1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:02:46.04 ID:sTIyVomrP

彼女の悪い癖。

それは、なんの前触れもなく、かくれんぼをはじめること。

女「男、みっけ」

男「ん?」

もちろん、俺は隠れてない。

女「ふふ、次はボクが隠れる番だ」

知るか。勝手にやってろ。

男「……はぁ」

どこに隠れやがった。


薄暗い押入れの中でウブな○学生とかくれんぼ

ニーハイかくれんぼ




 

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:05:43.29 ID:sTIyVomrP

こうやって、放課後にいつも始まるかくれんぼ。

隠れる気ゼロ。探す気ゼロ。

男「めんどくせー」

大声で言ってみる。

静かだ。

廊下に響いてやがる。



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:08:33.55 ID:sTIyVomrP

男「子供かっつーの」

つぶやいて、そろそろ本気モード。

あいつはいたってマジなので、こちらもマジで探さないと、見つからない。

情熱を賭けるところが、おかしいよな、あいつは。

男「トイレはスルー」

男子の立ち入れないところには、いかないやつだ。

だから、トイレに隠れることはない。

まあ、いるんなら入るけど。



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:10:43.80 ID:sTIyVomrP

男「お」

スカートがチラリと見えた。

男「?」

もぞもぞ。

男「うお……」

頭隠して尻隠さず。

尻をフリフリしてやがる。

男「おい」

女「!」



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:13:28.83 ID:sTIyVomrP

女「おや」

おや、じゃねえ。

男「見つけたぞ」

女「ははは、今日の君は冴えているね。吃驚だ」

男「帰るぞ」

女「ボクが見つかったのだから、次は君が隠れる番だ」

男「うっせ。家に帰るときには真っ暗になっちまうだろうが」

女「むむ、それはいやだな」



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:15:49.90 ID:sTIyVomrP

男「だったら帰るぞ」

女「うむ」

男「……」

女「君がずっと見ていてわかるとおり。はまってしまってね。出れないんだ」

やれやれ。

男「ほら、抜くぞ」

ぐいっ。

女「そんな力じゃ抜けないぞ」

上から目線だな、こいつ。

男「よいしょっと」

女「本当に抜く気があるのかい?」



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:17:42.96 ID:sTIyVomrP

説明が遅れた。

今、こいつは机にはまってしまっている。

机といっても、なんだか特別な机だけど。

男「こんなのの下によく入ろうとしたな……」

女「見つからないと思って選んだ場所さ」

男「俺だったらまず、上半身は入らん」

女「はは。君とは体が違うからね」

当たり前だ。



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:20:43.83 ID:4YjT1iss0

貧乳…
いや抜けなくなるなら巨●…?



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:20:49.17 ID:sTIyVomrP

女「それにしても、本当に君はボクを抜く気があるのかい?」

男「うっせえ」

尻を力強く持つなんて、できるか。

女「もっと力強くしてほしいものだ」

男「ほう……後悔しないな?」

女「こうかい? ボクは海賊かなにかか?」

男「航海じゃねえ」

女「ははは、そうか。後悔、だな。了解、頼んだよ」

力強く、尻を掴む。

女「!」

ぐいっ すぽん。



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:23:31.39 ID:sTIyVomrP

男「よーっし。抜けたぞ」

女「やあ、男くん」

……暢気なやつだ。

女「太もも、という選択もあったんじゃないのかな?」

男「それじゃあ見えちまうだろ」

女「ボクは君に見られても恥ずかしくない。むしろ、君にお尻を掴まれるほうが恥ずかしい」

どういう基準だ。



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:28:57.60 ID:sTIyVomrP

女「それでもまあ、お礼はしておこう。ありがとう」

男「どうも」

女「とりあえず、教室に戻ろう」

男「おう」

荷物、置いたまんまだからな。

女「ふふ、次はどこに隠れようかな……」

男「……はぁ」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:31:48.87 ID:sTIyVomrP

