転載元:勇者「女神から能力を授かった」


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勇者「女神から能力を授かった」【前編】【中編】【後編】


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346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 19:59:51 ID:fUtyWlCU

・・・

勇者「この辺りからさっきの大爆発が発生したはず」

剣士「あの威力、おそらく、赤騎士よね」

従者「赤騎士とかいうやつ、恐ろしいのう…」

黄竜「すぴー」

勇者「…魔物だ。寝てるぞ」

従者「竜系の魔物か。おそらく手強いのう」

黄竜「むにゃむにゃ…」

剣士「隙だらけ、ね」チャキッ

黄竜「ふぁ?」パチ

剣士の『神速斬り』!

黄竜「ひゃー!?」

黄竜には当たらなかった!




347: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:01:13 ID:fUtyWlCU

剣士(…巨体のくせに、身のこなしは中々ね)

黄竜「うひゃーっ!?」

勇者「その姿…お前が四天王の黄竜か!」

黄竜「そーだけど、どちら様?」

勇者「勇者だ! お前を倒す!」

勇者は大量のピンクローターを放った!

黄竜には当たらなかった!

黄竜「あー、赤騎士が言っていたニンゲンかー」

剣士の『真空波』!

黄竜には当たらなかった!

剣士「すばしこいわね!」

黄竜「まー、それが自慢だからねー」

従者「喋り方はトロいのにのう」

黄竜「いやー、それほどでもー」テレテレ

勇者「褒めてない!」




348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:02:20 ID:fUtyWlCU


勇者はスペルマ弾丸を連射した!

黄竜「うわわっ!?」

黄竜には当たらなかった!

勇者「くっ、これも躱すか!」

剣士「改めて見ると、本当に見苦しい能力ね…勇者に選ばれなくてよかったわ」

勇者「……」

黄竜「見た目はアレだけど、やるなー」

黄竜は『電撃魔法・極』を放った!

剣士「無駄よ!」

剣士の魔封剣!

黄竜の魔法を吸収した!

黄竜「うげげっ!?」




349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:03:06 ID:fUtyWlCU

剣士は吸収した魔法をそのまま剣に乗せた!

『女神のオーブ』が魔法の威力を跳ね上げた!

剣士の『必滅一閃』!

黄竜の右翼が消し飛んだ!

黄竜「あうっ!」

従者「よっし! 機動力を奪えばこちらのものじゃ!」

黄竜「…あちゃー、これはもうダメだなー」ヒュー

黄竜「…なんてね」

黄竜の右翼が生え治った!

剣士「…しぶといわね!」

黄竜「それも自慢だからねー」

従者「雰囲気は軟弱そうなのにのう」

黄竜「いやあ、それほどでも」テレテレ

勇者「ふざけてる場合か!」




350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:05:02 ID:fUtyWlCU

勇者はスペルマ弾丸を連射した!

黄竜「もう見切ったー!」

黄竜には当たらなかった!

勇者「…くっ」

剣士「まだまだっ!」

剣士の『連続斬り・烈』!

黄竜「あだだっ!」

黄竜はダメージを食らった!

黄竜「くそう、こんにゃろう!」

黄竜は高速で旋回して砂嵐を起こした!

剣士「きゃあっ!?」

勇者「ううっ…!」

従者「さ、さすが竜の魔物は強いゾイ!」




351: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:06:01 ID:fUtyWlCU

勇者「舐めるなぁあっ!」

勇者は超巨大バイブを砂嵐に向けて叩きつけた!

大地ごと砂嵐を砕いた!

黄竜「む、ムチャクチャ! うりゃー!」

黄竜の尻尾ビンタ!

勇者はダメージを食らった!

勇者「ぐううぅ…」

剣士「アタシの最速を見せてあげる!」

剣士の『刹那斬り』!

黄竜「うっ…!」ブシャッ

黄竜は深手を負った!

黄竜「こ、これはホントにヤバイなー…」

剣士「終わりよ!」

剣士の『会心の一撃』!




352: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:09:06 ID:fUtyWlCU

黄竜「……ただじゃ、やられてやんないよ!」

黄竜(老龍の爺ちゃんに教えてもらった捨て身の呪術を使う日がくるなんてなー…)

黄竜は生命と引き換えに剣士に呪いをかけた!

剣士「……なっ!」

黄竜「……へへ、うまくいったよ、お爺ちゃん」

黄竜は力尽きた!

剣士「……」

勇者「先輩、大丈夫ですか? 最後、呪いみたいなのを受けてたけど…」

剣士「ええ…『祝福の指環』は邪悪な力による呪いを無効化してくれるから」

従者「さすが伝説の武具じゃのう」

剣士(でも、それにしては…変な感じね)




353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:10:31 ID:fUtyWlCU

従者「これで残りの四天王は赤騎士と緑鬼じゃな」

剣士「弱くはなかったけれど、赤騎士に比べたら、大したことはなかったわね」

従者「結界に裂け目が出来ておるのう」

剣士「この裂け目…赤騎士ね」

勇者「…一番の敵は、この楼閣の中だな」

剣士「一番上が見えないわね。天を貫いてるみたい」

勇者「…行くか」

ぐにゃぁっ……!

勇者たちは砂上の楼閣に足をふみいれた!

カッ!




354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:14:12 ID:fUtyWlCU

魔国・混沌の樹

緑鬼「クソ野郎が…もっと、チカラを寄越しやがれ…赤騎士も、魔王もブチ殺すくらいのチカラを…俺に寄越しやがれ…」

混沌の樹に宿る破滅の力が緑鬼へ流れ込む!

ズズズズズズ…

緑鬼「ぐぎゃあぁアァああアァああぁああっ……!!」

緑鬼「まだ…た、足りねェ…もっと…もっと寄越セ…」

オーク「ふん、力の求道者なんてお前には向いてないな。」

緑鬼「……アニキか。ちっ、見つカっちまッたカ」

オーク「混沌の樹の力を使えるのは魔王さまだけだ。お前みたいな三下じゃ、発狂して終わりさ」

緑鬼「うるせェ! 魔王といっても同じ魔物じゃネェカ!」

オーク「…聞いたぞ、四天王から除籍されたらしいな。そもそもお前は上に立てる器じゃなかったんだ」

緑鬼の『殴り殺す』!

オークは拳を掴んだ!

緑鬼「ぐううウウッ!!」




355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 20:17:00 ID:fUtyWlCU

オーク「お前じゃ俺には敵わねえよ」

オークの『張っ倒す』!

緑鬼「ぐアッ!」

オーク「…エルフを虐殺したらしいな」

オークの『踏み倒す』!

緑鬼「アァあああぁあああっっ……!」

オーク「エルフには恩義がある。落とし前はつけなくちゃいけねえ」

緑鬼「かひュッ……」

オーク「昔の舎弟よ、死んでくれや」

緑鬼(死ヌ…? こんなトコロデ…?)

緑鬼「フ、ざけん……ナアァァぁあああぁああああアァッッッ!!」




356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:17:00 ID:fUtyWlCU

ゴッ!!

オーク「ぐっ…!?」

オークは引き下がった!

緑鬼「もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとモットモットモットモット!!!」

莫大な破滅の力が緑鬼に流れ込み、その姿を変貌させる!




357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:17:50 ID:fUtyWlCU

緑鬼?「ガアァアアアアアアァァァッ!!」

オーク「な…魔王さまでもないのに、破滅の力を取り込んで…!?」

緑鬼?の攻撃!

オーク「は、はや…」

メキョッ

オークは力尽きた…

緑鬼?「アヒッ、アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

緑鬼「モット、モットモットモットモットモットモット!!」

緑鬼「チカラ、チカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラチカラ!!」




358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:23:25 ID:fUtyWlCU

砂状の楼閣

勇者「う…」もぞ…

気絶していた勇者は目を覚ました!

勇者「気絶していたのか…」

従者「……」

勇者「爺さん、大丈夫か!?」

従者「ううむ…」

勇者「爺さん、しっかりしろ!」ユサユサ

従者「うーむ…小僧か。ここは…砂上の楼閣か」

勇者「ああ、そのはずだ」

従者「黄色い竜と戦って、楼閣の中に入って…それから覚えておらん」

勇者「俺もだ」




359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:30:28 ID:fUtyWlCU

従者「ん、娘っ子はどこにいったんじゃ?」

勇者「…見当たらない。はぐれたみたいだ」

従者「そうか…。あの娘っ子ならばあまり不安はないが『生命の樹の種子』は娘が持っとるし、わしらだけじゃどうしようもないのう」

勇者「とにかく先輩を探そう」

従者「そうじゃのう」

・・・

勇者「至る所に青白い炎がフヨフヨと漂っているな…」

従者「魂が視覚化しているんじゃろう」

勇者「…この中に、父さんや母さん、俺の知ってる人がいるのかな」

従者「かもしれんが、これでは違いが分からんな」

勇者「……」

従者「今は死んだ人々よりも生きておる者を優先しよう」

勇者「…そうだな。しかし、だだっ広いだけな」

従者「うーむ、探すのは苦労しそうじゃ。楼閣もそうとう高かったしのう」

勇者「まあな。だが、言っても始まらないさ」




360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:36:52 ID:fUtyWlCU

・・・

勇者「はあっ、はあっ…先輩、どこにもいない…見落としてはないと思うんだけど」

『そろそろ最上階のようじゃな。火の魂もまったくいなくなってしまったゾイ』

勇者「がらんどうだと、とても寂しい場所なんだな」

『そうじゃのう』

「けて……」

勇者「…ん?」

『む、誰かおるぞ』

「……すけて……たすけて…」

勇者「……」

『完全な形をもった魂はこれが初めてじゃのう。特別な存在なのかのう』

勇者「……そんな」


天使「誰か、たすけてください…」




361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:39:15 ID:fUtyWlCU

勇者「て、天使さん……」

天使「たすけて…たすけて…」

勇者「天使さん! 俺だ、勇者だよ!」

天使「もう、苦しめないでください…たすけて」

勇者「…天使さん、ねえ、どうしたんだ? 聞こえないのか?」

勇者は天使の腕を掴もうとした!

しかし、その手は天使をすり抜けた!

勇者「な……」

少女「君が何をしようと彼女には届かないさ」

勇者「なっ…だ、誰だ!?」

少女「遠路はるばるようこそ。僕は生命の審判。砂上の楼閣の主であり、魂の管理者だよ」




362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 21:46:45 ID:fUtyWlCU

勇者「…生命の審判? ということは、この女の子が四苦王?」

従者「魔物には見えんがのう…」

少女「ふふ、僕は君たちが知っているような魔物ではないからね」

勇者「…そんなことはどうでもいい。どうして天使さんに触れないし、天使さんは俺に気付いてくれない?」

少女「…その言いぐさは少し傷つくね。…魂に干渉するのは不可能という法則があるからさ」

天使「うう…痛いのは、もういやあ…」

勇者「…天使さんはどうして苦しんでるんだ?」

少女「彼女の魂は、天界に戻るには汚れてしまっている。かといって、現世に残すには清浄すぎる。そのために彼女は何処にも還ることができなくなった」

勇者「……俺の、せいか…」

少女「故に、その魂は此処に幽閉され、番人による拷問を受け続けている。それが規則だからね」

従者「ご、拷問じゃと!?」

少女「話をすればやって来たようだね」




363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 22:46:30 ID:fUtyWlCU

アステリオス「……」ズンッズンッ

天使「たすけて…たすけて…!」がたがたっ

勇者「っ! どうすれば彼女を救うことができる!?」

少女「そんなことは不可能だね。肉体があるうちは彼女の魂に干渉することはできず、また、拷問を行う番人に干渉することもできない」

アステリオス「グモオオオッ!」

アステリオスは天使に向かって棍棒を振り上げた!

勇者「天使さんっ…! くそっ!」

勇者はアステリオスにピンクローターを飛ばした!

アステリオスはローターを掴んだ!

勇者「なっ!」




364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 22:47:40 ID:fUtyWlCU

アステリオス「フシュルルルルッッ!」

アステリオスの『叩きつける』!

勇者はバイブで受け止めた!
バイブにヒビが入った!

勇者「ぐっ…!?」

少女「この場、アステリオス、そして僕には女神の力と同じく、滅びの神の力も宿っているからね、創造の女神の力では、アステリオスは破れないよ。」

従者「それは…魔王、勇者を凌ぐというのか…」

少女「そういうことさ。彼女のことは諦めるんだね」

勇者「触れられるなら、戦える!」

勇者は電撃ムチを振るった!

アステリオス「モ?」ぱしっ

アステリオスは電撃ムチを掴んだ!

勇者「くらえっ!」

勇者は高圧電流を流した!

アステリオス「??」

アステリオスには効かなかった!




365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 22:48:46 ID:fUtyWlCU

アステリオスは鞭を引っ張り勇者を手繰り寄せた!

アステリオス「モオオッ!」

勇者「くっ…『硬化』!」

アステリオスの攻撃!

勇者「ぐうぅぅ…!」メキメキ…!

勇者は大きなダメージを受けた!

勇者「ぐっ…くっ…」

従者「…勇者、無理じゃ。ワシらに何とかできるものではない」

勇者「……できる、できないじゃない…! やるか、やらないか…だ…!」

アステリオス「フシュルルルル!」

アステリオスの『ぶん殴る』!

勇者の右腕が砕けた!




366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 22:54:49 ID:fUtyWlCU

勇者「ぐ、うおおぉぉおおおッ!」

勇者は巨大バイブで攻撃した!

アステリオスには当たらなかった!

アステリオス「ブモオオッ!」ドゴオッ

勇者の左腕が砕けた!

勇者「…ぐうぅぅっ、まだだ…ううっ!」

従者「小僧、もうやめるんじゃ!」

勇者「俺が、俺がやらなくちゃいけないんだ…」

従者「…相変わらず諦めの悪いやつじゃ」

少女「見苦しいくらいにね」

従者「ああ…。だからこそ見捨てることなんてできんのう」

従者は強化服に変身した!

『勇者、ワシも戦うゾイ!』

勇者「爺さん、ありがとう…!」




367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 22:56:39 ID:fUtyWlCU

『なーに、勇者のサポートがワシの使命じゃからな! それより策はあるのか?』

勇者「一応は。…よっ!」

勇者の『きつく縛り上げる』!

アステリオスは紐で捕らえられた!

アステリオス「ブオオォォオッッ!」

ブチブチッ!

アステリオスは紐を引きちぎった!

勇者「今だ、喰らえ!」

勇者は速乾性ローション大量にあびせた!

アステリオス「ギギッ!?」

アステリオスは身動きが取れない!

『筋肉が全力を出して弛緩した瞬間を狙うとは…お主、成長しとるのう』

勇者「お陰様で。…これなら、全力の一発を無防備なアイツに当てられる」




368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 22:57:52 ID:fUtyWlCU

勇者は腕を超硬バイブに変化させた!

全力で助走!

床を蹴り天井に両足を着けた!

勇者は全身の質量を急増させた!

勇者「うおおぉぉおおお!!」

勇者はアステリオスめがけて高速で突撃した!

勇者「喰らえええええッッ!!」

勇者の【水晶少年】!

アステリオスの脳天に直撃した!

アステリオス「グギュ…」

アステリオスは気絶した!




369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:02:15 ID:fUtyWlCU

勇者「はぁ…はあ…」

『…案外、あっけなかったのう』

勇者「いや、爺さんの助けが無かったら駄目だった。運も良かった」

従者「…幸運は諦めの悪い奴のもとにしか訪れないんじゃ」

勇者「はは、そうみたいだな」

少女「ふむ、アステリオスをやり込めるとは大したものだね」

天使「アステリオスが…? どうして…。貴女が…?」

少女「いいや、違うとも。ふふ、君を守ろうと必死な誰かさんだよ」

天使「……?」

勇者「天使さん! もう大丈夫」

天使「……だれかいるのですか?」

勇者「…………。天使さん、ごめんな。あの時、守れなくて」

天使「………」

勇者「ありがとう、守ってくれて」




370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:03:12 ID:fUtyWlCU

アステリオス「…フシューッッ!」

アステリオスが起き上がった!

勇者「くっ!」

天使「ああ…っ」

従者「…うーむ、もう一度気絶させるのは難しいじゃろうな」

勇者「だとしても、何度だって戦ってやる!」

ミキミキミキミキッ……!

従者「な、なんじゃ」

天使「う、上から嫌な音が……」

ドゴオオオッッ!!

楼閣の上階が崩落した!

勇者「うおっ!?」

天使「きゃあっ!?」

少女「むむ…!?」




371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:04:34 ID:fUtyWlCU

アステリオス「グギッ!?」

アステリオスは生き埋めになった!

勇者「な、なんだ? 土埃で何も見えない」ゲホッ

天使「ケホッ…ケホッ…」

従者「ふいー、何事じゃ、まったく」

赤騎士「さすが私の分身を倒しただけはあるな、剣士よ」

剣士「はあ…はあ…。あなたこそ、そんなに強さを秘めていたのね」

少女「さ、砂状の楼閣が、損傷するなんて…」

赤騎士の『連続魔』!
『火炎魔法・極』
『氷結魔法・極』
『電撃魔法・極』

『三位一体の災厄』となった!




372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:05:51 ID:fUtyWlCU

剣士の『魔法剣』!
『電撃魔法・大』

女神のオーブが威力を跳ね上げた!

剣士の『必滅一閃』!

『三位一体の災厄』を相殺した!

ゴゴゴゴゴゴッッッ!!

赤騎士「これも効かぬか!」

剣士「はあ…はあ…」

剣士(身体が、熱い…力が出ない…)

赤騎士「どうした、やけに弱っているな」

剣士「うるさい…っ!」

剣士の『竜巻斬り』!




373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:09:49 ID:fUtyWlCU

赤騎士「はあッ!」ゴオオッ

赤騎士には届かなかった!

赤騎士「風の刃など、私の火神剣の灼熱の前ではかき消されるわ!」

剣士「はあっ……はあっ……」

赤騎士「どうした! 貴様の実力はこの程度か!」

赤騎士の『灼熱波』!

剣士「くっ…」

剣士には当たらなかった!

ジュウウウッ!

剣士「ううぅっ…!!」

赤騎士「ふん、斬撃を躱しても余熱が貴様を焼き殺すぞ」

剣士「く…ぅ…!」




374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:12:59 ID:fUtyWlCU

ドクンッ

剣士「…っ、ぁ…!?」

剣士は倒れた!

勇者「先輩!?」

剣士「ぅぅ……!」シュウウウゥ

赤騎士「これは…竜の呪いか。やはり、黄竜は斃されていたか」

少女「やれやれ、僕の管轄下であまり騒がないで欲しいな…」

赤騎士「四苦王か。少しそこで待っていろ」

従者「…お主、何をしている?」

赤騎士「なんだ、翁? 私は貴様なぞ知らん」

従者「と、とぼけるな! なぜ…なぜ、お主が魔物になっているんじゃっ!?」




375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:15:24 ID:fUtyWlCU

赤騎士「私は生まれたときから魔物だ」

勇者「爺さん、何を言っているんだ?」

従者「お主、勇者じゃろ!」

勇者「…?」

赤騎士「意味が分からぬ」

従者「ふざけるな! 甲冑に全身を包まれていても、その姿が変わっても、ワシには分かるゾイ! お主は、先代の勇者じゃ!」

勇者「赤騎士が、前の勇者…?」

少女「…確かに、かつての勇者の魂がここを訪れていない。僕も疑問には思っていたけども…」

赤騎士「……」

従者「本当に覚えとらんのか…!?」




376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:17:07 ID:fUtyWlCU

赤騎士「ふん、それが仮に事実であるとして、だから何だというのだ。私は魔物だ。…貴様らを倒すのが私の使命だ!」

赤騎士の『爆炎斬り』!

従者「…っ!?」

勇者「うおおっ!」

勇者は、右腕をバイブに変えて盾とした!

バイブは爆散した!

勇者「ぐうっ…!」

従者「…目を覚ますのじゃ!」

赤騎士「ふん、世迷言は結構だ」

アステリオス「ブオオォオオッ!」ガラガラッ




377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:20:09 ID:fUtyWlCU

アステリオスは赤騎士へと襲いかかろうとする!

赤騎士「鬱陶しいぞ、牛め」

赤騎士は『火炎魔法・極』を放った!

アステリオス「ブォッ!?」

赤騎士「ふん、しぶといな」

赤騎士の『絶界斬り』!

アステリオス「モ……ゥ……?」

アステリオスは一刀両断された!

少女「ア、アステリオスが……そ、そんなバカなことが……」

赤騎士「純粋に研ぎ澄まされた力の前には、階位は無力だ」

少女「む、むちゃくちゃだ。世界の調和を乱している」

赤騎士「違う。世界は新たな調和の基準を求めている。もはや、砂上の楼閣、そして貴様は不適格なのだ」

少女「…い、言ってくれるじゃないか」




378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:22:40 ID:fUtyWlCU

赤騎士「貴様も魔物だろう。我々に協力しろ。従わないのならば、実力行使をさせてもらう」

少女「い、いや、僕は魔物だが、完全な魔物ではなく、中立であってだね…」

赤騎士「貴様に選択権はない」

少女「あ、うぅ…し、しかしだね…」

勇者「…これ以上、生命への侮辱は許さない!」

赤騎士「…ふん、それならば私を止めてみろ、力無き者よ」

赤騎士の連ぞ

バチバチッ……!!

赤騎士「!?」ピタッ

少女「むむっ…!?」

従者「こ、これは…!」

天使「魔王……?」




379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:25:36 ID:fUtyWlCU

赤騎士「……違う」

少女「近付いているね…」

ドゴオッ!

赤騎士「……!!」

赤騎士は大きく吹き飛んだ!

従者「な、なんじゃ!?」

少女「とてつもなく強大な力…っ!?」

緑鬼?「あァぁァァかァァァァきィぃィィぃいシィィい!」

赤騎士「緑鬼…か?」

緑鬼?「こぉぉォォォォろォォォすぅぅゥゥゥ!」




380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/02(水) 23:33:36 ID:fUtyWlCU

緑鬼?の『殴り殺す』!

赤騎士「!」

赤騎士は何とか回避した!

緑鬼?「シネシネシネ死ね死ね死ね死ねシネシネシネシネシネシネ死ね死ねシネシネシネ!!」

緑鬼?の『殴り殺す』!

赤騎士は盾で防いだ!

盾にヒビが入った!

赤騎士「この力……滅びの神の力か!」

緑鬼?「ちちちちちちチカラチカラ!!」

赤騎士「ふん、愚か者め。扱えぬ力に踊らされおって」チャキッ

赤騎士の『亜空切断』!

緑鬼?には当たらなかった!




381: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:11:59 ID:VZkZcTWU

緑鬼?「殺スッ!」

緑鬼の『鬼没』!

赤騎士「………そこッ!」ブンッ

緑鬼?「ギイィッ!?」

緑鬼?は一刀両断された!

緑鬼?「…ギギ……ッ」ピクピクッ

赤騎士「力に溺れる者に勝利は掴めない」

緑鬼?「チ、くしょウ…さイごマデ…カテなかッタ……」

赤騎士「…さらばだ」

緑鬼?「…………」




382: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:12:37 ID:VZkZcTWU

ボコボコボコッッ!

赤騎士「断面から萌芽が…!?」

緑鬼?「ががががガガががが」ボコココ……ッ

勇者「な、なんだ?」

緑鬼?は巨大な原生生物に姿を変えた!

ズズズズズズ…

従者「どんどん巨大化しているゾイ!」

少女「た、魂を、食べている…っ!?」

勇者「なんだと!?」

ゴポポポッ…

赤騎士「緑鬼の意思は…もうないようだな」




383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:14:11 ID:VZkZcTWU

ズルズルズルズル……

赤騎士「…滅びの神といえど、現時点では魔王様にとって障害にしかなり得まい」

赤騎士の『天崩斬』!

破滅の化身は楼閣ごと真っ二つになった!

しかし、すぐに再生を始める!

赤騎士「…斬撃は無効のようだな。ならば」

赤騎士の『連続魔』!
『火炎魔法・極』!
『火炎魔法・極』!
『火炎魔法・極』!

『火神の抱擁』となった!


勇者「ここも巻き込まれるぞ!」

少女「しょうがないな」

生命の審判は『高域障壁魔法』を唱えた!

少女「これで大丈夫さ」




384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:15:17 ID:VZkZcTWU

ゴオオオオッ!!

『広域障壁魔法』は辛うじて爆発と相殺した!

少女「い、一撃で吹き飛ぶなんて……。さすがに想定外だね」

凄まじき業火は破壊の化身を丸ごと焼き尽くす!

しかし破滅の化身は魔力の大部分を吸収した!

赤騎士「なんだとっ!?」

ボコココッッ!!

破滅の化身はすぐに再生を始める!

赤騎士「バケモノめ!」

破壊の化身は更に肥大化する!




385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:16:39 ID:VZkZcTWU

天使「魂の悲鳴が…なんて非道い…」

従者「ま、また大きくなったゾイ!」

少女「楼閣を漂っていた魂を残らず吸収してしまったようだね。飽き足らないのか、外にも広がりつつある」

勇者「…生きてる人々も取り込もうとしてるのか!」

少女「まさに滅びの神の化身だね。あはは、世界の終わりかな…」

勇者「させてたまるか…!」

勇者の『亀甲縛り』!

