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バタコ「ジャムおじさんっ…!チクビ吸うのらめぇぇ!」
【パート1】【パート2】



152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 14:57:52.12 ID:qVMXlbYRO
バイキン「やはり…そう……か…わかった、ご苦労…任務を続行しろ…くれぐれも気を付けて…な……」

一方その頃、アンパンマン号を眼下にバイキン城をめざして飛んでいたUFOのコックピットでは、備え付けの無線通信機に向かってバイキンマンが何事かささやいていた。

ドキン「…さっきから、こそこそ何してるのよ、バイキンマン」

後部座席に座っているドキンちゃんが、少し棘のある口調でバイキンマンに尋ねる。
どうやら、まだ自分達だけ安全な場所に逃げ延びてきたことが不満らしい。




 
 


154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:04:32.06 ID:qVMXlbYRO
バイキン「…パン戦士達に張り付けていたカビルンルンからの報告だ。どうやらジャム爺の秘密工場は相当な規模らしい…」

斜め上を行く彼の答えに、ドキンちゃんが驚いてすっとんきょうな声を出す。

ドキン「え?カビルンルン?私達はこの件からは手を引くんじゃないの!?」

そう言われて、バイキンマンがまゆを潜めて微妙な表情をする。

ドキン「…そう言えば、さっきから随分時間がたつのに、あんまりパン工場から離れてないわねぇ…まさか、バイキンマン!!」

驚きの声をあげるドキンちゃんに、バイキンマンが決まり悪そうに言葉を返す。


155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:10:57.92 ID:qVMXlbYRO
バイキン「勘違いするなよ。ジャムの野郎には、俺だってつもり積もった長年の恨みってやつがあんだ。決してあのカビパンたちを助けてやろうとかそんなことは…」

尻すぼみになるバイキンマンの言葉を聞き、ドキンちゃんが一転はしゃいだ声を出す。

ドキン「なぁによぉ〜、なぁんだっ!結局、あの二人が心配なんじゃない!なぁに?悪のプライドってやつ?くぅだらないっ〜!!」

口ではそう言いながらも、ドキンちゃんの口調には、隠しても、いや、隠そうともしていないが、嬉しそうな調子で溢れていた。


157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:14:37.14 ID:qVMXlbYRO
バイキンマン「ちっ、これだから子供は…おい、バイキン城本部、誰かいるか?バイキンマン様だ!!」

決まり悪さをごまかすように、無線通信機に向かってバイキンマンが偉そうに怒鳴る。

『〜〜〜〜〜〜』

それに答えた城付きのカビルンルンが、同族とバイキンマンにしかわからない言葉で答える。


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:24:31.67 ID:qVMXlbYRO
バイキンマン「よし、整備済みの大足ロボットは何機ある?…わかった、完全装備で大至急こちらに向かえ」

無線通信機の周波数をアンパンマン号にあわせながら、何事か考え込んでいるバイキンマンに向かって、ドキンちゃんが尋ねる。

ドキン「ねぇ、整備済みの大足ロボット全部って、そんなに必要なの?たかだかエロジジイ一人相手に…」

ものものしい様子のバイキンマンに、さすがに不安を覚えたのか、声に先程までの受かれた口調はない。

バイキン「…敵の戦力がわからないからな…こちらのタマカズは多いに越したことはない…おっ、繋がったか?」

そうつぶやくように答えて、バイキンマンは手を止め、無線通信機に向かって呼び掛ける。


162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:29:20.78 ID:qVMXlbYRO
バイキン「こちらバイキンUFO、聞こえているか?」

バタコ『こちらアンパンマン号、聞こえるわ』

バイキン『よし、バタコさん、一旦停止してくれ。俺様たちは一旦ここに陣をはる』

バタコ『陣…?』

いぶかしげに応答するバタコだったが、それでもバイキンマンに従い、アンパンマン号を停止させた。
それに会わせ、バイキンUFOもアンパンマン号のとなりに着地した。


164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:34:49.46 ID:qVMXlbYRO
バタコ「…一体、どういうこと?」

キャノピーをひらいて、地面におりたったバイキンマンに、バタコが怪訝な表情で尋ねかける。

ドキン「やっぱりアンパンマン達の力になりたいんだって!
バイキン城に待機してる大足ロボットもいっぱい呼んだんだよ!凄いでしょ〜
こんな顔してても、根はそんなに悪くないのよ!」

決まり悪そうに突っ立っているバイキンマンの代わりに、ドキンちゃんが胸を張って誇らしげに答えた。


165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:36:55.82 ID:+VG0wKb/O
バイキンマン漢だな


166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:40:48.13 ID:qVMXlbYRO
バイキン「そんなんじゃねーつの、馬鹿が!その、なんつったってこの世界の覇者は俺様だからな!!ジャムの爺ごときにすきかってされちゃ、困るんだよっ!!」

心底憤慨したように、バイキンマンが身ぶり手振りを交えて大袈裟に反論する。
そんなバイキンマンを見つめていったバタコは、目に涙を浮かべながらいきなりバイキンマンの手を握り

バタコ「バイキンマンッ…あなたってひとは!!」

慌ててバイキンマンがバタコの手を振り払う。

バイキン「きききき、きやすく俺様に触れるんじゃねぇッ!!!」

そんな様子を見て、ドキンちゃんは楽しそうにクスクス笑っている。


167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:42:13.68 ID:Y6wxxZ6tO
本当に格好良すぎだろ、バイキンマン


170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:44:06.00 ID:1/we+UE1O
ドキンちゃんってブルマ?


