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443 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 00:42:53 ID:v0/.T4zk
剣士「……」
剣士「……ん」
剣士「んだよ……もう朝か……朝ぁ!?」
剣士「おいおい……どんだけ寝てたってーんだ……」
剣士「うおお……腹も減った……動けねえ」
剣士「……動きたくねえ」


剣士「あいつはまだ帰ってねえのかね……」
剣士「……ああもう畜生」
剣士「早く帰って来いよーんでもってどうにかしてくれよー」
剣士「ぐだぐだ考えるのはお前の役割だろうが……」
剣士「はーあ……」


444 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 00:43:37 ID:v0/.T4zk
コンコン

剣士「んあ……? どうぞー」
将軍「失礼します……剣士殿、まだお休みでしたか」
剣士「すまんね。ちっと疲れちまってさ」
将軍「いえ……あのような大仕事の後ですから……」
剣士「はあ……。そうだ、何か用かな? 仕事?」
将軍「……後ほど姫様の部屋までいらして頂けますか」
剣士「あ、ああ。いいけど」


剣士「後片付けとかの仕事はないのか?」
将軍「いえ、粗方片付けてしまいましたので」
剣士「早いなあ。たった一日でか」
将軍「城の者総出で当たっております。壊れた建物の修繕などは、まだですが」
剣士「それで十分だろうよ。さてと……そろそろ生きてみるかねえ」
将軍「は」
剣士「いやまあ独り言。あー、悪いけど姫さんに一っ風呂浴びて何か食ってから行くって言っといてくれ」
将軍「はい……」

445 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 00:49:31 ID:v0/.T4zk
剣士「ところでうちの相棒。まだ帰ってねえの?」
将軍「……見てはおりませんね」
剣士「うはは……将軍さんは本当、あいつのこと嫌いだねえ」
将軍「好き嫌いと言うよりも……いえ、なんでもありません」
剣士「んん? なんかよく分かんねえ濁し方だな」


将軍「……剣士殿にとって、あの方は何なのですか?」
剣士「相棒さ。んでもって大親友」
将軍「お気に障るかもしれませんが……あの方が、剣士殿に相応しい人物であるとは私には到底思えません」
剣士「そりゃ買い被りさ。第一こんなお尋ね者に相応しい奴なんて、いちゃなんねえだろ」

446 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 00:53:13 ID:v0/.T4zk
剣士「んじゃまあ何か食ってくるわ……姫さんによろしくな」
将軍「分かりました……」
剣士「それと相棒見かけたら教えてくれ」
将軍「……はい」
剣士「うはは。悪いね。じゃあ、そういうことで」
将軍「……は」


将軍「はあ……」
将軍「あの方は……」
将軍「……」
将軍「……職務に励むか」

447 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:00:00 ID:v0/.T4zk
姫の部屋─

姫「どうぞ」
剣士「どうも」
姫「剣士様。この度は我が城を危機から救って頂き……本当に、感謝いたします」
剣士「いやいや、当然のことをしたまで……って言えたら一番良かったんだがなあ」
姫「……何か?」
剣士「単なる独り言さ」


剣士「で、話ってのはそれだけかい?」
姫「……いえ」
剣士「どうぞどうぞ。城の復旧作業だったり、怪我人のためによく効く薬取って来いだったり。何でもどうぞ」
姫「……何でも」
剣士「ああ。ここまで関わっちまったんだ。大概の仕事なら引き受けるぜ。そういう契約なんだしな」
姫「…………」

448 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:33:25 ID:v0/.T4zk
姫「今回襲われたのは……この城だけではなかったようです」
剣士「そりゃまた……」
姫「あちこちの街や城、砦が襲われ、破壊され……多くの人が、亡くなりました」
剣士「酷いねえ……しかし、何でまた」
姫「魔王です」
剣士「お……おう」


剣士「魔王……ねえ」
姫「各地を魔物に襲わせた魔王は、あらゆる国に……人間に対して声明を出しました」
剣士「……何て」
姫「『死がお気に召さないのであれば、せいぜい無駄に足掻くがいい』と」
剣士「うわあ……悪趣味な話だねえ」
姫「……」

449 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:34:07 ID:v0/.T4zk
姫「魔物達は立ち向かった者達を、大きく圧倒したと聞きます。それでも……少しの時間暴れるだけでピタリと侵攻をやめ、消えていったと」
剣士「はあ……そりゃまた」
姫「こんなの……! ただ獣が餌を踏み躙って……遊んでいるだけじゃないの!」
剣士「よくあることだろう」
姫「何ですって!?」


剣士「人間だってやるだろ、そんなこと。特別なもんじゃねえよ」
姫「これが!? こんな地獄が!? 貴方はどれだけの人が死んで、どれだけの人が苦しめられ、怯えているのか……知らないからそんなことを」
剣士「要するに、だ。落ち着けって言ってんだよ」
姫「……失礼しました」


450 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:35:16 ID:KEFlwOiM
ちゃんとみてるぞー紫煙


451 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:41:20 ID:v0/.T4zk
>>450
どうもー!とっとと書き切りたいので頑張ります…!


452 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:41:46 ID:v0/.T4zk
剣士「構いやしないさ。あんたのことだから、他の奴にはそんなとこ見せてねえとは思うしな」
姫「……剣士様になら、良いと?」
剣士「この国の人間じゃねえもの。いくらでも聞くし何でも言ってやるよ?」
姫「全くもう……貴方には敵わないわね。色々と」
剣士「うはは、戦場以外でそんなこと言われんのは中々ねえや」


姫「でも剣士様……私は貴方を、この国の人間として迎え入れたいと思う」
剣士「そりゃ……今までとどう違うんだい?」
姫「正式に。この国の、城の主戦力としての地位を与えましょう」
剣士「……雇われ指南役が大きな進化だねえ」
姫「仕方ないのです……将軍を手放すのは……惜しいから」
剣士「え?」

453 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:51:37 ID:v0/.T4zk
剣士「なんかすっげー不穏なこと言わなかった? 今」
姫「隣国から書簡が届きました」
剣士「あ、ああ」
姫「出来る限り多くの国で同盟を組み……戦力を出し合い、魔王を討伐しようと」
剣士「……つまり」
姫「我が国からは、貴方を出します」
剣士「やっぱりねえ」


姫「何でもやってくれるのでしょう? どうせ貴方には」
剣士「……故郷も何も無いだろう、ってか?」
姫「そうよ」
剣士「はー……こりゃまた……思い出すなあ。因果かねえ」
姫「……」

454 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:54:18 ID:v0/.T4zk
剣士「あれだよ、昔戦って負けた国。そこのお偉いさんにも同じような事言われたんだわ」
姫「へえ」
剣士「だからこっちの国に来いってさ。命が惜しいんならもう一回鬼になれってさ」
姫「それで貴方は逃げ出した」
剣士「ああそうさ。もう真っ平御免だったんだ。戦争なんてな」
姫「でも! 今は違うわ!!」


姫「貴方の力はもうあらゆる国に知れ渡っている! 竜をたった一人で殺めた英雄だって!!」
剣士「人斬りの次は、魔物斬りの英雄か……」
姫「貴方がいたから城の被害は最小限で済んだのよ! だから! きっと貴方なら」
剣士「魔王を倒せるって?」
姫「そうじゃないといけないのよ!!」

455 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 01:55:44 ID:CNLPiX9o
がんばれー


456 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:01:13 ID:GOp6Pjjc
あやうく股間スレにするとこだったよ
主、すまなかったな
こんな股間のおれを許してくれ


460 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:27:55 ID:v0/.T4zk
こんな時間にありがとうございます!
456は許す以前に、最早貴方の股間はペンチで見るも無残な…^^


457 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:24:37 ID:v0/.T4zk
姫「貴方は鬼でも英雄でもない……勇者であるべき人なのよ!!」
剣士「あんたはあれだ、お伽噺の読み過ぎだよ。剣の腕だけで世界なんてでっけー物が救えるもんか」
姫「じゃあ! じゃあどうすれば救えると言うの!? 私達はどうすればいいのよ!!」
剣士「さあね。単なる鬼には、分かるはずもねえ」
姫「くっ……守るべきものの無い貴方には分からないかもしれない……!」
剣士「……」


姫「でも私は……! 国を守らなければならないのよ!! そのためならなんだってするわ! 貴方にしてもらう!!」
剣士「……」
姫「貴方なら! 貴方の強さならきっと出来るわ! 国一つ救えなかったからといって人の存亡に比べればそんな小事」
剣士「やめてくれ!!」
姫「……ごめんなさい。言い過ぎたわ」
剣士「おっと悪い……悪いな。こっちも怒鳴っちまったから、お相子だわ」

458 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:25:00 ID:v0/.T4zk
剣士「しかし守りたいものか……そうだよな、そういう戦いもあるんだよな。忘れてたよ」
姫「え」
剣士「昔は国とか家族とか、そんなもん守るために戦ってたのになあ。すっかり忘れてたわ。うはは……うん、そうだよなあ」
姫「……どうかしたの?」
剣士「思い出したんだよ。守る戦いってのは、中々いいもんだってな」
姫「え?」


剣士「だからやるよ。やってやる。あんたの思うようにこの命、使ってくれればいい」
姫「!?」
剣士「死ぬ気で……いんや。死んでもあんたの言う、勇者になってやるさ。出来る限りだがな」
姫「……どうして、急に」
剣士「こんな人殺しでもさ、守りたいものは……一応あるんだ」
姫「そう……」

459 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:26:51 ID:v0/.T4zk
姫「剣士様」
剣士「ああ?」
姫「ありがとう」
剣士「そりゃ気が早いってもんだ」
姫「ふふ……貴方ってやっぱり、おかしな人」
剣士「うはは、それはよく言われる」


