関連記事
魔王「今日も平和だ飯がうまい」

続編
魔王の娘「今日も平和でご飯がおいしい」
↓過去編
魔王「どうか、***」

短編
魔王の娘「無くはない!無くはないもん!」


このSSの作者さんの過去作品一覧



 


95 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/11(日) 00:59:02 ID:g1/Hw0bA
剣士「な、何をしやがる!」
息子「すまん。助太刀しようと思ったが、手元が狂った」
剣士「あーあー……逃げられちまったじゃねえか」
息子「何。あれだけ追い詰めたんだ。しばらく出てくることはないだろう」
剣士「そうは言ってもお前なあ……」
息子「邪魔をした詫びに、しばらくは食事も宿も私が面倒を見よう」
剣士「全く仕方がねえな!特別に許してやるぜ!!」


息子(あいつは……無事に逃げたようだな)
息子(城に向かうように言ってあるし、問題は無かろう)
息子(とりあえず、今夜は一度城に帰るか)


息子「さて、馬を拾って行くぞ」
剣士「おう!とっとと次の街に着いて、飯にしようぜ!」
息子「分かった分かった」
剣士「早く来いよ!置いてくぞ!!」
息子「……はあ」


96 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/11(日) 01:16:13 ID:g1/Hw0bA
街─

剣士「ふーい!着いたぞ!」
息子「見れば分かる」
剣士「何だよノリが悪いなあ。これから祝杯を上げるってのに」
息子「気付いているのか?お前は私と知り合ってから、ほぼ毎夜酒浸りだということに」
剣士「うはは、固い事言うなよこのこのー」
息子「殺すぞ」


??「あ、あの……」


剣士「ん?」
息子「む」



99 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/11(日) 23:57:22 ID:g1/Hw0bA
街娘「貴方達、もしかしてあの山を越えて……?」
剣士「ああ、そうだけど?」
街娘「や、やっぱり!皆!この人たち、山を越えて来たんですって!!」


「ま、マジかよ……」
「あの魔物を倒したってのか?!」
「でも、片方は強そうにゃ見えねえな」
「いやいや、案外……」


剣士「お、お……?」
息子「何故私を盾にする」
剣士「いや、だってなんかこー……」
息子「ふむ」

100 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/11(日) 23:57:35 ID:g1/Hw0bA
息子「確かに、私達は山の魔物を退けて、ここに来た」
街娘「す、すごい!お強いんですね!」
息子「いや、強いのは……ほれ」
剣士「へ」
息子「こいつだ」
街娘「?!」


ザワザワ…

息子「こいつ一人が、魔物と渡り合った。私はほとんど何もしていない」
街娘「え……えええ?!」
息子「なあ。その通りだろう?」
剣士「い、いやまあ、そうだけど……」
街娘「今まで何人で挑んでも決して敵わなかったあの魔物に、本当にたった一人で……?!」
剣士「お……おう」
街娘「ま、まさか……そんな……」

101 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/12(月) 00:25:56 ID:zsRW2NqE
息子「まあ、そういうことだ。ところで、私達は宿を探しているのだが」
街娘「あ、あ。それでしたら、あっちの通りに宿がいくつか」
息子「そうか、礼を言う。行くぞ」
剣士「お、おう」
街娘「あ……」


息子「どうした。いつもの勢いはどこにいった」
剣士「いや……だって見ただろお前。あの胡散臭そうな目」
息子「まあ、信じられなくても仕方は無いだろう。随分手こずっていた魔物を、お前たった一人で倒したというのだから」
剣士「だからお前を矢面に出そうと思ったのに……」
息子「名前を売りたいのだろう。協力してやったまでだ」
剣士「くっそ……そう言ってお前、楽しんでるだけだろ絶対」
息子「くっくっく……不満があるなら酒で忘れろ」

102 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/12(月) 00:26:36 ID:zsRW2NqE
夜─

剣士「ひゃああっはあああ呑め呑め呑め呑め!!!」
息子「……」
剣士「おおいお前酒が進んでねえぞお?!呑み潰れろや陰険野郎やああああああい!!!」
息子「お、い……」
剣士「ふひゃひゃはははははあああ!剣は勿論のこと酒だって強いぜ強いぜ負けねえっっぜえええええ!食いものジャンジャン持って来させろ!!!」


ヒソヒソ…


息子(何処に行っても視線が突き刺さるな……)
息子(まあ、これでこいつの名と顔はある程度広まるだろう)
息子(名うての剣士としてか、不審者としてかは知らんがな……)
息子(私はそのオマケで十分だ)

103 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/12(月) 00:39:03 ID:zsRW2NqE
息子「おい。その辺で切り上げて、宿に戻るぞ」
剣士「はあ?!てめえの思い通りになんざ動かねえかんな!!」
息子「うるさいぞ酔っ払い。駄々をこねるな」
剣士「はっ!!お前どうせあれだろ、宿に戻ると見せかけて、昼間会った子とか引っかけに行くんだろ?!」
息子「何を言っているんだお前は」


剣士「お前一人楽しもうったってそうはいかねえぞ!!」
息子「心配するな。女遊びをする気分ではない」
剣士「……お前、やっぱりその気が」
息子「可能な限りゆっくりと消し炭にしてやろうか貴様」
剣士「冗談だよ……頼むから、そのたまにやる本気の目はやめてくれ。怖いんだよマジで……」


105 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/13(火) 00:18:25 ID:KA4srdSA
剣士「でもお前なら女に困んねえだろうなあ。ある程度見栄え良いし」
息子「いきなり当然のことを言われても、対処に困るのだが」
剣士「おおうちょっとこの面倒臭さに慣れてきたぞ。で、どうなんだよ」
息子「まあ、そんな所だ。困ったことはない」
剣士「言うねえ」
息子「……血族というだけで、言いよる輩はいくらでもいるからな」
剣士「何か言ったか?」
息子「いいや」