172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 15:50:51.98 ID:TLOK39t/0
>>170
穿いてない。


181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 16:24:42.48 ID:f2q91ZLQO
このバイキンマンなら掘られてもいいな


183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 16:33:43.84 ID:Ux7bF9rLO
>>181
病気になるぞw


186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 16:44:04.35 ID:TLOK39t/0
>>183
性病の確率100%か。
おそろしい。


198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 17:41:42.61 ID:qVMXlbYRO
バイキン「…そうだ。カレーパンマンの遺体を見せろ、
2,3気になることが有るんだ」

ふと真顔になったバイキンマンが、真剣な面持ちでバタコに告げる。

バタコ「カレーパンマンの…遺体?…でも彼は既に十分すぎるほど闘ったわ。
死んでしまった今となっては、もうゆっくり…」

バイキン「いいから早く!」

バイキンマンが少し声を荒げ、バタコに詰め寄る。

ドキン「…心配しないで、バタコさん。
バイキンマンはこんな人だけど、死んでしまった人の尊厳を傷つけるような最低のことはしないわ。
きっとなにか考えがあると思うの」

その場をとりなすようにドキンちゃんが言う。

バタコ「…分かったわ。着いて来て」


199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 17:48:08.45 ID:qVMXlbYRO
そう言ってバタコは、アンパンマン号の後ろに回り、後部ハッチを大きく押し上げた。

バタコ「…カレーパンマンよ」

ぼろぼろになって台の上に横たわるパン戦士を見つめ、バタコが悲しそうに呟く。

バイキン「ああ、ふむ…悪いけどしばらく一人にしてくれ。
ゆっくり考えたいことがある」

バタコ「…」

不安そうに一度カレーパンマンの亡骸とバイキンマンとを振り返り、
それでも素直にバタコさんはアンパンマン号外にでた。

ドキン「大丈夫、心配しないで。詳しくは分からないけど、きっと何かバイキンマンなりの考えが有るのよ」

ドキンちゃんが慰めるようにバタコさんの肩にやさしく手を置いた。


201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 17:58:04.52 ID:qVMXlbYRO
時を少し戻そう。

アンパンマンがジャムおじさんの卑劣な罠に落ちる前、
まさにショクパンマンが予定どうり工場の扉に手をかけようとした、そのときのことだ。

ショクパンマンがふと、視界のはずれのみすぼらしい犬小屋に目をやった。
床には、ろくにえさも貰っていないであろう、その犬小屋にふさわしいみすぼらしい犬が、息も絶え絶え、
といった感じで横たわっていた。

それに気づいたショクパンマンがいそいで駆け寄る。

ショクパン「ああ、チーズ!!なんてことを…」

自分が近づいても起き上がる気力もないのか、チーズは同じ姿勢で横たわったままピクリとも動かない。

ショクパン「…そうだ、これをお食べ」

そう言ってショクパンマンは、自分の顔をほんのちょっぴり切り取って、チーズの前に差し出した。

ショクパン「…そうだ、食べるんだよチーズ。私の顔は栄養満点だからね…これで起き上がれるだろう」

事実、ほんのちょっぴり、ほんのちょっぴりのそのショクパンを弱弱しくかみ締めていたチーズが
ゆっくり、ゆっくり体を起こしていく。


204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:06:12.58 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「…すまない、私にはこれが精一杯なんだ…」

消え入りそうな声で、自分の情けなさをかみ締めていた。
いのちより大切な人を人質に取られた弱み、
あまり顔を削りすぎて不審に思われてもいけないと言う、ギリギリの、精一杯のショクパンマンの抵抗だった。

ショクパン「…さあ、縄を解いておいた。これで自由に逃げられる」

チーズは犬ながらに何かを理解したのだろう。
ショクパンマンのほうを何度も見やり、しかし決して声を上げず、ついに森の中へ消えていった。

ショクパン「(…強く生きるんだ、チーズ…そして、さようならだ…)」

しばらくチーズの消えていった方角を見つめ、そして意を決して立ち上がったショクパンマンの目に宿る闘志

ショクパン「(私は死んでもいい…だが、必ず…必ず隙を見て、ドキンちゃんだけは逃がさなければ!!!)」

そう心の中で堅く決心し、パン工場の玄関へ向かっていった。


206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:15:04.66 ID:qVMXlbYRO
場面は変わり、秘密工場へむかう地下通路の二人。
階段をおり始めて、いったいどれくらいの時間がたったのだろう。
お互い無言のまま、しかしその胸には並々ならぬ闘志を燃やして二人はすすみ続けた。

そして、ついにショクパンマンの足が止まる。

ショクパン「…どうやら、たどりついたようですね」

そういって指差した先には、大きな赤い両開きの扉。

アンパン「ああ…この先に、ジャムが…」

いいさしてアンパンマンがふと、うしろを振り返る。

アンパン「…もういいんだ。隠れてないで、出ておいで」

そう、優しげに声をかけた。

ショクパン「?誰かいるのですか…?」

不思議そうに尋ねるショクパンマン、アンパンマンは黙ってジーっと後ろを見ている。
すると

カビルンルン「〜〜〜〜〜」

一匹のカビルンルンが恥ずかしそうに菌糸を揺らしながら階段を下りてきた。


211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:30:01.15 ID:iETjmpVdO
>恥ずかしそうに菌糸を揺らしながら


素敵だ・・・


208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:22:43.98 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「…これは驚いた、僕たち二人だけかと思っていましたが、
こんなところにも心強い味方が一人」

