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3: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:12:35.25 ID:5OyPL7Mao
就任から三年後、とある日


勇者「ワルキューレを捕まえた?」

堕女神「はい、陛下。隣国との国境付近で捕縛しました」

勇者「なんだってそんなのがわざわざ」

堕女神「それをこれから取り調べるのです」

勇者「人数は一人だけか?」

堕女神「いえ、二人です。一人は隣国へと引き渡しました」

勇者「…………ご愁傷様、って感じだなぁ」

堕女神「………同感です」

勇者「で、そいつは今どこに?」

堕女神「午後にでも、こちらへ到着します。地下牢に収監する予定です」

勇者「で、色々やって口を割らせる、と」

堕女神「はい。……一応ローパーの準備も」

勇者「流石は堕女神だな」

堕女神「……お褒めにあずかり、光栄です」


 


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4: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:13:05.56 ID:5OyPL7Mao
勇者「しかし、ワルキューレってかなり強いだろ。地下牢に大人しく入れられるのか?」

堕女神「大丈夫です。私が彼女の力をほぼ完全に封印いたしますので」

勇者「そんな事できんのか?」

堕女神「朝飯前です。同時に筋力も封じますので、あとはご随意に」

勇者「万能すぎる」

堕女神「堕ちても女神ですから」

勇者「嫌味なぐらい何でもこなすな、お前は」

堕女神「陛下の、そして陛下の国の為なら、私に出来る事なら何でもいたします」

勇者「……その割に、夜はやたら甘えてくるのが更にいい」

堕女神「…………そんな事はありません」

勇者「いや、だってお前……唇が磨り減って無くなるかと思ってんだぞ、いつも」

堕女神「昼食の準備が整っております。その話はまた今度」

勇者「(……ムリヤリ誤魔化しやがった)」




5: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:14:26.51 ID:5OyPL7Mao
午後、勇者が昼餉を終えて少し経った頃に件の彼女が城へと到着した。
蝙蝠の翼を持つサキュバス達が、凛とした白い肌の戦乙女達を、強引にエントランスへと連れ込む。
表情は誇り高きワルキューレの矜持を崩さず、今なお闘志を湛えていた。
翼飾りのついたサークレット、黄金色に輝くキュイラス、脚甲と手甲も同様に、触れがたく神々しく輝いていた。

ワルキューレ「穢らわしい淫魔どもめ!私に触れるな!」

後ろ手に縛られ、武器たる槍も没収された今では、それは虚勢にしか聞こえない。
事実、彼女はもう抵抗の術などない。
脇を固めるのは、魔界でも高位の存在である淫魔達。
いくら彼女といえど、この差を引っくり返す事などできはしない。

堕女神「……それでは…」

言って、吹き抜けから降りて行こうとする彼女を制した。

堕女神「……?」

勇者「まぁ、待てって」

そして、ひとり階段を降りていく。
忍び笑いを浮かべながら、悪巧みをしている盗賊のような表情だ。
堕女神は、彼が何をしようとしているのか、まるで理解できない様子で。




6: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:15:08.77 ID:5OyPL7Mao
ゆっくりと近寄るたびに、ワルキューレの顔が憎悪に歪む。
何がしかの意図があって淫魔の国へ潜り込んだ。
そこには、恐らく穏やかではない何かがある。

拘束され、膝をついて二人の淫魔に挟まれている彼女へ近づき、同じく膝をついて目線を合わせた。
彼女が仮に何かしようとすれば、即座に両側の淫魔が彼女を始末するはずだ。
エントランスの広間には、ぴりぴりと緊張した空気が漂う。

勇者「………何をしに来たんだ?」

ワルキューレ「貴様……!殺すなら、殺せ!」

勇者「殺す?……もったいないだろ?…この、美しい顔。……耐えられないなぁ」

手で彼女の顎先を軽く持ち上げ、わざとらしく粘りつくような声色で言う。
触れた瞬間、彼女が非常に小さくその身を震わせたのを見逃さない。
口では抵抗しながらも、誇り高き戦乙女とはいえ、この状況に恐怖を感じない訳は無いのだから。

ワルキューレ「……外道が……!」

勇者「ああ、知ってる。……それで、どっちがいい?」

ワルキューレ「…何だと?」

勇者「俺に身も心も捧げて忠誠を誓うか?……それとも、淫魔たちの玩具にされて……」

そこまで言った所で、彼女が唾を勇者の顔面に目掛けて吐きかけた。
頬に浴びたのが何か、勇者はすぐに理解したようだ。

彼は意外にも怒りではなく、どこかしら悦に入った笑顔を浮かべている。




7: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:15:43.75 ID:5OyPL7Mao
勇者「……堕女神」

堕女神「はい」

呼び寄せる必要もなく、勇者の傍らに立っていた。
凍り付くような空気が、先ほどに相まって広間に満ちている。
その根源は、言うまでもなく堕女神。
ワルキューレは無論、淫魔、果ては勇者までも、彼女の醸し出す空気に圧されそうになる。
体の奥まで冷え凍え、その顔を見る事など、できるわけもない。
見た瞬間に魂を抜かれそうなほど、恐ろしく、マグマのように沸き立つ感情を封じ込められていた。

勇者「………やれ」

その場から立ち上がると、入れ替わるように堕女神が進み出でた。
ワルキューレはそれでも虚勢を張ろうとしているのか、キッと彼女を睨みつける。

ワルキューレ「……何をしようと言うんだ?……淫魔め。貴様らなど……!?」

言い切る事もなく、ぐるんと真上を向かされた。
堕女神が彼女の髪を引っつかみ、強制的に真上に向けたのだ。
反るように無理な姿勢で首を動かされたため、首から背骨にかけて鈍く痛みが走る。

堕女神「これから、貴女の力を奪います。……斧槍を持ち上げる事すらできない、無力な存在へと堕ちなさい」

ワルキューレ「…何、を……!」

堕女神「…暴れないでください。……手元が狂ってしまいます」

左手で彼女の髪を掴んだまま、右手全体に仄暗い力がまとわれる。
黒色の火花が舞い散り、邪悪な妖精が舞っているかのように禍々しい。




8: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:16:18.99 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「やめろ!……クソ淫魔どもが!こんな事をしてただで済むと……!」

堕女神「…はしたないですね。……この状況で逃げられると、本気で思っているのですか?」

黒く輝く右手が、ワルキューレの口元を塞ぐ。
直後、哀れな戦乙女の体がびくんと震えた。
目尻には涙さえ浮かべながら、持続的にガクガクと体を震えさせる。

言葉にならない叫びを上げている。
それは悲鳴か、あるいは命乞いなのか。
全身を黒い粒子が包み込み、彼女の体を満たす祝福の力をこそげ取り、
堕女神の右手へと運ばれて吸い込まれていく。
それでも逃れようとするも、力を現在進行形で吸われ、拘束されている状況では望めない。
巨人に押さえつけられているかのように、体がぴくりとも動かない。
もがこうと試みる間にも、力が激しく吸い上げられる喪失感。
例えば手首から血が勢いよく噴出して失われていくのを、ただ見ているような恐怖心と絶望。
どちらかといえば後者に、戦乙女の瞳から涙が零れ落ちる。
何よりも――自分の力を吸収している、相手が怖かった。
有り余る敵意、いや殺意を向けられたその目がただ恐ろしかった。

暫くして堕女神が手を離すと、ワルキューレの体が前のめりに倒れた。
全身を打つ痛みにも反応が無い。

精気の宿っていない瞳が、冷たい床をただ見つめる。
穢された生娘のように、放心している。




9: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:16:47.19 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「か……えせ……」

うわごとのように、彼女の唇が力なく動いた。

ワルキューレ「私の……力……かえし……て……」

地に頭を擦り付けるような姿勢での懇願に、堕女神は黙って、怒りを孕んだ視線を向ける。
彼女がここまで分かりやすく敵意を露わにするのを、勇者は見た事が無い。

堕女神「寒さに凍え、怯えながら省みなさい。……この城の門をくぐった時、全ての希望を捨てておくべきでしたね」

底冷えのする言い方で返し、傍らの淫魔二人に、ワルキューレを移送するよう命じる。
引きずられるように消えていく彼女に、最後まで、睨みつけるような視線を向けていた。


勇者「怖いなぁ、お前」

堕女神「…申し訳ありません。つい……頭に血が上ってしまって」

勇者「いや、俺はいいんだけどさ」

堕女神「それより、何故あのような事を?……本心ではないのでしょう?」

勇者「何の事だ?」

堕女神「先ほどの掛け合いです。例え敵の間諜でも、あのような二択を迫る方ではないでしょう、陛下は」

勇者「……一度、思いっきり『悪役の演技』に陶酔してみたくて。いやぁ、まさか唾まで吐かれるとは。感動したよ」

堕女神「………」

勇者「いいよね、こういうの。なんかもう、いかにも悪役っぽくてちょっと我ながら興奮したよ」

堕女神「……………っ」

勇者「おい、引くなよ!!」




10: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:18:39.35 ID:5OyPL7Mao
堕女神「…彼女は、どうしましょうか」

勇者「だから近づいてこいって。任せられそうな奴は?」

堕女神「はい。サキュバスAなどは。彼女は尋問にも拷問にも長じております」

勇者「じゃぁ、ヤツに頼もう。……あまり手荒な事はさせないように。淫魔の国らしくな」

堕女神「はい、承知しました」

勇者「…頼むぞ」

サキュバスA「お呼びですか?」

勇者「いつからいたんだよ」

サキュバスA「陛下が哀れな虜を嬲っていたあたりから、面白くて見ていましたわ」

勇者「面白いのかよ」

サキュバスA「お気持ち、分かりますわ。ああいう気高い種族は、ついイジメたくなりますもの」

勇者「………お前もか」

サキュバスA「それで、どうします?……壊しちゃってよろしいのですか?」

勇者「いや、乱暴な事はするなよ。サキュバスらしくやれ」

サキュバスA「はぁい。……それでは、さっそく…今夜から取り掛かります」

勇者「頼んだ。……念入りにな?」

サキュバスA「うふふ、陛下もお好きですわね」




11: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:19:14.27 ID:5OyPL7Mao
地下牢にワルキューレが投獄されている。
力をほぼ完全に奪われ、もはや抵抗する気力も無く手枷をはめられ、跪くような姿勢で天井から吊られて。
身を包むものは全て剥がされ、ボロ布一歩手前の粗末な貫頭衣のみ。
かつて恩寵を纏っていた天界の戦士の面影は、すでにない。
流れるような肩までの金髪と白い肌は美しさを保っているが、それだけに、痛々しい。
地下の寒さに小刻みに震える姿は、まるで賎民へと堕とされ、売り飛ばされた貴族の娘のようだ。

そんな彼女に哀れみの視線を向けながら、一人の淫魔が地下牢へとやってきた。

サキュバスA「あら、いい光景。……意識はありますの?」

苛めるような口ぶりで、話しかける。
ワルキューレの眼が僅かに動き、彼女へ敵意の眼差しを向けた。

サキュバスA「お元気ですわね。さて、これから……貴女をたっぷりとイジメちゃう訳ですけれど」

ワルキューレ「……好きにしろ。貴様らに屈するものか」

サキュバスA「そう。……そのぐらいでないと、堕としがいがありませんわ」

腰を落とし、視線を合わせる。
サキュバスAは、しばしの間、うっとりと彼女の瞳を見つめた。

驚くべき事に、今でも諦めていないのだ。
ここから逆転の余地があるかのように、闘志を秘めたまま、瞳の奥が燃え盛っていた。
事実、サキュバスAにも緊張が走った。
気を抜けば、脱出されてしまいそうだ。
力を奪われている事に違いは無いが、だからといって、安心できるものではない。
繋がれ、昂ぶった野獣を前にしているのと同じ気持ちだろうか。

その態度は、ワルキューレにとっては全く不幸な事に。
サキュバスAをも燃え上がらせるための、火種にしかならなかった。




12: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:19:42.73 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「さて。とりあえず、お聞きしましょうか?」

大袈裟に手を振りながら近づき、腰を落としてワルキューレの耳元に口を寄せる。

サキュバスA「ねぇ。……あなた、『処女』?」

ぞわりと寒くなるうなじの感覚が、全身に広がった。
一音一音がはっきりと聞こえる、歯切れ良い淫魔の囁きが全身の細胞へ染み込む。
一種の呪文かとも疑うほどに、感覚を極めて鋭敏にさせる韻律。

ワルキューレ「なっ……!何を……貴様っ!!」

サキュバスA「顔を真っ赤にさせちゃって……ふふ、可愛いわぁ。さて、本題に入りましょうね」

ワルキューレ「何だと……?」

サキュバスA「私達の国で、何をしてたのかしら?……まぁ、私としては吐かないでくれたほうが楽しいけれど」

ワルキューレ「…ふん。それが人に物を尋ねる態度か」

サキュバスA「あらあら。……やっぱり血の巡りが悪いのねぇ」

頬に優しく手を添えられる。
認めたくはないが、冷え切った肌にじんわりと暖かい。
淫魔の手に、温もりを感じてしまったのだ。
驚きながら、その瞳を覗き込んでしまう。
――そう、『淫魔』の瞳を。

サキュバスA「質問でも尋問でもないの。――これは、『拷問』なのよ?」




13: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:20:17.36 ID:5OyPL7Mao
拷問、という言葉に身を震わせる。
恐ろしげな言葉が、冷え切った陰鬱な空間と相まって、残酷な実感を湧かせた。

よく見れば、周囲の空間にはいくつもの恐ろしげな器具が並んでいた。
血糊が膠のように張り付いた布をかぶせられた、棺のような物体。
内側にいくつもの刃が取り付けられている、人が一人やっと入れる程度の鳥かご。
びっしりと棘を生やした、拘束具つきの椅子。
万力と鉄仮面が一体となったような、おぞましく、それでいて用途が容易く見て取れる器具。
少し離れた机の上には、鈍く輝くハサミ、焼き鏝、ペンチなどが無造作に置かれていた。

視線が一巡してそれらを認識したあと、再び、淫魔の顔へと戻った。

恐ろしい。
ただただ、何もかもが恐ろしい。
なのに何故、この淫魔はこんなに――『優しい』眼をしているのか。
疑問すら差し挟む間もなく、彼女の心の奥に途方も無い安心感が湧いて出た。
恐怖が解けてなくなり、地下の寒さも少しずつ感じなくなり。
やがて視界が潤み、心臓の鼓動がペースを上げ始めた。
呼吸は浅く短く、溺れかけているかのように調子を崩す。

サキュバスA「…どうしたの?もしかして……興奮しちゃった、かしら?」

ワルキューレ「ふざ、けるな……誰が……」

サキュバスA「それとも怖いの?最初は、そうね。爪をベリベリと引き剥がして、真っ赤に焼けた針を刺していくの。きっと楽しいわ」

あえて身近で、想像しやすそうな例を挙げる。
ワルキューレは靄がかかったような意識の中、リアルな痛みを創造し、生唾を飲んで固まってしまった。
そして、そんな隙を見逃される訳が無い。




14: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:21:04.42 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「うふふ……今、怖がらせちゃった?ごめんなさいね、可愛くてつい」

小馬鹿にするかのように、ゆるく抱き締めて彼女の後頭部に手を当てる。
まるで、泣く子をあやすかのようだ。

嘲弄するかのような仕草にも、もはや反応できない。
目の前にいる淫魔の、本心が見えないからだ。
本当に拷問を加えてくるようにも思える。
ただ反応を楽しんでいるだけにも思える。
どちらにも、絞れない。

サキュバスA「心配しなくても、『今日は』痛い事なんてしないわ」

ワルキューレは深く恥じ入る。
―――その言葉に、安堵してしまったから。
―――冷えた身体に、肌の温もりを感じてしまったから。

サキュバスA「そうね。差し当たって……ここから始めましょうか?」

優しく抱きしめたままの左手をゆっくりと下ろし、膝立ちの姿勢の彼女の尻を優しく撫でた。

ワルキューレ「ひゃっ……!」

こそばゆい感触が突き抜け、背筋がぴんと伸びる。
じゃらり、と手枷につながった鎖が揺れ、音を立てた。

サキュバスA「ふふ……感じやすいのね。小さくて可愛いお尻……」

撫で回しながら、更にいたぶるような言葉を連ねる。
鍛えられ、引き締まったヒップラインから太腿。
足指の先までも、隙なく美しい脚線。
小ぶりだが感度が良く、手に吸い付くような尻肉。
健康的な、淫魔とも違う魅力を備えた肢体は、不幸な事に淫魔の眼鏡にかなってしまった。

嫌悪感を滲ませながら逃れようと身体を揺するが、力を吸収され、更に抱き締められていては無駄な抵抗にすらならない。




15: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:21:53.63 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「やめ……離、せ……っ!」

サキュバスA「ダメよ。……本当に、可愛いわぁ。どうイジメてあげようかしら?」

陶酔するように、好き勝手に尻肉を揉みしだく。
その度に荒く息が漏れ、嫌悪とも違う感情が、薄ら寒い地下牢へ漏れ出していく。
感じるのは異常なまでの、『背徳』の快楽。

力を吸い取られて淫魔の城に監禁されている。
手枷をはめられ、衣服を剥ぎ取られ、奴隷のような粗末な衣を着せられている。
寒い地下牢で、淫魔の責め苦を受けている途中。
抵抗しても意味は無く、誰も助けにきてはくれない。

本来ならば、絶望と恐怖でしかない状況。
それでも、彼女は心のどこかでこの状況を俯瞰し、味わってもいた。

無論、平素の彼女に被虐趣味などない。
主神の意思に従い、戦う事こそが存在の意義。

その彼女の心を曇らせたのは、淫魔の『眼』である。
彼女は、力を吸収された状態で、淫魔の眼を見てしまった。
幾度と無く迷える民を魅了し、堕落させていった魔眼。
直視してしまった事で、彼女の心に、気持ちばかりの亀裂が入ってしまった。
その亀裂から、まるで隙間風のように吹き込んでくる被虐心。

――彼女は、それに怯えていた。

サキュバスA「……この姿勢もつらいでしょう?床は冷たいもの」

言って、おもむろに手を離し、立ち上がる。
撫でられていた尻からも、抱き締められていた身体からも、温もりを届けてくれる淫魔の腕が消えた。

刹那に感じたのは、極めて小さな喪失感。
別れを惜しむような小さな息が漏れ、サキュバスAは僅かに口角を持ち上げる。
それに気付き、彼女はすぐに気持ちを引き締め直した。

淫魔に弱みなど見せるか、とでも言いたげに。
虚勢、という以外、説明に適した言葉は無い。




16: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:22:36.32 ID:5OyPL7Mao
サキュバスAが、壁面の装置へと手をかけた。
鉄製のハンドルを回せば、ワルキューレの頭上から古めかしく金属が軋む音が聞こえた。
手枷に繋がれた鎖は、頭上のいくつかの滑車を介して、壁面のハンドルへと繋がっているようだ。
頭上で拘束された手枷が緩やかに持ち上がる。
肩へ僅かに痛みが走り、手枷が持ち上がるのに合わせて立つ。

ハンドルを回すのを止めると、まさに、『拷問中の捕虜』に相応しい姿になっていた。
頭上に両手を持ち上げられ、僅かに爪先立ちをして身体の重さを少しでも支えようと。
腕に覚えた気だるさと、手枷に手首が擦れる痛みで顔が歪む。
少しでもそれらを緩和しようと身体を動かせば、ぎぃ、と音を立てて頭上の滑車が不快な音を立てた。

サキュバスA「これでこそ、『拷問』ですわね。さて、どっちがいいかしら?」

ワルキューレ「……何、が……だ……!」

サキュバスA「うーん、『下ろせ』と凄まないあたり、ちょっとは理解できたようですわ。嬉しい事ね」

ワルキューレ「………」

サキュバスA「……それで、どっちがいいのかしら?」

意味不明な問いかけに、意味を把握しようと視線を淫魔へ向けた。
彼女は、左手に奇妙な道具を持っていた。
平行に二つの柄がついた、洋梨の形をした金属の器具。
大きさは、それこそ洋梨と同じ程度だ。
全体に、小さな棘がびっしりと生えている事以外は。

ワルキューレ「何だ……それは」

サキュバスA「人界で作られた拷問器具を知っておいで?……正確には、私達が人界へ伝えたのですけれど」

ワルキューレ「…………」

サキュバスA「使い方は簡単。……まず、貴女の大事な所にこれを入れて……こう、するのよ」

サキュバスAが二つの柄を握ってほんの少しだけ力を入れる。
がしゃんっ、という音を立てて、バネの仕掛けで金属の洋梨が勢いよく四つに割れた。
まるで魔界に巣食う虫の口吻のように、恐ろしげに。




17: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:23:18.45 ID:5OyPL7Mao
その光景を見て、一気に血の気が引いた。
全身の動脈が、脳へ伝えるはずだった酸素を持って、心臓へ引き返したような。
赤血球の一つ一つが怯えているかのように感じて、駆動しなくなった血管によって、全身が寒気に襲われたような。

再び身を包んだ悪寒とあまりの恐ろしさに、失神してしまいそうになる。
不意に力が抜けた足のせいで肩に全体重がかかり、その鈍痛で、再び意識がはっきりとした。

サキュバスA「人界では精巧な再現はできなかったようですが、これは大丈夫。ちゃんと、貴女の中をぐちゃぐちゃに引き裂きますわ」

楽しげに、その器具をガチャガチャと弄んで言う。
ワルキューレの中に、漠然としていた彼女への印象が収束を始めた。

―――この女は、本気だ。

鳥肌が立ち、置かれた状況を再び認識して震え出す。
それでも抑え込んではいるようだが、あまり効果は見られない。
力を奪われている。
頑丈な鎖で拘束されている。
装備も全て奪われ、救援は見込めない。
今彼女がいる場所はただの牢獄ではなく、「拷問部屋」だ。
そして、目の前にいるのは、恐ろしい道具を手にした「淫魔」。

サキュバスA「……あら?顔色が悪いわ。どうなさいましたの?」

わざとらしく道具を左手で弄びながら、ゆっくりと近づいていく。
燭光に照らされたその顔は、ワルキューレには直視できなかった。
もし見てしまえば、今度こそ、みっともない命乞いを吐き出してしまいそうだったからだ。

サキュバスA「…ひょっとして、怯えてるの?……最後まで聞きなさい。私は、『どっち』と訊ねましたわ」

顔を直視しないようにして、ワルキューレはおずおずと視線を向ける。
左手には、相変わらず、恐ろしい想像を掻き立てる器具。

次いで突き出された右手には―――何も、持っていなかった。




18: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:25:14.51 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「……え………?」

サキュバスA「さて、どっちが良いかしら?……この『道具』?それとも、私の『手』?」

何を言っているのか、理解できない様子だ。
それもそのはず、彼女の問いかけは、極端すぎるから。
左手には、拷問器具。
右手には、『淫魔の手』。
少しの間考え込み――ようやく、天界の女戦士にも、その意味が分かった。

ワルキューレ「下劣な淫魔め……!」

サキュバスA「私は別にどちらでも良くってよ。……強いて言えば、こっちはあまり使いたくありませんわ」

ずいっ、と彼女の目前に金属の洋梨を突き出す。
突きつけられたそれはあまりに大きく、見れば見るほどに、心が折れそうになる代物だった。

ワルキューレ「………っ」

サキュバスA「…何か、言いました?」

ワルキューレ「……右……」

サキュバスA「右?……ああ、貴女から見て?」

笑いながら、ワルキューレから見て「右」の手を動かす。
金属の洋梨の先端でボロ布のような衣の裾をめくり、その向こうの秘所へ触れた。

ワルキューレ「ち、違っ……うっ……!」

冷え切った金属で触れられ、その身が揺れる。
その行動に半ばパニックを起こしているかのようだ。
相手はいたずらっぽく笑みを浮かべているが、その事に気付ける余裕は、既に望めない。




19: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:26:20.05 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「ふふ、冗談ですわ。……そうよね、処女喪失がこんな拷問器具なんて、イヤですものね」

ワルキューレ「……!」

サキュバスA「さて、それでは……こっちは捨てましょうか」

がらん、という音を立て、「洋梨」が床へと捨てられる。
金属質の音にワルキューレは身を震わせ、拘束されたままの身を竦ませた。

サキュバスA「……ああ、何て可愛いのかしら」

大袈裟に言いながら、拘束されたワルキューレへと近づく。
恐ろしげな拷問器具から逃れたとはいえ、小刻みな震えを、抑える事などできないようだ。
主神の下、ひたすらに鍛錬を積んできた身には、淫魔の国の流儀など理解できようはずもない。
あるいは、理解する事を、避けようとしているのかもしれない。
それを「恐怖」と呼ぶ事を、必死で避けていた。
認めてしまえば、心が折れてしまいそうだったから。

サキュバスA「……さぁ、て。こちらは、どんな具合かしら?」

遠慮なしに、彼女の指が、ワルキューレの秘裂を撫でる。
粗末な衣の裾をめくり上げ、尻穴の側から、前面へと。

ワルキューレ「んっ……く、ぅ……!」

こそばゆいような、暖かな指先が割れ目にそってなぞり上げる刺激。
未知の感覚に、彼女は震えた。
手淫すらも、した事はない。
不浄の行為にその身を焦がすなど、誇り高き戦乙女として最も恥ずべき事だったからだ。

サキュバスA「我慢しなくていいのよ?ここでキモチヨクなっちゃうのは、当然なのだから」

くいくいと入り口部分を上下になぞりながら、耳元へ口を寄せ、囁く。
暖かい息と、低く落ち着いたウィスパーボイスが耳から快感を届けた。
湿り気をまとった唇や舌が触れ合うノイズ。
息を吹きかけるように囁かれる、甘美な囀り。
それらが合わさって、全身の筋肉を硬直させるような感覚が駆け抜ける。




20: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:27:02.79 ID:5OyPL7Mao
不快な、それでいて強烈で正体不明な快感。
邪な妖精が、全身の皮膚をくまなく内側からくすぐり、甘噛むような。
魔法を使われたのではないかとすら疑いたくなる程だ。
秘所を撫でる指先すら忘れ、目をぎゅうっと瞑ったまま全身を縮めさせる。
頭上で拘束された手首で体重を支え、少しでもその「不快な快感」を薄めようとする。
それは、頬を張られた子供が、頬に手を添えて少しでも痛みを和らげようとするのと同じ。

体の中を跳ね回り、「不快な快感」をもたらしつづける韻律。
意思に反して何度も脳内でリフレインし、喰らいついたように離れてくれない。

手首にかかる痛みで、何とか意識を保とうとする。
未だに全身には余韻が残り、足先は攣ってしまいそうなほどに、足指の先までも窄めている。
唇を口内に噛み込み、とにかく、その余韻を追い出そうと。

だが、彼女は忘れていた。
その様、――いや、その「ザマ」はずっと、目の前の淫魔に見られていたのに。

サキュバスA「……うふ。どうしたの?痛い事なんて、してないのに」

ワルキューレ「……!」

サキュバスA「なんちゃって。ちゃんと分かっているから安心してくださいな」

ワルキューレ「…ふ、ん……淫魔といっても……大した事、ない……じゃないか」

サキュバスA「楽しい事言ってくれるじゃない。……『淫魔らしい事』をするのは、これからよ?」

ワルキューレ「…何、を……ん、ぶぅ…!」

怖気に似た快感の余韻が抜け切っていない状態で、何かが彼女の口を塞いだ。
何か、としか認識できてはいない。
暖かく、唇にぴったりと張り付き、ときおり甘い空気を口内に直接送り込む「何か」。
仮に、最高位の魔族が魔力を注ぎ込んで果実を育てたら、こういう香りになるのだろうか。
香りだけではなく、舌先にほのかな甘みすら届ける空気。

彼女は、目を限界まで見開いてようやく気付いた。

「淫魔」に唇を奪われている最中、という事に。




21: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:27:38.53 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「ひ、ゃっ……やめ……へ……」

間の抜けた舌足らずな懇願は、水音高くもつれあう唇のノイズにかき消された。
一種の甲殻類の交尾のように、二つの唇が絡み合う。
力を入れて、無理やりに奪っているわけではない。
彼女の背中に腕を回し、片手で後頭部に手を添えてはいるが、力は入れていない。
思い切り頭を振れば、逃れられるというのに。
傍目にはそれすらも試みていないように見える。

口内を満たす、危険なほどに甘い吐息。
頭蓋に反響して跳ね回る、一方的に唇を貪られる水音。
拘束された状態による異常なまでの被虐の興奮が、それらを「快感」へと昇華させてしまっている。

だが、彼女は認めたがりはしない。
「ワルキューレ」としてより、生来の彼女の性格がそうさせる。
淫魔の国の、それもたかだか一人の淫魔に遅れを取っている。
それを、彼女は許せない。
恐らく、単純な腕力なら彼女の方が上だろう。
従来の力さえあれば手枷を引きちぎり、眼前の淫魔を、たとえ素手のままでも縊り殺せるというのに。
しかし、力は奪われた。
戻るのかどうかすら定かではなく、体がずんと重くなるような倦怠感が、今も残っている。
そのハンデによって、今の彼女は人間の、それも非力な女性と同程度の力しかない。
手枷を千切る事など、夢のまた夢。
もしも淫魔が少し力を加えて彼女の腕を握り締めたなら、間違いなく骨が砕けてしまうだろう。
力を奪われてさえいなければ、その立場は逆になっていたはずなのに。

屈辱感と羞恥心に彩られた、唇への陵辱はなおも続く。
薄暗く湿った拷問部屋に、聞こえるのは二つの吐息と水音。

ワルキューレ自身も気付いてはいないだろうが、確実に、吐息のベクトルは変わってゆく。

唇をふさがれ、それでも酸素を取り込もうとするためではなく。

与えられる快感と淫靡な空気に酔い、艶めかしく蕩ける、切なく苦しげな息遣いへと。




22: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:28:23.50 ID:5OyPL7Mao
不意に、サキュバスAが口を離す。
何本もの糸を引きながら、ゆっくりと離れる口は、まるで手を繋ぐ恋人達にも似ている。

ワルキューレの心には、複雑な感情がいくつも去来していた。
名残惜しげな当て処ない視線が虚空を泳ぎ、
反面、解放され、ようやく空気にありつける事を喜び、激しく息を吸い込む。
拍子に口内に泉のごとく湧いていた唾液を気管に吸い込んでしまい、咳き込む。
咳き込みながらも絶え絶えに息を吸い込む動作は、傍目にも苦しい。
涙を零しながら咳き込む姿は、嗜虐心を通り越して、むしろ萎えてしまいそうなほどだ。

―――ただし、それは、人間にとっての話だ。

両者とも、口元はどちらのものとも知れない唾液でぐっちょりと濡れていた。
揺らぐ灯に照らされ、ぬるりとした光沢が口元を覆う。
石造りの寒々しい空間に、ワルキューレの荒い呼吸が響き渡る中。
サキュバスAは、何処から取り出したハンカチで口元を拭う。
細やかなレースを縫いこんである純白のハンカチは、彼女のイメージに凡そ似つかわしくない。
彼女を知る者なら、そう答えるだろう。
しかし、レース付きのハンカチで口を拭う所作は、どこか高貴な印象を与えられる。
不思議なほどに、釣り合っていた。

ワルキューレ「っ…は……はぁ……はぁ……」

サキュバスA「ふふ、奪っちゃった。奪っちゃったぁ、あなたの……はじめてのキ・ス」

ワルキューレ「っ…殺…す……殺して……やる……!!」

サキュバスA「怖いわぁ。怖すぎて……手が滑っちゃったわ」

ワルキューレ「ひんっ!?」

悪ノリするような言葉とともに、「右手」が、再びワルキューレに秘所に滑り込んだ。




23: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:29:17.19 ID:5OyPL7Mao
実の所、サキュバスAは、そうするよりも前に分かっていた。
キスの直後、口元を拭いていた時に見えていた。
目前の虜の太ももから垂れる、幾筋かの滴が。
ワルキューレ自身は呼吸に手一杯で気付かなかったろうが、それは、偽る事のできない真実。

サキュバスA「ちょっと……これは、酷いわ。私でさえこんなには濡れないのに」

裾から秘所をまさぐり、にちゃにちゃと殊更に音を立てて聞かせる。
内部でいかな愛撫が行われている事か、指先を蠢かすごとに全身が雷に打たれたように引き攣っている。
「淫魔の指」は、それだけで一つの完成された淫具だ。
古今に淫魔に襲われ、悩ましい肢体と性技に溺れた者は数知れない。
絡め取り、対象を内側から溶かして喰らう蜘蛛のように、彼女らは、哀れな獲物を内側から「溶かす」。
人界で夜に現れる蜘蛛を殺す風習は、彼女らへの忌避から語り継がれるようになったのかもしれない。

サキュバスA「聞こえてるかしら?……お返事は?」

耳元にゆっくりと口を近づけ、耳朶を甘く、唇で挟み込む。

ワルキューレ「うあぁぁぁっ!!」

瞬間、暴れ狂うかのように体が跳ねた。
絶叫でもなく、尾を引くような嬌声。
震えた体は鎖を激しく揺らし、地下室中に響くような金属音を立てる。
そのあまりの反応の大きさに、さしもの淫魔も手を休め、驚きの表情を浮かべた。

サキュバスA「ちょっ……びっくりするじゃないの。何なの?一体」

ワルキューレ「あっ……ぅ……はぁ……」

驚いた拍子に、右手も彼女の秘所を離れていた。
もう、彼女を刺激するものは何も無い。
にも関わらず、彼女は小さく、波打つように震えていた。
長く息をつきながら、何度も、何度も。
開いたままの口からは、唾液が垂れ流しになっている。




24: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/26(月) 05:29:46.01 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「……あ、なるほど?」

ワルキューレ「ふ、うぅ……あ……」

サキュバスA「うふふ、良い事知っちゃったわね。……今日は、これくらいにしておきましょうか」

ワルキューレ「……」

サキュバスA「さてさて、いつまで耐えられる事やら。楽しくなりそうね」

壁面の装置を操作し、彼女の体を下ろし、手枷につけられていたフックを外す。
現状抵抗は無意味だが、それでも用心して手枷は外さない。
ぐったりと脱力したワルキューレの体を担ぎ、独房へと運ぶ。
自らより体格の勝っている彼女の体を、軽々と。

独房の扉を押し開け、石畳の上に粗末に敷かれた寝藁へ、彼女を寝かせる。
ベッドなどありはせず、用を足すための穴が申し訳程度に部屋の隅に開けられた、狭く粗末な独房。
暗く寒く、惨めな気分を煽り立てるような、絶望の空間だ。
家畜を飼う檻ですら、もう少しマシなはずだ。
気を失っているのは、彼女にとっては幸運だろうか。

サキュバスA「おやすみなさい。良い淫夢(ゆめ)を」

最後に彼女の頬を撫でてから、独房を出る。

ワルキューレが薄れる意識の中で聴いたのは、独房の鉄格子が閉まる、硬く軋む音。


――そして、頑強な錠をかけられる、変に澄み渡った金属音。




45: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:38:15.62 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ捕縛二日目


堕女神「首尾はどうですか?」

サキュバスA「………それが、大変な事が分かってしまいましたの」

勇者「大変な事?」

堕女神「……何でしょうか」

サキュバスA「あのワルキューレは……」

堕女神「はい」

勇者「あのワルキューレは?」

サキュバスA「…………お耳を刺激されるのに弱いようですわ」

勇者「おい」

堕女神「よくやりました」

勇者「お前も何真顔で言ってんの!?」

堕女神「?」

サキュバスA「え?……ご不満でも?」




46: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:39:12.52 ID:5OyPL7Mao
勇者「マジメにやってんのかよ」

サキュバスA「もちろん、淫魔として極めてマジメにやりましたわ」

勇者「わかった、それは俺の言葉のあやだった。……堕女神、お前はどうなんだ」

堕女神「何か、おかしな所が?」

勇者「性感帯とか聞きてーんじゃねぇんですよ。何が手柄なんだよ」

堕女神「お言葉ですが、陛下」

勇者「んん?」

堕女神「『弱みを握った』と解釈していただけないでしょうか。
    人質を取るより、命との天秤を迫るより、これは効果的です」

勇者「ほほう」

堕女神「まして、彼女は拷問にも夜伽にも長けた淫魔。その彼女に性感帯を知られたという事は、つまり」

勇者「…………『堕落』狙いか?」

サキュバスA「ええ。……あの頑固な『ワルキューレ』の翼を赤黒く染め上げてご覧に入れますわ」クスクス

堕女神「拷問を加えるより効果的でしょう。……身も心も、我が淫魔の国の一員へと変えてみせましょう」クスクス


勇者「あれ、俺達ってひょっとして悪役じゃね」




47: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:39:41.32 ID:5OyPL7Mao
勇者「という訳で、見に来ましたよ」

ワルキューレ「……貴様!私をここから出せ!」

勇者「いや、出せと言われて出すわけないじゃないか。……それと」

ワルキューレ「?」

勇者「裾、めくれてる。見えてる」

ワルキューレ「き、貴様らがこんな小さいのを着せるから!///」

勇者「……それで、お前は何をしに来たんだ?」

ワルキューレ「言うものか」

勇者「なら、こっちで勝手に判断していいのか」

ワルキューレ「…ふん、勝手にしろ」

勇者「えっと……そうだな。呆気なく投獄されて、サキュバスから責め苦を受ける為、か?」

ワルキューレ「貴様……愚弄するつもりか」

勇者「現状そうだろ。挙句に性感帯まで知られちまったんだぞ」

ワルキューレ「な、何を言い出すんだ!?///」

勇者「いや、詰みだよ。抵抗する力も術もなくて、弱みまで握られて。もうムリじゃん」

ワルキューレ「……」

勇者「殺しはしないさ。……ところで、さっきから気配を感じないか?」

ワルキューレ「何?」




48: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:40:12.47 ID:5OyPL7Mao
勇者「……紹介しよう。俺のペットだ」

