過去の良作の再投稿です。
まだ1年経っていませんが例外ってことで宜しくお願いします。
ピックアップ希望のSSがある場合は下記リンクからお願いします。
SS宝庫のオススメSS

1:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/20(木) 22:03:46 ID:IPAW/DKE

高校卒業後、声優になることを夢見て上京しはや四年…

理想と現実の狭間で思い悩みながらも、日々をたくましく生き…

自身が下宿するボロアパートの怪しい住人達との心暖まるほのぼの(時々エロエロ)なお話しを…

…誰か書いていただけませんか?お願いします





2:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/20(木) 22:13:45 ID:.jShPpvk

俺からも頼む


元スレ
SS深夜VIP
声優「んギモッヂイィ〜///」(アタシ…何やってんだろ…)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1371733426/


 
6:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 07:47:35 ID:ey3fzNqs

スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」

     オツカレー

声優「お疲れ様でした」

―――――――――――

声優「……はあ」

声優(今週のお仕事はこれでおしまい……か)

声優(…………)

声優(アタシはまだマシな方なのかな)

声優(新しい娘や新人君も大勢見てきたけど……)

声優(残るのはほんの一部)

声優(4年のアタシは、どちらかといえば古株の方ね)





7:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 07:57:12 ID:ey3fzNqs

声優(仕事があるだけ幸せなのかもしれないけど……)

声優(4年もエロばかりなのは、正直、精神的にきつい)

声優(もちろん、作品を馬鹿にするつもりはないけど)

声優(たまにはエロ以外の作品にも出演したい……)


後輩「先輩〜」

声優「あ、後輩ちゃん」

後輩「お疲れ様です。 良かったらこの後、ご飯でもどうですか?」

声優「そうね……うん! 食べよっか!」

後輩「やったぁ!」





8:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 08:14:24 ID:ey3fzNqs

声優(後輩ちゃん……ついこの前、と言っても3ヶ月前だけど)

声優(アタシみたいに高卒でこの業界に入ってきた娘)

声優(入る前から内情を知っていたみたいで、エロの仕事も)

声優(それ程抵抗はなかった感じだった)

声優(同じ高卒者、という事もあって、アタシは何かと面倒を見る様になっている)

声優(可愛らしい娘だし……夢であるアイドル声優になれるかもしれない)


後輩「どうしたんですか? 先輩?」

声優「ん? ううん、何でも無い」

声優「どこに行こっか?」

後輩「やっぱり庶民の味方! ヨシギューでしょ!」





9:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 08:26:49 ID:ey3fzNqs

     ラッシャイ

後輩「いただきまーす!」

声優「いただきます」

     モグモグ

後輩「くう〜! 美味しい!」

声優「そうね」 クス

後輩「あ! 先輩、聞いてください」

声優「ん?」

後輩「私、来週からもう一本仕事が入ったんですよ!」

声優「へえ! よかったじゃない」

後輩「もう少し仕事が増えたら、アルバイトともおさらばです!」

後輩「頑張りますよ〜私は!」

声優「ふふふ」





10:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 08:39:09 ID:ey3fzNqs

声優(……懐かしいな、アタシもそうだった)

声優(エロでも仕事が増えて、着実に自分は一歩一歩成長してるって)

声優(実感できていた)

声優(……アタシの方は、そこから長い足踏み状態)


後輩「ごちそうさま! あ〜美味しかった」

声優「うん。 お腹いっぱいね」

後輩「これで明日も頑張れそうです!」

声優「アタシも負けないわよ〜?」

後輩「あははは!」





11:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 08:47:53 ID:ey3fzNqs

声優「それじゃ後輩ちゃん、また来週にね」

後輩「はい! また来週です!」

     タッ タッ タッ

声優「…………」

声優「さ、アタシも帰らなくちゃ」

―――――――――――

声優「ふう……ついた」

声優「交通費でないから歩いて帰ってるけど」

声優「バス5停留所分の距離は辛いわね……」

     カン カン カン

声優「え〜っと……カギは、と……」 ゴソゴソ…





12:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 08:58:32 ID:ey3fzNqs

??「あ……」

声優「あ……」

声優「こ、今晩は……」

??「今晩は、です」


声優(……この人、苦手だわ)

声優(隣の部屋の住人なんだけど……太ってて見るからにキモヲタっぽくて)

声優(アタシの出演してるエロゲーで抜いてそう)

声優(いつも部屋にいるみたいだし……得体が知れないのよね)


声優「じゃ、じゃあ……」

デブ「あ、はい」


デブ「…………」





13:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 09:22:55 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ(いつもながら綺麗な人だ)

デブ(OLかなんかやっているんだろうな……)

デブ(……身だしなみ、少しは気を付けた方がいいんだろうけど)

デブ(面倒くさいんだよなぁ)

デブ(ま……こんな高卒の三流エロ漫画家なんかに言い寄られても)

デブ(嫌な顔されるだけだろうけど……)

デブ(はあ……)





14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 20:05:36 ID:ey3fzNqs

     イラッシャイマセー

デブ(今日は何を食うかな)

デブ(……って言ってもビニ弁、食い飽きたけどな)

デブ(…………) ウ〜ン…

デブ「……あ」

デブ(…………)

デブ(今日、週刊少年・飛翔の発売日か……)

デブ(…………)

デブ(……普通の漫画、描かなくなって)

デブ(どれくらいになっただろう)

デブ(…………)

デブ(止めよう、こんな事考えるの)





15:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 20:12:06 ID:ey3fzNqs

     アリガトウゴザイマシター

デブ(…………)

     テク テク テク…

??「あ、今晩は」

デブ「え?」

デブ「……ああ、お隣さんの歌手さん」

デブ「今晩は」

歌手「またコンビニ弁当っスか〜?」

歌手「体に悪いっスよ?」

デブ(……うるせーよ)

歌手「ははは、と言いつつ、俺もコンビニ弁当ですけどね!」

デブ「はあ……」





16:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/27(木) 20:18:59 ID:ey3fzNqs

歌手「っと、引き止めてすんません」

歌手「じゃ!」

デブ「あ、はい」

     テク テク テク

デブ(…………)

デブ(相変わらず、無駄に元気な人だ)


歌手「ふう〜」

歌手「隣人とのコミュニケーション、OK!」

歌手「これから、俺のファンになってくれる人かもしれないからな」

歌手「愛想は、常に良くしておかないと」

歌手「さて、弁当、冷めない内に食わないとな」

     バタン…





26:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:42:17 ID:ey3fzNqs

翌日


     ♪〜♪〜♪〜

声優「……ん」

声優「ふあ……」

声優「…………」

声優「八時、か……」


声優(今日もいつも通り目が覚めた)

声優(この声は、二つ隣の部屋の住人の発声練習の声)

声優(少し前、問題になったが……本人は毎朝決まった時間にこれをやらないと)

声優(調子が出ない、とかで、話し合いの結果)

声優(10分程度なら許す、という事で折り合いがついた)

声優(いつもきっかり朝八時にやるので、今じゃ ちょっと変わった目覚ましになってる)





27:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:44:05 ID:ey3fzNqs

デブ(……今日も始まったか)

デブ(徹夜仕事しても、これのおかげで何時かわかるんだが)

デブ(あんまりありがたくない……)

デブ(話し合いの時に強く言えなかった自分が恨めしい)

デブ(…………)

デブ(とりあえず、朝飯食うか……)


歌手「あーあーあーあーあー」

歌手(うし! 今日もいい調子だ!)

歌手(みなさん、聞いてますか〜?)

歌集(未来の超有名ミュージシャンの声ですよ〜?)





28:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:45:11 ID:ey3fzNqs

声優(さて)

声優(顔を洗って、歯を磨いて、ご飯食べて……)

声優(準備が出来たら、出かけよう)

―――――――――――

     イラッシャイマセー

声優(…………)

声優(発声練習……アタシも家で出来たらいいのになぁ)

声優(近所迷惑を考えてないけど、正直、ちょっと羨ましい)

声優(スタジオを借りるよりずっと安いし近いから)

声優(仕方なくカラオケボックスでやってるけど……)

声優(それでもけっこう馬鹿にならないのよねぇ……)





29:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:46:24 ID:ey3fzNqs

声優(…………)

声優(ううん、これは必要な事よ)

声優(いつか、必ず、この努力が報われる日が来る)

声優(アタシの演技力が評価される時が来る)

声優(その時まで……アタシは……)

声優(…………)

声優(さて、始めますか)


声優「あーあーあーあーあー」

声優「らーらーらーらーらー」

―――――――――――

声優「ふう……」

声優「こんなものかしらね」





30:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:51:28 ID:ey3fzNqs

     アリガトウゴザイマシター

声優「いえ、こちらこそ」

声優「それじゃ、また明日……」

     テク テク テク…

店員「テンチョー」

テンチョー「ん?」

店員「今のお客さん、よく見ますね」

テンチョー「ああ、何でも売れない女優さん?みたいで」

テンチョー「ここで発声練習しているんだよ」

店員「へー」

店員「でも売れないって、テンチョー、酷過ぎー」





31:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:52:30 ID:ey3fzNqs

テンチョー「おいおい、人聞きの悪い事を言わないでくれ、店員ちゃん」

テンチョー「本人がそう言っていたんだよ」

店員「そーなんですかー」

テンチョー「まあ……深くは聞かなかったよ」

テンチョー「どの業界もキビシイところは、あるだろうからね」

テンチョー「こっちとしては、売上が落ちる時間帯だし……いいお得意様だよ」

店員「ですねー」

テンチョー「そんな訳で店員ちゃん、普通に接してあげてね」

店員「了解ですー」


店員(…………)

店員(何だか、私の彼氏みたいー)





32:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:53:48 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「ふう……」

デブ「ええと……63番……63番……」

     ゴソ ゴソ

デブ「…………」

デブ「あれ?」

     ゴソ ゴソ

デブ「……無い」

デブ「63番トーン、そんなに使ってたか」

デブ「仕方ない、買ってこないとな」

デブ「ついでに他のトーンも補充しとかないと……」





33:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:54:48 ID:ey3fzNqs

     ガチャ…

デブ「あ……」

声優「あ……」

デブ「こ、こんにちは……」

声優「こんにちは……」

声優「じゃ……」

デブ「あ、はい」

     パタン

デブ「ふー ……」

デブ「さ、行かないと」

デブ(ついでに昼飯も買ってこよう)





34:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:55:54 ID:ey3fzNqs

画材店


デブ(63番に62番……と)

デブ(柄物もいくつか……)

デブ(お?……新作の柄が結構出てるな)

デブ(…………)

デブ(……うん、これ、使えるかも)

デブ(犯される女の子の恐怖感、表現するのにいい感じだ)

デブ(…………)

デブ(とか思って実際貼ってみると、微妙に違ってたりするんだけどな) クス

デブ(さて、こんなものか)

デブ「すみませーん」





35:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:56:56 ID:ey3fzNqs

     アリガトウゴザイマシター

デブ「ふー ……」

デブ「暑い……日差しが厳しいなぁ」

デブ(太ってる人間には辛い季節だ……)

デブ(エアコン、調子を見ておかないと)

デブ(去年、八月に突然壊れて、真面目に死ぬかと思ったからなぁ)

デブ(描いている内容が内容だけに、ファミレスとかで作業出来ないのが悲しい……)

デブ(今やってる原稿が終わったら、業者に頼んでメンテナンスしてもらおう)

デブ(…………)

デブ(それじゃ、昼飯を買いに行くか)





36:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:58:11 ID:ey3fzNqs

     イラッシャイマセー

デブ(今日もコンビニ……)

デブ(食い飽きてるのに、どうしてここに来るんだろう……)

デブ(…………)

デブ(まあ、雑誌とか置いてあるし)

デブ(ついつい寄っちゃうんだよな)

デブ(…………)

デブ(あ……)

デブ(これ、今月で廃刊……休刊するのか)

デブ(…………)

デブ(1年くらい描いてたエロ雑誌だったけど……正直、あまり待遇は良くなかったな)

デブ(……でも、少し悲しい)





37:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 20:59:16 ID:ey3fzNqs

     アリガトウゴザイマシター

デブ(買ってしまった……)

デブ(まあ、これも何かの記念だ)

デブ(…………)

デブ(……そ、それにしても、大荷物になってしまった)

デブ(画材に昼飯と、ついでに買った夕飯用のサンドイッチと飲み物)

デブ(さらにこのエロ雑誌……)

デブ(両手が荷物でいっぱいだ)

デブ(おまけに重い……)

デブ「ふう……ふう……」





38:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:00:18 ID:ey3fzNqs

デブ「さて……カギを……」

     ゴソ ゴソ…

デブ(荷物のせいで、めちゃくちゃ取りづらい……)

デブ(よっ……このっ……!)

     ガチャ

声優「あ……」

デブ「あ……」

デブ「ど、どうも……」

     ドサドサッ!

デブ「」

デブ(に、荷物のエロ雑誌がああああっ!)





39:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:01:14 ID:ey3fzNqs

声優「」

デブ「あわっ、あわわわわっ……!」///

     バババッ!

デブ(カ、カギ! 早くカギを!)///

     ガチャガチャ! キィ、バタン!

声優「…………」

声優(……み)

声優(見てない)

声優(見てないから)

声優(ドッピュン☆天国!なんて……)///

声優(見てないから!)///





40:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:02:14 ID:ey3fzNqs

歌手「シェキナベイベ〜♪」

歌手「お?」

歌手「どうしたんですか? 声優さん」

歌手「そんなところで突っ立って?」

声優「!」///

声優「な、何でも無いですから!」///

     タッ タッ タッ

歌手「…………」

歌手「おやおや〜? 顔を赤くして……あの慌て様」

歌手「もしかして、フラグってやつ〜?」

歌手「まいったなぁ……俺、すでに彼女持ちなのに♪」





41:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:04:19 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(……なんて言うか)

デブ(終わった……)

デブ(始まってもいないけど、終わった……)

デブ(…………)

デブ(通報……されないといいけど)

デブ(はあ……)

デブ(…………)

デブ(……よし、気持ちを切り替えて飯を食おう)

     ゴソ ゴソ

デブ(中身……ぐちゃぐちゃだし……)

デブ(はいはい、わかってますよ……さっき落とした時ですよね)

デブ(……惨めだ)





42:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:05:52 ID:ey3fzNqs

夕方


声優(さて、今日の夕飯は)

声優(ちょっと奮発して牛肉のピーマン肉詰め!)

声優(ぬふふ〜)

声優(こうやって、たまには贅沢しないとやっていけないわよね〜)

―――――――――――

声優「完成!」

声優「ヘルシーにキャベツの微塵切りも山盛り!」

声優「美味しそう〜」

声優「汁物の味噌スープを添えて……出来上がり!」

声優「いただきまーす!」





43:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:07:30 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……いい匂いだ」

デブ「肉を焼いたのかな?」

デブ「…………」

デブ「原稿、もう少しで終わるし」

デブ「このまま続けるかな」

デブ(その方が効率上がりそうだし)

デブ(あー腹減った)

デブ(…………)





44:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:09:27 ID:ey3fzNqs

歌手「くう〜! たまらねえ! この匂い!」

歌手「腹減ったぜ!」

     ガチャ

店員「やっほー生きてるかー?」

歌手「待ってたぜ、ハニー! 愛しのご飯エンジェル!」

店員「その言い方はありがたくないー」

歌手「俺も手伝うから、飯作ろうぜ!」

店員「たまには、ご飯で出迎えてくれると嬉しいんだけどー」

歌手「すまねえ……俺の才能は、ほとんどが音楽に行っちまっているんだ」

店員「料理に才能が無いのはわかってるー」

店員「んじゃ、じゃがいもの皮を剥けー」

歌手「任せとけ!」





45:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:10:33 ID:ey3fzNqs

店員「いただきますー」

歌手「いただきます!」

     モグモグ…

歌手「んまいっ!」

歌手「カレーは最高の夕飯だ!」

店員「大げさー」

歌手「もちろん、お前が作ってくれたからだとも!」

店員「はいはい、お世辞もらいましたー」

歌手「素直になれって」

店員「私はいつでも素直ー」

歌手「悪い悪い、感謝してるって!」





46:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:12:55 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

店員「今日、私の働いてるお店の常連さんなんだけどー」

店員「気になる人が居たー」

歌手「なぬぅ!?」

店員「その人は女の人ー」

歌手「驚かすなよ……」

店員「大丈夫ー。 私は、あんたしか見えてないー」

歌手(そのイントネーションのせいで、そう聞こえない事は内緒だ)

店員「で、その人ー、発声練習でカラオケルーム使ってたー」

歌手「…………」





47:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:15:45 ID:ey3fzNqs

店員「歌手、あんたは、ここで揉めたって聞いたー」

店員「余計なお世話、と言うかもしんないー。 でもー」

店員「費用も安く済むしー、気を使わずに練習も……」

歌手「いや……それは出来無い」

店員「…………」

歌手「金は、なるべくスタジオで使いたい……これは曲げられないんだ」

店員「…………」

店員「……そう」





48:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:16:39 ID:ey3fzNqs

店員「あんたがそうしたいなら、私はもう何も言わないー」

店員「自分で稼いでいるお金だしねー」

歌手「……まあ、カツカツなのは事実だけどな」

歌手「すまねえ……心配かけて」

店員「いいって事ー」

歌手「ははは」

―――――――――――


声優(…………)





49:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:19:05 ID:ey3fzNqs

声優(……さて、今週のお仕事は)

声優(エロゲ2本と、エロアニメが一つ、それにオーディション……と)

声優(収録の曜日と場所、時間を間違えないようにしないとね)

声優(…………)

声優(出来たら、セリフの練習もしておきたいところだけど……)

声優(さすがに……それは恥ずかしいのよね)

声優(カラオケボックス側は気にしないと思う……でも)

声優(たまに来るお客さんは……アタシの声を知っているかもしれない)

声優(…………)

声優(止めよう……こんな事考えるの)

声優(もう寝なきゃ)

―――――――――――


デブ(…………)





50:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:20:12 ID:ey3fzNqs

デブ(……畜生)

デブ(今度はカレーの匂いがしてきた……)

デブ(…………)

デブ(何で、こんな拷問プレイを一人でやってんだよ)

デブ(さっさと飯を食おう)

―――――――――――

デブ「ふう……」

デブ「…………」

デブ「いかん……」

デブ「眠くなってきた……」

―――――――――――


店員「じゃあねー、歌手ー」





51:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:22:41 ID:ey3fzNqs

歌手「ああ、いつもありがとうな」

店員「気にするなー私が好きでやってる事ー」

店員「あんたが喜んでいるなら、嬉しいのじゃー」

歌手「おう!待ってろよ!」

歌手「一流ミュージシャンになって、必ず、恩返しするぜ!」

店員「期待してるぞよー」

―――――――――――


歌手「…………」

歌手(必ず……必ず、なってみせるぜ、店員!)

歌手(その時、お前に言ってやる……)

歌手(結婚しよう、って……!)





52:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 21:23:40 ID:ey3fzNqs

歌手(…………)

歌手(ぬふふ……)

歌手(俺、超カッケー♪)

歌手(…………)

歌手(……さて、明日のバイト、棚おろしがあるんだっけ)

歌手(めんどくさいんだよなぁ……あれ)

歌手(音楽関係のバイトがあればいいのに……)

歌手(…………)

歌手(さっさと風呂入って休むか)

     パタン…





57:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:21:11 ID:ey3fzNqs

数日後


声優「いやああああああああああっ!!」

声優「痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ! 痛い――!」

声優「抜いてぇっ! オチン○ン、抜いてぇ――!!」

声優「ひぎっ! …いだっ、いがっ……!」

声優「あぎっ、ぎっ、ぎいっ! ひあっ! あああああああっ……!」

声優「ひいっ!?」

声優「い、今、オチ○チン、ビクンッ、って……!?」

声優「嫌あっ! それだけはっ……! それだけは、止めてぇっ!!」

声優「中は、中は止めてえぇぇぇっ!!」

声優「だめっ! いやっ! いや、いやっ、いやいやいやっ!!」

声優「いやあああああああああああああああああああああああっ!!」

声優「出てるっ……出てる、のっ……いっぱい……中に……!」

声優「ううっ……ぐすっ……いやぁ……!」





58:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:22:29 ID:ey3fzNqs

スタッフ「…………」

スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」


声優「お疲れ様でした」

―――――――――――

声優「ふう……」

後輩「あ、先輩、お疲れ様です」

声優「ん? ああ、後輩ちゃん。 お疲れ様」

声優「次はあなた?」

後輩「そうみたいです」

声優「そっか。 頑張ってね」

後輩「はい!」





59:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:23:45 ID:ey3fzNqs

声優(エロゲやエロアニメのアフレコ)

声優(普通のアフレコみたいに数人でやる訳じゃない)

声優(大抵、男女とも一人ずつ収録する)

声優(会話シーンもあるけど、それも単独でやる事が多い)

声優(……まあ理由としては、演者同士、気まずくなるからそうしていると思う)

声優(…………)

声優(今日は、あともう一本あるけど……)

声優(時間がちょっと空く感じね)

声優(ご飯には少し早いし……どうしようかな?)