息子「そう言うお前は、どうなんだ?」
剣士「え?」
息子「そういう方面にはとんと縁がなさそうだな、と思ってな」
剣士「う、うるせえな。浮いた話の一つや二つ」
息子「あるのか?」
剣士「呑め!いいから呑め!!!」
息子「ふっ……そうか、新品か」
剣士「その、憐れみの目もやめろおおおおお!!!!」

106 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/13(火) 00:32:26 ID:KA4srdSA
剣士「……ぐう」
息子「そして結局このパターンか」
剣士「う……うう……新品で、何が……わるい」
息子「まあ、それが良いと言う者も中にはいるようだぞ。私にはよく分からんがな」
剣士「あうう…………ぐう」
息子「さてと……戻るか」


宿─

息子「ふう……」
息子「隣の部屋にぶち込んだから、朝まで顔を見ずに済むな」
息子「しかしあれと共に旅をするとなると、本当に面倒ばかりだな……白い目も含め」
息子「別の部屋を取って良かった。金は余分にかかるが、安息は大事だ……全く」
息子「……はあ」
息子「とりあえず、さっさと行って帰って来るか」

107 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/15(木) 00:49:08 ID:ygk3EhWQ
城─

息子「よう」
魔物「よーう」
息子「いつ着いた」
魔物「夕方くらいだな」
息子「それは何より。見たところ息災のようだしな」
魔物「おう。部屋もこの通り、いいのを貰ったわ」
息子「私が頼んでおいたからな」
魔物「所で、だ」

バシィッ!!

息子「何をする」
魔物「うるせえ!抵抗するな!殴らせろ!!」
息子「全く……お前が負けたのは、お前の責任だろうに私に当たるとは」
魔物「決着はついてねえだろうが!!何だあの人間は?!」
息子「拾った」
魔物「どこの戦場行ったって転がってねえよ!あんな化け物!」

108 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/15(木) 00:50:30 ID:ygk3EhWQ
息子「いやいや、何の変哲もない小さな街で知り合ってな」
魔物「いるわけねえだろ、んなとこに……この俺が防戦一方だったんだぞ。敵う魔物なんざ、数えるほどしか……」
息子「ふむ。まあ、あの強さは少々桁違いではあるがな」
魔物「……何でそんなに楽しそうなんだよ」
息子「気のせいだろう」


魔物「あーもう、あの人間のことは一先ず忘れてやる」
息子「演技のはずが本物の敗北になったため、忘れたくなるのも無理は」
魔物「黙れ。とりあえず、俺に芝居させようとした理由は何だったのかを教えやがれ」
息子「ああ。勿論その話をしに戻って来た」
魔物「この期に及んで暇潰しとか言いやがったら……」
息子「安心しろ。れっきとした崇高な目的のためだ」
魔物「胡散臭え」

109 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/15(木) 00:58:47 ID:ygk3EhWQ
魔物「まあいいや……一応言ってみろ」
息子「『平和』のためだ」
魔物「はあ?」
息子「戦争や紛争の無い、穏やかな世の中だ」
魔物「……お前は何を言ってやがるんだ」


魔物「俺があの人間に負けて、どこがどう転んだら戦いが無くなるんだよ」
息子「あの人間を、救世主とやらに仕立て上げる」
魔物「はあ?!」
息子「民衆に希望を持たせるに値する、所謂魔王を倒す『勇者』に仕立て上げるのだ」
魔物「ちょ、ちょっと待て!魔王様を倒すだ?!」

110 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/15(木) 01:07:22 ID:ygk3EhWQ
魔物「お前!そんなことが魔王様の耳に入ったら息子のお前だって……!!」
息子「父上には既に了承を頂いていることだが?」
魔物「…………は?」
息子「敵となるべく者を導くことに、父上は賛成して下さった」
魔物「これ……『下剋上』、ってやつじゃねえの?」
息子「そのような疲れることを、誰がするものか」


息子「何も本当に父上を倒させるわけではない」
魔物「じゃあ、一体何が目的なんだよ」
息子「十分に人心が集まった勇者を、父上が容赦なく、呆気なく倒せばどうなるだろうな」
魔物「……ああ」
息子「期待が高いほど、踏み躙られた時の落胆は激しいものとなる」
魔物「なるほどな。これも魔王様のゲームの一つか」
息子「人間での新しい遊び方を模索していたからな。中々良く食いついて下さったよ」

111 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/16(金) 21:27:13 ID:2GamGb5c
魔物「ってことはあれか……お前はあの人間が有名になるように仕向けて」
息子「機を見て始末する」
魔物「エグイねえ」
息子「そう褒めるな」
魔物「しっかし今日見た感じ何か親しげだったから、あの人間に情でも移ったのかと思っていたが」
息子「妙な事を言うな。あるわけがないだろう」
魔物「ま、いいけどよ」


魔物「でも、それで何で平和になるんだ?」
息子「あの人間に勇者になってもらうためには、私達魔物は侵略の手を休めねばならんだろう」
魔物「あー……ね。そりゃ俺達は楽になるが、そんなもん時間稼ぎにすぎねえだろ?」
息子「出来るだけ引き延ばす。その内に、もっといい方法が浮かぶだろうよ」
魔物「適当だねえ後継者」
息子「こんな面倒事、適当に当たるくらいがちょうどいいだろう」
魔物「そうかもしんねーけどよ」

112 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/16(金) 21:27:33 ID:2GamGb5c
魔物「でもまあ、これで俺も暇になるし文句はねえな」
息子「何を言っているんだお前は」
魔物「ああ?」
息子「お前には私の使い走りという、重要な任があるだろう」
魔物「うわああ面倒くせえ」
息子「僻地の山奥で腐っているよりも、余程建設的な仕事を与えてやる」
魔物「へいへい……もうこうなったら諦めて、最後まで付き合ってやるわ」
息子「助かる」


魔物「しっかしあの人間だ」
息子「何か?」
魔物「『何か?』じゃねえよ。色んな意味で、よく捕まえたわほんと」
息子「希望の象徴としては中々の人選だろう?」
魔物「全くだ。せいぜい上手く手綱は掴んでいろよ」
息子「…………勿論だ」
魔物「おおう。やっぱ若干持て余してんだな」

