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このSSの作者さんの過去作品一覧



 
340 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:40:42 ID:wXZLfH7E
    次の日─

    姫「おはようございます。剣士様。お連れ様」
    息子「ああ」
    剣士「……おはよー」
    姫「ふふ……嫌ですわね、あからさまにそのような顔をなさらずとも」
    剣士「いやまあ……はあ」
    息子「ま、頑張れ」


    姫「では……本日よりお仕事をお任せするわけですけれども」
    剣士「城の巡視? それとも街の詰め所で待機? そんなところだよな」
    姫「いえ、もっと簡単な事です」
    剣士「おお! 話が分かって助かるよ!」
    息子「私は何をすればいい?」
    姫「剣士様の……そうですね、付き人でもお願いしましょうか」
    息子「メインはこいつか。楽が出来ていいな」
    姫「気に入って頂けたようで良かったですわ」
    剣士「あれ何か不穏な空気?」


341 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:41:18 ID:wXZLfH7E
将軍「……ごほん」
将軍「皆の者。静粛に」
将軍「本日の鍛錬は私が見る事になっていたが……」
将軍「急遽予定が変わり……この方に依頼することになった」
剣士「…………」

ザワザワ…

「……おいおい、どういうことだ?」
「将軍様も姫様も何を考えてらっしゃるのやら……」
「ってか、マジで俺達『あれ』に稽古つけられるのか?」
「何かの冗談だろ」

342 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:42:07 ID:wXZLfH7E
将軍「静粛に!」
将軍「本日は、姫様も鍛錬の様子をご覧になるため、わざわざいらして下さっている」
将軍「平時と異なるからといって、怠ることの無いように」
将軍「以上だ!」
将軍「……では、剣士殿」
剣士「いやいやいや、ちょっとたんま」


剣士「どういうこと」
将軍「はあ……姫様から窺っていらっしゃると思いますが」
剣士「聞いたよ。んでも分かんねえもんは分かんねえよ」
将軍「単に、この場にいる城の兵士達に剣のご教授をと」
剣士「冗談じゃねえ!!」

343 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:42:30 ID:wXZLfH7E
息子「……何を考えているのやら」
姫「ふふ……良い機会ですもの」
息子「あれの実力を示すことが?」
姫「我が国は将軍並の使い手を他に有しておりませんの。お披露目は早い方が良いかと」
息子「新しい玩具は、自慢したくなるものなあ」
姫「まあ……そのような事、思っておりませんわよ。失礼しちゃいますわ」
息子「そうかそうか」


姫「で、お連れ様から見てどう思われますの?」
息子「……どう、とは?」
姫「剣士様の腕前ですわ。私も初めてお目にするのですけど」
息子「そうだな……ざっと見たところで、今いるのは百人程か」
姫「城にいる兵の一部ですけれども。それが何か?」
息子「あれくらいならば、一瞬で片が付く」
姫「…………まあ」

344 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:42:47 ID:wXZLfH7E
姫「でも、当のご本人様が乗り気ではありませんことよ?」
息子「それはまあ……そうだろうな」
姫「いけませんわ。ここでもし手を抜かれては兵達に示しが」
息子「その心配は無いだろう。ほれ」
姫「え?」


剣士「今弱そうって言った奴出て来い! まとめて出て来い! 束で来い!!」
将軍「ちょ、ちょっと剣士殿」
剣士「修練用の木刀だからって人が殺せねえ訳じゃねえんだぞ!? それをたーっぷり教え込んでやるわ!!」
将軍「お待ちください剣士殿! 本日は剣の心得を説いて頂く程度で」
剣士「出て来ねえようだったらこっちから行くぜ!! はーい実践演習開始ぃぃいい!!」
将軍「剣士殿!?」

345 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:43:01 ID:wXZLfH7E
姫「……」
息子「あれはな、驚くほどに気が短いんだ」
姫「こほん。ま、まあ良かった……ですわ」
息子「全く……人には目立つなと言っておいて。面倒な奴だ」
姫「そう仰るわりに、随分と楽しそうですわね」
息子「そう見えるか」


姫「そういえば、剣士様からお伺いしましたけれども」
息子「何をだろう」
姫「貴方は、剣士様の名を広めたいようですわね」
息子「ああ。それがどうした」
姫「どのような目的がおありですの?」
息子「単なる暇潰しだ」


346 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:56:14 ID:gA0964Bs
いいぞもっとやれ


347 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 21:58:33 ID:wXZLfH7E
息子「暇潰しに、厄介な動物の飼育をしている。それだけだ」
姫「……剣士様は、渡しませんわよ」
息子「いるわけがないだろう。ただ、あいつは私が使わせてもらう」
姫「全くもう。剣士様、貴方のようなお方の、どこが気に入ったのかしら」
息子「さあな。本人に聞いてくれ」
姫「そうしますわ。私、剣士様ともっともっと、仲を深めたいと思っておりますし」
息子「打算か、掛け値の無い本心か」
姫「どちらだと思います?」
息子「どちらだろうと、私には関係の無い話だ」
姫「あら、つれないお方」


姫「剣士様ついでに、貴方とも仲良くして差し上げてもよろしいですわよ」
息子「女ならば間に合っている」
姫「まあ……どのような意味でしょうか」
息子「どう取ってもらっても構わん」
姫「面白い方ですわねえ。流石は剣士様のお連れ様」
息子「そういう分類はやめてくれ」

348 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 23:02:10 ID:wXZLfH7E
剣士「ぜぇはぁ……さあて次はどいつが相手になるんだ……って」
将軍「……剣士様」
剣士「あれ。何で残った奴ら皆遠巻きに見てんだ。あれ?」
将軍「この人数を一太刀の下に斬り捨てれば……そりゃあ」
剣士「うはは。大丈夫大丈夫。これ木刀だし。峰打ちだし。これくらいの芸当普通だろ?」
将軍「この短時間で……これだけの人数を……というのはその……少し」
剣士「え?」


姫「順調ですわねえ」
息子「順調に、引かれているな」
姫「あら、畏怖と崇敬は同義になり得るのですわよ」
息子「どうだろうな。対象があれだぞ」
姫「貴方は剣士様を買い被っていたり、低く見たり。忙しい方ですわねえ」
息子「状況に応じてな」
姫「卑怯なお方」

349 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 23:22:20 ID:wXZLfH7E
剣士「え、えっと……ただいまー」
息子「ああ」
剣士「何だよお前、ずっと見てたんだろ。労いの言葉は無しか」
息子「労いが必要な程の労働だったか?」
剣士「いんや」
息子「だろうよ」
将軍「……」


姫「ご苦労様でした、剣士様。ありがとうございます」
剣士「え、ああ……でも、こんなんで良かったのか?」
姫「ええ。十分すぎる程ですわ」
剣士「良かったー。ヘマやっちまったかと思ったぜ」
姫「そんなことはありませんわ。ねえ、将軍」
将軍「え……はあ、まあ……」

350 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 23:41:12 ID:wXZLfH7E
将軍「予定よりも……随分と早く切り上げざるを得ませんでしたが……」
剣士「おっとやっぱりヤバかった……?」
将軍「いえ。ありがとうございました」
剣士「え? 何で頭下げるんすか?」
将軍「貴方の戦う姿を……もう一度この目で拝みたいと思っておりましたので」
剣士「おお! リベンジならいつでも受けるぜ!」
将軍「…………はい」
剣士「あれ?」