こわばっていたショクパンマンの顔がふとほころび、本来の彼の優しげな顔つきが戻ってくる。

アンパン「多分、バイキンマンの命令で僕たちのあとをつけてきたんだろう」

その言葉に、ショクパンマンが小さく驚きの声をあげる。

ショクパン「え!?…バイキンマンが…?しかし、彼はドキンちゃんたちと一緒に避難したはずじゃあ…
彼はこの一件から手を引いたはずですよ」

しかし、アンパンマンはなにやら確信を持ってそれに答える。

アンパン「いや、分かるんだ。彼はこっそり僕たちのことを見守ってくれるつもりだったんだろう…
何故かわかる。バイキンマンはそういう人だ」

そう呟くように答えるアンパンマンを不思議そうに眺めるショクパンマン。

ややあって、アンパンマンが気まずそうに揺れているカビルンルンに声をかける。

アンパン「君はきっと通信装置か何かを持っているんだろう?ちょっと貸してくれないか」


210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:28:16.94 ID:qVMXlbYRO
カビルンルンはそれを聞いて驚いたようにぴくっと体を震わせると
なにやら思案しているかのように、菌糸をせわしなく揺らし始めた。
…そして背中に背負っていたリュックサック、といってもアンパンマン達からみれば
巾着程度の大きさしかない袋から、大切そうに小型の無線機を取り出すと、
菌糸を器用に使って、おずおずとアンパンマンに差し出した。

アンパン「ありがとう」

そういって、かれはカビルンルンにむかって優しく微笑んだ。
それを受けてうれしそうにカビルンルンが菌糸を揺らす。

アンパン「バイキンマン、バイキンマン、聞こえますか。こちら地下秘密工場のアンパンマン」


212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:36:38.27 ID:TLOK39t/0
かびるんるんに萌えそうだ。


213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:38:22.67 ID:qVMXlbYRO
しばらくして、手のひらに乗ってしまうようなその小さな無線機から聞きなれた声が発せられた。

バタコ『こちらアンパンマン号のバタコ、アンパンマン!!無事だったのね!!』

心を締め付けるようなその声に、思わずアンパンマンの声も上がる。

アンパン「はい、ショクパンマンも無事です。
僕達についてきたカビルンルンからこの無線機を借りました」

バタコ『よかった…二人とも無事なのね…』

そう言って無線機からおおきな安堵のため息が聞こえてくる。

アンパン「ええ、今はまだ…ですが…」

バタコ『…そう、もうすぐ戦いが始まるのね…』

無線機の向こうのバタコが不安に息をのむ様さえ感じ取れた。
今の二人は、それほど繋がっている。

アンパン「その前に、あなたの声が聞きたかった…」

バタコ『…』

言葉はない。しかし気持ちはいたいほど伝わってくる。
どうか、 ぶじに かえってきて …

アンパンマンがひと時の切ない思いに身を寄せていると、その沈黙を破るように無線機の向こう側が騒がしくなった。


215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:47:09.26 ID:JRijvJaPO
ショクパン最初、犬は見殺しにしましょうとか言ってなかったかwww


219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 18:59:40.78 ID:A+j854mzO
>>215
こまけぇこ(ry


221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:03:53.92 ID:qVMXlbYRO
実は後付ではない
あれがあの場での最善のカレーパン好みの答えだったから キリッry

いやまじでwwwwwwww

俺こんなSS書いてるんだろな


222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:07:46.95 ID:iETjmpVdO
考えたら負け


228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:27:00.94 ID:qVMXlbYRO
バタコ『え?そう…アンパ…ええ、ちょっとまってて、アンパンマン、聞こえてる?』

何事か向こう側で話ていたバタコが回線に戻ってくる。

バタコ『バイキンマンが、あなた達に伝えなくちゃいけないことがあるって。変わるわね』

そう告げると、回線の向こう側で、確かに話しての変わる気配がした。

バイキン『こちらアンパンマン号、バイキンマン アンパンマン、聞こえているか?』

アンパン「ああ、聞こえてるよ」

バイキン『ちぇっ、カビルンルンのやろう、しくじりやがって…まあいい。カレーパンマンの遺体を調べていて大変なことが分かった』

アンパン『え?カレーパンマンがどうしたって?』

突然入ったノイズに、二人の会話が阻害される。

バイキン『だか…ざ…ジャム…ザザ…イース…ザザ…不…ザザザ』

アンパンマン「え?なんだって、よく聞こえない!」

必死で会話を続けようとするアンパンマンの耳に飛び込んできたもの、
それは何か大切なことを伝えようとするバイキンマンの通信ではなく、
驚きとあせりにみちた、ショクパンマンの叫び声だった。

ショクパン「アンパンマン!!大変です!あれを見てください!!!」


229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:33:22.99 ID:qVMXlbYRO
バイキン「畜生ッ!!!!!」

突然途絶えた通信に、バイキンマンが呪詛の怒鳴り声を上げる。

バタコ「いったいどうしたの!アンパンマンたちになにかあったの!!
さっきの会話は何!?ジャムの真の目的って!!!!」

バタコが取り乱して矢継ぎ早に質問する。

バイキン「心配すんな!!!…ちょっと通信が途絶えただけだ。
電波の調子が悪かったんだろう…パン野郎たちなら平気さ殺したって死なな……!!!?」

突然何かに気づいたバイキンマンが興奮して大声を上げる。

バイキン「そうか!!!そういうことなのか!!!
ジャム爺の野郎ッ!!!なんてことを考えやがるッ!!!!」


231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:41:13.83 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「あれを見てください!!!」