こいつは本当に、なにを考えてるかよくわからない。

いつも笑顔を絶やさず。

いつも俺の側から離れず。

いつも俺と帰りをともにする。

そんなやつ。

男「この前、喫茶店が新しくオープンしてたな」

女「喫茶店なんて、ボクにはお洒落すぎるよ」

男「そうか?」

女「ああ。ボクはそれなら立ち食い蕎麦がいいね」

変なやつだ。



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:34:01.11 ID:sTIyVomrP

女「ボクは、君が思っているほど、お洒落じゃないよ」

別に思ってないけどな。

女「見ての通りの、地味な女の子さ」

男「うそつけ」

女「嘘をつけ? ボクはとても派手な女さ」

男「うそをつくな」

女「じゃあ、地味な女の子さ」

男「はぁ……」

疲れる。



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:37:31.02 ID:sTIyVomrP

女「君はおかしい人だね。人に嘘をつけだの、嘘をつくなだの」

男「あー、もういいから」

女「おや? 気分を損ねてしまったかい?」

男「はい、損ねました」

女「それは困ったなぁ。ボクは大したことができないし」

男「なにか面白いことしてみろ」

女の顔が一瞬、思案顔に。

すぐに笑顔になって。

女「すまない、顔は白くない」

男「面、白いことじゃねえよ!」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:41:05.65 ID:sTIyVomrP

女「おや、では、なんだい?」

男「おもしろいことだ」

女「ほほう、おもしろい……。興味をそそられて、心が引かれるようなこと…」

女はまた、思案顔。

そんなに悩むな。悩んだ分だけしらけるぞ。

女「うむ」

男「ん?」

女「今日のパンツの色は――」

男「!」

女「――教えない」

俺の希望を返せ。

いや、別に知りたくないけどな。一応な。



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:45:00.24 ID:sTIyVomrP

女「ふふ、興味をそそられたかい?」

男「全然」

女「おや、そうか。でも考えてみろ」

やだよ。

女「さっき、君が太もも、あるいはそれ以下の部位からボク抜いていた場合、見えたはずのパンツだ」

なにを熱弁してるんだこいつは。

女「しかし、君はボクのお尻を選んだ」

男「選んだつもりはねーよ」

女「むむ? ならば、ボクのお尻を掴むしか方法がないと思っていたのか?」

ああ、めんどくさい。



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:48:45.87 ID:sTIyVomrP

男「そうだよ……悪いか?」

女「悪くはない。全然」

なら、これで話は終わりだ。

女「そうか……君はすでにさらにもう一つ上の領域に達していたわけか」

どこの領域だ。

女「うーん、負けた! 喫茶店に行こう」

男「は?」

女「あれ? そういう話じゃなかったっけ?」

そんな話にはなってないんだが。



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:51:22.90 ID:sTIyVomrP

男「お前が一人であさっての方向に語りかけてたんだろ」

女「ボクは君にずっと話をしていたよ」

男「知ってる」

女「ならば、君はあさっての方向なんだね」

男「そういうことじゃない」

女「辻褄が合わないよ」

男「めんどくせー!」



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:58:07.14 ID:sTIyVomrP

なんて。

毎日こんな感じ。

めんどくさいやろうだ。

それでも、俺とあいつは離れない。

なんでだろうな。

俺もよくわからない。



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:02:06.84 ID:QfYfQpVmP

女「それじゃあ、また明日」

男「って、明日は学校休みだぞ」

女「? 喫茶店だろう」

男「……ああ」

そうだったな。本当に行くんだな。

女「言っておくが、ボクはメールは苦手だから、電話で頼むよ」

男「おう」

女「じゃあ、男」

男「……」

あいつが俺の名前を呼ぶのは、かくれんぼのときと、別れるときだけ。

……別に、気にしてるわけじゃないけど。



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:05:26.73 ID:QfYfQpVmP

それでもなぁ。

毎回毎回『君』って呼ばれるのも。

なんか、嫌だ。

男「……」

さて、帰るか。

めんどくさい妹がいるので、俺はここから持ち前のスルースキルを発揮しないといけない。

行くぜ!



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:12:13.67 ID:QfYfQpVmP

女「やあ」

男「おう」

女「昨日もお盛んだったようだね」

男「俺は妹と何をしてるんだ」

女「もちろん、ナニをしていたんだろ?」

アホか。



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:16:33.18 ID:QfYfQpVmP

こんなことを平気で言えるとは、こいつ……。

男「変態め」

女「助平といって欲しいね」

男「どっちも似たようなもんだ」

女「失礼な!」

いきなり怒り始めた。なんだなんだ……。

女「ボクは助平であり、色事を好むが、変態は行動にうつすもののことだ!」

男「色事好むのかよ!」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:20:46.53 ID:QfYfQpVmP

こんなこと、普通はいえないよな。

女「さて、それじゃあ」

仕切りなおしして。

女「そろそろ、行こうか」

男「おう」

女の服は、そりゃもう地味なもんだった。

さすが自称・地味女の子。



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:43:03.37 ID:Yc+Q3bXw0

こういう子欲しいよな



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:46:00.23 ID:QfYfQpVmP

女「……悪い」

ん?

