転載元:男「別れよう」ヤンデレ「……!」


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655: ぐう 2014/07/06(日) 00:18:15 ID:96eZjBnY


〜第8部 ニートじゃないけどかっこいいニートはジャ○ル・ニート編〜


男「何も考えずに走れ!」

ヤンデレ「……?」

男「まぁ小首を傾げるな、ヤンデレよ。それよりP○Mについて話そうぜ」




656: ぐう 2014/07/06(日) 00:18:58 ID:96eZjBnY


ヤンデレ「二章はアレだね、ちょっと戦闘シーン改善されてたね」

男「そうだな。あと、まぁ散々ネットでも言われているが、カットイン欲しいなーと思う」

ヤンデレ「三章に期待……」

男「例の死神君も出てくるしな!」




657: ぐう 2014/07/06(日) 00:19:34 ID:96eZjBnY


ヤンデレ「リーダー?」

男「そんな嵐を呼ぶ展開にはならない」

ヤンデレ「むじょう…きょうじ…だったっけ?」

男「それはアルターの人だから違う」




658: ぐう 2014/07/06(日) 00:20:12 ID:96eZjBnY


ヤンデレ「太いんだよ! 硬いんだよ! 暴れっぱなしなんだよぉ!」

男「それもアルターの変態だから違う!」

ヤンデレ「俺は! すぺしゃるで! 2000回で! 模擬戦なんだよぉ!」

男「炭酸!」




659: ぐう 2014/07/06(日) 00:21:44 ID:96eZjBnY


ヤンデレ「俺はここでスイカに水をやることしかできない」

男「リョウジ違いっ!」

男「……なんで一回炭酸挟んだ!?」

ヤンデレ「まぁ、アイちゃんはわりかし動いてたな……と思う」

男「そうだな。予算かけてるなと感じた」




660: ぐう 2014/07/06(日) 00:22:50 ID:96eZjBnY


ヤンデレ「そのぶん他のシーンが静止画だったり明らかな尺取り虫だったり、」

男「おっとヤンデレ! 大人の事情はそこまでだいっ!」

ヤンデレ「てへぺろ」




661: ぐう 2014/07/06(日) 00:23:37 ID:96eZjBnY


〜某コンビニ〜

男(今日は平日。そしてその始まりの日。つまり月曜日。ということは、だ)

男(世のヤングメン達の心のオアシス、活劇冒険譚、友情努力勝利のあの雑誌の発売日ということだ!)

店員「らっしゃーせー」

男(いらっしゃいませだっつーの。ちゃんと発音しろよなー)




662: ぐう 2014/07/06(日) 00:24:35 ID:96eZjBnY


男(こんなこと考えてるあたり心が狭いのかもなぁと思うわ、自分自身)

男(……そんなことより、早く雑誌を購入して、家に帰って偽恋の続きを読まなければ)

男(雑誌とコーラだけ買っていくか)

店員「250円が一点、130円が一点、会計380円になりまぁーす」




663: ぐう 2014/07/06(日) 00:25:09 ID:96eZjBnY


男(えーっと、小銭は……)

店員「あたためますか?」

男「何を!?」

男(思わず突っ込んでしまった! というか、マジで何を!?)




664: ぐう 2014/07/06(日) 00:25:48 ID:96eZjBnY


店員「えっとぉ……コーラ?」

男「あー、なるほどね、コーラね。って、爆発するやないかーい!」

店員「あー、素晴らしいノリツッコミっすね。まじパネェっす。雑誌のほうはいかがしやすか?」

男「あ、お願いしますー……って、言うとでも思ったか!? チンするのか? お、今週のジャンプは熱いねーって、物理的に!?」




665: ぐう 2014/07/06(日) 00:26:27 ID:96eZjBnY


店員「じゃあ懐であたためておきやす」

男「秀吉かっ! すげー時間かかるし、全然コンビニエンスじゃないよ!」

店員「……もっと熱くなれよ!」

男「修造っ!?」




666: ぐう 2014/07/06(日) 00:29:21 ID:96eZjBnY


店員「熱くなーれ! たっかーなるーあっこーがーれー!」

男「なぜアンタのような見るからにチャラ男が○ッターを!?」

店員「いやマジ○ッターぱねぇっすよ、熱いっす。男じゃなくて漢っす。漢字で書くと痴漢の漢っす」

男「なんで最後印象下げるようなこと言った!?」




667: ぐう 2014/07/06(日) 00:30:08 ID:96eZjBnY


店員「あ、レシートよろしーっすか?」

男「あ、いいですー……って、いきなり普通に喋られると戸惑うんだけど!」

店員「じゃあアニメの話しますか。おにーさんアニメ好きそうだし」

男「てめぇ今言っちゃいけねえこと言ったな!? 人を外見で判断しちゃいけないんだぞ!? アメリカだったら訴訟ものだよ全く!」




668: ぐう 2014/07/06(日) 00:31:10 ID:96eZjBnY


店員「あるぇー? でも、おにーさんさっき俺のこと見るからにチャラ男とか言ってませんでしたっけ?」

男「ぐぬぬ」

店員「こうみえて俺けっこーアニメ好きっすよ。バイト仲間では多分一番のアニオタで、すごいマニアックな作品とかも見てますね」

男「ほう……じゃあ最近はまってるアニメは?」




669: ぐう 2014/07/06(日) 00:31:46 ID:96eZjBnY


店員「ワンピっすね」

男「矢○真理かよっ!」

店員「という、一連のくだり」

男「どーでもいいですよ。って、だ○たひかるかよ!」




670: ぐう 2014/07/06(日) 00:32:27 ID:96eZjBnY


店員「ボケとツッコミの化学反応!」

男「イ○パルス! ……貴様、エンタばっかり見てたな!?」

店員「はい。一番好きな芸人はギター侍です」

男「そこは羽○陽区じゃねえのかよ……っていうか、つまんねえだろ……古いし……」




671: ぐう 2014/07/06(日) 00:33:20 ID:96eZjBnY


店員「あ、人の好みディスったらダメっすよ。斬られますよ? ざんねーん! 三刀流……鬼斬り! つって」

男「ワンピに変わってんじゃねえか!」

店員「フヒヒ、サーセン」

男「……! キモオタ笑いをナチュラルに反してくるとはこやつ……できる!」




672: ぐう 2014/07/06(日) 00:34:07 ID:96eZjBnY


店員「少しは俺の実力、分かってもらえましたかねぇ?」

男「ああ、いいだろう。貴様……バイトは何時に上がるんだ?」

店員「えっ……そんな、まだ出会って間もないのに、私、心の準備が……」

男「やらないか(アニメトーク)」

店員「うほっ、良い男!(もちろんです)」




674: ぐう 2014/07/13(日) 23:44:12 ID:6ill9zq.


〜公園〜

妹「ふんふーん、今日はいい天気だなー」

妹(こういう日は、お兄ちゃんと一緒に散歩でもしたいな……昔みたいに)

妹「ん? あれは……!」

男(おや、なんだろう。急に嫌な予「お兄ちゃーんっ!」メコッ 男「ゴルバチョフッ!」




675: ぐう 2014/07/13(日) 23:45:28 ID:6ill9zq.


妹「お兄ちゃん、こんな平日の夕方からリストラされたサラリーマンみたいに公園のベンチでジ○ンプなんか読んでどうしたの!? 友情・努力・勝利なんて言ってる場合じゃないよ! お兄ちゃんに今必要なのは、妹・妹・妹だよ!」

男「そうか、よくわかった。ところで妹よ、人の括弧書きを突き破ってドロップキック登場してはいけないとお母さんに習わなかったか?」

妹「全然!」

男「おお……お前テンション高いな」




676: ぐう 2014/07/13(日) 23:46:02 ID:6ill9zq.


妹「うん! お兄ちゃんは相変わらずメタいね!」

男「言うな! 消されるぞ!」

妹「えへっ」

男「全く……。妹、なんかジュースでも飲むか?」




677: ぐう 2014/07/13(日) 23:47:48 ID:6ill9zq.


妹「うん! お兄ちゃんは相変わらずメタいね!」

男「言うな! 消されるぞ!」

妹「えへっ」

男「全く……。妹、なんかジュースでも飲むか?」




678: ぐう 2014/07/13(日) 23:49:11 ID:6ill9zq.

妹「投稿かぶったね」

男「言うな! 消されるぞ! マジで!」




679: ぐう 2014/07/13(日) 23:49:52 ID:6ill9zq.