ローパー「…………」グネグネ

ワルキューレ「な、何だそれはぁっ!?」

勇者「名前は『ポチ』だ、よろしく。……こいつメチャクチャ頭良くてさ、しかも魔法まで使えるんだぜ」

ワルキューレ「や……やめろ……近寄るなぁ……」

勇者「得意技は『乳首責め』だ。もちろん触手から分泌する液には媚薬効果があるし、その気になれば尻から口まで貫通できるぞ」

ポチ「…………」ジー

勇者「……何?気に入った?……ダメダメ、明日まで我慢しろ」

ポチ「…………」シュン

ワルキューレ「明日、だとっ!?」

勇者「ああ。……明日、お前にはこいつの相手をしてもらう。こいつはすごいぞ。
    隣国の淫魔でさえ新○エルばりのアヘ顔を晒して、ついでに二日間は体力が尽きて寝込むぐらいだ」

ワルキューレ「…………っ」

勇者「そういう訳だ。楽しみにしているといい。……淫魔の国の捕虜になるというのは、こういう事なんだ」

ワルキューレ「……貴様」

勇者「さて、それでは今夜も頑張れ。……ポチ、戻るぞ」

ポチ「…………」トボトボ




49: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:40:44.77 ID:5OyPL7Mao
中庭にて

堕女神「また脅したのですか?」

勇者「ああ、つい面白くて。初々しくて貴重な反応だったぞ」

堕女神「……」

勇者「どうした?」

堕女神「あ、いえ……何でもありません」

勇者「……心配しなくてもいい」

堕女神「はい?」

勇者「お前に飽きた事などない。……だから、拗ねるな」

堕女神「拗ねてなど……」

勇者「……まぁ、それでもいい。ところで、今更だが」

堕女神「…はい、何でしょうか」

勇者「『ワルキューレ』、というのは、その、何だ?……どうも耳慣れなくてさ」




50: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:42:27.40 ID:5OyPL7Mao
堕女神「我が国より、数種のモンスターの群生地を挟んで北方に位置する国。彼女らは、自国をヴァルハラと呼びます」

勇者「ヴァルハラ?」

堕女神「人界で果てた戦士の魂が集う土地、とも呼び習わします。『主神』とも呼ばれる国王が治めていると」

勇者「ふむ」

堕女神「性質としては、我が国の真逆です。彼女らは、美しさ、強さ、処女性を備えた『戦乙女』です」

勇者「なるほど、確かに逆だな」

堕女神「これまでにも小競り合いを起こした事はございますが、斥候にしても二人というのは……」

勇者「ちなみに……『主神』ってどんな奴だ?」

堕女神「詳しくは分かりません。ただ、途轍もなく豪放な性質だと」

勇者「へぇ。会ってみたいな、是非とも」

堕女神「ともあれ、ワルキューレを捕まえられたのは僥倖。この機会に、彼女からたっぷりと情報を引き出しましょう」

勇者「はいはい」

堕女神「……話は変わりますが、夕餉の御所望などございますか?」

勇者「ああ。……今日は、何が入ってる?」

堕女神「上質の鹿肉が。ローストしてタイムを添えると、格別かと」

勇者「じゃ、それを」

堕女神「はい、畏まりました」




51: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:43:02.52 ID:5OyPL7Mao



身に刺さるような寝藁の上、惰眠を貪る「彼女」。
その寝顔は、囚われの身とは思えぬほどに、美しく見える。
ブロンドの髪はゆるいウェーブを描き、乱れて。
すぅすぅと寝息を立てる姿は、最低限に身を隠すだけのボロ布をまとって、儚げに美しい。

ばしゃぁ、っと、サキュバスAは提げたバケツから水をかける。
瞬間、ワルキューレは身を切るような冷たさに覚醒して、格子から反対側の壁へと飛び起きて逃避した。

サキュバスA「……お目覚め?捕虜の分際で、ずいぶんとよくお眠りでしたわね」

痛烈な言葉に、彼女は言い返す事ができない。
眠っている所に、冷え切った水を浴びせられたのだから。
ただでさえ寒い地下牢に、気化した体温が失せていく。
抗議の声すら上げられず、遂にはかたかたと震えだす。

サキュバスA「さて、お楽しみの時間ですわ」

がちゃがちゃと金属音を立て、鉄格子の錠前が開けられ、格子扉も開放された。
逃げるなら、今だろう。
しかし――冷え切った地下室で冷水を浴びせられた体は、言う事を聞いてくれない。
体温を少しでも上げるために震え続け、ろくに抵抗もできないまま、独房から引きずり出される。




52: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:43:28.16 ID:5OyPL7Mao
気付けば、昨日と同じように、天井の滑車から下がるフックに吊り下げられていた。
伸びきった体は尋常ではない寒さに震え、少しでも体温を上げようと試みる。

サキュバスA「どうかしら?気が変わった?」

ワルキューレ「っふ……うぅ……ん……!」

サキュバスA「……返事になってませんわ。それとも、暖めてほしいのかしら?」

机の上から、焼き鏝を手に取る。
先端には、とてもその意味を述べられないような言葉が彫られている。
サキュバスAが先端に左手を翳すと、すぐに、真っ赤に焼け付くような熱が灯った。

サキュバスA「……うふふ。どこがいいかしら?……胸?あぁ、それともお尻?よく鍛えられたお腹もいいですわね」

わざとらしく迷いながら、焼き鏝の先を迷わせる。
10cmほど離れた状態でもなお、焼け付くような熱を感じる。
もし押し当てられてしまったら、豚のように情けなく悲鳴を上げるに違いない。

ワルキューレ「うっ……あぁ……熱……!止め……止めろ……!」

サキュバスA「あら?」

彼女は、見逃さない。
寒さに震えたまま、それでも一線を越えまいと強い語調を保つ言葉。
ワルキューレを突き動かすのは、単なる意地だ。
完全にイニシアチブを握られた今では、どのような言葉も意味を果たさないのに。


サキュバスA「……『やめてください、お願いします』でしょう?」




53: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:44:34.71 ID:5OyPL7Mao
試すような言葉を投げかけ、すぐにサキュバスAの眼は嗜虐を帯びて輝く。
真っ赤に焼けた鏝の先端は、ワルキューレの胸から下腹部にかけて彷徨う。
その度に反応を示し、明確な恐怖に瞳孔が広がっている。
今、彼女は何に震えているのか。
冷えた地下室で、それでも寝ているところに冷水を浴びせられた事にか。
あるいは、恐ろしい未来を予見しての、魂の震えか。
後者であろう、と心を浮き立たせながら、なおも楽しむように淫魔は続ける。

サキュバスA「……ほらほら、押し付けちゃいますわよ?……内腿、というのもいいですわね。
      神経が集まっていて、きっと凄く熱く感じると思いますわ。それとも、……顔?」

振れ幅が大きくなり、太ももから顔まで、焼き鏝が揺れ動く。
顔に近づいた瞬間、ワルキューレは可能な限り遠ざかろうと顔を動かす。
熱という根源的な恐怖は、例えワルキューレだろうと例外なく、反射の運動を取らせる。

サキュバスA「…………仕方ないですわ。お腹にしましょう。強情な貴女が悪いのよ?」

ワルキューレ「ふん。……好きに……する…が、いい。例え全身を焼かれようと、淫魔に屈するものか」

サキュバスA「気に入りましたわ。……でも、ただそうするだけじゃ面白くありませんわね」

ぱちん、とサキュバスAが左手の指を鳴らす。
弾けるような警戒な音の直後、虚空に一匹のコウモリが現れる。
魔力で形作られたコウモリの似姿であり、足は存在せず、翼と胴体だけというフォルムだ。
しかしその動きは実際のものと変わらず、暗い拷問部屋を所狭しと飛び回る。
不規則に飛んでいたそれはおもむろに目標を据えて飛来し、ワルキューレの目元に翼で目隠しをするように張り付く。

ワルキューレ「うっ……!な、何をする!?」

ぶんぶんと顔を動かしても、コウモリは剥がれる様子が無い。
両手を頭上で拘束され、顔の近くにある上腕に押し付けて抵抗しても無駄だった。




54: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:45:18.78 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「心配なさらないで。……単なる目隠しですわ」

再び、ぱちんと指を鳴らす。
すると、魔力のコウモリが実体化し、アイマスクとなって顕現した。
ぴったりと張り付き、ワルキューレの視界を奪うそれは、もはやどうやって外すのかさえ分からない。
一体化したように、コウモリの形のアイマスクが顔の上半分に張り付いているのだ。

ワルキューレ「くそっ……外せ!外せぇ!」

サキュバスA「嫌よ。だって、こんなにお似合いなんですもの。それはそうと」

忘れていたのか、とでも言いたげに焼き鏝を顔の近くに持っていく。
押し付けてしまわないように細心の注意を払いつつ、鼻先につくかつかないかの部分で止めた。

ワルキューレ「ひっ……!」

アイマスク越しに、目の奥にまで熱が伝導されるような感覚。
鼻先からうっすらと肉が焦げた匂いすら、彼女は感じていた。
実際には錯覚なのだが、視界を奪われた恐怖と極限状態で、感覚が暴走しているのだろう。

サキュバスA「あら、可愛い声。……予告なんてしませんわよぅ。どこを焼いちゃおうかしら?」

愉しげに――いや、愉しみながら鏝を遊ばせる。
露わになった太ももに近づけても、薄布に隔てられた腹部に近づけても、
その反応の鋭さは先ほどまでとは桁違いだ。

近づけたまま、迷うように鏝を動かす。
あるいは、不意打ちで背中に近づける。
時間を置いてから、敏感な上腕へと突きつける。

しばらくの間、彼女はそうして「遊んで」いた。


時間にして、10分ほどだろうか。
視界を奪われた彼女にとっては、その何倍に感じただろう。
未だ、どこの部位も焼かれてはいない。
寸止めの繰り返しは、ともすれば実際にそうするよりも消耗させているかもしれない。

現に、哀れなワルキューレは――嗚咽に似た情けない声を上げ、頬には涙の筋さえ伝っていた。




55: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:45:58.90 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「……情けないわぁ。戦乙女というのは、目を塞がれるだけで戦意喪失してしまうようですわね。
       全く、何が『戦乙女』なのやら。恥ずかしくないの?貴女」

ぴしゃりと冷たく言い放つと、ワルキューレの体が僅かに揺れた。
最後に残っていたプライドの欠片すら、踏み潰されたかのようだ。
屈服し、命乞いをしないのが不思議でもある。

サキュバスA「そうね、大事な所を焼いてしまいましょうか?どうせワルキューレなのだから、死ぬまで使わないでしょう?」

未だに熱を失わないそれを使って、粗末な衣の裾をめくり上げる。
言葉に混じるサディズムとは裏腹に、肌には絶対に触れないように、気を配りつつ。

ワルキューレ「…やっ……!」

サキュバスA「…………ん?」

ワルキューレ「……もう……やめて……」

サキュバスA「はぁい?」

ワルキューレ「…もう…やめてください……」

サキュバスA「……ふふっ…あはははは!言ってしまいましたわね!」

ワルキューレ「…お願いし……ます……やめ…て……」

うわ言のように、壊れたかのように、何度も呟く。
正面から浴びるサキュバスAの哄笑にも、もはや反応は返らない。
恐怖で失神する手前の、無意識の防衛本能の言葉。
まさしく、彼女は追い詰められている。

サキュバスA「でも、ダメなのよ。……ここまで来たら、一度ぐらい味わってみたいじゃない?」

サキュバスAは確かに、求め続けた言葉を聞いた。
ただ、それだけ。
「聞き入れる」事は、しない。


―――躊躇いなく、一息に。
―――焼き鏝の先端が、ワルキューレの秘所に強く押し当てられた。




56: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:46:33.50 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「嫌、あぁぁーーーっ!!」

割れ目の上に異物を感じた瞬間、体が大きく反れ、鎖を揺らし、伝わった振動で滑車が軋んだ。
最悪の想定が、現実になってしまった。
絶望、いやその先へと到達してしまった事に喪失感が心を埋め尽くす。
涙がぼろぼろと零れ、いっぱいになったアイマスクの縁が意思を持つように浮き上がり、頬へと伝わらせた。

直後、石造りの床へ大量の水滴が落ちる。
彼女の股間からほとばしる液体が、撒き散らされて足元へ水溜りを作る。
恐怖の絶頂で緩み切った尿道は、もはや留める力を持たない。
膀胱が空になるまで、止められはしなかった。

失禁の最中、彼女は、絶望とも恐怖とも喪失とも違う感情を密かに灯らせていた。
―――それは、解放感。

みっともなく悲鳴をあげ、涙と洟と唾液を垂れ流し、さらには下からも失禁する。
全身全霊で怯えを現し素の自分をブチ撒けるような、えもいわれぬ「快感」。
奔放な淫魔達とは違い、規律正しき戦乙女として生を受けた、「反動」。

膀胱の中身を吐き出し終えるまで、彼女は解放感に打ち震えていた。


サキュバスA「あらあら、凄いわ。……ところで、どこが熱いのかしら?」

ワルキューレ「…はぁっ……はぁっ………何……だ……?」

サキュバスA「いやね。ずっと押し付けたままなのだけど。……そんなに、熱かったかしら?」

ワルキューレ「えっ……!?」




57: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:47:01.67 ID:5OyPL7Mao
簡単で、そして心底意地の悪いトリックだ。
要するに――焼き鏝からは、熱など失われていたのだ。
裾をめくり上げ始める直前から、焼き鏝から熱を奪った。
本来ならば不可能な技ではあるが、そもそもサキュバスAの魔力を注入していたからであり、
その気になれば一瞬で冷却する事ができる。
それゆえ逆に極低温をまとわせたり、電流を流す事もできるのは言うまでもない。

サキュバスA「ふふ、引っかかりましたわね」

ワルキューレ「そ……んな……」

サキュバスA「貴女の心がちょっとだけ持ち堪えていれば気付いたかもしれないのに。あぁ、『情けない』わ」

ワルキューレ「嘘……!嘘だ……!!」

サキュバスA「本当よ。あと少し強気を保ってれば耐えられたのに。まるで未通女のような悲鳴を上げてしまって」

ワルキューレ「あ……あ、あぁ……」

サキュバスA「『やめてください』ですって?ボロボロ泣いてそんな言葉を絞り出して、そんなに怖かったかしら?」

ワルキューレ「っく……ぅ、うぅぅ……」

サキュバスA「挙句に、小便まで漏らして泣き叫んで。ねぇ、もう一度訊きますわ」

放たれる刃のような言葉に、ワルキューレはもはや憎まれ口さえ叩けない。
無防備な心を直撃し、大きく削り落としていくような「魔族」の言葉。
耳を塞ぐ事すら許されず、嬲られる事しかできない。


サキュバスA「……恥ずかしく、ないのかしら?」




58: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:47:31.53 ID:5OyPL7Mao
最後の言葉で、ワルキューレは静かに泣き始めた。
それと同時に、かぶせられていたアイマスクが溶けるように消える。

視界を返してもらった事に、彼女は気付けない。
涙で揺らぐ視界は、地下室の闇しか映さないから。
穢された女のように、静かに、ただ静かに泣き続ける。

サキュバスA「……さて、明日は過酷ですわよ。体を休めておく事をおすすめしますわ」

「装置」を操作し、彼女の体を下ろす。
拷問部屋の一角にあらかじめ寝藁を敷いておいたため、今夜は独房まで運ぶ手間は無い。

彼女は、泣いていた。
地下室の暗闇の中、自らが作り出した水溜りの上にへたり込み、
枷をはめられた手で顔を覆いながら。

その一角を隔離するための格子扉を閉め、錠をかけた。
しくしくと泣き声の聞こえる地下室から、螺旋階段を通ってサキュバスAが上階へ戻る。

――長い階段の最中、彼女はおもむろに、ぶるりと身を震わせた。

サキュバスA「んぅっ……ふ……」

腰を落とし、内股になりつつ股間に指を這わす。
じっとりと浮かんだ粘性の液体が、秘所から太ももまでを盛大に濡れさせていた。
蜜を塗りたくられたようにべっとりと肌に張り付き、足元までも幾筋も伝い落ち。


加虐の悦びの中、転じた嗜虐の悦びがいつしか彼女に影を落としていた。
もしも――このワルキューレと、立場が逆だったのなら。
もしも――責め苦を受けているのが、自分だったのなら。

そんな感情移入をしながら、拷問の間中震えていた。
焼き鏝を近づける度に怯える彼女。
――もしも自分だったらどんなに怖くて、そして「気持ち良い」だろう?




59: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:48:12.47 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレの痴態を眼にした時、その嗜虐心は最高潮へ達した。
「虐めを加える者」から、「虐めを被る者」への心理の変換。
鏡合わせの快感が、相乗しながらサキュバスAに襲い掛かったのだ。
その感覚は、ワルキューレが味わったものより大きかっただろう。

凛とした「ワルキューレ」を嬲りものにし、その反応を愉しみ。
涙を流させ、命乞いを口にさせ、失禁までさせて。
サディズムに酔わされた。

陰鬱な地下室で、無いよりマシな程度の衣を着せられた彼女。
目の前には無慈悲な魔族が妖しく笑い、視界を奪われて散々に嬲られ、言葉で責められて。
哀れみの視線を向けられ、最後には無様な姿を見せてしまって。
そんな彼女の感覚を想像して、潜在的なマゾヒズムが湧き上がってきた。

もはや、立っている事などできない。
あと数段で上階への扉という所で、ついにはへたり込み、秘所に指先が伸びてしまった。

サキュバスA「あっ……ぅ……はぅ…」

くちゅ、くちゅと水音が響く。
吐息混じりの切なげな声が壁に反響し、螺旋階段を淫猥な空気が支配する。


気付けば、階段に腰を下ろし、壁に背を預けながら手淫に耽っていた。
脚を大きく開き、指先で慰める姿は先ほどまでの姿とはあまりにかけ離れていた。
左手の指先を口に含み、「王」に奉仕する時のようにしゃぶり上げる。
――否、指先で舌を、歯茎を弄ぶ姿は、彼の「キス」を模した動きのつもりだろうか。

口内から溢れた唾液が指を出し入れする度にあふれ出し、胸へと落ちた。
蒼い肌の上に垂れ落ちた滴が蝋燭の光に照らされ、艶めかしく光る。

サキュバスA「くっ……はあ、ぁ……………む、ぷちゅ……れろ……」

下から響く、内部をめちゃくちゃに掻き回す水音。
上から響く、口内を指先で蹂躙する水音。
そして、吐息に漏れ出す、切なげな望み。




60: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:49:11.82 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「あっ……は、……へ、陛……下……ぁ…!」

絶頂に達する直前、言葉を発してしまう。
何を望んで耽っていたのかが暴かれる、一言。

耽るあまり、彼女は気付いていなかった。
その「当人」が、近くにいた事に。

勇者「…俺が、どうかしたのか?」

サキュバスA「えっ!?」

驚きのあまり、指を止めて声のする方を見る。
扉の前、彼女の数段上から、「当人」が見下ろしていた。
見られてしまった恥ずかしさから、彼女は平素の余裕の片鱗も出せない。

サキュバスA「へ、陛下……!違います、違いますわ……これ、は……」

勇者「……俺を想像していたんじゃないって事?」

サキュバスA「あ、あの……その……」

勇者「…なんて、な。……こんなこったろうと思ってたよ、実際」

サキュバスA「え?」

勇者「…………行こうか?」

サキュバスA「あっ……」

彼女の前を通り過ぎ、下の段へと降りていく。
そのまま、おもむろに左手を彼女の膝裏へ滑り込ませ、右手は背中へ。
軽々と抱き上げ、開け放したままの扉へ向かい、階段を上がる。


勇者「……心配するなよ。今夜は、二人きりだ」




61: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:50:18.55 ID:5OyPL7Mao
寝室に辿り着くまでの間、使用人とすれ違うたびに興味の視線を浴びた。
彼女を知る者なら、思わず振り返って見てしまうような、意外な光景だからだ。

珍しいものを見るかのような視線に晒され続け、寝室に着いた頃には、
肌は赤みが差して顔を俯かせていた。
あらかじめ半開きにさせておいた扉を押し開け、幾たびもの夜を過ごした寝室へ入り込む。

足で扉を閉め切った後、まっすぐに天蓋つきのベッドへと向かう。
暖炉には火が入れてあり、立場が逆とはいえ、冷え切った地下室で過ごした体を暖めようという配慮が見られた。
勇者が抱きかかえて連れてきた事、そして道中に伴う羞恥心で既に暖まってはいた。
それでも暖かい空気が肌を撫でると、ほっとするような、じんわりとした暖かみが沁みたようだ。

勇者は、ベッドに彼女の体を優しく下ろす。
ほどけるように首に回されていた腕が解かれ、ベッドの上に彼女が横たわる。

サキュバスA「……申し訳、ありません」

勇者「何が」

サキュバスA「お見苦しい所を……お見せして……」

勇者「野暮な事を言うなよ」

サキュバスA「あっ…!」

服も脱がず勇者は彼女に圧し掛かると、二人分の体重が一所に集まり、マットレスが大きく沈み込む。
彼女の両肩の辺りに手を突き、勇者が、彼女の瞳を覗き込み、しばし押し黙る。

―――ああ、この目は、見た事がある。
―――あの、「最初の夜」と同じだ。

既視感にはっきりと心当たりを見つけ、胸中を、懐かしく、苦く何かがこみ上げた。
その正体は、「勇者」だけが知っていた、「過去」でもあり、「現在」の記憶。
「勇者」だけが覚えていて、今では「勇者」以外知る者がいなくなった、七日間。
記録になど残らない、記憶にしか残らない七日間。

何かが頭の上から圧すかのように―――唇が、下りていく。




62: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:50:50.32 ID:5OyPL7Mao
近づく最中、少しずつ彼女の瞼が落ちていった。
初夜を迎えるかのような高鳴りが胸を内側から激しく叩く。
閉じ込められた子供が戸を叩き、出してくれと泣き叫ぶのにも似ている。

―――早く、解放したい。

願いながら、唇に意識を集中させて彼女はその瞬間を待つ。
唇が細かく震え続け、反比例するように心臓の鼓動は激しく律動する。
たった数秒が、ひたすらに長い。
―――あのワルキューレも、暗闇の恐怖に怯えている間はこうだったのだろうか。

そこまで考えたところで、唇に、待ちわびた感触が訪れる。

サキュバスA「んっ……うん、っ〜〜〜!」

触れたと思った瞬間に、唇が激しく吸われた。
はしたなく麺を啜りこむような音が、触れた部分を伝わって頭蓋に響き渡る。
唇の皺を伸ばされ、舌先を滑り込まされて貪られる感触。
間髪入れずに前歯の根を舌で舐られ、その遠慮の無い接吻は、
荒々しく酒を注ぎ杯を溢れさせてもなお注ぎ続けるような、心を灼く粗暴な快感を届けた。

サキュバスA「あふっ……ん、ちゅ……や……やめ……!」

背筋に電撃が流されたように仰け反り、恐怖に近い快感が、休めてくれるように勇者への懇願と化ける。
しかし、火のついた情欲はもはや止められない。
懇願も虚しく、彼女は唇を貪られ続ける。

仰け反った拍子に、彼女の乳房が勇者の着ているシャツに押し付けられ、潰れる。
シルクの生地越しに感じた体温が、乳頭を経由して、いくらか彼女の感覚神経を落ち着かせた。

サキュバスA「はぁっ……ふ、ぁ……」




63: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:51:50.17 ID:5OyPL7Mao
にわかに潤んだ紫の瞳から、涙が零れ始める。
荒々しく唇を奪われる息苦しさに加え、雰囲気と目前の男の体温に酔い、行き場を失った感情が洪水と化した。
紛れもない「魔族」が、愛を受け取った際に歓喜に流す涙。

俗的な考えをすれば、もしもこの涙を瓶詰めにして人界へ持ち帰る事ができたら、
あるいはいかなる難病をも治す神薬として名が轟くのかもしれない。
あるいは比類の無い強力な魔術武器の、触媒になるのかもしれない。

だがここは魔界、「彼」の治める城。
この涙を拭い、舐め取る事が許されているのは、「彼」のみだ。
しかし、彼は目の前のそれがどんなに貴重な物質なのかにも興味を示さず、ただただ、彼女と唇を重ねあう。
これがあるべき姿であるかのように、恋人のように。

遂に、舌先が歯の間を割り、本格的に口内へと進入する。
いつしか、二人は指を絡め合っていた。
彼の右手と彼女の左手。
彼女の右手と彼の左手。
指という糸を一本一本、織り合うかのように一つに重ねて。

涙と、指と、密着させあう身体に反して、深く求め合うキスは、「粗暴」に尽きる。
舌先を突き合わせ、彼女の歯茎をなぞり、どちらの唾液かも分からぬほどに、互いの口元をぐっしょりと濡らし合う。

比喩ではなく現実に花のように甘い吐息が彼女の口から吐き出され、勇者の口内から鼻腔を楽しませる。
この甘い接吻に慣れてしまった今では、かつての宿敵が語ったように、人界の女では満足できないのだろう。
今となっては、淫魔達との、堕ちた女神との、煮詰めた糖蜜のように甘く、地獄のように燃え盛る夜が日常となってしまった。

ここへ来てしまった事へ想いを馳せながら、唇を貪り――いや、犯し続ける。
そして、すぐに思索を打ち切り、眼前の淫魔へと意識を向けた。




64: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:52:23.07 ID:5OyPL7Mao
ようやく口を離した時、彼女は、潤んだ眼で勇者を見つめ続けた。
大好きな玩具を取り上げられた子供のように、切なく潤んだ瞳で。

勇者「そんな目で見るなよ」

サキュバスA「……だっ…て……」

勇者「……これから、だろ?」

言って、勇者がシャツを脱ぎ捨てる。
次いでわざと背を向け、焦らすようにゆっくり、下半身を包む物を脱ぐ。
よく鍛えられ、細く締まった無駄のない身体が彼女の視界へ現れる。
思わず、心臓がどきりと跳ね上がってしまいそうになる。
鋭く尖った身体は、見ているだけで情欲が灯りそうだ。

―――これでは、立場が逆だ。
―――まるで、彼が「淫魔」で、私が「人間の女」ではないか。

彼女の心は、もはや、自分でもどこに行こうとしているのか分からない。
ただ、彼が再び向き直るまで、心臓を高鳴らせて見つめ続けるしかできない。

勇者「さて。どうする?」

サキュバスA「あ……」

彼女の視線は、勇者の下半身へと注がれている。
麗しい淫魔との濃厚な口付けを交わしたにも関わらず、それは逸り切っていない。
交わるには、未だ足りないのだ。

勇者「……舐めたい、か?」

サキュバスA「…………」

こくり、と彼女が頷く。
その顔色は限りなく赤く、目の前にいるのは、もう一人のサキュバスなのではないかとすら疑えもする。

勇者がベッドの上に、投げ出すように腰を下ろすと。
彼女は、まるで熱に浮かされたように、もぞもぞと起き上がり、股間へと這い寄ってきた。




65: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:53:43.37 ID:5OyPL7Mao
眼前に勇者のモノを迎えた時、心拍は最高潮に達した。
どきどきと跳ね上がる鼓動が、発作を起こしそうなまでに身体を熱く締め付ける。
―――これを、しゃぶりたい。
―――道具のように、扱って欲しい。

蕩けたような視線で見つめる彼女の心境を見透かすように、勇者の手が、彼女の後頭部へ添えられた。
その時、彼女には勇者が何を企てているのか。
いや、自分の願望を――叶えてくれようとしているのが、すぐに分かった。

勇者は、彼女が何を求めているのかが手に取るように分かった。
「七日間」で、彼女の性情は把握している。
加え、彼女が手淫に耽っていた理由も、分かっている。


半ばほど硬くなったそれを、後頭部に添えた手を引き込み、無理やり頬張らせる。
一切の躊躇なく、根元まで、喉下まで咥えさせた。

サキュバスA「おっ……ぐぅ……ぇ……!」

半勃起とはいえ、既に成人男性の勃起時とそう変わらないサイズ。
それを喉まで押し込められ、苦しげに呻いてしまう。
嘔吐感が押し寄せ、涙が零れ落ちる。
呼吸する隙間さえほとんど無くなく、喉を勇者のモノが塞ぐ。
ぼろぼろと零れた涙がベッドを濡らし、それでも呼吸を確保しようと細い息が漏れる。

―――苦しい。
―――吐きそう。
―――陛下、どうかお止しになって。

望んだ事であるのに、そんな言葉が出かかる。
だが、しかし……その屈辱感も、今の彼女には、快楽の潤滑油でしかない。
これこそが、あの螺旋階段で望んだ事だったのだから。

勇者「……動かす、ぞ」

そのまま、淫具を扱うかのように、彼女の頭を前後に揺さぶる。
後ろ髪を引っつかみ、亀頭まで唇を後退させ、すぐに、根元まで一気に頬張らせ。
唇が勇者の腰とぴったり張り付き、小さく慎ましい口内にモノを一杯に含んで、その度に涙の筋が増える。




66: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:54:42.98 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「う…ぉ……えぇ……ごほっ……!」

先端から迸り始めたカウパーが、喉奥に引っかかって幾度も咳き込ませる。
咳き込むたびにモノにべったりと張り付いた唾液が飛沫になり、跳ねる。
暗い寝室に、彼女の口から淫靡な旋律が奏でられる。

サキュバスA「っ……う……ごぶっ……」

勇者「……苦しいのか?」

サキュバスA「んっ…んー!……ぐ……」

問いかけながら、喉奥の垂体を目掛け、突き込む。
陰茎のように垂れ下がった部分をぬめりをまとうモノで突かれ、たまらずにもがき、「苦しむ」。

勇者「苦しいなら、やめよう」

サキュバスA「っ!……ん、おぅ……」

優しく言って、ぱっと手を離す。
偽りは無く、彼女が望むのなら、止めても構わない。
既に勃起状態にはなっているのだから、役割は果たしていた。
彼女が口を離すというのなら、この暴君のような口淫は中断するつもりだった。

ところが、自由を得ても――彼女は、口からモノを抜こうとはしない。
それどころか、扇情的な上目遣いで見てくる始末。

信じがたい事に、彼女は……これを、望んでいるのだ。

勇者「……そう、か……よ!」

再び彼女の頭を掴み、荒々しい口内への陵辱を再開する。
今度は両手でしっかりと押さえ込み、更に喉奥まで突き込んだ。




67: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:55:32.05 ID:5OyPL7Mao
がぽ、がぽと音を立てて咥えこむ彼女にもはや淫魔の面影はない。
瞳を彩るのは紛れもない悦楽であり、殺されかねないような口淫でさえも、快楽として得ていた。
膨れ上がったモノは、酸素の補給をほぼ完全に阻害させていた。
自発呼吸はもはや能わず、突き込まれるたびにピストンの原理で押し込まれる空気が、そのまま「呼吸」になる。

彼女は、全ての自由を奪われていた。
やめる事ができないのは、無論の事。
生命維持のための呼吸でさえ、彼の陵辱の副産物にまで堕ちてしまった。

発情した猫のように高く持ち上げられた臀部から、とろとろと蜜がこぼれ落ちる。
喉を犯されながら尿道が断続的に緩み、一定のペースで潮を吹き下ろした。
括約筋が弛緩するたび、最上部に位置する尻の窄まりも、ヒクヒクと蠢く。

悦びが満ち溢れ、愛液へと化けてマットレスを濡らしていく。
このような扱いを受けてなお、彼女は歓喜を覚えていた。
被虐を好む性情が発散されていく、得難い充足感。

重ねて言う。
彼女は、悦んでいる。

勇者「……そろそろ……だ……っ!」

サキュバスA「もごっ……っ…ぶぇ……」

勇者「っ!!」

サキュバスA「んぶっ……っ…!」

彼女の頭を深く引き込み、喉の奥へと亀頭を押し付ける。
白く濁った液が喉を叩き、直接、食道へと吐き出していく。

脈動し、続けて白濁液を吐き出すたびに、彼女の喉が鳴り、それを飲み下していく。
こくこくと飲まれていくが、勢いに追いつかない。
一度飲み込む間に、二回、三回と吐き出されるのだ。
追いつかず、喉から口内へと白濁が逆流を始め、口内を満たす。




68: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:55:54.88 ID:5OyPL7Mao
脈動が一頻り収まったのを見計らい、口中からモノを抜く。
ずるりと抜け落ちたそれは白い糸を引き、自体にもねばねばとした白濁をふんだんにまとっていた。

サキュバスA「…ぐ、ぇ……けほっ……けほっ……!」

抜かれた直後に、彼女が口内の液を吐き出し、激しく咳き込んだ。
どろりと垂れた白い粘性の液体が唇から存在を主張し、ベッドの上に吐き出されていく。
どこに収まっていたのかが不思議な量のそれは、とうてい片手には収まりそうにないだろう。

荒く息をつく彼女が落ち着いたのを見計らって、再び、勇者が口を開く。
気遣いの言葉ではない。
それよりも根深い、彼女の昂ぶりを、晴らすための言葉を。

勇者「尻をこちらへ向けるんだ」

サキュバスA「…は、はい……」

命令すると、そのままの姿勢で方向を変え、女豹のような姿勢で勇者に臀部を突き上げて見せる。
ドロドロに溢れた愛液は、幾筋もの糸を引いて垂れ、内腿は、まるで失禁したかのように濡れていた。

勇者「挿れてほしい?」

再び硬度を取り戻したそれに手を添え、白々しく問いかける。
返ってくる答えなど一つしかないと、分かりきっているのに。

サキュバスA「はい……。犯して、ください……ませ……めちゃくちゃにして、ください……」

亀頭の先を、彼女の秘裂にあてがう。
吐き出したばかりの勇者にも、散々に焦らされた彼女にも、等しく、小さな快感が届けられる。
彼を求めて幾度も跳ね上がる秘所は完全に出来上がり、来訪を待つのみ。


勇者「……いくぞ」




69: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:56:22.54 ID:5OyPL7Mao
柔らかく湿った肉を掻き分け、遂に、彼女が貫かれる。
内側で幾度も収縮を繰り返す肉襞が、意思を持つかのように飲み込んでいく。
腰を突き入れるまでもなく、底なし沼に沈むかのようにずぶずぶと。

サキュバスA「あ……入って……入って…きま、す……」

勇者「いやらしいな、お前は。……大方、ワルキューレを責めていた時もそうだったんだろう?」

サキュバスA「い、え……違います……そんな……!」

勇者「あいつも、思いもよらないだろうな。まさか、今はお前が虐められる側に回って喘いでるなんてな」

サキュバスA「………仰らないで……」

勇者「口をまるでオモチャのように扱われて、よがって。……しかも今は、犬みたいに犯されてるんだぞ?」

サキュバスA「…嫌……恥ずかしい……ですわ…」

言葉とは裏腹に、規則的に締め付けが増す。
丸見えになった尻穴も収縮を繰り返し、誘うようにヒクつく。
枕へ埋めた顔は真っ赤に染まり、自分の置かれた状況の、そして自分の肉体のはしたなさに涙さえ滲ませて。

勇者が、何かを思いついたような顔で、モノを根元まで沈ませたところで動きを止める。
そのまま身体を前に倒し、右手を伸ばして、重力に従って弛む乳房を乱暴に鷲掴みにした。

サキュバスA「くぅっ……!」

ぎりぎりと右の乳房を握り潰され、鈍い痛みが走った。
指が沈むような柔らかさゆえに、乳腺に直接力が加えられてしまうのだ。
さしもの彼女もこれにはたまらず、小さく悲鳴を上げる。




70: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:56:59.58 ID:5OyPL7Mao
勇者「……さて、このまま続けるのもいいが……今夜は、それじゃ面白くないだろ?」

サキュバスA「えっ……?」

勇者「趣向を変えようと思ってね。……いいものを、やるよ。欲しいか?」

サキュバスA「……はい……下さい、ませ……」

勇者「よし。……それじゃ、力を抜くんだ。こっちを見るなよ」

言って、握り締めていた乳房を離し、根元まで入っていたモノを引き抜き、身体を起こす。
左手で彼女の腰を捕まえながら、何かを準備する。
前を向かされたままの彼女は、期待に打ち震え、その時を待つ。
―――いったい、自分は何をされてしまうのか。

ばしぃん、と室内に快音が響く。
遅れて、彼女の尻肉から鋭い痛みが背筋を通って脳へと届けられた。

サキュバスA「いっ……痛……!」

勇者「……力を抜いてたからな。そりゃ、痛いだろうさ」

サキュバスA「痛い……痛い、ですわ……」

勇者「その割には…ずいぶん、嬉しそうな声じゃないか?」

間髪入れず、二発目の打擲。
左手で捕まえながら、右手で下から振りかぶっての、尻への鞭打。

サキュバスA「痛い……お尻……お尻……がぁ…」

三発、四発目。
手加減しているとはいえ、鍛えられた男に尻を張られて、少しずつ赤く腫らせていく。
右の尻肉がアンバランスに赤く膨れ、見た目にも痛々しい。

勇者「……さて、次は…反対だな」

言って、手の位置を切り替え、今度は右手で彼女の腰を固定させ、左手を振りかぶる。

――そして、手付かずだった左の尻への最初の一発。




71: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:57:32.86 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「ひいぃぃぃんっ!!」

まっさらな側の尻を張られ、背筋が跳ね上がり、上半身が起き上がる。
漏れたのは悲痛な叫びではなく、どこか甘やかな嬌声。
飲みきれなかった精液と唾液が混じった液体が口の端からとめどなく漏れ、
緩み通しの涙腺から涙が溢れている。