スタッフ「すみませーん、休憩中の皆さん」

スタッフ「ガヤ、頼めますか?」





60:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:24:58 ID:ey3fzNqs

声優「!」

声優「あ、はい。 アタシやれます」

     コッチモデキマス ワタシモ

スタッフ「お手数おかけします」

スタッフ「じゃあ、Bスタジオでよろしくお願いします」

     ハーイ

声優「…………」

声優(ガヤ……街中や場面展開での雑踏の音の事)

声優(普通は、そのアニメなりゲームなりの演者や、スタッフなんかがやる事が多いけど)

声優(たまに、微妙に人数が足らなくなったりする事がある)

声優(そういう時は、こうやって臨時に募集したりする)

声優(ボランティアだけど時間にして数秒だし、アタシにとっては密かな楽しみだ)





61:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:25:56 ID:ey3fzNqs

スタッフ「それじゃあ始めます」

スタッフ「5秒前……4……3……」


声優「…………」

声優「ガヤガヤ」

声優「ガヤガヤ」

―――――――――――

スタッフ「はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「ありがとうございます、お疲れ様でした」

     オツカレサマー

声優「お疲れ様でした」

声優(ふふふ、ガヤならアタシ、結構深夜帯アニメに出演してるのよね♪)





62:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:26:58 ID:ey3fzNqs

声優(さて、ちょうどいい暇つぶしも終わったところで)

声優(昼食を取るのにいい時間帯になったわ)

声優(…………)

声優(後輩ちゃん、待とうかな?)

声優(う〜ん……)

声優(いつ終わるか聞いいてないし、約束をしているわけでもないからいっか……)

声優(うどん屋さんにでも行こう)

―――――――――――

声優(ふう……)

声優(さて、そろそろ午後の収録の準備をしないと)

声優(台本、台本、っと……)





63:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:27:45 ID:ey3fzNqs

声優(……あら?)

声優(後輩ちゃん、何だか元気がないわね?)

声優(どうしたんだろう?)


声優「後輩ちゃん」

後輩「あ……先輩」

声優「収録、終わったの?」

後輩「はい、ついさっき」

声優「そっか……結構かかったわね。 お昼もまだ?」

後輩「はい」

声優「それで元気がないのかな?」

後輩「…………」

後輩「いえ、そういう訳じゃないです」





64:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:28:49 ID:ey3fzNqs

声優「そうなの?」

後輩「まあ……なんて言うか……」

後輩「声を当てた絵がグロくて……気持ち悪くなっちゃって……」

声優「ああ……触手系?」

後輩「プラス、スプラッター系です」

声優「ダブルパンチね」 クス

後輩「覚悟はしていたんですよ? でも……」

後輩「いざ目の前に、しかも血とか カラーで出されると、さすがに……」

声優「わかるわ〜」

声優「世の男どもは、こんな残酷な絵で抜いているのか、と思うのよね〜」

後輩「あははは……」





65:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:29:49 ID:ey3fzNqs

声優「こっちとしては、お仕事もらっている立場だし」

声優「需要があれば、答えないといけないのが辛いところよね」

後輩「……ですよね」

声優「アタシもそうだったけど、誰でもぶつかる問題だし、その内に慣れちゃうよ」

声優「怖い事にね」

後輩「…………」

後輩「怖い事……ですか?」

後輩「プロなら、出来て当たり前の事だと思っていたんですけど……」

声優「うーん……今は、まだ知らなくてもいい事だと思う」

後輩「はあ……」

声優「とにかく、全力で頑張ったんだから」

声優「自分に何か、ご褒美をあげてみたらどうかな?」





66:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:30:52 ID:ey3fzNqs

後輩「ああ、いいですね、それ!」

後輩「何だか少し元気が出てきました!」

声優「そう。 良かった」 クス

声優「おっと……そろそろ時間ね」

後輩「あ……すみません、手間を取らせて」

声優「ううん、いいのよ。 アタシから話しかけたんだし」

声優「それじゃあね」

後輩「はい! 頑張ってください!」

声優「ありがとう」

―――――――――――

声優(…………)

声優(慣れ、か……)





67:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:31:54 ID:ey3fzNqs

声優(…………)

声優(仕事上いい事なんだろうけど……)

声優(アタシは……苦もなく喘ぎ声を当てる事に)

声優(慣れてしまっている自分に気がついて……怖かった)

声優(いつの間にか そうなっている事に……)

声優(…………)

声優(そんな現状を打破したい、と思うようになったきっかけでもあるけど)

声優(…………)

声優(さて、気持ちを切り替えないと)

声優(だからと言って、仕事で手を抜いたりしない)

声優(アタシ自身の為に)





68:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:33:04 ID:ey3fzNqs




声優「ふう……疲れた」

後輩「お疲れ様です、先輩」

声優「あら? 後輩ちゃん?」

声優「どうしたの? まさか……待っててくれたの?」

後輩「め、迷惑でしたか?」

声優「ううん、そんな事ない」

声優「でも後輩ちゃんもアルバイトとか、自分の予定があるんじゃないのかな?って」

後輩「大丈夫です」

声優「本当に?」

後輩「…………」





69:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:33:56 ID:ey3fzNqs

後輩「すみません……アルバイト、ずる休みしちゃいました」

声優「…………」

声優「……そっか」

後輩「…………」

声優「ま……アタシが言うのも変だけど」

声優「そういうのは、今回だけよ?」

後輩「……はい」

声優「じゃ、少し遅い晩御飯にしよっか!」

後輩「! は、はい!」

声優「どこに行く?」

後輩「それはもちろん……」

声優・後輩「ヨシギュー!」

     アハハハ……





70:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:35:09 ID:ey3fzNqs

デブ「うーん……」 セノビー

デブ(よし、完成)

デブ(後はこれをコピーして、投函して……)

デブ(……って、もうこんな時間か)

デブ(コピーはともかく、郵便局はもう閉まってるな)

デブ(仕方ない……)

デブ(明日、速達で出すか)

デブ(とりあえず、コピーを取らないとな)

デブ(…………)

デブ(コンビニ……人があまり居ないといいけど)





71:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:35:55 ID:ey3fzNqs

コンビニ


デブ(…………)

デブ(……いつもながら緊張する)

デブ(ちょっと遠くの、しかもランダムに選んだコンビニでやってるけど)

デブ(誰かに見られるんじゃないかと……ビクビクする)

デブ(…………)

デブ(さっさと済ませよう)

     ピー カサッ  ピー カサッ

デブ(後2ページ……)

     イラッシャイマセー

デブ(くっ……)





72:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:36:59 ID:ey3fzNqs

デブ(落ち着け……)

デブ(俺の事なんて、誰も気にしてなんていない)

デブ(普通だ。 普通に作業を続けるんだ……)

     ピー カサッ  ピー カサッ

デブ(……よし! 終わった……)

??「あれー? もしかして、デブさん?」

デブ「!?」

歌手「やっぱりデブさんだ」

デブ「か、歌手さん……」

歌手「珍しいっすね、こんな場所のコンビニで会うなんて」

デブ「そ、そうですね……」

歌手「ん? なんスか? それ?」





73:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:38:04 ID:ey3fzNqs

デブ「!! い、いや、その……」

歌手「? 漫画っスか?」

デブ「え、ええ……まあ……しゅ、趣味で……」

歌手「そうなんスか」

歌手「今度、良かったら見せてくださいよ」

デブ「!! そ、それは、は、恥ずかしい、ので……」

歌手「それは残念」

歌手「でも、気が変わったら読ませてくださいね」

歌手「じゃ!」

デブ「は、はあ……」

     アリガトウゴザイマシター

デブ「…………」





74:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:38:57 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(し、死ぬほど焦った……)

デブ「ふうううう……」

デブ(…………)

デブ(……無駄に疲れたなぁ)

デブ(…………)

デブ(さっさとビニ弁買って帰ろう……)

デブ(…………)

―――――――――――

デブ「……ふう」

デブ(家に着いた)





75:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:39:52 ID:ey3fzNqs

声優「あ……」

デブ「あ……」

デブ「こ、今晩は……」

声優「ど、どうも。 今晩は」

デブ「じゃ……」

     ソソクサ……

声優「…………」

―――――――――――

デブ「……はあ」

デブ「ここのところ、よく顔を合わせてしまうな」





76:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:41:09 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ(そういえば……声優さん)

デブ(こんな時間に帰ってくるなんて珍しいな?)

デブ(…………)

デブ(ま……俺には関係ない事、か)

デブ(さて、食い飽きたビニ弁食って、風呂に入って)

デブ(もう寝よう)

デブ(明日原稿投函したら、別の出版社のをやらないと……)

デブ(スケジュール、少し押してるからな)

デブ(はあ……)

デブ(貧乏暇なし、だな)





77:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:41:44 ID:ey3fzNqs

歌手「ふふ〜ん、ふんふん……」

     ♪〜♪〜♪〜

歌手「うんうん、こんな感じで」

歌手「サビの部分は、と……」

歌手「…………」

歌手「どうもいいのが浮かばないな……」

歌手「うーん……」

     ♪〜……♪〜♪〜

歌手「……違うな」

歌手「う〜ん」





78:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:42:36 ID:ey3fzNqs

店員「いいの出来そうー?」

歌手「思いついた時、いいかな、と思ったんだけど……」

店員「産みの苦しみだねー」

歌手「どうもサビの部分が降りてこない……」

歌手「ふふ〜ん、ふんふ〜ん……」

店員「明るい曲ー」

歌手「そうなんだけど……う〜ん」

歌手「……ダメだ、どうもしっくりこない!」

店員「そっかー」

歌手「……あ」

歌手「店員、もうこんな時間だぞ?」

店員「おおう、本当だー」





79:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:43:35 ID:ey3fzNqs

店員「それじゃ……そろそろおいとましますかー」

歌手「いつも悪いな、店員」

歌手「今日の飯も美味かったぜ!」

店員「礼には及ばぬー」

歌手「ここのところ毎日だしな。 何か、お礼を考えとくよ」

店員「だから気にするなー。 私が好きでやっている事ー」

歌手「送っていかなくて、本当に大丈夫か?」

店員「何度も言ってるー。 私は空手の有段者ー」

歌手「わかってるんだけどな……」

店員「気持ちだけもらっとくー」

店員「さらばじゃー」

     パタン

歌手「…………」





80:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:44:44 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

     テク テク テク

店員「…………」

店員「歌手……そう思うのならー」

店員「『今日、泊まっていくか?』くらい」

店員「言ってくれてもいいんだぞー」

店員「……っと」

店員「…………」

店員「私、とっくに、心の準備は済ませているんだぞー」

店員「……っと」

     テク テク テク…

―――――――――――







81:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:46:52 ID:ey3fzNqs

数日後・午後


店員「いらっしゃいませー」

店員「あ……」

????「やあ、店員ちゃん」

店員「…………」

店員「イケメン……」

イケメン「久しぶり、高校卒業以来だね」

イケメン「突然訪ねてごめん」

店員「……今は仕事中ー」

イケメン「わかってるよ」





82:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:47:54 ID:ey3fzNqs

店員「どうしたのー? 今頃ー?」

店員「もう……答えは出てるけどー」

イケメン「…………」

イケメン「いやだ」

店員「……!?」

イケメン「悪いけど、こっちにも事情があってね」

イケメン「どうしても話がしたい」

店員「…………」

店員「……変な事したら、地獄を見るよー」

イケメン「そんな事はしないし、君が空手の有段者なのも知ってるよ」

店員「…………」

店員「……わかった」

イケメン「済まないね……そこの喫茶店で仕事が終わるのを待ってるから」





83:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:49:01 ID:ey3fzNqs

喫茶店


店員「それで? 何の用ー?」

イケメン「まあまあ。 まずはコーヒーでも」

店員「こっちにも予定があるー」

店員「手短に済ませて欲しいー」

イケメン「変わらないね、君は」 クスッ

店員「…………」

イケメン「……あれからもう6年になるんだね」

イケメン「君をめぐって、歌手と争ったのは……」

店員「…………」





84:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:50:08 ID:ey3fzNqs

イケメン「あいつは、ミュージシャンになる事以外考えてなくて」

イケメン「将来設計も何も考えていなかった」

店員「人の彼氏、ディスるなー」

イケメン「ごめん」

イケメン「だけど……事実だ」

店員「さっさと本題に入れー」

イケメン「…………」

イケメン「……改めて言うけど」

イケメン「俺は、君の事が好きだ」

店員「……その気持ちには答えられないって、返答してるけどー?」

イケメン「わかってる」

イケメン「で、だ」

イケメン「聞いておきたい事がある」





85:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:51:16 ID:ey3fzNqs

店員「何ー?」

イケメン「あの時はショックだったし、君が選んだ道だから」

イケメン「それでいいと思った」

店員「…………」

イケメン「でも……ずっとくすぶっていてね」

イケメン「突然で悪いと思ったけど」

イケメン「あいつを……歌手を選んだ理由を聞かせて欲しいんだ」

店員「…………」

店員「そんなのは、私の勝手ー」

店員「あんたに聞かせる話じゃないー」

イケメン「どうしてさ?」





86:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:52:23 ID:ey3fzNqs

イケメン「君が振った男に止めを刺せ、と、言ってるだけだぞ?」

店員「…………」

イケメン「…………」

イケメン「……俺さ」

イケメン「親から、見合いをする様に言われた」

店員「……!」

イケメン「皮肉な事に……それがキッカケで」

イケメン「ずっとくすぶってた気持ちに火が付いた」

店員「…………」

イケメン「俺は、今でも君の事が好きだ」

イケメン「……随分時間が経っているのにね」

店員「…………」





87:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:53:15 ID:ey3fzNqs

店員「話はそれで終わり?」

イケメン「……言いたい事は言ったかな」

店員「そう」

店員「なら、もう話す事はない」

イケメン「答えをもらわないと、また会いに来るけどいいかい?」

店員「それは御免被(こうむ)りたい」

イケメン「だけど、それでも会いに行く。 俺は」

店員「それストーカー」

イケメン「それだけ本気って事なんだよ」

店員「…………」

店員「ともかく、今日はこれで終わり」

イケメン「…………」





88:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:54:08 ID:ey3fzNqs

イケメン「……わかった」

イケメン「じゃあ、いずれまた」

店員「…………」

     アリガトウゴザイマシター

イケメン「…………」

イケメン(店員ちゃん……相変わらずポーカーフェイスだね)

イケメン(けど)

イケメン(途中から口調が変わっていた)

イケメン(……動揺した証拠だよね)

イケメン(…………)

イケメン(自信がないんだろ?)

イケメン(歌手を選んだ事に)





89:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:54:57 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

店員(……早く、歌手の所に行かないと)

店員(…………)


アパート


     ガチャ ガチャ…

店員「…………」

店員(今日も居ないのか……)

店員(カギはもらってるけど)

店員(最近)

店員(待つ事が多くなってる気がする)





90:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:55:39 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

     プルルルルル… プルルルルル…

デブ「……お、電話だ」

     ガチャ…

デブ「はい、もしもし」

デブ「……ああ、A編集者さん」

デブ「締切はまだ先ですけど……?」

デブ「……はい……はい」

デブ「…………」

デブ「…………え」

デブ「そ、それって……」

デブ「……はい……はい」

デブ「…………」





91:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:56:22 ID:ey3fzNqs

デブ「そう……ですか……」

デブ「わかりました」

デブ「また……機会があれば、よろしくお願いします」

     プッ……ツーツー

デブ「…………」

デブ「打ち切り……か」

デブ「…………」

デブ「気にするなよ、俺」

デブ「こんな事は、前にもあったじゃないか」

デブ「前にも……」

デブ「…………」





92:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:57:10 ID:ey3fzNqs

後輩「先輩、明日はいよいよオーディションですね!」

声優「そうだね」

後輩「今度こそ、表舞台に立って見せるんだから!」

声優「頑張らないとね」

後輩「…………」

後輩「……どうしたんですか? 先輩?」

声優「え?」

後輩「何だか元気がありませんけど?」

声優「そんな事無いよ」

声優「ただ……緊張してるだけ」

後輩「そうなんですか……先輩でも落ち着かないモノなんですね」

声優「…………」





93:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:57:49 ID:ey3fzNqs

声優(違う)

声優(不安に思っているだけ……)

声優(…………)

声優(アタシだけで受けるのなら、こんなに不安には思わない)

声優(あなたと……二人で一緒に受けるから)

声優(……とても怖い)

声優(…………)

声優(もし)

声優(アタシが落ちて、あなただけが受かったら……)

声優(アタシは……後輩ちゃんを祝福できるのかな……?)

