転載元:【Elona】勇者「ノースティリス?」【魔王勇者】


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660: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/21(月) 23:04:05.38 ID:uVSKYDyHo




ゴトッ…ゴトッ…


行商人「それで、また荷車の中でお休みですか」

ナルレア「諦めなさい、私も諦めてるのよ」

行商人「そういう事ですか……ん?」



「……」ザッザッ



行商人は馬に乗っている為、視線が高い。
ゆえに、遠くの方で歩いてくる人物にいち早く気付いた。


行商人「向こうから人が歩いてきてますな」


ナルレア「え?」


行商人「冒険者さんですかねぇ?」




「……」ザッザッ




ナルレア("歩いてきている"……?もしや!)






661: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/21(月) 23:05:17.72 ID:uVSKYDyHo





行商人「ちょっと寄り道してもいいですかな?行商人としての本分を」

ナルレア「ダメ」


行商人「は?」


ガタッ!!


黒天使「ご主人ッ!!!!」

ナルレア「フォーちゃんが出てきたってことは、大当たりか…」


行商人「ちょっと!?まだ盗賊と決まったわけじゃ」

ナルレア「考えて!街は近く、もうすぐエーテルの風が吹くというのに」


ナルレア「何故"こちら"へ向かって来るのかしらね!!」


行商人「……でも、本当に商いがしたくて向かってるだけじゃ……」






662: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/21(月) 23:18:30.27 ID:uVSKYDyHo



ナルレア「仮に遠くから見かけたとしても、商いをする気なら街付近まで待てばいい!それに!」


ナルレア「フォーちゃんが敵と認識した!それを外した時は無い!!」バッ!!

黒天使「ハッ!」バッ!!


敵との距離はそれなりだ。二人は弓矢を構え、遠距離攻撃の準備に移る。








――――これが、間違いだった。











663: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/21(月) 23:24:35.38 ID:uVSKYDyHo



「……」


フッ…



黒天使「えっ」

ナルレア「あれ?消えた……?」



行商人「ナル、レア殿……」



ナルレア「商人、今は話しかけないで!」

黒天使「ッ!!ご主人ッッ!!!」







行商人「お逃げ……くだされ……」ズルッ

ナルレア「商……うっ!!」



さっきまで元気だった行商人は……半分になっていた。






664: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/21(月) 23:41:34.88 ID:uVSKYDyHo



ナルレア「いつの間に……!!」


「……お前が"風の民"ナルレアだな……情報通りだ」


ナルレア「貴様ッ!!」バッ


「遅い」ヒュッ


ガッ!!!


ナルレア「が……あっ………」

「弓を持ったのは間違いだったな、せめて剣を持つべきだった」

黒天使「ご主人を離せッ!!!」バッ


「よかろう」パッ

ナルレア「っは!!」ドサッ




「そのかわり……」パチンッ



男が指を鳴らした瞬間、辺りが暗転した。







665: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/21(月) 23:51:17.10 ID:uVSKYDyHo




ナルレア「げほっ!……なっ!?さっきまで街道だったのに…っ!!」

黒天使「ご主人ッ!」



気づけば二人は、コンクリートで造られた、広く、薄暗い建物の中に居た。



ボッ

ボッ

ボッ



突然、かがり台に火が次々と灯る。




「"風の民"ナルレア……貴様は最も信仰心溢れる冒険者だそうだな」


ナルレア「なんのつもりだ……!」






666: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 00:25:54.69 ID:T+p+VOCbo



男は奥にある、数段段差を上がった所の"王座"に座って眺めていた。



「さて、神は本当に助けてくれるのかね?」


黒天使「主を愚弄するかッ!貴様なぞルルウィ様のご加護があれば!」バッ!



激昂し、男へ一直線に向かっていく。しかし……



ナルレア「駄目フォーちゃんっ!!!」










「『フリージア』……やれ」


フリージア「はいにゃ」






668: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 01:02:01.39 ID:T+p+VOCbo



茶髪、猫耳、猫の手、無地の白服に短パン。そして茶色の尻尾を振りながら、
身長180cmはあろう美女が男の座る王座の影から現れた。




ナルレア「ッッ!!フォーちゃん戻って!!!」

フリージア「遅いにゃあ」スタッ

黒天使「な……」



黒天使と、フリージアと呼ばれた女性との間にあった20メートル以上の距離は

次の瞬間には0となっていた。



フリージア「にゃっ」バシッ


軽く腕を振り、黒天使を叩いて軽い音を鳴らす。しかしそれだけで……


ドゴオッ!!!


黒天使「がぁ………」


ナルレア「フォーちゃんッ!!!!」ダッ!






670: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 01:25:07.29 ID:T+p+VOCbo



フリージア「殺してもいいのかにゃー?」

「駄目だ、半殺しにしろ」

フリージア「……難しいにゃあ」



黒天使「首をちょんぎってやる!!」シャキンッ!


取り出したるは鎌。

その姿はさながら、美しき死神。


黒天使「"ブースト"ッ」キィンッ

ナルレア「やめなさいデイフォード!!力の差がわからないの!!??」


ナルレアの制止も虚しく、敵に向かっていく。


黒天使「こんのおおおおおっ!!」シャシャシャシャシャッ!!



"ブースト"により大幅に上昇した速度で、敵をかく乱させる。


フリージア「にゃああ!?」


黒天使「もらったッ!!」シャッ



完全に後ろを捉えた。







671: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 01:33:50.18 ID:T+p+VOCbo



……つもりだった。


フリージア「にゃあ〜」ヒョイッ

黒天使「っあ……」スカッ


フリージア「……羽音にびっくりしたにゃあ」スッ


バチィンッッ!!!!



まるで虫か何かを叩き落とすかのように、黒天使は地面に叩きつけられた。



ナルレア「フォーちゃんっ!!!!」



……呼びかけ虚しく、返事は返ってこない。





673: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 01:42:47.18 ID:T+p+VOCbo



フリージア「し、しまったにゃあ!」ヒョイ


黒天使の片足を持ち、目線を同じ高さに合わせる。

脱力した黒天使の手や髪から、真っ赤な液体が滴り落ちている。


フリージア「……よかったにゃ〜!かろうじて生きてたにゃ!」

「フリージア……我はあっちの女を半殺しにしろと言ったのだ。そんなゴミはどうでも良い」


フリージア「にゃあ!?」


ナルレア「………………」


フリージア「間違えたにゃあ」ポイ


黒天使を投げ捨て、ナルレアの方に向きなおす。






674: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 05:37:36.43 ID:T+p+VOCbo




ナルレア「……い……………ろ」


フリージア「……にゃ?」


ナルレア「……いい……にしろ」






ナルレア「……いいかげんにしろぉぉおおおお!!!」ダッ!








ヒュッ


フリージア「といってもにゃあ」バキィッ!

ナルレア「〜〜〜がッッ!!!!」ドゴォンッ!!







675: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/22(火) 05:38:19.59 ID:T+p+VOCbo





「分かっているんだろう?奇跡でも起きなければ勝てる相手ではないと」





ナルレア「……だったら……」






ナルレア「だったら奇跡を起こすまで!!」








ナルレア「……ルルウィ様!!!!」






679: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 04:56:19.80 ID:u6Xxlhxyo






―――後でおしおきよ






フワッ……




突然、室内であるにもかかわらず風が舞う。





…スタッ


ナルレア「ごめんね、フォーちゃん」

黒天使「あ……う……」


フリージア「にゃあ!?」バッ


視界に捉えていたはずなのに、ナルレアは一瞬で黒天使の元へ移動していた。







680: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 04:59:52.39 ID:u6Xxlhxyo



ビュオッ!


フリージア「ッ!!」



ナルレアが風に消え、またも視界から消える。



スタッ


ナルレア「ほら、治癒のポーション飲んで」スッ

黒天使「……」ゴク……ゴク……


フリージア「あんにゃ所に……!?」


またも一瞬で、部屋の一角に移動するナルレア。
黒天使に治療を施し、そっと床に寝かす。







681: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 05:06:54.52 ID:u6Xxlhxyo




ナルレア「『フリージア』……とか言ったね」



フリージア「……っ」



さっきまで感じていた実力の差は、歴然としていたはずだった。

しかし今フリージアが感じているのは……恐怖。





ナルレア「………許さないから!」バシュッ!!



フリージア「にゃあ!??」ダンッ!



弓を触ったと思った瞬間には矢が放たれていた。

危険を察知し、バックステップで距離を開ける。



――しかし眼の前には、矢。



フリージア「ッ!!!」グルッ!


ズザアッ!!


フリージア「……この私に傷を……やるにゃあ」ツー



頬に一筋の赤い線が刻まれ、血が伝う。






682: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 05:15:47.54 ID:u6Xxlhxyo



ナルレア「ルルウィ様のご加護を受けた以上、もうあなたに勝ち目は無い!」ビュオッ!!


風の様に軽くなった体は、フリージアの圧倒的なスピードをさらに上回っていた。


フリージア「くっ!!」バッ

ナルレア「どうした遅いぞ!!!」ヒュッ


ドカアッ!


フリージア「がっはっ!!」


ナルレアの蹴りが炸裂し、フリージアは床に転がる。




ナルレア「……とどめだ!!!!」シャッ!


短剣を抜き、一気に詰め寄る。


フリージア「ッ!!!」








683: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 05:43:51.39 ID:u6Xxlhxyo










男「この時を待っていたッ!!!!」バッ!






ブウンッ!




ナルレア「!?」


短剣が、フリージアの喉元を皮一枚の所で、止まった。



ナルレア「体が……動かな……」



床全体が青黒く光る。



ナルレア「これはっ……魔法陣!?この床に描かれた模様全てが!?」

男「そうだ。"貴様ら"を捉えるためだけに、我は"向こうの世界"でずっと研究していた」






684: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 05:46:19.03 ID:u6Xxlhxyo



ナルレア「あなた……何者!?何が目的なの!?」


男「…………"人間"にもう用はない。話があるのは……」バッ!


……キィィィイイイン!!!


男「……貴様だ!!」




ナルレア「ッあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!!!」バチバチバチバチッ!!


まるで、魂と肉体が引き離されるような感覚。
もはや痛覚という次元ではない痛みだった。




ナルレア「……かはっ」ドサ


しかしその痛みからは数秒で解放され、一気に体が軽くなる。
…が、体は動かない。糸の切れた人形のように、その場に倒れる。
体から"何か"が抜けたような感覚だった。







685: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 05:54:29.70 ID:u6Xxlhxyo



ナルレアの体は動かないが、五感と意識ははっきりとしていた。

目に映るのは、二人。



男「……出たか」


王座の前に立つ男と






「……私を引きずり出すなんて、オマエ、人間の範疇を超えているわ」





ナルレア「な……」



肩までは届いてないショートの黒髪をなびかせ、

背中からは純白の羽。

そして一枚の純白の布で肢体を…否、

一枚の純白の布"が"、うまく恥部のみを隠しているだけの…


ほぼ全裸の女性が、浮いていた。







686: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/07/31(木) 06:00:53.37 ID:u6Xxlhxyo




一般的には痴女と思われてもおかしくはない姿。

しかしそのような概念は、人間だけ。彼女には当てはまらない。



そう、なぜなら彼女は、正真正銘本物の――








男「久しぶりだな……"風のルルウィ"よ」








――神なのだ。






691: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/01(金) 22:15:22.34 ID:tcyDqWnYo




ナルレア「……ル……」



ナルレア「……ルルウィ……様……!?」


ルルウィ「ナルレア、後で覚悟なさい。オマエの信仰心はそんな無様な姿を見せるものだったかしら」


ナルレア「……ッ!!…も、申し訳、ありませんっ……!」

ルルウィ「我が下僕・デイフォードも…と言いたい所だけど、何、ミンチ寸前じゃない」


隅で横たわる黒天使を、特に労わる事も無く一瞥する。





フリージア「……にゃあッ!!」バッ!


…グニッ!


ルルウィ「……ん?」



突然フリージアは飛び起き、ルルウィへ攻撃する。

しかしそれは、まるでゴムのような分厚い空気の層により、遮られる。






692: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/01(金) 22:32:58.83 ID:tcyDqWnYo



ルルウィ「なあに、子猫ちゃん?遊んで欲しいのかしら?」スッ


ビュオッ!!!


フリージア「ッ!!!」


鋭い風がフリージアを切り裂き、瞬く間に切り傷が無数に生まれる。


フリージア「ッに゛ゃあ゛あ゛!!」バッ!


――しかし床に爪を食い込ませて堪え、もう一度攻撃をしかける。


グニイッ!


フリージア「〜〜〜ッ!!」ブシャッ

ボタボタボタ……


が、当然空気の層にぶつかり、停止する。
ズタズタになっているにもかかわらず力を入れている為、
傷口から血がどんどんあふれている。






693: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 02:15:53.57 ID:Kon7TKqdo



ルルウィ「なるほど」



フリージアが神であるはずの自分に向かってくる。
本来ならば、ありえない。なぜなら実力のある者ほど、
相手との実力差が正確に分かってしまうものなのだ。
ゆえに、ある結論に達する。



ルルウィ「…………"支配"ね」


男「ご名答」


ルルウィ「さっき"久しぶり"と言ったわね……」

ルルウィ「私はこの数百年か千年かから、ナルレア以外の人間に姿を見せたことはないわ」

ルルウィ「ミンチになる前に聞いてやる」




ルルウィ「オマエは何だ?私の何を知っている」






694: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 11:27:37.34 ID:Kon7TKqdo



男「……」


コツ…コツ…




ナルレア「…!」


実はナルレアは、一瞬で城に連れてこられたり
奥の薄暗い王座に座っていたりして、この男の姿をはっきりと見てはいなかった。




段差をゆっくり降り、かがり台に照らされる面積が増えていく。



怪しく光る紅い眼・青黒い肌・長く尖った耳・そして二本の角。






ルルウィ「……人間…ではないようね」







695: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 11:56:41.98 ID:Kon7TKqdo



ルルウィ「答えなさい。オマエは何者だ」



男「……確かに"この姿"は、かつての我の姿ではないからな」

男「分からぬのも無理は無い」スッ




ルルウィ「…話にならな――」



…フィィィイイン!!


男が手を掲げた瞬間、今度は部屋全体に青白い模様が浮かび上がる。



ルルウィ「ッ!!」




ルルウィが自身の状況を理解した時には、遅かった。




ルルウィ「な……に……」パサッ



ふわふわと漂い、ルルウィを纏っていた布が、力無く落ちる。





――"風"が、止んだ。







696: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 12:04:05.56 ID:Kon7TKqdo







ルルウィ「こ、この魔法陣は……あのときの!!!」



ルルウィの遠い記憶が、一気によみがえる。







男「そう。"神封じ"の魔法陣」


男「規模はまるで違うが」









男「……かつて、"邪神"たる我の力を奪った忌々しい魔法陣だ」






697: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 12:11:06.46 ID:Kon7TKqdo



ルルウィ「…………"邪神"……だと!!馬鹿な!!」




男「懐かしいなァ……貴様らに"邪神としての力"をこの地に封印され」

男「さらにこの地を追放されて何千、何万年になるか……」



男「おかげで向こうの世界では本来の力の塵程も出せなかったよ……まあ」


男「それでもあちらでは"魔王"という名でよろしくやってたがね」


男「中々に気に入っていたが……いやはや、あちらの"勇者"には苦労した。」


ナルレア「…"勇者"……"魔王"……?」



ルルウィ「……どうやって、戻ってきた」



男「簡単な事だ。"ムーンゲート"を"復元"したまでの事」

男「時間は十分にあったからな」






698: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 12:19:49.51 ID:Kon7TKqdo



ルルウィ「……おしおきは撤回してあげるわ、ナルレア」

ルルウィ「どうやらあなたを、"こちら"の戦いに巻き込んでしまったようね」



ナルレア「ルルウィ…様……」



ルルウィ「"邪神"ベルネム……覚えているわ」


男「……その名も懐かしいものだ」


ルルウィ「ふん、今度こそ貴様を完全に消滅させてやる」


男「だろうな。"邪神"としての力を取り戻していない"今"ならあり得るな」

男「しかし今のお前には、何の説得力も無い」



ルルウィ「……私を殺したら、他の神が黙っちゃいないわよ」

男「その通り。"今"の我では、奴らに今度こそ滅せられるだろう」






699: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 12:49:10.25 ID:Kon7TKqdo



男「だから」パチンッ


ボオウッ!!


