転載元:エレン「ドリフターズ?」

1:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 12:36:18 ID:70.8Vr8s

※原作ばりにスローペースで更新予定。
 時系列的にはドリフ側はドワーフ解放前。進撃側は女型編前くらいを想定。
 間違いあったら指摘してくださるとカルタゴが救われる。
 11巻まで未読の方は超絶注意してくだちい。


〜ウォール・ローゼ東突出区(カラネス区)・壁外〜


信長「どこじゃ、ここは」

豊久「知らぬ。風景が変わった。此処は何処ぞ?」

与一「皆目見当もつきませんなあ」ハッハッハ

オルミーヌ「えッ!? なッ?! ちょッ?! どこです此処ォッ!?」キョロキョロ

シャラ「な、え、え? どこだここ!?」

ハンニバル「おお、カルタゴがほろぶ!! カルタゴがほろんでしまうぞー!!」ブツブツ

ハンニバル「おお、ティベリウス! これだ、これ飲んでみ? シュワシュワしてる水! 腐ってねえよ飲めバカ!」ブツブツ

ハンニバル「それは炭酸水って言ってなー? クソッ垂れローマへの行軍でアルプス越えの途中、ワシが最初に飲んだんじゃよ?」ブツブツ

ハンニバル「ヴェルジェーズってとこでなー! これがなかなかンマイんじゃよ?」ブツブツ

エルフ達「そーなんだー、スゴイネー、じーちゃん」ポカーン








芦田愛菜ちゃん、まさかの濡れ場に挑戦!乳首がちょっと出るwww
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子産め太夫「うっ!」パンパパパンパン パパン パパン ドピュ
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両津「麗子!わしはホモビに出演するぞ!」麗子「やめて!両ちゃん!」
サトシ(37)「すいません。ピジョット運送さんですか?正社員の件でお電話したんですけれども」
悟空「ブゥ!クリリンをチ○コにしてくれ!」


2:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 12:42:22 ID:70.8Vr8s

豊久「俺らはどわあふとやらを解放(とき)ん行く途中だった筈じゃ。此処は何処ぞ?」キョロキョロ

与一「急に光に包まれたと思ったら、この場所でしたねー」ハッハッハ

信長「おいどういうこったーッ、オッパイーヌ!!」グワシッ

オルミーヌ「オルミーヌだ!! おっぱいを掴むな!!」フンギャーッ!!

与一「『おくと』と連絡は取れないんですか、オパイーヌさん?」

オルミーヌ「だからオルミーヌだってば!! お師匠さまたちと連絡が取れないんですッ! 水晶球に反応がないッ!!」

信長「あァん?! なんだとーーーッ!?」ムガーッ!!

与一「それをなんとかするのが貴女のお勤めでしょう? なんとかしてくださいよパイオヌーヌさん!!」プンスカ

信長「そーじゃそうじゃ、なんとかしろオッパイ! どうにかしろオッパイ! お前のオッパイは飾りかオッパイ!!」グワシッモミモミモミ

オルミーヌ「アンタ名前覚える気ないだろやっぱり!! だからおっぱいを掴むなッ!! 揉むなッ!!」コノヤロウ!!

エルフA「じいちゃん、木いちごー」

エルフB「そこに生えてたー。おいしい?」

ハンニバル「ウムッ、うまい。ほうびにお主にはイベリア半島の統治を任せよう。あのクソ弟負けくさりおってからに」モグモグ





5:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 15:22:17 ID:70.8Vr8s

エルフC「あー、なんか向こうに壁が見えるよ!」

与一「確かに…………おお、随分と長い壁ですなぁ。中華にあったという万里の長城でしょうか」

信長「にしちゃデカすぎるだろ………ひ、ふ、みよ………三十間近く(約50m)はあるぞ?」

豊久「―――――行ってみっが」スタスタ

信長「ちょっ、おまっ………待て、お豊! おるての城壁かなんかだったらどうする!?」

豊久「壁ばよじ登って、首ィ掻き取ればよか」


信長(うわー………やっぱコイツ馬鹿なんだぁー)


与一「まぁまぁ、ここで立ち止まっていても仕方ありませんし、ここはあの壁に向か…………おや? 後ろからこちらに誰か向かって来てますぞ」


 ズシーン、ズシーン、ズシーン


信長「こちらに手を振っておるように見えるな」

シャラ「オルテではないのかもしれませんね。おぉーい」フリフリ





6:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 15:35:58 ID:70.8Vr8s

与一「―――――! 待って下さい。なにやら縮尺がおかしい」

信長「はァ?」


 ズシーン、ズシーン、ズシーン


信長「デカッ!? なにあれ、デカッ!!?」ギャボーッ!?

豊久「のう、しゃら。お前(おまあ)の世界には、斯様にデカい『だいだらぼっち』ばおるのか?」

シャラ「いるわけないでしょ!? 何あれ、何あれ!? こ、こっち向かってきますよ!?」


巨人「ギャオーーーーーッ」ドシンドシンドシン


豊久「ならば、あんだいだらぼっちは敵か。面白か…………あんだけどデカか首級、掻き取りがいがありそうじゃ」ズラァアアッ

信長「エルフどもは荷馬車引いて壁に向かって退避しろーーーッ!! 与一は豊久を援護じゃ!!」

与一「ぷっ、あっはっは、了解了解」ギュパッ

信長「オイ、オルミーオッパイ! おまえもあの石壁の符札で援護じゃ!!」

オルミーヌ「なんでこうなるのぉおおおおおおおっ!?」





9:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 16:01:47 ID:70.8Vr8s

巨人「アンギャーーーッ!!」ズシンズシンズシン


豊久「ほんにデカいのう! あれじゃ首まで刀ば届かぬな」カンシン

オルミーヌ「どっ、どどどどーするんですっ!?」アワワワ

豊久「おるみぬ、あん男女ん時と同じじゃ! 俺を撃ち出せ! あそこまで押し上げちくれ!!」タタタッ

オルミーヌ「むちゃくちゃだ!! ああもお! どうなっても知りませんよッ!!」ヒュパッ


 ズギャッ!!


豊久「ぬ、お、お、お、お、おっ!!!」ギュバッ!!


巨人「グオオオオッ!!」ブンッ

信長「!! 与一! 今じゃ!!」

与一「両目いただき!!」ギュパパッ


 ヒュオッ、ドスドスッ


巨人「ギャアアアアアアアッ!?」ジタバタ





10:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 16:10:03 ID:70.8Vr8s

ゾンッ!!


巨人「」ドズーン……

豊久「ッ、と………」スタッ

豊久「はン………他愛なか」ニイッ

信長「あーやれやれ、ビビッたー…………ッ!? お、おい、豊久ッ!! まだだっ!!」


豊久「!?」ギョッ


巨人「アー………」パキパキパキッ


オルミーヌ「なっ………さ、再生しているっ!?」ギョッ

豊久「ぬ、折角落とした首も蒸発しとるな」ショボン

オルミーヌ「あんたどんだけ首欲しいんですかッ!?」

与一「ッ………どんな化生か。あの武蔵坊モドキとも違う。これも『えんず』とやらですか、オルミーヌ殿」

オルミーヌ「わ、分かりません! とっ、とにかく逃げましょう!!」

信長「荷馬車乗れ! 早く! 早く!!! だいだらぼっちどもが、あっちこっちから来とるぞ!!」





11:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 16:27:44 ID:70.8Vr8s

パカラッパカラッパカラッ
 ガタンゴトン、ガタンゴトッ


シャラ「あいつら、射かけても射かけても再生する!」ギュパッギュパッ

豊久「どうするんじゃ、のう、信(ノブ)」

エルフC「うひゃああああっ!! ねえ、どうするの!? どうするのさノブさん!」ギュパッギュパッ

信長「俺が聞きたいわそんなモン!! 『えるふ』やら『どわあふ』やらだけでも夢想じみたモンだっつーのによう!!」

信長「とにかく、あの壁の一部に門らしきものが見える! 呼びかけて、なんとかして開けて貰う!」

信長「こっちにゃ火薬はある!! 最悪、こいつであの門を打ち破るしかないのう!!」

オルミーヌ「う、打ち破れなかったら?」

信長「そのときゃお陀仏だニャー」アツモリオドリマクリ

オルミーヌ「いやあああああああああああ!!」





12:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 16:35:36 ID:70.8Vr8s

豊久「おるみぬ、お前の妖術(あやかし)で、俺らを荷馬車ごと壁ば上に持ち上げることはできるか?」

オルミーヌ「流石に無理ですっ! あの壁、どう見ても高すぎますッ!! 石壁が持ちませんッ!!」

与一「むう、まずいですねえ。目を潰してるうちはこっちを追ってこれないようですが、矢には限りもある」ギュパギュパッ

オルミーヌ「うわああ、このままじゃジリ貧だ………」

ハンニバル「なにあれ、でかい。あれほしい、ローマ滅ぼせる」スゴイ

エルフA「そだねー、でっかいねー、じーちゃん」デケエ

エルフB「木いちごまだあるよ、たべる?」スッ

ハンニバル「苦しゅうない苦しゅうない」ヨシヨシ

シャラ「あの門が素直に開くことを祈るしかないのか………」ギュパギュパッ


豊久「!! おい、見ろ、信」

信長「ああ?! こんどはなんじゃ…………!!」

豊久「壁ば上に、人ば立っとる」



リヴァイ「―――――なんだ、あいつら………なぜ壁の外にいる?」





13:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 16:46:41 ID:70.8Vr8s

ハンジ「しかもあのような大所帯で………どういうことなの?」

ミケ「巨人に追われているようだな………」クンクン

エルヴィン「見過ごすわけにもいくまい。リヴァイ、彼らを救え。門まで誘導しろ――――門を開けるタイミングは煙弾で知らせてくれ」

リヴァイ「………分かった。ハンジ、ミケ、てめえらの班は馬に乗ってから壁外に出た後、荷馬車を門まで誘導しろ」

ハンジ「了解!」バッ

ミケ「了解した」バッ

リヴァイ「エルド、グンタ、オルオ、ペトラ、てめえらは俺について来い。巨人を引き付けるぞ」

エルド「はっ!」バッ

グンタ「了解!」バッ

オルオ「了解しました!」バッ

ペトラ「お供します!」

エレン「!? ちょ、待ってください、俺は!?」

リヴァイ「おまえはここで待機だ。いいな?」バシュッ

エレン「ッ…………了解です」ショボーン





14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 16:55:53 ID:70.8Vr8s

ゴゴゴゴゴッ………ズズン


エルヴィン「開門!!」

リヴァイ「続け!!」ヒヒーンッ


 ハッ!!

 パカラッパカラッパカラッ………


リヴァイ「各班、指示通りだ。あの連中を誘導しろ!」


 ハッ!!


リヴァイ「リヴァイ班は抜剣だ。巨人を足止めしつつ、撤退するぞ」


 リョウカイッ!!



……
………





19:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 20:53:29 ID:70.8Vr8s

パカラッパカラッ……


豊久「む。何人か近づいて来おるの」

信長「見たところ敵じゃあなさそうじゃが………おるての者ならば、えるふを見られるのは拙いのう」チラッ

与一「いざとなれば、私が………」シュパッ


 パカラッパカラッ………


ハンジ「おぉーーーい!! 君たち、こっちに!! このまま門に向かうよ………って!?」ギョッ

シャラ「???」キョトン

ハンジ「何その耳ぃいいいいっ! クッソ長い!! 初めてみたッ! ねえ何それ!! 付けてんの!? 自前!?」キラキラキラキラ

シャラ「えっ、ええええっ!? こ、これはその、自前ですけど………」オロオロ

ハンジ「自前だってええええっ!? キャアアアアアッ、よく見たら他にも耳が長い子がいっぱいぃいいいいっ!」ウヒョオオオオオッ!?

ハンジ「ねぇ!? 耳触っていいぃぃぃ!? ねえ!? いいよねぇ?! いいんでしょっ!? 触るだけだからっ!!」ハァハァハァハァ


シャラ「ひいいいいっ!?」ゾゾゾゾッ





20:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 21:06:08 ID:70.8Vr8s

ハァハァ、ネェ、イイデショ、チョットダケダカラァン……
 ヤメテー!! ノブサン、タスケテ、タスケテッ!! タスケ……


信長「うん、俺の勘違いだったわ。こいつの反応からして、えるふを知らんようじゃ」

豊久「ほうか」

信長「しかし…………」チラッ

与一「ん?」


信長(ヤツらの着物を見たか? すべて統一されているが、おるてのそれとも違う………よう分からん)ヒソヒソ

与一(私もわかりませんなぁ。あの腰に付けたのは武器か何かでしょうか? オッパイヌ殿、心当たりは?)ヒソヒソ

オルミーヌ(さっきオルミーヌって呼んでくれたのにわざとか!! 私も知らない。あんなの見たことないです)ヒソヒソ

信長(何にせよ分からんことだらけだ。油断せずに行くぞ)ヒソヒソ

与一(分かりました。情報はできるだけ小出しで行きましょうね)ヒソヒソ


ミケ「いい加減にしろハンジ。君らがなんなのかについては後で問いただすとして………状況がそれを許さない。今は門へ向かいたい」

信長「あー、救援感謝する。けどよ、あのだいだらぼっちども、まだこっちを追いかけて来てるぞ?」

ミケ「問題ない―――――今、巨人殺しのスペシャリストが、足止めに向かってる」





21:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 21:16:01 ID:70.8Vr8s

信長「すぺしゃりすととな?」

ミケ「ああ、彼らだ」チラッ


 パカラッパカラッパカラッ


リヴァイ「…………ペトラは左方、エルド、グンタはそれぞれ右方の巨人の足を狙え」

 ハッ!!

リヴァイ「オルオ、おまえは左を削げ。俺は右の2体をやる」

オルオ「了解!!」

リヴァイ「行け!!!」


 ハッ!! バシュッ!!

 ギュオンッ!! バシュゥウウウウウウンッ!!


豊久「!!」

信長(な、なんじゃ、ありゃあ…………宙を、宙を、飛んでおる!?)

与一(わあ、すげい。誰も彼も八艘跳びしてるー。イヤなこと思い出しちゃうなー、撃ち落としたいなー)ウフフ





22:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 21:24:05 ID:70.8Vr8s

ペトラ「ハッ!!」シュバッ

エルド「ッシィッ!!」ブンッ

グンタ「オラアッ!!」ビュオッ


 ザシュシュッ!!


リヴァイ「体勢が崩れた! 行くぞ、オルオ」バシュッ

オルオ「はっ!!」バシュッ


 バシュウゥウウッ!!


リヴァイ「くたばれ」ギュルギュルギュルッ!!

オルオ「死ね、クソ巨人」ビュオッ


 ザッバァァアアアアッ!!
 ザシュウッ!!


信長(足の腱を狙って倒した後、後頭部………いや、うなじか! うなじを斬り飛ばした!)





23:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/17(土) 21:41:20 ID:70.8Vr8s

巨人「」シュウウウウウッ


信長(!! だいだらぼっちが蒸気を上げて消えていく………なるほどのう、うなじが急所か)チラッ

信長(し、しかし、あの腰に付けたからくり…………宙を飛べるのか。それもあれほどまでに素早く!)ゾクゾクッ

信長(鉄砲を装備させた兵士に、内外から攻め立てられれば、一溜りもない。城壁など無意味になるではないか)ブルブル


信長「こ、こ、こ、これほしい〜〜〜〜〜!! なんとしても欲しい〜〜〜〜〜〜〜!!!」ニタァ

ハンニバル「何アレ欲しい。あれくれ。ちょっとローマ滅ぼしてくる」


豊久(何やらまたあくどいことを考えてておるな)ヒソヒソ

与一(時々ああなっちゃうんですよねぇ。そっとしておいてあげましょう)ヒソヒソ


ミケ「それで、よろしいか? 我々についてきてもらいたいのだが」

豊久「ん」コクリ

与一「忝し(かたじけなし)。行きましょう」


信長(さて、鬼が出るか蛇が出るか…………)クククク





35: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:23:50 ID:ue52Z/jc

………
……



〜ウォール・ローゼ東突出区(カラネス区)〜


 ザワザワ………


ジャン「なんだ? 門の方が騒がしいが………まさか」

コニー「まじかよ………壁外調査を控えてるってのに、また超大型巨人か!?」

ミカサ「大通りに出れば、門の様子が分かるかも」

アルミン「とにかく、行ってみよう。何が起こってるか確認しなきゃ」

ライナー「俺たちも行ってみるか、ベルトルト」

ベルトルト「うん」

サシャ「ああっ、置いていかないでください! 私も行きます!!」

クリスタ「ユミルも行かない?」

ユミル「めんどくせぇなぁ………」





36: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:30:04 ID:ue52Z/jc

ザワザワ……


アルミン「調査兵団………と、誰だ? 後ろからついてきているけど、見える、ミカサ?」ピョンピョン

ミカサ「アルミン。見えないなら肩車をするが………」

アルミン「その気遣いは余計だようっ! 誰が来てるか確認してくれない!? 調査兵団しか来てないなら、住民がこんなに騒いでるのは変だ!」

ミカサ「ん…………遠目に、すこし見える。荷馬車と、馬に乗っている人が何人か………ッ!?」

アルミン「えっ、どうしたのミカサ?」

ジャン「ッ!? お、おい、ミカサ! あれって………おまえと同じ………!!」

ユミル「こいつは………たまげたな」


 民草のざわめきも無理のないことだった。

 彼らを古城へと案内する先導の調査兵団を含め、何よりも人々の目を引いたのは、彼らの風貌だった。

 彼らが身にまとっている見たこともない服装もそうだが、何よりも驚くべきは、その顔立ちや特徴にあった。


ミカサ「!! わ、私と…………い、いえ、お母さんと同じ顔立ちの人がいる………!?」

アルミン「!? あ、あの人の顔立ち…………まさか、ミカサと同じ、東洋人なのか!!?」





37: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:31:48 ID:ue52Z/jc

ジャン「お、おい。それだけじゃねえ。黒髪の連中とは別に、なんか耳が長いのがいないか?」

コニー「さ、さすがに飾りとかだろ? そうだよな?」

クリスタ「そ、それよりあの人たちって壁外から………壁の外にも文化圏があったの?!」

ユミル(まさか………!?)

ライナー(あの連中も巨人か?)

ベルトルト(分からない。だけど、アニにも連絡する必要がありそうだね)


ミカサ「誰か、近づいてくる」

アルミン「! あの人は、確か調査兵団分隊長の………」


 パカラッパカラッ


ハンジ「いたいた! ミカサ! ちょっと君も来てくれないかい?」

ミカサ「貴方は確か、ハンジ分隊長。理由をお尋ねしてもよろしいでしょうか」

ハンジ「これから、エルヴィンやリヴァイを含めた軍の上層部を集めて、査問委員会を開く」

アルミン「それは、急な話ですね。またエレンの時のように、ザックレー総統も?」





38: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:33:48 ID:ue52Z/jc

ハンジ「いや、とりあえずは調査兵団のメンツだけで、軽い事情聴取を行うよ。それ次第になる」

ハンジ「気づいたと思うけど、彼らのリーダー格はどうやら東洋人らしい。君なら何か知ってるんじゃないかって思ってね。ぜひ同席して欲しいんだ」

ミカサ「………子供の頃に母から少し東洋の話を聞かされた程度ですが、それでよいなら」

ハンジ「充分さ。それに―――――彼らは恐ろしく強い。戦っているところを実際に見たわけじゃあないが、立体機動装置もなしにあの巨人たちから逃げ切っただけでも脅威だ」


アルミン「!?(そ、そういえばあの人たち、立体機動装置を付けてない………)」


ハンジ「いざという時のために、君が必要だ」

ミカサ「! 危険な連中なんですか?」

ハンジ「可能性はある。彼らの積荷の中には大量の火薬があった」

ミカサ「…………古城には、エレンもいるの?」

ハンジ「ああ。エレンの幼馴染で、凡庸な兵士百名分の戦闘能力を誇るという、君に頼みたい」


ミカサ「行きます。もしあいつらが暴れ出しても、エレンには指一本触れさせない!!」





39: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:35:24 ID:ue52Z/jc

アルミン「あの、ハンジ分隊長! その、僕も、僕も連れて行ってくれませんか!!」

ハンジ「うん? ああ、君も確かエレンの幼馴染で、名前はアルミンだったかな?」

アルミン「はい!」


ハンジ(座学において非凡な才能を見せると言う評価だったかな………それに、トロスト区防衛戦で、戦術指揮にも関わったとか)


ハンジ「分かった。君もぜひ同席してくれ」

アルミン「は、はい! ありがとうございます!!」バッ


ジャン「オ、オレも―――――!!(ミカサが行くならオレだって)」


ハンジ「君はいらない」


ジャン「」


……
………





40: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:36:47 ID:ue52Z/jc

………
……



 ガタンゴトンッ、ガタンゴトンッ……


豊久「…………見られちょるな」

信長「あぁ。俺らやえるふ共の見た目が物珍しいってのもあるんだろうが、どうにもそれだけじゃあなさそうだ」

与一「好奇心が大半。しかし微かな怯えや、警戒心………敵意に似たものも感じます」

豊久「よう分かるのう」

与一「弓手ですから。エルフ達も動揺してますよ」

信長「…………おまえら、そう固くなるな。ハイ笑ってー。俺の見たところ、ヤツらおるてってワケじゃなさそーだ」

シャラ「は、はぁ………」

豊久「安心せい、しゃら。こん城邑からは、戦の匂いがせん。民草のほとんどが誰も彼も戦働きなど知らぬ存ぜぬとでもいいたげな顔ばしとる」

シャラ「え?」


豊久「こん壁ばなかで生きてきおった奴らぞ。体つきや顔ば見れば分かる。ここん民草めらは、兵子ではない」





41: ◆B2mIQalgXs:2013/08/25(日) 23:39:45 ID:ue52Z/jc

豊久「あの『きょじん』ちうだいだらぼっちを相手にだけ戦ばやってきたんじゃろう。ばってん、人と人との戦ん経験ば、恐らくはなかろう」


信長(―――! そこまで見ておったか。やはりこやつ、戦の申し子か)


豊久「内に這入った以上、攻め落とすとなれば、たやすかことぞ」ニィイッ


信長「(ちょっと感心したらこれかおまえというヤツは………)やめて。マジでやめて」


信長「少なくとも『今はまだ』な―――――」ニィイイイッ


与一(あ、すごく悪い顔してる)

オルミーヌ(これからあたし達、どうなっちゃうのぉおお……)

ハンニバル「木いちご、んまい」モチャモチャ

エルフA「いっぱい取って来たからまだまだあるよー」

エルフB「たくさん食べてねー」



……
………





47: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:14:51 ID:j6teZQus

………
……


 調査兵団のエルヴィンの指示のもと、豊久達はエレンが寝起きをしていた古城の地下へと案内された。

 およそ二百名を数えるエルフ達の大半は、古城の中庭で待機している。

 地下に同伴したエルフは、彼らの取りまとめ役であるシャラと、ハンニバルの世話役であるシャラの弟二人だけであった。

 かくして長机を挟んで彼らは対峙し、今まさに査問会が開かれようとしていた。


エルヴィン「初めまして。どうか楽にしてほしい。まず自己紹介と行こう………私は調査兵団13代団長、エルヴィン・スミスだ」

リヴァイ「…………同じく、兵士長のリヴァイだ」

ハンジ「ハンジ・ゾエ。分隊長を務めているよ」

ミケ「ミケ・ザカリアス、分隊長だ」

ミカサ「…………(本当に、こいつらは脅威なのだろうか。どうにもそういったものを感じない)」

アルミン「…………(この人たち、間近で見ると、本当にミカサにそっくりだ。やっぱり東洋人なんだろうか)」


 眼前に居並ぶは調査兵団の班長以下、その他十数名の団員。

 エルヴィン、リヴァイ、ハンジ、ミケらは豊久らに相対するように席に腰掛け、分隊長以下の団員は彼らの背後に直立して並んでいた。





48: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:16:09 ID:j6teZQus

信長「ほれ、お豊。お前から言え」ヒソヒソ

豊久「なんで俺が? お前から言えばよかろう」

信長「フツーこういうのは大将が先に言うもんだって言ったろうが」

与一「それにまた真ん中座ってるじゃないですか」

豊久「…………忘れちょった」

与一「あーやっぱり」

信長「お前は本当に残念な子じゃのう。とりあえず、奴らの肝を潰してやるぐらいのつもりで名乗ってやれ」

豊久「お前こそ、ほんに嫌な奴じゃのう」

信長「うっせー、早く言え。こういう場じゃビビッた方が負けなんだよ」

豊久「おう、わかっちょる」

リヴァイ「オイ。何をごちゃごちゃと――――――ッ!!」

エルヴィン「ッ!!」


 内輪話をする豊久たちに苛立ったリヴァイが文句の一つでも言おうとした時、豊久がゆっくりと立ち上がる。

 どこか緩い空気が漂っていた彼らの雰囲気の変化に、リヴァイとエルヴィンの警戒が高まった。





49: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:17:33 ID:j6teZQus

豊久は立ち上がると、獣の如き双眸で、調査兵団員たち全員の顔を見据え、



豊久「豊久じゃ! 島津 内務少輔 豊久! 島津家久が子じゃ!」



 腕を組み、一喝するような大声で、名乗りを上げた。

 居並ぶ敵兵の中にひっ飛び、何十何百もの首を掻き獲ってきた戦国武将の眼光に、多くの者が豊久から目を逸らす。

 豊久にとってはただの名乗りに過ぎない。されど彼の壮絶な光を宿した双眸には、直視しがたき迫力があった。

 いわゆる『殺意』と呼ばれるものである。


ミカサ(…………!!)

アルミン(あ、あれ? な、なんだ、これ。震えが、止まらない………巨人に逢った時みたいだ。なんだ、このひと。怖い。怖い!!)


 皮膚が粟立つような殺意の波濤にさらされ、ミカサやアルミン、若手の調査兵団員が、思わず身を固くする。

 壁外調査における巨人の脅威と戦い続けてきた調査兵団の胆力を以てしても、冷たい汗が背筋を伝うほどの強烈さであった。





50: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:19:53 ID:j6teZQus

信長「俺は信長。織田 前右府 信長である」


 続いて口元を笑みに歪めて立ち上がるは、戦国三英雄が一人、第六天魔王・織田信長。

 指先の差配一つで、女子供を含めた何万もの民の虐殺を命じてきた魔王の威圧は健在であった。

 隻眼は煮詰まった墨汁の如きどろどろとした輝きが、妖しげにとぐろを巻いている。


エルヴィン「ッ………!」

リヴァイ「…………!!」


 抜き身の刃のようであった豊久の直接的な殺意よりも、エルヴィンやリヴァイは、信長の円熟した威圧こそを脅威に思った。

 壮年の皺の一つ一つに、殺された人々の怨嗟までもが籠っているようにも見えた。





51: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:21:50 ID:j6teZQus

与一「私は与一。――――那須 資隆 与一で御座います」


 女と見紛うほどに整った顔立ちをしたポニーテールの少年の柔和なあいさつに、一同は僅かに安堵する。

 しかし、数名は気づいた。その美しい顔に浮かんだ笑みとは裏腹に、弓手の冷徹な眼光が黒髪の奥で輝いている。


エルド(これは、また………怖いな。この少年は)

グンタ(キレイな顔して、なんておっかねえ目つきしてやがんだ、このガキ………)

オルオ(ふざけんなバカ野郎………オレが、恐怖を感じてるってのか!? なんなんだよこいつ……!!)

ペトラ(ッ………嫌だ。怖い。ここにいたくない……!!)


