1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:19:49.05 ID:6KJFInru0

< 剣士の家 >

妻「どう、美味しい〜?」

剣士「ウマい! 君の料理は最高だよ! 俺は幸せものだ!」モグモグ…

妻「よかったわぁ〜」

妻「ところであなた、今日はどんなお仕事なの?」

剣士「西の山にいる山賊団の掃討だよ!」

剣士「ま、いつものように大活躍してみせるから、期待しててくれよ!」

妻「絶対に無理はしないでね? 命が一番大事なんだから……」

剣士「分かってるって!」

剣士「といっても、俺にとって一番大事なのは君だけどな!」

妻「まぁ……あなたったら……」


元スレ
ニュース速報(VIP)@2ちゃんねる
剣士「俺は妻のところに行く!」女騎士「行くなぁぁぁ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1377688789/


 
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:24:21.56 ID:6KJFInru0

剣士「じゃ、行ってくるよ!」

妻「いってらっしゃ〜い」

妻「絶対無理しちゃダメよ〜。私を一人にしちゃイヤよ〜」

剣士「もちろんだとも! 君一人残して死ねるもんか!」

剣士「愛してるよぉ〜!」

妻「あらもう……いやだ!」ポッ…

剣士「それじゃ、また手柄を立ててくるよ!」

剣士「手柄話、楽しみにしててくれよ!」ザッザッ…

妻「…………」





6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:28:29.04 ID:6KJFInru0

< 戦士団詰所 >

戦士団とは、国の平和を守るべく設置された治安維持部隊である。

構成メンバーは平民出の戦士であり、それを二名の騎士が統率する。

ワイワイ……

友人「よう」

剣士「おはよう!」

友人「この幸せもんがぁ〜、朝っぱらからニヤニヤしやがってぇ」

剣士「やっぱ分かる?」

剣士「今日も妻に、無理はするな、なんていわれちゃったからさ」

剣士「こんなこといわれたら、無理してでも手柄立てたくなっちゃうよな!」

友人「マジぶん殴りてぇ〜」





8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:33:22.95 ID:6KJFInru0

友人「この戦士団ではパッとしなかったお前が」

友人「あんな良家のお嬢さんに惚れられて、即結婚だもんなぁ〜」

友人「しかも結婚してからは、やたら手柄を立てるようになったし」

友人「ホント羨ましいったらないぜ」

剣士「妬くな、妬くな」

剣士「お前にもいずれ、いい相手が現れるだろうよ」

剣士「もっとも、その女より俺の女房の方が百倍はいい女だろうけどな!」

友人「マジぶん殴りてぇ〜」

ガチャッ…… ガチャッ……

友人「おっと、甲冑の音だ」

友人「騎士サマ二人のお出ましだ!」





9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:37:39.18 ID:6KJFInru0

黒騎士「おはよう、諸君」

女騎士「全員、揃っているか!?」

「はいっ!」 「はいっ!」 「はいっ!」

女騎士「声が小さい!」

「はいっ!!!」 「はいっ!!!」 「はいっ!!!」

友人「おぉ〜……こえぇ女」ボソッ…

友人「でも兜で顔を隠しちゃいるが、あの女騎士、絶対美人だよな」ボソッ…

剣士「だろうな……」

女騎士「キサマら! だれが勝手にしゃべっていいといった!」

友人「す、すみません……!」ビクッ





11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:43:20.62 ID:6KJFInru0

黒騎士「さて、今日の任務はかねてからの予定通り──」

黒騎士「西の山を根城とする山賊団討伐を行う」

黒騎士「今から女騎士が君たちの役割を振り分けるから」

黒騎士「それに従い、各自行動せよ!」

「はいっ!!!」 「はいっ!!!」 「はいっ!!!」

女騎士「まず、キサマは突撃A班だ。黒騎士殿に従え」

若者「はいっ!」

女騎士「キサマは待機」

新米「はいっ!」

女騎士「キサマは突撃B班だ。私の命に従ってもらう」

金髪「へいっ!」

女騎士「へいじゃないだろう! はい、と答えんか!」

金髪「は、はいっ!」ビシッ





14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:47:58.25 ID:6KJFInru0

女騎士「──残り二人か」

女騎士「キサマは突撃A班だ」

友人「はいっ!」

女騎士「さて残るキサマは──」

剣士「…………」

女騎士「待機だ」

剣士「え?」

剣士「ちょ、ちょっと待って下さい!」

剣士「俺はこないだも手柄を上げました! 突撃班に入れて下さい!」

ザワザワ……

「そうだよなぁ〜」 「剣士さんは突撃班の方が……」 「最近調子いいみたいだし」





16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:54:24.80 ID:6KJFInru0

女騎士「黙れっ!!!」

シ〜ン……

女騎士「キサマが最近手柄を上げているのは、私も知っている」

女騎士「だが、そういう時ほど人間というのは慢心し、大怪我をする」

女騎士「今のキサマはまさにそうなりつつある」

女騎士「よって、待機だ!」

女騎士「分かったな!」

剣士「はい……」

剣士(ふん、そうはいくかってんだ)

黒騎士「…………」





17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 20:57:56.76 ID:6KJFInru0

< 西の山 ふもと >

黒騎士「今から山賊団討伐にかかる」

黒騎士「作戦はこうだ」

黒騎士「吾輩が率いる突撃A班が、中腹にある山賊団アジトに正面から突撃」

黒騎士「混戦になったところへ、突撃B班が援軍として加わり一気に掃討する」

黒騎士「待機班は、山のふもとで待機! 指示があるまで絶対に動かないように!」

黒騎士「ふもとで待機しているだけで、十分山賊たちのプレッシャーになるからな」

黒騎士「ではもうまもなく、A班から出撃する!」





18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:03:27.40 ID:6KJFInru0

友人「あの黒騎士も、ずいぶん変わったよな」

剣士「変わったって?」

友人「ヤツは凄腕だが血の気が多く、栄光ある騎士団には所属せず……」

友人「昔は暗殺みたいな仕事に特化した特殊部隊を、独自に率いてたってハナシだ」

友人「甲冑が黒いのもその名残りだとか」

友人「でも、王国の方針に相応しくないとかで、王によって特殊部隊は解体されて」

友人「今やこんなのんきな民兵組織の長に成り下がった」

友人「ああやってマジメにやってるが、内心じゃ結構ムカついてんじゃないかな」

剣士「ふうん……そうかなぁ」





21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:06:28.96 ID:6KJFInru0

黒騎士「ではA班出撃する!」

友人「おっと、そろそろ行かなくちゃ」

剣士「気をつけろよ。山賊だからって油断するなよな」

友人「おうよ、結婚するまでは死ねるかってんだ!」

友人「お前はせいぜい待機してる間に、奥さんのためにウソ手柄話を考えとけよ!」

友人「んじゃな!」タタタッ

剣士(そうはいかないんだな)

剣士(女房のためにも、待機なんかしてられっかっての!)