剣士「ふう……」
剣士「いや、待て待て」
剣士「何で安請け合いしちゃったんだろ……どう考えたって“詰み”だろ」
剣士「あーあー……馬鹿もここまで来るとほんと、我ながら……ねえ」
剣士「ま、仕方ないか。なるようになんだろ」


息子「何の話だ?」
剣士「!?」


461 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:28:24 ID:v0/.T4zk
息子「よう」
剣士「……」
息子「何だその顔は。まるで死者にでも会ったかのような不景気な面をしおって」
剣士「……お帰り」
息子「ああ。今戻った。大変だったそうだな」
剣士「今も大変なんだよ」
息子「ほう」


剣士「何かさー、成り行きで魔王退治にマジで行くことになっちまったんだわ」
息子「……はあ?」
剣士「いや! なんかこう、売り言葉に買い言葉ってやつでさ」
息子「意味が分からん」
剣士「元を断つって安易な考えに、下は振りまわされるわけですよ」
息子「なるほどな」
剣士「え、マジか。これで納得すんのかお前」

462 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:29:22 ID:v0/.T4zk
息子「で、どうするのだ。逃げるのか?」
剣士「いんや。仕方ねえし、付き合ってやろうかと思ってな」
息子「ほう」
剣士「というわけだから、お前は逃げていいぜ?」
息子「……どういうわけだ」
剣士「なんでこれには納得しないんだ」


剣士「依頼が来たのも、了承したのも、覚悟したのもお前じゃねえだろ?」
息子「まあな」
剣士「姫さんはお前を説得してくれって頼んできたけどさ。お前にゃそんな義理もねえしな」
息子「当然だな。私はお前のオマケでここにいるだけだ」
剣士「だからさ、お前は無理に付き合うこたねえだろ」
息子「まあ、それもそうだろうな」

463 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:32:39 ID:v0/.T4zk
剣士「っつーわけで逃げ……何で殴った今」
息子「お前がまた、意味の分からんことを言うからだ」
剣士「だったら口でどうこうしろや! 何が意味分かんねえか言え!!」
息子「何故私が逃げる必要がある」
剣士「はあ?」


剣士「お前聞いてなかったのかよ。魔王を相手に戦争しに行くんだぜ? どう考えたって参加したくはねえだろうが」
息子「以前言っただろう。私はどこまでも、お前に協力してやると。お前の剣に、盾になってやるのだと」
剣士「……死ぬかも知れねえんだぞ」
息子「何。どうせ、ただでさえ使い道の限られた命だ。どう使おうと私の勝手だ」
剣士「うはは……とんだ馬鹿野郎がいたもんだよ」
息子「貴様にだけは言われたくないな」

464 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:38:55 ID:v0/.T4zk
剣士「んじゃまあ……いっちょ頑張りますか。相棒」
息子「ああ」
剣士「そういえばお前、何か忘れてるもんあるだろ」
息子「は?」
剣士「土産だ土産! 期待してろって言ってただろ!!」
息子「ああ。忘れた」
剣士「マジかよ!!」


剣士「てめぇあっさりと片付けやがって……」
息子「まあ待て。何故剣を抜く必要が。また今度何か与えてやろう」
剣士「今度こそマジだろうな」
息子「ああ。全て落ち着いた、その後にな」
剣士「うはは! そりゃまたやる気が湧くお言葉だね! んじゃまあ更に期待してんぜ!」
息子「ふん。勝手にしていろ」

465 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:59:20 ID:v0/.T4zk
十数日後─

剣士「っつーわけだって」
息子「……ほう」
剣士「どう思う?」
息子「勿論……馬鹿にされているとしか」
剣士「ですよねー」


息子「なるほどな。同盟は建前の部分も多いと言うことか」
剣士「そりゃまあ……今回のことで、どこの国の民も皆不安だろうしな」
息子「だからといって、竜一匹仕留めた程度のお前が、どうして抜擢されるのやら」
剣士「どこもかしこもここよりかなりの被害受けてんだ。無傷に等しいこの国が、とりあえずはまず頑張れって話なんだろ」
息子「見事なまでに貧乏くじを引かされたな」
剣士「全くだわ」

466 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 02:59:55 ID:v0/.T4zk
剣士「でもさあ……あのチビどうなったんだろ」
息子「……お前の斬った竜の、子供か」
剣士「そう言われると罪悪感あるんだけど……事実だけど」
息子「棲んでいた洞窟はもぬけの殻だという話だったな」
剣士「ああ。チビだけでも……生きててくれるといいなあ」
息子「偽善だな」
剣士「無いよりマシだ」


息子「しかしその竜……わざとお前に殺されに来た、だったか?」
剣士「そうなんだよー。どういうことなんだろうね。本当あからさまだったよ」
息子「……他の奴にはこの話、したのか?」
剣士「するわけねえじゃん。こんな話信じてもらえるかよ」
息子「私は信じると、一言も言っていないのだが」
剣士「お前はいいの。単なる吐き出し先だから」
息子「はっ、そうか」

467 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 03:19:47 ID:v0/.T4zk
息子「まあ、気にするだけ無駄だろう。その竜は死んだ。確かめる術は無い」
剣士「そうなんだよなあ。ちっとばかし残念」
息子「お前はもっと、気に掛けるべき事があるだろうに」
剣士「これからの無茶振りへの備え方?」
息子「心の準備とも言うな」
剣士「うはは……全くだ」


剣士「んでも中々出来る事じゃないと思うのよ」
息子「する機会がないだけでは」
剣士「いいじゃねえか。いっちょまあ観光するくらいの気分でさ、魔王城の監視ってありがたい任務に就こうぜ相棒」
息子「気楽な旅だな。暇潰しに書物でも持っていくか」
剣士「じゃあ酒買い込んで……ってのも捨てがたくね?」
息子「……良いかもしれん」
剣士「だろー?」

470 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:19:02 ID:v0/.T4zk
コンコン

剣士「へーい」
将軍「失礼し……ます」
息子「……」
剣士「うはは。何か用っすか?」
将軍「お二人を、姫様がお呼びです」
剣士「へーい」


剣士「死地へ飛ばされる日程が決まったとか?」
将軍「……そのようです」
剣士「うはー楽しみ。なあ相棒」
息子「全くだ」
将軍「……」

471 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:19:32 ID:v0/.T4zk
将軍「しかし……剣士殿に任されるのは、後任が決まるまでの数日間……その後は城に戻って頂き、連合軍の中心として」
剣士「わーってるって。ま、ちょっとの間観光気分で行ってきますよ」
息子「案外早々と現地にて、魔物に悔い殺されたりしてな」
剣士「お前なあ……せめて真顔はやめろや」
将軍「……貴方は、どうして……」


将軍「私は……剣士殿のお連れ様だからといって、貴方を認めているわけではない」
息子「そうだろな。構いはしないが」
将軍「そのようなことで、剣士殿の右腕などという大役が、務まるものか」
息子「何を勘違いしているかは知らぬが、こいつが私の手下をしているんだ。全て貴殿に口出しされる筋合いはない」
剣士「待て待て。よくわかんねー喧嘩はよそでやってくれ」

472 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:19:50 ID:v0/.T4zk
剣士「ほんと、この間からあからさまに仲悪いよなー二人とも」
将軍「男には……譲れない物があるのですよ」
剣士「そんなもんなのかねー。分かんねえや」
息子「お前は分からずとも構わぬだろう」
剣士「まあ、そうかもしんねえわなあ。お前も何、譲れない何かがあるの?」
息子「さあな」


将軍「……姫様が、お呼びです」
剣士「あ、そうだったな。んじゃまあ行きますか」
息子「ああ。せいぜい、気楽にいこう」
剣士「わーってるって」
将軍「……」

473 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:20:07 ID:v0/.T4zk
姫の部屋

姫「剣士様……と、お連れ様」
剣士「よう」
息子「なんだ、その顔は」
姫「私、てっきり貴方は知らん顔して逃げてしまうものだとばかり思っていましたから……」
息子「こうして顔を付き合わせているのが不思議だと?」
姫「ええ」


姫「案外……熱い方だったのですねえ」
息子「さあな。で、話というのは何だ」
姫「……貴方達に、魔王城の監視をしばらくの間命じます」
剣士「はいはい。そりゃ分かって」
姫「明日から」
剣士「そりゃまた急だな!」
息子「ほう」

474 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:22:15 ID:v0/.T4zk
息子「他国から急かされでもしたか?」
姫「そりゃもう、随分と。書状も使者も多く送られていますのよ?」
剣士「へー、そりゃまた。どこもかしこも大変だねえ」
姫「それに我が国の民も、剣士様には期待を寄せているようですし」
剣士「おお……なんつーかむず痒いな」
姫「まあ、ポーズというやつですわ。それほど気負わずにいて下さいまし」


姫「でも……剣士様が竜を討ったのと同様、魔王をこのまま討ち滅ぼしてくれるのだと。そうした期待の声が大きいようですけど」
剣士「話がいきなり大きくなってんだけど……」
姫「あら、私は何もしていませんわよ。勝手に流れ、広まった噂のようなものですわね」
剣士「迷惑なー」
息子「……良かったではないか」
剣士「何がだそこで笑い転げているバカ野郎め」

475 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:22:37 ID:v0/.T4zk
息子「それだけ貴様には期待がかかっているということだ。人民を落胆させぬためにも、しばらくはそれらしく、気張って生きろ」
剣士「えー……そりゃまた複雑な。具体的にはどうしろってんだ」
息子「少なくとも、そのような粗野な口はどうにかせねばなるまいて」
剣士「無理。だったらお前が代わりに喋れ」
姫「それは良い考えかもしれませんわねえ」


姫「お連れ様には、剣士様のイメージアップでもお任せしようかしら」
息子「また、難儀な仕事を押しつけられるとはな」
剣士「ってか何だよ! これじゃあダメだってのか!!」
息子「お前のどこに誉められる要素があるというのだ」
姫「悪くはないとは思いますけれども……剣士様の場合、喋らない方がもっと良いですわねえ」
剣士「くそ! こいつらやっぱり性格わりぃ……!!」