113 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/16(金) 21:30:13 ID:2GamGb5c
息子「あれは人目を引き過ぎる……」
魔物「目立った方が有名になるんじゃねえの」
息子「それはそうだが、限度があるだろう」
魔物「分かんねえような、分かるような」
息子「しかしまあ、珍獣を飼育しているようで楽しくもある」
魔物「それが本音か?!」


息子「出来れば従順になるよう、飼い慣らしたいと思っている。骨が折れそうで楽しみだ」
魔物「……」
息子「何だ」
魔物「いや……ま、好きにしろよ。俺はいつか再戦の機会をもらいたいねえ。とだけ」
息子「考えておこう」


117 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/19(月) 23:56:27 ID:cPtu8LyU


朝─

息子「……」
息子「……はあ」
息子「久々に夜に寝て、朝に起きたな」
息子「あいつが来るのが面倒で仕方ない……」
息子「……おや」
息子「あいつはまだ起きていないのか?」


コンコン

息子「おい」
息子「私だが」

コンコン

息子「おーい」
息子「……」
息子「……あー」
息子「失礼、するぞ」

118 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/19(月) 23:56:46 ID:cPtu8LyU
息子「……」
剣士「ぐう……」
息子「……」
剣士「ぐー」
息子「ふう……」


ゴンッ

剣士「いっだああ?!」
息子「おはよう相棒」
剣士「て、てめえか!何をしやが痛い!髪の毛引っ張んな!!」
息子「あまりに遅いから、今日は私が起こしに来てやった。感謝しろ」
剣士「して欲しけりゃ今すぐその手をいやいや嘘ですごめんなさい?!」

119 :みんなの暇つぶしさん:2010/04/20(火) 00:00:07 ID:x9bHeI.Y
息子「珍しいな。お前、朝に強いはずではなかったのか?」
剣士「あー……昨日ちーっとばかし呑み過ぎたからかね……内も外も頭痛いわ……」
息子「好奇の視線に晒されたからといって、程度を弁えぬ自棄酒に走るような打たれ弱さではな」
剣士「な、何か問題でもあるのかよ……」
息子「大いにある。詳しくは言わんがな」
剣士「お前ほんっと、よく分かんねえよなあ。ま、面白いからいいけど」


剣士「ふああ……じゃ、そんなわけだしもうひと眠りするわ」
息子「いつまでこの街に留まるつもりだ?」
剣士「いたくなくなるまで。お休みー」
息子「……全く」
剣士「ぐがあ」



125 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 00:15:48 ID:0VKhxDpc
息子「ふむ、起こすのも面倒だな」
息子「昨夜企みを明かし、さあ暗躍を始めるぞと意気込んだ矢先に……いきなり暇になってしまったな」
息子「仕方がない。外に出てみるか」
息子「何か使えそうな話でも転がっていないものかな」


数時間後

息子「はあ……」
息子(それほど都合よく話が進むわけはないな)
息子(劇的な出会いやら突発的な事件など)
息子(このように普遍に満ちた場所ではなあ)
息子(いっそ戦場にでも殴り込んでみるか)
息子(このご時世、人間同士の争い毎も大小様々転がっている物ではあるし、利用せぬことは)

126 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 00:16:03 ID:0VKhxDpc
街娘「あの……」
息子「はあ……」
街娘「あ、あの!」
息子「む」
街娘「昨日の方……ですよね?」
息子「…………私、か?」


街娘「あ、私昨日あなた方が街にいらした時に、少しだけお話させて頂いた……」
息子「……ああ」
街娘「覚えてらっしゃいますか?」
息子「あ、ああ。一応、な」
息子(人間の顔など、よほど特徴的でもなければ、記憶に残らぬわ……)

127 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 00:16:16 ID:0VKhxDpc
街娘「お連れの方は?」
息子「今日は別行動だ」
街娘「そ、そうでしたか……残念です」
息子「あれに何か用でも?」
街娘「いえ、出来ればお茶でも飲みながら旅のお話を聞かせて頂けたら、と」
息子「……」


息子「あれに」
街娘「はい?」
息子「あれに、気でもあるのか?」
街娘「は…………はい?!」

128 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 00:18:45 ID:0VKhxDpc
街娘「ち、違いますよ! 私はただ純粋にお友達になれたらと思って!!」
息子「私では駄目なのか?」
街娘「え!? ……えーっと」
息子「いい。冗談だ。分かった」
街娘「すみません……私、怖い人は苦手なんです……」
息子「まあ、いいのだがな」


息子「ああ、ついでだ。少々聞きたいことがある」
街娘「な、何でしょうか?」
息子「この街の付近には、手ごわい魔物などは住んでいないのか?」
街娘「そうですね……あなた方が越えていらした、山の魔物くらいでしょうか?」
息子「ここ最近、何か大きな揉め事などは?」
街娘「うーん……知りません」
息子「……近辺で、戦争は」
街娘「近頃は平和なものですね」

129 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 21:08:16 ID:0VKhxDpc
息子「……そう、か」
街娘「どうしてそんなに残念そうなんですか」
息子「いや……連れが血気盛んでな。何か首を突っ込める揉め事は無いかと探しているのだ」
街娘「あ、あの方が……ですか?」


街娘「全然そんな風には見えませんでしたけど」
息子「昨日は大人しくしていたからな」
街娘「は、はあ」
息子「実力と名が伴っていないことに、やや焦りを感じているようだ。この辺りで一つ名を売ることが出来ないかと、二人して模索している所でな」
街娘「うーん……やっぱり特に思い当たることはありませんね」
息子「……そうか」

130 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 21:08:31 ID:0VKhxDpc
街娘「あ。でも、ここから北西に行くと城下町がありますよ」
息子「……ほう」
街娘「この国の中心地なんです。お城を中心に街全体を大きな城塞が囲っていて、魔物にも他国にも脅かされないくらいに堅固だとか」
息子「そうか。そこならば、何かあるやもしれんな」