声優(…………)





94:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/09(火) 17:59:06 ID:ey3fzNqs




声優(……ううん、余計な事は考えるな)



デブ(きっと、大丈夫)



店員(きっと……)




     これからも、日常は続いていく――










100:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:38:20 ID:ey3fzNqs

翌日


声優「3番、声優です。 よろしくお願いします」

選定員「はい、よろしくお願いします」

選定員「それでは、お渡ししたセリフを言ってみてください」

声優「はい」

声優「わたくしは、誉れ高き名門の――」


声優(オーディションが始まった)

声優(アタシが希望したアニメキャラは脇役だけど)

声優(お嬢様口調で特長がはっきりしている)

声優(もちろん自分に合っていると判断して応募した)





101:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:39:24 ID:ey3fzNqs

選定員「……はい、声優さん、ありがとうございました」

声優「ありがとうございました」

選定員「それでは次の方」

モブ美「4番、モブ美です」


声優(……実は、主役級の役は、原作者の希望であらかた決まっていたりする)

声優(ビックネームはずるいなぁ……とか思う)

声優(誰だって上手な演者に演じて欲しいだろうけど……)

声優(どうにかならないものか、と)

声優(つい、いつも考えてしまう……)

―――――――――――






102:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:40:43 ID:ey3fzNqs

選定員「みなさん、ご苦労様でした」

選定員「結果は後日、各プロダクションの方へ連絡いたしますので」

一同「お疲れ様でした」

     ガヤ ガヤ…

声優「ふう……」

後輩「先輩、お疲れ様でした!」

声優「あら、後輩ちゃん。 お疲れ」

声優「そっちも終わったの?」

後輩「はい、10分くらい前に」

声優「そう……手応えはあった?」

後輩「ううっ……正直、微妙です」

後輩「緊張で2回くらい噛んじゃったし……」

声優「あらら」





103:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:41:46 ID:ey3fzNqs

後輩「で、でも! 貴重な場数を踏めました!」

後輩「次は、もっと頑張ります!」

声優「うんうん」

後輩「先輩はどうでした?」

声優「……どうかな」

声優「自分としては、全力で演技したと思うけど……」

声優「判断する人が、どう捉えるか、よね」

後輩「そう……ですか」

声優「後から後から、ここはもうちょっとこうしとけば……みたいなのに落ち入るし」

後輩「うう〜……今の私、そんな感じです」

声優「ふふふ」





104:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:42:37 ID:ey3fzNqs

声優「……」


声優(後輩ちゃんが自信無さげで)

声優(安心している自分がいる……)

声優(…………)

声優(情けないけど……正直な気持ちだわ)

声優(…………)

声優(……結果を知るのが)

声優(怖い……)


―――――――――――







105:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:43:27 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……ふう」

デブ(いまいちはかどらない……)

デブ(…………)

デブ(まあ……これで終わりだし)

デブ(突然の話だったから、まだ動揺しているんだろう)

デブ(……豆腐メンタルだなぁ)

デブ(…………)

デブ(……あ)

デブ(もう午後2時か……)

デブ(昼飯、どうするかな)





106:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:44:10 ID:ey3fzNqs

     アリガトウゴザイマシター

デブ(結局ビニ弁かよ……)

デブ(いい加減、この食生活から脱出したい)

デブ(…………)

デブ(でも自炊は面倒だし)

デブ(料理なんてした事がない……)

デブ(…………)

デブ(誰かの手料理なんて望めそうもないし)

デブ(はあ……)

     テク テク テク…





107:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:44:59 ID:ey3fzNqs

夕方

スーパー


歌手「お疲れ様っス」

     オツカレサマー

歌手「さて、と」

歌手「運良く炊き込みご飯の余りをもらえた」

歌手「いくら明日に使えないからって廃棄するのは、もったいなよな〜」

歌手「……まあ業務違反だから、いつももらえるわけじゃないけど」

歌手「タダ飯、ゲットだぜ!」 ニシシ♪


????「……よう、歌手」


歌手「あん?」

歌手「! ……イケメン」





108:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:45:42 ID:ey3fzNqs

イケメン「久しぶり」

歌手「お、おう……」

イケメン「元気そうだな」

歌手「……お、お前も、な」

イケメン「久しぶりに会ったんだし、少し話さないか?」

歌手「え……」

イケメン「コーヒー奢るぜ?」

歌手「い、いや、俺は」

イケメン「ほら、行こうぜ」

歌手「…………」





109:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:46:22 ID:ey3fzNqs

喫茶店


     イラッシャイマセー

イケメン「コーヒー。 ブレンドを二つ」

     カシコマリマシター

歌手「…………」


歌手(イケメン……スーツ姿、かっけぇ……)

歌手(バリバリ仕事してそうだ……)

歌手(…………)

歌手(ただの偶然……なんだろうか……)


イケメン「最近、店員ちゃんとどう?」

歌手「!」

歌手「……上手くやってるけど」





110:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:47:23 ID:ey3fzNqs

イケメン「そう」

イケメン「それは良かった」

歌手「…………」

イケメン「彼女の事だから」

イケメン「あの独特のイントネーションで笑ったりしてるんだろうな」 クス

歌手「まあな」

イケメン「こっちは、来る日も 来る日も 仕事で死にそうだよ」

イケメン「おかげでまだ独り身さ」

歌手「…………」

歌手「お前なら引き手あまただろ?」





111:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:48:54 ID:ey3fzNqs

イケメン「まあ会社の女の子達、良く食事に誘ってくれるけど」

歌手「イヤミかよ」

イケメン「ハハハ……時間がなくて、一度も行ってないけどね」

歌手「さよけ」

イケメン「……お前はどうなんだ? 仕事とか」

歌手「……!」

イケメン「…………」

     オマタセシマシター

イケメン「ありがとう」

イケメン「…………」 ズズッ…

イケメン「……うん、ここのブレンドはいい味だ」

歌手「…………」





112:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:49:47 ID:ey3fzNqs

イケメン「最近、夏らしくなったな」

歌手「…………」

歌手「……そうだな」

歌手「毎日クソ暑い」

イケメン「…………」

イケメン「そうだな、クソ暑い」

歌手「…………」 ズズッ…

歌手「……アイスの方が良かったな」

イケメン「悪い」

歌手「……別にいいさ」

歌手「ところで、よ」

イケメン「うん」





113:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:50:40 ID:ey3fzNqs

歌手「仕事で忙しく、時間がなくて女の子の誘いを断ってるお前が」

歌手「わざわざ何の用だ?」

イケメン「ハハ、本当にただの偶然だよ」

歌手「…………」

イケメン「偶然、時間が出来ただけさ」

イケメン「この後すぐ、社に戻らないといけないしね」

歌手「…………」

イケメン「……おっと、そろそろ時間だな」

イケメン「伝票持っていくよ」

歌手「……ああ」

イケメン「じゃ、またな」

歌手「…………」





114:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:52:06 ID:ey3fzNqs

歌手(……くそ)

歌手(なんも言い返せねぇ……)

歌手(…………)

歌手(あいつだけじゃない)

歌手(みんな……社会人になって、それぞれで働いている)

歌手(結婚して、子供のいる奴だって……)

歌手(…………)

歌手(俺は……)

歌手(俺は、あいつを……)

歌手(店員を巻き込んでいいのか……?)

歌手(…………)


―――――――――――







115:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:52:53 ID:ey3fzNqs

     ガチャ

店員「おかえりー」

歌手「ただいま」

店員「夕飯出来ているぞー」

歌手「ああ、美味そうだな」

店員「……?」

店員「どうしたー? 歌手ー?」

歌手「何でも無いって」

歌手「さて、食おうぜ!」

店員「う、うんー」

店員「…………」





116:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:53:46 ID:ey3fzNqs

店員「ごちそうさまー」

歌手「ごちそうさまでした」

     カチャ カチャ…

店員「洗い物、やっとくー」

歌手「おう、すまんな」

店員「いいって事ー」

店員「…………」

     ジャー… キュッ

店員「洗い物、終わったー」

歌手「そうか」

店員「…………」

店員「歌手ー」

歌手「ん?」





117:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:54:40 ID:ey3fzNqs

店員「何か、隠してないー?」

歌手「…………」

歌手「いいや?」

店員「…………」

店員「……そう」

店員「なら、いい」

店員「…………」

店員「……そろそろ帰るー」

歌手「そっか」

歌手「じゃ……」

     パタン…





118:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:55:34 ID:ey3fzNqs

歌手「…………」

歌手「あ……」

歌手「そういやもらった炊き込みご飯……」

歌手「すっかり忘れてた。 ……どうしよう」

歌手(…………)

歌手(……って)

歌手(俺……何、残飯もらって喜んでたんだよ)

歌手(こんなもの……店員に食わせるつもりだったのかよ)

歌手(…………)

歌手(何が、『礼をする』だよ……)

歌手(まともな飯すら用意できねーじゃねーかよ……俺)

歌手(…………)





119:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:56:12 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

店員(どうしたんだろ……)

店員(今までは、どんな事でも話してくれたのに)

店員(…………)

店員(……やっぱり)

店員(音楽の事を良く分かっていない私は)

店員(あんたを……支えてあげられないのかな)

店員(…………)

店員(私は……歌手と一緒に居られれば)

店員(それだけで幸せ)

店員(でも……)

     トボ トボ トボ…





120:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:57:15 ID:ey3fzNqs

数日後


M「あー後輩ちゃん、声優さん」

後輩「マネージャーさん」

声優「何でしょうか?」

M「この前のオーディションの結果が送られてきました」

声優「!」

後輩「!」

M「えー、その結果ですが……」

M「ちょっと、言いにくいんだけど」

声優(……ま)

声優(まさか……)

後輩「…………」 ドキドキ





121:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:58:11 ID:ey3fzNqs

M「残念ながら……二人共落選です」

声優「!」

後輩「」 ガーン…

M「……また次、頑張りましょう」

声優「はい」

後輩「はい……」

―――――――――――

後輩「はあ……」

声優「元気だしなよ、後輩ちゃん」

声優「マネージャーさんもまた頑張ろうって、言ってくれたじゃない」

後輩「そうなんですけど……悔しいです」





122:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 18:59:12 ID:ey3fzNqs

後輩「それに……先輩、何だか嬉しそうじゃありません?」

声優「! ……そんな事ないわ」

声優「ただ……こういうのも慣れちゃってるだけ」

後輩「…………」

後輩「それも”怖い”ですか?」

声優「ええ。 とっても、ね……」

後輩「…………」


声優(…………)

声優(……今回はいろんな意味で)

声優(嫌な感じ……)

声優(…………)

声優(仕事に集中しないと)





123:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:00:10 ID:ey3fzNqs

デブ「……ふあっ」

デブ「むにゃむにゃ……」

デブ「…………」

デブ「……!?」

デブ「もう10時を回っている!?」

デブ「…………」

デブ(今日もお隣さん……歌手目覚まし、鳴らなかったのか)

デブ(……風邪でもひいたのか?)

デブ(まあ、いっか)

デブ(仕事しないと……)





124:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:00:59 ID:ey3fzNqs

夕方


     ガチャ……キィ……パタン

デブ(さて)

デブ(今日も食い飽きたビニ弁買って……)


歌手「あ……」

デブ「あ……」

デブ「どうも」

歌手「どうも、です」


デブ(……?)

デブ(心なしか……元気がない様な……?)

デブ(まあ、関係ないけど)





125:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:01:57 ID:ey3fzNqs

歌手「…………」

歌手「あ、あの!」

デブ「え?」

歌手「この前、漫画描いてるって、聞きましたけど……」

デブ「は、はあ……」

歌手「もしかしたら……漫画家さん、ですか?」

デブ「!?」

デブ「い、いや、その……」

歌手「だとしたら、お願いがあるんです!」

デブ「だ、だから……」





126:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:02:54 ID:ey3fzNqs

歌手「漫画を、ぜひ! 読ませてください!」

歌手「お願いします!」 ペコリ

デブ「!?」

歌手「…………」

デブ「…………」

デブ「……何だか解りませんけど」

デブ「そんなに見たいのなら……」

歌手「ありがとうございます!」

デブ「…………」

デブ「でもね……」

デブ「あらかじめ言っておくけど……エロ漫画だよ?」

歌手「……薄々、そんな気はしてました」

歌手「あの日……コンビニでコピーを取ってた時に」

デブ「え」





127:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:04:08 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

歌手「…………」

デブ「じゃあ……ちょっと待ってて。 今、いくつか持ってくるから」

歌手「はい」

―――――――――――

デブ「はいこれ……2〜3日くらいで返してくれ」

歌手「ありがとうございます」

デブ「なるべく汚さないでね……ああ、それから」

デブ「感想とか、言わなくてもいいから」

歌手「……え?」

デブ「じゃ……」

歌手「…………」





128:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:05:11 ID:ey3fzNqs

デブ「……ふう」

デブ(引越しとか……考えた方がいいかもしれないな)

デブ(…………)

デブ(しかし)

デブ(何だって俺のエロ漫画を読みたい、なんて思ったんだろう?)

デブ(…………)

デブ(考えても解るわけないか……)

デブ(さっさと買い物済ませよう)

     テク テク テク…

―――――――――――






129:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:06:42 ID:ey3fzNqs

歌手「…………」

歌手「…………」 パラ…

歌手「…………」

歌手「…………」 パラ…

歌手「…………」

歌手(……ある程度は予想してた)

歌手(けど……)

歌手(無修正だとは思わなかった……!)///

歌手(女の子のマ○コや チ○コや……結合部がっ)///

歌手(…………)///

     ガチャガチャ

歌手(!!)





130:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:07:27 ID:ey3fzNqs

歌手(やべぇ! 店員が来た!)

     カチリ☆(開錠) ……ガチャ

店員「おっ? 今日は居たねー」

歌手「お、おう……」

歌手(間一髪、隠すの間に合った……)

店員「……どうしたー?」

歌手「な、なんでもない」///

店員「……?」

歌手「さ、さあ、飯を作ろうぜ!」

店員「…………」

店員「わかったー」





131:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:08:23 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

     トントントン パラパラ… グツグツグツ

歌手「…………」

歌手(やばい……)

歌手(店員に……めちゃくちゃムラムラする……)

歌手(…………)

歌手(こうして見ると)

歌手(黒髪のボブカットにスッとした顔立ち)

歌手(胸は控えめだけど、くびれた腰に柔らかそうなヒップ……)

歌手(そして、スラリと伸びた足……)

歌手(……こうして改めて見ると、本当に可愛いよな)///





132:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:09:28 ID:ey3fzNqs

店員「……歌手ー?」

歌手「!」

歌手「な、なんだ?」

店員「手が止まってるー」

歌手「す、すまん……」///

店員「…………」

店員(……やっぱり、変)

店員(歌手、どうしたの?)


―――――――――――







133:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:10:21 ID:ey3fzNqs

歌手「ごちそうさま」

店員「……ごちそうさまー」

歌手「…………」

店員「…………」

歌手「え、えと……」

店員「うんー」

歌手「今日も飯、ありがとうな」

店員「何度も言ってるー気にするなー」

歌手「ハハハ……」

歌手「…………」

店員「…………」





134:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:11:16 ID:ey3fzNqs

店員「歌手」

歌手「ん?」

店員「…………」

店員「私は……歌手に必要?」

歌手「…………」

歌手「え?」

店員「…………」

店員「私は」

店員「音楽の事は、全くと言っていいくらい」

店員「分かっていない」

店員「……私に出来る事は、歌手の食事を作るぐらいが精一杯」

歌手「…………」





135:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:12:27 ID:ey3fzNqs

店員「私は……」

店員「歌手の『夢』の手伝いが出来無い……」

歌手「…………」

歌手「そんな事ねーよ」

店員「!」

歌手「店員が傍に居てくれるだけで……」

歌手「どれだけ助けになったか、わかんねーよ」

店員「でも……」

歌手「もし、さ」

歌手「店員が居なかったら……俺、たぶん」

歌手「こんな貧乏ミュージシャン活動なんて、とっくに廃業してる」

店員「!」





136:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:13:39 ID:ey3fzNqs

歌手「……もしかしたら、たった一人かもしんねーけど」

歌手「俺の歌を楽しみにしている奴が、ここに居るって事が」

歌手「どれだけ力になってくれたか……」

店員「歌手……」

歌手「へへ……ちょっと恥ずかしい事、言ったな」///

店員「ううん」

店員「っていうか、もっと言って欲しいー」

歌手「調子に乗んなよ」

     ハハハ…

歌手「……あー、でも、な」

店員「んー?」





137:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:14:31 ID:ey3fzNqs

歌手「こんな事、言った後で言うのも何だが……」

歌手「今日は、これで帰ってくれないか?」

店員「…………」

店員「……は?」

歌手「頼む……何も聞かずに従ってくれ」

店員「……これだけ上げといて叩き落とすのは」

店員「温厚な私でもさすがにカチンとくる……」

店員「納得のいく説明をするまで帰らない」


歌手(……やべぇ)

歌手(地雷踏んだ……)





138:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:15:59 ID:ey3fzNqs

歌手「そ、その……割と最低系な理由、とだけ、言っとく」

店員「……余計に情報の開示を求めたい」

歌手(火に油だった……)

歌手「と、ともかく! 帰ってくれ!」

店員「私の空手の腕、見たいのー?」

歌手「白状します……」 クスン…

店員「最初からそう言えー」

店員「でー? どんな理由ー?」

歌手「お、おう……」

歌手「そ、その……な」

店員「はっきりしろー」


歌手「……お前に、ものすごくムラムラしてるからです」///







139:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:17:10 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

店員「は!?」///

歌手「な、何度も言わねーからな!?」///

店員「い、いきなりすぎ……」///

店員「というか、何で今頃!?」///

歌手「…………」///

歌手「これを読んだから……」///

―――――――――――

店員「」///

歌手「…………」///

店員「……お、女の子に、な、なんて物、見せるー」///

歌手「手っ取り早く、理解してもらうためだよ……」///





140:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:18:18 ID:ey3fzNqs

歌手「……これで分かっただろ」

歌手「今の俺は、ただのケダモノだ……」

歌手「まあ、お前の空手で撃退されるだろうけど、そんな目に会いたくもないし」

店員「…………」

歌手「さ……帰ってくれ」

店員「……ちょっと待ってー」

店員「確かに、ムードもへったくれも無くなるのは嫌だけど」

店員「私は……それを……受け入れる覚悟があるー」///

歌手「」

店員「……歌手」

店員「どうして、今まで、私に手を出さなかった?」





141:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:19:09 ID:ey3fzNqs

歌手「……!」

歌手「…………」

歌手「……将来が」

歌手「将来がどうなるのか、不安だったし」

歌手「もし……諦めた時」

歌手「店員には、綺麗な体でいてもらいたかったから……」

店員「…………」

店員「そうだったの……」

歌手「…………」

店員「歌手」

歌手「……うん」





142:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:20:25 ID:ey3fzNqs

店員「私、久しぶりに怒った」

歌手「え」

店員「ここであなたに選択肢を与えます」

歌手「は?」

店員「ひとつは」

店員「ダブルブリザードからの 烈風正拳突きを喰らって貰うこと」

歌手「……なんで闘将ダ○モス知ってるんだよ」

店員「もう一つは」

店員「……その、私と……する事」///

歌手「」///

店員「さあ、選んで」





143:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:21:11 ID:ey3fzNqs

歌手「で、でも……」

店員「歌手」

店員「私を大切に思ってくれてるのは分かったー」

店員「だけど……」

店員「それは、ある意味で『拒絶』とも取れるー」

歌手「!」

店員「私は……」

店員「不安で不安で……怖かった」

店員「どうしようもなく、恐ろしかった……」

歌手「…………」





144:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:22:12 ID:ey3fzNqs

歌手「……店員」

     ギュッ…

店員「!」

歌手「悪い……」

歌手「俺」

歌手「逃げて……いや、覚悟が足りてなかったんだな」

店員「……歌手」

歌手「……なんて言うか、ホント、ムードもへったくれもないけど」///

店員「それは、しょうがないー」

店員「けど」

店員「今、私は、最高に幸せー」///

歌手「ハハ……俺も」///





145:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:23:09 ID:ey3fzNqs

店員「じゃ……準備するー」

歌手「……へ?」

店員「こんな事もあろうかと」

歌手「真○さんか、お前……」

     ゴソゴソ…

店員「お泊まりセットを歌手の部屋に忍ばせておいたー」

歌手「…………」

店員「歌手は童貞?」

歌手「どどどど童貞ちゃうわ!」///

店員「気にするなー。 私も初めてー」

歌手「だから俺h」

店員「ダブルブリザー……」

歌手「童貞です」





146:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:23:59 ID:ey3fzNqs

店員「じゃ、お湯を沸かすー」

歌手「……? 何に使うんだ?」

店員「これ。 ローションを作るー」

歌手「…………」

歌手「なあ」

店員「何ー?」

歌手「もしかして、経験者?」

店員「ファイヤーブリザー……」

歌手「な、何でもないです!」





147:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:25:07 ID:ey3fzNqs

店員「まあ、疑うのも分からんではないー」

歌手「さよけ」

店員「私の先輩にあたる人から、いろいろと経験談を聞いたー」

歌手「へえ」

店員「初めて同士は、失敗が多いー」

店員「特に女の子は、個人差があるとは言え、最初の痛みでトラウマになり」

店員「行為はおろか、相手とも気まずくなって別れにつながる事も……」

歌手「…………」

店員「私……」

店員「歌手とそうなりたくないー」///

歌手「お、おう……」///





148:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:26:22 ID:ey3fzNqs

歌手「他にどんな注意点が?」

店員「避妊具のつけ方とかー、オギノ式の数え方とかー」

歌手(……どんな先輩だよ)

店員「後、○ナルには絶対手を出すな、とかー」

歌手「やらないから。 俺そこまで探求しないから」

店員「実際、かなり危険らしいー」

店員「大腸菌感染でえらい事にな」

歌手「その辺で止めてくれ……萎える」

店員「それは困るー」

歌手「もっと初心者レベルの注意点を、だな……」///

店員「心得たー」

―――――――――――






149:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:27:25 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……ん?」

     アン……アン……ア……

デブ「」

デブ「え」

デブ「ええ!?」

     歌手……モットォ………

デブ(ちょ……)

デブ(ちょっと待ってくれ……)

     アア……スゲェ………店員ッ……





150:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:28:17 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(……これってアレか?)

     ヤ……ハゲシイ………ユックリ……

デブ(倦怠期で、刺激が欲しくて)

デブ(俺の漫画を使った……?)