彼が指差したその先をみて、アンパンマンは驚愕した。
ジャムと自分達とを隔てていたはずの最後の扉から、赤いゼリー状の何かが次々と染み出しているのだ。

アンパン「しまった!!罠だッ!!!カビルンルン!僕に掴まって!!!
ショクパンマンッ!!!飛ぶよッ!!!」

それを聞いたカビルンルンがあわててアンパンマンの胴体に菌糸を絡ませてくる。
本来、カビルンルンはその性質から、パン戦士達の天敵である。
しかし、今はそんなことを言ってられない。このままカビルンルンを見捨てて逃げれば、間違いなく彼(?)はあの赤いなにかにに飲み込まれてしまうだろう。

アンパン「逃げるぞッ!!ショクパンマンッ!!!」

ショクパン「はいっ!!」


233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:47:38.28 ID:qVMXlbYRO
バイキン「くそったれ、大変なことになるぞ…おい、大足ロボットはまだか!!!!今どこだっ!!
…わかった!!いそいで来い!!!」

バイキンマンが声を荒げながら通信機に向かって怒鳴る。

ドキン「ねえ、いったいどうしたって言うの!!ちゃんと分かるように説明して!!」

痺れを切らしたドキンちゃんが、半ば叫ぶようにバイキンマンを問い詰める。。

バイキン「あ、ああ…すまん 俺様としたことが、取り乱した…
おい、なんか飲み物はないのか!?」

バイキンマンが気を取り直したようにいすに腰掛ける。
バタコが手渡したコップいっぱいの水を一気に飲み干すと、バイキンマンは続けた。


235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 19:58:17.87 ID:qVMXlbYRO
バイキン「カレーパンマンの遺体を調べていてあることが分かった。
あの遺体にはパン戦士として重要なもの、パン戦士をパン戦士たらしめる、あるものがかけている」

ドキン「だからなに!!ちゃんとわかるように言って!!」

バイキン「ああ…ショクパンマンとアンパンマンにやられたとき、何故カレーパンマンはそのまま死んだ?」

ドキン「えっ?」

突然突拍子もないことを言い始めるバイキンマンに、ドキンちゃんが疑問の声を上げる。

バタコ「パン戦士をパン戦士たらしめるもの…!!!わかったわ!!イースト菌ね!!?」

バイキンマン「ご明察だ!流石パン屋!!」

一人置いてきぼりを食らったドキンちゃんがいらいらしながら叫ぶ。

ドキン「だから、そのイースト菌がなんなのよ!!!」

バタコ「…やられてしまったカレーパンマン…まさか!?」

何かに気づいたように、バタコが驚いて叫んだ。
それにわが意を得たりというように、バイキンマンが答える。

バイキン「そう、それだっ!!ジャム爺はカレーパンマンの体から予めイースト菌を抜きさっていた!」

そこで一呼吸おいて続ける。ジャムの恐るべき目的を。

バイキン「やつは…不老不死の化け物になろうとしているッ!!!!」


239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 20:17:18.37 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「もっと早く飛ばないと!!!追いつかれてしまいます!!」

先ほど延々と下って来た階段の上、その上を入り口目指して飛びながら、
ショクパンマンが後ろに続くアンパンマンにむかって鋭い声を投げかける。

アンパン「分かっている!!もう少し、もう少しだっ!!」

カビルンルンがまきついた胴体から侵食がはじまり、すでに顔の下四分の一はカビに犯されているであろう
アンパンマンが息も絶え絶えに答える。

ショクパン「くそっ…あと少し!あと少し頑張ってくださいアンパ…」

そのとき、彼らは自分の耳を疑いたくなるような現象に出会った。

ジャム「はははははははは、そんなにいそいでいったいどこに行こうと言うんだね
我ら親子の感動の再開じゃないか!!もっとゆっくりしていけばいい!!」

あろうことか、その声は自分達を追いやっている、あ の 赤 い な に か か ら き こ え る !!

ショクパン「まさかっ…まさかあの赤い物体は…ジャムおじさんなのかっ!!!」

ジャム「はははははご明察だ、これが生まれ変わった私の新しい体、『Strawberry Jam』さ!ははははは」

信じられない光景を尻目に二人と一匹はただひたすら上を目指して飛び続ける。

ジャム「あははははは!!!なんてすばらしい気分だ!!!!まさしく私は生まれ変わったのだ!!!!
そして予定通り貴様らもこの体に取り込み…私は唯一絶対の完璧な生物として!!!!この世の神として君臨するのだ!!!」

もはや狂人のそれに近い、耳障りなJAMの笑い声を背に、ショクパンマンとアンパンマンは必死に入り口目指して飛び続けた。


242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 20:23:25.70 ID:uXrN3VO40
♪BGM The Yellow monkey -JAM-


この世界に真っ赤なJAMを塗って 食べようとする奴がいても

あの偉い発明家も 凶悪な犯罪者も

皆昔子供だってね

外国で飛行機が落ちました ニュースキャスターは嬉しそうに

乗客に日本人は 居ませんでした 居ませんでした

僕は何て言えばいいんだろう 僕は何を思えばいいんだろう

こんな夜は 会いたくて 会いたくて 会いたくて

君に… 会いたくて… 君に… 会いたくて…

また明日を待ってる…


243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 20:24:58.52 ID:bq3pUm8y0
>>242
懐かしい
この曲大好きだわ


244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 20:26:23.93 ID:uXrN3VO40
聴きながら必死に戦うアンパンマンを脳内で重ねたらアニメOPみたいで泣けた


245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 20:29:00.27 ID:qVMXlbYRO
バイキンマン「いいか、よくきけよ。いったいなんで俺様はあの糞忌々しいパン共にいつも負け続けていた?」