 心臓を射抜くような、妖艶な殺意に、エルドやオルオ、グンタ、ペトラといった精鋭は、足の震えを止められずにいた。


リヴァイ(こいつら…………人を、殺してるな。それも相当な数を。数えきれんほどの数を。厄介だ、実に厄介な奴らだ)

ミカサ(…………強い。とてつもなく強い。こいつらは、とてもおそろしい)

エルヴィン(誰も彼も一筋縄ではいかん。舐めてはかかれぬ相手のようだな………まるで『こちらはそちらを警戒している。ふざけたマネをしたら殺す』と、そう言われているかのようだ)





52: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:23:37 ID:j6teZQus

名乗りが終わると、三名はすぐさま腰を下ろし、殺気を霧散させる。

 途端、ガタンと音を立てて、アルミンが膝をついた。


ミカサ「! アルミン!!」

アルミン「あ、ご、ごめん。なんだか、力が抜けて………」

ミカサ「…………ッ、おまえら」


 アルミンに心的な負担を掛けさせたことが気に入らなかったのか、ミカサが鋭い目つきで豊久を睨み付ける。

 その眼光に対し、豊久は負けじと睨み返し、



豊久「貴様(きさん)らは兵子者(へごもん)と言うたが…………何故おなごがおる? 何故おなごを戦わせる」



 豊久の空気を読まぬ発言に、再び空気が凍りついた。

 ミカサ、ペトラといった女性団員は目を丸くし、すぐに目つきを厳しくする。





53: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:24:54 ID:j6teZQus

豊久「女(おなご)は家で飯(まま)でも炊いておれ。去ね。帰って紅でんつけい」


 女性蔑視とも取られる豊久の言葉は、兵士として心臓を捧げる覚悟を持った彼女らにとって、尊厳を土足で踏み荒らすが如き所業だった。


ペトラ「…………貴方に、何が分かるというの?」

豊久「知らぬ。去ね。よか男(にせ)ば捕まえて、嫁女(よめじょ)として務めい。丈夫な子ば産み、よか兵子に育てる。それが女ん役目じゃ」

信長「…………やめい、お豊。こっちにゃこっちの流儀ってもんがあろうが」

豊久「そがいな法度は皆目知らん。聞いたこともなか! 女子供ば戦場ん駆り出すは鬼畜の所業ぞ」

信長「うわーいマジでこいつ空気読まねえー」


 信長が頭を抱えたその時、ミカサが前に出た。今にも襲い掛からん物騒な目つきで、豊久を睨み付け、


ミカサ「………それを言うなら、そちらにも女性はいる」

与一「そうですよ、豊久殿。オルミーヌ殿だってそうでしょう? そこの・………ええっと」

ミカサ「――――私はミカサ。ミカサ・アッカーマン」

与一「御丁寧にどうも。みかさ殿にも、何らかの理由があるのでは?」





54: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:28:04 ID:j6teZQus

ミカサ「………出来ることなら、私だって戦いたくない。戦わずに済むならば、戦わない方がいいに決まっている」

豊久「ぬ…………ほうか。おい、みかさとやら。主は、何故戦う? 何故、戦場ん出る」

ミカサ「今が、戦うべき時だからだ! 男も女も、ありはしない! 人類全体が戦わなければ、生き延びられない!」

豊久「―――――ぬ」


 震える手を握りしめ、ミカサは高らかに吼えた。

 その程度の威で臆する豊久ではなかったが、


ミカサ「私は家族を失った。全て失った! もう私にはエレンとアルミンしかいない! 守りたいものの傍にいて、何が悪い!!」

ミカサ「私は強い! すごく強い! 私には戦う術がある………だから私は戦う! エレンとアルミンを守る!!」

ミカサ「私だけじゃない! ここにいるみんなには、戦う理由がある! その理由のために、命を捨てる覚悟がある!!」


豊久「!!」


 その言葉は琴線に触れるものがあったのだろう。豊久は目を見開いて驚いた様子を見せた。





55: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:32:31 ID:j6teZQus

豊久「それがお前の法度か。兵子者に、男(おのこ)も女(おなご)もありゃせんか」

ミカサ「…………」

豊久「好き勝手に言うて悪かったのう。確か………えれん、あるみん、ちゅうたか? そやつを守れればええのう」ニカッ

ミカサ「…………!! うん、守る!!」コクリ


 あっさりと険を解いて笑みさえ見せた豊久に、ミカサも頷き、握りしめた拳から力を抜いた。


豊久「お前のようなよか女性(おごじょ)に好かれっどぉは、男冥利に尽きるのう………えれんと、あるみんとやらは、果報者じゃな」

ミカサ「…………/////(この人はいい人かもしれない)」


アルミン(なんだかむず痒いような、くやしいような………/////)

与一(上手い。この人、おなごの扱い方もなかなかだ)

豊久(そういや奥にも久しゅう会っておらんち………佐土原で元気にやっておるかのう)

信長(初心いのー。吉乃に逢うた頃を思い出すニャー)





56: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:34:55 ID:j6teZQus

エルヴィン「んんっ…………話が逸れたな。色々と質問したいことがあるのだが………」

豊久「おう。何でん聞けい。こちらも聞きたいことば山ほどある」

エルヴィン「まず、その後ろに控えている方々は? 君たちとは違う人種のようだが?」

オルミーヌ「あ、私は」

信長「オッパイーヌだ。もしくはオシリーヌと呼ぶが良い」

オルミーヌ「違う! あたしの尻を揉むな!!!」

アルミン(お、おっぱいって………////)カァアッ

オルミーヌ「(あ、可愛い子)………オ、オホン! お、オルミーヌです!」

シャラ「お、俺はシャラといいます。外で待機してもらっているエルフたちの、一応取りまとめ役みたいなものです」

ハンニバル「カルタゴー、カルタゴー」

エルヴィン「カルタゴ? と言うのか? そちらのご老人は?」

信長「知らん。会った時からボケてて名前が聞きだせん。木いちごじーちゃんだ」





57: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:43:30 ID:j6teZQus

エルヴィン「(木いちごじーちゃん………)そ、そうか。それと………その、気を悪くしないでほしいのだが」

ハンジ「うん。そちらのシャラって人。エルフって何?」

信長「なんじゃ、えるふを知らんのか?」

ハンジ「うーん、寡聞にして耳にしたことがないよ」


信長(ふーん………とぼけてる訳じゃあなさそうだ。やはりここは『おるて』ではないらしいな)

ハンジ(彼らの耳………どことなく、巨人化した時のエレンに似ている。偶然か?)


エルヴィン「まぁ、それは後にしよう――――自己紹介も済んだところで、本題に入ろうか」

エルヴィン「君たちはどこから来た? どうやって巨人たちから逃げ延びた? 主に聞きたいのは、この二点だ」

信長「うーむ…………ま、そうだろうな。とりあえず、オルミー乳(ニュウ)よ。お前が説明しろ」ヒソヒソ

オルミーヌ「(もう突っ込む気さえ起きない)………あ、あたしがですか?」

信長「どーにも、ここは『おるて』ではなさそうだ。あの世界のことにも詳しかったお前の見解も聞きたい」

オルミーヌ「は、はぁ。そういうことでしたら…………オホン。それでは、我々がどこから来たか、と言うご質問に対してですが………」


……
………





58: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 20:56:07 ID:j6teZQus

………
……



エルヴィン「…………にわかには信じがたい話だ」

リヴァイ「漂流者(ドリフターズ)………異なる世界からやってきた、異なる時代に生きた人物だと?」

ハンジ「分からないな………その、オルテ帝国? っていうのと戦っていた筈の貴方たちが、どうしてここに?」

オルミーヌ「は、はいッ! あたしは、十月機関(オクト)の構成員で導師をやってますので、ドリフではありませんが……」

オルミーヌ「ここに来られた経緯は、あたしたちも良く分かっていません。ドワーフ達を解放するために、廃城から出たところで、急に光に包まれて、気づいたらここの壁の外にいたという次第で………」

豊久「うむ。皆目見当がつかん」

信長「胸を張って言うことか!! 実際マジでヤバいんだぞ俺ら」


アルミン(…………作り話にしては、出来過ぎている。嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくと思うけど………)


モブ「し、失礼します」ガチャ

エルヴィン「! 聞きだせたか?」

モブ「は、はい。外にいる、その、エルフ達にも同じことを聞きましたが、みな口をそろえて同じことばかり………」





59: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:02:40 ID:j6teZQus

エルヴィン「…………つまり、君たち漂流者(ドリフ)はこの世界の人物ではない、と? 別の世界からやってきたのだと?」

信長「今やえるふどもも同じみたいだがニャー。お前らの世界に『えるふ』ってのがいないのならば、そうなんだろうよ」

オルミーヌ「一応聞きたいんですが、ドワーフもいないんですか? 亜人種は? 竜とかは?」

エルヴィン「………いない。そんな話は聞いたこともないし、我々は多少頭髪や肌の色に差異があるだけで、極端に耳が長かったり、背が低かったりすることはない」

オルミーヌ「異世界確定じゃないですかー!! やだーーーーーっ!!!」


リヴァイ「イヤ…………まだ俺はおまえらの話を信じたわけじゃない。お前らは、ここに来た時、巨人に追われていたな? あの馬車の速度では、追いつかれていた筈だ。巨人からどうやって逃げ延びた」

豊久「おう、与一が矢で目ン玉ァ潰した隙に、俺(おい)が首ば斬り落としてくれたわ」

与一「いやあ、お陰様で矢が尽きました」ハハハ

豊久「纏めて首ば落とそうと思うたが、信長が止めよるから」

信長「あんな化けモン相手にまともにやってられるかッつーの!! ふざけんなバーカ!! 逃げるが勝ちじゃあんなモン!!」ギャース





60: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:05:43 ID:j6teZQus

リヴァイ(首を、落とした………? 立体機動装置もないくせにか? フカシか?)

アルミン(ッ………動き回る巨人の目に、正確に矢を射かけただって!? どんな弓の腕をしてれば、そんな芸当ができる!?)


信長「うわー、あからさまに信じてねえってツラしてやがるな」

豊久「次は俺から質問じゃ。斬っても斬ってもすぐに元通りばなる。あの『だいだらぼっち』は一体何者ぞ? この世界ば、どうなっちょる? あんなデカか壁は見たこともなか!」

エルヴィン「分かった………話そう。ハンジ、頼む」

ハンジ「分かった。まず、我々の国の歴史を、巨人の発生から、ここ数年の情勢まで追うとだね………」



……
………





61: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:24:45 ID:j6teZQus

………
……



信長「…………つまり、なんだ。この土地はぐるりと四方を三つの壁で区切られてて、その外にはあの巨人らがワンサカおるから出られんと?」

ハンジ「そう、だね。君たちがどうやってここまで…………ウォール・ローゼまで来れたのか、我々は疑問に思っている」

信長「? ちょいと待て。おい、ここは『ろーぜ』っつったな? ここは先程話しておった『まりあ』ではないのか?」

エルヴィン「そうだ。ここはウォール・ローゼの東部突出区・カラネス区だ」

信長「巨人とやらがおったぞ?」

エルヴィン「そうだな」

信長「なして?」

エルヴィン「五年前に、ウォール・マリアが破られたからだ。あの壁すら上回る体長を誇る、超大型巨人によって」

信長「……………成程、そういうわけか」

エルヴィン「御察しの通りだろうが、率直に言おう。我々は君たちを疑っている…………先日、巨人になれる人類が発見されたためだ」

豊久「ここんこつ、『きょじん』ちうモンに変身できる奴が出てきおったとな?」

与一「つまり、我々を『きょじん』ではないかと、疑っていると」





62: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:30:17 ID:j6teZQus

エルヴィン「………そういうことになる。異世界論などより、君たちが巨人であるとした方が、我々にとっては現実味がある」

エルヴィン「君たちも『そう』なのではないかと、我々は思っている………壁外には巨人になれる文化圏が存在し、巨人化の技術を持ってこの壁内に侵攻しているのではないか、と」

信長「つまりは、証を立てよと? 俺らが『きょじん』ではなく、別の浮世から来たということの、証を立てよと?」

エルヴィン「可能であるならば」

信長「――――で、あるか」


信長(フン、生意気な小僧じゃ………王政府とやらのふざけた政策に、巨人の謎、壁の秘密………うつけではないかと思うところがあるが)

信長(―――――成程。ここは統一された日ノ本じゃ。鎖国という愚かな選択を取った場合の、日ノ本の未来じゃ)

信長(今の状況は、さながら元寇か。それも四方八方から、隙間なく押し寄せてきおる。壁によって守られ、土地の拡張はなく、ただ『そこにあるもの』のみで生き続けてきた連中にとっては、辛かろう)

信長(………しかも、この体制が百余年も続いていると来た。そりゃあ施政者側とて搾取する。保身に走る。己の身を守ろうとするわ)

信長(ここからは逃げる場所がない。反感を買われ、追い詰められれば終わりよ。だから伏せる。中央集権を成し、地方からは税を搾取する。壁があるならなおさらじゃ。いくらでも隠せよう)

信長(謀叛を唆すか? いや、それは機会があれば、後でも良かろう―――――よし)ニィイイッ


信長「おい、おいパイオツーヌ!」

オルミーヌ「…………へ? あたし?」

信長「ホレ、なんか怪しげーな術を使えるんだろ、おまえ。証として、見せたれ」





63: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:33:36 ID:j6teZQus

オルミーヌ「えええええ!? 大師匠さまならともかく、あたしは石壁しか出せないんですよぉ!」

信長「出せばよかろうが」

オルミーヌ「無理です、ここ地下だし。崩れたらどうするの」

信長「なんと役に立たんオッパイだ………もう揉んでやらぬぞ」

オルミーヌ「揉まんでいい!! あの、外に出させてもらえるなら、お見せできるんですけど」

エルヴィン「すまないが、それは無理だ。君たちが巨人という疑いが消えない以上、外で巨人化されては困る」

信長「オイオイ、俺らが巨人なら壁ん中に入れた時点でそうなっても不思議じゃねえじゃねーか」

エルヴィン「油断を誘っているだけかもしれない。巨人化について、我々もそう多くのことについては理解していないのだ」

信長「うーむ」

エルヴィン「頭が固いと言われるかもしれんが、それは最終手段としたい。出来れば、ここで証を立てて貰いたい」


オルミーヌ「…………あのう、外に出るのがあたしたちじゃなければいいんですか?」


エルヴィン「? 言ってることの意味が分からないが………まぁ、そうだ」

オルミーヌ「でしたらそこのメガネの人! どことなく親近感がわくメガネの人!」

ハンジ「へぁ? 私?」





65: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:37:34 ID:j6teZQus

ハンジ「へぁ? 私?」

オルミーヌ「はい、この水晶球持ってください」

ハンジ「なにこれ?」

オルミーヌ「部屋の外へ出て、この水晶に向かって話しかけてみてください」

ハンジ「………えっと、それに何の意味が?」

オルミーヌ「それはですね………あ、お耳を拝借」

ハンジ「ふんふん……………まじで?」

オルミーヌ「まじです」

ハンジ「………ま、まぁ。物は試しだね。一応地上にまで出てみるよ」

リヴァイ「おい、クソメガネ。何をするつもりだ」

ハンジ「んー、もしホントなら、すごく面白いことさ」

エルヴィン「………分かった。許可しよう」

ハンジ「そいじゃ、ちょっくら行ってくるね!」ダッ

オルミーヌ「あっ!! くれぐれも落として壊したりしないで下さいよ!」





66: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:40:00 ID:j6teZQus

信長「おい、オルパイヌ、何をするつもりじゃ?」ヒソヒソ

オルミーヌ「すぐに分かりますよ」

エルヴィン「何をするつもりなんだ?」

オルミーヌ「この水晶球に注目してください」コトッ


ハンジ『まったくもー、おーい、おーい、聞こえるー?』


ミカサ「ッ!? す、水晶が、喋った!?」

アルミン「こ、この声、ハンジ分隊長の声だ!!」


ハンジ『まぁそりゃ聞こえないよねー』


エルヴィン「!? す、水晶玉から、声が………!? ハンジ! ハンジ! 私だ、エルヴィンだ! 聞こえるか!!」

ハンジ『う、うわあああっ?! エルヴィンの声が!?』

エルヴィン「!? ハンジ、今どこにいる!!」

ハンジ『地上だよ! 凄い、マジで声聞こえる!! スッゲ! マジでスッゲエこれ!!』





67: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:41:38 ID:j6teZQus

信長「は? オイ、なんだこれオルミーオッパイ。俺も聞いてねえぞ、こんなモン」ヒソヒソ

豊久「こりゃまた面白か妖術(あやかし)じゃあ」


信長(こ、これが各武将隊に行き渡りゃあ………)

エルヴィン(これを各分隊長………いや、出来ることなら、各班単位に持たせることができるなら………)

信長(伝令いらねえじゃん。戦況の僅かな変化ですら容易に把握できる)

エルヴィン(信煙弾が不要になる。しかもより正確な伝令で、即時対応が可能だ)

信長(狼煙は敵に位置を教えちまう欠点がある。太鼓の音なんかも敵に判読されちまったら無意味。だが――――)

エルヴィン(―――これにはそうした心配がない。隠密にも使える。そもそも、第三者に知られずに、連絡が可能となる………)

信長(視界最悪の夜だろーが、屋内だろうが関係ねえ)

エルヴィン(視界最悪の巨大樹の森だろうと、夜間の戦闘だろうと問題ない)


信長「…………」

エルヴィン「…………」



信長・エルヴィン(これ欲しい)





68: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:52:38 ID:j6teZQus

信長「あー…………ゴホン。フハハハハーーー! どうじゃ! これで証となろうが!! お前らこんなん持ってねーだろ!」


リヴァイ(うぜえ)イラッ


エルヴィン「そう、だな…………君たちが諜報であるならば、こんな壁外の勢力と通信できる技術を堂々と公開したりはすまい」

ハンジ『そうだねー。内通者とかだったら、こんなのがあるって知られたら困るよね』


エルヴィン(何よりも、壁内の内通者がこんな連絡手段を持ち得ているならば、今頃壁内は巨人によって滅ぼされているだろう)


エルヴィン「他にも聞きたいことが山ほどあるが…………もう日も落ちた。今日のところは解散としよう。また後日、話を聞きたい」

リヴァイ「他の調査兵団員の詰所に案内しよう。着いて来い………」

豊久「そういや、昼時から飯(まま)ば食っちょらん」グゥー

信長「ハラ減ったな、そういや」グゥーッ

与一「そうですねー」キュルル



……
………





69: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:55:44 ID:j6teZQus

………
……



〜カラネス区・調査兵団詰所〜


信長「はァ!? なんじゃあこの料理は!! うっす! 味うっす! 京都か!? 京都かここは! ナメてんのか!」

信長「これを作ったものを此処に呼べ!! 打ち首にしてくれようぞ!!」ムキーーーッ!!

料理人「ひぃっ?! ご、ごめんなさいですの、ごめんなさいですのぉ!!」

信長「冗談だバカ、本気にすんな。あーまずいまずい」ホジホジ

料理人「こ、この………」プルプル

コニー「まぁ、なんにしてもまずいよなー(しかしなんだこのおっちゃん。すげーうるせえ)」


料理人「」ガフッ





70: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:56:58 ID:j6teZQus

信長「ってか、実際なんじゃこのメシ! 味もそっけもねえ!! 乱丸ー! 味噌じゃ、味噌を持てーーい!! ハイいないよミャー、知ってまーす!!」

信長「又介ー! 加州味噌持って参じて来い! 味噌送って来いー! 前右府はここにいるぞーーー!! 棺ん中は空っぽじゃーーー! 早う持って来ーーい!!」シギャーーーッ

コニー「うるせえな!! いい加減にだまってくえよ!!」イラッ

信長「ウルセーのはテメーだボケ、イガグリみたいな頭ァしおって。それで傾いとるつもりかハゲネズミ?」

コニー「うるせーーー!! ハゲじゃねえ、坊主だ!!」

信長「ハイハイ坊主坊主。よかろう、今日からおまえは新たなハゲネズミだ。あるいはサル。以後は第六天魔王様と呼べ」

コニー(このジジィムカつく!!!)イラッ


信長「あーーーーー焼き味噌くいてえーーーーーっ!!!」


クリスタ「おじいちゃん、夕飯おいしい?」

ハンニバル「ウムッ、うまい。ほうびにお前にはガリアをくれてやろう」

アルミン「がりあ?」キョトン





71: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 21:59:44 ID:j6teZQus

ハンニバル「カルタゴがほろぶ! カルタゴがほろんでしまうぞー!」


アルミン(…………そういえば、ボケちゃってるって言ってたっけ)


与一「味噌か醤(ひしお)があるといいんですけど、ないんですか?」

アルミン「ミソ? ヒシオって何? 調味料か何か?」

与一「んと、簡単に言えば塩漬けですねー。大豆とかを発酵させて作ったヤツです。大豆3石から醤1石5斗が得られます」

クリスタ「うーん、残念だけど聞いたことも無いです」

与一「味わい深くてオイシーですよー」フフフ

アルミン「うーん、倉庫の酵母で再現できないかなー。食べてみたいなぁ」ワクワク

クリスタ「作り方が分かるなら、やってみたいね!」ニコニコ





72: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:05:20 ID:j6teZQus

アルミン「あっ、そうだ! ねぇ、ヨイチさん。異世界の話、もっと聞かせてよ! 『海』の話とか聞きたい!」

クリスタ「私も! 聞きたい聞きたい!」

与一「はっはっは、いいですともいいですとも。あれは私の君主であるヨシツネって人がですね、いきなり水夫射てとか抜かした時の話です。壇ノ浦っていう海で――――」

アルミン「わぁあ………」キラキラキラ

クリスタ「すごい………」キラキラキラ



ユミル(天使が三人………)

ライナー(性別ってなんだっけ………)

ジャン(あのヨイチって奴、女じゃねえのかマジで? 男なの? 嘘だろ? もう何も信じられん)

ベルトルト(笑顔でおっかない話してるなぁ………)

サシャ(パァンおいしい)ムグムグ





73: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:07:54 ID:j6teZQus

ユミル「しかし、なんだな………美人だな、アイツ」

ライナー「ああ。認めたくないが………クリスタに勝るとも劣らん女神だ………男なのが残念すぎる」

ジャン「綺麗な黒髪だ………女だったらマジで天使なのに、ああもったいない」

与一「何言ってんのかわかんないんですけどね? 僕は那須十一人兄弟の末弟だけど、僕は一族の中で一番ブサイクだ」パッ


全員「ウソォオオオオオオオオオオオッ!?」エエエエエエッ!?


与一「メガミとかテンシとかよくわかんないんですけど、そのぐらいになってから言うべき。あと口開く前と後に源氏バンザイとつけろ」ギュパッ

アルミン「絶対ウソだ、ゲンジバンザイ」

クリスタ「よく分からないけどすごいねゲンジバンザイ」


サシャ(スープおいしい………パァンを浸して食べると、なおおいしい………)モグモグ





74: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:11:26 ID:j6teZQus

豊久「この『ぱん』とかいう飯(まま)はまずいのう………スッカスカして味もへったくれもありゃんせん」モグモグ

エレン「しょうがねえだろ………今はどこも食糧難なんだ」

豊久「ん? お前は何者ぞ?」

エレン「ああ、まだ自己紹介してなかったっけか。俺はエレン。エレン・イェーガーだ」

豊久「ほぅ、主(ぬし)がみかさが言うとった『えれん』か」ジーッ

エレン「ミカサから聞いてたのか? 俺のこと」

豊久「うむ。お主ば守りたい言うちょった」

エレン「ッ…………あいつ、まだそんなこと」

豊久「おなごに守られるんは、悔しかか?」

エレン「…………ッ、ハッキリ言ってくれるな。トヨヒサっつったか?」





75: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:21:40 ID:j6teZQus

豊久「応。島津豊久じゃ。恥ずかしか思うならば、強うなることじゃ」

エレン「簡単に言ってくれるな…………しっかし、ミカサはまだそんなこと言ってたのか」

ミカサ「呼んだ? エレン」

エレン「うわっ!?!」

豊久「おお、みかさか。先ほどは悪かったの」

ミカサ「大丈夫。もう気にしていない。それよりも、異世界の話が聞きたい」

エレン「ッ、そうだ! 異世界から来たって、聞いたけどよ………ホントなのか?」

豊久「知らぬ」

エレン「は? い、いや、知らぬって………」

豊久「俺には難しいことは、よう分からん。とうようじんなんて言葉も知らぬ。いせかいとやらも知らぬ」


エレン(バカなのか?)

ミカサ(バカなの?)





76: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:26:57 ID:j6teZQus

豊久「こん壁ん中の者が、何を考えておるのかが、いっとう良く分からん。こん壁ん中の国のことも、どうして民草めらは壁ん中ち引きこもっちょるのか………てんで分からん」

エレン「ッ、それは………」

豊久「まるで、畜生じゃ。家畜の如き生き様じゃ。恥ずかしくはないのか、祖先に。子孫に」

エレン「―――――!!」


ミカサ(!! 昔、エレンが言ったことと、同じことを………)


豊久「みかさは言うちょった。守りたいものがあると」

豊久「戦う理由があると。その理由のために、命を捨てる覚悟があると」

ミカサ「…………」

豊久「えれん、お前も兵子じゃろう? お前は何故戦う? 何のために戦う」


 いつの間にか、食堂は静まり返っていた。

 誰もが、エレンと豊久の問答に耳を傾けている。

 そんな中、エレンは周囲の様子に一切気づいた様子も無く、ただ真っ直ぐに豊久を見据え、


エレン「……………俺が戦う理由は、一つだ。難しいことじゃねえ」





77: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:31:32 ID:j6teZQus

豊久「それは、何ぞ」

エレン「――――巨人が憎いからだ。俺の母さんを、俺の目の前で殺した。その報いは必ず受けさせてやる。必ずだ」

エレン「生まれ育った故郷を奪った。こんな屈辱はねえ………!!」

豊久「………ほうか」

エレン「まだ子供で、力がなかった俺はその時………何もできなかった」

エレン「それが理由だ。俺が戦う理由だ。巨人を殺す。絶対に殺し尽くす」ギッ

エレン「人類は決して負けない。たとえ最後の一人になろうともだ。諦めなければ、負けじゃない」

豊久「お前が死んでもか」


 豊久がエレンを見据える瞳に力を籠める。

 先ほど地下会議室で放った殺意と同等同質のものであったが、



エレン「ッ―――――死ぬもんか! 俺は死なない! 夢をかなえるまでは絶対に死なん!!」



 エレンは、豊久から視線を逸らすことなく、言い切った。





78: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:37:14 ID:j6teZQus

豊久「…………人は死ぬ。さくりと死ぬもんじゃ。それでもお前は征くのじゃな」

エレン「ああ、そうだ! こんな壁内で家畜のように暮らすのはまっぴらだ。俺は外の世界に出る! 巨人を、一匹残らず駆逐してな!!」

豊久「―――――」


 答えを聞き終わった時、豊久の顔に浮かんでいたのは、満面の笑みだった。


豊久「………良か! 良か目(まなこ)ばしちょる。主ゃ男じゃ、えれん! 薩摩隼人じゃ!」パンパン

エレン「わっぷ!? た、叩くなよ!? 痛いだろ!?」プンスカ

豊久「死ば畏れんのは、良か男(にせ)じゃ。やはり、兵子者(へごもん)は何処でんおるのじゃな」バシンバシン

エレン「痛い! すげえ痛い! 馬鹿力で叩くな!! やめろ!!」

豊久「みかさ、お主が守るち言うた理由ば、よう分かった。確かに、お主が守らんち、こやつはさぱっと死ぬるぞ」

ミカサ「え、エレンは強い。だから大丈夫。私も守る! だから、エレンは生きる!」

エレン「ミカサ! 俺はお前に守られなくっても大丈夫だっての!!」フンガーッ!!

豊久「うむ。仲のよか夫婦じゃのう」

エレン「ッ、め、夫婦って………ち、違うぞ! 俺とミカサは、そんなんじゃねえからな!」

ミカサ「…………わ、私とエレンは、その、家族………////」カァアッ





79: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:42:50 ID:j6teZQus

豊久「ぬ? 家族ならば、夫婦ではなかか」

エレン「い、いや、だからそういうのじゃなくて………ミ、ミカサ、おまえが顔真っ赤にしてるから、そんな誤解されんだぞ!?」

ミカサ「え、エレンこそ、顔が赤い………」

エレン「そ、そんなことねえよ………////」ドキドキ

ミカサ「ある………////」ドキドキ



ジャン「…………あーのーやーろーうー」ギリギリギリギリ

与一(いやー、若いですなぁ)

ライナー(…………やはり、俺とおまえらは、戦うしかないか)

ベルトルト(気の毒ではあるけれど………エレン。次の壁外遠征の時が、人類の最後だ。君を捕えて、僕たちは故郷に帰る)



……
………





80: ◆B2mIQalgXs:2013/09/01(日) 22:44:35 ID:j6teZQus

※今日はここでおしまいです。かなりグダッた気がする。

 次は壁外遠征。信長が本領発揮予定。エグイ。

 後、漫画原作読んでていろいろ突っ込みどころがあったところを、妄想ぶっぱ。

 ゆるゆる書いていきます。では。





81:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/01(日) 23:18:11 ID:cyCmdZtA

豊久かっこえー。乙。





87: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:10:03 ID:KtJMsFBw

………
……


〜翌日〜
〜カラネス区・訓練場〜


 バシュッ、バシュウウウウッ!!


ミカサ「違う。もっと、下半身を意識して」

豊久「ふむ、なかなか難しいものじゃな………『がす』ちうもんで動くからくりか。すごいモンじゃのう。人ば宙へと軽々と運ばす」

ミカサ「難しいとは言っても、初日で使えている。貴方は凄く筋がいい」

豊久「む? ほうか?」チラッ


ジャン「ちょ、こら!! 教えてんのに、オレより先に行くやつがいるか!! もっと速度おとせ、ヨイチ!!」

与一「ほらほら、ジャン殿! 遅れてますぞーーーーー! イャッフーーーーー!!」

ジャン「てめえマジで立体機動は今日が初めてなのか!?(東洋人ってのはどいつもこいつもどこかおかしいのか!?)」


豊久「………与一ん方が上手くつかっとる」

ミカサ「アレは例外すぎる。いきなりあのチビレベルで立体機動装置を使いこなすだなんて………」





89: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:14:02 ID:KtJMsFBw

豊久「ちびっちゅうと、あの『りばい』とかいう、良か面魂ばした小男か」

ミカサ「うん。認めたくないが、あのチビは凄い」

エレン「お、おい。あんまりチビチビ言うなよ………失礼だぞ、お前ら」

豊久「やる奴じゃとは思ったがのう。みかさ、お主にそこまで言わせる男か。戦場でん共に戦う日が楽しみじゃな」

エレン「ッ! おしゃべりはここまでにしとけ!」

豊久「ぬ? アレが的か」

ミカサ「前方に目標確認。腰のブレードを抜いて、うなじを狙って削いで」

豊久「ッチィィイイイイイエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!」ヒュオッ



 ザシュッ!!!