勇者「……何故だ?」

サキュバスA「ぎっ…ぃ…………痛……痛いぃ……」

勇者「止めろと言わないな、お前は」

サキュバスA「お尻……熱い……です…」

勇者「…喜んでるんじゃないか、お前」

サキュバスA「……ちが……ちがい……ます…」

勇者「違わないだろ?……お前は喜んでるんだよ。ケツを引っ叩かれて、よがってるんだ」

六度、彼女の尻を打つ。
思い切り力を入れて、丸みを残したままの左側のヒップへ平手が向かう。

サキュバスA「あっ……ああああ!あーーーーっ!」


ぷしゃあぁぁぁぁ。

尿道が決壊し、行き場を失った尿がほとばしる。
マットレスが湿り、べっちょりと濡れていった。

サキュバスA「やっ…見…見ないで、見ないでぇ……!」

尻を真っ赤に腫らし、がくがくと足を震わせて失禁しながら懇願する。
勢いづいた尿は止められず、恥そのものとなって吐き出されていく。

醜態を晒しながらも、彼女の心を塗り潰す、被虐の快感。
敬愛する「王」に見られている事も、もはや彼女に取っては快楽の要素でしかない。
暴走しきった性癖が、身の回りにある全ての要素を快楽として取り込む。
尻を張られ感じてしまった事、痛みとともに甘い声を上げてしまった事、
失禁する姿を間近で見られている事、遡れば、「姫」を抱くような無防備な姿で抱かれ、その姿を使用人達に見られた事。

もはや、暴走した快楽は止められない。
火のついた馬車馬のように、谷底へ向かっているのだ。




72: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:57:58.79 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「もう……嫌ぁ……」

勇者「嫌?……おかしな事を言うな。…………一度、言ってみたかった言葉だが」

指先が、治まった尿と愛液の滴をつぅっと掬い、しげしげと眺める。
尿以上に愛液の量が多く、指先に粘りつく。

勇者「……『体は、嫌とは言っていないぞ』」

赤く腫れた尻を優しく撫で回しながら、あえて古典的な科白を吐く。
痛覚を極限まで刺激された尻は、柔らかく撫でられる感覚に弱い。
熱く高まった部分から届けられるくすぐったさは、通常のそれとは桁違いだ。

サキュバスA「ひゃぁっ!?」

勇者「……あぁ、こんなに赤くなって。……可哀想に」

サキュバスA「なっ……あ、あうぅん!!」

両手で腰を引き寄せ、痛々しく腫れた尻へ舌を這わす。
わざとらしくべちょべちょと音を立て、唾液を塗りつけるかのように、尻たぶを嘗め回している。
撫でられるだけでも心地よさが背筋を持ち上げるというのに、今度は舌だ。
くすぐったさとも快感とも違い、もはや、恐怖ですらある。

サキュバスA「やぁ……ん。……やめ……お止めに……なって……!」

勇者「……こっちが、いいのか?」

求められ、舌での愛撫を止める。
代わりに先ほどまで用いていたペニスに手を添え、先端で彼女の秘裂をなぞった。
ガチガチに硬くなったそれは圧倒的な威容を放ち、屹立している。
人間の女に、それを受け入れられるのかどうかも不思議なほどだ。

サキュバスA「…………」

勇者「まぁ、ここまでくると治まらないな。……抉らせてもらうぞ」

サキュバスA「……はい…」

その膨れ上がったモノを、彼女の奥まで突き刺す。
数種の液体で濡れそぼった秘所は、その規格外の逸物ですら、容易く飲み込んだ。




73: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:58:25.69 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「っ……!大き………!」

子宮の手前まで突き込まれ、たまらず喘ぐ。
背筋を上ってくる熱い感覚に打ち震え、身体が揺れた。

勇者「……っ…相変わらず……すごいな、お前の中……」

サキュバスA「……あぁ……いっぱい……です…!」

肉厚の秘所が紙のように薄くなり、勇者のモノを愛しく迎え入れている。
内部では無数の柔い粒が蠕動し、くまなく進入してきたモノを刺激して、射精を促し続ける。
人間では十秒ともたない妖器であろうに、彼は、慣れたように幾度もピストンを繰り返す。
その度に無数の粒がモノを舐め、心地よい振動とともに刺激を与えた。

勇者「くっ……!」

サキュバスA「陛…下ぁ……もっと……もっと、激しく……なさって……」

勇者「……壊れてしまうぞ?」

サキュバスA「いい、ですぅ……壊して……私を、壊して……ください」

勇者「…………なら、いいだろう」

言って、入り口近くまでモノを後退させる。
そして―――勢いをつけ、一気に、子宮口まで突いた。

サキュバスA「いひぃぃぃっ!!」

尻を張った時、いやそれ以上の音が鳴り響く。
内臓が持ち上がり、高所から飛び降りた時に似た、昂揚するような快楽が彼女の神経を焼いた。
同時に一気に内部を擦られ、瞬間的な摩擦係数が、最大瞬間風速として脳髄を焦がす。

サキュバスA「ひんっ!…あぁん!……ひゃっ……ぁ……!」

暴力的なピストンが続けられる度、鼻にかかった甘い声が響き渡る。
尻を持ち上げた状態で突かれ続けて、既に彼女は言葉さえ失った。

淫魔でさえない、一人の「メス」へと変わってしまった。




74: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:59:06.86 ID:5OyPL7Mao
幾たびも、幾たびも、彼女は内側を抉られ続ける。
突かれるごとに、内壁をゴリゴリと削り取られるような、痛みに限りなく近い快感。
思い切り引き抜かれるごとに、膣道にあるものがすべてめくれ上がり、外側に抉り出されるような快感。

内臓が持ち上がる高揚感、内側を力任せに擦り上げ、霊体を道連れに引き抜く快感。
彼女を責め苛む要素に、更にもう一つが加わった。

サキュバスA「ひゃぁぁっ!?」

両腕を突っ張りながら耐えていた彼女の、胸に勇者の手が伸びる。
下半身への荒々しい陵辱に似つかわしく、好き勝手に捏ね回された。

サキュバスA「だ…めぇ……!駄目……ですわ……!」

手の中で形を変える乳房は、吸い付くように柔らかい。
天辺にある乳首はぷりぷりと硬く、敏感に尖っていた。

見逃されるはずもなく、乳首を指先が捉えた。
人差し指と中指で強く摘まれ、残りの指が乳肉を弄ぶ。
いつもであれば痛みを感じる加減だが、今の彼女には、快楽としてしか受け取れない。

サキュバスA「ッ…い、く……イク……!」

言葉を受け取った時、ピストンの勢いが更に増す。

もはや、彼女に意思はない。
肺から漏れ出す空気は、余さず色欲が支配する甘い鳴き声へ。
淫魔として生まれた体は、快楽を求めるだけの卑しい肉塊へ。
意思を離れた体は、脳へ快感を届けるだけの感覚器へと成り果てた。




75: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 02:59:41.28 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「……も……だめ……イクッ……!」

ガチガチと歯を鳴らし、瞑られた瞼の中で眼球がひっくり返る。
抑え込まれ、蓋をされた快感は体の中を跳ね回り、何もかもをこそげ落とす。
矜持などは遠くへ吹き飛び、後ろから突き上げ、乳肉を弄ぶ男が誰であるかももはや分かっていない。

不意に、乳首を摘む指先へ力が込められた。
擂り潰されそうな力が小さな乳首へかけられ、千切れそうな「快感」が伴う。
それが――とどめの一撃、となった。

サキュバスA「…っ…あ……あ、あぁぁぁぁ!イグっ……イっ……!」

チカチカと目の奥が明滅し、意識が微塵に吹き飛ぶような、病の発作にも似た衝撃が体に走る。
暴走した背筋がびくんびくんと跳ね上がり、雷に打たれたように全身の筋肉が意思を離れ、動き回る。
足の爪先がぎゅっと丸まり、手先はシーツを掴み、引き裂いてしまいそうなほどに握り締められた。

膣内を焼く、溶けた硝子のように熱くドロドロした液体が子宮に満ち溢れる。
子宮をパンパンに満たし、風船のように張り詰めさせる刺激が、更に彼女を遠くまで連れて行く。
勇者は、彼女の奥深くを穢しながら――堪え切れず、指先に力を更にこめた。

サキュバスA「あひっ……やめで……やめでぇ!…おっぱ…い……やめでぇぇ!ひっ……!死んじゃうぅ……!!」

暴走を止めない感覚が、オーガズムに打ち震える肉体に更に追撃を加える。
最中に乳首を強く抓られ、ぎこちなく体を反りかえらせながら懇願を口にする。
よだれが絡み、思うように言葉を発せられない。
もはやそれは、吼え狂う野獣の、本能の叫びだ。


そして、しばし身を震わせて―――ぷつりと、静かに脱力し、ベッドへと倒れ込んだ。
意識が真っ白に吹き飛び、もはや、保っていられなくなったのだ。




76: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:00:33.52 ID:5OyPL7Mao
勇者「……何て声、出すんだよ」

静かに息を立てながら、時々身を震わせる彼女の顔を眺めて呟く。
乱れて顔にふりかかった髪をどけてやる。
泣き疲れて眠った少女のように、触れがたい美しさを湛えていた。
身を焼き尽くすような情事の後だというのに、だ。

勇者「…………そう、だな」

涙と唾液で濡れた顔を、優しく撫でる。
こそばゆさを感じたのか、彼女の喉奥から息が漏れる。

勇者「…叶えてやれるのは、俺しかいないんだな」

沁み込ませるように、呟いた。
その顔はほんの数分前までとは違い、優しく、それでいて寂しさもはらんでいた。

彼女は、自らでも抑えきれない、被虐の性癖を持っていた。
それ故に――加虐にも、長けていた。
正反対であり、鏡のような性質は、彼女の中に同居している。
過剰なまでの性癖が暴走して、今夜の情事、ひいては自重もできない、あの階段での自慰にまで繋がってしまった。

生来の彼女の態度は、もしかすると演技なのかもしれない。
自らの、業の深すぎる性癖を一歩引いて見ている為に、どこか飄々とした態度を取らざるを得ないのかもしれない。

淫魔として生まれた事は、彼女にとっては不幸だったのかもしれない。
人間の精を絞り取り、魔力として王へと献上する「働きバチ」の役目を果たさなくてはならないから。
もし一人の人間の女であったのなら、その性癖を満たす術がいくらでもあった。
街頭に立ち、夜をひさぐ事もできたかもしれない。
割れた欠片へと合致する、もう一つの「欠片」を見つけ、主と奴隷として添い遂げる事もできたかもしれない。

でも、それは―――望めない。
なぜならば、「淫魔」として生まれてしまったから。




77: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:01:15.11 ID:5OyPL7Mao
勇者「ほっとけない奴だな、お前も」

ふ、と笑って言う。
彼女の体の震えは落ち着き、整った息は紛れもない「寝息」へと調子を変えた。

勇者「…寝るか」

床に落ちていた毛布を拾い、彼女と共に潜り込む。
丁寧に織られたそれは、滲むように暖かく、そして軽い。
最初こそ冷え切ってはいたが、二人分の体温ですぐに暖かくなった。

勇者「……もう一人のサキュバスより手がかかりそうだ、こいつは」

室内で飼われた猫を連想させる、安心しきった寝顔。
魔族とは思えない、隙だらけの状態。
勇者はそれに対し、呆れるでもなく、ただ、微笑ましく見ていた。

―――あぁ、彼女は、彼女らは。
―――俺になら、こんな顔を見せてくれるんだな。
―――こんな、俺にも。

心の中でさえ、言葉として固まってはいない。
そんな想いがもやもやと雲のように漂っていた。


しばし寝顔を見つめた後、勇者も眠りへ落ちていった。




78: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:02:29.56 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「陛下、もう朝ですわよ」

勇者「……ン…」

サキュバスA「……もう、どうしましたの?」

勇者「…体が重いんだ。……お前、まさか俺の精気を吸ったのか?」

サキュバスA「とんでもない。吸われたのは、むしろ私の方ですわ」

勇者「はぁ……。ん?」

サキュバスA「……?何か?」

体を起こした勇者が、ベッドサイドに腰掛ける彼女の姿を認める。
昨夜の痴態が嘘のように、いつも通りの彼女だ。
ただ――ひとつを除いて。

勇者「……お前……何で、服……」

サキュバスA「…はい?」

全く違和感というには不足の感があるが……彼女は、「服を着ていた」。
驚きに値する事ではないが、彼には、違和感でしかない。

勇者「……何で、服を着てる?」

サキュバスA「ふふ……陛下がお尻を虐めるので、赤く手の痕が残ってしまいましたの。それで」

勇者「あくまで俺のせいにするのかよ」




79: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:03:03.96 ID:5OyPL7Mao
蒼白の肌に柔らかめの紫色のドレスが、よく映えていた。
袖は長く、袖口と首下には黒いレースの装飾が施され、品のあるシルエットにまとまっている。
長いスカート部分は、足首近くにスリットが入り、踵が少し浮いた靴を履いているようだ。
淫靡な空気が薄れ、代わりに、不思議な優雅さを醸し出す。
それは旅の途中で訪れた、ある国の妃に似ていた。

勇者「……似合うぞ。綺麗だ」

サキュバスA「うふふ、お上手ですわね。堕女神さんにもそうなのかしら?」

勇者「そんな事はない……と思う。しかし、何故お前達は普段服を着ないんだ」

サキュバスA「……そうですわねぇ。私達にとって、衣服は装飾品と同じ感覚ですから」

勇者「そうなのか?」

サキュバスA「ええ。裸が恥ずかしい、という感覚もあまり無いので。個人差はありますけれど」

勇者「うーむ……」

サキュバスA「それに、陛下以外はこの国には女性しかいませんもの。気になんてされませんわ」

勇者「…………女子校かよ。っていうか寒くないのか?」

サキュバスA「魔力で体温を調節していますので。隣国の淫魔は、割ける魔力が少ないので普通に服を着ていますわね」

勇者「言われてみると確かに……」

七日間の中、訪れた隣国の様子を思い出していた。
女王から、穢されていた淫魔に至るまで、皆、きちんと服を着ていた。
もっとも……「きちんとした服」ではなかったが。




80: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:03:44.60 ID:5OyPL7Mao
勇者「堕女神はいつも服着てるよな?……あと、兵士とか使用人も」

サキュバスA「兵士や使用人は、ユニフォームとしての側面が強いですわね。下着の色さえ統一されてますわ」

勇者「それはそれでつまらんな」

サキュバスA「よろしければ、ご覧になります?……私の、下着」

勇者「どうせ穿いてねぇんだろ」

サキュバスA「さぁ、どうでしょうね?」

勇者「想像して愉しむ事にする。……で、聞きそびれていたんだが」

サキュバスA「はい、何でしょうか」

勇者「ワルキューレの方は、どんな調子だ」

サキュバスA「昨日は、イジメすぎてしまいましたわね。泣かせてしまいました」

勇者「ヒデーな、おい」

サキュバスA「私をイジメて泣かせたのは陛下でしょうに」

勇者「お前が欲しがるからだろ!……で、予定は?」

サキュバスA「どうしましょうか。ネタなら幾らでもありますわ」




81: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:04:32.06 ID:5OyPL7Mao
勇者「……そうだな。今夜は、俺が直々に訊くとするかな」

サキュバスA「……陛下もお好きですわね」

勇者「ポチを使おうかとも思ったけど」

サキュバスA「あの秘蔵のローパーを?……心が壊れてしまいますわよ」

勇者「だよなぁ。まぁ、とにかく今夜は俺がやるよ」

サキュバスA「了解いたしましたわ。着替えのお手伝いをいたしましょうか?」

勇者「いや、いい。……しかし、服着ると印象変わるな」

サキュバスA「馬子にも……ですか?」

勇者「ヒネてんなよ」

サキュバスA「服を着たのなんて、4年ぶりですわ」

勇者「いきなり身近だな!?っていうかそれでも久しぶりすぎる!」

サキュバスA「そうそう、『あの子』は可愛い服を買うのが好きなのですけれど」

勇者「Bの事か?」

サキュバスA「ええ。リボンやフリルのたくさんついた服を買ったのですが、結局『恥ずかしい』と言って。
      それを着ないで、いつも裸ですわ。勿体無い」

勇者「何でそうなるんだよ!?」

サキュバスA「ちなみに、私達は裸より下着姿を見られるのが一番恥ずかしいのです」

勇者「それは、まぁ。ちょっと分かる気がする」




82: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:05:10.28 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「ともかく、私達は裸にあまり抵抗が無くて。陛下もいかがです?楽ですわよ?」

勇者「遠慮しとく。……しかし、今のBの話で思ったんだが」

サキュバスA「はい」

勇者「……堕女神がそういう格好したら、ちょっといいと思わないか?」

サキュバスA「…………お言葉ですが、Bちゃんや、隣女王の方が似合うのでは……」

勇者「わかってねぇな!!」ドンッ!

サキュバスA「はいっ!?」ビクッ

勇者「Bや隣女王に似合うのは当たり前なんだよ!敢えてミスマッチを狙うのがいいんだろ!?」

サキュバスA「陛下、どうなさいましたの?一体……」

勇者「いいか、想像してみろ。堕女神がピンク色のリボンだらけの服を着て」

サキュバスA「はい……」

勇者「まんざらでもなさそうに鏡の前でポーズ取ってぎこちなく笑顔を浮かべて、いきなり恥ずかしくなって我に返って」

サキュバスA「…………なるほど、確かに悪くないですわね」

勇者「だろ?」




83: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:06:04.49 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「可愛らしさではなく、振り切ったミスマッチからくる不健康ないやらしさの方が殿方の心をくすぐると?」

勇者「そうだ。安易な記号化では得られないものもある」

サキュバスA「意外性、いや、はっきりと『似合わない』からこその到達点ですわね」

勇者「そう。堕女神に可愛い服は似合わない。絶望的に似合わない。だからこそ、惹かれるんだ」

サキュバスA「しかしそれなら、私でも良いのでは?」

勇者「いや、お前は奔放すぎる。失礼な言い方だが……その、萎える」

サキュバスA「あぁ……。つまり、普段の態度も重要なのですか?」

勇者「そう。あの硬くて真面目で知的な堕女神だからこそ、だ」

サキュバスA「ふむ。二万余年を生きても尚、殿方というのは奥が深いですわ」

勇者「そうだろう。こればかりは、どれだけ生きていても掴み切れないぞ」

サキュバスA「私も、まだまだ未熟。……いや、勉強になりましたわ。ところで」

勇者「何か」

サキュバスA「先ほどから、戸口に堕女神さんが立っていらっしゃいます」

勇者「えっ」




84: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:07:04.23 ID:5OyPL7Mao
堕女神「…………」

勇者「……何か言ってくれないか」

堕女神「…………朝食の準備が整っております」

勇者「ああ、すぐ行く」

堕女神「お待ちしております。それでは」バタン


勇者「怒ってるのかな?」

サキュバスA「さぁ?」

勇者「楽しんでるだろ?」

サキュバスA「ええ、わりと」

勇者「……とりあえず、着替えるか。引き止めてすまなかった」

サキュバスA「私で良ければ、いつでも話し相手を務めさせていただきますわ」

勇者「…………しかし、本当に夜とは別人すぎるな」ゴソゴソ

サキュバスA「スッキリさせていただきましたもの。陛下もでしょう?」

勇者「……ああ、成る程。さて……。それじゃ、行くかな」




85: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:07:35.93 ID:5OyPL7Mao
朝食を終えると、彼は、真っ直ぐに地下牢へと向かった。
腹ごなしの運動というには不足だが、好奇心は抑えきれない。
長い石の階段を下っていくと、反響した足音が遠く響き渡り、
それでいて、後ろから誰かがついてくるような音にも変わった。
陰鬱で恐ろしい空間へ続いている、という事からも鑑みて、ゾッとしないものがある。
単なる反響と分かっていても、そう処理するには難しい。
大袈裟な恐怖でこそないが、心から落ち着きを奪う程度には恐ろしい。
それは、世界を救った「勇者」であっても、例外ではなかった。


階段が終わりに近づくと、気配がした。
淫魔のものとも違う、ローパーとも違う、張り詰めた空気感。
懐かしい空気を肌に馴染ませながら、拷問部屋の、「彼女」を幽閉した一角に近づく。

勇者「何だ、起きてたのか?」

ワルキューレ「貴様…………。ここから、出せ」

勇者「飽きもしないヤツだな」

ワルキューレ「うるさい!……頼む……お願いだから……」

勇者「んん?」

ワルキューレ「お願いだ……ここから……出して………。出してくれ……」

鉄格子越しに、弱々しい懇願が聞こえた。
既に捕縛時の威勢などなく、折られかけた心は、体に力を注いではくれない。
立つことすらできず、ぺたんと座り込み、鉄格子に手をかけ、俯きながら声を漏らすだけ。

勇者「…………何をしに来たんだ?」

ワルキューレ「……」

勇者「……俺を、殺しにか?」

ワルキューレ「…………」




86: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:08:08.12 ID:5OyPL7Mao
勇者「…………お前に、チャンスをやるよ」

ワルキューレ「何だと?」

勇者「…俺と、戦おう。一対一でな。……勝てば、自由にしてやる。俺を殺してもいい」

ワルキューレ「裏があるのか?」

勇者「ああ、あるとも。……俺が勝てば、お前の体を自由にさせてもらう。『淫魔の王』の自由にな」

ワルキューレ「……それが目的なら、今この場で処せばいいだろう。何故、そんな事を!」

勇者「……さぁな。終わったら教えてやる。……あとで、武具とお前の『力』を返させるよ」

ワルキューレ「何を企んでいる?……私を辱めるためか?」

勇者「強いて言えば、しのびなくてね」

ワルキューレ「何がだ!」

勇者「『ワルキューレ』の強さを確かめたい。……それだけだ」

ワルキューレ「……なめるなよ」

勇者「なめてなどいないさ。……それでは、後で会おうか」




87: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:09:31.37 ID:5OyPL7Mao
勇者「……という訳で、彼女に力を返してやってくれ」

堕女神「は?」

勇者「武具も返して、中庭へ連れて来てくれ。……これは、『決闘』なんだ」

堕女神「…ご命令とあらば。しかし、何故です?そんな事をする理由が?」

勇者「聞かなきゃ気が済まないのか」

堕女神「……お許しください。口が過ぎました」

勇者「いや、いい。ちゃんと説明するさ」

堕女神「……陛下の武具は?」

勇者「剣だけでいい。……適当に持ってきてくれ」

堕女神「お言葉ですが、『ワルキューレ』を相手にそれは不用心かと」

勇者「一番いいのを頼む」

堕女神「はい、分かりました」

勇者「頼む。……なぁ、堕女神」

堕女神「はい、何でしょう」




88: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:10:11.65 ID:5OyPL7Mao
勇者「怒っているのか?朝の事」

堕女神「…………いえ」

勇者「悪く言っていた訳じゃないんだ」

堕女神「それは、分かっております」

勇者「『どうして戦うのか』って訊いたな」

堕女神「はい」

勇者「……俺も、何度もそう思った。ほかにも道があるはずなのに、何で戦うんだろう、ってね」

堕女神「?」

勇者「…ああ、いや。人間界の話だ」

堕女神「……人間は元来『奪いたがる』ものだからでは?」

勇者「つまり俺が、あのワルキューレから何かを奪いたがっていると言うのか」

堕女神「いえ、そのような……」

勇者「……いや、そうかもな。奪う奴と、奪われまいとする奴がいて。それが単純な真実なのかもな」

堕女神「だとすれば、それは幾千の時を経ても変わらないのですね」

勇者「何を、かは変わるだろう。領土?鉱脈?あるいは、生活を豊かにするための新しい資源?」

堕女神「あるいは……恐ろしい武器を生み出すための、『何か』など?」




89: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:11:11.92 ID:5OyPL7Mao
勇者「それは、あるだろうな。……想像はつかないけれど」

堕女神「私が初めて見た人類からすれば、金属の剣や槍でさえ遥か未来の武器でしたものね」

勇者「……いきなりすごい話に飛んだな」

堕女神「余談ですが、その頃の人類は『石斧』が最新の武器でした」

勇者「…………脱線したが、俺が、何故あれと戦うのかって話だったな」

堕女神「はい、何故です?」

勇者「……自分でも、まだ分からないんだ」

堕女神「分からない?」

勇者「ああ。せっかく捕らえたのに、なぜ逃がそうとするのかって。……まだ、答えが出てない」

堕女神「戦う事で、答えが掴めると?」

勇者「変わらず救えぬ答えが確定してしまって、それでも呪いみたいに戦わされるよりはいい」

堕女神「……そう、なのでしょうか」

勇者「『答えを得るために戦える』事は、幸せだな」

堕女神「…………」

勇者「さてと、俺は先に中庭に行ってるよ」

堕女神「はい。すぐに装備を届けさせます。……それでは」




90: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:11:59.63 ID:5OyPL7Mao
地下牢へと続く暗い螺旋階段を下りながら、堕女神は思う。
「彼」は、どんな半生を送ったのだろう、と。

――「彼」は、優しい。
飢饉に喘ぐ隣国へ、打算の欠片もなく手を差し伸べた。
その物腰は、そうあるのが当然であるかのように自然だった。

――「彼」は、強い。
選りすぐりの淫魔の兵士を10人、同時に相手をした。
切創の一つも作らず、そして作らせず、その10人を全員沈めた。

――「彼」は、慈しみ深い。
愛の残滓を振り払えず、夜毎涙していた自分を、優しく慰めてくれた。
一介の使用人から自分に至るまで、その愛は深く、そして広い。


その一方で、彼にはどこか、厭世的な部分がときおり見受けられた。
もしも誰かが、理由を携えて彼を殺しに来たのなら。
抵抗せず、その刃を受け入れてしまいそうな危うさがある。
彼女の危惧は、そのまま、現在のそれに当てはまってしまった。

地下牢の底へとたどり着くと、どこか違った気配が感じ取れた。
ゆるんだ螺子を巻き直したかのような、良く知る「戦乙女」の気配。

堕女神「起きていますか?」

ワルキューレ「……ああ」

堕女神「早速ですが、これを」




91: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:13:34.96 ID:5OyPL7Mao
壁に身を預けて座っているワルキューレの前に、いくつもの重厚な金属音が鳴り響いた。
虚空からいきなり現れたのは、彼女を包んでいた武具。
翼のついたサークレットに鎧、脚甲、篭手、そして黄金に輝く斧槍。
どれも、正真正銘、彼女が身につけていたものに違いなかった。

牢内に突如現れたそれに、彼女は驚きを隠せていない。
魔術の類ではあろうが、劣等感よりも早く、恐怖が湧き出た。

無論、彼女とて魔力はある。
だが、目の前の相手とは比べられない。
主なる神にも連なる、圧倒的な差異があるように思えた。

次に、堕女神は左手を鉄格子の隙間から差し入れる。
掌に灯った金色の光が、地下牢を眩く照らし出す。
ワルキューレは、その光を警戒はしなかった。
もはや恐怖もなく、失われた半身を差し出されたような、有難みにも感動にも似たもので上書きされたからだ。

光が掌を離れると、まっすぐにワルキューレの胸へと向かい、溶け込んで消えた。
直後、異変が起こる。

萎えていた足腰に力が宿り、その場へ、まっすぐに立つ事ができた。
全身の血管が脈打ち、張り裂けそうな圧が、血管から内臓までを硬く漲らせる。
反面、急激な変化による悪酔いはない。
あるべき状態に戻った、懐かしさだけがある。
弱々しく、許しを請うようだった眼差しにも変化が訪れた。
碧色に輝き、一点の曇りもない、勝気な瞳が戻ったのだ。

本来、彼女が持っていた力が――すべて、元へと戻った。


堕女神「……装備を整えなさい。中庭で、我が王がお待ちです」




92: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:15:02.04 ID:5OyPL7Mao
勇者が中庭に出ると、空は曇っていた。
一片すらも青はなく、陰鬱な灰色に空が覆われていた。
濃淡はあれど、空は見渡す限り薄暗い。

中庭の、特に広い一角に武具が置かれているのを見つける。
勇者はそれに近寄り、まずは剣に手をかける。
他にも、鎧、盾、兜、およそ必要と思われるものはほとんど揃っていた。

勇者「……中々、だな」

刃に目を落とし、鋭い視線を向けて見定める。
片刃で、僅かに反りのある長剣だ。
かつて勇者が使っていた剣よりほんの少し短いが、代わりに厚みがある。
手に取った瞬間こそ重さを感じたが、柄を握ってみれば、扱う分にそう重くはない。
重心のバランスが絶妙に調整されているのだろう。

勇者「しかし、この趣味はどうにかならないのか……?」

武器としては申し分の無い出来だが、気になる事が一つ。
意匠に、魔族と人との隔たりを感じる部分があった。
鍔の部分に、山羊の骸骨を模した、おどろおどろしい細工が施されていた。
目の部分にはご丁寧に闇色の宝石が埋め込まれ、妖しく輝いている。
装備すれば呪われて、手を離す事さえできなくなりそうだ。

勇者「(旅の途中で何度も戦った黒騎士が、こんな感じの持ってたなぁ。まさか出所は……)」

そう思ってみると、他の装備もどこか異質だ。
鎧と兜は、漆黒に染め上げられ、突起がやたらに多く、不気味な威圧感が甚だしい。
円形の盾は普通だが、左手に取ると、握りの部分に妙なスイッチがある。
念のため用心して地面に向け、人差し指部分に収まるそれを押してみると、
盾の中心から小さな矢が飛び出して地に刺さった。
そして、刺さった部分の芝生がじゅぅ、と溶けて、刺激臭と妙な色の煙を発生させる。


勇者「―――悪役じゃねーかっ!!」




93: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:16:16.13 ID:5OyPL7Mao
物騒な仕掛けを内臓した盾を怒声とともに地面に叩きつけた時、テラスの方から何人かが近づいてきた。
肩で息をついてそちらを見ると、待望の「相手」がやってきた。

輝く武具をまとった、「戦乙女」そのもの。
目の前の毒々しい装備を見た後では、どこか心が洗われるような佇まいだ。
思わず、見入ってしまう。

堕女神「連れて参りました、陛下」

勇者「ああ、ご苦労。……始めようか、雨がきそうだ」

促されるまま、ワルキューレは中庭の一角に置かれた武具を一瞥しながら、距離を取って相対する。
口の端が持ち上げられ、冷笑を浮かべながら勇者を見た。

ワルキューレ「ふん、淫魔にふさわしい、下劣な趣味だな」

勇者「うるさいな、俺のせいじゃない!」

堕女神「陛下、装備は身に着けられないのですか」

勇者「……こんな禍々しいの着られるか、呪われそうだ。誰が『一番ワルいのを頼む』と言った?」

堕女神「大丈夫です、問題ありません。私が呪いを解きますから」

勇者「本当に呪われてんのかよ。分かった、腹いせだろ?腹いせなんだろ!?最近構ってないからって――」

ワルキューレ「……いつになったら始まるんだ?」

堕女神と言い合う勇者へ向け、呆れながら問いかける。
うんざりした面持ちで、気勢を削がれたように見えた。
高まっていたモチベーションが萎え始め、どこか自分が莫迦らしく思える程に。

勇者「ほらみろ、堕女神。お前のせいで変な空気になった」

堕女神「……ともかく、早く始めては?」

勇者「それもそうだ。……待たせたな」

言って、堕女神から距離を取るように、ワルキューレと対峙する。
ようやく整った空気の中、ワルキューレは片手で、ぴたりと斧槍の切っ先を勇者へ向けた。
勇者は結局鎧を着ず、剣のみで、平服のまま対峙する。
しかしその構えに一切の隙はなく、堕女神でさえ、思わず呑まれそうになった。




94: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:17:29.95 ID:5OyPL7Mao
無駄な言葉は一切無い。
互いが必殺の間合いを意識し、既に戦いは始まっていた。
2m半の斧槍と、1m強の長剣。
単純なリーチなら、比べるべくも無い。
リーチが長い、というのはそれだけで如何ともし難い差なのだ。

両者は傍目には、全く動いていないように見える。
しかし、実際には動いている。
すり足で互いの間合いを探りあい、視線の動き、刃先の揺れの一つ一つまでが計算ずく。
一瞬で勝負が決まりそうな、達人の領域。

半歩、いや十分の一歩でさえ、勝敗を決定づけかねない。
瞬きも、呼吸も、不用意には行えない。
傍らで見ている堕女神ですら、瞬きを差し挟めない。


―――ワルキューレが、動く。

右手で斧槍の半ば、左手で柄尻を握り、横薙ぎの一撃を繰り出す。
狙いは、勇者の胸元。
平服のままの勇者にとっては、一撃たりとも受ける事は許されない。

しかし、初撃は空を薙いだ。
馬鹿馬鹿しいほどに素通りし、シャツの生地にすら届かず、空振りとなった。
まるで、幻へ攻撃したのかと思えるほどだ。

ワルキューレは一瞬の動揺の後、一瞬前よりも奥へ勇者が移動しているのが見えた。
身を引いて、初撃を避けた。
だが、それならと――突きを繰り出す。
斧槍の先端にかかった慣性を殺しながら、ほぼ不意打ちの追撃。

だが、その突きも避けられてしまった。
勇者が右側へ重心をかけ、正中線を狙った突きをも空振りにさせた。
一片の不自然さすらなく、常人の眼には「一動作」としか認識できない、二つの攻撃。

それを――完全に見切り、避けた。




95: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:18:26.30 ID:5OyPL7Mao
勇者「『ミス』だな」

ワルキューレ「……貴様、いったい何者だ」

勇者「さぁな。それより、次は俺の『ターン』だぞ」

言い切る前に、地を蹴って肉薄する。
ワルキューレの正面から――堂々と。

当然の如く、迎撃は行われた。
正面から向かってくる勇者へ向けて、同じく正面からの突き。
勇者は、疾い。
言うまでも無く、ワルキューレの突きも疾い。
向かい合う速度を鑑みれば、回避はできないはずだった。
頭を狙って繰り出した斧槍は、そのまま脳幹を砕き、即死に至らしめるはずだった。


突きが最高速で直撃する寸前、刃先、そして柄の前方あたりに二つの重みを順に感じる。
刃先に感じた重みで突きの進路がブレて、緩やかに落ちて芝生へ刺さり、切れた草と土が舞い上がった。
勇者はいない。
視界を外れて、どこに消えたのか。

―――後ろから、心臓を貫かれた。

ワルキューレの身体に、文字通り血の気が失せる感覚が満ちる。
心臓付近が熱く、それでいて刃の冷たさをも感じた。
ぬるり、と抜き出される刃の感覚が、痛みより先に嘔吐感を催す。
口の中に血の匂いが充満し、鉄臭さにくすぐられて、咳き込みそうになった。
恐怖を覚え、胸へ眼を落とす。

胴甲をも貫いたように思えたが、実際は傷一つ、ついてはいない。

勇者「……死んだぞ、お前」

声は、後ろから聞こえた。




96: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:19:05.71 ID:5OyPL7Mao
凍りついたように動かない脚に気合を入れ直し、振り返る。
彼女の後方、僅か2mほどの場所に勇者が立っていた。
心臓を狙い、「届かぬ距離」から剣を突き出したままの姿勢で。

晦ましの殺気を、背中から浴びせた。
無防備な背、それも斧槍が不自然に地を突いた意識の間隙を狙って。
あまりにリアルすぎる感覚ゆえ、彼女は「殺られた」と思ってしまった。
それ故、内臓にまで錯覚が及び――実際に、口の中に少量の血がこみ上げた。
本来であれば考えられないほどの、過敏すぎる反応。
それは練り上げられた「勇者」の殺気と、戦いの中に身を置き続けた「ワルキューレ」の感性の合致による。

勇者「これも……一度言ってみたかった台詞なんだが」

口内にたまった血を吐き出すと、すぐに彼女は気を取り直す。
―――殺されては、いない。
そう認識すると、再び力が湧いてきた。
加えて、舐めた振る舞いへの怒りさえも。

勇者「……『貴様の力は、その程度か?』」


―――ぷつり、と何かが切れた音がした。
羞恥、屈辱、そして怒り。
振り切った感情の渦は、そのまま斧槍の先に込められた。

充満した殺気に気付くと、勇者は剣を両手で握り、中段に構える。
これより先は、刹那の攻防が無限近くに続くと判断した。
勝負がつくまで、恐らく瞬き一つも許されない。
彼女は自分を殺しにくるし、自分もまた、彼女を殺さずにいられるか分からない。
久しぶりの―――懐かしの、”死地”がやって来た。




97: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:19:54.24 ID:5OyPL7Mao
戦端を開いたのは、ワルキューレではなく、勇者。
向かって右側、ワルキューレの弱手側へと飛び込む。
未来位置を予測して突きが繰り出されるが、瞬時に減速、間一髪に回避する。
右脇腹をかすめた切っ先により、シャツの繊維が僅かに解れるが、皮膚にすら届いてはいない。

ワルキューレが得物を引き戻す前に、握り手へと向け、柄に沿って剣を滑らせる。
火花が散り、耳障りな高音を発して刃がワルキューレの左手へと向かう。
長柄の中ほどを握っていた左手に、逃れる術はない。

もしも、彼女が―――『両手』を使わなければ、武器を扱えないのなら。

狙われていると悟った左手は、おもむろに柄を離れた。
支点を失った斧槍は切っ先の重さに任せ、尖端を芝生に沈ませる。
行き場を失った剣は一時逡巡し、速度を低下させてしまう。

その一時を狙って、ワルキューレの右腕に力が篭もる。
沈んだはずの重い切っ先が再び起き上がり、すぐに、横方向へのベクトルを伴って動き出す。

ゼロ距離の状態から、右腕の力のみを使っての、柄による打ち込み。
にも関わらず、その打ち込みは著しく重い。
刀身でそれをガードするが、運動量に反して重すぎる。
受けきる事ができないと判断し、勇者はその勢いに身を任せ、大きく後方へ飛び退く。

ひとまずの安全圏に逃れると、勇者は深く呼吸して、脳髄に再び酸素を送り込む。
脳細胞が一気に稼動して、状況整理に努めた。

―――なぜ右腕の力だけで斧槍を持ち上げられるのか。
―――筋力だけとは思えない、打ち込みの異常な重さ。
―――何かが、ある。

瞬きほどの間に、幾つもの思考が飛び回る。
人間を基準に考えれば、あの動作など不可能だ。
ただの槍ならともかく、斧刃さえ備えた長柄であるのに。




98: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:21:24.84 ID:5OyPL7Mao
勇者はふと、空気の震えを感じる。
発生源はワルキューレ、その上方。
空中に黄金に輝く魔力の剣がいくつも生成され、勇者を指していた。
ワルキューレは脇に長柄を抱え、棍術にも似た構えを取り、相手を見据えている。