     ソウイワレテモ……ガマン………デキナ……

デブ(…………)

デブ(……まあ)

デブ(役に立ったみたいだけど)

     店員……オレ………モウッ……アアッ………

デブ(出来れば、雑誌を買ってやってくれよな……)

     歌手……歌手ゥ…………

デブ(…………)

デブ(一発抜いておくか……) ハア…





151:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:29:18 ID:ey3fzNqs

翌日


声優「おはようございます」

M「ああ、おはようございます、声優さん」

後輩「おはようございます、先輩、マネージャーさん」

M「お、来たね、後輩ちゃん」

後輩「?」

後輩「私に何か用ですか? 新しいお仕事、とか?」

M「うん、ある意味ではそうだね」

後輩「はあ……」

M「実は、この前のオーディション」

M「選定員の一人が、ぜひ君にやってもらいたいキャラがあるって」

M「さっき連絡があったんだ」





152:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:30:43 ID:ey3fzNqs

声優「……!」

後輩「え……?」

後輩「エロですか?」

M「いいや」

声優「!」

後輩「ええ!?」

M「深夜枠だけどね」

M「最近流行りの魔法少女もので、準主役級の役をお願いしたいってさ」

後輩「ほ、本当ですか!?」

後輩「やった! やりましたよ! 先輩!」

声優「……っ」





153:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 19:31:55 ID:ey3fzNqs










     アタシの時間が、止まる――













162:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:19:10 ID:ey3fzNqs

後輩「それで、収録はいつなんですか!?」

M「ハハハ、まだちょっと先だよ」

M「先方(せんぽう)の話じゃ来月下旬くらいになるって」



     …………



後輩「他のキャラの配役は決まっているんですか!?」

M「主要キャラはね」

後輩「有名な人とか、居るんだろうなぁ……」



     ……どうして








163:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:20:06 ID:ey3fzNqs

後輩「うう〜、い、今から緊張してきました……」

M「まあまあ。 とりあえず、目の前の仕事に集中してくれよ?」

後輩「もちろんです!」



     どうして、なの……?



M「それじゃあ、詳しいスケジュールが分かり次第、連絡するから」

後輩「はい!」



     アタシは――

     アタシのしてた、努力は――








164:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:20:59 ID:ey3fzNqs

後輩「……?」

後輩「先輩?」

声優「…………」

後輩「どうしたんですか? 先輩?」

声優「…………」

後輩「先輩!」

声優「!!」

声優「あ、う、うん、ごめんなさい、後輩ちゃん……」

声優「ちょっと……寝不足で、ボーっとしちゃってた」

後輩「そうなんですか」

声優「う、うん……そう、なの」





165:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:21:44 ID:ey3fzNqs

声優「じゃ、仕事に行かないと……」

     ソソクサ…

後輩「あ……」

後輩「…………」

後輩「どうしちゃったんだろう……先輩」


―――――――――――


銀行


     ピ……ピピ……ピ

デブ「…………」

デブ(まだ入金されてない)





166:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:22:30 ID:ey3fzNqs

デブ(B出版……先月も3日遅れてたし)

デブ(今月もなのか……?)

デブ(しっかりしてくれよ……ったく)

     アリガトウ ゴザイマシタ

デブ(さて……どうするかな)

デブ(…………)

デブ(暑ぅ……)

デブ(とりあえず、喫茶店にでも入って考えよう)

     テク テク テク…





167:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:23:34 ID:ey3fzNqs

歌手「……う」

歌手「ふああああああっ……」

歌手「…………」 ボー…

店員「おはよー」

歌手「……!?」

歌手「え!? て、店員!?」

店員「何で驚くー?」

歌手「……」

歌手「あ……そ、そうだった……俺達、昨夜……」///

店員「……」///





168:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:24:24 ID:ey3fzNqs

歌手「って!? もう10時じゃねーか!?」

店員「そうだねー」

歌手「なんで起こしてくれなかったんだよ!? 完全に遅刻だ、遅刻!」

店員「そうだねー」

歌手「そうだねって……お前も遅刻なんじゃね?」

店員「……昨夜」

店員「誰かさんのハッスルで私の一部分が悲鳴を上げておりますー」

歌手「す、すまん」///

店員「そんな訳で、さっき電話して、私は今日休みを取ったー」

歌手「ああ……」

店員「…………」





169:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:25:34 ID:ey3fzNqs

店員「そういえば、聞きたい事、あるー」

歌手「おう?」

店員「昨日の……その、えっちぃ漫画ー」

店員「あれ、コピーだったけど、無修正だったー」

歌手「ああ……」

店員「あんなの、どうやって手に入れたのー?」

歌手「手に入れた訳じゃねーよ。 借りたんだ」

歌手「お隣のデブさんに」

店員「へー」

店員「やっぱり、そういう雑誌に描いている人ー?」

歌手「まあ、はっきり言わなかったけど……たぶん」

店員「そっかー」





170:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:26:26 ID:ey3fzNqs

店員「お礼、言うべきかなー?」

歌手「……どうして?」

店員「私と歌手のキューピッドになったー」

歌手「心情的に受け入れたくない事実だ……」

店員「事実は小説よりも奇なりー」

歌手「まあ、真面目な話……デブさん、お礼言われても困ると思う」

店員「……やっぱりそうかなー」

歌手「って、そんな話ししている場合じゃない!」

歌手「電話! 電話入れとかないと!」

店員「歌手も休んだらー?」





171:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:27:16 ID:ey3fzNqs

歌手「そうしたいのは山々だが……」

店員「?」

歌手「絶対、お前に手を出す……つーか、空手技食らってもヤリ倒そうとする」

歌手「情けないが……我慢できる自信がねえ」///

店員「……歌手のスケベー」///

歌手「う、うるせー」///

歌手「ど、童貞には、過剰すぎる快感だったんだよっ」///

店員「バ、バカ……そ、それ以上言うなー」///

歌手「だあもう! 思い出しちまったじゃねーか!」///

歌手「静まれっ! 俺の情熱マイクッ!」///

店員(……男って、ちょっと可哀想な生き物ー)///





172:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:28:21 ID:ey3fzNqs

収録スタジオ


声優「ああんっ、あんっあんっ……」

声優「もっとぉ……もっとかき回してぇ……」

声優「子宮の奥ぅ……いいのぉ……あひぃぃぃっ」


スタッフ「…………」

スタッフ「すみません、もう一度お願いします」


声優「……はい」

声優「ああんっ、あんあん……」

声優「もっと……もっとかきき回し……」

声優「……すみません」


スタッフ「……はい」





173:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:29:54 ID:ey3fzNqs

声優(……ダメ)

声優(もっと……もっと集中しなさいっ!)

声優(こんなの……いつもやっている事でしょ!?)

声優(こんなのっ……!)

     ――やった! やりましたよ! 先輩!――

声優「ああんっ、あん、あんっ……」

声優「もっとぉ……もっと、かき、回して……」

声優「子宮、の、お…く…………っ」

     ――それで、収録はいつなんですか!?――

声優「……っ……うっ……」 ポロッ

声優「うくっ……うっ……ううっ」 ポロポロ……


スタッフ「…………」


―――――――――――







174:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:31:05 ID:ey3fzNqs

午後


M「……どうしたの、声優さん」

声優「…………」

M「後輩ちゃんくらいの新人ならともかく、君みたいなベテランが……」

声優「……すみません」

M「…………」

M「……まあ、先方(せんぽう)さんにも まだ余裕があったから良かったものの」

M「こういう事が続くと、こっちとしても、ね……」

声優「…………」





175:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:31:54 ID:ey3fzNqs

M「…………」

M「スケジュールの調整はしておくから、2〜3日休んだ方がいい」

声優「!?」

声優「ま、待ってください!」

声優「アタシは……アタシはやれます!」

M「ダメだよ……今の君は使えない」

声優「……っ」

M「……僕としても、心苦しいけど」

M「今は、休む事を考えなさい」

M「わかったかい?」

声優「………………はい」





176:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:32:48 ID:ey3fzNqs

夕方


     コン コン

デブ「? は〜い、どなたですか?」

歌手「あ、どうも……隣の歌手です」

デブ「ああ……今 開けます」

     ガチャ

歌手「昨日は突然すみませんでした」

デブ「いえ……」

歌手「これ……漫画です」

デブ「あ、はい」

デブ「じゃ……」

歌手「凄いですね……デブさんは」





177:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:33:54 ID:ey3fzNqs

デブ「……は?」

歌手「怒るかもしれませんけど……」

歌手「俺……ちょっと、馬鹿にしてたっス」

歌手「デブさんも……エロ漫画の事も」

デブ「…………」

歌手「情けない事に……自分の無くしたやる気を取り戻したくて」

歌手「俺は、この人よりマシなんだって、思い込みたくて漫画を借りたっス……」

デブ「…………」

歌手「でも」

歌手「全然違った」





178:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:35:01 ID:ey3fzNqs

デブ「……違わないよ。 その通りさ」

歌手「いいえ」

歌手「俺、羨ましいっス」

歌手「デブさんは、立派に『漫画』で食って行けてるじゃないですか」

デブ「…………」

歌手「……俺、今だにスーパーの惣菜売り場でバイトしてるっス」

歌手「もし……ミュージックに『エロ』ってジャンルがあったら」

歌手「是非それで稼いで、少しでも音楽のそばにいたいっス」

デブ「……!」

歌手「それに、このエロ漫画だって凄いっスよ」

歌手「めちゃくちゃムラムラしましたし」

デブ(……それは知ってる)





179:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:36:30 ID:ey3fzNqs

歌手「ぜひ……大事にしてやってください」

デブ「は?」

歌手「俺は……自分が作った曲は、全部大事にとっているっス」

歌手「中には、こんなダセー曲って言われたものもあります」

歌手「でも……自分で生み出した……言ってみれば子供みたいなものなんです」

歌手「俺、捨てられないっス」

デブ「…………」

歌手「そんな訳で、いろいろ言っちゃったスけど」

歌手「全部ひっくるめて、ありがとうございましたっス!」

歌手「それじゃ!」

デブ「……はあ」

     パタン…





180:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:37:15 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ(……ったく)

デブ(相変わらず、無駄に熱い人だ)

デブ(…………)

デブ(子供……か)

デブ(悪いなぁ……こんな情けない親で)

デブ(…………)

デブ(……でも)

デブ(やる気は出てきたな)

デブ(………ふふ)

デブ(さ、仕事を続けるか)





181:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:37:59 ID:ey3fzNqs

翌日


店員「いらっしゃいませー」

店員「……あ」

イケメン「やあ、店員ちゃん」

店員「待っていたぞよー」

イケメン「嬉しい事言ってくれるね」

店員「覚悟しておけー」

店員「特大の引導を渡してやるー」

イケメン「お、お手柔らかに頼むよ……」





182:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:39:00 ID:ey3fzNqs

喫茶店


     イラッシャイマセー

イケメン「コーヒーを……あ」

イケメン「やっぱり、アイスコーヒーを2つ」

イケメン「それでいいかい?」

店員「何でもいいー」

     カシコマリマシタ

イケメン「さて……聞かせてもらえるかい?」

店員「わかってるー」

店員「…………」

店員「……そうねー」

店員「二人だけだったー」

店員「私の喋り方をバカにしなかったのはー」





183:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:39:52 ID:ey3fzNqs

イケメン「…………」

店員「もっとも、馬鹿にした奴は片っ端から叩きのめしたけどー」

イケメン「男が相手でも容赦なかったよね……」

店員「でも、そのせいもあってー」

店員「私に話しかけてくる人は、稀だったー」

イケメン「……うん」

店員「……楽しかったよねー」

イケメン「ああ……俺と君と歌手の三人で、よくつるんだもんだ」

店員「…………」

店員「決定的だったのは、学祭の時だったー」

イケメン「…………」





184:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:41:02 ID:ey3fzNqs

店員「クラス別の出し物で」

店員「初めて、あなたと歌手が対立したー」

イケメン「…………」

店員「あなたは堅実に喫茶店」

店員「歌手は、リクエスト・コンサート」

店員「歌手が、客のリクエストで一曲歌う、という誰が見ても無謀な企画だったー」

イケメン「…………」

店員「結局」

店員「クラスの取り決めで、あなたの案が採用されたー」

イケメン「……そこから、あいつは凄かったね」

イケメン「じゃあ自分だけでもやる!って言い出して」

イケメン「たった一人で実行委員会に企画エントリーした」





185:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:42:24 ID:ey3fzNqs

店員「……私も無謀だと思ったー」

店員「意地を張らずにみんなで頑張ろう、と、説得もしてみたりもしたー」

イケメン「…………」

イケメン「たかだか高校の文化祭に、自腹を切ってまでステージを作っていたっけ……」

店員「そう」

店員「私もついて行けないって思ったー」

店員「しかも校舎裏……いったい誰が近寄るの?っていう場所ー」

イケメン「……そして当日」

イケメン「追い討ちをかけるような無常の雨が降ってきた」

店員「…………」

イケメン「…………」





186:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:43:32 ID:ey3fzNqs

     オマタセシマシター

イケメン「ありがとう」

店員「ありがとうー」

     ズズッ…

店員「……私は、心配になって様子を見に行ったー」

店員「案の定、歌手はたった一人で歌っていたー」

イケメン「…………」

店員「歌手はずぶ濡れで、ギター持って……」

店員「でも……ずっと笑いながら歌ってたー」

イケメン「…………」

店員「私……どうしてかわからないけど」

店員「『明るい曲』をエントリーしたー」





187:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:44:59 ID:ey3fzNqs

イケメン「…………」

店員「……本当にバカだよねー」

店員「だけど……」

イケメン「…………」

店員「私は、文化祭が終わって、片付けを手伝いながら」

店員「いろいろ最悪だったねって言ったー」

店員「そしたら……歌手はなんて言ったと思うー?」

イケメン「……疲れた、とか?」

店員「…………」

店員「笑いながら『そんな中なのに3人も客が来てくれたぞ!』だった……」

イケメン「……あいつらしいな」





188:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:46:42 ID:ey3fzNqs

店員「その時、私……」

店員「歌手に恋をしたー」

イケメン「…………」

店員「この人は、どんな失敗も苦境も『楽しむ事』ができるー」

店員「どんなに馬鹿にされようとも、どんなに愚かだと言われても」

店員「笑い飛ばして、楽しんでしまえる人なんだって……」

イケメン「…………」

店員「今もそう……」

店員「歌手といると、それだけで私は楽しいー」

店員「経済的には苦しいけど、それを笑い飛ばしてるー」

店員「きっと……これからも」

イケメン「…………」

イケメン「……そうか」





189:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:47:55 ID:ey3fzNqs

店員「イケメン」

イケメン「ん?」

店員「私は、イケメンの生き方を否定したいわけじゃないー」

店員「多分、私の選択の方が、世間から見たらおかしいと思われるー」

店員「でも」

店員「それでも、合う合わないは、人それぞれー」

イケメン「…………」

イケメン「……もし」

イケメン「もし、歌手がいなかっ――」

店員「…………」





190:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:48:59 ID:ey3fzNqs

イケメン「……いや」

イケメン「何でも無い」

店員「……そう」

店員「最後に」

イケメン「ん?」

店員「最大にして最強の止めを刺すー」

イケメン「うん」

店員「私は」

店員「歌手に『女』にしてもらったー」

イケメン「ぶふぉっ!?」

店員「まいったかー」 ドヤッ!

イケメン「ハ、ハハハ……」

イケメン「そ、そう……かい。 二重に驚いたよ」





191:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:50:11 ID:ey3fzNqs

店員「二重ー?」

イケメン「一つは君の思う通り」

イケメン「もう一つは、まだ”シテ”なかったのか、と思ってな」

店員「悪かったなー」

イケメン「ハハハ……」

イケメン「…………」

イケメン「ありがとう、店員ちゃん」

イケメン「おかげで……いい踏ん切りがついたよ」

店員「…………」

イケメン「じゃ、俺はこれで……伝票、持っていくね?」

店員「うん」


―――――――――――







192:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:51:03 ID:ey3fzNqs

イケメン(…………)

イケメン(……予想はしてた)

イケメン(彼女の心に入り込むのは難しいって)

イケメン(…………)

イケメン(……だけど)

イケメン(結構くるものだな……)

イケメン(…………)

イケメン(世の中の半分は女なのに)

イケメン(どうして、君なんだろうね……)

イケメン(…………)





193:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:52:03 ID:ey3fzNqs

イケメン(…………)

イケメン(俺は、君を支えたいって、ずっと思ってきた)

イケメン(その為に、堅実に生きてきた)

イケメン(将来を……ずっとずっと先を考えて、見据えて)

イケメン(頑張ってきた……)

    ――私は、イケメンの生き方を否定したいわけじゃない――

イケメン(…………)

イケメン(……君が俺の傍に居ないだけで)

イケメン(十分否定されてるよ……)

イケメン(…………)

イケメン(俺は……)

イケメン(店員ちゃん以外の誰かを)

イケメン(好きになれるのだろうか……)





194:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:53:08 ID:ey3fzNqs

イケメン「…………」

イケメン「…………」 ピッ

イケメン「ああ、母さん? ……うん、そう」

イケメン「突然なんだけど、お見合いの話、進めておいてくれる?」

イケメン「…………」

イケメン「うん……うん……」

イケメン「うーん……それは約束できないな」

イケメン「何しろ初めての事だし……それに」



イケメン「その人が俺に合うか、合わないか、は、解らないからね……」








195:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:53:44 ID:ey3fzNqs

数日後

銀行


デブ(……おかしい)

デブ(まだ入金されていない)

デブ(もう5日目だ……)

デブ(…………)

デブ(仕方ない)

デブ(B出版に電話してみよう)

     テク テク テク





196:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:54:34 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」 ピッポッパッ

     お掛けになった電話番号は、現在使われておりません

     もう一度……

デブ「……いけね、間違えたか」 ブッ… 

デブ「…………」 ピッポッパッ

     お掛けになった電話番号は、現在使われておりません

デブ「……あれ?」

デブ「…………」 ブッ

デブ「ええと……○■○ー●○△■と」

デブ「…………」 ピッポッパッ

     お掛けになった電話番号は、現在使われておりません

デブ「…………」





197:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:55:34 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(……まさか)

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……プルルルルル……

     ガチャ

デブ「あ……A出版さんですか?」

デブ「すみませんが、A編集者さんをお願いします」

デブ「はい……」

デブ「…………」

デブ「……あ、A編集者さん、すみません」





198:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:56:11 ID:ey3fzNqs

デブ「……は?」

デブ「ああ……そ、それは確かにお願いしたいですが……別件で」

デブ「……ええ、そうです」

デブ「A編集者さんは、B出版ってご存知ですか?」

デブ「…………」

デブ「ええ、それです」

デブ「その出版社の……」

デブ「え?」

デブ「…………」





199:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 21:57:08 ID:ey3fzNqs









デブ「2週間くらい前に不渡りを出した……?」












202:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 22:57:40 ID:HdL7Rcf.