ミカサ「!!! 深い………」

エレン「す、すげえ!(ミカサやアニ並だぞ、あいつ………!!)」





90: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:16:49 ID:KtJMsFBw

豊久「地に足ばつかん。踏ん張りが効かん」

エレン「はぁ!? アレで不満なのかよ!?」

ミカサ「…………!!(あれで満足しない。つまりはより高みを目指しているということ。見習わなくては)」

豊久「こいでは斬れん」

エレン「いや、めっさ切れてるから!! 丸々うなじ削げてるじゃねえか!」

ジャン(あの斬撃の深さで納得がいかねえのかよ…………こええ。異世界人類こええ)

与一「んー、私はあんまりこっちは向いてないみたいですねえ」

ジャン(こいつは斬撃自体はまぁ、並か…………なんかちょっと安心した)





91: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:18:50 ID:KtJMsFBw

豊久「こうか? こう…………こうか!!」バシュッ

ミカサ「――――!」


 豊久の立体機動に変化が出たのを、ミカサは見抜いた。

 横回転を加え、より遠心力を増した刀法。

 一撃に全力を込めた、タイ捨流の応用だった。


豊久「ッシィイイイイイイイイッ!!!」ブォンッ


 ズバンッ!!


豊久「――――よか!!」ニィイッ

コニー「うお、お………サシャの肉厚骨太の腹ぐらいの太さの木を、ぶった斬ったぞあいつ……」

サシャ「す、凄い! あんなに深い斬撃、ミカサやアニよりも………って!? 誰が極太ウエストですか!! こんなにほっそりした女の子捕まえて!!」ムッキィー!!

コニー「だっておまえあれだけ食ってるんだから、おなかぽよんぽよんなんだろ?」

サシャ「勝手に想像しないでください! これでも同期の女子たち皆からは、スラッとしてキレイとか言われるんですからね!!」

コニー(あれだけ食べたメシはどこにいったんだー、とかも言われてんじゃねえの?)





92: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:19:56 ID:KtJMsFBw

ライナー(……!!! や、やはり、強い! 俺の腹回りと同じ太さほどもある生木を、なんなく真っ二つにしやがった………)

ベルトルト(しかも、あれだけの大技でブレードはなまくらになってない……刃筋を立てて、刃に負担を掛けない斬り方をしているんだ)

ライナー(凄まじいな。あれじゃ削ぎ落とさなくても、うなじごと首を刎ね飛ばされかねんぞ)

リヴァイ「!! 成程、口だけじゃなさそうだ………立体機動の特性をあっという間に掴むとは」

信長「先祖代々、由緒正しい戦闘民族らしーからなー」

信長「あやつの国(超ド田舎)じゃあ、『退却』と書いて『前進突撃』と読むらしいぞ」マジデ

ハンジ「マジで!?」

リヴァイ「使いづらい!! 突撃命令出したら突撃して、退却しても突撃か!!」ドウシロト

信長「ガンバンナサイネー」

リヴァイ「てめえ、ノブ!!」ムガーーーッ

信長(金柑頭さえ裏切らなんだら、あやつの親兄弟らと俺が戦っていたやも知れんっちゅーのが怖いもんじゃ)

信長(だが光秀、テメーは許さん死ね)イラッ





93: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:25:19 ID:KtJMsFBw

アルミン「わー、ミカサといい、あのトヨヒサって人といい、東洋人ってのはみんな規格外なのかなぁ」スゴイ

クリスタ「とんでもないねぇ」ホワァ

与一「ハイハーイ、こっちにも注目ー」ギュパッ

アルミン「え? ヨイチさん?」

クリスタ「弓なんて構えて、何を………」


 与一は立体機動を駆使しながらも、器用にも弓に矢を番え、瞬きのうちに二矢を放つ。

 虚空に二条の線を描いて疾駆した後、それらの矢は寸分たがわずそれぞれが巨人の模型の、両眼球部へと突き刺さった。

 これが実戦ならば、一瞬にして巨人の視力を奪っていることだろう。
 

与一「…………」クルリ、ニコッ

アルミン「す、すごい! あんな高速で立体機動を行いながら、矢を命中させるなんて」パチパチ

クリスタ「わぁ………すごく綺麗」パチパチ





94: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:26:45 ID:KtJMsFBw

与一「」ニコリ

 ギュパッ、ドスッ

与一「」ニコリ

 ギュパッ、ドスッ

与一「」ニコリ


 ギュパギュパギュパッ、ドスドスドスッ


アルミン「わー!? 分かりましたすいませんもういいです、なんかよく分かりませんがすいません!!」ヒィーッ

クリスタ「分かりました、凄いのは分かりましたから、もうそれ以上模型に矢を撃ち込まないでッ!! 壊れちゃう!!」イヤーッ


リヴァイ「あのヨイチとかいうのも、とんでもねえ弓の腕前だ。五十メートル先の目標に百発百中か」

信長「あの程度の距離、与一なら当然じゃ。お主らは知らんだろうが、那須与一といえば、源平時代で当代随一の弓の名手」

リヴァイ「ほう………最大射程はどれほどのものだ?」

信長「40間(約70メートル)以上も距離の離れた、北風吹きすさぶ舟の上から扇を射抜いたほどじゃ(伝承ではな)」

リヴァイ「なるほど………だが、巨人との戦いで、その技量をどう生かすつもりだ?」





95: ◆B2mIQalgXs:2013/09/16(月) 01:30:57 ID:KtJMsFBw

信長「いくらでもやりようはあるさ。目ン玉射抜きゃ支援にもなるし、その気になりゃブチ殺すこともできる」

リヴァイ「弓矢でか?」

信長「おおよ。まだ秘密だがな…………お主には思いつかぬというだけのこと」ククク

リヴァイ「言ってくれるな………勝算は?」

信長「昨夜、会議場で話した通りよ。百度機会があれば、百度勝つ。そういう手段よ。聞く限りでは、犠牲は避けられんだろうがな」

リヴァイ「ああ。有用な手立てだとは思う。意外な盲点だった」

信長「つーか思いつくやつがいねえ方がヤバくね?」

リヴァイ「…………」

ハンジ「耳が痛い………」



信長「まあ良いわ。こちらも、『帰る手立て』が見つかったからのう。利害の一致という奴じゃ」




……
………





106: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 20:27:00 ID:jwahrELo

※拘束制御術式、第3号・第2号・第1号、開放。

 状況A「クロムウェル」発動による承認認識。

 シガンシナ区到達までの間、能力使用。

 限定使用開始。

 では教育してやろう。

 ”本当の巨人”の闘争というものを。



 遅れてごめんなさい。





107: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 20:29:34 ID:jwahrELo

………
……


〜前夜〜
〜カラネス区・調査兵団詰所・会議室〜


 半日ほど時は遡る。夕食を取った後、信長たちは調査兵団の会議に参加する運びとなった。

 議題の内容は、翌々週に控えた壁外遠征の打ち合わせである。


豊久「俺らは余所者に過ぎんぞ。何故、俺らがその軍議ば出るのか」


 訝しむ豊久に対し、『巨人』に関してはエキスパートと言える調査兵団の実情などを知ってもらいたいとエルヴィンはのたまったが、そこには当然裏がある。

 エルヴィンからすれば、彼らは未だに得体のしれない連中であることは確かであったが、荷馬車で巨人の追撃から逃げ延びたその手腕は見逃せない。エルヴィンには、彼らという『戦力』が非常に魅力的に映っていた。

 日中に行った話し合いでも、エルヴィンは豊久らに強者だけが持ちうる独特の雰囲気を感じ取っていた。

 聞けば彼らが率いているエルフ達も、誰もが弓の名手であり、巨人の眼球を正確に射抜くほどに卓越しているという。

 それを聞いてしまえば、人員の損耗が激しく、万年人手と予算に困窮する調査兵団である。

 「どうにかして彼らを仲間に引き入れることはできないだろうか?」

 エルヴィンがそう考えるのも無理のないことだった。





108: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 20:39:27 ID:jwahrELo

エルヴィンにとって懸念があるとすれば、それは織田信長という人物に他ならない。

 島津豊久の、まるで抜き身の刃の如き凄絶な存在感の影で暗躍する、『老獪』といって差し支えないその智謀は脅威であった。

 エルヴィンは、豊久を頭目とする彼ら『ドリフターズ』が、その実、織田信長という男が策謀の支柱となっていることを見抜いていた。


エルヴィン(彼らにとっては未知の怪物たる巨人………その特異性にいち早く気づき、有効な戦術を持って対処し、撤退した………なるほど、脅威だ)

エルヴィン(しかし、味方に引き入れればこれほど信頼できるものはない)


 その彼を味方に率いることができれば、その利益は計り知れないものとなる。


エルヴィン(彼らを味方に引き入れるために、少しでも彼らの要求を知りたい。利害のすり合わせを行いたい)


 もしそれが不可能であれ、巨人を相手に渡り合った彼らの戦術ノウハウを、なんとしてでも手に入れたいという狙いがあった。

 信長からすれば、エルヴィンらにそんな思惑があるのは分かりきったことであったが、


信長(………ま、いいだろ。こちらとしても現状は手詰まりじゃ)


 それ以上に、信長は己たちが置かれている状況が、かなり拙い部類に入ることを理解していた。





109: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 20:48:31 ID:jwahrELo

巨人の脅威にさらされた人類。

 全方位を壁に囲まれた鳥籠の中。

 逃げる場所などどこにもない。

 この場がどこなのかすら分からぬ。

 何よりも信長が拙いと感じているのは、この壁内の国家の在り方そのものであった。


信長(聞けば王政だというではないか。そこに群がる諸侯に、特権をむさぼる憲兵団。聞けば聞くほど終わっておる)

信長(百年の安寧が、文字通り壁ごと崩されたにも拘らず、軍備の増強も行わぬ。民草らは調査兵団を年貢泥棒扱い)

信長(この認識は拙い)

信長(それに、人類の敵であるという『巨人』とかいうものの正体すらハッキリわからんとは………)

信長(俺たちはそんな国家の中にポンと放り込まれた形になる。これが最も拙い)


 ここがオルテの占領した地であれば、捨て置かれたことだろう。

 しかし、ここではそうはいかない。土地が限られ、食糧価格が高騰し、民はまともな食事すらとれていない。

 夕食の内容を見るだけで、信長にはそれとわかっていた。





110: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 20:53:54 ID:jwahrELo

生きるためには食う必要がある。

 あの廃城であれば、野に跳ねる兎を狩るなどして凌げばよかったのだろうが、ここではそうもいかない。

 信長は実際のところ、ここでの立ち振る舞いをどうすべきか、決めかねていた。


信長(異世界から来たやも知れん、ということは伏せておいた方が良かったか。行き場がないことが分かっては、足元を見られるやもしれぬ)


 傍目には自信満々ではあるが、内心で苦虫を噛み潰す信長である。

 さて、どうすべきか――――。

 テーブル越しに座して向かい合うエルヴィンと信長は、互いの出方を窺っていた。

 そんな時のことだった。


???『おい、聞こえるか。聞こえるか』


 霧の向こうから響くような声に、会議室内の者の視線が、ある人物へと集中する。


オルミーヌ「ふ、ふえ?」


 正しくは、その人物のオッパイであった。





111: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 20:56:09 ID:jwahrELo

その声は、彼女の胸元から聞こえたのだった。


信長「オイ、オルミー乳(ニュウ)。お主のオッパイ喋るのか」

オルミーヌ「え?」

豊久「ほうか。すごか乳しとるんじゃのう。その乳も妖術か何かか」

オルミーヌ「ちがう!? あ、あたし何も言ってないです!!」

与一「ははあ、成程。ただのいやらしく肥大化した脂肪の塊ではなかったのですね」

オルミーヌ「違うっつってんだろ!!」


 声を荒げるオルミーヌに、ハンジがはっとした表情でつぶやく。


ハンジ「ひょっとして、昼間見せて貰ったアレじゃない? ホラ、水晶の」

オルミーヌ「ッ!? は、ハンジさん? 水晶球は、返してもらいましたよね?」

ハンジ「え、うん。あれ? 君のお仲間からの連絡じゃないの、これ?」

オルミーヌ「だっ、大師匠さま!? お師匠様ですかっ!?」


晴明『ああ、ようやく繋がった。今どこにいるんだ、オルミーヌ。豊久殿や信長殿もそちらにいるのか』





112: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:01:44 ID:jwahrELo

信長「ッ!! その声………おお、はるあきか!!」

晴明『爐擦い瓩き瓩噺討鵑任い燭世韻襪函帖帖弔気討き信長殿、御無事で何より』


 破顔して声を上げる信長に、やや憔悴した男の声が返す。

 彼の者こそ、大陰陽師、安倍晴明(あべの せいめい)である。


信長「この水晶玉と通じるってことは、ここはどこか別の大陸か何かか?」

晴明『別の大陸ですと? どういうことです?』

信長「ああ、それがだな………あー、すまん、そこのズラ。少し時間貰うぞ」


エルヴィン「」


リヴァイ(…………エルヴィン。やはりその髪型は無理がある)



……
………





113: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:04:27 ID:jwahrELo

………
……



信長「というわけでな」

晴明『…………成程、道理で』

信長「何か分かるか? やはりここは『おるて』とは違う大陸なのか? 巨人だとか訳が分からんものばかりじゃ」

晴明『いえ。恐らく、異世界で間違いないでしょう』

信長「…………どういうことじゃ?」

晴明『異世界…………道理で、流れが異なる訳だ』

信長「流れ? なんじゃ、分かるように言えい」

晴明『どうにもこちらとそちらでは時間の流れが大幅に異なるようでして』

信長「何?」

晴明『至極簡潔に言えば、私は今物凄く早口で喋っていると言えばおわかりになるだろうか』

信長「あー、つまりなんだ? こっちは物凄く時間の流れが速くて、そっちは遅い、と」

晴明『そういうことになりますね。おおよそ十倍は異なるものと。オルミーヌからの通信がノイズに聞こえたほどです』





114: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:12:56 ID:jwahrELo

信長「………少し、ゆっくりしゃべった方がいいか?」

晴明『こちらで調整してはいますが、できればそうしていただけると』

信長「しかし十倍、か。つまりこちらで十日が経過しても、そちらでは一日しか経っておらぬというわけか」

晴明『理解が早くて助かります、信長殿』

豊久「…………そげなこつはどうでもよか。おい、おんみょう寺の坊主」

晴明『晴明です………』

豊久「俺らはどわあふらを解放(とき)に行く。そのために廃城ば出た。どうすればそちらに帰れる」

晴明『恐らく、諸兄らがいる世界と、こちらの世界は、どこかで通じています。その裂け目から、次元の狭間へと呑まれたのでしょう』

豊久「日ノ本の言葉で喋れ」

晴明『』

信長「ちょっと黙ってなさい、お豊。して、晴明。帰る手立てはあるのか」

晴明『その通じている場………そうですね、『座標』とでも言いましょうか。その座標に辿り着けば、、私の術でこちらの世界へと誘引することも、恐らく可能かと』





115: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:18:16 ID:jwahrELo

与一「その『座標』とやらが、この世界の何処にあるかはわかりますか?」

晴明『え、ええ。それはなんとか。そちらに地図はありますか?』

信長「ッ! おいズラー、地図よこせ、地図!」

エルヴィン「」

ハンニバル「それと、きいちごー、きいちごー」

信長「それと木いちごだ。はようせい、ズラ」

エルヴィン「……………はい」

信長「用意したぞー」

晴明『では………諸兄らの術式の発信場から逆算するに、恐らくはそこから南西に――――といったところです』

信長「ふむ…………む? ここは」

ハンジ「え…………こ、ここって!!」


 晴明が告げた座標の位置は、地図上においておよそ信じがたい場所を示していた。


信長「…………晴明。ここで間違いないんじゃな?」

晴明『はい。間違いありません。そちらに辿り着き次第、こちらに通信を入れていただければ、すぐにでも』





116: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:22:01 ID:jwahrELo

信長「残念ながら、ここに辿り着くにゃあ、かなり時間が要る。そうさな――――また追って報告する」

晴明『は? そ、それはどういう――――』


 そういうと、信長は握りしめていた水晶玉をオルミーヌへと投げ、再度エルヴィンに向き直る。


信長「おい、若ハゲ」

エルヴィン「エルヴィンだ」

信長「じゃあハゲヴィン」

エルヴィン「」


 絶句するエルヴィンに対し、信長は天井に向かって人差し指を立て、


信長「交換条件だ。お主ら、俺らの助けが要るんじゃろ? だったら――――」





117: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:24:24 ID:jwahrELo

指先をついと、地図の一点に向かって振り下ろした。



信長「ちっとおまえらを『ここ』まで辿り着かせてやるから、成功したらその立体機動装置とやら、くれよ」



エルヴィン「―――――!」

リヴァイ「…………!!」



 その『座標』は、今や巨人に占領された、『シガンシナ区』を指していた―――――。




……
………





118: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:32:47 ID:jwahrELo

………
……



〜現在〜
〜カラネス区・訓練場〜


信長「偶然にしては出来過ぎておるが………俺らが目指す場所も、お前らが取り戻したい場所も同じだったという訳だ」

リヴァイ「フン………確かにな。それで、例のヤツの準備は滞りないか?」

信長「問題があるとすればそれじゃな。数が数だからのう」

リヴァイ「こちらからいくらか人材を差し向けてもいいが」

信長「その言葉を待っておったぞ………ええと、こちらの名前は読みにくくていかんな。すまんが『はんじ』よ、こいつとこいつをオルミーニュウのところに貸してくれい」

ハンジ「うん? この二人だけでいいの?」

信長「ウム。なんでもはるあきが言うには、こういったものには適正というものがあるらしくてな」

ハンジ「了解したよ。それじゃあ、早速向かわせるね」

信長「頼むぞ。なにぶん数が要るからのう。あのオッパイだけでは心許ない」





119: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:46:23 ID:jwahrELo

ハンジ「ふふふ、そうだねえ。何せエルフ達を合わせたら、何千枚と用意しなきゃだもんね………それじゃ、行ってくるよ」

リヴァイ「ああ」

信長「頼んだぞ」


 どこか嬉しそうに駆け去っていくハンジの背を見送ると、リヴァイが信長を横目に見ながら告げる。


リヴァイ「…………正直、昨夜に見せて貰った時は目を疑ったがな」

信長「あん?」

リヴァイ「『アレ』をアッサリ立体機動装置に組み合わせて使おうとするお前も、あの木いちごジジィの発想にも、心底驚かされた」

信長「ふん………で、あるか。こちらからも聞きたいが、お主らは『アレ』を使いこなせるか?」

リヴァイ「問題ない。着けて発射すれば発動するというなら、誰もが上手くやるだろう」

信長「で、あるか。ならば重畳。えるふたちも、あの立体機動装置を使いこなせればよいが、そちらはどうだ?」

リヴァイ「そちらも問題ない。むしろ、並の兵に比べりゃ、誰もが水準を上回るレベルだ。空間把握能力、動体視力、特にアンカーの発射点の見切りに無駄がない。全員が弓の名手というのも頷ける」

リヴァイ「恐らく、後一週間もあれば誰もが使いこなすだろう」





120: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:50:34 ID:jwahrELo

信長「結構。えるふ全員分の馬の手配は? これが一番の問題だと思ってるんじゃが」

リヴァイ「エルヴィンがなりふり構わず手を尽くしている。遅くとも、遠征日までには準備できるだろうが、エルヴィンの毛根はストレスで全滅だろうな」

信長「益々以て重畳じゃな。ざまあ、ズラ頭ざまあ」


リヴァイ(何かエルヴィンに恨みでもあるのかコイツ………)

信長(あの若ハゲの耳が、どこぞの金柑頭に似ている………)


 訝しむリヴァイであったが、信長のそれは一向一揆も真っ青な言いがかりの八つ当たりであった。





121: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 21:51:26 ID:jwahrELo

リヴァイ「………さておき、エルヴィンも、他の分隊長も、そして俺も―――――おまえたちには期待している。二週間後が楽しみだな」


 リヴァイの言葉に、信長は一瞬目を丸くし―――――口端を歪め、獰猛な笑みを浮かべた。


信長「ククク………なぁに。織田の闘法を見せてやるよ。第六天魔王の戦いぶりがいかなるものか、とくとその目に焼き付けよ」

リヴァイ「ああ、そいつはますます楽しみだ」


 リヴァイにしては珍しく、彼もまた口元に軽く笑みを浮かべて、そう答えた。



……
………





122: ◆B2mIQalgXs:2013/10/06(日) 22:13:18 ID:jwahrELo

※今日はここまで。

 というわけで彼らはシガンシナ区を目指すことになりました。

 次回は飛んで遠征日からを予定。

 原作崩壊。女型の巨人が涙目になります。





128: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:13:11 ID:i9oIii8.

………
……



 ――――そして、二週間後。

 第五十七回・壁外遠征の決行の日は訪れた。



……
………





129: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:19:13 ID:i9oIii8.

………
……



〜ウォールローゼ・カラネス区 大通り・広場〜


信長「細工は流々、後は仕上げを御覧じろ……ってか」

豊久「ウム。しかしノブ。お主、立体駆動ヘタじゃのう」

与一「まさかこの二週間で一番の問題となったのが、信長殿の立体機動適正の無さとは、この与一も驚きました」ハッハッハ

信長「ウルセー!! こっちはもう五十路近いんだっつーの!!」フンガー!!

豊久「凄い無様じゃったのう。ぶらーんってなっておったぞ、ぶらーんと」

与一「『え? 何? ウッソー、こんなのどうやってやればいいの?』って顔してましたよね」プークスクス

信長「オラアアアアアアアアアッ!!」ドガアッ

豊久「ぶばっ?! 何がどぉごんぐぞぼげぇ!!」バキッ

信長「ウルセーーー! 次の日にすぐにうまくできるようになったんだからいーじゃねーか! 蒸し返すんじゃねえよコラてめえやんのかコラ」フギャーーーッ





131: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:27:05 ID:i9oIii8.

ギャーーーーブオーーーーーッギャーーーーーッ


クリスタ(い、今更言えないよぉ。ノブさんが上手くできなかった理由は、エレンの時と同じで、ただベルトの金具が破損してただけだなんて、とても言えないよぉ………)

アルミン(言ったら整備班が打ち首にされる………あとエレンがキレる)


エレン「おい、やめろよお前ら!! これから壁外遠征だぞ!? 分かってんのかよ!!」

豊久「ぬ――――えれんか。勿論わかっちょる。じゃっどん、そげんこつしゃっちこばっておっても、戦えんぞ」

エレン「ぐぬぬ………こ、この二週間で、俺だって頑張って特訓したんだ! 絶対豊久よりたくさんの巨人をブッ殺してやるからな!!」

豊久「おう。その意気じゃ」

信長「バカ同士じゃのう。巨人との戦いは戦わぬことが第一だって分かってんのかあ奴らは」

与一「なんだかあの二人、兄弟みたいですねー」ウフフ

ミカサ「むっ、それは聞き捨てならない。エレンの家族は私」

与一「それは姉弟という意味ですかな? それとも、夫婦(めおと)ですかな?」

ミカサ「――――前言を撤回する。やはり貴方たちは良い人!」キリッ

与一「はっはっは、テレますなぁ」

信長(こやつも腕は立つが、頭の方はやはり大概じゃのう)ダイジョウブカマジデ





132: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:34:06 ID:i9oIii8.

与一「いよいよ出立ですな。しかしまぁ、なんというか」

信長「ウム。予想以上」


 壁外へ繋がる門へと続く道を、馬に乗って歩む。

 その道の左右には、壁内の民草たちが、壁外へと遠征する調査兵団を見送ろうとひしめいていた。

 調査兵の家族の見送りもあるだろう。しかし、


商人A「ヘッ、見ろよ。また自殺志願者共が集団自殺に行こうとしてるぜ」

商人B「全くだ。俺たちの税金をなんだと思ってやがるんだか」

区民A「どんな神経をしてれば、巨人と戦えるのかしら………」

区民B「きっと頭がおかしいんでしょ………ああ全く、どうかしてるわ」


 ――――友好的ではない視線が大半を占めていた。

 エルヴィンやリヴァイ、ハンジら分隊長、そしてエレン達新兵からも、信長はこの世界の有様についての話を聞いていた。

 そこから導き出されたことの一つが、民草たちの危機意識の低さである。

 自分たちは百年間壁に守られてきたのだから、きっと明日も無事に生き残れるに違いないと、正気のつもりで言っているのだ。





133: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:45:25 ID:i9oIii8.

それに対し、調査兵団員の取った対応は、黙殺。

 無論、内心で腸煮えくり返っている者もいる。

 しかし、その大半は―――――ある意味で、彼らの暴言に同意する諦めのようなものがあった。

 特に新兵などはその兆候が顕著であり、中には見るからに顔色が悪く、手足の震えを止められないものも少なくなかった。


サシャ(………ぅ、あ。いやだ、こわい。おうちかえりたい………死にたくない。死にたくないよぉ)ガチガチガチガチ

コニー(なんで、なんで、おれ、調査兵団なんかに………母ちゃん。サニー、マーティン。おれ、おれ………)ブルブルブルブル


 言うに及ばず、壁外への遠征には、常に死の危険が隣り合っている。統計では、初の壁外遠征で新兵が生き残る確率は五割。つまり、五割の確率で死ぬ。

 既に新兵やベテランを含め、数百という調査兵団員が、壁外遠征で死んでいるのだ。

 民草たちの心無い言葉は、耳に痛いどころの話ではなく、その恐怖に拍車をかける悪魔の言葉だった。


男性A「今度こそシガンシナを奪還するなんだとよ。出来もしねえことを、よく言うぜ。口だけならなんとでも言えるもんなぁ」ヘッ


 そのあまりの言いぐさが耳に入ったのか、エレンが目を剥いて、罵倒してきた男を睨み付ける。


エレン「ッ………あの野郎。言いたい放題言いやがって……どっちが口だけか教えてやろうか………!!」





134: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:49:08 ID:i9oIii8.

ペトラ「駄目よ、エレン。隊列を乱さないで」

オルオ「いつものことだ。相手にするだけバカみるだけだ。ほっとけ」

エレン「けどっ………あんな言い方ってないでしょう!」

グンタ「いいから黙れ、エレン! いちいち構っていたら、切りがないぞ!」

エルド「これから壁外遠征だ。余計なことに力を使う必要はない」

エレン「くっ………了解しました」


信長(うわぁ、ブッ殺してえ。マジで手討ちモンだぞこいつら)

与一(あのう、信長殿)ヒソヒソ

信長(ああ? なんじゃ与一。俺は今ムシャクシャして――――)

与一(いえ、その。豊久殿が…………)

信長(は? お豊…………やべえ!!!?)


 信長ですらイラつくこの状況。

 島津四兄弟の子息として、誇り高き武人、武将としての教育の下に生きてきた島津豊久が、黙って見ている筈があるだろうか。





135: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:54:57 ID:i9oIii8.

豊久「おい、貴様(きさん)。前に出い」

男性A「え…………?」


 島津豊久に、空気を読むという発想はない。

 礼には礼を。無礼には無礼を以て返礼し、場合によっては首を刈り取るのがこの男である。

 当然のように、刀を抜き放ち――――――暴言を吐いた男を手討ちにしようとしていた。


与一「止めなくていいんですか、アレ」

信長「早く言えええええええええええええええええええ!!!」

エレン「!?(と、トヨヒサ?! なっ、何やってんだあいつ!?)」

リヴァイ「!!! チッ、あのバカが………止めてくる」

エルヴィン「いや、待て………少し様子を見るぞ」

リヴァイ「なぜだ? あいつの目、本気だぞ。本気で、民を斬り殺そうとしている」

エルヴィン「分かっている。だが―――――ノブナガが言っていたことが正しいかどうか、確かめたい」





136: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 21:57:53 ID:i9oIii8.

リヴァイ「ノブが?」

エルヴィン「ああ」


信長『騙されたと思って、新顔は豊久に任せてみろ。アレはバカだが、兵士を率いさせりゃ天下一品だ』

信長『バカではあるが、兵卒共を戦場へ進んで駆り出させるだけの士気を、あいつなら容易くひねり出すだろう。賭けてもいい』


リヴァイ「―――――そんなことを、会議の時に言ってやがったな」

エルヴィン「私は、それを見極めたい。トヨヒサも、ノブナガも」

リヴァイ「チッ………分かった。だが、ヤバいと思ったら、割って入るぞ」

エルヴィン「頼む、リヴァイ」


 リヴァイはいつでも立体機動装置で豊久を制止できる位置へと駆けて行った。


豊久「何を呆けちょる。貴様じゃ。今、我らを侮辱した貴様に言うておる」

男性A「な、なんだよ…………ぶ、武器なんか抜いて、お、脅しか!?」

豊久「脅しかどうか知りたくば、前に出い。明日も知れぬ我ら兵子に、その言いぐさはなんじゃと問うておる。前に出い」





137: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:03:11 ID:i9oIii8.

先ほどまで愚痴や罵倒で埋め尽くされていた広場は、静寂に包まれていた。

 俯いて震えていた新兵――――サシャやコニーもまた視線を上げ、豊久へと意識を向けている。

 それとは逆に、豊久の猛烈なまでの殺意に当てられた民草たちは、誰もがその口を閉ざして俯いていた。


豊久「再び問うど。これより死地へ赴く兵子に対し、その口の利き方はなんじゃ。答えい」

男性A「ひ、ひ、い、いえ、そ、その…………」

豊久「貴様なら奪われた土地を取り戻すことが出来ると言うんか」

男性A「そ、そんなこと、は、言って………」

豊久「聞こえん。前に出い。これが最後じゃ。先程のように、下卑た笑みを浮かべて出て来やれ」

豊久「面と向かって言えぬならば、そん減らず口ば閉じよ。それとも―――――」

男性A「ッ…………う、うわぁあああああっ!!!!」


 豊久が、近づく。恐れをなして逃げ出そうとするが、男性は足をも連れさせて、その場で盛大に転んでしまった。

 あわてて起き上がろうともがき、あおむけになったその時、男は見た。





138: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:04:40 ID:i9oIii8.