息子「では、明日そこに向けて発つとするか」
街娘「え!? そ、そんなにあっさり決めていいんですか!? お連れさんに相談したりとか」
息子「あれに相談など無意味だ。第一私には、ぐずぐず時間を潰している暇は無い」
街娘「え、え?」
息子「いや、こちらの話だ」

131 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 21:08:46 ID:0VKhxDpc
街娘「で、でも凄いですね、本当」
息子「何が、だろうか?」
街娘「お連れさんですよ」
息子「……ああ」
街娘「本当に、あの魔物を倒しちゃったんですよね」
息子「ああ。本当だ。せいぜい、広めてくれよ」
街娘「? もうすでに街中に広まっちゃってますよ?」
息子「は?」


息子「昨日の夕方で、今朝にかけて、か?」
街娘「当たり前じゃないですか。魔物も逃げちゃったみたいだし、これで遠回りすることなしに、隣の町まで行けるんです。ビッグニュースですよ!」
息子「そうかそうか」
街娘「その上、お二人は目立ちますしね。昨夜は酒場で大盛り上がりだったとかも伝わってきていますよ」
息子「……そうか」
街娘「い、一気にテンションが下がりましたけど、どうかしましたか?」

132 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/18(火) 21:09:02 ID:0VKhxDpc
息子「もう一つ、聞いてもいいだろうか?」
街娘「は、はい?」
息子「あいつは客観的に見て……本当に目立つ、のだな」
街娘「そ、そりゃあもう。昨日少しお会いしただけですけど、遠くからでも私見分けられる自信がありますよ」
息子「……そういう意味では、決して目立って欲しくないのだが」
街娘「何か仰いましたか?」
息子「いや、何でもない」


街娘「私の周りでも、話題の中心ですよ!」
息子「はあ……それは光栄だな」
街娘「ええ。皆お連れさんの趣味は何だろうとか、お連れさんを食事に誘うにはどうしたらいいかとか、お連れさんはとってもステキな」
息子「少し急用を思い出したため、これで失礼する」
街娘「え?」

133 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:35:03 ID:EYrKrQ5Y
宿ー

剣士「ふあーああ……よくねたー」
剣士「さてとー、今何時だろ」
剣士「うーん……腹の具合からいって、昼過ぎくらいかな?」
剣士「つっても財布がいねえと飯も食えねえ」
剣士「あーあー……ヒモって素敵な職業だけど、ちょっと勝手が悪いのが玉にキズー」


息子「ほう」
剣士「あ」

134 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:35:17 ID:EYrKrQ5Y
息子「何か言うことは」
剣士「……ごめんなさい」
息子「うむ、良いだろう。私は心が広いからな。許してやる」
剣士「そりゃお前……あんだけ起きぬけの人の頭バシバシ殴りゃ憂さ晴らしも」
息子「何か他に言い残すことは」
剣士「ありませんからとっとと昼食にして頂けますと助かります」


息子「というわけで、明日の朝ここを起とうと思う」
剣士「急だねえ」
息子「異論でも?」
剣士「いや、特にねえけど。何でまたそんなところに?」
息子「物見遊山といったところだ」
剣士「まあ、そういうのもありかねえ。飯が食えるんなら、どこだって行くよ」

135 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:35:31 ID:EYrKrQ5Y
息子「お前は」
剣士「ん?」
息子「何故、旅をしているんだ」
剣士「何となくに決まってんだろ。こんな当てのない旅」
息子「では、故郷はどの辺りだ?」
剣士「言ってもわかんねーと思うけど」


剣士「こっからずーっと遠くの遠くさ。海越え山越えそのまた彼方。そんなど田舎」
息子「帰る気はさらさらないと見えるな」
剣士「まあな。それを言うなら、お前だって」
息子「私が、何だというのだ」
剣士「お前あれだろ、どっかのボンボンで、跡継ぎの役目を放って流れてきたってタマだろ」
息子「……」
剣士「あらやだ図星!?」

136 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:35:47 ID:EYrKrQ5Y
息子「貴様……」
剣士「うはは、まーいいんじゃねえの。社会勉強ってことで。若い内は迷えばいいんだよ」
息子「ふん」
剣士「でもま、決めなくちゃいけない時期ってのは刻一刻と近づきますぜ、旦那」
息子「こうして、お前に餌付けしている内にもな」
剣士「善行を積むってのも、立派な勉強だと思うぜ?」
息子「それは確実に、私には不必要なものだ」


息子「ところで、だ」
剣士「何だ?」
息子「お前、くれぐれも私の目が届かない場所には行かないようにしろ」
剣士「へ?」
息子「町に、お前の噂が広まってしまっているようなのだ」
剣士「早いなおい!?」

137 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:36:04 ID:EYrKrQ5Y
剣士「えー、マジ……?」
息子「ああ」
剣士「くっそー……どうせあれだろ、証拠がないから信じらんねーとか、そんなんだろ。ほんとに強いんだってのに畜生め……」
息子「あ、ああ。まあそのような所だな」


息子「一応、魔物が去ったことは確認されているらしいが」
剣士「こっちの手柄って分かってもらえねえと意味ねえじゃん。あーあ、嘘つき呼ばわりはもうなれたけどよー、やっぱこうさー」
息子「やはりそうか」
剣士「ああ?」
息子「お前が無名の理由だ」

138 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:36:20 ID:EYrKrQ5Y
息子「確かに、お前は腕っ節を示さぬ限り、単なる卓絶した不審者にしか見えぬものな」
剣士「ぶん殴りたいけど我慢してやる」
息子「しかし、これまでに用心棒などの仕事を幾度かしていたと聞くが。その辺りの評判はどうなのだ?」
剣士「いやー。大概最後は雇い主とか同僚と喧嘩別れすっからよ、『これこれこういう奴は絶対に雇うな』って噂だけが流れるオチで」
息子「貴様……本物の社会不適合者ではないか。それとも燃えるゴミの方だろうか?」
剣士「飯食わせて貰ってる手前言うのも何だが、お前もぜってーその口だろ」