妹「じゃあお兄ちゃんが飲んでるやつ」

男「わかった、ちょっと待ってな」

妹「え? いやいや、違う違う。座って座って。買いに行く必要ないよ?」

男「どゆこと?」




680: ぐう 2014/07/13(日) 23:50:34 ID:6ill9zq.


妹「お兄ちゃんが飲んでるやつって言ったでしょ? くれないの?」

男「もしかしてこの飲みかけのジュースのことを言ってるのか?」

妹「もしかしなくてもそうだよ? 新しいジュース買ってきちゃったら、お兄ちゃんと間接キッスできなくなっちゃうじゃない?」

男「ばんなそかな!」

思わず阿部寛になってしまった。阿部繋がりだ。嘘だ。




681: ぐう 2014/07/13(日) 23:51:19 ID:6ill9zq.


妹「ばんなそかなも、そんなばかなもないよ。ほら、おとなしくそのジュースを私に渡しなさい! あ、ダジャレになっちった、てへっ」

男「きゃーっ! やめてーっ!」

妹「へっへっへ、抵抗するだけ無駄だぜお嬢ちゃん。万年引きこもり気質のお兄ちゃんが力で私に敵うはずないじゃない……!」グイグイ

男「いやーっ! 堪忍してー!」




682: ぐう 2014/07/13(日) 23:52:09 ID:6ill9zq.


妹「おらおら、痛いのは最初だけだってば。生娘じゃあるめーしよぅ」

それにしてもこの妹、ノリノリである。

男「いやー!」

店員「……なにしてんすか」




683: ぐう 2014/07/13(日) 23:53:16 ID:6ill9zq.


男「おお、チャラ男君じゃないか。今は見ての通り、俺の貞操が危険にさらされているのだよ。助けてくれ」

妹「わっ! 知らない人に変な場面見られちゃったよぅ……うう、恥ずかしい……!」

いもうと は にげだした!

店員「男同士でアニメ語りする気で来たら、まさかの場面に出くわした俺の身にもなってくださいヨ……」

男「お、おう」




684: ぐう 2014/07/13(日) 23:53:54 ID:6ill9zq.


店員「ていうか!」

店員「マジありえなくねっすか! あんな可愛い彼女に逆レ○プされかけるとか……!」

店員「男さん、大事な話があります」

男「おう」

店員「俺と身体交換してください」

男「物理的に不可能だよ……あと、アイツは彼女じゃねえよ、妹だよ……」




685: ぐう 2014/07/13(日) 23:54:40 ID:6ill9zq.


店員「は、妹?」

男「おう、義理のな」

店員「え……、それなんてエロゲ?」

男「エロゲじゃねーよ……」




686: ぐう 2014/07/13(日) 23:55:24 ID:6ill9zq.


店員「まじっすか……世の中不公平すぐる……。俺には朝起こしに来てくれる幼馴染も、義理の妹も、やたらと俺を目にかけてくれる近所のお姉さん(生徒会長もしくは風紀委員)も、両親が海外旅行中という設定でお世話をしにきてくれるメイドやイトコも、カリバー的なものを所有してる騎士王のサーヴァントも、何一つないというのに……!」

男「ふぇぇ、エロゲのやりすぎだよぅ……」

店員「男さんはしないんですか、エロゲは」

男「まぁ、エロ含むアドベンチャーは色々やったけどさ……クロちゃん、ふぇいと、つ○きす、りとばす、くらなd」

店員「え、エロナドはクラゲじゃないもん!」




687: ぐう 2014/07/13(日) 23:56:34 ID:6ill9zq.


男「馬鹿にしてんじゃねーか」

店員「ふひひw」

男「いや、普通に面白かったけどな……あと、カミカゼエクスプ○ーラー、グリザイア、愛しい対象○守り方、車輪、さやうた、家計、エアー、みず○ろ……」

店員「グリザイアは3作やったんですか」

男「もち。あれってさ……えっちシーンさ……」




688: ぐう 2014/07/13(日) 23:57:14 ID:6ill9zq.


店員「はい。……いらなかったっすよね」

男「うん……ギャグだけでよかったのよさ……」

店員「アニメ化しますね」

男「そうだな、アニメ始まるまで死ねねーわ」

店員「カミカゼは意外とよかったっすね」

男「まぁな……、歌とかBGMよかった。あと、シナリオも割といい感じ。グラがちょっと全員乳デカすぎてうぅん……ってなったけど」




689: ぐう 2014/07/13(日) 23:57:49 ID:6ill9zq.


店員「主人公の能力発現したときのBGMとか、いいっすよね」

男「そうだな、まさに切り札って感じの主人公補正かかった能力で、実によかった」

幼女「ママー、あのお兄ちゃん達なんの話してるのー?」

母親「しっ、近づいちゃいけません!」

男「……」

店員「……」




698: ぐう 2014/08/10(日) 01:30:28 ID:ZTDgu8wY


〜???〜

許せないことがある。
人には、許容できるものとそうでないものがある。
それは正常な人間の、正常な感覚である。




699: ぐう 2014/08/10(日) 01:35:20 ID:ZTDgu8wY


では何を以て異常とするのか。
それは、許せないことの『基準』だと私は考える。
許せない。断じて許せない。
私は許せない。
いや――許さない。




700: ぐう 2014/08/10(日) 01:35:58 ID:ZTDgu8wY


好きなのだから。
私は、好きなのだから。
彼のことが、どうしようもなく好きなのだから。
だから、許せない。




701: ぐう 2014/08/10(日) 01:36:31 ID:ZTDgu8wY


許容できない。
私以外の人と、二人っきりで。
しかも、男だなんて。
女だったら尚更だけれど。
でも、よりにもよって、男だなんて。




702: ぐう 2014/08/10(日) 01:37:36 ID:ZTDgu8wY


許せない。
許せない。
粛清――するしかない。




703: ぐう 2014/08/10(日) 01:38:06 ID:ZTDgu8wY


〜男宅〜

ヤンデレ「お帰りなさい、あ・な・た」

男「ただいま……っつか、なんでいるんだよ」

ヤンデレ「ノーマル? アブノーマル? それとも……マ・グ・ロ?」

男「待って色々違う! 前提からして違うし、新婚じゃねーし、なんでプレイ内容なんだよ! なんだよマグロって! 『おまえ』決定かよ!」




704: ぐう 2014/08/10(日) 01:38:48 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「もう、男ってば元気なんだから」

男「今ので元気なくなったわ……」

ヤンデレ「……? くんくん」

男「な、なんだよ」

ヤンデレ「……別の男の匂いがする」




705: ぐう 2014/08/10(日) 01:39:24 ID:ZTDgu8wY


男「どきっ」

ヤンデレ「ふぅん……『私の知らない』ところで、男同士でイチャイチャしてたんだ……」

男「ち、ちげーし! イチャイチャはしてねーし! ホモじゃねーし!」

ヤンデレ「でも、長いこと二人っきりで過ごしていたみたい」

男「嗅覚鋭すぎるだろ!」




706: ぐう 2014/08/10(日) 01:40:20 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「私の鼻に嘘は通用しないクマー」

男「くそ……こうなったら、トラフーリ!」

ヤンデレ「しかし回りこまれてしまった」

男「ぎゃー! それは別ゲーだよぅ!」




707: ぐう 2014/08/10(日) 01:40:52 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「大丈夫。男の全身、私の匂いで満たしてあげる……」

ヤンデレ「そして私は男の匂いに包まれて……うふふ」

男「いやー!!!」

ヤンデレ「あ、そうだ」

男「急に素にもどるなよ」




708: ぐう 2014/08/10(日) 01:41:44 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「封筒届いてた。男宛」

男「そりゃ俺んちだから、俺宛でしょうよ!」

ヤンデレ「中身を見たんだけど、どうもおかしい」

男「どういうこと……? ってか、ナチュラルに他人のプライバシー侵害するのやめてもらえませんか」




709: ぐう 2014/08/10(日) 01:42:53 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「紙が入ってた。どうも新聞の切り抜きで作られた文字っぽい。これはまるで犯行予告のよう」

男「いつぞやの事件を思い出すな」

ヤンデレ「私じゃないもん」

男「どれどれ……? 『それ以上イチャイチャしたら、コロス』」

男「……いつぞやの事件を思い出すな」

ヤンデレ「私じゃないもん!」




710: ぐう 2014/08/10(日) 01:43:54 ID:ZTDgu8wY


男「いやしかし、物騒だな……」

ヤンデレ「まぁ、私がいる限り大丈夫だけど……むしろ返り討ちっていうか、何気軽に男のことを殺すとか、言ってるのですかっていうか、ほんと差出人の方をブチ転がして差し上げないと……」