既に目の前に迫っている、戦鬼の双眸を。

 そして、


豊久「首置いてくか?」

男性「ひっ…………!!」


 奈落の底から響くような声音で脅しかけながら、男の股の間の地面に刀を突き立てた。


信長「―――――お豊」

豊久「なんじゃ、ノブ。また小言か?」

信長「いや、そうではない。お主が言わなんだら、俺が言っておったところよ。だが、殺すな。尾張じゃ手討ちモンじゃがな」

豊久「薩州でも手討ちじゃ。あまりにも無礼ぞ」

信長「じゃな。だが、見てみい」

豊久「ぬ?」


 信長が顎で指示した先、豊久が下方を見れば、そこには件の男性が転がっている。

 男性の顔面は鼻水と涙でぐちゃぐちゃになっており、股間からは黄色い液体が漏れだし、下履きをじっとりと濡らしていた。





139:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/15(火) 22:07:15 ID:aYsGlFkc

めっちゃかっこいい。





140: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:09:45 ID:i9oIii8.

あまりの様に、さすがの豊久も毒気を抜かれた様な、拍子抜けしたような表情で、溜息をついた。


信長「ちょいと脅しただけで、斯様なザマじゃ。お前の言うとおり、ただの口だけの餓鬼だ。斬る価値もない。違うか」

豊久「…………うむ。そうじゃな。この程度の心胆で兵子を侮辱するとは、とんだすくたれぞ」


 吐き捨てるようにごちて、豊久は抜いた刀を鞘へとおさめた。


ジャン「なあ、トヨヒサに凄まれて漏らさない自信あるか?」ヒソヒソ

コニー「ある………って言いてえけど、言えるわけねえだろ。無理だろ………キース教官よりこええよ」ビクビク

サシャ「絶対無理です。ご飯全部戻しちゃいますよぉ………」ヒックヒック

クリスタ(お嫁に行けなくなるよぉ………)

ユミル(あんなんと目が合ったら即逃げ出すわ)


信長「で、あろうな。だが――――どうすんだこの空気」

豊久「ぬ?」


 初めて気づいたとばかりに豊久が周囲を見渡せば、唖然とした表情の調査兵団員や、民草の視線があった。





141: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:13:45 ID:i9oIii8.

呆けているのは今のうちだけだろう。冷静さを取り戻せば、調査兵団員は慌てふためき、民草は怒号を上げて怒りの合唱曲を歌いだすことに、疑う余地はなかった。


信長「しょーがねえ、おい、お豊。アレ言え、アレ。ほれ、えるふ共を炊きつけた時と同じように」

豊久「またアレか…………ほんに主ゃあ、ロクな死に方せんぞ」

信長「うるせー早く言え、ホレ早く」


 シッシッと犬を追い払うような信長のぞんざいな手振りに内心腹立たしく思いながらも、豊久は再び馬に跨る。

 そして、周囲の人々の顔を、一人一人見つめた後、瞳を閉じ、深呼吸を一つ。

 再びその目が見開き、口が開いたとき――――。



豊久「兵子どもよ!! 胸を張れい!」



 目の覚めるような大声が、大広場を埋め尽くした。





142: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:17:30 ID:i9oIii8.

豊久「お主らはこれより戦場に赴く。先刻まで笑って話ちしておったものがさくりと死せる鉄火場じゃ」

エレン「――――!」

豊久「慈悲も容赦もない。『きょじん』は彼奴等は獣じゃ。お主らの腕ば掴み、骨ごと喰らう化生の物じゃ。二度とこの壁ん中ん土ば踏めぬ輩もおるじゃろう」


 それは淡々とした死の宣告だったのだろうか?


豊久「だが、それは恥ではない。恐れることではない。お主らは兵子じゃ。強か兵(もののふ)じゃ。誰でん出来ることではなか!」


 否、それは檄だ。聞いたものの闘志を奮い立たせ、戦場へと駆り出すための『狂奔(きょうほん)』の儀式だった。


豊久「――――戦にて死するは、誉れぞ。恐れるべきは、死ぬることではない。死は敗北ではない。敗北とは、諦めることにある」


 一人一人の兵の顔を見つめながら、豊久は馬を歩かせ、声を張り上げる。


豊久「誇ってよいのだ。故に胸を張れ。前を見やれ」


 言い聞かせるように、言い含めるように。

 刺々しくも、どこか安心感を与えるような、真綿で締め付けられるような覇気を伴った演説だった。





143: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:24:19 ID:i9oIii8.

そして再び刀を抜き放ち、その切っ先を先ほどの男性へと向ける。


豊久「そこの餓鬼は、壁ん外に出て土地を奪い返さんとする我らを、馬鹿と言った。彼奴は畜生じゃ。糞じゃ。殺す価値もない。否、彼奴は生きてすらおらぬ!!」


 鋼をこすり合わせた様な大音響が、さながら波濤のように人並みの果てまで鳴り響いた。


豊久「お主らに問うど。壁ん中で縮こまっていることが生きることか! 壁ん中で怯えていることが、本当に生か!! それはただ、息をしておるのと同じぞ。家畜の生き様ぞ!!」


ミカサ「―――――!?」ハッ


豊久「主らは、そこな糞と同じか。怯え竦み、ただ黙って巨人の餌となるのか。それでは生きておるのとは違う。死人ぞ」


ミカサ(や、やっぱり、この人は、エレンと、同じだ。見ている物が、違う―――――!)


豊久「お主らは、死人か!! 答えよ!!」


エレン「違う!!」


 真っ先に声を張り上げたのは、エレン・イェーガーだった。





144: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:28:40 ID:i9oIii8.

エレン「人は死ぬさ! いつかは必ず死ぬ! だけど、俺たちが死ぬのは、今日じゃねえ!! 何十年も先の今日だ! 俺たちは、自殺しに行くんじゃない! 勝つために行くんだよッ!!」

クリスタ「………!!」

エレン「俺たちは、勝って、壁の外を目指すんだ!! 壁の外を探索し尽くして、いっぱい美味い物を食って!」

サシャ「!!」

エレン「家族にいっぱい孝行して!!」

コニー「ッッ!!」

エレン「俺たちが死ぬのは、それからだ!! 今は戦うさ! だが、俺たちゃ死ぬために、壁外に出るんじゃない!! 家族を、仲間を、人類をッ………助けるためにだ!!」

ジャン「エレン、おまえ………!!」

エレン「俺のっ、俺の夢は、壁の外に出て、俺の大好きな家族と、友達と一緒に、世界中を探検することだ!!! その夢をかなえるまで、俺は死なん! 絶対に、生き延びてやる!!」

ミカサ「エッ、エレン………」ポロポロ

アルミン「え、えれ、ん………」ポロポロ


 心の底からの叫びだった。





145: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:31:42 ID:i9oIii8.

豊久はそれを真正面から受け止め、心底嬉しそうな――――狂暴な笑みを浮かべた。


豊久「よくぞ吼えた、えれん!! ―――――うむ! ならば民草どもよ、聞けい」


 今度の視線は民草へ。


豊久「お主らを守る壁ば、既に崩れちょる。お主らを守る物は既にない」


 先程よりも荒々しく、覇気に満ち溢れた声音で、有無を言わさずに納得させられるような、そんな理不尽な声だった。


豊久「あすこに見ゆる壁は、もはやその体を為してはおらぬ。はりぼてじゃ。いつでん(いつでも)彼の「ちょうおおがた」とやらが現れれば消える。砂上の楼閣じゃ」


 現実を突きつけ、絶望を再認識させようというのか?


豊久「じゃっどん(だが)―――――だからこそ、我らがここにおる。砂上の城に骨組みば作るために」


 ――――否。それも否。これは、意識の改革だ。


豊久「戦うべき時があるとすれば、それは今ぞ!」





146: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:36:53 ID:i9oIii8.

豊久「世に正と邪があるならば、これは正ぞ!」

豊久「戦うことで、貴様らは初めて畜生でなくなるのだ。彼奴等きょじんめらのうなじを削ぎ落とすことで、初めて貴様らは兵子となるのだ」

豊久「その戦にて、たとえ死んだとてあの世で父祖にこう言える。戦って死んだと。家族を守ろうとして死んだと」

豊久「生きて帰った者は、家族にこう言える。戦って生き延びたと。家族を守るために戦い抜いたと」


 戦の心得。

 何のための戦をするのか。

 見送るべきものが送る言葉は、どうあらねばならないのか――――。

 言外に、豊久はそれを伝えようとしていた。


豊久「地を取り戻せ。故郷を取り戻せ。尊厳を取り戻せ」

豊久「それで初めて畜生でなくなる。お前らを畜生に堕とした奴輩(やっぱら)めの首を取れ! うなじを削ぎ落とせ!」

豊久「我らが、貴様らを畜生でなくしてやる!! 我らを讃えい!! 民草ども!!」


 激烈たる声は、空気の振動ごと民草たちの身体に叩きつけられた。





147: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:41:34 ID:i9oIii8.

それを真正面から受けた民草の反応は、まさに劇的だった。


商人A「―――――!!」

商人B「あ、ああ、あああ………」

町人「―――――」

子供A「う、うん、うん! うん!!」

子供B「すっげえ、かっこいい………」


 先ほどまでは調査兵団をバカにしていた大人達は、全身の震えを止めることができなかった。

 恐怖、ではない。怒り、でもない。

 えも言えぬ、昂揚感。久しく忘れていた、血の滾り。いくつになろうと、男は暴力の味を忘れられぬ生き物なのだ。

 調査兵団に憧れる子供たちもまた、跳ねまわりたくなる衝動を必死になって押さえていた。

 檄を飛ばす、緋色の甲冑を身にまとう豊久の姿に見とれていた。豊久が、まるで物語に出てくる勇者のように見えたのだ。





148: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:44:13 ID:i9oIii8.

豊久「えるふどもよ!! 貴様らもじゃ!! 我らは『きょじん』めらを屠る! 彼奴等のうなじを手土産に、故郷へと帰るのだ!!」

シャラ「おおおおおおおおおっ!!」

豊久「良い! よか叫びじゃ! 兵子どもよ! 貴様らも天に向かって吼え立てよ!! 我らはここにいるのだと!! 我らこそ、兵子の中の兵子だと!! その臓腑の底より、意志の焔を燃え上がらせい!!」

エレン「お、おおお………」

豊久「打ち破られた百年の後に、新たなる百年ば立てる気概を持てい! この島津豊久が見ておるぞ!!」

ミカサ「あっ、あああ、ああああ………」


豊久「吼えよ!! 兵子共!!! 民草よ、勝鬨ば上げい!! 壁ん外のきょじんめらの肝っ玉を潰すほどの気勢にて、我らを見送れい!!」


エレン「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ミカサ「ッ、お、おおおおっ、おおおおおおおおおおお!!!」

サシャ「う、うわあ………うわああああああああああああああっ!!」

コニー「っしゃああああああ!! やってやるぜえええええええええええ!!!」

ジャン「ッ…………はは。なんなんだあいつ、すげえ。背筋が、ぞくぞくしてきやがった」

アルミン「へ、兵士どころか…………民衆まで、叫んでる」

クリスタ「凄い…………あの人、凄いや」





149: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:46:43 ID:i9oIii8.

ベルトルト「ッ!!(ライナー………やっぱり、あいつ)」

ライナー「………(ああ、危険だ。あっという間に、兵士全員の士気を、極限まで高めやがったぞ)」


 兵士たちは、昂揚していた。

 何だ、この胸の熱さは。

 何だ、この心臓の高鳴りは。

 歴戦も新人も隔てなく、滾るような熱さが、胸の中心からとめどなくあふれ出してくるのを感じ取っていた。


サシャ「コニー、私、おかしいです。私………巨人が怖くて、もう二度と、あんなの………死にたくないって………そう、思ってたのに、あの人の話を、聞いたら」

サシャ「私…………故郷の、お父さんが、巨人に食べられちゃうって、そう思って………このまま、ただ壁の中で暮らして、あの時、憲兵に、なってたらって、そう思ったら」

サシャ「物凄く、ムカつきました!! 私は、私は、家畜なんかやない! 獲物を狙う狩人なんやから!!」


コニー「お、おれも。おれもだよ。母ちゃんや、サニー、マーティン………おれの村は、おれが守るんだって、そう思えた」

コニー「憲兵団入りを蹴ってよ………スゲー後悔してよ。だけど、今、スカッとした」

コニー「おれが、家族を守るんだって、そう実感できた…………へ、へへ。巨人をいっぱいぶっ倒して故郷に帰ったら………母ちゃん、きっと驚くぞ………」


 いつの間にか震えも、恐怖も、無くなっていた。





150: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:48:20 ID:i9oIii8.

いつの間にか震えも、恐怖も、無くなっていた。

 巨人が恐ろしかった。

 巨人に殺されることは、恐ろしいと、そう思っていた。

 だが、違う。本当に怖いことがなんなのか、分かった気がした。

 この男は、違う。考えも、思想も、なにもかもが違う。


 ――――この男に、率いられたい。


 兵士たちの心は、今一つになっていた。



信長(くくく、兵士どころか民草の認識すら、あっという間に覆し塗りつぶした。やはりこやつは戦の申し子よ)

与一(やはりこの人は、全知全能が戦いに特化してる。根っからの武将だ)

リヴァイ「どこか、エレンと通じるものがあるな。柄にもねえ…………俺も、昂揚している。思わず、叫び声を上げたいくらいに」

エルヴィン「リヴァイ………」

リヴァイ「意外か、エルヴィン?」





151: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:50:28 ID:i9oIii8.

オルミーヌ(これだから、極東のサムライは、この男は怖い。おそろしい。豊久)

オルミーヌ(人の心を容易く惑わし扇動する信長も、兵士たちを戦場へと駆り立てる豊久も、私は怖くて仕方がない)

オルミーヌ(誰も彼もが死にに行く。私よりもずっとずっと若い子供たちもいるのに…………それを痛ましいと思う、私がおかしいの?)


エルヴィン「…………ノブナガ」

信長「おう、ハゲヴィンではないか」

エルヴィン「エルヴィンだ………しかし、負けたよ。君の言った通りだった。彼は………トヨヒサは、尋常ではなかった」


信長『騙されたと思って、新顔は豊久に任せてみろ。アレはバカだが、兵士を率いさせりゃ天下一品だ』


エルヴィン「――――確かに、その通りだった。凄まじいな。まるで戦うために生まれてきたかのような、火のような男だ」

信長「おまえは詰まらん奴じゃのう。もう少し悔しそうな顔をしてみい」

エルヴィン「その資格はない。己の無能が露呈したのだ………ただ、恥じ入るのみだ」

信長「…………やれやれ、しょーがねーなー」





152: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:51:20 ID:i9oIii8.

信長「そもそもだな、ハゲ。お主ら、ここ百年ほどは戦も無かったんじゃろう?」

エルヴィン「………文化や、生まれた土地の違い、経験不足が原因だと、そう言ってくれるのか? しかし………」

信長「いいから黙って聞け。この第六天魔王の戦争定石じゃ。聞け、聞くがいい」

エルヴィン「…………」

信長「戦って奴ァ、複雑怪奇なシロモノよ。先刻まで優勢とされていた側が、一刻後には敗北するなどザラだ」

信長「想定外の事態、突然の悪天候に、敵の増援、未知なる兵法との遭遇、味方の謀叛…………さまざまな要因で、黒白(こくびゃく)の天秤は逆転する。俺も伊勢やら本能寺やらでエラい目にあった」

信長「そして俺は負けた。裏切りにあってな。後から聞いた話では、裏切ったのは俺の部下よ。だが、俺がそのさなかで真っ先に疑ったのは俺の実の息子じゃった」

与一「すべては無常ですなあ。私の属していたお家も、今や影も形もないというのですから」

エルヴィン「…………」

信長「二十万から兵を率いておったこの俺が、今やこのザマよ。たかだか千にも届かぬ軍の、客将の一人じゃ」

エルヴィン「――――! 貴方は、それほどの軍勢の将だったのか………成程、どう―――」

信長「黙って聞けいと言った筈じゃ。成程? 道理で? そんなちっぽけな言葉で、俺の人生を語るんじゃあねえぞ、若ハゲ」

信長「元々俺の国は弱小国家じゃった。そんなちっぽけな家を継ぐのも、弟との血で血を洗うような骨肉の争いの末のことだ」

信長「お主とでは、くぐった修羅場が違うのだ。経験不足? 文化の違い? 生っちょろいことをほざくなよクソガキ」

エルヴィン「…………」





153: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:52:04 ID:i9oIii8.

信長「ならば弱音を吐くな。ただ前を向け。それこそが軍を率いる者の責務というものよ。それこそが『将』というものよ」

エルヴィン「―――――そう、だな」

信長「辛いか?」

エルヴィン「辛い………ああ、辛いな」

信長「後悔はあるだろう。あの時ああしておればと、そう思ったことはあろう。だが、だからといって諦めるのか。お主は諦めると、そう言うのか」

エルヴィン「―――――違う。それは違う。それだけは、違う。決して、私は諦めない」

エルヴィン「後世に悪鬼と呼ばれ蔑まれようと、兵の遺族に無能と、冷血者と蔑まれようと、それだけはできない。決して」

信長「その通り。では勝たねばなるまい。何が何でも勝たねばならんのだろう。えるう゛ぃんよ」

エルヴィン「――――――!」

信長「ならば進めい。あの時ああすればよかった、こうすればよかったなどと、そんなことは死んだ後でもできることじゃ」

信長「ただひたすらに前へ、前へ、前へ、前へ、だ。生きている間は、ただただそれのみだ。戦い、殺し、弑し、虐し――――勝つ。それだけよ」

信長「血を吐くまで悩み、考え、最善を尽くし、人事を尽くして天命を待たず、更に鬼札を生み出す………まずはそこからじゃ」

エルヴィン「……………」

信長「フン。こんなことも分からぬから、お主はハゲなのだ…………以上、講義終了」

エルヴィン「―――――ふ、ふふ。ああ、そうだな。その通りだ、ノブナガ」





154: ◆B2mIQalgXs:2013/10/15(火) 22:56:33 ID:i9oIii8.

信長「ならば往けい。後はお主の仕事じゃろ?」

エルヴィン「―――――ああ! 開門はまだか!!」

モブ「開門まで残り30秒!! 付近の巨人は大方遠ざけましたッ!!」

エルヴィン「総員、傾注!!! 第五十七回壁外調査を開始するッ!!」

リヴァイ「―――――いよいよだ!! 遅れるんじゃねえぞ、エレン!!」

エレン「はっ、はいっ!!!」

エルヴィン「総員、駆け抜けろォオオオオオオオオオオオッ!! トヨヒサにつづけええええええええ!!」

豊久「行くぞ、兵子ども!! ひっ飛べやああああああああああああああ!!!」


 ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!





……
………





158:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/16(水) 10:35:50 ID:0bjv8v2U

進撃の調査兵団乙
逃げて巨人共超逃げてー ついでにライベルアニもー





159:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/16(水) 18:13:34 ID:Kf6Z9QTY

豊久かっけえ
薩摩の軍規では刀は抜くな話し合え抜いたなら殺せってあるもんな





162: ◆B2mIQalgXs:2013/10/16(水) 21:06:37 ID:XizcpUEc

※忘れてたおまけ投下です。
〜おまけ・壁外遠征前の二週間でのエレン達との会話など〜

豊久「俺の家族?」

エレン「ああ、どんな人たちだったんだ? 教えてくれよ」

豊久「ほうじゃのう………」

信長「以下、ほぼ史実です」


・島津義久
島津四兄弟の長男。職業は超ギネス級の自国警備員。『最強の引きこもり』とか『戦国時代最高峰の政治家』とか呼ばれる。防衛戦大好き。
彼が引きこもれば引きこもるほど他の兄弟が「兄上が守りを固めてるなら安心して暴れられるぜヒャッハー」とばかりに好き勝手やるが、
結果的に国力が増大してるというワケわかんない状態になる。
株式会社で例えると、彼が社長椅子にふんぞり返っているだけで株価がうなぎ上り的なそんな感じ。
大人しそうなふりしてチート揃いの弟どもを影で操っていたのは実はコイツという説もあり、実はラスボス級のオーラを漂わせている。
歴史の歯車のかみ合わせが少し異なっていたら、信長以上の存在になってたかもしれない人。

・島津義弘
島津四兄弟の次男。豊久が一巻で『叔父上』と呼んでた人。通称『完璧超人』、『鬼島津』、『オーガ』、『リアルジャンプマンガ』など。
関ヶ原での退却戦、(通称『島津の退き口』:簡単に言うと三百人程度の手勢率いて八万の徳川軍を正面突破して逃げ切った)
はあまりにも有名だが、それ以外でもワケわかんないぐらい強い。
敵が二倍いたら二倍強くなり、三倍いたら三倍強くなるので、彼を敵に回すと絶対に勝てないという悪夢のような結果に終わる。つまり戦ったら負け確定。
三百の兵で敵兵三千を『包囲殲滅』したとかもうちょっと待てとしか言えない戦果を叩きだす戦闘民族サツマ人の体現者。
そのくせかなりの切れ者。例を挙げると、「関ヶ原の責任を追及するからちょっと義久の首寄越せよ」という徳川家に対して
「もし武力で島津家を潰そうとすんなら旧臣や敗残兵一同、海賊王を目指す。もちろんおまえらとの貿易国の船は見つけしだい即レイプ(どどんっ)」
とか気が狂ったようなことをホザくので、徳川は泣く泣く無罪放免にした。
これだけやっているにも関わらず、85歳まで生きて、畳の上で大往生。色んな意味でチート。





163: ◆B2mIQalgXs:2013/10/16(水) 21:11:28 ID:XizcpUEc

・島津歳久
島津四兄弟の三男。地味だが頼りになる。別名『戦の神様』とか『安産の神様』。
別名が対極的すぎてこれまたワケが分からない人。
他の兄弟がイカレすぎてるため目立たない地味な子。
あとすぐに島津家のために切腹して果てようとするネガティヴな根暗っぽい子なので、クリスタと仲良くなれそう。
ぶっちゃけ本当に影が薄いが、智謀に長けて、生前は大活躍だったとのこと。

・島津家久
島津四兄弟の末弟。ケンシロウっぽいが、どっちかといえば多分ラオウ。
豊久の実父にして、『元祖妖怪首おいてけ』である。別名『プロの釣り師』、『DQNじゃない方の家久』、『釣り野伏の代名詞』など。
彼に目を付けられた敵軍の総大将には死亡フラグが立つ。島津家最強のバトルマシーン。薩摩隼人と書いてサイヤ人とも読める。
耳川の戦い、沖田畷の戦い、戸次川の戦い、大友・龍造寺・豊臣との決戦の場などで『釣り野伏』を用い、大将首をもぎとりまくった。
首ちょんぱのスペシャリストで、とにかく自分の手で大将首をもぎとらないと気が済まない。
敵数が味方と同数ならまず全滅させ、二倍いても問題なく全滅させる。犠牲になった大将首は数知れず。
豊久が妖怪首おいてけになった元凶にして原点と思われる。
死因が病死とかもうワケが分からないが、人望があったのか、殉死する人が九人いた。『九人で良い(謙虚)』と言ったかは不明。

※『釣り野伏』とは
 テキトーに戦果あげて舐めプした挙句に尻を見せて逃げ出したと見せかけ、怒って追いかけてきた敵を伏兵で囲い、(相手が)死ぬまでボコるという超えげつない高難易度の戦術。
 喰らった相手は高確率で死ぬ。


エレン「」

ミカサ「つよい(確信)」

アルミン「もう彼らがいたら巨人は皆殺しにできるんじゃあないかな(確信)」

  〜完〜





164: ◆B2mIQalgXs:2013/10/16(水) 21:16:55 ID:XizcpUEc

家久「ちなみに殉死者九人出したのはホントはDQNの方の家久(忠恒)だからな」

忠恒「九人でいいっすよwwwwwww」

家久「首おいてけ」


※DQNの方の家久は、戦国DQN四天王の一人として認定されています。

〜今度こそ完〜





165:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/16(水) 22:34:19 ID:UrtR04t2

さすが島津、無茶苦茶だ





166:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/17(木) 13:30:04 ID:aZlG1nxo

やっぱ島津おかしいって (この戦闘民族め)





167:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/17(木) 15:05:29 ID:Mb1ie6bk

これだから島津はおっかねえ





168:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/17(木) 16:24:30 ID:nAwtJj4.

島津さんちはリアル戦国無双なんだな





169:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/17(木) 21:01:13 ID:nFDQMIuA

どう考えてもおかしいだろwwwwwwwwwwwwwww








おかしいだろ





175: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:23:12 ID:MCE6XadQ

〜壁外〜


 豊久の檄と、カラネス区の住人たちの大歓声に押されるように壁外へと躍り出た調査兵団。

 壁外遠征は今のところ順調だった。

 そう――――順調だった。

 しかし、その順調さに不安を駆られた者が、調査兵団員に二人いた。

 一人は、ベルトルト・フーバー。

 そして、


ライナー「…………おかしい」ボソッ


 三列四・伝達班のライナー・ブラウンが、もう一人だった。

 馬上で腕を組んで考え込む。

 その様子を訝しんだジャンが首を傾ける。


ジャン「どうかしたかよ、ライナー。難しいツラしてんな」

ライナー「あ………い、いや、その………だな」





176: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:24:12 ID:MCE6XadQ

ジャン「なんだ、言いよどんでよ」

ライナー「俺たちは、シガンシナ区へと向かっているんだよな?」

ジャン「はァ? おいおい、どうしたよお前。ンなことぁ当たり前だろうが。寝言言ってねえで、もっと周囲を警戒しろよ。いつ奇行種がくるかわからねえぞ?」

ライナー「………………」


 ジャンのからかうような口調も、耳に入らなかった。

 言いようのない不安と違和感の正体は、この壁外遠征の内容にある。

 そう――――順調すぎるのだ。


ライナー(も、もう、壁外に出てから、既に二時間は経っている………俺たちはすぐに引き返す筈じゃなかったのか? 今回はエレンを含めた新兵たちの試運転だと………)


 あらかじめ伝えられていた行軍予定では、既にカラネス区への開始し始めても不思議ではなかった。


ライナー(そ、それに………どういうことだ。巨人が一匹も出てこない。二時間で一匹もだ。これは…………)


 異常に他ならなかった。





177: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:26:45 ID:MCE6XadQ

エルヴィンの考案した長距離索敵陣形がいかに有用であろうと、巨人に全く遭遇しないなど前代未聞だ。

 巨人の生態は未だ多くが謎に包まれているが、彼らが何らかの方法で人間の位置を特定し、何にも勝って優先して襲い掛かってくることは、兵士であれば誰もが知っている。

 その巨人がいない。一匹も遭遇していない現状は、異常極まる。

 何よりも――――ライナーとベルトルトにしか知りえないことではあったが―――――今回の遠征に限っては、巨人の襲撃に合わないなど、『絶対に』有り得ないはずなのだ。


ライナー(おかしい…………おかしいぞ。今回、俺たちはカラネス区を出た後、南西側へと迂回路をとる)

ライナー(そのルートの途中で、アニが奇行種を呼び寄せて陣形を崩壊させる手筈になっていた…………とっくの昔に目標のポイントには到達してるはずだ…………なのに!)


 ライナー・ブラウンは、思わず叫びだしたいほどの困惑を心の内側で爆発させる。



ライナー(――――どうして、アニは来ない?!)



 あまりにも想定外の事態であった。様々な憶測が、ライナーの脳裏を駆け巡る。それも、悪い方向にばかりだ。





178: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:30:24 ID:MCE6XadQ

ライナー(まさか、アニがやられた………!? い、いや。そんなわけがない。あいつは優秀な戦士だ。硬化能力を持ち、高い格闘センスもある)

ライナー(だが、もしも巨人化能力者だとバレてたら? 巨人化する前に捕えられたとしたら?)

ライナー(落ち着け………違う、そんなはずがない。なんらかのトラブルが発生しただけだ)

ライナー(ッ………だが、だったら、なんでアニは来ない………裏切った? まさかそんなことは)


 憶測が憶測を呼び、その全ては情報不足によって否定される。

 まるで巨人という脅威に遭遇した人類のように―――――ライナー・ブラウンの精神は今、混乱の極みにあった。

 そんな中、どこか気の抜けた声が、ライナーの耳朶を打った。


ジャン「しっかし、静かなもんだな………全然巨人がいねえぞ」

ライナー「…………あ、ああ。そうだな」


 内心が乱れきったライナーは、それに漠然とした相槌を返す。





179: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:31:36 ID:MCE6XadQ

ジャン「外周部の索敵班からも、全然赤の煙弾が上がらねえし…………順調って言ってもいいのか、こいつは?」

ライナー「……………!!(まさか………)」


 そのジャンの何気ない言葉に、ライナーはまるで背骨に氷柱を突き込まれたような感覚に襲われ、その全身が硬直した。

 ジャンはその時たまたま前方を見ていたため、驚愕に強張ったライナーの表情に気付かなかったことは僥倖だろう。


ジャン「さっきのトヨヒサの演説のせいで、士気もうなぎのぼりだしな。実際、あれにゃあオレも滾って…………ライナー? オイ、聞いてんのか?」

ライナー「―――――ッ、あ、ああ、聞いてる」

ジャン「そ、そうか? なんだよ、気に障ることでも言ったか? そんなに睨むんじゃねえよ」

ライナー「す、すまん。少し、気を張りすぎてたらしい」

ジャン「ん、それならいいけどよ。ま、雑談もほどほどにするか」


 そう言い残して、ジャンを乗せた馬はライナーから離れていく。


ライナー「ああ…………(周囲の巨人の不在。煙弾が上がらない理由。まさか…………まさか!!)」カパッ





180: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:33:29 ID:MCE6XadQ

予感は悪寒に。

 悪寒は不安に。

 そして、『それ』を確認したとき、ライナーの不安は確信へと変わった。


ライナー「ッ…………!! や、やはり………!!」


 胸元から取り出したコンパスが示す進軍経路は、『南西』ではなく、『東』を指していた。

 事ここに至り、ライナーはようやく悟る。

 しかし、既に遅い。否――――遅すぎた。




ライナー(―――――ハメられた!! 気付け、アニ、ベルトルト!! 俺たちはいっぱい食わされた!!)