剣士「今度は何かまずいこと言ったかな? どう思うお前」
息子「さあな。では、本日の業務はこれで終了だろうか?」
姫「うーん……そうですわねえ。一応は」
息子「では、少し付き合え」
剣士「何に?」
息子「いいから」
剣士「ちょ、引っ張るなって。じゃあまた会いましょー姫さん、将軍さん」
姫「はい。また」
将軍「あ……」


351 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 23:49:35 ID:0I17Kl9o
作者に加速装置を積むべきだと思う 紫煙


352 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/06(月) 23:51:15 ID:wXZLfH7E
剣士「で、何なのよお前ー」
息子「だから付き合えと」
剣士「何にだよ」
息子「鍛錬だ」
剣士「は?」
息子「はっ、腹が立つなその呆けた面。思わず殴りたくなる」
剣士「言いつつ小突くな! 人のことをなんだと思ってやがるんだ!」


剣士「鍛錬って……お前は特に仕事与えられてねえじゃん。暇してればいいのに」
息子「まあ、私の分までお前が蟻のように働き死ねばいいとは思うのだが」
剣士「てめぇ……」
息子「体が鈍るといかんのでな。たまには相手をさせようかと」
剣士「他の奴に頼めよ。ここにはいっぱいいるだろ」
息子「有象無象に、私の相手が務まるわけがなかろう」
剣士「へいへい、そうっすか」


353 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 00:17:05 ID:3M494c26
剣士「ま、実を言うと願ったり叶ったりだったりするんだわ。これが」
息子「ほう……?」
剣士「魔法と剣の両方が十分に使える奴って、お前以外にあんまり出会ったことねえんだよね」
息子「まあ、そうだろうな」
剣士「それなのにお前と手合わせしたのは一回きり。いつかちゃんと手合わせして……」
息子「決着を付けてしまいたかった、と」
剣士「ご明察!」


剣士「さすがは相棒だな!」
息子「ほざけ。だがいい機会だ。軽い運動ついでに、どちらが上かはっきりさせようではないか」
剣士「決まったらどうする?」
息子「そうだな……負けた方は勝った方の命令に、何でも一つ従う、と」
剣士「いいねいいねえ! ありきたりだが大歓迎だぜ!! んじゃあまあ行くぜ相棒とっとと死ね!!」
息子「望むところだ」


354 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 00:46:46 ID:2ZLZuHU2
毎日更新乙です!熱い展開だー!
姫うざいwww


355 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:09:45 ID:BNjJ63fk
主よ
疲れた時は良かったらおれの股間を使ってくれないか

支援


362 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:26:27 ID:3M494c26
支援ありがとうございます!
しかし355はどのような意味でしょうか。もっと取引先に言うみたいに言って下さらないと分かりません!


363 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 02:25:17 ID:XFkbgNpw
355>>うp主が女の子と思っているのでは?ww 男の娘でも怖いが・・・紫煙


364 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 10:36:39 ID:BNjJ63fk
取引先に言うような感じ・・・

よろしければおれの股間をしごいてくれないか?

ちなみに主が男じゃないならこんなことは言わないさ
男だから意味がある

支援


365 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:38:26 ID:5fuv2eZ6
色んな意味でごめんなさいwwww
じゃあとりあえず、他の皆さんで364のイチモツをどうこうして下さいね…^^


373 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 23:36:54 ID:RDSa5Sbk
365>> いやじゃー!!!きもいわーーーー! 紫煙

374 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 23:38:43 ID:EtENyHuo
>>365 把握。じゃあとりあえず、ペンチでねじってみようか。縦に。 支援


379 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 01:14:46 ID:zHLHad9U
頼むからペンチを縦だけには使わないで欲しい

しかしだ

主にならいいかも
縦に・・・お願いします

試演


380 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 01:24:45 ID:Fbu6ld22
はいはい縦横無尽にペンチぐりぐり^^
男が良いんじゃないんですかwww


381 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 01:25:24 ID:bP2QLYEc
>>379
ちょっとおまい剣士の伴侶に立候補してこいwww支援


382 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 05:30:35 ID:WwzD3WeU
>>381

それやったらこのSSが終わっちまうんじゃないか?w 紫煙


356 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:22:28 ID:3M494c26
将軍「はあ……」
将軍「剣士殿はどうして……ああなのだろうか……」
将軍「姫様は面白がっていらっしゃるようだが……」
将軍「一体どうすれば……はあ……」
将軍「……うん? 何か向こうが騒がしいな……」


兵1「おいおい……何だよこいつらの動き……本当に人間かあ……?」
兵2「片方はあれだろ、さっき何十人かを一度にノシたっていう」
兵1「噂の剣士様だろ……それは分かるんだがもう一方も」
兵2「……それと同レベルとはどういうことだろうな」
将軍「……何だ、これは」
兵1「しょ、将軍様!?」

357 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:22:52 ID:3M494c26
将軍「何の騒ぎだ……まあ、見れば分かるのだがな」
兵2「ええ……どういうことなんですか。こんな奴……方々が急に現れるなんて」
将軍「姫様が直々に見出し、雇い入れた方々だ。無礼の無いようにな」
兵1「はっ!」
兵2「しかし……姫様……一体どこで見つけたんでしょうか」
将軍「そ、その辺りは機密事項だ。だが、実力も人柄も申し分ないと、私が保障しよう」
兵1・2「……」
将軍「何だその目は……」


剣士「死ね! 死ね! とっとと死ね!!」
息子「これ、くらいの、攻撃で、死ねるわけが……ないだろう!!」
剣士「うっせーバーカ! 息上がってんじゃねえのか年寄り! とっとと這い蹲って土でも舐めてろ!! ぐりぐりと頭を誠心誠意踏んでやるから!!」
息子「貴様こそ×××で、×××! どうせ、××××××なんだろうが!!」
剣士「くっ、くたばりやがれクズ野郎!!!!!」

358 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:23:10 ID:3M494c26
兵1「人柄……申し分無いですかね?」
兵2「実力はまあ、見れば分かりますけれど」
将軍「剣士殿……」
兵1「あ、二人とも少しずつ動きが鈍くなってきましたね」
兵2「そりゃ陽が高い内からやってるんだ。そろそろ体力切れねえと、本物の化物だ」
将軍「……と、とりあえずお前たちは持ち場に戻れ。他の者達も同じだ!」


剣士「ぐ……ぐ……う」
息子「……ちっ……また、引き分けか」
剣士「ってか……勝負付くのかなあこれ」
息子「何とも言えんな」
剣士「……まあいいや、さっきの約束、しばらく継続ってことで」
息子「……そうするか」

359 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:23:48 ID:3M494c26
将軍「何をしていらっしゃるのですか……」
剣士「あ、どうも将軍さん」
息子「見れば分かるだろう。単なる軽い運動だ」
将軍「……あの死闘が、ですか」
剣士「こいつがどうしてもって言うからさあ。良ければ将軍さんとも手合わせするよ?」
将軍「え」
剣士「リベンジしたいんだろ? いつでも受けて立つぜ!」
将軍「あ……ありがとうございます」
息子「……」