476 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:22:58 ID:v0/.T4zk
剣士「まあ……とりあえず用意するわ。行くぜ相棒」
息子「ああ」
姫「でしたら、剣士様は少し残っていただけますか?」
剣士「お?」
姫「少しお話がありますから」
息子「……では、私は先に行く」
剣士「お、おう。分かった」


剣士「話って?」
姫「貴方にお礼と……ごめんなさいが言いたくて」
剣士「もういいさ。利害はお互い一致しただろ?」
姫「……私は国を守りたくて、貴方は」
剣士「今を守りたい。そのために、お互い利用し合うって話だ」
姫「それでも……ありがとう」
剣士「こちらこそ、だ」

477 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:23:21 ID:v0/.T4zk
姫「いつ終わるかも分からない、辛い戦争になると思うけど……貴方達の戻る場所は、残しておくからね」
剣士「よろしく頼むよ。それまで将軍さんと、この国を守っておいてくれよ」
姫「ええ。頑張るわ。貴方も頑張るんですもの。負けていられない」
剣士「うはは、その意気だよ」
姫「ふふ……」


姫「私ね、貴方のこと結構好きよ。貴方は?」
剣士「多分同じ気持ちだと思うよ」
姫「良かった。ずっと、同じでいましょうね」
剣士「ああ。ずっと同じ。約束するよ」
姫「ちゃあんと戻ってくるのよ。死んだら許さないんだから。いいわね?」
剣士「うわあキツいなあ。こりゃますます死ねないね」
姫「……あはは」
剣士「はは」

478 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:28:51 ID:v0/.T4zk
姫「ねえ、終わったら何か欲しいものはあるの? 私にできる限りで用意させてもらうわよ」
剣士「んー、そうだねえ。家族かな」
姫「あら、お相手はどこのどちら様かしら?」
剣士「分かってる癖にー。言わせんなよ恥ずかしい」
姫「ええ、そうでしょうともね」


姫「でも、口説き落とすのは難しいと思うわよ? それでも?」
剣士「なぁに、時間をかけてゆっくり落とすさ。どうすりゃいいか、今はまだ模索中だしな」
姫「貴方って随分と情熱的な方だったのね。意外だわ」
剣士「うはは。たまにはいいだろ、こういうのも」
姫「そうね。でもこれだけは言えるわ」
剣士「ん?」

479 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 22:34:23 ID:v0/.T4zk
姫「貴方に愛されるその人は……世界一の幸せものだと思うわ」
剣士「……そう言って貰えて嬉しいよ」
姫「家族を作りたいって言うのなら、私は協力を惜しまないわよ」
剣士「ありがとう。じゃあ、行ってくるよ」
姫「気をつけて……生きてね」
剣士「……分かってるって」


部屋の外

息子「……」
息子「はぁ……」
息子「……悪いな」
息子「お前のその願い……叶えてやれそうにもない」
息子「悪く思うなよ」


480 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 23:03:28 ID:GOp6Pjjc
股間の次は下腹部が疼きだした!
ペンチじゃ足りない・・・もっと、もっと鋭利な鈍器で!


だが試演


481 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 23:18:09 ID:v0/.T4zk
>>480
ちょっと誰かヴァニラか億泰呼んできて。削ぎ取ってもらおう。


484 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 00:07:59 ID:eEgsur5o
>>480
ヤンデレの妹に刺されて来いw


482 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 23:25:10 ID:v0/.T4zk
将軍「……」
息子「む」
将軍「どうも」
息子「……ああ」


将軍「剣士殿は」
息子「中だ。姫君と話をしている」
将軍「そうですか。では……後ほどにしましょうか」
息子「あれに何か用だろうか」
将軍「ええ。ですが貴方には関係の無いことです」
息子「果たしてそうかな?」
将軍「……」

483 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/12(日) 23:52:20 ID:v0/.T4zk
息子「まあ、どうでもいい。勝手にあれを捕まえてくれ」
将軍「そうさせてもらますよ」
息子「では、失礼する。私は発つ準備をしなければならぬのでな」
将軍「ご苦労様です。ですが」
息子「何だ」
将軍「私のこの立場と、姫様の命が無ければ……私が貴方の代わりに付いたというのに」
息子「はっ」


息子「貴殿が何を思い、何を願っているのかは知らぬ」
将軍「……」
息子「だがな、あれは私が好きにする。そういう約束なんだ」
将軍「どうして……剣士殿は貴方などを」
息子「さあな。後で本人にでも聞けばいい」
将軍「……失礼する」
息子「ああ」


485 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 00:18:17 ID:sA5BprYI
息子の部屋─

剣士「ちーっす」
息子「ノックくらいしろ」
剣士「いいじゃねえか別に。用意どうよ」
息子「見ての通り、今整理している。そう言うお前はどうなんだ」
剣士「だって持ち物なんか元々そんな持ってねえし」
息子「それもそうだな」


剣士「あ、さっき将軍さんと会ってさ」
息子「……何を話した」
剣士「いや? 頑張って下さいとか、そんな当たり障りの無い話を」
息子「ほう」
剣士「しっかしあの人、お前のことほんと嫌ってるんだなあ」
息子「む」
剣士「いやー、お前の代わりに付いていきたいって言われたんだわ」
息子「……」

486 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 00:27:16 ID:sA5BprYI
息子「で、お前はそれに対してどう答えたんだ」
剣士「いや、『相棒は中々ああ見えてやる奴ですよ』って」
息子「……そうか」
剣士「あの人は真面目だねえ。こういう危機にゃいてもたってもいれないって感じったなあ」
息子「そうかそうか。それは良かった」
剣士「……何でお前が上機嫌になるんだ?」


息子「何、お前は使いやすいなと思っただけだ」
剣士「どういう意味だ」
息子「知らずとも良い。それよりその辺りの物には触れるなよ。お前が触ると散らかるばかりだろうからな」
剣士「言われなくても荷作りの手伝いなんてしねーよ。単に暇だから邪魔しに来ただけだ」
息子「いいから消えろ」

487 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 00:39:19 ID:sA5BprYI
剣士「あ、そういえば酒とか、姫さんに色々リクエストして来たからな」
息子「助かるが……渋い顔はしなかったのか?」
剣士「いんや。むしろ食い物とかも大量に持たせてくれるってさ」
息子「素晴らしい待遇だな」
剣士「行かされる先を考えなきゃな!」
息子「全くだ」


剣士「まあでも案外過ごしやすい、良い環境かもしんねえし」
息子「それは……保障出来ぬとだけ言っておくか」
剣士「え、何。お前魔王城付近行ったことあんの? 秘境ってか魔境だぞ、あの辺り」
息子「あ、ああいや……書で読んだことがあってな」
剣士「なぁんだ」
息子「……」

488 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 00:52:13 ID:sA5BprYI
剣士「で、兵士は十人くらい付けてくれるって」
息子「何よりだ。まあ、いわゆる有象無象といった所であろうがな」
剣士「そう言ってやるなよー。野営は大勢でした方が楽しいだろ」
息子「何の要因だと思っているのだお前は」
剣士「炊事洗濯その他!」
息子「……」


剣士「まあ何だか色々ありそうだが、よろしくな! 相棒!」
息子「ああ……よろしくな。相棒」
剣士「ところで何だそのでっけー箱。そんなの前置いて」
息子「この場で斬り捨てられたくなければ、見なかったことにするんだな……」
剣士「相棒って言った矢先にこれだもんな……」

489 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 01:04:27 ID:sA5BprYI
次の日─

剣士「うわあ」
息子「ふむ」
姫「どうでしょうか」
剣士「いや、うーん」
姫「兵はこの通り、将軍直々に選出いたしました。そして物資はこれほどで」
剣士「う、うん」
姫「あら、これでは足りませんか?」
剣士「い、いや全然! むしろ言いたいのはだな! えっと!」


息子「これはまた盛大な、見送りだな」
剣士「そうそれ! それだ!」
姫「国を上げてお見送りして当然でしょう? 城の者には全員集まってもらいました」
剣士「……城下町の方からすっげー歓声が聞こえるんだけど」
姫「この街の領土を出るまで、お見送りの列が続くとお思い下さいね」
剣士「マジかよ……」
姫「ええ。マジです」

490 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 01:14:49 ID:sA5BprYI
剣士「あーうん……有難いけど、かったるいなあ」
息子「おお花火」
姫「キレイですわねー」
剣士「聞いちゃいねえ」
将軍「……申し訳ありません剣士殿」
剣士「へ」


将軍「貴方はこのようなことを好まないだろうと、姫様に進言したのですが……」
姫「あら、剣士様は私の勇者様ですのよ。こうした待遇は当然でしょう」
剣士「本人が嫌がっても?」
姫「勿論!」
剣士「まったくもーお前は本当に……いやもういいや。ありがとよ」
姫「ふふ……いえいえ」

491 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 01:20:44 ID:sA5BprYI
剣士「んじゃまあ……行ってくるわ」
姫「無理をしないで、ちゃんと帰って来るのよ。貴方にはまだ大任が残されているんだから」
剣士「わーってるって」
将軍「どうか、お気を付けて……」
剣士「そんな今生の別れみたいに。一応数日様子見に行くってだけなんだから、んな顔しないでくれよ」
将軍「……はい」


姫「お連れ様」
息子「何だ」
姫「どうか……剣士様をよろしくお願いしますね」
息子「……ああ」
将軍「……」
剣士「よっしゃ行くぞー!」
息子「行くか」

492 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 01:27:51 ID:sA5BprYI
将軍「姫様……」
姫「なぁに?」
将軍「これで、良かったのでしょうか」
姫「……良いのよ。彼らがちゃんと戻ってくれば、良かったことになるのよ」
将軍「……はい」