声優さんだけキッツいなーと思ったらデブも悲惨な事に……





208:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:06:29 ID:ey3fzNqs

カラオケボックス


店員「…………」

店員「テンチョー」

テンチョー「ん?」

店員「売れてない女優さん、ここんとこ見ませんねー?」

テンチョー「……そうだね」

テンチョー「風邪でもひいたのかな……?」

店員「なるほどー」

店員「ちょっと心配ですねー」

テンチョー「だね」





209:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:07:24 ID:ey3fzNqs

事務所


後輩「……マネージャーさん、先輩、今日もお休みなんですか?」

M「うん……」

M「体の方は問題ないんだけどね」

M「念のため、もう少し休むってさ」

後輩「そう……ですか」

M「じゃ、今日も収録、頑張ってね」

M「場所、いつもと違うから、気をつけてね」

後輩「はい……わかりました」

     テク テク テク…

M「…………」





210:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:08:34 ID:ey3fzNqs

収録スタジオ


後輩「ああんっ! しゅごいっ……! しゅごいのぉぉっ!」

後輩「あたしの子宮ぅっ……! 全部っ……ギモヂいいのぉほぉっ……!!」

後輩「んはぁっ……! らめぇぇぇっ! れんぶっ……れんぶギモヂ……いいのほぉっ!!」

後輩「らしてぇっ……! 触手ち○ぽミルクぅ、らしてぇっ!」

後輩「触手ち○ぽミルク、いっぱい子宮にらしてぇぇぇぇっ!!」

後輩「ンはぁっ! きたぁ……! 触手ち○ぽっ、どくどくらしてぇ……」

後輩「ンあヒィィィィィィィッ!!」

後輩「あらしのひきゅう、イグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


スタッフ「……はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」


後輩「お疲れ様でした」





211:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:09:33 ID:ey3fzNqs

後輩「ふう……」

後輩「…………」

後輩(先輩、どうしちゃったのかな……)


スタッフ「…………声優さん、まだダメなのかな」


後輩「……?」

後輩(……スタッフマイク、入ったままだ)


スタッフ「こっちとしては、そろそろ録りたいんだけどね〜」

すたっふ「声優って……この前、収録中泣いちゃった娘?」


後輩「!?」





212:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:10:43 ID:ey3fzNqs

スタッフ「そうなんだよ……」

スタッフ「長い事やってるし、そのへんは割り切ってると思ってたんだけどね〜」

すたっふ「まあ……逆に、今まで溜まってたものが一気に吹き出したのかもな」

すたっふ「俺、あの娘がエロ以外で(声を)当ててるの、ガヤ以外で見た事ねえし」

スタッフ「あー……そりゃいろいろクルわなー」

スタッフ「俺がその立場なら……とっとと辞めて他の仕事するわ」

すたっふ「アイドル声優がもてはやされて、その夢を捨てきれないのかもな」

すたっふ「実際、成れるのは ほんのひと握りなのに……」

スタッフ「それはさすがに理解してると思うが……どうなんだろうな」

すたっふ「……まあ、俺たちがボヤいたってしょうがないんだけど」

すたっふ「おっと……マイク、入れっぱなしだった」

     ブツンッ

後輩「…………」





213:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:11:45 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……

デブ「あ、C出版さんですか?」

デブ「私、以前そちらで漫画を描かかせてもらっていたデブ、という者なんですが……」

デブ「C編集者さんは居られますでしょうか?」

デブ「…………」

デブ「あ、C編集者さん、お久しぶりです」

デブ「はい……はい……」

デブ「そうですね、懐かしいですね」

デブ「それで、ですね……」





214:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:14:53 ID:ey3fzNqs

デブ「できたら、そちらでまた、漫画を描かせてもらえな……」

デブ「い、いえ、仕事ができるなら、イラストのカットでも何でもいいんです」

デブ「…………」

デブ「は、はい……無理は承知しています」

デブ「ですが……」

デブ「はい……はい……」

デブ「…………そう……ですか」

デブ「…………」

デブ「わかりました……お手間を取らせて申し訳ありません」

デブ「でも御用があれば、いつでも……」

     ブッ……

デブ「…………」

デブ「ええと……次は……」





215:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:15:44 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……

デブ「あ、D出版さんですか?」

デブ「私、以前そちらで漫画を描かせてもらっていたデブ、という者なんですが……」

デブ「D編集者さんは居られるでしょうか?」

デブ「…………」

デブ「……え? 辞めた?」

デブ「そ、そうですか……」

デブ「あ、あの……でしたら、ですね」

デブ「そちらで是非、仕事を……」

     ブッ……

デブ「…………」





216:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:16:44 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……

デブ「あ、E出版さんですか?」

デブ「私、以前そちらで漫画を描かかせてもらっていたデブ、という者なんですが……」


―――――――――――


デブ「…………」

デブ(……全滅、か)

デブ(…………)

デブ(…………)

デブ(……どうしたら)

デブ(…………)





218:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:18:04 ID:ey3fzNqs

デブ(……今やってる仕事が終わったら)

デブ(俺……完全に無職……)

デブ(原稿料は3ヶ月遅れで入ってくるけど……お先真っ暗だ)

デブ(B出版の仕事で何とかなると思ってたのに)

デブ(ここは既に倒産してて、3ヶ月分の原稿料は、丸まるおシャカ……)

デブ(かつてのツテを当たってみたけど……結果は全滅)

デブ(…………)

デブ(……詰んだ……かも、な)

デブ(…………)

デブ(まいった……)


―――――――――――







219:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:19:21 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

声優「……あれ?」

声優「もう無い……ヒック」

声優「…………」

声優「ちょっと、買ってくるか……ヒック」

声優「…………」

声優「んー……んはははは……ヒック」

声優「いーきもちー」

声優「……ヒック」

     フラ フラ…


―――――――――――







220:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:20:24 ID:ey3fzNqs

声優「んへへへー」

声優「コンビニって便利ぃー……ヒック」

声優「んはははは、声優様のお帰りー」

声優「ヒック」

     ガチャガチャ…

声優「……んあ?」

―――――――――――

デブ「……!?」

デブ(誰?)

     コラァー ダレダァー アタシノ部屋ノカギシメタノー!

デブ「」

デブ「え? 声優さん?」





221:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:21:41 ID:ey3fzNqs

     ガチャ…

デブ「あのー……あなたの部屋は隣なんですけ」

     ドササッ

声優「んはー……」

デブ「酒臭っ!?」

デブ「って! こんな昼間からどうしたんですか!?」

声優「……うっせー!」

声優「なに人の部屋に入ってんだよ、キモヲタ!」

デブ「」

声優「出て行くのはあんただっつーの……キャハハハハッ!」

デブ(アカン……そうとう酔ってる……)





222:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:22:43 ID:ey3fzNqs

声優「はははは……はあー……」

デブ(……どうしよう)

声優「……ぐすっ」

デブ「」

声優「なによう……アタシの何がいけないのよう……ヒック」

声優「後輩ちゃんが……えぐっ……どうして……えらばれりゅのよぉ……」

声優「なにが違うってのよぉ……! ぐすっ……えぐっ……」

デブ(…………)

デブ(恋愛のもつれ……かな……?)

声優「……それもこれも」

声優「全部あんたのせいよ! ……ヒック」

デブ「…………」





223:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:24:06 ID:ey3fzNqs

声優「あんたみたいなキモヲタのブタ野郎が居るから」

声優「アタシが成るのよ!!」

デブ「…………」

声優「訴えてやるんだからぁ……ぐすっ……」

声優「全部……全部……」

声優「恨んでやるんだからぁっ!」

デブ「…………」

声優「う……あああああああああああっ……」

声優「えぐっ……ひぐっ……もう……やだああああああああっ……」

声優「ああああああああっ……」

デブ(……泣きたいのはこっちです) クスン…





224:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:25:22 ID:ey3fzNqs

夕方

事務所


後輩「お疲れ様でした」

M「ああ、お疲れ様、後輩ちゃん」

後輩「…………」

後輩「あの、マネージャーさん」

M「ん?」

後輩「声優先輩、収録で泣いたって……本当ですか?」

M「…………」

M「君が気にする事じゃないよ」





225:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:26:35 ID:ey3fzNqs

M「彼女もこの業界、長いんだ……割り切って仕事するのがプロだと」

M「わかっている」

後輩「…………」

M「……でも、人間なんだもの」

M「時々、立ち止まったり、転んだりしちゃうものだよ」

後輩「…………」

後輩「先輩……慣れるのが怖いって、言ってました」

M「…………」

後輩「割り切るって、何なんですか?」

後輩「先輩は、ずっとずっと……我慢してただけなんじゃないですか!?」

M「こ、後輩ちゃん……」

後輩「……私だって、我慢している状態です」

後輩「だからこそ、エロじゃない仕事が入って、嬉しかった!」





226:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:27:37 ID:ey3fzNqs

M「…………」

M「わかっているよ……そんな事」

後輩「…………」

M「でもね……マネジメントしてる側から言わせてもらうけど」

M「彼女が頑張れば頑張るほど、エロ関連の仕事が増えるんだ……」

後輩「……!」

M「皮肉だよね……」

M「彼女の努力は、確かに認められているんだよ」

M「でも……それが表舞台の仕事を遠ざけていたりするんだ」

後輩「……っ」





227:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:30:39 ID:ey3fzNqs

M「…………」

M「こっちとしても……できるだけ偏らないようにしたいんだけど」

M「結局……」

後輩「…………」

後輩「……帰ります」

     テク テク テク…

M「あ……」

M「…………」

M(彼女も……)

M(……ヤバイかもしれないな)

M「はあ……」


―――――――――――







228:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:32:15 ID:ey3fzNqs

後輩「…………」

後輩(……どうして)

後輩(こんな事になったの……?)

後輩(…………)

後輩(私は、この業界の事を調べて、覚悟を決めて入ってきた)

後輩(有名な声の人も アイドル声優で活躍している人も)

後輩(エロをやった事が無い人は皆無……)

後輩(中には、エロができない奴は二流以下、なんて言ってる人も居る)

後輩(…………)

後輩(……私は、このチャンスを無駄にしたくない)

後輩(でも………でも……!)


―――――――――――







229:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:33:08 ID:ey3fzNqs




声優「…………」zzz

声優「……ん」

声優「ふあああっ……」

     ズキズキッ!

声優「ぐっ……!」

声優「……ったま痛ぁ」

声優「…………」

声優「……さすがに、飲みすぎたみたいね」

声優「…………」





230:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:34:06 ID:ey3fzNqs

声優(……あれ?)

声優(なに? この汚い部屋……それにあれって)

声優(描きかけの漫画……?)

     ガチャ

デブ「ふう……」

声優「」

デブ「あ」

デブ「目が覚めましたか、声優さん」

声優「…………」 唖然…

デブ「……その、とりあえず話を聞いてください」

デブ「やましい事はしてないし、玄関の鍵は空いてますから……」

声優「……はい」





231:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:35:14 ID:ey3fzNqs

デブ「――という訳です」

声優「」

声優「す、すみませんでした!!」

デブ「いえ……」

デブ(心に何発かクリティカルヒットもらいましたけどね……)

デブ「ご気分が治られたのなら、どうぞ帰ってください」

声優「はい……重ねてすみません」

声優「すぐにでも……」 ヨロ……

デブ「ああ、無理はしないで……これ、二日酔いの薬です。 どうぞ」

声優「…………」

声優「……本当にすみません」





232:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:36:21 ID:ey3fzNqs

デブ「じゃ……俺、仕事しますんで……」

声優「あ、はい……」

デブ「…………」

声優「…………」

声優「……あの」

デブ「はい?」

声優「漫画家さん……なんですか?」

デブ「……ええ」

デブ「エロ漫画ですけどね」

声優「! そ、そうなんですか……」

デブ「はは……お恥ずかしい事ですが」

声優「そんな事は……」





233:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:37:23 ID:ey3fzNqs

デブ「……どうあがいたって、おおっぴらに言えるジャンルじゃないですよ」

声優「…………」

声優「そんな言い方は良くないと思います」

デブ「…………」

デブ「いいんです」

デブ「もうすぐ廃業するかもしれませんし」

声優「え……?」

デブ「……いろいろあって、今書いている原稿仕上げたら」

デブ「次の仕事がないんですよ」

声優「……!」

声優「そう……なんですか」

デブ「愚痴ってしまってすみません……」

声優「……いえ」





234:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:38:52 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「皮肉なもんです」

デブ「変な話なんですが、ちょっとやる気になっていたところだったのに……」

デブ「とたんにこのザマです……笑ってしまいますよ」

声優「…………」

声優(……複雑な気分)

声優(この人は……今、どんな気持ちで仕事をしているんだろう)

声優(…………)

声優(アタシは……まだ幸せな方なんだろうか……)

声優(……けど)





235:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:39:43 ID:ey3fzNqs

声優(…………)

声優(……あれ?)

声優(でも待って……どうしてこの人は……?)

声優(…………)


デブ「…………」


声優(何か、訳があるのかな……?)

声優(…………)

声優(……かもしれない)

声優(聞いたら失礼なんだろうか……)

声優(…………)





236:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:40:40 ID:ey3fzNqs

声優「……あの」

デブ「はい?」

声優「もしかしたら、何か理由があるのかもしれませんが」

声優「質問してもいいですか?」

デブ「どうぞ」

声優「答えたくなかったら、答えなくてもいいです」

デブ「はあ……」

声優「…………」

声優「デブさんは」



声優「普通の漫画は描かないんですか?」



デブ「……!!」





237:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:41:41 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「……進撃の○人、って、知っていますか?」

声優「え? は、はい」

声優「今、深夜帯でアニメもやっていますよね」

デブ「そうですね……」

デブ「…………」

デブ「あの作品、連載開始当時、十代のデビュー仕立ての新人が描いてるんですよ」

声優「……!」

デブ「…………」

デブ「俺……」

デブ「普通の作品も書いていました」





238:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:43:09 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

デブ「高校卒業後すぐ、何本も書いて」

デブ「週刊少年・飛翔に投稿し続けてました」

声優「…………」

デブ「結局……佳作にすら選ばれず」

デブ「ずっと無職のまま……」

デブ「親から就職しろ、就職しろ、と、うるさく言われて」

デブ「金を稼げば問題ないだろうと、エロ漫画雑誌に投稿したら」

デブ「割とすぐにデビューできました」

声優「…………」





239:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:44:51 ID:ey3fzNqs

デブ「でも……」

デブ「親はそんな俺を……」

デブ「……って、どうでもいいですね、こんな話」

声優「……いえ」

デブ「話を戻しますけど」

デブ「俺は家を飛び出して、ここに入居してエロ漫画を描きながらも」

デブ「普通の漫画も描いて投稿していました」

声優「…………」

デブ「そして……3〜4年くらい前に進撃の○人を知ります」

声優「…………」





240:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:46:04 ID:ey3fzNqs

デブ「その頃は、人気が出始めていた程度の作品扱いでした」

デブ「手にとって見た時、絵もそんなに上手くないし、なんだこれ?と思いました」

声優「…………」

デブ「……でも」

デブ「気がついたら、あっという間に読み終えていたんです」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「どう……言えばいいんでしょうね……」

デブ「なんて言うか……生まれて初めて『才能』というものに衝撃を受けた」

デブ「と、でも言うんですかね……」

声優「…………」

デブ「エロ漫画の仕事が忙しくなっていた事もあって」

デブ「だんだんと普通の漫画の事は、考えなくなって……」

デブ「いつの間にか……描かなくなりました」





241:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:47:15 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「……情けないですよね」

デブ「会った事もない人に勝手に負けたと思って、逃げ出しているんですから」

声優「…………」


声優(……なんなの)

声優(この胸のモヤモヤは……)

声優(…………)

声優(……アタシは)

声優(この人と同じなの?)

声優(こんな――)





242:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:48:13 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

声優「……デブさん、アタシ帰ります」

デブ「もう大丈夫ですか?」

声優「ええ」

デブ「そうですか」

デブ「お気を付けて」

声優「どうも……」

     ……パタン

デブ「…………」

デブ「……さ、頑張ろう」

デブ「締切は待ってくれないからな」

デブ「…………」





243:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:49:10 ID:ey3fzNqs

声優「…………」



デブ「なんて言うか……生まれて初めて『才能』というものに衝撃を受けた」



声優(……違う)

声優(そうじゃない)



デブ「……情けないですよね」

デブ「会った事もない人に勝手に負けたと思って、逃げ出しているんですから」



声優(それもちょっと違う……)

声優(…………)





244:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:50:06 ID:ey3fzNqs

声優(……ただ)

声優(諦めてしまったのよ……)

声優(もう”無駄”なんだって)

声優(どうやったって、こうなれないんだって……)

声優(…………)

声優(アタシは……?)

声優(アタシはあの娘に……後輩ちゃんに何か負けているの?)

声優(…………)

声優(違う)

声優(アタシも逃げているだけ……)

声優(ベクトルは違うけど……現状から目をそらしたいだけ)

声優(…………)





245:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:51:13 ID:ey3fzNqs

声優(アタシは――)

声優(――負けない)

声優(負けたくない……!)

声優(こんな現状にも、後輩ちゃんにも)

声優(そして……自分にも!!)


―――――――――――


翌日


     あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜♪

デブ「……ん」

デブ「8時……か」

デブ「……ふう、一息入れるか」





246:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:52:05 ID:ey3fzNqs

     コポ コポ コポ…

デブ「…………」 ズズッ

デブ「うん……コーヒー美味い」

デブ「インスタントだけど」

デブ「…………」

デブ(……さて、ベタが乾いたら修正して、トーン貼って)

デブ(最終チェック終えたら)

デブ(投函しておしまい……だな)

デブ(…………)

     コン コン

デブ「ん?」





247:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:54:00 ID:ey3fzNqs

デブ(誰だろう……こんな時間に)

デブ「は〜い」

     ガチャ

デブ「! ……声優さん」

声優「おはようございます、デブさん」

声優「これ……ご迷惑をおかけした、せめてものお詫びです」

声優「急ごしらえですけど、サンドイッチを作ってみました」

声優「良かったら、お昼にでも食べてください」

デブ「これはどうも……ありがたくいただきます」

声優「…………」

声優「あの……」

デブ「はい?」





248:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:55:06 ID:ey3fzNqs

声優「差し出がましい事を言いますが……」

声優「今、チャンスなんじゃないですか?」

デブ「……え」

声優「時間……少し出来るんですし」

声優「やってみても、いいんじゃないですか?」

声優「普通の漫画、描くのを」

デブ「……!」

声優「…………」

声優「もし、作品が出来たら」

声優「アタシ、是非読んでみたいです」

デブ「…………」

声優「じゃ……」





249:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:56:08 ID:ey3fzNqs

     パタン……

デブ「…………」

デブ「……チャンス」

デブ「…………」


―――――――――――


事務所


声優「おはようございます」

M「……!」

M「お、おはよう、声優さん」





250:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:57:22 ID:ey3fzNqs

声優「ご迷惑をおかけしました……」 ペコリ

声優「仕事……また貰えるでしょうか?」

M「…………」

後輩「!!」

後輩「せ、先輩!」

声優「後輩ちゃん……久しぶりね」

後輩「い、いえ……それより、あのっ……!」

声優「後輩ちゃん」

後輩「は、はい」

声優「…………」

声優「おめでとう、表舞台に立てて」

後輩「!!」

後輩「先輩……」





251:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:58:24 ID:ey3fzNqs

声優「ふふふ……この一言言うのに」

声優「だいぶかかっちゃったな……」

後輩「…………」

後輩「先輩、わ、私……!」

声優「気にする必用は無いわよ」

声優「それに、後輩ちゃんが居るところはアタシ未経験だから」

声優「もう教えられる事が無いわ……」

後輩「…………」

声優「だから」

声優「これからは、アタシにいろいろ教えてくれると嬉しいな♪」

後輩「!!」





252:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 00:59:20 ID:ey3fzNqs

後輩「は、はい!」

後輩「私でいいのならっ!」

声優「お願いね、後輩先輩」

後輩「ふ、普通に呼んでください……」///

声優「あはは、ごめん」

後輩「あはは」

M「…………」

M「……さぁ〜て」

M「それじゃ声優さん」

声優「はい」

M「サボった分、厳しくなるよ〜?」

声優「覚悟してます」





253:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 01:01:34 ID:ey3fzNqs

M「それだけ聞けば十分だ」

M「じゃ、今日は、Aスタジオへ行ってくれ」

M「当分、帰りが遅くなると思うから、そのつもりで、ね」

声優「はい!」

後輩「私も頑張ります!」

M「うん。 期待してるよ」

M「今日も一日頑張ろう!」

声優・後輩「はい!」

     ハハハ……


―――――――――――







254:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 01:02:51 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)



声優「今、チャンスなんじゃないですか?」



デブ(…………)

デブ(63番……63番……)

デブ(…………)



声優「もし、作品が出来たら」

声優「アタシ、ぜひ、読んでみたいです」



デブ(…………)

デブ(……次は、62番……と)





255:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/30(火) 01:04:12 ID:ey3fzNqs