息子「……再びこいつに負けたとあれば、貴殿の面子が立たぬのでは?」
剣士「ちょ!?」
将軍「まあその通りですね。剣士殿に私が負けたと知っているのは、今はまだ姫様と貴方がたのみですし」
息子「今度こそ、城の中で負けてしまえば……知らぬ者はいなくなろうよ」
将軍「そうならないように剣士殿の戦うお姿を拝見し、こちらも負けじと鍛錬を積みますよ」
息子「……ふん」

360 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:24:57 ID:3M494c26
剣士「何でお前喧嘩腰なの。何かあったのか?」
将軍「いえ。お気になさらず。ところで剣士殿、これから何かご予定でも?」
剣士「ああ? 姫さんが呼んでるとか?」
将軍「い、いえ! そういうわけでは無いのですが……お時間はありますかと」
剣士「ああ、無理。ごめん。こいつと飯に行く時間だから」
将軍「……そうですか」


剣士「急ぎの用事とかなら、ちょっとくらいなら時間は取れるぜ? なあ相棒」
息子「…………」
剣士「何で睨むんだよ」
将軍「いえ。また次の機会で構いません。それほど重要なものでも……ありませんし」
剣士「そう? んじゃまあ、またなー」
息子「失礼する」
将軍「……」

361 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 01:25:12 ID:3M494c26
剣士「うはー……でもやっぱり……腹減ったー……」
息子「右に同じ」
剣士「今日は何食いに行こうか」
息子「酒」
剣士「いいけど、何でお前目据わってんの」


将軍「…………」
将軍「色々な意味で……精進あるのみか」
将軍「……どうやら先は長いようだが」
将軍「はあ……」


366 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:39:07 ID:5fuv2eZ6
夜─

剣士「ふー。とりあえず今日のところはお疲れさん」
息子「ああ……」
剣士「つってもお前は特に何もやってないんだけどな! さあ敬え! 労働者に感謝を示せ!」
息子「分かったから……とっとと自分の部屋に帰れ」
剣士「いいじゃねえか、まだ夜も浅いんだ」


剣士「第一、広くて豪華な部屋に一人って落ち着かなくね?」
息子「貧乏人が」
剣士「ちっげーよ。もし襲われたらどう立ち回り演じるかって脳内シミュレーションを延々とだな」
息子「病人か。頭の」
剣士「つまりまあしばらくこっちで暇を潰す!」
息子「人の話を聞け」

367 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:39:37 ID:5fuv2eZ6
剣士「だってまだ飲み足りねえだろ。何のために酒買い込んできたんだよ」
息子「お前が物欲しそうな目をして商店の前を動かなかったからだ。そのような安酒、私はいらん。全てくれてやるから出ていけ」
剣士「金を出したのも、大半抱えて運んで来たのも例のごとくお前だろー。お前が飲まなくてどうすんだ」
息子「だからお前に持たせると外聞が……はあ」
剣士「変な奴ー」


剣士「まあまあ一本いっちまえ。こういうのは値段より度数と量だろ」
息子「頭の悪い酒の嗜み方だな」
剣士「お前昨日の飲みっぷりはかなりのものだったぞ」
息子「……まあ、少しくらいなら」
剣士「よく言った! ほらほら好きなの選べ」
息子「グラスは」
剣士「んなまどろっこしい物いるかよ」
息子「……はあ」

368 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:39:53 ID:5fuv2eZ6
剣士「んじゃまあ二次会に乾杯ー」
息子「乾杯」
剣士「おっと案外素直じゃねえか」
息子「たまには、な」
剣士「よしよし、その調子で従順にデレろよ。扱いやすいから」
息子「やめろ触るな気色悪い。貴様をまともに相手にするのが疲れてきただけだ」
剣士「遠ざかった……だと?」


剣士「いいもんねー、お前より先に姫さんとか将軍さんとの仲を縮めてやる」
息子「……縮めて嬉しいのか、お前」
剣士「い、いやまあ姫さんはちょっと怖いし、将軍さんは何かよく分かんねえし」
息子「そうか……分からんか」
剣士「あんな人負かしちまった手前、どんな顔して接していいのかなあ」
息子「それでいいだろうよ」

369 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:40:10 ID:5fuv2eZ6
剣士「でもあの姫さん、結構すげーみたいだな」
息子「何がだ」
剣士「先代の国王……親父さんが何年か前に早死にしちまったんだってよ。それからずっとあの若さで国を治めているらしい」
息子「……」
剣士「耳が痛い?」
息子「売り飛ばすぞ」
剣士「ぎゃー」


剣士「いやでも体張って頑張ってて偉いよなあ」
息子「王族の何が偉いものか。世襲に甘え、政策のほとんどは下任せ。自分は安全な場所から高みの見物で……敬われるだけの器量の有無も関係なく、取り替えがいくらでも利く地位の何が偉いか……」
剣士「へいへい。お前も大変ね」
息子「……何がだ」
剣士「別にー」

370 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:40:29 ID:5fuv2eZ6
息子「そう言うお前も……腕、見せてみろ」
剣士「ああ?この前の怪我ならもう大分塞がってきたぜ。ほれ」
息子「それでも痕は残るだろう。お前の方がよっぽど体を張っている」
剣士「そうかなあ」
息子「負わずに済んだ怪我とはいえな」
剣士「うはは!そりゃそうだ!」


剣士「んでも傷痕なんか特に珍しいもんじゃねえって。ほれ」
息子「!?」
剣士「自分じゃ見えないけど、背中にデカイ刀傷があるし」
息子「……」
剣士「あ、前も見るか? 腹に浅い刺し傷で右胸の辺りに」
息子「やめろ」

371 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 22:40:44 ID:5fuv2eZ6
剣士「あ、お前グロいの無理?」
息子「そういうことにしておけ……早く服を着ろ」
剣士「へいへーい」
息子「……何故、そのような傷を負った」
剣士「そりゃまあ、最初から強かったわけじゃねえしな」


剣士「色々運が良くて生き延びて、気付いたらこんな風に生きてるってわけよ」
息子「難儀なことだな」
剣士「全くだ!」
息子「……そう言う割には、随分と嬉しそうだが」
剣士「ある程度現状に満足していますし?」
息子「ほう」

372 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 23:27:41 ID:5fuv2eZ6
剣士「もうねー、死なない程度に生きればいいかなーっと」
息子「志が低すぎるぞ貴様」
剣士「いやだって。これはこれで良待遇かもしれんと思ってしまえば」
息子「まあ、一見するとな」
剣士「適当に言われたことやってりゃ、寝床は確保されてるし、お前とぐだぐだできるし」
息子「……言うことなしだと?」
剣士「おう」


剣士「まあ今後何命令されるか分かったもんじゃねえけどなー」
息子「……分かっているではないか」
剣士「最悪逃げるさ。お前もついてくるよな?」
息子「私だけ残っても仕方がないだろう」
剣士「だよなー相棒。一蓮托生だぜー」
息子「何故お前なんぞを捕まえてしまったのか……」


375 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/07(火) 23:44:03 ID:5fuv2eZ6
剣士「でも一応漠然とした人生設計ってか、夢みたいなもんはあるんだぜ?」
息子「一発鉱山でも当てるといった?」
剣士「何で博打なんだよ。そうじゃなくて、もっとこー……笑うなよ?」
息子「保障は出来ぬ上、その前振りだと九割方失笑物だろうな」
剣士「ああうん。お前はそういう奴だよ!」
息子「いいから言え。どうせ酒が回っているんだ。羞恥も何もないだろう」
剣士「ちっ……何でこんなの捕まえちまったんだろう……」