22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:11:34.64 ID:6KJFInru0

女騎士「時刻だ……」

女騎士「では、突撃B班も出撃する!」

「はいっ!!!」 「はいっ!!!」 「はいっ!!!」

ザッザッザッ……



待機班は、山のふもとに設置されたテントで待つことになる。

新米「ふう……なかなか実戦には加わらせてもらえないなぁ」

新米「それにしても、ボクみたいな新入りならともかく」

新米「剣士さんみたいなエースが待機なんて、さぞかし不満──」

新米「あれ? 剣士さん!?」キョロキョロ





25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:17:21.27 ID:6KJFInru0

山道を迅速に登っていく、女騎士率いる突撃B班。

女騎士「遅れている者はいないな?」クルッ

金髪「へい、遅れてる人はいないッスけど……」チラッ

剣士「ども」

女騎士「キ、キサマ……いつの間に!?」

金髪「あ、声でかいッスよ」

女騎士「ぐ……!」

女騎士「キサマには待機を命じていただろうが!」

剣士「でも、妻のためにどうしても手柄立てたくて、来ちゃいました」テヘッ

女騎士「まったく……なにを考えている!」





26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:21:44.96 ID:6KJFInru0

女騎士「……もういい、今さら戻れともいえん」

女騎士「このままB班に加われ」

女騎士「ただしそれ相応の手柄を立てねば、命令違反の重罰は覚悟してもらうぞ」

女騎士「他の団員に示しがつかんからな」

剣士「分かってますって!」

剣士「うおお〜……燃えてきた!」

金髪「大丈夫ッスか、剣士さん。重罰とかいわれてますけど……」

剣士「手柄立てりゃいいんだろ? 何とかなるって」

剣士「俺、最近すっごく調子いいの、知ってんだろ?」

金髪「まぁ……そりゃそうッスけど」

女騎士「…………」





28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:28:33.61 ID:6KJFInru0

< 西の山 中腹 >

黒騎士率いるA班と、山賊団の戦闘が始まっていた。

ワァァァ……! ウォォォ……!

ガキンッ! キンッ! ザンッ! ガッ! ズバッ!

頭領「チッ、まさかこんな白昼堂々攻めてきやがるとは……!」

頭領「なめやがって……全員ぶっ殺せぇっ!」

ザンッ! キンッ! ガキンッ! ズシャッ! ドサッ!

山賊A「うりゃっ!」ブンッ

友人「うおっ!」サッ

友人「独身のまま死ねるかってえの!」シュッ

ドスッ……!

山賊A「うぎゃあ……っ!」ドサッ





30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:32:39.94 ID:6KJFInru0

友人(さすが、悪名高い山賊団! 数も多いし、ひとりひとりが結構強え!)

友人(でも、あの黒騎士──やっぱりすげえな)

友人(一人でもう10人以上はブッ倒してやがる!)

友人(しかも指示が的確で、こっちは一人もやられてねえ!)

ズパンッ! シュッ! シュバァッ!

黒騎士「……ふう」

黒騎士「敵は混乱している! 一人に対し、二人か三人でかかれ!」バッ

「はいっ!!!」 「はいっ!!!」 「はいっ!!!」

友人(それに……そろそろB班が来る頃だ)

友人(この戦い……勝ったな!)





31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:36:10.23 ID:6KJFInru0

女騎士「B班到着! 突撃するぞ!」サッ

金髪「へいっ!」ダッ

剣士「よっしゃあ!」ダッ

ワァァァ……!

黒騎士「来たか」

ウォォォ……!

友人「──ってなんで剣士もいやがるんだ!? アイツは待機だろ!?」

ドォォォ……!

頭領「ただでさえ手こずってるってのに……新手だと!? クソがっ!」





33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:42:23.36 ID:6KJFInru0

友人「なんでお前がここに!?」

剣士「決まってんだろ。どうしても活躍したくってさ」

友人「まったく、とんでもない奴だ……」

剣士「! ──オイ、後ろ!」

山賊B「死ねやっ! ──うっ、目にゴミが!」

友人「おりゃあっ!」

ザンッ!

山賊B「ぐ、へぁ……」ドサッ

剣士「やるじゃねーか!」

友人「ふん、まあな。運がよかったぜ……あぶねぇ、あぶねぇ」





34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:46:21.08 ID:6KJFInru0

一方、女騎士は山賊の頭領を発見していた。

女騎士(いた!)

女騎士(あれが頭領!)

女騎士「いざ、尋常に勝負!」チャキッ

頭領(この声、女か!?)

頭領「女如きにやられるかよっ!」チャキッ

ギンッ!

キンッ! ガキンッ! キィンッ! キンッ! ガィンッ!

頭領(つ、つええ! この俺が守るので精一杯だと!?)キンッ

頭領(だ、だがこの女……)ギンッ

頭領(さっきから深く切り込んでこねえ!?)キィンッ

頭領(まるで、ずっと剣の打ち合いをしたがってるかのような……?)キンッ





35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:50:23.60 ID:6KJFInru0

頭領(このアマ……俺のスタミナ切れを狙ってんのか!?)ギィンッ

頭領(だったら力で強引に──)グッ…

頭領「!?」ズキッ…

頭領(ぐ、ヒジに痛みが……! ちぃっ!)

キィンッ! ギンッ! ガキンッ! ギンッ! キィンッ!