男「お、落ち着けヤンデレ!」

ヤンデレ「コロスコロスコロスコロス……はっ、大丈夫。ちゃんと『処理』するから」

男「何一つ大丈夫じゃない! ていうか処理ってなに! ……やっぱやめて、聞きたくない!」




711: ぐう 2014/08/10(日) 01:44:43 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「足がついたら、男と一緒にいられなくなっちゃう」

男「ひぃいいい! 手紙の主さんよ、どうか無事に生きのびてくれ!」

ヤンデレ「命を狙われている相手の命を心配するだなんて、男ってば優しいんだから……まぁ、そこも好きなところなんだけど……」

男「いいこと言われてるっぽいけど、物騒すぎて戦慄しかないよ」




712: ぐう 2014/08/10(日) 01:45:23 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「それはともかく、こうした手紙が来るという以上『住所』は知られているということ」

男「……!」

ヤンデレ「これは危険が身近に迫っていると考えて問題ない」

男「お、俺は一体どうすれば……」

ヤンデレ「簡単です。解決方法はあります」

男「さっすがヤンデレ! んで、その方法と言うのは?」




713: ぐう 2014/08/10(日) 01:46:18 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「私の家にて24時間体制で男を監視下に置きます。セキュリティは万全です。衣食住と性に関して不自由することもありません。私も一挙両得な素晴らしいアイディアです」

男「……さっすがヤンデレ」

男(予想はできていた。やはり俺が悪い)

ヤンデレ「そうと決まれば、早速私の家に監禁……いえ、避難しよう?」

男「ひぃい! 危険を回避するはずが更なる危険地帯に!?」




714: ぐう 2014/08/10(日) 01:47:12 ID:ZTDgu8wY


ヤンデレ「大丈夫。すぐ慣れるよ……うふふふふ」

男「いやー、やめてーー!」

そういえば、こうして生娘のように抵抗するのは本日二回目だな、などと考える男であった。




721: ぐう 2014/10/29(水) 00:04:04 ID:yK6oF1XE


〜コンビニ〜

どうにかこうにかヤンデレ宅に監禁と言う魅惑のシチュエーションを謹んで辞退させていただいた俺は、条件付きで仮釈放となった。
その条件とは、自分の家から半径2キロ圏内で生活するというものだった。
つまり、直径4キロである。蛇足だ。
要は、ヤンデレの目の届く範囲かつ何かあったらすぐに助けに行ける距離にいなさいという意味だ。
ちなみに俺がどこにいるのかは、GPSで把握しているらしい。
発信機はどこ? と聞くと、内緒だと言われた。怖すぎる。




722: ぐう 2014/10/29(水) 00:04:38 ID:yK6oF1XE


男「うっす」

店員「こんちゃーす……じゃないや、いらっしゃいませー」

男「やっぱり夏はコンビニだよね。さながら都会という名のコンクリート砂漠に潤いをもたらすオアシスのようだよね」

店員「それを言うならコンクリートジャングルじゃ? あと、砂漠にオアシスはドミナント展開してないと思うっスけどね……ていうか」




723: ぐう 2014/10/29(水) 00:05:16 ID:yK6oF1XE


店員「最近、男さん、やたらうちのコンビニ来てません?」

男「……色々あるんだよ」

店員「はぁ、そうスか」

男「色々あるんだよ!」

店員「な、なぜ二回も」




724: ぐう 2014/10/29(水) 00:05:46 ID:yK6oF1XE


男「それはそうとさ、アイスクリームとラクトアイスの違いって分かる?」

店員「えっ? いや……言われてみれば、わかんねッス」

男「乳固形分と乳脂肪分が違うんだよ」

店員「へー」




725: ぐう 2014/10/29(水) 00:07:40 ID:yK6oF1XE


男「乳固形分が15%以上、かつ、乳脂肪分が8%以上のものがアイスクリームっていうらしいね」

男「んで、ラクトアイスに乳脂肪分の規定はないんだけど、乳固形分が3%以上あればラクトアイスって言うらしい」

店員「……へー」

男「そのトリビアに一体何の意味が? と思ったそこのあなた、ここで問題です」

店員「!?」




726: ぐう 2014/10/29(水) 00:08:39 ID:yK6oF1XE


男「皆大好きガリガ○君、分類は?」

店員「あ、氷菓ッスね」

男「えるたそー、正解!」

店員「ぶひぃいい! 可愛い! 可愛いよえるたそー!」




727: ぐう 2014/10/29(水) 00:09:14 ID:yK6oF1XE


男「私、気になります!」

店員「私も、気になります!!!!」

店員「えっ、えるたそー! ほああー! えるたそー!!!!」

バイトリーダー「おい、そこの残念イケメン! ブヒってないで真面目に働け!」




728: ぐう 2014/10/29(水) 00:11:09 ID:yK6oF1XE


店員「接客してるから、俺、ちゃんと仕事してます」

バイトリーダー「そういう接客は違うの!」

男「し、仕事だったのね! 私とは所詮ビジネスライクな関係だったのね!」

バイトリーダー「!?」




729: ぐう 2014/10/29(水) 00:11:57 ID:yK6oF1XE


男「悪いな、邪魔して」

店員「またのご来店をお待ちしております」

バイトリーダー「ありがとうございましたー」

バイトリーダー(できればあまり来ないでほしい……)




730: ぐう 2014/10/29(水) 00:29:58 ID:yK6oF1XE


〜翌日〜

男「よっ」

店員「よっす。あ、いらっしゃいませー」

男「いやー、放置してたらいつの間にか秋になってたねー。ビバ、紅葉っつか俺四季の中で一番秋が好きだわ―」

店員「サラッとメタ発言するのはいかがなものかと」




731: ぐう 2014/10/29(水) 00:30:33 ID:yK6oF1XE


男「ハロウィーンフェアとかやらんの? コスプレせんの?」

店員「コスプレなんて、そんな張り切って店の売り上げに貢献しようとするのはバイトリーダーくらいですよ」

バイトリーダー「してねえよ!?」

店員「ハロウィンフェアはやってますけどね。ハロウィン関連のスイーツが売れ筋です」




732: ぐう 2014/10/29(水) 00:31:09 ID:yK6oF1XE


男「何がおすすめ?」

店員「1番クジですね」

バイトリーダー「クジかよ!」

店員「ハロウィンのコスフィギュアが人気ですね。僕の中で」

男「ふむふむほむほむ」




733: ぐう 2014/10/29(水) 00:31:59 ID:yK6oF1XE


男「じゃあ、肉まん2つくれ」

店員「かしこまりー」

バイトリーダー「クジ買わねえのかよ!」




734: ぐう 2014/10/29(水) 00:32:36 ID:yK6oF1XE


男「フィロ」

店員「……! よくわかりましたね」

バイトリーダー「え? え!? 全然ついていけねぇ! なに!?」

男「ああ、いや、エレメンタルジ○レイドの話です」




735: ぐう 2014/10/29(水) 00:33:39 ID:yK6oF1XE


バイトリーダー「ネタ細かすぎるだろ!」

店員「ああっ、お客様に突っ込んではダメですよリーダー!」

バイトリーダー「はっ、これは失礼……って、そもそもお前が仲良く喋りまくるからいけねえんだろうが」

店員「てへぺろ」




736: ぐう 2014/10/29(水) 00:34:58 ID:yK6oF1XE


男「じゃ、今日はこのへんで……アディダス!」

店員「ラティオス!」

バイトリーダー「あ、ありがとうございましたー」

バイトリーダー(スポーツブランドとポケモンの名前にしか聞こえないがアディオス的な意味なんだろうな!)