剣士「いやまあ漠然とね、曖昧な感じに」
息子「何だ」
剣士「家族が出来たらいいなあ……って」
息子「……はあ」
剣士「やめろ! 真顔はやめろ! かえって傷付くわ!!」

376 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 00:26:01 ID:Fbu6ld22
剣士「あれだよ、温かい家庭ってやつに憧れてるんだよ」
息子「それにはまず……相手が必要でだな……」
剣士「うっせーバーカ! 優しく諭すな!! いいじゃねえか別に!」
息子「まあ、思考は自由だと思うのだが……お前が……ねえ」
剣士「こう見えて子供は好きなんだぞ!」
息子「いや、伴侶が」
剣士「うるっっせえええええ!!」


剣士「何だお前! 言いたいことがあるなら言え!」
息子「お前のような自由人に、苦楽を共にしてくれる伴侶が見つかるとは思えぬ」
剣士「はっきり言うな!!」
息子「注文の多い奴め……大体、私とこうしてぐだぐだやっているようでは、とんと出会いがないだろうに」
剣士「ぐっ……遂に憐れみの視線まで使いやがって……!」

377 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 00:44:27 ID:Fbu6ld22
剣士「そんなこと言うならお前! 誰か紹介しろよ!」
息子「……はあ?」
剣士「面倒臭そうに! 睨むな!!」
息子「生憎だが、貴様に知人を紹介するほど、私は人の心を棄ててはいないのでな」
剣士「血も涙もねえくせに!!」
息子「お前限定でな」
剣士「ぐぐぐ」


剣士「そう言うお前はどうなんだよ! 婚約者とかいたりするのか?」
息子「いや。特に決まった相手はいないが」
剣士「ほら見ろ同類」
息子「遊ぶ女に不自由した試しは無いな」
剣士「死に耐えろ宿敵!!」
息子「おっと。酒瓶を投げつけるとは、原始的な攻撃だな」

378 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 00:50:49 ID:Fbu6ld22
剣士「けっ! てめぇは出来るだけ無惨に死ね!!」
息子「生憎だがその予定は無いな」
剣士「うっせーバカ!! もう寝る!!」
息子「勝手にしろ」
剣士「くたばれ!!」
息子「無理だな」

バタン!

息子「…………」
息子「……はあ」


剣士「…………」
剣士「……はーあ」



息子「あいつ、死なぬものかな」
剣士「あいつ、死なねえかなあ」


384 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 23:16:24 ID:Fbu6ld22
次の日―

剣士「はーい、んじゃまあ今日はこんなもんで終わっとこうか」

「あ、ありがとうございました!」
「お疲れ様でした!」
「また明日からもよろしくお願いします!!」

剣士「へ……あ、ああうん……うん?」


息子「お疲れ」
剣士「何か昨日の今日で舎弟が増えた気分」
息子「良かったな」
剣士「ええー……何か怖いわ。昨日あんだけ引いた目をしてたのに」
息子「それはお前が……いや、いい」
剣士「何だよ言い切れよ」
息子「癪だ。絶対に言うものか」
剣士「意味分からん」

385 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 23:16:46 ID:Fbu6ld22
息子「しかしお前、まともに剣を教えることも出来たのだな」
剣士「そりゃまあね。昨日のはあれよ、物のはずみで」
息子「もう少し後先考えて生きろ」
剣士「無理な話だ。しかしねーどうしよっかなあ」
息子「?」
剣士「個人的に一対一での鍛錬を何人かから頼まれてんだよ」
息子「……ほう」


剣士「だるいから、出来るだけやりたくないんだけどねえ」
息子「そうだな」
剣士「お前どう思う?やっぱり立場もあるしやっとくべき?」
息子「……やめておけ。一度引き受けると、恐らくきりがない」
剣士「ですよねー」

386 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 23:17:01 ID:Fbu6ld22
剣士「おっと将軍さんだ」
息子「……」
剣士「どうもー」
将軍「お疲れ様です剣士様」
剣士「いやいや。これくらい軽いものっすよ」
将軍「ははは、そうですか」


剣士「あ、一応将軍さんにも言っとくけどさあ」
将軍「何でしょうか」
剣士「ちょっと一部の兵からさ、一対一の鍛錬申し込まれたりしてるんすよ」
将軍「……は、あ」
剣士「でもこちらとしたら出来たらやりたくないんすけど……どうっすかねえ」
将軍「構いませんよ。お受けせずとも」

387 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 23:17:29 ID:Fbu6ld22
将軍「むしろそのようなことに、お手を煩わせるわけには参りませんから」
剣士「え、そう? ありがとな!」
将軍「い、いえ……! 私の方からも皆に剣士殿を困らせることのないように、きつく言い聞かせておきますので……!」
剣士「いや……そんな畏まらんでもいいのに」
息子「はあ……」


剣士「そんじゃまあ、昼飯に行ってくるから」
将軍「……城で召し上がっては如何ですか?」
剣士「いやあ、いいものって食い慣れてねえもんでさ。なあ相棒」
息子「貴様と一緒にするな」
剣士「いで!?」
将軍「な」

388 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 23:17:51 ID:Fbu6ld22
将軍「ちょ……貴方は何を」
息子「躾だ躾」
剣士「てめぇ……気軽に人の頭殴るんじゃねえよ!」
息子「気にするな。行くぞ」
剣士「あ、待てっての勝手すぎんだろ! じゃあ将軍さん! またな!」
将軍「はあ」


街―

剣士「しかしお前、将軍さんのこと嫌いだよなあ」
息子「悪いか」
剣士「いんや。でも何でだろうなあとは思う」
息子「ああいう輩は問答無用で敵だ……む」
剣士「うん、お前も生きにくい生き方してるんだなあ……って、こらこらお前」
息子「ちっ……何だ」
剣士「人と喋ってる時に女に色目使ってんじゃねえよ」

389 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/08(水) 23:18:13 ID:Fbu6ld22
剣士「お前、今すれ違った姉ちゃんみたいなのが好みなの?」
息子「そういう訳ではない」
剣士「じゃあ何なんだよ。羞恥心なんて今更だろー」
息子「……服」
剣士「服ぅ?んな珍しいカッコしてたっけ」
息子「何、知っている女に似合いそうだなと思っただけだ」
剣士「へ、へえ?」


剣士「お前もそんな殊勝な人並みの思考をするんだねえ」
息子「喧しいわ。早く食う場所を決めるぞ」
剣士「へいへい。で、それってどんな女?」
息子「死ね」
剣士「うぉぉ……今までにない殺気……何だよ今の地雷か!?」
息子「ふん」

390 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 00:57:03 ID:gc69clR6
剣士「おお、ここの飯は当たりだな。代わりに覚えとけお前」
息子「また誰かに聞いた店か?」
剣士「おう。上手い飯食えるとこ教えてくれって、兵士の皆に聞いたんだ。色々穴場とか教えてくれて助かったぜ」
息子「……そうか」
剣士「何だよお前興味なさそうな顔してー」
息子「どう興味を沸かせと」