間髪を置かず、魔力の剣が一斉に放たれる。
直進してくるもの、ギザギザな軌道を描いて霍乱するもの、回り込んでくるもの、回転しながら向かうもの。
多く見て30の魔力剣が、黄金の尾を引きながら勇者へと殺到する。

放たれた直後、勇者は、マントを翻すかのように左手を大きく払う。

直後―――轟音が中庭に響き渡り、巨大な城をびりびりと震動させる。
木々が大きく揺れ、その発生源から逃れるように枝葉を仰け反らせて。
離れて見ていた堕女神も、思わず耳を塞ぎながら身を縮める。
何をしたのか、は分かっている。
それでも、「音」という本能的な脅威には抗えない。

轟音の正体は、魔力によって生み出された雷。
30弱の魔力の剣を、全く同時に打ち砕き、勇者の身を護ったのだ。

未だに、雷光の魔術に衰えはない。
「勇者」の務めを果たした今でも使えるのは、それでも彼にとっては意外だった。
この三年間、ろくに使ってもいなかったにも関わらず――「勇者」の時と同じように扱えてしまった。


白煙立ち上る視界の向こうで、鋭い気配が動き出す。
一塊の殺気が、頭上から。
その殺気の正体を予測し弾かれたように一歩踏み出し――直後、「それ」が現れた。

頭上に掲げた剣が、重量級の一撃を受け止める。
黄金の斧槍を振り下ろされ、その風圧で白煙が失せて、対手の姿が見えた。

一瞬前に勇者の頭があった場所に、斧刃が振り下ろされていた。
もしも踏み出してから受け止めなければ、剣ごと断ち割られ、柘榴へと化けていただろう。
斧刃の部分ではなく柄の部分で受けたため、剣も、頭も無事だった。
だがその重さ自体は変わらず、両足が数cm、芝生に沈まされている。




99: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:21:52.80 ID:5OyPL7Mao
刀身に左手を添えて兜割りを受け止めたものの、危険な膠着状態に陥ってしまった。
耐えている間にもワルキューレの手には力が込められ、捻じ伏せようとさらに重みを増す。
この状態で魔力の剣を繰り出されれば、剣を使っての防御も、雷による迎撃も行えない。
それが無かったとしても、真綿で首を絞めるように、じわじわと押し潰されるという末路もある。

ワルキューレ「訊かせろ…!」

勇者「……答えるかは知らないけどな」

ワルキューレ「貴様……何者なんだ!」

勇者「何者だと思った?」

ワルキューレ「……はぐらかすな!」

さらに、斧槍へ重みが乗せられる。
勇者の慇懃な微笑みが苦悶へと化け、足が更に深く沈み込む。
剣を握る右手は、張り付いたように不気味なほどに動かない。

勇者「目的はそれか?……訊きたいなら、教えてやる」

ワルキューレ「…早く言うんだ。貴様は一体……何なんだ!」

勇者「……そう、だな」


一切の動きが、止まる。
勇者も、ワルキューレも。
震えながら斧槍を受け止める剣も、それをへし折らんと押し込む斧槍も。
互いの息遣いも、時が止められたかのように静まる。
その中で勇者だけが、表情を変えてみせた。

ワルキューレだけにしか見えない、あまりにも寂しく、抜け殻のような微笑みへ。


勇者「……世界に、使い捨てられてしまった『人間』かな」




100: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:22:31.43 ID:5OyPL7Mao
雨粒が、へし合う二つの刃に落ちた。

堰を切ったように、徐々に勢いを増し――その姿勢のままの両者を、重く濡らしていく。

どちらも、微動だにしない。

勇者は、もはや踏ん張りも利かせていない。
一方ワルキューレは、ぴたりと斧槍を固定し、それ以上重みが加わらないように止めている。
決闘であったはずなのに――戦闘行動の一切を停止し、雨音の中、さらに言葉を交わす。

ワルキューレ「…………何、だと?」

勇者「……世界がさぁ。『お前は世界を救ったから、もういらないんだ』ってさ」

ワルキューレ「何だ?何の話をしているんだ」

勇者「……『それでも生きていたいなら、救った人々をその手で殺めろ』ってさ」

ワルキューレ「…………」

勇者「世界を救えば、『世界中の人々』も救えるんだって。そう思ってたのにさ」

ワルキューレ「救えなかった、とでも言うのか」

勇者「結局、何一つ変わらなかったんだ。……『世界を脅かす魔王』を倒しただけじゃ、何も変わらなかった!」

ワルキューレ「…………」

勇者「教えてくれよ、『主神の使い』。……世界は、どうすれば平和になるんだ」




101: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:23:02.54 ID:5OyPL7Mao
問いかけに、彼女は答えない。
答える事が、できない。

眼前の男の全てを把握できた訳ではない。
相手は、強い。
ワルキューレである自分と互角に渡り合い、未だ見ぬ雷光の魔術さえ自在に操る。
そんな男が―――涙雨に打たれ、枯れ木のように立ち尽くしている。
感じたのは不気味さではない。
恐怖でも、哀れみでもない。

ただ、酷い空虚感が伝播した。
どしゃ降りの雨の中、感傷が心から去らない。

勇者「続けないか?」

ワルキューレ「……望む、ところだ」

勇者が提案すると、ワルキューレはゆっくりと斧槍を持ち上げる。
雨粒が絡みついた得物を胸の前で構えながら、大きく、後ろへ下がっていく。
それに応じ、勇者も重量から逃れた剣を下段に構える。
湿った土から沈み込んだ足を引き抜き、同じく距離を取る。

ブーツには泥とともに、踏み締められて千切れた芝もへばり付く有様だ。
ドレープで装飾されたシャツは汗と雨にまみれ、絞ればどれだけの水が出るのか知れない。

ゆっくりと、左手で濡れて垂れ下がる前髪をかき上げる。
その眼には、ワルキューレが先ほど感じた「虚ろ」はない。
一日目、二日目で覗かせた、どこか不敵な眼差しだ。


勇者「―――『ガンガンいこうぜ』」




102: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:23:37.30 ID:5OyPL7Mao
ばしゃぁ、という盛大な水音を合図に、「決闘」は再開された。
降りしきる雨の中を、黄金の武具纏う「戦乙女」と、暗黒の剣を握る「勇者」が切り結ぶ。

雨粒を裂いて、ワルキューレの斧槍が左から右へ、横薙ぎに襲い来る。
首元を狙って放たれた初撃を大きく身を反らせて空振りさせると、
引き戻された斧槍がすぐさま、腹部を狙って突き出された。

恐ろしいほどの速さで繰り出された突きへ、柄尻を用いて切っ先を逸らす。
あまりの速さゆえ、逆に横から加えられる力に影響を受けやすいのだ。
腹部を狙うはずだった斧槍の突きは彼女から見て左へ逸れ、先ほど綻ばせた脇腹部分を、更に削り取る。
僅かな熱とともに勇者の脇腹に線状に血が滲む。

浮かんだのは苦痛の表情でもなく、しくじったという面持ちでもなく、昂揚を孕んだ笑顔。

―――久々に刃傷を負ったな。
―――愉しい!

心臓の鼓動は、天井知らずに跳ね上がる。
落ちる雨粒一つ一つが空中で止まったようにすら見え、
それを弾き飛ばす攻撃の応酬は、舞踏にも似て美しく感じた。


髪から、鎧から、額冠の翼飾りから雨粒を滴らせ、斧槍を自在に操る、「戦乙女」。
その表情も、勇者と同じく浮き立つ感情をありありと伝えていた。

―――この男は、全力をぶつけてもなお手に余るのか。
―――なんと、気持ち良い事か!

勇者と意識を共有するかのように、口元が歪んでいく。
どれだけ技巧を凝らし、晦ましを織り交ぜた攻撃を繰り出しても。
眼前の相手は、痛快なほどに防いでくれる。
本気を出して戦える、圧倒的な快感。
本気を出しても届くかどうか分からない、強さ。
ゾクゾクと背筋を遡るのは、性的恍惚よりもさらに強い、紛れもない「快感」。
父親にじゃれる子供のように、勝てないと分かっている相手に全力で挑む、とてつもない安堵と、解放感。




103: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:24:58.37 ID:5OyPL7Mao
呼吸さえ忘れて、切り結ぶ中で。
遂に、勇者の剣がワルキューレの防御を跳ね除けた。

大きく後方に弾かれた斧槍に引っ張られて、ワルキューレは体勢を崩し、無防備な姿をさらけ出す。
がら空きの胴へ向かい、左下段から引き起こすような軌道で切り上げる。

しかし―――刃が軌道の半分も描かぬうちに、右側から、衝撃が頭を突き抜けた。
視界がいきなり90度近く回転し、直後に勇者の眼に映る風景から、精彩が失われていく。
かすかに見えたのは、フォロースルーに入ったワルキューレの背。

猫科の獣にも酷似したしなやかさで、彼女の左脚が勇者の頭を捉えたのだ。
無駄なく鍛えられた全身のバネを使い、会心の一撃をもたらした。
脚甲の重さも加わり、脛がもろに入ったのだ。
たとえ常人だったとしたら、首が吹き飛んでしまいそうな衝撃。
それでも――ワルキューレは、勝ち誇らない。
手応えは十分だったというのに、それでも不足であるかのように。

蹴りの勢いのまま、身体を回転させて勇者へと向き直る。
やはり、勇者は立っていた。
それも、「瞳を覗き込めそうなほど、間近に」。

勢いをつけた膝が、今度はワルキューレの胴体を捉える。
腹部と胸部の中間を狙った膝は、胸甲越しに内臓へ衝撃を届けた。
跳躍の勢いのままに放たれる膝は、槌矛の一撃にも劣らぬ威力を生み出した。

苦い煙が口内を満たすような感覚に、ワルキューレの視界が揺れる。
チカチカと明滅する視界の中、熱い物が、文字通り喉まで「こみ上げた」。

勇者「……まだ、やるか?」

得物を持つ手を下げ、その場にえずく彼女へ問う。
自分の方もぐらぐらと揺れるような感覚が続き、足取りがだいぶ怪しくなっているというのに。
強がっているというよりは、心底彼女を気遣うような声色で。




104: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:25:58.78 ID:5OyPL7Mao
身を二つに折って吐き気を押さえ込んでいる彼女の眼に、「赤」が飛び込んでくる。
下を向いた視界に、濡れた芝生に落ちる赤い雫が見えた。

勇者「やる、のか?」

彼女は荒い息とともに、ゆっくりと顔を上げていく。
泥とシミにまみれたブーツ。
雨に濡れ、重くなって動きを奪うズボン。
脇腹の部分が裂け、線上の傷から血を滲ませる上半身。
そして、側頭部の裂傷から血を溢れさせ、それでも力を宿らせたままの眼。

全身を見て取った時、雨足が上がり、勇者は背中に暖かさを感じた。
ずぶ濡れの身体にじわりと感じる、押し付けがましくない温感。
眼下のワルキューレの武具が、おもむろに神々しい光を発する。
勇者には、それらの理由が分かっていた。

それでも、ゆっくりと、身体を捻って後ろを向く。

青。
雲の切れ目から青が覗かせ、ゆっくりと青の領域を広げていく。
その中に頂く光の塊が、中庭を、淫魔の国を、「勇者」を暖かく照らし始める。

勇者「……晴れたか」

誰に言うでもなく呟き、そして、再びワルキューレへ向き直る。
彼女は回復したのかすでに立ち上がり、
どこか奇異な――いや、畏怖すべきものを見るような視線を向けていた。

ワルキューレ「っ!」

自らの呆けた振る舞いを振り払うかのように、ワルキューレは、まっすぐに突いた。
表情には、すでに畏怖も歓喜も乗せられてはいない。
外敵に対する敵意でもなく、その反対の敬意でもない。
ただ、八つ当たりのような攻撃。




105: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:26:37.87 ID:5OyPL7Mao
晴れ間の下、重い残響音が広がる。
どさりと何かが落ちる音が、二人からやや離れた地点から聞こえた。

空から降り注ぐ光の中、彼女は斧槍を失い、膝を折っていた。
勇者は切り払った姿勢のまま、彼女を見下ろす。
背負った太陽が勇者を照らし出し、静謐な宗教画のような光景を作り出している。

光を背負い、儀礼を施す聖者のように剣を握る者。
その前には、黄金に鎧われた天上の女戦士が跪く。
従者達によって整えられた庭園は、まさしく楽園にも通じる美がある。
もしもこの光景を描き映す事ができたのなら、その画家は伝説ともなるだろう。
重く噛み締めた表情を湛え、顔を上げないまま、ワルキューレが言葉を絞り出す。

ワルキューレ「……悔しいな」

呟きが、雨の上がった庭園ではっきりと聞こえた。
心底悔しそうな響きに加え、歓喜の残り香を香らせ、自らの至らなさを省みるようにも。
膝をついたままで、彼女は言葉を続ける。

ワルキューレ「……勝ちたかった」

勇者「……ああ。お前に、『勝って』ほしかった」

ワルキューレ「…正直なのだな」

勇者「約束は、覚えているな?」

ワルキューレ「覚えている……さ」

勇者「お前の身体は、今夜俺のものだ。……抵抗するのもいいが、よもや『戦乙女』が約束を反故にはしないだろう?」

ワルキューレ「…無論」




106: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:28:08.96 ID:5OyPL7Mao
勇者「ならばいい。さて………とっ!?」

ワルキューレ「?」

勇者「ちょっ……剣が手から離れない!」

ワルキューレ「は?」

勇者「まさか、これって」

左手を使って指を一本一本離していこうにも、吸い付くように柄は右手から離れない。
装飾の眼の部分にあしらわれた闇色の宝石が輝きを増し、山羊の髑髏部分から不安を煽るような低音の旋律が鳴り響く。
跪いたままのワルキューレは信じ難そうに、彼を見ているだけ。
状況すら掴めず、それどころか冗談を言っているものとばかり思っている。

堕女神「呪われてますが?」

闘いが終わったのを悟り、近寄りながら堕女神が言う。
悪びれる様子などまったく無く、むしろ、「何を今更」とでも言いたげに。

勇者「……なぁ、俺さ。お前に何か悪い事したっけ」

堕女神「いえ」

勇者「……分かったよ、頼むから呪いを解いてくれ」

堕女神「………いいでしょう」

どこか不満げな表情ではあるが、彼女は頼みを聞き入れる。
指先に暖かな光が灯り、その指先で、剣を握ったままの右手をなぞる。
彼女の指の光が消えた直後、握られた手の内部から何かが割れる高らかな音が聞こえた。




107: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:28:59.71 ID:5OyPL7Mao
勇者「おお……」

堕女神「終わりです。もう、それは普通に扱えるかと」

勇者「何で最初っから解いて持ってこない?」

堕女神「さぁ?」

勇者は手から離れるようになった剣を鞘に納め、何度も右手を閉じて開いてを繰り返す。
剣からは妙にざわめくような殺気は消え、普通の剣へと戻ったようだ。

勇者「……やっぱりお前、機嫌悪いだろ」

堕女神「いえ、滅相もない」

勇者「はぁ。……まぁ、いい。彼女に部屋を……いや、その前に風呂に入れてやれ」

堕女神「沐浴を?」

勇者「二日間も仄暗く寒い地下に閉じ込めて、オマケに雨の中戦って汗もかいた。辛いだろうさ」

堕女神「……お言葉ですが」

勇者「ああ、分かってる。捕虜に対して何とかかんとかって……」

堕女神「いえ。世の中には体臭に興奮を覚えるという性癖も。一度お試しになっては」

勇者「そっちかよ!……いいから、彼女を風呂へ。力は奪わなくていいからな」

堕女神「はい、かしこまりました。……陛下は?」

勇者「俺は、彼女の後でいい」




108: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:30:29.98 ID:5OyPL7Mao
堕女神「はい。……その前に、失礼いたします」

勇者「ん?」

彼女が口元に手を当て、掌へ息を吹きかける。
薄い緑色の光が集まり、再び彼女の手を輝かせる。

その手を、彼の、頭部の裂傷へと翳した。
手に纏われた光が傷口へと集まり、見る間に傷を塞がらせていく。
否、それ以上に、戦いで失われた体力が回復していくようだ。
脇腹に負った傷も塞がり、彼の体は、決闘前のまっさらな状態へと戻る。

堕女神「……失礼しました」

勇者「いや、助かるよ。……しかし、万能だな」

堕女神「堕ちても女神ですから」

勇者「……頼もしいな、全く」

堕女神「恐れ入ります」

ワルキューレ「……申し訳ないが、体の芯から冷えてきたのだが」

勇者「ああ、そうだった。堕女神、頼む。……いじめるなよ。傷を受けたのは、俺の落ち度なんだからな」

堕女神「はい、了解いたしました。……ついて来なさい」

ワルキューレ「……すまない、気遣い痛み入る」

勇者「いいから、身体を温めてこい」




109: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:31:52.14 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレは、堕女神に導かれるままに、城内を歩く。
雨に濡れた肌が、歩くたびに熱を奪われて寒くなる。
戦っている時は体の高まりによって相殺されていたが、終われば寒くて仕方が無い。
ふるふると震え始めるが、それを何とか隠そうと努める。
目の前を歩いているのは、自らの力を奪い、地下へと幽閉した存在なのだから。

堕女神「……何を、怯えているのですか」

不意に、彼女を見もせずに声が浴びせられる。
どこかぴしゃりとした言い方に体が反応し、思わず背筋が伸びた。

ワルキューレ「…怯えてなど、いるものか」

堕女神「そうですか。……戦われてみて、どうでしたか?」

ワルキューレ「……強かった。それでも……絶望は、感じなかった」

堕女神「感じなかった?」

ワルキューレ「ああ。……妙なんだ。彼の姿を見ていると、何故か……『勇気』が湧いてくるんだ」

堕女神「勇気、ですか?」

ワルキューレ「私の攻撃を弾く姿。斬りつける姿。圧倒的なんだが……まるで、『勇気』を相手に分け与えているみたいだ」

堕女神「……そう、ですか」

ワルキューレ「………それでも、どこか哀しく感じた気がする」

堕女神「到着しました。ここが、我が城の浴場です。どうぞ、ごゆっくり」

ワルキューレ「…すまない、感謝する」

堕女神「礼なら、陛下へ。……それでは、失礼します」




110: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:32:26.84 ID:5OyPL7Mao
勇者が自室で着替えていると、ドアが叩かれる。
ノックの音にはどこか乱れがあり、三年間毎日聞き続けた彼には、それだけで違和感だった。

勇者「堕女神……か?入れよ」

堕女神「…失礼します」

勇者「何だ、浮かない顔だな。まだ怒ってるのか?」

堕女神「いえ。……分からないのです」

勇者「分からない?何が?」

堕女神「陛下のお考えが。……何故、あのような決闘まがいのマネを」

勇者「まがい、とは失礼だな」

堕女神「…申し訳ありません。しかし、何故……戦われたのですか。真剣を用いてまで」

勇者「『ワルキューレ』の強さを知りたかったんだ。……負けたかったよ」

堕女神「…お言葉の意味が、分かりかねます」

勇者「……堕女神、お前から見てどうだった?」

堕女神「……私が申して良いのでしょうか」

勇者「正直に言ってくれ。……何を感じた?」




111: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:32:53.06 ID:5OyPL7Mao
堕女神「……楽しんでおられましたね」

勇者「ああ、斬り合うのは久々だった。楽しかったよ」

堕女神「…ならば、何故『負けたかった』などと?」

勇者「……言い方が正しくなかったな。そうだな、正しくは……」

堕女神「はい」

勇者「『手の届かない存在』であって欲しかったのさ」

堕女神「……?」

勇者「俺に……『ヒト』には手の届かない、問題にすらならない強さであってほしかった。
    一合と切り結べないような、文字通り『雲の上』の存在であってほしかった」

堕女神「…憧憬、とでも」

勇者「……いや、逆なのかな」

堕女神「陛下が、『ワルキューレ』に遠く及ばない存在でありたかったという事ですか?」

勇者「ところが、実際はどうだ。このザマ、だよ」

堕女神「彼女も弱くはありませんでした。……恐らく、『ワルキューレ』の中でも相当の……」




112: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:34:36.05 ID:5OyPL7Mao
そこまで言いかけ、咄嗟に言葉を切る。
今の発言は……不用意、だった。

今の言い方では、彼が上位の「ワルキューレ」に比肩、いやそれ以上の力を備えている事になる。
普通ならば、それは誇るべき事のはずだ。
驕る事さえも許されるような、名誉であるはずだった。

しかし彼は、その名誉を喜ばない。
ワルキューレより下の存在でありたかったとまで言っている。

勇者「……そうか」

堕女神「…申し訳ありません」

勇者「いや、聞いてくれ。……俺は、最後の一閃を放ってこう思ってしまったんだ」

堕女神の脳裏に、ほんの数十分前の光景が蘇る。
刺突を放ったワルキューレが、武器を弾き飛ばされてその場に膝を折った姿を。
あふれ出た血と濡れた髪で表情は見えず、想像するしかなかった事を。

勇者「『――ああ、こんなものか』」

ことさらに冷たく、感情を込めずに口にした。
勇者自身も、吐いた言葉がこれほどの冷淡さを備えるとは思わなかった。
堕女神もまた、かけるべき言葉が見つからないままで立ち尽くす。




113: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:35:15.18 ID:5OyPL7Mao
勇者「酷く傲慢だろう。……軽蔑してくれ」

その言葉に、彼女の沈黙は更に長引く。
軽蔑の感情から、ではない。
諦念、自嘲、そして物悲しさをたたえた彼の顔を、見てしまったからだ。

勇者「……昔、『魔王』を倒すための旅をしてた頃の事だ」

表情を僅かに戻し、「勇者」は語り始める。

勇者「旅も終盤に差し掛かった頃、旅の出発点へ、俺の国の『王』のもとへ戻る用事ができてさ」

堕女神「……はい」

勇者「で、ついでに放棄された砦に住み着いた魔物を倒すように頼まれて、行ってみたんだ。……俺一人で」

堕女神「そこで、何が起こったのですか」

勇者「……何も、起こらなかった」

科白としては、拍子抜けだろう。
だが――微笑み加減の彼の表情は、どこか虚しさも感じさせる。
病に伏せる、年老いた親を見る人間は、恐らくこういう顔をするのだろう。

勇者「旅の始まりであんなに手こずらされて、死ぬ思いを味わわせられた魔物達が。
    ……何も考えずに、手癖で振るった剣で呆気なく倒せたんだ」

堕女神「…しかし、その魔物達は、『王』にとっては脅威だったのでしょう?」

勇者「そうさ。……あんなに怖い思いをさせられた魔物が、その時の俺にとって、まるで問題にならなかった。……それが、怖かった」




114: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:35:46.44 ID:5OyPL7Mao
堕女神「…『強くなる』のは、怖い事なのですか?」

勇者「……砦の中で魔物と出くわしても、恐怖も昂揚もなかった。……まるで、『作業』だったんだよ。戦いなんかじゃない」

堕女神「『作業』……」

勇者「そして今、『魔王』を倒して目的を果たしたのに、『ワルキューレ』にも土をつけた。
    勝負がついて俺が思った事は、さっき言ったとおりだ」

堕女神「……落胆ですか」

勇者「身も蓋も無く言うと。……だから、俺は負けたかった。今の俺でも足元にも及ばない、強い存在があると信じたかった」

堕女神「…負ける事で、再び強さの『目的』を据えるために?」

勇者「半分は。もう一つだけ、俺の勝手な願望があった。……もしかすると、こっちが本命なのかな」

堕女神「…お聞かせ願えますか?」

勇者「……『勇者』でも敵わない、別格の存在が人間界を見守ってくれていると信じたかったんだ」

堕女神「…しかし、陛下はお勝ちになりました」

勇者「ああ。『勝ててしまった』、な」

言い聞かせるように漏らし、窓辺へと歩いていく。
締め切られた窓の向こうに、洗われたように綺麗な青空が広がっていた。
沈んだ表情とは対照的な青い空を、勇者は窓辺から見上げる。




115: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:37:14.45 ID:5OyPL7Mao
こんこん、と、再びノックの音が聞こえる。
ふわりとした諦観が充満する室内の空気が、それで若干和らいだ。

堕女神「何用ですか?」

もやもやとした空気を一気に晴らすかのように、努めて冷静に堕女神が尋ねる。
ドアの向こうからはメイドの声が聞こえ、入浴の準備が整った事を伝えた。
そして、ワルキューレには客室を準備し、そこで休ませていると。
一応念のために見張りをつけている事も付け加えられた。

勇者「さて、俺も入るか。ああ、そうだった」

堕女神「ほかに何か?」

勇者「……口にすると、軽くなるかもしれないんだけど」

堕女神「はい?」

ドアノブに手をかける寸前に立ち止まり、彼女へと何かを言おうとする。
顔はドアを向いたままで表情は窺い知れず、そのまま数秒の沈黙が続く。
段々と堕女神の表情にも怪訝なものが浮かび上がり、それでも彼女から何か言う事はなく、「彼」の言葉を待つ。

勇者「……お前を残して先に、なんて事はしないよ」

言い切り、そそくさと彼はドアを開け、滑り込むようにその場から立ち去ってしまった。
一人残された彼女は、少しの間、呆然と立っていた。
そして、ややあって――彼女は、その言葉の意味を理解したようだ。


堕女神「―――っ!?/////」




116: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:37:42.62 ID:5OyPL7Mao
城内を大股で歩いていき、浴場につくと彼は即座に服を脱ぎ、突進するように浴室へと踏み入った。
何かを振り払うように、無遠慮にモザイク模様の濡れた床を踏み締めながら一直線に浴槽へ。

かけ湯をする事もなく、飛び込むように――否、文字通りに飛び込んだ。
どぷん、と水柱を立てて湯の中へ身体を放り込むと、すぐに顔を浴槽へと浸ける。
雨の中戦った身体に、沁み込むような熱が行き渡っていく。
熱すぎる事もなく、ぬるい事もなく、調整された湯が彼の身体を暖めた。

勇者「――――!」

紅潮させているのは、湯の温かさにだけ起因するものではない。
要するに……恥ずかしい、のだ。
彼女と夜を明かした事は、十度や二十度ではない。
三年間、千を超える夜を淫魔と、堕ちた女神と、堕天使と過ごした。

真夜中の、暗闇の淫靡な空間とも違う。
陽光が差し込める空間で、ある程度緊迫した部屋で、大真面目に言ってしまった言葉。
その気恥ずかしさは、徐々に効果を顕していった。

勇者「――っぶはぁ!」

湯に浸けていた顔を、飛沫を散らしながら上げる。
そのまま両手でばしゃばしゃと顔に湯を叩きつけ、少しでも羞恥心を誤魔化そうと足掻く。

それでも気恥ずかしさは全くひかず、逆に時間の経過で鮮明さを増していくようにも感じた。
足先にも痛痒に似た感覚が満ちていき、どうにも落ち着かない。




117: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:39:13.47 ID:5OyPL7Mao
勇者「……ああ、もう!恥ずかしいな!」

一応の結論を言葉にして、何とか身体に走る妙な感覚を鎮める。
未だに妙な疼きは残るが、どうにか落ち着いたようだ。
そこでやっと、湯に浸かっている事を実感できた。

勇者「…あぁ、いい湯……にしても、なぁ」

大浴場の中を、見渡す。
並ぶ円柱に混じり、いくつもの石像がある。
例えば三人の淫魔に弄ばれる、地位の高そうな男性の像。
一塊の大理石から都合四人を彫り出すという、類を見ない技が光っている。

例えば山羊の頭と下半身を持つ悪魔と、抱き合うように交わる王冠を被った裸身の美女。
豊満な肉体は、彫像とは思えないほどに瑞々しく、そして悩ましい。
情事の最中に石化の魔術をかけられでもしたのかと疑いたくなるほどだ。

勇者「………まぁ、『淫魔の国』だし。慣れたけども」

肺の中の空気を、一気に吐き出す。
暖められた呼気と一緒に、久方ぶりに身体を動かした疲労が解けていくようだ。

勇者「……後で、ワルキューレにどう思ったか聞いてみるかな」


彼は一人ごち、そのまま長くゆるゆると入浴を楽しみながら、
肩にかけた甕から浴槽へと湯を注ぎ出す、少女の姿の淫魔の像を見ていた。




118: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:39:46.12 ID:5OyPL7Mao
その後、妙に気まずい晩餐を終え、約束の「夜」がやって来る。
チラチラと熱っぽい視線を向ける堕女神を意識しながらでは、夕餉の味など分かりもしなかった。
勇者は実のところ、彼女を抱く気は無かった。
勝者の権利、と言えば聞こえは良いが、これは実質、レイプにしかならない。
勝ちはしたが、彼女に対する一種の崇敬は未だなくなったわけではない。
落胆を抱いたのは彼女の実力に対してであり、その存在までも下に見てはいないからだ。

勇者「……まぁ、それはそれで往生際が悪いか」

腰紐を解き、おどろおどろしい剣をベッドサイドのテーブルへと立てかける。
呪いが解かれた後とはいえ、見た目の禍々しさは変わらない。
勇者の清廉な容姿のせいでミスマッチに収まっていたが、
もしも漆黒のフルアーマーとともに装備したのなら、絵に描いたような『地獄の騎士』になる事請け合いだ。

勇者「…『おとぎ話』は『現実』に。……そして『現実』は、『事実』として記録に残る、か」

ワルキューレをはじめて見た時、思い出されたのは、魔王を倒した瞬間の事。

あの城で、「『勇者』が魔王を打ち倒す」おとぎ話は現実へと変わり、
そして事実として世界に記録された。

ワルキューレを見た時、「戦士の魂を天上へ送り届ける戦乙女」の伝説は現実へと変わった。
そして同じく、事実としてだけ勇者の脳に刻まれた。

そうして、彼は淡々と事実だけを積み上げる事になるのか。
考えた時、彼の体から力が抜けた。
ベッドの上に倒れ込む事もなく、その場に、ベッドの周りに敷かれたカーペットに座り込む。




119: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:40:11.60 ID:5OyPL7Mao
勇者「そっか。……これが、『心が死ぬ』って事なのかな」

昔手こずらされた魔物を、何の感慨もなく虫のように切り伏せられた事。
呪文も回復も行う事無く、ただ「戦う」だけで作業のように処理できた事。
次いで、今回のワルキューレとの戦い。
あれほどの使い手と戦った事は、なかった。
旅の途中で幾度も戦った黒騎士は強敵であったが、ワルキューレには僅かに劣った。
そのワルキューレでさえ、さして苦労もせず倒せた。
雷撃の呪文を連唱する事もなく、秘剣を繰り出す事もなく、回復するにも及ばず。
勝負がついたとき、抱いたのは冷たい落胆。

剣舞の中で高揚感を得たのは確かだが、今思えばそれは戦いの楽しさではない。
内容を忘れかけ、数年ぶりに読み返す本のような楽しさだった。

勇者「…ああ、クソ。目立つ目標の無い人間ってこんなにクサクサするのか。『勇者』もこのザマかよ」

声を張り上げ、強引に立ち上がる。
どうにか気分を切り替えようと試み、立ったまま上体を捻り、腰の関節を解きほぐす。
関節音がぱきぱきと鳴り、関節のジョイントがややスムーズになったように感じる。
体が軽くなったように感じていると、部屋の外から声がかけられた。


堕女神「……陛下、失礼いたします」

勇者「入れ」

堕女神「彼女を、お連れしました。力は奪っていませんが、念のために手枷を?」

勇者「いや、いい。……こいつは、約束を違えないよ」

堕女神「かしこまりました。……入りなさい」




120: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:41:36.95 ID:5OyPL7Mao
促され、入ってくる彼女はどこかスッキリとした面持ちだった。
素肌に真っ白いガウンをまとい、持ち前の金髪は美しく整えられていた。
俯き加減ではあるが、その表情に悲痛さはない。
むしろ認められたのは、どこかしらの恥じらい。
栄誉を受ける新兵にも似た、はにかんだ表情。

勇者「ご苦労さん。……どうしたんだ」

堕女神「……あの…。いえ、やはりいいです」

勇者「……ヤキモチか」

堕女神「そんな事ではありません!」

勇者「案外分かりやすいんだよな。……明日は、一緒に過ごそうな」

堕女神「し、失礼します!」バタンッ

勇者「……からかいがいがあるなぁ」

ワルキューレ「その……私は、どうすれば…?」

勇者「ああ、そうだった。……こっちに来い」

扉の前で俯き、戸惑う彼女をベッドへと招く。

勇者「……その、何だ。……あんな条件は出したが……」

ワルキューレ「…?」

勇者「イヤなら、いい。……俺は、無理やり犯すような事はしたくないんだ」




121: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:42:10.50 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「……貴公に任せる。私は、今晩は貴公の物なのだろう……?」

勇者「……覚悟は、出来ているようだな」

ワルキューレ「それで……何を、すればいい?」

勇者「こっちへ来い」

言われるがまま、ワルキューレは近づいていく。
ベッドまであと数歩、という所で急激に腕が引かれ、彼女はベッドの上に投げ出される形となった。
柔らかなキャンバスの上に組み敷かれ、彼女は僅かに怯える。

勇者「そういえば、いつから呼び方が『貴公』になったんだ?」

ワルキューレ「…貴公が、敬意を払うべき相手だと知ったから、だ」

勇者「ほう。『ワルキューレ』のお眼鏡にかなったか」

ワルキューレ「……教えて、ほしい」

勇者「教えられる事なら」

ワルキューレ「…貴公こそ、何故だ。私がここへ連れて来られた時と、あまりに違いすぎる」

勇者「ああ、なんだ。そんな事か?」

ワルキューレ「今も、私を……その、け……穢す、事も叶うのに……何故、そう…しない?」

勇者「変な所で、やっぱり捨て切れないものがあるからかな。……勝者の権利と分かっていても、望まぬ事はしたくないんだ」




122: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:42:47.82 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「………そうか」

勇者「『淫魔を総べる王』には相応しくないと思ったか?」

ワルキューレ「そんな事は無い。……昼間の闘いで、貴公の事は理解できたつもりだ」

勇者「…俺は、『王』であって、『暴君』じゃない。お前を幽閉して拷問まがいの真似はしたが、そうするだけの理由はあった」

ワルキューレ「…分かっている。分かっているさ」

勇者「……俺は、この国を護らなければいけない。脅威が迫っているとなれば、それを知らねばならなかったからだ」

ワルキューレ「……」

勇者「教えてくれ。俺を、殺しに来たのか?」

ワルキューレ「……もし、そうだとしたら?」

勇者「死にたくないな。今なら言えるよ。俺は、死にたくない。胸を張って言える」

ワルキューレ「…決着の時も思ったが、何故そう正直に言えるのだ」

勇者「……何でだろうな。昔の俺からしたら考えられないよ」

ワルキューレ「………私の、目的を問うたな」

勇者「ああ、そうだった。どうしても言えないってなら、それもいい。……だが」




123: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:43:18.98 ID:5OyPL7Mao
そこで言葉を切り、声に鉛を詰めたような重みが注がれた。
彼女を押し倒した姿勢のまま至近から放たれた声は、潰れるように重く、
表情は羅刹のごとき厳しさのまま、固定されていた。

勇者「…俺の国に、俺の国民に手を出すというなら黙ってはいない。たとえ『神』だろうと―――討つ」

彼女は、その言葉に戦慄を抱く。
内容の重さもそうだが、眼前の男は本気なのだと気付いたからだ。
例え腕を?がれようと、足を削ぎ落とされようと、死んでも――『神』を、殺すつもりなのだと。
鋸刃のように恐ろしく荒々しい、ワルキューレをして心胆を冷やす程の、正銘の殺意。

勇者「一度ならず二度までも俺を、俺の生を奪うというのなら。……『神』だろうと、土に還してやる」

ワルキューレ「っ……」

勇者「どうなんだ。……『神』は何と言っている?」

ワルキューレ「…っ…た……」

勇者「聞こえないぞ。……お前は、なぜこの国へ……否、淫魔の領地へと入り込んだ?」

ワルキューレ「……ん…だ……」

勇者「聞こえるように話せ。俺も、そろそろ限界だ」

ワルキューレ「……道に、迷ったんだ!」




124: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:44:06.99 ID:5OyPL7Mao
勇者「……何だって?」

場の空気を壊し、完全に気勢を削がれながら訊き返す。
先ほどまでの殺意が嘘のように、完全に出鼻を挫かれて。

ワルキューレ「………私と、もう一人が……主神の下へ帰る途中、襲撃されたのだ」

勇者「……で?」

ワルキューレ「戦う内に方向感覚が狂っていたんだ。その後は、見ての通り」

勇者「…………そもそも、何から帰る途中だった?」

ワルキューレ「……我が国南方、貴国との境にあるコボルトの群生地の偵察だ。記録を終え、我が国へ帰るつもりだった」

勇者「それで、何故隣国と俺の国の境に。真逆だろう」

ワルキューレ「しくじって、大量のコボルトに襲われたんだ。気付けば、南北の感覚が逆転してしまっていた」

勇者「……それで、今に至ると」

ワルキューレ「……そうなる」

勇者「…マジメに考えて損した」




125: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:44:48.47 ID:5OyPL7Mao
勇者「……本当に、それだけなのか?」

ワルキューレ「…そうだ」

勇者「…………」

ワルキューレ「な…何か、言ってくれないか?」

勇者「そうだな。…とりあえず、今から帰れ。気が削がれてしまった」

ワルキューレ「何だと?」

勇者「このテンションでどうしろっていうんだ。帰れ、故郷へ。隣国には俺からもう一人を解放するように言っておく」

ワルキューレ「しかし、その……」

勇者「何だ」

ワルキューレ「……済まない、その……こ、腰が抜けて……立てないんだ……」

勇者「…………はぁ」




126: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:46:03.60 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「……ば、莫迦にしているだろう!?」

勇者「…………」

ワルキューレ「頼む、何か言ってくれないか」

勇者「言ってもいいのか?」

ワルキューレ「……やはり、何も言わないでくれ」

勇者「……それで、どうする?」

ワルキューレ「?」

勇者「立てないんだろ?」

ワルキューレ「……ああ」

勇者「……もういい。一晩寝てから帰れ」

ワルキューレ「…え……」

勇者「え、って何だよ」

ワルキューレ「……その……しない、のか?」

勇者「何を」

ワルキューレ「…わ、私を……その……」




127: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:46:30.75 ID:5OyPL7Mao
勇者「……」