……
………





181: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:35:07 ID:MCE6XadQ

………
……



〜二週間前〜
〜調査兵団詰所・会議室〜


信長「それで? 作戦の概要は?」

エルヴィン「まず我々はカラネス区を出た後に、すぐさま長距離索敵陣形と言う、この――――」

信長「ふむ………」


 晴明からの連絡後、壁外遠征への参加の意思を伝えた信長たちは、エルヴィン・リヴァイ・ハンジ・ミケらの調査兵団の上層部から、作戦概要の説明を受けていた。

 陣形や行軍の日数、持っていく資材や人員構成、そして―――――行軍の表向きの目的から、兵たちには伝えていないエルヴィンの本心まで、余すところなく。


信長「エレンの巨人化能力の確認、新人どもには経験を積ませて………あわよくば、内通者のあぶり出しか。ふん、それなりに考えたな」

エルヴィン「当初はエレンの試運転がてら『行って帰ってくる』つもりだったが、君が謳った『シガンシナ区へと我々を辿り着かせることができる』のが可能であれば、別の作戦を立てるがね」

リヴァイ「所見を聞きたい。どうするつもりだ?」

信長「ふむ…………概ねわかった。陣形については問題なかろう。陣形のここら辺にシャラ率いるエルフを参列させればいいだろ」





182: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:38:08 ID:MCE6XadQ

ハンジ「良かった。陣形自体には大した変更はなしでいいね。んじゃ、この陣形はカラネス区を出た後に、南西へと迂回ルートをとる過程で――――」

信長「あ、それ変更」

ハンジ「え? 何を変更?」

信長「進軍るーと………まあ、進軍経路だな。それ、ボツ。大幅に変更するぞ」

エルヴィン「何!?」


 ――――エルヴィンが顔色を変えて叫ぶのも無理はなかった。

 信長の考える策とやらがなんであれ、行軍のルート自体に待ったをかけてくることだけはないと踏んでいたのだ。


信長「もう一度言う。経路についてはおもっきし変更するぞ」

リヴァイ「………てめえ、話を理解していたのか? 巨人との戦いでは、いかにして遭遇しないか、戦わないかが肝となる。この最短ルートを通るのは大前提。最低条件だぞ」

信長「とりあえず聞いてから判断せい、若造。…………この経路で行く」


 信長が地図のカラネス区を指す。

 そこから右へと信長の指先が動いていく。


信長「このからねす区を出たら、そのまま真っ直ぐに進み、『うぉーる・まりあ』とやらの東の突出区へ向かう」





183: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:39:34 ID:MCE6XadQ

自信満々に言ってのける信長に対し、調査兵団の面々は懐疑的な表情を向けるのは当然だった。


エルヴィン「……………どういうことだ?」

信長「あのなー……しがんしな区とかいう、突出区の壁はブチ破られたのは聞いてる。壁外側の門を超大型に、内地側の門は『鎧』に破壊された、とな」

信長「しかし、他の突出区はどうだ?」

リヴァイ「すでに、そこの住人達は全てウォール・ローゼ内に逃げ込んでいる」

信長「そーゆーことじゃねえよ。もちっと考えろ。頭ン中まで禿げあがってんのかオメーは」


 カラネス区を出た後に、そのまま東へと直進し、東突出区へ向かう。

 その進軍経路にどのような意図があるのか―――――真っ先に理解したのは、ハンジ・ゾエだった。


ハンジ(!!!―――――私たちはバカか? そ、そうか………そういうことか、ノブ!!」


 ハンジは己の不明を恥じるかのように天井を仰ぎ、片手で顔を覆う。

 数瞬遅れて、エルヴィンもまた信長の意図を察して目を見開いた。





184: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:41:40 ID:MCE6XadQ

信長「やっと分かったかバカ」

リヴァイ「何? どういうことだ、クソメガネ」

ハンジ「わかんないかな、リヴァイ! 南側突出区のシガンシナ区の壁は破られたけれど――――東の突出区は、まだ破られていないんだ!!」

リヴァイ「ッ…………成程。門が破壊されていないから、東突出区内に巨人はいない、と?」

ミケ「ッ………!! そうか、そういうことか!!」


 ハンジの叫ぶような声に、リヴァイやミケもようやく得心行った。

 『超大型巨人』と『鎧の巨人』によって門を崩されたとはいえ、壁の恩恵は未だに有効だ。

 通常の巨人には壁を打ち破ることはできないことは、ここ百年では常識だった。

 だったら壁の上を行けばよい――――誰もが思いつきそうで思いつかないその発想は、調査兵団の面々にとってはまさに青天の霹靂であった。


信長「一応確認しておくが、五年前に東突出区の民草どもは、脱出した後に、内地へつながる内門は閉じたんじゃろうな? 閉じているのであれば、間違いなく区内には巨人はおらんということになる。ゆるりと休憩してから壁上を行けるぞ」

ハンジ「あ、ああ。閉まっているはずだ!」

リヴァイ「……………! 盲点だった。だとすれば、このルートは最長であるが、最も危険を冒さないルートでもある、ということか」





185: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:44:28 ID:MCE6XadQ

ここカラネス区からシガンシナ区までの最短ルートは、確かに南西への直進だろう。

 しかし、『ウォールマリアという一枚の壁』までの最短ルートはそうではない。

 五年前に破られた壁は、シガンシナ区の外界への扉と、内地への内門の二つのみ。

 他のウォールマリアに隣接する突出区の扉は、どちらも破られてはいない。

 つまり突出区内にさえ入り込めば、できうる限り避けねばならない『巨人』がいない。『巨人そのものがいない』。

 『ウォールマリアはすでに陥落している』という固定概念によって、調査兵団をはじめ、他の兵団の兵士たちも、その発想を完全に失念していたのだ。


ハンジ「東突出区内に入り込みさえすれば、時間はかかるけど…………『壁上を進め』ば、シガンシナ区へと行ける!!」

エルヴィン「…………!!」

信長「そーゆーこった。余計な戦闘は避けるのが、巨人戦の鉄則なんだろ? ならば、まずは東側突出区に辿り着くのが肝要」

信長「そこまではこの経路が最短だ。何せ東側に辿り着きゃあ、後は壁に上って歩いてるだけで巨人どもと一戦交えずに済むんだからのう」

信長「何も馬鹿正直に東から出て、南の迂回路を行くことはねー。『しがんしな』に行くのではなく、『うぉーるまりあ』にさえ届けばよい。ならば東に真っ直ぐ突き進むのがいっとう早い」


 どうじゃ? とでも言いたげな信長に、調査兵団の面々は静かに首肯する。

 その方針に、否やはなかった。





186: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:46:25 ID:MCE6XadQ

エルヴィン「………道理だ。まだ問題はあるが、その案を聞こう」

信長「ならば良し。ああ、それと…………さっき言っておった『行って帰ってくる』っつー方針? そりゃ既に他の兵士たちには伝えてあるのか?」

リヴァイ「ああ。すでに作戦概要は、二週間ほど前に通達してある。日帰りの予定だということも、行軍予定ルートについても、全てを詳細にな」

信長「それ、そのままにしておくことは可能か?」

ハンジ「―――! そうか、内通者!」

信長「俺らを巨人と疑ってたお主らのことじゃ。そのぐらいはもう疑ってかかってんだろ? 『調査兵団の中に巨人が他にもおるかもしれん』ってことぐらいは」

エルヴィン「無論だ…………つまり、この作戦そのものを」

信長「ウム――――本作戦はここにいる者以外には秘匿する。この場にゃ団長、兵長、分隊長の連中しかおらんから好都合じゃ」

豊久「応。敵を騙すにゃまず味方から、という奴じゃな」

信長「俺が内通者の巨人化だとすりゃ、行軍経路で待ち伏せぐらいはさせるからのう。そのまま死ぬまで待ちぼうけ喰らってろ…………くくくくくくくくくくくくくくくくく」

豊久(悪い笑みを…………)

リヴァイ(悪魔かこいつは)



……
………





187: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:53:21 ID:MCE6XadQ

………
……



ライナー(……………!! どんな意図があるかはわからんが、行軍ルートが違う?!)


 同じ頃、ベルトルト・フーバーもまた、その事実に気づいていた。


ベルトルト(ッ、やられた………!! これじゃ、アニが来ないはずだ。アニは見当違いの場所で待ち伏せてる。しかも――――奇行種を引き連れて!)


 これは発案者の信長にとっても嬉しい誤算であったが、女型の巨人のアニ・レオンハートには、奇行種を呼び寄せる力がある。

 ウォールローゼ周辺の巨人をあらかじめ呼び寄せていたことが、巨人側にとっては完全に裏目に出ていた。

 待ち伏せした地点以外から巨人を呼び寄せたため、今回のように他のルートを通った場合は、足止めどころか手助けをしてしまう結果となる。

 ライナーとベルトルトはその事実に気づき、思い切り舌打ちをした。


ライナー(このあたりに巨人がいないのは………アニが呼び寄せたから。アニがここにいないのは、予定ルートで待ち伏せてるからか!)

ベルトルト(間違いない………僕たちヒラの兵士には伝えられていない………あえて伝えなかったのか! 僕たちに誤認させ、見当違いのところで待ち伏せさせるために!)





188: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 22:59:27 ID:MCE6XadQ

ライナー(効果は劇的だ………しかもこのルートと、進軍速度、一向に引き返さない様子から………どうやって辿り着く気かは知らんが………)

ベルトルト(こいつら………シガンシナ区へ行くつもりか?! 今回の行軍で! だとすると………まずい。本当にまずい!! アニが、アニが!! 引き離される!!)

ライナー&ベルトルト(してやられた!!)


 わかったところでどうにもならない。

 アニの待ち伏せているポイントからは、既に遠く離れている。この場で巨人化して迎えに行くわけにもいかない。

 エレンのいる場所がわからない以上、調査兵団内に巨人がいることを確定させてしまう愚を犯せなかった。

 何もできないふがいなさに、二人は唇を血が出るほどに噛みしめた。

 思わずこの場で巨人化して暴れだしたいという欲求を、必死に押し殺しながら。


ライナー(くそっ………アニ、気づいてくれ! こっちに向かってきてくれ!!)

ベルトルト(イヤな予感がするんだ。凄くイヤな予感が………アニ、お願いだ。なんとかして、こっちに来てくれ………!!)



……
………





189: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 23:00:52 ID:MCE6XadQ

〜一方その頃の女型の巨人〜



女型「…………(来ない)」ポツーン

女型「…………」クスン

女型「…………(ああ、そうか。のけ者か。私だけ憲兵団だもんね。そうやって私をのけ者にしようとしてるんだね、ライナーとベルトルトは)」グスグス

女型「…………(私のことが嫌いならそう言えばいいじゃない………こんな裏切りはないよ……こんな陰湿ないじめなんて、あんまりだ………ひどい、ひどすぎる………)」ウルウル

女型「…………(そうだよ。いつもいつもライナーとベルトルトはセットでさ。私だけ一人ぼっちでさ。のけものでさ。無口キャラ演じてさ)」ヒックヒック

女型「…………(五年前は実質あんたら壁破っただけじゃん。私だけどうして調査兵団員ブッ殺しつつエレン確保とか………明らかに難易度違うじゃん)」ビエエエエッ

女型「…………(そりゃあ私の巨人化能力の特性は敏捷さと部分硬化だよ。この作戦にはもってこいだよ。でもだからって、こんなのないよ………私だってか弱い乙女なのに、こんな鬼畜ミッション任せるなんて)」エグエグ

女型「…………(も、もうやだ。あに、おうちかえる。おとうさん………おとうさぁん………)」ポロポロ


奇行種A「ダイジョウブカイ、オジョウチャン?」オロオロ

奇行種B「ナミダフケヨ」ヨシヨシ

奇行種C「キットナニカ、ジジョウガアッタンダヨ」アセアセ


 まさかのぼっち状態に心細くなったアニは、乙女回路を暴走させて一人泣き伏せていた。





190: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 23:11:03 ID:MCE6XadQ

※今回はここまでです。前回の投下時に、次回は女型涙目と、そう言ったな。

 『僕は悪くない』

 『嘘は言ってないんだから』

 『だから』

 『僕は悪くない』

 アニ・レオンハート、リタイア。女型戦なんてなかったんや!

 次回、巨人フルボッコにされるの巻。

 なお、今回の内容で「えっ、壁外行くっていっても問題があるやん……」と疑問を持った方もいるでしょうが、

 一応そこらへんの解決策は考えてますので、ツッコミがあれば次回以降にお願いします。





191: ◆B2mIQalgXs:2013/10/27(日) 23:14:05 ID:MCE6XadQ

※壁上を行くための問題は以下です。

 1.馬
 2.資材
 3.行軍日数

 一緒くたに解決する方法が一応あるので、お待ちをば。
 もう仕事したくないっす。一日中キルラキルのOP見ながらSS書いてたい。ごめん、泣き言です。





192:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/27(日) 23:32:38 ID:q8vVCQts

アニww





194:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/27(日) 23:49:02 ID:yx7wjwZY

涙目ってかマジ泣きですやん





195:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 01:14:23 ID:sIcB5kew

このアニは乙女可愛い。はっきりわかんだね。





198:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 07:54:01 ID:/a9MrG3Y

アニは泣いていい
あっ、もう泣いてるか





223: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:08:13 ID:ZnGeROBc

………
……


 行軍開始からすでに三時間が経過した。

 調査兵団の思惑に気づき、混乱していたライナーとベルトルトは、落ち着きを取り戻していた。

 アニとの合流はすでに期待できない。すでに東突出区までの行軍ルートは、とっくに中間地点を超えている。

 このまま巨人が現れなければ、後に時間足らずでウォールマリア東突出区へと到着してしまうだろう。

 しかし、ライナーとベルトルトは落ち着いていた。

 冷静にどうすればよいかを、互いに考えていたのだ。

 そして、今後調査兵団がとるべき算段についても――――。


ライナー(ッ………この行軍ルート、ウォールマリア東突出区へ向かっているのか)

ベルトルト(成程。とにかく東突出区へ辿り着き、壁内で休息を取り、物資を確保、整理・運搬して壁上を徒歩で行く………そんな算段か)

ライナー(やや遅いこの行軍速度にも納得がいく………徒歩で壁上を行くには大量の物資がいるからな。荷馬車に速度を合わせているのか)

ベルトルト(しかし、一向に巨人は現れない。このままじゃあ順調に東側突出区へ辿り着いてしまう。辿り着かせてしまう)





224: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:15:53 ID:ZnGeROBc

ライナー(アニがこちらに合流できるか? 無理だろうな。例え気づいたとしても、既に東突出区への行程は半分を過ぎた。いくらあいつの巨人化が健脚でも追いつけない)

ベルトルト(悔しいが………アニ抜きだ。今考えるべきは)

ライナー(今後の戦略! 作戦は大幅に変える必要がある! ベルトルトも俺と同じことを考えているだろう)

ベルトルト(作戦変更? それがどうした。やるべきことは一つ。そして狙うべき機も一つ)

ライナー(――――東側突出区内へ入った後に扉を降ろし、調査兵団員全員が安堵したその瞬間だ)

ベルトルト(壁内に到着し、誰もが壁から距離を置いた瞬間に巨人化する)

ライナー(人間が最も安堵した瞬間こそが弱い。ここまでの行軍で疲れ果て、やっと休みを入れられる。そんな中で巨人が現れれば、彼らの士気も地に落ちる)

ベルトルト(巨人化した僕は内地側の壁を蹴り壊し、外側の門はライナーが破壊する)

ライナー(その後はトロスト区防衛戦の時と同じだ。入り込んだ巨人たちに紛れつつ、エレンを探して確保)

ベルトルト(他の兵団員は皆殺しにして、エレンを連れて故郷に帰る。………アニは、後で必ず迎えに行く。絶対だ。約束するよ………)

ライナー(壁を破壊し、エレンを確保した後は即座に離脱。人類側はそこで全滅だろう)

ベルトルト(後二時間。その間に巨人が現れて全滅するならばそれでも良い。エレンが巨人化すれば位置がつかめる。その時に確保してもいい)

ライナー(以前、人類側の劣勢は変わらない。奴らは詰んでいる――――)




信長(――――って感じのことを考えてんだろ、間諜。バァカ、やらせねえよ)





225: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:17:25 ID:ZnGeROBc

信長(甘い甘い。そんななまっちょろい策なんぞ使うかよ。そもそも壁の上を馬が走れないなんて、どこのうつけが決めたか)

信長(この俺がいる軍で、好き放題やろうってこと事態が悪手だってことを、骨の髄まで刻み込んでくれる)

信長(第六天魔王の策略ってやつを、見せてやるぜ)






……
………





226: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:18:41 ID:ZnGeROBc

………
……


二週間前 カラネス区〜調査兵団詰所・会議室〜


信長「ここ『うぉーるろーぜ』から『うぉーるまりあ』までの距離は?」

エルヴィン「ローゼ・マリア間は約百キロだ」

信長「は? きろ?」

オルミーヌ「あ、戦国時代の換算で言えば、百キロっていうのはおおよそ二十五里といったところです」ヒソヒソ

信長「成程、尺度が違うのか。ごくろう。しかし二十五里か………荷馬車を率いての行軍となれば、馬の速度も落ちよう」

リヴァイ「荷馬車の速度がおよそ時速二十キロ………マリアまで早くても五時間はかかるな」

豊久「五時間、とはなんぞ?」

オルミーヌ「それもこっちの尺度です。(不思議なことに、オルテの尺度と同じだけど……)五時間は、戦国時代で言えばおおよそ二刻半です」

豊久「おお、すまんの」

ミケ「問題はそこからだ………壁の上を伝ってシガンシナに向かうのだろう?」

信長「うむ。何が問題なんじゃ」





227: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:20:20 ID:ZnGeROBc

ハンジ「………馬だよ。馬を壁上にあげるための手段がない…………今計算したら、東側突出区からシガンシナ区までの壁上ルートを通った場合、我々は800キロの距離を走破しなくてはならないみたいだよ……徒歩でね」


エルヴィン「ッ…………到底無理だな。徒歩では一日当たり軽装でも50キロが限界。食料や資材を運ぶとなれば、更に行軍速度は落ちる」

オルミーヌ「ええっと………フル装備で徒歩の場合、およそ一日当たり20キロぐらいだとしたら、シガンシナ区に辿り着くまで………よ、40日!? 無理です、無理! 餓死しちゃいますよ!!」

信長「違うぞ、オルパイヌ。俺らは40日で済むだろうが、こやつらは往復だ。最低その倍かかる。シガンシナに保存食があることをアテにできんのだからな」

オルミーヌ「あ………」

エルヴィン「とても現実的ではない。馬さえいれば、無理をすれば一日当たり250キロは行けるだろう。おおよそ3日と少しで辿り着ける。往復でも七日程度だ」

ミケ「それはシガンシナに到着後に、すぐに戻る場合だろう? シガンシナ区到着後、俺たちは区内の巨人を討伐し、壁をふさぎ、更にエレンの生家を調査しなくてはならない」

エルヴィン「無論だよ、ミケ。故に最低でも…………そうだな。君たちドリフターズ200余名の食糧5日分に、我々調査兵団員300余名分の食糧を10日分は用意せねばならないだろう」

リヴァイ「壁をふさぐための資材は………シガンシナに手ごろな岩があればエレンに運んで塞がせることもできるが、そうそう都合よくはいかねえだろうしな」


信長「やはり、馬は必須だ。なんとかして馬を壁上にあげる手段を考えねばならない」


エルヴィン「………壁の上を行く、か。今までにはなかった発想だ」

信長「なんだ、今になって反対するのか?」

エルヴィン「いいや。とても魅力的な作戦だが………それを実現させるためには、解決せねばならないな。馬をどうやって壁上まで運ぶのかを」





228: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:22:25 ID:ZnGeROBc

リヴァイ「確かにな…………壁の上には馬を持ち込めない。重い資材もだ」

ハンジ「うん。仮に首尾よく資材を壁上に運べたとしても、馬がいなければそれらは人力で運ばなくちゃならない」

ミケ「だがそうなれば、行軍日数が増え、より多くの食糧が必要となる。かといって更に多くの食糧を運べば、更に行軍日数が増える」

与一「積み荷が増えれば、東側への行軍速度すら下がりまする。我々がこれから考えねばならないことは、東突出区に辿り着くまでと、そこからのことですな」

信長「ウム。特に後者が問題だ。何せ首尾よく東突出区へ辿り着けたとしても――――」

リヴァイ「………壁上に上がる手段が、立体機動装置しかない」


 引き継ぐように言ったリヴァイの言は正鵠を得ており、信長の懸念していたことはまさしくそれだった。


信長「応よ。俺らは立体機動装置で壁上に上れる………しかし、馬はそうもいかん」

ハンジ「アンカーを何人かで使って引き上げるとしても、相当な時間がかかるよ」

エルヴィン「何せ壁は五十メートルだからな………重たい資材は縄で括り付けて持ち上げることも可能だろうが、生きた馬となるとかなり難儀するだろう」

信長「ふむ、それは問題だが…………問題は食糧だな。念のため聞いておくが、輜重隊(※兵站業務を専門とする兵士。資材や食料を運ぶ部隊のこと)なんぞ無理だろ?」

エルヴィン「無理だ。それができれば我々は苦労しない」

信長「で、あるな………」





229: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:23:21 ID:ZnGeROBc

信長が特に危惧しているのは、食料の問題だ。

 何せ運び込める資材・食糧は有限だ。

 荷馬車を増やして大量に物資を運ぶとなれば、東突出区へ辿り着くまでの進軍速度に遅れが出る。

 かといって少量では、東側突出区に辿り着いた後は手詰まりとなる。辿り着く前に壁上で餓死などという笑い話にもならない事態になる可能性が高い。

 いかに士気が高かろうと、人は餓えれば死ぬということを、信長は経験上よく知っている。


信長「案を出せい。どんなものでも構わん」


リヴァイ「東側突出区に辿り着き次第――――馬を食糧として食いつぶす」

エルヴィン「却下だ。それではカラネス区への帰還方法を失う。シガンシナ区へ辿り着き、成果を上げたとしても、我々がその成果を届けられなくなるのでは本末転倒だ」


ハンジ「馬を大量に確保して遠征。東側突出区に辿り着いた後は部隊を二つに分ける。半数は馬を食いつぶして東側突出区で待機。残る半数はマリア外周をなぞってシガンシナ区へと向かう。馬は半分のみ食いつぶす」

ミケ「却下だ。エルフどもと信長・豊久・与一・オルミーヌがシガンシナ区に辿り着けなければ、この協力関係も無意味だ。こいつらは元の世界に戻りたいのだからな」


エルヴィン「壁上を徒歩で向かうルートをとり、道中は立体機動装置の使用により、壁上の行軍日数の短縮を図る」

ハンジ「却下だ。短縮できる日数もたかが知れている。何よりも予備を含め、ガス切れを起こせば、シガンシナ区内の巨人の排除に支障をきたしてしまう」





230: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:26:20 ID:ZnGeROBc

ミケ「東側突出区内に逗留し、拠点を築く」

リヴァイ「却下だ。一時的にはそれで凌げても、『鎧』と『超大型』がいる。奴らは必ず現れるだろう」

エルヴィン「調査兵団内に巨人側のスパイがいる可能性が示唆されている現状、そんな真似を奴らが黙って許すはずがない。最悪の場合巨人化されて全滅だ」



信長「結論は――――食糧不足も進軍速度も物ともせず、壁上を馬を用いて走破し、最短日数で調査兵団全員をシガンシナ区へと辿り着かせる。そんな方法だ」



エルヴィン「無理難題だな」

信長「で、あるか………ふぅむ」


 しかし、その無理を何とかして道理で引っこませる必要があった。

 ウォールマリア・東突出区へ辿り着いたとしても、そこから徒歩(かち)でシガンシナ区へ向かうには日数がかかりすぎる。

 東側突出区内に、都合よく保存食などが残っているなどといった希望的な観測には期待できない。

 なんとかして馬を壁上に運搬して、短期間でシガンシナ区へと辿り着く必要がある。





231: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:32:30 ID:ZnGeROBc

信長「立体機動は平地じゃあまり役に立たんと言っていたが、しがんしな区にさえ入っちまえば、家々があるんじゃろ? 使いたい放題じゃ」

リヴァイ「いや…………このままでは机上の空論だ。食糧に、替えのガス。馬も乗り潰すわけにはいかねえ」

ハンジ「うーん………壁上を行くにしろ、陸路を行くにしろ、貴重な馬を切り捨てるわけにはいかないね。どうにかならないだろうか」

エルヴィン「問題はその方法だな………ガス、食糧、そしてノブナガの説いた戦術を実現するために、様々な資材が要る」

リヴァイ「何か策はないか、エルヴィン」

エルヴィン「ぬ………」

信長「うーむ………」


信長(そうか………攻城戦とは違い、侵略先の資材を奪えばよいという訳ではない)

信長(シガンシナ区へ辿り着いた後、食糧や資材が揃っているかも分からん。少なくとも巨人はわらわらおるだろうが………)

信長(ッええい、このままでは本当にホラ吹きになるではないか………)


ハンニバル「おい、小僧」

信長「?」


 ハンニバルが、掌を他に向かって振り下ろし、続いて掌を地面と垂直・平行にジグザグと交互に動かした。





232: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:34:11 ID:ZnGeROBc

―――まるで、階段を作るかのように。


信長「―――――!!!」

エルヴィン「ッ………!!!!!」


 その手の動きを見て、目を見開いたのが信長とエルヴィンだった。

 そして確信する―――――ならば、馬で壁上を行けるかもしれぬ、と。


信長「おい、ズラヴィン。事情が変わった………馬や資材、まとめて壁の上に持ち込めるやもしれん」

エルヴィン「確かに………与一やエルフ達の弓術があれば、行けるかもしれない」

信長「お主も気づいたか」

エルヴィン「ああ」





233: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:35:51 ID:ZnGeROBc

信長「爺さん、あんた………」

ハンニバル「木いちごー、もっと木いちごー」

エルフ「しょうがないなぁ、ちょっと待ってて! あのう、おねいさん! じーちゃんが木いちご欲しいって」

ペトラ「ええええ? わ、分かった。後で買ってあげるけど、今は会議中だから、もうちょっと待っててね?」

ハンニバル「早くー、早く木いちご。木いちごくれないと壁内ほろぶ」

ペトラ「なんて恐ろしいことを………!」

オルオ「チッ、しゃーねーな。ホレ、金やっから買ってこい」ホレ

エルフ「わーい! ありがとーおっちゃん!!」

オルオ「おっちゃ………ふざけんなオレはまだにじゅうd!?ガリッ」

オルオ「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」ガブッ





234: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:37:15 ID:ZnGeROBc

信長「おい、オルミーヌ。水晶貸せ」

オルミーヌ「えっ? あ、あッ、はいッ!」

信長「おい、聞こえるかはるあき。はるあきやーい」

晴明『なんでしょう』

信長「時間が惜しい。単刀直入に聞くが、オルミーヌは石壁の符を自作できるか。できれば通信用の水晶球もだ」

オルミーヌ「えっ?」

信長「できぬというのであれば、作り方を教えよ。この作戦の要となる」

晴明『後者は私が口頭で教えましょう。ただし二週間という制約があるのであれば、数は相当に限られますが不可能ではありません。素材が揃っていても、作り出せる通信用水晶球は十個かそこらでしょう』

信長「石壁の符は? 他の者も作れるか? こちらは可能な限り大量に必要となる」

晴明『………魔術に適正さえあれば、可能でしょう。そちらはオルミーヌに探していただくことになるかと』

信長「あいわかった。忝い………つーわけだオルミーヌ、おまえ調査兵団の連中から『まじゅつてきせい』とやらがある奴を選別しておけ。明日の昼には手伝わせる手筈をつけてやる」

オルミーヌ「えっ、ええええっ?」

信長「お主はこれから二週間、ひたすらに石壁の符を作れ。あと水晶球は最低十個作れ」

オルミーヌ「ええええええええええ!!?」





235: ◆B2mIQalgXs:2013/11/24(日) 22:40:40 ID:ZnGeROBc

信長「できぬと? できぬのであれば、あやつをけしかけるぞ」チラッ

オルミーヌ「あ、あやつ?」

信長「島津豊久。特技は首をずんばら斬り殺すこと。捨てがまりで狙った相手は絶対殺す。ド田舎妖怪・首おいてけ」


オルミーヌ「ぎゃああああああああああああッ! わかりましたわかりましたやりますやりますから殺さないでーーーーーーッ!!」


信長「ではやれ、オッパイメガネーヌ」

リヴァイ「あのエルフとかいう長耳連中は? はっきり言って即戦力として使えそうだが? 何か問題はあるか?」

ハンジ「っていうか、凄いね君ら。フツー立体機動装置を十全に使えるようになるには、相当な訓練を積まなきゃならないんだよ?」

シャラ「俺たち元々弓が得意ですからね」

ミケ「瞬時に目標を選定して、アンカーを目標に撃ち込むのはともかく、姿勢制御にはコツがいるんだがな……」

リヴァイ「持久力がないのと、どいつもこいつも斬撃がお粗末なのは難点だが………ヨイチほどではないにしろ、弓の腕もいい」

信長「問題は馬術じゃな。コイツらそろいもそろって馬に乗れんのだ。そっちを重点的に鍛えてやってくれ」

ハンジ「了解したよ」

………
……






255: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 21:23:11 ID:tQ8rS8oU

………
……


〜出立より四時間経過(東突出区到着まで残り一時間程度)〜


モブ班長A『こちら8列・3より。南西より奇行種1体が接近中』

ミケ『了解。1列・2も煙弾を確認した。本隊へ通達。進路を修正されたし』

エルヴィン「――――了解。総員、これより進軍速度を上げ、北東へ進路を変更する。奇行種との距離を離した後、再び東へと進路を修正』

『『『了解』』』


 ブツッ


エルヴィン「……………改めて思うが、すごいものだな、この水晶球は。一部の信用のおける者に持たせたが、伝達が即だ。見ろ、今頃になって南西から黒の信煙弾が上がっている」