剣士「そいつらに飯食いに誘われたりもしたけど、連れがいるからって全部断ったんだぜ。感謝しろよ」
息子「ああ、まあ確かに。その心掛けは偉いと思うぞ」
剣士「えっ。お前が褒めるなんて気持ちわる」
息子「お前は目を離すとろくなことにはならぬものな。飼い主に従順なのは、良い事だ」
剣士「机の下で陰湿に足を踏んでくる飼い主なんて嫌だわ」

391 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 01:18:51 ID:gc69clR6
剣士「まあお前となら気使わなくていいもんなー」
息子「多少は気を使え。私の支払いだぞ」
剣士「つってもこの前の闘技場の賞金とか城からの給料で、金なら着実に貯まってきてるんだぞ。ここの支払い持つくらいなら余裕で」
息子「嫌だ」
剣士「何が」
息子「お前に養われるくらいなら、舌を噛んで死ぬ」
剣士「一体何がお前をそこまで追い詰めるんだ!?」


剣士「じゃあ、半永久的にお前のヒモをすることになるんだけど」
息子「縁の続く限りな」
剣士「お前あれだよなー」
息子「何だ」
剣士「バカだよな……」
息子「お前もな」

392 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 02:04:54 ID:gc69clR6
剣士「っしゃあ飯食ったー!」
息子「見れば分かる」
剣士「んじゃとりあえず城に戻りますかー。昼から仕事無いようなら、昼寝でもするかね」
息子「もう少し有意義に時間を使え」
剣士「うはは! そんな心掛け出来てたら、お前なんかに貴重な時間を割くわけねえだろ!」
息子「ははは……」
剣士「痛い痛いすねを狙うのはやめろ! すねは!!」


息子「まあいい。とっとと行くぞ」
剣士「へーい。因みに、お前は昼からどうするつもりなの?」
息子「読書をするか、剣でも振るう」
剣士「お前もあんまり変わんねえじゃねえか!!」
息子「自己鍛錬という崇高な物だ。お前と一緒にするな」
剣士「時間持て余してるって感じがぷんぷんするけどなあ……」

393 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 02:14:59 ID:gc69clR6
城─

剣士「あ、将軍さん」
将軍「お帰りなさいませ、剣士殿。おや、あのお連れ殿は」
剣士「あいつなら部屋。とりあえずは本でも読むんだってさー」
将軍「そうですか」
剣士「おっといい笑顔だー」
将軍「何か?」
剣士「いえいえ」


剣士「で、何か仕事ありますかね? 無いなら無いで昼寝でもするんだけど」
将軍「うーん……特にはありませんね。残念ながら……」
剣士「あ、本当? じゃあ遠慮なく」
将軍「私はありませんが……一応姫様にも伺いに参りましょうか」
剣士「え」
将軍「剣士殿を雇ってらっしゃるのは姫様ですからね」
剣士「……へーい」

395 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 23:07:43 ID:gc2Oyjx6
姫の部屋─

姫「お仕事……ですか?」
剣士「何も無い? 何も無いよな!?」
姫「無い、と言えばどうなさいますの?」
剣士「んー、昼寝かあいつの部屋行ってぐだぐだするかな?」
将軍「その他に何も予定が無いのでしたら……」
剣士「え?」
姫「分かりましたわ。お仕事は特に、私の方からもありません」
剣士「マジすか。じゃあこれで」
姫「その代わり……」
剣士「え」


姫「どうぞ剣士様」
剣士「あ、こりゃどうも……はあ」
姫「如何でしょう?」
剣士「いやまあ。うまいですけど」
姫「良かったですわ」
剣士「うーん」

396 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 23:12:36 ID:gc2Oyjx6
剣士「何で姫さんの部屋で茶を飲むことに?」
姫「あら、私も公務が一息ついたところで」
剣士「暇潰しに、と」
姫「構いませんでしょう? 剣士様もお暇なんですし」
剣士「まあ、美味い菓子が食えるのはありがたいけどね」
姫「どうぞ遠慮なく召し上がって下さいね」
剣士「言われなくても!」


姫「ところで剣士様。城中、剣士様の噂でもちきりのようですわよ」
剣士「そりゃそうでしょうよ。一国の主がどこの骨とも分かんねーようなゴロツキを雇い入れちゃったんだから」
姫「いえ、剣士様のその強さと、人柄に惹かれる者が多いようで」
剣士「ドン“引かれる”?」
姫「“引きつけられる”ですわ」

397 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 23:48:41 ID:gc2Oyjx6
剣士「うはは、面白い冗談っすね。相棒が聞いたら鼻で笑うなあ……」
姫「私が聞いたのはメイド達の話ですが……皆剣士様を気にかけておりましたわよ? いい意味で」
剣士「何なの、それどういう感じに。詳しく」
姫「気さくな方だとか、重い荷を代わりに持って頂いたとか。大体そんな良い印象を皆持っているようですわねえ」
剣士「えええ……日も浅いんだし、普通良く分かんねえもんだろうに。他には何かあった?」
姫「まあ、後は…………」


息子の部屋─

息子「はあ……」
息子「ふむ。人間の書物も、中々の暇潰しにはなるのだな」
息子「しかし読み終わってしまえば……暇だ」
息子「仕方ない。あいつで暇を潰すか」
息子「言葉の通りであれば今頃寝ているだろうし……さてと何で殴り起こしてやろうか」

398 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 23:55:01 ID:cCYX10o2
息子と剣士ラブラブwww支援

399 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/09(木) 23:58:59 ID:gc2Oyjx6
コンコン

息子「おい」

コンコン

息子「私だ。入ってもいいか?」

コンコン

息子「寝ているのか?」
息子「よし……なら良いな。良いよな。入るぞ……む?」


息子「何だ、この手紙の束は……」
息子「扉の下に、山と……気付かず踏むところだった」
息子「借金の督促状か何かだろうか。ふむ一つ」
息子「…………」
息子「…………」
息子「よし。殺そう」

401 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 00:07:11 ID:mQA8hHcA
姫の部屋─

剣士「えー、そりゃねえよ」
姫「まあ。御謙遜を」
剣士「だって今までそんな浮いた話、全然縁が無かったんだもんよー」
姫「それはきっと、剣士様が気付いていなかっただけのことですわ」
剣士「そんなもんかねえ」
姫「そのようなものです。だから剣士様、どうか」


ドンドンガチャッ

息子「失礼する」
剣士「お、またこのパターンでっっぎゃああああ!?」
息子「死ね」
姫「あらまあ」
剣士「な、な、な!? 何でいきなり斬りかかってきやがるんだ!?」

402 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 00:18:55 ID:mQA8hHcA
息子「お前が恵まれるなど、どう考えたところで決して許されないことだ」
剣士「いつどうやって恵まれた!? あ! 午後のひと時を美人と一緒できるっつーこれか!?」
姫「まあ……剣士様ったらお上手なんですから」
剣士「えー、マジだって。姫さんレベルの美人って今まで見たことねえもん」
姫「ふふ……そう仰られると、途端に嘘っぽくなりますわよ」
剣士「おっとー、女性の口説き方はまだまだってことかあ」
息子「よし分かった死ね」
剣士「だから! さっきからお前は何なんだ!?」


剣士「いきなり出て来て何キレてやがるんだ! 何かやったか!?」
息子「これを見ろ。全てお前宛だ」
剣士「ああ? 手紙ぃ?」
姫「あら、まあ」
剣士「何々……うへあ」
息子「分かったか。つまり死ね」
剣士「事情は把握したが理由が分からん!」