男が指を鳴らすと、男の前で青い炎が一瞬燃え上がり、消える。

そこにはとある彫刻物が現れていた。



男「お前は人間どもが模したこの"ルルウィ像"の中で永遠の時を過ごしてもらう」

ルルウィ「……そういう、事か」


男「こうやって、"神の力"を分散させ、"本体"は封印することで」

男「他の神に気づかれる事が無くなる」


ルルウィ「……」


男「さて、フリージア」


フリージア「…にゃ」バッ!


ガシッ!


ルルウィ「ぐっ!!」


神の力を封じられ、最早全裸で翼が生えただけの女性に成り下がったルルウィは

いとも簡単にフリージアに拘束される。






700: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 12:53:03.10 ID:Kon7TKqdo




男「自分の像に縛り付けられる気分はどうだ?」

ルルウィ「…痛い……わね。久しぶりの痛覚だわ」ギチッ

男「他には?」


ルルウィ「……この封印が解かれ、"力"を取り戻した時がオマエの最期と知れ」


男「ふむ、威勢が良いな。では我が"力"を取り戻した時、貴様を"負の神"にしてやろう」

男「ああそうだ、貴様の下僕共も一緒に……む」



ナルレアと黒天使はいつの間にか血痕だけを残し、消えていた。



ルルウィ「……今頃気づいたか。馬鹿ね」

ルルウィ「私がオマエと話している間、残っていた力を使って彼女達を脱出させたわ」






702: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 13:11:14.39 ID:Kon7TKqdo


男「……貴様も大概に馬鹿だな。自分が脱出すればよかろうに」


ルルウィ「邪神なんかとは考え方が違うのよ」

ルルウィ「太古の化石風情が、今更私たちに――」


男「"封印"」スッ


ズオオオオッ!!


ルルウィの体が、像と一体化していく。


ルルウィ「ぐうっ……はっ!"また"勇者が現れてっ……オマエを滅するわ!!」


バシュウウウゥゥゥゥッ!!!!!


ルルウィ像「――――」



男「……眠れ、"風の神"よ」







701: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/08/02(土) 13:09:47.12 ID:Kon7TKqdo



男「フリージア、この像はお前にやる」

フリージア「やったにゃー!」



男「……次はどの神にするかな」



男「……」



男「"勇者"……か」スゥゥ……フッ……









フリージア「……にゃ?誰と話していたのかにゃ……?」

フリージア「……にゃああ!?痛いにゃああ!!いつの間に怪我したにゃあああ!?」

フリージア「……あれ?この像は何にゃ?……よくわからないけど、宝物にするにゃ!!」





710: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 19:49:08.18 ID:PqyzMJtDo






神秘的な光の胞子が辺りを包む。



勇者「結婚しよう、クレア」


少女「……はいっ!!」



そこは王宮。王の座まで伸びた赤いカーペットの両脇には、それを祝うために集った者たちが皆、祝福の拍手を王宮に響かせる。

見渡すとそこには、風を聴く者『ラーネイレ』、異形の森の使者『ロミアス』、他にもエレアと思わしき者数名。

ザナンの紅の英雄『ロイター』、ヴェルニースの看板娘『シーナ』、犬好きの少女『リリアン』、『謎の科学者』。

そして、少女の父と母が居た。




ジャビ王「汝 健康の時も、病めるときも、富ときも貧しき時も、幸福の時も災いにあうときも」

ジャビ王「これを愛し敬い慰め助け、永久に節操を守ることを誓いますか?」



「「誓います」」


スターシャ王妃「では、誓いのキスを」





二人は向き直り、互いに唇を寄せ――――










711: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 19:49:48.91 ID:PqyzMJtDo






……おい、おきろ……おきろクレア……






少女「……んあ?」ぎゅぅぅぅぅ

勇者「た、頼むから起きてくれぇぇぇえ!!」




目の前には勇者の顔があった。














少女「…………ぎゃあああああああああああ!!!!!」
















712: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 19:53:03.69 ID:PqyzMJtDo



少女「…………ああ、夢でした。夢ですよね。そうでしょうとも」


勇者「……起きたか?」


少女「はい起きましたよ、この非情なる世界へと」

勇者「全く、急にのしかかってくるし……」

勇者「かと思えば首に腕を巻きつけて逃げられなくなるし……」

少女「うう……すいません……」

勇者「一体どんな夢を見たらそうなるんだ?」

少女「それを露呈するという事はすなわち私の自殺を意味します」


勇者「……ああそう」


少女「……」


勇者「……」


少女(な、何か話題を……!)


…とそこへ、丁度良く話題が"吹きつける"。







713: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 19:53:49.90 ID:PqyzMJtDo




ビュオオオオオオオッ!!!

ガタガタガタ……



少女「……風、強いですね」

勇者「ああ……早朝から起きてるが、ここにきて急に風が出て暗くなったな」

少女「……え?早朝?今が朝では?」バサッ


荷車から外を覗く。薄暗く、気温が低い。

明らかに早朝としか言いようのない空模様だったが……





勇者「……今はもう昼だ」


少女「え、これが昼?」


勇者「ああ。ちなみに朝の方がもっと明るかった」

少女「……急激な気候変化……もしや……?」


勇者「何か知ってるのか?」






714: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 20:00:24.01 ID:PqyzMJtDo



少女「はい。晴れていた天気が突然大雨になったり、嵐が突然晴天になったり」

少女「こういった明らかに"自然現象"ではない気候変化は、ルルウィ様の影響とされています」


勇者「ルルウィ……様?」


少女「本当に知らないんですね……はぁ……」





――少女説明中。









勇者「……なるほど、七柱……ね」

少女「人によって信仰している神が違いますし、さらに地域によっても結構偏りがありますね」


勇者「で、その中のルルウィとやらの機嫌が悪いと、悪天候になんの?」

少女「様をつけましょうよ……まあそうなりますね」






715: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 20:02:43.52 ID:PqyzMJtDo



勇者「ずいぶんと自分勝手な神だなあ」

少女「本当に天罰が下りますよ!?でも本当に困ったとき、ルルウィ像に祈れば天候を変えてくれるとも聞きました」

勇者「……」


少女「……稀に……ですけど」

勇者「やっぱ気分なんじゃねぇか!」


少女「うう、もういいです」





ビュウウウウウ……





風は徐々に強くなっていく。








716: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 20:11:14.99 ID:PqyzMJtDo




勇者「……なあ」

少女「は、はい」

勇者「エーテルに対抗する手段は無いのか?」

少女「……一応、あります」

勇者「ほお」




少女「まず予防。ヴィンデールクロークと呼ばれる、エーテルを防ぐクロークを着用することです」


勇者「異形の森の外套(ヴィンデールクローク)……ね。クレアの父さんが使ってたやつか」

少女「覚えてたんですね……私の父の話」

勇者「まあな」

少女「それを纏う事で、エーテルの風を防ぐ事ができます……が」


少女「希少すぎてまずお目にかかれません」

勇者「……なーる」






717: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 20:12:03.52 ID:PqyzMJtDo



少女「次に、薬を飲んで症状を和らげる事」


少女「抗エーテルポーションと呼ばれる薬を飲めば、ある程度症状を遅らせたり、消したりできます」

勇者「遅らせたり、消したり……?」

少女「……個人差があるんです。薬との相性ですね」

少女「飲んで、体内に蓄積されたエーテルを完全に排除する事ができる人もいれば」




少女「……薬の効果がほとんど得られない人も、います」




――少女は思い出す。ノイエルに住む悲劇の妻も、自分の父も。



――後者だったことを。








718: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 20:15:47.74 ID:PqyzMJtDo




少女「……それに市場に並ぶのは月に1度あるかないか……さらにかなり高価で、一般人にはまず手が出せません」

勇者「それほどまでに苦しまされているのか……」



少女「……そうですよ。本当に、エーテルは……!!」ギリッ!


拳に力が入り、爪が食い込む。



勇者「……だが」

少女「分かってます。エレアの仕業ではない……んですよね?」

勇者「ああ。信じてやってくれ」



少女「……はぁ……」







719: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/09/28(日) 20:16:34.34 ID:PqyzMJtDo










……ゴオッ!!!!




メキメキメキィッ!!




数マイル先で、突風が木をへし折り、宙へ吹き飛ばす。



それは確実に、近づいていく。



それはただの"現象"。悪意のないもの。



ゆえに、いくら勇者といえど気づくことは適わなかった。










少女「勇者さん、あなたは――」









少女が発した言葉は、ここで途切れた。







723: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:33:45.42 ID:HTYolKwmo





〜〜〜





ジャビ王「汝 健康の時も、病めるときも、富ときも貧しき時も、幸福の時も災いにあうときも」

ジャビ王「これを愛し敬い慰め助け、永久に節操を守ることを誓いますか?」



「「誓います」」


少女(……これってさっきの夢……?)



スターシャ王妃「では、誓いのキスを」







勇者「……なあ」


少女(あれ?)





勇者「なんで父親を見捨てたんだ?」






724: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:37:19.49 ID:HTYolKwmo



少女「!!??」



勇者「抗エーテルポーションなんて物があるのなら……何故父親に飲ませなかった?」



少女「それは……飲ませたかった……けど……とても高くて……手が出せなくて……」

勇者「……体を売ればいいだろう」

少女「なっ!!??」

勇者「ポート・カプールに行けば、物好きが高く買ってくれるだろう」


少女「何を……言ってるの……」



神秘的な光の胞子が辺りを包みこむ。



その胞子が周囲の者達の内部へと溶けていく。


その結果、


周囲に居た人々は形が崩れ、モンスターへと変貌していく。






725: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:37:54.53 ID:HTYolKwmo



少女「な……!?」


勇者?「なあクレアァ……抗エーテル薬……どうして飲ませてくれなかったぁぁあ?」ズリュッ


勇者の顔が崩れ、少女の父の顔へと変貌する。


少女父「俺ェェ……このエーテルのせいデェェ……こんナ姿になっチまったァァァ……」グチャッグチャッ


さらに目が増え、鱗が生え、翼が生える。


少女「ひいいっ!!!!」ダッ!!


バタァンッ!


少女は赤いカーペットを走り、王宮の外へ通じる扉を突き飛ばして開ける。

しかしそこにはまた赤いカーペット。両脇には人の形をした肉塊。そして扉。


少女「〜〜〜ッッ!!」







726: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:39:04.02 ID:HTYolKwmo



ひたすらに走る。


走る。走る。扉を開ける。開ける。開ける――


いつのまにかベチャベチャと音を立てて走っている事に気づき、よく足元を見ると


赤いカーペットの赤は全て血に変わっていた。







少女「いや……」










少女「いやああああああああああああっ!!!!!!」




〜〜〜








727: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:40:40.21 ID:HTYolKwmo






少女「はっ!!!」ガバッ!!


少女「はあっ!はあっ!はあっ…………夢……」



現実に戻り、五感が冴えていく。



少女「……?」



辺りを見渡し今の状況を理解する。




赤みを帯びた空、肌寒い風、冷たい泥の感触、泥の匂い。


そして、散乱した荷車の破片。



少女「……っ!!!!」



クレアは思い出す。自分がどうしてこんな状況に陥ってしまっているのか。






728: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:45:52.19 ID:HTYolKwmo







――

―――



少女「勇者さん、あなたは――」



「危ないッ!!」


外で馬を引く者がとっさに叫んだこの一言を、二人は即座に理解することができた。


身を以て。





ッガアアアン!!!!!!!




勇者「ッ――!」

少女「――!」



叫ぶ暇も無かった。

一瞬で荷車はバラバラになり、二人は放り出される。




少女「勇……者……さ――!」



途切れゆく意識の中で、手を伸ばす。

しかしそれは届くことは無く、視界が暗転した――







729: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 22:58:41.67 ID:HTYolKwmo




―――

――






少女「そうだ……私達吹き飛ばされて……」ベチャッベチャッ



豪雨により泥道へと変化した元・街道を歩く。



少女「……どのくらい気絶してたんだろ……確かあの時が昼って勇者さん言ってたから……」


空を仰ぎ、雲が赤く照らされているのを確認する。


少女「太陽沈んでるし、4〜5時間ってところかな……つっ!!」ズキッ!



身体中が痛む――主に脇腹に違和感。おそらく肋骨が折れている――が、

手で抑えておけばなんとか耐えられる。歩くのに問題は無いと判断した。




所々に自分たちが乗っていたであろう荷車の残骸が散らばっており、この付近に勇者が居ると踏んだ。






730: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:04:11.19 ID:HTYolKwmo




少女「っあ、私の大剣……と」



その散らばった残骸の中に、少女達の荷物が混ざっているのを見つける。


少女「……よし、装備は大丈夫」ガチャッ


大剣を背負い、食料や金貨等が入った荷物を回収し、また勇者を捜索する。






――そして。



少女「ッッ!!!」



大きな倒木の、下敷きになっている人影を見つけた。


少女「……」ベチャッベチャッ


おそるおそる近づく。一目で分かる。胸部から下が完全に下敷きになっており、即死以外無い。


もしそれが……勇者だったら……



少女「っ…………」







731: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:06:09.79 ID:HTYolKwmo





少女「………………は……ぁ……」



馬を引いていた者だった。




少女「この木が飛んできたんだ……余程強い突風だったんだ」



この辺りが最も多く荷車の残骸がある。よって勇者はここから近いと踏み……



少女「……ッ!!勇者さん!!!」ベチャッベチャッ!



発見する。



少女「……大丈夫ですか!!」


勇者「……」



返事は無い。身体のあちこちに傷はあるものの、致命傷は無いように思える。






732: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:18:53.61 ID:HTYolKwmo



少女「勇者さん……!!」ピトッ


呼吸と脈の確認をする。――生きてはいるようだが、脈は速く、息も荒い。


少女「ッッ!熱い!!?」


勇者の額は、少女の手が雨で冷えている事を考慮しても、ずっと熱くなっていた。


少女「風邪がぶり返してる!早くルミエストに……!」グイッ!



少女「っぁ……」


勇者をおんぶしようとしたが、今少女の背中には……父の遺品である大剣が既にあった。





少女「…………」









733: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:25:56.72 ID:HTYolKwmo



少女「ごめん、お父さん」ガチャンッ



大剣を下ろし、勇者を選ぶ。



少女「また取りに帰って来るからね」ベチャッベチャッ


ガサッ



大剣を茂みの中へ隠す。いずれこのバラバラになった荷車を見つけた者が、ガードへ届け出ずにそのまま漁る可能性は低くない。

勇者と出会った時そうだったように。



少女「よし……んしょっ」グイッ


ズキンッ!!!!


少女「〜〜〜〜〜っ!!」


当然ながら大剣より重い。そのせいで少女の傷にひびく。






734: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:27:34.35 ID:HTYolKwmo



少女「……気にして……られるかぁーーー!!!」ベチャッ!ベチャッ!


