長(※1)ぐれーじゃねーの? 多分。

 正確には戦闘機じゃないけど、他にも人外スツーカ閣下(※2)とか候補に上がる。


(※1)某サーカス団長:マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン男爵

 ガンダムに出てこなかったシャア。むしろガンダムとザビ家がいない世界におけるシャア。男爵っすよ男爵。バロンだよ。しかも名前に『フォン』入ってるよ。そうだよ貴族だよ。

 赤い悪魔とか赤い騎士とか赤い男爵とか変態機動のリヒトホーフェン・サーカスとか言われてる。

 性格はトレーズ閣下みたいなエレガントさにちょっとシャイ成分の入った腐女子が好きそうな感じ。逸話が何かとカッコイイ。実際ルックスもイケメンで俺たちの敵。爆ぜろ。


(※2)人外スツーカ:ハンス・ウルリッヒ・ルーデル

 言わずと知れた真正の怪物。本を読むかアンサイクロペディア見ると、その異常性がよく分かる。深く理解しようとすると頭がおかしくなって死ぬ。魔導書みたいな人生送ってるいらない方のネクロノミコン。

 彼がスツーカ(爆撃機)に乗るとソ連兵は死ぬ。存在がゲイボルグな人で、出撃=撃墜という成果を叩きだす。たまに撃墜されてもケロッと還ってくるので、敵からすれば悪夢のような男。

 足がない。チクショウ、しばらく出撃できない、ソ連兵ブッ殺せない! ぐやぢい!! とか言って泣くんですのよ。正気で狂ってますわこのヒト。これだからナチスは怖い。





988:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/02/04(水) 22:35:34 ID:5uuaAOU2

次の出番はだれかなーたのしみだなぁゲンジバンザイ





エレン「ドリフターズ?」 豊久「大将首二ツ目」へつづく


・SS深夜VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
 エレン「ドリフターズ?」
芦田愛菜ちゃん、まさかの濡れ場に挑戦!乳首がちょっと出るwww
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