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このSSの作者さんの過去作品一覧



 
183 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 02:21:28 ID:Ee1SoRQY
剣士「おいおい、何だったんだよ今の応援」
息子「知るか」
剣士「変な奴だなー。いや、変じゃないとお前じゃないか」
息子「そうか良かったな。それより急ぐぞ。今日一日で出来るだけ距離を稼ぎたい」
剣士「え、ちょ、待てよ!馬の扱いまだ慣れてねえんだって!置いてくな畜生!」


息子(……)
息子(おかしな人間だったな……何だあの質問に加えて最後の言葉は)
息子(面倒な……こいつを相手にしているよりも面倒な……)
息子(……まあ、一先ずこの問題は忘れることにして)
息子(竜……か。あの辺りには、一体どのような種族が棲んでいるのやら)
息子(まあ、何であれ構わん。先日と同じように、芝居を打ってもらえばいいだけだ)
息子(こいつの名声のため。丁度いい『障害』ではないか)


187 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/13(金) 01:14:16 ID:9kF4v8G.
息子「……」
剣士「……なーなー」
息子「……何だ」
剣士「沈黙が気まずいからそろそろ飯にしたいんだけど」
息子「まだ日もそれほど高くない。我慢しろ」
剣士「断固として拒否する!朝早かったら腹が減るのも早いのは道理だろ!」
息子「お前は育ち盛りの子供か」
剣士「若いんだから仕方ねえだろ。年寄にゃ無縁な悩みっだたああああ!?」
息子「ちっ……慣れぬ馬上でよくかわしたものだな」
剣士「あっぶねえなテメエ!殺す気か!!」
息子「当然だ!」
剣士「えっ……ああうん、そうか」


息子「若さに溢れる私を捕まえて、何が年寄りだ何が」
剣士「でも、そんだけキレるってことは自覚あるんじゃねーの。年寄り臭いって」
息子「どこがだ」
剣士「いや、なんか全体的に覇気が無いじゃんお前」
息子「喧しいぞ躁病」
剣士「まーまーそんな暗い顔すんなよ、その内良い事あるさ!第一お前さっき美人といい感じだったじゃねーか!よっ果報者!」
息子「……」
剣士「あれ?何か違ったか?」

188 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/13(金) 01:14:29 ID:9kF4v8G.
剣士「お前あの姉ちゃんと何喋ってたんだよー、相棒を除け者にしてくれちゃってまあ」
息子「何を勘違いしているかは知らんが、彼女が気にしていたのは……そうだな、お前のことだな」
剣士「え?どういうこと?」
息子「お前が一人物かどうかを気にしていた。ということだ」
剣士「え!?」


剣士「えっ、ちょ、マジかよ畜生……何て勿体無い事を……」
息子「とはいえお前に気があるという訳でもなさそうだったがな」
剣士「じゃあ何なんだよ、ぬか喜びさせんじゃねーよ……何ならお前が誰か紹介しろよ畜生!」
息子「誰でも良いのかお前は。あまりに浮いた話に縁が無さ過ぎて、来るもの拒まずとはなあ」
剣士「そりゃもう愛をくれるならもう誰でもいいかな!」
息子「虚しい奴め」
剣士「若いから仕方ないんだ!」
息子「良かったな、他に誰もいなくて」

189 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/13(金) 01:14:42 ID:9kF4v8G.
息子「はあ……お前の相手をしていると疲れる。少し休むか」
剣士「やったね飯だー!」
息子「分かった。分かったから騒ぐな。はあ……」
剣士(……やっぱりジジイじゃねえか)
息子「だが、貴様の飯は無しだ」
剣士「何で分かるんだよ!」
息子「悟られたくなければ、その無残な面をどうにかするがいい」


剣士「あー、青空の下で食う飯は格別だなー」
息子「そうだな」
剣士「そっけないなー。何だよお前、自然を愛する心が無いのか」
息子「野宿になるやもしれんと言うのに、呑気に自然など愛でていられるものか」
剣士「う……まあ確かにそうだけどよー……ご馳走さま」
息子「……どこに行く」
剣士「さっきデカイ湖があっただろー?水浴びでもして来ようかと思って」
息子「……本当に野生に帰る気かお前は」

190 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/13(金) 01:14:54 ID:9kF4v8G.
剣士「折角なんだしいいじゃねえか。あ、お前も一緒にどう?」
息子「……はっ」
剣士「うわあ心底ウゼえって顔が心底傷付くわあ……いいぜ!お前がそのつもりなら!一人ですっきりさっぱりして来てやるもんな!」
息子「勝手にしろ。ただ、くれぐれも遅くなるな。今度こそ捨て置くぞ」
剣士「へいへーい。行ってきやーす」


息子「はあ……全く緊張感の無い奴め」
息子「殺す気が失せる、という程でもないが」
息子「どうも調子が狂う。面倒な……はあ……」
息子「おい」
息子「……どうした。そこにいるんだろう。私に気付かれぬとでも思ったか」
息子「出て来ないのか……?ならばこちらから」

ガサガサッ

息子「……む」
息子「うむ……」
息子「竜か……」

191 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/13(金) 01:25:20 ID:9kF4v8G.
息子「これはまあ……何と言うか、予想外と言うか……」
息子「お前が人間共を襲っていたのか?」
息子「いやしかしそれにしても……」
剣士「何やってんだお前」
息子「!?」


息子「何故戻って来た!?」
剣士「いやー、体拭くものとか忘れてさあ。ってかお前さ」
息子「な、何だ」
剣士「何か後ろにあるのか? 必死に隠してるみたいだけど、顔に出てるからな」
息子「何もいるわけがな……ってこら貴様!やめろ!」
剣士「う……」
息子「だからやめ」
剣士「何こいつううう!!」
息子「くっ」

192 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/13(金) 01:48:56 ID:9kF4v8G.
剣士「うっわーすっげ!竜なんて初めて見た!」
息子「こらやめろ!怯えているだろう!放せ!」
剣士「えー……いいじゃんちょっとくらい……。ってかあくまでそっちの心配なんだな。相棒じゃなくて」
息子「お前とその竜、どちらが守るべき存在だ?」
剣士「まーうん、否定は出来ねえわ。いでで、必死に人の腕噛んじゃって!でも許す!何故ならちびっこトカゲが可愛いから!」
息子「お、おい……流石にその辺でやめておけ。そろそろ止血すべきだ……」
剣士「うはは!堅い事言うなよ!」
息子「いいから早くそいつを放して腕を出せ……」


剣士「しっかしお前、こんな可愛いのどうしたんだよ」
息子「急に飛び出して来ただけだ」
剣士「こいつが人を襲ってるって竜かねえ?」
息子「無理があるだろう。噂の竜は、恐らくこいつの仲間だろう」
剣士「ってことは……こいつ、はぐれちまったのかな?」
息子「そのようだな」


195 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/16(月) 00:31:07 ID:Fy.iWn8Q