ワルキューレ「……さ、最後まで言えというのか?」

勇者「いや、言いたい事は分かる。分かるんだが」

ワルキューレ「それでは、何が不服なのだ」

勇者「強いて言えば、タイミングが外れすぎてて。雰囲気が整ってない」

ワルキューレ「……済まない。私は…そういうのが、不得手なんだ」

勇者「…だろうね」

ワルキューレ「それでも……今は、思っているんだ。我が主にも、恥ずべき事なのだが」

勇者「…つまり?」

ワルキューレ「……貴公になら、奪われても構わない。殺されても構わないとすら思う」

勇者「…本気か?」

ワルキューレ「我が名にかけて、嘘は言わない。……一晩限りでもいい。貴公と、同じ夢を見たいんだ」




128: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:47:45.09 ID:5OyPL7Mao
勇者「何故だ。俺は、『淫魔の王』なんだぞ。なぜ……そんな事が言えるんだ?」

ワルキューレ「貴公を、もっと知りたいと思った。人の身でそこまで練り上げるに至った、物語を」

勇者「……『主神』はどうなる」

ワルキューレ「…私は。『戦乙女』は、主神の命に従い、戦士の魂を導く役目がある」

勇者「そうしなくても良いのか?」

ワルキューレ「……四百年。生を受けて四百年、そうしてきた。幾つもの魂を見てきた」

勇者「(…やべ、400歳が全然若く思える)」

ワルキューレ「貴公は……一体、幾つの戦いを経てそこまで強くなったのか、知りたいんだ。だから……」

勇者「……飛びすぎだな」

ワルキューレ「……それと……恥ずべき事だが……」

勇者「何だ?」

ワルキューレ「……この体勢でいられると……鼓動が、際限なく早まる。止まってしまいそうだ」

勇者「おっと」




129: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:48:20.68 ID:5OyPL7Mao
言って、勇者は身を起こす。
押し倒し、鼻先が触れ合う距離、吐息がくすぐったく感じるような距離から離れる。
その刹那、彼女がどこか名残惜しそうな表情をしたが、彼は気付くまいとした。
気付いてしまえば――欲望のままに彼女を貪り、荒淫に耽ってしまいそうだったから。

勇者「……無防備すぎる、お前は」

ワルキューレ「…この状況で、抗えるものか」

勇者「やっぱり納得行かない事があるんだが」

ワルキューレ「何だろうか?」

勇者「…なんで、俺に拘る?…お前の主の方が強いはずだ。……いや、そうであってほしい」

ワルキューレ「恐らくは、な。……だが貴公の強さは、別の所にあると感じたんだ。我が主神とは、別の」

勇者「別の所?」

ワルキューレ「淫魔とも、私の力を奪った彼女とも、私とも、我が主とも違う。『人を超えた存在』には持ちえない類の強さを感じる」

勇者「そう言われても、こういうのは本人にはピンと来ない」

ワルキューレ「……私も、未だ良く解らない。触れ合えば、解るのかと思ったんだ」

勇者「………うぅむ」

ワルキューレ「……それとも、その……わ、私では……駄目、か?」////




130: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:49:19.38 ID:5OyPL7Mao
勇者「いや、そう言うのはずるいだろ」

ワルキューレ「……」

勇者「別にお前がどうとかいうんじゃなく……その。『客人』に手を出すのもどうかと思ってだな」

ワルキューレ「『捕虜』ではないのか」

勇者「侵略や偵察に来たんなら捕虜として扱うが、……迷子だろ。だから、お前は客だ」

ワルキューレ「……やはり、優しいのだな」

勇者「優しくない方がいいのか」

ワルキューレ「………」

勇者「分かったよ。本当に、いいんだな?」

ワルキューレ「っ……何度も言わせるな……!」

勇者「………止めろと言っても、もう聞かないからな」

ワルキューレ「……ああ」




131: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:50:09.58 ID:5OyPL7Mao
翌朝

勇者「……なんてやり取りしてたのに。いざって時に」

ワルキューレ「……ぅ…」

勇者「何だよ、発熱ってのは!?戦乙女が何で風邪ひいてんだ!!」

ワルキューレ「……すまない…静かに…してくれ……」

勇者「あーあ、随分と図太いよなぁ」

ワルキューレ「……だから……すまない、と…」

勇者「本当あれだな、お前は。それとも空気壊す能力が戦乙女には備わってんのか?」

ワルキューレ「……熱は…私のせいでは……」

勇者「俺のせいか?」

ワルキューレ「…地下に…二日も閉じ込められていれば……誰だって……」

勇者「………だが、なんで『ワルキューレ』が熱出すんだ。おかしいだろ」

ワルキューレ「…………」

勇者「……分かったよ、寝てろ。ったく……こんなにグダグダなのは初めてだ。色々謝れよ」

ワルキューレ「…すまない」




132: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:50:38.00 ID:5OyPL7Mao
堕女神「……陛下、お目覚めですか?」ガチャ

勇者「ああ、起きてるよ」

堕女神「…『ゆうべはおたのしみでしたね』」

勇者「言いたかったんだろうが、全然楽しめてなんかいないよ」

堕女神「何かありましたか?」

勇者「何もできなかったんだよ。……あのワルキューレがいきなり熱出して咳き込んで、冷や汗かいて震えだしやがった」

堕女神「いい気m……い、いえ。ゴホン。地下に幽閉して、雨にも打たれ、ろくに食事もしてませんでしたからね」

勇者「お前、今明らかに『いい気味』って……まぁとりあえず、敵意は無いようだし、適当に看病してから国に帰してやれ」

堕女神「はい、かしこまりました。ただちに準備を」バタン

勇者「おい、聞こえてたな?調子が戻ったら帰れ」

ワルキューレ「…す、すまな……ゴホッ……」

勇者「いいからもう少し寝てろ。……久しぶりに真面目こいたのが惨めな気分だ」




133: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:51:06.34 ID:5OyPL7Mao
堕女神「失礼します、陛下」コンコン

勇者「早いな、おい」

堕女神「彼女の部屋とベッドを暖めました。それと、陛下の朝食の準備が整っております」

勇者「ああ、ご苦労。彼女にも何か頼む」

堕女神「心得ております」

勇者「という訳で、一度起きろ。お前の部屋に戻れ」

ワルキューレ「………」

勇者「……いや、違うか」

ワルキューレ「……!」ガバッ

勇者「…病人に歩け、と言うのは酷だものな」

ワルキューレ「お、下ろして……くれ…歩く、から……」/////

勇者「駄目だ。さて、彼女の部屋に……って、どうした、堕女神」

堕女神「……いえ、何でも」

勇者「……へぇ」

堕女神「何ですか」

勇者「いや、何でも。……とりあえず、彼女の部屋へ案内してくれ」

堕女神「はい。……こちらです」




134: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:51:45.47 ID:5OyPL7Mao
ぐったりと脱力したワルキューレを抱きかかえ、運ぶ最中に彼はふと思い出す。
かつての旅の途中、毒に倒れた「魔法使い」を抱いて、雪深い山麓の村を目指した時の事を。
猛烈に吹き荒ぶ自然の息吹の中、息を乱して、震える彼女を抱きながら歩いた事を。

時間にして、5分ほどの間。
懐かしく、険しい旅の事を思い出していた。
足を取られるような深雪ではなく、平坦な床。
身を切るような寒風ではなく、厳かに整えられた「城」の空気。
しかし腕の中には、かしましい仲間をどこか想起させるような、「ワルキューレ」。

林檎のように染まった頬。
苦しげに喘ぐ口元。
潤み、熱が籠ったように赤くなった瞳。
どれも、彼がかつて腕の中に抱いていた仲間を思い出させるようだ。

―――あいつらは、どうしているんだろうな。

瞬きほどの間、浮かんだ感情は微笑みとなって消えた。
3年の時を経ても、仲間たちの顔は鮮明に思い出せた。

横断するように魚の骨のような傷を刻まれた、あの屈強な男の顔も。
底無しの慈愛を湛えた、どこまでも柔和な、それでいて決意を感じさせる彼女の顔も。
歯に衣着せぬ物言いだが、決して悪意ある人間ではなく、彼に時折熱を帯びた視線を向けていた彼女の顔も。

容易く、思い出せた。




135: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:52:22.38 ID:5OyPL7Mao
堕女神「この部屋です。……陛下?」

勇者「あ。……ちょっと違う事を考えてた」

堕女神「火を入れて、ベッドも暖めております」ガチャ

勇者「悪いな。……ほら、横になれ」

ワルキューレ「……感謝する…ゲホッ…ゲホ、ゴホ…!」

勇者「少し眠れ。後で何か用意させるから」ファサッ

堕女神「念の為、メイド達にも彼女の様子を見るように指示しております。ご心配無く」

勇者「流石だな。……それじゃ、いい子にして寝ているんだ」

ワルキューレ「………スー……スー…」

堕女神「もう寝たようですね。……この図太さは一体何なのでしょうか」

勇者「もう俺は気にしないことにした」

堕女神「………それでは、大食堂へどうぞ」




136: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:53:10.11 ID:5OyPL7Mao
――暖かく重る毛布と掛布団の感触が、彼女には心地よく感じた。
悪寒に満たされ、ぎこちなく凍てつくような関節は、思うように動いてはくれない。
誇り高き戦乙女が、「淫魔」の国で斯様な醜態を晒しているというのに。
それでも、彼女は…安心したように、眠っていた。
体は暖かく包まれ、火照った顔は、やわらかい外気に撫でられて心地よく。
戦争状態にないと言っても、「淫魔」と「戦乙女」は相容れない存在なのに。
寝首を掻かれる、という危惧すら抱かず、むしろ愚鈍と表現するのが相応しいほどに。

ふと、扉が開く音を意識の底で聞いた。
車輪の音とともに、高く響く靴音が近づいてくる。
体を起こそうとしても、気怠さと悪寒に支配された体は、指を動かす事さえ叶わない。

瞼越しに、暖かな気配が近づく。
その気配は瞼の上を通り、額へと当てられた。
「何者か」の手が、額へ優しく載せられる。

身じろぎ一つせず彼女はその手を受け入れ、むしろ、より深い安堵をもたらされた。

その「手」は、あまりにも優しかった。
暖かく、柔らかく、爪の先までも温もりが通っていそうな手。
よく知る「主神」とも違う、触れられているだけで、心の隅の隅までも満たされるように。
顔の筋肉がほどけ、安らかな寝顔は「微笑み」を湛えはじめる。




137: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:55:08.58 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「……誰…だ…?」

熱に浮かされるように、彼女は口を開く。
その手の主に問いかけるが、不快なものはない。
むしろ、その優しい手の持ち主が誰なのかを、知りたくて仕方がない。

堕女神「……この程度なら、一日か二日寝ていれば治りますね」

その声の主に、緊張をわずかに取り戻す。
恩寵の力を吸い取り、無力な女へと堕とした、当人の声。
感じた圧倒的な力の差を思い出して、神経がヒリつくように覚醒した。

ワルキューレ「……何…?何故、貴様……」

堕女神「我が主の命によって。……起き上がれますか?」

ワルキューレ「………!」

堕女神「…それでは、失礼いたします」

堕女神が、ワルキューレが体を起こすのを助ける。
彼女が背中に感じた温もりは、畏怖さえ感じるほどだった。

堕女神「…食事をお持ちしました。人界に倣って、米を柔らかく煮てみましたが。ご自分で食べられますか?」

ワルキューレ「……大丈夫、みたいだ」




138: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:56:03.06 ID:5OyPL7Mao
額に触れられた時から、気づけば倦怠感はかなり薄れていた。
波紋のように暖かさが全身に広がって、祓われたように不調が追い出されていた。
呪いを解かれた剣に意思があるとすれば、このように感じたのだろうか?

ワルキューレ「……私に、何かしたか?」

堕女神「いえ。どうしました?」

ワルキューレ「体が、何だか楽になった気がするんだ。……触れられてから」

堕女神「気のせいでしょう。病や外傷ならともかく、風邪は私には治せません」

ワルキューレ「……そうなのか」

堕女神「厳密には、できなくもありませんが……副作用として、一週間ほど強烈な催淫効果が持続します。それでも良いなら」

ワルキューレ「遠慮する!」

堕女神「賢明です」

枕を除け、彼女の体をヘッドボードによりかからせながら、言葉を交わす。
仕草の一つ一つが彼女への労りに満ちて、在りし日の神性すら匂わせるように。
「愛」を司る女神であった、過去の。

堕女神「失礼します。お熱いので、お気を付け下さいませ」

彼女の太腿部分にかぶさる布団の上に、見慣れない器の載った盆を載せる。
陶器で作られた、地味な色合いの鍋のような器。
小さな穴の開いた陶器の蓋が被せられており、中身は未だ見えない。

滞りなく彼女の前に差し出されると、次いで、蓋が取り払われた。
ほわぁ、と湯気が立ち上り、鼻孔をくすぐり、胃を起こすような良い香りが広がった。
器の中には、くつくつと米が煮えていた。
生米から煮られ、鶏から取った出汁が溶け込み、少量の塩で整えられた粥。
散らされた葱が雪の中芽吹く緑をも想起させる、豪奢な料理とも違うが、確実に「美しい」と評せる料理。




139: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:57:00.01 ID:5OyPL7Mao
堕女神「……毒見をいたしましょうか?」

ワルキューレ「あ、い、いや……すまない。見とれてしまって」

堕女神「そうですか。……お口に合うかは分かりませんが、召し上がってください」

言われるがまま、彼女は、磁器製の匙を手に取る。
粥を一掬いし、口元へ運ぶと、二度、三度と息を吹きかける。
冷めた頃合いを見計らって、その一掬いを口に入れた。

息で冷ましても、なおも熱かった。
唇をわずかに開き、空気を取り入れながら、舌で味わう。
ほのかに甘く、鶏の香りがほどよく忍び、口に入れただけでも栄養が全身に行き渡るような、凝縮された旨味。
振られた塩が絶妙に味を際立たせる、シンプルにして胃を原初の感覚へ導くような味わい。
飲み込めば食道をほのかな熱とともに滑り降り、胃へと落ちる直前に、もう一口を頬張っていた。

ろくに食事を摂っていなかった胃に優しく染み込むような、摂食の歓喜。
一口、また一口と食べるたびに細胞が活性化していくようだ。

堕女神は、黙って彼女を見つめていた。
供した料理がその量を減らしていくのを見て、わずかに安堵したようにも見える。
口角は上がり、黙々と粥を口に運ぶワルキューレを見る目には、どこかしらの愛しささえ備わっているようだ。


食事が終わると、器の載った盆を除け、台車へと載せる。
米粒一つ残らず平らげられ、食した者、作った者、どちらの顔にも容易く見て取れる「満足」が浮かんでいた。

堕女神「さて、お休みください。水差しは置いていきます。何かございましたら、部屋の外にメイドを待たせておりますので」

ワルキューレ「……待って、くれ」

堕女神「?」




140: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:57:33.91 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレ「……何者、なんだ。…貴様は、いったい……?」

堕女神「…私は、淫魔の王の側近です。……前身は、『女神』でしたが」

ワルキューレ「女神…?」

堕女神「はい。…今となっては神位を追われ、淫魔の国に腰を据えておりますけれど」

ワルキューレ「それでか。我が主と同じ匂いを感じたのは」

堕女神「貴女や貴女の主と違い、戦いは嫌いですが」

ワルキューレ「……よくも言う」

堕女神「ただ……『人間』は今でも好きです。陛下とは別にしても」

ワルキューレ「…理由を訊いても良いのか?」

堕女神「もっとも大きなものを一つだけ、挙げるとすれば」

立ち上がり、再び彼女の体を支えながら、横にさせる。
仕上げに、毛布と布団を首元までかけさせてから、台車を押してゆっくりと扉へと歩き出す。

堕女神「…こんな私でも、今でも誰かを、何かを『愛』して良いのだと。陛下が……教えてくれたからです」




141: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:58:46.95 ID:5OyPL7Mao
執務室


勇者「……そう、か。具合は良いんだな」

堕女神「はい。早ければ、明日にでも回復するでしょう」

勇者「それは良かった。……にしても、だ」

堕女神「どうかされましたか?」

勇者「『戦乙女』と言うからには、スキの無い女傑だとばかり思ってたんだが」

堕女神「…………これは、何百年か前の事ですが」

勇者「あんまり期待できない前フリだな」

堕女神「『戦乙女』の一団。そうですね…20人はいたでしょうか。我が国の領地へ侵入してきた事がありました」

勇者「…続けてくれ」

堕女神「私がサキュバス10人と堕天使4人を率いて現場に向かうと……」

勇者「何があったんだよ」

堕女神「彼女らは、どこかへ任務で向かう予定だったのが。地図もコンパスも、誰も持ってきていなかったと」

勇者「」

堕女神「……あの時も気が抜けて。話を聞いて、目的地らしき場所に印をつけた地図とコンパスを渡しました」

勇者「マジ女神」

堕女神「余談ですが、食料と水もさっさと消費してしまっていたようです」

勇者「……」

堕女神「もう捕らえる気力も殺す気力も著しく削られて仕方なくそれも分けましたが……あんなにムダな出費は初めてでした」




142: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:59:25.23 ID:5OyPL7Mao
勇者「……つまり、こういう事か?」

堕女神「何でしょう」

勇者「ワルキューレは、特徴としてバ―――」

堕女神「いけません、彼女らの名誉にかけて」

勇者「……そうだな」

堕女神「使わない器官は退化するものです。そこを貶してはいけません」

勇者「お前の方がヒデーよ!!」

堕女神「さて、本日は少々お務めが。隣国からのこちらの書状に目をお通し下さい」

勇者「うん。……これ、いつ届いた?」

堕女神「今朝です」

勇者「…内容に文句はない。ただ、もう少し食料ねだって来ても良いのに。妙に奥ゆかしいな、隣女王は」

堕女神「それが女王陛下ですから。まぁ、これから外交の駆け引きについて学ぶ事でしょう。たまには厳しくする事です」

勇者「……ただ、この追伸の部分だ」

堕女神「何ですか?」

勇者「『追伸、先日は戦乙女をお届けいただき感謝いたします。我が民も 彼 女 も 喜んでおります』」

堕女神「…………意味を考えるのが恐ろしいですね」




143: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 03:59:56.60 ID:5OyPL7Mao
―――――


勇者「しかし、書類仕事ばっかだなぁ」

堕女神「一息入れましょうか」

勇者「そうだな。30分ほど」

堕女神「承知しました。それでは、お茶をお持ちします」

勇者「それもいいけど。……気分転換に、どうだ?」

堕女神「……っ」

勇者「ここには誰も来ないぞ」

堕女神「………嫌、です」

勇者「意外だな」

堕女神「いえ、そうではなくて……」

勇者「?」

堕女神「30分だけなんて……嫌です」

勇者「…そうだったな」

堕女神「……すみません」




144: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:00:33.92 ID:5OyPL7Mao
庭園


サキュバスA「あら、こんなに伸びちゃってたのね。……少しこの辺りはサボりすぎたわ」

サキュバスB「…Aちゃんが手入れしてると思ってたから」

サキュバスA「だって、最近は生長が滞りがちだったもの。雨のせいで早まったかしら?」

サキュバスB「……っていうか」

サキュバスA「何?」

サキュバスB「何で服着てるの?」

サキュバスA「あらぁ、知りたい?」

サキュバスB「………陛下?」

サキュバスA「きっかけはね」

サキュバスB「じゃ、今は何で?」

サキュバスA「…ふふ。陛下がね、褒めてくれたの」

サキュバスB「えぇ!?」




145: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:01:01.72 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「嘘じゃないわ。正直言うと窮屈だけど……これはこれで、気持ちが引き締まるもの」

サキュバスB「…………ずるいよ」

サキュバスA「なら、貴女も服を着ればいいじゃない。可愛いのを沢山持ってるでしょ?」

サキュバスB「だって……恥ずかしいし……」

サキュバスA「今さら何を言うの」

サキュバスB「あんな、フリフリなの……」

サキュバスA「なら何故買うのよ。いい値段してたじゃない?」

サキュバスB「…うぅ……」

サキュバスA「服は着る為にあるのよ。……それに、貴女はこんなに可愛いんだもの。きっと似合うわ」

サキュバスB「………」

サキュバスA「たまには気分を変えてみるのもいいんじゃないかしら」

サキュバスB「…うん」




146: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:01:58.10 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「……あら、ちょうど陛下が来たわね」

サキュバスB「!?」

勇者「…何の話をしてた?」

サキュバスA「いえ、何も。……至って真面目に働いておりましたわ」

勇者「ふぅん。……B、どうした?」

サキュバスB「…い、いえ……ちゃんと仕事してますよ?」

勇者「そうか。……Aはまだ服着てるのか。もう腫れてないだろ?」

サキュバスA「ええ。でも、中々気に入って」

勇者「そうしてくれ。いつも目のやり場に困っていたんだ。Bもな」

サキュバスB「え」

勇者「いや、いろいろ可愛い服持ってるんだろ?……見てみたいよ」

サキュバスB「あ、え……えっと……」

勇者「ムリにとは言わないけどさ」

サキュバスB「わ、解りました……陛下が仰るなら……」

勇者「楽しみにしてる」

サキュバスB「………は、はい!」




147: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:02:44.27 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「それにしても、改めてご尊敬申し上げますわ」

勇者「ん?」

サキュバスA「仕事の手を休めて窓から拝見させていただきましたが……まさか、彼女相手に勝つなんて」

サキュバスB「……ちょっと、ドキドキしましたけど」

勇者「……っていうか今サボり告白したよね?」

サキュバスA「えっと……『陛下の御身が心配で、仕事が手につきませんでした』」

勇者「よっくもまぁそんなヌケヌケと」

サキュバスB「わ、私は……本当に心配で…陛下が、もし死んじゃったらって……!」

勇者「…そうか、すまなかった」

サキュバスA「酷いですわ」

勇者「日頃の行いだ」

サキュバスA「私も心配しましたのよ?ほんの少しだけ」

勇者「少しかよ」

サキュバスA「『陛下の勝利を信じておりました』」

勇者「もういいから」




148: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:03:14.91 ID:5OyPL7Mao
サキュバスB「…良かったです」

勇者「何だ?」

サキュバスB「陛下が勝ってくれて。……あんまり、あぶない事しないでください」

勇者「…流石に、平服のままだとヒヤっとしたな」

サキュバスB「胸がぎゅーってなって……怖かったんですよ!」

勇者「B……」

サキュバスB「…す、すみません!私なんかが……こんな、事…」

勇者「…いや、すまない。謝るのは俺だ。……もう、ムチャはしない。少なくとも、装備は整えてからにする」

サキュバスA「『装備しないと意味がない』ですのよ?」

勇者「装備したら呪われて外れなくなるだろ、アレは」

サキュバスA「…呪われたら、解けば良いじゃありませんか」

勇者「お前……」




149: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:04:39.30 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「まぁまぁ。……それは置いておきまして、陛下の呪文を見たのは初めてでしたわ」

勇者「そうだったかな」

サキュバスA「あの轟音は、今も忘れ得ません。恥ずかしながら、驚いて暫し固まってしまいました」

勇者「…それは、すまん」

サキュバスA「おまけにBなんて、腰を抜かして立てなくなって、半泣きでしたもの」

サキュバスB「ちょっ、Aちゃん!?」

勇者「ほほう」

サキュバスA「……可愛かったわ。でも、お臍は隠さなかったのね」

サキュバスB「お、おへそなんて取られないよ!それぐらい知ってるから!」

勇者「なら、もう一回やろうかな。見てみたいしな」…パリパリ

サキュバスB「やめてください!」

勇者「冗談だ。魔力は大事にしないと」

サキュバスB「……雷は嫌いです」




150: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:05:13.57 ID:5OyPL7Mao
サキュバスA「ところで陛下、どこかへご用があったのでは?」

勇者「あぁ、そうそう。ちょっとワルキューレの見舞いにな」

サキュバスA「見舞い?……何かありましたの?」

勇者「昨晩だ。……よりによって、風邪ひきやがった」

サキュバスB「んー……雨のせいでしょうかね?大丈夫なんですか?」

勇者「それを確かめるんだよ。ま、死にはしないだろ」

サキュバスA「それにしても、風邪とは」

勇者「お前的に、『ワルキューレ』はどういう種族なんだ?」

サキュバスA「ストレートに申せば……『筋肉馬鹿』ですわね。ついでに堅苦しくて」

勇者「そりゃお前から見れば大抵のヤツは堅苦しいだろうな」

サキュバスA「堅苦しいくせに間が抜けていて、テンポが合わなくて」

勇者「……見てたの?」

サキュバスA「はい?何ですか?」

勇者「い、いや……何でもない。さて、俺は……行くかな。A、B、それじゃ。手を止めさせて悪かったな」

サキュバスA「休憩中でしたので、お気になさらず。ごきげんよう」

サキュバスB「風邪をうつされないようにしてくださいね?」




151: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:05:40.22 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレの部屋の前

勇者「という訳で、見舞いに来たけど」

メイド「陛下?……御自らですか?」

勇者「半分以上俺の責任だからな。容体はどうなんだ?」

メイド「ご心配には及びません。よく眠っておいでです」

勇者「そうか。……なら、また明日にするかな」

メイド「恐らく、疲労が祟ったのでしょう。眠って体力を回復すれば大丈夫かと」

勇者「任せたよ。……そういえば、彼女の武具は?」

メイド「はい、別室にて保管しております。ご覧になりますか?」

勇者「いや、いい。…むしろ、彼女に返してやってもいいさ」

メイド「それは、恐れながら些か不用心ではありませんか?」

勇者「大丈夫。彼女は、暴れたりはしない。……とはいえ、皆に余計な心配はさせたくないな。別室保管のままでいい」

メイド「はい、畏まりました」




152: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:06:12.41 ID:5OyPL7Mao
夕餉を終え、しばし休息した後、彼の部屋を訪れる者があった。
ノックの音に勇者は読みかけていた本を置き、入室を促す。

勇者「……入れ、堕女神だろ?」

堕女神「はい、失礼します」

扉を開け入ってきた彼女は、何故か、扉の前から動こうとしない。
何かを待っているように、そわそわとしているかのように、彼には見えた。

勇者「どうした?」

堕女神「あ、いえ……」

勇者「……あぁ」

得心が行ったように、机から離れて彼女の方へと歩いて行く。
近づくほどに、彼女は嬉しそうに、それでいて気恥ずかしく顔を赤らめていった。
望む所はあまりにも子供っぽく、それでいて、隠し通せない行為だったから。

勇者「……よ、っと」

堕女神「……!」

彼女の膝裏に右手、細い肩には左手を回してその場に抱き上げる。
サキュバス、そしてワルキューレにそうしたように、距離がこれ以上なく縮まり、覗きこめる顔は際限なく紅い。

勇者「……こうして、欲しかったんだろ?」

堕女神「……」

勇者「…答えないと、下ろすぞ」

堕女神「…………はい」

絞り出すように答えた彼女の顔は、恥ずかしそうでもあり。
同時に、熱に浮かされたように、蕩けるような微笑みを浮かべていた。




153: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:06:39.84 ID:5OyPL7Mao
その姿勢のまま、殊更にゆっくりとベッドへ近づく。
一歩ごとに、彼女の表情が崩れていき、歓喜と熱情に中てられていった。
尻に感触を覚えた頃には、既にベッドに横たえられていた。
膝裏と背中の温もりが消え去るが、喪失感は無い。
何故なら、目の前に――覆いかぶさるように、包み込むように彼の存在があったからだ。

勇者「……ん」

奪おうとした瞬間、一呼吸早く、唇に何かが触れた。
暖かく潤ったそれが、彼の口をふさぐ。

勇者「…う、む……っ」

水音高く唇と唇が触れ合い、悩ましく声がもつれ合う。
じんわりと沁み込ませるように彼の唇を吸う堕女神に、平素の落ち着きは見られない。
空白を補うかのように、ただただ唇を求めるのみ。

勇者「…っは……相変わらず、堪え性が無いな」

堕女神「申し訳……ありません……つい…」

勇者「いいさ。……それより、もういいのか?」

堕女神「……いえ…まだ……」

今度は、彼の方から唇を奪う。
彼女の欲求を汲み取るように、ひたすらに荒く。
品の無い音を立て、互いの唾液を混ぜ合わせるようにして、舌先を突き合わせる。
薄く見開かれた彼女の眼は潤い、目じりには朝露のように光る雫が。




154: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:07:31.36 ID:5OyPL7Mao
―――――4時間後

勇者「………酷すぎる」

堕女神「は…?」

勇者「普段もたいがいだが、今日は特に酷い」

堕女神「………」

勇者「息継ぎぐらいさせろ!冗談抜きで星が見えたぞ!?」

堕女神「申し訳、ありません……久方ぶりでしたので……」

勇者「ワルキューレと戦った時よりも死が間近だったわ」

堕女神「堪え切れませんでした。如何様にも、罰を」

勇者「……解ってるんだろ。そんなつもりが無いのを」

堕女神「……ふふっ」

勇者「…お前は、全く」

堕女神「それはそれとして」

勇者「ん」

堕女神「戦いの最中、『彼女』とは何をお話しに?」




155: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:09:05.62 ID:5OyPL7Mao
勇者「何だ、気になるのか」

堕女神「……秘密と仰るのなら、それでも」

勇者「いや。……簡単な問答だよ。そして答えを持っている者はいない、な」

堕女神「何でしょうか?」

勇者「…『世界は、どうすれば平和になるのか』」

堕女神「…俗には、永遠の問いですね」

勇者「やはりね。……それが永遠の問いだとすれば、『魔王を倒す事』もまた、その答えではないんだな」

堕女神「それでも、無駄ではありませんよ」

勇者「そうか?」

堕女神「『答え』ではなくとも、『答えに近づく方法』の一つではあると、私は信じます」

勇者「……優しいよな」

堕女神「…本心です。全ての問いに適用できる解法など、無いのですから」

勇者「……俺の世界をすぐに平和にできる方法では、無かったのか」

堕女神「でも、『ヒト』はその答えに近づく力を持っています。……迷っても、遅くても、必ずいつかは辿り着けますよ」

勇者「…だと、いいな」

堕女神「私は、『ヒト』の力を信じます。永遠近い時が経とうと、自らの力で『優しい世界』を作る事ができるのだと」




156: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:09:48.12 ID:5OyPL7Mao
勇者「随分と、人間を買うんだな」

堕女神「今でも、私は人間達を愛していますよ。……貴方が、教えてくれた事です」

勇者「あぁ。……そうだった、な」

堕女神「さて、どうします?……夜もまだ白みませんよ」

勇者「…どうしようかな?」

堕女神「………っ」

勇者「疲れたし、寝てしまおうか?」

堕女神「…………!」

勇者「どうすればいいと思う?」

堕女神「……意地悪、です」

勇者「からかいたくなるんだよ、お前は」

堕女神「……サキュバスAに影きょ……ん、…はふっ……ちゅ……」

勇者「っ…は…今度は、息させろよ。……キスで窒息死なんてマヌケすぎる」

堕女神「……努力、いたします」


――――――




157: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:10:43.33 ID:5OyPL7Mao
朝がやってきて、いつものように起きるとまず彼は、傍らで寝息を立てる堕女神の顔を見た。
サキュバスAと同じ、安心しきった寝顔。
いつか宿敵が語り聞かせた様子に同じ、人界の美女が霞んで見えるほどの美しさ。
長い睫が揺れ、やや厚く艶めかしい唇は僅かに開き、甘く馥郁とした寝息が漏れる。
仰向けの勇者の右胸にしがみ付くような姿勢で、押しつけられた乳房は彼の胸板に当たって形を変えていた。

間近で見る寝顔はあまりに美しく、愛しく感じた。
血の色の瞳も、瞼を落とした今では関係ない。
その寝顔は、まぎれも無く「女神」のものだった。

勇者「……おい、起きろよ」

堕女神「……」

勇者「…朝だぞ」

堕女神「………ン」

勇者「……あぁ」

起きようとしない彼女の唇へ、遠慮会釈なく唇を重ねる。
頬に左手を添えながら、思い切り、香しい吐息を吸い尽くすかのような勢いで。
流石にこれにはたまらず、彼女が一気に目を見開く。
目覚めた時には既に唇を奪われていたため、抵抗の術などない。
覚醒しきらぬ頭のまま、しばし、口腔を蹂躙されるままに任せていた。

堕女神「…陛……下…何を…!?」

勇者「……もしかして、本当に寝てたのか?」

堕女神「もしかして、も何も……!」

勇者「…してほしくて、いつものように寝てるフリしてたのかと」

堕女神「……そ、そんな事……私は…」

勇者「分かってないと思ったか」




158: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:11:10.22 ID:5OyPL7Mao
堕女神「……お見苦しい所をお見せしました」

勇者「いや、全然」

堕女神「下拵えは済ませてありますので、すぐに朝食の支度をいたします」

勇者「…その前にさ」

堕女神「何でしょうか」

勇者「彼女はどうなったか気になる」

堕女神「弱り目に、淫魔をけしかけて弄んでいないか、と?」

勇者「それをやられたのはお前じゃ……」

堕女神「私?」

勇者「あ、いや……その、何でもない」

堕女神「???」

勇者「…………昔、そんな夢を見たんだよ」

堕女神「……よく分かりませんが、とにかく…彼女は大丈夫ですよ」

勇者「…朝食の前に、ちょっと様子を見てくる」

堕女神「はい。それでは、後ほど呼びに参ります」

勇者「頼んだぞ」




159: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:11:41.24 ID:5OyPL7Mao
着替えに袖を通し、腰に剣を差して、再びワルキューレの部屋へ向かう。
扉の前にいたメイドは、彼女が先ほど目を覚ました事を勇者に伝えた。
ノックすれば、中から、控え目な、それでいてよく通る声で返事がされた。

勇者「入るぞ。……何だ、元気そうだな」

ワルキューレ「お蔭で。……まだ、少し倦怠感が残るが」

勇者「…それだけ話せればいいだろ。念の為もう一日休んで、明日帰れ」

ワルキューレ「……帰る、か」

勇者「何だ、それとも今日帰れそうか」

ワルキューレ「…いや」

勇者「なら、安静にしてろよ。邪魔したな」ガタッ

ワルキューレ「ま、待って…!」

勇者「何だ、もう一人の方もちゃんと解放するように……」

ワルキューレ「……違う。違うんだ」

勇者「…まだ食ってないんだ。手短に」


ワルキューレ「…………帰りたく、ない」




160: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:12:33.12 ID:5OyPL7Mao
勇者「…何だって?」

耳を疑うような言葉に、勇者は反射のように問い返す。
冗談を言っているふうではなく、その証に、まっすぐに目を見てそう言ったからだ。

ワルキューレ「いや。……このままでは、帰れない」

勇者「何なんだよ」

ワルキューレ「…貴公に、勝ちたい。勝って、安心させてやりたい。……天上の戦士の誇りにかけて」

眼の奥には、真っ直ぐな、それでいて凛とした貴さが見えた。
使命に燃えるような、聖なる任務を帯びたような、頑迷とも呼べそうな力強い調子で言葉を続ける。

ワルキューレ「……貴公、前身は……人間界の、名の知れた戦士だったのだろう?」

勇者「…さぁな。どうだったか」

ワルキューレ「…その目だ。……何故、そんなに哀しく伏せるのだ」

言われて気づいたか、勇者がすぐに伏せかけた視線を戻し、彼女へ注いだ。
遠慮なしに自らの生に対して踏み込んでくるような言葉に、わずかに不快感は募った。
かといってそれは批判するほどではなく、むしろ図星をつかれた苛立ちが勝っていた。

勇者「……俺が人間界の何かだったとして、どう話が繋がる?」

ワルキューレ「負けたままではいられない、というのもある。……だが、述べた通り。
         貴公に勝ち、証明してみせたい。人智を超える存在が、人間界を見守っているのだと」

勇者「………」

ワルキューレ「哀しいんだ。貴公の、何かを燻らせながら淡々と諦めているような顔を見るのが」

勇者「…そう見えるのか?」

ワルキューレ「…貴公に勝つ事で、少しでも楽にしてやれるというなら。……それが、『戦乙女』の務めだ。
         戦士の魂に、平穏を齎しめる事。それが、私達の存在理由なのだから」




161: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:13:03.80 ID:5OyPL7Mao
女が自らに根差す本音を吐き終えると、やや黙って聞いていた勇者がおもむろに口を開く。
不快感もどこへか吹き飛び、彼女を見直したような態度がどこか感じられる。
流石に天上の女戦士、と言おうか。
嘘偽りはなく、誇り高く、蒼穹のように澄んだ目を微塵も動かさずに一連の言葉を語っていたのだから。

勇者「……お前の見た通り、なのかもな。…どこか、捨て鉢だったのかもしれない」

あまりに真っ直ぐに見返すその目は、相手に問答無用で省みさせる説得力がある。
淫魔の魔眼とも違う意味で相手を魅了する、強気な眼差しだ。

ワルキューレ「…やはりな」

勇者「モトはと言えば、お前が道に迷って呆気なく捕まるのが原因なんだが?」

ワルキューレ「あれは……!普通の『ワルキューレ』ならしない間違いだ!」

勇者「堕女神が、方向音痴のワルキューレ軍団を保護した話を聞いたが。誰一人目的地を把握してなかったそうだ」

ワルキューレ「ぐっ……!」

勇者「……でも、強さは本物だったな」

茶化すようなやり取りの後に、唐突に矢を放つかのようにつぶやく賞賛の一言。
不意打ちの言葉を受けても、彼女は、驕らなかった。

ワルキューレ「……いや、まだだ」

勇者「まだ?」

ワルキューレ「私はまだ未熟だ。時間さえくれるのなら、必ず貴公をも超えてみせる」

勇者「……いい、言葉だ」

ワルキューレ「…私の『レベル』は、まだ上がるんだ。証明してやる。……いや、させてほしい」




162: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/27(火) 04:13:44.34 ID:5OyPL7Mao
その言葉は、彼の心を射抜いた。
人間の「上限」へと達して停滞した力を持つが故に。
彼女がこれから積み重ねれば、彼の密かな、押しつけともいえる願望も叶うかもしれない。