姫「さてと、仕事は山積みよ。会議とか物資、人員の調達とか、色々とね」
将軍「忙しくなりますね」
姫「彼らも頑張るのですもの。残った私達は、その倍以上奮闘しなきゃ釣り合わない」
将軍「……ご無事の帰還を祈りましょう」
姫「ええ、誰も欠ける事の無いように……。ところで将軍」
将軍「はい、何でしょうか?」
姫「どうやら残念に終わったみたいね」
将軍「……何故知っておられるのですか」
姫「ふふ。秘密よ!」

493 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 01:49:42 ID:sA5BprYI
数日後─

剣士「ふぁあ。よーっす、おはよ」
兵「け、剣士様! お早うございます!!」
剣士「ご苦労さん。見張り代わるよ」
兵「は!? い、いえ! 交代の時間にはまだなっておりませんので」
剣士「いいっていいって、遠慮すんなよ。休んで来い」
兵「よ、よろしいのですか?」
剣士「おう。ここの責任者が良いって言ってんだ。行きな」
兵「ありがとうございます! では、失礼します!!」
剣士「はいよー。ゆっくりな」


剣士「ふう……」
剣士「どうもこの、上司面ってのには一向に慣れねえもんだなあ」
剣士「昔と状況が変わらねえってのが余計にね」
剣士「はーあ……疲れるような、そうでもないような」
剣士「あれだね、昔とちーっとばかし状況が違うからかな」
剣士「うんうん。良い事かも知れないねえ」

494 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 01:59:56 ID:sA5BprYI
息子「何をぶつくさ言っている……」
剣士「よーっす相棒」
息子「お前はこんな場所でも、相変わらずのようだな」
剣士「そりゃまあ、こんな所だからこそ気楽にいかねえとな」
息子「ほら。酒でも飲もう」
剣士「何だ、珍しく気が利くじゃねえか」


剣士「しっかし、すげーねえ」
息子「城か」
剣士「ああ。こんだけ離れてるのに、すっげー嫌な感じがびんびん伝わって来るというか、辛気臭ぇというか」
息子「それはそうだろう。魔王や、その手下の魔物が大勢棲んでいるんだぞ」
剣士「住んでる奴の顔が見てみたいね!」
息子「……悪かったな」
剣士「あ? 何か言ったか?」
息子「何も」

495 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 02:32:38 ID:sA5BprYI
剣士「はー、温まるねえ」
息子「年寄り臭いな」
剣士「てめぇにゃ言われたくねえよ。しかし、案外平和なもんだね」
息子「まあな」
剣士「もっとこー、毎日魔物がやって来て斬っても斬ってもキリがない感じを想像してたんだけどさ」
息子「ここに来てもう三日。一度もそんな試しは無いな」


剣士「うーん、気付かれてないとか?」
息子「さあな。無視されているだけかも知れぬぞ」
剣士「そっちの方が都合はいいだろー。無駄な争いはなるべく避けなくっちゃな」
息子「ふむ。案外お前も慎重な時があるのだな」
剣士「じゃないと生き残れませんぜー、こんな所じゃ」
息子「まあ、そうかも知れぬが」

496 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 02:32:55 ID:sA5BprYI
剣士「それにさー……この前のあれでさ、あんまり魔物とかも斬りたくないのよね、出来る限り」
息子「……随分とふぬけたことを言うな」
剣士「まあ、自分でも仰る通りだと思いますが。出来るだけ血を流さないで……って段階なんて、元々無いってのも分かってるし」
息子「その通りだ。人の世の被害を聞いただろう。最早血は流れてしまった」
剣士「それでもさ……何かこんなの嫌じゃん」
息子「先程から発言が曖昧すぎるぞ、お前」


息子「好き好んで殺し合いなどに興じる者は、どんな生き物であれきっと少数派だ」
剣士「だったら何なんだよこの状況は」
息子「その少数派のせいか……もしくは生きるため、信念だな」
剣士「はあ。そういうもん……だよなあ」
息子「珍しく納得するとは」
剣士「いやまあ、信念とまではいかないけどさ、一応そんな感じの理由でここにいるわけですし」
息子「……うむ」


497 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 02:33:30 ID:LBlCKA5c
深夜まで乙。ラストスパートがんがれー。紫煙


498 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 02:38:07 ID:sA5BprYI
しかしもう今日は限界です。ありがとうございます\(^o^)/
ポケモン出るまでには終わらせますね!!


499 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 16:08:11 ID:XpLSQVyQ
俺、この作品を完結させたらポケモンやるんだ・・・
ということですね、わかります


500 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 16:39:38 ID:X12OHVAw
死ぬフラグw


501 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 16:59:50 ID:jtHAgL3A
>>499

なるほど
主とおれはガチホモフラグというわけね

気を遣わせてすまない


503 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 22:39:28 ID:sA5BprYI
これを書き終わったら…ミジュマルさんと冒険に行くんだ……

>>501
俺のpocket monsterを見てくれどう思うすっごく…ゼニガメですってことですね分かります><
あといい加減間違いに気付いて下さいませんかね!分かって言ってんだろ!!


504 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 22:54:24 ID:sA5BprYI
息子「一応聞いておくか。お前の信念とは?」
剣士「んー? まだ言わねえ」
息子「『まだ』とは随分とおかしなことを言うな。この段階で言えぬような信念とは一体何なのだ」
剣士「だから言わねえって。全部終わったら教えてやるよ」
息子「勿体ぶるような物なのか……?」
剣士「いいじゃねえか。今は一人で楽しんでる段階なの」
息子「はあ」


剣士「まずこういうのはな、言わぬが花なんだ。寡黙に全てを終わらせて、後でぱーっと発散させる。どうだ楽しそうだろ?」
息子「熱でもあるのか」
剣士「ねぇよ!」
息子「ふむ……真面目なだけのお前は何と言うか……」
剣士「うはは、カッコいい?」
息子「気色悪いので、早急に死んでもらいたいな」
剣士「もうやだこいつ」

505 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 22:54:39 ID:sA5BprYI
剣士「そう言うお前は何でここにいるんだよ」
息子「お前に付き合うと決めたからだ」
剣士「だから、そりゃどうしてだ」
息子「以前言ったな。お前自信で考えろと」
剣士「う……確かにお前言ったけどさあ」
息子「答えはどうだ、見つかったか?」
剣士「……」


剣士「こ、これも終わってからでいいや」
息子「面倒な奴め」
剣士「お前にだけは絶対に言われたくねえわ」
息子「ひょっとするとお互い様か」
剣士「うはは、かも知れねえわなあ」

506 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:00:51 ID:sA5BprYI
剣士「でもさ、お前とは妙にウマが合って……結構楽しかったぜ」
息子「やめろ」
剣士「え」
息子「その口ぶりでは、まるで死ぬみたいではないか。やめておけ」
剣士「え、あ……ああ。じゃあ……すっげー楽しいよ」
息子「そうか」
剣士「お前は……って、これは別にいいか。分かるし!」
息子「ふん。言っておけ」


剣士「まあ、後ちょっとで戻るもんなあ。まだまだ始まったばかりなんだし、気を引き締めていかねえと」
息子「……そうだな」
剣士「帰ったらどこでまず飯食うか、今のうちに決めとこうぜ」
息子「無意味だと思うぞ」
剣士「何でだよ」
息子「あれだけの歓送を受けた後に帰還して、落ち着いて街で飯が食えると思うか?」
剣士「ぐっ……!」

507 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:01:06 ID:sA5BprYI
剣士「い、いやでも……変装すりゃ何とか!」
息子「そこまで手間を掛けて飯が食いたいか」
剣士「ちぇー……まあいいや。お前とこうして酒が飲めりゃ妥協点だわ」
息子「……飲め」
剣士「お、ありがとう」
息子「……」


息子「では……少し辺りの様子を見てくる」
剣士「あれ、まだそんな時間じゃねえだろ。もっと飲もうぜ」
息子「いや、早い方が良い」
剣士「そうかあ?まあ何もないと思うし、ぱっと見てぱっと帰って来いよな」
息子「……行くからな」
剣士「あ?行ってらっしゃーい」

508 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:01:55 ID:sA5BprYI
息子「……」
息子「……」
息子「……」
息子「……すまない」


魔王城―

魔物「よう。お帰り」
息子「帰ってはいたのだがな」
魔物「目と鼻の先にな。言われた通り、城はもぬけの殻にしてあるぜ」
息子「あれに関する人民の期待を、過剰に煽ってくれもしたな。感謝する」
魔物「いやー時勢がこれだし案外簡単なもんだったぜ? そんなに苦労はしちゃいねえよ」
息子「しかし魔物達にはすまない事をした」
魔物「なぁに、皆魔王様の側から離れられて、ちょっとは気持ちが晴れるだろうよ」
息子「皆父上を何だと思っているのやら」
魔王「『魔王様』だろ」
息子「確かに」

509 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:02:12 ID:sA5BprYI
息子「つまり、この城にいるのは」
魔物「魔王様と俺とお前だけ。竜の子供は気の良い奴が一緒に連れてってくれたみたいだから心配すんな」
息子「そうか……」
魔物「なあ……一応確認しとくんだが」
息子「何だ」
魔物「本当にやるのか?」
息子「ああ」


魔物「あっちにゃバレてねえだろうな?」
息子「勿論だとも。何も案ずることはない」
魔物「いざって時に躊躇は?」
息子「せぬ。もう決めたことだ」
魔物「じゃあ最後。お前は本当に、それでいいのか?」
息子「……ああ」

510 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:06:07 ID:sA5BprYI
息子「決めたんだ。こうするのが、一番良い……」
魔物「分かった」
息子「だからお前は……どうした、急に跪いて」
魔物「私は貴方に、一生の忠誠を誓います」
息子「……」
魔物「この命ある限り、貴方の世に尽力します」
息子「……すまない」
魔物「えらい片棒を担ぐんだ。もうお前と生きるも死ぬも一緒だわ」
息子「ああ……」