息子(さて……どうしたものか)
息子(こいつに隠れ、夜の間に竜と話を付けておきたかったのだが)
息子(先に出会うとは……しかも話も出来ぬような子供に)
息子(まあ、予期せぬ戦いは避けられたようで何よりだが……)
息子(子供とは言え魔物に対し、こうまで無防備なのは実力への過信か単なる馬鹿か。確かに頭は悪いが)
息子(とりあえず、何か理由をつけてこいつを引き離すか。子供の情操教育には、確実に悪いだろうし)


剣士「よーし。んじゃまあ行くか!」
息子「ほう、もう発つのか?丁度良かった。私もそれを提案しようとして」
剣士「いや、こいつの仲間探してやるかなーと思って」
息子「……は?」
剣士「迷子を放っておけるかよ!なっ!一緒に探してやろうぜ!」
息子「……これは、魔物だぞ?単なる野生動物とは、一線を」
剣士「細かい事はこの際いいじゃねえか。どうせ暇なんだし」
息子「お、お前は……いや……」

196 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/16(月) 00:31:22 ID:Fy.iWn8Q
息子「……一体何を考えている。お前は先日魔物と殺し合いをしたばかりだろう。だと言うのに、魔物に手を貸すような真似など、やめておけ」
剣士「えー?あんなのただの弱い物イジメじゃん。気にしない気にしない」
息子「……人に、害を及ぼす魔物だぞ?」
剣士「おーっと、それ言われると困るんだけどな。この前の山の魔物と違って、今回は襲ってるのがこいつの仲間って決まったわけじゃないしな」


息子「怖気づいたのか貴様。あの魔物を弱者呼ばわりするお前にとって、竜を倒すことなど簡単なものだろう。疑わしきはとっとと潰せ」
剣士「いやまあそれが一番安全だろうけど……こんなちび殺すのも、ちびの仲間殺すのも目覚めが悪いじゃん?」
息子「……情など捨てろ。お前がここで竜を倒せば、数多くの人間が命を落とさずに済むかもしれんのだぞ」
剣士「いやまあそうだよ。そうだけどさ。話合ってどっか人里離れた所に行ってもらうとかあるだろ?」
息子「あるわけがないだろう」
剣士「や、やってみなけりゃ分からねえって」

197 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/16(月) 00:31:37 ID:Fy.iWn8Q
剣士「何か急に機嫌悪くなったなあ。どうしたんだお前」
息子「同行者が予想以上の馬鹿で言葉も無い」
剣士「お前喋ってるじゃーん」
息子「黙れ」
剣士「ま、お前が嫌だって言うなら一人で探して来るよ。竜に襲われたって穏便に逃げ延びる自信はあるしな」
息子「…………だろうな」
剣士「そういうことだから!今更止めたって無駄だぜ!」
息子「だろうな」
剣士「では早速こいつを連れてちょっくらうろうろ山狩り」
息子「待て待て早まるな野良剣士」


剣士「何だよ陰険若年寄り!」
息子「よし、後で殴る。一所に置いておかねば、そいつの仲間が困るだろう」
剣士「あ、そっか……じゃあどうしよ」
息子「……ここに置いて行け。お前は山を駆け回り竜を探し、囮となってここまで連れてくればいいだろう」
剣士「なるほど!お前たまにはいいこと言うな!……ってか了承したってこと?」
息子「まあ、放置するよりはマシかと思ってな」
剣士「流石は相棒!んじゃまあこいつよろしく!苛めるんじゃねえぞ!」
息子「少なくとも、お前よりは扱いを心得て……もう消えたか。何だあの生き物は」


202 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:49:40 ID:KV/PnPEk
息子「しかし『囮』には何の異論もなしか……人が良い馬鹿も大概にしろと……」
息子「……ああ、分かっている。分かっているから、服を引っ張るな」
息子「人の言葉はまだ操れぬようだが……私はお前の言葉くらい分かっている」
息子「私が誰だか分かるか?うむ、『仲間』ではあるのだが……」
息子「…………ああ」


息子「あの人間か……変わり種だろう」
息子「悪意は無いんだ。許してやってくれないか。その方が面倒が無い」
息子「……は?」
息子「断じて、無い。何を言い出すかと思えば……下らん事を……」
息子「まあいい……仲間の所に連れて行ってやる。話もしたいのでな」

203 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:49:56 ID:KV/PnPEk
息子「……この辺りか?そうか」
息子「何だ、少し遠出しただけだったのか。私達が騒ぐまでも無かったということだな」
息子「……いや、私達ではなく、『あの馬鹿』が……だな」
息子「分かった分かった。この洞窟だな。入ろうか」
息子「あれに気取られる前に、用件を済まさねばならぬことだし……」


洞窟─

竜「……何者だ」
息子「ほう。隻眼とは、中々迫力のある竜だな」
竜「!?」
息子「ああ、お前は分かるのか。私が何者か」
竜「何故……お世継ぎ殿がこのような場所に……」
息子「いや何、たまたま通りかかっただけだ。そう畏まらずとも良い」
竜「……どうか」
息子「む?」

204 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:50:09 ID:KV/PnPEk
竜「どうか……子供の命だけは……お願いします」
息子「……何を勘違いしているか、容易に理解できて嫌になるな」
竜「魔王様が何をお考えかは存じ上げておりませんが、どうか……どうか」
息子「安心しろ。単にそこで出会い、連れて来てやっただけのことだ。ほら、行け。ちび」
竜「…………ああ」


息子「私は父上からの命令も受けてはおらぬし、お前達に危害を加えるつもりもない」
竜「で、では本当に何も……」
息子「当然だ。第一、同胞を虐げて何が楽しいか」
竜「……お父上は、異なるようですが」
息子「あの方と私は違う。考えてもみろ、あのような方がもう一人いて、世界がこうして続いているはずもなかろう」
竜「……確かに、そうですね」
息子「だろう?」

205 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:50:33 ID:KV/PnPEk
息子「それより、この辺りで人間が竜に襲われているという話を聞いたのだが。お前たちか?」
竜「この辺りには、私達の他に竜など暮らしておりませぬ」
息子「そうだろうな。気配が無い」
竜「それが、何か?」
息子「今、少し面倒な計画を練っていてな。少々協力してもらいたいことがある」
竜「私などでよろしければ、何なりと」
息子「ふむ」


息子「実はな、私は身分を偽り、とある人間と旅をしている」
竜「物好きなことで……」
息子「言うな。そして率直に言う。これから私が連れてくる人間と戦い、負けてもらいたい」
竜「……何、と?」
息子「いや、奇異に聞こえるかも知れぬが、これには理由が」
竜「お世継ぎ殿」

206 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:50:47 ID:KV/PnPEk
息子「……何だ」
竜「私のこの目は、人間の手によって潰されました」
息子「……」
竜「竜の子は、人の世で何らかの価値があるとか。そのためこの子を狙う人間が、ごく稀に現れますので」
息子「ふむ……そうして戦った結果がその目、というわけか」
竜「まあ、愚かな人間共は残らず私の腹の中に収まりましたが」
息子「だろうな」