破滅の化身はうろたえたように大きく揺れた!

勇者「俺が、絶対に守ってみせる…!」

勇者は超巨大オナホールで破滅の化身を包み込んだ!

勇者「うおおおっっ!」

最大圧力で破滅の化身を締め付ける!

破滅の化身は大きく暴れる!

少女「これはひどい」




386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:20:18 ID:VZkZcTWU

赤騎士「抑え込む……そうか、封印の魔法があるか」

赤騎士「しかし、これだけの存在を封印するならば、私の魔力でも足りないな」

赤騎士「…………」

赤騎士「覚悟を決めるか」



勇者「ぐうううううッ!」

従者「やめるんじゃ、勇者! お主も取り込まれることになるゾイ!」

勇者「ううううっ…ぐうっ!!」

オナホールは突き破られた!

勇者「まだまだァ!」

勇者はオナホールを修復した!

しかし、すぐに破られてしまった!

破滅の化身は荒縄を千切った!

勇者「はあっ……はあっ……くそっ……まだ…っ」

従者「止せ! これ以上は本当にお前が食われるゾイ!」




387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:24:08 ID:VZkZcTWU

赤騎士「そこの者たちよ、転移魔法で退避しろ。私は今からここら一帯もろともこのバケモノを封印する」

勇者「っ!?」

赤騎士「貴様がバケモノの足止めをしたため、準備ができた。この忠告はそのせめてもの礼だ」

勇者「……」

赤騎士「時間がない。早くしろ」

従者「…嘘では無さそうじゃのう。どの道、ワシらにはこれ以上打つ手はないゾイ」

少女「選択肢をいくつも持てないのは無力な証だね。いやになるよ」

勇者「ぐっ 、くそっ…」

少女「…ところで転移魔法は使えるんだよね?」

従者「え、使えないんか?」

少女「え?」

三人「…………」

天使「勇者さん、私に任せてください!」ぎゅっ




388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:29:18 ID:VZkZcTWU

勇者「天使さん!?」

少女「おや、肉の器に納まってるね」

少女(……ああ、アステリオスの亡骸を再構築したのか。さすが創造の女神の使いといったところかな)

剣士「……すぅすぅ」

天使「私も含めて5人ですね。それでは私のそばにいてください」

天使は魔法を詠唱する!

シュルルッ!

少女「危ないっ!」

破滅の化身の触手が迫る!

天使「……あっ」




389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:32:08 ID:VZkZcTWU

従者「でやあっ!」

従者は触手に抱き着いた!

勇者「じいさん…っ!?」

従者「ワシに構うなっ! いけっ!」

天使「……っ」

天使は転移魔法を発動した!

従者「勇者、世界をすくうんだゾイ!」

勇者「……ああっ! ありが……」

勇者たちは別地点に転移した!


従者「…どうやらワシにも役目が残っとるようじゃな」




390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:36:39 ID:VZkZcTWU

赤騎士「……さて」

夥しい触手が赤騎士に迫る!

赤騎士はわざと捕まった!

赤騎士「ぐううっ……!!」

破滅の化身は赤騎士を取り込もうとする!

赤騎士「ふん、取り込まれるのは貴様の方だ」

赤騎士「これが、私の全力だ! 」




391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:40:27 ID:VZkZcTWU

赤騎士の『真・連続魔』!

『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『天地崩壊』となった!

『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『天地崩壊』となった!

『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『天地崩壊』となった!

カオスに近似する!

究極魔法『永遠の黄昏』!

創造と破壊をも超越する擬似的な混沌!




392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:52:49 ID:VZkZcTWU

しかし破滅の化身は魔力のほとんど全てを吸収した!

破滅の化身は更に膨張する!

赤騎士(既に私の魔力を多少取り込んだからか、ほとんど無駄なく吸収したようだな)

赤騎士(むしろ好都合)

赤騎士(このバケモノの魔力の大部分は私の魔力だ。結果的に、全体の魔力も私のそれにかなり近いものになっている…!)

赤騎士(これならば利用できる!)

赤騎士「己の吸い取った力で、己を封印するがいい!」

赤騎士は『究極封印魔法』を放とうした!

しかし、魔物の本能がそれを押し留めた!

赤騎士(……っ、身の程は超えられないのか)

赤騎士は破滅の化身に取り込まれていく!




393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:54:40 ID:VZkZcTWU

そして”彼”の意識は魂の記憶に触れる。

『赤騎士ー、ひなたぼっこしよー』

『赤騎士さま、魔法の指導をお願いしますわ』

『そのうち、絶対にぶっ殺してやる! それまで誰にも殺されるなよ!』

『赤騎士よ、信頼しているぞ』


『『勇者よ、魔王を倒せ』』

『『勇者さま、勇者さま!』』

『『勇者! 世界のために魔王を倒すゾイ』』

…………。

わたしは、結局、何も果たせずに朽ちてゆく運命なのか。

かつても、今も。




394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/03(木) 01:57:37 ID:VZkZcTWU

「諦めるには早いゾイ! ワシらの力も合わせれば、上手く制約を抜けられるゾイ!」

「面白いことしてるじゃん、僕も手伝うよー」

……お前たち。

「かつて置いていかれた分、今、力を貸すゾイ」

「にひー、僕は君の友だちだろー」

…………。

ああ!

巨大魔法陣が破滅の化身の表面に浮かぶ!


封印魔法が発動した!




399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:13:36 ID:8RKoT.Lw

翌日。

魔国・魔王城

伝令係「破滅の力は、赤騎士さまのの封印により、結晶化。その直後、何片かに砕け、世界各地に飛んでいったとの報告が多数上がっております」

側近「…そうですか。それでは、捜索隊を派遣して『破滅のオーブ』の欠片を集めなさい」

伝令係「はっ!」

側近「…これで、四天王は壊滅ですか。所詮は魔物モドキと雑魚の寄せ集めに過ぎませんでしたね」

伝令係「!」

側近「緑鬼ごときの器が破滅の力をあれほど身に宿わせ、魔物モドキの赤騎士が破滅の神の力を抑え込むとは」

伝令係「……」

側近「ふくく、結果的には魔王様にとって都合の良い状況になりつつあります。その点では功績を褒め称えるべきかもしれませんね」

狂爺「ヒッヒッヒ、相変わらず嫌味な奴ジャのう」

伝令係「うわっ」




400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:14:32 ID:8RKoT.Lw

側近「おや、来ましたか。お久しぶりですね」

狂爺「ヒッヒッヒ、お互いに引きこもっとるからのう」

側近「研究の進捗はどうですか? 早く完成させてもらわないと我々の悲願が達成できないのですよ」

狂爺「ヒッヒッヒ、時間がかかるものなんジャよ。最近はお主が、ニンゲンを大量に流してくれるから研究が捗るがな」

側近「それで、報告にあった通りなのですね?」

狂爺「そうジャ。ニンゲンを魔物に変える毒薬の量産化に成功ジャ。」すっ

側近「…ふくく、これをニンゲンの井戸水や用水に混ぜれば、阿鼻叫喚ですね」

伝令係(ひ、ひでえ)

狂爺「報告の通り、成功率は原液でも五割にも満たないがな。薄めれば致死性もほとんどなくなる。所詮は研究の副産物ジャ」

側近「…使えませんね」

狂爺「文句の多い奴ジャ。とりあえず、一本お主にやろう」

側近は『禁断の毒薬』を手に入れた!




401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:15:51 ID:8RKoT.Lw

狂爺「それと、もう一つはこれジャ」

混合獣「……ウウウゥ」

伝令係「ひいっ、いつの間に!?」

側近「かなり大きいですね」

狂爺「まあな。元々は非力な魔物たちジャったが、混ぜ合わせることで相当強くなった。ニンゲンも混ぜたのが功を奏した」

伝令係「な、なんて酷い…」

狂爺「ヒッヒッヒ、まあ、こいつも、研究の副産物なんジャがな。言われた通り、少し量産しておいたぞ」

混合獣「ウウウゥ……」

側近「もちろん飛行能力があるのですね?」

狂爺「ヒッヒッヒ、もちろんジャ。お主の注文に応えてやったわ」

側近「ふくく、これでようやく、準備が整いましたね。あなたが『変化の杖』を複製できれば、もっと早かったのですが」

狂爺「ワシは便利屋ジャないからのう」




402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:17:04 ID:8RKoT.Lw

側近「ふくく、それでは、東国計画をそろそろ実行段階に移しますか。東国からの報告の限り、機は熟したようですので」

伝令係「承知しました」

側近「ふくく」

狂爺「ヒッヒッヒ」

伝令係(こいつら、気持ち悪い笑い方するなぁ。戦狼さまも戦闘狂。魔王軍に穏健派はもういない。もう辞めて故郷に帰りたい)とぼとぼ


側近「はやく『破滅のオーブ』を集めなければいけませんね」

狂爺「あれさえ手に入れば、魔物の勝利ジャな」

側近「ええ」

狂爺「…魔王さまは、本当に運命を変えるやもしれんな」

側近「ふくく」




403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:18:35 ID:8RKoT.Lw

狂爺「問題は、やはり勇者ジャな。創造の女神の使者と、破滅の神の申し子。もう戦いは避けられん」

側近「そうですね。先代の勇者を、赤騎士を懐柔したようにはいかないでしょう」

狂爺「懐かしいのう。当時を生きたのも、もうワシとお主だけか」

側近「感慨に浸るには時期尚早ですね」

狂爺「分かっとる」

側近「例の勇者と思わしき女は竜の呪いによって極端に弱体化、所在は不明ですが、しばらくは時間が稼げます。その間に、早く研究を完成させてください」

狂爺「分かっとるわい」

側近「ふくく、決着の時は遠くなさそうですね」




404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:23:38 ID:8RKoT.Lw

二週間後。

東国・修道院

少女「転移魔法によって移動した先は、勇者くんの故郷である東国の教会だった。力の酷使による疲労か、二週間近くも昏睡していた勇者くん。みんなを焦らし切ってからの覚醒後は、天使くんとの感動の再会、従者との哀しき別れ、急に幼女となって記憶を喪った剣士への対応に休む間もない。それでも新たな仲間を加えての彼の冒険は続いていく」

勇者「…随分と説明的だな」

少女「ふふ、老婆心さ」

勇者「使い方を間違えてないか…? というか、新たな仲間って…?」

少女「決まってるだろう。君たちの仲間にしてもらいたいのさ」




405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:26:59 ID:8RKoT.Lw

勇者「…本気か? だって一応魔物なんだろ」

少女「砂上の楼閣を壊された以上、魔王に恨みがある立場さ。調和を乱すものは許せないのでね」

勇者「……」

少女「それに、居場所がなくなってしまったから、新しい居場所が欲しいのさ」

勇者「…まあ、そういうなら俺たちに協力してくれ。君は、敵には見えない」

少女「ふふ、ありがとう。よろしく」

生命の審判が仲間になった!

少女「ふふ、僕は他のチョロインみたく簡単にいかないからね」

勇者「なんの話だよ…」




406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:28:32 ID:8RKoT.Lw

バタンっ

けんし「おにいちゃん、ごはんができたわ」

勇者「あ、ああ。今行くよ」

少女「おにいちゃん(笑)」

勇者「俺に言うな、俺だってむず痒いよ」

少女「ふふ、そう言うわりには、まんざらでもなさそうじゃないか」

勇者「…そんなことないぞ」

少女「おにいちゃん(笑)がそういうのなら良いけどね」

勇者「…なんか腹立つなぁ」




407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:30:36 ID:8RKoT.Lw




シスター「さあさあ、朝食の準備ができましたよ」

勇者「ありがとうございます」

天使「私も手伝いましたよ」

シスター「助かりました。手際もいいですし」

天使「泊めていただいたのだから当然ですよ」

修道女「んふふ、良い奥様になりそうですね」

天使「いえ、そんな…」ちらっ

勇者「…ん?」

天使「なんでもないですっ!」

少女「…鈍感スキルは一長一短だからね、注意しなよ」




408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:32:41 ID:8RKoT.Lw

勇者「だから、なんの話だよ…」

シスター「静かに。食前の祈りを捧げるのですから」

勇者「はい」

天使(聖職者の方々は、女神さまの実態を知ったら、やはり幻滅するんでしょうね。そして、邪神信仰を始めたりするかも……)

けんし「やさい きらい…」

修道女「あらあら、好き嫌いはいけませんよ」

けんし「むぅ…」

シスター「それにしても、あなた方が突然、礼拝中の壇上に現れたのには驚きました。本当に心臓が止まるかと思いました」

天使「驚かせてしまい、本当にすいません…。慌てていたので、行き先まで正確に決められなかったんです」

少女「転移魔法が使えるだけでも驚嘆に値するけどね、しかも下準備もなしに」




409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:36:30 ID:8RKoT.Lw

修道女「しかも、あなた方が近頃、勇名を馳せている勇者ご一行だというのにも、驚きましたよ」

シスター「勇者はうら若き少女というのは、誇張だと思っていましたが、そんなことは全くありませんでした。お連れの方も美しい方ですし」

シスター「…ええと、あなたで間違いないんですよね」

少女「うん? …ええ、そうですとも」

天使「あは、あはは…」

修道女「あらやだ、この凛とした顔立ちを見れば分かるじゃないですか」

シスター「そうですわね。すみません」

少女「いえいえ。ふふ、ありがとうございます」

勇者(勇者どころか、魔物なんだけどな…)

けんし「こざかな、きらい…」

修道女「栄養たっぷりなんだから食べなさいな」

けんし「うー…」

勇者(本当はこっちが勇者で…いや、実際は俺が勇者なんだけどな。いや、俺は本当に勇者なのかな…)




410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:38:19 ID:8RKoT.Lw

シスター「ところで、こちらのお子さんは? …もしかして、孤児ですか」

けんし「ちがうわ! あたし、ゆうしゃよ! マモノをやっつけるんだから!」

修道女「あらあら、小さい勇者様ね」

けんし「ちっちゃくないもん!」

修道女「ふふ、勇者様ならお野菜も小魚ももちろん食べられないと」

けんし「ううー…」

勇者(……先輩、小さいころは大人の前だとこんな感じだったのかな。俺の前だとお姉さんぶってただけで)

シスター「勇者様はこれからどうするのですか?」

少女「もちろん、魔王を倒しますととも。生命と魂の調和を乱す不届き者を野放図にできませんから」

修道女「さすがですね。女性なのに頼もしくて素敵ですわ」ぽっ…

少女「ふふ、ありがとうございます。しかし、この国は僕の故郷。魔王討伐の前に一度家族に顔を見せていこうと思っています」




411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:40:04 ID:8RKoT.Lw

シスター「それはいいことですね。ご家族も喜ばれるでしょう」

修道女「そういえば、東王には拝謁しましたか?」

少女「……イエ、タブンシテナイデス」

修道女「東王は我らが神に御夢でお告げをいただいたそうですが、現れたのは勇者を騙った偽物だったそうです」

シスター「その偽物、あろうことか王と謁見して、邪悪な右腕で、王を暗殺しようとしたとか」

修道女「神を愚弄する度し難い所業です」

勇者(…それって俺のこと? なんか話が盛られてるぞ…)

天使「そ、それはもしかしたら誤解なのかもしれませんよ!」

シスター「?」

天使「その人こそが本当の勇者である可能性だって充分にあります!」

勇者(…天使さんは、ほんとに天使だなぁ)ほろり




412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:41:48 ID:8RKoT.Lw

シスター「もしや、お知り合いでしたか?」

天使「あ、えっと… はい…」

修道女「あら、そうとは知らず、申し訳ありませんでした」

天使「いえ……誰が悪いかというと、私の上司なんですけど……」ボソボソ

シスター「しかし、本当の勇者というと、まるであなた方が偽物みたいな言い方ですね?」

少女「神に選ばれたのかと言われれば、違うという話です。僕は、そういう箔付けではなく、自力で勇者と呼ばれるようになったのです」

シスター「そういうことですか。失礼な物言いでごめんなさいね」

少女「いえ、こうして施していただいてるのだから感謝の念しかありませんよ」

修道女「勇者さまは本当に素敵な方ですわね」

少女「ふふ、それほどでも」

勇者(口が上手いなあ……素直に感心だ)




413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:43:30 ID:8RKoT.Lw

シスター「ところで、最近困ってることがございまして……」

修道女「…お止しなさい、世界を救う方々にお頼みすることではありません」

シスター「しかし…」

勇者「俺たちが力になれることですか?」

シスター「強い魔物が最近、この近くに住み着いて、作物を荒らしていくのです。このままだと飢える者が出かねません」

勇者「魔物退治なら任せてください」

シスター「まあ、ありがとうございます。ただ、大したお礼は出せませんが」

勇者「お礼ならもう十分いただきました。それに困ってる人を見過ごすわけにはいかないですから」

修道女「やはり勇者さまのお仲間は素晴らしい御心の方々ばかりですね」

少女「ハハハ、ソウデスネ」




414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:45:19 ID:8RKoT.Lw

道中。

勇者「ここから数時間ほど先の洞窟だ。今日中に終わるだろ」

少女「やれやれ、いつもこうやって安請け負いしてるのかい? 勇者だからって、それじゃダメだろう」

勇者「そういうわけでもないよ。困ってる人を助けるのは人間として当然だろう」

少女「君の基準を人の基準にするのは感心しないな」

勇者「…とにかく、俺は困ってる人は助けたいんだ」

少女「損な性格だね」

勇者「損得ばかりが良し悪しの基準じゃない」

少女「君は国を担える人柄ではないな。せっかく神に選ばれて多くの好機を手に入れるというのに」

勇者「俺は、今は魔王を倒すことができればいいんだ。王さまになるつもりもない」

少女「無欲だね」

勇者「そうでもない」




415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:50:58 ID:8RKoT.Lw

少女「まあ、それはいいや。今後の旅はどうするつもりなんだい」

勇者「魔王を倒すために、魔王のいるところに殴り込む」

少女「明日にでもかい」

勇者「だが、今のままで勝てるとも思えない。赤騎士のような強い奴がいないとも限らないし、敵の本拠地に無策で乗り込んだら、勝てる敵にも勝てない」

天使「そうですね。相手の戦力の底が分からないのに強攻策はやめた方がいいでしょうね」

少女「けれど、赤騎士を失って動揺している可能性もあるんじゃないかい?」

勇者「…そうだとしても、きっと魔王は強い。あの赤騎士にも匹敵するはずだ。今の戦力では無理だろう」

少女「……そうだね。ということは、戦力の増強かな」

勇者「ああ、俺はもっと強くならなきゃ。弱い、弱過ぎる。何も守れない。無力だ。力が必要だ」

天使「……勇者さん?」




416: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:56:39 ID:8RKoT.Lw

勇者「それに、みんなとの約束を果たすためにもな」

少女「君は格好いいことばっかり言うねえ。ロマンチストだ」

勇者「…そうだな」

天使「私も強くなりますよ。もう迷惑をかけたくありませんしね」

勇者「迷惑なんて一切かかってないぞ。天使さんには一生かけても返せないくらいの恩があるよ」

天使「ふふ、それは私もですよ」

少女「僕の目の前でイチャついてくれるねえ」

天使「そ、そういうわけじゃ…」

けんし「おとこのくせにすぐなかないの!」

勇者「うおっ、起きてたのか。別に泣いてなんかないけど…」

少女「いや、今のは寝言だね」

天使「ぐ、具体的な寝言ですね」

けんし「けんのもちかたが、なってないのよ…」ムニャムニャ

勇者「なにそれ怖い」




417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 02:59:32 ID:8RKoT.Lw

天使「…この子は何か特別みたいですね」

勇者「多分、女神さまが勇者にしようとしたのは本当は先輩なんじゃないかと思うんだ。常識外れに強いし」

少女「そうだとしても、こんなチビちゃんになってしまっては、どうしようもないね」

天使「そうですね…解呪の方法を探し出さないと」

少女「ところで、僕が聞きたかったのは、この次の目的地だよ。強くなるにせよ、この場に留まるわけではないだろう」

勇者「ああ。とりあえず、一度先輩を自宅まで送ろうと思う。その後は、無駄だと思うが、伝説の装備品……」

天使「どうしました?」

勇者「そうだよ! 伝説の装備品! 君が持ってるんじゃないのか!?」

少女「そうとも。だから、君の荷物のところに置いておいただろう。『日輪の兜』と『勝利の鎧』を」

勇者「…マジか」

天使「聞きかじったことがありますね。邪悪なものを倒す戦いにおいて幾度も使われているとか」

少女「そうだね。僕ら四苦王はそれを守護する使命を破滅の神から与えられてる」




418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:03:53 ID:8RKoT.Lw

勇者「いいのか、もらっても?」

少女「いいさ。先に決まりを破ったのはあちらからだからね」

天使「これは大きい戦力ですね!」

勇者「…うん。あとは、『英雄の盾』か。これについては、まったく足がかりがないな」

少女「僕もないな。空の国とか海の国ならば何か手がかりがあるかもね」

勇者「…空…海?」

天使「話してませんでしたっけ?」

勇者「あ、ああ」

少女「かつての魔大戦の戦禍を受け、一部の選民思想の人々が造ったのが空の国」

天使「魚人などの亜人による国が海の国ですね」

勇者「……」

少女「どうしたんだい?」

勇者「いや、自分の無知が恥ずかしくてな。世の中のこともあまり知らないし」




419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:04:40 ID:8RKoT.Lw

少女「ふふ、若いね」

勇者「なんだよ、同い年くらいだろ」

少女「見た目はね。実際は生きてる桁が違うよ」

天使(私もです……。あっ、でも肉体を得てから数えれば最年少ですね!)

勇者「…そうは見えないけどな」

天使「ひどいですっ」うるっ

勇者「えっ」




420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:07:57 ID:8RKoT.Lw

少女「『英雄の盾』以外には何かないのかい?」

勇者「あとは『生命の樹』を砂上の楼閣に植える予定だったんだが…」

少女「なるほど、それもあって砂上の楼閣に来たのか。残念だけど、砂上の楼閣が無くなった以上、不可能だね」

天使「しかし、砂上の楼閣以外にも生育可能な土地があるのでは?」

少女「この大地では無理だね。『混沌の樹』の力が地上全体の大地に根を張り巡らしているから」

勇者「砂上の楼閣だけが可能だったのか」

少女「その通り。もっとも、僕はそれを是としなかったけどね」

天使「で、でも、まだ希望がないわけではありませんよ。どこかまだ清浄な土地が残ってるかも…」

少女「…そうだね。そこを探すのも旅の目標になりそうだ」

勇者「あとは…別れた仲間たちと合流しないと」




421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:09:46 ID:8RKoT.Lw

天使「あ、エルフさんですね?」

勇者「うん。それと、もう一人」

少女「ふふ、どうせ女なのだろう?」

天使「……」じとー

勇者「え…まあ…うん。え、 なんでそんな目で見るの?」

天使「どうしてでしょうねっ」ぷいっ

・・・

けんし「ずっと、おぶってくれて、ありがとね…」

勇者「いや、いいよ」

けんし「おにいちゃんのせなか、あたたかいわね」

勇者「そうか?」

けんし「うん。おちつく」

勇者「それは良かった」




422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:12:19 ID:8RKoT.Lw

けんし「…ねえ、おにいちゃん」

勇者「うん?」

けんし「わたしたち、どこかで、あったことある?」

勇者「…どうだろうね」

けんし「なんだか、よくおもいだせないのよ…なんか、くるしかったような…」

勇者「……」

けんし「…はやく、あいたいな」

勇者「誰に?」

けんし「うちの、きんじょのおとこのこ。すぐになくのよ。おねーちゃん、おねーちゃんってね」

勇者「あはは…それは、それは」

勇者(間違いなく俺だな)

勇者(…姉ちゃん、元気にしてるかな?)




423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:13:17 ID:8RKoT.Lw

・・・

少女「この洞窟が、例の魔物の住処かな? やれやれ、中々深そうじゃないか」

勇者「真っ暗だな。松明の準備をしないと」

天使「大丈夫ですよ」

天使は『全体光照魔法』を唱えた!

洞窟全体が明るく照らされた!

天使「さあ、これで心置きなく進めますね」

勇者「…さすがだなあ」

少女「紐みたいな蟲が、うぞうぞ逃げてく…うえ…」




424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:15:47 ID:8RKoT.Lw

・・・

魔物が現れた!

土竜熊’s「シイイイィッ」

勇者「…多いな」

少女「ふふ、ここは僕に任せてもらおうかな」

生命の審判は大鎌を呼び寄せた!

少女「よっと」ビュオオッ

素早く鎌を振り回して土竜熊たちの首を刎ねとばした!

少女「僕はどちらかといえば後衛だけど、必要ならばこの通り前衛にも出るさ」

勇者「それは頼もしいな。どうも前衛の仲間が少ない…というか俺だけか?」




425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:17:25 ID:8RKoT.Lw

天使「私だって、少しは戦えますよ」

勇者「あ、ああ」

勇者(そういえば撲殺天使だったな… …。あれ、やっぱり俺いらない子なんじゃ…?)