息子「まあいい。田舎から出てきたのだし、礼儀作法を弁えぬ猿であるのも致しかたない」
剣士「うめー、このハム超うめー」
息子「都会に行けば力を見せる場面などいくらでもあるだろうし、この街なんぞより、噂の広まる範囲は広い。せいぜい私が目を光らせておく故、大人しく有名になるがいい」
剣士「ああ? 何でだよ」
息子「何、単なる暇潰しだ」

139 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:36:49 ID:EYrKrQ5Y
息子「それに、お前という野生動物を恭順になるよう飼育するというのも、中々良い社会勉強に…………貴様」
剣士「おおっとー丁度いいとこにあったグラス一杯の水を思わず掴んでお前の頭に被せてしまった冷たいいいい!?」
息子「以下略、だ」
剣士「てめえ……」
息子「ほう、やるか。いいだろう……掛かって来い!」


剣士「……お前が悪いんだぞ」
息子「ふん。先に仕掛けたのはお前だ」
剣士「あーあ、飯も結構残ってたってのに勿体ない」
息子「しかしあの程度で客を追い出すとは、何と忍耐の足りぬ店主だろうか」
剣士「なあ。こんなの日常茶飯事だもんな」
息子「全くだ。多少壁や椅子、机に傷が付き焦げたところで、営業に支障はないだおろうに」
剣士「違いねえ違いねえ」

140 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:37:02 ID:EYrKrQ5Y
剣士「っつーわけで、食い直しに行こうぜ!とりあえず店も多そうだしあっちの通りに行ってみ」
息子「待て」
剣士「何だよ、手を離せ」
息子「その、反対の方に行こう」
剣士「反対って、来た道だろ? 特にうまそうな店は無かったじゃねえか」
息子「いいから。早く歩け」
剣士「いだだ! んな強く引っ張るな!」


街娘「あ、やっぱり!」
剣士「あれ?」
息子「……ちっ」
街娘「今日は、剣士さん。私昨日の」
剣士「ああ。覚えてるよ、昨日話しかけてくれたお姉ちゃんだよな?」
街娘「わあ! 覚えてて下さったんですね!」

141 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:37:16 ID:EYrKrQ5Y
街娘「今朝お連れさんにお会いしたんです。剣士さんにもお会いできて、とっても嬉しいです!」
剣士「……お前、朝から何ナンパなんかしてんだよ」
息子「彼女から先に声を掛けてきたのだが」
剣士「うっそだー、誰が好き好んでお前みたいな胡散臭い悪人面に朝っぱらから声を掛けるんだよ」
息子「そうなると、二三日前のお前は余程の物好きということになるな」
剣士「あ」
街娘「ち、違いますよ!ナンパじゃありません!」


街娘「この街のこととか、剣士さんのことについてお話して頂いたんです」
剣士「え……あ、ああ……ごめんな、強そうに見えなくて……」
街娘「わ、わわ、落ち込まないで下さい! きっと大丈夫ですから!」
息子「慰めはしても、否定はしないんだな」
街娘「……嘘はつけませんし」
剣士「うう……何でこんなに報われねえんだろ」

142 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:37:29 ID:EYrKrQ5Y
息子「日頃の行いだろう」
剣士「うるせえ斬るぞ」
息子「その前に剣ごと燃やしてくれるわ」
街娘「喧嘩はいけませんよ! さっきもそれで追い出されちゃったんですよね!?」
息子「む?」


息子「何故、知っているのだ? その場にいたのか?」
街娘「いえ、ここに来る途中すれ違う人皆が噂してましたから」
息子「他に娯楽はないのかこの街は……そういえば先程から、妙に視線を感じるが」
剣士「そうか?」

143 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:37:44 ID:EYrKrQ5Y
剣士「こんなもんじゃねえの? 通りすがりにガン見されたりとか普通じゃん」
息子「お前はもう、何も喋るな」
剣士「えー」
街娘「お二人とも仲がよろしいんですねえ」
息子「やめてくれ」
剣士「おーおー分かる!? 見ての通りの仲良ぐむむむー!?」
息子「喋るな、と言っただろう」
街娘「あ……あははは……」


街娘「ところで、お二人はこれからご予定はありませんか?」
息子「む、いや、特には……」
剣士「これから二軒目の昼飯どーすっかって喋ってたとこだしな」
街娘「でしたらその……ご一緒してもいいですか?」
剣士「え、何で?」
息子「……」

144 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:37:57 ID:EYrKrQ5Y
街娘「わ、私だけじゃないんですけど、何人かのお友達が剣士さんたちとお話がしたいって」
剣士「別に面白い話なんか出来ないぜ?」
街娘「面白い面白くないじゃなくて……皆、剣士さんとお話したいって」
息子(遂に私が除外された……)


剣士「んー。構わねえけど?」
街娘「ほんとですか!?でしたらちょっとお友達を呼んできますので、少し待って」
息子「すまんが、これから旅の打ち合わせをするのだ」
街娘「え」
剣士「へ? んな話は別に夜でも」
息子「そういう理由で、失礼する」
剣士「ちょっと待て! だから引っ張るなって!!」

145 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:38:14 ID:EYrKrQ5Y
息子「はあ……」
剣士「何だよお前、変な奴だなー」
息子「黙れ元凶。貴様、あれが何か分かって物を言っているのか?」
剣士「飯を一緒に食うのが、そんなにおかしいことなのか?」
息子「この場で塵に出来たらどれほど楽か」


息子「聞くが貴様。異性に茶だの飯だのを誘われた記憶は」
剣士「結構奢ってもらえるもんだよなー」
息子「よし、もう一度言ってみろ」
剣士「いやだってそんな凄まれたって。金無いからって断っても、出すって言われちゃ甘えるしかねえだろ」
息子「……貴様は、どうして、こう……」