744: ぐう 2015/02/23(月) 21:07:49 ID:RwYeEHQc


〜???〜

それは、桜舞う4月のことでした。
私が初めてあなたに出会ったのは。
それまでの私にとって、人生とは私だけのものであり、
私が好きなものは私だけであり、他人など入る余地のない存在でした。




745: ぐう 2015/02/23(月) 21:08:22 ID:RwYeEHQc


私にとって他人というのは、理解が出来なくて、
本当に存在しているのか、
本当に自分と言うものを持っているのか、
機械仕掛けのような、
例えばこの世界に組み込まれた、世界を正常に回すただの歯車、部品のように思えてならなかった。




746: ぐう 2015/02/23(月) 21:08:55 ID:RwYeEHQc


私も、多分そうだったに違いない。
ただ、私が居てもいなくても同じように回っていくであろうこの世界のパーツとして、
何の変哲もない、代わり映えのしない日常を構成していくだけだったのだ。
そう、あなたに出会うまでは。




747: ぐう 2015/02/23(月) 21:09:41 ID:RwYeEHQc


〜コンビニ〜

男「よっすよっす」

店員「いらっしゃーせー」

男「いやすっかり冬だね」

店員「そっすねー」




748: ぐう 2015/02/23(月) 21:10:35 ID:RwYeEHQc


男「物語シリーズで誰が好き?」

店員「あいさつ代わりにいきなりそれとは」

男「なー、誰が好きなんだよー、ほら言ってみろよー」

店員「やめてくださいよその修学旅行男子のノリ!」




749: ぐう 2015/02/23(月) 21:11:37 ID:RwYeEHQc


男「僕は撫子ちゃん!」

店員「あっ、ずるい! 僕も撫子ちゃん!」

店員「撫子ーっ! なでこ可愛いよ、なでこーっ!! ほ、ほああー!」

バイトリーダー「いや、ガハラさん一択だろJK」

男「なっ、あなたは……!」

店員「バイトリーダー!」




750: ぐう 2015/02/23(月) 21:12:09 ID:RwYeEHQc


バイトリーダー「チャラ男、シャフトってすごいな……」

店員「でしょー」

男(バイトリーダーさんに一体何が……)

店員「また新しいの出たら貸しますんで」




751: ぐう 2015/02/23(月) 21:12:47 ID:RwYeEHQc


バイトリーダー「おう、よろしく」

男「チャラ男、お前……」

店員「薦めました。ハマりました」

男「すんげー簡潔な説明なのよさ!」




752: ぐう 2015/02/23(月) 21:13:29 ID:RwYeEHQc


男「あ、そういやグリザイアアニメ始まったっつか果実おわったね」

店員「おわりやしたねー、アニメなんか失禁シーン多いですね。あとトラブル並にナチュラルにパンチラしまくってますね」

男「迷宮もその調子で是非お願いしたい」

バイトリーダー「よしこが走るわけない」

店員「走ったぁああ!」

男「うわ! リアルでこのノリをやられるとつらい! とてもつらい!」




753: ぐう 2015/02/23(月) 21:14:28 ID:RwYeEHQc


バイトリーダー「もちろん、よしこ派です」

男(俺この人の好み大体わかったわ……)

店員「僕はマキナちゃん! そしてお姉ちゃん!」

男(うん、こいつはロリコンだな)

男「そして俺は女装ユージ」




754: ぐう 2015/02/23(月) 21:14:59 ID:RwYeEHQc


店員「え……どんびき」

バイトリーダー「お客様の性癖は機密保持扱いさせていただきますので」

男「嘘だよ、なんやかんやで天ねぇが好きだよ」

店員「あー、わかりやすい」

男「お前にだけは言われたくないけどな!」




755: ぐう 2015/02/23(月) 21:15:31 ID:RwYeEHQc


店員「ちっぱいは、正義! 紳士の嗜み!」

バイトリーダー「お客さん来たから大声でちっぱい言うな!」

店員「ふひひ、さーせんw」




772: ぐう 2015/07/21(火) 21:47:44 ID:xFRUdHA2


〜男宅〜

ヤンデレ「お帰りなさい、あ・な・た」

男「ただいま。お風呂にする!」

ヤンデレ「ごはっ……ボケ潰し……!」




773: ぐう 2015/07/21(火) 21:48:20 ID:xFRUdHA2


男「……一緒に入るか?」

ヤンデレ「それは当たり前だけど、どうかしたの? 男、いつもそんなこと言わないのに……風邪?」

男(ボケ返そうとしたのにナチュラルに一緒に入ることが前提だった……)

ヤンデレ「人間スポンジするにあたって、恥らいながらも彼のためと思って恐る恐る背中に胸をくっつける感じのシチュと、上だろうが下だろうが豪快にまさぐっちゃうオネショタ系のシチュどっちがいい?」




774: ぐう 2015/07/21(火) 21:48:59 ID:xFRUdHA2


男「偏ってるんだが」

ヤンデレ「私のバストが?」

男「ちっげーよ」

ヤンデレ「あ、もしかして洗う側がいいの……? やだ、エッチ……」

男「ちっげーよ。大事なことなので二回言いましたけど!」




775: ぐう 2015/07/21(火) 21:49:34 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「ちぇ」

男「なんかこういうやりとり久しぶりだな」

ヤンデレ「うん、最近倦怠期だったからね」

男「ん? お、おう……?」




776: ぐう 2015/07/21(火) 21:50:14 ID:xFRUdHA2


男(え……ヤンデレの口からあろうことか『倦怠期』だって? 何かの罠か? だってコイツは、そういうの意地でも認めなさそうなタイプなのに……?)

男(多分、ここで肯定する発言をすればおそらく理不尽でちょっとだけグロテスクな展開になることは目に見えている……となれば、かくなる上は……!)

男「で、でも、俺たちなんだかんだでラブラブだよなー」

棒読みである。




777: ぐう 2015/07/21(火) 21:50:47 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「もう、男ってば恥ずかしいんだから……きゃっ!」

男「ああ、俺の口からそういうことを言わせたかったのね……ちくしょう!」

ヤンデレ「ところで」

ヤンデレ「最近、あの男とはどういう関係なの」

男「はいぃ!?」




778: ぐう 2015/07/21(火) 21:51:19 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「恋や愛は時として年齢や性別さえも超える……。最近そう思うの」

男「待て、早まるな。男相手に恋なんかするわけないだろう? あのコンビニ店員とはちょっと仲良しなだ、」

ヒュン。

男「あの、包丁が頸動脈を掠めたんですけど」

ヤンデレ「つい」




779: ぐう 2015/07/21(火) 21:51:59 ID:xFRUdHA2


男「あと一歩で鮮血の花火が上がっていたんですけど」

ヤンデレ「いやん、男の血で出来た花火なんて、ロマンチック」

男「や、やややや、ヤンデレさん、それはロマンともマロンともかけ離れているわけですが」

ヤンデレ「ロマンもマロンもマカロンも皆似たようなものだよ? とっても乙女チックかつエキセントリックかつエキサイティングなんだよ?」

男「超! エキサイティン!?」




780: ぐう 2015/07/21(火) 21:52:49 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「エレス・コレクート」

男「ペヨ○テ風に返されたッ!!」

ジャリ……。

ヤンデレが動きを止めた。

玄関に向けて、いや、その向こう側にいる『ソイツ』を見るように、ヤンデレはゆっくりと振り返った。




781: ぐう 2015/07/21(火) 21:53:20 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「誰かな。……こんな夜中に、私たちの愛の巣に」

男「なにがだ……? そしていつのまにラブ・ネストになったんだ俺の家は……?」

男は気づかない。

研ぎ澄まされた獣のような聴力で、ソイツの接近を探り当てたヤンデレの視線の意味に、男は気づかない。




782: ぐう 2015/07/21(火) 21:54:05 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「……消えた」

ヤンデレは一瞬困惑した後、元のポーカーフェイスに戻った。

男「どういうことだ?」

ヤンデレ「知らなくていい。でも、私が守ってあげる。神に誓って。私に誓って」

男「その守ってくれる方に○されそうになってたわけなんですが」




783: ぐう 2015/07/21(火) 21:54:41 ID:xFRUdHA2


ヤンデレ「生殺与奪権を持ってるイコール相手は絶対服従イコールなんでも言うこと聞くイコール男は私のもの」

男「ねじまがった論理!」

ヤンデレ「男は……渡さない」

玄関を睨むヤンデレの目には、ゆるぎない信念が宿っているように見えて、一瞬だけかっこいいと思ってしまった。




806: ぐう 2016/02/22(月) 01:54:34 ID:WoOJ72MA


季節は過ぎる。
時間は流れる。
止まることのない車輪のように。
ぐるぐると、惰性で、個人の意志など関係なく、
介在する余地もなく。
回転し、今を過去に、記憶に変えていく。
そのような不安定な世界で、
そのような不明瞭な世界で。
確かに意味を持つものなど、多くはない。




807: ぐう 2016/02/22(月) 01:55:39 ID:WoOJ72MA


だからこそ、個人の興味が、個人の執着が、その対象が
その対象に対して思う感情こそが、
世界で最も意味を持つものなのだと私は思う。
その価値観で言えば、私の彼に対する愛情そのものこそが、
この世で一番正しく、意味を持ち、そして尊いものなのだと思う。