頭領(く、くそっ……疲れてきた……!)キンッ

頭領(こうも長時間、激しい打ち合いをやらされちゃあ……)ギンッ

頭領(どこかで切り上げて逃げねえと──)キンッ

頭領(──ん!?)

頭領(攻撃が止まった!)

頭領(今ならこっちに逃げられる!)ダッ

女騎士「……よし」





36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:55:25.15 ID:6KJFInru0

剣士「ん、お前はまさかボスか!?」

頭領(ゲッ、こっちにもいやがったか!)ゼェゼェ…

剣士「うおりゃあっ!」ビュアッ

頭領(あの女に比べりゃ大した攻撃じゃねえが──こんなヘトヘトじゃ、かわせねえ!)

ズバァッ!

頭領「あ、ぐぅ……」ガクッ

剣士「よっしゃあああああっ!」

剣士「オイみんな、俺が山賊団のボスを仕留めたぞ!」バッ

剣士「俺が仕留めたんだ!」

ワァァ……! ウォォ……!

金髪「すげえッス、剣士さん! 有言実行じゃないッスか!」

友人「アイツ、また大手柄立てやがったな!」

黒騎士「…………」





37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 21:59:28.67 ID:6KJFInru0

戦いは、戦士団の快勝に終わった。

黒騎士「皆、よく戦ってくれた」

黒騎士「残念ながら一部を捕え損ねてしまったが──」

黒騎士「山賊団は壊滅したといって差し支えはあるまい」

黒騎士「特に大手柄だったのが、剣士だ」

黒騎士「君が頭領を倒したおかげで、山賊たちは総崩れになったからな」

パチパチパチパチ……!

剣士「いやぁ〜……それほどでも……あるけど」

友人「また調子に乗りやがって」

剣士「ところで女騎士さん」

剣士「これで俺は罰を受けなくていいんですよね? ボスをやっつけたんですから」

女騎士「約束だからな……仕方あるまい!」





41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:06:22.08 ID:6KJFInru0

< 戦士団詰所 >

黒騎士「本日はこれにて解散!」

女騎士「各自、酒でも飲んでから帰るがいい!」

ワイワイ……

友人「よっしゃ、お言葉に甘えて飲みに行こうぜ。っつってもいつも飲んでるけど」

金髪「そうッスね!」

剣士「そうだな!」

剣士「あ、そうだ! 女騎士さんもぜひご一緒に!」

女騎士「ふざけるな! だれがキサマらなどと飲むか! 私は帰る!」ザッ

剣士「ですよね〜ハハ」

友人「……当たり前だよ。あの女が俺らなんかと飲むわけねえだろ」





42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:09:23.43 ID:6KJFInru0

< 剣士の家 >

剣士「ウ〜イ、酔った……」

剣士「たらいまぁ〜……」

妻「お帰りなさい、あなたぁ〜」

妻「食事は用意してあるけど……食べられる?」

剣士「そりゃもちろん! この俺が君の料理を残すわけないだろ!」

妻「やだ……もう」ポッ…





45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:14:42.94 ID:6KJFInru0

ガツガツ…… ムシャムシャ……

妻「ところで、今日のお仕事はどうだったの?」

剣士「そりゃもう、今日も大手柄を上げてみせたよ!」

剣士「なんたって山賊団のボスを、俺がやっつけたんだ!」

妻「まあ、すごい!」

剣士「すごい死闘だったぜ……互いに一歩も引かぬ攻防が続き……」

剣士「俺が一瞬のスキを突いて!」

剣士「俺の高速剣が、ボスの体を切り裂いたんだ!」

剣士「ま、相手も強かったけど、俺のがさらに強かったってとこかな」

妻「さすがね、あなた」

剣士「君にも見せたかったよ、あの勇姿!」

妻「いえいえ、話を聞いているだけで十分伝わるわよ〜」





46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:17:24.67 ID:6KJFInru0

< 寝室 >

剣士「さぁ〜て、それじゃおやすみ」

妻「おやすみなさい、あなた」

剣士「ぐぅ……ぐぅ……」

妻「…………」

妻「あなた……」

妻「ステキだったわよ、あなた」

妻「さて、私も寝なくちゃ」モゾッ

妻「すぅ……すぅ……」





50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:24:21.49 ID:6KJFInru0

またある時、戦士団はテロ活動を行う武装集団と対峙していた。

女騎士「いざ尋常に、勝負!」チャキッ

ボス「正義は我らにあり! その我らがキサマら如きに敗れるか!」チャキッ

キンッ! ガキンッ! キィンッ!

女騎士「ちっ……(手強い……)」ザザッ

ボス「長期戦に持ち込み、我の体力を消耗させようというのだろうが──」

ボス「そのような消極的な策は愚の骨頂!」ダッ

ズルッ! ドデッ!