信長『で、あるな。戦の概念を根本から覆しかねん存在だ。作った本人はそれを全く自覚しておらぬ』


 手の中で水晶球を転がしながら、あきれたように信長がつぶやいた。これほどの代物をただの研究報告にのみ使っていたなどと、宝の持ち腐れにもほどがある。

 通信用水晶球は晴明の指導の下、オルミーヌによって新たに十個が製作され、エルヴィン、リヴァイ、ミケ、ハンジ、信長、豊久、与一、オルミーヌがそれぞれ一つを手にしており、残りはエルヴィンが調べをつけた信用のおける者へと密かに配布されていた。

 水晶球を持った人員は陣形の各要所に配置され、東西南北のどこに巨人が出現しようと、即座に報告できるようになっている。





256: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 21:28:32 ID:tQ8rS8oU

ほどなくして右翼後方から伝達が入り、無事に奇行種を撒いたとの報告が入り、エルヴィンは進軍経路を再び東へと戻す。

 全てが順調に進んでいた。

 しかし――――エルヴィンの表情からは、どこか憂いを帯びた緊の硬さが抜けずにいる。


エルヴィン「…………しかしノブナガ、どう思う?」

信長『どうとは?』

エルヴィン「カラネス区を出てから、既に四時間余り。今のところ、出立直後の壁付近での戦闘を除けば、先の巨人が遭遇一体目だ」

信長『ふむ? どうじゃ、ハンジ。お主はこの状況、どう見る』

ハンジ『え、私に振る?』

信長『やはり聞いておったか。巨人についてはお主が一番詳しいのだろう? 所見を聞かせい』

ハンジ『うーん………正直、こんなことは私も初体験でね。私らに取っちゃ順調なのは嬉しい限りなんだけど、正直不気味だよ。巨人が全然出てこないだなんて』

信長『ほう? お主はそう思うのか』

ハンジ『ノブは違うの?』

信長『ああ、違う。俺ら(ドリフターズ)は巨人のことをロクに知らぬ。故にこそ思うところがある―――――』

エルヴィン「聞かせてもらえるだろうか」





257: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 21:33:42 ID:tQ8rS8oU

信長『巨人は知性なき獣だという。しかし一方で知性を持つ巨人がおるのならば、それらを操ることのできる存在がいる、というのはどうじゃ?』

エルヴィン「―――――待ち伏せ、と? 本来、我々が通る予定だった進軍ルートに、知性巨人が待ち伏せを行っていたと?』

信長『呑み込みが早いな。根拠はねえが、そう考えると妙に辻褄が合う。俺らが本来通っていた進軍経路の方向である、南西からやってきたってのも妙に臭い。ま、可能性の一つに入れとけ』

エルヴィン「………それが事実なら、やはり調査兵団の人員に、裏切り者がいるということになるな」

信長『可能性の話だっつってんだろ。そりゃ以前、俺が諜報なら待ち伏せぐれー行うかもなーとは言うたがな、ただ単に本ッ当に運が良かっただけという可能性もある。あまり深く考えるでない。今は目の前のことに集中せい』

エルヴィン「しかし……」

信長『思い悩めとは言うたがな。杞憂ってこともあろう。可能性を考えればきりというものがない。例えば俺らの作戦が全部巨人側にバレてて、東突出区前で巨人どもが大挙して待ち伏せ、なんてこともあるやもしれぬ」

エルヴィン「―――――!」

信長『焦っとる顔が目に浮かぶようじゃな。心配はするだけ無駄じゃ。考えるなら、『そうなった』時に、『どうすべきか』を考えよ』

エルヴィン「………ああ、わかった。敵の陰謀にしろ、運の良し悪しにしろ、気は抜かな――――!!! 見たか、ノブナガ!?」

信長『ああ。面倒だな、おい――――!!』


 通信を挟んで、しかし両者の視線は示し合わせたかのように、東の空へと向いていた。

 北東、東、南東の三方向から、黒の信煙弾が上がっている。

 数瞬後、二人の水晶球に、焦りを帯びたミケの声が響いた。





258: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 21:53:16 ID:tQ8rS8oU

ミケ『まずいぞ、エルヴィン。北東、東、南東の三方向より、奇行種が接近! それぞれ10・6・8体だ! 東はおよそ一分ほどで接敵する!』

エルヴィン「!!」

ミケ『進軍ルートを変更するか?! どちらにする! 南か! 北か!』


 エルヴィンの脳裏で瞬時に『どうすべきか』の判断が浮かび上がる。

 壁外調査において、巨人との戦闘は可能な限り避けるのが定石である。

 そのセオリーに従うのならば、ここは無理をしてでも北か南へと方向転換し、この一時をやり過ごす。

 指揮官ならばそう考えるのが普通だ。

 しかしそれは――――それまでのエルヴィンならば、という前提がつく。


エルヴィン「方向は変更しない。このまま前進だ。東の巨人と戦闘に入る」

ミケ『!? 本気か、エルヴィン!?』

エルヴィン「冗談を言っているように聞こえるのならば、繰り返す。前進だ」

ミケ『しかし――――!!』

信長『別にいーじゃねーか。問題なし、進めい』

ミケ『ノブナガ!? 分かっているのか!? 三方向だ! このまま接敵すれば、間違いなくこちらにも被害が!!』





259: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 21:57:52 ID:tQ8rS8oU

信長『黙れチョボ髭野郎。ひょっとしてこんなことを考えておるのか? 誰一人欠けぬまま東区に到着できるかもしれないのに、なぜ危険を冒す必要があるのか、と?』

ミケ『そ、それは』

信長『日和ってんじゃねーよ。ちぃっとばかし順調に行軍できてたから欲が出たか? それでも一軍を任された将のつもりか、うつけ』

ミケ『…………ッ、ぐ』

エルヴィン「落ち着け、ミケ。信長も、あまり私の部下を苛めないでやってくれないか」

ミケ『エルヴィン………?』

信長『なーんーだーよー。もうちっと弄らせろ』

ミケ『ど、どういうことだ?』


 狐につままれたような表情で呆けた声を出すミケに対し、エルヴィンは悪戯が成功した悪餓鬼のような表情を浮かべ、


エルヴィン「忘れたのか、エルヴィン。巨人と最初に接敵する可能性が最も高いだろう先陣に、今回誰を配置していたのかを」

ミケ『―――――!!』


 水晶ごしにも、ミケが息を呑む気配が伝わったのか、信長もまたクッと喉を鳴らして笑みを浮かべた。





260: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:03:00 ID:tQ8rS8oU

信長『そういうこった。今先陣には、あやつがおる。エルヴィン、指示を出してやれい』

エルヴィン「ああ、そうだな。と言っても、聞いているんだろう?」


 水晶の向こうから返答はない。だが『そこにいる』ことは明らかなほどに濃密な殺意が、東の大地から伝わってくるのを、エルヴィンは感じ取っていた。

 その研ぎ澄まされた矢じりの先端のように鋭き殺意を放つ者に向かって、エルヴィンは命を下す。




エルヴィン「…………聞いての通り、君の出番だ、ヨイチ。思うままに埒を開けてくれ」



与一『―――――御意』



 鈴の音の如く透き通った声が、水晶球より響いた。




……
………





261: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:10:17 ID:tQ8rS8oU

………
……


与一「那須資隆与一。推して参る」キリッ

モブリット「って、ええええええええええええええええ!? このまま迎え撃つ気ですかあああああああああああっ!?」

与一「そーですよ。というわけでー、エルフの諸君ー。前方に見えるは巨人の集団です。ハイ、第一陣、第二陣、第三陣、戦闘準備して前へー」

 ハーイ!

モブリット「え、ええっ?! な、何をするんですか!?」

与一「なぁに、積み荷の出番ってコトですよ。カラッポになった馬車は捨て置いてー、御者は馬だけ回収して乗り換えろー!」

 ハーイ!

モブリット「あ、あれは………か、火薬? 火薬と弓で、何が―――――」

与一「黙って聞きましょーネー。打ち首にされちゃいますよ? はい皆の衆良くお聞き。第六天魔王様の悪知恵より拝借しました、エルフと私、那須与一が猿でもできる巨人殺し講座を実践して見せましょう」

モブリット「し、しかしですね………」


与一「――――良く見て理解しないと死にます」


モブリット「」ゾクッ





262: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:27:15 ID:tQ8rS8oU

与一「第一陣! 与一隊、弓構え!!」


信長『巨人っつーのはデカくて力が強くてうなじを削がないと死なない怖いナマモノですが、実は全然怖くありません。景気よくドドドッと走ってきますがー』


与一「狙いは眼球。矢を番えよ! 合図の後に一斉射、用意!!」


信長『あ奴らはオツムがとても残念です。巨人同士で連携したりは全くなく、ただ沢山の人間に向かって真っすぐに突き進むだけとか、もー超怖くない』


与一「まだだ! まだひきつけて!!」


信長『調子よくズンズン突き進んできますがー、こっちの作戦通りということに全く気付いておりません。気づくオツムが存在しないからです』


 ドズーン、ドズーン


与一「放て!!」


 与一が叫ぶとほぼ同時に、与一を筆頭としたエルフ達弓兵が一斉に矢を放つ。

 通常の矢であれば、命中したところで巨人を死に至らしめるには不足に過ぎる。

 眼球に突き刺さったところで、しばしの足止めが精いっぱいだろう。





263: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:28:21 ID:tQ8rS8oU

事実として矢が巨人の顔や喉、足などに次々と突き刺さるも、巨人は足を止めずにそのまま前進を続けた。

 しかしそれはあくまでも『通常の矢』であった場合の話だ。

 矢が着弾した数瞬後、爆音と閃光が東の大地を包み込んだ。


与一「あは、すげい」

モブリット「?! なっ、なっ、なっ、ななに、何がッ?!」


 愕然とつぶやくモブリットの視線の先では、もうもうとした黒い煙が上がっている。

 それが晴れたとき、モブリットの視界に飛び込んできた光景は――――。


モブリット「きょ、巨人が…………こ、こけてる?」


 致死には至らなかったものの、盛大に転倒している六体の巨人の姿があった。



……
………





264: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:35:30 ID:tQ8rS8oU

………
……


エルヴィン「うまくいっているようだな」

信長『で、あるな』

エルヴィン「敵が強くて怖いなら、攻撃させなければ良い。向こうに並の攻撃が通じんのならば、並ではない一撃を見舞ってやれば良い…………か。最初に貴方がそう言ったとき、心底頭にきたよ。それができれば苦労はしないと」

信長『今も頭にきているか?』

エルヴィン「来てるさ。自分自身の頭に対してだが」

信長『ふん。当たらぬ大砲より、当たる小筒よ。巨人めらを殺しきるだけの威力が備わらずとも、使い方次第じゃ。戦わぬのが最善なら、足を止めてしまえばよい』

エルヴィン「それをあっさりと思いついて実行させてしまうのが、君の恐ろしいところだよ、ノブナガ」


ミケ『で、伝令! 東側からの巨人六体、全て転倒…………い、いや! 一体はうなじが吹き飛ばされて死んでるだと!? 一体討伐だ! 与一が、与一がやった!!』


信長『で、あろうな。与一の腕なら、あんなデカブツのうなじに火薬包み付きの矢をブチ込むのは訳ない』

ミケ『正面から向かってくる巨人のうなじを吹き飛ばすのが、訳ない!?』

信長『貫通させたんじゃね? ホラ、言わなかったっけ? 豊久も恐ろしいが、俺は与一も怖いと』

ミケ『聞いてないぞ!?』





265: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:43:31 ID:tQ8rS8oU

信長『ぶっちゃけあいつが元の浮世んときにうちの軍にいたらなーって思う。敵将を労せずして射殺せるからのう』イクサガチョーラクニナル

ミケ(やだドリフ超怖い)ブルブル

エルヴィン「弓術が不得手な者でも、足や頭に射掛ければ、火薬の爆風で巨人の体勢を崩すことができる。実に有効な戦術だ」

信長『まー、火薬にも限りはあるから、そうそう連発はできん。となればただの矢で攻撃するしかねえ――――が』

エルヴィン「聞く限りでは、与一に限ればそれでも十分だろうな」



……
………





266: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:44:36 ID:tQ8rS8oU

………
……



巨人「ヴ、ヴヴヴヴ………」ググググッ

モブリット「あ、あっ、ああっ!? も、もう立ち上がろうとしてるヤツがいます!!」

与一「シッ!!」ギュパッ


 ドスドスッ

 ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!?


モブリット「ッ?! きょ、巨人の目玉に、矢を!?(こ、この距離で………なんて腕前だ)」

与一「大命中ー。『とうばつほさ』はこれで2、ですね」

モブリット「と、討伐補佐?」

与一「ええ――――――第二陣、調査兵団の精鋭らによる追撃。ハイ、削いで削いでー」

モブリット「ええええっ!?」


 与一の合図の後、すぐさまガスを蒸き鳴らして与一の頭上を飛び越え、空を翔ける影があった。





267: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 22:57:31 ID:tQ8rS8oU

モブリット「へ、平地での立体機動を………!? な、なんだ、あれ!? アンカーが刺さったところから………い、『石壁』が?!」

与一「パイオツーヌ殿の石壁の符ですよ。あんかぁの先に貼り付けて放てば、即席の足場になりますので―――――立体機動の成功率も跳ね上がります」ウフフ

モブリット(なんなのこいつらの脳味噌どうなってんの………)


リーネ(! す、すごい! 平地なのに、森や市街地での戦闘と同じぐらい、高度を保てる………!!)ギュオオオンッ

ヘニング(巡航が楽だ………それに、先行しているリーネの石壁を足場にすれば、符を消費せずとも更に距離が伸ばせる!)バシュゥウウウッ


与一「………と、あの通り接近は容易。そして巨人らは誰も彼も倒れてしまっています。斬るのも造作もありません。ハイ、トドメをお願いします」


ナナバ「―――――ッは!!」ビュオッ

ゲルガー「おらあああっ!!」ヒュバッ



 ザシュッ、ザシュウッ、ズバッ、ズバンッ!!



モブリット「ッ、こ、こんな………こんな方法がッ………!!」





268: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:00:10 ID:tQ8rS8oU

与一「えー、信長殿からの伝言でーす。『だから貴様らはうつけだと言うたのだ。あいつらにも目ン玉はある。視界はある! まず抉るべきなのは足の腱などではなく、目ン玉だ』」

モブリット「」

与一「『一部の精鋭共は目ン玉切り裂くだけの技量は持ってるようだがニャア、もっと飛び道具使えよタコ』」

モブリット「し、しかし、どうやって当てるんです? 誰も彼もが、ヨイチのように弓を扱えるわけじゃないんだ!」

与一「あ、それを言ったときにはこう言えと………『距離保ったまま顔面狙って騎射すりゃいーだろが。数撃ちゃ当たる寸法よ。足狙いでも十分イケる。火薬包みの矢を足に命中させて転ばせることだってできるだろーが』」

モブリット「」

与一「加えてもう一つ―――――『巨人戦では、逃げるのがまず肝要なんじゃろう? 何も問題ないではないか』」

モブリット「ッ………!!」

与一「まぁ、折角いい立体機動装置(あし)があるにもかかわらず、それを十全に生かせないのは、確かにうつけですねぇ」ウフフ

モブリット「ぐぬぬ………」

与一「あー、後列の第三陣は運悪くあおむけに倒れてうなじが狙えなかった巨人に、もう何発か棒火矢を食らわせてやってください。あとは放置します」


 リョウカイ!!


与一「後はテキトーに足止めしつつ馬で距離を稼ぐのを繰り返せば引き離せます。講義終了!」





269: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:09:21 ID:tQ8rS8oU

………
……



ミケ『………ほ、報告だ。東方向の巨人、ぜ、全滅………こちらの被害は、ぜ、ゼロだ。北東、南東から向かってくる巨人は、そのまま先行してる与一隊に向かっている』

信長『同じ方法でブッ殺せ。できるな、与一』

与一『あい』

エルヴィン「頼んだぞ」

与一『お任せあれー』ブツッ

ミケ(すさまじい………口だけでは………匂いだけでも、なかった。こいつら、こいつらは、本物だ! 本当に、人類の希望に………!!)

信長『で、チョビ髭野郎。どんな気持ち? ねえ? 間違いなく被害が出ると思っていたのに被害は一人も出ていない結果になったけれど、今どんな気持ち?』プークスクスプー

ミケ『』イラッ

エルヴィン「あまり苛めるなと言っているだろう。その辺にしておいてくれ。ミケとて団員に被害が出るんじゃないかと心配しているんだ」

信長『お優しいことだな。戦場では意味もなく造作もなく人は死ぬというに』





270: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:14:19 ID:tQ8rS8oU

信長『……………ああ、そうじゃな』

エルヴィン「今頃、彼は――――」

信長『ああ、あ奴はきっと――――』


エルヴィン&信長「ものすごく、イラついている」




……
………





285:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/17(火) 08:40:21 ID:qsacSs.2


>>269>>270の間抜けてません?





                 
286: ◆B2mIQalgXs:2013/12/18(水) 07:15:48 ID:XlEldvgY

>>285
 Oh……抜けてます。

エルヴィン「ところで、中列に配置した豊久のことだが………彼の性格を考えると、そろそろマズイんじゃないのか?」

 的な会話が挟まります。ご指摘ありがとう。会社行ってきます。





                 
271: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:20:13 ID:tQ8rS8oU

………
……



豊久「」イライライライライライラ


コニー(お、おい、誰か………トヨヒサがすげえキレてるぞ………おいブス、話しかけろよ)ヒソヒソ

ユミル(テメーがやれチビ。私は自殺願望者じゃねえ)ヒソヒソ


豊久(なぜ俺が先陣ば切れぬのじゃ納得いかぬありえぬ冗談ではない首掻き取りたい首切りたい置いてけ置いてけうなじ置いてけ手土産手柄手柄手柄親ッ父に手土産が顔向けが首が手柄首がとにかく首じゃ首首首首………)ムカムカムカムカ


サシャ(わ、悪いことは言いません。トヨヒサさんに今話しかけちゃダメです。絶対死にます。冬眠明けの餓えたクマにハチミツ塗りたくった体で近づくようなものです……)ビクビク

ミカサ(すごい殺気…………駆逐状態のエレン十人分ぐらいだろうか。凄まじい)コワイ

コニー(何考えてるか分かるってのもなぁ………真似できねーよ。なんでああも戦いたがるんだ。怖がってたこっちがアホみてえだぜ)ヒソヒソ

ユミル(死に急ぎ野郎と同じなんだろ………おまえはそのまんま程よくバカでいろよ、チビ)ヒソヒソ

コニー「ああ?! どういう意味――――」

豊久「あ゛?」ギヌロッ

コニー「」タマヒュンッ





272: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:23:25 ID:tQ8rS8oU

コニー「あ、ああ、あ、い、いや、そ、その………」ガクガクブルブル

豊久「」ギョロリ

コニー(あ、俺死んだ)

豊久「きょじん…………」

コニー「へ?」ヒョ?

豊久「こにぃ。後ろを見やれ」

コニー「んあ?」クルッ



巨人「ンアー」アグアグ



コニー「」ジョバーーーー





273: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:31:12 ID:tQ8rS8oU

ミカサ「! 奇行種が、どうして中列に!?」ジャキッ

ユミル「ッ?! 索敵漏れか?! 索敵班は何してやがったッ、クソがッ!!」ジャキッ

豊久「索敵漏れ、じゃと…………?」ゴゴゴゴゴゴゴ

サシャ「あ、あばばばばばば(怖い。トヨヒサさんが)」コワイ

コニー「う、うばばばばばば(怖え。トヨヒサが)」コワイ



豊久「で か し た ! ! (どこを見ておったこんぼげえ!!)」



ユミル「オイ、本音出てんぞアンタ」

ミカサ(巨人を見て喜ぶ人がハンジさん以外にいるとは思わなかった)

豊久「こやつは俺がやる。お主らは先ば行けい」ジャキッ





274: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:43:07 ID:tQ8rS8oU

サシャ「え、ええっ!? い、いえ! 私も戦います! 立派な兵士として!」キリッ

コニー「お、俺もだ! やってやる!! 故郷の家族は俺が守るんだ!」キリッ


豊久「さ き に ゆ け(意訳:俺の獲物を横取りするならお主らの首も手柄に加える)」


サシャ「はい」ヒュン

コニー「はい」ヒュン

ミカサ(弱い(確信))パカラッパカラッ

ユミル(さっさとここから離れよう………)パカラッパカラッ


巨人「アウガー?」アグアグ


豊久「前ん時から思うておったが、面白か面構えばしとるのう。何が可笑しい?」ジャキッ


巨人「ウガアアアアアアアアア!!」ズシンズシンズシン


豊久「―――――はン」バシュッ





275: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:44:21 ID:tQ8rS8oU

豊久の問いには答えず、巨人は一直線に距離を詰める。

 それに対し豊久は鼻で笑い、無造作に立体機動装置のトリガーを引いた。

 アンカーの射出先は巨人の前方十メートル程度の地面。着弾と同時に石壁の符が作動し、即席の足場を作り出すと同時、


巨人「ウガッ!?」ガッ


 硬い石壁は巨人の足を引っ掛ける、即席の罠と化した。


ミカサ「!!!! (上手い!)」

ユミル(巨人の歩幅から、軸足の着地点を見極めて、正確にアンカーを撃ち込んだと!?)


 前方へと無様に倒れ伏す巨人の視界が、地面に覆いつくされる。

 その巨人の視界が、再び空を仰ぎ見ることは終ぞなかった。

 何故ならば、初撃のアンカーを放った次の瞬間には、


豊久「―――――日ノ本ん言葉喋れねえなら、死ねよ」ヒュオッ


 豊久は、止めの動作を完了させていた。





276: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:55:41 ID:tQ8rS8oU

ワイヤーから伝わる運動エネルギーをほぼ上空の方向へと変換し、豊久の肉体が中空を踊る。

 一方でもう片方のアンカーを倒れ伏した巨人の首筋へと射出。

 さながら流星の如く豊久の体は巨人のうなじへ向かって落下し、


豊久「ッチィィィエリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 己が全てを込めて振り下ろした双刀は、15メートル級巨人のうなじを首ごと削ぎ落した。


ミカサ「………!」

ユミル「――――」

サシャ「」

コニー「」


 巨人があらかじめ倒れる場所を推測していなければ不可能な戦闘判断に、傍で見ていた新人四名は息を呑んだ。

 なまじ成績優秀者ばかりが揃う彼らには、その異次元の戦法の意味が理解できず、怖気すら感じた。

 豊久の取った戦法は――――失敗すれば、死ぬ戦い方だ。





277: ◆B2mIQalgXs:2013/12/14(土) 23:58:49 ID:tQ8rS8oU

豊久「獲ったぞ!!」


 もしも巨人が石壁に躓かなかったら?

 躓いたとしても、よろけるだけだったら?

 転んだとしても、予想した場所へ倒れなかったら?


 その一つの前提が崩れただけで、この結末は逆転していた。

 ただただ凄まじく、恐ろしい。

 獰猛な笑みを浮かべ、誇らしげに勝鬨を上げる豊久にあこがれに似た高揚を抱きつつも、四者四様、考えることは共通していた。

 ――――あの一撃は自分たちには真似できない。外れれば死ぬ。

 決して真似できぬ戦い方だと、四名は肌で感じた。





278: ◆B2mIQalgXs:2013/12/15(日) 00:06:20 ID:n.YJ4SlE

エレン「おーーーーい! トヨヒサ! ミカサ!! コニー!!!」パカラッパカラッパカラッ

アルミン「ミカサー!! みんなー!!」フリフリ

クリスタ「ユミルー!! サシャーーー!!」フリフリ

リヴァイ「――――索敵漏れがいたのか」

豊久「うむ? おお、えれんに、りばいではないか」

ミカサ「エ、エレン! アルミン!」

ユミル「私らの後方にいたのかよ………クリスタ」

コニー「おお、エレン! 俺らのすぐ後ろにいたのかよ! アルミンとクリスタも…………って、なんで二人は馬車乗ってんだ?」

サシャ「馬が足りなかったんですか? あれ? 二人とも、なんだか凄く、その…………お疲れです? 目にクマが………」

アルミン「あ、あはは………いろいろ、あってね。うん、そう………この二週間、いろいろね………」アハハ

クリスタ「うん………知ってる? 徹夜ってね、三日を超えると、意識が途切れ途切れになってね?」ウフフ

コニー「は?」

サシャ「ク、クリスタ? お、落ち着いてください」

ユミル「お、おい、どうしたクリスタ? 二週間前からずっと詰所に行ったっきり帰ってこなかったことに関係あるのか?!」





279: ◆B2mIQalgXs:2013/12/15(日) 00:10:24 ID:n.YJ4SlE

リヴァイ「後にしろ。今は進め」

ペトラ「ほら、トヨヒサさんも馬に乗って!」

豊久「うむ」

リヴァイ「ちょうどいい、豊久。巨人ブッ殺して少しはウサも晴れただろう。こいつらのお守を手伝え。もう壁も近いしな………作戦の最終確認も兼ねて、少し話したいこともある」

豊久「構わんど」スッキリツヤツヤ



……
………





282:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/15(日) 11:49:10 ID:LiuuPnhM

流石豊久だ。やることが違う





295: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 21:56:33 ID:DRn5.kiw

〜年末愉快SS 黒王様御乱心〜



黒王「今年も残すところあと数時間! よいこのみんなあちまれぇ〜〜〜〜! あとがき愉快SS黒王様ご乱心の時間だよー」

アニ「はい、黒王様、お願いがあります」ズパッ

黒王「ハイ。そこのやたら目力強い数人食ってそうなホラーフェイス、なんでも聞いてみんしゃい」

アニ「」イラッ

黒王「同期の子から『アニちゃん目こわッ!』とか言われたりしない?」

アニ「」ピキピキ

黒王「おお、怖い怖い。で? お願い事? っていうのは?」

アニ「その前に聞きたいんだけど、本編は? このSSの続きは?」

黒王「新年です。ごめんなさい。フツーに実家の大掃除やらあいさつ回りやらで>>1は地獄を見ています」

アニ「そうなの。では改めてお願いがあります」

黒王「ウム。なんでも言ってみんしゃい」ズパッ





296: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 21:57:47 ID:DRn5.kiw

アニ「エレンとっ捕まえて故郷に帰るための方法を教えてください」

黒王「ウム、今のところなさそうだね。それ無理☆」シレッ

アニ「えっ」エッ

黒王「君、原作だと水晶の中じゃん。しかもシーナの。どうやって脱出するの?」ン?