まだ納得いかないと言うように盛んに首をひねっているドキンちゃんを見かねて、バイキンマンが問いかける。

ドキン「それは…やっぱりバイキンマンが弱いからじゃないの?いや、違うわね、ショクパンマン様が強すぎるのよ!」

それを聞いて心底不快を感じたかのように鼻を鳴らし、バイキンマンが続ける。

バイキン「ぜーんぜん違うね!!!断じて俺様は弱くなんかないッ!!質問の答えは…」

バタコ「パン戦士の、不死性…」

バイキンマンの言葉を奪い、バタコが呟く。

バイキン「そうだ!あいつらはどれだけ痛めつけたって顔を変えるだけで何度でもよみがえるっ!」

ドキン「…それが、イースト菌の仕業だって言うの?」

バイキン「そうだ、現にイースト菌を抜かれたカレーパンマンは、元々の体が耐え切れないほどのダメージを受けて死んだ」

ドキン「…ッ!!!それじゃあ!!」

バイキン「…そのとおりだ。ジャムの爺はカレーパンマンから抜き取ったイースト菌を自分の体に移植したはず
やつは、パン戦死の不死性に目をつけたんだ!」


280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/01(月) 23:32:13.50 ID:RfD6ymd1O
もはや野生のやなせたかしと呼ぶ他あるまい…!!


300 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 00:26:48.37 ID:qVMXlbYRO
ドキン「それじゃあ闘ったって勝ち目がないじゃない!!」

告げられた、あまりに恐ろしい敵の正体に驚きなかば怯えながら、ドキンちゃんが悲鳴に近い声を上げる。

ドキン「そんな…やっつけてもだめだなんて…」

バタコ「…」

重苦しい沈黙が場を支配する。
しかしそれを跳ね除け、バイキンマンが言った。

バイキン「…まだ諦めるには早い」

ドキン「…でも」

バイキン「…イースト菌は万人に受け付けられるものじゃないんだ。
幸い今ジジイがカレーから奪ったのはパン戦士たった一人分のイースト菌だ」

難しい顔をして、バイキンマンが呟く。

バイキン「そうだ…」


301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 00:27:59.32 ID:qVMXlbYRO
それを聞き、バタコが不思議そうに言った。

バタコ「どうしてあなたはそんなにイースト菌について詳しいの?」

バイキンマンはちょっと考えるような仕草をしてから利き腕で鼻をさすりながら答える。

バイキン「当然だろう…何年お前達と闘ってきたと思ってるんだ…」

それを見て、ドキンはハッと気づく。

ドキン「(バイキンマン、嘘ついてる…でもなんで?何が嘘なの?)」

長年一緒にいた相手だから彼の癖ぐらい分かる。
しかしそのドキンちゃんですら、難しい顔をして考え込んでしまったバイキンマンが、
何をおもっているのか、はっきりとは分からなかった。


304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 00:41:45.34 ID:qVMXlbYRO
しばらくしておもむろにバイキンマンが顔をあげ、バタコさんに告げる。

バイキン「…新しい顔を焼く準備をしろ。戦いが始まる」

バタコ「…そうね」

答えてバタコさんがいそいそと作業を始める。

バイキン「…ドキンちゃんも、手伝えるか?」

そんな後姿を見ながら、バイキンマンが呟くようにそんなことを言う。

ドキン「まっかせといて!バタコさんにおいしいパンの焼き方をならって、
ショクパンマン様にほめてもらうんだから!」

なにげない一言に、ふっと張り詰めていた場の空気が緩む。

バイキン「…よし分かった。そのまま待機…パン工場の見張りを続けろ…何かあったらすぐに…うん、頼んだ」

無線通信機に向かってそう囁くと、しばらく考えたあとふっと思いついたようにバイキンマンがいった。

バイキン「…ああ、それからカレーパンマンの新しい顔も用意してくれ」


305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 00:53:14.89 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「…もうすぐ、もうすぐですよアンパンマン!!」

そういって後ろに続くアンパンマンを心配そうに力づける。

アンパン「あ、ああ…もう…ちょっとだ…」

すでに顔の半分以上をカビに侵食されてしまった、
そんなアンパンマンに抱かれたカビルンルンが、泣きだしそうに潤んだ瞳で彼を見つめている。

アンパン「し、心配いらない…僕達はきっと無事に外までたどり着ける…」

すでに体に力が入らない、まっすぐ飛ぶことさえ危ういがそれでも何とか気持ちだけで先を行くショクパンマンについていく。
彼らの後ろからは、あの不気味な赤いゲルが今にも彼らを飲み込みそうな勢いで迫ってくる。

ショクパン「!!見えました!!外です!!!」
視線の先に先ほどの入り口を認めて、ショクパンマンが歓声を上げる。

ショクパン「いっきに突き抜けましょうッ!!」
そういってさらにスピードを上げる。

アンパン「…よし」

体中の力を振り絞って、何とかアンパンマンも加速する。もうすこし、もう少しッ…抜けたっ!!