ボス「あだだっ……!」

女騎士「勝利を焦り、ドジを踏んだか……」

女騎士「ちょうどいいところにいた! 剣士、やってしまえっ!」

剣士「よっしゃあっ!」ダッ





52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:29:27.67 ID:6KJFInru0

剣士「ま、俺にかかれば武装集団の一つや二つ、ラクショーよ」

友人「すげぇな、また敵将を倒したのかよ」

金髪「さすがッス! 尊敬ッス! 憧れるッス!」

新米「ボクも剣士さんのような戦士になりたい……!」

剣士「ま、もう少しで手柄は女騎士さんのものだったのに、残念でしたね」ニヤッ

女騎士「ふん、私は目先の手柄などに興味はない」ザッ

友人「…………」

友人「しっかし、お前が大手柄を立てる時は大抵女騎士が近くにいるけど」

友人「お前らって相性いいんじゃないか?」

剣士「……そうかもな」

友人「お、浮気か?」

剣士「そんなわけあるか!」





53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:34:28.99 ID:6KJFInru0

< 剣士の家 >

剣士「──とまぁ、こんなところさ」

剣士「俺のド迫力にビビってすっ転んだボスを、ノックアウト」

剣士「危険極まる武装集団も、俺にかかっちゃただの烏合の衆ってとこさ」

剣士「ハッハッハッハッハ……」

妻「手柄を立てて嬉しそうなあなたを見ていると、私も幸せになれるわ〜」

剣士「そういってもらえると、嬉しいよ」

妻「でも、絶対無理しちゃダメよ。怪我したり、死んじゃダメよ」

剣士「分かってるって……。君を守るのは俺の役目だからな!」





54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:39:49.42 ID:6KJFInru0

またある日のこと──

< 剣士の家 >

友人「すみません……急に押しかけちゃって」

妻「いえいえ、主人がいつも世話になってるんですもの」

友人「剣士の奥さんを一目見たいって、こいつらがせがむもんで……」

金髪「なにいってんスか。行こうっていったのは友人さんッスよ」

金髪「でもホント、キレイッスね! 穏やかな雰囲気がまたいい!」

新米「戦士団のエースとご令嬢のカップルか……出来すぎなぐらいですね」

剣士「妬くな、妬くな」

剣士「お前らも頑張れば、俺の十分の一くらいは幸せになれるさ」

友人「マジ殴りてぇ〜」

金髪「じゃあ俺は蹴りたいッスね」

新米「ボクは斬りたいです!」ニコッ





55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:45:55.24 ID:6KJFInru0

友人「でも、気をつけた方がいいですよ」

妻「あら? なにをかしら?」

友人「俺らの上官は黒騎士と女騎士っていう二人の騎士なんですけど」

友人「こいつが大手柄を立てる時は、大抵女騎士と組んでるんですよ」

友人「浮気しないよう、よく見張っておかなきゃダメですよ」

妻「まあ……そうなの?」ジロッ

剣士「いや、まあ、そうなんだけどさ」

剣士「だけど、浮気なんて絶対ありえない! 神に誓って!」

金髪「そうだ! 一度奥さんも戦士団の詰所に来たらどうッスか?」

新米「あ、それいいですね!」

友人「一度女騎士に、本人から直接釘刺しといた方がいいかもしれないな!」

妻「!」ギクッ





58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:49:42.21 ID:6KJFInru0

妻「いえ……私は……家のこともあるし……」

友人「なあに、ちょっと行って帰ってくりゃいいんですから!」

金髪「ぜひ、一度来て下さいッス!」

新米「お茶ぐらいは用意しますよ!」

妻「で、でも……」

剣士「お前ら、あまり俺の女房を困らせるなって!」

剣士「あんな武骨で汗臭い場所に、妻を入れたくねえしな!」

友人「こいつぅ〜……」

友人「ま、奥さん、今のは冗談です。こいつに限って浮気なんてありえないですよ!」

妻「ええ、もちろん信じてるわ〜」

ハッハッハッハッハ……

妻「…………」ホッ…





59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:53:24.49 ID:6KJFInru0

その後も剣士の活躍は続いた。

< 盗賊団アジト >

剣士「よっしゃ、盗賊団の首領を討ち取ったぜ!」ジャキッ

剣士「妻よ、俺はまたまた活躍してしまったぞぉ〜!」

剣士「世界一愛してるぞぉ〜!」

友人「ったく、デカイ声で恥ずかしいヤツ……。でも、ホント絶好調だな」

女騎士「ふん、この程度の手柄で調子に乗りおって……」



< 剣士の家 >

剣士「お、今日の夕食は豪勢だな! なにかいいことがあったのか?」

妻「ナイショよ〜」

妻「世界一愛してるあなたのために、腕によりをかけて作ったの」

剣士「嬉しいこといってくれるじゃんか!」ガツガツ…

妻「うふふふ……」





60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 22:57:55.65 ID:6KJFInru0

しかし──

< 酒場 >

新聞記事を睨みつけるゴロツキたち。

『戦士団の剣士、またまたお手柄! 盗賊団首領討ち取ったり!』

残党A「ちっ、胸糞わりぃ記事だ!」バサッ

残党A「戦士団さえいなきゃ、今も山賊団としてブイブイいわせてたってのによ」

残党A「今じゃしがないコソ泥生活……クソがァッ!」グビッ

残党A「こんなクソ田舎の酒場で、安酒かっこむ毎日だ!」

残党A「特にこの剣士……イケ好かねえ! コイツが首領を……!」

残党B「なぁ……だったら復讐しないか?」

残党A「あ?」





62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:01:48.15 ID:6KJFInru0

残党B「この記事、よく見てみろよ。剣士は新婚で、妻がいるらしい」

残党B「周囲が呆れるほど愛し合ってて、いわゆるオシドリ夫婦ってやつだ」

残党B「この妻を人質にすれば、剣士はいうこと聞かざるをえないだろ?」

残党B「散々屈辱を味わわせてから、最後には夫婦そろってあの世に送ってやるんだ」

残党A「おお、そりゃいいな!」

残党A「いつやるよ?」

残党B「今……っていいたいが、決行は明日にしよう」

残党B「これから、他の残党仲間やチンピラをかき集めて、明日剣士の家に乗り込もう」

残党A「……よぉし」ニヤッ

残党B「ヒヒヒ……借りは百倍にして返してやろう」





63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:06:34.86 ID:6KJFInru0

翌朝──

< 剣士の家 >

剣士「じゃ、行ってくる」

妻「行ってらっしゃぁ〜い」

妻「気をつけてねぇ〜」

剣士「愛してるよぉ〜!」

妻「もう、人が見てたらどうするのよ……」



残党A「よし、剣士が出かけたぞ」

残党B「ヒヒヒ……少し待ってから、全員で家に乗り込むぞ」

残党A「おう」





64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:11:51.95 ID:6KJFInru0

残党A「そろそろいいんじゃねえか?」

残党B「そうだな。そろそろ──」

残党B「ん!?」



ガチャッ……

女騎士「カギをして、と」カチッ

女騎士「…………」タッタッタッ…



残党A「あれは戦士団の女騎士!? なんで剣士の家から出てくるんだ!?」

残党B「多分……なにか用があって、剣士の家に泊まっていたんだろう」

残党B「なんにせよ運がよかった」

残党B「もう少しで女騎士がいるところに乗り込むハメになってたからな」

残党B「これでもう、家の中は剣士の妻一人だけのハズだ!」





65: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) :2013/08/28(水) 23:11:55.46 ID:T6n+SK9I0

残党共…





69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:17:31.94 ID:6KJFInru0

残党A「ドアも窓も、全部閉じてやがる。用心深えな」

窓ガラスを割って、家に侵入する残党たち。

ガシャァンッ!