146 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/20(木) 20:50:25 ID:EYrKrQ5Y
剣士「いやー、こんな世の中でも親切な人ってのは多いもんだね」
息子「貴様は今間違いなく、私含めた世の中の男全てを敵に回した」
剣士「何でだよ。奢られるのがそんなにマズいことなのか?」
息子「大いにマズい。いいか、よく聞け。今後、私以外の者から飯などを施されるなよ。風評に関わる」
剣士「? まあ、三食保証してくれるんならな!」
息子「分かった。分かったから黙れこのヒモが」
剣士「ひでえ言い草だなあ」


剣士「でも、さっきの子結構可愛かったのに、本当に断っちまって良かったのか?」
息子「は……あ?」
剣士「いやー、やっぱモテる男は違うね! 女の誘いなんて軽くいなせるんだから!」
息子「……」
剣士「あれ、何でエグイ顔してるんだ? 何かあったのか?」
息子「…………二軒目を探すぞ」
剣士「お、おう?」


149 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/25(火) 19:35:21 ID:UE6Zwekk
剣士「ふーい! ごっそーさん!」
息子「……ああ」
剣士「どうしたんだよお前暗い顔してよー。あんまり食ってなかったみたいだし、具合でも悪いのか?」
息子「貴様は……あの好奇より数段上の視線を、よく気にせずいれたな」
剣士「ん? そりゃまー、余所者なんだし珍しいだろうよ」
息子「……はあ」


息子「これはもう、明日朝一で街を出た方がいいだろうな」
剣士「えー、だってお前は知らねえだろうけど、その都って結構遠いんだぜ? ゆっくり出たって変わんねえよ」
息子「中途半端な田舎だから、逆に目立つのだ。早く出るぞ」
剣士「ちぇー……ゆっくり寝たかったのになあ」
息子「喧しい」
剣士「何だよお前、さっきからイライラ苛々と」

150 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/25(火) 19:35:53 ID:UE6Zwekk
剣士「ははあん……さてはお前」
息子「何、だ」
剣士「分かった! 許してやろう! だから行って来いよ!」
息子「何処に行けと」
剣士「え、だから女引っかけに」
息子「何故そこに繋がる……!?」


剣士「ははは、お前あれだろ、性欲持て余しちゃってるけど、見栄があるから発散できなくてイライラしてるんだろー」
息子「断じて違うと言っておく」
剣士「ええー? 気を利かせたつもりだったのに」
息子「余計なお世話だ。第一、溜まっていればお前なんぞに許可を得ずとも」
剣士「確かに自家発電は自由だけどな!」
息子「身ぐるみ剥いで売り飛ばすぞヒモニート」

151 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/25(火) 19:36:26 ID:UE6Zwekk
息子「はあ……しかし、確かに少し疲れたな。宿に戻るか……」
剣士「あ、じゃあ同じく戻って昼寝でもすっかなー」
息子「まだ寝るのか」
剣士「おう! 寝る子は育つんだぜ!!」
息子「……まあ、別行動されるよりマシか」



数時間後・宿─

息子「はあ」
息子「よく、寝たが……酷い夢を見た、気がする」
息子「それもこれもあいつが底抜けの馬鹿だから……」
息子「……そろそろ夕餉の時刻か」
息子「仕方がない。あれを起こして、街に出るか」

152 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/25(火) 19:38:07 ID:UE6Zwekk
コンコン

息子「おい」

トントン

息子「おい」

ドンドンドンドンドンドン!

息子「…………」
息子「だから、嫌なんだ……」


息子「おい……入る……ぞ?」

ギィ

息子「…………?」
息子「いない?」
息子「一体何処に……」
息子「お、書き置きか?」


『早く目が覚めたんで、ちょっくら外をブラブラして来るぜ!』


息子「……」


156 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/30(日) 21:57:10 ID:9/h10oLI
酒場─

剣士「で、魔物が怯んだその隙に……この剣でずばっと!」
街娘「凄いんですねえ」
娘2「ほんと!」
男1「ああ……」
男2「すげえ、な……」
剣士「うはは!そんなの当然のことだって!」


剣士「いやー、でも悪いな。ほんとにいいのかな、奢って貰っちゃって?」
街娘「構いませんよ。支払いはこの二人が、私達の分まで全額持ってくれることになっていますし!」
剣士「あ? 罰ゲームか何か?」
男1「そ、それはその」
男2「何と言うか……」
娘2「そんなことより、もっとお話聞かせて下さい! 料理もじゃんじゃん頼みましょう!」
剣士「え、いいの?」
男二人「……はい」

157 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/30(日) 21:57:25 ID:9/h10oLI
剣士「じゃあその鶏肉の串焼きセットもう一つとー」
息子「お前、酒が切れているようだが」
剣士「おお!じゃあこの店で一番度数が高い酒を一杯。お前は?」
息子「私も同じものを」
剣士「あはは!お前もやっぱりいけるクチだ…………あ」
息子「ははは」


息子「貴様、昼寝する直前に私が言っていた言葉をもう忘れたのか」
剣士「――――!」
息子「犬ですらもう少し従順だ。貴様は何だ、鳥か? それとも魚か? どうした、何類に属するのか、答えてみろ」
剣士「――――っっっ!?」
街娘「や、やめて下さい!剣士さんが凄い顔色してます! 死んじゃいます!」
息子「こいつに酸素など、贅沢だ」
街娘「わけが分かりません! 首を放してあげて下さい!!」
息子「ちっ」

158 :みんなの暇つぶしさん:2010/05/30(日) 21:57:38 ID:9/h10oLI
剣士「げほげほげっほ」
息子「どうだ反省したか。魚類ヒモニート」
剣士「て、てめえええ……」
息子「ほうほう反抗的な目つきとは。もう少し躾が必要と見える」
剣士「いきなり何しやがる!? 見ろてめえ! 皆ドン引きしてんじゃねえか!」
息子「誓いを可及的速やかに反故にしたお前が悪い」
剣士「えー……いいじゃねえかよー」
街娘「す、すみませんお連れさん!」