勇者「この魔物たちが作物を荒らしてたのかな」

少女「違うだろうね。見た所、あまり外に出る魔物ではなさそうだ。元凶は違う魔物だろう」

天使「もっと奥にいるのでしょうか?」

少女「ふふ、最奥にいると考えるのが妥当かな」

勇者「いや、でも外に出て作物を荒らす魔物だったら、もっと入り口付近に居着いた方が合理的なんじゃ…」

少女「一概にそうとも言えないさ。この洞窟の中の魔物は割と多様性に富んでるのかもしれない。そうすると縄張り争いなどの理由から奥にいることもあり得る」

勇者「あー、そうか」

天使「それに魔物に合理性を求めちゃダメですよ」

勇者「そ、そうなのか?」




426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:18:52 ID:8RKoT.Lw

・・・

少女「ふう、割と魔物を倒したね」

天使「久々の戦いには丁度いいですね。そこまで強くないし」

勇者(二人が強すぎて俺の出番がない…。いや、先輩を背負ってるし、荷物持ってるし、助かるんだけどね)

少女「さて、もうすぐ最奥だね」

天使「わくわくしますね。何があるんでしょう」

勇者「さっきからちょくちょく、犯人っぽい魔物を倒してるような…というか、もはや目的が変わってない?」

少女「ハハハ、ソンナコトナイヨ?」

天使「あ、行き止まりですよ。…扉がありますね」

少女「灯りもついてるね。誰かが住んでるのかな?」

勇者「…ノックしてみるか」




427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:20:21 ID:8RKoT.Lw


コンコンコンッ

「……入りなさい」

勇者「だってさ」

天使「入ってみましょうか」

少女「ふふ、罠だったらかかってみるのも一興だろう」

勇者「ほんと頼もしいな…」

ガチャ

中には老人がいた!

「……ついに来たか。ワシは占いババ。未来を占う者じゃ」

少女「聞いてもないのに急に語り始めたよ」

天使「こら、失礼ですよ」




428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:26:05 ID:8RKoT.Lw

占いババ「生来ワシは未来を視る眼をもっておった。しかし、ある時に、世界の終わりを視てしまってな。その恐ろしさに両眼を潰した」

少女「頼んでもないエピソードを始めたよ」

天使「だから、失礼ですってば。おそらく、この人は本物の力の持ち主ですよ」

占いババ「ワシは長い間、この場所で絶望に打ちひしがれていた。しかし、ふと思い出したのじゃ。あの終わりの日、微かに煌めいた希望を」

勇者「はあ…」

占いババ「その希望は今、ワシの目の前にいる」スッ

少女「眼が視えないんじゃないのかい?」

天使「視えてないと思いますよ。でも感じるのでしょうね」

勇者(俺、と思わせてまた後ろに負ぶさってる先輩っていういつものあれかな)

占いババ「少年、お主が世界を救う使命を背負っておる。お主が光の中心じゃ」

勇者「……俺?」

占いババ「しかし、過酷な運命を背負っている。耐え難いほど辛いことが多くある。それでもお主は進まねばならぬ」

勇者「……」




429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/15(火) 03:27:27 ID:8RKoT.Lw

占いババ「魔王の手に闇の宝玉が渡ったとき、世界の終わりが訪れる」

占いババ「欠片となった闇の宝玉のみが運命の岐路となる。アルファがオメガまで主を導く。闇の宝玉を魔の者に渡してはいけぬ」

勇者「…闇の宝玉?」

占いババ「主の過酷な運命の始まりに急ぐのじゃ」

勇者「それって…」

占いババ「弱くか細い勇者よ。堪え難きことがあろうと、心を失うな」

勇者「……」

少女「やれやれ、もう少し具体的な言葉をいただきたいものだね」

占いババ「…………」

返事がない。

息絶えているようだ。

少女「えっ」

天使「…呪いをかけていたようですね。この日まで生き永らえるための呪いを」

勇者「…それがこの人の使命、そして意思だったのか」

少女「…人間の執念にはいつも舌を巻くよ」




433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:34:52 ID:ZWAn/GNc

ガチャッ!

チビ悪魔「おババっ!」

少女「おや、魔物だね」

チビ悪魔は占いババの屍にしがみつき泣き喚く!

勇者「魔物…この婆さんに懐いてたのか?」

少女「あのご老体が一人では生活できなかっただろうし、おそらく彼が世話をしていたんだろう」

天使「魔物が人間と共に暮らすなんて…生命を滅ぼす破壊衝動があるはずなんですが…」

勇者「あの婆さんは特殊だろうけど人間だった」

少女「まあ、魔物も知的生命体だからね。多少のアンビバレンスは存在し得るさ」




434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:35:44 ID:ZWAn/GNc

チビ悪魔「ヒッグ、うぇ、うう……」

少女「ところで、作物を荒らしていたのはこの魔物かな?」

チビ悪魔「な、なんだよっ! おいらたちはちゃんとお詫びの品を毎回置いてるじゃないかっ」

少女「おや、それは初耳だね」

チビ悪魔「でも、おババが死んじまった今、これ以上食べ物を盗むこともないぞ…」

チビ悪魔「…うわああん、おババ〜〜!!」

少女「…もう、倒す必要はなさそうだね」

勇者「ああ…。これ以上、俺たちがいても迷惑だろう」

天使「行きましょうか」

チビ悪魔「ひっぐ…まてっ」




435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:36:23 ID:ZWAn/GNc

少女「まだ何か用があるのかい?」

チビ悪魔「おババがここを訪れた人に渡せって」

勇者は『邪悪なイヤリング』を手に入れた!

天使「うっ…なんて悍ましい装飾品なんでしょう…」

少女「…ずいぶんと悪趣味だね」

チビ悪魔「なんだとーっ! おババはこれをどれだけ大切にしてたと思ってやがるっ」

チビ悪魔は激昂している!

勇者「いや、ありがとう」

勇者は『邪悪なイヤリング』を大切にしまった!

チビ悪魔「へへっ、にいちゃん良いやつだな! 大切にしてくれよっ」

勇者「あ、ああ」

少女(単純な魔物だね…)




436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:37:25 ID:ZWAn/GNc

・・・

天使「勇者さんじゃ、もしかしてそれを身に付けるつもりですか?」

少女「お勧めはしないね。というか、やめるべきだよ」

勇者「……」

天使「勇者さんには、伝説の装備があるじゃありませんか」


勇者「…それなんだけど、後で見せたいものがあるんだ」

「「……?」」

けんし「くぅ…くぅ…」




437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:38:47 ID:ZWAn/GNc

修道院。

シスター「あら、お帰りなさいませ。魔物をお倒しになったのですか?」

少女「ええ、まあ。世界を救おうとしている僕の敵ではありませんでしたよ」キリッ

シスター「まあ、流石。素敵ですわ」ぽっ

勇者「ところで作物が荒らされた後に、何かが置いてあったりという話を聞いたことは?」

シスター「え、うーん、特にはありませんね」

勇者「一応、もう一度作物が荒らされた跡を詳しく見るように、伝えてください」

シスター「はあ…」

後日、小振りながら綺麗な装飾品が多数見つかったとか。




438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:39:52 ID:ZWAn/GNc

少女「それで見せたいものというのは何かな?」

勇者「これだ」

勇者は『光の剣』を指差した。

天使「伝説の装備品ですね。きっと魔王を倒すのに役立つはずです」

勇者「……」

勇者は『光の剣』を装備しようとした!

バチチチイッッッ!!

しかし装備できなかった!

勇者「くっ……」

天使「……えっ」

少女「……」




439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:41:21 ID:ZWAn/GNc

勇者「もう一つ試してみるか」

勇者は『勝利の鎧』を装備しようとした!

パアアアンッッ!!

しかし、装備できなかった!

勇者「ぐうっ、やっぱりな…」

勇者は『日輪の兜』を装備しようとした!

キイイインッッ!

しかし装備できなかった!

勇者「ぐぁっ…!」

天使「だ、大丈夫ですか?」

勇者「大丈夫。さて、これで手持ちの伝説の装備すべてに拒絶されたな」




440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:42:35 ID:ZWAn/GNc

少女「……」

生命の審判は『光の剣』を装備しようとした!

少女「くっ、重いね…っ」

装備するのを諦めた。

勇者「俺ほどは拒絶されなかったな。天使さんも試してみる?」

天使「えっと…はい…」

天使は『光の剣』を装備しようとした!

天使「…ギリギリってところですかね。でもこれで戦うならもっと良い装備がありそうです」

装備するのをやめた。

勇者「まだ二人の方が装備に認められてるみたいだな。俺はダメだ。全部弾かれてしまう」

天使「で、でもこれが勇者の証というわけでもないでしょう?」

勇者「…だが俺には、伝説の装備を身に付けるだけの身に付けるだけの力がないんだ」

天使「そんなこと……」


けんし「なにをやってるの。アタシもまぜてよ」




441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:44:03 ID:ZWAn/GNc

勇者「…うん。これを持ってみてくれ」

けんし「わっ、かっこいい!」

けんしは『光の剣』を装備した!

『光の剣』は煌々と輝き出した!

天使「……っ」

けんし「おにいちゃん、にあうかしら?」

けんしは『光の剣』を軽々と振り回している!

勇者「…ああ、最高に似合ってるよ」

けんし「えへへ、やったわ」

少女「…認められたというか、もはや服従させているようにすら見えるね」

勇者「…分かったろう。伝説の装備を装備できない以上、別のものを探さなくてはいけない」

少女「その代替品が呪われた装備だといいたいのかい?」




442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:45:03 ID:ZWAn/GNc

天使「そんなの…私が許しませんよっ!」

勇者「…できれば、俺もそうしたいところだ。その機会がないことを願うよ」

天使「んっ!」

勇者「どうしたの?」

天使「さっきのイヤリングを渡してください」

勇者「…いや、これは俺が持っておく」

天使「ダメですっ」

勇者「悪いが譲れない」

天使「それなら実力行使です!」

勇者「ちょっ」

天使は勇者に飛びかかった!

慌てた勇者は近くにあった瓶を踏んでこける!

天使の足に勇者の足がぶつかる!




443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:45:38 ID:ZWAn/GNc

天使「きゃあっ!?」

勇者と天使が向かい合う形で倒れ込んだ!

勇者「あ、頭いてー…」

むにゅぅ

勇者(か、顔に柔らかいものが…)

天使「きゃ、きゃあああぁぁ!」

けんし「うわあ…」

少女「…ラッキースケベの呪いでもかかってるのかい?」




444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:46:29 ID:ZWAn/GNc

・・・

少女「お世話になりました」

修道女「あなたたちに神のご加護がごさいますようお祈りいたしております」

天使「ありがとうごさいます」

少女「一刻も早く世界に平和をもたらせるよう尽力します」キリッ

シスター「凛々しくて可憐な勇者さま、是非またお越しください」ぽっ

少女「ええ、またあなたに会いに参ります」キリッ

シスター「まあっ、照れてしまいますわ」カアッ

けんし「ちゃばん、ってやつね!」

勇者「よく知ってるね」

けんし「えへへ」




445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:48:21 ID:ZWAn/GNc

天使「……」むすっ

勇者「あのー、そろそろ機嫌を直してよ」

天使「別にこれが普通ですから」ツン

勇者「俺が悪かったって」

天使「心にもないことを言わないでください。結局、渡しもしないで」ぷいっ

勇者「…ごめん」

天使「…頑固者なんですから」

少女「痴話喧嘩はそのくらいにして、先に進もうか」

天使「そ、そんなんじゃありませんっ」

けんし「おにいちゃんたち、なかがいいのね!」


魔物が現れた!

勇者「…よく見る弱いやつだな。小さい頃はこいつらをよく倒してたな」

勇者「よし、たまには俺も…」

けんしの攻撃!

魔物を一網打尽にした!




446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:50:11 ID:ZWAn/GNc

けんし「よわいわねっ!」

勇者「……」

少女「なんか、勝手に闘ってるし、強いよ、この子」

勇者「うん」

少女「普通に戦力になるんじゃないのかい?」

けんし「アタシ、もうお父さんより、つよいのよ!」

勇者「そういえば、これくらいの年で師範を超えてたかも…」

天使「天才ですね…」

勇者「…いやでも、こんな小さくなった先輩を闘わせるわけにもいかないよ」

少女「でも、心強いんじゃないかい?」

けんし「どんどんいくわよっ」

天使「こらー、道はこっちですよー」

勇者「方向音痴だし…」

少女「んー…」




447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:51:03 ID:ZWAn/GNc

勇者「…しかし、闇の宝玉か。何なんだろうな」

少女「ご老体が言っていたろう。魔王に渡したら世界が滅びると。きっと魔王の力の源みたいなものなんだろう」

勇者「もっと詳しく分からないのか。君は何でも知っていそうなんだが」

少女「それは買い被りだね。僕は長く生きてこそいるけれど、あの楼閣にずっといたんだよ」

勇者「引きこもりか」

少女「いちいち嫌な言い方をしてくれるね。在宅ワークだよ。家も仕事も失ったけどね…」

勇者「そ、そうか」

少女「そんなことより、君の過酷な運命の始まり、つまり、この国のどこかに闇の宝玉の欠片がありそうだね?」

勇者「まだ断定はできないが、その可能性はあるな。とりあえず俺の村に行けば何か分かるかもな」

少女「どれくらいで着くのだったかな」

勇者「早朝にも言ったが、五日後にはつくはずだ。今日は中継地点になる村に泊まれるはず」

少女「申し訳ないけれど、朝には弱くてね」

勇者「予定くらいは大事だから聞いていてくれよ」




448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:52:25 ID:ZWAn/GNc

・・・

村。

宿屋「それではごゆっくり」

少女「ふう。長距離移動は疲れるね」

天使「そうですね…」

けんし「くぅくぅ…」

勇者「それでもただの人間よりはずっと早いと思うけど」

少女「ふふ、人外だからね。いっそ肩書きを人外にしようかな。この肩書きは汎用性があるし、こう明らかに僕だという肩書きが欲しいね」

勇者「う、うん?」

少女「僕は、戦闘としては魔法も近接もこなせるけど、やはり魔法寄り。魔法としては少し変わり種の攻撃魔法や支援魔法は使えるけど、普通の魔法はあまり使えない」

勇者「お、おう」

少女「武器としては鎌、斧、槌とかが得手だけど、そこまで、身の守りが堅くないし、体力もないから重戦士というわけでもない」

勇者「そうなのか…」




449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:53:26 ID:ZWAn/GNc

少女「…我ながら中途半端だね」

天使「万能型で素晴らしいじゃないですか」

けんし「むにゃ…きようびんぼう…」

器用貧乏「実は起きてるのかい? …あれ、肩書きが変わってる!? こんなのは嫌だよ!?」

勇者「じゃあ口が上手いから詐欺師とか?」

詐欺師「これじゃあ、三下の小悪党みたいじゃないか!」

天使「えーとえーと、キラーマシンとか?」

キラーマシン「マシンの要素ないだろう! 無理してボケなくていい!」

天使「す、すみません」

キラーマシン「やれやれいっそ僕が勇者の肩書きを貰い受けようかな」

天使「あ、それは女神さまの加護がかかっているので無理ですよ」

勇者「そんな加護があったの!?」




450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:54:42 ID:ZWAn/GNc

キラーマシン「も、もうやめようこの話題は。踏み入ってはいけない禁断の領域のようだ」

勇者「ふってきたのはお前だったんだけどな」

キラーマシン「反省しているよ。反省しているから、この肩書きはやめてくれないかな」

勇者「俺に言うな」

天使「それより、おかしくありませんか?」

勇者「ん?」

天使「なんだか、腕節の強そうな方々が大勢いるですよ」

勇者「…確かに、冒険者みたいな装いが多いな。まるで中央国の南部みたいだ」

天使「…傭兵ですかね?」

キラーマシン「傭兵…どこかで戦いでもあるのかな?」

勇者「…聞き込みでもしてくるか」

キラーマシン「僕も」

勇者「ああ、頼む。天使さんは先輩のことを見てやってくれ」

けんし「むにゃ…どいて、そいつころせない」くぅくぅ…




451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:55:43 ID:ZWAn/GNc

キラーマシン(酒場は勇者が行ったからべつのところで話を聞こうかな)

キラーマシン「…その前に名産品でも見てこようかな。ちょっとくらい観光しても怒られなはずさ」

…メテ…サイ…‼︎

キラーマシン「…おや、物陰から声がするね」

旅娘「や、やめてください…! 大声出しますよっ」

荒くれA「ぐへへ、出してみやがれ。助けに入るヤツなんざいねえよ」

荒くれB「べつに、怯えることねえさ。ちょっとしっぽりデートしようやってお誘いなんだからよぉ」

荒くれC「まあ、悪い思いはさせねえよぉ…げへへ!」

旅娘「いやぁ…っ」

キラーマシン「その娘を離さないか」

荒くれD「なんだぁ、お前ぇ?」

キラーマシン(勇者、と名乗ると面倒かもしれないね)




452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:56:54 ID:ZWAn/GNc

キラーマシン「通りすがりのキラーマシンさ」

荒くれA「き、キラーマシンだと!? どうしてそんな強え魔物がこんなところに?」

キラーマシン「えっ? ええと…ふっ、女の子の助けを呼ぶ声を聞けば地獄の底からでも駆け付けるさ」キリッ

旅娘「き、キラーマシンさま…っ」

荒くれB「ちっ…逃げるぞ!」

荒くれC「敵う相手じゃねえ!」

荒くれD「ちくしょう、可愛い女の子と一緒に喫茶店でお茶して、お散歩しようと思ってただけなのに!」

キラーマシン「…意外にピュアだね」

旅娘「ありがとうございますっ」

キラーマシン「いや、礼には及ばないさ」

旅娘「…かっこいーじゃないッスか、キラーマシンさま」

キラーマシン「えっ」




453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:58:16 ID:ZWAn/GNc

旅娘は真の姿を露わにする!

キラーマシン(とはいっても、角が生えただけだが)

鬼娘「助かったッス! 揉め事を起こす前に難を逃れられました」

キラーマシン「…それは良かった」

鬼娘「しかし、見ねえ顔ッスが、今回の作戦の追加人員ッスよね?」

キラーマシン「…ふふ、話がはやくて助かる」

鬼娘「へへへ。さっそく本部からの追加指示を聞かせてもらうッス。待機、待機でうんざりッスよ」

キラーマシン「ここにずっといると勘付かれるかもしれないね。場所を変えよう」

鬼娘「そういうことならオレたちの隠れ場所に案内するッスよ」

鬼娘は角を隠した!

旅娘「しかし、よくできた擬態ですね。キラーマシンなのに、ワタシよりずっと人間に似てますね」

キラーマシン「ハハハ、ソウダネ。キラーマシンナノニネ」




454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 03:59:29 ID:ZWAn/GNc

宿屋。

旅娘「ここがオレたちの隠れ家ッス。ニンゲンに化けたならニンゲンの中に紛れた方が安全でしょう?」

少女(まさか同じ宿屋だとは…)

キラー「ハ、ハハハ、ソウダネ」

旅娘「新しくキラーマシンさま宿を取るッスね」

キラー「実はもう取ってるんだよ。君たちと同じ考えでね」

旅娘「おお、さすがッスね!」

キラー「ふふ、それほどでも」

天使「あら?」

キラーマシン(最悪のタイミングだよ)

キラーマシン(僕、スパイ中、他人のふり、プリーズ)シュババババ←全力のジェスチャー

キラーマシン(届いてくれ、僕の思い!)

天使「面白い動きをしてどうしたんですか? そちらの方はもしかしてお知り合い?」にこにこ

キラーマシン「まあ、通じないよね」




455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 04:01:29 ID:ZWAn/GNc

旅娘「……?」

キラーマシン「彼女も僕と共に作戦に臨むものだよ」

天使「作戦? 魔王討伐ですか?」

キラーマシン「あちゃあ、察してほしかったな」

旅娘「なっ、どういうことッスか!」

旅娘は角を露わにする!

少女「うん、とりあえず意識でも失っていてよ」

生命の審判は『睡眠魔法』を放った!

鬼娘「ーーーーっ」ぱたんっ

鬼娘は眠ってしまった!

少女「さあ、誰にも見られないうちに部屋に運ばないと。…天使さんも手を貸してほしい。この娘、かなり重い…」ズル…ズル…

天使「え、は、はい」ひょいっ

少女「……見た目に反してに馬鹿力なんだね」




456: ねる 2015/09/18(金) 04:02:24 ID:ZWAn/GNc

村の酒場。

勇者「…その話は本当なのか? 東国と中央国が戦争を?」

マスター「まだ噂だけどな。しかし、これだけ傭兵を集めてるとなると、ただごとじゃねえよな」

ゴロツキ「国が、破格の待遇で雇ってくれるらしいんでな。歴戦の猛者から口だけの雑魚までどんどん集まってきてるぜ」

勇者「魔物が蔓延ってるなか、人間どうしで争いあってる場合なのかよ…!」

ゴロツキ「へへ、魔物が大人しくなってきたからな。隠れてた軋轢が表面化しつつある証拠さ」

マスター「…良くない方向に話が流れていってるねぇ。客足は増えるが治安も悪くなる。近頃は保安官もずさんな仕事しかしねえ」

ゴロツキ「へへ、王さまが最近、発狂したって噂まで流れ始めてるぜ」

マスター「東国はどうなっちまうんだ。俺たちは無事に暮らしてけるのか」

勇者(魔王を倒すだけじゃダメなのか? …いや、その先のことはきっと俺の領域じゃない)

勇者(…俺の目的は魔王を倒すこと。弱いのならば、切り捨てなければいけないものも出てくる。国家間の戦いなんて俺の出る幕じゃない)

勇者「……」




459: おきた 2015/09/18(金) 11:58:36 ID:bpgFbG/E

宿屋。

鬼娘「…………」

少女「さて、彼女をどうしようか」

天使「そのまま帰す、というわけにも行きませんよね…」

けんし「んにゃ…?」パチ

けんしが目を覚ました。

けんし「マモノっ!?」

少女「しーっ。もっと小さい声でね」

けんし「ごめんなさい…。はやく、ころさないの?」

天使「え、えーっと…」

けんし「マモノはころさないと。こいつらムラのひとをころしたのよ。アタシのおかあさんも、マモノにころされた」

少女「…君の言いたいことは分かるよ」

けんし「…だったらねてるうちに、ころさないと! みんなしんじゃうわ!」




460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:01:04 ID:bpgFbG/E

鬼娘「……っ」パチ

少女「起きたみたいだね」

鬼娘「……っ!?」ガチャガチャッ

天使「魔力で強化しています。抵抗しても無駄ですよ」

鬼娘は大声で仲間を呼ぼうとした!

鬼娘「……っ!?」ぱくぱくっ

しかし、声が出せなかった!

少女「騒がれると面倒だからね。君にはあとで場所を変えて、色々と聞かせてもらうよ」

鬼娘「……っ!」キッ

少女「取り敢えず今は眠っておいてもらおうかな」

天使「そうですね」

「ニンゲンごときが好き勝手やってくれるじゃないか」

少女「!」




461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:05:02 ID:bpgFbG/E

蝙蝠男「ふん、ニオイを追ってみれば……情けないな鬼娘よ。鬼といえどしょせんは女か」

天使「…そういう発言は気に入りませんね」

少女「同感だよ」

けんし「うごかないで! うごいたら、このマモノをころすわよ!」チャキッ

少女(なにこの幼女怖い)

蝙蝠男「ふん、殺したくば殺せ」

蜘蛛男「側近さまの作戦に水をさしやがって」

多目爺「ひゃひゃひゃ、こうなっては村を滅ぼすかのう」

けんし「そんなことさせないわ!」

蝙蝠男「ふん、他の仲間たちを外に出している。私の合図で一斉に動き出すぞ。貴様らの対応次第では、一考してもいいがな」

少女「…村中を人質にとったということかい?」




462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:07:39 ID:bpgFbG/E

蝙蝠男「ふっ、そういうことだ。分かったら大人しく殺され…」

ウジュジュ……!!

巨体触手が現れた!

蝙蝠男「なっ!? なんだこいつは?」ズゾゾ…

蜘蛛男「く、喰われっ……た、助けてぇぇ!!」グチグチ…

多目爺「砕か…れっ…!?」ゴキゴキ…

触手は魔物たちを貪り食う!

ジュルッベキッゴキュッ……

少女「…くっ!」

天使「待ってください! 敵ではありません!」

勇者「そうだ」ズズズ…

触手は勇者になった!

勇者「宿屋から魔物たちが出てこようとしたからな。全部捕食したが」

少女(……これもプレイの一つということかな。創造の女神さま、ドン引きしたよ)




463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:10:48 ID:bpgFbG/E

天使「他の人たちには見られなかったのですか?」

勇者「…いや、見られた。多分、大騒ぎになってる」

けんし「…おにいちゃん、マモノじゃないのよね? なにかちがうもの」

勇者「ああ」

けんし「でも、いまはマモノみたいだった…」

勇者「色んな姿に変身できるんだ。犬とか、大蛇とか、あと蟲とか…」

天使「…そんなことができるようになっていたのですか?」

勇者「修道院にいる間ずっと寝てたらしいけど、その間、夢の中で女神の能力の人格、みたいなやつと対話してたんだ」

少女「睡眠学習だね」

勇者「それは違うんじゃないか?」

少女「…ボケに本気で返さないでほしいな」




464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:12:52 ID:bpgFbG/E

鬼娘「チクショオォ! 離しやがれェェ!」ガチャガチャッ

少女「おやっ、魔法が解けてたか」

バキッ

鬼娘は鎖を引き千切った!