309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 01:10:01.65 ID:qVMXlbYRO
アンパンマンたちが地上に抜けでると数秒を置かずに、赤いゲルが地上にあふれ出始める。

ショクパン「…一度アンパンマン号に戻りましょう。体勢を整えるんです」

眼下に広がっていく赤い苺ジャムを眺めながらショクパンマンが呟く。
そのとき、じっと下を眺めていたアンパンマンが有ることに気づく。

アンパン「…た、たいへんだ…あの苺ジャムは…いのちを…触れたものの命を…ッ!!」

その言葉と同じくして、ショクパンマンも眼下の異変に気づく。
赤い苺ジャムに触れた草木が、あっという間に枯れてゆくのだ。

ショクパン「命をッ…吸っているのかッ…なんと言う化け物なんだ…ッ!!」

信じられない光景を目の当たりにして、ショクパンマンがうめくような声を上げる。

アンパン「…こうしてはいられない。早くアンパンマン号に、戻らなくては…」
消え入りそうな声でアンパンマンが言う。

ショクパン「ええ、いけますか?アンパンマン?」

アンパン「な、なんとか大丈夫だ…道案内は、任せて大丈夫、かな…?」
そう言って胸に抱くカビルンルンに視線を移す。
彼(?)の菌糸が一瞬激しく震えたかと思うと、全ての糸が同時に同じ方角を指し示した。

アンパン「…いこう、ショクパンマン…」


310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 01:13:04.47 ID:xZoKLIicP
なんというデイダラボッチwww


311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 01:15:30.88 ID:cTizvUUxO
もののけ姫を思い出した


313 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 01:25:13.69 ID:qVMXlbYRO
バタコ「え?カレーパンマンの顔を?」

信じられない言葉を耳にして、思わずバタコが聞き返す。

バイキン「…そうだ、魔法が使えるのは、なにもジャムの糞ジジイだけじゃないってことさ」

そういってせわしげに無線機で通信を始める。

バイキン「…なんだと、そうか…よし、相手の特徴は…うん、了解した…
…火炎放射器メインの大足ロボットを…うん、7体…そうだ…」

一呼吸おいて、バイキンマンが大きな声で二人に告げる。

バイキン「ジャムのジジイが本格的に暴れだしやがった、アンパンマンとショクパンマンは無事に秘密工場を脱出
時期、こちらに到着するそうだ」

それを聞いてバタコが目に見えてほっとしたような表情をする。
バイキンマンは続ける。

バイキン「気を抜くなよ、これからが本当のラストバトルだ」


398 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 13:40:15.66 ID:SdXJ3oJgO
ショクパン「しっかりしてください!アンパンマン!アンパンマン号はすぐそこですッ!」

すでに顔中をカビに侵食され、今にも墜落しそうなアンパンマンを気遣い、ショクパンマンが盛んに声をかける。

アンパン「…ショクパンマン…先に行ってくれ…そして、新しい顔を……」

それが最後の言葉だった。
それを合図に高度がどんどん下がって行く。

ショクパン「アンパンマンッ!?」

空中で制止したショクパンマンが悲鳴に近い叫び声をあげる。


401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 13:48:43.79 ID:PnKct2ToO
ゴクリ・・・!


402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 13:50:43.92 ID:SdXJ3oJgO
悲痛に身を裂かれるように感じながら、ショクパンマンは考えていた。
今、自分がアンパンマンと一緒に居ても、してやれることはない。

カレーパンマンやアンパンマンと違って自分は、体力がない。
カビに侵されたアンパンマンを抱えて飛ぶのも無理があるだろう。

ならば自分の武器は何か。
スピード、そして冷静さ。
アンパンマンが落ちていった場所を目に焼き付けるようにしっかりと記憶し、はるか向こうに小さい点のように見えている大足ロボットを目標として定めた。
きっとあれはバイキンマンの兵隊だろう。ならば必ず一緒にアンパンマン号もいるはず…

今一度、落下地点を振り替える。背後にはすでに赤いイチゴジャムの湖が広がっていた。ゆっくりとしかし確実にその勢力を拡大していく。
ショクパンマンは一度大きく息を吸うと、目標物目指して最大速力で飛び出した。


404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 13:57:32.86 ID:SdXJ3oJgO
地面に身を横たえながら、アンパンマンは深い眠りに落ちようとしていた。

己の意思に反して、まぶたはどんどん閉じていく。
傍らにたっているカビルンルンが、心配そうに自分を覗きこんでいるのがわかった。
良かった。彼(?)はどうやら、無事に着地出来たようだ…そこまで考えたとき、再び強烈な眠気がアンパンマンを襲う。もう抗えない、そう感じた瞬間アンパンマンの意識は深い闇に墜ちた。


407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:04:08.40 ID:SdXJ3oJgO
バイキン「なに!?本当かッ!!……わかった!!」
無線通信でなにやら報告を受けていたバイキンマンの血相が、一瞬にして険しくなった。

ドキン「…何があったの?」
いち早く異変に気付いたドキンが、不安そうに声をかける。

バイキン「…アンパンの野郎が、墜ちた。カビルンルンを助けて、体に触れたのが原因らしい…くそっ!!あの野郎どこまでッ!!!」

バタコ「そんなっ……!?」
それを聞いて、バタコが絶句する。


409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:12:27.50 ID:SdXJ3oJgO
バイキン「落ち着け!!場所は分かるッ!!すぐに助けにいくぞ!」

悪のプライドも、すでに忘れてしまったのかもしれない。平時であれば、舌を噛みきっても言わないようなセリフを吐いて、バイキンマンが一同に号令をだす。
バタコが急いで運転席に乗り込もうとした瞬間、息を切らせてショクパンマンが飛び込んできた。

ショクパン「たっ大変ですッ!!!アンパンマンがっ!!」

バタコ「ショクパンマンッ!!あなたがついていながらッ!!!」

およそ場違いな叱責も、それだけバタコが動揺しているあかしなのだろう。


411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:19:00.10 ID:FkFsK5SaO
ショックンかわいそう


412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:19:08.58 ID:SdXJ3oJgO
ショクパン「本当になさけないっ…急いでアンパンマン号を出してください!ジャムの魔の手が、すぐそばに迫っているっ!!」