勇者「…ち。そこまで言われたのなら、駄目とは言えないだろう」

ワルキューレ「…それでは」

勇者「いいさ、好きにしろ。……だが、この国に、城にいるというのなら働いてもらうぞ」

ワルキューレ「無論だ。働かずに腹を満たすほど蒙昧ではない」

勇者「…だがまぁ、今日は寝ていろ、ぶり返すとまずいだろう」

強引に、肩を押し込むように彼女の体をベッドに横たえる。
枕へと相応の勢いで頭を沈めて、驚きの声も枯れないうちに、無理やりに頭まで布団を引っ被せた。

勇者「……早ければ、明日からでも働いてもらうぞ。ワルキューレ」

ワルキューレ「……そうだ、私は、何と呼べばいい?」

勇者「好きに呼べ。畏まる必要もない。……この国でもお前だけは、俺に刃を向ける権利があるんだからな」

ワルキューレ「……それでも、『陛下』と呼ばせてもらおうか」

勇者「…まぁ、いいさ」


ワルキューレ「……『今後とも、よろしく』。陛下」




迷子のワルキューレ編  完




164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/03/27(火) 04:32:48.94 ID:+4tUGJQ3o
乙です。
お馬鹿なワルキューレたんペロペロ
次も楽しみにしてます。




167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県):2012/03/27(火) 07:40:17.01 ID:OTcwxJzN0
乙。続きも楽しみに待ってるよ




169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/03/27(火) 10:09:02.01 ID:+IA7cZzbo

堕女神が可愛すぎて生きるのが辛い




187: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/28(水) 04:05:39.72 ID:5OyPL7Mao
おまけを少しだけ投下




188: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/28(水) 04:07:16.05 ID:5OyPL7Mao
地下 ローパーの檻



サキュバスB「……そうだったんだぁ。かわいそう……」

ポチ「………」ウネウネ

サキュバスB「…え?『久しぶりに、媚薬注射触手を使いたかった』?……残念だったねー」

ポチ「………」ウネウネ

サキュバスB「『乳腺活性化注射と、尿道侵入型超微細触手も』?何だか変なのばっかりだね」

ポチ「……!」ウネウネ

サキュバスB「…『人間型と同じ責めでは、触手である意義が無い。触手ならではの多彩かつ濃密な責めこそが、触手の本分だ』?
        うーん、そういうのよくわかんないけど……」

勇者「……お前、それホントに言ってんだろうな」

サキュバスB「あ、陛下!どうしてここに?」

勇者「いや、お前こそ……ポチと何話してんだ。っていうか話せるのか?」

サキュバスB「はい、たまに会いに来るんですけど……なんか、元気がないみたいだったから……」

勇者「で、何で?」

サキュバスB「『あのワルキューレと遊びたかった』そうです。もー、ダメですよ、約束は守らないと!」

勇者「……すまん」

ポチ「……」ウネウネ




189: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/28(水) 04:09:05.17 ID:5OyPL7Mao
勇者「…ところで、本当にローパーと話せるのか?」

サキュバスB「話せますよ。確か、女騎士12人、女エルフ4人、村娘17人、トレジャーハンター2人」

勇者「何が?」

サキュバスB「何って、この子の経験人数ですよー。ちなみにその内、処女は合わせて19人。騎士とエルフは全員です」

勇者「そこまで聞き出せんの!?」

ポチ「………」ウネウネ

サキュバスB「うーん……そっか。…ねぇ、陛下から頼んであげてくれませんか?」

勇者「何をだ」

サキュバスB「何って、ワルキューレさんとさせてあげられません?」

勇者「すると何か?『ローパーの玩具になってくれませんか』と俺があいつに頼めと?」

サキュバスB「お願いします!……陛下は、この子が嫌いなんですか?」

勇者「いや、そんな事はないけど……マジで?」

サキュバスB「この子、真剣ですよ。真剣に、ワルキューレさんにえっちな事がしたいんです!」

勇者「ワルキューレ『と』じゃないのか」

サキュバスB「私からもお願いしますっ!何でもしますから!」

ポチ「………!!」ウネウネウネウネ

勇者「…分かったよ。言うだけだからな」

サキュバスB「あ、ありがとうございます。よかったね、ポチ」ナデナデ

ポチ「………♪」ウネウネ

勇者「………マジで…?」




190: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/03/28(水) 04:10:40.55 ID:5OyPL7Mao
―――――

勇者「……という訳で、頼むよ」

ワルキューレ「ふっ…ふざけるな!何で私がモンスターと!」

勇者「いや、約束しちゃってさ。……頼むって」

ワルキューレ「勝手に約束するな!とにかく、私は絶対にイヤだからな!?」

勇者「頼むよ、そこを何とか」

ワルキューレ「イヤだ。絶対に負からんぞ」

勇者「そこを何とか!」ガバァッ

ワルキューレ「や、やめないか!一国の王がそんな……!頭を上げるんだ!」

勇者「頼む、この通りだ!……なぁ、あれはモンスターだが、きちんと俺の言う事は聞くんだ。無茶な事はしないから」

ワルキューレ「……嫌なんだ。…頼む、困らせないでくれ」

勇者「………」

ワルキューレ「…その…私は……モンスターじゃなく、貴公に……なら……」

勇者「……分かったよ。無理を言って、すまなかった」

ワルキューレ「………」

勇者「つまり、俺との後ならローパーと」

ワルキューレ「そうじゃないだろっ!!」





続かない




230:スタープラチナ:2012/04/01(日) 01:21:06.34 ID:YTFfrt470
>>190
そこをまげて続いてくれると信じているおれがいる。
乙ッ!!




197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/03/28(水) 08:04:51.52 ID:4ao4w79po

ポチ (´・ω・`)カワイソス




198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県):2012/03/28(水) 10:51:34.50 ID:t8vkuRPbo


いつの日かポチが報われると信じて




224: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 00:57:03.18 ID:5OyPL7Mao
予告じゃないけど、ちょっとだけ生存報告も兼ねてさわりを投下します
声援にお応え(?)して、隣国に行った方がどうなったかを書きますー




225: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 01:06:29.19 ID:5OyPL7Mao
護送されている間、彼女は白い土作りの民家が立ち並ぶ街を見ていた。
時期による温暖な気候もあってか、街ゆく人々―――といっても淫魔なのだが、皆薄着だ。
薄めの胸周りを一周するだけの紐のような、乳首だけを隠すような、衣とも呼べない代物であったりまでする。

彼女らは、大路を行く囚われのワルキューレを好機の視線で見ていた。

首と両手を横並びに木製の枷で縛められ、両足首も鉄の枷で繋いで、素早く動く事ができぬように封じてある。
彼女の整った顔は屈辱と羞恥に染まり、ときおり民衆から漏れ出す忍び笑いを耳にするたび、死んでしまいたくなるような衝動を覚えていた。
眼を伏せていた彼女がそれでも虚勢を張ろうと、笑い声の方角へ視線を飛ばす。
そちらへいた淫魔達は、思わず身を竦ませた。
戦闘能力が低く、とりわけ身体能力においてあまりに低い彼女らにとっては、ワルキューレは畏怖の象徴である。
重量を持つ武具を軽々と操り、鎧を着たまま機敏に動くための、ぎっちりと詰まった筋肉。
かといって女性としての魅力を備えていない訳でもなく、筋肉量が多すぎるという事はない。

彼女が、素直に従い、市中を引き回すようにされているのには理由がある。

彼女は、北方のヴァルハラから迷い込み、捕縛され、もう一人の仲間と離れ離れにされてしまった。
互いに別の国の支配者の城へと送り届けられた。
これからの運命を知るヒントがあるとしたら、この国も、隣の国も「淫魔」の国であるという事。
精を搾り取り、迷える人々を籠絡し、堕落させていく魔の眷属。
そんな存在に、捕らえられてしまったのだから。

この国の淫魔はみな、麗しい少女の姿をしていた。
今、彼女の両脇を固める二人と、前を行く一人は、隣の国に属する淫魔の兵士だ。
こちらは一般的に連想される淫魔として正しい姿をしており、背には蝙蝠の翼、悩ましく豊満な肉体を備えた、大人の美女の姿だ。

淫魔兵士A「……見えてきた?あれが、この国の、女王の城よ」

先頭の淫魔が、彼女へ言う。
舞い飛ぶ砂のベールの向こうに見えてきたのは、白亜の巨城。

淫魔兵士A「…覚悟しておいたほうがいいわよ。この国、おっかないから」

脅すような口ぶりにもたじろがず、彼女は、むしろ凱旋する勝者のように、胸を反らした。

虚勢には違いないが―――虚勢を張る以外の事など、できはしなかったからだ。




226: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 01:07:04.43 ID:5OyPL7Mao
それが、一日前。

今、彼女は―――城の、ある一室に幽閉されていた。
地下牢の一角だが、拷問や監禁を目的としてはいない。
重く分厚い扉の向こうには、異様に広い室内に、中心にこれまた大きなベッドが置いてある。
この国の淫魔であれば10人は寝転がる事ができるような、格別に大きなものだ。
漆黒のシーツは、まるで黒魔術に使う儀式台のようだ。

件のワルキューレは、黒い布で目隠しを施され、両手は、頭側の柵に手枷と鎖で繋がれていた。
大きく両手を上に伸ばす姿でベッドに寝かされ、秘められた腋の下までが露わにされて。
白くむっちりとした両足は全く手つかずのままで投げ出され、上半身側とは不釣り合いないやらしさを醸し出す。

もっとも目を引くのは、その、あまりに趣味の悪い衣装だ。
頭頂部には、誰の手によるものか桃色に透き通る大きなリボンが結ばれ、
丈の短い貫頭衣は裾が臍までしかなく、下半身は完全に露出されてしまっていた。
恐らくは淫魔達のサイズに合わせているためなのだろうが、上半身も皺が寄らぬほどに伸ばされ、
つぶれたままの胸が苦しいのか、時折、身をよじって気を紛らわそうとしていた。

彼女を責め苛むのは、この国の淫魔達。
見た目こそかわいらしい子供だが、その実、紛れもない「淫魔」でもあった。
情報を引き出そうとする尋問でも拷問でもなく、まるで、新しい玩具で遊ぶ子供のように無邪気で、打算が無い。
触れてくる指先は、蜻蛉の羽を千切って遊ぶものと、同じだった。
反応を示せば、さらに面白がって嬲ってくる。

昨日はただ身体を撫でられただけのようなものだが、今日は違う。

何故なら、その淫魔は―――「明日は、もっと遊びましょうね」と、ゾッとするような笑みとともに言ったのだ。




239: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 23:55:25.69 ID:5OyPL7Mao
下半身の涼しさと胸の圧迫感に耐えかねた頃、扉を開ける重い音が響き渡った。
地獄の門が開くような音と、目隠しされているがゆえの想像を掻き立てる恐怖は、彼女にさえ通じる。
扉が再び閉められると、淫魔が――いや、『淫魔達』が近寄ってくる、ひたひたという足音が聞こえた。

幼淫魔C「……お待たせ、お姉ちゃん。さみしかったでしょ?」

ワルキューレB「……ふん。誰が」

幼淫魔D「…強がっちゃってるね」

幼淫魔C「ああ、そうそう。今日は、わたしのお友達も呼んできたの。二人で、遊んであげるね」

広いベッドの上に、二人分の体重が乗せられ、沈み込ませながら両側から近づいてきた。
もはや、蜘蛛の巣にかかった蝶と並べても、違いはない。
動きを封じられ、蜘蛛が唾液を滴らせて近寄ってきても、逃げる術などない。
呼吸を落ち着かせようとしても、思うようにはいってくれない。
二倍に増えた恐怖は、容易ならぬ動揺を、ワルキューレをして、もたらしてしまった。

幼淫魔C「……えっと。女王陛下がね、お姉ちゃんを自由にしていいって言ってくれたんだよね」

ワルキューレB「……くだらん」

幼淫魔C「あっ、ひどいなー。……じゃ、遊ぼっか?」

言い終えると同時に、小さな手が、ワルキューレの乳房へと伸びる。
揉む、などという所作ではない。
薄い爪を食い込ませるように、薄布の上から思いっきり握り締めた。

ワルキューレB「くあぁっ!…い、……痛…!」

ただでさえ小さな服を着せられたまま、圧迫され続けていた乳房には、尋常ではない痛みが走る。
剃刀のような爪が食い込む鋭い痛みと、握り締められた鈍痛が同時に、乳房を痛めつける。




240: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 23:55:56.17 ID:5OyPL7Mao
目じりに涙が浮かぶが、目隠しを施されたままではそれは見えない。
見えていたからといって、この淫魔は止めないだろう。
その間にも指の力は強まり、引きちぎられそうな痛みが絶え間なく続く。

幼淫魔C「痛い?……ねぇ、痛いの?」

ワルキューレB「っ…ぐ……ふぅ…!…や、止めろ……止め……!」

幼淫魔D「かわいそーだし、止めてあげたら?傷が残っちゃうよ?」

幼淫魔C「そっか。……じゃ、やめたげよっか」

意外にもぱっと手が離され、束の間の平穏が訪れる。
全身に滲んだ脂汗が、びったりと衣を肌に張り付けた。
乳首まで透けて見えそうになるが、彼女は当然それに気づく事はできない。
先ほど嬲ったばかりの乳房の頂点にぷくりと浮き立つものを見つけると、
淫魔達は顔を突き合わせ、微笑を浮かべた。

幼淫魔C「……もしかして、きもちよかった?」

幼淫魔D「あれ?ひょっとして、止めない方が良かったかなぁ?」

幼淫魔C「あはは、変態さんー」

ワルキューレB「誰、が……あ、あぁん」

小枝のような指先が、浮いた乳首を摘む。
僅かな力で、薄布越しにきゅぅっ、と転がされ、抗議の声は甘く変わった。
こりこりとこね回され、硬くしこった乳首が、脳髄へとほろ苦い電流を走らせる。
痒みを超えども痛みには至らない、未知の感覚が、彼女の引き締まった体を打ち震わせる。
奪われた視界の中、その分に高まった触感が暴走し、普段では考えられないような領域へと彼女を上らせる。




241: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 23:56:41.08 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレB「…嫌……嫌だ……やめて……ぇ……あ、ひぃ…」

幼淫魔D「うっわぁ…!すっごい気持ちよさそーだよぉ。……ドキドキ、してきちゃった……」

幼淫魔C「…どーしよっか。脱がせちゃう?」

幼淫魔D「うん。…それじゃ、せーのでね」

乳首への責めを中断し、淫魔達が、ワルキューレを守る薄衣へと左右から手をかける。
裾と襟元にはあらかじめ切れ込みを入れてあり、左右に強く引けば、それだけで容易く裂けてしまう。

ワルキューレB「や、やめろ!それだけは……嫌だ、離せ!離してくれ!!」

ワルキューレは青ざめ、先ほどの恍惚も忘れて暴れる。
みっともなく抵抗するもむなしく、手かせと鎖をか弱く鳴り響かせるだけ。
乳房への愛撫で腰の力は萎え、下半身全体を甘い倦怠感が支配していた。

質素な衣といえど、彼女の体を包む、最後の砦である。
脱がされてしまえば、肉体を、余すところなく淫魔達へと曝け出してしまう事になる。
その心細さを予想すれば、丈の短い貫頭衣とはいえ、脱がされたくなどない。

幼淫魔C「やぁね、お姉ちゃんったら。この服、そんなに気に入った?」

幼淫魔D「はやく脱がせちゃおうよ。それに、お姉ちゃんだって、お胸が苦しいんでしょ?」

幼淫魔C「そうなんだ?……じゃ、いくよ。いっ、せーの……でっ!」

両側からの力に耐えられ、二人の淫魔に手応えを届けたのは一瞬だ。
あっけなく中心から裂かれ、まるで腹を切り開くかのように、粗末な服は襤褸切れへと化してしまった。
同時に閉じ込められていた乳房がまろび出で、ぶるんと揺れながら、その存在を主張した。
蒸れた汗の匂いが、乳房の下部分を主に広がる。
赤く色気が差した乳房の頂点には、痛々しいほどに屹立した、薄い桃色の乳首がある。
乳輪はやや小さく、締まった肉体と比べるとどこか幼く、それが、ひどく背徳的に感じられた。




242: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/01(日) 23:57:39.74 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「わぁ、おっきいんだ。…うらやましいなー」

幼淫魔D「ね。……私達、この先、ずっとこのまんまだもんね」

どこか年相応でありながら、それでいて哀しさを漂わせた言葉が口々に発せられる。
彼女たちは、子供の姿のまま、成長する事も老いる事もない。
死ぬまで、その姿はもう変わらないのだ。

小さな体は小さなまま、長くて200年の時を過ごす。
成長する事は、できない。
「大人」の体を得て、『隣の国』の淫魔のように、豊満な肉体を見せつける事などできない。

それ故、彼女たちは大人の体を持つ種族へ羨望の念を抱く。
柔らかく大きな乳房、張りのある臀部、すらりとした肢体、纏われる大人の色香。
それは、彼女たちが、絶対に手にする事のできないものだから。

幼淫魔C「……うらやましい、ね」

幼淫魔D「………うん」

呟き合い、こぞってその手をワルキューレの両乳房へと伸ばした。
先ほどの荒々しく無邪気な振る舞いとは打って変わり、優しく。
掌で摩り、指の腹で乳首を引っかけ、ゆるゆると愛でるように弄びながら、嗜虐の形を潜めてぽつぽつと言葉を漏らす。。

幼淫魔C「いい、なぁ。……おっきく、なりたいなぁ」

幼淫魔D「……うん」




243: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/02(月) 00:12:14.47 ID:5OyPL7Mao
しばらくそうしていた後、ワルキューレの胸中に複雑なものが込み上げる。
彼女らは、大人になる事などできない。
その事実を、やり取りから何とは無しに知ってしまったからだ。

護送される間にも、確かに「大人」の姿をした者は一人もいなかった。
大きくても人間の見た目に準じて15歳前後の「少女」が精々。
目につく大半は、下は8歳から、12歳ほどの幼い姿ばかりだった。

どこか沈んだ空気と、切なささえ覚える二人の言葉に、気を許しかけた。
その刹那。

ワルキューレB「…ひっ……!」

露わにされた乳房、その二つの天辺に生暖かく、湿った感触を覚えた。
硬いもので上下から乳首を挟まれ、柔らかくぬめぬめと動く何かが乳首の先端を、ほじるように蠢く。
痛みではない。
痛痒を超えた、くすぐったさを10倍したような感触が、ピンポイントで乳首のみを襲った。

全く不意打ちの襲撃に腰が浮き、氷を押し当てられたように背筋が反れて、全身の筋肉が硬く強張る。
足先までがピンと伸び、身をよじらせながら耐えていると、未だに未知の愛撫を加えられている乳首へ、更なる刺激が襲う。

硬いものに挟まれる感覚はなくなり、代わりに、砂のようにザラリとしたものが擦った。
相変わらずぬめぬめと動く何かに付随したそれは、彼女の意識を、更に高みへと持ち上げつつある。

ワルキューレ「っ…うっ…あ……ぁ……何……!何…して……ぇ…!」

その正体が、彼女らの「舌」であると、ワルキューレに気づく術はない。
少し頭を働かせれば分かるのかもしれないが、今の彼女に、平静に務める事などできはしない。

微細な棘が逆さに生えた舌の表面は、そうしている間にも、彼女の「正気」をこそげ落としていく。




259: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/04(水) 04:38:51.44 ID:5OyPL7Mao
二人の淫魔が、砂を塗したような質感を持つ舌で、彼女の両乳房を責め上げる。
猫科の動物にも似たそれは、さながらブラシのように、乳輪、乳首、淫靡にへこんだ先端を順になぞっていく。

ワルキューレB「あっ…く…ふぅ……、い…やぁ……」

彼女の声に甘さが紛れ込むと、幼き淫魔達は、次の段階へと進む。
小さな口を開き、乳首へと吸い付き、ちゅうちゅうと吸い込みつつ、舌先で転がす。
傍目には甘える幼子のようだが、その実、これは邪淫の責苦だ。
昂りきった感覚が淫魔に掌握され、彼女は、それでも意識を繋ぎ止めようともがくだけ。

乳房を吸われて、そこでようやく、彼女は責苦の正体に気付く。
それでも、快感に内包された恐怖は消えない。
吸われ、舐られ、軽く歯を立てられ、乳首はもはや快感の味を届ける、「飴玉」だ。
口内で転がされるたびにじわじわと全身に甘いしびれが広がり、尋常の思考さえも、こそげ取られていく。

ワルキューレB「…ひっ……ぅ…もう……やめ……やめへぇぇ………ぇ…」

口をついて出た声に、誰よりも驚いたのは彼女だ。
それが、自分の口から出た言葉とは思えず、信じたくもなかったのだ。
鼻にかかった甘ったるい声が、自分のものだとは思えない。
淫魔の瘴気に中てられたか、とも考える。

目隠しの布は涙でぐっしょりと濡れ、半開きの口からは涎が溢れ出し、絡み付いて舌も回らない。
みっともなく、懇願するような声しか出せない。

幼淫魔C「…っふぅ…。ほんとに、やめていいの?」

幼淫魔D「…やめたげようよ。これから、もっと楽しいことするんだからさ」

幼淫魔C「そーだね。……それじゃ、何しよっか?」

幼淫魔D「……こっちでしょ」




260: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/04(水) 04:39:41.59 ID:5OyPL7Mao
言うが早いか、ワルキューレの足の付け根に手が差し入れられる。

ワルキューレB「きゃんっ…!」

ぬめった手の感触を覚え、咄嗟に声が出る。
否、ぬめっていたのは淫魔の手ではなく―――。

幼淫魔D「わっ、すごいよこれ。…ヌルヌルじゃん」

幼淫魔C「え?…うわ、おもらししちゃったみたいだ」

洪水のようにベッドを濡らしていたのは、彼女自身から吐き出された、快楽の蜜。
シーツの黒がさらに深まり、遡れば、それは彼女の秘所に行きついた。

太腿を擦り合わせて淫魔の手を除けようとするが、抵抗にさえならない。
割れ目にそってなぞり上げられる小さな指は、羽のように、蜜を掬い取るだけ。

幼淫魔D「えへへ。……味見、しちゃお」

蜂蜜をつまみ食いするように、指先にまとった粘性の液を口へ運ぶ。
行儀悪く指全体をしゃぶる様は、淫魔というに相応しく、問答無用の蠱惑を孕んでいた。
高らかな水音は部屋中に響き渡り、ぺちょぺちょと指をしゃぶる音と交じり合い、不思議な耳ざわりの良さをも演出した。

幼淫魔D「ん……。おいし。……ねぇ、お姉ちゃん。すっごく、えっちな味がするよ?」

ワルキューレB「……っ…!」

幼淫魔C「…そろそろ、目隠し取ってあげよっか。お顔が見えないもん」

目隠しの布が取り払われ、彼女の顔が露わとなる。
改めて言うまでもなく、やはり、彼女は美しかった。
波打つ金色の長い髪、紺碧に澄んだ瞳、切なく白い肌、やや厚く、ぷくりと膨れた唇。
上がった眉からは少々強気な印象を受けるが、逆にそれが、たまらなく触れがたい美しさを醸し出している。




261: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/04(水) 04:40:32.78 ID:5OyPL7Mao
しかし、涙に濡れ、赤く腫れた眼はそれだけで戦乙女の厳かな雰囲気を消し去っている。
淫魔の凌辱にさらされ、彼女には既に逃れる術は無い。
武具も没収され、乳房への執拗な愛撫によって足腰は萎え、裸のまま拘束された事によって、
戦意を完全に喪失してしまったのが大きいだろう。

幼淫魔C「……へへっ。それじゃ、わたしにも……ごちそう、して?」

ぺろり、と舌なめずりしながら、ワルキューレの足の付け根へと、顔を近づけていく。
オーバーアクション気味の動作は、彼女の反応を楽しむためだろうか。
最中に幼淫魔Dが左足を、幼淫魔Cが右足を持ち、赤子のおしめを変える時のようなポーズを取らせる。
力の抜けた足は、見た目の肉付きに反して、容易く開かされてしまった。

ワルキューレB「なに…を……!やめろ!やめ……あうぅんっ!」

薄めの陰毛に守られた秘所へと、淫魔の舌が到達する。
やや盛り上がり、子供のようにピッチリと閉じた割れ目からは、絶え間なく清水が溢れ出す。
ちょん、と舌先が触れた程度で、彼女の声帯は震えた。

ワルキューレB「ひゃっ……あ……あぁ……きゃふっ…!」

割れ目にそってペロペロとなぞられ、嬌声が上がる。
乳房に感じたものと同じ微細な棘の生えた舌は、燃えるような未知の快感を届かせ、彼女の脳を侵略する。

幼淫魔D「あははっ!きもちよさそうにしちゃって……まるで、サキュバスみたい!」

ワルキューレ「ちが…………わた…し……はぁ……んあぁぁぁぁ!」




262: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/04(水) 04:41:28.77 ID:5OyPL7Mao
尿道口を舌で穿られ、言い返そうとした言葉は甘い声へと変じてしまう。
同時に小さな指で肛門の入り口までもなぞられ、二つの排泄器官さえも掌握され、
淫魔の手によって不浄の穴までもが快楽の種へと変わってしまった。
幼淫魔Dは満足げにそれを眺めながら、四つんばいの姿勢で彼女の顔へと近づいて行く。

幼淫魔D「……ね、助けてあげよっか?」

ワルキューレB「何……をぉ…ひゃっ……あんっ!」

幼淫魔D「…私の、なめてよ。……きもちよくしてくれたら、自由にしてあげるかもね?」

ワルキューレB「……ふ、ふざけ……い…ひぃっ……」

幼淫魔D「…どっちでもいいよ?……出たくないんなら、それでもいいしさ」

ワルキューレB「…わ…わかった……なめ…る…から……ぁ……」

幼淫魔D「…イヤなの?……言い方がちがうよ?」

詰られ、裏にある意図を察して、口籠った。
この淫魔が、何を言わせたいのか分かってしまい、羞恥心と屈辱が、閂のように唇にかかった。

しかし、それでも――――

ワルキューレB「………さい」

幼淫魔D「…聞こえないよ?」

ワルキューレB「……なめ…させ……て……くだ、さい……」




263: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/04(水) 04:42:10.10 ID:5OyPL7Mao
言葉にしてしまうと、その情けなさに涙が溢れた。
自由の身になりたい。
その一心で、淫魔に身を売り渡すような言葉を紡いでしまったのだ。
もしも可能なら、死んでしまいたいとさえ思った。
誇りのために死を厭わない程度の気概は、あると思っていた。

それでも―――自由を求めるあまり、屈服の言葉が出てしまった。

幼淫魔D「……もう、仕方ないなぁ。……きもちよく、して?」

ワルキューレB「んっ…ぶぅ……っ!」

少女が、彼女の顔の上に、ゆっくりと腰を下ろす。
産毛すら生えていない秘所は、危険なほど甘く馥郁と籠った香りを滲ませていた。
割れ目に引っかけるようにワルキューレの鼻へとこすりつけ、香りを移すように前後にスライドさせる。
自らの匂いを押しつけて、所持物だと主張する獣のように、彼女の鼻を自慰の指のように扱う。

ワルキューレB「…ふ、ぐぅ……っや……嫌……」

幼淫魔D「…何してんの?……ほら、早くなめてよ」

ぴたりと腰を静止させ、割れ目の中心を、彼女の唇へと押し当てる。
膝を立てて屈み、野で用を足すような姿勢で、上から彼女の顔を見下ろしながら。

幼淫魔D「……なめなさいよ、ほら」

言葉に、ゾッとするような冷たさが注がれる。
同時に眼下の美女の前髪を引き掴み、顔を背けさせないようにして、じっと目を見つめた。




264: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/04(水) 04:58:23.65 ID:5OyPL7Mao
無邪気な子供のような言葉から一転、命令するような口調となった事に顔を引きつらせる。
秘所を嘗めしゃぶられる感覚も置き去りにして、戦慄と恐怖が全身に満ちた。

おずおずと舌先をのぞかせ、顔の上に跨る淫魔の、幼い秘裂に沿わせる。
舌先で割れ目を舐ると、酸味を伴う香りが、舌と鼻から相乗して届けられた。

幼淫魔D「ん……。…だめ、だよ……もっと……してよ」

ワルキューレの前髪を掴む手に、更に力が籠もる。
小さな体のどこから出ているのか分からないほどに強く、さらに未成熟な秘所へと彼女の顔を押し付ける。
息をつくことさえ叶わず、舌先は、屈辱と背徳の意思に反して動きの幅を増す。
上下に往復するように嘗め、唇を窄めて吸い付き、陰核に鼻先を引っかけ、刺激する。

幼い淫魔の秘所の匂いを間近で嗅いでから、ワルキューレは自制が利かなくなってしまっていた。
「なめたい」という欲求がふつふつと湧きあがり、それは奉仕の喜びへと変じつつある。
舌を動かすたびに、顔の上に跨る淫魔が身体を振るわせ、快感に身をくねらせる。

幼淫魔D「……いい、よ……お姉ちゃん……じょうず……だ、よぉ……」

奉仕の喜びに、未だ嬲られ続ける秘所から届けられる快感。
もはや認識は狂いつつあり、悪魔の、否、「淫魔の囁き」が脳裏に響きつつあった。

―――愉しんでしまえ。

―――気持ち良いんだろう?

―――こらえる事など、ない。

続けざまに脳裏に浮かぶ言葉を否定しつつも、舌はとどまる気配が無い。
こうしている間にも、顔面に跨る淫魔の秘所へ、不器用な、それでいて献身的な奉仕が続けられていた。
漏れ出す蜜は、喉を潤す清水に思えた。
こくり、こくり、と喉を鳴らして飲み込む度に、甘い香りと甘露なる味に脳天までとろけるようだった。




280: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/06(金) 01:34:44.50 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「ずるいよ、もう。……なかまはずれにして」

むにむにとワルキューレの後ろの蕾を弄っていた指先を引込め、代わりに口を寄せていく。
舌先が少しずつ降りていくのを感じて、ワルキューレは喉の奥で怯えを漏らす。

ワルキューレ「ぷはっ……ぁ……やめ……やめ…ろ……そこはぁ……」

どうにか言葉を絞り出しても、時すでに遅く。
淫魔の舌が、尻肉の間にある窄まりへと這わされた。
舌先が触れればピクリと震え、跳ね返すようにぎゅぅっと収縮を繰り返す。
それでも舌は動きを止めず、皺の一本一本を伸ばすように、念入りに不浄の蕾をなめ上げた。

ワルキューレ「は…うぅ……!…そんな……汚……!」

幼淫魔D「……もう、だめでしょ。……おさぼりしちゃ」

彼女の頭を押さえつけ、幼淫魔Dがなおも自らへの奉仕を強要する。
小さな体に反して意外なほどに力は強く、顔を逸らす事もできず、舌を一所懸命に伸ばして、ちろちろと奉仕を再開する。
蕾から伝えられる、奇妙にこそばゆい感覚が全身を支配していく。
瞬間的にゆるんだ蕾から舌先を侵入されると、彼女は背筋を突き抜けるような、凍りつく感覚に痺れた。

本来は排泄にしか用いないはずの器官から、淫魔の舌が遡ってくる。
暖かく、意思を持つ一個の動物のように蠢く舌が内側から蕾をなめ上げてくる。
括約筋はもはや跳ね返すことさえ叶わずに、淫魔の舌が好き勝手ににゅるにゅると出入りするだけ。

ワルキューレ「(……駄目…だ……!きもち……よすぎ、て……変に……なる……!)」

尻穴を何度も穿られ、ドロドロに溶けた脳髄が抵抗の意思を追い出してしまう。
快感に身を任せようにも、顔の上の淫魔をも満足させねばならない。

いつしか、彼女は――強要されたからではなく、その奉仕に責任感をも感じてしまっていた。

幼淫魔C「お尻、ひくひくしてるよ。……えっちだね、お姉ちゃん」




281: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/06(金) 01:45:48.86 ID:5OyPL7Mao
嬲るような言葉も、もう彼女には届かない。
冷めやらない火照りに促されるままに、一心不乱に、不器用に舌を用いて、幼い淫魔へ愛撫を続ける。
ワルキューレに、夜伽の心得など無い。
荒々しく、拙く、そして、必死に舌を蠢かせるだけ。

口内へと重力に従って流れ落ちてくる愛液を飲み込み、何度も咳き込みながら、それでも、操られたように口淫は止めない。
唇でひときわ小さな尿道口を吸い、愛液をまとって滑りがよくなった秘裂へと、舌を滑り込ませる。
耐えきれず腰が落ちた時には、小さく包皮に包まれた陰核へと唇を寄せて、強く吸い付いた。

幼淫魔D「っ…あぁぁぁ……お姉ちゃん……お姉…ちゃ……!」

鈴を転がすような少女の声で、幼い淫魔は悩ましく喘ぐ。
ワルキューレの必死の愛撫は、危険種の淫魔をも高みへと導きつつある。
その声に、彼女の胸中に「嬉しさ」が灯った。

―――私の拙いやり方でも、この淫魔は喜んでくれている。

―――もっと、喜ばせてあげたい。

戦乙女の誇りが抵抗を生み出しながらも、その一念は曲がらない。
不遜にも顔面に跨り、秘所を擦りつけてよがる淫魔を、喜び啼かせてやりたいと思ったのだ。

舌先の動きが更に増して、尿道を、陰唇を、陰核を我武者羅に舐め尽くす。
もはや自らに施されている愛撫さえ慣れてしまっていた。




283: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/06(金) 02:15:11.89 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔D「あっ……あぁ……だめ…ぇ……きもちいぃ、よぉ……!」

スパートをかけるように、陰核を包皮ごと吸われ、淫魔が身をくねらせる。
望外の快感は、知らず知らずの内にワルキューレの顔へ、股間を沈み込ませていた。
気付けば手をベッドの上につき、がくがくと震えていた。

やがて、身を二度、三度と震わせながら淫魔は達する。
びくんびくんと喘がせながら、上り詰めるような、脊髄から駆け上がる快楽に身を強張らせて。

幼淫魔C「あれぇ?……イっちゃった?だめだよー」

幼淫魔D「ご、ごめん…ね……。このお姉ちゃん、すごく上手だったから……」

幼淫魔C「……まだ、やりたい事あるんだからさ」

幼淫魔D「うん。何、しよっか?」

幼淫魔C「代わってよ。今度は、私がお姉ちゃんにしてもらいたいの」

幼淫魔D「いいよ。……ほら」

重くなった腰を引きずりながら、ワルキューレの顔面から離れる。
彼女の顔は愛液、涙、唾液にまみれて、すっかりと蕩けてしまっていた。

幼淫魔C「……これも、じょうずにできる?」

幼淫魔Cが交代するように彼女の顔へと近づく。
その股間には――――女陰はそのままに、陰核が『男根』へと化けていた。




285: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/06(金) 02:45:07.83 ID:5OyPL7Mao
ワルキューレB「……それ……は……?」

幼淫魔C「びっくりした?……私達、こういうのもできるんだよ。……なめたい?」

問いかけに、ワルキューレの胸が爆ぜる。
果てなく高まる鼓動に、張り裂けてしまいそうだ。
鼻先から漂う生臭さが、被虐心に加速度を加えていく。

ワルキューレB「………」

幼淫魔C「…もう。ちゃんとおねだりしてよ」

ワルキューレB「……う……うぅ……」

幼淫魔C「どう?……おねだりできないんなら、やめちゃうよ」

ワルキューレB「……なめ……たい……です」

幼淫魔C「うん。……おりこうになって、きたね?」

ワルキューレの口内へと、少しずつ、淫魔の男根が捻じ込まれていく。
先ほどまでとは違う口内へ「侵入される」感覚に、ワルキューレは戸惑う。
包皮で先端の半ばまで覆われた男根が、まるで抵抗なく飲み込まれていく。

幼淫魔C「かまないで?……大事にね」

ワルキューレの顔を横に向かせたまま、男根を含ませながら言う。
太さはともかく、長い。
確実な「受精」を目的とした器官が、喉元まで一気に突き込まれていく。




287: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/06(金) 03:37:30.51 ID:5OyPL7Mao
含まされた男根に喉まで侵入され、咽せた拍子に手首を繋いだ鎖が鳴る。
突き込まれた瞬間こそ息苦しさを感じたものの、太くはないおかげで、呼吸は楽になった。

ちゅぷ、ちゅぷと軽やかな音とともに淫魔の男根をしゃぶる姿には、戦乙女の矜持は既に無い。
目じりから反射として涙を浮かせてはいるが、苦しくは無い。
自ら積極的に奉仕せねばならなかった先ほどまでとは違い、
喉深くまで侵入し、強制的に奉仕させるような男根の感覚は新鮮でもある。

幼淫魔C「くっ……熱い…よぉ……お姉ちゃん……!」

含ませた口内の熱に、幼淫魔Cが喘ぐ。
教えるでもなく、鈴口へ舌先をあて、チロチロと軽やかな刺激を加えられているのだ。
軽く吸いながら、舌を用いてのフェラチオは、幼い姿の淫魔へと刺激を届けた。
同じ淫魔同士とは違う、拙く不器用な舌遣いは、それだけで性技として成り立っている。

ちゅ、ちゅ、と接吻するように先端を唇で愛でられる。
ワルキューレのぽってりとした肉感的な唇は、それだけで性器のように淫靡で、淫魔も顔負けだ。

先ほどまでの奉仕で要領を得たか、舌と唇、そして歯茎を惜しみなく用いて、男根を隙無くしゃぶり上げる。
自らの身の上すらも受け入れ、恍惚の表情で、淫魔から生えた男根を、恋人のように舐めていく。