天使「なっ…!」


主人「こっちの部屋から大声が! 魔物はここでしょう!」

衛兵「分かりました。下がっていてください」


少女「…面倒だね」

生命の審判は『睡眠魔法』を放った!

鬼娘は眠ってしまった!

天使「逃げましょうか」




465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:14:14 ID:bpgFbG/E

勇者「ごめんな…」

けんし「おにいちゃんはわるくないわ!」

少女「さっ、『不可視化魔法』をかけるよ。

少女「さっさと準備して出よう」

勇者「この魔物は殺さなくていいのか?」

少女「魔物の方で何か企みがあるみたいだ。聞き出さないといけない」

勇者「…そういうことなら」

天使「担ぐのは私に任せてください」ひょいっ

勇者「…天使さん、やっぱり力持ちだな」

少女「それじゃ『不可視化魔法』をかけるよ」




466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:15:56 ID:bpgFbG/E

・・・

勇者「ここまで来れば大丈夫か?」

少女「そうだね。ふう…疲れたよ」

天使「そうですね…魔物を背負って移動は流石に疲れます…」

けんし「アタシはおひるねしたから、げんきよ」

鬼娘「…………」

天使「今度は鎖を二本にしました。もう解けませんよ」

勇者「…とりあえず、今日はここらで野営にしよう。みんな食事は大丈夫か」

けんし「アタシと、てんしのおねえさんは、もうごはんをたべたわ」

天使「宿屋で先に食事をいただいてました」

勇者「俺は酒場で、つまみを少し」

少女「僕は何も食べてないよ…」

勇者「少し食料が余ってるから、多めに食べてくれ」




468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:34:31 ID:bpgFbG/E

少女「お言葉に甘えさせてもらうよ。それよりも、魔物たちがこの国で、何かを企んでいるようだ。おそらく大掛かりに」

勇者「ああ…じゃあ、俺が口を割らせるから少し離れた場所で夜営の準備を頼む。必要なものはこの袋に入ってるから」

けんし「わかったわ」

勇者「…なあ」

少女「うん?」

勇者「ーーーー」ボソボソ


鬼娘「…くっ、てめえら、絶対に許さねえッス!」

勇者「お前たち何か企んでるそうだな。洗いざらい話してもらおうか」

鬼娘「けっ、死んでも言わねえッスよ」

勇者「…そうか」

鬼娘「はやく殺すッス」

勇者「いや」

鬼娘「……?」

勇者「多分、死ぬよりも辛い」




469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:39:10 ID:bpgFbG/E

天使「…火はこれで大丈夫そうですね。天幕も張りましたし」

けんし「ヘンなおねえちゃんも、はやくおぼえてね」

少女「う、うん。早く君たちの手伝いができるように頑張るよ。あ、結界魔法は完璧さ」

天使「あとは勇者さんを待つだけですが…」

けんし「どうしたのかしら?」

天使「何も聞こえませんけれど大丈夫ですかね…?」

少女「…問題ないと思うよ。そうだな…暇だし、夜営の時に大事なことでも教えて欲しい」


鬼娘「あっ、あっ、あっ……」ガクガク

勇者「獣姦、電気ショック、浣腸と水責め、蟲責めまで来てさすがに叫ぶ気力もなくなったか?」

鬼娘「やめて……やあああ…」ビクビク

勇者「蟲に全身を這われたままが嫌なら、はやく情報を吐け」

鬼娘「ぎ……き…ひっ…くけっ………」ピクピク

勇者「…あっ、両耳にでかい蟲が入って蠢いてるから聞こえないのか」

鬼娘「や……や……やら………」

勇者「…失敗したな」




470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:42:16 ID:bpgFbG/E



少女「うわあ、惨状だね…」

鬼娘「……たすけて」ピクピク

勇者「天使さんたちは?」

少女「あっちで心配してたけど、もう遅いから眠るように言ってきた。君に言われた通り、防音もバッチリにしたんだけど、逆に不審がってたよ」

勇者「そうか。ありがとな。結構、悲鳴を上げていたし助かったよ」

少女「天使くんに対する配慮だろう。優しいね、勇者くんは」

鬼娘「……もう…やぁ」ピクピク

少女「……そうでもないかな?」

勇者「口は割らせたから先にに戻っておいてくれ」

少女「…この魔物はどうするんだい?」

勇者「殺す」

少女「……っ」ゾクッ




471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:46:28 ID:bpgFbG/E

鬼娘「…そん……な…」

少女「まあ、待って。殺すよりもいい方法があるよ」

勇者「なんだ?」

少女「鬼にとって角は誇りらしい。角を折ることで屈服させることができるそうだよ」

勇者「へえ、最初に教えてくれればもっと楽ができたのに。…確かに今思えば、この角を掴んで組み伏せてからはだいぶ弱気になった気もするな」

勇者は鬼娘の立派な角に手をかけた!

鬼娘「ひっ…だめ……ッス」

勇者「…死ぬのとどっちが辛い?」

鬼娘「……っ」

勇者「…俺だってできれば殺したくはない」

鬼娘「……しにたくない」

勇者「利害が一致したな」

勇者は鬼娘の角をへし折った!




472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:48:16 ID:bpgFbG/E

・・・

翌朝

勇者「どうやら、魔物がこの国の中枢に入り込んでいるらしい。そして東王を唆し、中央国との戦争を起こそうとしている。その過程で、魔物たちが諸侯含む国の要人と入れ替わり、東国を乗っ取って国を滅ぼすという計画だ。多くの魔王軍お抱えの魔物たち、つまり魔物のエリートが東国にあの手この手で潜伏している。そして、入れ替わり決行の日は遠くない。一月後に、兵士と傭兵を一堂に会しての催しがあるらしい。その時に魔物の大群を送り込み、混乱に乗じて入れ替わるという作戦らしい。そのような今までにない祭典が開かれるのもおそらく既に東王が人に化けた魔物の甘言につられているからだろう。更に要職が入れ替わったら本当に国家を牛耳られてしまうから、何とかしなければいけない」

天使「入れ替わるということは人間に化けるということですよね? そんなことが可能なのですか?」

勇者「入れ替わるというか、皮を被るといった感じだ。死体に奇声する魔物がいるらしい」

少女「そんなことができるなら、もう東国城内は魔物だらけになってそうだけれどね」

勇者「そんなに使い勝手の良いものでもないみたいだ。数も限られているし、知能的な問題もある」

天使「時間をかけて疑惑を広げるよりも、一斉に権力者に成り代わったほうがより効果的ということですね」

勇者「…今までみたいに、力と力のぶつかり合いというわけにもいかなそうだ」

少女「そうだね」

けんし「…ねえ、おにいちゃん」

勇者「うん?」




473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 12:51:30 ID:bpgFbG/E

けんし「どうして、そのマモノが、おにいちゃんにくっついてるのかしら?」

鬼娘「……えへへ」ぴたっ

勇者「…色々あってな。一言でいえば、そこの何だかの審判に騙された」

少女「生命の審判だよ、失礼だね。それに騙してなんかいないよ。嘘は言ってないからね」

勇者「意図的に断片的な情報を与えないのは欺騙と変わらないだろ! なんだよ、角を折ると相手への負の感情が好感情になるって!」

鬼娘「力が全てな鬼なりの進化ッス。旦那さま、愛してるッス!」

天使「旦那さま…っ!?」

けんし「どうしてかしら…すごくムカムカするわ」

勇者「俺はお前の旦那さまじゃない」

鬼娘「ご主人ッスね!」

勇者「…ま、それでいいや。これから、俺の言うことを聞けよ」

鬼娘「はいッス!」

鬼娘が使い魔になった!

少女「性奴隷が増えるよ! やったね勇者くん!」

勇者「おいやめろ」




474: ピザうめえ 2015/09/18(金) 13:39:50 ID:hskJ17WI

勇者(そういや、意識的に事に及んだのは、何だかんだで初めてだな)

天使「……」むすっ

勇者「さて、さっさと撤収して、進もう」


魔物の群れが現れた!

天使「……」バキッ!

天使「……」ゴッ! ゴッ!

天使「……」ドゴォ!

天使「……」グシャッ!

魔物の群れを叩き潰した!

少女「天使の八つ当たり怖い」

鬼娘「可哀想な同胞たち…お前らが弱いのが悪いんだからな…」




475: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:45:49 ID:hskJ17WI

けんし「てんしのおねえちゃん、こわい…」

少女「まったくだね…どこぞの勇者くんのせいで」

勇者「俺は天使さんに何もしてないぞ」

天使「……」じとっ

勇者「…天使さんは笑った方が可愛いよ」

天使「……調子のいいことばかり言いますね!」つんっ

勇者「ご、ごめん」

少女「ハーレムパーティならフラグ管理をちゃんとしないと詰むよ?」

勇者「意味が分からん」

少女「何もしないのが問題になるときもあるってことさ」

勇者「…なんだかなあ」




476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:49:09 ID:hskJ17WI

・・・

パチパチっ

鬼娘「うええ…きもちわる…」

天使「魔物除けの結界魔法を使ってますからね」

勇者「お前は大丈夫なのか?」

少女「僕は特殊だからね」

鬼娘「やっぱり魔物なんスか?」

少女「一応そうだよ。キラーマシンではないけどね。断じて違うよ」

鬼娘「はあ…」

少女「僕は四苦王だよ。四苦王の生命の審判。聞いたことくらいはあるだろう」

鬼娘「…しくおー? しくおーってあの四苦王スか?」

少女「そうだよ」

鬼娘「………えっ」




477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:50:17 ID:hskJ17WI



鬼娘「えええぇぇえェェッ!!」

勇者「うるさっ」

少女「ふふ、それだけ僕が畏れ多いということさ」どやっ

勇者「引きこもりなのにな」

少女「…イヤな奴だね、君は」

鬼娘「し、四苦王さまが、どうしてここに!?」

少女「色々あって今は勇者くんの味方なのさ」

鬼娘「えっ」

少女「因みに他の四苦王は全部勇者くん“たち”に敗れたよ」

鬼娘「さすがご主人さまッス。というかマジモンの勇者なんスね」

勇者「いや……まあ、うん…」




478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:51:13 ID:hskJ17WI

少女「…ふふ、これは魔王を倒す旅だけど、君は、大丈夫なのかい?」

鬼娘「…魔王さまは偉大ッスけど、実際に組み伏せられた相手の方を優先するのが決まりッス」

少女「鬼の系統も、魔物の中では変わり種だね」

鬼娘「そうッスね。なににせよご主人のために尽くすッス…」ぽっ

天使「……食事ができましたよ」

勇者「うん、ありがとう」

天使「……」ぷいっ

勇者「……」

けんし「おにいちゃんとおねえちゃん、ケンカしてるの?」

少女「ふふ、どうだろうね」




479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:53:49 ID:hskJ17WI

・・・

魔物が現れた!

少女「おや、初めてみる魔物だね」

鬼娘「ぷくぷくしてるッスね」

勇者「あの魔物は……相手しちゃダメだ!」

天使「……」ざっ

勇者「くっ…」

天使の攻撃!

ドゴッ

ぷくうっ…!

天使「えっ…」

ぱあんっ

魔物は破裂して腐食液を撒き散らした!

ジュウウゥゥ……


天使「……うっ……?」




480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:56:30 ID:hskJ17WI

勇者「だ、大丈夫……?」

天使「べ、別に何も…」


勇者「そう…よかっ……」

どさっ

天使「…えっ?」

ジュウウゥゥ…

勇者の背中が焼け爛れている。

けんし「おにいちゃんっ!」

けんしは『回復魔法・小』を放った!
あまり効果はなかった…

天使「勇者さん…!」

天使は『回復魔法・大』を放った!
勇者は全快した!

鬼娘「うおっ、すげえ!」

少女「彼女を怒らせないようにした方がいいよ」

鬼娘「は、はいッス」




481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 13:57:47 ID:hskJ17WI



勇者「……っ」

勇者は意識を取り戻した!

勇者(…なんだ、柔らかくていい匂い)

天使「勇者さん、よかった……!」

勇者「…天使さん、なにが……あ、そっか、大丈夫?」

天使「はい……勇者さん、ごめんなさい…」

勇者「いや、大したことじゃないよ。ケガがないなら良かった」

勇者(あー、膝枕されてるのか…癒されるなこれ)

天使「…ほんとうに、ごめんなさい! 私が悪いんです…私が!」ポロポロ

勇者「いいからいいから、丈夫さだけが取り柄だしね」

天使「ほんとうに……」グスッ

勇者「泣かないでってば。いつも助けられてるし、怒らせてたし、おあいこってことで」




482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:04:07 ID:hskJ17WI

天使「……」

勇者「初めて会った時も、天使さん泣いてたよな」

天使「…そう、でしたね」

勇者「こういう時は?」

天使「……笑顔、ですよね」にこっ

勇者「そうそう。天使みたいだ」

天使「…もうっ、同じこと言って!」

少女「はーい、おのろけはこの辺りで中断しようか」

鬼娘「砂糖ッ! 圧倒的砂糖ッス!」

けんし「……なぜか、むねがザワザワするわ」




483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:06:40 ID:hskJ17WI

勇者「……あー、あはは」

少女「ま、天使くんも落ち着いたみたいだし、同じようなことは起きないだろう」

天使「うっ……ごめんなさい…」

勇者「どれくらい経った? …また二週間とかじゃないよな?」

少女「まだ十分か、そこらさ」

勇者「そっか、それじゃあ、先に進もう。今日中に中継地の村にいけるはずだ。そろそろ補給しないとまずい」ざっ

天使「あっ…」

勇者「ん?」

天使「いえ…」

天使(もう少しこのままでいたかったです…)




484: 行の制限めんどい 2015/09/18(金) 14:10:26 ID:hskJ17WI

・・・

村・宿屋。

勇者「ふう、暗くなる前につけてよかったな」

少女「やった…今日は宿屋で眠れるね…」ぜぇぜぇ…

鬼娘「角もばっちり隠れたッス」

勇者「俺も顔を知ってる人がいたらまずいから、魔法をかけてもらったし…」

天使「『誤認魔法』は万能ではないので、注意してくださいね。親しい方だとすぐに見破られますから」

けんし「でも、すごいまほうね」

鬼娘「天使ってすごいッスね」




485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:12:28 ID:hskJ17WI

少女「いつも思うのだけど……君たち……もう少しペースを僕に合わせても……いいだろう?」ふぅふぅ…

勇者「結構ゆっくりだったと思うんだけど…ずっと引き篭もりだったヤツにはキツかったか?」

少女「勇者くん、ヒドくない?」

鬼娘「四苦王様って虚弱体質なんスね! なんか幻滅ッス」

少女「君が体力バカなだけだよ…幻滅とか傷つくからやめて…」

天使「…まあまあ、得手不得手は誰にでもあるものですよ。いざとなったら私が背負いますから」にこっ

少女「さすが、天使くん。優しくて頼もしい」

けんし「ひきこもりのおねえちゃんは、きたえないとね!」

少女「結局、引き篭もりに話を戻すんだね…」

勇者「すまん、冗談だよ。取り敢えず補給だ。戦利品の換金もしないと」




486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:14:09 ID:hskJ17WI

天使「それじゃあ、私が換金と買い物に行ってきます」

けんし「アタシもいくわ」

勇者「ん、なら任せてもいいか。もう故郷も近いからちょっと顔バレが怖くてな」

鬼娘「オレも顔見知りがいたら面倒なんで引っ込んでるッス」

少女「僕も疲れたから先に休ませてもらうよ」

勇者「このあたりも柄の悪いヤツらが多くなってきてるから気を付けてな」

けんし「うん、きをつけるわ」




487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:15:35 ID:hskJ17WI



商人「……んー、そうだね」パチパチパチ

商人「こんなところでどうだろう」

けんし「む、このツノはもっとたかいわ」

商人「んー…」

けんし「これだけのオニのツノはきちょうよ。いろいろなクスリのざいりょうにもなるんだから」

商人「そうだね、じゃあ…」パチパチ

商人「これでどうよ」

けんし「……」パチパチ

商人「ちょっ」

けんし「このカワもみごとよ。もっとたかく、かってくれるところもたくさんあるわ」




488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:16:55 ID:hskJ17WI

商人「ぬぬ…」

けんし「これだけのしなをうるのだから、ほかのものもすこし、ゲタをはかせてよね」

パチッ

けんし「これでどう? わるくないでしょう」

商人「こ、これは、女子供だからって調子に乗り過ぎじゃないか…?」

けんし「おんなこどもだからって、てきせいなかかくをつけないのはどうなの?」じっ

けんし「しんようとりひきなのよ? こんなことをしてたら、のちのちのしょーばいにもえいきょうがでるわ」

商人「ぐっ…だが、これは高いぞ!」

けんし「そう。それなら」

パチパチッ

けんし「これならいいわよね? さいしょにやすくかいたたこうとした、ばいしょうもふくめてね」




489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:18:57 ID:hskJ17WI

商人「おいおい…っ」

けんし「……」じろっ

商人(…言ってることといい、この目といい、ただのガキじゃねえな。……まあ、悪い取引では決してないしな)

商人「分かったよ」

けんし「ふふ、はなしがわかるわね」

天使(あのお肉、美味しそうですね…あ、あの服ちょっと可愛いかも…)

けんし「つづけて、かいものがしたいわ。干し肉と、乾燥野菜とーー」

天使(…勇者さんはどういう服が好みなんでしょう? 意外に大胆なものとかかもしれませんね…)

商人「結構買ってくれるね。合計で…はい」パチパチッ

けんし「もうひとこえ!」

商人「無理だ! さすがに譲れんよ!」




490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:20:23 ID:hskJ17WI

けんし「むむ…てんしのおねえちゃん!」

天使「え、は、はい!?」

けんし「ちょっと、えがおをみせて」

天使「えっ? は、はい。」にこっ

けんし「わあ、きれい……じゃなくて、このひとにね」

天使「……?」にこっ

商人「はうぁっ…じょ、浄化されるぅ…」

けんし「このえがおをみて、まだやすくしてくれないというのっ」

商人「…うぅ、敵わねえな…」パチパチッ




491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:21:13 ID:hskJ17WI

けんし「……」

パチッ

商人「悪魔かっ!」

天使「わっ、こんなに安くしてくれるんですかっ?」

商人「え、う、うーん…」

けんし「やさしいわね」

天使「ありがとうございます」にこにこっ

商人「……分かったよ! こんなに綺麗な姉ちゃんと生意気可愛いお嬢ちゃんに出血大サービスだ!」チクショ-!




492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:25:42 ID:hskJ17WI

宿屋・食堂。

勇者「そんなに安く…買い物上手だな」

けんし「ふふん、ぬけめがないオンナなのよ」

鬼娘「というかオレの角を売ったんスね…」

けんし「たかくうれたわ! さすが!」

鬼娘「ま、まあ当然ッスよ!」

少女「悪女になる素質があるね」

鬼娘「おかわりッス!」

天使「わ、私もお願いします」

女将「よく食べるねえ」

鬼娘「美味しいからッス!」ぽよん

天使「わ、私は、鬼娘さんにつられて…」ぽよぽよ

少女「…食事量が大事なのかな」ペターン




493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 14:28:06 ID:hskJ17WI

けんし「そのうち、きっと、おおきくなるわよ」ぽんぽん

少女「くっ、チビッ子のくせに…いやでも、前に見たときは、普通に……くうっ…」

勇者「スープ美味い」ズズ…

少女「いやしかし、慎ましいというのは、男性の庇護欲を掻き立てる効果があってだね、さらにその様を恥じらう姿は一種のフェティッシュさ。君もそう思うだろう、勇者くん」

勇者「…うん? なんの話だ?」

少女「名言させようとするなんて…このセクハラ勇者め!」

勇者「はあっ!? お前ほんと、失礼なヤツだな!」

少女「君だって僕にたいして心無いことを言うじゃないか」

勇者「それは…冗談のつもりで…」

少女「冗談ならば許されるのかい? 倫理の欠如だね。やれやれ、酷いやつだよ、君は」

勇者「ぐっ…悪かったよ」

少女「いやまあ、それこそ冗談なんだけどね」

勇者「おいこら」ぎゅっ

少女「いひゃい! ほっぺ、ふねるなぁ!」

けんし「…なんだろ、まえに、あれをされたきがするわ」




494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 15:06:07 ID:c/D9B0Ug

宿屋・自室

勇者「鬼村の話だと、この村にもやはり魔物が紛れ込んでいるらしい」

天使「倒していきますか?」

勇者「いや、いま大きな悪事を働いてるわけでもないし、色々と勘付かれると面倒だ」

少女「あくまでも、国の乗っ取りを失敗させるのが一番の目標だもんね」

けんし「できれば、たおしてやりたいけど…」

勇者「今回は我慢してくれ」

鬼娘「東城の王都に急ぐんスね?」

勇者「うん、だが、その前に故郷の村を少しだけ見ていきたい。王都からそんなに遠くないしな」




495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 15:07:19 ID:c/D9B0Ug

天使「どうせなら身を寄せればいいんじゃないですか?」

勇者「いや…だから追放罪になってるから…」

天使「あっ…す、すみません」

勇者「…それじゃあ、明日以降の打ち合わせはこれで終わり。解散」

少女「なお、今回の部屋割りは2人部屋と3人部屋だ。勇者くん、はやく僕たちの愛の巣に戻ろうじゃないか」

勇者「変な言い方すんな!」

少女「ふふ、そちらも仲良くね」

「「「……」」」




496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:14:43 ID:c/D9B0Ug

2人部屋。

勇者「お前な…」

少女「ふふ、そんなに怒らないでくれ」

勇者「いや、怒ってはないけど、変な誤解を生むだろ」

少女「おや、僕と誤解になるのは嫌かい?」

勇者「いや、お前…」

少女「冗談だよ。お風呂に入ってきたら。いやあ、備え付けのお風呂があるなんて素晴らしいね」

勇者「値段は高いけどな…。そういや、みんな野営続きなのに全然くさくないよな」

少女「ふふ、女の子の体臭は花の香りなのさ」

勇者「ねーよ」




497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:15:59 ID:c/D9B0Ug

少女「真面目な話、僕と天使くんの魔法で綺麗にしてるんだよ」

勇者「そうなのか? それなら、俺にもしてくれれば良かったのに…」

少女「それはきっと天使くんの嗜好だ」

勇者「えっ」

少女「あと僕の嗜好だ」

勇者「聞きたくなかった…」

少女「ふふ、ここだけの話にしておいてくれ」

勇者「風呂に入ってくる…」




498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:16:42 ID:c/D9B0Ug




勇者「…てっきり、風呂に乱入してくるかと思った」

少女「ちょっ…」

勇者「でも、してこなかった」

少女「僕にだって常識はあるよ…」

勇者「だからあえて乱入してみた」

少女「意味が分からないよっ」

勇者「まあまあ、背中流すよ」

少女「それより出てってくれないかな?」

勇者「遠慮するなって、ほらほら」

少女「ご、強引だね」




499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:17:33 ID:c/D9B0Ug



ごしごし…

勇者「痒いところはないか?」

少女「な、ないよ。もう大丈夫だから…」もじもじ…

勇者「……」

にゅるっ

少女「ひゃあっ!?」

勇者「お前、そんな可愛い声出せたのか」

少女「も、もう出てけぇ!」

勇者「…あー、冗談のつもりだったんだけど、まあムラムラしてたのも事実だが」

ぴとっ

少女「ひっ、あ、当たってるよ!」

勇者「当ててんだよ。いや、お前がこんなに可愛い反応するとは思ってなくてな」




500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:18:45 ID:c/D9B0Ug

ずりずり…

少女「や、やめてくれ…」

勇者「ぐっ…お前の肌、すべすべで気持ちよすぎっ…」

にゅるにゅるっ

少女「ふっ…んっ…やっ……!」

勇者「な、なあ、いいか?」

少女「だ、だめだっ! 絶対だめっ」

勇者「…悪い、ちょっと我慢できないかも」

少女「…あー、もうっ」ぎゅっ

勇者「うっ!」

少女「て、手でしてあげるから…それで我慢してくれ…」

勇者「あ、ああ」




501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:19:39 ID:c/D9B0Ug

少女「い、痛くないかい?」しゅっしゅっ

勇者「…うっ、ちょっと強いかな」

少女「す、すまない」

勇者「うぅ…。なあ、抱き締めていいか?」

少女「えっ、う、うん…」

ぎゅう…

少女「うぅ…」

勇者「こ、このまま頼む」

少女「わ、分かったよっ」




502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:20:28 ID:c/D9B0Ug

勇者「……っ」

少女「ちょっ、ん、やぁ…んむ…ふぁ、れろ…ん…」

しゅっしゅっ…

勇者「……っ」

少女「ぷはっ……いっぱいでたね」

勇者「はあはあ…」

ぎゅう

少女「またっ…んっ…んぅ…はむっ…にゃ…ん…ちゅ」




503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:22:34 ID:c/D9B0Ug

勇者「性欲が抑えきれませんでした。反省してます」←正座

少女「…僕は君を買い被っていたよ。確かにからかった僕も悪いけれど」

勇者「すみません。最近、能力に奪われていた性欲が戻って、抑えがきかなくて…はい、言い訳です」

少女「…この部屋、ベッドが一つしかないんだ。自制できるのかい?」

勇者「無理」

少女「少しは悩め!」

勇者「いや、だってなあ」

少女「…しょうがないな。ベッドに寝てくれ」

勇者「……おお」

勇者はベッドに横になった!