気合を入れ、少女は進む。


少女「えーと、向こうの方が明るいから……南はこっちか」


目的地ルミエストはもっと南のはずだ。少女は赤みを帯びた空から方角を算出する。


勇者「……クレ……ア……?」


朦朧とした意識の中、ぼやけた視界に少女の頭部が映る。


勇者「お前……なにして……」

少女「勇者さんは安心して寝ててください!この調子だと、えーと……夜には着きます!」ベチャッベチャッ

勇者「……嘘……つくな……俺を背負って……」

勇者「…………剣はどうした……祖父や父の形見……なんだろ……」


少女「……お父さんから教えられてるんです」







少女「目の前に助けられる人がいるなら、迷うなと」

勇者「……」






735: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:28:32.16 ID:HTYolKwmo



勇者「……なら、俺と……最初に出会った時に……助けてくれても……良かったんじゃないか」

少女「…………それは言わない約束です」

勇者「はは……」

少女「……ふふ」




これなら大丈夫、気力さえ持てば、日が変わる前に……



エーテルの風が吹く前に、着くことができるかもしれない。















という希望は、ことごとく絶望へ変わる事を、少女は思い知る事になる。









736: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:29:12.14 ID:HTYolKwmo






少女「はっ……はっ……」ベチャッベチャッ



何度も意識が飛びそうになる。しかし脇腹の痛みでなんとか持ちこたえていた。


少女「少し、休憩、しますね……」スッ


ゆっくりと勇者を下ろし、寝かせる。


少女「ふう……1時間歩いてこれか……本当にぎりぎりになるかも」


少女の懸念は、エーテルの風だった。明日は月が変わり、9月のはずだ。


エーテルの風が吹く危険。もちろんそれはまちまちで、必ず1日から吹き始めるとは限らない。

だが、いきなり吹き始める可能性も絶対に捨てることはできない。


少女は歩きながら考えていた。

気絶していた時間を考慮しても、エーテルの風が吹く「明日」になるまでには、到着できると。



思っていた。







737: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:35:18.62 ID:HTYolKwmo








少女「…………………え?」




異変に気付いたのは、ふと右の空を見た時だった。




















太陽が昇っている。









738: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:36:49.74 ID:HTYolKwmo





少女「…………」



自分の、今までの考えに致命的なミスがあった事に気づいた。

気づかされた。


空を確認して歩き出した時、赤く染まった空から夕方だと思い込んだ。











―――赤く染まるのは、夕方だけではない。



少女「う……そだ……だったら……今は……!!」






昼に意識を失い、朝に目が覚めたという事は。





"明日"は既に"今日"だった。






739: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/07(火) 23:45:05.25 ID:HTYolKwmo





夕方ではなく朝だったというのなら。


赤い空を"西"と思い込み、南へ向かっているはずが、逆。


ルミエストから遠ざかる方……北へと進んでしまっていたのだ。




これではもう、今日一日歩いても間に合うかどうかわからない。






―――否。







既にもう、間に合わない。







少女「はぁっはぁっはあっはあっ!」


動悸が激しくなる。



少女の目には、太陽光を遮りながら、しかしそれは輝きながら、近づいている"光の帯"が映っていた。






744: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/08(水) 00:04:10.33 ID:b1BCgN1FO

Elonaやりたくなってきた
普通のやつダウンロードすればいいんだっけ?




747: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/08(水) 00:20:24.94 ID:J9IHlOsho

数日後、elona.exeをごみ箱にドラッグする744の姿が




750: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:16:47.96 ID:9WeprkA3o





少女「ああ……あああああ……」ガチガチガチ


歯がぶつかり合い音が鳴り、足が震える。



少女は知っている。あの光の帯を。





それは、父を奪った光。



エーテル。




少女「い急がないと……ど、ど、どこか……洞窟でもなんでも……どこ……どこ!?」



パニックになりながらもエーテルの風を凌げる場所を探す。


しかしこんな時に限って、全くもって見当たらない。







751: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:17:17.52 ID:9WeprkA3o



そんな少女に、"希望の音"が近づく。



……ッ……カッ……パカッ……



少女「!!!」



パカッ……パカッ!パカッ!パカッ!!



少女「すいませーーーん!!!」バッ!


「……!」


パカッ……パカッ……


茶馬「ブルルル……」


青年「……おいおいなにやってんだ!もうすぐエーテルが来るぞ!!」



カウボーイハットを被りクロークを纏った青年。

エーテルが迫っているというのにこの冷静さ、十中八九エーテルを凌ぐ場所を知っている。






752: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:19:27.75 ID:9WeprkA3o



少女「そうなんですけどっ……エーテルから逃れる場所も、移動手段も無くて……!!」


青年「………わかった。乗れ!!」


少女「わ、私は後でいいですんで先にこの人を!!……病気なんです!!!」

青年「いや!君が乗るんだ!彼を1人で運ぶのは無理だ!!途中で落ちてしまうと1人じゃ時間がかかりすぎる!」

青年「どうせ往復するんだ!アジトにまだ馬がいるから、もう一度ここへ来て運ぼう!」


少女「っわかりました!」バッ!



少女「待っててくださいね!すぐに戻ってきますから!!」



青年「飛ばすぞ!しっかりつかまってろ!!!」ゲシッ

茶馬「ヒヒーーーン!!」ダッ!









勇者「……クレ……ア…………?」










753: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:20:47.38 ID:9WeprkA3o





……パカッ!パカッ!パカッ!パカッ!



青年「しかしなんで君たちあんなところに!?」

少女「ほんとはルミエストまで荷馬車で移動してたんですけど……突然嵐に遭って……」

青年「アレか……災難だったな」


青年「でももう安心しろ!俺が来たからにはもう大丈夫!!」


少女「ありがとう……ございます……!」




青年「よし見えた!あそこだ!」



ひょっこりと顔を出す洞窟。



少女「あれってネフィアじゃ……!?」


青年「ああ、攻略済みのな!基本的に危険なネフィアだが、攻略しちまえば逆に安全なエリアなんだぜ!」


少女「な、なるほど………」






754: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:25:26.22 ID:9WeprkA3o




パカッパカッパカッ……


青年「よし着いた!」

少女「ありがとうございます!」バッ!


少女「えっと……馬、もう一頭はどこにいますか!?早く行かないと!!」



青年「洞窟の中に避難させてあるよ」



少女「わかりました!お借りします!!」ダッ




青年「……………ククッ……」バッ


バサッ!


馬を降りる青年。

クロークを脱いで露わになった彼の右腕には、





鷹が描かれていた。







755: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:35:28.99 ID:9WeprkA3o




ガチャッ!


洞窟に入ってすぐの扉を開ける。そこには――



「……あ?」



武器を手入れする者、酒を飲んでいる者、賭けをしている者……


そして、痣や裂傷でにまみれ横たわっている男数名。




少女の第六感が、"この集団"が何であるか一瞬で判断した。



「なんだなんだァ!?」
「おおっ女だ!!」



盗賊団に青年のアジトが乗っ取られている――



少女「伝えないと……!」




バタンッ





扉を閉めたのは、青年だった。








756: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:36:56.14 ID:9WeprkA3o








青年「よォおめーら、"女を調達してきてやった"ぞ」





少女「……え?」





盗賊A「さっすが!!あんたにかかるとイチコロだなァ!!」


青年「いやー今回も楽勝だったわ」



少女「え……え……」




まさか。



まさかまさかまさか。





少女「そんな……馬は……」


青年「あ?まーだその話してんのかよ?」




少女は括目する。



盗賊達の腕。青年の腕。



同じ鷹の模様。






757: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:37:41.63 ID:9WeprkA3o



少女「っ!!」バッ!


青年「おっと」ガシッ


少女「離……してっ!!!」


青年「どこいくんだよ?」


少女「決まってる!勇者さんを助けに!!」


青年「ほっほー、じゃあどうぞ」パッ



少女「っ!!」ダッ!











少女「まだ……まだ間に――」






青年「合わねえよ。あの男はもう手遅れだ」





ヒュォォォォォ……




少女「そん、な…………」



辺りは既に、エーテルが満ちていた。







758: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:46:11.44 ID:9WeprkA3o







……











ヒュォォォ……








勇者「…………」









エーテルが勇者の体内に入り込む。

それは、イルヴァの地に住む人々を絶望へと落としていった光の粒子。








759: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:46:43.33 ID:9WeprkA3o









勇者「……」ムクッ











勇者「すぅぅぅぅ…………はぁぁぁぁ…………」









しかし目を覚ました勇者は、敢えて最大限エーテルを取り込んでいく。







勇者「……なるほど」








体に蓄積された"毒物"が、一気に浄化されていくのを感じる。








勇者「俺にとって有害だったのは、このイルヴァの地そのものだったのか」








760: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:49:22.80 ID:9WeprkA3o




勇者「イルヴァの人にとってエーテルは有害……だったら俺は一体……?」




勇者「……」




勇者「……ん?……馬の足跡……」





―――少女『待っててくださいね!すぐに戻ってきますから!!』






勇者「クレア……」














勇者「"加速"!!!」ダンッ!!!










761: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:53:56.27 ID:9WeprkA3o










バタン



盗賊A「はいおかえり〜」



少女「離せっ!!この……」

青年「うるせぇなぁ!」ドグッ!

少女「ッ……うげぇ……」



青年「んじゃぁ例によって、調達した俺からいただくぜぇ〜」ガバッ!

少女「っ!!!」


盗賊C「早めに交代してくれよ〜」

青年「はっはぁ!!そりゃ無理だ!!」ビリィッ!


少女「離せ!!っこのっ!!」バタバタ


青年「暴れんな!脱がせにくいだろうが!!」バキッ!

少女「あぐっ!!」






762: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 16:56:02.06 ID:9WeprkA3o



盗賊D「おいお〜いあんまり傷つけんなよぉ〜〜」

盗賊A「いや無理だろ〜……青年の後の女は大抵ボコボコだからなぁ」

盗賊E「おい女ァ!俺ら相手にするんだからおとなしくしとけ!!」



少女「っや……誰か助け――うぐっ!!」ドグッ

青年「無理無理!!このエーテルの中だぞ!!??」ビリッ!

少女「い、いや……」

青年「そうら後一枚ぃ!!」




少女「いやあああああああああああ!!」















「 " 魔 弾 " 」











763: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:00:05.09 ID:9WeprkA3o





バコォォオンッ!!!


バラバラバラ……




青年「な、なにぃ!?」


盗賊達「「な、なんだぁああ!?」」




鍵をかけていたはずの扉が粉々に散る。








少女「ゆ……ゆ……勇者……さんっ!!!」









勇者「おう、待ちくたびれたから来てやったぞ」











764: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:04:44.62 ID:9WeprkA3o




青年「おっお前なんで!!??エーテルに冒されたはず!!」



勇者「いやぁ、ちょっと深呼吸したら全快した」


少女「あ、は、ははっ」ジワッ


最初に出会った頃の元気な勇者だった。この上ない安堵に思わず涙腺が緩む。





青年「………なるほど、お前エレアだな?だからエーテルで復活したんだ」


勇者「どうかな?」


青年「とぼけやがって……おいお前ら!!やっちまえ!!!」



盗賊達「「「おおおおおおおおおお!!!!」」」バッ!!



勇者「あらら……広域雷撃」パリパリパリ……







勇者「"焦雷"!!」 カッ!!!








ッドォオオオオオオオオオオオン!!!!





盗賊達「「「ぁ………がっ……」」」プスップスッ






765: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:06:17.03 ID:9WeprkA3o



青年「…………え?」


勇者「さーてもうお前1人だが……どうする?」


青年「ひっ……来るなァ!!!こいつを殺すぞ!!!」バッ!!

少女「あうっ!」


勇者「……」


青年「ひ、ひひひひひひひ!!」






勇者「魔氷弾」ヒュッ!





パキンッ






766: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:08:59.01 ID:9WeprkA3o



青年「っああああ!?腕が!!??」パキパキパキ


少女「!!」バッ

少女「はあっ!!!!」ヒュオッ



ドゴォッ!!!


青年「うげえっ!!!」



勇者「おー、回し蹴り炸裂!」


少女「今までの分!!!お返しだアアアアアアア!!!!」バキッドゴッメキッ!!



勇者「ぉ〜……」



青年「っひいいいいい!!!!」ガバッ!!

少女「あっ待てコラ!!」


青年「た、助けっ」ダダダダダダ


少女「………っそっちは!!」ダッ!

勇者「待て」グイッ






767: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:09:55.70 ID:9WeprkA3o



少女「ぁ……勇者さん………」


勇者「無事で良かった、クレア」ギュッ


少女「〜〜〜ゆ、勇者さんっ……こそ」ジワッ


勇者「……ごめんな、ここまで付き添ってくれて……俺を背負って、歩いて……ありがとう」

少女「…………うう〜〜〜」ポロポロ



勇者「もう大丈夫だ、今度は俺が守る」


少女「っうわああああああん!!ああああああああああ!!!!」





洞窟には、少女の泣き叫ぶ声が響くばかりであった。








768: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:10:31.10 ID:9WeprkA3o






………ダダダダダダ





青年「わ、わかっは!あいふがなんでエーテルがへいひなのか!!」ダダダダダダ



青年「ふまり!エーテルは、無害になっはってこトだ!!」ガスッガスッガスッガスッ



青年「アは、あはハははは――あ?なんれ……蹄……?」ジュルッ



青年「なンら、コノ緑ノ液体……」ドクンッ!!



青年「お゛ッ」ミチッ…グジュルッ……






青年「ッッア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!」





……










769: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/10/12(日) 17:11:44.54 ID:9WeprkA3o

*保存*

実はElonaの世界ってナウシカと似てるんだよね




772: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/12(日) 20:39:24.93 ID:3IIKjweyo

なるほど、勇者はメシェーラで体調崩してたのか




773: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/13(月) 20:27:57.86 ID:f3eC1Pjoo

あー
elona世界の人はメシェーらに適応してるからな




775: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/11/09(日) 18:59:38.67 ID:z9/RXT0co












サイモア「ふふ、"奴"は本物のようだな」




ヴァリウス「まさか……本当に"風のルルウィ"を!?」




サイモア「物語はついに"神"さえも巻き込んだか……最高に面白くなりそうだよ」















776: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/11/09(日) 19:06:17.55 ID:z9/RXT0co







少女「あ゛〜〜気持ちぃぃ〜〜〜……」バシャッ


勇者「おーい、タオルここに置いとくよー」


少女「あ、ありがとうございます〜」


岩陰から勇者の声。


少女と勇者は洞窟の奥へと進み、水が湧き出ている場所を見つけた。

二人は嵐の中投げ出されている故に、当然服は泥まみれ。

水浴びをすることにした二人だが、長旅・嵐を経て勇者を背負い歩き続けた少女の身体は
どうしようもなく汚れに汚れ、一応冒険者ゆえに匂いや汚れには慣れているつもりだが

それでも耐えられなくなっていた所にコレはまさに、オアシスだった。







777: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 19:36:37.76 ID:z9/RXT0co




勇者「……なあ、俺はエレア……なのかな」


岩の向こうの少女に呼びかける。



恐怖や畏怖の対象とされていたエーテル。

しかし実際は逆に、勇者にとって心地よく、まさに浄化の光と思えるようだったのだ。



少女「………違うと思います」


勇者「何故だ?」


少女「もし勇者さんがエレアなら、あの二人のあの態度はあり得ません」


勇者「……確かに」



あの二人。緑髪のエレア・ロミアスと、水色の髪のエレア・ラーネイレ。

もし勇者がエレアなら、その二人は"仲間"として話しかけていただろう。







778: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 19:39:23.69 ID:z9/RXT0co



少女「しかも、エレアはエーテルに抵抗があるだけで、完全に無害ってわけじゃありません」

勇者「そうなのか」

少女「でもそのエーテルが完全に有利に働くなんて……今でも信じられません」


勇者「……それに、この地の空気自体が俺にとって毒らしい」

勇者「日に日に調子が悪くなって、エーテルにさらされた途端体が軽くなった」



勇者「俺は……何者なんだ……?」


少女「………………勇者さんは、本当に別世界から来たのかもしれませんね」

勇者「別世界……ね」


少女「だってほら、本当にこの地の空気自体が毒だとしたら」

少女「どうやって今まで生きてきたんです?」


勇者「……確かに」



少女「勇者さんがあのエレア達に介抱されて――私と出会ってから今日で一週間です」

少女「一週間でここまでひどくなるんだったら、次のエーテルが発生するまでの間どうやって過ごすんですか?」






779: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 19:46:24.09 ID:z9/RXT0co



少女「……そして勇者さんほどの実力があれば、なにかしら情報や噂があったはずです」

少女「となると、勇者さんはこの世界に"いきなり現れた"……と仮定すれば、しっくりきますね」



勇者「異世界人…………か」



少女「とりあえず記憶さえ戻れば全て分かると思いますけどね。どうですか?」

勇者「……まだ断片的だな……4人で旅をしていた事だけは覚えてるんだが」

勇者「仲間3人の顔も思い出せねぇ」





少女「……そういえば、勇者さんがこの世界に来たということは、仲間もこの世界へ来てるんじゃないですか?」

少女(そろそろ出ようかな)ザバァ






勇者「…………そうか!」

勇者「仲間と合流できれば、記憶も、俺が何者かも全部分かるかもしれねぇ!」


勇者「ありがとうクレア!これで今後の方針が決まっ」バッ!