男「何か言ったか」

女「ぼ、ボクにはやはり合わないよ」

男「そうか?」

女「き、君にも合わない」

お前が言うな。



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 00:56:11.78 ID:QfYfQpVmP

お前が決めることじゃないだろ。

男「うっせ、入るぞ」

女「やはり、ボクも入らなきゃダメなのだろうか?」

男「そういう約束だろ」

女「わ、わかった……」

女は、本当に嫌らしい。

いやらしい。なんか、いやらしいな。



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:05:42.20 ID:QfYfQpVmP

こいつ、臆病者だな。

チキンだ。日本で愛されているチキンだ。

こいつを食べる気は、さらさらない。

どうやら俺は、嫌らしい。いやらしい。

女「むむ……ボクにはやはり合わない」

男「地味、だからな」

女「ああ、そうだ」

きっぱりしてやがる。



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:10:35.50 ID:QfYfQpVmP

女「こんなにお洒落なお店はボクに似合わないよ」

男「お前がお洒落になればいい」

女は笑顔で顔を横に振る。

女「嫌だね。そんなことするなら君に体を売るよ」

どうかしてるな、こいつ。

女「ふふ、冗談だけど」

ちょっと信じた俺に謝れ。

いや、別に期待はしてないけどさ。



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:13:53.33 ID:QfYfQpVmP

男「冗談でよかったぜ」

女「ふふ、それはよかった」

こいつは俺で楽しんでるのだろうか。

女「とりあえず、注文しようか。なにがいい?」

それは俺がするもんだ。

男「じゃあ、コーヒー」

女「ボクも君と同じものにするよ」

男「大丈夫か? ブラックだけど」

女「ボクは君と同じものがいいんだ」

男「そうかい」



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:16:19.23 ID:QfYfQpVmP

男「すいませーん――」

女「ブラック二つ」

……なぜお前が頼む。

女「ふふ、楽しみだね」

男「ふつーのコーヒーだろうが」

女「そうとは限らないよ。勝手に決めるのはよくない」

うるせーうるせー。



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:20:03.92 ID:QfYfQpVmP

女「なんだかだんだんと、居心地がよくなってきたね」

男「そいつはよかったな」

女「うん、君がいるからかも」

男「……」

女「なんてね」

冗談でも、こういうことは言われたくない。

なんか、うん、まあ。

なかったことにしてくれ。



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:23:05.23 ID:QfYfQpVmP

男「お、来た来た」

女「待ってました」

男「ん」

女「なんだい?」

男「ミルクと砂糖だ」

女「やはり君は、ボクを舐めているみたいだね」

男「舐めても美味しくないだろ」

女「じゃあ、食べているみたいだね」

男「何言ってんだ」

意味わからん。



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:27:24.66 ID:QfYfQpVmP

女「そんなものは必要ない。普通に飲めるよ」

まあ、そうか。

こいつなら普通に飲めるかもな。

ごくりごくり。

ごく……。

男「ん? どうした」

女「ん……苦いね」

やっぱり無理じゃねーか。



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:31:50.67 ID:QfYfQpVmP

男「ほれ」

女「だから、いらないよ」

男「苦いなら無理するな」

女「大丈夫だから、気にしないでくれよ」

やれやれ。もう知らん。

ごくりごくり。

ちびちび。

男「そうやって飲むと、余計苦いぞ」

女「豪快に飲めばいいのかい?」

男「そうは言ってないが、普通に飲め」

女「むう、苦いからね」

だからミルクか砂糖入れろよ。



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:35:25.89 ID:QfYfQpVmP

男「なんで無理してんだよ」

女「君と同じものが飲みたいからさ」

男「ふーん」

女「素っ気無いね」

男「……」

こいつは本当にめんどくさいやつだ。