息子「お前ほどの竜に敵う人間など、ごく少数だろうよ」
竜「僭越ながら……そのような人間など、あり得ないと思いますが」
息子「まあ……そうだな。そのはずだ」
竜「そのため、お世継ぎ殿。私は人間共を憎んでおります」
息子「だから、私には協力できない……嘘でも負ける気は無いと?」
竜「私は子供のため、どのような理由があろうと強剛な母でおらねばなりませぬので」
息子「……そうか。分かった。先程の話は忘れてくれ」
竜「感謝します」

207 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:51:03 ID:KV/PnPEk
息子「しかしお前、私によくそのような口が利けるものだな。何の間違いだか、あの方の子だぞ、私は」
竜「貴方は魔王様ではありませんし、実権を握ってはおりません。遠慮はそれほどいらないかと」
息子「親しみが持てるという意味で取っておく」
竜「それにお世継ぎ殿は私の子を保護し、わざわざここまでお連れ下さるような、お優しい方でございますし」
息子「いや……保護はしたが……仲間を探そうと提案したのは」


剣士「うっわー!」
息子「なっ…………!?」
竜「……」

208 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:51:19 ID:KV/PnPEk
剣士「すっげー竜だ!初めて見たぜすっげー!でっけー!かっけー!」
息子「お、おい貴様!」
剣士「あ、何だよお前ああ言ってたくせに、先に仲間を見つけてやるなんて!やっぱりツンデレだな!」
息子「……いいから、黙れ」


息子(手短に言う!こいつには私の正体を明かさぬように……!)
竜(お世継ぎ殿がそう仰るのであれば、従いましょう。しかし)
息子(何だ)
竜(この人間が、早く私の目の前から消えなければ……食わぬ保障はありませぬ)
息子(くっ……血気盛んであるのは魔物として正しい姿だが……面倒な!!)

209 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:51:37 ID:KV/PnPEk
剣士「おお!良かったなーちび!もう迷子になるんじゃねーぞ!」
息子「おい、用は済んだんだ。竜を刺激しないように早くここを……だから不用意に近付くな!」
剣士「そんでもって、そこのでかいの!これだけ言いに来た!」
竜「……」
剣士「子供から目を離すんじゃねえぞ!悪い人間だっているんだから、きちんと見とけよ!分かったな!」
竜「……」
息子「だから……クソ……」


剣士「あ、でも人間の言葉分かんねえのかな?どうしよ」
竜「……そこな人間よ」
剣士「へ?」
竜「では、貴様は『悪い人間』ではないと、言いたげだな」
剣士「喋れるのか!便利だな!」
息子「……それで済ませるな。会話を続ける努力をしろ。もしくは逃げろ」
剣士「何で?別に恐くねーし」

210 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 00:52:19 ID:KV/PnPEk
剣士「あと、何かあっても負ける気しねえしな」
竜「ほう……?」
息子「こっ……この馬鹿者!刺激するなと!」
剣士「大体お前が無事ってことは、さっきから平和に喋ってたんだろ?仲良くなってるってんなら早く言えよなー」
息子「…………」
剣士「え、何でそんな項垂れてんだ。大丈夫かお前」


竜「くっくっく……威勢の良い人間よ。人に、善悪など無いだろう。総じて等しく我ら魔物の餌でしかない」
剣士「まあ、大概はそうなんだろうけど。ん、っつーことは人を襲ってるってのは」
竜「我のことだろうな」
剣士「ふーん」
息子(マズイ……どのタイミングでどう連れ出すか、だな……)

211 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 01:08:44 ID:KV/PnPEk
息子(最悪こいつを殴り倒して……)
竜「何か言いたい事があるようだな。貴様ら人間とて、害なす敵を排除しようとするだろう? 我がやっているのは、それと同じことだ」
剣士「あ? んなこたどーだっていいんだよ」
竜「ほう」
剣士「どーせあれだろ、そのチビ狙って人間が来るってんだろ?」
竜「……貴様もその類か」
剣士「ちっげーよ。高く売れるってのは聞いたことがあったからな」


剣士「住処がバレて人間が来るってのに、なんでここを動かねえんだ? とっとと逃げた方が楽じゃねえの?」
竜「何故、我が人間などを恐れる必要がある」
剣士「ふうん」
竜「何より、我が子に無様な姿を見せられるものか。我は子のため、背を向けるわけにはいかぬのだ」


213 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 01:27:47 ID:KV/PnPEk

息子「おい、そろそろ行」
剣士「やっぱり分かんねえなあ」
息子「聞けと言うに!」
竜「……何がだ、人間」
剣士「守るもんがあるなら、何をどうやってもそれを守れよ。手段なんか選んでねえでさ」


竜「……守るとも。この我が」
剣士「ははは、あんな眼と鼻の先でも目が行き届いてないってのに。さっきもしチビが出くわしたのが、お前の言うところの餌になるような人間だったとしたらどうしたってんだよ」
竜「どこにいようと匂いで辿れる。必ず取り返してみせるさ」
剣士「もしその人間が、大勢仲間率いていたらどうする?でっけー国の王族かなんかの手に渡っちまえば、余計に面倒な事になるぜ」
竜「それでも……」
剣士「あと、竜ってのは長寿の妙薬になるとか何とかってのも聞くし。無事に取り戻せる保障なんて」

214 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 01:36:29 ID:KV/PnPEk
剣士「う……ぉっと。あっぶねーな。話し合いの最中に、いきなり何すんだ……」
竜「……」
息子「くっ……だから挑発するなと!馬鹿者が!!」
剣士「えー……まあ、大丈夫大丈夫。見ての通り、ちっと腕をかすっただけだから」
息子「竜の爪が掠ったんだぞ! 先程の子供とは違」
剣士「舐めてりゃ治るだろ……これくらい」
息子「そんなわけがあるか!!」
剣士「あーうん、止血は頼むわー」


竜「貴様……剣は抜かぬのか」
剣士「ま、ちょっと言い過ぎたみたいだし。お相子じゃね?」
竜「私は、貴様を殺す気だった」
剣士「うはは、残念でしたー……って、なんかふらふらすんな……そんな血は流してないはずなんだけどなあ」
竜「……私の爪は、毒を持っている」
剣士「おお、なるほ……ど」
息子「き、貴様ら何を気楽に言葉を交わしておるか……!!」

215 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 01:48:17 ID:KV/PnPEk
剣士「あー、もう駄目……ちょっと寝るわ。治療は任せた」
息子「だから貴様は嫌なんだ……!」
剣士「まーま……せいぜい背負って逃げてくれや。お前なら出来るって。んで、そこのでかいの……これだけ言っとく」
竜「……何だ」
剣士「体面とか、下らねえもんとは言わねえよ? 生きてく上で、失くしちゃなんねえもんだとは思うよ? でもよ、優先順位ってものがあるだろうよ」
竜「……」