息子「それでは……手筈通りに頼む」
魔物「分かった分かった」
息子「手荒な真似はするなよ」
魔物「了解……と言いたいとこだが、あれが素直に従うタマかなあ」
息子「私はそうだと信じている」
魔物「じゃあ俺もそうするわ」

511 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:06:37 ID:sA5BprYI
息子「よろしく頼む」
魔物「頼まれた」
息子「……巻き込まれてくれて、礼を言う」
魔物「巻き込んでくれてありがとよ」
息子「行って……くれ」
魔物「おう」


剣士「ったく……あのバカ」
剣士「遅すぎんだろ、どこまで見回ってんだマジで」
剣士「こりゃどっかで足でも挫いて動けなくなってやがるとかか……?あいつ治癒系の魔法は使えないって言ってたし」
剣士「世話の焼ける奴だよほんと」
剣士「兵達だって心配してんだ。早く連れて帰らねえと……飯にありつけねえ」
剣士「……」

512 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:10:51 ID:sA5BprYI
剣士「おーい! どこだ!? どこにいる!?」
剣士「下らねえかくれんぼなんてやめろ! 早く出て来いよ!」
剣士「聞こえたら返事しろってんだ! バカ野郎!!」
剣士「おいおいこりゃ……まさか」
剣士「いやいや! あいつに限ってそんなこたねえよ! ありえねえ!」
剣士「……ったく……冗談キツいぜ」


剣士「なあ、そこのお前もそうは思わん?」
魔物「……何だ、やっぱりバレてたか。相変わらず野生だねえ」
剣士「へ? 『相変わらず』?」
魔物「……は?」
剣士「もしかして……」

513 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:11:35 ID:sA5BprYI
剣士「前に会ったことある?」
魔物「そこからかよ!」
剣士「いや待て思い出すから。えーっとえーっと……ありゃ?」
魔物「心当たりすらねえのかよ!?」
剣士「い、いや……その、ヒント!」
魔物「まどろっこしいわ! この前山でお前に負けて逃げた魔物だよ!!」
剣士「……ああ! そういやそんなこともあった! 気がするぞ!」
魔物「実感が薄いようだなあ……! 本当は全然覚えてねえだろてめえ!」


剣士「いや……戦ったのはうっすら覚えちゃいるんだけど……顔とか覚えられるほど長くやり合ってないし」
魔物「ぐっ……人間風情が虚仮にしやがって……!」
剣士「その台詞はますます雑魚っぽいぞ。でもまあ悪いことしたなあ。ごめん」
魔物「頭を下げるんじゃねえよ! ぐああ腹立つこいつぶっ殺してぇ……!!」
剣士「やるってんなら相手になってやりたいけど……生憎ちょっと野暮用が」
魔物「あの、渋い顔した男のことか?」
剣士「……」

515 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:40:55 ID:sA5BprYI
剣士「あいつを……どうしやがった」
魔物「ここは俺達の土地だぜ。勝手に入って来た人間なんざ」
剣士「殺したのか!?」
魔物「いんや。捕まえた。一応生きてるさ」
剣士「……どこにいる」
魔物「城で丁重におもてなし中」
剣士「ちっ……あのバカ」


魔物「つーわけだ。ご同行願いましょうか。剣士様?」
剣士「あれか、仲間の命が惜しければ一人で来いってやつだな」
魔物「そういうこと。理解が早くて助かるわ」
剣士「ここでお前をたたっ斬ったら、どうなる?」
魔物「連れとは二度と会えなくなるんじゃね?」
剣士「ああ、うん。分かりやすいわあ」

516 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/13(月) 23:59:18 ID:sA5BprYI
剣士「はいはい、分かりましたよ。行きゃいいんだろ行きゃ」
魔物「へえ。あんた血の気が多い割に案外素直なんだなあ。ひと暴れされるかもと思っていたんだが」
剣士「ここで暴れたって意味ねえだろうが。ほれ、早く案内してくれや」
魔物「おう。城までのんびり散歩と行こうじゃねえか」
剣士「わあいワクワクするー」


剣士「なあなあ」
魔物「……散歩たぁ言ったが、何でてめえはこの状況でそんな軽く話しかけて来れるんだ?」
剣士「いや、大して意味はねえよ。お前の名前を聞いておこうと思ってさ」
魔物「はあ?」
剣士「だって次会った時忘れてたら可哀想だからな!」
魔物「安心しろ! 二度とてめえとは会わねえ!! 会いたくねえ!!」

517 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 00:28:18 ID:Jvz0OgN2
剣士「じゃあ次会った時に教えてくれるか?」
魔物「話を聞けよ!!」
剣士「決定ー。んじゃまあよろしくな! えーっと、なんかとりあえず弱い魔物!」
魔物「ぐぁああああ……落ち付け俺!!」
剣士「あれ、どうした。大丈夫か?」
魔物「余計なお世話だ! ってかお前……本当に、次があるなんて思っていやがるのか?」
剣士「ああ。勿論だ」


剣士「だってまだ死ねねえもの。とっととあいつ回収して、さっさとおさらばするさ」
魔物「大した……自信だな。だが城には魔王様だっているんだぜ? 逃げられるわけがねえだろ」
剣士「うはは。最悪相棒だけでも逃がすさ」
魔物「で、てめえ自身死ぬ気か? どうしてそこまで出来る?」
剣士「さあねえ。何ででしょう」
魔物「ちっ……面倒な奴」
剣士「うはは。相棒にも言われるぜ」
魔物「……」

518 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 00:44:16 ID:Jvz0OgN2
魔物「なんつーか……ちょっと分かる気がするわあ」
剣士「ああ? 何がだよ」
魔物「こっちの話だ。それより着いたぞ」
剣士「いやまあ見りゃわかるけど。何、正門から入っていいの?」
魔物「ああ。んで、真っ直ぐ行って、階段昇ってずっと奥の部屋だ」
剣士「んな適当な」
魔物「俺の役目はここで終わりなんでね。さっさと行けよ」
剣士「わーったよ。案内ありがとなー。じゃあなー」
魔物「……はあ?」


魔物「やーっぱ変な奴だったなあ……」
魔物「いやまあ……だからこそ、この計画なんだろうが。納得は出来た」
魔物「でも……こんな展開じゃあ、あいつが報われなさすぎんだろ」
魔物「仕方ないってのは分かるけどよ」
魔物「さあて……俺はお呼びがあるまで、ぼんやり休憩してますか」


519 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 00:47:08 ID:laUC2Ckw
すっげー剣士いいやつ
これからの展開にわくわくてかてかw・k・t・k
そして土器が胸胸d・k・m・n
しかしやはり股間もゆるゆるk・m・y・y

主、続き楽しみに待ってるよ
からだ壊さない程度にがんばってくれ試演


521 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 00:59:15 ID:Jvz0OgN2
>>519
だから男にしごいて貰えっての!^^
ちょっと今日中にいけるとこまで行きますねー適当にww


520 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 00:58:13 ID:Jvz0OgN2
魔王城─

剣士「うっへー……辛気臭ぇ……カビ臭ぇ……薄暗い……」
剣士「何でこんなとこ住んでられるのかねえ。魔物ってのは。健康に悪いだろうが」
剣士「いや……でもコウモリとか虫とかはこんな環境好きだよな? なるほど。ああいう生態か。納得」
剣士「……ってか全っ然、何の気配もしねえのな……今は何も住んでねえのか?」
剣士「ああうん……魔王がいるのね……そりゃさすがにシャレになんねえわ」


剣士「全く。いきなり大本命とは運がないねえ」
剣士「いやでもこっから手に汗握る逃亡劇があって、後々の意趣返しに伏線を……だよな」
剣士「うん……死ねるかよ」
剣士「まだ……まだ死ねるか。死ぬわけにゃいかねえんだ。死なせるもんか。絶対に」
剣士「あいつがいなきゃ……意味ねえんだよ」
剣士「さてと……ここかね? 絶対罠だけど……行くしかねえもんなあ……」


522 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 01:22:37 ID:Jvz0OgN2
ギィッ……

剣士「…………!?」
剣士「大丈夫か! お前!!」
剣士「き、傷はねえようだが……おいこら目を覚ませって!!」
剣士「おいってば! 相棒!!」
剣士「頼む……頼むから……目を……!!」


息子「……む」
剣士「あ、あ」
息子「何だ……騒がしい」
剣士「よ……良かったあああ……し、死んじまったかと、思って……」
息子「……」

523 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 01:30:29 ID:Jvz0OgN2
剣士「そ、それより早くここを逃げねえと」
息子「逃げる?」
剣士「魔王城の中なんだよ! 魔王が出てくる前に逃げねえとマズイだろうが!!」
息子「……そうだ、な」
剣士「立てるか? 肩貸してやるから早く」
息子「だが、な」
剣士「え」

ドスッ…!