アニ「え、えっと………そ、そうだ、ライナーとベルトルトが助けに来てくれたり」アセアセ

黒王「アイツらが巨人だってことはもうバレててさー。いくら原作の人類側上層部がクソでも、人相書き回して指名手配くらいするでしょ。シガンシナからこっちどうやって助けに行くの?」

アニ「ぐ……そ、それは」オロオロ

黒王「もしアナタが首尾よく水晶から脱出してシーナから逃げきれても、今度こそ捕獲されて凌辱系エロ同人みたいな展開に? なるんじゃね?」

アニ「え、えろ同人って………」カァァ

黒王「巨人の秘密についてー、吐いてもらおうかー、言えないかー、では体に聞くまでだフハハー、みたいな? 感じに? なるんじゃね?」マジデ

アニ「な、な…………わ、私は戦士だ。そんなことされたって屈したりなんかしないよ」

黒王「そうかな? アルミンくんやハンジさん辺りが、君からあっさりメスの顔を引き出す魔法の言葉を放つと思うんだけどね」

アニ「えっ!?」





297: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 21:59:56 ID:DRn5.kiw

黒王「こんな感じに」



ゲスミン『故郷に………帰りたいんだろう? 素直に僕の言うことを聞くなら………僕は君にとって『いい人』になれるかもよ……?』ニタァ

ハンジ・ゲス『ライナーとベルトルトが……どうなってもいいのかい? 君が従順になるなら、あの二人は解放してあげてもいい………』ククク



アニ「ゲスミンとハンジ・ゲスじゃねーか!」ガビーン

黒王「そんでもって後はなし崩し的にヌッチャヌチャのグッチョグッチョにされちゃうわけですよ。君は「お父さん、ごめんなさい………私帰れない……」とかなんとか言って快楽堕ちエンドね。ハラボテになってベルトルトとのNTR再会エンドみたいなのもステキにクレイジーだね」

アニ「エロ同人誌の読みすぎだからそれ!!」ガビーン

黒王「でもありそうだよね」

アニ(…………やばい、否定できない。今年のコミケどうなってんだろう。実際こういう同人誌出てそうだ)ズーン





298: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 22:03:24 ID:DRn5.kiw

アニ「さておき、このSSって私の出番がロクにないよね」

黒王「せやね」ホジホジ

アニ「このSS書きはエレアニストじゃなかったの? なんか普通にミカサとくっつきそうなんだけど」

黒王「うん、死にたいの?」

アニ「えっ」

黒王「出番あったら確実に死んでると思うけど。アナタ理解してる? 島津だよ? 島津。あの戦闘民族薩摩隼人だよ?」

アニ「で、でも私は知性巨人だし、ライナーやベルトルトと連携したら、勝利とは言わなくてもそこそこ戦えてたと思うけど」

黒王「主人公補正舐めんじゃねえ」

アニ「えー………」

黒王「じゃあ聞くけど、君、あのメンツ相手にどうやって勝つつもりだったの?」

アニ「えっ」

黒王「死に急ぎ野郎はヒロインとしても、人類最強へーちょにミカサ、そこに妖怪首おいてけに第六天魔王、源氏の英雄まで揃ってどうやって勝つつもりなの?」

黒王「逆に聞きたいぐらいなんですけどねワタシ」

アニ「そ、それは………」





299: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 22:06:34 ID:DRn5.kiw

黒王「島津が相手とか死亡フラグに突っ込むようなもんじゃん、あいつらヘタに関わると死ぬし、関わらなくても目ェつけられて関わってこられたら死ぬし」

アニ「島津はコ○ンくんだったの!?」

黒王「もっと恐ろしくおぞましい何か? じゃね?」

アニ「」コワイ

黒王「ところで話は変わりますが」

アニ「な、なに?」


黒王「アニのアとニの間に「ナ」って入れたら「アナニー」じゃん? チョー淫乱っぽいから来年までに改名してこい。生まれ変わった名前で新年を迎えなさい」



アニ「」





300: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 22:08:05 ID:DRn5.kiw

黒王「ついでにレオンハートなんつー苗字も改めれば? 直訳で『獅子の心臓』って何よ、どこが乙女なのよ中二臭い」

アニ「ひどすぎる!?」ガーン

黒王「どうせならオンスロートとかにしなさいよ、オンスロート。意味は『猛襲』。ホラ、壁壊してんだしチミタチってば」

アニ「指でわっかを作って抜き差しするな!!」

黒王「アナニー・オンスロート………プッ」クスクスプー

アニ「」イラッ

黒王「一体どこに猛襲かけようとしているの? 穴でしょ!」ビシッ

アニ「」プッツン


 カッ!!


女型「きぃぃいやああああああああああ!!」ギシャーーーッ


黒王「ぶおーーーっ、ぎゃーーーーっ、ブオーーーー!!」ブチッ



〜完〜





301:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/31(火) 22:09:17 ID:Jd5tdQkY

コミックスのおまけだあ!嬉しい!





302: ◆B2mIQalgXs:2013/12/31(火) 22:18:20 ID:DRn5.kiw

>>1です。なんやかんやでSS書き始めてから半年が過ぎました。

 来年もよろしくお願いします。ドリフやら種付けやら終わったらそのうち弱虫ペダルのSSも書きたいです。キチSS系の。

 ウンコ出して加速したりすんの。福チャンがそのゴッドハンドでフィストファックして金城を足止めしたりすんの。

 東堂が「オレの排便は音がない! スリーピング・脱糞!」とかドヤ顔で言ったりするの。
 

          ハヽ/::::ヽ.ヘ===ァ
           {::{/≧===≦V:/
          >:´:::::::::::::::::::::::::`ヽ、   モッピー知ってるよ
       γ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     _//::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
.    | ll ! :::::::l::::::/|ハ::::::::∧::::i :::::::i   クッソ汚いホモとスカトロ要素があると
     、ヾ|:::::::::|:::/`ト-:::::/ _,X:j:::/:::l
      ヾ:::::::::|≧z !V z≦ /::::/     SSの人気が出るってこと
       ∧::::ト “        “ ノ:::/!
       /::::(\   ー'   / ̄)  |
         | ``ー――‐''|  ヽ、.|
         ゝ ノ     ヽ  ノ |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄






303:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/31(火) 22:19:31 ID:CG.ZgIms

笑った。アニさん楽屋裏で思いっきりエレンといちゃいちゃして憂さ晴らししてください。よいお年を。乙。





304: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 22:51:38 ID:ymRZH8Hc

………
……


〜出立より四時間半経過(東突出区到着まで残り三十分程度)〜


豊久「して、話したいこととはなんじゃ」

リヴァイ「まぁ、いろいろあるんだが………少し、前へ出るぞ」

豊久「ぬ? 聞かれたら拙い話か?」

リヴァイ「そういうわけではないんだが―――――」チラッ



ペトラ「…………」チラチラ

オルオ「…………」ジーッ

グンタ「…………」チラチラ

エルド「…………」ジーッ


リヴァイ「こうもガン見されてるとウザすぎて話もしづらい」イラッ

豊久「お主は見た目によらず案外神経質じゃのう」





305: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 22:52:36 ID:ymRZH8Hc

リヴァイ「てめえが図太すぎるだけだ。いいから来い」

豊久「応、分かった」

リヴァイ「ペトラ、オルオ、エルド、グンタ。てめえらはこのままの速度を維持。変事があればすぐに伝えろ」

ペトラ「りょ、了解しました!」


 言うと、豊久とリヴァイは馬の速度を上げ、前方へ疾走していく。

 充分に距離を置いて話をしだした二人を横目に、ペトラは大きくため息をつき、


ペトラ「………ねぇみんな。さっきのトヨヒサさんの一連の動き見た? あの判断能力に、反応速度。ひょっとして兵長に匹敵してたんじゃない?」


 豊久とリヴァイの背を追いながら、ペトラが感嘆したような声を上げる。


オルオ「ば、馬鹿言えペトラ! あ、あの程度の動きなら、兵長だって余裕で………よ、余裕で………」ボソボソ

エルド「兵長に会った時のことを思い出したよ。何度か壁外遠征を経験して、少し天狗になってた頃だった。兵長の立体機動を間近で見せつけられて、プライドってやつが粉々に打ち砕かれた時のこと………」ズーン

グンタ「俺もだ。残ったプライドの欠片すらすり潰される音を聞いたぜ………あれで立体機動歴が二週間とかな。もう笑いしか出てこねえ」ハハハハ

エレン「……………」

ペトラ「エレン? どうしたの、難しい顔して」





306: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 22:56:23 ID:ymRZH8Hc

エレン「ペトラさん………俺、そんな顔してましたか?」

オルオ「なんだぁ? 一丁前に劣等感でも感じたか?」

エレン「劣等感…………ですか」


 ますます苦虫を噛み潰したような表情が深まり、眉間に深い皺が寄った。


アルミン「エレン? ホントにどうしたの? 具合でも悪い?」

ミカサ「エレン、どうかしたの。顔色が良くない」

エレン「い、いや。なんでもねえよ………なんでも、ねえんだ」

ミカサ「…………」


 なおも不審げに己を見つめてくる二人を適当にあしらいながら―――――先のオルオの言葉を思い出していた。

 劣等感を感じているのか、と。

 その通りかもしれないと、エレンは思った。己はきっと、豊久に劣等感を抱いている。

 この二週間の訓練の中でも、エレンは豊久の異常なまでの強さを実感していた。





307: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 22:57:41 ID:ymRZH8Hc

そして寝物語に聞かされる、彼の半生の凄まじさを聞かされ、圧倒させられた。

 己とさして変わらぬ年頃で初陣を経て、侍大将の手柄首を上げた。

 ―――自分は違う。

 その後、父の死後には一城の主となって、各地を転戦しては功績を積んできた。

 ―――自分は違う。

 その武勇伝を聞くたびに興奮する傍ら、暗く燃える嫉妬に似た感情は否定できなかった。

 エレンはまだ――――巨人を討伐したことがない。巨人という異能の能力を以って駆逐した数ならば二十にも上るが、到底自分の功績であるとは思えなかった。

 ありあまる巨躯と、それに比例する攻撃力、そして反則的な再生能力というアドバンテージを持つ巨人に対し、エレンという存在はそれらを上回る反則である。

 未だ不慣れとはいえ、人間の理性を備え、冷徹な対人格闘術を備えた『巨人の力』。

 ―――なんという『ずる』だ。そんな存在が巨人の十体や二十体程度、殺せない方が難しいとエレンは思っている。

 ミカサやアルミンは、豊久と己がどこか似ていると言ったが、エレンにとってそれは皮肉のように聞こえた。

 先の演説もそうだ。調査兵団を蔑む民草を相手取って堂々と檄を飛ばし、侮辱の声を歓声へと塗り替えた。





309: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:04:06 ID:ymRZH8Hc

翻って、自分自身はどうだろう?

 子供の頃、調査兵団を馬鹿にした男を感情任せに小突いた。何も変わりはしなかった。

 トロスト区防衛戦の時、アルミンを除く己の班員を全滅させた。何も変わりはしなかった。

 そして現在、巨人化能力を備えた人類の希望などと持ち上げられ―――――何一つ、変わらない。


 みじめだ、と思った。

 悔しい、と感じた。


 自らの才能のなさは分かっていた筈なのに、歯がゆく思うのだ。

 いつだって己の不足を嘆き、どうして自分はああではないんだという不毛な思考が頭をよぎる。

 そのたびにエレンは己の体を苛めるように鍛錬を積んできた。

 しかし、どれだけ我武者羅になっても、ミカサやライナー、ベルトルトやアニといった、己よりも成績上位の四名との距離が埋まった実感は湧かなかった。

 ましてや豊久には届かない。

 もしかしたら、このまま永遠に―――――。





310: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:09:07 ID:ymRZH8Hc

豊久「どうした、えれん」

エレン「え…………」


 より深く暗い思考に埋没しそうになった時、気づけば己の横に豊久が並走していることに気づいた。


豊久「前ば見よ。下には何も落ちておらぬ」

エレン「ト、トヨヒサ………兵長との話は? みんなは?」

豊久「じゃから前を見やれ」

エレン「え…………」


 前方三十メートルほど先に、荷馬車を含めたリヴァイ班の背が見えた。

 どうやら気づかぬうちに馬の速度が落ち、距離が離れていたらしい。


豊久「とっくにりばいとの話ば終わっておる。いくら声をかけてもお主が反応せなんだから、俺が拾いに来た」

エレン「ご、ごめん。す、すぐに合流する――――」


 馬を加速させようと手綱を握ったその手を、しかし豊久が強く握って制した。





311: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:20:56 ID:ymRZH8Hc

エレン「と、トヨヒサ? 何を――――」

豊久「えれん。お主、何を思い悩んどる」
 
エレン「ッ………!」


 エレンの内心の葛藤や焦りを見透かしたように、豊久はエレンの目を見る。

 エレンは、何も言えなかった。言いたくなかった。

 言ったところで、何が変わるとも思えなかった。


エレン「…………」

豊久「言えぬか。言いたくないか。それでも良い」

エレン「…………ごめん」

豊久「よか。じゃっどん、そがいな不景気な面では士気にかかわる。しばし、俺の話ば聞いてゆけい………そこん二人もじゃ」

エレン「え………!? み、ミカサッ!? アルミン!?」

ミカサ「エレン、大丈夫?」

アルミン「あ、あはは。サシャに馬借りて、来ちゃった」





312: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:27:41 ID:ymRZH8Hc

豊久「えれんよ。俺は言うたな。人は死ぬ。さくりと死ぬるものじゃと」


 豊久の口調は、いつものような強いものではない。どこか諭すような柔らかさがあった。


エレン「すぐに死ぬから、死ぬ気でやれってか? けどな、そんなのは、そんなのができるのは、結局才能のある奴なんだろ?」

豊久「違う。例外などない。才能など知らぬ。どんな奴であろうとも、死ぬときには死ぬ」

エレン「え………?」

豊久「俺は闘法や技術などを説いておらん。心根の、心胆の話じゃ。すぐに死ぬからこそ、生き抜く気概を持てという、魂の話じゃ」

ミカサ「………よく、分からない。あなたは、人はすぐに死ぬといった。なのに生きようとする。それは無駄ではないの?」

豊久「そうじゃ、人はさぱっと死ぬ。だからこそよ。だからこそ、必死に生きるのだ。死ぬべき時に死ぬために、生にしがみつくのだ」

アルミン「それは………それこそ、難しい話じゃないかな」




豊久「その通り。言うは易し、行うは難し。じゃっどん、えれんよ。お主が先ほど啖呵を切ったじゃろう。お主が死ぬは今日ではなく、遥か先の明日じゃと」



エレン「――――!」





313: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:31:05 ID:ymRZH8Hc

豊久「よくぞ言うたと、俺は言うたな。お主の吐いたあの言葉、まっこと正しい。美事な口上であった」

豊久「じゃっどん、なんじゃお主のその面魂は。覇気がない。この俺に啖呵を切った時のような力が微塵にもなか」

エレン「う…………」

豊久「お主が何を思い悩んでおるのか、無理に聞き出すつもりは毛頭なか。故にこそ、聞け―――――兵子とは何かを、教えてやる」


エレン「兵士とは、何か?」

ミカサ「兵士」

アルミン「兵士としての、心構え、でしょうか?」


豊久「兵子とは、幾千幾万の明日の果てに死ぬために、その日に必ず死ぬために、今日という命を惜しまず生きるのだ」

豊久「さりとて道半ばにして朽ちるものはおる。故にこそ、まっすぐに生きるのだ。己の父祖に、子孫に、誇れる己を貫くのだ」

豊久「昨日の己ば誇れるものであったと、子や親が明日に胸を張るために。明日の己が、今日の父や子を誉(ほまれ)とできるようにじゃ」

エレン「昨日の自分を、誇れるように………明日の自分が、今日を誉とできるような生き方を………」


 噛みしめるようにつぶやいたエレンに、豊久は笑顔で頷いた。





314: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:35:40 ID:ymRZH8Hc

豊久「それが兵子というものよ。お家を守る武士といういきものよ。男の生き様よ」


アルミン「男の、生き方………」

ミカサ「トヨヒサ、私は女」

豊久「ぬ、そうであったな。許せ」


 からからと笑う豊久だったが、すぐに笑みを止め、再びエレンに向き直り、言った。


豊久「俺はそうしておるだけよ。島津が家に生まれたる者の思い切ったる所作として、子や父に誇れる生き方をする」

豊久「斯様に生きれば、死ぬときはさぱっと死ねようぞ。死力を尽くして生きたのならば、悔いもなか」

アルミン「死力を、尽くして、か」

豊久「生きている間は、常に全力じゃ。刀に全てを込めて振るうのみじゃ」

豊久「後悔は死んだ後にできる。生きるのは生きている間しかできんからのう」

ミカサ「後悔は………死んでからできる」


 道理だ、とエレンは感じた。





315: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:41:24 ID:ymRZH8Hc

全力を尽くしての死であれば、そこに後悔など割り込む余地もない。

 しかし口で言うには易いそれを実行するには、なんと難しいことか。

 ――――豊久は、すごい男だ。

 だからこそ、自分の弱さが、不足が、ありありと見えてくる。

 豊久はきっと夢を叶えるだろう。まっすぐに突っ走って、いずれ故郷へと帰っていくのだろう。

 自分はどうだろう。弱くてみじめな自分は、志半ばで死ぬのだろうか。誰かに託せない夢を抱いたまま、みじめに死ぬのだろうか。

 そんな陰鬱としたドロドロの思いが、訳も分からないままエレンの口から吐き出されそうになった時、


豊久「さりとて負けることがあるのならば、それは俺の不足じゃ。敗走する時は死ぬる時よ」


エレン「…………え?」


 豊久の一言が、それを制止した。


豊久「兵子を戦へ駆り立てるのが将としての役目ならば、主らの役目はなんじゃと思う?」





316: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:44:51 ID:ymRZH8Hc

ミカサ「道を切り開く」

アルミン「策を立てて、戦局を有利に推し進める」

豊久「えれん。お主はどう思う?」

エレン「お、俺は…………俺は、どうすれば、いい?」


豊久「つい先日まで武器を持ったことすらなかった民草が、いっぱしのもののふ顔負けの覇気ば身に着ける―――それが戦場じゃ」


豊久「手柄首ば求めて魁に逸るは兵子の常。じゃっどん、そうした者ほど早死にするも戦の常よ」

エレン「け、けど、豊久は手柄首を上げたんだろ? 俺らとそう変わらないくらいの歳に! どうやって!!」

豊久「言うたじゃろう。恐れとはなんであるか。己が死ぬことか? 違う。よいかえれん。本当に恐ろしいこととはな、己の心が折れることを言う」

豊久「絶対に死なぬという覚悟の傍らに、いつでん死ぬ覚悟を置く。じゃっどん俺はまっすぐ突っ走るしかない。寝ても覚めてもそればかりよ」

豊久「さりとて俺は敵将の首ば刈り取ってきた。どうしてじゃと思う? どうしてそれができたと思う」

エレン「それは、お前が強かったから………」

豊久「否じゃ。俺がいかに強かろうと、限界はある。じゃっどん、その限界以上の力が出せるときがある」

エレン「え………」

豊久「俺の傍らには、常に俺に付き従う兵子がおったからじゃ。命ば預けてくれた者たちがおったからじゃ。俺の背ば預けるに足る兵子がおったからじゃ」





317: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:51:25 ID:ymRZH8Hc

豊久「敵将の首を狩るんは、武士の誉れぞ。滾る。さりとて思うばかりでは足りぬ。そん時、俺の傍らにあったのは先日まで民百姓であった兵子どもじゃった」

ミカサ「うん………それも、聞いた」

豊久「いつでん兵子どもは突っ走る俺の背中を押してくれた。その思いが、俺を強くする」

アルミン「付き従う兵士たちの思いが、将であるトヨヒサさんの背中を押す?」

豊久「そうじゃ。だからこそ、故にこそ、俺は多くの対象首ば刈り取ってきた」


 豊久がエレン、ミカサ、アルミンの三名に、言葉を紡ぐ。


豊久「えれん、みかさ、あるみん。お主らが窮地に立たされたとき、死を意識したとき、それを思い出せ」

エレン「!」

豊久「お主らは独りではなか。例え死すれども、その思いは主らを守るじゃろう」

ミカサ「うん!」バッ

豊久「いつでん、俺が、お主らん仲間が、お主らん背ば支えようぞ。じゃからお主らも、仲間が辛いときには支えてやれい。人はたやすく死んでしまうものじゃからのう」

アルミン「はい!」バッ

豊久「不足ば補うのが兵士の役目じゃ。主らの役目じゃ。俺とて及ばぬことはままあんど。そんな時に、俺の背ば預けられるのは、エレン! あれだけの啖呵を切ったお主だけじゃ! あとりばいもな!」





318: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:53:40 ID:ymRZH8Hc

そう言って、どこか肉食獣を思わせる獰猛な笑みを浮かべると、豊久は馬の速度を上げて、荷馬車に向かって走り去っていった。


エレン「トヨヒサ………」

アルミン「強い人だ」

ミカサ「………ええ」

エレン「俺は多分、生まれて初めて、人を尊敬した……初めてだ、こんな気分は。心の底から敬意を払いたいって気分になった」

ミカサ「エレン………」

エレン「前へ。前へ。前へ。ただひたすらに突っ走る。ただそれだけ」

ミカサ「だけど、それしかない。それしかできない。それ以外に目もむけずに走り続けることは、きっとすごく難しいんだろう」

アルミン「僕らが、仲間がいるから、か。あの人が言うと、重みが違うね。そこいらの兵士が言っても、単なる甘えにしか聞こえなかっただろう」


島津豊久は先陣を切ってきた。誰よりも強く戦いを求め、勝利を重ねてきた。

兵士たちの視線の先には、常に彼の背中があった。

将という立場にありながらも、誰よりも危険な場に立ち、死地へと進んで飛び込んでいった。

最も過酷にして危険な最前線に立ち続けてきた者だからこそ、その言葉は重く、エレンらの心に強く響いていた。





319: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:56:18 ID:ymRZH8Hc

エレン「なぁ、ミカサ、アルミン。あいつが元の世界で率いた兵士たちも、こんな気持ちだったのかな」

ミカサ「え?」

エレン「見ろよ、あの背中をさ――――あの背中を見て、トヨヒサを死なせたくねえって、一緒に戦いたいって、戦えることが誇らしいって、そういう気持ちになったのかなって」

アルミン「………うん、そうだね。きっと、そうだよ」

エレン「きっとあいつが振り返らないのは、そこに支えてくれる仲間がいるからなんだな。だから振り向かない。あいつらはそこで、俺を支えてくれると信じているから、振り返る必要がない」


エレン(これが、これが異世界の戦士。これが―――――これが、武士(もののふ)!)



 新兵三名を背に、豊久が独り言ちる。


豊久「俺が初陣を飾ったのも、えれんぐらいの歳であったか―――――」


 子をもうけていたら、あのぐらいの歳ごろになっていたのだろうか、と。

 柄にもなく、豊久はいもしない息子や娘のことを思うのだった。



……
………





320: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:58:03 ID:ymRZH8Hc

〜今日のおまけ〜
【荷馬車の上のアルミンとクリスタとオルミーヌ】

オルミーヌ「こ、この二週間、ずっと水晶造りと石壁の符を作ること以外してない………一日当たり一人六百枚作製がノルマなんて………」

アルミン「僕も………疲れたよぉ。僕たち三人で、調査兵団の全員に五十枚以上行き届くようにするだなんて、ムチャだよぉ……」

クリスタ「も、もう疲れたよぉ………なのに、まだ書くのぉ……? 手が、手がぁああああ! 手が痛い」

オルミーヌ「他の人たちにも使えるように改良するの、本当に大変だったんですからぁ………眠い、眠いよぉ………」

晴明『手が止まっているぞ。まだまだ符は要るのだから、ドンドン書け』

オルミーヌ「ひぃいいいいい!! なんでこんなところまで来て符を作らなきゃいけないのぉおおおお!!」

晴明『グダグダ抜かしてないで、さっさと書け』

アルミン「うわああああああ!! 荷馬車の揺れで、字が歪んだ! 書き直し!? もういやだ!! 手が! 手が疲労骨折する!!」

クリスタ「もう手首がぱんぱんに張って、感覚がないよぉおおおお!!」

晴明『仕方ないだろう、見たところ、符を作れるほどに魔術適正が高そうなのは、君たちだけだったんだから』


オルミーヌ「悪鬼ッ! 妖怪爺ッ!」

アルミン「外道ッ! 地獄の番人ッ!!」

クリスタ「悪魔っ! ひとでなしっ! 壁教徒も真っ青なブラック企業!」





321: ◆B2mIQalgXs:2014/01/03(金) 23:58:45 ID:ymRZH8Hc

晴明『懐かしいな。それらは全て私が調伏してきた奴輩だ』

晴明『ところでオルミーヌ、どうしてハンコを作らなかった? それなら製作も容易だろうに」


オルミーヌ「」

アルミン「」

クリスタ「」



晴明『うん。すまないことを言った。思いつかなかったんだな………』

オルミーヌ「うわあああああああああん!!」




 締め切り直前の漫画家の現場のようであった。





339: ◆B2mIQalgXs:2014/01/27(月) 21:42:26 ID:UNepKD0.

※私事ですが………中国でね。接待をね、フフ……受けたんですよ。
要約すると私は現地社員(中国人)の「キレイどころがいっぱいいるアル」的なお話から期待に胸を膨らませていたわけですな。
で。だ。うん、キレイどころいっぱいだったんですよ。


――――曹操あたりが存命だった頃に美人と呼ばれていたであろう、豚足娘々がいっぱい。


               __‐`'´''"'マ          ____\   ー‐┐    |一
                Z.    __`ゝ          \      ノ´   ⊂冖
 ∧      /|   ゙仆斗┘リート=┬-、_      \    ー‐┐   ,/
/   ∨\/   |    `L,.っ,ノ u }ノ ノ   \      ,>   ノ´   \
         |__    兀.!_// i |     l、     く.   ー‐┐ ー|ー
ー‐┐ ー|一ヽヽ /  u' \ヽ‐'´  !|     ト、     \   ,ノ´   ̄匚ノ
 ノ´   ノ こ  /_____,  }j  ハ、  ヽ ヽ,___/    /  ー‐┐  ┼‐ヽヽ
ー‐┐  ニ|ニ.     / ___ノ /\_,≧/ u 人.   /     ,ノ´   ノ こ
 ノ´   ⊂冖   く  {上rン´  ,厶../ / ヽヽ   \    ||  ニ|ニ
ー‐┐  |     /    ̄   ノ{こ, /,〃   !|    \   ・・   ⊂冖
 ノ´   l.__ノ   \     ,.イ !l`T´ | /     |:|     /       |
ー‐┐ ー‐;:‐    \   //    l  |     |_|   ∠.、       l.__ノ
 ノ´   (_,     /   ヒ_ー--、_|ー、____,ノj┘    /        ┼‐
ー‐┐   /     /     \ ̄\ー`トー-<    /          ノ こ
 ノ´   \     \      \  ヽ  \  ヽ    ̄ ̄|
 | |   」z.___    >       \. ヽ.  ヽ   l      |/l   /|  ∧  /\
 ・・   /| (_,  /           ) lヽ   ',  l、      |/   | /   V
       ┼‐   \       , イ、_,上ハ   }  小          |/
      ノ こ     \     (乙≧='''"´ ,∠,__ノ/
      ┼‐ヽ    /           厶乙iフ/
      ノ ⊂ト  く               `¨¨¨´
                \






341:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/28(火) 08:51:52 ID:.G/264FM

その怒りは巨人で晴らそう(提案)





345: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 21:51:47 ID:eeZUKKU6

………
……


〜壁外遠征から5時間経過〜


ミケ『ッ――――いよいよだぞ、エルヴィン!!』

エルヴィン「ああ、こちらにも見えている―――――東突出区の壁だ!!」

ハンジ『ッ!! このタイミングでっ………後方より巨人接近!! 数は八!」

エルヴィン「総員、最高速度だ!! ここが正念場と心得ろ! 背後の巨人を振り切り、一息に東側突出区へと入る!!」

『『『『了解ッ!!!!』』』』


 エルヴィンの命が下され、水晶球からいくつもの力強い返答が波濤の如く返る。

 見る見るうちに騎馬は速度を上げ、巨人を振り切れる最高速度へと達した。

 高揚し、雄たけびを上げながら馬を駆る兵士たちの中、一人苦虫をかみつぶしたような表情で俯く兵士がいた。


ライナー(ッ、クソ………アニがいないことが本当に祟る。あいつなら調査兵団の馬の最高速にだって追いつけるってのに!)


 内心で吐き捨てながらも、しかしライナーの瞳は怪しげな暗い光を宿していた。





346: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:02:48 ID:eeZUKKU6

ライナー(だが―――――機はここだ! やるとすれば、この次のタイミング! 俺達が全員東突出区の門の中に入った時!)

ライナー(巨人化するとすれば、そのタイミングがベストだろう。ベルトルトも同じことを考えているはずだ)


 言葉を交わす距離にいなくとも、同じ『戦士』としての思考回路がそれを確信させる。

 ライナーの信頼は正しく、ベルトルトもまた同様の作戦を考えていた。


ベルトルト(僕が突出区内の中心で超大型巨人に変身。注意をひきつけている間に、鎧の巨人が内門を破壊。背後に迫っている巨人ごと東突出区内に突入する)

ライナー(後はエレンを見つけ出して捕える。ここにいる連中は、かわいそうだが皆殺しだ)


 超大型巨人が壁付近以外で出現することの意味。それは絶対に倒せないということだ。

 彼のうなじを削ぎ落すには、彼の体を立体機動で登らなければならない。

 火薬付の矢に関しても、蒸気を吹きだすことで完封できる。相手側の自滅すら狙うことも可能だ。

 鎧の巨人に関しては絶対はないとはいえ、その機動力は女型に劣るものの素早く、硬い。十発程度の火薬矢ならば、彼の鎧はやすやすと防ぎきるだろう。

 ライナーたちが狙うのは、東側突出区という隘路に兵士たちを全て閉じ込め、そこに巨人たちを放り込んでの乱戦だ。

 いかなエルフの弓が卓越しているとはいえ、火薬には量的限界があり、人間には体力的限界がある。

 エレンが巨人化して、ライナーの方に向かってくれれば、後はすべての状況が整う。





347: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:05:09 ID:eeZUKKU6

戦場が混乱した最中で、ベルトルトが超大型巨人をあえて崩壊させ、蒸気の大噴射による広域攻撃を行う。

 一般兵はそれで一時的に昏倒する。運よく蒸気から逃れた者も、無傷とはいかないだろう。

 頑強な鎧に守られたライナーは悠々とエレンを回収した後、ベルトルトが確保。兵士たちを皆殺しにし、一先ずはライナーだけがカラネス区へと帰還する。

 ――――他の隊員は全滅し、生き残りは自分一人だったと報告する。

 頃合いを見てアニと合流し、カラネス区から密かに抜け出し、ベルトルトの待つ東側突出区へ向かい――――。


ライベル(後は、三人で――――エレンを連れて、故郷に帰るだけだ!!)