404 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 00:32:05 ID:mQA8hHcA
剣士「こ、こ、こ……恋文貰ったからって相棒のお前に何かデメリットでもあるのか!?」
息子「ある」
剣士「どういう」
息子「だから……お前に幸せなど……ただ単に腹立たしい! 精神的に害がある!!」
剣士「とんだ我が儘だった!! ってちょ、返せ!」
息子「ふん。このようなもの……!」
剣士「あー!?」
姫「あら」


姫「魔法を使うとのことでしたねえ。そういえば」
息子「まあな。これくらい朝飯前だ」
剣士「は、は、灰ぃぃいいいいいい!?」
息子「紙は燃やせば灰になるだろう。何を驚いているんだお前は」
剣士「お前の奇行にキレてんだよボケが!!」

405 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 00:38:15 ID:mQA8hHcA
剣士「折角! 春が来るかもしれなかったのに! なんてことしてくれたんだお前は!!」
息子「待て待て。それはお前の勘違いだ」
剣士「何がだ! 一応申し開きを聞いてやろうか!」
息子「お前のような社会不適合者に……異性とまともな付き合いが出来るわけがないだろう」
剣士「優しく諭してんじゃねえよ性格破綻根暗!! ぶっ殺す!!」
姫「まあまあ剣士様」


姫「お連れ様も決して悪意があってのことではないでしょうし」
剣士「あんた今何を見てたんだ!?」
姫「一部始終をこの目でしかと……ふふ」
剣士「やだもうこの人……適当なことばっかり言うんだから……」
姫「でも、先程のお話、信じて頂けましたでしょう? 城で剣士様は評判だって」
剣士「い……いやまあ……そうかも知れねえけど」
息子「ほう……?」

406 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 00:45:34 ID:mQA8hHcA
息子「貴様、私を差し置き幸福を手に入れようと言うのか……? これはもうますます生かしてはおけんな」
剣士「殺気立つな! キモいわ!!」
姫「仲がよろしいのですわねえ」
剣士「勘弁してくれ!!」
姫「ふふ」


姫「でも……案外、剣士様の春はもっと身近な所に転がっているかもしれませんわよ」
剣士「へ? それどういう意味?」
姫「い、嫌ですわね……そのようなことを、乙女の口から直接言わせる気ですの……?」
剣士「はい? 何であんた照れて」
息子「行くぞ!!」
剣士「え、ちょ、お前どこに!?」
姫「はい。御機嫌ようー」


姫「……本当に……まどろっこしい方ですわねえ」

407 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 01:00:21 ID:mQA8hHcA
数日後─

剣士「ふーい。今日の鍛錬終了ー」
息子「馬鹿の一つ覚えのように、同じ鍛錬だけを兵にさせているな」
剣士「こういうのは基礎が大事なんだよ。いざって時があれば」
息子「お前が出る、と」
剣士「そーそー。あと将軍さんも、お前もいるしね。大概のことには対処できるわ」
息子「ま、そういうことにしておくか」


剣士「さーて、今日の飯はどこで食おうかね」
息子「勧められたものの、まだ回っていない飯屋はないのか?」
剣士「ありすぎて困ってんだよ。お前何か食いたいものある?」
息子「酒」
剣士「昼間っから! うはは! たまにはいいかもねえ!」

408 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 01:00:34 ID:mQA8hHcA
剣士「しっかしこの生活にも慣れて来たなあ」
息子「全くな」
剣士「相変わらず、仕事っつったら兵の鍛錬とたまーの見回りと姫さんの相手とか」
息子「……平和なものだな」
剣士「お前は相変わらず将軍さんと仲悪いし」
息子「当たり前だろう」
剣士「え、そんな溝深いの? 何があったんだほんと」


剣士「まあいっか。いい暮らしさせてもらってるよ本当」
息子「気楽でいいしな。ここに来たのは、正解だったかもしれんな」
剣士「正解だろー。平和な暮らしに美味い飯、そんでもって気の合う相棒」
息子「……はあ」
剣士「うわあい安定の気の無い返事!」

409 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 01:03:19 ID:mQA8hHcA
剣士「でもなあ……お前の事は相棒とか、いっそもう親友だと思ってんだよね」
息子「……そうか。良かったな」
剣士「お前はどう? この頼りがいのある相棒様の事は」
息子「飼育対象」
剣士「うはは! ぶっころー!!」


息子(しかしまあ……確かに良い暮らしかもしれんな。何に気兼ねすること無く続く怠惰な、変化に乏しい日々)
息子(『友』、か……)
息子(それはそれで、良いものかも知れぬな……)
息子(大本を忘れてしまえば、だが)
息子(……結論を出すにはまだ早い)
息子(時間はまだ、たっぷりあるんだ……きっと)

410 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 01:08:33 ID:mQA8hHcA
魔王城─

魔王「機は、熟さぬか」
魔王「ふむ」
魔王「そろそろ頃合いかも知れぬ……と」
魔王「分かるか? 一つはそのような理由だ」
魔王「そうか……ふ……はは」
魔王「では……よろしく、死んでくれ」


403 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 00:25:04 ID:9wRu1az.
初めてですが、ファンになりました


411 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 01:09:16 ID:mQA8hHcA
>>403
ありがとうございます!とりあえずこんな感じに頑張ります!


412 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 01:47:01 ID:J7UYFcSQ
親父(現魔王)の暗躍が始まる・・・? いいぞもっとやれ 紫煙


414 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 02:15:20 ID:jpZLi3d.
>>403

そうか、初めてか。
このスレは主とみんなにおれの股間をしごいてもらうスレだ。
最近ではペンチも使ってもらえるようになった。
正直、嬉しい。


疲れたら遠慮しないでしごいていいんだからな。
試演


415 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 02:37:02 ID:J7UYFcSQ
>>414
ばかやろう 夜中だってのに画面にビール吹いたじゃねえかwww


417 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 23:44:43 ID:mQA8hHcA
股間スレになったりオナ禁スレになったり…えっちなのはいけないんですよ皆さん!><


418 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 23:44:58 ID:mQA8hHcA
さらに数日後─

息子「おい」
剣士「お、丁度良かった。これから朝の鍛錬だけどお前も」
息子「私はパスだ」
剣士「え? 何で?」
息子「用事がある」
剣士「ええー……?」


剣士「お前が外に用事? また調べものとかか?」
息子「いや、人に会いに行く」
剣士「まさか……女じゃねえだろうな!?」
息子「そうだと言ったら?」
剣士「紹介しろ!」
息子「するわけがないだろう」

419 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/10(金) 23:49:50 ID:mQA8hHcA
息子「それと悪いが男だ。紹介もできん」
剣士「へー、お前にも他に人付き合いの当てがあったとはねえ」
息子「ははは。貴様には言われたくない言葉だな」
剣士「我ながらそりゃ全くだと思うわ。遠くに行くのか? いつぞや言ってた友人?」
息子「ああ。今日は戻らぬかもしれぬ」
剣士「わーったよ。まあお前は仕事って特にねえだろうし。こっちから将軍さんとかに言っておいてやるよ」
息子「では、頼んだ」