少女「よいしょ」

生命の審判は勇者に覆い被さる!
勇者は彼女を抱き締めた!

少女「んぅ…もう…『睡眠魔法』」

勇者「なっーーーー」

勇者は意識を失った!




504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:23:21 ID:c/D9B0Ug

翌日。

鬼娘「雨ッスねー」

天使「ここで延泊した方がいいでしょう。手持ちにも余裕がありますし」

少女「そうだね」

天使「勇者さん、どうしますか?」

勇者「…そうしよう」どよーん

けんし「…おにいちゃん、どうしておちこんでるの?」

勇者「罪悪感が今になってすごくてな…あー」ちらっ

少女「…やれやれ」

天使「何かあったんですか」

少女「ハハハ」




505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:25:23 ID:c/D9B0Ug

勇者「俺が至らなかったんだ…俺は最低だ」どよーん

鬼娘「ご主人、落ち込んだときは美味しいものを食べるッス!」

けんし「そういうときは、しにものぐるいの、たんれんよ!」

勇者「…ああ、どっちもやってやる!」

3人は外に飛び出ていった!

天使「雨が降ってるのに…これじゃ何のための延泊なんだか分からないですね」

少女「まったくだね」

天使「…それで、何があったんですか?」

少女「ははは、男女が同じ部屋だったら間違いの一つや二つ起きてもおかしくないだろう?」

天使「もうっ、真面目に答えてください」

少女「真面目なんだけどね」

天使「…ほんとですか?」




506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:26:45 ID:c/D9B0Ug

少女「…まあ、守るべきところは守ったさ、多分ね」

天使「勇者さんが…」

少女「彼だって年頃の男の子ということさ。君も気を付け…ふふ、君にはむしろ喜ばしいことなのかな」

天使「な、何を言ってるんですか!?」

少女「…まあ、冗談だけどね」

天使「……もうっ! やっぱり!」


夕方。

勇者「ただいま…」

鬼娘「…疲れたッス」

けんし「まだまだね。もっとしょーじんなさい」




507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:28:46 ID:c/D9B0Ug


天使「お帰りなさい。みなさん泥だらけじゃありませんか」

少女「よくやるよ…」

天使「お風呂を沸かしてもらいますから入ってきてください」

けんし「はーい」

勇者「うん、ありがとう」ちらっ

少女「……」ぷいっ


2人部屋。

勇者「で、どうしてまたこの部屋割りになった?」

少女「僕が聞きたいよ…。どうして強姦未遂の人とまた相部屋にならなければいけないんだ」

勇者「…本当にすまん」




508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:30:31 ID:c/D9B0Ug

少女「信用は得難く失いやすいんだよ? 天使くんが昨日のことを知ったらどうする?」

勇者「ごめん……」

少女「…まあ、僕は海よりも広い心の持ち主だからね。今回は不問にしてあげよう」

勇者「あ、ああ」

少女「それと、これでフラグが立つと思わないでおくことだね。僕の君に対する好感度はダダ下がりだ」

勇者「は、はあ…」

少女「前にも言ったけれど、僕は天使くんや鬼娘くんみたいなチョロインじゃないからね」

勇者「う、うん?」

少女「まあ、何にせよ、手は出さない方がいいよ。みんなヤンデレの素質ありだからね」

勇者「へあっ?」

少女「彼女たちの愛はきっと重いよ。ヘマすると君が死ぬか、みんな死ぬかだね」

勇者「お、おう」

少女「まあ、頑張って。さ、寝ようか。不本意だけど、同じベッドで。不本意だけど」




509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/18(金) 18:32:18 ID:c/D9B0Ug

勇者「…俺は床で寝ようか?」

少女「それはいいね…と言いたいところだけど、宿屋に泊まってるのだから疲労はちゃんと回復しなきゃダメだろう」

勇者「う、うん」

少女「今日はお風呂にも乱入してこなかったし、特別に許そうじゃないか」

勇者「ありがとう…」


勇者「なあ…」

少女「うん?」

勇者「なんでくっつくんだよ」

少女「ふふ、君を試してるんだよ」

勇者「性格悪いなっ」

少女「それに、人の温もりって落ち着くだろう?」

勇者「それは、確かに…」

少女「君のせいで昨日は眠れなかったからね、とても眠いよ…」ふぁ…

勇者「俺も動き回ったから疲れた…」うとうと

二人はすぐに眠ってしまった!




512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:00:08 ID:owTUj50g

勇者の生まれた村。

勇者「やっと着いたか…本当に大丈夫か?」

少女「 ちゃんとあのお爺さんになってるよ。さすが僕の変身魔法」

勇者(爺さん…。あんたの視点はこんなに低かったんだな…今さら知ったよ)

天使「本当に変わった魔法を使いますね」

少女「ふふ、それ程でも」

鬼娘「ちゃんと角、隠れてるッスか?」

少女「問題ないよ。見た目は人間そのものさ」

けんし「なつかしいわ! ずっと、かえってなかったきがする!」

天使「ふふ、それじゃあ、とても楽しみでしょうね」

けんし「うん!」

勇者「…まず自宅に寄っていいかな?」

天使「もちろんですよ」




513: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:00:59 ID:owTUj50g

勇者の家の跡地

勇者「……本当に壊されたのか。母さんと父さんの遺してくれた家なのに」

勇者は取り壊された家を呆然と眺める。

天使「……っ。本当にごめんなさい!」ポロポロ

勇者「なんで天使さんが謝るんだよ。悪いのは……悪いのは、誰なんだろう。女神さま? 王さま? …俺なのかな」

天使「勇者さんは何も悪くありません!」

勇者「…ごめん、ちょっと話しかけないでほしい。整理がつかなくて……ごめん…」

天使「……」

けんし「ここ、あのこと、おねえさんのうちなのに……どうしてこわれてるの…?」

勇者「…あっ、姉さんは、姉さんはどこにいるんだ」

少女「信頼できる人に聞いてみよう」

勇者「そうだな……やっぱり師範かな」




514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:02:14 ID:owTUj50g

剣士の家。

けんし「ただいまっ!」

師範「なっ、帰ってきたの…か…?」

けんし「おとうさん、ただいま!」

師範「え、うん?」

勇者「えっと、間違いなく娘さんですよ。小さくなってますが」

けんし「おとうさん、ふけたわね?」

師範「おまえ、なんでこんな…」

けんし「?」

師範「君たち、説明を……っ!」

勇者は変身を解いた!

勇者「……」




515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:03:27 ID:owTUj50g

師範「なっ……おまえっ! 帰ってきたのか!」

勇者「…お久しぶりです」

師範「……とにかく入りなさい。ここでは人目につく」

勇者「…恐れ入ります」

・・・

師範「竜の呪いでこうなったと?」

勇者「はい。四天王と呼ばれる竜と戦ったときに呪いをかけられたようで」

天使「解呪してみようとはしたのですが、竜の捨て身の呪いであるため、容易には解けませんでした」

師範「そうか…。いや、まず無事に帰ってきただけでも良かった。本当にありがとう」

勇者「いえ。先輩がこうなったのは俺が不甲斐ないせいです。不出来な教え子ですみません」



師範「……やめてくれぇッ!」




516: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:04:33 ID:owTUj50g

勇者「……?」

師範「……俺は、お前に謝られる資格なんてないんだ」ブルブル

勇者「…どうしたんですか?」

師範「……お前の……姉さんは…………」ブルブル

勇者「姉さんが……」

師範「………………」ブルブル

勇者は師範の胸倉を掴んだ!

勇者「姉さんがなんなんだよっ! 早く言えよっ!!」

師範「……へ、兵士に連れてかれて……かえってこないんだ……もう、長いこと」

勇者「…………っ」

師範「…犯罪者の家族がどんどん城に連行されていってるんだ。東王の命令で…」




517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:06:09 ID:owTUj50g

勇者は勢いよく立ち上がった!

少女「どこに行く気だい?」

勇者「…どいてくれ」

少女「今すぐ城に行ってはいけない。少し待つんだ」

勇者「……邪魔だ」

少女「…もっと強い魂の持ち主だと思っていたんだけどね」

勇者「どけっ!」

勇者は女神の力を解放した!

少女「ぐっ……」

天使は『拘束魔法』を放った!

天使「すみません…勇者さん、本当にごめんなさい」

勇者は指一本動かせなくなった!

勇者「ーーーっ!」ギチギチ…

グググ……

天使「そ、そんなっ!?」




518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:07:28 ID:owTUj50g

少女「やれやれ、僕も手伝うよ」

生命の審判は『拘束魔法』を放った!

勇者は更に強く拘束される!

勇者「…………ッ」ギッチ…

ギ…………ギ…ギギ…ギ

少女「…ふふふ、そんなにすごい力を出せるのかい? 抑え込む側でなければ素直に賞賛できたのにね」

鬼娘「ご主人、落ち着くッス!」

鬼娘は後ろから抱きついて勇者を抑え込む!

けんし「アタシも!」

けんしは前から抱きつく!


勇者「……っ。…………」


勇者は抵抗をやめた。




519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:08:50 ID:owTUj50g




ポタッ

けんし「……?」


勇者「…………」ポロッ…ポロッ…


少女「…もう大丈夫だと思うよ」

天使「…はい」

勇者の拘束が解けた。
勇者はふらふらと外に出て行った。

鬼娘「大丈夫ッスかね?」

少女「さっきはあまりにも逆上しただけで、少しでも冷静になれば、ちゃんとした判断を下せるさ…………多分」




520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:10:56 ID:owTUj50g

天使「……勇者さん…っ」

天使は両手で顔を覆って泣く。

少女「…やれやれ」

けんし「おいかけないと! あんなにかなしいかお、ほうっておいたらダメよ!」

天使「……私ではダメです…私では傷つけてしまいます…」

少女「僕の言葉じゃ、きっと届かないよ」

鬼娘「…オレなんか尚更ッス」

師範「……すまん……すまん……」

けんし「……もうっ、たよりないわね! アタシがいくわ!」


勇者「……」

勇者は自宅をぼんやりと眺めている。

けんし「おにいちゃん!」

勇者「俺は先輩の兄じゃない」

けんし「……?」




521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:12:13 ID:owTUj50g

けんし「ずっとここにいたら、ひえちゃうわよ。なかにいきましょ」

勇者「放っておいてくれ」

けんし「いいからっ!」ぐいっ

勇者「やめろよ!」

けんし「…やめないわ!」ぐいいっ

勇者「……ちっ」

ふにゅっ

けんし「……………」

ふにゅふにゅ

けんし「〜〜〜〜ッ!?」

けんし「さいってい! もう知らないんだからっ」

けんしはその場を立ち去った!


勇者「…………姉ちゃん」


その日、勇者は姿を消した。




522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:15:54 ID:owTUj50g

・・・

師範「せまいところで悪いが、ここにいる間は泊まっていくといい」

天使「ご厚意、感謝します」

師範「……あの子は大丈夫だろうか。早まったりしないといいが」

天使「…分かりません」

師範「…俺のせいなんだ。俺があの時、兵士を止めていれば…」

天使「そんなことを言うなら、私は…」

少女「そんなことを言い合ってどうするんだい? それより、これから先に同じことが起きないよう、元凶を断つのが先だと思うけどね」

天使「…しかし、勇者さまは、今も苦しんでるはずです」

少女「それくらい自分で乗り越えてほしいね。勇者だというのなら。ただでさえ弱いのに、心まで弱かったら論外だよ」

天使「…その言い草は何ですか! あなたに何が分かるんですか!」

少女「分からないよ。君に何が分かるんだい?」

天使「それは……っ! それ、は…………」




523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/21(月) 04:19:10 ID:owTUj50g

少女「…すまない。言いすぎたよ。僕も冷静さを欠いてるみたいだ」

天使「……いえ、私の方こそ、すみません」

少女「……彼も罪な男だね。まったく、腹が立つよ」



けんし「さいていなのよ! アタシの、む、むねを、もんだの!」

鬼娘「ずるいッス! オレもしてほしいッス!」

けんし「そういうことじゃない!」

鬼娘「あ、はいッス」




528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 22:12:13 ID:o/IOIols

翌日・朝。

師範「な、ない! ないぞ!!」

けんし「おとうさん、あさからうるさい!」

師範「す、すまん」

天使「どうしたんですか?」

師範「実は我が家に代々伝わる剣が無くなっていたんだ!」

少女「それはそれは」

天使「大変ですね」

鬼娘「泥棒とか許せないッス」

師範「…あの剣が世に出たら恐ろしいことになるぞ」




529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 22:14:46 ID:o/IOIols

けんし「…どうして? こんなにちいさいむらの、ちいさいどうじょうに、つたわるていどなのに?」

師範「…おまえ、今でこそ落ちぶれたが、これでも昔は国で一番の流派だったんだぞ……」

けんし「そうなの?」

師範「…まあ、いい。この国には伝説の二振りの剣があると言われる」

けんし「…ふうん?」

師範「一つは『光の剣』という幾多も魔を打ち払ったと伝えられる剣。しかし、今ではその所在は分かっていない」

少女「…おや?」

天使「光の剣って……」

けんし「これのことかしら?」

けんしは『光の剣』を掲げた!

師範「…………」

師範「本物っ!?」

鬼娘「すげえ!」




530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 22:18:30 ID:o/IOIols

・・・

師範「取り乱してすまない」

けんし「ごきんじょにめいわくよ」

師範「すまん…」

天使「まあまあ。お話の続きをお聞かせください」

師範「う、うむ。我が家に伝わっていたのは『闇の剣』。『光の剣』と対をなす呪われた剣だ」

鬼娘「呪われた武器ッスか?」

師範「凄まじい力がある代わりに、使い手の心を蝕み、殺戮を愛する殺人狂に変えてしまう。とても常人の扱えるものではないんだ」

天使「そんな剣が盗まれたのですか…」

師範「うむ。地下室に封印していたのに、封印が解かれていた。口外したことは一度もないんだが」

少女「頃合いからして犯人は勇者くんかもしれないね」

師範「…しかし、あの子も『闇の剣』のことは知らないはず」

けんし「…きのうのよる、したからこえがしたわ。だれかがよぶこえ。きもちわるいこえだった…」

鬼娘「耳はいいッスけど、そんなの聞こえなかったッスよ」

天使「きっと剣を使える人を呼んだのでしょう」




531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 22:20:34 ID:o/IOIols

少女「というか、勇者くんを呼んだのかもしれないね。彼はいつも強い力を求めていた。そして昨日は尚更だったろう」

天使「……」

少女「まだ断定はできないけどね」

けんし「だいじょうぶかな…」

少女「なんにせよ、二週間後、僕たちは彼に会えるだろう」

天使「例の催し物ですか?」

師範「兵士と傭兵を集めてのパーティーとやらに参加するのか。税金の無駄遣いはやめろと言いたいが、今の国は明らかにおかしい」

鬼娘「……」

師範「…戦争の噂もあるし、この国はどうなっちまうんだ」

少女「鬼娘くんにも協力してもらうよ」

鬼娘「もちろんッスよ! オレはご主人の性奴隷ッスから!」

師範「う、うん?」

天使「あ、あはは、気にしないでください…」

少女「それ、良くない誤解を与えるからやめようか」

鬼娘「ほんとッスか? それならやめるッス」




532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:04:32 ID:3dT4gh5g


天使「それで、どういう作戦でいきますか?」

少女「適当に傭兵と兵士側に混じろう」

鬼娘「なっ、どうやってッスか?」

少女「僕は『変身魔法』が使えるからね。適当な傭兵でも襲って、傭兵としての契約書を奪って成り代わるんだ」

天使「手荒ですね。以前の『透明魔法』でよろしいのではありませんか?」

少女「『変身魔法』の方が消耗が少ないのさ。潜り込み、相手の作戦を妨害。それとすでに中枢に入り込んでるであろう魔物の廃除だね」

少女「即座に魔物と判断できる方法があればいいのだけど」ちら

鬼娘「オレもたぶんすぐには分からないッス…すいません…」

天使「心の中でも読めればいいんですけどね」

少女「言っても始まらないさ。でも、やっぱり不意打ちされたくないね」

けんし「マモノは、なんとなくわかるわよ」

少女「うん?」

けんし「なんか、こう、びびっ…て」

鬼娘「ホントッスか?」




533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:11:43 ID:3dT4gh5g


けんし「わるいマモノなら、すぐわかるわ!」

少女「信頼していいものかな」

天使「この子はかなり特別なようですし、ある程度は大丈夫な気もします」

少女「……うん、過信しなければ保険にはなるかもしれないね」

師範「待て、話についていけないぞ」

天使「その祭典に魔物が襲撃してくるそうなんです。だからそれを食い止めようという話です」

少女「僕たちにこの国の命運がかかっているみたいだね」

師範「そ、そんなところに着いていくことなんて許さんぞ!」

けんし「なら、おとうさんをたおして、むりやりいくわ!」

師範「な、生意気な! 勝てると思ってるのか……ま、まだこの時期の娘なら勝てるはず…」


試合!


師範「参りました」

けんし「まだまだ、しょーじんがたりないわ!」




534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:13:32 ID:3dT4gh5g


師範「なんなんだよ…ウチの娘は…どうしてこんなに強いんだよ…」

鬼娘「うわあ…滅多打ちッスね」

少女「…彼が弱いんじゃなくて、あの子が強すぎるんだ」

天使「そうです、だからそんな目で見てはダメですよっ」

師範(もうやめて!)

師範「だ、だが、可愛い娘を危険な目に遭わせるのとは、話が別だ」

けんし「まけたくせに、おうじょーぎわがわるいわね!」

師範「うるさいっ!」

けんし「…アタシは、しなないわよ。ぜったい、もどってくるんだから」

師範「…だが、お前まで失ったら、俺は…」グスッ


けんし「あまえないでっ!」べちんっ

師範「いでえっ!」




535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:16:01 ID:3dT4gh5g


けんし「じぶんだけが、かなしいとおもわないで! アタシだって、おとうさんと、いっしょにいたいわ!」

けんし「でも、ほうっておけないわ! アタシも、ちからになりたいの! このままなにもしないでいることなんて、できないのよっ!」

師範「…………」


少女「なんだか勇者くんみたいだね」

天使「…幼馴染だから似通うところがあるのかもしれませんね」

鬼娘「あのチビ、かっこいいッスね!」

少女「ああ見えて、実は勇者くんの剣の先輩だよ。ご主人の先輩は敬っておくのがベターさ」

鬼娘「そ、そうなんスか? 分かったッス」

少女「しかし、彼といい彼女にはといい、どうやら何かに依存する傾向があるのかな。強いけど、脆いね」

天使「あんなに優しくて強い娘が、勇者さんに酷いことをしたとは到底思えませんが…」




536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:17:03 ID:3dT4gh5g


少女「誰が本当はどんな人間かなんて、分からないものなのかもね。勇者くんもそうさ」

天使「……そう、なのかもしれません」



師範「…まったく」

けんし「……」

師範「……好きにしなさい」

けんし「!」

師範「ただし、絶対無事に帰ってこいよ」

けんし「…おとうさん、ありがとう!」ぎゅぅ

師範「はは、まったく。母さんに似たな。敵わない敵わない」ぽんぽん

師範「はあ、それにしても『闇の剣』、大丈夫か…」




537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:18:45 ID:3dT4gh5g

・・・

少女「お茶がおいしいね」

天使「…こんなに寛いでいていいんですかね」

少女「慌てたってしようがないさ。勇者くんを見かけたという人もいないし、新しい情報もない。大人しく待つほかないだろう」

天使「そうなんでしょうか…」

鬼娘「オレは道場の子どもたちに差し入れ届けてくるッス」

少女「ああ、うん。君と天使くんが作ったんだよね。きっと喜ぶよ」

鬼娘「えへへ、行ってくるッス」



けんし「もっと、こしをふかく! たたきわるつもりで、うちこみなさい!」

教え子A「お、おっす!」

けんし「そこっ、ちゅうとはんぱなきもちで、けんをふらない!」

教え子B「す、すんません!」




538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:21:23 ID:3dT4gh5g


教え子C「あの女の子、誰だ? すげえ偉そうだけど」ボソボソ

教え子D「師範の親戚だってさ。 アネさんに似てるよな」ボソボソ

教え子C「そういえば確かに」ボソボソ

けんし「しゃべってるよゆうがあるなら、はしりこみをさせるわよっ」

教え子C・D「ま、まじめにやります!」


師範「…あいかわらず厳しいなあ」

鬼娘「おやつ持ってきたッスよ!」

師範「おっ、それじゃあ休憩にするか」

教え子E「やっと休めるー」

教え子F「厳しくなったなぁ。最近、ぬるかったのに」

鬼娘「頑張るッスよっ。ほらもっと食うッス」

教え子G「おっ、おっす」

鬼娘(こうやって、ニンゲンを見てみると悪いヤツらって感じがしないッスね)




539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:23:47 ID:3dT4gh5g

教え子G「……」そわそわ

鬼娘(ニンゲンを殺すのが、オレたちの本能ッス。でも本能だってうまく扱えば……やっぱり難しいッスかね)

鬼娘「……」ちらっ

教え子G「……」かあっ

鬼娘(まあ、何とかなるッス!)

鬼娘「……」

鬼娘(…戦いかぁ)うずうず

・・・

少女「うーん、今日も良い天気だね」ごろごろ

天使「もうっ…少しは手伝ってくださいよ」

少女「僕は家事炊事はできないんだ。全部アステリオスにしてもらってたしね」

天使「あの魔牛、そんなに家庭的だったんですか!?」




540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/09/30(水) 23:26:56 ID:3dT4gh5g


少女「ふふ、君に拷問を加えてるだけではなかったんだよ」

天使「……」

少女「…あー、うん。その件については、仕事とはいえ悪かったと思ってるよ」

天使「分かってますよ。私も他人のことは言えませんから」


少女「…エセ幼女の父親さんは?」ぐてー

天使「村役員の集会だそうです。二人は教え子くんたちと外で遊んでくるって朝から出かけてましたよ」

少女「子どもたちは元気だね。鬼娘ちゃんも中身は子どもだし」

天使「それでも、家事はどこかの引き篭もりさんよりはこなしてくれますけどね」

少女「嫌味な言い方だね。君は小姑か」ごろごろ

天使「……」

天使は『即死魔法』を唱える!

少女「おっと、家事がしたくなってきたよ」がばっ

天使「あら、私の祈りが通じたんですかね?」にこっ

少女「祈り? 君は邪神の使いだったのかい? ごめんなさいなんでもないです詠唱やめて」




543: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/01(木) 23:14:04 ID:BXLmfRhE




鬼娘「ほらっ、花の輪ッスよ!」

けんし「じょうずね」

鬼娘「えへへ、遊び人を極めてるッス」

けんし「たぶん、それはちがうとおもう」

教え子A「ねーちゃん、くらえっ!」

鬼娘「へっ?」

虫<やあ!

鬼娘「…………」ぱたっ

鬼娘は気絶した!


鬼娘「はっ、寝てたッス!」

教え子A「ぐすっ、ごめんなさいぃ」




544: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/01(木) 23:15:07 ID:BXLmfRhE


鬼娘「な、何があったッスか?」

けんし「このこがイタズラしたのよ」

鬼娘「…なんだろう、思い出さないほうがいい気がするッス」

けんし「オシオキもアタシがしておいたから、わすれてしまいなさい」

教え子D「おくれたぁ! ウチの犬もついてきちゃった!」

犬「わんっわんっ」

鬼娘「ひいっ…!」

がしっ!

むにゅむにゅ。

教え子G「わっ、わっ……!」かあっ




545: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/01(木) 23:15:57 ID:BXLmfRhE

犬「うぅぅぅっ…」

教え子B「姉ちゃん、唸られてる」

教え子D「誰にでも懐くのに、おかしいな」

鬼娘「犬、無理ッス!」ギュウウゥゥ

ミキミキ…

教え子G「う…あ…」

けんし「ちょ、ちょっと…!」

犬「わんわんわんっ!」

鬼娘「いやッス! 犬にやられるなんていやぁ!」

バキボキッ!