     早く仕事を終わらせたい……そして――

     俺は、そんな気持ちで一杯だった











271:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:28:35 ID:ey3fzNqs

数日後

スーパー 惣菜売り場


歌手「えー本日は、北海道産じゃがいもコロッケが」

歌手「2割引になっています!」

歌手「お買い得ですよー!」

マダム「あら、威勢のいいお兄さん。 いい声ね」

マダム「5つもらえるかしら?」

歌手「ありがとうございます!」

歌手「じゃがいもコロッケ5つですね……」 セッセッ セッセッ

歌手「おまたせしました。 お会計は、レジでお願いします」

マダム「ありがとう」

     テク テク テク…

歌手「本日は、北海道産じゃがいもコロッケが、2割引でお買い得ですよー!」





272:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:29:53 ID:ey3fzNqs

歌手「ふう……」

部門長「ああ、歌手くん。 お疲れさん」

歌手「お疲れっス、部門長」

部門長「今日もご苦労様。 明日も頼むよ」

歌手「はい」

部門長「さて……明日は、と……」

歌手「……?」

歌手「なんスか? そのラジカセ?」

部門長「はは……上からの指示で、明日から流せって音楽だよ」

歌手「! ……どんな曲っスか?」

部門長「聞いてみるかい?」

―――――――――――






274:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:30:59 ID:ey3fzNqs

歌手「…………」

部門長「どうかな?」

歌手「……偉そうな事、言えないっスけど」

歌手「何だかテンポの悪い曲っスね……」

部門長「ははは……私もそう思う」

歌手「いつも有線から引っ張ってきてるのに……どうして?」

部門長「……さあ」

部門長「私も雇われている身だからね」

部門長「従わない訳には、いかない、としか言えないな」

歌手「…………」

―――――――――――






275:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:31:50 ID:ey3fzNqs

歌手「…………」

歌手(惣菜コーナーで流す曲か……)

歌手(…………)

歌手(俺だったら……アップテンポで)

歌手(……いや)

歌手(あそこの客層は主婦がメインだし……)

歌手(アップテンポだけど、少し緩めに……だけど、遅すぎない)

歌手(そんな感じで……もし、歌詞を付けるなら……)

歌手(うーん……)

歌手(…………)





276:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:32:56 ID:ey3fzNqs

     ガチャ

歌手「ただいま」

店員「お帰りー」

店員「?」

店員「どうしたー? 何か嬉しそうだけどー?」

歌手「いや、少し思いついた事があってな」

店員「インスピレーションってやつー?」

歌手「そう、それ」

歌手「少し書き留めておきたいから、飯、ちょっと待っててくれるか?」

店員「了解ー」

店員「と言っても、そうめんだけどねー」

歌手「暑いし、ぴったりだな」





277:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:34:01 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「お」

デブ「終わった……」

デブ(思ったよりかかってしまったな……)

デブ(……色々あったからしょうがないか)

デブ(さて)

デブ(いつも通りコピーして投函しないと)

デブ(…………)

デブ(……もう、こんな時間か)

デブ(この前みたいにコピーだけとってくるか)

デブ(ついでにビニ弁も買ってこよう)

     ガチャ





278:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:35:08 ID:ey3fzNqs

デブ「あ……」

声優「あ……」

デブ「今晩は、です」

声優「今晩は、デブさん」

デブ「この前の……サンドイッチ旨かったです。 ありがとうございました」

声優「いえ……アタシこそ、ご迷惑をおかけしたんですし」

声優「お礼なんていいですよ」

デブ「はは……それじゃ」

声優「はい」

     テク テク テク…

デブ「…………」





279:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:36:04 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(……身だしなみ)

デブ(少しは気を付けた方がいいな)

デブ(せめて無精髭くらいは、何とかするよう心がけよう……)


―――――――――――


声優「ふう……」

声優「あー……疲れた」

声優(身から出たサビ、とはいえ……)

声優(さすがに一日で三本録りは……キツかった)

声優(…………)





280:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:36:57 ID:ey3fzNqs

声優(取り敢えず)

声優(シャワーを浴びて……何か軽く食事を取って)

声優(早く寝よう……)

声優(…………)

声優(……ふふ)

声優(でも……この疲労感、嫌いじゃない)

声優(全力で仕事ができるって……)

声優(幸せな事なのかもしれないわね)

声優(…………)

声優(さ、シャワーを浴びよう!)





281:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:37:50 ID:ey3fzNqs

翌日の朝


     あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜♪

声優「8時か……」

声優「そろそろ起きないと……う〜ん」

声優「……ふう」

声優「ちょっと疲れが取れてない感じね……」

声優(温泉とか行きたいなぁ……)

声優(…………)

声優(ま、愚痴ってもしょうがないわね)

声優(さ、朝の支度を済ませて)

声優(今日も頑張ろう!)





282:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:38:40 ID:ey3fzNqs

事務所


声優「おはようございます」

M「おはよう、声優さん」

後輩「おはようございます! 先輩!」

声優「おはよう、後輩ちゃん。 今日も元気ね」

後輩「はい! それが取り柄ですから!」

声優「あはは」

M「それじゃ、声優さん。 今日はBスタジオでお願いします」

声優「はい」

M「それと……」

声優「はい?」





283:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:39:40 ID:ey3fzNqs

M「締切は来週になるけど、またアニメ選考オーディション募集してるから」

M「配役に目を通して、応募したいキャラを決めておいてくれ」

声優「はい、わかりました」

M「そうそう、今回はメインキャラも含めての募集だから」

声優「!」

後輩「!」

M「ふふ、二人共、受かるといいね」

声優「そうですね……頑張らないと!」

後輩「私も頑張ります!」

M「それじゃ、今日も頑張ってくれ」

声優・後輩「はい!」





284:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:40:41 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「…………」 ピッポッパッ

デブ「…………」 プルルルルル……プルルルルル……

     ガチャ…

デブ「あ、もしもし」

デブ「A出版さんですか? 私、デブ、という者ですけど」

デブ「A編集者さんをお願いします」

デブ「…………」

デブ「ああ、A編集者さん。 おはようございます」

デブ「……いえ、締切の延長じゃありませんよ」

デブ「さっき、完成した原稿、速達便で投函しましたので……」

デブ「…………」





285:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:41:28 ID:ey3fzNqs

デブ「そうですね……」

デブ「正直、その気持ちはあります」

デブ「でも今日は、一言お礼を言っておこうと思って」

デブ「……ええ」

デブ「俺……そちらで仕事が出来て良かったです」

デブ「今まで、ありがとうございました」

デブ「…………」

デブ「……はい、それだけです」

デブ「はい……はい……」

デブ「それでは……」

     チンッ





286:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:42:22 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……これで」

デブ「無職、か……」

デブ「ふふ……」

デブ(…………)

デブ(不思議と……なってみれば)

デブ(なんて事ないな)

デブ(…………)

デブ(さて)

デブ(普通の漫画……)

デブ(描いてみるか!)





287:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:43:07 ID:ey3fzNqs

スーパー

惣菜売り場


歌手「…………」

     ♪ー♪・・・♪〜☆

歌手(い……いまいち……)

歌手(いや、いま3くらい、イけてねえ……この曲)

歌手「きょ、今日はエビフライ……エビフライがお得ですよ〜」

     ♪ー♪・・・♪〜☆

歌手「揚げたて、アツア、ツで美味しいです……よー」

歌手(やべぇ……この曲の妙なテンポで調子狂う……)

―――――――――――






288:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:43:57 ID:ey3fzNqs

パート「部門長さん……」

パート「あの曲、何とかなりませんか?」

パート「耳障りでしょうがないんですけど……」

部門長「す、すまんね……上からの指示なんで」

パート「…………」

パート「心なしか、お客さんも寄ってきませんし……」

パート「どうなっても知りませよ?」

部門長「……あ、ああ」

歌手「…………」

―――――――――――






289:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:44:48 ID:ey3fzNqs

夕方


歌手「ただいま……」

店員「おかえりー」

店員「……? どうかしたー?」

歌手「いや……ちょっと疲れて……」

店員「そうなのー? 力仕事が多かった、とかー?」

歌手「そうじゃない……明日から耳栓がいるかも」

店員「????」

―――――――――――

店員「なるほどー」

店員「そういう事かー」





290:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:45:43 ID:ey3fzNqs

歌手「まあ、誰が作った曲か知らねえけど」

歌手「さすがに受け付けない曲だった……」

店員(事、音楽に関しては、悪口を言わない歌手が)

店員(ここまで言うなんて……)

歌手「ふう……ようやっとマシになってきた」

店員「ご飯食べるー?」

歌手「おう!」

歌手「……で、その後」

歌手「一緒に風呂に入らね?」///

店員「……うん」///





291:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:47:04 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ(……やべぇ)

デブ(全然まとまらない……)

デブ(…………)

デブ(エロが長かったせい、か……)

デブ(…………)

デブ(昔は……ファンタジー物しか描いてなかったな)

デブ(いわゆる剣と魔法の世界……)

デブ(ダイ大やウィズ、ドラ○ンボールの影響受けまくってたな)

デブ(小説もロー○ス島戦記やフォー○ュン・クエストみたいなのしか)

デブ(読んでなかったっけ……)





292:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:47:47 ID:ey3fzNqs

デブ(うーん……)

デブ(でも、声優さんに見せるつもりだしなぁ)

デブ(ほのぼの日常系が流行りみたいだし……そっちの方が無難か)

デブ(…………)

デブ(そうだ)

デブ(ここに……このアパートに来て描いたやつ……)

デブ(久しぶりに読み返してみよう)

デブ(……えーっと)

デブ(どこにやったっかな……)

     ゴソゴソ…

デブ(あった)

デブ(1……2……3………)





293:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:49:13 ID:ey3fzNqs

デブ(ありゃ? 全部で7本か……思ったより描いてなかったんだな)

デブ(……高校卒業後に描いてたやつは、両親の元に置いてきたし)

デブ(その辺でごっちゃになってたか)

デブ(……たぶん、捨てられただろうな、あれ……)

デブ(…………)

デブ(…………) パラ……

デブ(…………)

デブ(…………) パラ……

デブ(…………)

デブ(…………) パラ……

―――――――――――






294:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:50:04 ID:ey3fzNqs



事務所


後輩「お疲れ様です、先輩」

声優「お疲れ様、後輩ちゃん」

後輩「お腹すきました……」

声優「ふふ、じゃあいつもの、行っとく?」

後輩「はい! こういう時は……」

声優・後輩「ヨシギュー!」

     アハハハ…

―――――――――――






295:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:50:54 ID:ey3fzNqs

後輩「美味しい〜!」

後輩「やっぱり、ヨシギューは最強です!」

声優「ホントよね〜」

声優「値段が安く、ボリューム満点」

声優「おまけに注文したら、すぐ出てくるし!」

後輩「全くです!」

     アハハハ…

声優「…………」

声優「ところで、後輩ちゃん」

後輩「はい?」





296:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:51:49 ID:ey3fzNqs

声優「例の仕事の台本……そろそろ来たんじゃないの?」

後輩「!!」

声優「良かったら、アタシに見せて欲しいんだけどな」

後輩「は、はあ……」

声優「……?」

声優「どうかしたの?」

後輩「う〜……その」

後輩「文句を言いたい、という訳じゃないんですが」

後輩「考えてたのとは少し違っていて……」

声優「??」

後輩「……どうぞ」

声優「ありがとう」

声優「…………」 パラパラ





297:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:52:41 ID:ey3fzNqs

声優「……ああ」

後輩「…………」

後輩「マネージャーさん、『準主役級』なんて言うから」

後輩「敵方の役か、ライバル的な女の子の役だと思っていました……」

声優「要所、要所で入る、『語り部』みたいな役ね」

後輩「おかげで頭の中にあるイメージを、全部、変えなきゃいけません」

声優「あはは……」

声優「でもこの役、毎回必ず登場するみたいだし」

声優「確かに『準主役級』と言ってもいいと思うな」

後輩「それは……まあ……」





298:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:53:50 ID:ey3fzNqs

声優「ふわぁ……やっぱりメインは豪華ね」

声優「日笠○子さんに 小清○亜美さん」

声優「下○麻美さんに 沢城○ゆきさん……」

声優「沢城さん……いつ寝てるの?ってくらい最近よく見るわよね……」

声優「わ! ゲストに ゆ○なさんが来てる!」

声優「いいなぁ……後輩ちゃん……」

後輩「先輩、ファンなんですか?」

声優「うん……アタシ、この世界に入ったのは

声優「彼女の演技を目の当たりにしたからなの」

後輩「そうなんですか」

声優「すごい人なんだよ? この人」

声優「声の質を変えたり、口調を変えたりするのが上手くて」

声優「アタシが知る限り、(声を)当ててきたキャラにどれもマッチしてるんだ」

後輩「へえ〜」





299:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:55:14 ID:ey3fzNqs

声優「後輩ちゃんもそういう人、居るんでしょ?」

後輩「林原○ぐみさんは、神ですね!」

声優(……年代的にあってないような)

声優「そ、そうなんだ……」

声優「でも、確かにすごい人よね」

後輩「私の永遠の目標です!」

声優(でっかい目標だなぁ……)

声優「……そうだ。 後輩ちゃん」

後輩「はい?」

声優「わかってたら謝るけど……現場でサインとか、求めたりしない様にね?」

後輩「せ、先輩! ……酷いです」





300:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 19:55:53 ID:ey3fzNqs

声優「ごめんごめん……分かってるなら、いいの」

後輩「いくら私でも、それが失礼な事だってわかりますよー」

声優「だからごめんって……ふふ」

後輩「あはは」

声優「…………」

後輩「…………」

声優「後輩ちゃん」

後輩「はい」

声優「頑張ってね」

後輩「はい!」





301:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:00:07 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「はは……ひでぇ……」

デブ「ヘッタクソな絵だな……」

デブ「…………」

デブ「…………」

デブ「……でも」

デブ「すげぇ熱いな……」

デブ「…………」

デブ「俺……」

デブ「こんなの描いてたんだ……」

デブ「…………」





302:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:01:04 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(そうだよ……)

デブ(俺は……こういう漫画が読みたくて、描きたくて)

デブ(ずっとやってきたんじゃないか)

デブ(…………)

デブ(この漫画……進撃の○人に負けてるのか?)

デブ(…………)

デブ(いや……勝ってる部分だってあるし)

デブ(総合的に負けててもいいじゃないか)

デブ(…………)

デブ(俺は……俺の漫画は)

デブ(”これ”なんだから……!)





303:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:02:17 ID:ey3fzNqs

翌日の朝


     あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜♪

声優「ふう……もう朝8時かぁ。 歌手さん、今日も元気ね」

声優(今日は久しぶりの休日……)

声優(正直、もう少し寝ていたいけど)

声優(例のカラオケボックスに行って、発声練習しないとね)

声優(最近、これもサボってたからなぁ……)

声優(…………)

声優「よし! 起きるぞっと!」 ガバッ!


―――――――――――







304:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:03:56 ID:ey3fzNqs

カラオケボックス


店員「いらっしゃいませー」

声優「どうもー」

店員「あ……お久しぶりですねー」

声優「あはは……ちょっと体調を崩してまして」

店員「それは災難でしたー」

店員「では、これにご記入をお願いしますー」

声優「はい」

     サラサラ…

店員「ドリンクは、何になさいますかー?」

声優「烏龍茶で」

店員「わかりましたー」





305:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:05:09 ID:ey3fzNqs

店員「それでは、23番のお部屋へどうぞー」

声優「はい」

店員「それでは、ごゆっくりー」

     スタ スタ スタ

店員「…………」 テキパキ

テンチョー「店員ちゃん、今のお客って……」

店員「テンチョー。 はい、売れない女優さん、来ましたー」

テンチョー「そうか……」

店員「ちょっと、体調を崩してたそうですー」

テンチョー「そうだったんだ。 元気になってよかった」

店員「大事なお得意様ですしねーテンチョー」

テンチョー「おいおい……酷いな、店員ちゃん」

店員「冗談ですー」 クスッ





306:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:06:03 ID:ey3fzNqs

店員「…………」

     コン コン ガチャ

店員「失礼しますー。 ドリンク、お持ちしましたー」

声優「どうも」

店員(……?)

店員(台本?)

店員「それでは、ごゆっくりー」

声優「はい」

     パタン

店員「…………」

店員(何か、役をもらえたのかなー?)

店員(頑張ってください)





307:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:07:15 ID:ey3fzNqs

声優「さて……今度のオーディション」

声優「どの役に応募しようかしら……」

声優「…………」

声優「ふふん! このアタシに勝とうなんて、200年早いのよ!」

声優「べ、別に、あんたの事なんて、好きじゃないんだから!」

声優(コッテコテのツンデレキャラね)

声優「…………」

声優「ご、ごめんなさい……頑張ります」

声優「私だって、や、やる時はやるんです!」

声優(弱虫タイプ? こんな感じ……かなぁ)

声優「…………」





308:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:08:10 ID:ey3fzNqs

音楽スタジオ


歌手「♪〜♪〜♪〜」

歌手「…………」

歌手「……ふう」

歌手「こんな感じだな」

歌手「…………」

歌手(まだ少し、時間があるな)

歌手(あれもついでにレコーディングしておこう)

歌手「…………」

歌手「そ、そ、そ、惣菜〜、惣菜売り場の売り子さん〜」

歌手「今日はコロッケ、明日(あす)は春巻き、特売日〜」





309:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:09:17 ID:ey3fzNqs

午後


     テク テク テク

声優「う、う〜ん……」 セノビー

声優「ふう……」

声優(なんか、久しぶりにテンション上がっちゃったな)

声優(普通にカラオケで2時間も歌ってしまった……)

声優(…………)

声優(でも、すっきりしたかも)

声優(ふふふ)

声優(後で、うがいをしておかないと)





310:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:10:59 ID:ey3fzNqs

声優「さて、鍵、鍵、っと」

     ガチャ ガチャ… カチリ☆

声優「ただいまー」

声優「……と、言っても誰もいないけど」

声優「てか、居たら怖い」

声優「あはは」

声優「…………」

声優「夕御飯作るには、ちょっと早いかな」

声優「…………」

声優「とりあえず、うがいして、テレビでも見よう」

     コン コン

声優「あら? はーい、どなたですか?」





311:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:12:21 ID:ey3fzNqs

デブ「あ、どうも……隣のデブです」

声優「デブさん?」

声優(漫画……もう描きあがったのかしら?)

声優「今、開けますね」

     ガチャ

声優「どうしたんですか?」

デブ「そ、その……漫画、なんですが」

声優「はい」

デブ「ここに来てから、描いたやつ……あるんですけど」

デブ「良かったら読んでみますか?」





312:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:13:29 ID:ey3fzNqs

声優「あ、そういえば……ええ、読んでみたいです!」

デブ「そうですか」 ホッ

デブ「じゃ、これがそうです」

声優「わ、ずいぶん描いてたんですね」

デブ「と言っても、7本ですし……」

デブ「正直、今見ると、どれも拙いところが多いんですけど……」

??「あれ? デブさん?」

デブ「あ……歌手さん」

歌手「!? それ、エロ漫画っスか!?」

デブ・声優「ち、違います!!」///

―――――――――――

歌手「へえ! それなら、俺も読んでみたいっス!」

デブ「いいですよ」 クス





313:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:14:29 ID:ey3fzNqs

歌手「うわぁ、楽しみだな!」

デブ「き、期待しすぎると、がっかりも多いかと思いますが……」

歌手「謙遜は無しっス!」

歌手「超、楽しみにしてますから!」

デブ(相変わらず無駄に熱い人だ……)

声優「じゃあ、アタシが読み終わったら」

声優「そっちに持っていきますね?」

歌手「はい! 待ってるっス!」

デブ「ぞれじゃ、俺はこれで……」

声優「新作も期待してますから」

デブ「は、はい……」///

―――――――――――






314:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:15:19 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優(こういうの……なんて言うのかな?)

声優(勧善懲悪……少年漫画?)