記憶喪失の打開策が浮かび上がり、思わず岩陰から飛び出る。すると当然――




少女「えっ」



勇者「あ」



勇者の目に、一糸纏わぬ少女の身体が映る。






780: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 19:51:19.69 ID:z9/RXT0co





―――


パチパチパチ……


少女の着ていた服を適当な棒に掛けて干している。その横で……


少女「……」

勇者「ゴメンナサイ」


たき火に照らされているのは毛布に包まった少女と、その前で土下座している勇者。


少女「それで、他に言う事は?」

勇者「……いや言い訳のしようもナイデス」


少女「いやそうじゃなくて……ぇとその……す、スタ…ィ…ル……と、か、」

勇者「え?」


少女「〜〜〜なんでもないです!!次は勇者さん水浴びしてきてください!その間服洗ってますから!!」


勇者「ぉ、ぉぅ」


赤く染まった少女の顔は、たき火に照らされているためか、もしくは――。






782: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 20:32:12.06 ID:z9/RXT0co







ガシャッ、ガシャッ……




「うわっバラバラだ」

「ォォオ」


光の粒子――エーテルの風が舞う中、機械でできたその巨体……ビッグダディは、残骸と化した荷馬車の前に止まる。


「あの嵐だもんねぇ……」


そのビッグダディの肩に乗っている小柄な少女が呟く。



ビッグダディ「……オオオ!」

小柄少女「なぁに……ん?」




「アァ……えーテルはァ……ムガイぃぃいい」ヨロヨロ



道の向こうから、緑の鱗に覆われた肌、蹄の脚、トカゲの頭を持つモンスターが近づいてくる。





783: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 20:57:01.63 ID:z9/RXT0co



「ヒト……ヒトォ!!」ダッ!


ビッグダディ「ォォォオ!」ガシャッ!

小柄少女「待ってバブルス。ここの所、雑魚は任せっぱなしだったからたまには私が倒すよ」バッ!


スタッ!


小柄少女「この光が出てきてからなんか調子良いし!あ、フード持っててバブルス」バサアッ!

ビッグダディ「オオ」


小柄少女「さて」


身長140cm程度のその少女はフードを渡すと


「アあぁァァオンナはオレガオカすぅゥウ!!」ダダダダダ


小柄少女「一本で十分かな」チャキ



ヒュオッ!


「……ァア?」ズルッ


トカゲの頭と鱗の身体に二分されたモンスターは力無くその場に崩れる。


二本ある剣のうちの一本に手をかけた瞬間小柄な少女の姿は消え――


小柄少女「うん、いい切れ味」シャッ


いつのまにかモンスターの後ろで剣についた緑の血を払っていた。






785: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 22:14:02.92 ID:z9/RXT0co




ビッグダディ「オオオオ!!」

小柄少女「え、何バブルス……ありゃ」



賞賛の呼びかけではなく注意の呼びかけだと少女は認識する。

辺りを見回すと――



「グルルル……」

「クスクスクス……」



小柄少女「っと……いつの間にか囲まれちゃったか」




襲撃。目の前のトカゲモンスターに気を取られていた隙に囲まれていた。




小柄少女「……丁度良い運動になりそう!さあかかってきなさい!!」






786: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 22:22:29.60 ID:z9/RXT0co




ファイアハウンド「ガルァァア!!」ボォオオオオオッ!!!!


小柄少女「火を吐く狼か」ダンッ!!


ファイアハウンド「ガルッ!?」


自ら放った炎のせいでターゲットを見失い、今になって後ろを取られている事に気付くが……


小柄少女「遅いねぇ」ドスッ!


喉元に剣を突き立てられ、即死する。



「……」スゥ……


小柄少女「……!!」バッ!!


シャシャシャシャッ!!


小柄な少女の居た所、四つの鎌が空を切る。

緑のローブを纏い、四つの腕がそれぞれ鎌を持っている。


小柄少女「っとと!……おお、四刀流カックイ〜!じゃあこっちは……」カチャ…

小柄少女「二刀流で!」シャキンッ!






787: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:09:33.32 ID:z9/RXT0co






キン!ギィンッ!ザシュザシュザシュッ!!!


「……!」ドサッ


小柄少女「手数が多けりゃいいってもんじゃないよ〜!次……うわキモい!」


塊の怪物「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛………」グジュルグジュル


小柄少女「あーやだやだ」ザンッ!


塊の怪物「ァ゛ァ゛………」ズルッ……


ズルルルルルルッ!!!


塊の怪物「「「「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛〜〜〜〜」」」」


小柄少女「増えた!?……なるほど、そういうタイプか……なら!」チキンッ



小柄少女「……広域雷撃……」スッ




小柄少女「"焦雷"!!!」カッ!



バリッ!ッドォォオオオン!!!






788: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:20:20.97 ID:z9/RXT0co



シュゥゥゥ……


小柄少女「……うーん、やっぱお兄ちゃんの方が威力高いなぁ」



小柄少女「さて、あと一体だけど……あれ?逃げたのかな――」


ヒュンッ!


小柄少女「――ッッ!!!」バッ!


ダンッ!


小柄少女「……矢か」ツー…


一筋の血が、間一髪で避けた事を告げる。

地面に刺さった矢を確認――


ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ!!!


――する暇もなく。


小柄少女「ッ!!」ババッ!!


ダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッ!!!!


ビッグダディ「オオオオオ!!」

小柄少女「……だいじょーぶ!まかせといて!」




789: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:49:09.74 ID:z9/RXT0co



シャッ……


小柄少女(見つけた!)


視界ぎりぎりで何かが高速で移動するのを捉える。




クイックリングの弓使い「ケケッ!何ガ起キタモカワカラズ死ンデイケ!!」シャシャシャシャシャッ!!



小柄少女(速い!そしてこの攻撃速度!反撃する暇が無い……!)


全長100cmもない小人、クイックリング。その速さはトップクラス。しかし――




小柄少女「……仕方ない、久しぶりに"なる"か」


小柄少女「広域炎撃……"火炎旋風"」ゴオオッ!!!


クイックリングの弓使い「ム……無駄ナコトヲ……」バッ


少女の広域炎撃から逃れる為に少し距離を取る。これにより攻撃の手が止まる。






790: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:52:04.74 ID:z9/RXT0co



小柄少女「よし」バサッ!


少女はさらに服を脱ぐ。



現れたのは、元の世界ではビジネス用として使われていた衣装。


赤色のネクタイに紺色のブレザー、濃い灰色のスカート。



小柄少女「やっぱスカートが一番動きやすいかな…………」




小柄少女「……すうっ」






深呼吸。









小柄少女「ヴオオオオオオオオ!!」ザワッ!!




少女が叫ぶと同時に、小柄な少女の髪が緑から水色へと変わっていく。




猫のような耳が頭から生え、さらにスカートの内から先だけ白くなった水色の尻尾がしゅるりと顔を出す。





793: ◆0n5oW5RoIa9K 2014/11/10(月) 21:57:08.95 ID:I7iroIKso




小柄少女「ふ〜……この姿に"戻る"の久しぶりだな〜」


耳をぴこぴこ、尻尾をふりふりと動かし、感覚を確かめる。



小柄少女「……よっし」ぴこっ


耳を立てて集中する。




小柄少女「……!」スッ


少女が少し身体を傾ける。

――直後。


ダンッ!!


少女の元居た位置を矢が通過し、地面に突き刺さる。

最初に避けた時とは違う、余裕を持った回避。



小柄少女「そこか」ググッ……



そして矢の軌道から敵の位置を割り出し、姿勢を低くする。






794: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 22:25:03.65 ID:I7iroIKso




クイックリングの弓使い「チ……」シャッ!


目にも止まらぬ速さで後退し、矢を放つ。


だが。



小柄少女「ふッ!!!」ダンッ!!!


シャシャシャシャシャシャッ!!


クイックリングの弓使い「!!??」


放った矢を全て紙一重で避け、一直線に近づく。



クイックリングの弓使い「バカナ!!」


最速の種族・クイックリング。これに出会った者は、自分が既に殺されている事にも気づかず絶命する。


はずだが。



このスピードについてくるこの少女は、何者――。





ザンッ!!






795: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 22:26:39.52 ID:I7iroIKso



クイックリングの弓使い「――――」



小柄少女「……ふぅ、耐久力は無いのね」チャキンッ


スゥゥ……


小柄な少女に生えていた耳と尻尾は小さくなっていき、水色から緑へと髪の色が変化する。



ビッグダディ「オオオォ」スッ

小柄少女「ありがと」シュルッ



元の服をそのまま上から着ると、小柄な少女はまたビッグダディの肩に乗り――



小柄少女「行こうか、バブルス」



エーテルの風が舞う中、次の街を目指すのだった。







803: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:00:27.20 ID:e7qDJ9PGo






時は少し遡る。







〜ルミエスト〜



ザアアアアアアアアア…………



市民「くそっ!急に嵐なんてついてねぇ!!せっかく有名な吟遊詩人が来てたってのに!」

市民「ぐちぐち言っても仕方ねーな……早く家に帰って洗濯物取り込まないと!!」


持っていたフードを深くかぶるが、全く意味をなしていなかった。


市民「よし、あのルルウィ様の像を左に行けばもう着いたも同然……ん?」



視線の先にあるルルウィ像には、何か赤っぽいものが覆いかぶさっていた。



市民「誰だあんなイタズラしたのは!天罰が下…………」



怒りを露わにするも一瞬で冷静になる。覆いかぶさっているのは、人。それも二人。

そして、赤いものは……血であった。



市民「っっおいおいおい!!!どうやったらあんなことになるんだ!!??」




市民「……ガード!ガードォ!!!」




…………







804: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:01:52.35 ID:e7qDJ9PGo




…………





「う……ん」


医者「やっと気が付いたか」


「ここ……は」


医者「私の家のシェルターだ。今はエーテルの風が吹いているのでね」


「……エー、テル……」


医者「……自分の名前はわかるかい?」


「……ナルレア」


医者「ふむ、記憶障害は無……ナルレア?」

医者「……まさか"風の民"の!?」


ナルレア「……ええ、そうよ」


医者「これは失礼した!まさかルルウィ様の寵愛を受けられているナルレア殿だったとは!」


ナルレア「いいのよ。こちらこそ治療してもらって、感謝するわ……はっ!」

ナルレア「それよりフォーちゃんっ!……フォーちゃんは無事なの!?」






805: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:07:02.35 ID:e7qDJ9PGo



医者「……」スッ


医者は無言で、こちらを向くナルレアの反対側を指さした。


ナルレア「?………あ」

黒天使「……すぅ……すぅ……」


所々に傷跡はあるものの、元の艶を取り戻した羽を綺麗にたたみ、

ナルレアのベッドに寄りかかって眠る神の化身・黒天使デイフォードがそこにいた。



医者「いやはや、君のペットはすごい回復力を持っているね。私が少し手助けしただけですぐに傷が癒えてしまった」

医者「外傷はその子の方がひどかったのだが、内傷は君の方がひどかったようだ」

医者「傷が癒えるや否や、ずっと君の心配をしていたよ」


ナルレア「……フォーちゃ…………っ!!!!」

医者「……」


ナルレアは体の違和感に目を見開く。

医者はそれを悟り、口を開けようとした……その時、



黒天使「ふあ…………はえ?」ムクッ



黒天使・デイフォードが目を覚ます。



ナルレア「あら、起こしちゃった……おはようフォーちゃん。……といっても今何時か分からないけど」

黒天使「ご、ご主人……?」

ナルレア「心配かけたようね」


黒天使「……ご主人〜〜〜〜!!!!!!!」バッ!


ナルレア「ふふっ」







806: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:13:58.60 ID:e7qDJ9PGo



黒天使「うああああああん死んじゃうかと思ったよご主人〜〜〜!!!」ぐしぐしぐし

ナルレア「……」

黒天使「……はっ!」バッ!

ナルレア「……?」


黒天使「オイ人間!恩を売ったからって調子に乗るなよ!?」

医者「ぇえ……?」

ナルレア「こら!礼は言いなさい!」

黒天使「う……ご主人がそう言うなら……あ、ありがとう……ござい、ました……」プイッ

ナルレア「もー」

医者「はっはっは、構わんよ」



ナルレア「ところで、私達はどれくらい意識を失ってたのかしら……?」

ナルレア「エーテルの風が吹いているとなると、かなり時間が経ってる気がするのだけど」


医者「今回エーテルの風は珍しく早く、9月1日から吹き始めたからね」

医者「君たちがここへ運び込まれたのは8月31日の夜で、そこから君たちは3日間意識を失っていたよ」


ナルレア「3日間……」


医者「ルルウィ様に感謝することだ」


黒天使「!!!!」






807: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:14:59.93 ID:e7qDJ9PGo



医者「君たちは、血だらけでルルウィ像に被さっていたそうだよ。そのおかげで発見できたも同然なのだ」

医者「いやはや、ルルウィ様のご加護を受けられているあなた達がうらやましい」



黒天使「そうだルルウィ様がっ!!ご主人!こうしちゃいられないよ!!!」

ナルレア「フォーちゃん……ルルウィ様があの後どうなったか分かるの?」

黒天使「あっ…………う……」


俯く。分からないからではない。分かっているからこそ、口にするのを躊躇ってしまう。



黒天使「私はルルウィ様の化身だからね……ルルウィ様とは頭の中で会話できるんだ……でも」

黒天使「何度話しかけても……返事が無いんだ……」グスッ


医者(……)