剣士「が……ぇ?」
息子「お前を返す訳には、いかないんだ」
剣士「げほっが……は……てめ、な、なにを……!?」
息子「剣を捨てろ」
剣士「な、な」
息子「聞こえなかったのか。捨てろ」
剣士「……どういうことだ」
息子「先程は素手ではあったが……腹や首に、刃物はくらいたくないだろう?」

524 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 01:43:18 ID:Jvz0OgN2
剣士「……これでいいのか?」
息子「ああ」
剣士「洗脳……ってわけでもなさそうだが……どういうことだ?」
息子「私はな、魔物だ」
剣士「は……はは……キツイ冗談だことで」
息子「冗談だと思うか? 剣を突き付けられているこの状況を前にしてもなお、そう思えるのか?」
剣士「……」


剣士「……嘘だったのか?」
息子「……」
剣士「何もかも全部……一緒に旅をしたり、飯食ったり、バカやったりしたのも全部……嘘だったのか?」
息子「……」
剣士「どうなんだよ……」
息子「……ああ。そうだ」
剣士「…………そうか」

525 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 01:43:52 ID:Jvz0OgN2
剣士「なら……いいよ」
息子「……」
剣士「殺してくれも、いいよ」
息子「……」
剣士「お前になら……殺されたって構わない」
息子「……やめろ」
剣士「うん。そうだよな……こんな鬼が……幸せなんて求めちゃいけないなんてこと、分かってたんだよ?」


剣士「でもさ……欲しくなったんだ……その結果がこれなら……諦めがつく」
息子「……やめろ」
剣士「でもさ、これだけ言っておきたいんだ」
息子「やめろ……!」
剣士「本当はさ……ずっと……!?」

526 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 01:53:18 ID:Jvz0OgN2
魔王「何だ、それが言っていた人間か?」
息子「……はい」
魔王「ふむ……成る程。面白そうな人間だな。気に入ったわ」
息子「……はい」
剣士「てめぇは……」
魔王「魔王と呼ばれる者だ。お見知り置きを? 英雄殿」
剣士「……ちっ」


魔王「しかし、お前も中々の者を見出したものだな」
息子「……ありがとう、ございます」
魔王「ふむ、腐っても私の血筋と言うわけか」
息子「……」
剣士「……おいおい、まさかお前」
息子「私は……この方の直系。後の世に、魔王となるべき者だ」
剣士「うはは……こりゃまたえらい展開で」

527 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:00:55 ID:Jvz0OgN2
魔王「して、英雄殿。残念ながら貴様を殺すのは、愚息ではない」
剣士「……あんた直々に……ってか。どうしてまた」
息子「……」
剣士「単に一国の戦争を担っただけの雑魚を……何でわざわざ殺す必要がある」
魔王「お前はな、私の暇を潰すために、人の希望が潰えるために……英雄に仕立て上げられたのだよ」
剣士「…………理解した」


剣士「何だよお前……そういうことかよ」
息子「……」
剣士「まあいいんだ。どんな形であれ、お前の事が分かって嬉しいよ」
息子「……」
剣士「ありがとう」
息子「……」
剣士「楽しかった。幸せだったよ。本当に、ありがとう」
息子「……お前」

528 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:21:08 ID:Jvz0OgN2
魔王「遺言はそれだけか? 奇特な人間だな」
剣士「はっ……こちとら短い人生だったんだ。そうそう大層な遺言なんて残せるかよ」
魔王「そうかそうか。難儀な事よ。しかし、だ」
剣士「ぐ……は、離せ……!」
魔王「貴様はまだ殺さぬ。まだ」


魔王「これから……そうだな、でかい国の一つ二つ相手取って、戦争でもしてみよう」
剣士「な」
魔王「そこで、貴様を嬲りものにする。どうだろう? 人間共の絶望が目に見えるようだ。愉快愉快」
剣士「……悪趣味だねえ」
息子「……」
魔王「ああ、安心しろ。遊べるよう、利き腕は残してやる。最期までな」

529 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:25:01 ID:Jvz0OgN2
剣士「あんたは……どうしてそういうことをする」
魔王「何がだ?」
剣士「こんな死に損ない殺した所で、何がある」
魔王「何も無いだろうな」
剣士「じゃあ……どうして」
魔王「理由など無い」


魔王「私は魔王で、全てを蹂躙するためにここに在る」
剣士「どういう……」
魔王「ただそれだけだ。私は私のために用意された者たちを戯れに動かし、潰し、そうして日々を過ごす。そうした責務と自由が、私にはある」
剣士「この世界は……てめえの好きにばっかなるような、世界じゃねえぞ。絶対にな」
魔王「なるとも。今までも、これからも、永久にな!」
息子「……」

530 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:32:52 ID:Jvz0OgN2
魔王「ふむ……しかし、だ」
剣士「ひ」
魔王「よくよく見れば貴様……別の事にも楽しめそうだな」
剣士「な、な……はな……ぐ……」
魔王「ふはは……案ずるな殺しはしない。ただ、楽しんでやるだけだ」
息子「!?」


剣士「ぐ……は、離せ……が……ぐ、ぅ……ぁ」
魔王「ふむ。首を絞められ、尚ももがくか。ますます気に入った」
息子「父上……」
魔王「お前が寄越した暇潰しは、中々重宝しそうだ! 褒めて遣わす!」
息子「父上」
魔王「お前も好きに使うが良い。この人間は真に、良き」
息子「それ以上……」

531 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:34:21 ID:Jvz0OgN2
ドスッ…

息子「それ以上、そいつに触れることは許さぬ……」
魔王「な……!?」
剣士「……え?」
魔王「貴様……! 何を……!!」

ザンッ!!

息子「もう、頃合いです。私は貴方を、これ以上生かしておく我慢がならない」

息子「貴方はもう舞台に上がる必要は無い。早々にご退場下さい」

息子「何故? 理由はいくらでも。ただ、強いて今挙げるとすれば……」






息子「貴様はこいつに……私の女に手を出した!!」

532 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:40:42 ID:Jvz0OgN2
ドサッ…………


息子「はあ……」
剣士「え……え……?」
息子「……平気か」
剣士「え……あ!?」


剣士「な、何なんだよ!!」
息子「何とは……見ればわかるだろう。父上を……魔王は私が殺した」
剣士「……!」
息子「この人は長らく前線に出ていなかった。鈍ったこの方なら、私でも隙を付けば楽に殺せるだろうと踏んでのことだったが……恐ろしいほどに上手くいったな」
剣士「ち、ちが」
息子「ああ。流石に魔王とはいえ、こうして首を刎ねられれば蘇りもしまい。安心し」
剣士「違う!!」
息子「……」

533 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:45:09 ID:Jvz0OgN2
剣士「どうして……何なんだよ今のは!」
息子「……何故、と?」
剣士「今のは明らかに! 助ける気でこいつを刺しただろ!? どうしてだ!!」
息子「……はあ」
剣士「お前は魔物だろう!? 人間を助ける理由なんてどこにも……!!」


息子「貴様の耳は……本当に使い物にならないようだな」
剣士「な、何が」
息子「聞いていなかったのか。私の女だと」
剣士「……え?」
息子「はあ……もういい。仕方ない。言ってやる。よく聞け馬鹿者」

534 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:45:32 ID:Jvz0OgN2
息子「惚れた女の命を救って、何が悪い」
剣士「…………はい?」
息子「『はい?』ではないわこの鈍感ヒモ女。身ぐるみ剥いで売り飛ばし、高値で買い戻して愛してやろうか」
剣士「……ええ?」


剣士「ちょっと待て」
息子「何だ」
剣士「惚れたって……誰に」
息子「お前以外にいるわけがないだろう」
剣士「……私?」
息子「ああ。いい加減認めろ」
剣士「う……ええええええ?」


535 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 02:53:40 ID:Jvz0OgN2
一応、この展開はスレを立てた時点で決まっていました。騙し通せるかどうか不安でしたが…どうでしょうか?騙せていましたか?ww
因みに、『剣士の具体的な一人称を最後まで出さない』『誤解させつつもヒントを出す』等などやってみました。意味の無い会話にも、何かしら意味を持たせるのが目標だったりと色々…。
それでは半年続けさせて頂きましたこの話も、残り後少しとなりました。どうか最後までお付き合いください。



536 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 03:06:14 ID:JTXH9VxE
最初から見てたがすっかり騙されてたんだぜ


537 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 03:07:24 ID:h8fcQWfU
うえぇぇぇぇっぇえっぇえぇぇx????!!!!!
騙された!
主に騙されたぁ!!!!!
ちょっともっかい最初っから読んでくる!


538 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 08:10:05 ID:45/wkpMY
やっぱり女だったか
言うのは無粋だと思ったから言わなかったけど姿と強さにギャップがあったり将軍の様子から気付いてたかなぁ


539 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 10:04:01 ID:sZ4XCXcM
ガウリナの立ち位置入れ換えたっぽいものが見えた


540 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 10:42:09 ID:lO1tg8bI
途中までは一瞬息子が女?と思ったけどよくよく読み直したら剣士が女かなーとおもたw
やきもきさせてくれてありがとうww


541 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 10:49:50 ID:laUC2Ckw
全くわからなかった・・・
股間股間言ってた自分が恥ずかしい・・・

実は主も女じゃないかって思えてきた
掘り掘られない関係だけは勘弁だよ主?


542 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 11:19:19 ID:TqkP4huA
途中あたりからうすうす感づいてはいたけど、ほんとにやるとは思わなんだw


544 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 20:22:52 ID:KBhym/Ao
ううむやっぱり半々かねー。まあとりあえず終わらせます!読んで下さり感謝!