声優「…………」

声優「…………」 パラ…





315:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:16:08 ID:ey3fzNqs

声優(あはは……この主人公、面白い)

声優(……でも、熱血で、今時珍しい感じがするわね)

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優(えー……結局ヒロインとくっついちゃうのか)

声優(この主人公に惚れる女の子って、そんなに居ないと思うけどなぁ)

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

―――――――――――

声優「…………」

声優「…………」 パラ…





316:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:17:06 ID:ey3fzNqs

声優「ふう……読み終わった」

声優(…………)

声優(正直、わかりやすいんだけど)

声優(くどい感じがする……説明ゼリフが余計かな……)

声優(7本全部、同じ様なストーリーだし)

声優(…………)

声優(こういうのが好きなんだろうな、デブさん)

声優(でも、アタシにもわかるくらい、後の作品ほど絵は上手くなってたわね)

声優(特に女の子が)

声優(…………)

声優(……う〜ん)

声優(正直に言うべき、なんだろうか……)





317:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:18:06 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

     コン コン

デブ「はい?」

     ガチャ

デブ「あ……声優さん」

声優「どうも」

声優「漫画、全部、拝見させてもらいました」

声優「ええと、今、歌手さんに渡してきたところです」

デブ「そ、そうですか」

声優「…………」

声優「その、感想、なんですけど」

デブ「は、はい」





318:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:19:20 ID:ey3fzNqs

声優「アタシ、ど素人ですし……あんまり気にしないで欲しいんですけど」

デブ「……ごくっ」

声優「その……正直、面白い、と、言える程ではありませんでした……」

デブ「そ、そうですか……」

声優「説明文とかが、ちょっと邪魔してる印象があって」

声優「読みやすいんですけど、それがくどくしてると思います」

デブ「…………」

声優「主人公はいいんですけど……ヒロインと、いきなりくっついちゃってるみたいで」

声優「今ひとつリアリティがありませんでした」

デブ「……そう、ですか」





319:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:20:29 ID:ey3fzNqs

声優「だけど」

デブ「……え」

声優「戦闘シーンは、とっても臨場感がありました!」

デブ「!」

声優「そこだけは、自信を持っていいと思います!」

声優「それに、女の子、とっても上手に描ける様になっていますよ?」

デブ「はは……それは、まあ。 仕事で描いていましたし」

声優「…………」

声優「えと……こんな感じです」

デブ「ありがとうございます」

デブ「すごく参考になりました」





320:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:21:18 ID:ey3fzNqs

声優「そう言ってもらえると、ありがたいです」

声優「……失礼かな、と、思ったんですけど」

デブ「いえ」

デブ「正直な意見は、ありがたいです」

デブ「自分でもそうだと思っていたところや」

デブ「なる程、と思えるところがあって、いろいろ気づかせてもらえました」

声優「そうですか」

デブ「…………」

デブ「ありがとうございました」

声優「そんな……こちらこそ、ありがとうございます」

声優「新作、頑張ってください」

デブ「もちろんです」





321:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:22:13 ID:ey3fzNqs

歌手「…………」

歌手「…………」 パラ…

     ガチャ ガチャ… キィ

店員「ただいまー」

店員「んー?」

歌手「お、店員。 来たか」

店員「またエロ漫画借りたのー?」

歌手「違うよ」

歌手「普通の漫画。 デブさんが昔、描いてたやつらしい」

店員「へー」

歌手「店員も読んでみるか?」

店員「もちろんー」





322:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:23:15 ID:ey3fzNqs

歌手「くうっ……!」

歌手「熱い、熱すぎるぜ! この主人公!」

店員「…………」

店員(……まるで、歌手みたい)

歌手「こういう漫画、久しぶりに見た!」

歌手「悪役もいい味出してるし、こう……漢と漢の戦いって感じで」

歌手「すげぇ好きだ!」

店員「……そのへん、私にはわからないー」

店員「でも、確かに最近こういう漫画、見なくなったねー」

歌手「そうそう! 無駄に女の子出してハーレムにしたり」

歌手「パンチラ……というより、パンモロばかりで媚び媚びだしな!」





323:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:24:21 ID:ey3fzNqs

店員「でもー」

店員「ストーリーは、良く言えば王道」

店員「悪く言えば、短調な感じがするー」

歌手「そうか?」

歌手「俺は丁寧にまとめてある感じがして、好感もてるけどな」

歌手「下手に伏線張るより、いいと思う」

店員「一理あるー」

歌手「それに、話とは関係ないけど」

歌手「どんどん上手くなっているよな?」

店員「そうだねー。 特に女の子ー」

歌手「あはは! 俺も思った!」

―――――――――――






324:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:25:42 ID:ey3fzNqs

歌手「――って感じっス!」

歌手「いやもう、ホント、面白かったっスよ!」

デブ「そ、そうですか……」

デブ(嬉しいんだけど……相変わらず無駄に熱い人だ)

デブ「そんなに言ってもらえるなんて、正直、嬉しいです」

歌手「そういや、聞いた話っスけど、進撃の○人っていう漫画の作者さん」

デブ「……!」

歌手「少年・飛翔に投稿してたけど、音沙汰ないから少年・弾倉に送り先変えて」

歌手「今の大成功につながったって噂があるっス」

デブ「そ、そうなんですか?」

歌手「本当かどうか、知らないですけどね」





325:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:26:54 ID:ey3fzNqs

歌手「デブさんのいちファンとしては」

歌手「フットワークを軽くして、いろんな出版社を試してみるのも」

歌手「一つの手じゃないかと思うっスよ!」

デブ「…………」

歌手「俺、デブさんの漫画」

歌手「もっとたくさんの人に読んで欲しいっス!」

デブ「…………」

デブ「は、はは……」

歌手「ははは!」

歌手「それじゃ、俺はこれで!」

歌手「次回作も出来たら、絶対読ませてください!」

     パタン





326:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:28:04 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……本当に」

デブ「無駄に熱い人、だな……」

デブ「…………」

デブ「……っ」

デブ「うく……ぐっ……く……」

デブ「良かったなぁ……お前ら……ちゃんと読んでもらえて……」

デブ「ひぐっ……親にだって……ちゃんと……手にとってもらえなかったのに……」

デブ「ぐっ……くっ……俺の……漫画…………ひぎっ……」

デブ「やっと……誰かに……あぐっ……読んでもらったよ……ぐっ……」

デブ「うあっ……ぐっ……く……ひぐっ…………くっ……」





327:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/07(水) 20:30:04 ID:ey3fzNqs







     今、俺はたぶん、経済的に どん底に居ると思う。

     だけど……今だかつてなかった喜びを、噛み締めていた――











344:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:27:35 ID:ey3fzNqs

数日後

スーパー 惣菜売り場


歌手「おはようございまーす」

歌手「あれ?」

歌手「部門長、ラジカセ、片付けるんですか?」

部門長「ん? ああ、そうなんだよ歌手くん」

部門長「例の曲……他の店舗でも評判悪くてね」

部門長「ようやく使用中止になったんだ」

歌手「そうなんスか……」

部門長「え? あの曲、気に入ってたのかい?」

歌手「まさか!」

歌手「実は……俺、音楽やってて」

歌手「良かったら、俺の曲も流したら少しはマシかな……なんて思ったんで」





345:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:28:33 ID:ey3fzNqs

部門長「へえ。 歌手くん、音楽が作れるのか」

歌手「はは……」

歌手(鳴かず飛ばずの貧乏ミュージシャンだとは言えねえ……)

部門長「曲は持ってきたの?」

歌手「ええ、このCDがそうっス」

部門長「聞いてもいいかい?」

歌手「どうぞ」

部門長「どれどれ……」

―――――――――――

部門長「……ちょっと子供っぽい歌詞だね」

歌手「あえてそうしたっス」





346:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:29:34 ID:ey3fzNqs

歌手「来てくれたお客さんが、楽しくなる様に」

歌手「子供でもわかる様な、わかりやすい歌詞の曲にしたっスよ」

部門長「なるほどねぇ」

パート「……部門長?」

部門長「おや、パートさん」

パート「今日は、いつものあの曲じゃないんですか?」

部門長「ああ。 これは歌手くんが作ってくれた曲だよ」

パート「へえ! すごいわねぇ、歌手くん」

歌手「ははは、結構テキトーっス!」

パート「私は悪くないと思うわよ?」

パート「ウチの子とか、喜びそうだわ〜」

部門長「…………」





347:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:30:23 ID:ey3fzNqs

部門長「ふむ。 じゃあ、試しに流してみるかな?」

歌手「すんません」

部門長「今日一日だけなら、上も文句は言わないだろう」

部門長「じゃ、仕事を始めようか?」

歌手「うーっス!」

パート「はーい」


―――――――――――


声優「マネージャーさん」

M「はい?」

声優「例のオーディションなんですが」

M「ああ……応募したい役、決まったのかな?」





348:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:31:07 ID:ey3fzNqs

声優「はい」

声優「ライバルキャラと ツンデレキャラで 迷ったんですが……」

声優「ライバルキャラの女の子でお願いします」

M「はいはい……声優さんはライバルキャラね」

後輩「おはようございます」

声優「おはよう、後輩ちゃん」

M「おはよう」

後輩「あ、先輩も応募キャラ、決めたんですか?」

声優「うん。 ライバルキャラの女の子で……」

後輩「え?」

声優「ん?」





349:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:32:15 ID:ey3fzNqs

声優「何か……おかしいかな?」

声優「あ! もしかして、かぶっちゃったとか?」

後輩「いえ、そうじゃないです」

後輩「ただ……」

声優「ただ?」

後輩「私、先輩は、このメインヒロインの役にぴったりかな、と思っていたので」

声優「そう? アタシの声、こういう弱虫キャラに合ってないと思うんだけど」

後輩「うーん……うまく言えませんが」

後輩「時々、力強いモノの言い方をしてるし、そういったギャップを」

後輩「先輩の声は、力強く表現できると思ったんです」

声優「…………」

M「一理あるね」





350:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:33:04 ID:ey3fzNqs

M「どうする? 声優さん?」

M「もう少し考えてみる?」

声優「…………」

声優「そうですね……もう少し考えてみます」

M「わかった。 なるべく早く頼むよ」

声優「はい」

後輩「じゃあ、マネージャーさん」

後輩「私は、このツインテールのロリっ子でお願いします」

M「うん。 わかった」

M「それじゃ、今日も一日頑張ろう」

声優・後輩「はい」





351:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:33:42 ID:ey3fzNqs

スーパー 惣菜コーナー


     ♪〜♪〜♪〜

子供「そーざい、そーざい ういばの ういこさーん♪」

歌手「はい、ありがとうございます!」

歌手「え? はい、トンカツと チキンカツっスね!」

部門長「お待たせしました、えび天5つになります」

部門長「お支払いはレジで……はい! トンカツを3つですね?」

歌手「パートさん! トンカツ、無くなりそうっスよ!」

パート「はーい、ちょっと待ってねー!」


歌手・部門長・パート(な、なんか、めちゃくちゃ忙しい……)





352:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:34:39 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……よし」

デブ「ストーリーはこんな感じで……いつも通りだけど」

デブ(まあ……あの漫画見せた後だから、『またか』と思われるかもしれないが)

デブ(今回は、描きたい物を描く)

デブ(…………)

デブ(でも、声優さんの言う通り)

デブ(主人公とヒロイン、いきなりくっつきすぎだよなぁ……)

デブ(恋愛経験放棄してたから、その辺りが影響してるのは間違いない)

デブ(どうしたものか、な……)

デブ(う〜ん……)





353:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:35:34 ID:ey3fzNqs

収録スタジオ


声優「イクっ……!イっちゃう……!んんっ!」

声優「くっさいチ○ポ汁、んっ、中に出されて、んはっ……!イっちゃうっ……ああっ!」

声優「もう、イクっ……! イクのっ……! イっちゃうのっ! ああんっ!あんっ!んんっ……!」

声優「ひゃあ!? 出てるっ出てるよぉ……!」

声優「くっさいチ○ポ汁、中にっ!んはっ!」

声優「熱いっ熱いのぉ……くっさいチ○ポ汁、熱いのぉ……どくどく来るのぉ……」

声優「!? 来る、来ちゃう……! ひあっ……!」

声優「熱くて、くっさいチ○ポ汁で……! 種付けされて……あああっ!」

声優「あたしっ……! イグウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」


スタッフ「……はい、いただきました(OKの意)」

スタッフ「お疲れ様です」


声優「お疲れ様でした」





354:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:36:08 ID:ey3fzNqs

声優「ふう……」

声優「…………」

声優(弱虫キャラか……)

声優(アタシに出来るのかな……?)

声優(…………)

声優(ゆ○なさんだったら……)

声優(きっと苦もなくやるんだろうな……すごい人だし)

声優(……アタシなんて)

声優(…………)

声優(……!)





355:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:36:59 ID:ey3fzNqs

声優(ちょっと待って……)

声優(アタシ……何、勝手に決め付けてるの?)

声優(どうして……最初から『出来無い』って思ってるの?)

声優(…………)

声優(同じだ……)

声優(あの時のデブさんと同じ……)

声優(やる前から、何、諦めてるの!?)

声優(…………)

声優(……そうよ)

声優(ゆ○なさんだって……同じ人間じゃない)

声優(そりゃ出来る事と、やれる事は、差があるかもしれない……)

声優(でも、アタシにだって、アタシにしか無いモノが)

声優(ある!)





356:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:37:45 ID:ey3fzNqs

事務所


声優「お疲れ様です、マネージャーさん」

M「ああ、声優さん。 お疲れ様」

声優「……後輩ちゃんは、まだですか?」

M「うん? もうそろそろだと思うけど……」

     ガチャ

後輩「ただいま戻りました〜」

M「はは、噂をすれば影、だね」

M「お疲れ様、後輩ちゃん」

後輩「お疲れ様です、マネージャーさん、先輩」

声優「お疲れ様、後輩ちゃん」 クス





357:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:38:26 ID:ey3fzNqs

声優「マネージャーさん」

M「ん?」

声優「例のオーディションの件ですが……」

M「うん」

声優「アタシ……メインヒロインの役に、応募したいと思います」

後輩「!」

M「そうかい。 わかった」

M「じゃ、その応募で出しておくから」

声優「はい」


―――――――――――







358:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:39:30 ID:ey3fzNqs

     テク テク テク…

声優「後輩ちゃん」

後輩「はい?」

声優「この後……予定あるかな?」

後輩「すみません……バイトに行かないと」

声優「そっか。 ああ、気にしないで」

声優「実は、ちょっと頼みたい事があって」

後輩「ええ!? 私に、ですか!?」

声優「うん」

声優「アタシ、休日はいつも発声練習で、カラオケに行ってるんだけど……」

声優「良かったら、練習に付き合ってくれないかな?と思って」

後輩「!!」





359:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:40:19 ID:ey3fzNqs

後輩「は、はい! もちろん、いいですよ!」

声優「ふふ、良かった」

声優「じゃあ今度の休みにでも、どうかな?」

後輩「はい! 全然オッケーです!」

声優「ありがとう、後輩ちゃん」

声優「じゃあ、今度の休み……朝の9時くらいに」

声優「駅前の噴水の所で待ち合わせ、で、いいかな?」

後輩「わかりました!」

後輩「楽しみにしてます!」

声優「……遊びじゃないんだけど?」

後輩「あ……そうでした」

     アハハハ……





360:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:41:05 ID:ey3fzNqs




     ガチャ

歌手「……ただいま」

店員「歌手ーお帰りー」

店員「遅かったねー?」

歌手「おう……めちゃくちゃ忙しかった……」

店員「?」

店員「今日、何かイベントでもあったのー?」

歌手「いや……」

歌手「普段通りだった……はず」

店員「???」





361:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:42:15 ID:ey3fzNqs

歌手「ともかく……さっぱりした物が食いたい」

歌手「そういうメニューかな?」

店員「……奮発してステーキー」

歌手「すまん……無理だ」

歌手「お茶漬けか何かにしてくれ……梅干付きの」

店員「了解したー」


店員(……今夜も頑張ってもらおうと思ったのにー)

店員(ちょっと欲求不満ー)


歌手「……風呂、入ってくるわ」

店員「わかったー」


店員(でも、歌手の体調が一番大事ー)





362:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:43:16 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「……うん」

デブ「これ、行けるかも」

デブ(…………)

デブ(けど……少し重い展開かな)

デブ(…………)

デブ(描く方としても、キツイ内容だし……)

デブ(……いや)

デブ(現実の神様も理不尽が大好きだし)

デブ(俺も、このくらい残酷にならないと……)

デブ(いつもハッピーエンドばかりだったしな)





363:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:44:00 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(どんな反応してくれるだろう……声優さん達)

デブ(…………)

デブ(怒ってくれると、嬉しいな)

デブ(それだけ感情移入してくれたって、事だから)

デブ(…………)

デブ(よし)

デブ(ストーリーは、だいたいこんな感じ)

デブ(40ページくらいで……と)

デブ(ネームを描くかな)


―――――――――――







364:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:44:57 ID:ey3fzNqs

数日後 駅前


声優「…………」

     タッ タッ タッ

後輩「先輩〜! すみません、遅れちゃいました……」

声優「ううん、後輩ちゃん。 アタシもそんなに待ってないから」

後輩「それじゃ、行きますか?」

声優「うん!」

     アハハハ……


―――――――――――







365:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:45:46 ID:ey3fzNqs

カラオケボックス


店員「いらっしゃいませー」

声優「どうもー」

店員「あ、いつもご利用、ありがとうございますー」

店員「それでは、ご記入をー」

声優「はい」

後輩(……何か変わった喋り方の人)

店員「サービスのドリンクは、何になさいますかー?」

声優「烏龍茶で」

後輩「私も烏龍茶で」

店員「はい、わかりましたー」

店員「では、23番のお部屋へどうぞー」

声優「はい」





366:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:46:38 ID:ey3fzNqs

テンチョー「……珍しいね」

店員「そうですねー」

テンチョー「っていうか、売れない女優さん」

テンチョー「初めてじゃない? 誰か連れてきたの」

店員「私も少し驚きましたー」

店員「でも、詮索は止めましょう、テンチョー?」

テンチョー「わ、わかってるよ……」

テンチョー「……店員ちゃん、最近、僕の扱い酷くない?」

店員「気のせいですよー」

テンチョー(そうなのかなー……)





367:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:47:38 ID:ey3fzNqs

     コン コン

店員「失礼しますー」

     ガチャ

店員「お飲み物、お持ちしましたー」

声優「ありがとう」

後輩「ありがとうございます」

店員(……姉妹?って似てない)

店員「それでは、どうぞごゆっくりー」

     パタン

店員(…………)

店員(友達って言うには、年が離れてるし……先輩後輩?かな?)

店員(雰囲気は、よさげだったなー)

店員(女優さん仲間かもねー) クス





368:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:48:25 ID:ey3fzNqs

声優「さて……と」 ゴソゴソ…

後輩「何ですか?」

声優「はいこれ」

後輩「漫画……あ」

後輩「例のオーディションアニメの原作漫画ですね?」

声優「うん、そう」

声優「今日は、これを使って練習しようと思って」

後輩「…………」 パラパラ…

後輩「そういえば……私、今度の仕事の原作漫画、知らないです……」

声優「後輩ちゃん。 それはそれでいいと思うよ?」

後輩「え?」





369:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:49:18 ID:ey3fzNqs

声優「先入観のない方が、かえって演じる役に馴染みやすかったりするし」

後輩「じゃあ……どうしてですか?」

声優「あはは……単純に台本の代わりとして使いたいだけなの」

後輩「あ、そういう事ですか」

後輩「納得しました」

声優「本当は、普通の台本みたいに」

声優「セリフだけ抜粋しようとも思ったんだけど……」

声優「10ページで心が折れたわ」

後輩「あはは」

声優「もう、酷いな。 後輩ちゃん」

後輩「す、すみません」

声優「冗談よ」 クス





370:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:50:00 ID:ey3fzNqs

声優「それじゃ……アタシ、メインヒロインをやるから」

声優「後輩ちゃん、悪いけど、それ以外をやってくれるかな?」

後輩「はい。 分かりました」

声優「後でアタシも逆をやるから」


―――――――――――


後輩「お、思ったより大変ですね……」

声優「メインヒロイン以外、全部やらせちゃてるしね……」

後輩「でも、こうやって漫画を参考にすると、わかりやすくていいかも」

声優「まあ、アフレコで演出家の思う通りにしないといけないから」

声優「結局は無駄かもしれないけどね」





371:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:50:47 ID:ey3fzNqs

声優「で、どうかな? アタシのメインヒロイン」

後輩「はい。 思ってたイメージとは違ってました」

声優「あら……」

後輩「もっとずっと、良かったです!」

声優「あはは、ありがとう。 お世辞でも嬉しい」

後輩「お世辞なんかじゃないですよ!」

後輩「きっとハマリ役になると思います!」

声優(それはそれで複雑だなぁ……キャラ的には、あんまり好きじゃないし)

声優「そ、そう。 ……じゃ、次はアタシが他のキャラ全部やるね?」

後輩「はい! お願いします!」

声優「肩の力は抜いてね?」 クス





372:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:51:38 ID:ey3fzNqs

スーパー 惣菜売り場


     ♪〜♪〜♪〜

歌手「今日はお寿司フェアですよー!」

歌手「とってもお買い得ですよー!」

     ガヤ ガヤ

部門長「はい、サラダ巻き3人前ですね?」

部門長「お待たせしました」

歌手「お得パック2つに、いなり寿司を2人前っスね?」

歌手「ありがとうございます!」

     ガヤ ガヤ

―――――――――――






373:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:52:41 ID:ey3fzNqs

部門長「みなさん、今日もご苦労様」

歌手「お疲れ様っス」

パート「お疲れ様」

部門長「ああ、歌手くん」

歌手「はい?」

部門長「悪いんだけど……あのCD」

部門長「もう少し借りててもいいかな?」

歌手「いいっスよ」

部門長「ありがとう」

部門長「気のせいかと思ったけど」

部門長「あの曲を流してから売上が良くてね」





374:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:53:12 ID:ey3fzNqs

歌手「そうなんスか」

部門長「信じられないけど、数字に現れてるんだ……」

歌手「へえ……それはこっちも嬉しくなるっス!」

部門長「ああ、引き止めてごめん」

部門長「明日もよろしく頼むよ」

歌手「はい。 それじゃまた明日っス!」

     スタ スタ スタ…

部門長「…………」

部門長(……思い切って)

部門長(上に言ってみようかな?)





375:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:54:12 ID:ey3fzNqs

歌手「ただいまー」

店員「お帰りー」

店員「ここのところ、遅いねー?」

歌手「ああ」

歌手「なんか、売上が伸びてるんだって」

店員「へえー」

歌手「どうも、俺が作った曲を流してかららしい」

店員「それって……惣菜ソングー?」

歌手「そう」

店員「今度、あれを音楽会社に持っていったらー?」

歌手「いや……他の曲と一緒に持っていったんだけど」

歌手「『幼稚すぎる』って散々な評価だった……」

店員「……ごめんー」





376:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:54:56 ID:ey3fzNqs

歌手「いいって……元々そんなに期待してたわけじゃないし」

歌手(他のもボロクソ言われたけど……)

歌手「ああー腹減った。 今日のメニューは?」

店員「お肉ー」

歌手「うし! そういうのガッツリ食いたかった!」

店員「それは良かったー」

歌手「…………」

店員「歌手ー?」

歌手「店員、明日休みだっけ?」

店員「うん」

歌手「そっか! 俺もなんだ」





377:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 19:55:42 ID:ey3fzNqs

歌手「明日さ、二人で遊びに行かね?」

店員「おおー」

店員「ゼー○ガン○ムで踊りたい気分ー」

歌手「お前はジュ○ーかよ……てか、何でそんなネタ知ってんの?」

店員「明日、何着て行こうかなー♪」

歌手「…………」

歌手(……まあ、いっか)

歌手「今日、どうする? 泊まっていくか?」

店員「もちろんー」

歌手「はは、それじゃメシ作るの手伝うぜ!」

店員「良い心がけー。 じゃ、きゅうりの皮を剥いてー」

歌手「おう!」





378:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:01:08 ID:ey3fzNqs

デブ「……ふう」

デブ「あ……もうこんな時間か」

デブ(いかんなぁ……不摂生な生活してるから太るんだし……)

デブ(とは言え、腹減った)

     アン……アン……歌手……ヤ……

デブ「……」

     アアッ……店員……キョウモ……イイゼ……

     スゲェ……シメツケテ……ウアッ…………

     バカァ……イキナリ……ハゲシスギ……アッ……

     店員ッ……店員ッ……トマンネェ……ッ……

デブ(コンビニ行こ)

―――――――――――






379:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:02:05 ID:ey3fzNqs

デブ(まだやってるし……)

     歌手ゥ……歌手ゥ……ヤッ……アン……

     店員ッ……オレ、マタ……アアッ……ウッ!……

     ハアッ……ハアッ……ハアッ…………

デブ(……ようやく終わりましたか)

     歌手ノバカ……ワタシ……コワレルカトオモッタ……

     スマネェ……ナンカ、ヒサシブリダッタカラ……ツイ……

     店員モ、カワイカッタシ…………

     ……ダカラッテ、3レンゾクハ……ヤリスギ……

デブ「」

     ハアッ……ハアッ……店員ッ……

     ヤッ……バカ……歌手のバカッ……スコシ、ヤスマセ……アアッ……

デブ(一発抜こう……)





380:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:03:11 ID:ey3fzNqs

――1ヶ月後

オーディション会場


選定員「ありがとうございました」

選定員「では……次の方、お願いします」

声優「はい。5番、声優です」

選定員「それでは、お渡ししたセリフを言ってみてください」

声優「はい」

声優「……ううっ、怖い……怖いよう……」

声優「こんな事……どうして起こるの……?」

選定員「…………」

声優「いいえ! それでも私は……私は!」

声優「あの人を信じる!!」

選定員「…………」





381:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:04:00 ID:ey3fzNqs

選定員「声優さん」

声優「こんなこt……!?」

声優「は、はい?」

選定員「ああ、すみません。 途中だったのに」

声優「いえ……」

選定員「ええと……気弱なセリフを アドリブで言ってもらえますか?」

声優「! はい」

声優「…………」

声優「私に……何ができるの……?」

声優「普通の人間なのよ……? 私は……!」

選定員「…………」

―――――――――――






382:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:04:56 ID:ey3fzNqs

選定員「……はい、声優さん、ありがとうございました」

声優「ありがとうございました」

選定員「では、次の方。 お願いします」

モブ美「はい。 6番、モブ美です」


声優「…………」

声優(……びっくりした)

声優(今まで、アドリブを要求された事なんて無かったのに)

声優(…………)

声優(いい事……なのかな?)

声優(そうだったら嬉しいんだけど)

―――――――――――






383:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:06:08 ID:ey3fzNqs

後輩「先輩」

声優「あ、後輩ちゃん」

後輩「手応えはどうでした?」

声優「うん! 何て言うか……出し切った!って思うな♪」

後輩「そうですか、良かったです!」

声優「うふふ」

声優「後輩ちゃんは?」

後輩「私も出し切ったと思います!」

声優「そっか♪」

声優「二人共、受かるといいなぁ」

後輩「そうですね……」





384:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:07:04 ID:ey3fzNqs

声優「例の収録は、どんな感じかな?」

後輩「うう〜もの凄く緊張してます……」

後輩「恥ずかしながら、NG出してるの」

後輩「今のところ私だけです……」

声優「あらら」

後輩「エロと違って、数人で収録するし……」

後輩「なんか、雰囲気そのものが違いすぎです」

声優「なるほどなるほど」

後輩「……真面目に聞いてます?」

声優「もちろん!」

声優「それじゃ……そろそろ事務所に戻ろっか?」

後輩「はい!」





385:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:07:58 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「お」

デブ「終わった……」

デブ「ふううう……」

デブ「…………」

デブ「コピーをとってこよう」

―――――――――――

デブ「…………」

デブ「……久しぶりにやり遂げたって気がするな」

デブ(……でも、漫画の神様、手塚○虫さんは)

デブ(月に100ページを超える連載を抱えてたって聞くけど……)

デブ(案外、本当に(人間じゃないという意味で)神様だったのかもなぁ)





386:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:08:40 ID:ey3fzNqs

デブ(…………)

デブ(自分は、まだまだ甘いのかな……)

デブ(…………)

デブ(……ったく)

デブ(悪い癖だ……)

デブ(俺は、やれる事を全部、この漫画に入れたんだ)

デブ(もっと、自分に自信を持てよ)

デブ(…………)

デブ(声優さん、今日は遅いのかな?)





387:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:09:29 ID:ey3fzNqs

     ガチャ ガチャ……カチリ☆

歌手「たーだいまー」

歌手「今日は俺が早かったか」

歌手「…………」

歌手「今日のメシ、何かな?」

     コン コン

歌手「ん? はーい」

デブ「あ……どうも。 デブです」

歌手「デブさん? 今開けますね」

     ガチャ

歌手「どうしたんスか?」





388:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:10:20 ID:ey3fzNqs

デブ「ははは……漫画、やっと出来上がりました」

歌手「おお!」

歌手「そうなんスか、待ってたっス!」

デブ「これがそうです」

歌手「楽しみだな〜!」

デブ「はは……面白いといいんですけど」

歌手「それじゃ、さっそく読ませていただきます!」

デブ「それじゃこれで……」

     パタン

歌手「どれどれ〜?」





389:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:11:05 ID:ey3fzNqs

     ガチャ

店員「ただいまー」

店員「んー? 歌手、また漫画借りたのー?」

歌手「…………」

店員「……? 歌手ー?」

歌手「うっ……うっうっ……うっ……」 ボロボロ…

店員「」

―――――――――――

店員「……うわー」

店員「これは……切ないストーリー」

歌手「こんなの、あんまりだ!」





390:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:12:02 ID:ey3fzNqs

歌手「どうしたんだよ、デブさん!……こんな救いのないストーリー、酷すぎる!」

店員「…………」

店員「でも……私、このヒロインの気持ち」

店員「わからなくは無いー」

店員「もし……私がこのヒロインの立場だったら……」

店員「同じこと、するかもー」

歌手「冗談じゃねぇ!!」

店員「!?」

歌手「例え、世界が救えても……店員が居ないんじゃ全然足りねえ!!」

歌手「それなら俺は、店員と一緒に世界の滅びを迎える!!」

店員「」///

店員「バ、バカ……感情移入しすぎー」///

店員「……嬉しいけど」///





392:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:12:50 ID:ey3fzNqs

歌手「――という訳で」

歌手「正直、がっかりっスよ!」

デブ「は、はあ……」

歌手「あんなに惹かれあってた二人なのに……」

歌手「世界が救えても、納得できないっス!」

デブ「す、すみません」

声優「……どうしたんですか?」

歌手「あ、声優さん」

デブ「今晩は、です」

歌手「聞いてくださいよ〜声優さん」

声優「?」





393:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:13:42 ID:ey3fzNqs

歌手「……ってネタバレになるっスね」

声優「ああ、デブさん、漫画が出来たんですか」

デブ「はい」

歌手「これがそうっス」

声優「ありがとう、歌手さん」

歌手「…………」

歌手「……なんか、冷静に考えたら」

歌手「俺、文句言える立場じゃないっスね」

歌手「すんませんした、デブさん」

デブ「いえ……正直な意見を聞けて良かったです」

歌手「はは、そう言われると、余計恐縮するっスね」

歌手「ありがとうございましたっス!」

     スタ スタ スタ…





394:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:14:58 ID:ey3fzNqs

デブ(やっぱり無駄に熱い人だ……)

声優「それじゃデブさん」

声優「さっそく読ませてもらいますね?」

デブ「ええ、どうぞ」

―――――――――――

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…

声優「…………」

声優「…………」 パラ…





395:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:16:00 ID:ey3fzNqs

声優「はあ……」

声優「…………」

声優「悲しい話……でも」

声優(すごく引き込まれた)

声優(…………)

声優(主人公は、これまでのデブさんの作品には無かった)

声優(クールキャラ)

声優(…………)

声優(これまで通り主人公とヒロイン、くっつく感じだけど……)

声優(その過程がしっかり描かれていて、それだけに)

声優(ラストの別れが悲しく思える……思わされる)

声優(歌手さん、これを怒ってたのかな?)

声優(確かに、少し理不尽よね) クス





396:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:16:56 ID:ey3fzNqs

声優「…………」

声優(アタシ……結構好きかも)

声優(この漫画)

声優(…………)

声優(だって――)

―――――――――――

デブ「ああ、声優さん」

声優「漫画、読ませていただきました」

デブ「ず、ずいぶん早いですね」

声優「なんか……この漫画好きみたいで」

声優「早く感想、言いたくて」

デブ「ははは……ちょっと照れますね」///





397:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:18:03 ID:ey3fzNqs

声優「ストーリーは、これまで通り……と思いきや」

声優「最後の別れは、不意打ちでした」

デブ「…………」

声優「それは、前半で描かれている、主人公とヒロインの交流がとても丁寧で」

声優「きっとこの二人は幸せになる……ううん」

声優「幸せになって欲しい、と思わせるキャラだからでした」

デブ「…………」

声優「……アタシ」

声優「実は、俗に言う、”中の人”をやっているんです」

デブ「え? ……と言うと、CVってやつですか?」

声優「そうです」





398:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:18:45 ID:ey3fzNqs

声優「しかも……ほとんどエロ関係の仕事ばかりを」

デブ「……!」

声優「軽蔑……しました?」

デブ「まさか」 ニコ

声優「ありがとうございます」 クス

声優「……そんなアタシが言うと、失礼かもしれませんが」

声優「もし、このマンガがアニメ化されたら」

声優「ぜひ、このヒロイン役をやりたいです!」

デブ「!!」

声優「それくらい……この作品、いいと思いました」

デブ「…………」





399:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:19:45 ID:ey3fzNqs

デブ「そんなに言ってもらえるなんて……嬉しいです」

声優「ふふ、お世辞じゃないですからね?」

デブ「ははは」

声優「…………」

デブ「…………」

デブ「明日、さっそくどこかの出版社に投稿したいと思います」

声優「そうですか」

声優「入選……ううん」

声優「大賞とか、取れるといいですね」

デブ「賞金も出ますしね」

     アハハハ……

―――――――――――






400:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:20:54 ID:ey3fzNqs




     ……その後すぐ、デブさんはアルバイトを始めていた。

     送った漫画が何かの賞を取るとしても、ずっと先だし

     先立つモノは、どうしてもいるから、と……ちょっと切ない。



     けど、デブさん本人は、少しも苦にしてない感じだった。

     漫画を描く時間は減ってしまったが、これからも描き続けるつもりだと

     笑いながら言っていた。 アタシも次回作を楽しみにしている。








401:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:22:15 ID:ey3fzNqs




     そういえば、思わぬ出世をした人がいる。 それは歌手さん。

     本人は、割と適当に作った『惣菜ソング』が

     歌手さんの勤めているスーパーのテーマソング?として採用したい、と

     正式に依頼があった、というのだ。



     そしてこれが思わぬヒットとなり、音楽会社が数社

     ぜひ、ウチからCDを出してくれ、と、頼み込んできたという。

     歌手さんは戸惑いつつも その内の一社からCDデビューした。

     ふふ、そういえばジャケ絵、歌手さんが頼んでデブさんが描いたんだっけ。








402:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:23:09 ID:ey3fzNqs




     どのくらいか知らないけど……結構売れたみたいで

     著作権料に驚いたそうだ。 ……いくら位なのかなぁ。








403:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:24:09 ID:ey3fzNqs




     いちやく時の人、となった歌手さんだけど

     何故か、スーパーのアルバイトは辞めなかった。

     本人言わく、スーパーで働く事も重要なリズムらしい……。



     でも、不安定な職業だし、それもありかな?とも思う。

     そうそう! 歌手さんに彼女が居たんだけど

     行きつけのカラオケボックスの受付の人で、びっくりしたっけ。

     とっても幸せそうで、かなり羨ましく思った……いいなぁ。








404:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:25:09 ID:ey3fzNqs




     アタシの方は……と言えば、オーディションの結果は

     またしても落選……。

     今回も後輩ちゃんと二人揃って残念な結果に終わっていた。



     だけど……気持ちとしては、そんなに落ち込んでいない。

     アタシは、この仕事が好きだと改めて認識したから。

     役に成りきる事、演じる事が、楽しいと知っているから。








405:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:25:57 ID:ey3fzNqs

数ヵ月後――

事務所


M「おはよう、声優さん」

声優「おはようございます、マネージャーさん」

後輩「おはようございます! 先輩、マネージャーさん」

M「今日も一日頑張ってね」

声優「はい」

後輩「はい!」

M「後輩ちゃんは、レッスンも忘れずにね」

後輩「わかってます!」





406:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:26:50 ID:ey3fzNqs

声優「そっか、今日レッスンの日だったっけ」

後輩「はい……遅くなるので、先輩と一緒に帰れませんね」

M(この娘は本当に声優さんが好きだなぁ……)

声優「待っててあげよっか?」

後輩「い、いいえ! そこまで図々しくなれませんよ!」

声優「あはは」

声優「冗談はさておき、大事な歌唱力のレッスンだから頑張ってね」

後輩「もちろんです!」

後輩「絶対にアイドル声優になってみせますとも!」

声優「それじゃ、行ってきます。 マネージャーさん」

M「ああ、道中気をつけてね」

―――――――――――






407:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:27:47 ID:ey3fzNqs

収録スタジオ


スタッフ「それじゃ声優さん。 今日もお願いします」

声優「はい」


     ――今日も仕事が始まる――


スタッフ「それでは……5秒前……4……3……」

声優「…………」


     ――これからも悩む事があると思う――


声優「んはぁっ!!」





408:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:28:42 ID:ey3fzNqs

声優「いいのおっ……! オチ○ポ、いいのおっ!!」



     ――でも、きっと――

     ――アタシは、やれるだけ続けていく――



声優「んギモッヂイィ〜!!」






     ――自分の選んだ道だから――











409:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:31:13 ID:ey3fzNqs





―――――――――――







     数年後












410:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:32:10 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

     プルルルルル… プルルルルル…

デブ「……お、電話だ」

     ガチャ…

デブ「はい、もしもし」

デブ「……ああ、Z編集者さん」

デブ「締切はまだ先ですけど……?」

デブ「……はい……はい」

デブ「…………」

デブ「……え?」





411:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:33:19 ID:ey3fzNqs

デブ「アニメ化……ですか?」

デブ「しかし……まだ単行本二冊しか出てないし」

デブ「こんな日常漫画のアニメに需要があるんですか?」

デブ「…………」

デブ「そ、そうですか……」

デブ「それならいいんですけど……」

デブ「…………」

デブ「はい……はい……」

デブ「……希望する中の人?」

デブ「俺が選んでいいんですか?」





412:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:34:19 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ「そうですか……それなら」

デブ「ヒロインは、声優って人をお願いします」

デブ「それ以外はそちらに……は?」

デブ「ああ、その人、その……エロ関係では有名なんですが」

デブ「……ええ、俺は気にしませんので」

デブ「…………」

デブ「はは……実は個人的な付き合いがあって……」

デブ「こういうのはダメですか?」

デブ「…………」

デブ「良かった。 では、ぜひ、ヒロインは彼女でお願いします」

デブ「そうだ、OPとかはもう決まっているんですか?」

デブ「…………」





413:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:35:08 ID:ey3fzNqs

デブ「なら、歌手って人をお願いしたいんですが」

デブ「…………」

デブ「ああ……『惣菜ソング』って知ってますか?」

デブ「…………」

デブ「そうです、その人です」

デブ「これも個人的な付き合いで……はい」

デブ「…………」

デブ「そうですか……それなら選考に入れてもらえれば」

デブ「……はい……はい」

デブ「お願いします」

デブ「では……」

     チン…





414:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:36:21 ID:ey3fzNqs

デブ「…………」

デブ(余計な事……かな?)

デブ(…………)

デブ(……いや)

デブ(そりゃ……全く えこひいきじゃない、と言えば嘘になる)

デブ(でも……)

デブ(彼女たちが、俺の作品に関わってくれたら)

デブ(すごく嬉しい)

デブ(それが……正直な気持ちだ)

デブ(…………)

デブ(さ、仕事を続けるか!)



     おしまい





416:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:44:44 ID:ey3fzNqs

皆さん、投下遅れてすみませんでした……これで終了です。
お付き合いありがとうございました。
最後、なんか巻が入っちゃった感、否めませんけど
こんな感じにまとめました。 気に入っていただけたら、幸いです。

イケメンは、経済的に幸せなので、それでバランスをとっていると思ってくださいw

レス、ものすごく励みになりました。 ありがとうございます。





417:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:46:35 ID:EkCUZHYg

乙です
連休明けたら自分も頑張ろうと思いました
面白かったです!





418:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:49:03 ID:ZmX3WOtk

乙!物凄くよかった





420:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:50:12 ID:JVzKvtEw

乙!
まさかここまでいい話になるとは…





421:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 20:51:56 ID:sc5wL/rQ

良い意味でタイトル詐欺だったよ!
超乙!!





424:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 21:33:49 ID:1s6BjVCM

いい感じにバランスがとれてて良かった!!
乙乙乙!!!
次回作にも期待!!





426:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/14(水) 21:38:44 ID:K7.u50Sk

乙!すごいよかった!





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