ショクパンマンが下唇をかみながら、血をはくような声を絞り出す。

バイキン「よし、新しい顔の準備は出来ているなッ!!俺はUFOで大足ロボット達を指揮しながら急いで現場向かうッ!!お前たちは先に行けッ!!」

そこまで一息に言って、バイキンマンは転がるように外に飛び出していった。


416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:33:36.30 ID:SdXJ3oJgO
眠りに落ちたアンパンマンの傍らで、カビルンルンが菌糸をせわしなく揺らしながら一生懸命考え込んでいた。

本来、彼らの思考回路はそれほど複雑ではない。寝ること、食べること、そしてごく稀にバイキンマンの指図でちょっとした悪戯をすること。
悪戯は好きだ。ワクワクする。バイキンマンも好きだ。何故なら友達だからだ。
倒れているアンパンマンを見ながらさらに考える。

アンパンマンは、あの赤いどろどろから自分を助けてくれた。あの赤いどろどろはきっと良くないものだ。
難しいことは分からないけど、きっととても悪いものだ。

そこまで考えて、突如身を包む悪寒に体を震わせた。
大変だ!あの赤いどろどろがすぐ近くまで来ている!逃げなくちゃ!
一度大きく菌糸を震わせると、何本もの菌糸をアンパンマンに巻き付ける。
持ち上げてみる。凄く重い。
でもこのままほおっておけない。
だって、アンパンマンは自分の友達なのだから。


417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:40:48.15 ID:/8eKwpi6O
カビルンルン優しいんだな


418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:41:05.61 ID:SdXJ3oJgO
ショクパン「もうすぐです!」
助手席に座ったショクパンマンが、前方を叫ぶように言った。

ハンドルを握ったバタコの手に大粒の汗が落ちてはじける。
車内の温度が高いわけではない。むしろ先程から体が凍えるように感じていた。
早くいかないと、アンパンマンが死んでしまう。
私の アンパンマンが 死んでしまう !!


420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 14:52:25.54 ID:SdXJ3oJgO
バイキン「よし!準備は出来ているなッ!!俺様についてこいッ!!」

UFOに乗り込んだバイキンマンが、後ろに控えている大足ロボット軍に号令をかける。一斉に動き出した大足ロボットを先導しながら、バイキンマンの思考は更に加速していった。

アンパンマン達のあとをつけさせたのは、自分だ。
つまりこの失点は自分の責任。苛立ちに歯を喰い縛り、眼前に広がる赤いジャムを見つめた。

ジャムに取り込まれたイースト菌は、今のところカレーパンマン一体分だけだ。
しかし、適性のないものが扱うだけでこうも凄まじい変化を見せるのか、いやもはやこれは暴走と言った方がいいのかもしれない。

これにさらにアンパンマンのイースト菌も加わってしまえば…

バイキンマンはもう一度奥歯を強く噛み締めると、そうじゅうかんをギュッと握りしめた。


427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 15:07:27.96 ID:SdXJ3oJgO
ショクパン「…もう一度あたりを探して見ましょうッ…もしかしたら墜落したあと、自力でどこかに逃げたのかもしれない!!」

ショクパンマンが掠れた声で言った。
先程から俯いて固まってしまったバタコは、ただ呆然と膝に落ちて弾ける水滴を眺めていた。
もう、自分が泣き出したことさえ気付いていないのではないだろうか…

ショクパンマンが先導した、目指した場所は、すでに辺り一面赤いジャムに侵食されていた。
目に見える絶望。
計り知れない喪失感。

ショクパン「しっかりしてくださいッ!?もう一度ッ」

ドキン「シャキッとしなさいッ!!あんた女でしょっ!!!」

ショクパンマンのその言葉は、突然運転席に身を乗り出してきたドキンの凄まじい恫喝に遮られた。


431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 15:19:55.95 ID:SdXJ3oJgO
ドキン「前を向きなさいッ!!よく聞いてバタコさん、アンパンマンは必ず、必ずどこかで生きているはずよ!」

そう叫んだ後で、声のトーンを落としてドキンは続ける。

ドキン「…アンパンマンは、こんな下らないことで居なくなったりなんかしない。そんなこと、一番そばにいた貴方が、一番よく知っていることでしょう?
貴方のアンパンマンは、不死身のヒーローでしょう。
信じるのよ、アンパンマンは必ず無事よ!」

なんの根拠もないその言葉は、しかし確かに絶望に満たされていたバタコの心に届いた。

バタコ「……」

涙をぬぐい無言でハンドルを握りしめるバタコ。

ドキン「…大丈夫ね?とりあえず、ここから避難するべきよ。こんなところで止まっていたら、アンパンマンより私たちの方が先にジャムの餌食よ…
バイキンマン?聞いていた?私たちは一旦下がるわ!」

バイキン『…聞いている。了解した』

無線機からバイキンマンの無表情な声が聞こえてきた。


444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 16:18:52.36 ID:SdXJ3oJgO
UFOのコックピットで、眼前に広がる赤いイチゴジャムを見おろしながらバイキンマンは冷静に考えていた。
敵が固形物でない場合、打撃による攻撃はあまり有効ではない。
すると、カビルンルンからの報告ですぐに火炎放射機装備の大足ロボットを使うことを思い付いたのは、あながち間違いではなかったはずだ。

しかし、ジャムが新たにアンパンマンのイースト菌を取り込んだのなら、時間をおいての第二の変態はまず間違いないだろう。
幸い、ジャムの動きはそれほど早くない。
じわりじわりとその勢力を拡大してはいるが…