幼淫魔C「……お姉……ちゃん……!…ほんとに……はじめ……て…なの…ぉ…?」

答えは、帰ってこない。
代わりに鈴口への強烈な吸引で返され、淫魔の体が、ビクビクと震えるのみ。




295: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 01:30:24.17 ID:5OyPL7Mao
彼女は自ら頭を振り立て、不規則ながら唇による摩擦と吸引も加えていた。
口内に充満する艶やかな香りが鼻まで抜けて、正常な判断力をも奪われていた。

ワルキューレB「(…やだ……私……なんで……こんな、事…して……)」

それでも残った一かけらの理性が、今行っている『口淫』を疑問視する。
自分は淫魔ではなく、ワルキューレなのに。
なぜ、誰に教えられた訳でもなく、こんな風に――――

幼淫魔C「だめ、ぇ……出ちゃう……出ちゃうよぉ……!」

淫魔が小声で喘ぎ、引き攣ったように男根が何度も口の中で跳ねる。
本来は自らが責め手であったはずなのに、今では立場が逆のように思えていた。
予想外の刺激に、気を抜けば精を吐き出してしまいそうだ。

ワルキューレB「…んっ…ぐ……」

突如に、口内に含んだ男根が膨れ上がり、強く震える。
喉奥に亀頭を感じたとたんに、容赦なく精液が吐き出された。

幼淫魔C「あっ…あぁぁ……お姉……ちゃ……飲ん…でぇ…」

弓なりに体を反らせて精液を吐きだしながら、命令、いや懇願を口にした。
何処に収まっていたものか、射精の波は留まるところを知らない。
一度、二度、三度と脈動しても、治まる気配はない。

ワルキューレB「(あぁ…すご…い……こんなにぃ……)」




296: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 01:47:15.66 ID:5OyPL7Mao
叩きつけられる粘性の液体が、喉へと絡み付く。
言われるがままに嚥下していくも、その量は無限かとも思える程に、多い。

口内からあふれた精液が唇の端から溢れ、赤みが差した頬を流れ落ちる。
どぷどぷと注がれた大量の精液を、劣らない勢いで飲み下す彼女の顔は、どこか満ち足りて見える。
射精の波が弱まった頃に口内から淫魔の男根が引き抜かれると、唾液、精液の糸が引いた。

幼淫魔C「あっ…ふ……!」

引き抜いた直後に、暴発したように再び精が吐き出される。
射精直後の敏感な陰茎には、ぬめりを帯びた唇の刺激が不意打ちとなったのか。
それとも―――抜かれていくモノへ、ワルキューレが何かの刺激を口内で加えたのか。

白濁が彼女の顔へ降り注ぎ、白く彩っていく。
美しい顔に純白のケープを掛けたかのように、顔全体をべっとりと濡らす。
口元は引き結ばれ、口内に残った精液を飲み込みながら、ときおり吐息をこぼれさせた。

ワルキューレ「(…熱い……ぃ…息…でき、な……)」

浴びた白濁で鼻を塞がれ、息苦しさを感じた頃に、おもむろに大きく口を開く。
手を縛られた今、呼吸を確保するためにはそれしかない。

ワルキューレ「…ぶはっ……ハァ……ハァ…」

荒く呼吸をついていたら、顔面に精液を塗りこめられる。
淫魔が、自らのモノにこびりついた精液を、彼女の顔で拭っていた。
自らの味と匂い、温もりを覚えさせ、「犬」へと仕込むように、ゆっくりと。




297: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 02:49:36.60 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「お姉ちゃん、ありがと。……すっごく、きもちよかったよ」

一しきり白濁を塗り付けると、生えた時とは逆に、男根がゆっくりと縮みはじめる。
再び真珠のような陰核へと戻ると、淫魔達は、彼女から少しずつ離れていき、ひそひそ話を始めた。

幼淫魔D「…次、どうしよっか?」

幼淫魔C「何する?……ふつーにえっちしても面白くないよね」

幼淫魔D「じゃ、お尻は?どこまで広がるか試してみよーよ」

幼淫魔C「いいね。あと、お尻にお薬入れて、栓しておくのは?」

幼淫魔D「……じゃ、明日はいろいろ持ってこようね。今日はもう疲れちゃったし」

幼淫魔C「うん、わかった。……お姉ちゃん、また明日ね」

二人の淫魔がゆっくりと、ワルキューレの顔を布で拭い始める。
競うように荒々しく付着した精液を拭き取られるも、抵抗する気力は既に無い。

幼淫魔D「……それじゃ、おやすみ。……またすぐ来るからね」

幼淫魔C「風邪、ひかないでね?」

ワルキューレB「待て……待って……お願い……」

引き留めるような言葉は、足取り軽やかに扉へと向かう二人を止められなかった。
尚も紡ごうとした言葉は、金属の扉が閉まる重厚な音、そして外から施錠される音にかき消された。

残ったのは、紫の炎を灯らせる壁面の蝋燭と、黒い寝台に寝かされた哀れな「生贄」のみ。
何度試そうとも手枷を解く事などできず、金属音が響くだけ。

ワルキューレB「…一人は……嫌、だ……」

心細さによるものか、それとも、別の感情を芽生えさせたのか。
その独白は、他に誰もいない部屋に、空しく吐き出された。




299: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 03:18:18.67 ID:5OyPL7Mao
三日後

幼淫魔C「……ねー、代わってよぉ」

幼淫魔D「やだよ。……お口でしてもらえば?」

ワルキューレB「うっ……!、あ、あぁぁ!イ、くぅ……イくぅ…!」

ワルキューレの手枷はそのままだが、鎖の拘束は解かれていた。
四つんばいで尻を持ち上げる姿勢のままで後ろの蕾を陰茎で犯されながら、嬌声を上げている。
大きく開いた口からは舌が突き出され、その目にはもはや誇り高き戦乙女の眼光は戻らないだろう。
不浄の快楽に澱んだ目は、虚空を泳いでいた。

彼女が処女である事を知った淫魔達は、趣味の悪い遊びを思いついた。
それは――膣にはあえて手を触れずに、尻穴のみを用いようと。
無邪気なままに思いつく限りの肛虐を受け、彼女の蕾は、快楽の秘壺へと作り変えられてしまった。
どれほど虐められても、無様に広がる様子はない。
美しい擂鉢状の蕾は、三日間の肛虐を経ても変わっていない。

幼淫魔D「…かってにイっちゃだめって言ったでしょ」

ワルキューレB「むり…です、ぅ……イキ…たい…ぃぃ!」

幼淫魔D「…しょーがないなぁ。おねだり、できるよね?」




300: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 03:52:52.76 ID:5OyPL7Mao
葛藤は、なかった。
骨身に沁みるほど教え込まれた禁断の快楽は、それほどまでに強い。
あの快楽を味わうために、彼女はもう、何も躊躇いはしない。

ワルキューレB「わ…私……はぁ…ケツ穴…ほじられ、て……よがる…変態、ワルキューレ…ですぅ……!」

幼淫魔D「それで、変態さんはどうしてほしいのかなぁ?」

尻穴へのピストンを止め、雁首までを引き抜きながら、嬲るように、謡うように次の言葉を求める。
幼淫魔Cのものとは形が違う、赤黒く隆起したモノは、太さにして自らの手首ほどはあるだろうか。
ところどころにゴツゴツと現れたイボのような突起は、グロテスクの域を超えている。
このような規格外の一物をも飲み込んでしまうほどに、ワルキューレは調教されつくしてしまったのだ。

ワルキューレB「ケツ穴…犯してぇ……イカせて…ほしい、です…お、お願い…しますぅ…」

幼淫魔D「はい、よくできました♪……それじゃ、いくよー?」

小さな手が彼女の尻たぶを開かせて、求めに応えようと準備する。
彼女は期待のあまり心臓を止めてしまいそうなほどに、狂おしくその瞬間を待つ。

ワルキューレB「……が、ぁ…!あぁぁぁぁ!きたぁ!チンポ…きたのぉぉ!」

持ち主とはアンバランスなほどに野太い一物が、いきなり奥深くへと突っ込まれる。
一瞬で快楽が脳を灼き、最初のストロークだけで達してしまいそうだ。




301: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 04:28:04.94 ID:5OyPL7Mao
侵入される圧迫感と、引き抜かれる排泄のような快感。
突起が腸内を鈍く引っ掻き、凶暴極まる快楽。
更には、犬のような姿勢で、淫語を口にしながら淫魔に犯される背徳と敗北の味。
そして、脳のどこかがイカれたとしか思えないような、異常な性的興奮。

次々に浮かび溶ける無数の要素が、ワルキューレを堕としていった。

ワルキューレB「あおぉっ…あぁ!あぁ〜!」

行為の最中に、意味のある言葉はもはや紡げない。
みっともなく、だらしなく、甘美な鳴き声を上げる獣のようだ。

幼淫魔D「…あは、ははは!キモチイイ?キモチイイの?」

ワルキューレB「は、いぃ……ケツの、穴…がぁ…気持ぢいい…れす……ぅ…!」

幼淫魔D「ほんっと、変態さんになっちゃったねー。……じゃ、そろそろ出してあげるね?」

ワルキューレB「出し…てぇ……出して……」

運動の速度が、にわかに早まる。
ぶちゅ、ぶちゅとはしたなく湿った音を立て、陰茎が何度も往復する。
ワルキューレの秘裂からはポタポタと蜜が漏れ出し、糸を引いた雫が絶え間なくベッドの上へと垂れ落ちた。

高みに上りつつあったワルキューレの内部で、熱い飛沫が散る。
腸内部の粘膜がそれを知覚した途端―――彼女もまた、達した。




302: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/04/07(土) 04:52:16.79 ID:5OyPL7Mao
隣女王「なっ……何を、しているのですか!?」

その後、代わる代わるに彼女を犯していると、開いた扉から良く知る声が浴びせられた。
さしもの淫魔達も、その声の主には抗えず、驚いて注視する。

幼淫魔C「…女王、さま?……だって……女王さまが……」

幼淫魔D「『自由にしてもいい』って……」

隣女王「私は、『自由にしてあげなさい』と言ったのです!」

幼淫魔D「えっ」

幼淫魔C「そ、そうだったんですか?てっきり……」

隣女王「……貴女達は、まったく。……大丈夫、ですか?」

歩み寄り、哀れなワルキューレに手を差し伸べようとする。
咽返るような淫靡な香りに鼻をつかれながら、近づく。
近づく度に、女王に変化が起きていった。

ワルキューレが全身から立ち上らせる、強烈なメスの香りに。
下半身を基点に鼻腔へ流れ込む、白濁の香りに。
密室に充満した、秘め事によって生み出された淫猥な空気に。

それは―――鮫が血の香りを嗅ぎ、目を引っくり返らせ、捕食活動へとスイッチする姿を想起させる。


隣女王「……………」カチッ





もう一人のワルキューレ編  完




2: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:09:57.25 ID:5OyPL7Mao
染め抜かれたような闇の中から、続けざまに、粘つくような液体音が響く。
途中に絶え絶えに混じり合うのは、甘やかな吐息と、嫌悪を孕んだ悲鳴。
嗅ぎなれない生臭い香りが鼻をつき、暗闇の中で行われている行為をそこはかとなしに気づかせた。

だが―――「何」がいるのか。

交響曲のように、いくつもの微かに異なる「音」が重なり合う。
ぐしゅぐしゅ、と何かを泡立て、擦りつけるような音。
ぶちゅぅ、と何かを絞り出すような音。
激しく吸い付くような音、
湿った何かを水音とともに激しく摩擦させる音、
そして、表現の言葉さえ見つからないような、想像さえもできない音。

???「いあっ…ひゃぅぅっ!だ、ダメ……ぇ……!ゆるして、ゆるしてぇぇ……!」

久方ぶりに、この空間に意味ある「言葉」が訪れた。
原始に帰ったかのように、まるで意味のない韻律しか紡がれなかった世界に、再び。

???「ごめんなさ……ひいぃあぁぁぁぁぁ!いぎぃぃぃ!」

謝罪の言葉は、絶叫へと化けた。
直前に聞こえたのは、空気をかき分けるような、細く長い音。
それはもはや、断末摩の悲鳴だった。
果たして、この場で行われているのは、一体何なのか。
吐き気を催すような血の香りは漂っていない。
ただただ生臭く、たまに薄まったアンモニアの匂いが鼻をつくのみ。

―――それだけに、何よりも不気味だった。

???「ごめんなさい!ごめんなさいぃぃぃ!もう、やめ……が、あぁぁぁぁぁ!いやあぁぁぁぁ!!」


???『……いけません。これは、教育なのですから』




3: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:10:28.52 ID:5OyPL7Mao
話は、二日ほど遡る。

勇者「………話が見えないぞ?」

隣女王「……陛下のご協力が必要なのです」

内密に頼みたい事がある、と訪れた隣国の女王は、ある話を持ちかけた。

勇者「つまり、あれか。態度が悪い部下に、お仕置きをしたいと?」

隣女王「はい。…どうか、お願いいたしたく」

先のワルキューレの一件は、彼女でさえもまずいと思ったとの事。
解放しろと命令したはずのワルキューレを城の地下に捕らえ、嬲り、
最終的には惨めな肉人形へと堕としてしまった。
それも、遊び半分に。
彼女はもはやヴァルハラには戻れず、今も尚、女王の宮殿で暮らしているという。

勇者「女王がそんな事を言うからには、ワルキューレの一件だけじゃないんだろ?」

隣女王「彼女らの行動は目に余ります。もはや見過ごせません」

勇者「風呂場で命の恩人を寄って集ってオモチャにしたりな」

隣女王「はい?」

勇者「あ、あぁ……いや、何でもない!」アセアセ

隣女王「?」




4: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:11:02.89 ID:5OyPL7Mao
勇者「……で、他に何をやったのかな?…言いたくないなら突っ込まないけど」

隣女王「…………まぁ、基本的にはワルキューレの方と同じです。ただ、前科があまりに多くて」

勇者「ほほう」

隣女王「…そ、その……私の口からは…とても……!」カァァァ

勇者「……(二重人格め)」

隣女王「とにかく……彼女らを教育するため。ぜひとも……『キングローパー』の力をお借りしたいのです」

勇者「キング?…ローパー?」

隣女王「…陛下は、『ポチ』と名付けておいででしたね」

勇者「あいつ、そんな種族だったの?」

隣女王「創世の女神をも穢し堕とす、最強種のローパー。淫魔でさえもよがり狂い、人間であれば悶え死ぬと言います」

勇者「えー……」

隣女王「ご存じなかったのですか?」

勇者「……確かに普通のローパーにしちゃ、やけにデカいし触手が多いと思ってた」

隣女王「…………」




5: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:11:26.38 ID:5OyPL7Mao
勇者「で、何だ。ポチを貸せと?」

隣女王「……語弊がありました。彼に、我が国への出張をお願いしたいのです」

勇者「ふーむ……」

隣女王「タダでとは申しません。……どうか、お願いします。恥を忍んで……」

勇者「…………まぁ、いいが」

隣女王「え?」

勇者「ポチも欲求不満のようだし、ガス抜きにはいいだろうし」

隣女王「ありがとうございます!それでは、明日にでも、彼を連れて行かせていただいても?」

勇者「ああ、いいとも。……こちらから、『本人』には話をつけておくよ」

隣女王「……話せるのですか?ローパーと?」

勇者「俺じゃない。……っていうか、ローパーと話せるのはやっぱり珍しいの?」

隣女王「普通は話せませんよ。そもそもローパーに発声器官など無いじゃないですか」

勇者「あ」

隣女王「……『コミュニケーション』という概念があるのかどうかさえ疑わしいですよ」




6: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:11:52.10 ID:5OyPL7Mao
勇者「しかし…他に、やり方はないのか?」

隣女王「………どんな罰を下しても、彼女らには効き目がありませんでした」

勇者「だからって……」

隣女王「……確かに、私達の種族は、抑え難いほどの『本能』を持っています」

勇者「(自覚あったのか)」

隣女王「…ショック療法、というものを試してみようと思いまして」

勇者「おいおい……」

隣女王「別に、真面目になってくれなくとも良いのです。少しだけ反省して、少しだけ慎みを持ってくれさえすれば」

勇者「まぁ、女王みたいに真面目なのもいるからな。……ちなみに、そいつらは何歳?」

隣女王「確か……CとDが47歳、他の者達は50から60……」

勇者「47でそんなキャラ!?」

隣女王「……お恥ずかしい限りです」

勇者「……年上…………いや…今に始まった事じゃないか」

隣女王「?」




7: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:12:16.03 ID:5OyPL7Mao
執務室

勇者「……ってな訳で、しばらくポチは隣国に出張する事になった」

堕女神「…また事後承諾ですか」

勇者「仕方ないだろ。ポチのガス抜きというか、慰安も兼ねてさ」

堕女神「大丈夫でしょうか。心配です」

勇者「大丈夫だって。そうそうヤワでもないぞ、ポチは」

堕女神「いえ、そちらではなく……」

勇者「?」

堕女神「隣国の淫魔です。…無事だと良いのですが」

勇者「…………え?」

堕女神「お預けを食わされ高まったキング・ローパー。その猛り狂った触手を受け止められる種族などありません」

勇者「え?」

堕女神「……淫魔でさえも耐えられない、もはや残酷な程の快感。……死者が出なければ良いのですが」

勇者「えー……ひょっとして、トンデモナイ事をしちゃったかな?」

堕女神「まぁ、聞くところでは、対象は一人ではないようですし……おそらく、大丈夫でしょう。分散されますよ」




8: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:12:50.71 ID:5OyPL7Mao
勇者「……やべ、ちょっと冷や汗が出てきた」

堕女神「せめて、ご相談下されば」

勇者「後悔してるよ」

堕女神「……それでは明日、『ポチ』を隣国へ送り……」フラッ

勇者「おい、堕女神?」

堕女神「はい…?」

勇者「…はい、じゃないだろ。大丈夫なのか」

堕女神「……問題は……ありません」

勇者「目の前でフラついておいてそれは無いだろ」

堕女神「…申し訳ありません」

勇者「……体調が悪いんなら、隠すなよ」

堕女神「いえ、大丈夫です。それより、続けさせていただきます」

勇者「…………」




9: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:13:20.83 ID:5OyPL7Mao
地下室

勇者「……そういう事で、明日から頼むぞ、ポチ」

サキュバスB「なるほどぉ〜……」

ポチ「……」グネグネ

勇者「何か言ってるのか?」

サキュバスB「『腕、いや触手が鳴るぜぇ!』だそうです」

勇者「ヤる気満々だな、期待しているぞ。ちゃんと女王の言う事を聞けよ?」

ポチ「………」コクリ

サキュバスB「隣の淫魔さん達、大丈夫なんでしょーか……」

勇者「…それはもういい。既に悪党の気分なんだよ」

サキュバスB「……うーん」

ポチ「………」グネグネ

勇者「今度は何だって?」

サキュバスB「『フッ。俺様が子宮の奥まで根性を叩き直してやるぜ』ですって」

勇者「キャラ変わってね?」

サキュバスB「この子、いつもわりと熱血ですよ?」

勇者「いらない情報増やすな!」




10: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:13:52.95 ID:5OyPL7Mao
――――そして、明くる日。
女王をもてなした後に、馬車にローパーを詰め込み、彼女らは帰って行った。
軟体を持つ魔物は馬車にみっちりと押し込まれ、女王を含めた数人の淫魔は、別の馬車へ。

勇者「それじゃ、ポチ。頑張れよ」

ポチ「………」グネグネ

サキュバスB「『おれにまかせろ』だそうです」

勇者「マネすんなこの野郎」

隣女王「それでは、ありがとうございました。……済み次第、こちらにお送りいたしますね」

勇者「ああ。……まぁ、好きにさせて。責任は俺は取らないぞ」

隣女王「?」

勇者「いや、別に。……それでは、体に気を付けてな」

隣女王「はい。それでは、皆様方もお元気で」


馬車が見えなくなるまで見送り、勇者と彼女らは城内へと戻る。
―――そして、話は隣の国へ。




11: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:14:22.84 ID:5OyPL7Mao
隣女王「……いいですか?」

幼淫魔C「…?女王さま?何ですか?」

夜中、宮殿の中を見回っていた「一人目」へ、隣女王が声をかけた。
当人はきょとんとして、次の言葉を待っている。
減らされた明かりの下で、女王の顔は苦く、歪んだ。
唇の震えを押さえながらでは、上手く言葉は綴られない。

たとえこれが罰だと分かっていても。
臣下の素行を正すための、仕方ない過程であろうとも。
彼女は、まるでどちらが罰を下される側なのか、分からないような空気を漂わせていた。


隣女王「ついてきていただけますか?あなたに、大切な話があるのです」

幼淫魔C「……はい。どこに行くんですか?」

隣女王「地下へ。どうしても、他の者には聞かれたくない話なのです」

幼淫魔C「わかりました」

疑いを一欠片も持たず、彼女は、女王へと追従した。
その素直な態度に、ちくちくと胸が痛む。

これから―――彼女は、「教育」を受けるのだ。
それも、淫魔をも喰らう魔手によって。




12: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:14:55.67 ID:5OyPL7Mao
階段を抜け、底冷えのする地下室を歩み続ける。
反響した足音が重なり合い、二人だけの足音が幾倍にも増えて聞こえた。

あくまで振り返らず表情を見せない女王。
それに反して、表情が少しずつ曇り始めた、幼い淫魔。
足取りがどこに向かっているかを、理解し始めたからだ。

ワルキューレに始まり、訪れた他種族の女を弄ぶのに使った、鉄扉に隔てられた空間。
その場所へと誘導されていると、気付いたのだ。

幼淫魔C「…女王、さま?」

隣女王「はい」

幼淫魔C「どこへ…行くんですか?」

隣女王「すぐ近くです。…言ったでしょう。誰にも聞かれたくない話があると」

優しくたおやかな女王にしては、冷たい声で返事がされる。
有無を言わせぬ迫力さえ感じ、幼淫魔Cはすぐに口を噤んだ。

隣女王「……着きました、この部屋です。こちらへどうぞ」

案内された場所は―――予想を裏切っては、くれなかった。




13: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:15:25.19 ID:5OyPL7Mao
重く軋んだ音を立て、鉄製の扉が開かれる。
入り口を除いて照明は落とされており、部屋の奥には完全な闇の一角があった。
否――正しくは、部屋の7割が、暗闇と化していた。
入ってすぐの壁面に蝋燭が3本ほど灯されている他は、何も無い。
飲み込まれるような、誘い込むような、闇。

幼淫魔C「……あの……?」

隣女王「入ってください」

幼淫魔C「で、でも……なんで、こんな……暗く……?」

隣女王「使わない部屋の明かりを落としておくのは、おかしいですか?」

幼淫魔C「………」

隣女王「…私は、『入りなさい』と言いましたよ?」

幼淫魔C「は、はい!」

急かされ、疑念を宿したまま、部屋に入る。
眼で見通せない闇の中には、気配を感じるような錯覚をする事がある。
それ故、人々は闇を恐れる。
そこに見えぬ何かが存在するのではないか、と慄く。

この場合は、無論、錯覚ではないのだ。
闇の中には、文字通りの『魔物』が潜んでいるのだから。




14: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:16:00.17 ID:5OyPL7Mao
開け放たれた入り口近くに、女王が立つ。
闇を背にして、幼淫魔Cが、背を気にしながら向かい合うように。
未だ、自らに起こる事も、闇の中にいる者も、理解している訳では無い。
あまりにも、不自然すぎる事だけだ。

女王が声をかけ、自分一人を連れてきた事。
話があるといい、地下室の、それも奥まったこの部屋へと連れて来られた事。
よりによって、幾多の凌辱が行われたこの部屋、それも何故、ことさらに闇へと包まれているのか。

そして―――何故、女王は口を開こうとしないのか。

隣女王「……私は、あなたが好きです」

幼淫魔C「え……?」

隣女王「いえ、あなただけではありません。私は、我が国の民を愛しております」

幼淫魔C「え、な、何ですかぁ?」

隣女王「…都合のいい物言いだとは分かっています。私は……あなたが好きだから、こうするしかないのです」

幼淫魔C「な、何を言ってるんですか?」

隣女王「……ワルキューレを弄び、魔界に迷い込んだ人間を性別関係なく犯し、壊してしまった」

幼淫魔C「…………?」

隣女王「これは罰ではありません。……でもあなたには、一度だけ地獄を見ていただくしかないのです」

幼淫魔C「何……?こ、怖いですよ?女王さま?」

隣女王「………お願いします。『ポチ』さん」




15: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:16:34.60 ID:5OyPL7Mao
闇の中、空気が蠢く。
やたらに粘っこい音が高らかに響き、闇に感じた気配が一気に収束していく。
背を向けていた彼女の背筋に走ったのは、悪寒などという「生ぬるい」ものではない。
本能が、ただ一つの言葉を警鐘を打ち鳴らす如くに繰り返す。
彼女の思考一切すべてがそれだけに傾き、他の思考を叩き出して。

―――逃げろ。逃げろ。逃げろ。逃げろ。

振り返る事無く、半開きの扉へと走り出す。
女王の脇をすり抜け、敷居をまたいだ、その瞬間。

腹部、足首、肩、胸。
全身に何かが巻き付く感触。


粘り気や不快感を感じるより先に、強烈な負荷とともに、一気に引き戻され――闇の中へと、引きずり込まれた。
眼の端に女王の姿が映り、それは、一瞬で遠くなった。

幼淫魔C「……な、何っ!?じょ、女王さまぁ!」

隣女王「…あなたが反省し、行動を少し改めてくれればそれでよかった。……でも、あなたはその全ての機会を蹴ったのです」

幼淫魔C「やだっ……!ね、ネバネバして……ひゃぁぁぁっ!?」

隣女王「……それでは、また明日の夜に来ます。その時には、お返事を聞かせてくださいね?」

視界を埋め尽くす触手の林に、扉をくぐる女王の姿を認めた。
彼女を独り、魔物とともに残して。

幼淫魔C「ま、待ってぇ!置いていかないでぇ!いや、いやだよぉぉっ!」

せめてもの情けか、女王が出る間際に、室内の蝋燭が全て灯る。
そして―――扉が閉まる無慈悲な音が、竦ませるように響き渡った。




16: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:17:09.00 ID:5OyPL7Mao
完全に閉め切られた空間に、淫魔と、魔物が取り残される。
罠にかかった鳥のように、彼女は何度も逃れようと手足をばたつかせる。
しかし、それは足掻きにもならない。
小さく力の弱い彼女では、からみ付く無数の触手から逃れる事などできない。

手首を、太腿を、華奢な腰を、細い首を、大小合わせて数十の触手が拘束する。
粘っこく不気味に暖かい潤滑液が、彼女の全身をぬめぬめと穢していく。
衣服からじんわりと浸透し、ぬるま湯に浸かっているような感覚が広がる。

幼淫魔C「…や、だぁ……気持ち、わるいよぉ……!」

不平をこぼした口に、粘液がわずかに忍び込む。
量にしてほんの数滴にも満たないそれは、口内に異様なほどの生臭さを充満させる。
息をするのも苦痛となり、鼻を抜けるそれは幾度も吐き気を催させる。

幼淫魔C「いやっ!臭い………!うぶぅっ……」

咄嗟に吐き出そうと試みるも、瞬間、更に多くの粘液が滑り込んでくる。
耐えがたい悪臭と不快感、そして「恐怖」は、永劫の如く彼女を責め苛む。

その悪臭が逆に気つけとなってパニックをやや落ち着かせた彼女は、現状を把握しようと試みる。
肉体に、苦痛は感じない。
全身を隈なく縛められながらも、痛みは無い。
むしろ、彼女に不要な痛みを与えないように、この触手の主が慮っているようにも思えた。

幼淫魔C「ローパー……?」

本体は見えない。
しかし、他に思い当たるものも、当てはまるものもない。

――――――――

無数の触手を蠢かす魔物、ローパー。
硬質化させた触手を用いて甲冑をも貫き、鞭のように薙ぎ払い、その戦闘力も侮れたものではない。
人界に存在するローパーには、その生殖方法において二つの種類が存在する。
「産卵型」と、「受精型」だ。
前者は捕らえた他種族の体内に産卵を行い、同時に獲物を麻痺させて苗床へと作り変える。
そして後者は、他種族、人間をはじめとした種族の体内に精を放ち、種を植え付け、受精させる。
その為に、排卵を促す成分を注入するための針のような器官を通常備えている。




17: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:17:42.77 ID:5OyPL7Mao
しかしここは、人界ではない。
ローパーが繁殖に用いる事ができるような種族は存在しない。
多岐にわたる淫魔をはじめとした魔族、アラクネ、ラミアといった女性型の魔物。
どちらも、ローパーに後れをとる代物ではない。
強いて挙げれば総じて臆病な性質の「ハーピー」が当てはまるが、空を飛べる事を考えると、捕まえる事は不可能。

繁殖の手段と機会は、この魔界には無いと言ってもよい。
魔界に適合したローパーは進化を遂げ、独自の繁殖方法を発達させていった。
とは言っても、他種族の力を借りずに産卵を行い、自ら子を育てるだけである。
もともと至極単純な魔物である彼らには、遺伝子を交配させる意味はそう無かった。

しかし、一部のローパーはいつしか、掟破りの生存戦略を打ち立てた。
単純明快、そして生物として不可能ともいえる難題を、追い求めて。

―――「死ななければ、繁殖の必要はない」

――――――――

幼淫魔C「んっ……んぅぅぅ!」

為すがままにされていた彼女が、力を漲らせ、魔力を放つ。
紫紺の光が室内を照らし、燭台の火がゆらぐ。
その瞬間、彼女の全身をまさぐっていた触手の群れが紫の炎に包まれる。
彼女の体に熱は伝えず、ただ触手だけに熱傷を与えようと。

淫魔の魔力によって生み出された炎は、決して消えない。
相手を焼き焦がすまでは、たとえ水中に逃れようとも燃え続ける。

――――はずだった。




18: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:18:16.52 ID:5OyPL7Mao
ぼしゅ、という空気の抜けたような音とともに、呆気なく炎は消えた。
触手たちは、何事も無かったかのように活動を再開した。
より正確に言えば、炎にまとわりつかれていても、活動は止めなかった。
ひたすら、準備段階のように彼女の全身に粘液のドレスをまとわせていく。

幼淫魔C「う、そ……?何で?何でぇっ!?」

反撃が功を奏さなかった事で、彼女は再びパニックを引き起こす。
通常のローパーであれば、十分に倒せていたはずなのに。
何故――と。

――――――――

触手の主は、通常種ではない。
王の名を冠した、『最強の』ローパーなのだ。

その軟体は、切断されようと即座に再生する。
新たな触手を一瞬で創造する事ができ、ありとあらゆる状況に対応する。

何より、彼らは「魔族」の魔法に対して、「無敵」だ。
たとえ魔族の王であろうと、魔族の魔法では、キングローパーを打つ事はできない。
そよ風に吹かれたほどにも感じず、その生命の灯を揺らがせる事などできない。
いかなるメカニズムによるものか、未だに解明されてはいない。
とにかく、魔族の魔法に対して「不滅」なのだ。

それが、『最強』たる所以。

――――――――

幼淫魔C「ひゃふっ……!?」

ぐちゃぐちゃに湿った布に潜り込み、彼女の小さな乳房が、直に揉まれた。
太い触手の先端から分かれた細い触手が、胸部を帯のように巻く衣へと侵入する。
粘液によってぬめりを増した布と肌の間から、凧糸ほどの触手が何本も入り込み、同じ場所を目指し、蚯蚓の如く這い進む。

そして、目的地に合流した触手たちは、寄り集まり、小さな乳房の、その頂にある飾りを一斉に締め付けた。

幼淫魔C「いっ…!ひあぁぁぁぁ!!」




19: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:18:44.31 ID:5OyPL7Mao
十本近い微細な触手が、一斉に乳首へと絡み付き、締め上げる。
「痛み」に限りなく近く、「痛み」には絶妙に到達しない快感。
波打つように触手たちが蠢き、絶妙に、硬く尖りつつある乳首を快楽で取り囲む。
一本が緩めば、一本が堅く締め上げ。
緩んだ一本は、乳首の頂点をこすり、別のアプローチをもって責めを続ける。
ある一本は乳首の周りをさわさわとなぞり、くすぐったさを届けるように。

幼淫魔C「やっ…あ、ん…ふぅ………」

布の下で、発達する事のない乳房を幾度も幾度も、執拗に責め抜かれて、声に甘みが差す。
嫌悪に染まっていたはずの顔は、早くも快感に浮かされていた。

触手の主は、外見に似合わぬほどの繊細さと鋭敏な感覚を用いて、淫魔の身体を蹂躙していた。
不死のローパーの永遠に近い「経験」は、膨大な情報として蓄積されているのだ。
どこをどう責めれば、どう反応するか。
種族の違い、年齢、筋肉の付き具合、骨格。
最初の愛撫で、その全ては完全に把握していた。

不意に、ひときわ太い触手が二本、彼女の胸へと近づく。
先端は植物のつぼみのように大人の拳ほどに膨らみ、中心から三本の筋が入っている。
二本の触手の接近に合わせて、細い触手達が、彼女の乳房を解放した。

幼淫魔C「……は……ぁ……」

半ばほど開いた口から、名残惜しげな韻が漏れたのを皮切りに、
細い触手達は一斉に蠢き、小さな胸を隠す布を一息に引き裂いた。




20: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:19:33.83 ID:5OyPL7Mao
あっけなく、彼女が上半身にまとっていた一枚きりの衣は細切れとなった。
女王よりやや薄い褐色の肌に映える、薄く桃色に色づいた乳首が露わになる。
乳輪は小さく、乳首はぷりぷりと尖り、呼吸に合わせて震えていた。
たっぷりとまとわされた粘液が蝋燭の光をてらてらと反射し、艶めかしくきらめく。

幼淫魔C「あっ…う…!」

粘液でぬめった状態で、触手による愛撫を受け続けて敏感になった乳首に、外気は冷たかった。
ぴくん、と小さな飾りが震えたのに合わせて、粘液をふんだんにまとった別の触手が、露わになった乳房を撫で回す。
粘液は、意外にも暖かかった。
ぬるま湯を冷めにくくしたようなどろどろの液体が胸を包み、暖めるように塗りこめられていく。

幼淫魔C「んっ……うん……」

淫魔の視線が宙を泳ぎ、胸の前で静止したままの、つぼみ状の触手に留められる。
不自然に静止したままの二本の触手が、彼女の目の前でゆっくりと「開花」していった。

朝日を浴びて開く花弁のように、三方向へと開いていき、内部が徐々に見えてきた。
三つに分かれた内側には真珠ほどの肉の粒がぎっちりと生えそろい、落ちる雫からは、蜜のような甘ったるい香りが漂った。
中心部には更に小さなつぼみがあり、外側と同じように、三本の筋が入っていた。
食虫植物のようにゆっくりと開き切ったそれは、内側の粒の一つ一つから液体を滲みださせ、近づいてくる。

幼淫魔C「…なに……する、の……?」

恐怖は、感じていない。
垂れる蜜の香りに鎮静作用があるのか。
それとも、これまでの触手の優しい振る舞いに、心を開きかけているのか。

恐らくは、その両方。




21: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:20:11.23 ID:5OyPL7Mao
二振りの三叉の触手が、包み込むように、薄い胸にそれぞれ向かう。
ゆっくりと触れ合った部分からは、じんわりとした暖かさが広がる。
人肌より少し暖かいぐらいの開いた触手がぴったりと張り付くと、彼女の乳首と乳輪は、たやすく隠れてしまった。

内部に敷き詰められた肉の粒が、小刻みに蠕動し始めた。
絞られるように粘液が一粒一粒から滲み、滑らせるように、何度も何度も彼女の胸を撫でる。

幼淫魔C「ひゃあ……!あぁんっ!」

やがて、触手全体が彼女の胸を中心に、大きく円を描くように動き出し、ぐしゅぐしゅと擦り付けるように、肌を這う。
柔らかい肉のブラシが、ぬるい潤滑液を泡立てるように、何度も行き交う。
優しく体を洗われるような感触は、性感とは別の「快楽」をもたらしめる。
その合間にも触手の群れは彼女の二の腕を、腹を、足首をも暖め続けていた。
彼女が、「寒さ」も「痛み」も、感じる事のないように。

幼淫魔C「……きもち、いい……よ……」

体表の感覚器を、やわらかく刺激され続け、いつしか、彼女の認識は遠くへと置かれていた。
柔らかな肉のブラシが、ごしごしと、薄く敏感な胸から、小さな翼の生えた背中、折れそうな首と肩、
皮膚の薄い二の腕の内側、そして腋の下をこすっていく。
貪るような性感ではなく、より感じやすく、暖かい快感。
ローパーによってもたらされているとは、信じられないほどに。

三叉の触手が胸以外の箇所を撫でている間は、衣を引き裂いた微細な触手が、再び乳首へと伸びた。
先端をつつき回し、横から摩擦し、優しく引っ張り、しごき上げる。

魔界でも指折りの邪淫の性を持つ彼女らでも。
いや、だからこそ、この幻想のような愛撫に酔ったのだろう。




22: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:20:41.52 ID:5OyPL7Mao
三叉の触手によって全身を嘗められている間に、四本の触手がウエストに伸びた。
こちらは何の変哲もなく、大人の指を四本束ねた程度の太さを持つ、標準的なものだ。
強いて差違があるとすれば、先端に吸盤のようなものがいくつかついている程度。

その四本の触手は、ゆっくり、ウエストから侵入し。
彼女の、下半身にまとったものをを脱がせようと試みる。
ゆったりと膨れたシルエットの白いズボンのウエスト部分が、四方向に引っ張られ、同時に下へと力が加えられる。
ズボンの下には何も穿いていないのか、足の付け根までが見えても、下着のサイド部分は見えない。

彼女は、いまだ気づいてはいない。
触手の群れが上半身に集中しているため、今まさに生まれたままの姿にされようというのに、気付かない。
それほどまでに、三叉の触手による、洗い清めるような愛撫は効果を見せていた。