808: ぐう 2016/02/22(月) 01:56:20 ID:WoOJ72MA


〜某コンビニ〜

俺は相談を受ける羽目になっていた。
きっかけはチャラ男店員君の一言だ。

「仮にですけど、俺みたいなやつをストーキングする酔狂な方がこの世に存在する確率って、微レ存ですかね」

俺は答えた。

「ハウスダストぐらいの確率で存在するかも」




809: ぐう 2016/02/22(月) 01:57:12 ID:WoOJ72MA


彼のバイト終了後、場所を変えて、俺たちは話をすることにした。
男のアニメ談義もといエロゲ談義もといただの猥談を繰り広げた例の公園だ。

男「詳しく聞こうか」

俺は自販機で買った缶コーヒーを店員に渡し、自分のものを開けた。

男「何があった?」

店員「いや、なんていうか……ちょっとオカルトチックな話も絡んでくるんですけど」

男「オカルト……?」




810: ぐう 2016/02/22(月) 01:58:06 ID:WoOJ72MA


店員「はい……。ーー完全な密室だったんですよ」

店員はおそらく、今から話すことの根幹に関わる、最重要な部分をまず一番に言いたかったのだろう。しかし、それはあまりにも説明不足で、一体なんのことやらさっぱりだった。

男「まあ、『完全な密室』という言葉自体がもはやオカルトみたいに懐疑的な存在であるわけだけれども、それは置いといて、君が一番そこに疑問を抱いているであることも置いといて、何があったかを極めて俗っぽく話してほしい」

店員「誰かに侵入されたようなんです」




811: ぐう 2016/02/22(月) 01:59:00 ID:WoOJ72MA


男「君の家?」

店員「はい。ワンルームなんすけど、角にテレビがあって、中央にテーブル。テーブルの中心には雑誌。隅っこにリモコンが置いてありました。あとーー灰皿」

男「あれ、タバコ吸うんだ」

店員「昔吸ってました。でも、今は吸わない。だから灰皿だけはあるけど、今は必要がない」

男「じゃあいらないんじゃ……?」




812: ぐう 2016/02/22(月) 01:59:39 ID:WoOJ72MA


ここまで言って、店員が話そうとしていることに大方の察しがついた。

店員「いらないんです。いらないのに、あるんです。しまうこともできずに、置いてあるんです」

思い出だから、と付け加え、店員の目つきが急に真剣味を帯びた。

店員「帰ったら、俺のものではない吸い殻が、一つありました」

男「そうか。不審者が君の家で一服して帰って行ったわけだ。部屋を荒らすでもなく、悠々と。はは、そりゃ不気味」




813: ぐう 2016/02/22(月) 02:00:35 ID:WoOJ72MA


不謹慎な発言に苦言を呈するでもなく、店員は淡々と、どこか虚ろな表情で続けた。

店員「メンソールでした。吸い口にほんのりと紅色が付着していて、半分まで吸われたそれは、くの字に折れ曲がっていて」

ということは、女性のものだろう。ストーカーか? いや、しかしさっきの思い出という言葉が引っかかる。よくわからない胸騒ぎを感じる。

男「鍵は?」

何か、とんでもない爆弾が待ち受けているような気がして、自分の理解の範疇を超える事実が店員の口からのべられようとしている雰囲気を察して、焦燥に駆られて話題を現実的な方向へシフトした




814: ぐう 2016/02/22(月) 10:51:23 ID:WoOJ72MA


店員「かけてました」

男「窓も?」

店員「すべて」

男「じゃあ、鍵という部分に関しては『密室』なわけだ」

店員「そうなんです」

男「誰かが合鍵を持っている可能性については?」

店員「……今は、ありえません」




815: ぐう 2016/02/22(月) 10:51:57 ID:WoOJ72MA


男「今は?」

店員「昔、付き合っていた彼女がいたんです」

男「やるね」

店員「今は、もういません」

男「……」

店員「俺はセッター吸ってましたけど、彼女はメンソールの煙草を愛飲していました。いつも口紅が吸い口についてて、吸い殻をくの字に折るのが癖でした」

男「その、今はもう『いない』ってのは……」




816: ぐう 2016/02/22(月) 10:52:27 ID:WoOJ72MA


店員「ええ」

彼は顔を伏せた。そして、単語を区切るように次の言葉を発した。

店員「今は、彼女は、もうこの世にはいません」

冬の寒風のせいだけではなく、ぞわりと、静かに自分の背中に鳥肌が立つのがわかった。




817: ぐう 2016/02/22(月) 10:53:06 ID:WoOJ72MA


〜男宅〜

男「なあ、ヤンデレ」

ヤンデレ「なあに、あなた」

男「新婚ごっこはいいから。お前、結構本読んでたけど、推理小説とかも読んでたか?」

ヤンデレ「もち」

男「完全な密室って、現実に存在すると思う?」

ヤンデレ「ありえない」




818: ぐう 2016/02/22(月) 10:54:14 ID:WoOJ72MA


ヤンデレは即答した。

俺は一瞬面食らったが、まあそりゃそうだと納得する。

現に、今までプライバシーを守るために鍵を変えたり試行錯誤しても結局ヤンデレはどういうわけか密室へ容易に出入りすることが可能だったのだから。

男「じゃあ、幽霊って存在すると思う?」

ヤンデレ「……」

それこそ、即答するかに思えた質問に対しヤンデレは押し黙った。

ヤンデレ「わからない」




819: ぐう 2016/02/22(月) 11:13:00 ID:WoOJ72MA


男「なぜ?」

ヤンデレ「悪魔の証明」

男「そっか。いないことは証明できない、ね。なるほど」

現実に存在するものならば物なり人物なりの証拠を提示することで存在を証明できる。
しかし、いないことの証明は、「見たことがない」というだけで「いるかもしれない」という可能性を否定することにはならない。

未だにジレンマが生じそうな理論ではあるが、確かにそうだと思う。




820: ぐう 2016/02/22(月) 11:14:06 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「男は幽霊信じるの?」

男「俺は見たことがないものを信じられない」

ヤンデレ「私も、そうだと思う」

店員のシフトは朝の8時から夕方17時まで。
不可解な現象が起こった、その週のものだ。
もしこれが現実の人間による行いであれば、そいつは店員のシフトを把握していた上で犯行に及んだのか。

死んだ彼女を偽って、嫌がらせのようなことをした?




821: ぐう 2016/02/22(月) 11:15:07 ID:WoOJ72MA


店員に恨みを持つ人物に心当たりはないと言う。
彼が悪い奴じゃないのは俺もわかる。
だからこそ、もし、これが実際の人間の犯行であれば不可解としか言いようがなかった。

それはこの言葉に尽きる。
「なんのために」




822: ぐう 2016/02/22(月) 11:16:02 ID:WoOJ72MA


〜某喫茶店〜

店員は彼女のこと、ユウコのことを少しずつ語り出した。
外見は小柄で、髪型は茶色に染めたショートカット。
服装はボーイッシュなものを好み、キャップをかぶることが多かった。
人当たりのいい性格で、明るく、友達は多い方だったという。

店員「この間、彼女の命日だったので墓参りに行ってきたんです。既に新しい花がいくつか添えられていました。彼女の好きだったメンソールの煙草も。俺以外にも彼女のことを悼んでくれる人が、友達がいて、ちょっとだけ、救われた気持ちになりました」




823: ぐう 2016/02/22(月) 11:16:44 ID:WoOJ72MA


店員は寂しそうに笑う。

店員「特にユウコと仲の良かったトモミっていう子がちょうど墓前に手を合わせていて、少し話をしました。そのとき、ちょっと不思議なことがあったんです」

男「不思議なこと?」

店員「はい。以前よく嗅いだメンソールの、懐かしい匂いがしました。トモミもどうやら気付いたみたいで、多分、俺の勘違いではないと思います。トモミにも例のことを話したら、『ユウコが寂しがってたのかもね』って」




824: ぐう 2016/02/22(月) 11:17:31 ID:WoOJ72MA


男「……じゃあ、あれは死者からのメッセージ、という感じか」

私のこと、忘れてないよね? という意味だろうか。非現実的だ。

店員「そうかも知れません。あいつ、割と嫉妬深いほうだったし、俺に他に女ができるのとか嫌なのかも」

照れ臭そうに、彼は口元だけで笑う。

男「色男だね」




825: ぐう 2016/02/22(月) 11:18:11 ID:WoOJ72MA


店員「茶化さないでくださいよ。だいたい、男さんだってーー」

ふいに、店員の言葉が途切れた。

店員は窓のほうを向いて目を見開いている。

男「どうした?」

俺も窓の方を振り返る。
喫茶店は往来の多い通りに面していて、行き交うスーツや買い物帰りのおばちゃん等で溢れていた。その中で、一人、小柄で、目深に帽子を被った女性が通り過ぎて行く。