ゾロゾロ……

残党A「よしみんな、妻を探せ!」

残党A「捕まえて、人質にしてやるんだ!」

ザワザワ……

「どこにもいねえ!」 「この家、留守ですぜ!」 「どうなってんだ!?」

残党A「なにぃ……!?」

残党B「もしかしたら、別の出口から出かけた、とかしれないな」

残党B「まあ専業主婦だろうし、すぐ戻ってくるだろう」

残党A「ちっ、しょうがねえ。帰ってくるまで待つか」





71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:21:37.09 ID:6KJFInru0

< 戦士団詰所 >

金髪「マジッスか!?」

友人「やべえよ、すぐ行かねえと!」

新米「そんな……」

剣士「…………」

ザワザワ…… ドヨドヨ……

女騎士「どうした、何があった?」

友人「あっ、女騎士さん! たった今、通報伝書鳩で大変な知らせが送られてきて──」

女騎士「大変な知らせ?」

友人「なんでも剣士の家に、ゴロツキの集団がガラスを割って侵入したって……」

女騎士「!?」





74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:27:30.58 ID:6KJFInru0

友人「今日は黒騎士さんいねえし、どうすれば……!」

剣士「決まってる!」

剣士「俺は今すぐ家に戻る! もし妻の身になにかあったら──」

女騎士「ま、待て!」

剣士「なんだ!?」

女騎士「キサマの妻は……きっと無事だ!」

剣士「なんでアンタにそんなことがいいきれる!?」

女騎士「そ、それは──」

剣士「女騎士さん、いくらアンタの命令でもそれは聞けないな」

剣士「俺は妻のところに行く!」

女騎士「行くなぁぁぁ!」





75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:30:46.13 ID:wq6lqea8I

このスレタイ回収は予想できなかった





78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:32:30.23 ID:6KJFInru0

剣士「なぜ止める!?」

剣士「そのゴロツキどもの狙いは分からないが──」

剣士「こうしてる間にも、妻が暴力を振るわれているかもしれないんだ!」

剣士「世界一愛している、俺の妻が!」

女騎士「…………!」ドキッ

女騎士「よく聞こえなかった、もう一回」

剣士「世界一愛している、俺の妻が!」

女騎士「すまん、もう一回」

剣士「世界一愛している俺の妻!」

友人「ちょ、ちょっと、何回聞き返してるんですか!?」

金髪「そうッスよ! どうするか、すぐ考えないとヤバイッスよ!」

女騎士「そ、そうだな」





79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:36:13.96 ID:6KJFInru0

女騎士「よし……まずは私が一人で様子を見に行く!」

友人「いくら女騎士さんでも、一人じゃ危なくないですか?」

女騎士「大勢で向かうと、敵を刺激してしまうかもしれん」

女騎士「女一人であれば、敵も油断するだろうしな」

友人(アンタを見て、油断する敵なんているかぁ……? かえって警戒される気が……)

女騎士「キサマらはそうだな……私が出てから20分後に出発してくれ」

女騎士「絶対にそれより早く出発することがないように! 特に剣士はな」

女騎士「分かったな! これは命令だ!」

剣士「……分かりましたよ」





83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:42:44.32 ID:6KJFInru0

詰め所を出発した女騎士。

< 古着屋 >

女騎士「あのう」

主人「これはこれは、もしや騎士階級の方ですか?」

女騎士「女物の服を……一番安いやつで。あ、あとここで着替えるから」

主人「おやおや、騎士様には特別にいいものをご用意いたしますが──」

女騎士「悪いが、早くしてくれるか!?」ギロッ

主人「は、はいっ!」ビクッ



妻「これでいいかしらねぇ」モゾモゾ…

妻「ありがとうございました〜。本当に申し訳ありませんでした」

主人「い、いえいえ……」

主人(女ってのはこうもみごとに化けるのか……)





85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:47:06.94 ID:6KJFInru0

古着屋を出発し、自宅へと急ぐ妻。

妻(これで主人が家に戻っても)

妻(私がいないっていう事態は避けられるわねぇ〜)

妻(主人が留守中に浮気してるだなんて、誤解されたくないものねぇ〜)

妻(……でも、先に出発した女騎士のことはどう説明しようかしら)

妻(まあ、あとで考えましょ)

妻(鎧や剣を身につけてると、自分が別人になった気がして強気になれるのだけど)

妻(普段着だとどうも、思考までのんびりしてしまうわ)

妻(悪人たちもいつまでも家にいないだろうし、なんとかなるわよね)





86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:51:45.99 ID:6KJFInru0

< 剣士の家 >

妻「ただいまぁ〜」

妻「あら?」

ズラッ……

家に戻った妻を、十数人の悪党が待ち構えていた。

残党A「へっへっへ、待ってたぜ」

残党B「アンタには、人質になってもらう」

妻「あらあら、あなたがたはもしかして西の山で山賊をやっていた方々?」

残党A「ほぉう、よく知っているじゃねえか。夫に聞いたのか?」

妻(きっと、主人に恨みを晴らすためにやってきたのね)

妻(剣も鎧もない今の私じゃ、太刀打ちできそうもないし……)

妻「それじゃ、せっかくなのでお茶でも入れますね」

残党A(なんてのんびりした女だ……やりづれぇ)





87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:52:46.99 ID:ZgN3zJuTO

ラブラブやな





88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:55:00.44 ID:9PyXy6AJ0

いい奥さんだな





89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:55:27.99 ID:6KJFInru0

残党B「ん、どうやら戦士団がやってきたようだ」

残党A「はええな、どっかのバカが通報でもしやがったか!」

残党A「まぁいい、こっちには人質がいるんだ」

残党A「勇敢なる戦士団の皆さまと、堂々と対峙してやろうじゃねえか」ニィッ

妻「…………」



剣士の家の近くまでやってきた戦士団。

友人「あれ……? 女騎士さん、先に来てるんじゃねえのかよ」キョロキョロ

金髪「どこにもいないッスね」

新米「と、突撃しますか!?」ドキドキ…

友人「いやいやいや、剣士の奥さんが人質になってるかもしれねえんだ!」

友人「とりあえず、様子を見よう」

友人(くっそぉ〜……黒騎士さんも女騎士さんもいないのか……まいったな)