教え子G「うがっ…」




546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/01(木) 23:16:58 ID:BXLmfRhE




天使「その手の形じゃ、指を切りますよ。添える手を丸めるんです」

少女「はあ……」

鬼娘「天使さんー、助けてくださいッス!」

少女「助かっ……ごほんっ、なにか困りごとみたいだよ」

天使「……」じとー

少女「ほ、ほらほら、緊急事態みたいだから行ってみよう」



教え子G「う、ううん?」

鬼娘「うわあ、起きてよかったッス! ごめんなさいッス!」ギュッ

教え子G「え、え…」

天使「…ちょっとした熱中症で倒れたみたいですね。今日は帰って休んだほうがいいですよ」

けんし「ほかのみんなも、かえったわ」

教え子G「え、う、うん」




547: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/01(木) 23:17:58 ID:BXLmfRhE




鬼娘「本当にありがとうッス!」

天使「いえ…これくらいなら」

少女「人間は脆いんだ。力加減は気をつけた方がいいよ」

鬼娘「ごめんなさいッス…」

けんし「いぬとむし、はやめになんとかしたほうがいいわ」

天使「どこにでもいますからね」

鬼娘「うう…困ったッス。なんとかするッス」




548: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 21:50:34 ID:ZTMBjwXU

・・・

天使「ふう、お洗濯も終わりました」

師範「いやあ、家のことを色々としてもらって悪いね」

天使「これくらいは当然ですよ。…ところで、お訊きしたいことがあるんです」

師範「…何だろうか、改まって」

天使「…勇者さんはどのようなお子さんでしたか?」

師範「…こんな別嬪さんに好かれるなんてあいつも成長したなあ」

天使「…そ、そういうのはやめてくださいっ」

師範「すまんな。あいつは…そうだな、良い子だったよ。素直だし真面目だ、今もだが」

天使「そう、ですね」

師範「ただ、父親も母親も魔物に殺されてるからか、魔物に対する憎しみは人一倍強いな」

天使「……」

師範「恃む親類もいないから、あいつはまだ幼い姉とずっと二人で支え合って暮らしていた」




549: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 21:51:07 ID:ZTMBjwXU

天使「辛かったのでしょうね…」

師範「だろうな。村の皆もできるだけ支えようとはしたが、やはり父と母の代わりにはなれなかったろう」

天使「やはり家族とは特別なんでしょうか…」

師範「そうだな…でも、それだけが全てなわけではないはずだろう。あの子も今までの分、特別をしっかりと見つけられればいいが…」

天使「それを祈ってくれる人がいるというのは、掛け替えのない尊いものだと私には思えます」

師範「…俺にそんなことを言う資格はないんだがな。あいつの大切な特別を守れなかった」

天使「…しかし、村の皆を守るための決断だったと、他の方々から聞きました」

師範「そうだとしても、だ」

天使「…不器用なまでにお優しいのですね」

師範「よく言われるよ。褒め言葉と受け取ってるが」

天使「そうしてください」

師範「……しかし、あの子が勇者とはな。正直、信じられない。あの子は勇者となるには、あまりに普通なように思うが…」

天使「……」




550: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 21:51:41 ID:ZTMBjwXU

・・・

祭典の前日。

天使「長々とお世話になりました」

師範「…短いくれぐれも気を付けて」

けんし「行ってきます」

師範「…おう! お前の強さを見せつけてこい!」

けんし「もちろんよ」


同刻。

東国・東城

東王「ついに明日か。これは中央国に対する示威になる。魔物が亡びた後、世界の覇権を握るのは東国だ」

東大臣「ええ、そうですとも。東王さまこそ、世界をお治めできる唯一のお方」

東王「ふぁっふぁっ、やめいやめい」




551: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 21:56:54 ID:ZTMBjwXU


薬師「陛下、お薬をお持ちしました」

東王「…おお、そちか! そちの薬はほんによく効くのう! 見違えるようだぞ」

薬師「私めにはあまりにも勿体なきお言葉です」

東王「そんなことはないぞ。そちは国一番、いや、世界一の薬師だ」

薬師「恐悦至極に存じます」

東王「この前も側室を鳴かせ続けてやったわ。…大臣、少し外せ」

東大臣「は、はっ」


東王「この前に頼んだ薬だが」

薬師「惚れ薬でございますね。こちらになります」

東王「うむ。これを何とか娘に盛ってもらいたい。一計を案じてくれんかのう」

薬師「……」

東王「以前は娘を性的に愛していなかったと思うのだが…今は狂おしいほど抱きたいのだ…」

薬師「…陛下の御命令ならば、謹んでお受けいたします」

東王「…ふぁっふぁっっ、そちは最高の薬師だ。そのうち、爵位を与えてやるぞ」




552: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 21:57:47 ID:ZTMBjwXU


薬師「有り難きお言葉でごさいます。…ところで陛下。畏れながらお頼み申したいことがありまして」

東王「なんだ、申してみい」

薬師「明日の素晴らしき祭典、不肖も参加させていただきたく存じます。素晴らしき祭典をこの目で見ることができればどんなにか喜ばしいことでしょう」

東王「そんなことか。そもそも傭兵を集めての示威行為も、お主の言葉が発端だ」

薬師「なんと…これほどの喜びを表せる言葉を持ち合わせておりません」

東王「ふぁっふぁっふぁっ」

薬師「まことに恐縮でございます」

東王「…それで、薬を盛るのは、いつになる?」

薬師「……祭典後がもっとも自然でよろしいかと」

東王「…そうだな。心待ちにしているぞよ」

薬師「はっ」




553: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 21:58:31 ID:ZTMBjwXU



東大臣「陛下。毒見をお呼びしますので、お待ちを」

東王「よいよい。ワシは彼奴を信頼しておる」

東大臣「しかし、万一のことがございましたら」

東王「ふぁっふぁっ、だとしてもワシはおべっかばかりのそちよりも彼奴を信頼しておるぞ」

東大臣「そ、そんなぁ…」



薬師「……」

影男「へっへっ、すっかり信用されてるな。実際は調教されてるんだが」

薬師「……私の部屋以外で、会いにくるなと言っているだろう」

影男「誰もいないのを確認したから大丈夫だぜ。あのジジイはもうお前のクスリの虜だな。俺らの言いなりになるともしらずに」

薬師「……」




554: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:00:00 ID:ZTMBjwXU

影男「面白いくらい俺たちの筋書き通りに進んだな。犯罪への厳罰化。収容所が無くなったから島流し。そして俺たち魔物が拐う。更には、王侯貴族権力者を集めての兵の激励パーティの開催」

薬師「そんな無駄話をしに来たのか?」

影男「感慨に耽りたい気分なのさ。いよいよ明日だな。この国を牛耳れば、側近さまも喜ぶぜ」

薬師「…そうだな」

影男「魔虫はどうだ?」

薬師「何も問題はない。単身でも数日は怪しまれないだろう。後は支援の者をすぐに送り込めば、しばらくはニンゲンでないと悟られないはずだ」

影男「エリート様は流石だな」

薬師「明日、うまく頼むぞ。とくに魔虫」

影男「へへ、任せとけ」

薬師「他の魔物たちも首尾よく動くはずだ」

影男「成功させようぜ」

薬師「…失敗は許されない」

薬師(もし、万が一にも、しくじる時には…アレを使う)




555: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:00:55 ID:ZTMBjwXU

そして当日!

東国・広場

ガヤガヤガヤガヤ…

少女「酷い人だかりだね」

天使「上流階級の方々は少し高いところにいるんですね」

少女「身分の違いを視覚化しているんだろうね。あとは、安全のためかな」

鬼娘「つ、角とか出てないッスよね?」

けんし「だいじょうぶよ。さんにんとも、みごとなブサイクおとこだや」

少女「ふふ、君も不細工な大男だけどね」

天使「しかし、彼らを路地裏に放置しておいて良かったのですかね?」

少女「すぐには起きないから問題ないさ」

鬼娘「そんなことより、ご馳走が食えるらしいッスよ!」ジュルリ

けんし「ここで、いっぱいたべなさい。あなた、おおぐいなんだから」

天使「昨日も今日も食堂で目立ってましたもんね。正体がバレないか不安でした」




556: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:01:52 ID:ZTMBjwXU

少女「君も人のこと言えないよ。二人で店の食料を食い尽くす勢いだったじゃないか」

天使「そ、それは、最近は厚意で食事をいただいてるので、遠慮していることが多かったからしょうがないんです!」

鬼娘「う…なにも考えてなかったッス…」

けんし「いいのよ。おとうさんのところに、おかねをおいていったもの。たべたぶんくらいは」

天使「そうなんですか? それならもっと食べれば良かったです…」


ドンッドンッ


少女「空砲か、パーティの始まりかな」


東軍元帥「よくぞ参られた。今から我が軍を支える誇りある我が国の勇敢な兵士たち、そして我が軍と共に国防を担う勇ましき戦士たちよ。本日はお日柄も良くーーーー」


鬼娘「ニンゲンの儀式もやっぱり最初は偉い人の挨拶から始まるんスね」

天使「天界は女神さまがああいう堅苦しいこと言うの好きみたいなんですけど、毎回途中で飽きてやめちゃいますね」

少女「創造の女神…大らかというかなんというか」

けんし「てきとーなのね」

天使「そうなんです。あんなのが直属の上司だと思うと……はあ……」




557: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:02:55 ID:ZTMBjwXU

・・・

東軍元帥「ーーーー我が国がさらなる繁栄を謳歌するには、ますます国力を増強し、国を富ませ、臣民を養わなければいけぬ。そのためにはーーーー」

鬼娘「ながいッス…」

けんし「べつのひとも、はなしたりするのかしら……」

少女「やれやれ、貧血で誰か倒れるかもしれないよ」

天使「そんな人が傭兵になるんですかね?」

・・・

鬼娘「やっと話が終わったッスね…」

けんし「わあ、美味しそうなご飯が出てきたわ」

東軍元帥「今日は無礼講だ。存分に飲み食いして、存分に騒ぐがよい!」

天使「…お酒を樽ごともらいたいですね…氷結魔法で凍らせれば、料理もたくさん持っていけますね」ぼそぼそっ

少女「強欲な天使だね…」

鬼娘「美味そうッス! ……ん?」

けんし「いただきます」


鬼娘「待つッス!」




558: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:04:49 ID:ZTMBjwXU

けんし「な、なに?」

鬼娘「…毒が入ってるッス」

天使「……っ!」

「ひゃーうめえ!」
「こんな美味い飯にただでありつけるとはなあ!」

天使「食べるのをやめてください!」

「なんだテメエ」
「お前らも早く食えよ。マジ旨えから」

「兵士やっててほんとよかったぜ」

少女「…毒か。解毒はできそうかい?」

天使は解毒魔法を放った!
手元の料理の毒が消えた!

天使「…大丈夫そうです!」ほっ

「お、おい! あれは……!」
「空から魔物の大群が!」

混合獣「ウウゥゥウウウ」

大量の混合獣が襲撃してきた!
混合獣の背中には魔物がたくさん乗っている!




559: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:07:06 ID:ZTMBjwXU

鬼娘「…見たことない魔物ッス」

天使「魔法で撃ち落としますね」

少女「ん、煙が…っ?」

ブシュウウウ……!!

あたりに煙幕が立ち込めた!

天使「くっ! げほっげほっ」

少女「随分と畳み掛けてくれるね…!」

鬼娘「なんも見えねえッス!」

けんし「あわてないで!」

けんしは天使に『女神のオーブ』を手渡した!

けんし「てんしのおねえちゃん、まずは、けむりをとばして!」

天使「は、はい! えーと、えーと」

けんし「うえで、ばくはつのまほうよ!」

天使「は、はい!」




560: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:08:32 ID:ZTMBjwXU

天使は『爆烈魔法』を唱えた!
『女神のオーブ』が魔法の威力を高める!

爆風の余波で煙幕が薄まった!
ついでに上空の魔物を何体か倒した!

けんし「つぎは、みんなのどくをなおして! あと、かいふく!」

天使「はい!」

けんし「オニのおねえちゃん、したにおりたマモノをたおして!」

鬼娘「わ、分かったッス」

けんし「へんなおねえちゃんは、うえにいるマモノをおねがい!」

少女「う、うん」

けんし「アタシは、おうさまのところにいくわ! あとでたすけにきてね!」

けんしは変身を解いた!
王侯貴族のもとに駆けて行った!

3人は変身を解いた!

少女「やれやれ、彼女が一番落ち着いているね」

天使「早くしましょう」

鬼娘「へへっ、腕がなるッス!」




561: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:11:31 ID:ZTMBjwXU



東王「なんじゃ! なにがどうなっておる!」

東大臣「こ、ここは危険です。逃げましょう!」

東姫「……っ」

馬人「逃がさねえよ」

魔物の群れに囲まれた!

東大臣「ひいっ」

東王「く、下等な魔物どもめ! 兵士は何をしている!」

牛人「誰もこねえよ。お前らはここで死んで、俺たちの操りに人形になるんだ」

豚人「でへへっ、ヒメさまカワイイな! なっなっ、ベロベロしていい?」

東姫「……キモッ」

豚人「こ、こここ、このメス豚ァッ!」

豚人の攻撃!

東姫「ひっ……」




562: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:13:57 ID:ZTMBjwXU



しかし、東姫には当たらなかった!


東姫「……?」パチッ


勇者「…大丈夫ですか」

勇者は豚人の攻撃から東姫を庇った!

東姫「え、う、うん」

豚人「じゃ、邪魔するなぁぁ!」

勇者「……」ヒュッ

豚人「プ、ブギイィイイ!!」

勇者は豚人を斬り殺した!

東姫「…あ、ありがとうございます」

勇者「…あなたは、一応、生命の恩人ですから」

東姫「…? ……っ!? あの時の…っ!?」

けんし「おにいちゃん!」




563: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:14:45 ID:ZTMBjwXU

勇者「…先輩、守りは頼んだ」ダッ

勇者の猛攻!
魔物の群れを斬り殺した!

けんし「それ…」

勇者「ああ、『闇の剣』。師範には謝っておいてくれ」

けんし「おにいちゃん、なんだかヘンよ?」

勇者「…そうかもな」



天使は『聖浄魔法』を放った!
『女神のオーブ』が魔法の威力を高める!
あたり一面の人々を解毒した!

天使は『回復魔法・大』を放った!
『女神のオーブ』が魔法の威力を高める!
あたり一面の人々が全快した!

天使「あとは、魔法の効果を受けられなかった人がいないか見ないと…」




564: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:15:48 ID:ZTMBjwXU

巨人「テメエ! ジャマしやがって!」ぶんっ

巨人の攻撃!

天使「きゃあっ!」

天使は巨人の拳を受け止めた!

巨人「えっ」

天使「ていっ」

天使は巨人を投げ飛ばした!

混合獣「ウウゥッ!?」ドゴッ

上空の混合獣に当たった!

混合獣と巨人を倒した!

天使「か弱い乙女に手を挙げるなんて最低です!」




565: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:17:27 ID:ZTMBjwXU




鬼娘「弱すぎるッスよ!」ボゴッバキィッ

鬼娘は魔物の群れを蹂躙している!

鬼娘「オラオラァッス!!」

首なし騎士「き、貴様、魔物のくせいに裏切るのか!」

鬼娘「オレはご主人の味方ッス!」グシャッ

首なし騎士「おのれ!」

首なし騎士は鬼娘に飛び掛る!

鬼娘「遅いッスよ!」

鬼娘の『痛恨の一撃』!

首なし騎士の胴体を吹き飛ばした!

首なし騎士「ど、胴体ーッッ!?」




566: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/08(木) 22:19:46 ID:ZTMBjwXU

少女「…みんな、強いね」

混合獣「ウウウウゥゥゥゥ」

少女「僕は非力な美少女だからね」

生命の審判は『睡眠魔法』を放った!

混合獣は眠ってしまった!

少女「落ちてきたところを倒させてもらうよ」スパッ

呼び寄せた鎌で混合獣の首を刈り取った!

少女「安らかに眠りなよ」ニコッ

混合獣「ウウゥゥウウウ!」

少女「って、あれ? 首を刎ねても死なないのかい?」

混合獣の攻撃!

少女「わわっ!」

生命の審判は何とか躱した!

少女「…えー、なんか僕の敵だけ強くない?」




570: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:36:26 ID:4ly4eKu.



けんし「はっ!」ズバッ

けんしは魔物から東王たちを守っている!

薬師「…陛下、この者たちも魔物の一味かもしれません。隙を見て逃げましょう」ボソッ

東王「う、うむ」

東姫「お待ちになって。おそらく、あの方たちは、妾たちの味方です」

東王「…むう、いやしかし薬師がそういうなら、きっと敵のはずだ」

東姫「お父さまは妾よりもその薬師の言葉を信じるのですわね?」

東王「い、いや、それは…」

薬師(ちっ、薬はまだ完璧に効いてないのか…ッ!)


東軍元帥「ぐっ…魔物め! 屍体に魔物を植え付けるなぞ許さん!」

影男「へいへい。軍のトップをすり替えれば、本懐を遂げれるんでね。悪いが静かに死んでくれ」

東軍元帥「魔物にこの国を渡しはせんぞ!」

影男「へっ、老兵が粋がるなよ。さっさと死ね!」

勇者「…死ぬのはお前だ」




571: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:39:02 ID:4ly4eKu.


影男「うおっ?」

勇者の攻撃!

影男は何とか躱した!

影男「危ねえな。なんだお前、ウザいなあ」

勇者「勇者だよ、一応な」

影男「お前が? 報告では女と聞いてるがな。ニンゲンのくせにまがまがしい装備しやがって」

勇者「だから一応と言ってるだろ」

勇者の攻撃!

影男「ムダだぜ」

影男は元帥の影に隠れた!

影男「影の中にいる間は、俺は無敵だ!」

勇者「……」

影男「ったく、全て上手くいっていたのに、邪魔しやがって」




572: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:40:21 ID:4ly4eKu.

勇者「…いつから東国に潜り込んでた?」

影男「もう一年も前さ。少しずつ、王を歪めて、今日の計画を進行させていたのによ」

東国元帥「な、何だと…!?」

勇者「…勇者の偽物が国を追い出される前からか」

影男「そういや勇者を見たとか宣った時期もあったなあ。薬のせいでラリっちまったんだな。国宝まで持ち出して迎えに行って、インポをバカにされてやんの」ケラケラ

勇者「…馬鹿らしい話だな」

影男「まあ、おかげで更に取り入りやすくなったんだがなあ。インポの治る薬ありますー、ってな」

影男「まあ、無駄話はこれくらいにしようや」

東軍元帥「なっ…体が…!?」ググッ

影男「へっ、ニンゲンの手で殺されろ!」

勇者「…無駄なことを」

勇者は影男に大量のピンクローターを放った!
影を突き抜けて影男に直撃した!




573: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:44:55 ID:4ly4eKu.

影男「なっ、んひいぃぃいいいっ!?」

勇者「…こんなクソみたいな能力でも女神の力には変わりないな」

勇者は更に大量のピンクローターを影男に押し付けた!

影男「んおおぉぉおおおおっ!! イ、イクぅウゥうううっっ!!」ビクビク

影男は悶死(テクノブレイク)した!

勇者「…ふん」



天使は負傷兵の傷を癒した!

天使「…間に合って良かったです」にこ

「あ、ありがとう」

「天使だ…結婚してくれ…」
「いや、女神だ…崇めたい」
「あんな優しそうな女性に申し訳なさそうに踏まれたい」




574: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:47:42 ID:4ly4eKu.

天使「みなさん、もう大丈夫そうですかね?」

「あいたたた! ケガしちゃったなー」ちらっ
「癒してくれー」
「膝枕してほしいです」
「おれ耳かき」

天使「だ、大丈夫そうですね」



鬼娘「ちっ、強えな…」

地獄闘士「ふふ、それほどでも」

鬼娘(…地獄闘士、魔王軍でもかなりの腕前って噂は本当ッスね。前線で、闘いたいために昇級を辞退する変わり者ッス)

鬼娘「鬼と殺し合えるなんて珍しいことですからね。もう少し楽しませてください」

地獄闘士は四本の腕で、再び戦闘態勢に入った!

鬼娘「そっちこそ、あっさり死ぬなッスよ!」




575: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:49:52 ID:4ly4eKu.

鬼娘(…そうはいいながら、さすがに隙がねえッス。多腕系のヤツは、一本一本の腕力が大したことないのが多いッスけど、こいつは違うッス)

地獄闘士と鬼娘は激しく殴り合う!

鬼娘(一本一本の筋力と速さが、自分と同じかそれ以上…純粋に手数で負けちまうッス…)ハァハァ…

地獄闘士「ほっ!」バゴッ

鬼娘「うぐっ…」

鬼娘は距離をとった!

地獄闘士「おやおや、逃がしませんよ」バサッバサッ…

地獄闘士は不気味な笑みを浮かべて鬼娘に飛びかかってきた!

鬼娘(しかも翼まであるときたッス!)

鬼娘の腹に拳が食い込む!

鬼娘「ぐううっ…ッ! …ウがアァァッッ!」

鬼娘は地獄闘士の腕を抱え込んだ!!

地獄闘士「おや、一本掴んだところで、私には腕だけであと三本あるんですよ?」




576: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:51:26 ID:4ly4eKu.

鬼娘(…ああ、こいつには失策だったッス……がッ!)

地獄闘士は三本の腕で無防備な鬼娘を痛めつける!

鬼娘「ぎぃ……っ!」

鬼娘「…ぐオオォォオオオォッッッ!」

ゴキゴキッ…!

地獄闘士「…くっ!」

鬼娘は抱え込んだ地獄闘士の腕の骨を砕いた!

鬼娘「があああアアァァァッッ!」

鬼娘はそのまま地獄闘士を投げ飛ばした!

地獄闘士「ぐぐぐ……」

バサッバサッ…

地獄闘士「やってくれますね!」




577: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:53:33 ID:4ly4eKu.


鬼娘「……っ」ゼエゼエ


天使は『回復魔法・大』を放った!
鬼娘の傷がみるみる癒された!


鬼娘「おおっ!?」

地獄闘士「む…」

天使「大丈夫ですか?」

鬼娘「へへっ、ばっちりッス」

地獄闘士「傷が全快しましたか。…ここは撤退しますか。作戦もほぼほぼ失敗ですしね」

鬼娘「魔王軍のくせに遁走するなんてどういう了見ッスか!」

地獄闘士「敗ける戦いはしない主義なのですよ」

鬼娘「この臆病者ー!」

地獄闘士「ふふ、お好きにお呼びいただいて結構ですよ」

地獄闘士は逃げ出した!




578: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:54:54 ID:4ly4eKu.



少女「ふう…ふう…」

「ウウゥゥウウウ…」

「ウゥウウウウウ…」

「ウゥゥゥゥウウウ…」


少女「やれやれ今度は複数体同時かい? あまり動物は好きじゃないんだけれど」

少女(この数はちょっとマズいね。魔法を撃ち漏らした隙に喉元を千切られてしまう…)

少女(おっと、天使くんが…。ふふ、合わせてくれよ)

生命の審判は『障壁魔法』を放った!
自分の周囲に透明な防壁を展開した!

混合獣の群れは障壁に飛びかかる!

少女「うーん、大丈夫と分かっていても怖いね、これは。檻に入れられてバケモノの大群の中に落とされた気分だ」




579: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:56:56 ID:4ly4eKu.


少女「さて、どかんと頼むよ」

天使は『火炎魔法・極』を放った!

混合獣「ウウゥゥウウウ…ッ!?」

生命の審判ごと混合獣を焼き尽くした!

天使「…おびき寄せて、一網打尽。上手くいきましたね」

少女「……っ」

生命の審判はうずくまっている!

天使「あ、あれ? 大丈夫ですか…?」

少女「っふぅ…、ふぅ…ふぅ…」

天使「障壁は無事なのにどうして」

少女「いや、大丈夫。火炎魔法で酸欠になっただけさ」

天使「あ、す、すみません…」

少女「さして問題ないよ。…さて、あらかた倒したかな?」

鬼娘「オレたちの敵じゃないッスね!」

天使「さっさと残りの魔物も倒してしまいましょう」




580: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 22:59:28 ID:4ly4eKu.

薬師(くそっ…くそくそくそくそくそっ! 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した!)

薬師(計画は滞りなく行っていた! 下準備も戦力も万全だった!すべてこいつらのせいで! 何者だ! ただのニンゲンじゃない…勇者かっ! ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう!)

薬師(この作戦を失敗してはいけなかった! もう俺のキャリアは破滅した! 処刑もあり得る! どうするどうするどうするどうするどうするどうするッ!?)


けんし「アナタ、マモノね」チャキッ

薬師(ッ!? どうしてばれた! 変化の杖による変化は完璧のはず!? いや、あまり周りを見るな! さらに怪しまれる!)

薬師「…一体、何を言うのですか。驚きです」

けんし「にんげんのふりをしても、アタシにはわかるわ」

薬師(何故だ!? 変化の杖は完璧のはず! 声も匂いも人間のもの! 怪しまれる素振りも見せていないはずだ!)

薬師「こんな恐ろしい言いがかりは初めてですね」

けんし「…シッポでてるわよ」

薬師(…鎌かけか。確信があるわけではないのか? ここは上手く逃げなければ)




581: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:00:36 ID:4ly4eKu.


薬師「…いったい何を言ってるのですか。それより、まだ魔物が来ないとも限りません。陛下、早くこの場を離れた方がよろしいかと存じます」

東王「う、うむ。そうだな」

けんし「ダメよ! ソイツはダメ!」

薬師(ちっ、黙ってろクソガキ! 取り敢えずコイツに取り入っておけば、また機会があるかもしれないんだ!)

薬師「…こんな得体の知れない幼児の言葉を真に受けてはいけません。魔物の手先かもしれません」

東王「む、うむ…」

東姫「お父さま、妾はその子たちを信じます。確かな理由もございますわ」

東王「ぬ、なんだ?」

東姫「…それは後で申し上げます。…私もその薬師は信用に置けないと思っておりますわ」ちらっ

東王「う、うむ…」

薬師(なんだ!? どうして上手くいかない!?)