ナルレア「……」


黒天使「ご主人!エーテルの風が止んだらすぐ出発しよう!」

ナルレア「どこへ?」

黒天使「それは……あ!"フリージア"が居るネフィアを探せばいい!」

ナルレア「探して、どうするの?」

黒天使「どうって………」




ナルレア「"フリージア"にあそこまでやられたの、忘れたわけじゃないでしょう?」






808: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:19:09.22 ID:e7qDJ9PGo



黒天使「う…………っじゃあ!!……癪だけど……神々の休戦地へ行こう!!」

ナルレア「なるほど、他の神を頼るのね」

黒天使「私ならあそこで他の神と交信できる!」

ナルレア「でも、私はそこへ行けない」


黒天使「〜〜〜っ…………」



黒天使「……何故ですか……?ご主人様」

ナルレア「考え自体はそれで良いのよ」

黒天使「じゃあッ!」

ナルレア「……ごめんねフォーちゃん……あのね」













ナルレア「身体が、動かないのよ」











黒天使「……………え?」








809: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:30:58.82 ID:e7qDJ9PGo




黒天使「身体が動かないって……どういう事……?」

ナルレア「おそらく、憑依を強制的に解除したあの時よ……」


医者「……私の考えを言っていいかな?」

黒天使「どういう事だッ!!説明しろッ!!!!」


医者「……ナルレア殿の神経は今……脳と繋がっていない状態にある」


黒天使「な、なにっ!?」


医者「話から察するに、"憑依"を強制的に解除された、と」

ナルレア「……ええ」

医者「これでも一時期憑依について研究していた時があってね」

医者「ここからは憶測なのだが……」



医者「今、ナルレア殿の神経は……おそらくルルウィ様の元にある」

黒天使「どうしてそんな事が分かる……」


医者「"憑依"は、神が肉体をほぼ乗っ取る形になる」

医者「その際肉体の神経はその神が支配しているという事になるが」

医者「ナルレア殿の場合、強制的に解除された事により」

医者「ルルウィ様がナルレア殿の肉体神経を解放する前にルルウィ様が居なくなってしまった」


医者「だから、ルルウィ様がナルレア殿の肉体神経を解放しない限り………元に戻ることは無い」



医者「……考えたくは無いが、ルルウィ様が既に――」

黒天使「人間。いくらご主人の命を救ったとはいえ、それ以上口にすると本当に殺すことになるぞ」ギロッ



医者「……失礼した。私の見解は以上だ」







810: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:35:44.18 ID:e7qDJ9PGo



ナルレア「あなた、かなり達観した考えをしているのね。普通考えもしないわよ?」


医者が黒天使に遮られた言葉の続きを、敢えて言い放つ。



ナルレア「"ルルウィ様が死んだかもしれない"……なんて」

医者「まあね。患者を助けるために全ての可能性を考えるのが私の仕事だからね」


黒天使「ごッ、ご主人ッ!?」


信仰している神に対してなんたる非礼。

だが、驚く黒天使を無視して話を続ける。


ナルレア「そういえば、ここはどこの街かしら。ルルウィ像に被さっていたということは……ルミエスト?」

医者「ああ言ってなかったね。そう、ここはルミエストだ」

ナルレア「……ルミエストの医者……って!ノースティリス一医学に精通していると言われる……!?」

医者「あー、それは言い過ぎだと思うがね……」

ナルレア「なるほどね。だから私達の話にもついてこれたのね……あなたの話、信じるわ」



ナルレア「……フォーちゃん、こんな状況よ。……今は何を言っても、ルルウィ様は出てこない」

黒天使「ぅ…………」





811: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:37:23.83 ID:e7qDJ9PGo



ナルレア「だからフォーちゃん……私の事はいいから、神々の休戦地へ行って」

黒天使「いやだよご主――」

ナルレア「行きなさい。このままここに居ても何も変わらない」


ナルレア「それに、ルルウィ様を助けるという事は私を助けるという事につながる。そうでしょう?」

黒天使「そ、それはそう……だけど……」


ナルレア「エーテルが吹いている今なら通常より早く移動できる」

ナルレア「エーテルの影響を受けない、神の化身であるあなたにしか頼めない事なのよ」



黒天使「……わかったよ……」

ナルレア「……いい子ね」





黒天使・デイフォードは意を決し、シェルターの外へと向かう。




黒天使「……人間!」


向きを変えずに叫ぶ。


医者「む?」





黒天使「……ご主人の事、よろしくお願いします」



医者「……まかせたまえ」





黒天使は素早くシェルターから脱出し、エーテルの風が吹く中

首都パルミアのさらに北……"神々の休戦地"へと向かう。





819: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/02/05(木) 16:06:12.66 ID:56zWVIHoo

少しだけR-18的内容入っていいですか




820: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/05(木) 17:04:28.80 ID:N6r5hElOo

>>1の好きな様に書け




821: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/05(木) 20:23:47.44 ID:XjWVEqS8o

R-18(エロとは言ってない)

と言うことか?




822: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/05(木) 20:29:53.08 ID:GvISQsWgo

R-18(G)か……




825: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:02:48.67 ID:mDXVADf4o




……



黒天使「とは言ったものの……っこのぉ!」ザシュッ!ザシュッ!



光の粒が舞う中、黒天使・デイフォードは鎌を振り回し次々とモンスターを倒していく。

ルミエストを出発した黒天使だったが、ある程度進んだところでモンスターに囲まれ足止めを食らっていた。




黒天使「エーテルの風が吹いているときは強い個体の出現率が高くなる……でも」



ぞろぞろぞろ……



黒天使「あくまで強個体の出現率が高くなるだけであって、モンスター自体の量は増えないはずなのに……」



斬っても斬ってもいつのまにかまた囲まれている異様な状況を、不審に思わずにはいられない。



黒天使(やっぱりおかしい……何かが……)










*ジュルッ*






826: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:03:16.43 ID:mDXVADf4o



黒天使「……!今の音……もしや!!」




周りのモンスターの鳴き声や音の中から聞こえた、今の状況に答えを出す"音"。

デイフォードはこれを聞き逃さなかった。





黒天使「邪魔だッ!!!"ブースト"!!」キィンッ

黒天使「ハアアアアアアーーーーーーッ!!!」ザシュザシュザシュザシュ!!




一直線にモンスターをなぎ倒していく。そしてその先に見えた元凶。




黒天使「っいた!……やはり……!」



ジュルジュル……



黒天使「街道付近までこんなモンスターが近づいていたとは……」







黒天使「シュブ=ニグラス!!!!」







827: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:03:54.29 ID:mDXVADf4o




浮遊している緑色の物体。至る所から触手が伸び縮みしており、

得体の知れない粘液を垂らしているその姿は

見るだけで狂気に包まれてしまいそうである。



黒天使(こいつはモンスターを次々と召喚する厄介な存在!)

黒天使(だからモンスターを倒してもキリが無かったんだ!)



黒天使「まずは元を……ちょん斬る!!」バッ!



宝石のように輝く瑠璃色の鎌を振りかざす……が。




ブゥン




黒天使「っくそ!あと少しのところで!」


シュブ=ニグラスの移動手段はショートテレポート。

当たる寸前で消えてしまったが、しかしデイフォードはすぐに切り替え、辺りを見渡す。


黒天使「次はあそこか!」バサッ!



漆黒の翼を羽ばたかせ、鎌を構える。




ブゥン



黒天使「っまたテレポート……!」



ブゥン


ブゥン


ブゥン……




しかしどんどんデイフォードから離れていき

ついには視界から消えてしまった。







828: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:12:31.86 ID:mDXVADf4o




黒天使「逃がしたか……ま、いっか」




黒天使「シュブ=ニグラスはショートテレポートを繰り返すから本当に厄介」



そう、ショートテレポートしかできないはずだ。



黒天使「それにしてもあのモンスター、やけにあっさり逃げたわね」

黒天使「……できるなら戦わないで越したことはないけどね……キモイし」



だからまさか、



黒天使「まあでも、異常なモンスター数の元は消えたし、これで先に進む事が――」






   ブゥン






黒天使「……えっ」




いきなり目の前にテレポートしてくるなど、思いもよらなかった。









829: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:17:50.51 ID:mDXVADf4o






デイフォードは既に戦闘態勢を解き、鎌から力を抜いていた。


完全に虚を突かれていた。頭が状況を理解するのにかかった時間は

シュブ=ニグラスの攻撃を許すのに十分な時間だった。



シュルッ!!バシッ!


黒天使「……っしまったッ!!!」



触手が鎌を弾き飛ばす。

……ここでデイフォードは弾かれた鎌に視線を向けてしまった。

シュブ=ニグラスから伸びる触手はその隙を逃さない。



シュルルルルルッ!!


黒天使「く、くそっ!!!」



瞬く間にデイフォードの手足を拘束する。



黒天使「鎌が無くてもッ……"ブース――」



――しかしそれだけでは収まらない。



ジュルルルルルッ!!


黒天使「ひあっ!?」



緑の身体から伸びる新たな触手が、足を伝いながら登っていく。






830: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:21:07.21 ID:mDXVADf4o



黒天使「う、うそでしょ!?そん……むぐぅ!!!」

黒天使(しまったっ!これじゃ詠唱が……!!!)



別の触手がデイフォードの口の中へ強引に入り込む。

粘液でどろどろになっている触手が服の内側へ侵入する。



黒天使「んんっ!んっんんーーーっ!!!」ビクンッ!



まるで"味見"をしているかのように容赦なく触手が伸びる。

触手からあふれ出ている粘液は既に、デイフォードの全身を濡らしている。



黒天使(力が……入らないっ……そう、かっ!こいつ……マナを吸い取ってる……!)

黒天使(このままだと……こいつにっ……食われる!!!)



このような状況になってもデイフォードは諦めない。


しかしそれを感じ取ったのか――シュブ=ニグラスの触手はさらに進む。



黒天使(そ、そこはっ!!!)



触手は下着を押しのけ、敏感な所にまで達しようとしていた。






831: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:36:32.91 ID:mDXVADf4o



黒天使「ッん゛ん゛ん゛ーーーーーーッッ!!!」



急に冷静さを欠いたデイフォードが半狂乱になって暴れる。



黒天使(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だそれだけは!!!!!!)

黒天使(こんな所で純潔を失いたくない!!!)

黒天使(純潔でなければルルウィ様の寵愛が受けられない!!!)

黒天使(僕はルルウィ様の誇り高き下僕なんだ!!)ジワァ


気丈だった今までの威勢とは反転し、目には涙が浮かび上がる。




黒天使(―――――――だれか……たすけてッ!!)







 ズバンッ!!







ドサッ!!

黒天使「ウぐッ!」


地面に叩きつけられ全身に痛みが走り、触手の動きが停止する。


黒天使「うげえええええっ!!!げええっ!!」ビチャビチャビチャ


胃酸と共に触手を吐きだす。




「――大丈夫か?」


黒天使「……」ボーー…



既にマナはわずかしか残っておらず、最後に暴れた事もあって意識は朦朧としていた。



「待ってろ、コイツを倒したらすぐに助けてやるからな」


黒天使「大、剣……?―――」ガクッ




デイフォードは大剣を片手にシュブ=ニグラスに挑む何者かの背中を

途切れゆく意識に垣間見た。






832: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:38:12.35 ID:mDXVADf4o





……





少女「……で、それが、謎の美少女と私の大剣がべっとべとになってた理由ですか」


勇者「仕方ないだろ?触手に絡め捕られてて、遠距離攻撃すると巻き添えにしちまうかもしれなかったんだから」


少女「はぁ……エーテルの風の中、食料集めと私の大剣拾いに行ってくれたのはありがたいんですけど」

少女「まさかこんな子まで拾ってくるとは思いませんでしたよ?」チラ




「……」すぅ……すぅ……




少女「……とりあえずあの気持ち悪いべとべとは洗っときました」

勇者「サンキュな、流石に俺じゃまずいしな」



少女「はぁ……人間以外も助けちゃうなんて……」





勇者「え?」





少女「もしかして知らずにお持ち帰りしたんですか?背中に翼生えてたでしょう?」

勇者「いや、街でも数人見かけたし……そういう装飾だってお前が……」




少女「この子を洗った時見ましたけど、アレ直に生えてましたよ」


勇者「……まじ?」


少女「そもそもエーテルの風の中うろついてる時点で人間じゃありませんって」

勇者「……俺―」

少女「勇者さんは例外です!」

勇者「あ、はい」







833: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 22:45:29.94 ID:mDXVADf4o




少女「そういえば食料の方は……」

勇者「ん、向こうの調理器具がある所に置いといた」

勇者「それで悪いんだが、食料の選別しといてくんね?俺じゃあ食えるかどうかわかんねーからさ」

少女「りょーかい!……あでも、その子に変な事しないでくださいよ?」


勇者「するか!」

少女「ま、知ってますけど」

勇者「なら聞くなよ……」


少女「んじゃーついでにもうごはん作っちゃいますね」


勇者「おう、頼んだ」


少女「……なんか、新婚みたいですね」

勇者「どこが?」


少女「…………」




少女「異世界人なら、食の常識なんて通じない可能性ありますよね……」スッ…


勇者「ん!?待て!お前俺に何食わせようとしてる!?」


「う……ん……?」


勇者「あ!?目を覚ましたぞー!!おーいってば!!……あーもー!」







834: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 23:00:23.76 ID:mDXVADf4o




勇者「えと……大丈夫か?」


「…………そう、か……助けて……もらったのか……」


勇者「まーな」


「……す、すまな……い?」パサッ



上体を起こした為、布団がずりおちる。



「…………白い……服…………?」


勇者「あー、べとべとだったんで洗ってやったぞ」

勇者「そんで代わりにその辺の――」


「……う」


勇者「う?」




「うわああああああああああんもうダメだああああああああああああああ!!!!!!!」


勇者「!!!??!!???」



「純゛潔゛し゛ゃ゛な゛く゛な゛っ゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」



勇者「おっ、落ち着け!まず……おちつけ!!」






835: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 23:02:00.54 ID:mDXVADf4o



「あ゛あ゛あ゛犯゛さ゛れ゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」



勇者「ちょっ!なんもしてないって!話聞け!!」



「嘘゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!こんな美少女前にして[ピーーー]しないわけないだろぉぉおおおお!!!!」



勇者「自分で言うかね……てか、ほんとに……落ち着いて……」



ドタドタドタ


少女「何の騒ぎですか!?」



「どうせ既に●付け[ピーーー]してッ!僕の[ピーーー]には白い[ピーーー]がたっぷりとピイイイイイイイイ!!!!」



少女「勇者さんッ……そんな……やっぱりッ!!!」




勇者「っだあああああああああああああちょっと本気で黙れェェェェェェエエエエエアアアアア↑↑↑!!!」







836: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 23:13:16.61 ID:mDXVADf4o






「ほんとか?ほんとのほんとにボクの[ピーーー]はまだ破られてないんだな!?」グスッ


勇者「俺は君をここまで運んだだけ、君の身体をきれいにしたり服洗ったりしたのはコイツだよ」

少女「ごめんね、勝手に洗っちゃって」



「そ、そうか……」ほっ



勇者「どーやら誤解は解けたようだな……」

少女「よかった仲良くなれそうで……あなたの名前は?」





「…………」





少女「……?……あの――」






「黙れ人間、図に乗るなよ」


少女「エーーーーーーーーーーー」






837: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/02/06(金) 23:33:43.21 ID:mDXVADf4o






黒天使「この黒天使・デイフォード様を介抱した事については褒めて遣わす。ご苦労であった」



少女(何この子)

勇者「……」



黒天使「良い匂いがするな?食料を出してもらおうか我は腹が減っているのだ」フフン



勇者「……」スッ


黒天使「む、なん――」





 ゴチンッ!!!!

黒天使「はう!!」



勇者「そこまで感謝の気持ちが無いと腹が立つぞ?んん?」

少女(……あ、この笑みは出会った頃の勇者さんだ)



黒天使「神の下僕である我に向かって何をする!!今から貴様に天罰を――」ゴチンッ!!



黒天使「ぐっ……こんな事してただで済むと思って――」ゴチンッ!!



黒天使「っ……殺す!貴様は絶対に――」ゴチンッ!!



黒天使「ぁぅ……に、人間ふぜ――」ゴチンッ!!







838: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 23:48:41.96 ID:mDXVADf4o




黒天使「助けて頂いて本当にありがとうございました」ズザー

少女(あぁ、懐かしの土下座だぁ)


勇者「ったく、最初からその気持ちさえあれば何もなかったのに」


少女「ちょっと、やりすぎと思いますけどね……はい、ありあわせだけどシチュー」

勇者「おーうまそう」


黒天使「……」ギュルルル…


少女「はい、もちろんあなたの分も」スッ


黒天使「……ふ、ふん」スッ



勇者「うおうんめぇ!」

少女「でしょ!?どんなもんです!!」



黒天使「……ん」

黒天使「!っ……はむ、はむ」

黒天使「〜〜〜っうぅ」グスッ



勇者「嫌なら黙ってていい。もう拳骨はしない。君さえよければ話してくれ」

勇者「その涙の理由を」


少女(うわぁ勇者さんそれはクサイですよ)


ゴチンッ!!