髪色は茶髪だった。




826: ぐう 2016/02/22(月) 11:18:54 ID:WoOJ72MA


店員「ユウコ……?」

疑問が口をついた瞬間、店員はもう既に立ち上がり、駆け出していた。

男「ちょ、まっ」

俺も後を追って走ろうとしたが、勘定を払っていないことに気づき、手早く会計を済ませる。
しかし、店外に出た時はもう既に店員の姿は見当たらなかった。

男「ちっ」




827: ぐう 2016/02/22(月) 11:19:27 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「お困り?」

人ごみの中、気付いたらヤンデレが後ろに立っていた。

男「うおっ!?」

ヤンデレ「ベタなリアクションする男も好き」

男「それは良かった! ていうか聞いてくれ! 今まさにとんでも体験をしたところなんだよ!」

おそらくヤンデレはGPSで位置情報を察し、店外から見張っていたのだろう。窓に背を向けていたので気付かなかったが。




828: ぐう 2016/02/22(月) 11:20:09 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「どうしたの? 幽霊でも見たような口ぶり」

男「勘鋭すぎるだろ! そうなんだよ! 見たんだよ!」

興奮した心に冷水をぶっかけるかのごとく、ヤンデレは静かに言い放った。

ヤンデレ「幽霊なんて嘘。見間違えただけ」

男「でも! 特徴が一致していた!」

ヤンデレ「脳は容易く騙される。そして、私は今からそれを証明してみせる」

ヤンデレは、GPS受信機を『2つ』取り出した。




829: ぐう 2016/02/22(月) 11:21:18 ID:WoOJ72MA


〜路地〜

店員「ユウコ!」

その女は、路地の奥まった先で、向こう側を向いたまま佇んでいた。
女はこちらを振り返らないまま、言葉を発した。

?「久しぶりね」

店員「やっぱり……お前なのか、ユウコ」

一歩、店員が踏み出す。




830: ぐう 2016/02/22(月) 11:22:12 ID:WoOJ72MA


?「私のこと、今でも想ってくれてる?」

店員「ああ、もちろんだ」

数年前病気により他界した、俺の大切な人。
忘れない。忘れられるはずがない。
この想いだって、あの時から薄れていやしない。

?「嘘」




831: ぐう 2016/02/22(月) 11:22:49 ID:WoOJ72MA


店員「嘘じゃない」

?「だったら、あの男はなに」

店員「へ?」

存外シリアスな場面で、間の抜けた声を出してしまう。
男とは? 男さんのことか?

?「いつもいつもベタベタして、馴れ馴れしくして。あなた、私のことなんか忘れて楽しくやってるように見える。よりにもよって、男だなんて」

店員「はあ……」




832: ぐう 2016/02/22(月) 11:23:39 ID:WoOJ72MA


こいつって、男にまで嫉妬するタイプだったけ。
確かに他の女と楽しそうに話していたりしたら、例えそれが『自分の親友だったとしても』むくれるようなタイプではあったし、そこがちょっと可愛いと思ってしまう自分もいたけれど。

?「私のこと想ってくれてるなら、もう不必要な関係は構築しないで。生きていく上で不要な人との関わりは避けて。それ以外の時間は、ずっと私のことだけを想っていて」

店員「そんな……」

?「その代り、私はずっと傍にいる。あなたの傍にいてあげる」




833: ぐう 2016/02/22(月) 11:24:56 ID:WoOJ72MA


店員「でも、お前は」

?「そう。私はもう死んでいる。だから、この子の身体を依代にして、あなたの傍にずっといる」

店員「『この子』、だって?」




834: ぐう 2016/02/22(月) 11:25:32 ID:WoOJ72MA


〜〜

ヤンデレに誘導されるまま、男は路地を右へ、左へと曲がる。

男「なあ、そのGPSって」

ヤンデレ「1つは男の。もう一つは、あの店員の」

男「わお。いつの間に」

ヤンデレ「コンビニでお弁当の温めをしてもらう間に」

男「手際よすぎるだろ……」




835: ぐう 2016/02/22(月) 11:28:11 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「でも、それが今こうして役に立ってる。不本意ながら」

男「まあ、そりゃそうかも知れないけど」

ふと、男は思う。
ヤンデレはこの件についてどこまで『情報』を知っているのか。

ヤンデレ「幽霊はいない。でも想いは存在する。それを受け継ぐのはいつだって『生きている人間』」

男「言っている意味がよくわかんねーです」

そして、この件の行き着く先はどこなのか。




836: ぐう 2016/02/22(月) 11:29:01 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「大丈夫、もうすぐわかる」

やがて細い路地に出た。
店員と、先ほどのユウコさんらしき人影がいた。

男「チャラ男!」

店員「男さん……」

困惑の表情でこちらを見る。そしてヤンデレのほうを見る。

ヤンデレ「さて、じゃあ吐いてもらいましょうか。あなたが一体誰なのか。死んでいるのか、生きているのか。そしてーー」




837: ぐう 2016/02/22(月) 11:29:35 ID:WoOJ72MA


人影がゆっくりと振り返る。目深にかぶった帽子を外す。
店員の顔が驚愕の色に染まる。

ヤンデレ「あなたはユウコさんなのか、それともーー」

店員「トモミ……?」

薄闇の中で、ボーイッシュな女性は意味深な笑みを浮かべた。




838: ぐう 2016/02/22(月) 11:30:08 ID:WoOJ72MA


〜〜

雨が降り出しそうなどんよりとした雲が広がる。

薄闇の中で、トモミさんはこちらに一歩、近寄る。

トモミ「私はーーユウコ。いわゆる憑依状態となって、トモミの身体を借りて現世に帰ってきた」

店員「じゃあ、やっぱりお前は」

男「いや、しかし……!」

ヤンデレ「幽霊は、現実に存在しない」

バッサリと、その場の空気ごと、ヤンデレが切り捨てる。




839: ぐう 2016/02/22(月) 11:30:50 ID:WoOJ72MA


トモミ「いいえ。それは違うわ。だって、今、ここにいるじゃない」

トモミーーいや、ユウコが不敵な笑みを浮かべる。

ヤンデレ「ここにいる、のではなく、『いるように見せかけている』だけ」

男はその言葉を反芻する。
では何か? つまり、トモミさんはユウコさんの存在を、いるように見せかけているだけ? 憑依状態という現象を体現することによって、騙っている?

店員「なんのために……?」




840: ぐう 2016/02/22(月) 11:31:24 ID:WoOJ72MA


トモミ「ふうん、疑うんだ。ずっと一緒だった私のことより、これからも一緒にいる私のことより、そんなわけのわからない巨乳ツインテール女のことを信用するんだ」

ヤンデレ「ずっと一緒だったのは、あなたではなく、ユウコさんでしょう?」

トモミ「黙りなさい。あなたは何も知らないでしょう。彼が不思議な体験をしたことも」

そうだ。確かに、あれには説明がつかない。
完全な密室などなくとも、あの状況を説明出来る論理はない。
鍵は過去に失われた。ユウコさんとともに。




841: ぐう 2016/02/22(月) 11:48:35 ID:WoOJ72MA


トモミ「ポルターガイスト、つまり私による存在の証明だったのだけれど、彼はそれでも私のことを考えてくれる様子がないから、こうしてここにいる」

ヤンデレ「ポルターガイスト? 確か密室という話だったけれども」

男「ああ、そうらしい」

トモミ「霊は物体をすり抜けることができる。密室なんてないも同然。だけど、強く念じれば物体を浮かせたり、火をつけたり、物理的な干渉もできるようになる。人間にはできない」




842: ぐう 2016/02/22(月) 11:49:22 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「それは違う。密室を構築するのは幽霊ではなく、人間。そして、『完全な密室などない』。そこのチャラ男君の2○1号の鍵はいわゆる普通のシリンダータイプ。推理小説マニアだったり、防犯対策に詳しい人なら知っていると思うけど、これを開けるのは、実は造作もない」