薬師「陛下ッ! 私は陛下に忠誠を誓っております!」

東姫「お父さま、私を信じてくださらないのですか!」

東王「そ、そんなわけないだろう! この者は魔物じゃ! 討ち取れ!」




582: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:03:18 ID:4ly4eKu.


勇者「……ッ!」ギリッ

けんし「もどってきたのね!」

勇者「…他の魔物が口を割った。薬を使う者は魔物だってな」

薬師「そ、そんな、魔物の戯言を信じるのですか…」

けんし「へたなシバイは、やめたらどうなの?」

薬師「へ、陛下…」よろよろ…

東王「……寄るなっ、魔物め!」


薬師「……ちっ、クズが」ヒュッ

東王「なっ…」プスッ

薬師は『禁断の毒薬』を東王に打ち込んだ!


どさっ


東姫「お父さま…?」




583: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:05:18 ID:4ly4eKu.



東王「ぐっ……グゥ…ッ」

東姫「お父さま、大丈夫ですの?」

東王「グオオオォッ!」ブオッ

東王の攻撃!

勇者は東姫を庇った!

東姫「ど、どうなってんの?」

東王「グギギギギギイィィ!!」

東王は魔物化している!

東姫「ね、ねえ、なんなのコレ!?」

勇者「……」




584: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:06:17 ID:4ly4eKu.




薬師「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した!!」

メキメキィィッ……!

薬師「おまえらのせいだおまえらのせいだおまえらのせいだ殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

薬師は真の姿を現わす!

蛇人「…貴様らは生きて返さん!」

蛇人は『旋風魔法・大』を放った!

けんし「うぅ…っ」

けんしは魔法をなんとか躱した!

蛇人「所詮はか弱き子ども。こんなニンゲンのガキに俺の人生を狂わされた…ッ」

蛇人は『旋風魔法・大』を二回連続で放った!




585: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:08:36 ID:4ly4eKu.


けんし「きゃああっ…!」

けんしは深い裂傷を負った!
けんしは吹き飛ばされて気を失った!

蛇人「…あれで、八つ裂きにならないだと? …あのガキ、バケモノか?」

けんし「……っ」

蛇人「…貴様は確実に殺す!」

蛇人は気絶したけんしの元にすり寄る!

鬼娘「どりゃあっ!」

鬼娘の不意打ち!

蛇人「ぬ!?」ヒュッ

蛇人は尻尾で素早く鬼娘を薙ぎ払った!

少女「隙あり、だね」

生命の審判は『拘束魔法』を放った!

蛇人「ーーーーっ!」




586: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:09:15 ID:4ly4eKu.


天使「終わりです!」

天使は『火炎魔法・極』を放った!

蛇人(ちくしょう、使うしかない!)


蛇人(『破滅の力』を!)


蛇人は『破滅の欠片』に宿る力を取り込んだ!

不気味な閃光が迸る!




587: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:10:41 ID:4ly4eKu.


東王「グオオォォ!」

東王の連続攻撃!

勇者は東姫を庇いながら全て避けた!

東姫「ちょっと、どうなってんのよ」

勇者「知らん」

東王「ガアアァァ!」

勇者「…もう完全に魔物だな」

勇者は東王の両腕を斬り飛ばした!

東王「グウゥゥ…!」

勇者「…自業自得だ」

勇者は東王を袈裟懸けに斬った!
東王は苦悶の叫びを上げる!

勇者「…死ね」

東姫「…待ってよ」




588: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:12:14 ID:4ly4eKu.


勇者「…?」

東姫「クソ親父はもう弱ってるから、もうこれ以上は手を出さないどいて。キモい姿でも、国王を殺せばアンタもただじゃすまないよ」

勇者「…ふん、こんな国王も国も滅びればいい。こいつが知ってたかは知らないが、魔物に操られて臣民を魔国に送り付けてたような国だ」

東姫「…それ、マジなの?」

勇者「刑務官の口を割らせた。俺の姉さんも魔物の手に渡った」

東姫「……」

勇者「易々と魔物に誑かされて、正統な血筋ならば、こんな無能でも国王か」

東王「グウゥ……」

勇者「…別に国のことを憂慮しようなんて思っちゃいない。俺はただ復讐がしたいだけだ」

東姫「…やめなよ」

勇者「うるさい」

東姫「魔物になって、死にかけてるんだよ? もう充分でしょ?」

勇者「黙れよ」

東姫「ねえ、お願い」ぎゅっ




589: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:14:23 ID:4ly4eKu.

勇者「…媚びるな、浮かれた世間知らずが」

東姫「…ちょっと下手に出たからって調子に乗んなよ、平民のくせに!」

勇者「…はっ、それが本音だろ。結局、お前もこのクズの血を引いたクズ女だ」

東姫「…ふざけんなっ」ポロポロ…


『女の子を泣かせるなんて最低なんだからね!』


勇者「……っ」

東王「ググ…コ………コロ…セ」

東姫「…え?」

勇者「…意識があったか」

東王「コロ………セ……ハ…ヤ…ク」




590: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:15:49 ID:4ly4eKu.


勇者「……ははっ」


勇者「殺さない」

東姫「……っ」

勇者「お前の頼みなんて聞かない。お前が殺せというなら殺さない。 この国の兵士にでも殺されればいい」

東姫「……最低ッ!」

勇者「勝手にほざいてろ」

東王「……グウゥゥ」




591: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:18:38 ID:4ly4eKu.


鬼娘「いてて…何があったんスか?」

少女「よく有る敵のパワーアップさ…面倒くさい」

巨大蛇「…ふはっ、ふははっ、素晴らしい力だ!」

鬼娘「うげっ、何スかアイツ? 初めて見るッス」

巨大蛇「小細工なぞ最初から要らなかった! 有無を言わせぬ圧倒的な力ッ! 必要なのはそれのみだった!」

巨大蛇は彼女たちを中心にとぐろを巻いた!

少女「逃げ道を潰されたね…」

天使「蛇なら冷気に弱いはずです」

天使は『氷結魔法・極』を放った!
『女神のオーブ』が魔法の威力を高める!

しかし巨大蛇は涼しい顔をしている!

巨大蛇「効かぬわ!」

巨大蛇は口から猛毒の息を吐いた!

天使「くっ…!?」

天使は『聖浄魔法』を放った!
吐息は無毒化された!




592: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:24:36 ID:4ly4eKu.

巨大蛇「小癪な…」

巨大蛇は『旋風魔法・極』を唱えている!

少女「まずいね」

生命の審判は『広域障壁魔法』を放った!

透明な球形の膜が彼女たちの周囲に展開する!

巨大蛇は『旋風魔法・極』を放った!

高圧縮された竜巻は障壁に遮られて消えた!

少女「…そう何度ももたないかな」


けんし「……うっ」ぴくっ


鬼娘「ひどい怪我ッス…。横になってるッスよ」

けんし「はぁ…はぁ…」

天使「すぐに回復します。安心してくださいね」




593: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:27:58 ID:4ly4eKu.

天使は『回復魔法・大』を放った!

けんしは全快した!

けんし「ありがとう、これならたたかえるわ」

天使「ここは私たちに任せて少し大人しくしていてください」

けんし「でも…」

天使「あなたはもう充分なほど頑張りましたよ。だからお休みなさいね」にこっ

けんし「…ええ、ありがとう」


巨大蛇は『究極破壊魔法』を唱えている!


少女「うっ、あれは受け止め切れないよ…」

天使「任せてください!」

天使は『究極破壊魔法』を放った!

巨大蛇は『究極破壊魔法』を放った!

二つの魔法はぶつかり合う!

巨大蛇「ぐっ…」ジュゥ




594: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:34:34 ID:4ly4eKu.

少女「今のを押し返すとは…流石だね」

天使「なんとか、といったところですけど…」

鬼娘「うへ、強さの次元が違い過ぎるッス…」

けんし「そうね…」

巨大蛇「羽虫どもが意気がるなよっ!」

巨大蛇は体を巻き付けて絞め殺そうとする!
しかし障壁がそれを阻む!

少女「あまり、長くはもたないよ…っ」

鬼娘「うぐぐ、何とかして逃げるッス!」

けんし「逃げ道なんてないわよ…?」

少女「天使くん、魔法で逃げることはできないかい…?」

天使「それも可能ですが……ここは私に任せてください」

鬼娘「何か手があるッスか?」

天使「私だって伊達に死んでいたわけではありませんよ……『連続魔』!」

巨大蛇「なっ…!?」




595: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:36:36 ID:4ly4eKu.



天使の『連続魔』!

『氷結魔法・極』!
『氷結魔法・極』!

『未踏の氷壁』となった!


巨大蛇「ぐおおっ!?」

巨大蛇の体が冷気で鈍る!


少女「…連続魔とは恐れ入るよ」

天使「成功して良かったのですが……疲れますね。赤騎士の強さを改めて実感します」

少女「使えるだけでも凄いさ」

鬼娘「…見るッス。決着が着きそうッスよ」

けんし「…そうね」




596: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/14(水) 23:37:26 ID:4ly4eKu.



巨大蛇「く…そ…まだ…!」


勇者「お前が本当の元凶みたいだな」


巨大蛇「きさ…ま…、俺さまの…頭の…上に……っ!」

勇者「全てはお前の手のひらの上のつもりだったか?」

勇者「残念だが、お前の生命は俺の手のひらの上だ」

巨大蛇「ひっ…!」

勇者「お前だけは、絶対に許さない…!」

『闇の剣』が勇者の憎悪に呼応する!

巨大蛇「やめ…ろ…っ!」


勇者は雄叫びを上げながら巨大蛇頭を真っ二つにした!


巨大蛇を倒した!




599: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:27:30 ID:VrthCLnE





一週間後・師範の家

少女「……」ぺらっ

天使「……」

鬼娘「ただいまっす」

天使「…お帰りなさい」

鬼娘「魚が釣れたッスよ。あと、ご近所さんにイモをもらったッス」

少女「よかったじゃないか」ぺらっ

鬼娘「新聞ッスか?」

少女「うん……国中大混乱さ。魔物に危うく国を乗っ取られかけ、巨大な魔物が現れ、王が魔物になったんだ」

鬼娘「でも、おれたちの力で危機は乗り越えたッスよ! 屍体に寄生してたばっちい魔物も片付けたッス!」

少女「そのことも書いてるさ」

鬼娘「謝礼をたくさん貰えたんスよね!」

少女「出し渋っていたが、説得して誠意を見せてもらったさ」




600: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:29:43 ID:VrthCLnE


少女「あの程度で脅迫とは言わないよ。それに彼らに貯めこませるよりも、僕たちが使った方がましさ」

鬼娘「この国は大丈夫っスかね?」

少女「東王は現在、正気を失っているからね。王位は剥奪され、弟が王位を継承するんじゃないかな。僕らには関係ない話だけれど」

鬼娘「はー、大変ッスね」

少女「うん」

鬼娘「ところでご主人の先輩さんは…?」

少女「…細い管で、栄養は摂らせているから、酷い衰弱はしていないよ」

鬼娘「……」

少女「眠り姫のお目覚めをどれだけ待てばいいのやら」

天使「…そのことなのですが」

少女「うん?」

天使「私は先に旅立とうと思います」

鬼娘「!」




601: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:31:45 ID:VrthCLnE

少女「…勇者くんを追ってかい?」

天使「勇者さんはきっと魔国に向かっているはずです。姉の仇を討つために」

少女「きっと勇者くんは君の助けを拒むさ。そして君もあの娘みたいに斬り捨てられるだろうね」

天使「しかし…」

少女「…僕はこれを集める方が重要だと思う」

生命の審判は『破滅の欠片』を取り出した!

少女「これには数多の魂、そして滅びの神の力が宿っている。つまり魔王の力の根源だよ」

天使「……」

少女「魔王はいわば破滅の神がこの世界で暴れる為の依り代。しかし、今回は何だか色々ときな臭い」

天使「…そうですか?」

少女「まず前回までの人間との戦いは種を根絶させるような組織的大虐殺だったけれど、今回は少し違うように思う」

鬼娘「??」

少女「今回の件も含めて、人間を滅ぼすというよりは、国家機能を奪ったり植民地化を優先しているように思える」

天使「そうですかね…?」




602: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:41:15 ID:VrthCLnE

少女「以前の人間の国への侵攻も、最低限の戦闘しかしていなかったのだろう?」

天使「それは、元人間である赤騎士がいたから…」

鬼娘「えっ、ニンゲン?」

少女「むしろ、それが一番の問題さ。かつての人魔大戦では、勇者と魔王の一騎打ちで決着がついたと言われているはずだ」

鬼娘「オレもそう聞いてるッス。勇者が魔王様を倒して、魔物は消えたと」

少女「しかし、魔王と勇者の魂は僕のもとに訪れなかった。それどころか、先代勇者は魔物となっていた」

鬼娘「えっ? …えっ」

少女「魔王は先代勇者を懐柔して、雌雄を決する戦いの終焉を偽装したようだね」

天使「…そんなことできるわけありません。神の目を欺くなんて…」

少女「しかし、君は赤騎士が先代勇者とは気付かなかったね?」

天使「私が察知しなくても、女神さまが気付くはずです」

少女「…ふむ。君の言う通りかもしれない。しかし、何にせよ、赤騎士は魔物として人間の制圧に加担した」

天使「…結局、何が言いたいのかよく分かりません」

少女「それはすまない…。僕が言いたいのは、魔王には今までとは違う目的があるのではないかということさ」




603: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:43:49 ID:VrthCLnE

鬼娘「今までとは違う目的? そんなの聞いたことないッス」

少女「……」

鬼娘「な、なんスか!? なんで憐れみの目でみるッスか!?」

少女「まあ、大多数には知られていなかったのかもね、うん」

天使「…貴女の推測がある程度正しいとした場合、魔王の目的は何なのですか?」

少女「人間を滅ぼすのではなく、人間を支配したいのかもね」

鬼娘「で、でもニンゲンと分かり合えるッスかね。…自分が言っても説得力がないかもしれないッスけど」

少女「分かり合うとは思ってないんじゃないかな。人間を奴隷のように扱ったり、玩具にしたりするなんて有りそうな話じゃないか」

天使「……」

少女「何にせよ、今回の魔王はどうも世界の調和を乱そうとしているように思えてならない。創造と破滅は世界の均衡を作り、調和の基礎となるからね」

鬼娘「ほえー」

少女「だから今は勇者くんを探すよりやることがある」

鬼娘「分かったッス! 『破滅の欠片』を集めるんスね!」




604: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:48:28 ID:VrthCLnE

少女「そう。そして、魔王が力を得ないようにするのさ」

天使「…しかし、その間に勇者さまに何かあったらどうするんですか?」

少女「そんな簡単に死ぬ男ではないと思うけれど、あまり長くそのままにしておくのは絶対に良くない」

鬼娘「…あの剣とか装飾品ッスね?」

少女「うん…あまりにも長く身に付けていたら精神が完全に蝕まれてしまうだろうね」

天使「…やはり早く何とかしないとダメではありませんか!」

少女「…彼は殺す気で来る。僕たちはそうじゃない。きっと、今のままじゃ、返り討ちで終わりさ」

天使「しかし…!」

鬼娘「焦るのは分かるッス。でも、現状を考えることは大事ッスよ」

天使「…だから、あの娘が目覚めるのを待てと? それこそ同じことになるだけなのでは?」

少女「…まあ、そうかもしれない」

天使「……」

少女「実際、いつ目覚めるか分からない以上、ここで足止めを食らったままでいるのも問題だ」

鬼娘「ちゃ、ちゃんと目覚めるッスよね…?」

少女「そう信じたいね」




605: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:55:57 ID:VrthCLnE

天使「…分かりました。それなら、ここを拠点に『転移魔法』で、短期の行程で冒険しませんか?」

鬼娘「そんなことできるんスか?」

天使「『転移魔法』は即席で行使するのは容易ではありませんが、魔法を構成するのに充分な時間があるのなら、可能だと思います」

少女「便利だね。いざとなれば、魔国に乗り込んで奇襲できるんじゃないかい?」

天使「転移先はかなり限定的な上に、あまりにも邪悪な力があるところには転移できません。あと、生命エネルギーが豊富なところも、座標が正しく検知できなくて、悲惨な結果になりかねません」

鬼娘「悲惨な結果?」

天使「…聞きたいですか?」

鬼娘「……えっと、結構ッス」

少女「まあ、それくらいの短所はあっても充分反則的さ」

天使「あとは、続けて何度もできませんね。私にとってもかなり高度な魔法なんです」

少女「…まあ、そうなんだろうね。まあ、でもそれなら、勇者くんの情報集めも同時にできるじゃないか。最初から言ってくれれば良かったのに」

天使「…移動範囲の問題で短期的に勇者さんを探すのは困難に思われるので」

鬼娘「折衷案ということッスね」

天使「ええ…。それでは、勇者さんと『破滅の欠片』の探索を同時に進めるということでいいでしょうか」

鬼娘「分かったッス!」




606: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 22:57:21 ID:VrthCLnE

少女「うん。欲を言えば、あの娘がすぐにでも起きてくれるのが一番いいんだけど…」

鬼娘「…そんなに悪いんスか?」

天使「外傷は完治していますが、どうやら心に大きな傷を負っているのが原因みたいです」

少女「『竜の呪い』も影響してるみたいだね」

天使「…目覚めてくれると良いのですが。お父さんもかなり堪えていますし」

天使(女神さま、あの娘に貴女の御慈悲を)



けんし「…………」

師範「気持ち良さそうな寝顔だな」

師範「最近は本当に寝坊助になったな。いつも規則正しい生活をしていたから疲れたのか」

師範「お前は本当に出来た子だよ。母親もいないのに、弱音なんてまったく吐かないで、甘えもしないで」

師範「何でも卒なくこなすしな。本当に手のかからない子で…剣なんて俺をすぐに追い抜きやがって」

師範「きっと疲れたんだよな。ぐっすり眠れよ」

師範「…だから、ちゃんと起きろよ」




607: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 23:00:29 ID:VrthCLnE


魔国・とある洞窟。

ポツ…ポツ…

勇者「……」ジュウウゥゥ

口惜しや…口惜しや…

勇者「……っ」

高潔な誇りを失いしは口惜しや…

勇者の目の前に瘴気の沼が広がっている!

勇者(体はもう『魔人の鎧』の瘴気でグジュグジュだ…何も躊躇うことはない)すたすた

ジュウウゥゥゥゥゥゥ!!!!

勇者(痛みは鎧が食っている。生命力は女神の力で補えている……いける……)グジュジュウゥゥ…


「…何者だ」

勇者「…一応、勇者だ。『血塗られた盾』、お前が必要だ」

盾「…呪われし装備を身に付け、あまつさえ我を欲っする者が勇者だと?」

勇者「だから一応といっただろう」




608: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 23:01:55 ID:VrthCLnE

盾「何故、勇者が我を必要とする?」

勇者「魔王を倒すための力が必要なんだ」

盾「…呪われし装備を身に付けた者に魔王が倒せると?」

勇者「魔王を倒すためなら、どんな力でも構わない」

盾「…愚かな」

勇者「そうだな」

盾「……」

勇者「力を貸して欲しい」

盾「…いいだろう」

勇者「助かる」

盾「だが、対価が必要だ」

勇者「…対価?」

盾「そうだ」

勇者「一体、何だ?」




609: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 23:02:49 ID:VrthCLnE

盾「魔王を倒したら、その後の生を我に寄越せ」

勇者「……」

盾「それが対価だ」

勇者「…もしも魔王を倒せなかった時は?」

盾「貴様の魂をいただく」

勇者「…………」

盾「止めるか?」

勇者「……いや……分かった」

盾「……契約成立だな」

勇者「…ああ」

勇者は『血塗られた盾』を手に入れた!




611: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 23:07:29 ID:VrthCLnE

洞窟の外。

盾「久しぶりの外だな」

勇者「……」

盾「…それで。いきなり囲まれているな。八方を見渡す限りの魔物の群れだ」

勇者「この数とは……俺も随分と買い被られたものだな」

戦狼「『悪魔の角』を単身で進んできたとは…やるじゃないか勇者よ」

勇者「…勇者、か」

戦狼「隠そうとしても我輩の鼻は誤魔化せんぞ」

勇者「別に隠しているわけではないが…。犬っころだけあって鼻が利くんだな」

戦狼「我輩を侮辱するとはな。我輩は魔王軍大将、戦狼だぞ」

勇者「…それは四天王とどちらが上なんだか」

勇者の攻撃!

戦狼は巨大な大剣で防ぐ!

戦狼「速い……が!」




612: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/18(日) 23:11:56 ID:VrthCLnE

戦狼の『痛恨の一撃』!

しかし空中に浮かぶ血塗られた盾が防いだ!

戦狼「チイィ…ッ!」

勇者(こいつ、赤騎士以外の魔物とは比べ物にならないほど強いな…)

盾「弱いな、勇者」

勇者「ああ…。取り巻きから殺すことにするよ」

勇者の猛攻!

魔王軍の精鋭たちを斬り殺していく!

魔物の攻撃!
魔物の攻撃!
魔物の攻撃!

しかし血塗られた盾が全て防いでいる!


勇者の猛攻!
勇者の猛攻!
勇者の猛攻!
勇者の猛攻!

戦狼「怯むな! こいつさえ討ち取れば魔物の勝利! 魂を魔王様に捧げろ!」




613: >>611 ハハハ、マサカ。 2015/10/18(日) 23:14:30 ID:VrthCLnE





勇者「……」

盾「やっと静かになったな」

勇者「ああ…」

盾「何日…いや、何週間たったろうか?」

勇者「覚えていないな…戦狼が撤退してからは記憶にない…」

勇者はその場に仰向けになった!

盾「魔物の肉を食らい、血の海と屍の山で眠る。まるで鬼だ」

勇者「俺の知ってる鬼は性格の悪いクソ野郎と、アホ可愛いやつだけだ…」うとうと

盾「眠いなら眠ればいい。我が危険を防いでやる」

勇者「それなら…甘えさせてもらう…」


勇者は深い眠りに落ちた!




616: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:16:39 ID:O/iDGlII


少女「…まだ、起きないか」

鬼娘「…ほんとにまた起きるッスよね?」

天使「…信じましょう」

少女「やれやれ、『破滅の欠片』はいくらか集まったんだけどね」

天使「前回ので9つめですか」

鬼娘「この前のも強かったッスね…」


師範「…おかえり」

天使「あ、ただいま帰りました」

師範「ご飯、作っておいたから食べるといい…」

少女「ありがとう」

鬼娘「ちゃ、ちゃんと休んでるッスか? 顔色悪いッスよ」

師範「…大丈夫だ」




617: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:19:44 ID:O/iDGlII

鬼娘「どうにかならないッスかね? 可哀想ッス」

少女「…何とかしてあげたいけれど、僕たちには打つ手がないね」

鬼娘「お世話を手伝うので精一杯ッス…」

天使「私は、無力です…」

少女「君には言って欲しくないね」

鬼娘「おれが一番役立たずッス…」

天使「…勇者さんは、何度こういう気持ちを味わったのでしょう」

少女「君は本当に勇者くんが好きだね」

天使「そう、ですね」

少女「完落ち来ました」

鬼娘「ストーリー途中でデレデレだとヤンデレ化するのが定石ッス! 昔の偉人が言ってたッス!」

天使「なんなんですかっ」




618: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:22:09 ID:O/iDGlII

どたどた

師範「大変だ! 村に巨大な魔物が現れた!」

天使「何ですって!?」

鬼娘「巨大…また破滅の力を取り込んだやつッスか?」

少女「その可能性が高そうだ」

師範「俺は足止めに行く! 娘を連れて逃げてくれ!」

天使「いえ、私たちが戦います。住民の皆さんを誘導して避難してください」

師範「そういう訳にはいかない!」

少女「僕たちはこんな見た目だけど、人間よりもずっと強いよ」

鬼娘「そうッス! さっさと逃げるッス!」

師範「この村は俺たちの手で守る必要があるんだ!」

少女「…はっきり言おう。君ごときでは、戦闘では役立たずだ。」

師範「わ、分かっている!」

少女「それなら、もっと自分にしかできないことをやってくれないか。村の人たちを安全に避難させるのも村を守ることだろう」




619: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:23:04 ID:O/iDGlII

師範「し、しかし……」

鬼娘「…はあっ!」ドッ

鬼娘は拳圧で部屋の壁を砕いた!

鬼娘「これくらいできるッスか?」

師範「ムリムリムリムリ」

鬼娘「最低限、これくらいできないとほんと何の役にも立たないッス。おれも大して役に立ててないッスよ」

天使「そんなことはないと思いますけど…」

少女「色々と助けてもらってるよ」

鬼娘「ほ、ほんとッスか」ヘニャ

鬼娘「あっ、そ、そうじゃないッス! とにかく、戦闘に来られてもむしろ迷惑ッス。早く逃げるッス」

師範「…分かった。無力ですまない」

天使「……」




620: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:24:50 ID:O/iDGlII




鬼娘「悪いことしちゃったッス」

少女「そんなことないさ。無駄な犠牲を出さないで済みそうだからね」

鬼娘「壁を壊しちゃったッス」

天使「そこですか」

少女「村が滅ぼされた壁どころじゃないから、しようがないよ」

鬼娘「っと、あれが魔物ッスね」

少女「竜か。厄介だね」

鬼娘「とりあえず…どりゃあっ!」

鬼娘は足元にあった木桶を勢いよく投げつけた!