太腿の半ばまで、引きずり下ろされる。
触点を撫でられ、ぴくりと震え、流石に感付いたかに思えた。

しかし、抵抗の意思は示さない。
彼女は、もう既に抵抗などする気はないのだろう。
このローパーに身を任せ、快楽を得よう、と。

幼淫魔C「……いい、よ。ぬがせ…て……?」

肯定と受け取ったのか、触手達は、一息に、彼女のズボンを脱がせる。
筋張った膝、むっちりと肉がついた太もも、細くのびたふくらはぎ、締まった足首。
まるで人間の幼い少女のようでもあり、淫魔にふさわしい、調和さえ備える。

直後に数本の触手が伸びて、彼女の足裏から付け根まで、粘液を塗り込め始める。
上半身にそうしたように、丹念に、丹念に。

もはや、彼女の鼻は生臭さなど感じない。

それどころか、上等な香油にさえ感じていた。




23: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:21:17.87 ID:5OyPL7Mao
下半身をもくまなく嘗め尽くした三叉の触手は、再び、胸へと戻る。
乳首を中心にぴったりと張り付き、胸全体をもぐもぐと味わうように蠢いて。

その中で、内側の「つぼみ」が開く。
彼女には見えないが、その内側にあるものは、醜悪な器官だった。
針のような毛が生え揃い、中心からは、紛れもない、1cmほどの「針」が突き出ていた。
取り巻くように二本の細い触手が生えているが、これらは、主として彼女に快楽をもたらすためのものではない。

彼女を、「身動きが取れぬように」するためのものだ。


幼淫魔C「ひっ……!?」

かぷり、と内側のつぼみが開き、両乳首に同時に噛みつく。

幼淫魔C「い、いた……!な、なんで…ぇ……!?」

必然として針が乳首に突き立ち、二本の触手は乳首へ、離れぬようにキツく巻き付いた。
ぬるま湯のような愛撫に、急に襲った痛み。
彼女には、痛覚よりも先に、困惑が襲いかかった。


キングローパーの生態として、興味深い点がある。
それは、捕らえた異種族の雌に対して、まず粘液を用いて念入りな愛撫を行うのだ。
極めて高い媚薬効果を持つそれを塗り込める事によって、認識を桃色の靄がかかったように狂わせる。
この工程での優しささえ感じる振る舞いは、獲物をリラックスさせるための、演技に過ぎない。
食虫植物が蜜の香りで虫を引き寄せ、捕食するのと全く同じだ。




24: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:21:55.52 ID:5OyPL7Mao
獲物がリラックスし身を任せたと同時に、拘束していた触手群は、運動の性質を変える。
すなわち、「落ち着かせるため」から、「絶対に離さぬため」に。
たとえ関節が外れようと、拘束は外れない。
相手を殺してしまうような事はしないが、それは不幸ともなる。

キングローパーに捕らわれてしまったものに、安らぎは訪れない。
彼らは魔力さえ操り、獲物が死ぬ前に、回復の魔術をかける。
そして回復と同時に、壊れてしまいそうなほどの快楽を再び送る。

突き刺し、抉り、貫き、揉みしだき、凄惨な凌辱を行う。
この魔界の史実においても、キングローパーによる死者は数える程度。
何故ならば、彼らは原則として「死ぬ直前でやめる」からだ。

それでも死者が出てしまうのは、何百年もの間、女の身体を弄ぶ事ができなかった場合だ。
抑えられぬストレスは箍を外し、たとえ女神であろうとも、壊れるまで弄んでしまう。


幼い淫魔は、キングローパーに気を許してしまった。
それが、どれほど危険なのかも知らず。

幼淫魔C「いたっ……いたいいたいいたいぃ!やめて!はなしてぇ!はなしてよぉっ!」

ぎりぎりと乳房を絞られ、乳首を貫かれ、涙を滲ませて叫ぶ。
もがこうにも、先ほどまで緩く巻き付いていた触手は硬化させられ、もはや身じろぎひとつできはしない。




25: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:22:21.53 ID:5OyPL7Mao
唐突に襲った苦痛に、彼女は身を反り返らせ――ようとする。
だが、それは徒労でしかない。
というのも、既に、反り返ったままの状態で、ローパーの本体に押し付けるように捕縛されてしまっているからだ。
両手は大きく上げ、つるりとした腋下までもが露わになる状態で。
股は大きく開かれ、まるで毛のない秘所が晒されている。

幼淫魔C「ひどいぃ……ひどい、よぉ……」

乳首からの痛みに慣れ出した頃、次にやってきたのは、哀しさ。
気を許した途端に苦痛を与えられ、裏切られたような気持ちになったのだろう。
『教育』という本来の目的を忘れてしまったのは、彼女の幼さからか。

幼淫魔C「……っ!」

ビクン、と彼女の身体が震えた。
それと前後して、彼女の胸に張りついた触手が、小さく震える。

幼淫魔C「やっ……!あつっ……!あついよぉぉ!!」

張り付いた花弁状の触手の下、二枚の舌のような触手が緩む。
代わりに、先端の針からは液体が注射された。
まるで溶けた鉛を流し込まれたかのような熱と重苦しい痛みが、乳首を通して薄い胸へとなだれ込む。

幼淫魔C「やめてぇ!やめてぇぇぇ!あづっ…あづい゛ぃぃぃぃ!…あ、あ゛ぁぁぁ〜〜〜!」

ぎくん、ぎくんと体が痙攣するが、叶わない。
もがいて気を紛らす事すらも許されず、胸からやってくる苦痛に耐える事しか、できない。

時間にして、数秒間。
しかし、痛みに耐える事しか許されない身にとっては、永劫を歩むように思えた。




26: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:23:20.47 ID:5OyPL7Mao
ようやく胸から触手が離れる。
乳首から針が抜かれる感触は、感じなかった。
直前の地獄のような痛みと、熱さは、それほどまでに強烈だった。
一時的とはいえ、彼女の胸の感覚を、麻痺させてしまっているのだ。

幼淫魔C「ひっく……うぅ………ぐすっ……」

涙と洟、そしてだらしなく開いた口から垂れる唾液にまみれ、すすり泣く。
行き場を失った感情は、涙となった。

幼淫魔C「……ひゃっ!?」

幼い顔の彩りが乾く間もなく、触手は、ついに彼女の秘所へと伸びる。

幼淫魔C「やだ…もう、やめて…ひどい事、しないで……!」

割れ目をつるりとしたシャープな先細りの触手がこすり上げた時、怯えが顔に現れた。
悪戯心で男女問わず他者を弄ぶ、淫魔の中でも特に危険な種族の、彼女にさえ、恐ろしく感じた。
ローパーの考えなど、分かる筈も無い。
仮にこの触手が苦痛ではなく快楽を与えるためだったとしても、それが目的とは限らない。
安心させたところで―――再び、苦痛が来るのかもしれない。

もはや、ローパーに対して感じた一種の安心感は、跡形残さず消えていた。
あるのはただ、『異種』へ感じる畏怖。
理解を超えた存在への、限りない恐怖。
人間でも、エルフでも、ワルキューレでも、淫魔でもない。

まさしく、「モンスター」へ対する、原初の恐怖。




27: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:23:59.95 ID:5OyPL7Mao
恐怖とともに、彼女はようやく、思い出すことができた。
魔界に生息するローパーの中でも、最も畏怖される存在、キングローパーの伝説を。

視界の端にちらちらと、用途の読み取れない触手が行き交う。
秒単位で進化し、対象を効率的に責めるための「魔手」の群れが。

――――――――

キングローパーには、生殖という概念が存在しない。
射精する事も、産卵する事もなく、その為の器官は既に体内から淘汰されて、名残りすらもはやない。

彼らは不死であり、不滅。
神の力を借りた魔法であれば、彼らを肉片と化す事ができるかもしれない。
だが、それさえも一時しのぎであり、100年も経てば、たとえ肉片からでも再生してしまう。
彼らは、何のために、他種族の女を嬲るのか。
それは、彼らにしてみれば娯楽でしかない。

他種族の女の淫水、母乳といった体液は、彼らにとってはたまらない嗜好品なのだ。
想像を絶するような進化を遂げ、「永遠」を獲得してしまった生物は、「趣味」を求めた。

強烈な媚薬成分を体内で作り出す事にも成功した。
知能を獲得し、魔力さえも備えた。
思い描くままに、瞬きほどの間に新たな触手を生み出せるようにもなった。

美酒を嗜むかのように女の淫水を味わい、楽しむ。
歌劇を鑑賞するかのように嬌声を上げさせ、楽しむ。
その為にはたとえ、絞り尽くされた相手が乾いた死体へと変わろうとも構わない。

――――――――




28: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:24:28.45 ID:5OyPL7Mao
彼女が魔手の伝説を思い出し、慄く僅かな間にも。
粘液をまとった触手が、未発達な割れ目を執拗に素股のように擦り上げる。

ぬちゅ、ぬちゅ、と淫靡な音を立てて暖かい粘液をすり込まれている内に、彼女の顔が上気したように朱くなっていく。
いかな恐怖があるとはいえ、少女の姿とはいえ、やはり、「淫魔」なのだ。
性器をはじめとした性感帯への刺激には、抗えない。
先細りの触手が割れ目をこする間、やわらかく薄い内腿の皮膚も、同様に擦られる。

幼淫魔C「きゃんっ……!や…は、ぁ……!」

秘所や胸とはまた違い、くすぐったさが先に立つ。
先端から細引き状の触手がイソギンチャクのように伸びた触手が、彼女の内腿を何度も行き来する。
その微細な触手の群れは自在に伸び、太腿を無数の舌で嘗め、しゃぶられるような刺激を与えた。
くすぐったさは少しずつ「快感」へと変じて、一度は恐怖に支配された彼女の心は、早くも溶け始める。

疑心が晴れた訳ではない。
恐怖が消えた訳でもない。
ただ―――淫魔として、抗えないものがそこにはある。

幼淫魔C「あっ……あぁ……う…ん……」

吐息に悩ましい喘ぎが混じり始めた頃、秘所を擦っていた先細りの触手は、ゆっくりと股の下へと消え。
代わりに、その下にある小さな蕾へ、尖端を押し付ける。

幼淫魔C「うひゃっ!?」

つぷり、と先端数ミリが沈み込んだと同時に、腰が浮く。
不意打ちに蕾を持ち上げられて、頓狂な声まで上げて。




29: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:25:07.63 ID:5OyPL7Mao
蕾の口へ、先細りの尖端数ミリほどが、馴染ませるようにゆっくりと行き来する。
桃色の蕾は跳ねのけようと括約筋を絞るが、ヌルヌルの粘液をまとった触手は何事も無かったかのように、
無遠慮に彼女の尻穴を弄ぶ。

幼淫魔C「…やめて……やめてよぉ……」

つぷ、つぷと、幾度も触手が「尖端のみ」を用いて出入りさせる。
挙動を予測できないローパーの愛撫が、彼女の心に沁み込む。

触手で、蕾を性器のように扱われるのか。
ずぼずぼと、めくれるような強引な抽送を行われてしまうのか。

それとも、内部で何かを行うのか。
何かを注入され、腸を刺激し、その後は―――


彼女のつたない予測に反し、触手は、いとも簡単に引っ込む。
文字通りに、ローパーの本体を取り巻く、無数の触手の中へ。
そして代わりに、内腿を嘗めていたイソギンチャク状の触手が、ゆっくりと桃の蕾へと近づく。

幼淫魔C「んひぃぃあぁぁぁぁぁぁ!!」

細引き状の触手の群れが、蜘蛛の死骸のように一度収縮し―――即座に、爆発したように、一斉に蕾へと向かう。
太い触手の侵入はある程度拒めても、糸のように細い触手は、たとえ群れであろうと拒めない。
しわの合間を縫うようにして、数にして数十本の触手は、腸内へと我先に入り込む。

幼淫魔C「あひゃっ…ぁ……!おし…り……おしり……ぃ…!」




30: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:25:50.06 ID:5OyPL7Mao
蕾から遡る触手は、最も長いものでも20cmほど。
五本ほどの触手は入り口付近で留まり、少しずつ、蕾を開かせようと試みている。
残りの触手は、直腸内を思うがままに蹂躙する。
粘膜に傷がつかぬよう注意を払いながら掻き、朱く充血したシワを伸ばし、粘液を排出しながら、
後に備えて滑りを良くして。

指でも男根でも器具でもなく、触手たちに尻穴を弄ばれ、彼女の脳に、ぐちゃぐちゃになった感覚と感情が火花を散らす。

幼淫魔C「やらっ……やめれ……ぇ……こわい…こわいよぉ……」

涎がからみ、呂律が回らず、それでも、「恐怖」をしきりに誰にともなく訴える。
幼い姿の彼女ではあるが、ことさらに、幼くなってしまったようだ。

体内に侵入される感覚は、もはや恐怖でしかない。
同種の淫魔同士で卑猥な『遊び』に興じ、尻穴への愛撫を行った事も、行われた事もある。
人間界で、ある国の宰相を誘惑した時は、その男は前ではなく後ろの秘めやかな蕾へと関心を示していた。
もともとが淫魔なだけに、その時には、楽しく、心地よささえ感じた。

だが、言葉の通じない異種の魔物に、となれば話は別だ。
先ほどの胸への愛撫から、急転した苦痛。
思い出しただけで、戦慄が走る。
行動が読めないというのは、それだけで恐怖なのだ。
それも――体内に侵入されてしまっている、今では。

直前に行われた、胸への刺激を思い出した刹那。
既に引きかけていた胸の痛みが、また異質な違和感を放っている事に気づく。




31: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:26:20.96 ID:5OyPL7Mao
薄い胸が、不自然に膨らんでいた。
皮下に大量の油を注射されたかのように、胸囲にして4cmは増しているだろうか。
その中でも乳首はぷりぷりと硬くしこり、乳輪も引っ張られるように膨らんでいる。
たまに触手が触れる度に、ジンジンとした、むず痒さにも近いほのかな痛みが走る。

幼淫魔C「なに…なに、これ……?」

その反応を待っていたかのように、再び、新たな触手が見える。
彼女の顔の前で二本の触手が左右に割れて、「口」のように開き、幼い顔に生臭い息を浴びせかけた。

思わず顔を逸らしかけたが、口の中に仕舞われていた、もう一つの器官に目を奪われる。
ずるり、と左右に分かれた中から、まさしく、不細工な「唇」のような器官が飛び出た。

幼淫魔C「…やめて……もう、やだよぉ……!やめてよ……!」

その時、細い触手が右の乳房へと肉薄し、全体をゆるやかに巻いて乳首へと先端をあてがう。
痛々しく膨れた乳房を触手が優しく圧迫し、先端の数センチが、硬くなった乳首を揉み解す。
瞬間―――緩やかな丘の頂点から、白い液体が細く漏れた。

幼淫魔C「え……!?なんで…これ……って……!うそ……おっぱい……え……?」

白い液体の正体を察して、彼女は青ざめる。
本来彼女の状態からは、出るはずのない、「母乳」が吐き出されたのだ。
これが、先ほど注射された液体の効果。
乳腺を活性化させ、急激に母乳を蓄えさせる。
「その後」は、今眼前にある触手の形状から察する事ができた。




32: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:27:25.36 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「やっ……やめて!やめてやめてやめてやめてぇぇぇぇぇぇっ!!」

懇願むなしく、その新たな二本の触手は、無残に膨れた「乳房」へとそれぞれ向かう。
左右に分かれた口がパンパンに張った乳房に張り付き、昂った神経が、過剰なまでに反応し―――

幼淫魔C「きゃはぁぁぁっ!」

間髪入れず、内部の「唇」が二つの乳首に同時に吸い付く。
乳輪までを飲み込み、歴戦の淫魔がそうするかのように、乳首を転がし、同時に強烈に吸引する。

幼淫魔C「いやぁぁぁっ!やめて、飲まないでぇ……!」

ごく、ごくと嚥下するような音が響き、触手が波打ち、幼い姿の淫魔から絞られたミルクを本体へと届けていく。
心なしか触手の主は満ち足りたように、楽しむように、続けざまに何度も飲み下す。
外側の「口」はその間、絞り出すように、張った乳房を優しく揉みしだいていた。

無理やりに母乳を出させられ、あまつローパーに搾られ、飲まれているというのに。
絶叫するような懇願とは裏腹に、彼女は強烈な快感を覚えていた。
パンパンに張った乳房を揉み解され、内部にある母乳を猛烈な勢いで吸われる気持ちよさ。
乳首を通して魂が吸い出されるような、背筋から足裏までがびぃんと伸ばされる、ゾクゾクとした背徳の悦楽。

幼淫魔C「っ……か、は……あぁぁぁぁぁ……!」

脳内までも、ミルクのように白く染められていく。
メリハリのない、続けざまの太い線のような快楽に。
堪えられたのは、そう長い時間ではなかった。




33: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:28:04.81 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「っ…ァ……い、ぐ……ぅ……!」

変わらぬペースで母乳を搾られ続けたまま、彼女は、呆気なく達してしまう。
全身を粟立たせる快感は、今もって続けられる搾乳行為の快感の前には、薄くさえ感じた。

幼淫魔C「っぁ……あ゛ぁぁぁぁぁああぁぁぁ〜〜!」

石造りの室内に、喉が裂けそうなほどの声が反響する。
恐らくは、鉄扉を隔てて、宮殿の中にさえ聞こえただろう。
それはもはや、獣の蛮声に近い。
淫魔の、それも……少女の姿の淫魔の喘ぎ声などとは、到底予想できないだろう。

ぱっ、と彼女の脳内で明滅した時、彼女に変化が現れる。
未だ無数の細引きの触手に弄ばれたままの蕾がゆるみ、開く。
同時に尿道も弛緩し、淡い黄色の液体が放物線を描き、冷えた石の床に落ちてしぶきとともに湯気を上げた。
割れ目はパクパクと開いて閉じてを繰り返して、トロトロと蜜が溢れ、後ろの蕾まで伝っていく。

しばらく、そのまま―――キングローパーは、満足そうに。
「獲物」が放尿を終えるまで、残りの母乳を吸い上げながら待っていた。




34: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:29:01.63 ID:5OyPL7Mao
閉じ込められて、まだ一時間と経ってはいない。
早くも、彼女の体力は限界に近づいていた。
本来出ないはずの母乳を絞り出され、未だ味わったことのない快楽の果てを、見てしまって。
股を濡らすものが汗なのか、淫水なのか、それとも小水なのかさえ彼女にはもはや分からない。

無理やりに出させた母乳を最後の一滴まで搾り、乳輪に付着したものを嘗め取り、二口の触手は離れる。
もう、乳房の膨れは無くなり、元の小さな、乳首しか無いような胸へと戻っていた。

幼淫魔C「……あ…ぁ、は………」

快楽の余韻が甘く全身を痺れさせ、毒に中てられたように震えた。
その目は、もはやどこも見てはいない。
まるで、そう―――穢された娘のように。

幼淫魔C「ああぁぁ………くっ…ふぅぅん………」

漏れ出る吐息には、感情は載っていない。
ただ、尋常ではない疲労感と心地よい脱力感が、波に揺られたように彼女の声帯を震わせているだけだ。
全身の怠さに、彼女は指先さえ動かす気になれない。

幼淫魔C「ふぁぁっ!?」

もはや粘液とも、彼女の尿とも蜜ともつかない液体に塗れた、一本の触手が秘所に触れる。
形は大雑把な節くれだった男性器にも似ているが、全体がイボに覆われ、その一つ一つが絶えずに震えていた。

同時に、もう一本の触手がローパーの本体からせり出す。
例えるのなら、歪な球体を肉のヒモに通したかのような、赤紫色のグロテスクな真珠のネックレス。
一粒一粒の大きさはさほどでもないが、とにかく長い。

ローパーはそのネックレス状の生まれたばかりの触手に、とろとろと粘液を垂らす。
そのまま、一度、二度とぐねぐねと確かめるように蠢かし―――

一切の躊躇も前兆もなく、小さな蕾へと、呑み込ませた。




35: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:29:37.16 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「はぁっ…!ん、おぉぉぉぉぉ〜〜!!」

喉が裂けるような声量の、調子外れの叫びが漏れ出す。
肺の中の空気をありったけ吐き出して、獣のように悶え狂う。

幼淫魔C「おしり……ぃ…!だめぇっ……あつっ……あつくて…ぇ……」

赤黒い真珠がずぶずぶと押し込まれ、その度に、圧迫感とともに熱さを感じ、腰が浮く。
一粒、また一粒。
飲み込むたびに蕾が広がり、一粒を飲み込めば再び、きゅっと締まる。
間髪入れず、次の球――と。

腸内を遡る長大な触手が、長さにして30cmほどを超えた。
直腸に満ちた真珠状の触手が、やおら動きを止める。
そして―――

幼淫魔C「…っ!きひぃぃぃぃぃ〜っ!!!」

侵入した時の逆を辿るように、一気に真珠状の触手を引き抜く。
粘液をまとってぬめるような触手が、不浄の穴から引きずり出された。

とてつもなく長く、熱く、そして通り抜ける一瞬一瞬が、オルガスムスをもたらす。
人間が最初に感じる快楽、すなわち「排泄」の快感を、を更に強烈にしたような、堪えがたいほどの刺激。
一粒一粒と吐き出される度に可愛らしい蕾がめくれ上がり、更に濃い桃色の肉が覗かせる。

歯を食いしばったまま間抜けな嬌声を漏らし、眼球を引っくり返らせる姿は、もはや「淫魔」ではない。
全身の筋肉が引き攣り、終わらない絶頂に脳内麻薬が止め処なく溢れて。

それは―――今まで彼女が弄んだ、無数の『女達』の姿だ。




36: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:30:20.79 ID:5OyPL7Mao
ある時は、人間界から迷い込んだ、装飾馬車。
その中には、気品を漂わせる幼い少女が一人座っていた。
着こなす衣には華麗な装飾がいくつも施され、丁寧に編まれた栗毛には、色とりどりの宝石の髪飾りが留められていた。

女王はもとの世界に戻すべく、人間界への扉を開こうとした。
その術には、この国の淫魔の力では、三日はかかる。
その間、少女は宮殿にもてなされ―――そして、堕ちてしまった。

女王の知らぬ間に、少女は昼も夜も無く弄ばれて。
幼い姿の淫魔に前後から貫かれながら、卑猥な言葉を吐き散らすだけの肉の人形へと化してしまった。

人間界に戻った少女がどうなったか、この国の淫魔は、知らない。

一説では、ある国の王女が、誰彼ともなく咥え込み、何人もの使用人と見境なく関係を持つようになってしまったため、
特別に作られた隠し部屋で、死ぬまで幽閉されていたとも。

あるいは――人間界の罪深く下劣な売春宿に、某国の王女に似た幼い娼婦がいるとも。


ある時は、ワルキューレ。
同じく迷い込んだ彼女を、解放するはずが。
幼い淫魔達が悪戯半分に弄び、玩具にし、堕としてしまった。
衛兵として働かせている彼女は、日中は凛としたワルキューレの姿を残している。
しかし夜がくれば、彼女は……ひたすらに情けを求め、淫魔達に奉仕し、貫かれる事に喜びを感じる、哀れな「メス」でしかない。




37: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:30:54.60 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「んぉぉあぁぁっ!!ま、また……くる、くるのぉぉぉっ!!」

触手を全て引き抜かれ、出しきった快楽に打ち震える間もなく。
再び、パクパクと収縮する蕾へ触手が滑り込む。
幾分ゆるみ、奥まで粘液でヌルヌルになった穴は、スムーズに侵入を許してしまう。

幼淫魔C「いっ…!いぃ……おひり……いい、のぉ……」

もはや、圧迫感は無いようだ。
真っ赤に充血したシワが真珠状の触手を包み、同時に触手も、シワを嘗めるように何度も身をくねらせる。
澱んだ眼は白痴のように引っくり返り、ぶくぶくと泡立った唾液が彼女の口から漏れた。

禁断の器官から遡り、引き抜かれる時には霊体までも引きずり出されるように感じた。
腸内へ侵入してくる際には、猛烈な被虐願望と屈服感がせめぎ合う。
儚い蕾から入り込まれ、体内を揉み解すようにくねらされ。
敏感な内側の感覚が、焼き焦がされるような熱さを脳髄の天辺まで残さず届けた。

引き抜かれる際には―――その快楽は、もはや計り知れない。
とてつもなく熱く溜まったものを、絶えなく「ひり出す」ような、誰にとってさえ快感であろう行為。
直腸内を磨きあげているかのように触手が動き、そして……一切の遠慮なしに、引き抜く。

幼淫魔C「ふぎっ…ひぃあぁぁぁぁぁ!…い……ッ!!」

ぼひゅ、と息を吸い込み、直後、甘さを孕んで吐き出される。

蕾の口に粒が引っかかり、抜かれる度に小さく達した。

その度に小さな体がそり返り、薄い胸の天辺に座す、痛々しく尖った飾りを天へと突き出す。

ローパーは拘束を更に強めて、彼女の体を―――「そうさせまいと」自らの本体へ、ぴったりと張り付かせるように引き戻す。




38: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:31:45.17 ID:5OyPL7Mao
二度、三度と同様の責めを繰り返される内に、反応はだんだんと薄くなりはじめていた。
この快感に慣れてしまったのではない。
跳ね上がり、反応する体力が、もう残っていないのだ。
本来であれば在り得ないはずの乳汁の噴出。
知り得なかった搾乳の快楽。
加えて何度も施された、美肛への侵入から始まる凌辱。

小柄で体力も少ない彼女に施すには、あまりにも大きすぎた―――性感への、直撃。

触手で腸内を擦り上げ、あるいは細い触手で蕾を広げ、つぷつぷと出入りさせ、
手つかずだった陰核を更に細い触手で締め上げ、
乳汁を出し尽くした、なだらかな胸をこね回し、摘みあげ、先端を吸い上げ。

それでも―――反応は、無い。

幼淫魔C「………あ……は…」

弛緩した体は、もはや指先さえ動かすことはできなかった。
津波のようなキングローパーの凌辱により、全身の筋肉が萎えてしまったのだ。

心臓の音さえも、彼女はどこか茫漠としか聞こえない。
胎内に回帰したような、懐かしい音、としか認識できない。

恐怖は、もはや感じなかった。
今彼女が感じるのは、優しく、それでいて重苦しく抗えない眠気。
眼を開こうとしても、まるで万力を閉じるかのように瞼が落ちる。

心臓の音が、またも遠くなる。

瞼が完全に閉じ、小さな息をついて、体から力が抜け、かくりと首が傾く。


―――その時、ローパーの触手の一本が輝き――先端から生じた翠色の霧が、彼女の小さな口から、入り込んでいった。
―――それは子供に含ませる、初めての母乳のように、彼女の体内へと深く吸い込まれる。




39: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:32:20.33 ID:5OyPL7Mao
目を覚ました時。
彼女がまず感じたのは、全身に満ちる活力。
暖かな湯を浴び、八時間眠ったかのようなすっきりとした目覚め。
今であれば――不休で走り続ける事さえもできるような気がした。

―――そう、不休で。


幼淫魔C「…あっ……!」

目覚めからややあって―――全身にきつく巻き付く、触手の感触が彼女の記憶を引き戻す。

幼淫魔C「……そうだ、わたし……!もう…朝、かな……?」

隣女王「……残念、ですが」

暗闇の中、女王の声が聞こえた。
いつからいたものか、その声は、どことなく恐ろしげでありながら、悲痛でもある。

幼淫魔C「女王さま……もう、一日…経ちましたよね?」

彼女は、再び声に出す。
願わくば、そうであってほしいと。
へらへらと綻んだ口元に現れるのは、侮りの心か。
あるいは、体力を回復させた今……死の寸前まで追い詰められた凌辱の記憶さえ、薄れてしまったのか。

しかし、女王が発したのは、残酷な言葉。


隣女王「残念ですが、二時間ほどしか経っていません。まだ……『深夜』ですらありません」




40: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:32:52.54 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「……え…?」

まさしく、その浮ついた表情が凍てついた。
口元に浮かんでいた笑みは失せて、爛々とした輝きを灯しかけていた瞳はまたしても暗く澱みに嵌った。

隣女王「…私は、嘘はつきません。……心配になって、見に戻っただけです」

だめ押しの言葉が、鱗を剥がすような響きを持ち、ローパーに捕らえられた淫魔へと降りかかる。
未だに緩まぬ拘束が、女王の言葉を裏打ちするかのようだった。

幼淫魔C「…………う、そ……」

隣女王「……下手に期待させてしまい、申し訳ありませんでした。それでは……今度こそ、制裁が終わった頃に戻ります」

再び、女王は室外へと続く扉へと足を向けた。
その足取りには、今度こそ迷いは無い。
キングローパーの凌辱によって、彼女が死に至る事はなさそうだと思ったからだ。

だが、女王は知らない。
彼女が、ほんの数分前に死に瀕していたことを。
ローパーの魔法により、元以上に回復したことを。

解き方を誤りながら――彼女は、再び、扉を出た。
死を宣告されたような様子の淫魔と、闇の中に蠢く魔手の群体を残して。

同時に―――すべての魔手が、蠢いた。

ブラシ状の肉粒を持つ、洗浄の触手。
乳汁の噴出を促す、針の触手。
それを吸い尽くす、二重の口の触手。
不浄の孔から侵入し、原初の快楽をもたらす触手。

そして、彼女が見た時よりも肥大した、男性器を悪趣味にデフォルメしたような触手。

それらの触手群を見た時。
彼女の心は――再び、絶望と恐怖の渦巻く坩堝に叩き落とされた。




41: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:33:45.95 ID:5OyPL7Mao
幼淫魔C「いやあぁぁぁぁぁぁっ!!ゆるして!ゆるしてぇぇぇぇぇ!!」

泣き叫ぼうとも、ローパーの拘束は二度と緩まない。
狂乱したように力の限り叫ぶも、それの意味の無さは彼女も痛感している。
それでも―――取り乱さずには、いられない。

終わらない悲鳴にうんざりしたような様子で、更に新たな触手が現れる。
彼女の口を塞ぎ、それでいて空気の通り道を最低限確保するような太さの、特徴のない触手。
強いて挙げるのなら、先端部分にびっしりと開いた、小さな穴のみ。

それを、まるで強盗犯が人質にそうするかのように……彼女の口へ、押し込む。

幼淫魔C「ふぐっ……!んんぶぅ……!」

小さく窄んだ唇が、織り込まれた皺を伸ばしながら、触手を含んでいく。
口内に感じた異物感とその正体に同時に気付くが、抵抗の術などない。
キングローパーの触手を噛み千切る事など―――たとえ、いにしえの竜でも不可能なのだから。

うるさい口を塞ぎ、ようやく、魔手の群れが彼女の柔らかな肉体へと、腹を空かした魔魚のように飛びつく。

ブラシ状の触手が、腋下、腰をはじめとした肉の薄い部分をぐしゅぐしゅと擦り上げる。
針の触手が、再び彼女の乳腺を作り変える液体を注射する。
二重口の触手が、その直後に、乳房とも呼べないような平原を口内に含み、紅が差した乳輪と乳首を舐る。
極細の触手が不浄の孔をくつろげ、真珠の触手が差し込まれる手伝いをする。

全ての快楽に一斉に襲われ、既に彼女は身悶える事しかできない。
もがく事も、叫ぶことも許されず、雑駁な手段でありとあらゆる快楽を打ち込まれて。

全ては、彼女がしてきた事だった。

遊び半分に他者の肉体を凌辱、玩具にし、壊れるまで決して止めなかった。

――――これは、因果への応報なのだ。




42: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:34:39.29 ID:5OyPL7Mao
満を持したかのように、悪趣味な、ひときわ大きな触手が鎌首をもたげる。

ぷしゅ、ぷしゅと先端から空気を吐き出し、全体を覆う肉の粒がぶるぶると震えて。
重量を感じさせる動きで、つるりとした割れ目へと向かう、その姿は。
海中を往き、惰弱な魚たちをその威で追い散らす、獰猛な鮫のフォルムをも想起させた。

幼淫魔C「ぐぅっ……む……ん、んぉぉ!!」

暫し先端が割れ目に押し当てられ、決壊したように溢れ出す蜜の香りを味わい。
ゆっくりと慣らすように、その身をくねらせながら、膣内への侵入していく。

呆気なく先端が飲み込まれてしまうのは、淫魔故の、順応の速さからだろう。
たとえどのようなモノであろうと、柔らかく広がり、包み込んでしまう。
それは――時として、酷く、不幸だ。

割れ目がさらに広がり、赤紫の最大径の触手が飲み込まれていく。
彼女は全身を反らされたまま、それを視認できず、秘所への挿入感だけを感じる。
肉の粒の振動が、淫魔の淫靡な魂までも震えさせる。
子宮口にさえ容易く入りこみ、内側を優しく掻かれる感触は、未知の領域。

そして、触手はメインとなる運動を開始する。
幼く小さな秘所への、強烈なピストンを。

幼淫魔C「ぐぶうぅぅぅぅぅ!ぶぎぃぃぃぃっ!!」

内蔵ごと引き抜くような、触手をぴったりと内側に隙無く張り付かせながらの抽挿。
今まで与えられたもの全てを加算し、それでも届かぬような―――暴力的、暴力そのものの快感。


その後、彼女は幾度も死に瀕し、体力を回復させられ、そして回復した体力を貪られ続けた。
心が壊れてしまえば楽だったろうに、淫魔の肉体と精神は、それさえもできはしない。




43: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:35:30.15 ID:5OyPL7Mao
次の日の、夜がやってきた。
絶頂の回数は、二桁を超えた。
―――否、もはや回数で数えるのは正しくない。
時間にして、凡そ……述べ19時間もの間、絶頂を迎え続けていた。
あまりの感覚に失神し、そして快楽によって無理やり叩き起こされる。
体力が限界を迎えればローパーに回復させられ、そして奪われる。
それが、この一日の間に起きた、無限地獄。


隣女王「……こんばんは。調子は、いかがでしょうか」

幼淫魔C「たすけて……たすけて、くださいぃぃ……」

仕置きを終わらせるべく訪れた女王に、弱々しく懇願する、その声。
不遜さも、無邪気さも、以前の彼女にあったものはない。

隣女王「効果は、あったようですね。……では、これから……あなたは、どうすればよいか分かりますか」

幼淫魔C「……もう…勝手に…遊…び…ません……。いう事……聞きます、から……ゆるして…くだ…さい……」

隣女王「…いいでしょう。それでは、『ポチ』さん。ありがとうございました。明日は別の者をお願いします」

女王が礼を述べると、ローパーはようやく彼女を解放した。
乱暴にという事もなく、紳士がそうするかのように、優しく、彼女の身体を床に下ろす。

隣女王「……分かってくれれば、いいのです。……さ、体を清めましょう。明日は一日お休みになさって結構ですよ」

まみれた粘液で汚れる事さえ気にせず、優しく彼女を抱き起す姿は、女王の本来の姿。
真実として民の事を常に考え、飢えさせないためなら、たとえその身であろうと差し出す覚悟を持つ、『聖女』の如き淫魔の女王。

幼淫魔C「女王、さま…ぁ……。ごめん、なさい……ごめん…なさいぃぃ……」

泣き縋る彼女が落ち着くまで。
女王は、その背を、いつまでも撫でていた。




44: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:36:26.15 ID:5OyPL7Mao
隣女王「…あなたがしてきた事が、どんなに恐ろしいか分かりましたか?」

幼淫魔C「…はい……すみません……でした……」

隣女王「あなたが弄び、狂わせてしまった人間達も、あのワルキューレも。……淫魔より、ずっと脆いのですよ」

幼淫魔C「…………」

隣女王「あなたは、淫魔としての自覚と落ち着きを持つべきだと思ったので、こうさせていただきました。……申し訳ありません」

幼淫魔C「い、いえ……わたしが……わたし達が……悪いんです」

隣女王「……あなたに、お願いがあります」

幼淫魔C「…何でも……します」

隣女王「……明日の夜。Dを、ここに連れてきてくれますか」

幼淫魔C「え……?」

隣女王「あの子も、同様の措置を受けてもらいます。いいですね?」

幼淫魔C「はい。……分かりました」

隣女王「それでは、お願いします。……くれぐれも、ここで起こった事はご内密に。さもないと」

幼淫魔C「い、言いません!言いませんから!だから……もう、ローパーは……いや……」

隣女王「結構です。さぁ、大浴場へ行きましょうか。……それでは、『「ポチ』さんも、今晩はゆっくりなさってください。お疲れ様でした」




45: ◆1UOAiS.xYWtC:2012/05/29(火) 01:37:10.57 ID:5OyPL7Mao
そして三週間の滞在を終え、キングローパーは、祖国へと帰ってきた。
発った時と同じ馬車に詰め込まれ、女王が自ら、送ってきてくれた。

勇者「……お帰り」

ポチ「………」ニュルニュル

サキュバスB「『ふぅ、やっぱり祖国の土はいいもんだ。帰ってきたぜ、ダンナ』」

勇者「いちいち訳さなくていい!っていうかどういうキャラだよ!」

隣女王「…お力添えいただき、ありがとうございました。効果は覿面でしたよ」

勇者「はぁ……まぁ、良かった」

堕女神「それでは、女王陛下。ささやかながら、おもてなしの準備を整えております」

隣女王「あ……申し訳ありません。すぐに戻らなくてはならないのです」

勇者「何かあったのか」

隣女王「いえ、些細な事なのですが……領内に、どうも妙な病が流行っておりまして……対策を立てなくては」

勇者「……どんな?」

隣女王「命に別状は無いのですが、高熱を発し、咳などの軽い症状とともに……い、……淫気が高まって、しまうと……」

勇者「……へぇ、そいつは気を付けないと。なぁ?」ニヤッ

堕女神「…くっ……!」//////

サキュバスB「うぅ……」//////

隣女王「?」




触手王のお仕置き編






47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/29(火) 01:55:20.88 ID:SBgqNI5DO
乙でした
楽しみにしてるから頑張ってね




51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/29(火) 06:08:21.78 ID:CcIhVscjo
待ってたよ。乙




55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/29(火) 07:28:21.73 ID:JdkBq/EQo
期待してるからね!!!!!!


堕女神「私を、『淫魔』にしてください」へつづく

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