剣士「人間なんて、集まると疲れる生き物敵に回すな。お互い面倒なことにならないためにも、せいぜいそっちは勝手に、どっか静かな所で楽に楽しく生きてくれ。それがちびのためだと思うのよ」
竜「……勝手な話だな。それを我が聞き入れるとでも、思っているのか?」
剣士「あ、やっぱり? だよねー……あはは、まあいいか。もー無理、おやすみ相棒……」
息子「お、おい!」

216 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 01:59:33 ID:KV/PnPEk
息子「気を失ったか……何がしたいんだ、こいつは。本当に」
竜「どうなさる、おつもりで」
息子「仕方ないだろう。治療してやる。まだ生きていてもらわねばならないからな」
竜「……申し訳御座いません」
息子「お前が悪い訳ではない。こいつが好き勝手に、ぺらぺら喋るから悪い。全ての原因はこいつだ」
竜「くく……」


竜「おかしな人間ですね」
息子「頭がな」
竜「……貴方様はその人間を、最後にはどうなさるおつもりですか」
息子「いつか、機を見て、死んでもらう」
竜「……」
息子「何だ、その目は」
竜「いえ……お世継ぎ殿はその……何でもありませぬ」
息子「変な奴だな。まあいい。では失礼する」
竜「はい。またいらして下さいませ」
息子「ああ。また、いつかな」

217 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 02:06:34 ID:KV/PnPEk
息子「さてと……馬を置いた場所まで戻らねば」
息子(毒はあいつに取り除いてもらったが……)
息子(怪我自体はな……どうしようもない)
息子(人間を治す魔法など、学んでおるわけがないだろうが)
息子(それを当てにし、気軽に倒れたのだろうか。無茶をせぬよう、言って聞かせておくべきだな……ただ)
息子「こいつを背負い慣れてしまったことが……虚しい」


夜中─

剣士「ん……あー、おはよー」
息子「……気がついたか」
剣士「おーう……っていてて、何だよ、起きたら魔法でぱーっと治ってるもんだと思ってたのに……」
息子「やはり私の魔法を当てにしていたか。言っておくが、私は回復魔法の類は全く使えぬからな」
剣士「うっわマジかよ使えねえ……んでもちゃんと助けて逃げてくれたんだな、褒め……いっでー!」
息子「上から物を言える立場か貴様は」
剣士「弱った怪我人を虐げるなんて……やっぱりお前ろくでもねえ」
息子「それだけ口が回れば大丈夫だな」

218 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 21:15:29 ID:KV/PnPEk
息子「一月もあれば治るはずだ。その……痕は残るだろうがな」
剣士「それならまあいいや。利き腕じゃなかっただけマシかな」
息子「……もっと賢く生きれば負わずに済んだ怪我だろうに」
剣士「いやだってさ、ああいうの見るとお節介妬きたくなるんだよねー」
息子「いやお前……相手は選べ」
剣士「ですよねー」


剣士「あ、あいつ何か言ってた?どっかに移るとか」
息子「何も」
剣士「そっかー。なら仕方ないかな」
息子「どうするつもりだ」
剣士「ん?放っておくに決まってんじゃねえか」
息子「……」


220 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 21:29:00 ID:KV/PnPEk


息子「ならば……今後も被害者が増え続けるぞ」
剣士「まあ、食われんのはあいつらに危害加えようなんてこと考える馬鹿だけだろうし。自業自得さ」
息子「同胞だぞ、いいのか」
剣士「まあ目覚めはちっとばかし悪いかもしんねーけど、好きにすりゃいいだろうよ」
息子「分からんな」


息子「貴様は一体何がしたいんだ。最早何もかもが分からぬわ」
剣士「んー、そうだなあ……お前、家族っている?」
息子「…………一応な」
剣士「そっか。そりゃ良かったよ」
息子「……貴様はどうなんだ」
剣士「勿論いねーよ。何年か前に皆死んじまった」
息子「……戦争か?」
剣士「そうそう」
息子「難儀な話だな」
剣士「そうなんだよ。難儀な話だ。ってか故郷じゃこの剣の腕前は有名でさあ。あの頃は引っ張りだこで、あちこち駆り出されたもんよ」

221 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 21:29:58 ID:KV/PnPEk
剣士「そりゃもう何百何千っていう敵を斬ったよ?そうすりゃいつか故郷が平和になる。皆幸せに生きていける。そう信じてたのにさ、結局頑張り虚しく国はボロ敗けで、帰ってみりゃ家どころか町すらねえって、ありゃどういうことだよ」
息子「私に聞くな」
剣士「あはは、そうだよな。聞いた話じゃ、国王が白旗を挙げるちっとばかり前に攻められて皆殺しにされたんだって。その後ご丁寧にも火をつけられて、家族の遺体も見つからなかった。全くタイミングがわりぃったらありゃしねえ」
息子「……よく、平然と喋っていられるな」
剣士「辛いよ?でももうどうしようもねえことだ」


剣士「親父もお袋も、まだちっせー妹も死んじまった。形見なんか、もう何も残っちゃいねえ」
息子「……」
剣士「しかも戦況芳しくない中でも尚、大活躍を続ける英雄様の故郷だからって狙われたんだとよ。つまり原因はこの」
息子「やめておけ。今更だ」
剣士「……そうだな」

222 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 21:45:51 ID:KV/PnPEk
剣士「家族も故郷も無くなって、挙句戦犯だか何だかって処刑されかけてよ。命からがら逃げ出して来たって寸法さ」
息子「だから……国に仕えることを嫌っていたのか」
剣士「当然。もうああいうのだけはマジ勘弁だわ。んでも身を立てる手段は剣しか知らねえもんだから、ちっとでも有名になれば楽になるんだろうけど、あんまり有名になり過ぎると何か面倒かもなーってぐだぐだ今に至るってわけ」
息子「……」
剣士「っつーわけで、ああいう危うい癖に幸せそうな家族とか見るとついつい踏み込んで余計なこと言いたくなっちまうんだよねえ。お前らその幸せ守るのは案外難しいもんなんだぞ!って」
息子「……本物の、馬鹿だな」
剣士「うはは、バカやってねえとこんなの生きてけねえよ」


剣士「で、お前のとこはどうなの。家族生きてんだろ?」
息子「父が……まあ、生きてはいるが」
剣士「あからさまに嫌な顔すんじゃねえよ。関係上手くいってねえの?」
息子「……それすら分からんな」
剣士「何それ」

223 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/24(火) 23:47:52 ID:KV/PnPEk
息子「父は……そうだな、とある大きな組織のトップで」
剣士「うわあなんかそれ怖い……」
息子「ああ、あまり詮索はするな。それで父はその……うん、言うなれば暴君といった感じで……下の者どころか、私も意見が出来ず、好き勝手になさっているのだ……」
剣士「嫌味なしでお前がそんなきっつい顔するとか、よっぽどの父ちゃんなんだな……。つまりは、お前はそれが嫌でこんなとこまで逃げて来たと」
息子「逃げて来たわけではない。実益を兼ねた暇潰しだ」
剣士「ま、そういうことにしておいてやるよ」