トモミ「だから、鍵なんて開ける必要がないんだってば」

ヤンデレ「すりぬけられるから? じゃあ、聞くけど。チャラ男君はセッターを吸っていたのよね。そもそもタバコ自体やめている。では、2○1号室にメンソールのタバコはなかった。外部から持ち込まれたことになる。幽霊ってタバコを買えるのかしら。そもそもお金は持ってるのかしら。あと、幽霊って口紅つけるのかしら」

怒涛の勢いでヤンデレがまくし立てる。




843: ぐう 2016/02/22(月) 11:49:55 ID:WoOJ72MA


トモミ「こじつけは勝手にすればいい。でも、彼はもう一つ不思議な体験をしている。私の墓前に供えてくれた煙草を、私は吸った。吸うイメージを以て、トモミと彼に匂いを共有させた。そうよね?」

店員「ああ、確かにあのとき、トモミと俺は煙草の匂いを嗅いだ。ユウコの好きな銘柄だ。間違いない」

ヤンデレ「それはもっと簡単。思い込みよ」

男「思い込み?」




844: ぐう 2016/02/22(月) 11:54:16 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「さっき、ここへ到着する前に大きい声がしたわ。『ユウコ』ってチャラ男君が叫ぶ声。なぜ、あなたは彼女をユウコさんだと思ったの?」

ここへきて、ああ、そうかと思う。
ミステリでも見かけられる手法だ。例えば殺人事件が発生して、遺体の特徴の一部だけを見て、それを『別人』だと判断してしまうこと。その場合、だいたい首なし死体だとか、顔がわからない状態である場合も多いが、何より、非常時に人は簡単に騙される。

ヤンデレ「茶髪。小柄。帽子。この3つの要素だけで、簡単に騙される。大方、あなた『も』チャラ男君にGPSか盗聴器を仕込んで会話を伺っていたのかも知れないけど。そりゃ騙されるわよね。死んだ彼女の話をしているときに、死んだ彼女に似た誰かが偶然通りかかったら、まさかと思う」




845: ぐう 2016/02/22(月) 11:54:55 ID:WoOJ72MA


トモミ「騙すも何も、生前私が好きな格好をして何が悪いの。この子だって私の意志を汲んでくれた」

ヤンデレは彼女の言い分を無視して続ける。

ヤンデレ「さて、チャラ男君が墓参りに行った時に嗅いだ匂いは一体何だったのか。男ならわかるよね」

突然話を振られて戸惑ったが、俺はもうわかりきった答えを、それでも律儀に答える。

男「それは、トモミさんの『服』に染み付いた煙草の匂いだ」




846: ぐう 2016/02/22(月) 11:55:34 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「正解。よく言うわよね、禁煙している人は煙草の匂いに『敏感になる』って」

店員は過去を振り返る。
例えば休憩から戻ったバイトリーダーとすれ違った時に感じた、煙草を吸った後の残り香。
作業服姿の客に染み付いた汗と、煙の匂い。
他にも思い当たる節は色々あるが、そう言われればあの時の匂いはトモミから発せられたようにも思う。人の記憶というのは、こんなにも簡単に揺らぐものなのか。

店員は、情けない気持ちと、どうしようもないやるせなさに頭をうなだれた。




847: ぐう 2016/02/22(月) 11:56:08 ID:WoOJ72MA


トモミ「どうしたの? あなたは私のこと、こんなことで信じられなくなったりしないよね? ね?」

トモミは、すがるような目を店員に向ける。

彼はゆっくりと頭を上げる。
トモミをまっすぐに、悲しそうな目で見つめた。

店員「薄々、わかってたんだ。自意識過剰だと思って、あんまり深く考えないようにしてたけど」

彼は、曇天の空をわずかに見上げた。

店員「ユウコよりも先に、トモミが俺に好意を寄せていてくれたこと、俺は知っていたんだ」




848: ぐう 2016/02/22(月) 11:57:09 ID:WoOJ72MA


あれは桜舞う4月のことだった。
高校デビューならぬ大学デビューというやつか、一浪して入った大学で、俺ははっちゃけようと思っていた。髪を染め、ピアスを開け、誰にでも連絡先を聞き、明るいやつを装った。偽装した。その中で、同じ一浪仲間を見つけるまでに時間はかからなかった。トモミだ。

トモミとは気が合った。その彼女の親友であるユウコと知り合い、俺は恋に落ちた。1年ほどして、俺はユウコと付き合い始めた。トモミは涙を流して祝福してくれた。元々仲が良かったトモミと楽しそうに喋っていると、ユウコはトモミに気づかれないように俺の袖を引っ張ったり、背中をつねったりした。

そんな彼女が愛おしかった。




849: ぐう 2016/02/22(月) 11:58:12 ID:WoOJ72MA


20歳になり煙草を覚え始めた頃、彼女も吸うようになった。同じ秘密を共有している気分になって、特別な関係がさらに深まった気がした。トモミは「私はいいや」と言って吸わなかったが、いつも一緒にいたから銘柄を言えるほどには知っていた。

ユウコが病気を抱えていることを知ったのは、大学3年生に相当するころだった。その頃には既に同棲していたが、病状はかなり進行していて、余命あとわずかだった。教えてくれたのはトモミだった。気づかなかった自分の不甲斐なさが歯がゆかった。情けないと思った。ユウコは、心配をかけたくないみたいだったので、俺は知らないふりをした。しかし、それは長くは続かなかった。




850: ぐう 2016/02/22(月) 11:58:52 ID:WoOJ72MA


ユウコは病院生活を余儀なくされた。トモミとしょっちゅうお見舞いに行った。いつも嬉しそうにしている反面、「浮気したらダメだからね」と自分の体より、俺との絆を心配してくれた。そんな心配はいらないのに、とトモミにぼやくと、彼女は曖昧に頷いた。

そして大学3年の冬、彼女は静かに息を引き取った。
まるで現実味のないまま彼女の葬儀が終わり、彼女の両親から合鍵を返された。
行き場を失った合鍵は、もう役目を果たしたと感じ、鉄くずと一緒に捨ててしまった。
思い出は、自分の中にあれば十分だと思った。




851: ぐう 2016/02/22(月) 11:59:39 ID:WoOJ72MA


季節は巡り、俺は就職活動もろくにせず、レールから外れフリーターになった。気ままな生活はいいと思った。その日暮らしも悪くない。働いて、好きなアニメを見て、漫画を読む。その日を怠惰に楽しむ。先のことはわからないが、それでいい。



だって。


君を失ったこの世界で、どうやって明日のことを考えればいい。




852: ぐう 2016/02/22(月) 12:00:26 ID:WoOJ72MA


〜〜


雨が降り出した。

トモミはなおも店員に訴えかけている。私は本物だと、私はユウコなのだと。
見ていられなかった。
現実に幽霊は存在しない。
ならばトモミさんがユウコさんを騙った、これは茶番なのだ。

ヤンデレ「もうそのくらいでいいでしょう」




853: ぐう 2016/02/22(月) 12:00:59 ID:WoOJ72MA


トモミ「あなたには関係ない」

ヤンデレ「なくはない。あなたはそう、病んでいる。私との共通項」

トモミ「私はそんなんじゃない」

ヤンデレ「では、あなたの心を暴いてみせましょうか」

ヤンデレが静かに、一歩踏み出す。




854: ぐう 2016/02/22(月) 12:01:37 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「ホワイダニット。なぜ、あなたはこんなことをしたのか。それはチャラ男君のことがすきだから。同時に、故人であるユウコさんのことも好きだったから。もちろん、それは友達として。親友として」

ヤンデレ「あなたはユウコさんが好きだった。ユウコさんの何もかもが好きだった。ユウコさんのポジション、つまりチャラ男君の彼女であるという事実も羨ましくてしょうがなかった」

ヤンデレ「あなたはやがてこう考える。ユウコさんになりたい、と。なぜあの人の隣にいるのが私ではないのかと。でも、親友を押しのけてまでチャラ男君に迫る勇気はない。あなたは二人とも好きなのだから。異性として、友達として」




855: ぐう 2016/02/22(月) 12:02:26 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「その歪んだ心はやがて、彼女の死によって、悲しみによって、大きくねじれてしまう。それは、単純にユウコさんが死んだという事実以上に、あなたにとってはショックなことだった。それはなにか。親友がいなくなり、そしてチャラ男君の心が一生ユウコさんに囚われたままになるということ」

ヤンデレ「あなたは同時に2つのものを失った。それでも生きていかなければならない。ならば、あなたにできることはなんなのか。あなたが失った2つのものを『取り戻す』には、一体どうすればいいのか。やがてあなたはある一つの結論にたどり着く」