剣士「その代わりと言っちゃなんだが……」
息子「む?」
剣士「土産期待してるぜ!」
息子「分かった」
剣士「何、だと……!?」

420 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 00:00:03 ID:3I2Rr41w
息子「なに、お前には過ぎた用途の無い崇高な物を敢えて渡し、うろたえるお前を見てみたいだけだ」
剣士「何その手間暇財力掛った嫌がらせ」
息子「ふはは。期待していろ。惨めなお前の姿が目に浮かぶようだ」
剣士「お……おう……期待しておいてやるわ」
息子「では何だその目は」
剣士「いや……可哀想だなあって思って……」


剣士「んじゃまあ行ってらっしゃーい」
息子「ああ。せいぜい大人しくしていろよ」
剣士「わーってるって。どうせやることなんか何もねえだろうし」
息子「まあな。では、行ってくる」
剣士「へいへい。気ぃ付けろよー」

421 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 00:31:39 ID:3I2Rr41w
魔王城─

息子「よう」
魔物「……よう」
息子「すまんな。しばらく四六時中あれに拘束されていて、外に出るタイミングを図っていた」
魔物「そうかよ。相変わらず良いご身分だねえ」
息子「お前も似たようなものだろう。相変わらず暇そうにしておって」
魔物「……けっ」


息子「しかし、今日はどうしたんだ?」
魔物「ああ?」
息子「城が静かだ。いつもなら、もっと魔物を見かけるはずだろう」
魔物「そりゃあね……今日は必要最低限以外は、皆出払ってるからさ」
息子「……何かあったのか?」
魔物「いんや。何も起こっちゃいねえさ」

422 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 00:40:18 ID:3I2Rr41w
魔物「まだ何も無い。平和なものだよ」
息子「何だ。今日はお前、やけに勢いがないな」
魔物「そりゃあね。こんな日に気力が出るほど、俺は馬鹿でも薄情でもないんだ」
息子「一体何が……」
魔物「戦争さ」
息子「……はあ?」


息子「何を言っているんだ。誰が、誰と戦争をすると」
魔物「魔王様が、人間全体を相手取ってさ」
息子「……どういうことだ」
魔物「知らねえよ。俺はお前のお付きだってことで、この案には深く噛ませてもらえなかった。ありがたい話さ」
息子「い、一体何が……」

423 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 00:55:13 ID:3I2Rr41w
魔物「そろそろ昼だな」
息子「あ、ああ」
魔物「じゃあもう始まってるはずだ」
息子「……戦争が、か?」
魔物「戦争ってか一方的な蹂躙だって話だなあ。適当な所に攻め入って、とりあえず殺しまくるの」
息子「……」


魔物「で、頃合い見て戻って来るんだとよ。魔王様御自身も、わざわざどこぞに出るって話だ」
息子「……止めることは」
魔物「無理だな」
息子「そうか……まあ、近々こうなるだろうとは、ある程度予想していたのだがな……」
魔物「へえ」
息子「……ちょっと待て」

424 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 01:03:38 ID:3I2Rr41w
息子「お前……どこを攻めるなどと、具体的な場所は聞いていないのか?」
魔物「ああ?」
息子「あいつが……私とあの人間が滞在している街は」
魔物「そりゃもう、お前。そこが一番のポイントなんだぜ?」
息子「どういう意味だ」


魔物「お前の計画? あれを主軸に戦争起こすって話さ」
息子「……」
魔物「お前はあの人間を救世主か何かに仕立て上げたいんだろ? それなら、直接的な危機って演出があれば完璧だろ」
息子「父上が……そう仰ったのか」
魔物「いんや。俺の勘。でもそんなところだと思うぜ?」
息子「そう……だな」

425 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 01:09:30 ID:hJI3CUoM
>>417が良い事いった!
反省しる >>414

426 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 01:26:28 ID:3I2Rr41w
息子「と、言うことは……あの街には何の被害も無いのだな?」
魔物「ああ? お前何聞いてたんだ」
息子「あいつを祭り上げるんだろう? ならば、万が一その戦争に巻き込まれてあいつが死ねば……全て泡と消えてしまう」
魔物「そうだなあ。全くその通りだわ」
息子「ならばあの街を襲ってはならんだろうが」
魔物「んなわけねえじゃん」


魔物「他が壊滅的な被害を受けている中で、あの人間がいる街だけ割かし無事……ってことになったらどうなるよ?」
息子「……そうだな」
魔物「な? これで分かったろ。今頃お前の人間、奮闘してるんじゃねえのかな」
息子「ならば、これで戻ろう。あいつなら大概の魔物であれば斬り棄ててしまえるからな。私は魔物のフォローに」
魔物「そのつもりなら……やめとけ」
息子「む?」

427 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 01:39:12 ID:3I2Rr41w
城─

剣士「ああん……? 慌てて駆けつけて来てみりゃ……何だこりゃ」
竜「……」
剣士「てめぇは……あの時の竜じゃねえか」
竜「……」
剣士「何でこんな所に。あのチビはどうした」
竜「……」
剣士「だんまりか……まあいいさ。相手になってやる。なんなきゃいけねえようだしな」


将軍「け、剣士殿……!」
剣士「ここは任せてくれ。あんたはそこに転がってる奴らを助けてやってくれ。まだ息がある奴もいるはずだ」
将軍「しかし! お一人では危険です!」
剣士「平気平気。多分な」
将軍「剣士殿!!」

428 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 01:46:32 ID:3I2Rr41w
剣士「なるべく斬りたくはねえけども……仕方ないのかもな」
竜「……」
剣士「因みにお前が怖気づいて逃げられたって仕方がねえ。こちとら羽なんて持っていないんでね」
竜「……」
剣士「おおっと何だよ本気か? よく分かんねえけど面倒だな……ったく。こんな時に限ってあいつは留守とかねえ」
竜「……」
剣士「まあいい……とりあえずは全力で……いかせてもらう!!」


息子「どういうことだ」
魔物「この前言ったろ? お前を頼って竜の親子が城に来たって」
息子「ああ」
魔物「その親竜、よりにもよってあの人間と会ってるんだってな」
息子「それがどうした。お前だってあいつと一戦やりあっただろう」
魔物「俺はお前のお付き。だが、あの竜は何でもない。ただの一魔物に過ぎない」
息子「……まさか」

429 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 01:57:58 ID:3I2Rr41w
剣士(ああ? 何だこいつ……)
剣士(攻撃は派手だけど読みやすいパターンばっかだし)
剣士(いまいち殺気ってもんが伝わって来ねえし)
剣士(本当に殺る気あんのか? 顔を知ってるからって、手加減してくれてるわきゃねえし……でも)
剣士(長く続くと……流石に体力が持たねえかもしんねえな)
剣士(早く……早く逃げちまってくれよ……子供はどうした子供はよ!)
剣士(くそっ……やっぱり斬りたく)


剣士「な!?」


ザンッ──……

430 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:05:18 ID:3I2Rr41w
息子「まさか……わざと」
魔物「そう。わざと殺されて来いって、命令が出てるんだぜ」
息子「そんな馬鹿な! あいつには子供が」
魔物「ああ、あのちっちゃいの。魔王様が質にって取ってんだよ」
息子「……」
魔物「『子供の命が惜しくば死ね』。全く、お前の親父は無茶振りが得意だねえ」
息子「貴様……!!」