息子「何にしろ、その内私がその後を継がねばらなぬ。あの方が徹底的に荒らし尽くした後にその座に放り込まれると思えば、気も滅入るわ」
剣士「家族がいるのは羨ましいっちゃ羨ましいが、なんとも面倒だねえ」
息子「全くだ。私はただ穏やかに何もせず、毎日ただひたすらに過ごせていればそれだけで満足だというのに」
剣士「おおう駄目人間がいる。知ってたけど。ま、ゆっくり今の猶予を楽しめよ」
息子「言われずとも。だがな……腐るのはもう飽きた。後で楽が出来るよう、今出来る事を、やっていこうと思っている」
剣士「ん、お前何かでっけーことでもやんの?」
息子「いや……気にするな。今は言えぬ」
剣士「そっかそっか。じゃあ何とは聞かねえが、頑張れよ。応援するぜ」
息子「…………ああ」

224 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/25(水) 00:18:38 ID:vBa2K29k
剣士「あーあー、喋ったら疲れた。もうちょっと寝るわ」
息子「そうだな。私もそろそろ寝る」
剣士「おう。お休み相棒。明日も面倒掛けるが、よろしくなー」
息子「度が過ぎれば、絶対に捨て置くからな……お休み」


息子(…………)
息子(…………いや)
息子(ありえない。あるわけが、無い)
息子(こいつを操り、魔物の世を平和に導く)
息子(それだけを……考えよう)


228 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/27(金) 23:59:18 ID:ApN5wYrc
朝―

剣士「ふぁー……寝起きで馬に乗るってのはやっぱキツイなあ……」
息子「……怪我を負いながらの野宿だったというのに、随分安らかに眠っていたな」
剣士「慣れてるから!」
息子「……そうか」
剣士「うはは、何だよお前は朝から残念な面だなあ!」
息子「お前は朝から癪に障る面だな」


息子「まあいい……早く行くぞ」
剣士「へーい。今日も元気出して程良く生きようぜ」
息子「深刻な身の上を踏まえた上で、か?」
剣士「おっと生きる気力が萎えるとかは禁句だぜ。生きてりゃ良い事あるもんだ」
息子「良い事……か。本当に手に入るのか、そのような不確かなものは」

229 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/27(金) 23:59:55 ID:ApN5wYrc
剣士「そうだなあ。例えば、金持ちボンボンの腰巾着兼ヒモになれたりとか」
息子「まあ、私も最近ストレスの捌け口を見つけたわけだが……」
剣士「ふはは甘いな!お前が発散する以上のストレスを与えてやるまでよ!」
息子「有り余るその気力を、お前はもっと他のことに使えば良いものを」
剣士「えー、真面目に力割り振って生きるのって面倒じゃん」
息子「それは言えているがな」


剣士「ま、生きてりゃ良い事はなくても、楽しい事くらいはあるもんだぜ」
息子「そういうものか」
剣士「おうよ。何たって今の旅、すっげー楽しいだろ?」
息子「このような野宿が楽しい……のか? まあお前のような野生の生き物はかえって落ち着くのやも知れぬが」
剣士「ちっげーよ。気の合う誰かと一緒にうろうろぐだぐだするってのは、良いもんだってことだ」

230 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 00:00:57 ID:aBTs7RyU
剣士「最初はカモにしか思ってなかったけど、今じゃ結構お前のこと気に入ってるんだぜー。せいぜい光栄に思えよな!」
息子「悪いが私にそのような趣味はない」
剣士「こっちだって願い下げだボケ」
息子「ふむ……こういうことが、『気が合う』というものなのだろうか」
剣士「多分そうなんじゃねー」


息子「まあ私にこうまで遠慮なく口を利く者は少ないため、珍妙であるとは思っているが」
剣士「お前の家かなり複雑そうだもんなあ。うんうん、孤独な人生を送っていたお前にもようやく唯一無二の相棒が」
息子「つい先日、お前とは全く別口で、罵り合える友人らしきものが出来たのだが」
剣士「ずるい!!」
息子「何がだ」

231 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 00:01:29 ID:aBTs7RyU
剣士「よーし分かった。お前そいつ紹介しろ。んでもって三人揃ってバカやろうぜ、そしたら平和だ!さあさあ!」
息子「そいつはかなりの遠方に住んでいるため、生憎それは叶わんな」
剣士「くっ……あーあ……友達欲しいなあ」
息子「……切実だな」


剣士「だってよー故郷は昨日言った通りだし、こっちに来てから仲良くなれた奴ってあんまりいないしさあ」
息子「ずっと一人旅を続けていたのか?」
剣士「いんにゃ、たまに同行者はいたんだけど」
息子「長続きしなかったと」
剣士「そうなんだよなあ。一緒にいると何かと気を使われるし、身の上話すると引かれるしで……難しいもんだよ本当」
息子「お前に気を使う必要性が、私には全く分からぬのだが」
剣士「あーやっぱお前楽でいいわ本当」

232 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 00:01:43 ID:aBTs7RyU
剣士「まあ今後ともよろしくな、相棒!」
息子「分かった分かった……お」
剣士「お、おー。あそこだな? 目的地って。でっけー城だなあ」
息子「そのようだな。目で確認できる位置まで、ようやく辿り着いたか」
剣士「昼には着くかな? ふー、一日ぶりにまともな飯が食えるなー。名物何だろ、お前知ってる?」
息子「その辺の草でも食っていろ」
剣士「相棒は今日も辛辣に元気だ……」


昼前─

剣士「着いたー!」
息子「喧しい。そのようなこと、見れば分かるだろう」
剣士「けっ! お前は旅の情緒ってものを理解する心を持つべきようだな!」
息子「逃亡中の罪人が、そのようなものを持っていても構わぬのか?」
剣士「罪人じゃないですー英雄が裏返って世紀の人斬りになっただけですー」
息子「罪人以上ではないか……む」
剣士「何だ、どうした」

233 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 00:02:51 ID:aBTs7RyU
息子「あそこだ。ほら、あそこ」
剣士「……単に見張りの衛兵がいるだけだろ? 何か問題でもあるのか?」
息子「お前は問題無いのか」
剣士「え? あ、ああ。手配はされてるらしいよ? んでも手配書が似てないみたいでさ、全然気付かれないの」
息子「ほう」


息子「一度見てみたいものだな。その手配書とやら」
剣士「まあ遠くの国が何年か前に出した手配書だし、こっちにゃそんな広まってねえだろうなあ」
息子「お前は持っていないのか?記念に」
剣士「何の記念だ何の。持ってねえよ」
息子「そうか。残念だな」
剣士「ま、そういうことだから。堂々と入ろうぜ、堂々とな」
息子「強調するな。余計不審者に見えるぞ」
剣士「余計ってお前本当のことを無遠慮に……まあいい行くぞ!」