街娘「私が無理やり誘ったんです! 剣士さんは悪くありません!」
剣士「お……お姉ちゃん」
街娘「私が剣士さんとお話ししたくて……他の皆もそうです。勝手にお借りしてしまい、すみませんですいた!」
息子「…………」
息子(男二人、女二人か……分かりやすい)
街娘「あ、あの……」
息子「分かった」
街娘「え」
息子「私も参加しよう。そして、支払いは全て私が持つ」
街娘「……へ?」


163 :みんなの暇つぶしさん:2010/06/04(金) 23:35:44 ID:FOmAYKew
剣士「っでさー! こいつすっげー羽振りいい癖にケチで性格悪いんだぜ!」
息子「喧しい」
街娘「あはは。でも、本当にありがとうございます。いいんですか?」
息子「構わん。こいつが迷惑を掛けた、詫びだ」
剣士「何もしてねえよまだ!!」


剣士「しっかしあの兄ちゃん二人、なんかテンション低く帰っちまったけど。良かったのかね? 折角タダ飯食えるってのに」
街娘「あ……あー……すみませんでした」
息子「謝る必要はない。構わん」
剣士「えっ? 何どういうこと?」
息子「お前は何も発言しなくて済むよう、そこの肉でも食らっていろ」
剣士「言われなくても!」

164 :みんなの暇つぶしさん:2010/06/04(金) 23:35:56 ID:FOmAYKew
娘2「でも……」
息子「む」
娘2「お連れさんもいい人そうですよねえ」
息子「……それは、ないとだけ」
剣士「ほんとほんと!ねーよってお前勝手に人の酒飲むんじゃねえよ!!」
息子「お前は本当に、喧しい」


街娘「怖い人だと思ってましたけど、確かにいい人ですよね。流石は剣士さんのお仲間!」
息子「やめてくれ。特に後半」
剣士「良かったな! 一緒にいると人間としてのレベルが割り増しに見えて!」
息子「下等生物が人語を嗜むな。酒でも飲んでろ」
剣士「んぐううううう!?」
娘2「うあわわわ! 流石にそれはちょっと人としてどうかと思いますよ!!」

165 :みんなの暇つぶしさん:2010/06/04(金) 23:36:11 ID:FOmAYKew
街娘「では、ご馳走様でした!」
娘2「本当にいいんですか……?」
息子「構わん。むしろ……これであいつの痴態を忘れてくれると、感謝する」
街娘「痴態って……」
娘2「まあ、今は確かに……」
剣士「うははー。酒持ってこおーい……ぐがー」


街娘「でも、こちらこそ本当にすみませんでした……」
娘2「話を聞いてまさかとは思っていたんですけど……本当に」
息子「いや。私の方こそ、『こいつに餌を与えるな』と札を持たせることを失念していた」
街娘「え、そうじゃなくて」
娘2「剣士さんって」
剣士「さけー!!」
息子「……くたばれ」
剣士「ぎゃん」

166 :みんなの暇つぶしさん:2010/06/04(金) 23:36:24 ID:FOmAYKew
息子「では、私達はこれで失礼する」
街娘「あ、あのー。剣士さん、伸びちゃってますけど、いいんですか?」
息子「いつもこうだ。構わん」
娘2「……いいんでしょうか?」
息子「死ぬことは無いだろうから、心配はいらん。では」
街娘「あ、本当に、ありがとうございました!」
娘2「ご、ごめんなさいでした!」
息子「……ああ?」


息子「はあ」
息子「回収も、フォローもしたが」
息子「どうも腑に落ちんな、あの反応」
息子「まあ、こいつに較べれば些細な問題か」
息子「全く手のかかる馬鹿者だ……腹は立つが、退屈せぬ」
剣士「ぐがー」



176 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 01:05:11 ID:Ee1SoRQY
次の日・早朝─

コンコン

息子「おい」

ドンドン

息子「おい……起きろ」

ドンドンドガッ!!

息子「起きろ!社会不適合者!呑んだくれ!ヒモ!単細胞!ゴミ!」

バン!

剣士「う……うるせえええ……」
息子「うむ、お早う」
剣士「あれだけ騒いでおきながら真顔で挨拶とかお前……」

177 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 01:05:28 ID:Ee1SoRQY
剣士「ってかもう勝手に入ってくりゃいいのに。他の客に迷惑だろ……何だその目は」
息子「お前が他人への気配りを見せるとは……」
剣士「人のこと何だと思ってんだお前。だから、仲間なんだしノックとかまどろっこしいこと辞めろってーの」
息子「生憎だが、私はお前と違って育ちが良いのでな。染み付いた習慣というものは、易々と手放せぬものだ」
剣士「あーもう朝から腹立つ財布だ……ぐぐぐぎぎぎぎ」
息子「このまま今一度眠ってみるか。永遠に」


剣士「げほげほ……お前、首絞めるにしてもちょっとは手加減しろよな……気軽にギリギリ締めあげやがって……」
息子「したとも。でなければ、こうしてお前の首が繋がっている訳が無かろう」
剣士「耳を塞ぎたくなる、恥ずかしい台詞だな。まーでもお前にも仲間を思いやる優しさが」
息子「お前の首なんぞインテリアにもならぬし、手土産にくれてやって喜ぶ者がぱっと思い浮かばんのでな」
剣士「安心しろ。そんな奴は絶対にいねえ。そうに違いない」

178 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 01:25:23 ID:Ee1SoRQY
剣士「はー……もう出発かあ?早朝って言ってたけど、もうちょっと待ってくれよー」
息子「ならん。とっとと着替えて用意を済ませて来い。もし半時間も私を待たせれば、お前を宿代の代わりに置いていくぞ」
剣士「ちくしょー……分かった分かった。お前はもう用意出来てんの?」
息子「当たり前だろう」
剣士「じゃあ手伝って」
息子「ははは」
剣士「ははは……やりますやります一人でやります」
息子「二度寝するなよ。速やかに首を刎ねてやるからな」
剣士「へいへーい」