男「苦いな、ちょっとミルク入れよっと」

女「じゃあボクも」

男「ああ、そうしろそうしろ」



67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:41:30.02 ID:QfYfQpVmP

そのあと、俺はこいつは全然飲めないことが発覚し、ミルクも砂糖も全部いれることになった。

甘ったるい。こんなのコーヒーじゃない。

女「いやあ、美味しかったね」

男「……そうだな」

女「? ご機嫌斜めかい?」

男「ちょっとな」

まさかあそこまで飲めないやつだとは思わなかった。

女「まあ、君にはまだまだ大人な味だったかな?」

男「うっせ」

ぺちり、と頭を叩く。

女「なるほど、身長を生かした素晴らしい攻撃だね。ボクには真似できないよ」

まあ、お前の身長じゃな。



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:44:31.44 ID:QfYfQpVmP

女「できることは……それっ」

と。

やつは俺の胸に軽くタックルをした。いや、頭突きをした。

女「これくらいかな」

男「俺の攻撃より強いと思うんだが」

女「そうかもね」

くすくす。

笑うな。



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:47:46.27 ID:QfYfQpVmP

女「さて、どうしようか」

男「帰るか」

女「つまらないよ、そんなの」

男「じゃあ何するんだよ」

女「あの公園に行こう」

あの公園。

別におもしろいものもない、公園。

女「ボクたちが出会った、あの公園に」

……たしか、そうだったな。



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:52:22.63 ID:QfYfQpVmP

男「行ったところで、どうするんだよ」

女「どうもしないさ」

じゃあ何で行くんだ。

女「ただ、行きたくなったんだ」

気まぐれ。

ただの、気まぐれ……なのか。

女「君も、暇だろう?」

男「まあな」

女「じゃあ、行こう」

男「おう」



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 15:58:55.29 ID:QfYfQpVmP

あの公園。

本当に何もない。

なんだここ。

本当に――。

女「どうやら、公園じゃなくなってるみたいだね」

男「……そうだな」

女「まあ、昔のことだしね」

男「……ああ」



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:04:57.50 ID:QfYfQpVmP

女「しかたないさ。公園で子供が遊ぶことなんて、ないし」

男「……」

女「なにもない公園だったし」

だからって。

無くなっちまったのか。

あのボロっちいベンチも。

あの水が温い水道も。

無くなっちまったのか。

男「……」

女「じゃあ、行こう」

男「……おう」



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:09:37.64 ID:QfYfQpVmP

女「気を落とすなよ」

男「おう」

女「ボクはこんなにピンピンしているんだから」

男「お前は悲しくないのか?」

女「なんで悲しくなるんだい?」

そこに疑問を持つか。



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:11:46.76 ID:QfYfQpVmP

女「あそこは、ボクにとって価値のあるところじゃない」

男「……」

つまり、俺と出会ったことは価値のないことってか。

女「ボクは今が、価値あることだと思うから」

男「!」

ニッコリと、俺に微笑みかける。

女「それじゃあ、男」

どうやら、お別れらしい。

俺の名前を呼んだから。

男「おう」

俺も、一応返事をした。



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:17:43.87 ID:QfYfQpVmP

男「やれやれ」

なんなんだろうな。

あいつとは、本当に、離れない。

男「ただいま」

俺のスルースキルを使えば……今日こそは。

妹「おかえりんご」

男「……」

妹「今日もスルーするー?」

男「……」

妹「あらあら、ご機嫌が悪いみたいで」

耐えろ、耐えろ。



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:22:09.38 ID:QfYfQpVmP

妹「返事をしろおおい!」

男「ぐふっ!」

いきなり蹴ってきやがった!