234 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 00:20:58 ID:aBTs7RyU
剣士「っでさー、昼飯の話なんだけど」
息子「適当に目に着いた所でいいだろう」
剣士「えー! ちょっと評判の店を調査してからでも遅くはねえだろ!?」
息子「長期滞在になるんだ。その間にゆっくり探せばいいだろう」
剣士「そっかー……そうだよなあ」
息子「納得したか」
剣士「どうせ何もかもお前の金なんだしな!!」
息子「…………」


剣士「そうと決まったら早速飯! 早く行こうぜー!」
息子「……もう少し声を落とせ。目立っている」
剣士「なぁに気にすんなって。どうせ」
衛兵「そこの旅人二人、止まれ」
剣士「…………リーダー何か呼ばれてますよ」
息子「都合のよい時ばかり盾にするでないわ」

235 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 01:29:30 ID:aBTs7RyU
息子「まあいい。お前を表に立たせたところで、話がややこしくなるだけだな」
剣士「よろしくー……」
息子「せいぜい大人しくしていろ……何か用だろうか」
衛兵「剣を所持しているようだが、心得のある者達だろうか?」
息子「いや、私は魔法の方を得意としていて」
衛兵「では後ろの…………貴方は」
剣士「あ、ははは……シロートでーす。護身用でーす」
衛兵「でしょうね」
息子「……」


衛兵「では、ここに名前を」
剣士「へ……?!」
息子「む……」
衛兵「武器を持った旅人はチェックすることになっている。当面の宿泊先も、決定次第知らせてもらいたい」
息子「分かった……これで、二人分だ。宿は今夜決める」
衛兵「……確かに。では、くれぐれもお気を付けて」
息子「ああ」
剣士「……どーもー」

236 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 01:29:51 ID:aBTs7RyU
剣士「いやー……ありがとな、咄嗟に偽名書いてくれて」
息子「私も面倒事は御免だからな。用心するに越したことはない」
剣士「そうだよなあ。よし、こうなったらちょっとは大人しめに観光してのんびしと」
息子「いや待て。何しにここに来た」
剣士「え、暇だから?」
息子「違う。お前の名を売りに来たのだろうが」
剣士「えー……お前あの話聞いてもまだ言うか」


剣士「ん? でも待て、ここではさっきの紙に書いた名前で通せるんだよな」
息子「そういうことだ。元の名はとりあえず、しばらく忘れておけ」
剣士「おー、なるほど偽名ねえ。そうすりゃある程度は心おきなく仕事できるかもなあ。金が入るね」
息子「……金が無いと嘆いておきながら、なぜこの手を思い付かなかったのだ」
剣士「いやだって。あの名前親がくれた形見みたいなもんだから」
息子「……」

237 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 01:39:33 ID:aBTs7RyU
剣士「まー、たまにはいいかな。折角だし、お前の付けた名前を使ってやるよ」
息子「まあ、せいぜい元の名前と混同しないことだな」
剣士「おーう。さてと話もまとまったことだし、飯にすっか」
息子「ふん……『餌を食わせて下さい』、だろう」
剣士「お願いしますご主人様! 哀れな愛玩動物にどうか餌を御与えくだ」
息子「やめろ! 騒ぐな! 大声を出すな! 下手に注目を集めるな!!」
剣士「お前……」


料理屋─

剣士「で……手近な所に入ったはいいが」
息子「……外れだな」
剣士「くっ……やっぱりこう大きな街だと綿密な調査が必須だったんだ……!」
息子「何故そうも情熱を燃やす……まあ、こういう店が続くと、心が荒む予感はするが」
剣士「なーなー。今夜の飯は旨い所探そうぜー」
息子「……では、その調査はお前に任せる」
剣士「へ?」

238 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/28(土) 01:42:34 ID:aBTs7RyU
剣士「お前は?」
息子「私は少々別の調べ物だ。宿に荷物を置いたら、すぐに出ていく」
剣士「えー、何何。手伝ってやろうか?」
息子「お前について来られると、永遠に片付かなさそうなので、遠慮しておく」
剣士「おおう真顔とは。じゃあこの前みたく、また別行動ってわけだ」
息子「そういうことになるな」


息子「そして……小金を渡しておく。くれぐれも、知らない人間の誘いには乗るなよ」
剣士「お前は親か。へいへい。わーってますよ」
息子「それと、まだ目立つなよ。大人しく観光でもしていろ」
剣士「へーい……おお、これだけありゃ結構な店が冷やかせる」
息子「まあ、せいぜい店の選別に役立て。ヒモニート」
剣士「了解!」
息子「最早呼称に疑問は無しか」


240 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 01:53:49 ID:cNQBgmQc
宿─

息子「よし……馬も預けて荷も下ろした。しばらくはここに滞在しよう」
剣士「はーい異論はないけど質問ー」
息子「何だ」
剣士「別に同じ部屋でも気にしないんだぜ?」
息子「私が気にする。お前と同室なんぞ、気の休まる時が無いだろうが」
剣士「お前って案外変なとこ頑なだよなー」


息子「ちっ……では、行ってくる」
剣士「へいへーい。夕飯までには帰って来るんだぞー」
息子「お前は私の親か。くれぐれも大人しくしていろよ」
剣士「親か! 気を付けてなー!」
息子「余計なお世話だ」

241 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 01:54:25 ID:cNQBgmQc
剣士「へっへっへー……」
剣士「何かいい感じじゃね? 今までの中で一番って言うかさ」
剣士「うんうん。あいつも自分のこと喋ってくれたし……悪くないねえ、こういうの」
剣士「よーし!」
剣士「あいつに美味いもん食わしてやるため、ちょっくら徘徊頑張るか!」


一時間後─

剣士「…………嘘だろおい」
剣士「腹を空かせたガキはいいとしよう。お使いの最中に財布を落としたどっかのメイドもいいとしよう。あの爺ちゃんもいいし、それを言うならさっきのおっちゃんだって」
剣士「でも……何だって困ってる奴らに遭遇しまくるんだよ……」
剣士「くっそー……軍資金は残り僅かだ……評判聞いて回るだけならタダだが、実際舌で確かめるのが一番だし……」
剣士「うー……今から日雇いの仕事探すのは面倒だし」
剣士「…………おお?」

242 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 01:54:45 ID:cNQBgmQc
剣士「なんかすっげー人だかりだな」
剣士「ああ? 闘技場ねえ……こりゃ賭博の匂いがプンプンするな」
剣士「…………仕方ねえ。いっちょ勝負に出るか」
剣士「べっ、別に人の金でやるギャンブルって心がときめくよねって訳じゃないんだからねっ!」
剣士「……ツッコミいねえとやりづれえ」


剣士「おー、近くで見るとやっぱでっけーな」
剣士「こりゃ絶対賭け事関連だね。でなきゃこうまでデカく出来るかよ」
剣士「さーてと、どこで券買えるのかなー」
剣士「……ってかどこから入るんだろ」