90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/28(水) 23:59:34.58 ID:6KJFInru0

戦士団を挑発する残党たち。

残党A「オイ、てめえら!」

友人「あ、お前らは……たしか西の山の山賊!」

残党A「おうよ、山賊団を潰された借りを返しに来たのさ!」

残党A「いっとくが、突撃とかバカなこと考えるんじゃないぜぇ〜?」

残党A「こっちにゃ人質がいるんだからよ」グイッ…

妻「いたた……皆さん、ごめんなさい……」

友人「あ、奥さん! ……くそっ、これじゃ手は出せねえ!」

残党B「三下に用はない。俺たちの標的(マト)は剣士だ」

残党B「剣士を出してもらおうか?」ニヤッ

友人(剣士……)チラッ

友人(あれ、剣士がどこにもいねえ!? アイツ、どこいきやがった!?)





91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:07:41.34 ID:6KJFInru0

残党A「なにをグダグダやってやがる! とっとと剣士出せや!」

友人「え、えぇ〜と……剣士がいねえんだよ、いやマジで!」

残党A「なんだと!? なんでいねえんだ!」

残党B「……ふぅ〜ん、さては妻を見捨てて女騎士と浮気でもしてるんじゃないか?」

友人「女騎士さんと? なにいってやがる……!」

残党B「俺たちは見たんだよ」

残党B「今朝、女騎士がこの家から出てくるところをな……!」

友人「な、なんだと……!?」

金髪「マジッスか……!?」

残党B「この状況で、わざわざこんなウソをつく必要はないだろ」

ドヨドヨ……

「女騎士さんもいないし……」 「まさかあの二人……」 「ウソだろ……」

妻(ああ、どうしましょう。私がのこのこ家に戻ったばっかりに……)

妻(戦士団に迷惑をかけ、主人の名誉にまで傷がついて……)





92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:11:43.08 ID:6KJFInru0

友人「バカヤロウッ!!!」

残党A「!?」

友人「俺は剣士とは戦士団に出会って以来の仲で、そんなに長い付き合いでもねえが」

友人「これだけは分かる……」

友人「アイツほど自分の奥さんを愛してるヤツを、俺は知らねえよ!」

友人「たとえ天地がひっくり返ろうが、アイツが浮気なんてありえねえ!」

友人「女騎士さんだって、そんないい加減な女じゃねえ!」

友人「あんな厳しくてまじめな女、今時なかなかいねえよ!」

友人「二人のことをろくに知らないお前らが、適当なことほざくんじゃねえ!」

残党A「う……!」

残党B「ぐ……!」

「そ、そうだ!」 「あの人たちが浮気なんてありえない!」 「さすが友人さん!」





93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:12:26.01 ID:6vj2HeuG0

いい友人だな





95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:16:00.70 ID:6KJFInru0

金髪「山賊ども、友人さんの気迫に飲まれてるッスよ!」

金髪「いやァ〜」

金髪「友人さんって戦士団では古株のわりに頼りないイメージだったッスけど」

金髪「いう時はいうんスねえ」

新米「珍しくかっこよかったです!」

友人「やかましい」

ワァァ……! ウォォ……! オォォ……!

残党A「オ、オイ……アイツら、余計に盛り上がっちまったじゃねえか!」

残党B「くそっ……まさか戦士団にあんなタンカを切れるヤツがいたなんてな……」

妻(友人さん……)





96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:20:45.50 ID:6KJFInru0

残党B「だが、かまうもんか! こっちには人質があるんだ!」

残党B「だったら……今のお前とそっちの若いヤツ!」

友人「え!?」

新米「ボクですか!?」

残党B「お前たち二人は、今すぐ俺たちの目の前で──斬り合え」ニヤッ

友人(マ、マジかよ……)

友人(でも……とにかく今はやるしかねえ! 時間を稼がないと……!)

友人「オイ新米、分かってんな。空気読めよ」ボソッ

新米(空気……)

新米(今はとても緊迫している……)

新米(つまり、馴れ合いではなく全力でかかってこい、ということですね!)

新米(胸を貸して下さい、友人さん!)

新米「うおおおおっ!」シュバッ

ギィンッ!





97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:24:48.28 ID:6KJFInru0

ガキィンッ! キィンッ! キィィンッ!

新米「だりゃあっ!」シュッ

ギンッ!

友人(オ、オイちょっと待て! コイツ本気じゃねえか!?)キンッ

友人(こういう時は、剣を最初だけ強くぶつけ合って、後は流れでお願いします)ギンッ

友人(──って感じにするのが普通だろ!)ガキンッ

友人(くっそぉ〜……そっちがその気なら……)キィンッ

友人「やってやらぁっ!」シュバッ

キィンッ! キンッ! ガキンッ!

残党A「おいおい、アイツらマジでやり合ってねーか?」

残党B「ハハハッ、ホントだ。俺たちが煽る必要もないな」

「やれ、やれぇっ!」 「ブッ殺せぇっ!」 「いいぞー!」

予想外の展開に、盛り上がる残党たち。

妻(ああ、どうしたら……)





100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:31:33.62 ID:6KJFInru0

すると──

残党A「!?」チクッ

残党B「なんか目に入った……!?」ゴシゴシ…

「俺もだ!」 「砂ぼこりか!?」 「肘がいってぇ!」

妻(突然どうしたのかしら……でもチャンスだわ!)

剣士「妻っ! こっちへっ!」ダッ

妻「あなたっ!?」

残党A「け、剣士!? コイツ、いつの間に!?」

剣士(友人と新米の戦いのおかげで、容易に接近できた……助かったぜ)

剣士「オイ、みんな! 妻は俺が助けた、もう遠慮は無用だ!」



友人「おお!? アイツいつの間に……よし、全員ひっ捕えろ! 突撃だァ!」

新米「は、はいっ!」

ウオォォォ……!