バイキン「…叩けるうちに、叩いておくべきだな…」
そう呟くと、無線機に向かってがなりたてる。

バイキン「全機、等間隔で対象に向かって並べ!配置が完了次第、攻撃に移行するぞッ!!」

各機の大足ロボットに搭乗しているカビルンルンから、次々に配置完了の報告が入る。
七機目の大足ロボットからの通信を受けて、ついにバイキンが回線の合図を出した。

バイキン「…全機かまえッ!!!いくぞッ!焼き払えッッッ!!!」


447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 16:37:17.07 ID:SdXJ3oJgO
包みこまれるような幸福感を、ジャムおじさんは感じていた。

この体になってから、細胞の端々から送り込まれてくる他者の命、それが新たな己の糧となって全身を駆け巡る。

少々意識が混濁しつつあるが、それは些細なこと。
ショクパンマンとアンパンマンは、すでにこの体に取り込んだのだろうか。
満たされた多幸感に、しばらくこの体でもいいのではないかと感じてしまう。
…いけないいけない、この体はあくまで通過点に過ぎない。
目指すべき至高の存在は、この先で確かに私を待ち受けている。
ジャムおじさんは、おそらくこの世界で唯一絶対の存在へと進化した未来の自分の姿を思い浮かべ、顔のない顔でニタニタと不気味に笑った。

突然、細胞の端々に痛みを感じる。いそいで意識をそちらに向けた。

…あれはバイキンマンの兵隊達か…愚かにも神の化身たる私の体の末端に、火を放って焼いてる。
…いいだろう、時は満ちた。
体をめぐるあまりある力が、ジャムおじさんを確信に至らしめた。

次なる変体の時は来た。愚者どもめ、神に逆らった己に絶望し、懺悔し、泣き悶えながらそして死ね。


454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 16:53:30.89 ID:SdXJ3oJgO
バイキン「…効いて…いるな…?」

業火に焼かれるイチゴジャムの湖を見ながら、選択した方法が正しかったことを再度確認する。

燃え盛る炎に包まれた赤いジャムは、焼かれる痛みに痛みに身震いするかのように後退していく。

バイキン「このまま…いけるのかっ!?」

思わず叫んで、震えるジャムを見る。
瞬間、一番恐れていた事態がすでに開始していたことを認識してしまった。

バイキン「…!!馬鹿なッ!!早すぎるッ!!」

放たれた猛火から逃げるように後退していたジャムが、一度完璧に静止したあと大きく震え、中心部に集束していく!!


456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 16:57:05.42 ID:SdXJ3oJgO
バイキン「駄目だッ!!来てくれっ、ショクパンマン!!」

無線機に向かって早口で伝え、周波数を切り替える。
バイキン「全機撤収ッ!大至急ッ!陣地まで後退しろッ!!」


458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 17:03:58.86 ID:SdXJ3oJgO
ショクパン「ッ何があったのですか!?バイキンマン!!」

突然無線機から呼ばれた自分の名に、ショクパンマンが驚いて声をあげる。

バイキン『ジャムの野郎ッ!!また変身するきだっ!!動きの遅い大足ロボットじゃぁ、勝負にならないッ!!』

怒鳴るようなバイキンマンの声を聞き、容易でない事態の急変を悟った。

ショクパン「分かりました!!すぐ行きますっ!!」

そういって一度後ろを振り替える。不安そうにこちらを見ているドキンちゃんと目があった。


475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 18:23:43.79 ID:qVMXlbYRO
険しい表情で自分を見つめるショクパンマンを見返しながら、
ドキンちゃんは精一杯考えていた。
無線の内容は聞こえていた。きっとこれからショクパンマン様は戦いに行くんだろう。

…そういう男の人を送り出すとき、いい女はどうゆうふうに振舞うんだろう。
泣き喚いて、引き止めるんだろうか。…違う。
無言で俯いて、何もいわずに済ますのだろうか…違う。

…分かった。じゃあ、凄くつらいけど、私はそれをしないといけない。いい女に、ならなくちゃいけない。
世界一のショクパンマン様が、闘いに行くのだ。
世界一の私が、送り出してあげなくちゃ。


479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 18:29:11.60 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「…ドキンちゃん、私は…」

いいさして、ふと、止まる。

ドキンちゃんが、自分に向かって片腕を差し伸べてきたからだ。

ドキン「…頑張ってね!ばいばいきん!」

瞳から零れ落ちそうなる涙をこらえて、精一杯の素敵な笑顔でピースサインを作る彼女を見て、ショクパンマンは思った。

そうか、ならば負けるわけにはいかない。


480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 18:30:39.42 ID:yZdhi8gpO
ドキンちゃんいい女すぎるだろ


482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/02(火) 18:37:25.88 ID:qVMXlbYRO
ショクパン「…いってきます!!」

ショクパンマンは、一言そういって、外に飛び出していった。
それを見て、俯くドキンちゃん。こらえていた涙が、どっと溢れだす。

バタコ「…大丈夫よ、ドキンちゃん。あなたが言ったことよ?
…きっとみんな無事に帰ってくる。アンパンマンだって…」

返事はないが、きっとうなずいたのだろう。
声を出せば泣き崩れてしまう自分、それが、痛いほど分かる。

バタコ「…私たちは、私たちに出来ることをしましょう」
そう呟いて、手のひらをぎゅっと握り締めた。


※ネタバレ防止のためコメント欄は非公開です。【完】にてコメントを受け付けます。


バタコ「ジャムおじさんっ…!チクビ吸うのらめぇぇ!」【パート3】へつづく
※11月3日20時ごろ更新予定。まったりとお付き合いください。


食パン1枚のレシピ―安い!おいしい!かんたん!朝ごはん、夜食、デザートも!


転載元
バタコ「ジャムおじさんっ…!チクビ吸うのらめぇぇ!」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1243788214/
 

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