243 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 01:55:00 ID:cNQBgmQc
剣士「えーっとえーっとうーん……あ、すんませーん」
?「は…………はい?」
剣士「ちょっといいっすか?」
?「……何、でしょうか」
剣士「博打ってどこで受け付けてます?」
?「……は?」


?「博打?」
剣士「いやー、こんだけ広いんだしやってるんでしょ?」
?「……ここは、博打場などではありません」
剣士「へ?」
?「己の腕を試すためにと戦士や魔法使いが集う、れっきとした闘技場です」
剣士「……マジです?」
?「はい。賭け事の類は一切禁止されております」

244 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 01:55:12 ID:cNQBgmQc
?「国が経営しておりましてね。兵のスカウトなどに役立てておりますよ」
剣士「はー……なるほどね。ありがと。しかし残念だなあ……一発勝負に、と思ったのに」
?「……それほど金子に困っていらっしゃるのですか?」
剣士「いや、ちょっと一時的にね。あ、因みにもう一つ聞きたいんだけど」
?「はい」
剣士「この闘技場って飛び入り自由?」
?「は、はい? 一応、どなたでも参加できますが……」


剣士「じゃあさ……これは結構重要な質問なんだけど……勝ち上がったら賞金出る?」
?「ランダムに十人勝ちぬきで……この程度の額が」
剣士「参加料は!?」
?「これ程」
剣士「っっしゃあ払える! ギリギリ払えるぞー!!」

245 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 02:03:44 ID:cNQBgmQc
?「あはは……お連れの方でも参加させるおつもりで?」
剣士「いや、連れは今いないんだ。自分でばーっと出てぱーっと勝ってこようかと」
?「はあ貴方が……貴方が!?」
剣士「あはは。言いたいことは分かるけど、これでも剣は心得てるんでね」
?「いやしかし」
剣士「あ、申し込みはあっちかな? ありがとなー親切な兄ちゃん!」
?「…………」


?「まさか……な」


249 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 23:58:29 ID:cNQBgmQc
魔王城―

息子「おい、入るぞ」
魔物「ぶっ!?」
息子「何だ、思った以上に暇そうだな。良いご身分だ」
魔物「お前にだけは言われたくはねえぞ! あとノックくらいしろってんだこのボケが!」
息子「ああ……忘れていた……忘れさせられたと言うか」
魔物「ごちゃごちゃ分からんことを……」


息子「第一突然の訪問くらいで、別に困ることもないだろうに」
魔物「女連れ込んでよろしくやってる時にすっげー困る」
息子「ますます良いご身分で」
魔物「お前もそんなもんなんだろうが。城出て好き勝手。大義名分翳しつつ女なんて食い放題なんだろ畜生」
息子「言い掛かりにも程がある」
魔物「けっ、本当かねえ……」

250 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 23:59:20 ID:cNQBgmQc
魔物「でもまあ、そろそろ帰って来るんじゃないかと思ってたよ」
息子「?」
魔物「用件はあれだろ?竜共だろ?」
息子「は?」
魔物「ああ? しらばっくれるんじゃねえ。お前に住処を世話するって言われたってのが昨日来たんだ」
息子「……」


魔物「ったく……こちとら城に来たばかりだってのに、お前絡みの案件だからって厄介事を押し付けられて……」
息子「で、どうしたんだ?」
魔物「静かな所が良いって言うから、今調査中。本決まりまでは城に住んでもらってる。会っていくか?」
息子「……いや、構わん。是非とも良くしてやってくれ」
魔物「わーってるよ。仲間だしな」

251 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/29(日) 23:59:34 ID:cNQBgmQc
魔物「で、そっちはどうなんだよ」
息子「特に進展はないが……少し頼みがあって来た」
魔物「面倒なことじゃなけりゃ、何でもいいぜ」
息子「それは何でも、とは言わぬのでは……まあいい。私と同行している、あの人間がいるだろう」
魔物「ああ? あいつか……それがどうかしたのか?」
息子「何、簡単な話だ。経歴を少し調べてもらいたい」
魔物「あーくそ面倒くせえ!」


息子「いや何、粗方は本人の口から聞いたのだが。裏が取りたくてな」
魔物「はー……お気に入りだねえ。ま、加担するって約束したし、やってやるよ」
息子「礼を言う」
魔物「じゃ、あいつの名前は?」
息子「名は×××、出身国は◆◆◆。容姿はあの通り。お尋ね物らしいので、その手配書でもあれば見てみたいな」
魔物「……あれで極悪人かよ、見かけによらねえもんだな」

252 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 00:17:55 ID:AX4/ZIzM
魔物「で、用はそれだけか。もう戻るのか?」
息子「いや……もうしばらく休んでいく」
魔物「何が“休む”だよ。万年休暇の癖しやがって」
息子「分からんのか……あれと一緒にいると、こう、気の休まる暇が無い」
魔物「被害者面出来る身分かてめぇ」
息子「こう言っては何だが、被害者だ。色んな意味で」
魔物「……ま、いいけどよ」


魔物「あの実力持ちだぜ? 何か目を離した隙に、面倒なことになるんじゃねえの」
息子「平気だろう。小金を持たせて、大人しくするように言ってある」
魔物「はー……あれが従順になるタマかねえ」
息子「……一度戦ったのみのお前に、あれの何が分かると言うのだ」
魔物「分かるさ。分かるとも」
息子「……まあいい。日が沈む頃までは、いる」
魔物「勝手にすればー? お前の城だし」
息子「まだ、私の物ではないよ」

253 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 00:35:29 ID:AX4/ZIzM
闘技場─

「おいおい……何だよありゃ」
「もうこれで五人目だぞ……化物か?」
「……何て名前だっけ?」
「ああ……確か」


男「くっ……そ!」
剣士「あーダメ駄目全くもってダメすぎるね!!」
男「ぐぁ!?」
剣士「太刀筋も足裁きも身体の捻りもまるでなってない! 動きを読むまでもなく避けれるね!」
男「な、な」
剣士「んだよもー……十人相手にすんのは結構時間ヤバ目かな?とか思っちゃってたけど、こんなの続くんなら余裕じゃーん」
男「な、何なんだよお前は!?
剣士「ああ?」

254 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 01:33:00 ID:AX4/ZIzM
男「お前みたいなヤツ、聞いた試しがねえぞ!?」
剣士「そりゃまー、無名ですし?」
男「この俺が……戦場で千もの人間を斬った俺がこんな奴にコケにされるなど……!」
剣士「うっわ何か恥ずかしい事言いだしたよー……引くわあ」
男「何だと!?」


剣士「人を斬るなんてなあ、それこそ刃物さえありゃその辺のガキにだって出来る事なんだよ」
剣士「なぁのーに。んなこと自慢気に言われてもへー暇なんだなとしかこちとら言いようがねえっての」
剣士「人斬りの数なんか数えちゃいねえ。負けた勝負の数だけは覚えちゃいるがな」
剣士「うははははー……何でかって?」
剣士「そっちの方がえらく数も少なくて……覚えておきやすいものでねえ!」