少女「ひぎい!」






839: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/02/07(土) 00:20:49.56 ID:IuUjCjKMo





黒天使「……ボクはルルウィ様の下僕、黒天使・デイフォードという」


勇者「それ、マジで言ってたのか……」


少女「え、ちょちょ、ちょっと待ってください!ル、ルルウィ様の下僕!!??」


黒天使「そうだよ……信じてなかったのかよ」


勇者「ふつーは信じないと思う」


黒天使「……やっぱいい、この先は到底信じてくれそうにないし」ムス


勇者「あー悪かった悪かった!信じるから!」





黒天使「……ボクは、ルルウィ様が最も寵愛している人間――"風の民"ナルレアへ遣わせた"神の化身"」

黒天使「最初こそボクは認めて無かったけど……ナルレアはボクが初めてご主人と認めた人間だ」


黒天使「……事が起きたのは数日前。ボクとご主人は謎の男に襲われた」



謎の男が仕向けたフリージアという猫の化身に、手も足も出なかった。


ご主人は"憑依"を使ってルルウィ様を宿し、フリージアを追い詰めた。


しかしそれが男の罠だった。男は部屋に仕込んでいた魔法陣を発動し


ご主人からルルウィ様を引きはがした――。







840: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 00:32:33.60 ID:IuUjCjKMo



黒天使「ルルウィ様のおかげでその場から逃げきれたけど」

黒天使「ご主人はその戦いの後遺症で……か、身体が、動かなくなった」

黒天使「し、しかも、そこからルルウィ様と交信できなくなって、それで……」ポロポロポロ


少女「……ここ最近の急な嵐は……」


黒天使「……うん……ルルウィ様がいなくなって、力のバランスが崩れてしまったんだ」

黒天使「でも他の神は……いつもの気まぐれだと、思ってるだろうね」

黒天使「だからボクは、パルミアの北にある"神々の休戦地"へ行って他の神に知らせようとしたんだ」



勇者「そして今に至る……か」



黒天使「……男は"邪神"ベルネムと名乗っていた」



勇者「邪……神……ベルネム………?」


  パズルのピースが一つはまる。



黒天使「……さっきから気になってる事がある」

黒天使「男が言っていた。"あちらでは魔王という名でよろしくやっていたが"」

黒天使「"あちらの勇者には苦労した"……と。」


勇者「……!」


黒天使「さっきからキミは"勇者"と呼ばれてるけど……何か関係あるのか?」





841: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 00:55:24.64 ID:IuUjCjKMo


勇者「ぐあ……頭、が……!」ズキンズキンズキンッ!

少女「勇者さん!?」





――『追い詰めたぞ……"魔王"!!』

――『ク……ク……クハハハハハハハハ!!!この時を待っていた!!!』


――『何!!??』


――『来てくれて感謝するよ勇者一行!!最後に良い事を教えてやる!!』

――『我の本当の名は"邪神"ベルネム!!600年前!この地に追放されてやってきた!!』


――『だがそれも終わりだ!全ての条件は揃った!!!』

――『この場に存在する魔力を利用し!!"ゲート"を開く!!』


――『っっっ!結界を解除しろ魔法使―』

――『もう遅い!!!!!』


――ゴォオオオオオオオ!!


――『っうあああああああああああ!!!魔力が……吸い取られ……』

――『ぐ……ああああああああ!!!』


――『魔法使いっ……戦士!!!』



――『 開け!! "ムーンゲート"!!! 』ゴゴゴゴゴゴゴ……



――空間が歪み、そこから月明かりのような光があふれ出る。


――『クハハハハハハハ!!さらばだ"勇者"ども!!』

――『次に会うとき!力の差に恐怖するがいい!!クハハハハハハハハハ!!!』スゥゥ…


――"魔王"は光の中に消えていく。


――『なんだ……これは……!!皆掴まれ――』

――『わ、わっ!!』フワッ

――『!!っしまったっ!!』

――『お、お兄ちゃ……』スゥ……


――しかし"ゲート"はさらに飲み込んでいく。


――『くそぉおおお!!俺のッ!俺の大切な妹を――!!』ダンッ!




842: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 01:28:12.42 ID:IuUjCjKMo













勇者「"邪神"ベルネム……そうか、ここは奴の地だったのか」


少女「勇者……さん?」


黒天使「……?」





勇者「少し思い出したよ、ありがとうデイフォード」

黒天使「む……なんなのさ」





勇者「俺は……"異世界"から来た"勇者"だ」





勇者「"魔王"……いや、"邪神"ベルネムを……倒すためにこの地に来た」










843: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 01:28:40.15 ID:IuUjCjKMo




黒天使「な、なんだって……!?」


少女「思い出した……んですか」


勇者「ああ……俺は本当に"異世界"から来た。その"邪神"を追ってな」

勇者(……いや、少し違うな。……何かが……まあいい)


黒天使「"邪神"ベルネムを知ってるのか!?」


勇者「……すまんが、思い出したのはここまでだ」


黒天使「お、思い出したってなんだよ!?」


少女「えっと、その"異世界"から来たときに記憶喪失になってるらしくて……ですよね」


勇者「ああ」


黒天使「ふ、ふざけるな!!じゃあ何か!」

黒天使「貴様が奴を逃がしたせいでボク達はあんな目にあったって事じゃないか!!!!」


勇者の胸倉を掴み、訴える。



勇者「ごめんな……」


黒天使「く、くそっ!」







844: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:15:36.54 ID:IuUjCjKMo




勇者「君の言う通り、君の置かれている状況には俺にも責任がある。だから俺も同行するよ」


黒天使「……」


少女「神々の休戦地へ行く……って事ですか」


勇者「そういう事になる」


黒天使「仲間になれ……か?……ボクはご主人しか認めてない」


勇者「あー、あくまで"同行"だ。そんな堅苦し――」





黒天使「だから、今から"マスター"と呼ぶことにする」




勇者・少女「「……ぇえ?」」




黒天使「ボクは下僕として生まれた。誰かに従う事はあっても誰かを従える事はできないよ」

黒天使「だからこういう形にするしかないのさ」






845: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:19:18.86 ID:IuUjCjKMo



勇者「いやだから、そんなんじゃなくても――」

黒天使「君にはボクらを助ける義務がある。そうだろう?」

勇者「……う、そうだが」

黒天使「だからこれは一種の"契約"さ。君の下にいる限り、君はボクを見捨てる事はできない」




勇者「……いいのか?お前にはご主人がいるんだろう」




黒天使「そう、ご主人はご主人、マスターはマスターだ。問題ない」


少女(へ、屁理屈だーーーーー!!)




勇者「……わかった。じゃあ、よろしくな」


黒天使「ふん、あくまで馴れ合う気は無いからね。"マスター"」



黒天使「……それと、クレアとか言ったっけ?」

少女「え、あ、うん」





黒天使「……その。シチュー……おいしかった……あ、ありがとう」



少女「……どーいたしまして!」









黒天使のデイフォードが仲間に加わった!




859: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/19(日) 22:18:37.26 ID:Y4IZM7qEo





未だ降りやまぬ光の胞子。

雪の様に舞い、大地へ沈んでゆく。




そんな中、とある洞窟内部では焚き火の光が壁に人の影を映し出していた。







パチッ……パチッ……




ラーネイレ「……どう?」

ロミアス「ああ、もう動ける」

ラーネイレ「よかった……」

ロミアス「助かったよ。"癒し手"の君が居てくれて」




"悲愴の戦闘狂"ギーラは強かった。

ロミアスが応戦した時もあったが、対エレア装備は完璧――

全くと言っていいほど歯が立たず、逆に重傷を負ってしまう始末だった。



なんとかエーテルの風が吹くと同時に洞窟を発見し、逃げこみ

数日、緑髪のエレア・ロミアスの回復に勤しんでいた。







860: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/19(日) 22:22:47.60 ID:Y4IZM7qEo



ヴェセル「だから私について来いと言ったのだ。全く、君のせいでこんな洞窟に逃げこむはめになったのだからな」


ロミアス「ふん、どうとでも言うがいい。護衛のくせに一度も戦わず逃げてばかりの輩め」

ロミアス「ここまでの金はやる。だからもういい、こんなクラムベリー・ジャンキーに頼るのが間違いだったのだ」


ヴェセル「いいだろう。その金で貴様の墓を建ててやる」




ラーネイレ「ストップ!!!ロミアスいい加減にして!」




ロミアス「……ふん」


ラーネイレ「あなたもよヴェセル・ランフォード」


ヴェセル「……」


ラーネイレ「護衛はまだ続けてもらうわ……ただ――逃げてばかりでは前へ進めないのよ」






ヴェセル「前へ進んだ先に待つのが絶望であってもか?」


ラーネイレ「……何?」







861: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/19(日) 22:23:20.28 ID:Y4IZM7qEo







ヴェセル「私は進んだ。進んで進んで進んで――――大切なものを失った。」



ヴェセル「進まなければ良かった。あのまま、密かに暮らしていれば」

ヴェセル「エリシェは死ななかったかもしれない……」




ラーネイレ「エリシェ……?そういえば初めて会った時もそんな名前言ってたわね」


ヴェセル「君と同じエレアの娘だよ。お互いに支え合って生きていた」

ヴェセル「……昔、な」



ラーネイレ「……似ているのね。その子と、私が」

ヴェセル「まあな……だがエリシェは君と違って治癒術は使えなかった」


ヴェセル「普通の、娘だった」





ラーネイレ「……」

ヴェセル「……」






862: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/19(日) 22:27:55.40 ID:Y4IZM7qEo




ヴェセル「……すまないな。感傷に浸ってしまった……こんな話をするつもりはなかった」





ヴェセル「だが、誤解を一つ解いておこうか」

ラーネイレ「……誤解?」

ヴェセル「ああ」




ヴェセル「私は別に逃げているわけではない」



ヴェセル「……戦える"場所"を探していたんだよ」





ラーネイレ「どういう意味?」


ヴェセル「…………そろそろエーテルの風が収まる。"奥に引っ込め"」


ロミアス「……何を言っている?」




エーテルの風が収まったのならすぐにでも出発するべきだろう。

しかしヴェセル・ランフォードは"奥に行け"と二人に命じていた。





その理由は、洞窟入口から侵入してきた。







863: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/19(日) 22:33:34.39 ID:Y4IZM7qEo




「ガウッ!ガウッ!!!」


「ご苦労、ラジ」





エーテルの風は収まり、差し込んだ太陽光を背に受けている。

ゆえに逆光となり、はっきりとは見えない。が、声と雰囲気からエレアの二人は直感した。









ロミアス「ッ!!」

ラーネイレ「〜〜!!!!」






―――見つかった。







864: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/19(日) 22:53:34.77 ID:Y4IZM7qEo




ギーラ「さて、どう料理してくれようか……」


ヴェセル「まぁ待て」ザッ



ギーラとエレア二人の間に割って入る。



ギーラ「そういやお前は何だ?そいつらと行動してるようだが……エレアじゃないな」


ヴェセル「護衛さ。こいつらに雇われてる」


ギーラ「……ハッ!馬鹿言うな!そこの緑髪のエレアをぶち殺そうとした時、護衛しなかったじゃねぇか!!」


ヴェセル「ああ、あのときは街が近くにあったからな」

ギーラ「街……?何わけわかんねぇ事言ってやがる」


ギーラ「とりあえずどけよ。俺の目的はエレアを殺す事だけだ。邪魔するならてめーも殺すぞ」


ヴェセル「あー、それなんだが」






865: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/19(日) 22:55:17.01 ID:Y4IZM7qEo




ヴェセル「ギーラとやら。ここはひとつ交渉というか、提案がある」


ギーラ「ああ?物言いできる立場と思ってんのか?」

ヴェセル「できるさ」ドサッ!




ロミアス「……ッッ貴様!!!!」

ラーネイレ「貴方……!」




二人にとっては信じがたい光景だった。



ヴェセルはいつの間にか二人から奪っていた装備を敵に渡したのだ。





ギーラ「……なんのつもりだ?」

ヴェセル「これで後ろのエレア二人は丸腰だ。加えてこの洞窟はどこにもつながっていないから逃げられもしない。」

ギーラ「……つまり?」


ヴェセル「簡単な話だ。俺と一騎打ちしろ」

ヴェセル「俺を殺せば後ろの二人も殺せると同義。俺がお前を殺せば俺は護衛任務完了だ。分かりやすいだろう?」







866: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/19(日) 23:01:39.05 ID:Y4IZM7qEo






ギーラ「……クッ」






ギーラ「ハァーーーーッハッハッハッハッハッハ!!!!!」






ギーラ「"戦闘狂"の俺に、一騎打ちだと!?」


ギーラ「追跡も得意だが……一騎打ちの方が得意なんだぜ!!」



ギーラ「これまで1対1で負けたことがねぇ!!!」


ヴェセル「そうか。ならばそれは今日で終わりだ」


ギーラ「……ムカツク野郎だな……いいぜ。まずはお前からミンチにしてやる……ラジ!!」


ラジ「ガウッ!」

ギーラ「奴らの装備銜えて外出てろ!!」


ラジ「ガウガウッ!!」タタタタタタ……



ギーラ「一応確認しておく。一騎打ちの間にそいつらが逃げた時は?」

ヴェセル「その時は、俺は護衛をやめる。戦闘も中断、好きにするがいい」


ギーラ「……いいだろう」






867: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/20(月) 00:55:10.42 ID:j7782n/wo





ギーラ「さぁて……」カチャ…


ヴェセル「……」



対峙する二人。ギーラは背の戦斧に手をかけ、戦闘態勢を取る。



ギーラ「どうした?腰の剣は飾りか?」


戦闘態勢を取らないヴェセルを煽る。




ヴェセル「……はっきり言おう。貴様は強い」グッ


柄を握る。


ヴェセル「常に戦いに身を置いてきた貴様に、今の私では少々危うい」

ヴェセル「できるだけ使いたくなかったが……」






ヴェセル「この剣に頼らざるを得ないだろうな」シャッ!


鞘に収まっている腰の"剣"を抜く。









―――瞬間







868: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/20(月) 08:19:43.31 ID:j7782n/wo




ズオオオオオオ……



ドス黒いオーラが剣を取り巻き始める。




ロミアス「!!!」ゾクッ!!!

ラーネイレ「ひっ!!」


ギーラ「ッッ!!!」




異質なモノ。"剣"のような何か。

この場にいる全員に悪寒が走った。




ヴェセル「早めに終わらせるぞ。このオーラが濃くなってしまう前にな」ダッ!!


ギーラ「くっ!!」ブンッ!







869: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/04/20(月) 08:23:03.85 ID:j7782n/wo




ヴェセル「戦斧か。刃で攻撃するもよし、腹で防御するもよしの攻防一体の武器だ」ヒュッ

ギーラ「チィッ!ちょこまかと……!」


ヴェセル「だがその大きさゆえに鈍重、そんなものが当たると思っているのか?」シャッ!

ギーラ「くっ!」


ガギィンッ!!ギィン!!


ヴェセル「これでエレア殺しとはあきれる。スピード重視のエレアと相性最悪の武器だ」

ギーラ「……」

ヴェセル「エレアを殺すのなら――」



ドンッ!!!