101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:36:35.89 ID:6KJFInru0

戦士団 VS 山賊団残党

剣士の家周辺が、戦場と化す。

キィンッ! ワァァ……! キンッ! ワァァ……!

友人「ふん、ウチの新米より手応えねえぞ!」ザシュッ

新米「てりゃあっ!」キンッ

若者「山賊どもめ、覚悟!」ビュアッ

金髪「もう逃がさねえッスよ!」ザンッ

残党B「ぐ、はぁ……っ!」ドサッ

ガキンッ! ワァァ……! ドサッ! ワァァ……!





105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:41:30.80 ID:6KJFInru0

残党A「くそぉ……砂ぼこりにジャマされるなんて、なんて運がねえんだ、俺たちは!」

残党Aの背後に忍び寄る妻。

妻「えいっ」バシッ

残党A「あ、ぐぅ……!?(後ろから攻撃……!?)」ヨロヨロッ…

剣士「お前が残党どものリーダーだな!? ──覚悟!」ブンッ

バキィッ!

残党A「ち、ちくしょ、ぉ……!」ドサッ

剣士「よっしゃああああっ!」

剣士「残党どもの親玉は、この俺が捕えたぜ! ハーッハッハッハッハ!」

友人「ちぇっ、結局またお前が一番手柄かよ!」

金髪「さすが剣士さんッスねえ」

妻(助けてくれてありがとう、あなた……)

妻(また手柄を上げることができて……よかったわね)ニコッ





108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:46:21.18 ID:6KJFInru0

戦いが終わり──

< 戦士団詰所 >

黒騎士「吾輩がいない間に、一騒動あったそうだが──」

黒騎士「よく皆の力だけで解決してくれた」

黒騎士「特に臨時で指揮をとった友人、迫真の演技で敵の目をあざむいた新米」

黒騎士「そして、残党の中心人物を捕えた剣士……みごとな働きだった」

新米「へへへ……」

友人(コイツ絶対演技じゃなかっただろ……)ギリッ…

黒騎士「ただし!」

黒騎士「本来指揮をとるべき立場でありながら、行方をくらました女騎士!」

黒騎士「功を上げたとはいえ単独行動をとった剣士!」

黒騎士「二人はあとで、一人ずつ吾輩の部屋に来い。話がある」

黒騎士「以上!」

女騎士&剣士「…………」





110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:50:02.33 ID:6KJFInru0

< 黒騎士の部屋 >

女騎士「失礼します」

黒騎士「……さて、と。事件の概要は友人から全て聞いた」

女騎士「…………」

黒騎士「いったいいつまで続けるつもりだ? こんなこと……」

女騎士「すみません……」

黒騎士「今回の件も、君が剣士の妻であると最初から公表していれば」

黒騎士「もっとあっさり解決していたハズだ」

黒騎士「分かるな?」

女騎士「……はい」





112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 00:55:38.92 ID:6KJFInru0

黒騎士「君は名家の令嬢で、剣の腕も立つから騎士叙勲を受けることができた」

黒騎士「そんな君が吾輩を手伝ってくれるのは大いに助かるが──」

黒騎士「君は剣士や仲間に秘密を知られたくないために、いたずらに事態を複雑にした」

女騎士「……はい。弁解しようもありません」

女騎士「ですが……私は、あの人を守ってあげたいのです……」

女騎士「家で黙って待っているだけなんて、とても耐えられなくて……」

女騎士「どうか、もう少しだけ……」

黒騎士「……分かった」

黒騎士「ただし、剣士の妻と女騎士という二重生活を維持するために」

黒騎士「他の団員を危険にさらすマネは二度と許さん」

女騎士「……はい! 今後はバレてもかまわないという覚悟で臨みます!」

黒騎士「……よし、話はこれで終わりだ」

黒騎士「吾輩が剣士と話している間に、帰宅して“妻”に戻れ」

女騎士「ありがとうございます……黒騎士さん」





113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:00:22.63 ID:6KJFInru0

< 廊下 >

剣士「お、女騎士さん」

剣士「けっこう叱られたみたいですね、ハハ」

女騎士「キサマには関係ない……」

女騎士「私は先に帰宅させてもらう」ザッ

剣士「なにいわれたか知りませんが、あまり気にしない方がいいですよ」

女騎士(ごめんなさい、あなた……)