255 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 01:33:19 ID:AX4/ZIzM
宿─

息子「さてと……」
息子「丁度夕餉時だな」
息子「私の調べ物は適当に誤魔化すとして」
息子「まあ、あいつのことだ。下らない喧嘩の一つや二つ巻き込まれていることだろうが」
息子「その程度ならば妥協出来ないこともない」


宿主「おっと、あんたは確か……」
息子「む?」
宿主「あんた、あの人のお連れさんだったよな? あの金髪の」
息子「あ……ああ。それが、どうかしただろうか?」
宿主「いやいや。世の中凄い人がいたもんだなあって」
息子「は?」
宿主「そんな謙遜すんなって。ま、上手くやるんだな!」
息子「は……はは、は?」

256 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 01:34:05 ID:AX4/ZIzM
宿・息子の部屋─

息子「おい……」
剣士「……よーっす」
息子「何故お前が、こちらの部屋にいる」
剣士「えっと……話は長くなんだけどさー……とりあえず、それ」
息子「……何だこの札束は、ああ? 何だ貴様は本格的にお尋ね者になり下がりたいということか?」
剣士「あははお前そうやって凄むとチンピラみたいだぞ。落ち付け。な。剣も収めよう。平和にいこうぜ平和に」


剣士「えーっと実はな。この街にゃでっけー闘技場があってだな」
息子「博打か?」
剣士「いや、十人勝ちぬいたら賞金が出るんだって言われて」
息子「…………参加、したな?」
剣士「ああ!」
息子「勝ちおったな……?」
剣士「あったりめえだろ! あんな弱いヤツら十人まとめてかかって来たって余裕でって冗談じゃないけど冗談です」
息子「貴様は私をお尋ね者にでもしたいのか? 殺し等の罪で」
剣士「……勘弁でーっす」

257 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 01:43:26 ID:AX4/ZIzM
息子「……大人しくしていろと言ったはずだろう?」
剣士「いやだってさー……こう、血が滾って?」
息子「まあいい……その程度であれば、別に構うまい。十人勝ちぬく奴など、それほど珍しくも」
剣士「ぎくっ」
息子「よしお前、洗いざらい全て吐いてもらおうか」


剣士「いや十人抜きよりな……なんか色々教えてくれた親切な兄ちゃんがさ」
息子「ああ」
剣士「十人勝ち抜いた後に来てさ……人気の無い場所で一勝負頼む、って」
息子「それがどうしたんだ」
剣士「で、結構強かったけど……勝っちゃったんだよ……」
息子「お前に敵う奴など、やはりそうはいないと証明されたではないか。良かったな」
剣士「それがさ……そいつ……この国の将軍なんだって」
息子「…………はあ?」

258 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 01:44:06 ID:AX4/ZIzM
息子「お前は……バカか?」
剣士「勝ってから名乗られて慌てて逃げたんだよぉぉおおおおお! やだもう見ろよこの運の悪さ!!」
息子「泣くな気色悪い……ああ全く頭痛が酷い……」
剣士「くっそ人事だと思いやがって……! やっべーだろどう考えてもこの状況は!!」
息子「どうせ出回っているのは似ていない手配書なのだろう。本名がバレる可能性は皆無だ」
剣士「……そうだけど」


息子「第一、強いといってもお前はどこの者とも知れぬ馬の骨だ。そのようなものを一国の重鎮が深追いする訳が無いだろう」
剣士「その重鎮を倒しちまったんだぜ? あっちにも面子ってもんが」
息子「その勝負の行方を知っているのは誰だ?」
剣士「あ…………そういや他に誰もいねえわ」
息子「どうせお前も偽名を使ったんだろう? 辿り着けるわけがない」
剣士「あ」

259 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 01:54:12 ID:AX4/ZIzM
剣士「……偽名、使った」
息子「だろう」
剣士「お前の……考えたやつ」
息子「……」
剣士「だって咄嗟に思い付かなかったんだよ!!」
息子「はあ……まあ、まだ宿の場所を知らせてはおらぬし」
剣士「それなら闘技場に出る前に、ついでに知らせて来た」
息子「ははは」
剣士「うはは」


息子「お尋ね者としても不適合者か貴様は!? それでは身元が割れたも同然だろう!?」
剣士「痛い痛い殴るな! 第一、それはそっちの方が健全なんじゃあ……」
息子「待てよ、そういえばこの宿主が貴様のことを喋っていたな……」
剣士「あ、何か将軍倒したってまでは広まってないみたいだけど、バカ強い剣士がいるってのは噂が徐々に」
息子「またこのパターンか……っ!!」
剣士「いやー、なんかお前と旅するようになってややこしい事が多く起こってる気がするねー」
息子「貴様が元凶だろう貴様が!!」



262 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 23:12:11 ID:AX4/ZIzM
剣士「まあ……朝一で宿を変われば……いやでも『ここにいる』ってことはもうバレてんだし……うぐぐー……」
息子「仕方ない……明日その将軍に会いに行くぞ」
剣士「ちょ!?あれだけ怒ってて何でそんな結論になるんだよ!」
息子「いいか、お前は特に問題を起こしていない。まだな」
剣士「起こす予定もねえよ!」
息子「ならば堂々としていろ。下手に逃げれば疑われる」
剣士「一回もう逃げちゃったんだけど……」
息子「急なことで混乱していたとでも言っておけ」
剣士「く、苦しいなあ。まあ……了解」


息子「しかしこれで、この国の中心と少しでも繋がりが出来たということか……?お前の悪運には、ほとほと頭が下がるな」
剣士「え、ほんと?いやあ照れるなあ」
息子「……では、飯でも食いに行くか」
剣士「待ってました! ……でも外出て大丈夫かなあ?」
息子「何度も言うが、犯罪者ではないのだ。ビクビクする必要はない」
剣士「そ、そうだよな」

263 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/30(月) 23:12:25 ID:AX4/ZIzM
別の料理屋─

剣士「どーよ」
息子「……悪くはないな」
剣士「良かった良かった。まあ店を自分で探しにくくなっちまったから、宿のおっちゃんに聞いた店なんだけどさ」
息子「別に構わんだろう」
剣士「良かねえよ。自分で見つけて相棒に食わすから意味があるんだろー?」
息子「さあ……よくは分からんが」
剣士「ちっ。まあいいや! とりあえず支払いなら気にせずドンドン食え! な!」
息子「小金を手にして気が大きくなりおって……まあいい」


剣士「でもさー」
息子「何だ」
剣士「明らかにこっち見てる客多いよなー」
息子「店員もな」
剣士「おっかしいなあ……目立たないように、賞金抱えて一目散に宿へ戻ったってのに」
息子「それは確実に目立っただろうな」
剣士「そうかあ?」



魔王「どうか、***」【その4】へつづく

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転載元
魔王「どうか、***」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12874/1262700852/



 
モンスターハンター4
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ドラゴンズドグマ:ダークアリズン 数量限定特典“「メイジ」のための「指輪セット」付き

 

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