545 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 20:31:38 ID:KBhym/Ao
息子「全く……何が親友だ何が。あの一言がどれだけ私の繊細な心を傷つけたか、貴様には想像出来んだろう」
剣士「いやだって分かるかよ……お前趣味じゃないとか散々言って、私のこと殴りまくってたくせに……」
息子「手加減はしていただろうが。大体、ツンデレがどうのと言っていただろう、お前」
剣士「デレてくれよ分かりやすいレベルで」
息子「デレたとも。この通り、愛するお前のために、実の親すら手に掛けるほどにはな」
剣士「……」
息子「ああ、気に病む必要はない。お前がいなくとも、どの道こうするつもりだった。ただ、より一層劇的になっただけだ」


剣士「だ、大体何が『私の物だ』、だ……私は別に、お前のものになった覚えなんて」
息子「最初声を掛けた時からそのつもりでいたのだが」
剣士「……」
息子「後腐れの無い女遊びには丁度いいかと」
剣士「やっぱり最低だなてめえ!!」

546 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 20:32:06 ID:KBhym/Ao
息子「だが……結局ずるずると、そのような機会は終ついぞなかったな」
剣士「やべえ……こいつとんだむっつりだ……」
息子「つまり、それだけ焦らされて、いつの間にか本気で惚れ込んでいたという訳だ。分かるか」
剣士「知らん知らん。マジで知らん……」
息子「だろうな。知らなくて良かったんだ。きっと」


息子「最初はお前を殺す計画だったんだ。色々と予定は狂ったがな」
剣士「色々……で済む話なのかねえ……まあいいけど」
息子「だが、これで魔王は私だ。私が治める、魔物の世が始まる」
剣士「……どうするつもりなんだ」
息子「どうもしない。ややこしい人間とも関わることなく、平穏に生きていく。そう、魔物を生かしていくつもりだ」
剣士「うはは……お前らしいねえ」
息子「うむ。そうだろう」

547 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 20:50:32 ID:KBhym/Ao
息子「それよりも……その腕、見せてみろ」
剣士「え……ああ、さっき暴れた時切れたのかね? 気付かなかったわ」
息子「戻って手当を受けてくれ。悪いな。人間を治す魔法など、覚えてはおらぬから」
剣士「覚えてくれてりゃ楽だったのによ……」
息子「仕方ないだろう」


息子「覚えたら……お前から離れられなくなると思ってな」
剣士「……え」
息子「ん?」
剣士「嫌だ! 嫌だからな! お前と一緒じゃなきゃ、絶対に嫌だからな!」
息子「それは……無理な相談だな」

548 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 20:50:49 ID:KBhym/Ao
息子「お前は人間で……私は魔物だ」
剣士「そんなこと、私は気にしな」
息子「気持ちの問題ではない。その事実がある限り、お前とは共に生きられない。それにお前には、帰る場所もがあちらにあるだろう」
剣士「で、でも……」
息子「……分かってくれ」
剣士「う……わ!?」
息子「私も、出来ればお前と共に生きていたい」
剣士「……あの」


剣士「苦しいし……ちょっと痛いんですけど……」
息子「空気を読めクズ。そう言うお前は汗臭いぞ」
剣士「てめぇ…………」
息子「だが……ずっと、こうしたかった……」
剣士「……うん」

549 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 20:51:16 ID:KBhym/Ao
息子「そうだ。いつぞやの約束を、覚えているか?」
剣士「え……?」
息子「『勝負に負けた奴は、勝った方の命令を何でも一つ聞く』」
剣士「し、したけど、それが何か」
息子「先程は騙し討ちとはいえ、私が勝った」
剣士「……」


息子「だから、一つだけ命令させろ」
剣士「何だよ……いきなり改まって」
息子「たった一つだけだ。お前のような単細胞に、難しい注文はしようとは一片たりとも思わない」
剣士「てめえ……」
息子「本当は、もっと色気のあることに使いたかったのだが……」
剣士「死ね」
息子「うむ。その減らず口が叩けるようであれば、まあ安心だな。一度しか言わぬから、よく聞けよ?」

550 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 21:02:07 ID:KBhym/Ao
息子「お前はここを出て、人の世で好きに生きろ」
息子「剣を捨てろとは言わない。だが、なるべく戦いとは無縁に生きてくれ」
息子「どこかに落ち着き、適当な伴侶でも見つけて、お前によく似た子でも産め」
息子「私の事など忘れて……人並みの人生を送り……そして死ね」


剣士「一つじゃ、ねえのかよ……」
息子「全て合わせて一つだ。分かったら粛々とこのように生き」
剣士「嫌だね!」
息子「……全く」
剣士「お前がどう言おうと絶対に嫌だ! だって……だって私はお前のこと」
息子「やめろ」

551 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 21:20:00 ID:KBhym/Ao
息子「お前がどう思っていようと……私がどう思っていようと……もう関係は無い」
剣士「……」
息子「私はお前に二度と会わない。会うつもりもない」
剣士「い、いやだ!」
息子「お前は先代魔王を討った人間だ。私が、現魔王がおいそれと許してはならぬ存在だろう」
剣士「え」


息子「父上の首をやる。持って行け」
剣士「ちょ……んなもん近付けんなっての」
息子「別にお前ならば慣れているだろう。このくらいのもの」
剣士「お前ムードとか色んなものをだな……いいのかよ」
息子「ああ。持ち帰り、人の世に示せ。平和が来たとな」
剣士「……違うよ」

552 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 21:30:50 ID:KBhym/Ao
剣士「お前がいなきゃ……私の世界は……全然平和なんかじゃない……」
息子「……」
剣士「ほんとに! どうしてもダメなの!? 一緒に生きちゃ……一緒にいちゃいけないの……!?」
息子「……お前はあちらに。私はこちらに居場所がある」
剣士「あっちなんかいらない! 私が欲しいのはお前だけなんだ!」
息子「ありがとう……」


息子「その言葉だけで……私は満足だ」
剣士「お前がそうでも私は……!」
息子「先程私が言った言葉、忘れるなよ」
剣士「ちょ、ちょっと、何を」
息子「私はここで死んだことにしておけ。お前の記憶を消してやれなくてすまんな。それだけは絶対に嫌なんだ」
剣士「だから! 嫌だって人の話を」
息子「元気でな。そして……そして、どうか」



息子「どうか、幸せに……」
剣士「!?」


553 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 21:37:12 ID:mTaO3Lbk
スレタイきましたわ……


554 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 21:59:33 ID:/83mfp96
すっかり騙されたwww
てっきり将軍が男色だと思ってたわ


555 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 22:09:05 ID:sZ4XCXcM
ちくしょう、てめぇ、娘だけじゃねえのかよ……
あの三人の中で一番モテてるじゃないか……


557 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 22:25:48 ID:KBhym/Ao
兵1「剣士様ー! どこにいらっしゃいますかー!?」
兵2「もう日が暮れるぞ……補佐殿も見つからないままだし……」
兵1「ど、どうする? あの方々の手に負えないようなことが起こっているとしたら俺達に出来ることなんて……」
兵2「そうだとしても! お助けするしかないだろ!?」
兵1「とは言ってもこれだけ探して姿が見えないとなると…………!?」
兵2「け、剣士さ……!?」


剣士「……これ」
兵1「な、な……何ですかこの……魔物の首は」
兵2「剣士様が……倒されたのですか?」
剣士「……嫌かもしんねえけど……とりあえずこれ、持って行ってくれ」
兵1「は、はあ」
剣士「魔王」
兵2「は」
剣士「それ……魔王」
兵1・兵2「!?」

558 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 22:32:15 ID:KBhym/Ao
息子「……」
魔物「よーう。終わったか」
息子「……ああ」
魔物「ご苦労さま。ま、後の事は全部俺がやってやるよ」
息子「……」
魔物「魔物達に先代様が人間に討たれたこと。それに伴う代替わりがあること。全部伝えておく」
息子「それと」
魔物「討った人間を追うなだろ? 分かってるさ」
息子「……頼む」


魔物「まあ、何かと理由付けて言っておくさ。背いた者には……ってこともね」
息子「……」
魔物「お前はゆっくり休め」
息子「ああ……すまん、な」
魔物「気にすんなって。それより」
息子「何だ」
魔物「中々いい女なんじゃねえの? 人間はよくわかんねーけどな」
息子「……当然だ」

559 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 22:51:47 ID:KBhym/Ao
数ヵ月後─

「よーっす」
「うはは……どうよ。この墓」
「魔王と相討ちになった……英雄の墓にしちゃ、随分とちっせーもんだろ」
「だって大々的に作られちまうと、私が会いに来れないしさ」
「この場所は私と、他に数人しかしらないんだ」
「お前はここに眠っていないし……今頃まだぴんぴんしてるんだろうけどね」


「そういえばさ。何だよこりゃ」
「お前の部屋漁ったら、『持って行け』ってだけメモ書きして。言ってた土産のつもりか? お前にしちゃ気が利くじゃねえか」
「どうよ、似合う? お前がこれ、どんな顔して選んで買ったのかと思うと胸が熱くなるねー」
「ありがと」
「こんな服着たことあんまないし、ちょっと恥ずかしいけど……大事にするね」

560 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 22:58:54 ID:KBhym/Ao
「あ、そうそう。さっきも言ったけどさ、英雄はお前に譲るよ」
「教えてもらった名前が本当のものかは分かんないけど。お前の名前はずっと、人の世に残るよ」
「魔王にとっちゃ迷惑な話かもしれない。でもさ、じゃないと私は嫌なんだ」
「だって……私の大切な人、皆に知っていてもらいたいからね」
「ねえ……」


「私、もうちょっとだけ旅をしてみる」
「それから何にもすることがなくなったり、旅に飽きたらさ」
「この国に戻って来る」
「戻ってきて、って姫さんとか将軍さんに言われてさ」
「いい友達を持ったもんだよ。本当。お前のおかげだね。ありがとう」

561 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:04:51 ID:KBhym/Ao
「全部なくしちゃったけど……もう、何も持てないと思っていたけど……」
「私には居場所がある」
「だから……こっちで生きてみるよ」
「お前の命令は全部が全部守れるかは、ちょっと自信ないけど……」
「でも精一杯生きてみせる」
「幸せに……なってみせるよ」


「でもさ、ちょっと思うのよ」
「お前は二度と会わないとか言ってたけどさ」
「もし……もしだよ……」
「私が全部また失くして……帰る所も、居場所も、誰もいなくなったらさ……」
「そっちに行ってもいいかな?」
「迎え入れてくれるかな?」
「……家族になって……くれるかな?」

562 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:07:16 ID:KBhym/Ao
「それじゃあまたな。そろそろ行くわ」

「また会いに来るからさ。よろしくな」

「……」

「愛していた……いや」

「愛してるよ。ずっと……ずっとな」


563 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:09:47 ID:mTaO3Lbk
(´;ω;`)


564 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:09:52 ID:KBhym/Ao
将軍「見送りはしないのですか?」
姫「昨日したわ。次に会うのは、帰って来るときだって約束したもの」
将軍「……」
姫「貴方は行かないの? 今ならチャンスなんじゃないの?」
将軍「もう……諦めましたよ」
姫「そう……」