剣士「…………」

剣士「さて、俺の番か」スクッ





114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:05:39.71 ID:6KJFInru0

< 黒騎士の部屋 >

剣士「失礼します」

黒騎士「……さて、となにから話したものか」

黒騎士「お前は……いつまで気づいてないフリをするつもりだ?」

剣士「! 黒騎士さん、なぜそれを……」

黒騎士「もし本当にお前が、女騎士が妻であると気づいていなければ」

黒騎士「通報があった時点で飛び出していたハズだからな」

剣士「なるほど……」

黒騎士「彼女はお前を守りたいという一心で、妻と女騎士の二役をこなしている」

黒騎士「しかも、“妻より地位が低い夫”“妻に守られる夫”というのが」

黒騎士「お前のプライドを傷つけるかもしれないと感じてか、皆に隠してな」

剣士「…………」





115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:07:56.39 ID:u9NVyyG/0

夫気づいてたのかよwww





116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:09:52.05 ID:6KJFInru0

黒騎士「彼女の変装は大したものだ、が」

黒騎士「お前の洞察力ならば、とっくに気づいているハズだろう」

黒騎士「なにしろ、お前は──」

黒騎士「かつて吾輩が率いる特殊部隊で、ナンバーワンの使い手だったんだからな」

黒騎士「気配を殺す技術に長け、神出鬼没と恐れられ……」

黒騎士「特に細かい粒を相手の目に投げつけて動きを止めたり」

黒騎士「小さい針を急所に投げて激痛を与えたり、油で敵を転ばしたり、と」

黒騎士「暗器で味方をサポートする芸当に関しては、天下一品だった」

剣士「……昔の話ですよ」





119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:14:28.47 ID:6KJFInru0

剣士「今は、友人や金髪らと日の当たる場所で、戦士団として働いてるのが楽しい」

剣士「色々ウワサされてますが、あなたもそうでしょう?」

黒騎士「うむ、“戦士団の指揮官になったことを吾輩が不服に思っている”」

黒騎士「──と、ウワサする輩も多いがそんなことはない」

黒騎士「そもそも特殊部隊を作ったのも」

黒騎士「体面ばかり気にする騎士団にいても民は守れん、と判断したからだ」

黒騎士「王国の平和を守れるのであれば、所属は問わん」

黒騎士「特殊部隊であろうと、戦士団であろうと、な」

黒騎士「吾輩も今を満喫しているよ」





121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:20:07.63 ID:m5I7TnVP0

剣士の手柄をお膳立てする女騎士を支援する剣士





122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:20:24.93 ID:6KJFInru0

黒騎士「話を戻そう……」

黒騎士「お前は妻に“自分は秘密を知っている”と話すつもりはないのか?」

剣士「もちろん、俺だって何度もそうしようとしましたよ」

剣士「だけど……」

剣士「俺を守ろうとしたり、手柄を立てさせようとしたり」

剣士「必死なアイツを見ていると──」

剣士「どうしてもいえなくて……いい出せなくて……ズルズルと……」ポリポリ…

黒騎士「まぁ……な。吾輩がお前の立場でも多分いえんだろうな」

剣士「だから……せめて、俺もかげながら彼女を守ろうって思ったんです」

黒騎士「やはり、お前がいつも女騎士の近くにいるのは、彼女を守るためか」

黒騎士「しかし、不思議なものだ」

黒騎士「お前に内緒で、ずっとお前を守っていると思っていた妻は──」

黒騎士「実はずっとお前に守られていたんだからな」

剣士「まぁ……正面から妻と剣だけで勝負したら、まず俺は勝てないですけどね」





123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:25:30.41 ID:6KJFInru0

剣士「それと……さっき“お前の洞察力なら妻の変装に気づく”とおっしゃりましたが」

剣士「洞察力なんか関係ないですよ」

黒騎士「?」

剣士「だって俺は世界一アイツを愛してるんですよ?」

剣士「世界一愛してる女が、ちょっと甲冑着て顔隠して、声と口調変えたぐらいで」

剣士「誰だか分からなくなるハズがないでしょう!」

剣士「これは洞察力じゃなく、愛の力です!」

剣士「俺は仮に妻が呪いかなんかで、とんでもない化け物になったとしても」

剣士「余裕で見抜いて愛する自信があります!」

剣士「いやぁ、一粒で二度美味しい妻っていいですよね! うへへへへ!」

黒騎士「…………」

黒騎士(殴りてぇ……)





124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:27:17.03 ID:GmYic2yd0

許す、殴れ





127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:31:28.88 ID:6KJFInru0

黒騎士「コホン……とにかく、お前たち夫婦は戦士団にとって貴重な戦力だ」

黒騎士「互いに秘密を持つことはかまわんが──」

黒騎士「それで互いの足を引っ張り合うようなことがないようにな」

剣士「はい」

剣士「今後とも、俺たち夫婦をよろしくお願いします」ペコッ…

黒騎士「ああ」

黒騎士「……じゃあ、そろそろ帰っていいぞ」

黒騎士「ちょうど今頃、“女騎士だった妻”が夕食を作り終えてることだろう」

剣士「今日の黒騎士さんはやけに多弁だな、と思ったらそういうことでしたか……」

黒騎士「こういうフォローは上司である吾輩の役目だからな」

剣士「俺も妻も、黒騎士さんには頭が上がりませんよホント」





129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:36:05.91 ID:6KJFInru0

< 剣士の家 >

剣士「ただいま〜!」

妻「あら、お帰りなさい! ちょうど夕食ができたところなの!」

剣士「おお、ナイスタイミング!(さすが黒騎士さん……)」

妻「今日は、私を助けてくれてありがとう!」

妻「だからちょっと豪華にしたわぁ〜」

剣士「よぉーし、腹いっぱい食べるぞ!」



妻(これからも、私があなたを守りますからね……絶対に)

剣士(これからも、俺が君を守っていくよ、絶対に!)





131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:41:38.71 ID:6KJFInru0

その後──

< 戦士団詰所 >

黒騎士「諸君、今日は緊急時に備えた町民との合同訓練だ」

女騎士「町民の模範になるよう、行動するのだぞ!」

友人「そこいくと、俺なんか模範どころか反面教師になっちまいそうだなぁ〜……」

女騎士「オイ!」

友人「は、はいっ! 私語してすみませんっ!」ビクッ

女騎士「キサマは優れた戦士だ。きっといい模範になる」

友人「ど、どうも」ホッ…

友人(なんか最近、女騎士さん俺に多少甘くなったよな……俺、なんかやったっけ?)

友人(まさか俺に気があるとか!?)

剣士「だとよ! もっと自信持てよな!」パシッ

友人「お、おう」

剣士(なんたって、俺の妻のお墨付きなんだから……)





132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:48:25.84 ID:6KJFInru0

< 町 >

黒騎士「では、次は避難と戦士団への通報の仕方を実習する!」

ワイワイ…… ガヤガヤ……

剣士「日頃の俺らの活躍もあってか、町民たちもマジメに訓練してますね」

女騎士「ああ、願ってもないことだ」

剣士「せっかくだから、俺の妻も家から呼んでこようかな……」

女騎士「や、やめてっ! ──い、いや、やめておけ! 一時帰宅など認めんぞ!」

剣士「そうですね……すみませんでした」

女騎士「それより、私たちも訓練に参加するぞ! 急げ!」

剣士「はいっ!」

女騎士(あなた……いつか、きっと真実を話すから……)

剣士(愛する妻よ……いずれ、俺は真実を話すから……)

剣士&女騎士(せめてその時までは、この奇妙な夫婦関係を──……)



                                   ─ 完 ─





133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:51:10.11 ID:IpSi9yuN0







135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:52:23.83 ID:m5I7TnVP0







137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/29(木) 01:57:00.37 ID:iC8GfKTi0


ニヤニヤしながら殴りたい





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