トモミが虚ろな目でつぶやく。「嫌……」




856: ぐう 2016/02/22(月) 12:03:11 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「死者は蘇らない。ならば、私が彼女の意志を継ごう。私がユウコとなって、彼と添い遂げよう。そうすれば、私は、親友も、大好きなあの人も手に入れられる。失ったはずの2つが戻ってくる」

トモミ「やめて……」

ヤンデレ「なんて可哀想な人。そんなことをしても、死んだ人は戻らないのに。彼の心も手に入らないのに。そうやって、死人のために自分を殺して、彼の心までも故人に縛り付けて、いったい誰が幸せになるの? いったい誰を幸せにする物語が紡がれるの?」

トモミ「やめて……!」




857: ぐう 2016/02/22(月) 12:04:13 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「核心についてまだ触れてない。あなたは、彼を好きである自分が、自分自身で許せなかった。ユウコさんに対する背信のように感じていた。誰かに肯定して欲しかった。せめてもの、自分自身の嘘偽りない正直な、ただ、『人を好き』というだけの純粋な気持ちを。誰にも否定されたくなかった。罪悪感に身をやつしたくなかった。だから、今回の件の背景には、あなたの自分を正当化したいという思いが隠れている」

ヤンデレ「あなたはだから、本当は、ユウコさんがチャラ男君に忘れられないように彼女を騙ったわけではなく、本当は自分を正当化するために、誰にも否定されない『好き』を彼に伝えるために、その手段を用いて、実行したのではーー」




858: ぐう 2016/02/22(月) 12:04:46 ID:WoOJ72MA


トモミ「もうやめて!」

絶叫が薄暗い路地に響き渡った。

店員「トモミ……」

トモミ「ええ、そうよ。私はユウコじゃない。私は、私はーー」

彼女が嗚咽交じりにヤンデレの言葉を肯定した。そういう旨の言葉を紡いだ。醜態を隠すことをやめた。彼女の涙はやがて雨粒と溶け合い、大量の水となってアスファルトへと消えていく。その間、ずっと彼女は「ごめんねユウコ」と、繰り返していた。店員はトモミを抱きしめ、一緒になってその路地に吸収される水の量を、静かに増やした。




859: ぐう 2016/02/22(月) 12:05:41 ID:WoOJ72MA


〜エピローグ〜

男「名探偵ヤンデレ、事件解決の巻だな」

俺はわざと明るい口調でわざとらしく言った。

ヤンデレ「あんな稚拙な件は、事件でもなんでもない。というか、あの女は、最初から間違っていた」

男「お、おう」

どうやら相当ご立腹らしい。俺がツンデレとイチャイチャしていたときのように怒りが尾をひくことは、ヤンデレにしては珍しいとも言えた。




860: ぐう 2016/02/22(月) 12:06:18 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「どうして最初から、言わないのかな」

男「私はトモコじゃなくてユウコです、って?」

ヤンデレ「違う。もっとずっと前。トモコさんがチャラ男君に会って、仲良くなったとき。もしくは、ユウコさんに対して嫉妬を覚え始めたとき」

男「あー、なるほど」

言わんとすることを、俺は察したのだった。




861: ぐう 2016/02/22(月) 12:07:11 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「彼女は、親友の彼氏だからとか、二人の関係がすでに出来上がっているとか、そんなことを気にするべきじゃなかった。遠慮すべきじゃなかった。考慮すべきじゃなかった。自分の気持ちをひた隠しにしたり、親友に罪悪感を感じている場合じゃなかった。全てが遅かった。後の祭りだった」

男「言いますね、先生」

ヤンデレ「言いますよ。だって、『好き』なんだもん。しょうがないじゃない」

男「ふむ」




862: ぐう 2016/02/22(月) 12:07:44 ID:WoOJ72MA


自分の気持ちに、正直に、愚直に、しかし誠実に向き合っているこいつだからこそ、それが許せないのかもしれない。ヤンデレが自分に正直すぎる結果、俺は24時間監視体制に置かれているわけだが。

ヤンデレ「引け目を感じたっていい。罪悪感を感じたっていい。それで親友や意中の人との関係が破綻することになってもいい。ただ、自分の気持ちに正直に、好きだっていうことを伝えていれば、それでよかったの」

ふう、と一つため息を吐き、ヤンデレは不満やモヤモヤも同時に吐き出しきったのか、ソファに座る俺の膝に頭を乗せてきた。逆膝枕というやつである。




863: ぐう 2016/02/22(月) 12:30:13 ID:WoOJ72MA


男「仮にさ、仮にだよ? 仮定の話であって実在する人物・地名・団体とは一切関係のないフィクションの話なんだけど」

ヤンデレ「なに?」

男「俺がお前のこと嫌いだって言ったら、どうする?」

ヤンデレ「死ぬ」

男「いや待てだから早まるな俺が悪かった! その頸動脈に当てた包丁をしまえ! ていうかどっから出した!?」




864: ぐう 2016/02/22(月) 12:30:52 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「冗談。私ってばお茶目」

男「だから自分で言うなと」

ヤンデレ「でも、仮に男が私のこと嫌いだって言ったら、好きになってもらえるよう努力する。どこが嫌いかを徹底的に聞いて、好きになってもらえる自分になる」

男「うーん。でもさ、そしたらヤンデレ自身はどうなってしまうんだ? 俺に好かれるための『なにか』に、つまり別のものになっちゃうんじゃないか? それって、他人のために自分を捨てていることにならないか?」

何気に、人間一人の存在の根幹にかかわる質問をしたつもりだった。




865: ぐう 2016/02/22(月) 12:31:23 ID:WoOJ72MA


ヤンデレ「ふっ、違うのですよワトスン君」

男「誰だお前は、ホームズか」

シリアスな話をしているのに使い古されたボケをかまされるとは。

ヤンデレ「私が私である理由、そして存在証明は『男を好きである』これのみに尽きる。そもそも男のことが好きである、という私なのだから、あとは全てオプションみたいなもの。でも、好きな相手には好かれたいって思うのが普通だし、好かれるように努力するのも自然だと思う。むしろ、努力しないなんて怠慢」




866: ぐう 2016/02/22(月) 12:32:02 ID:WoOJ72MA


男「ストイックなのかイカれてるのかわかんねーよ」

ヤンデレ「そんな女は嫌い?」

男「嫌い? と聞くことにより相手から好意的な返事を聞き出したいわけか」

ヤンデレ「うん」

どこまでも素直すぎるこいつだった。

男「しょうがないなぁヤンデレちゃんはー」

ヤンデレ「なぜどら○もんが秘密道具を出すみたいに……」




867: ぐう 2016/02/22(月) 12:32:38 ID:WoOJ72MA


男「じゃあ一回しか言わないからな」

ヤンデレ「割と何回か聞いてるけど、好きって」

男「今日は一回しか言わないからな!」

ヤンデレ「やん、私は何回でもOKなのに」

男「とりあえず恥ずかしいから目を瞑るが良い」

ヤンデレ「その恥ずかしさに満ちた男の顔を視姦したい。穴があくほど見つめたい。ハァハァ」




868: ぐう 2016/02/22(月) 12:33:37 ID:WoOJ72MA


男「よし、やーめた」

ヤンデレ「あ、うそ。うそだから。目つむる。はい」

膝の上でまぶたを閉じた女の子の顔は、人形みたいに綺麗だった。
長いまつげを見つめる。
おでこの上に片手を乗せる。
俺はそっと身をかがめる。
唇と、唇が触れ合った。




869: ぐう 2016/02/22(月) 12:34:11 ID:WoOJ72MA


言葉にしなきゃわからないことが多々あるように。
行動で示さなきゃ時として伝えられないこともあるのだと、俺は思った。

男「やっぱ好きって言うのやーめた」

ヤンデレ「なんで? 私のこと嫌い?」

男「いや、違う。そうじゃない」

可愛くて、ひたむきで、正直で、時々とんでもないことをするこいつだけれども。
愛が重すぎて耐えきれなくなって逃げ出したくなる時があるけども。




870: ぐう 2016/02/22(月) 12:35:32 ID:WoOJ72MA


男「愛してる」

そのせいで「別れよう」なんて言って、距離を置いてみたりもするけれど。
それは、愛されすぎるのが怖いから。
そして、愛しすぎてしまうのもまた、怖いから。
なのかもしれない。



〜おわり〜




・SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
 【SS速報VIP】男「別れよう」ヤンデレ「……!」
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【最終回】彡(゚)(゚)「小料理屋 志衛のスレッドなんやで」
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