ヴェセル「ッ!!」

ラーネイレ「なっ!!」



ヴェセルがうずくまると同時に漂う硝煙の匂い。

大男の手には、その体からは似合わぬ拳銃がいつの間にか握られていた。





870: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 09:49:04.78 ID:j7782n/wo



ギーラ「……ふっ、ハハハハハハハハ!!!」




ヴェセル「そう。エレアを殺すには別の武器が必要だ」スクッ

ギーラ「なにっ!?命中したはずだ!!」



不意を突いたはずだが、ヴェセルは悠々と立ち上がる。



ヴェセル「次は私の番だ……」スッ


剣を天に掲げる。すると――







……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!




剣から滲み出る黒いオーラがさらに濃くなっていく。

と同時に洞窟全体が共鳴し始め、大きく揺れる。



ギーラ「なんだ……なんなんだそれはァッ!!!!」


ロミアス「ッ……!」

ラーネイレ「……!」



エレア達は恐怖で身動ぎ一つさえもできなくなっていた。

この距離でこれだけの圧迫感・絶望感が漂ってくるのだから、

相対している"エレア殺し"はこの比ではないだろう。






871: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 10:04:10.56 ID:j7782n/wo








ヴェセル「終結させろ……"ラグナロク"ッッ!!!!」ドスッ!!!





剣を地面へ突き立てた瞬間――




ゴオオオオオオオオオオオオオオッ!!!




ギーラの足元にひびが入った瞬間、火柱がギーラを襲う。



ギーラ「ぐぁああああああああああああッッッ!!!」ドガンッ!

ギーラ「がっは……」


勢いよく吹き飛ばされ、天井に打ちつけられる。



ドサッ!



力無く落下し、地面にも叩きつけられたギーラは、もはや意識は残っていなかった。






872: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 10:07:00.76 ID:j7782n/wo









――――ドクンッ!!!




勇者「ッッ!!!」バッ!


少女「どうしました?」

黒天使「幽霊でも見えた?」

勇者「いや……」




勇者(鞘が、脈打っている…………共鳴?)




勇者(勇者の証と彫られたこの鞘。この世界に来てから剣が外れたものと思っていたが、思い出した記憶によるとこの鞘……)





勇者(元の世界で王様から勇者として譲り受けた時から剣が入っていなかった)





勇者(……もしかしてこの世界に…………)








873: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 10:07:27.60 ID:j7782n/wo

*保存*




874: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 10:54:11.68 ID:PFx2NCxWO

乙、ラグナロクの特別感というか、禍々しさの描写が素敵だわ




889: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/07/19(日) 11:28:37.29 ID:bImDu2yLo




黒天使「あ、エーテルの風止んでる」


勇者「おっ!んじゃあ出発するか!」


少女「……」


勇者「どうした?」


少女「その……勇者さんはこの地の空気自体が毒……なんですよね?」


勇者「ああ、そうらしいな」


少女「次のエーテルの風まで3ヵ月……どう過ごすつもりなんですか?」


勇者「………………ま、どーにかなるだろ」


少女「なりませんよ!わかってるんですか!?少なくとも勇者さんはこの世界に来て2週間もしないうちに症状が出てるんですよ!?」


勇者「ならば1週間で全てを終わらせるまでだ」


少女「……そんなこと……」






黒天使「ねぇ、それならマスターがエーテルに触れ続けてればいいんじゃないの?」






少女「……あ」






890: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/19(日) 11:29:53.02 ID:bImDu2yLo




勇者「エーテルに触れ続ける?エーテルの風は止んだのにか?」


少女「なるほど……その手があったか……」


勇者「おーい、その手ってなんだ〜?」


少女「実は武器や防具には、エーテルで造られたものがあるんです」


勇者「……なるほどね。それを身に着けてればいいってことか」


少女「はい。ただ……滅多に市場に出回らないのと、一般武器の十倍以上もの値段がしますから、入手は困難……モンスターが落とすのを狙った方が早いレベルですよ?」


勇者「ふーむ……」













黒天使「じゃ、貸そうか?」









勇者・少女「「…………え?」」







891: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/19(日) 11:30:46.85 ID:bImDu2yLo





黒天使「ん〜〜〜しょっと!」ズモッ



少女「ちょっと待って、今どこからその……弓?出したの?」

勇者「なんかえげつない音がしたぞ」



黒天使「この弓はウィンドボウと言ってな、ルルウィ様から頂いたエーテル製の弓だ」



勇者・少女((スルー!!))



黒天使「これを身に着けていれば、エーテルの風ほどではないが常にエーテルに触れていることになる」

黒天使「これでこの世界の空気を吸っても相殺されるだろう」


勇者「いいのか?神様からのプレゼントなんだろ?」


黒天使「いや〜〜ルルウィ様に頂いたのはいいんだけど、ボクあんまり使わないし」

黒天使「でも、事が終わったらちゃんと返してよね」



勇者「……さんきゅな」



黒天使「ふんっ!じゃあさっさと出発だよ!」








892: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/19(日) 11:33:27.75 ID:bImDu2yLo







勇者「あ〜〜〜久しぶりの太陽!!気持ちいいな〜〜!!」




少女「…………」


勇者の元気な姿に、自然と口が緩む。

そんな少女に黒天使が耳元で話しかけた。



黒天使「良かったな、これでまだ一緒に旅ができるぞ」ボソ


少女「ッ!!!!」


黒天使「不安だったのだろ?片や通常の空気が毒、片やエーテルが毒」

黒天使「しかし……根本的な解決にはなってない。いずれ立ちふさがる"壁"だ」



少女「……わかってるよ」






少女(なんで出会って1日しか経ってないのに分かるかな……)











勇者「そういや、パルミアの北に神々の休戦地はあるんだよな?」


黒天使「そうだよ」


勇者「パルミアってジャビ王に謁見した街だよな?」


少女「そうですよ?」


勇者「……よし」









893: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/19(日) 11:34:27.52 ID:bImDu2yLo












ーパルミアー











黒天使「………………」

少女「………………」




勇者「さて、まず宿屋で朝飯食おうぜ〜」



少女「ちょちょちょちょっと待ってください勇者さん!!何が起きたのかさっぱりです!!」

黒天使「あっれぇさっきまで洞窟の外に居たはずなんだけどナー……」



勇者「ああ、俺一度来た街なら転移で瞬間的に戻れるんだよ」



少女「帰還の巻物無し・タイムラグ無しだとぅ…………いやっ!それ相応の何かが……!」

少女「勇者さん!!その魔法はどのくらいのマナを消費するんですか!?」


勇者「マナ……?魔力の事か?いやほぼ消費しないけど」


少女「チートだ!この犯罪者!!」


勇者「犯……え!?」




黒天使「あー確か、荷物運びの依頼最中にテレポートの類を利用して街を移動するのは犯罪なんだよね」



勇者「前々から思ってたがこの国の罪の基準が分からん」








894: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/19(日) 11:35:57.59 ID:bImDu2yLo




ーパルミア・宿屋ー



勇者「神々の休戦地へは、ここからどのくらいの距離にあるんだ?」モグモグ

黒天使「えーと確か半日あれば着くはずだよ」

勇者「往復で1日か……食料が必要だな……ついでに旅糧も買っておこう……すんません!おかわり!!」


少女「あのもう4回目のおかわりなんですが……」


勇者「いやー体調戻ったら腹が減って減って」


少女「く、くそうその体のどこに……」


黒天使「大丈夫だ。まだ成長するよ君は」

少女「……どこを見て話してるノ?」


黒天使「君は若いからね。今後の対応でいくらでも変わる」

少女「決してムネの話をしているわけではナイヨ?」


黒天使「心配するな。身長は遺伝するが胸は遺伝しない。大事なのは女性ホルモンとマッサージだ」

少女「決してムネの話をしているわけではナイヨ?」カキカキカキカキ


黒天使「ならばメモをとるその手を止めて食事に集中したらどうだい?食事も大きく影響するしね」

少女「すいませんおかわり」








895: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/19(日) 11:38:16.36 ID:bImDu2yLo




勇者「はー食った食った!!旅糧も買ったし、行きますか!!」


少女(女性ホルモンとマッサージ……女性ホルモンとマッサージ……)ボソボソ


黒天使「行こうか……ん?」


勇者「どうした?」



黒天使は視界の端に奇妙な光景を垣間見た。



黒天使(あれは……へぇ……)



しかし黒天使の目的はあくまで自身の神・ルルウィを助け出す事。

ここでこの話題を出すとまた時間を食ってしまうと感じた黒天使は、あえて気にしない事にした。



黒天使(ま、いいか。)

黒天使「なんでもないよマスター。準備ができたなら早く行こう」




黒天使(珍しい事もあるもんだ……)












黒天使(ビッグダディが街に現れるなんて)







909: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/11/19(木) 23:33:55.39 ID:zKSHUd6Qo







ーパルミアから北へ30マイル地点の洞窟ー




ザアアアアアアアア……



勇者「はーまた雨か」


少女「これがルルウィ様の影響……すごいね。数時間おきに天気が変化してる」


黒天使「ルルウィ様……」


勇者「……じゃあさっさと助けないとな」


少女「といってもこの雨じゃ……日も暮れてきたし、今日はこの洞窟に泊まります?」


勇者「しか無いな」


少女「あ、それじゃあ安全確保しに少し洞窟探検しましょう!」

少女「道中あんまりモンスター襲ってきませんでしたし、思いっきり動きたい気分なんです!」


勇者「りょーかい、んじゃクレアはこのフロ――


少女「このフロアはまっかせましたーーーーー!!」ダダダダダダ…………




勇者「……」








910: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 23:37:38.79 ID:zKSHUd6Qo





黒天使「……なんか、急に元気になったねあの子」


勇者「ははは……まぁアイツは元々冒険者で、ネフィア探検に目がなかったからなぁ……」

勇者「このフロアのモンスターを掃除してから後を追うとすっか」


黒天使「ボク、パス」


勇者「おい」


黒天使「だってダルい……このネフィア全然強い気配感じなかったし」

黒天使「マスターだってそう思ったからあの子を追わなかったんでしょ?」


勇者「まぁ、な。でも、アイツだってそれなりの実力は持ってる。多少の危険は任せるさ」


黒天使「ふぅん……でも知ってる?雑魚ネフィアにもたまに危険なヤツが居るって事」ニヤ


勇者「……なんだよ」


黒天使「基本的には中立だから、こっちから攻撃しない限り何もしてこないんだけど――

勇者「ビッグダディの事か?」

黒天使「寝るね。晩御飯できたら教えてね」ドサ

勇者「うぉおい!」









912: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 23:49:06.87 ID:zKSHUd6Qo





勇者「ったく……」





……しーん





勇者「…………」


黒天使「……モンスター倒しにいかないの?」ゴロン


勇者「……いや、妙に静かだと思って」


黒天使「確かに、モンスターの気配あんま感じないね」

黒天使「……既に他の冒険者が攻略してたりして」


勇者「……」


黒天使「ふふ、マスターが今思ってること当ててみようか」


黒天使「もし他の冒険者がこのネフィアを訪れてるなら、先に行ったあの子と出くわす可能性がある」

黒天使「そしてもし、その冒険者が"悪い奴"だったら…………」


勇者「……」







913: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 00:06:28.11 ID:QE18Zzh/o









タタタタタタタタ…………


少女「ぬああああモンスターいなぁあぁあい!!!先越されてたーーー!!」


ガツッ


少女「ぬわ!」ベシャッ!


少女「いったぁ……もー…って……ぉおおっ!魔力の結晶!!」

少女「ラッキー♪こういうマテリアルは色んな素材として使えるんだよね〜♪」ごそごそ





…………ォォオ……




ピタッ

少女「今の……」




…………ォオオオオ……




少女「……間違いない、この声は……ッ!」ススッ


クレアは音を消して声のする方へと向かう。







914: ◆0n5oW5RoIa9K 2015/11/20(金) 00:10:24.21 ID:QE18Zzh/o








少女(この扉の向こうかな……)キィ……





ビッグダディ「……」




少女(……うお、久しぶりに見た……勝てるかな?)



ビッグダディ「オオオオオォオオオオオォ〜〜〜〜」



少女(あっ無理だ帰ろ)


パタン


少女(どうせリトル捕獲玉は荷物の中だし……)


少女(……あれ?そういや今リトルシスターいなかったよう、な)クルッ









小柄少女「…………」








少女「…………」








915: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 00:37:36.32 ID:QE18Zzh/o





少女(いやいやいやいやいやいや待って待って待って待って!リトルシスター!?)

少女(なんでビッグダディから離れてるの!?いやそれ以前にこのリトルシスター大きいような)


小柄少女「ねぇ」


少女(キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!しかも話しかけてキタァァァァァアアアアア!!!)


少女(……ど、どーしたらいい!?こんなの初めてだよ!とりあえず返事するしか……)アタフタ












小柄少女「オマエ……お兄ちゃんとどういう関係なの?」













少女「……はい?」







916: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 00:49:41.69 ID:QE18Zzh/o






小柄少女「今朝、パルミアでオマエがお兄ちゃんとご飯食べてるの見た」

小柄少女「どういうこと?」


少女「あの、どういう事と言われましても何が何やらさっぱり…………」



小柄少女「ふぅん」







スタッ

小柄少女「 と ぼ け る ん だ 」


少女「ッッ!!!」バッ!!



いきなり間合いを詰められたクレアはとっさに大剣を振りかざす――が、既に小柄な少女の姿は無く

代わりに、ガチャッと後ろの扉が開く音。



小柄少女「バブルス、ローブ持ってて」バサッ!

ビッグダディ「ォオ」



少女(何なのこいつ!?リトルシスターじゃないはずなのに、ビッグダディと会話してる!?)

少女(いやッ問題はそこじゃなくて……)




小柄少女「お兄ちゃんを誘惑する女は私が排除する」ギロ



はっきりと向けてくる殺意。



小柄少女「お兄ちゃんはオマエなんかに渡さない」シャキンッ



腰の両側にある短刀を両手にとり――そして



小柄少女「オマエは私が殺す!!」ダンッ!







917: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 00:53:36.99 ID:QE18Zzh/o




少女「く……」ギンッ!!!ギンッギィンッ!!


小柄少女「……へぇ、ほんの少しはやるみたいだね」


少女「そりゃ、どう、もッ!!!」ギィンッ!!


少女(このスピードッ……速すぎる!けど、ついていけない速さじゃない!)

少女(襲われてる理由が意味不明だけど、どうやら戦うしかなさそうだね!)ダッ!


少女「くらえッ!!」ブンッ!


小柄少女「舐めてるの?……そんな大振り」スッ


少女「今だッ!地雷流し!!」ドスッ!バチチチチチチッ!!!



地面に突き刺した大剣から、周囲に雷撃が走る。

父から受け継いだ大剣は雷の力を宿しており、少女もまた、その力を使いこなしていた。



小柄少女「ッ!?」ビリッ!



緑髪の少女の動きが鈍る。そしてこの隙を、クレアは逃さない。



少女「ここだッ!」シャッ!


小柄少女「ッ!」バッ!






918: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 00:54:38.17 ID:QE18Zzh/o







……ツー


小柄少女「……血」


少女「かすめただけか……次こそ!」


小柄少女「私の頬に……」










小柄少女「……もう許さない」ギンッ


少女「――ッ!」ゾクッ


かつてない殺気がクレアを襲う。


少女(集中!!この間合いなら、最初のような不意打ちは受けないはず!)



クレアは相手の出方に細心の注意を払いつつ戦略を組み立てる。




――が、それも圧倒的な力の前には無意味であった。








小柄少女「 魔 弾 」ボッ









少女の意識はここで途絶えた。








919: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 00:55:37.28 ID:QE18Zzh/o

*保存*




924: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 16:58:32.81 ID:1ng4S1aY0

妹ちゃんまさかのヤンデレだった




925: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 20:59:21.74 ID:fCaDpCc1o

やはり妹は屑はっきりわかんだね




926: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/20(金) 21:19:39.17 ID:8pVgoav0o

no title




929: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/17(日) 23:41:20.57 ID:o41amNaMo










……苦しい。



何でこんなに苦しいの?