剣士「世話になったよ!ありがとなー!」
息子「こちらには?」
剣士「マジありがとなー流石は金持ちボンボン様の財力だぜー」
息子「まあ良い。常に感謝と尊敬を忘れるな」
剣士「お前、絶対友達いねえだろ」
息子「何だ、己に言っているのか寂しい奴」

179 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 01:51:18 ID:Ee1SoRQY
息子「さてと、馬も回収した。とりあえずは街の出口に」
剣士「あ」
息子「何だ。寄り道は認め……」
街娘「……ど、どうも」
剣士「やっほーお姉ちゃんおはよ!朝早いんだねえ」
街娘「あ……おはようございます!」


息子「何の用だ」
街娘「あ、あの……早朝に発たれると仰っていらしたので……お見送りにと」
剣士「マジかよ!いやー嬉しいねえ。こんなべっぴんさんに!」
街娘「え……っと……はい、ありがとうございます」
息子「まあ、私からも礼を言う」
街娘「は、はい。昨日はありがとうございました。あと、本当にすみませんでした……」
息子「? 何かは知らんが気にするな」

180 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 01:57:43 ID:Ee1SoRQY
息子「では……この道で良いのだろうか」
街娘「はい。ここを真っ直ぐです。馬の足でも丸一日くらいは掛るはずですけど……」
息子「何、その程度ならば軽いものだ。野宿も覚悟している」
街娘「剣士さんも……ですか?」
息子「あれは野生の生き物だ。野宿で堪えるような繊細さを持ち合わせているはずがないだろう」
街娘「は、はは……と、ところで一つ」
息子「む?」


剣士「えーっと……地図見る限りじゃ山越えはしなくて済むのか? 街道沿いにずーっと行くのね」
剣士「うーん……こっちの地域はほとんど行ったこと無いからなあ。栄えた街だってことは話に聞いてるけど」
剣士「ま、頼りにしてるぜ馬! ……名前とか付けた方がいいのかな」
剣士「……っつーか、相棒は何やってんのかね。あの姉ちゃんと話し込んで」
剣士「良い雰囲気だったし、なんかこーしんみりする展開でも迎えてんのかね。にしてはあいつ、すっげー渋い顔だけど」
剣士「あ、話終わったみたいだな、馬」

181 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 02:10:50 ID:Ee1SoRQY
街娘「お、お待たせしました剣士さん」
息子「……行くぞ」
剣士「お、おう。何だよお前。すっげー疲労困憊って感じだけど」
息子「何でも無い。あるわけがないだろう」
剣士「変な奴。おいおいお姉ちゃん、何かあったのか?」
街娘「あ、あの……」
息子「何でも無い。あるとすればそうだな……竜が出るそうだ」
剣士「は?」


息子「地図だとこの辺りか……?」
街娘「は、はい。そうみたいです」
剣士「え?だって昨日お姉ちゃんが言ったんだろ?安全だって」
街娘「私もそう思っていたんですけど……最近になって被害が出始めているそうです。……お二人と別れてから、ちょっと気になって色んな人に聞いて回ったんです」
剣士「おお……夜も遅かったのに、わざわざ悪いねえ」
街娘「い、いえ!元はと言えば私がよく調べもせずにお話したせいですから……」
剣士「いやいや、それでもありがとうな。……で、どうするよ相棒」
息子「決まっているだろう。気にすることは無い」
剣士「だよなー」

182 :みんなの暇つぶしさん:2010/08/06(金) 02:20:16 ID:Ee1SoRQY
剣士「っつわけで、見送りありがとう。そろそろ行くわ!」
街娘「だ、大丈夫ですか?他にも遠回りになりますけど、道は」
息子「こいつはあの魔物を倒した猛者だぞ。竜の一匹や二匹、問題ではない」
剣士「そーいうこと。ま、上手く退治出来たら被害も減るし。期待しといてくれよな」
街娘「……止めても無駄みたいですね」
剣士「ああ、何たって頭の悪い二人旅だから」
息子「私を数に入れるでないわ馬鹿代表が」
街娘「ふふ……分かりました」


街娘「それでは……お気を付けて!」
剣士「色々ありがとうな!また会おうぜ!」
街娘「はい! お連れさん!」
息子「何だ」
街娘「頑張って下さいね!」
息子「…………はあ」
剣士「?」




魔王「どうか、***」【その3】へつづく

このSSの作者さんの過去作品一覧


転載元
魔王「どうか、***」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12874/1262700852/


 
モンスターハンター4
The Last of Us (ラスト・オブ・アス) (初回同梱特典 豪華3大コンテンツのDLプロダクトコード(サウンドトラック、カスタムテーマ、アバターセット) 同梱)
トモダチコレクション 新生活
ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル (通常版) (初回封入特典 プレイアブルキャラとして「吉良吉影」が使用可能になるDLコードがついた「川尻早人メモ」! 同梱)
ガンダムブレイカー (初回W特典「フリーダムガンダム」のパーツデータ一式+「ガンダム バトルオペレーション」出撃エネルギー(備蓄用)3個セット 同梱)
ドラゴンズクラウン
真・女神転生IV “豪華ブックレット仕様"サウンド&アートコレクション 付
NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3 ( 初回封入特典:うずまきナルト「孫悟空コスチューム」がダウンロードできる"プロダクトコード同梱) 予約特典5体のコスチュームがダウンロードできるプロダクトコード入りカード付
サモンナイト5 (初回封入特典ソーシャルゲーム「サモンナイト コレクション」の特設ページで入力すると「5」の主人公カードが入手できるシリアルコード 同梱) 予約特典『サモンナイト5』特別設定集 付
ドラゴンズドグマ:ダークアリズン 数量限定特典“「メイジ」のための「指輪セット」付き

 

SS宝庫最新記事50件