妹「今日も、女さんと遊んできたの?」

男「うるさい、お前には関係ないだろ。それと遊んできたわけじゃない」

妹「ほほう、デート?」

こいつには制裁を加えてやらんといけないみたいだ。



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:29:34.85 ID:QfYfQpVmP

男「どりゃああああああ!!」

妹「やるかにーちゃん!」

やっぱり、俺にはスルースキルが無いみたいだ。



女「昨日も派手にやったみたいだね」

男「おう……」

女「ふふ、君は本当に面白いね」

男「白くねーよ」

女「そうだね。面黒いね」

男「黒いのか!?」

女「ああ、真っ黒だ。まっくろくろすけだ」

俺はススワタリか。



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:32:46.94 ID:QfYfQpVmP

女「話がズレてるよ。君はおもしろい、ということだ」

男「そうかい」

女「もっと嬉しがってもいいんじゃないかな?」

男「お前に言われても特になにも感じないよ」

女「はは、そうかもね」

男「……」

態度が、大人だ。



87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:54:46.30 ID:QfYfQpVmP

女「今日も一日、頑張ろう」

男「おう」

女「しゃきっとしなさい」

男「へいへい」

笑顔でこっちを見るな。



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 16:58:56.74 ID:QfYfQpVmP

放課後。

もちろん、当たり前だけど。

女「男、みっけ」

男「……」

また、始まった。

恒例の、かくれんぼ。

だけど、今日は違った。

なにが違ったのか。

それは――

女「ボクを見つけられなかったら、ボクの言うことを聞いてね」

――と、言ってきた。



90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:03:25.32 ID:QfYfQpVmP

おもしろい。

今日はどうやら、自信があるみたいだ。

ならば、意地でも探してやる。

そして、まあ、これは言ってないけど。

見つけたら、俺の言うことを聞いてもらおう。

たっぷり可愛がってやるぜ……。

とまあ、あいつを可愛がるつもりなんて、これっぽっちも考えてないけどな。



91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:07:31.66 ID:QfYfQpVmP

男「さて」

今日はどこに隠れてやがる。

こう毎日毎日、隠れてるんだから、もう隠れる場所も限られるだろうに。

それでもあいつは。

男「綺麗に隠れるんだよな」

……前回はひどかったけど。



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:21:16.92 ID:QfYfQpVmP

男「あそこには、隠れたことなかったな」

と、いうわけで。

隠れたところは全部探さなくてもいいだろう。

残すは……。

自分の教室だ。



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:27:24.03 ID:QfYfQpVmP

今、俺は自分の教室にいる。

あいつの狙いは、多分。

俺が廊下に出た瞬間に、どこからかわからんが、教室に侵入するつもりだろう。

なぜそう思うのか。

ここ以外は、もう全部隠れているはずだからだ。

職員室にいたときは正直驚いた。



94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:34:51.99 ID:QfYfQpVmP

男「うむ」

とりあえず、廊下に出よう。

そして、ちょっと奥に行って……。

探すふり。

探すふり。

これくらいでいいだろう。

男「戻ろう」



95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:42:28.85 ID:QfYfQpVmP

男「……」

うわあ……。

今日もクオリティ低いな。

男「見つけた」

女「!」

カーテンに巻きついてるとは……。

女「おや……」

男「見つけたぞ」

女「……はは、見つかってしまったね」

ああ、見つかっちまったな。



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:46:36.84 ID:Yc+Q3bXw0

見つかってよかった…



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:48:22.36 ID:QfYfQpVmP

男「ん?」

女「? どうしたんだい?」

なんだか、こいつの笑顔にすこし、違和感。

男「どうした?」

女「いや、別に、なにも」

男「……」

なにか、隠してるな。

女「じゃあ、帰ろうか」

男「待て」



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:56:59.50 ID:QfYfQpVmP

男「言うこと聞け」

女「え?」

男「見つけられなかったらお前の言うことを聞く。そして、俺が見つけたら俺の言うことを聞く」

女「そこまで言ってないぞ」

いや、今俺が決めた。

男「それだったら、せこいだろ」

女「……なんだい?」

男「そうだな……」

どうしようかな。なにをしてもらおう。

なんて、全然考えてなかった。

もう、決まってたから。

男「お前の言うことを聞いてやる」

女「え?」



99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:58:53.53 ID:QfYfQpVmP

彼女はこの上なく思案顔で、

女「なぜ、君がボクの言うことを聞くんだい?」

男「命令だ。お前は俺に言うことを聞かせろ」

女「……いいのかい?」

男「おう」

女「……」

ジトーっとした目でこちらを見やがって。早く言えよ。

女「そうだな……」

考えるなよ。



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 18:00:14.74 ID:AmDoJmRl0

ごくり…


VIPから書籍化!!2010年12月29日発売!!
まおゆう
まおゆう魔王勇者 1「我がものとなれ、勇者よ」「断る!」


女「まさか君に見つかるとは思わなかったよ」【後編】
へつづく


転載元
女「まさか君に見つかるとは思わなかったよ」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1281535366/
 

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