ああ、わかった。息ができていないんだ。


息をしなければ。空気を取り込まなければ―――!!





少女「ッはあっ!!!!がはっ!がはっ!!!」



体中に酸素が供給される。視界に光が戻り、洞窟の床の冷たさを全身に感じる。

そしてやっと理解した。自分に何が起こったのか。


間合いは十分なはずだった。しかし"魔弾"という言葉が聞こえた瞬間、

圧倒的なエネルギー弾によって吹き飛ばされ、壁に激突したのだ。



少女("魔弾"?どこかで聞いたような……いや、それよりも!!)



少女はその言葉を前にも聞いたことがあった。しかし今はそれどころではなく……



小柄少女「あぁ、やっぱ生きてた」



目の前に立つ、この災厄をどうにかする事に頭を回転させるべきである。







930: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/17(日) 23:51:37.98 ID:o41amNaMo




少女(このままだと殺される!何か……)



小柄少女「じゃ、死ね」ヒュォッ!


少女(えぇーー容赦ないよこの子ーー!せめて辞世の句を!!)



少女(ええとええと……わが生涯に一片の悔いなし!)



少女(……いやありまくるわ!こんなフルボッコにされて悔いがないわけあるか!!)



少女(あぁ、時間がすごく長く感じる……これが死ってやつなのかな……)



少女(勇者さん、ごめんなさい……デイフォードちゃん、ごめんなさい……)



少女(パパ、今行くからね……)


「うみみゃあ」


少女(そうそう、この鳴き声で思い出したけどあの黒猫ちゃん今頃何してるかなぁ……)






少女「って、あれ?私、生きて……ひぃ!」


小柄な少女の剣は首の皮一枚で止まっていた。






931: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/17(日) 23:52:50.28 ID:o41amNaMo




黒猫「うみみゃぁ〜」


少女「……黒猫、ちゃん?」



小柄少女「……どいて、そいつ殺せない」

黒猫「みゃ、うみみゃぁ、みゃあ」

小柄少女「……でも私には関係ない」

黒猫「みゃぅ、ぅみゃ、みゅうみみゃ!」

小柄少女「……」

黒猫「うみみゃ!みゃあ!」

小柄少女「……わかったよ……」スッ



少女(ぇええーーーー!!和解成立!!??)


黒猫「うみみゃ、うみみゃぁ♪」ペロペロ


少女「うひ、くすぐったいってば……」


小柄少女「猫好きなら……許してやる」


少女(……なんかよく分かんないけど助かったぁーー!!!)







932: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/17(日) 23:58:28.88 ID:o41amNaMo




……タタタタタタタ



勇者「凄まじい音がしたから来てみれば……!」


少女「あ、勇者さん」


小柄少女「!!!お、おにいちゃ――」





勇者「大丈夫かクレア!」ダッ!

小柄少女「……え」



勇者は一直線にクレアの元へ駆け寄った。



勇者「頭から血が出てるじゃねぇか!」

少女「あはは……キツいの一発もらっちゃった」


勇者「……アイツがやったのか?」ギロ


小柄少女「!!」ビクッ!


少女「や、もう大丈夫だから……」

勇者「待ってろ、今治癒魔法かけてやっから」パァァ

少女「おぅ……かたじけない……えへへ」

勇者「なんで嬉しそうなんだよ」

少女「いやあ、心配してくれたんだなぁって」

勇者「……当たり前だろ、"仲間"なんだから」






933: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/17(日) 23:59:38.73 ID:o41amNaMo



小柄少女「仲間……?ねぇおにいちゃん、今仲間って言った?」



勇者「……?誰だお前」



小柄少女「ッ!!!!……そう、そこまで洗脳されちゃってるんだ。その女に」


勇者「……おいクレア、こんなガキにやられたのか?」

少女「いやぁ……人は見かけによらないもんですねぇ……」




小柄少女「…………これはもう、力ずくしか無いみたい……」ユラァ

小柄少女「だねッ!!!」ダンッ!!


一蹴りで一気に勇者の目前まで迫る。


勇者「危ない!!」バッ!


対する勇者はとっさに少女を抱えて回避する。






934: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/18(月) 00:05:54.05 ID:AszUS9M3o



ドゴォンッ!!!

小柄少女「……」


小柄なはずの少女の蹴りは、洞窟の壁を易々と破壊した。





……スタッ

少女「うぉお……お姫様だっこだ」

勇者「大丈夫かクレア……ん?黒猫?」


いつの間にか少女の腕の中には黒猫が。


黒猫「うみみゃぁ」

少女「あ、さっきはこの子のおかげで助かったんだよ」

勇者「そうか。ありがとうな」ナデナデ

黒猫「うみみゃぁ〜♪」


勇者「……お前らはここに居ろ。どうやら相手はやる気みたいなんでね」




小柄少女「おにいちゃんの匂いに女の匂いが染みついてる……許さない」


小柄少女「おにいちゃんに治癒魔法をかけてもらうなんて……許さない!」


小柄少女「おにいちゃんにお姫様だっこしてもらうなんて……許さない!!」




勇者「……おい、なんかこいつ怖いんだが」







936: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/18(月) 00:30:52.85 ID:AszUS9M3o



少女「気を付けてください、あの子、めちゃくちゃ速いですよ」

勇者「ああ、さっきので速い事は分かった。だがあの程度なら大したことは無い」



小柄少女「……まぁ、おにいちゃんにとったら"この状態"の攻撃なんてノロくて当たり前だよね」シュルッ

スルッ、ドサッ、ドサッ


小柄な少女は"羽織っていた物"を外していき……


赤色のネクタイに紺色のブレザー、濃い灰色のスカートになった。




そして。




小柄少女「すうぅ…………」




小柄な少女「ヴオオオオオオオオ!!」ザワッ!!



頭には猫耳が出現し、


濃緑だった少女の髪は水色へ。


スカートの中からは先だげ白くなった薄青色の尻尾が現れた。






937: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/18(月) 00:51:52.19 ID:AszUS9M3o




少女「へ、変身した……」


勇者(……なんだ?あの姿、見たことあるような…………)



小柄少女「ふぅ……"この状態"なら、おにいちゃん相手でも"対等"に喧嘩できる……」


勇者(……こいつ……さっきとは比べものにならない程にヤバい何かを感じる!!)


勇者は気を引き締めて集中する。



小柄少女「……」


勇者「……」


小柄少女「……」


勇者「……」


小柄少女「……」


勇者「……」







フッ!





少女「消えた!」





938: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 01:11:42.67 ID:AszUS9M3o



勇者「ッ!!上だ!!」バッ


勇者が見上げた先には、天井に張り付く小柄少女。

長くは張り付いていられないはず。そこから右か、左か。正面か。


しかしこの一瞬、勇者に強烈な既視感が襲う!


勇者(……違う!あれは幻影だ!本命はこの後――)



小柄少女「また引っかかったね、おにいちゃん」ヒュオ

勇者「!!!!」



バキィィッ!!



"正面からの回し蹴り"が勇者に炸裂した。



ズザァッ!

勇者(くそっ!わかってたはずなのに……!)



勇者(……"わかってた"?なんだ?なんで俺は正面からの回し蹴りが来るとわかってたんだ?)



小柄少女「本気出しなよ、おにいちゃん」シャッ!シャッ!シャッ!シャッ!シャッ!



少女「う、わ……残像しか見えないけど洞窟の壁も天井も、重力無視して走り回ってる……」






939: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 01:27:02.45 ID:AszUS9M3o




小柄少女「広」シャッ!


小柄少女「域」シャッ!


小柄少女「雷」シャッ!


小柄少女「撃」シャッ!



勇者(ッ来る!!)



ヒュッ!スタッ!!


勇者の後ろに着地――


勇者「まずいッ!!!対雷防御――」バッ!


小柄少女「"降雷陣"!!!!」




ッッッガアアアアアアアアンッ!!!




小柄な少女を中心に、全方向へ円状に雷が落ちた――







940: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 01:40:04.13 ID:AszUS9M3o





……シュゥゥゥゥゥゥ…………



小柄少女「……まだまだこれからだよおにいちゃん。どうせ対雷防御魔法で防いだんだろうけど」

小柄少女「次は今のようには行かな……」



勇者「……が、っは…………」ドサッ



小柄少女「……え?」



勇者は小柄な少女の攻撃をまともに受け、全身黒焦げになっていた……



小柄少女「どうして……おにいちゃんなら今の攻撃は必ず対雷防御魔法で防いでたはずなのに……」


少女「勇者さんッ!!」バッ!


小柄少女「ッ!またあの女……」



小柄少女「……!!!!!」



小柄な少女は理解した。防御魔法はちゃんと発動していたし、ちゃんと攻撃から防いでいた。





勇者に駆け寄る、その少女を。



小柄な少女の攻撃は全域に及ぶ。

勇者は瞬時に判断したのだ。

クレアが危ないと。



小柄少女「そんな……」





941: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 01:48:16.99 ID:AszUS9M3o


少女「勇者さん!勇者さん!勇者さ……」


勇者「――」


少女「え、何?」


勇者「――、――……」


少女「ちょっと!勇者さんッ!」


勇者「―――……………」ガクッ


少女「ッ!!!……し、死んじゃ、った……」



小柄少女「……な、何言ってるの?おにいちゃんが私の攻撃なんかで死ぬわけ……」



少女「うっ……うわぁーーーん!!勇者さーーーん!うわーーーーーん!!」


小柄少女「え、うそ……そんな……」


少女「うわぁーん!!うわぁーーーーん!!うぐっ!」



小柄少女「や、やだぁ……」グスッ





942: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 01:56:45.85 ID:AszUS9M3o




小柄少女「……やだよおにいちゃあああああん!!!」


小柄少女「死なないでええええええええ!!!!」


小柄少女「おにいちゃんが他の女と仲良くするはいやだけど、おにいちゃんが死ぬのはもっとやだあああああああ!!!!」


小柄少女「わかったからああああああああ!!!ヤクネさんの他にも例外作るからあああああああ!!!」


小柄少女「あ゛や゛ま゛る゛か゛ら゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! !」







勇者「ほんとだな?ケシィ」むくっ



小柄少女「……え?」



勇者「クレアよ、お前演技下手くそだな。なにが「うわぁーーん」だよ。棒読みにも程があんぞ」

少女「いやぁ……私としては会心の出来だったかなーと」

勇者「そんなわけあるか!そんで途中「うぐっ!」って笑いそうになってんじゃねぇよ!台無しじゃねぇか!!」

少女「勇者さんの無茶振りに対応したんだから役者になれると思う」

勇者「とんだ大根役者だよ。畑に埋まってろ」

少女「ひどい」



小柄少女「………………え?」






943: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 02:10:44.24 ID:AszUS9M3o




小柄少女「……えと、おにいちゃん?」


勇者「あぁそうだ、俺はお前の兄のユウだ。そんでお前は俺の大事な妹、ケシィだ」

少女「やっと全部思い出したんですね」

勇者「あの雷撃のおかげでな。強い刺激が脳みそ駆け巡ったおかげでパズルのピースがそろったみたいだ」


小柄少女「思い出したって……?」


勇者「ごめんなケシィ。俺さっきまで記憶喪失でさ、お前の事がわからなかったんだ」


勇者「でもお前の雷撃を受けてやっと記憶が戻った。ありがとな」ギュッ


小柄少女「え、あ、そ、そうだったの?そうとも知らずにごめんなさいお兄ちゃん。えへへへへへ」


少女(実はチョロい……?)





945: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 02:29:03.85 ID:AszUS9M3o




勇者「さて、例外作るって言ったなケシィ」

小柄少女「う……」

勇者「クレアは記憶の無い俺についてきてくれた大事な仲間なんだ。分かるな?」

小柄少女「…………わかった……例外にする……」

勇者「よし、いい子だ」ナデナデ


小柄少女「うひ、ふひっ、えへへへ」にへら



少女(……かわいい!)ズキューン!


少女「私もなでなでしたい!」バッ!


小柄少女「触るな!!」フッ


少女「うわぁびっくりした!!瞬速で逃げられた!!」


小柄少女「……いいか、私にはおにいちゃん以外誰にも触れさせないからな」


少女「うお、いつの間に後ろに……」






946: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 02:38:16.92 ID:AszUS9M3o



勇者「……一度殺されかけた相手によくそこまで心開けるな」


少女「だってかわいいんだもん!かわいいは正義!特にその猫耳!!くしくししたい!触らせて!」


妹「ひぃ」シュゥゥ……


猫耳と尻尾は引っ込み、水色の髪は濃緑へと戻っていく。


少女「ああっ!そんな!私の猫耳!!」


妹「お前のじゃない!!おにいちゃんのだ!!」


少女「お兄さん!ケシィちゃんを私にください!」


勇者「とりあえず落ち着けお前ら」






947: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 02:38:48.59 ID:AszUS9M3o




勇者「んじゃ改めて……俺の名前はユウ。そんでこいつは俺の妹、ケシィだ」


少女「こちらも改めて!クレアです!よろしくユウさん!ケシィちゃん!」


妹「ふんっ!一応例外としておにいちゃんと仲良くするのは許すけど、それだけだからね!」

妹「おにいちゃんに手出したら、今度こそ殺すから!」


少女「ケシィちゃんに手を出すのはいいって事だね……ぐふふ」


妹「おにいちゃん!!やっぱこいつ殺していい!!??」


勇者「うーん……だめ」

少女「勇者さん悩まないでください」







948: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 03:03:57.56 ID:AszUS9M3o



……状況は一段落して、妹・ケシィが洞窟に入った際に狩ったモンスターの肉を

少女・クレアが調理し、夕飯を囲んだ。



妹「ちっ……うまかった……」


少女「それにしても記憶が戻って良かったです」

勇者「ああ。だからちょっと頭ん中整理したい。色々思い出し過ぎてぐちゃぐちゃだ」

少女「私も、なんで妹ちゃんがビッグダディと仲良くしてるのかとか、今は考えないようにしてます」チラ


ビッグダディ「オォオ」


勇者「……うん……それな…………」


妹「ビッグダディじゃない。バブルスっていうんだからね」

少女「そ、そうなの……」




勇者「……とにかく、今日はもう寝よう!おやすみ!」ドサッ

妹「私、おにいちゃんの隣ね!お前はあっちいけ!」

少女「……ぐすん」





こうして、妹・ケシィが仲間に加わり、

勇者・ユウ、勇者の妹・ケシィ、少女・クレア(と、もう一体?)は眠りにつく。





949: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 03:04:27.66 ID:AszUS9M3o









少女「勇者さん」


勇者「んー?」


少女「何か忘れてません?」


勇者「そうか?気のせいだろ」

少女「うーん、まぁいっか」

























黒天使「あいつら遅いな……お腹すいたよぉ……うぅ……」









950: ◆0n5oW5RoIa9K 2016/01/18(月) 03:04:57.81 ID:AszUS9M3o

*保存*




951: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 03:14:47.52 ID:AszUS9M3o

もう1000近いし、このスレはこれで一旦終わりにしようかなと思います。
次スレはまた近いうちに立ててURL貼りますんで、その時はまたよろしくお願いします。
次スレからはもうちょっと内容的にも筆速度的にもペース上げたいと思います。

それでは、ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。




952: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 04:02:44.51 ID:0K6Fhl2XO

乙乙




953: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 06:00:49.24 ID:i1Io5QI4o

ブラボー!




955: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 08:08:38.74 ID:5ynHR7Kio


原作はキャラメイクしたくらいしかさわってないからなかなか興味深い




961: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 20:05:14.18 ID:g1KvKkkGO

次が楽しみ




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