 彼らにはそのビジョンがありありと見えていたのだろう。

 巨人の謎を盾に取った完璧な作戦だ。

 だが、そこには確実に穴があった。

 ライナーたちが冷静ならば、気づいてしかるべきことである。

 東側突出区の門は固く閉じられている。その中に馬ごと突入するのであれば、先行して門を開ける人員が必要不可欠である。

 だが、その兵士はいない。

 先行する兵士が一人もいない。





348: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:06:24 ID:eeZUKKU6

彼らが冷静に周囲を見ていたのならば、その事実に気づいただろう。

 そしてその事実が、何を意味するのかまでも。
 


信長「―――――――温ィんだよ、うつけが。門なんざ開ける必要はねえ。これっぽっちもねえ」

信長「何故ならば、そんなもんを使うことなく、俺達は壁の上に上がれるからだ―――馬とともにな」



 稀代の英雄、第六天魔王の策略を見切れなかったことを意味していた。





349: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:23:14 ID:eeZUKKU6

壁まで残り数百メートル。

最前線の兵士達を率いるは、那須資隆与一。


与一「――――弓隊、構え!! 各自、作戦前に通達していた射撃箇所は頭に入っていますか!」

エルフ「は、はいっ!!」


 与一とエルフ達が矢をつがえ、弓を引く。

 しかし、その矢じりに結ばれていたのは、火薬筒ではなく。

 ――――石壁の符。


与一「放てぇええええっ!!」

 与一の号令の下、一斉に引き絞られた弓から、散弾の如き勢いで矢が発射される。

 それらは一直線に壁へと向かい、突き刺さり、そして―――――。


リヴァイ「ッ―――――!! 話には聞いていたが、やはりやるな、エルフども!!」

エレン「あ、あれって………壁から、更に石壁を生やして!」

アルミン「段々状に、壁の上に向かって……まさか、あれは!!!」





350: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:27:21 ID:eeZUKKU6

ミカサ「か、階段? おおきな、階段を作ったの?!」

ペトラ「す、すごい………あのおじいちゃん、木苺ばっかり食べてるおじいちゃんだと思ってた」

オルオ「ただの木いちごじーちゃんじゃなかったのか……」チラッ

ハンニバル「うまいのう、うまいのう。木いちごはいっぺんにたくさん頬張るとなおうまいのうー。ションベンちびりそうじゃー」ジョボジョボ

エルフ「わー、わーーーっ! おじいちゃん、ちびってる! ちびってるよぉ!!」


 馬を壁上に運ぶにあたって問題となった争点がここだった。

 馬は重い。立体機動のワイヤーで一頭ずつ引き上げることは不可能ではないが効率性に乏しく、何よりも膨大な時間とガスを消費する。

 それを一挙に解決するのが、馬自身の力で壁に登るという逆転の発想――――石壁の符と矢を用いることで、階段を作り出すという荒業。

 荒唐無稽な、しかし効果的なその運用方法をひねり出したのが、カルタゴの名将・ハンニバル・バルカ。その発想は、世界をまたいでなおその異彩を輝かせる。


豊久「美事!! 御美事!!!」


 咆哮し、我先にと馬を石壁の階段を駆け上がらせる豊久。その豊久の姿を見て、急造の階段には充分な強度があることを確認した兵士たちは、豊久の背を追うように、彼へと続く。

 その間もエルフ達は次々に矢を射掛け、階段の数を着々と増やしていく。

 出来上がった階段を、他の兵士たちが駆け上がる。馬車の物は資材を確保した後、荷車を破棄し、更にそれに続いた。





351: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:31:54 ID:eeZUKKU6

これに面喰ったのは、無論ライナーとベルトルトの二人だ。

 門を開かない。このまま壁の上に登るとなれば――――彼らの作戦は前提からして崩れ去る。

 同じ平地での勝負であるからこそ、人対巨人は巨人が圧倒的に優勢なのだ。

 高所の戦いは、巨人にとって圧倒的に不利。――――否、あのエルフ達がいる現状においては、死地。


ライナー(ッ、だめだ。登らせたら―――――!!)

ベルトルト(ッしまった………もう、遅い!! もう―――――)


 視線の先には、半数以上の調査兵団員が階段を上りきる姿があった。

 彼らが変身すべきだったのは、壁までの距離が一キロを切った瞬間だった。

 壁の上に登らせてしまっては、勝ち目がゼロになる。

 鎧はともかく、超大型はその巨体故に十全な戦力を発揮できない。

 まして自壊による蒸気爆発で巻き込める人間がごっそりと減ってしまうのだ。

 半数以上のエルフが残ってしまった場合、巨人化を解いたベルトルトは無防備となり、あっさりと射殺されることになるだろう。





352: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:33:39 ID:eeZUKKU6

ライナー(ッ………死ぬのは、いい。だが、犬死だけは駄目だ)


 血がにじむほどに歯を食いしばり、しかしライナーは諦めた。


ライナー(今は諦める。次の機を……待つ。今やれば、良くて共倒れ………最悪犬死だ)

ベルトルト(ここで僕らが死ねば、身元を調査される………同郷のアニが疑われる。それだけは避けなければならない。絶対に!!)


 激情を抑えながら、二人もまた馬を駆り、階段を昇って行った。


 ――――そして思い知る。

 ――――次の機など、ないということに。





353: ◆B2mIQalgXs:2014/02/02(日) 22:37:10 ID:eeZUKKU6

※ハイ、皆さん予想通り、那須与一の本領発揮、壁ドンです。

 ライナー・ベルトルトは涙目ですが、これからもっと泣いてもらいます。

 泣きながらだぢげでぐでぇーと糞尿漏らして逃げ惑う二人を見たくないという方はブラウザバック推奨。

 本日投下は短いですがここまでです。

 来週末は投下できる見込みです。また中国とかはないです。あっても断るんで。マジで。

 本当にお待たせしてますが、絶対書き切るのでごゆるりとお待ちいただければ幸いです。





357: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:29:44 ID:1RgLhNyU

〜おまけ劇場〜

【そのころのアニちゃん。そのいち】


アニ「あのう」


ロリカード「あん?」

アニ「ちょっと廃棄物(エンズ)扱いでこっちの世界来て巨人側に味方してくれませんか」

ロリカード「ムリ。私出たらチートっていうかバグ扱いだし」

アニ「そこをなんとか。というかこの戦況ひっくりかえせそうな単騎戦力がほとんどいない。英雄王でも呼べってのかい」

ロリカード「ムリったらムリだっつーの。ぶっちゃけ人類滅ぼしたら私の食糧どーなるんだって話だっつーの」

アニ「そ、そんなこと言わずに! 進撃世界で死の河を展開してよ! 壁内人類食い尽くしていいから!」

ロリカード「そこまで言うならやってもいいけど、いいの? おまえらも死ぬけど」

アニ「えっ」





358: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:34:17 ID:1RgLhNyU

ロリカード「拘束制御術式・零号解放。通称犹爐硫廊瓠アレね、言うなれば無差別攻撃。制御不能なのよ、ワカる? できるのは出すか引っこめるかしかねーの」

アニ「えっ」

ロリカード「わかりやすくスタンドで例えるとノトーリアスBIG」

アニ「なにそれ」

ロリカード「動いてるものとりあえず追い回して喰う。残機に限りはあるけど、どんどん捕食して強くなるので、実質ずっとオレのターン状態」

アニ「」

ロリカード「老若男女どころか人類巨人区別なしですからネー」

アニ(改めて考えてみると、なんて酷いバグ性能だ………)





359: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:36:18 ID:1RgLhNyU

ロリカード「味方が多ければ多いほど使い勝手悪いんだよねアレ。原作だとロンドン市民ほぼ全滅してたし、ヘルシング側の生き残りがインテグラとセラスだけで、高所に陣取ってたから気兼ねなく展開できたけど」

アニ「……つまり?」

ロリカード「壁内にいる時点で詰んでる。人類どころか全生物の滅亡待ったなし。うん、それはそれはムゴたらしく死ぬだろうさ」

アニ「うわぁ……」

ロリカード「更に言えば」

アニ「い、言わなくていい………いえ、いいです。やめて。なんか想像できるからやめて」

ロリカード「特におまえら中途半端な再生能力のある巨人化能力者は、フツーの人間より悲惨に死ぬだろうな」

アニ「やめろ……」

ロリカード「早々死なん肉体であることが逆に苦痛を長引かせてしまうわけだ。さながら旧劇場版エヴァの弐号機の如く捕食されつくされるだろーネー。あるいはBETAに取りつかれた戦じゅt」

アニ「やめろォ!! 聞きたくない!!」





360: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:37:48 ID:1RgLhNyU

ロリカード「10メートル以上の巨人は手こずるだろーけど、こっちにゃワンコ(バスカヴィル)もいるし、魔弾やトランプもいるし、物量が違うからネー。2〜5メートル級の巨人ならラクショーだろーネー。捕食される巨人とかマジウケる」

アニ「うわぁ………」

ロリカード「そして続々と死の河のメンバーに加わる巨人ゾンビ。被害は加速度的に広がって私の人類(ごはん)がマッハで枯渇」

アニ「地獄だ……」

ロリカード「ん? そういえば数百年生きてるけど、巨人の血は飲んだことなかったな」ギラリ


アニ(あっ……(察し))


ロリカード「ヤッベ、俄然興味が出てきた」


アニ(この流れ、ヤバくね?)アセアセ


ロリカード「そういえば―――――腹が減った」ペロリ


アニ「」ゾクッ





361: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:40:15 ID:1RgLhNyU

シュゥウウウウウウ……



アーカード「なぁ巨人のお嬢ちゃん………処女か?」ニィィイイ


アニ(あ、やっぱこれアカンやつや)



 ハァアアアアアア………
 ギャーーーーーー


………
……



ロリカード「ごっそさん。あとバァさんと婦警呼んでるから帰る。後は頑張んなさいネー」ズズズズズ

アニ(吸血鬼)「ひっく、ひっく、ちくしょう、ちくしょう………」エグッエグッ



【〜完〜】





363: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:46:35 ID:1RgLhNyU

〜おまけ劇場〜

【そのころのアニちゃん。そのに】


アニ「あのう」


ウォルター(ショタ)「なにー?」ダラダラ

アニ「そのシャレんならないチート糸で、人類をことごとく切断してみる気はない?」

ウォルター(ショタ)「え、やだめんどい」

アニ「そ、そんなこと言わないで」

ウォルター(ショタ)「僕、アーカードをブッ殺すことだけが望みだったしぃー。そのために全て捨ててぇー、それでも勝てなかったしぃー、もーどーでもいーんだよねー」ポケー

アニ(なんというやる気のなさ………)





364: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:48:28 ID:1RgLhNyU

ウォルター(ショタ)「つーか僕が味方するとイコール裏切りフラグ立って君らの命もマッハでヤバいけど、そこんとこ理解してる?」

アニ(あれ、なんかまたこれヤバいやつじゃない?)

ウォルター(青年)「そもそも私は化け物殲滅機関のゴミ処理係なのだが………その前に立つ貴様は何だ?」

アニ「そんな………声まで変わって………」

ウォルター(青年)「――――ゴミです。巨人は死ねば、ゴミになる。そうだろう? アニ・レオンハート」

アニ「あっ………(察し)」


 シュウウウウウウ……


ウォルター(老)「小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命乞いをする心の準備はOK?」ズパッ

アニ「」


 シュパパパパパパパ
 ギャーーーーー


【〜完〜】





365: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:51:54 ID:1RgLhNyU

〜おまけ劇場〜

【そのころのアニちゃん。そのさん】


アニ「うぅ………ひどい目にあったよ………」ボロボロ

アニ(ホントに神様にでも祈りたい気分だ………どうやったら私たちは故郷に帰れるんだろう)トボトボ

アニ(………あれ。こんなところに教会が)

アニ(………)ウーン




アニ(ガラじゃないけど、ホントに祈ってみようかな………祈るだけならタダだしね)テクテク





366: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:55:46 ID:1RgLhNyU

アニ「ご、ごめんください………」

???「おや、こんな夜更けに我が教会に訪れるとは、どういったご用件ですかな、お嬢さん」

アニ「(あ、神父様だ)あ、あのう………そ、その、ちょっとお祈りしたいことがあって」

???「何やら深刻な様子ですね? 神はすべての迷い子の行く道を照らしてくださります。良ければ詳しく聞かせてもらえますか?」ニコニコ

アニ「(あ、よ、よかった。今度こそ優しそうな人だ………)は、はい。実はそのう―――――」


 〜相談中〜


アニ「………と言うわけで、私たちに味方してくれる、心強い味方はいないでしょうか」


???「……………」


アニ(あ、あれ? 笑顔が消えた………)





367: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 22:58:33 ID:1RgLhNyU

???「―――――舐めるなよ、売女(ベイベルン)」

アニ「えっ」

???「我々ローマは! ヴァチカンは!! 数千年にわたり異端を殺し、化け物どもを駆逐してきた!!」

アニ「あっ……(察し)」

???「そんな我らが、我らの神が! 貴様ら薄汚れた巨人(フリークス)なんぞに、慈悲を掛けてやるとでも思うかァアアアア!!」

アニ(これ、一番助け求めちゃアカン相手だったわ)



アンデルセン「我らは神の代理人………神罰の地上代行者。我らが使命は、我らが神に逆らう愚者を、一遍残らず絶滅すること」

アニ(もう神様なんて信じない)


 イェェエエエイメェエエエエエン
 ギャーーーーーーーーー


【〜完〜】





368:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/03(月) 23:01:44 ID:bAScm3tI

今日はおまけびよりだな。





369: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 23:03:15 ID:1RgLhNyU

〜おまけ劇場〜

【そのころのアニちゃん。ふぁいなる】


アニ「…………う、うう。くそう、どいつもこいつも………誰でもいいから、少しでもか弱い乙女を助けてやろうと思う奴はいないのかい…………」ボロボロ

アニ「ひっく、ひっく………帰りたい。故郷に帰りたいよぉ………お父さぁん………寂しいよぉ…………」ポロポロ

アニ「えぐっ………えぐっ………」トボトボ


??「そこの小柄でちょっと髪型がセイバー似の美少女、ウェイトアミニッツ」


アニ「えっ(ま、まさか本当に―――――)」




少佐「問おう―――――君が私のサーヴァントか」デブーン

アニ「」





370: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 23:04:30 ID:1RgLhNyU

少佐「力が欲しいか!? 力が欲しいのならばくれてやる。だからこのセイバーコスを身に着けて私をマスター、もしくはシロウと呼べ」

アニ「」

少佐「さすれば君はわれら最後の大隊という、百万と一人の軍集団を得るだろう」

アニ「あ、いや、その、結構です」

ドク「あーーーッ! ずるいですよ少佐! その子は私が目をつけてたんですよぉ!!」

アニ「!?」

少佐「うるせーーーーーーッ!! これは私の見つけたセイバーだ! テメェにはあの猫耳ショタくれてやるから隅っこの方でニャンニャンしてろ!」

ドク「いらねえよあんなバッタもん! 私が今、最も興味を示しているのはセイバーもとい、そこの若干闇堕ちしたっぽい目つきの金髪美少女だけです!」

少佐「セイバーは俺の嫁だっつってんだろぉぉおおおお!!」

ドク「いいえ、私の嫁ですよぉおおおお!!」

アニ「ひぃいっ………なんなの………なんなのこいつら………」ビクビク





371: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 23:05:46 ID:1RgLhNyU

ガラッ!!


アニ「ひっ?! こ、今度は何!?」


シュレディンガー「―――――この泥棒猫」キッ


アニ「猫はテメーだ! いちいちあざといんだよ猫耳ショタ野郎! 何なのもうほんとに!!」

リップヴァーン「有象無象の区別なく、私の弾丸は許しはしないわ」キリッ

アニ「今度はなんかユミルっぽいのが来た! 同人誌で散々にオカズにされてそうな人きた!」

ゾーリン「勃ってるち○こは、親でも使え」ザガッツ

アニ「ギャーーーー!? こっちくんなーーーー! おかされるーーー!!」





372: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 23:07:12 ID:1RgLhNyU

トバルカイン「ドーモ、アニ=サン、伊達男です」

アニ「テメーもこっちくんな! 格好から声から、何もかもがうっさんくせえ!!」

ヤン「泣いてるアニちゃんの顔は最高に勃起モンだぜ」

アニ「サテライトキャノンでも撃ってろ!」

ルーク「月光蝶である!」

アニ「狗のエサにでもなってろ!」

大尉「今日のわんこ」ガオーー

アニ「お前みたいなデカい犬がいるか!!」


【〜完〜】





373: ◆B2mIQalgXs:2014/02/03(月) 23:09:31 ID:1RgLhNyU

※私さぁ、疲れてんだよ、きっと。(言い訳)

 久々に早く帰れた日に限ってこんなの書いてました。正直すまんかった。

 週末には本編を進めます。





383: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:38:57 ID:2UpQjySQ

〜ウォール・マリア 東突出区・壁上〜


豊久「うむ、絶景かな。こげん高い場所から、見渡す限りの大地を見やるのは、気持ちがええのう」

エレン「すげえ………いともあっさり。こんな、こんな簡単に」

ミカサ「ウォール・マリアに、辿り着けるなんて」

アルミン「ノブさんの作戦、すごい………すごいや………」ポロポロ

クリスタ「ホントにすごいよね………って、えええ?! アルミン、どうして泣いてるの………!?」

ミカサ「だ、大丈夫、アルミン? 頭、痛いの? 寝てないって言ってたし、風邪?」オロオロ

アルミン「えぐっ………ご、ごめん。違う、違うんだ」


アルミン「この壁を伝っていけば、もう、すぐそこなんだ。僕の、僕たちの故郷が………シガンシナが」


クリスタ「―――――!!」





384: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:40:19 ID:2UpQjySQ

アルミン「辛いこともいっぱいあった街だった。でも、それ以上に楽しいこともあった街だ。僕が生まれ育った街だ。エレンと、ミカサと、毎日遊んだ街なんだ」ポロポロ

ミカサ「アルミン………」ウルウル

クリスタ「そうか。そうだよねえ。辛い、よねぇっ………」ポロポロ

アルミン「ご、ごめん、情けないところ、見せて。で、でも、でもさぁ、帰れるって………かっ、帰れる、って、そう、お、おぼっ、だ、ら………涙が、止まらない。止まらないんだよぉ………」ポロポロ

エレン「アルミン………泣くな!!」

ミカサ「エレン?!」

クリスタ「エレン、そんな、言い方は………」

エレン「違う! アルミン、ミカサ! 涙は、シガンシナまで取っておこうぜ! そこで、目いっぱい泣こう! 俺も、ミカサも、いっぱいお前と一緒に泣くから! だから………」ウルウル

ミカサ「うん。帰ろう――――私たちの、家に」ウルウル

アルミン「うん………う゛んっ………」ニコッ





385: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:43:16 ID:2UpQjySQ

豊久「安心せい、あるみん。俺が、きっちりお主を家ば帰してやるでな」ニカッ

アルミン「ありがとう、ありがとう、おトヨさん………」

エレン「何言ってんだよ、アルミンとミカサと家に帰すのは俺だってーの!!」

豊久「きょじんの一匹のうなじも取っておらぬお主がか? 俺は討伐数一じゃが」プークスクス

エレン「それを言うかよ! それを! 見てろよ、俺だってすぐに巨人の十匹や百匹ぐらいなぁー!!」ギャースカ

豊久「おうおう、やってみい。その間に俺は巨人の千匹のうなじば掻きとってくれようぞ」フンガー


 ブォーギャーーブォーー ナンガドォヤンノカコラヤンノカコラ ウルセェボケェーシネェー


アルミン「あ、あはははっ。もー、あの二人は、まったく」ニコニコ

クリスタ「ふふっ、なんだか、似てるよね。あの二人」ニコニコ


ジャン「ふん………(ま、今日は見逃してやるか)」


ジャン「故郷、だもんな………母親喰われて、家族もいない。だけど、故郷なんだよな、あいつらの。そりゃあ………泣くぐらいするだろうぜ」

ジャン「おまえもそう思うだろ――――――ライナー」

ライナー「…………あ、ああ。そ、そうだ、な………」

ジャン「? 歯切れが悪いな。って、顔色悪いぞおまえ。大丈夫か?」





387: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:48:50 ID:2UpQjySQ

ベルトルト「ライナー、調子が悪いみたいだから、僕が連れていくよ」

ジャン「おお? ベルトルト、おまえも来てたのか。じゃあ、頼むぞ」

ベルトルト「うん…………ライナー、分かってるよね」

ライナー「もう、こうなったら………やることは、一つだ」

ベルトルト「ああ。運よく見つけた。それに、警備も手薄だ。やるとしたら、今だろう」

ライナー「待て、その前に、少し話がしたい………」





エレン「じゃあ、俺は資材をまとめる作業があるから、またな、トヨヒサ、ミカサ、アルミン」

ミカサ「うん。また」

アルミン「後でね、エレン」

豊久「はよ終わらせい」



ライナー(上手いこと、一人になってくれたことだしな………)





388: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:51:31 ID:2UpQjySQ

ライナー「…………エレン」


エレン「? おお、ライナー、それにベルトルト。どうしたんだ? 深刻な顔して」

クリスタ「本当。顔色が良くないよ? お薬持ってこようか………?」

ベルトルト「……………あ、ああ、うん。頼めるかい、クリスタ」

クリスタ「わかった。ちょっと待っててね!」タッタッタッタ

ライナー「エレン、少し、いいか? 話があるんだ…………」

エレン「俺に? 話?」




エレン(…………)




エレン「? 手短に頼むぜ? 資材をまとめる作業もサボるわけにはいかねえんだし」

ライナー「ああ、こっちの要件も――――手短で済む」ニヤァ





389: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:54:58 ID:2UpQjySQ

………
……


〜壁外調査前日・調査兵団執務室〜



信長「入るぞ………ぬ、エルヴィン、りばい、はんじか。丁度良い。お主ら三人にだけは話しておこうと思う」


 夕食の時間が近づいてきた夕刻に、信長は執務室を訪れ、開口一番、驚くべきことを言った。


信長「他言無用ぞ―――――内通者の正体が分かったやも知れぬ」

リヴァイ「――――何ッ!?」

エルヴィン「確かか?」

ハンジ「誰?」

信長「まあ、順を追って説明するから、そうがっつくでない。まず巨人めらの、奴らの狙いは、おそらく―――――えれんとかいう小僧の身柄」

エルヴィン「根拠は?」

信長「明確とは言い難い。だが、確信はある」





390: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:56:27 ID:2UpQjySQ

信長「まず、内通者はどこにいるのか。俺の推測を聞いてもらおうか」

エルヴィン「…………」

リヴァイ「…………」

ハンジ「…………」


信長「結論から言う――――104期訓練兵団の新兵どもが臭い。というより、あやつらしか考えられん。内通者は絶対にあ奴らの内の誰かじゃ」


信長「超大型巨人は、シガンシナを襲撃してから、何故五年の月日の間、沈黙していた?」

信長「彼奴等は学んでいたのだ。壁内の文化を、巨人殺しの技術を。訓練兵としてな! 知ることで、侵略のための戦術とするために」

信長「そして五年後なり、十二分に学び、培い、それらを実行する日が来た――――それがとろすと区防衛戦だ」

エルヴィン「―――――」

リヴァイ「――――」

ハンジ「………」


 信長の言葉に衝撃を受けるエルヴィンとリヴァイ、ハンジだったが、何も口にすることはなかった。

 ただ、信長の次の言葉を待つ。





391: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:58:11 ID:2UpQjySQ

信長「知性巨人めらの目的を、壁内人類の滅亡と仮定する。五年前のうぉーるまりあ陥落しかり、先日のとろすと区襲撃とやらもしかりじゃ。しかし、そうなると腑に落ちんことがある」

信長「どうして彼奴等は、陥落寸前だったとろすと区防衛戦において姿を現さなんだ? しがんしなの際には、『鎧』とやらが現れ、内門を破壊したのじゃろう?」

信長「俺はこう考えた。人類の抹殺以上の目的ができた―――――否、そうしなくても済む理由が現れたのではないか、と」

リヴァイ「―――――エレンか。あのガキ自身も知らなかった巨人化能力で、トロスト区内の非知性巨人どもを、二十体以上殺した」

信長「そう。そしてその姿は、他の多くの兵士たちも目撃したというではないか」

エルヴィン「奴らがあれ以上にトロスト区を攻めなかった理由は、エレンだと?」

信長「そうだ。とろすと区内だけを散々に破壊して、それでハイオシマイ。これはあまりにも半端じゃ。途中で目的が変わったとしか思えん」

信長「東西南北、いついかなる時代の兵法においても、斯様に半端な城攻め………否、壁攻めなどあるものか」

信長「奴らが目的を変えたとすれば、それはえれんだ。あ奴以外にはおらん――――推測じゃ。嗤うか?」


 嗤うことなど不可能だった。エルヴィンとリヴァイは示し合わせたかのように、同時に固い唾をのみこんだ。

 信長はその有能さを常に示してきた。

 巨人を相手にではない。思考する人間を相手に戦って戦って戦い抜いてきた、智将としての有能さを。

 人の心の間隙に滑り込むような作戦を立てた。

 その彼が言うのだ。よほどの確信があってのことだろう、と。





392: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 22:59:35 ID:2UpQjySQ

信長「少し、話を変える。とろすと区における防衛戦。そのきっかけとなった超大型によるとろすと区外門の破壊。これは明らかに計画的じゃ。彼奴が現れる直前に、お主ら調査兵団は壁外調査へと出ておる」

エルヴィン「そうだな」

リヴァイ「偶然、とは言い難いだろう。だが、」

信長「調査兵団の壁外調査の報は、一般市民にも広く周知されていた。これだけでは内通者がいずこにおるのかは分からぬ。じゃが――――超大型が襲撃したその前日に目を向けると、少しばかり気になる出来事があった」

エルヴィン「トロスト区が襲われた前日?」

リヴァイ「…………まさか、訓練兵団の解散式か?」

信長「その通り。訓練兵団は解散し、訓練兵どもはそれぞれの志望する兵団へ所属する」

信長「その多くは駐屯兵団への所属を希望するという。だが、解散式を経ることで、一部の訓練兵は別の選択肢を得る」


エルヴィン「成績上位十名――――――憲兵団か!?」

リヴァイ「…………!」


 信長の話の意味を、聡明な二人は理解してきたのだろう。

 両者の頬に、冷たい汗が流れる。

 ―――――二人の想像が正しいならば、信長の推測が正しいならば。

 その推測を、作戦として実行に移すことが出来、なおかつもっとも旨みを得る者は、





393: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 23:01:45 ID:2UpQjySQ

――――内通者の正体は、成績上位十名の中に限られる。


エルヴィン「解散式を経ることで、最終成績は決定する。万一でも駐屯兵団に入るわけにはいかない―――――ハンジ! すぐに104期のリストを持ってこい!!」

ハンジ「りょ、了解!!!」

信長「待て待て―――――ここにある。すでにある程度のめぼしはついておるわ」

リヴァイ「いや、まて………成績上位十名、だと………!? まさか………だとしたら、配属後を、待たなかった理由は、まさか………!!」

エルヴィン「配属されたら………憲兵団に配属されたら、内地へ行く。シーナに。つまり――――ローゼを落とせない、と?」

信長「…………さて、エルヴィン、りばい。お主らに問おう。お主らが訓練兵団に所属する内通者であるならば、どの時期に壁内侵略を狙う?」

信長「俺ならば、俺が内通者ならば、知性巨人ならば、こう考える。解散式を経た後、調査兵団不在という絶好の機会。とろすと区を陥落させ、うぉーるろーぜを陥落させる」

信長「とろすと区防衛戦を生き延びた後、配属式で憲兵団を希望する。問題なく配属されるであろう――――もはやシーナしかなくなった、内地へと」

信長「後は、内側で暴れるなり、壁を壊すなり…………思いのまま」

リヴァイ「ッ………ローゼが落ちれば、シーナの突出区は、最前線。駐屯兵団や調査兵団が、そこを根城とする。となれば、憲兵団は、王の膝元である、王都に………!!」

信長「保身のことしか頭にねー王や貴族は、まず憲兵団を確保するだろーよ。その中に巨人が潜んでいるなどとは考えることもせずにな」

エルヴィン「……………ッ!!!」





394: ◆B2mIQalgXs:2014/02/09(日) 23:03:35 ID:2UpQjySQ

背筋が粟立つ思いだった。

 もしそうなっていたら、人類の敗北は必至。

 そして、気づく。


エルヴィン「104期で………憲兵団を志望した人物は、ただ一名だった筈」

リヴァイ「ッ! 誰だ、そいつは!!」


 信長が、机上のリストに指を這わせ、ゆっくりと滑らせる。

 指先がある一点で、停止した。



信長「アニ・レオンハート」




……
………





エレン「ドリフターズ?」【後編】へつづく


・SS深夜VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
 エレン「ドリフターズ?」
芦田愛菜ちゃん、まさかの濡れ場に挑戦!乳首がちょっと出るwww
【JS銭湯隠撮pornhub動画】シャンプーの蓋に仕掛けた超小型CCDカメラの前で無邪気な小●生の少女たち があられもない姿をさらすwww
【参考GIFあり】こういうエ□い女が通ってるスポーツジムはどこだよ?教えろwwww【画像30枚】
駅やホームで拝める股の緩いJK達のパ●チラ画像
街中でこんな格好してる人はスケベで間違いないと思う
子産め太夫「うっ!」パンパパパンパン パパン パパン ドピュ
新体操女子ライバル「はい紅茶(下剤入りだけどね)」女「あっありがとう・・」
【GIF】 A●女優が撮影中に笑ってしまうNGシーンが抜けるwwwwwwww(※画像あり)
【画像】乳もまれて半泣きになるグラビアアイドルwww
【画像あり】彡(●)(●)「・・・・・・アンドロメダ銀河?」
学者「恐竜大量死の謎に迫る」
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