将軍「ところでこの手配書……如何致しましょう。この国に、何か書状をお出しになると言うのでしたら」
姫「放っておいて構わないでしょ」
将軍「そうですね」
姫「こんな手配書、誰が信じるものですか」
将軍「本当に……ご本人そのままですよ」
姫「こんなに綺麗な女性が人斬りの鬼だなんて、冗談にしか聞こえませんよ」

565 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:22:46 ID:KBhym/Ao
彼女と別れてからその後。彼は努めた。魔物の世を平和に導くために。
人との不必要な争いを避けるため、魔物を全て自身の手で管理した。
戦いに倦んでいなかった一部の魔物達を、残らず説き伏せ力を示し従えた。
全ての魔物のために、彼は魔王を務めた。


そして気付けば、一人の人間が天寿を全うするには、十分すぎるほどの時間が経っていた。


彼女の消息など、少し調べればすぐに分かったことだろう。
だが、彼は決してそれをしようとはしなかった。
彼女のことを忘れてしまったかのように、変わりのない日々を送り続けた。
彼女への思いを棄ててしまったかのように、生き続けた。
彼が魔王になった以前と以降。彼の内には何の変化も見られない。そう思われた。

566 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:23:36 ID:KBhym/Ao
しかし実際はまるで違っていた。
彼は願うことを始めていた。それ以降ずっと続けていた。
彼女がずっと穏やかで安らいだ、幸せな人生を送ることを。そのような人生を全うしたことを、願い続けることだけを選んだ。
自身の命が終わるその時まで、彼女への思いを抱いているのだと決めた。
最早終わってしまったであろう願いだと言うのに、彼はそうして生きてきた。
幸せだった。


満たされていた。
彼は幸せだった。
彼女の幸せを思い生きるだけで、彼は幸せに生きることが出来た。
これ以上に望む物は、彼にとってありえなかった。
彼の人生はずっとずっと永久に変わることなく、こうした幸福を抱えて生きていくのだと。そんな予感を抱いていた。

567 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:24:29 ID:KBhym/Ao



だが、近頃彼はこんな風にも思うのだ。




568 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:31:11 ID:KBhym/Ao
「ふ…………ぁあ」

「…………ゆめ?」

「へんな……ゆめ」

「だったきがする……」

「どんなゆめだったんだろ」

「うーん……わかんないなあ」

「でも……なんだか、たのしいみたいな」

「かなしいみたいな……そんなゆめ」

「おきてるより…………ゆめのほうが……いいな」

「…………」

569 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:31:27 ID:KBhym/Ao
彼女の魂が何の間違いで、何もかもを失くして、あらゆる幸福から遠ざけられて。
再び自身と出会うことがあったのならば。
出会い、惹かれ合い、万一共に生きることが叶ったならば。
自身の手で、守ってやろうと。
今度こそ、謀ることなく幸せにしてやるのだと。


そんな儚い願いを抱いてもいいのではないかと、彼は思い始めていた。
ただ、思うだけであった。

570 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:38:05 ID:KBhym/Ao
側近「さーてと。そろそろ魔王らしい仕事でもやってみようか」
魔王「……はあ?」
側近「若い世代が何か不満持ってるらしいんだよねー。『今の魔王様は人間すら潰す気の無い腑抜けだ』って」
魔王「実際潰す気など毛頭無いのだが」
側近「知ってるっつーの。お前が気乗りするはずねえよなあ」
魔王「……」


側近「んでも何かこう、魔王っぽいことをやって下さいよ魔王様。あんたはそれが仕事なんですから」
魔王「聞こえぬ聞こえぬ」
側近「呑気に飯なんか食ってないでさ。大体最近落ち着いたからって仕事サボってばっかだろ。働かねえで食う飯はそんなうまいか?」
魔王「はあ……今日も平和だな。飯がうまい」
側近「なあお前。下剋上って知ってるか?」

571 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:39:01 ID:KBhym/Ao
これは魔王を討った勇猛なる戦士の物語でも、世界を脅かす魔王の物語でもありえない。

ただ彼と彼女が出会い惹かれ合い、そして叶うことのなかった恋の物語。

たったそれだけの、どこかに続く昔語り。


【魔王「どうか、幸せに」・終】


572 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:42:41 ID:3jw/mq5g
お疲れ様!!
今回も楽しませていただきました!
魔王の幸せっぷりにテラ嫉妬

これがあー繋がるのとか主マジ天才


573 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:43:52 ID:KBhym/Ao
支援等お言葉を下さった方々、騙されて下さった方々、気付いても言わずに見守って下った方々。
長らくお付き合い下さり、皆さん本当にありがとうございました!
サイトで地道に色々書いていますが、また外で何か書く機会がありましたら、その時はまたよろしくお願いします!


574 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:51:13 ID:aiat8PO.
おつかれさん


575 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/14(火) 23:59:13 ID:mTaO3Lbk
とうとう終わってしまったwww長かった分なんだか物悲しいwww

しかし本当に面白かった
おつかいさん乙!


576 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 00:01:08 ID:gWWpFqP6
主!
すごく楽しませてもらった!
魔王シリーズ相変わらず大好きなんだけど
魔王も娘も剣士の分まで幸せになって欲しいんだけど
おれも主に幸せにしてもらいたいんだけど

股間ばかり言って悪かったな
次のシリーズでは下腹部を推していくように頑張るからね!


577 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 00:04:37 ID:NtECIKR6
いつもライブ前に読ませてもらってたよ!凄く面白かった!

本当に書籍化されないかなって妄想しまくってたぜ!

何はともあれ乙!


578 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 00:12:12 ID:G.UpKzGw
GJ!面白かった!


579 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 00:29:30 ID:6SN/RErA
お疲れ様です!!すごく楽しませていただきました!!


580 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 05:22:16 ID:xK29s6P6
乙でした!騙されました。切なかった…


581 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 23:28:54 ID:pGRH9XsY
面白かった。乙です。


582 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/15(水) 23:49:33 ID:YxoHFv8w
一気読みしました。
面白かったです。引き込まれました。
普通に騙されたぜうわぁん。
乙でした!

スレの流れ見て、ああ灰色氏の生みの親なんだなぁと再認識w


583 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/16(木) 09:16:31 ID:4e/b9K3Y
終わった終わった乙。
紫煙期間長かったぜwww

洒落でオナ禁とか書いたら変なのが沸いてしまった。すまなんだw


前作()読み返していたときに、(こっちで剣士&側近が出てきた頃)

魔王が 私が救うのはあいつが最後でいい って台詞があって、そこにリンク
するのかって思ったのよ。多分うp主あっち書いてる時点でこの話の構想はもっていたんじゃない
だろうかと。


しかし最後に剣士が転生して娘になるとはなー。やられたわ。そら魔王も側近も瞬殺されるわなww


584 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/16(木) 17:03:53 ID:NsEKFmXQ


>>583
それが本当なのか作者からききたい。

娘に出てきた竜はこれの子どもな訳ですかね。


586 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/16(木) 21:25:20 ID:n7ok8EhQ
呼ばれた気がして再浮上。皆さんありがとうございます!

そうですねー。娘の話を書いてる途中で思い付いた話ですね。
竜も二本目で出たのと同一人物?です。分かって下さり感謝!
あとは人間の回復は出来ない云々も一本目に繋がります。等など。
一本目二本目に繋がり、かつ単体で読める物…を目指したつもりですが…やはりまだまだ精進せねば\(^o^)/

因みにゲスな下ネタ大好きなので、その辺はお気になさらずに。
とりあえず576の下腹部は紅葉おろしにでもさせて頂きますね^^


587 :382:2010/09/16(木) 21:43:10 ID:XaqOkcbU
珍しくうp主あとがきに出てきたなw
乙ですたーーーー。

ママレも好きだがうp主の作品もコンパクトかつ、よくまとめられてるし、読みやすい。

俺最後の予想は、剣士の子孫が魔王娘と予想してたんだよね。
悲恋でおわるんだろーけど、娘とリンクはすんじゃないかって思って。


で、魔王は攫われてきた偽姫になにかを感じて云々。ちょっと詰まんないかな。orz


588 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/21(火) 23:20:08 ID:FJiiuVyM
遅れましたが乙です。
大変面白く読まして貰いました


589 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/22(水) 00:46:55 ID:MCQBdv2w
面白かったよ.
乙です.



魔王「今日も平和だ飯がうまい」

続編
魔王の娘「今日も平和でご飯がおいしい」
↓過去編
魔王「どうか、***」

短編
魔王の娘「無くはない!無くはないもん!」


このSSの作者さんの過去作品一覧


転載元
魔王「どうか、***」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12874/1262700852/
 
モンスターハンター4
The Last of Us (ラスト・オブ・アス) (初回同梱特典 豪華3大コンテンツのDLプロダクトコード(サウンドトラック、カスタムテーマ、アバターセット) 同梱)
トモダチコレクション 新生活
ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル (通常版) (初回封入特典 プレイアブルキャラとして「吉良吉影」が使用可能になるDLコードがついた「川尻早人メモ」! 同梱)
ガンダムブレイカー (初回W特典「フリーダムガンダム」のパーツデータ一式+「ガンダム バトルオペレーション」出撃エネルギー(備蓄用)3個セット 同梱)
ドラゴンズクラウン
真・女神転生IV “豪華ブックレット仕様"サウンド&アートコレクション 付
NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3 ( 初回封入特典:うずまきナルト「孫悟空コスチューム」がダウンロードできる"プロダクトコード同梱) 予約特典5体のコスチュームがダウンロードできるプロダクトコード入りカード付
サモンナイト5 (初回封入特典ソーシャルゲーム「サモンナイト コレクション」の特設ページで入力すると「5」の主人公カードが入手できるシリアルコード 同梱) 予約特典『サモンナイト5』特別設定集 付
ドラゴンズドグマ:ダークアリズン 数量限定特典“「メイジ」のための「指輪セット」付き

 

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