竜?「……!」

少女「こちらに気付いたみたいだね」

天使「不意打ちで良かったと思うのですが」

鬼娘「あ、ごめんなさいッス」

天使「もう…」




621: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:27:31 ID:O/iDGlII

天使は『電撃魔法・極』を放った!

竜?には当たらなかった!

天使「あれ?」

少女「おや、見事な回避だね」

天使「今度こそ!」

天使は『火炎魔法・極』を放った!
天使は『氷結魔法・極』を放った!

竜?には当たらなかった!
竜?には当たらなかった!

天使「ああ、もう…!」

鬼娘「ひらひら躱すッスねー」

少女「まるで、こちらが何をするかはじめから分かってるみたいだね。心の内でも読んでるんじゃないかい?」

天使「戦闘中なんですから、あなたたちも真面目にしてください!」

鬼娘「えー、だって自分が攻撃するには遠いッス」

少女「それに、どうも戦意が無さそうに見えるからね」




622: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:29:15 ID:O/iDGlII



竜?は下降してきた!

天使「来ましたよ!」

しかし竜?は姿を忽然と消した!

天使「あれ?」


「あんな強力な魔法を撃ったら危ないだろ」

「竜の姿でしたら当然じゃありませんの。勇者さまに強くなったところを見せたいからって人目に着くところでも竜化するなんて」

「うるさいなあ…」

「村の人たちも心底怯えてしまっていますわよ、もう……きゃっ!」バタッ

「また何もないところでこけてるし…」

「う、うるさいですわ!」




623: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:30:02 ID:O/iDGlII



少女「…女の子?」


天使「…エルフさん?」

エルフ「…あの時の天使か!?」

鬼娘「あ、青魔導師さま!?」

青魔「あら、鬼娘さんですの?お久しぶりですわ」

少女「え、なにみんな知り合いなのかい?」

天使「以前、協力してもらいました」

エルフ「命の恩人だ」

鬼娘「元直属の上司ッス」

青魔「昔の部下ですわ」

少女「へえ…」




624: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:31:11 ID:O/iDGlII


師範の家。

師範「魔物を倒してくれて本当にありがとう。寝たきりの娘がいるのに家無しにならなくて良かった」

少女「当然のことをしたまでだよ」キリッ

エルフ「……」

青魔「貴女の不始末を穏便に済ませようとしてるのですから堪えなさいな」

エルフ「分かってるよ。だから黙ってるんだろ」

師範「ところで、そちらの娘さんたちは?」

青魔「私は勇者さまの婚約者ですわ」ニコッ

少女「えっ」

天使「なんですって!?」

鬼娘「青魔導師さまが、ご主人の婚約者…?」

エルフ「嘘だからな」

少女「勇者くんは、本当に女誑しだね…」

青魔「貴女も誑かされたのですわね」クス

少女「…さあ、どうだろうね?」




625: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:31:59 ID:O/iDGlII



エルフ「そいつ、サトリだから隠し事はできないぞ」

少女「えっ」

青魔「大体の生き物の心は読めますわよ」

少女「…さっきみたいにドジを踏むのも油断させるためかい。抜け目ないね」

エルフ「残念だが、それは素だ」

青魔「うう…このやり取りは嫌いですわ」



エルフ「…ところで、あのスケベは?」

少女「勇者くんならここにいないよ」

鬼娘「スケベで通じるって可愛そうッス…」

青魔「どういうことですの?」

生命の審判は二人に今までの顛末を話した!




626: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:33:40 ID:O/iDGlII


青魔「勇者さまのお姉さまが…」

エルフ「…まったく、世話の焼けるやつだな」

天使「魔国への道沿いに探してはいるのですが、情報がなくて…」

エルフ「そういえば、北の国で『魔人の鎧』の封印が解かれたらしいな」

天使「魔人の鎧?」

青魔「『呪われた装備』の一つですわ。聞いたところによると『邪悪なイヤリング』、『闇の剣』、『魔人の鎧』の三つですわ」

少女「ふむ。もしも、封印を解いたのが勇者くんなら、全て手に入れたことになるね」

天使「北の国、ですか。『破滅の欠片』を手に入れただけで、あまり情報収集はしませんでしたね」

鬼娘「それじゃあ、ご主人は今度こそ魔国に乗り込もうとしてるッスか」

エルフ「まさか、そんなことになってるとは思わなかった…」

青魔「そうですわね」

天使「ところで、どうやってここに来たのですか?」

エルフ「新聞を見たんだ。そして、東城で、魔物になってる王さまを助けたらこの村に国の英雄がいることを教えてもらったんだ」

青魔「それで、もしかしたらということでここまで来たのですわ」




627: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:35:09 ID:O/iDGlII


少女「ちょっと待った。魔物になった王を治したのかい?」

青魔「私は魔物の使う魔法の類に明るいのですわ」

エルフ「そういうこと」

鬼娘「青魔導師さま、凄いッス…」

青魔「うふふ、それ程でも」

鬼娘「いつもドジってばかりのダメ上司とか思っててごめんなさいッス!」

青魔「…別にいいですわ…知っていましたし…」しょぼん…

鬼娘「あ、で、でも、本当に見直したッスよ!」

青魔「了解しましたから…もうやめてくださいませ…」どよん…

少女「…はあ、愉快な仲間たちだね」

エルフ「お前もだろ」

少女「君たちには敵わないよ」

天使「そんなことないですよね?」

鬼娘「そうッスね」

少女「……」




628: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:37:36 ID:O/iDGlII



アハハッ

けんし「…………」

師範「賑やかだな…お前も加われれば良いのにな…」

けんし「…………」

エルフ「竜の呪いか。しかも、捨て身でかけたのか? 随分と強力なようだが」

師範「うおっ!?」

青魔「驚かせてしまって申し訳ありませんわ」

師範「いや…。あ、こいつは俺の娘でな」

エルフ「知ってるさ。こいつに脅迫されたことがあるからな」

師範「え?」

エルフはけんしの頭に手を置いた!

けんしの肌に紅い紋様が浮かんだ!

師範「ぬおっ…」




629: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:39:23 ID:O/iDGlII

エルフ「大分進行してるな。早ければ、もって二日か」

師範「そ、そんな…! どうにかできないのか!?」

エルフ「呪いは解けるかもしれないが、必ず助かる保証はない」

エルフ(むしろ、ダメな結果になる可能性の方が高いみたい)

師範「…た、頼む! 助かる見込みが少しでもあるなら…!」ザッ

エルフ「…土下座されても困る。…青魔、手伝ってくれ」

青魔「何をすればよろしいんですの?」

エルフ「少し、心の中に潜り込んで、励ましてきてくれ。気力は大事だ」

青魔「難しいのに簡単に言わないでくださいな」

エルフ「出来るんだろ?」

青魔「ええ、もちろん…っと」

青魔導師はけんしの心の中に潜り込んだ!




630: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:41:35 ID:O/iDGlII


青魔「…………」

師範「先ほどからピクリともしないが、大丈夫なのか…?」

エルフ「潜ってる間、体は無防備だからな。いくら悪戯してもばれない」つんつん

青魔「…………」

エルフ「……相変わらず無駄にデカい」ぽよぽよ

師範「ちょっ…」

青魔「おやめなさい」ごつっ

エルフ「あだっ、戻ってきてたか」

青魔「疲れましたわ…」

エルフ「どうだった?」

青魔「上手くいきましたわ。殺されかけましたけれど」

エルフ「何があった?」

青魔「黙っておくべきなのでしょうが…やはり、基本は勇者さまのことですわ」

エルフ「…まあ、だろうな」




631: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 00:43:09 ID:O/iDGlII

青魔「簡単に言えば、勇者さまが自分より姉ばかり優先するからいじけてしまったのですね」

エルフ「…あいつ、本当に重度のシスコンだったんだな」

青魔「唯一の肉親ならば、それも当然ですわよ。私はむしろ好感に思いますわ。私が勇者さまに愛想を尽かすわけがないのですけれどね」

エルフ「ああ、そう…」

青魔「あなたも、ですけどね」

エルフ「あー、もうっ! うるさいっ!」

師範「あのー…娘は?」

青魔「煽って焚き付けましたわ」

エルフ「ん、この女ならその方がいいかもな。さてと…」

エルフは『竜化魔法』を唱えた!

エルフ「ぐっ、抑エメにシテ…」

エルフは部分的に竜の姿になる!

師範「ぬあっ!?」

エルフ「サて、上手クいケヨッ!」




634: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/21(水) 18:43:38 ID:hPhGrIDc



ところでけんしの身に何が起こったのか誰か教えてちょ




635: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/22(木) 06:03:52 ID:T5F2roqg

勇者を力づくで止めようとして切られた→昏睡って感じじゃないか




636: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 00:50:03 ID:rUYqIq2Q

>>635
大体あってる。こっからかなり展開早いから更に分かりにくくなるかも。



魔王城。

側近「勇者が城近くまで来ましたか」

戦狼「…魔王軍は壊滅的状態だ。師団は全て壊滅し、残兵も殺されている」

側近「狂爺の研究はもう少し時間がかかります。足止めが必要なのですが」

戦狼「…ちょっとやそっと斬りつけても死なない上、盾による護りで致命傷を与えられない」

側近「頑強なのは女神の力によるものでしょう。呪われし装備を使う勇者なぞかつての記録にもありませんが」

戦狼「…マズいな。決して強くはないが、死なない。ゆっくりだが確実に迫ってくる」

側近「やはりバケモノですね」

戦狼「残っている強者は、我輩と…まあ、地獄闘士くらいのものだ」

側近「背に腹はかえられませんね…いざという時は集めていた『破滅の欠片』を幾つか使いましょう」




637: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 00:55:40 ID:rUYqIq2Q

戦狼「破滅の神の力――魔王さまの力を使えるとは、身に余る光栄だが…」


「その必要はないわ」


側近「…!」

「ここは任せてちょうだい」

戦狼「し、しかし、万一のことがありましたら…」

「だからと言って、アナタたちが勝てるわけでもないでしょう?」

側近「…そうですね」

「それに…あの子に会いたいわ」





勇者「あれが、魔王城か」

盾「距離はそこまでではなかったが、邪魔が多くて手こずったな」

勇者「ああ。…あそこに、魔王がいるのか」




638: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 00:58:07 ID:rUYqIq2Q

盾「正面から行くか?」

勇者「…いや、罠があるかもしれない。正面以外にも入り口はあるはずだ」


「その心配はもうしなくていいわよ」


盾「…!」

勇者「………………」

「久しぶりね」

勇者「……なんで」


勇者姉?「会えて嬉しいわ」


勇者「…姉ちゃん?」

勇者姉?「そうよ」にこっ




639: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:00:19 ID:rUYqIq2Q

勇者「…死んだはずじゃ」

勇者姉?「生きてるわよ、こうしてね」

勇者「……そんな、どうして」

勇者姉?「あなたがいなくなった後、しばらくして兵隊さんに連れていかれてね。島流しにあったんだけど、そこで他の人たちと一緒に、魔物に浚われたの。それで…」

勇者「そして、魔物のクソ野郎に殺されたんじゃないのかよ!?」

勇者姉?「そんな汚い言葉を遣わないでちょうだい。…他の人は実験の材料となって、あなたの言う通り、亡くなったわ。先にいた人も、後に来た人も。ただ、私は別だった」

勇者「……?」

勇者姉?「私には特別な宿世があったのよ。…アンタは勇者になったんでしょ?」

勇者「…ああ」

勇者姉?「あなたは勇者になったのは偶然? それとも必然?」

勇者「…偶然だろ。俺にそんな資質があるとは思えない」

勇者姉?「本当に? でも、こうしてあなたは魔王の近くまで来て、魔王を倒そうとしてるじゃない」

勇者「それは、運が良かったから…それに、女神から能力を授かったから…」

勇者姉?「本当にアンタはたまたまの運だけでここまで来たと思ってるの? 誰かによって導かれて来たとは思わないの?」

勇者「……」




640: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:02:19 ID:rUYqIq2Q

勇者姉?「私が生きてここに立っているのは定められた運命が歪んだからよ。こうして――」


勇者姉?「魔王になったのもね」


勇者「…何言ってるんだ」

勇者姉?「どうして、私が生きてるか教えてあげるわ。魂だけの存在となっていた魔王の器になったからよ」

勇者「…は?」

勇者姉?「魔王はかつての勇者と結託して世界に細工をしたの。戦いを演じて、敗北。しかし、魂だけは残るようにね」

勇者姉?「魔王は新しい器となる肉体を造らせていた。しかし、なかなか上手くいかない。魂が定着しない」

勇者姉?「魔王というのは特別な因果を持っているの。勇者と同じようにね。そして、私は勇者であるアンタの姉だから少しは因果があった」

勇者姉?「私は魔王の仮初めの器に過ぎないのよ。だから意識も記憶もアンタのよく知ってる私のものなの。もちろん魔王としての記憶と知識も断片的にあるけれど」

勇者「…嘘だろ、姉ちゃん」

盾「確かに尋常ではない気を感じる。勇者、奴の言葉は真実だと思っていいぞ」

勇者「……」

勇者姉?「アンタは勇者。そして、この歪んでしまった世界の運命を修正する使命もある。事の発端である魔王を倒すことによってね」

勇者「……」




641: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:03:14 ID:rUYqIq2Q


勇者姉?「…ねえ、一緒に運命を壊しましょう。魔王と勇者、相容れない存在、そういった決まり事を私は壊したいの」

勇者「よく分からない…」

勇者姉?「共にいきましょう。そして新しい時代を切り拓くの」

勇者「……」

盾「勇者、どうするのだ?」

勇者姉?「さあ、私と世界を変えましょう」


はい
いいえ


勇者「………………」




642: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:05:16 ID:rUYqIq2Q






勇者「いいえ」





勇者姉?「……」

勇者「…姉ちゃん、ごめんな」

勇者姉?「…………」




643: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:12:04 ID:rUYqIq2Q

勇者「…きっと、もうほんとの姉ちゃんは死んだんだな」

勇者姉?「そんなことないわよ。私はここにいる」

勇者「もうほんとの姉ちゃんはいないんだよ」

勇者姉?「アンタは私じゃないのに、そんなこと分かるわけないでしょう? 私が本当はどんな人間かなんて知らないくせに」

勇者「…たしかに俺は分からないことばかりだよ。自分のことさえよく分かってない」

勇者「平凡なりにも、勇者らしく振舞えていたと思ってたし、世界を魔物から救う使命感を抱いていたつもりだった」

勇者「でも、姉ちゃんが魔物に浚われたと知ってからは、使命感なんて嘘っぱちだって気付いちゃったんだよ」

勇者「ただ、憎らしくて、悲しくて、自分の力の無さ、愚かさ、どうしてあの時その事を考えられなかったのか、なんてずっと考えるだけさ」

勇者「俺を勇者と慕ってくれるみんなに会わせる顔もなくて、そんな自分をそれでも止めてくれる大切な人を傷付けて…もう、どうしようもないヤツなんだ、俺は」




644: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:30:35 ID:rUYqIq2Q

勇者「それでも…それでも、やっぱり俺は勇者だ」

勇者「姉ちゃんが魔王だって確かに認めてしまえるんだよ」

勇者「そして、姉ちゃんが苦しんでるのが分かるんだ。魔王によって魂を壊されてもなお、生かされ続けている姉ちゃんの身体が」

勇者姉?「そんなことないわ。アンタの言葉は論旨のすり替えよ」

勇者「…本当の姉ちゃんなんて分からないよ。正直、言葉でどう繕ったって分からないよ」

勇者姉?「それなら…」

勇者「でも、俺は今の姉ちゃんを受け入れるわけにはいかないんだ。勇者としても、弟としても」

勇者姉?「…なるほどね。ここにおいて、勇者と魔王の交渉は決裂。決戦に移るのね」

勇者「……」

勇者姉?「くっくっくっ、騙されなかったな、勇者。貴様の姉のフリをして、懐柔してやろうと思ったんだがなあ!」

勇者「やめろよ……姉ちゃん」

勇者姉?「演技だと言ったろ、バカめ」

勇者「それじゃあ…どうして…」


勇者「どうして泣いてるんだよ…」

勇者姉?「……っ」つうっ…




645: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:32:20 ID:rUYqIq2Q

勇者「……俺はまた間違えたみたいだな。姉ちゃんは魔王になっても姉ちゃんだ」

勇者「いつだって俺の前じゃバレバレなのに強がって、弱虫な俺を励ましてくれて…」

勇者「今だって、バレバレの偽物のフリして、俺に辛い思いをさせないようにして…」

勇者「もういいんだ。姉ちゃんからは、もう、たくさん大切なものを貰ったよ」

勇者姉?「……」

勇者「いつもご飯を作ってくれてありがとな」

勇者姉?「…アンタに美味しいって笑ってほしくて頑張ってたのよ」

勇者「いつも布団や服を洗ってくれてありがとな」

勇者姉?「…アンタが稽古を頑張るのを応援したかったのよ」

勇者「…俺を育ててくれて、そばにいてくれてありがとな」

勇者姉?「アンタがいなきゃ、私は生きたいなんて思えなかったわよ」

勇者「…俺の姉ちゃんでいてくれてありがとな」

勇者姉?「私の弟でいてくれてありがとう」




646: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/26(月) 01:37:26 ID:rUYqIq2Q

勇者姉?「不思議よ…私、アンタを敵と認識しているの」ぽろぽろ…

勇者姉?「アンタのことを愛おしく思っているのに、アンタとのたくさんの思い出があるのに…それでも、完全な敵だと思ってしまうの」

勇者「それは、俺も同じだよ」

勇者姉?「ふふ、姉弟愛は勇者と魔王の因縁には勝てないのね」

勇者「比べることじゃないんだよ。もしかしたら、ちょっと壮大な姉弟ゲンカかもしれない」

勇者姉?「それは素敵な発想ね」


勇者「…………」

勇者姉?「…………」



勇者「魔王、勇者として、おまえを倒すよ」


魔王「勇者、魔王として、アンタを倒すわ」



勇者と魔王の戦いが始まった!




650: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:37:28 ID:BW262EEg

東国・故郷の村


剣士「…迷惑かけたわね」

少女「そんなことないさ。戻れて良かったね」

鬼娘「こ、こんな美人さんだったンスね…」

天使「無事に戻って本当に良かったです」

剣士「ええ……ありがと」

青魔「出来ることをしたまでですわ」にこ

エルフ「…感謝してるなら、もう前みたいのはやめろよ」

剣士「…何のことかしら?」

エルフ「分かってるくせに…」

青魔(…それが本当に何も覚えて何もいないようですわね)




651: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:38:17 ID:BW262EEg

師範「……」

剣士「父さん…その…」

師範「心配かけおって…のこのバカ娘め」

剣士「ええ…」

師範「ほんどに…良がっだ…」ボロボロ

剣士「ほんとに、心配かけてごめんなさい……」

少女「少し二人きりにしてあげようか」ぼそっ

天使「そうですね」ぼそっ





少女「どこで『竜化魔法』なんて修得したんだい?」

エルフ「海の国だ。長いこと修行させてもらった」




652: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:39:46 ID:BW262EEg

鬼娘「どこっスか?」

エルフ「世界で最も神聖な場所だ。世界が魔物によって滅ぼされた時でも、唯一、生命が存続できると言われてる」

青魔「海竜王さまが統治しておられるのですわ」

少女「海竜王…女神の使徒だね。僕の同業みたいたものだ」

エルフ「お前が海竜王さまと…」フッ

少女「あー、その感じなんかエルフっぽい」

鬼娘「高飛車な感じッスね!」

少女「無理やり屈服されて、性奴隷にされる感じのね」

鬼娘「んほおお、ッスね!」

エルフ「ケンカ売ってんのか」

天使「落ち着いてください。お二人もお止めください」




653: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:41:25 ID:BW262EEg

青魔「海の国は時の流れがこちらよりもかなり早いですから、あっという間に数年経ちましたわ…」

天使「それは、まあ…」

鬼娘「女にとっては致命的ッスね…」

青魔「そうなのです…」

エルフ「おれたちもサトリも魔物も、普通の人間に比べたらずっと長生きするんだから大した問題じゃないだろ」






剣士「さて、あのシスコンを探す旅に出るわよ。まずは敵の本拠地、魔国ね」

師範「えっ」

剣士「傷モノにされた責任を取らせなきゃ」

師範「き、傷モノだと!?」ガタッ

少女「いや、刀傷的な意味だと思うよ。…多分」




654: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:43:51 ID:BW262EEg


エルフ「もう少し安静にしていた方がいいぞ」

剣士「もう大丈夫よ。アナタたち全員と同時に戦っても負ける気がしないわ」ニコ

鬼娘「…勝てない気がするッス」

剣士「…まあ、恩人を斬りつけるほど人でなしじゃないわよ」

師範「…本当に行くのか?」

剣士「…親不孝でごめんなさい。縁を切られても文句は言えないわ」

師範「…バカ。お前がいるだけで最高の親孝行だよ。お前は俺の大切な娘だよ。本当に大切な家族だ」

剣士「……」

師範「…こんなこと、いつもなら言わないのにな。俺も年をとった」

剣士「…クサいこと言ったわね」

師範「…風呂には毎日入ってるぞ!」

剣士「…もうっ」にこっ


剣士(……アタシは、こんなにも愛されていることに、気づいていなかったのね)




655: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:47:01 ID:BW262EEg

エルフ「あの変態を探すのは当然として、その前にやることがある」

天使「何ですか?」

エルフ「まずは『破滅の欠片』を安全なところに預けるべきだ。あれは魔王の力そのものだしな」

少女「…確かに敵の本拠地に敵の力の源を持っていくわけにも行かないね」

鬼娘「でも安全な場所ってどこッスか?」

青魔「海の国ですわね。私たちが集めたものも海の国の聖域に安置しています」

剣士「…分かったわよ。その海の国とやらにはどうやって行くの?」

エルフ「北国からさらに北西に行けば入り口の小島に行ける」

天使「北国の北端までは、『転移魔法』で行けると思います」

少女「うっ…また剣の山かい。あそこ険しいんだよね…」

エルフ「『竜化魔法』で飛んでいけばいいだろ」

少女「お、それいい。君、最高だね」

鬼娘「途中で落ちたりはしないッスよね…?」

エルフ「問題ない」




656: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:47:50 ID:BW262EEg

青魔「…今まで何度か落とされかけましたわ」

天使「え……」

剣士「信用に置けないわね」

青魔「本当ですわ」

エルフ「いや、お前が悪い。例えば最初のとき――」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

青魔「竜の背に乗るだなんて初めてですわ。黄竜は乗せようとしませんでしたしね」

竜?「逆鱗ニハ触レルナヨ」

青魔「逆鱗…? あ、これですの?」ガシッ

竜?「ッッッ!?」グオオッ

青魔「きゃあっ! 暴れないでくださいませ!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




657: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:50:01 ID:BW262EEg

エルフ「どうして触るなと言った直後に思いっきり触るんだよ!」

青魔「あ、あれはたまたまなんと言ったか分からなくて、つい……」

エルフ「一回だけじゃなくて何度もあるだろうが!」

鬼娘「うわあ…ドジっ子特性はなおってないんスね」

エルフ「こいつには苦労させられたよ、まったく」

青魔「むっ…! それを言うなら貴女だって!」




658: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/29(木) 00:52:57 ID:BW262EEg


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

竜?「ムム? 巨大ナ怪鳥ノ魔物怪鳥ガ……コチラニ気付イタヨウダナ」

青魔「お任せくださいませ!」

青魔導師は『針一万本』を放った!

無数の大きな針が怪鳥に突き刺さる!

青魔「怒りましたわね。真っ直ぐ来ますので左に避けてくださいませ」

怪鳥は突進してきた!

竜?「イヤ、イケル」

青魔「へっ!?」

竜?は怪鳥を受け止めた!
ぶつかった衝撃で青魔導師は空中に投げだされた!

青魔「きゃあああぁぁぁぁぁー!」

竜?「アッ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




659: ねます 2015/10/29(木) 00:57:08 ID:BW262EEg

青魔「危うく殺されかけましたわ! 竜になると血の気が多くなるのはやめてくださいませ!」

天使「それは配慮が足りませんね」

エルフ「…そんなことあったか?」ふいっ

青魔「覚えているのに誤魔化さないでくださいませ!」

少女「遥か上空からの落下はぞっとするね」

鬼娘「うう…怖いッス」

剣士「乗ってみれば危険かどうか分かるわよ」

エルフ「そうだそうだ」

天使「多少の危険は仕方ありませんよ。それより、竜に乗るなんて初めてで楽しみです!」




勇者「女神から能力を授かった」【後編】へつづく

・SS深夜VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
 勇者「女神から能力を授かった」

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【胸糞注意】彡(゚)(゚)で知る外国の未解決事件
彡(゚)(゚)「共和制になったのにこの国は安定しないな」
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