1: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:38:42 ID:pxObwg8c

ぼく「おるすばんなんだ」

ぼく「おかあさんがおとなしくしていなさいって」

ぼく「おとな……ぼく子どもなのにね」クスクス

ぼく「えっと、おかあさんとのお約束」

ぼく「お外に出ちゃいけない。だれが来てもげんかんをあけちゃいけない。ちゃんと家にいる!」






 
 
2: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:40:12 ID:pxObwg8c

ぼく「……」

ぼく「本でもよもうっと」トテトテ

ぼく「あった」ペラッ

キャー!

ぼく「!?」

トタトタトタ……

ぼく「うるさいなぁ」

ぼく「あ、おひっこししてきたんだっけ?」

ぼく「えっと、おとうさん、おかあさん、女の子、男の子」

ぼく「女の子はお姉さんだったかな?」

ぼく「……ぼくはしずかにおるすばんしてるのに」





3: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:42:06 ID:pxObwg8c

ぼく「……」

ぼく「でもいいな。おとうさんやおとうとがいて」

ぼく「ぼくにはおとうさんはいないし、お姉さんもおとうともいない。ひとり」

ぼく「おとうさんはしんじゃったっておかあさんが言ってた」

ぼく「……おとうさんってどんな感じなんだろう」

ぼく「……」

ぼく「いいんだ! ぼく、おかあさん大好きだし!」

ぼく「おかあさんがいるからだいじょうぶ!」

ぼく「……おかあさん、早く帰ってこないかな?」





4: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:44:18 ID:pxObwg8c

ぼく「……」

ぼく「てれびでも見ようかな?」トテトテ

ぼく「スイッチスイッチ……リモコン見つけた」

ぼく「ぽちっと」ポチッ

パッ! ――ワハハハハ

ぼく「お笑いてれびだ」フフ

ガチャンッ!

ぼく「!?」

バタバタバタ……

ぼく「……びっくりした。あの子のおかあさん? 何か落としたのかな?」





5: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:46:30 ID:pxObwg8c

ぼく「大人もうるさくしちゃうんだね」クスクス

ぼく「“おとなしく”ってなんだろうね」クスクス

ぼく「そういえば……こっちのお部屋には入ったことないな」

ぼく「おかあさんがダメだって」

ぼく「でも今はおかあさんはお出かけ中」フフフ

ぼく「入っちゃおうかな?」トテトテ

ぼく「んしょ」ガタガタ





6: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:48:23 ID:pxObwg8c

ぼく「……」

ぼく「あかないなぁ……カギかな?」ガタガタ

ウワッ!!

ぼく「!?」

ドタドタドタ……

ぼく「おとうさん……かな? 足音大きいなぁ」

ぼく「おとうさんって大きいのかな?」

ぼく「どれだけ大きいのかなぁ……」

ぼく「ぞうさんくらい? きょうりゅうくらいだったりして」クスクス





7: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:50:08 ID:pxObwg8c

ぼく「……」

ぼく「おかあさんまだかなぁ」

ぼく「おかあさんはちょっと怒りっぽいんだ」

ぼく「やっぱりさっきお部屋に入らなくてよかった」

ぼく「怒られちゃう」

ぼく「でもね、やさしいんだよ」

ぼく「寒いときとかぎゅってしてくれたりするんだよ」フフ

ぼく「だからおかあさん大好き!」





8: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:52:06 ID:pxObwg8c

ぼく「……」

ぼく「おもちゃで遊ぼうっと」トテトテ

ぼく「ひこうきのおもちゃ」スッ

ぼく「ぶーん!」タタタ

アハハハハ!

ぼく「!?」

パタパタパタ……

ぼく「……今のは男の子かな?」

ぼく「楽しそうだったな」

ぼく「ふふふ……ぼくもなんだか楽しいや」

ぼく「ぶーん!」タタタ



.





9: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:54:12 ID:pxObwg8c

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



おばさん「あら、お引っ越しですか?」

お母さん「ええ……まあ」

おばさん「結構最近よね? こちらに越してきたの」

お母さん「ええ……」

男の子「ボクはね、おひっこししたくないのにね、ひっこしちゃうの」

お母さん「あ、こら!」

男の子「すごいんだよ! ひこうきのおもちゃがかってにとんだんだよ!!」

お母さん「こら! お家に戻ってなさい!」

男の子「だって、おもしろかったんだよ! なのにみんなきもちわるいって!」

お母さん「いいから、ほら、あっちにおやつがあるから」

男の子「わーい!」パタパタパタ





10: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:55:13 ID:pxObwg8c

おばさん「……やっぱりでたんだね」

お母さん「えっ……でたって……」

おばさん「知らないで越して来ちゃったの? この辺りでは有名なんだよ、“でる”って」

お母さん「そ、そうなんですか?」

おばさん「ええ! でるのよ」



おばさん「小さな男の子の幽霊がね」


.





11: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:56:27 ID:pxObwg8c

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



ぼく『まだかなぁ』



――なんでも置き去りにされたらしいのよ



ぼく『おなかすいちゃったな』



――餓死ですって……かわいそうに……



ぼく『でもおなかへったって言ったら怒っちゃうかな?』



――虐待されてたらしくてね……





13: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:57:18 ID:pxObwg8c

ぼく『おとなしくしてなきゃね』



――声も出さずに耐えてたみたいで近所の人もよくわからなかったって



ぼく『大丈夫だよ、ぜったいお約束は守るから』



――母親に言われた事を律儀に守っててね……



ぼく『おかあさんとのお約束だからね』



――決して外には出なかったらしくて





15: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:58:27 ID:pxObwg8c

ぼく『おかあさん、まだかなぁ』



――部屋の真ん中で発見されたの



ぼく『おかあさん、大丈夫だよ』



――母親はその三日後に行方がわかったらしいわ



ぼく『ぼくはおかあさん大好きだから』



――邪魔だったって





16: ◆uSEt4QqJNo:2013/12/28(土) 22:59:45 ID:pxObwg8c

ぼく『だからね、ずっと、ずーっと待ってる』



――本当に酷い話だよ……






ぼく「おかあさんとのお約束。……だから」






ぼく「ぼくは家にいる」









18:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/28(土) 23:08:12 ID:cI9rheEM

うわぁあああん!乙!
怖い話なんだろうけど…涙が出てくる…せつねぇよぉ…っ!





19:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/29(日) 01:00:22 ID:BI59fQjs

普通に鳥肌たった






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