息子「貴様はそれでいいのか! それが真実なのであれば、あの竜はお前の代わりに死ぬも同然ではないか!!」
魔物「いいわけねえだろ。俺が代わってやりたいのは山々だったよ」
息子「ならば何故そのように鷹揚に構えていられるんだ!!」
魔物「仕方ない事だろ」
息子「な」

431 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:14:47 ID:3I2Rr41w
魔物「俺が魔王様に盾突いたところで、何の解決にもならない。それどころか無駄死にだ」
息子「……誰も、反対はしなかったのか」
魔物「出来るわけがないだろう。俺ら魔物の主は魔王様だ。それは絶対に揺るがない」
息子「……」
魔物「お前が思っている以上にな、この病は根強いんだぜ?」


魔物「それでもお前がどうにかするって言うんなら、何だって俺は協力するよ。どうせもう使い切った命だ」
息子「……私に、どうしろと言うのだ」
魔物「さあね。だが一つだけ言えるさ」
息子「……何だ」
魔物「お前がしなきゃなんねえことを見つけるんだな。次の魔王様」
息子「……」

432 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:23:37 ID:3I2Rr41w
剣士「何なんだよ……」
剣士「何だったんだよ……」
将軍「剣士殿……」
剣士「畜生。畜生。胸糞悪い……畜生!」
将軍「剣士殿!」
剣士「え、あ……将軍さん」


将軍「お怪我はありませんでしたか」
剣士「あ……ああ。それよりどうだった……?」
将軍「何名かはどうにか持ちこたえましたが……十余名の兵士が犠牲となりました」
剣士「そう……か。ありがとう……」
将軍「剣士殿、どちらに」
剣士「わりぃ。本当なら後片付けとかしなきゃなんねえんだろうけど……ちょっと休ませてもらうわ」
将軍「は……はい。お気になさらず」

433 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:28:05 ID:3I2Rr41w
将軍「その……剣士殿」
剣士「ん?」
将軍「あそこまで……竜を仕留めてしまわれるほどに、強かったのですね」
剣士「……そういうことに、しといてくれや」
将軍「ありがとうございました。剣士殿……」
剣士「……じゃあな」


剣士「……クソ」
剣士「クソが!! 何だってぇんだよ!!」
剣士「あいつが自分から殺されるためだけに突っ込んできやがったこと……他の奴はまるで分かっちゃいねえ!」
剣士「クソ…………気色悪い……何なんだこの感じ……」
剣士「何でだよ……何で今……お前がいねえんだよ」
剣士「…………勘違いだとか何だとか言って……馬鹿にしてくれよ……」
剣士「クソ!!」

434 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:31:46 ID:3I2Rr41w
夜─

魔王「ほう」
息子「……」
魔王「丁度良い時期に戻ってきていたのだな」
息子「……ご苦労様、でした」
魔王「あの魔物から聞いたのか? ああ。別に苦労などしてはおらぬ」


魔王「私は単に顔を見せただけだな。直接的な破壊は、他の物にやらせた」
息子「珍しい事もあったものですね」
魔王「ふはは……何しろ、私が直々に手を下すべき人間は他におるようだしな」
息子「……」
魔王「ふ……何か言いたいことでもあるようだな」

435 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:45:13 ID:3I2Rr41w
魔王「お前が何を厭うているかくらい、私には分かるぞ」
息子「……」
魔王「お前は魔物達の死が耐えられない。そうだろう?」
息子「……恐れ多くも……その通りで御座います」
魔王「そして、私にはそれが分からぬ」


魔王「魔物など……手下の命など。その辺りに数多く転がっておるではないか」
息子「だからと言って! 無益に散って良い命など」
魔王「益? 奴らが益を産むとでも?」
息子「……」
魔王「お前は何かを取り違えている。しかも根本的に」

436 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:46:10 ID:3I2Rr41w
魔王「いいか、私の子よ。この世はな、私だけで出来ているのだ」
息子「己……だけ」
魔王「そうとも。己だけ。私だけだ。それ以外など、到底意味など持ち得ぬのだ」
息子「……」
魔王「そしてそこに意味や理由、益を与えるのは私だ。それがこの世の真理。そうだろう?」


魔王「奴らは何も生まない。与えない。詰まる所。私がそれらを見出してやらないのであれば、命も無と同じ」
息子「あの竜は……どうだと言うのですか」
魔王「あいつはよくやってくれた。まあ、お前の計画に良き華を添えることになっただろう?」
息子「……あれの子供はどこです」
魔王「地下だったか。武器庫であったか。さあな、どこに仕舞ったか。気になるようであれば勝手に探せ。もう用は無い」
息子「……」

437 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:50:20 ID:3I2Rr41w
魔王「話はそれだけか」
息子「最後に一つ……」
魔王「何だ」
息子「私も、貴方にとっては無であるのですか」
魔王「さあな。お前はその例外になるのか、はたまた通例通りで終わってしまうのか」
息子「……失礼します」
魔王「ああ。待て」


魔王「お前の言っていた人間」
息子「は」
魔王「それを愉快に殺す舞台を、私の満足が行くように整えたのであれば……しばらくは、全てお前の好きにしてやろう」
息子「…………」
魔王「動くなと言うのであれば私は動かぬ。どうだ? こう言えば、お前は一層魔物のためとやらで、動く気になるのではないか?」
息子「失礼します……!」

438 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 02:55:11 ID:3I2Rr41w
魔王城・どこか─

息子「良かった……」
息子「お前は……どうにか生きていたんだな」
息子「何も食べていないのか。待っていろ。何か持ってきてやる」
息子「お前の親は……ああ……そうか」
息子「分かっているんだな……ああ。そうだ……」


息子「……」
息子「……すまない」
息子「すまない……」
息子「すまない……すまん!」
息子「私が……私が引き合せてしまったばかりに……」
息子「安心しろ……お前は絶対に、私が守る……」

439 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 03:02:49 ID:3I2Rr41w
息子(私は……私はどうするべきなんだ……)
息子(もう嫌だ。このような世界、もう嫌だ)
息子(ならばどうする)
息子(何をすればいい。何が出来る。何を……)
息子(分からない)
息子(分かるはずが…………ない)


息子(あいつを殺せば……どうにかなるのか)
息子(あいつは勝手な奴で……酷く癖が強くて……)
息子(その癖腹立たしくも私を……私の事を……友……などと!!)


剣士『でもなあ……お前の事は相棒とか、いっそもう親友だと思ってんだよね』
息子『……そうか。良かったな』
剣士『お前はどう? この頼りがいのある相棒様の事は』
息子『飼育対象』
剣士『うはは! ぶっころー!!』

440 :みんなの暇つぶしさん:2010/09/11(土) 03:03:12 ID:3I2Rr41w
息子(私は……私は…………!)
息子「あいつのことを……」
息子「友、などと…………思った試しは、一度も無い」
息子「ああ……そうだ」
息子「思えるはずが……なかったんだ」


息子「……やろう」
息子「私の守るべき物……私が捨てるべき物……」
息子「整理はついた」
息子「覚悟もできた」
息子「終わらせる」
息子「……私の手で、全て終わらせる」
息子「悪く思うなよ……これも全て……」
息子「私に流れる、“血”が悪い」
息子「く……くく……」





魔王「どうか、***」【完】へつづく

このSSの作者さんの過去作品一覧


転載元
魔王「どうか、***」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12874/1262700852/


 
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