1 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 02:39:05 ID:8XABdbJV
女「……」ズルズル

女(やっと、やっと帰ってきたんだな……この町に…随分と
  随分と変わったもんだ…あいつの家はたしかこのあたりに…)

モブ「ねぇちょっと見てあの子…」「酷い傷…」「やだ、なにあの格好……軍服?」ヒソヒソ

女「……っ」ズルズル

女(故郷に来ても見る目は同じ、か…ん?あいつは…)

男「〜」

女(男だ…何年ぶりなんだろう、変わってない、変わってないな。
  フフ、頼りなげなあのころのまま……それに比べて私は――)


 
2 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 02:41:58 ID:8XABdbJV
翌日 学校

先「今日は新しい転校生を紹介する、女さんだ。ホラ自己紹介して」

女「女です。よろしく」(まさか男がいるクラスとは……男は私のこと気づいてるのか?)

生徒達「おい見たか…頬にある傷……」「なんか雰囲気やばくね?」「暗いし怖そう…」ザワザワ

女「……」

男(まさか…嘘だろ……たしかにめずらしくはない名前だが…名字まで…)

先「ずっ、随分シンプルな自己紹介だな。じゃああそこが空いてるから座ってくれ。視力とか大丈夫か?」

女「大丈夫です」ズルズル

女(クラスが一緒の上、隣の席……フフ、どうやら悪運にだけは恵まれてるようだな私は)

生徒達「おい」「ああ足が…」「なんだ?あのリュック…」ヒソヒソ

男(俺の隣の席か…足悪いみたいだし…別人……だよな?)


3 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 02:47:00 ID:8XABdbJV
男「女さんもしかして昔会った事ある?」

ザワザワ ヒソヒソ

女「……」

男「女さん?」

女「知らんな」

男「そう」(澄んでるけど落ち着いた低いトーンの声、少し変ってはいるが確かに俺のよく知ってる人の声…だけど――)

女(バッ、バカ野郎……なぜそうだと言えんのだ、私は…昨日だって……)

ザワザワ ヒソヒソ

女(いや…でも今の私では…男に……)ギリッ

男(――だけど…俺の知ってる女ちゃんはこんな悲しそうな瞳してない……)


4 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 02:54:52 ID:8XABdbJV
キーンコーン

屋上

男(どうしよう、俺がいっつも食べてる場所なんだけど…
  ていうか転校生なのに初日からこんなとこで一人弁当…)

女「……」ガソコソ

男(まあ俺だって人の心配できるような立場じゃないけど…ん?)

女「……ごくっ」

男(薬のんでるのか?)

女「……」ゴトッ

男(さっ、酒!?)

女「…んぐっ、んぐっ」

男(もしかして女さんも不良ってやつ?)


6 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 03:03:25 ID:8XABdbJV
男(え、寝ちゃってる?お酒抱きかかえたまま…)

女「クカー、クカー」

男(マジかよ…見つかったらやばいぞ……)

女「クカー、クカー」

男(おいおい、寝てるとこまで来てどうするつもりだ俺?起こすわけにも…しかし…)

女「クカー、クカー」

男(こうして見ると…もう随分長いことたったし、大きな傷もあるけど…この顔はやっぱり――)


9 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 09:23:28 ID:8XABdbJV
女「ッ!!ハァッ!!ハアッ!!ハァッ!!ジョンソン!!」ガッ

男「なっ!?」

女「よせっ!!やめろ!!そいつはVCだ!!」ハァハァ

男(ジョ、ジョンソン!?うなされてるのか!?)

女「糞ッ!!誰か、誰かいないのか!!コンタクト!!」ハアハア

男(すごい苦しそうだ…汗が滝みたいに……)

女「畜生、畜生ッ!!チョッパーはまだか!?ぶっ殺してやる!!」ハァハァ

男(こッ…殺すって…こういう時って
  やっぱ起こしたほうがいいのか!?)コツ

女「ハァ…糞…糞ッ…ナンバーテンだ…畜生…」ハァハァ

男(睡眠薬…さっき飲んでた薬ってこれか……)


10 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 09:30:18 ID:8XABdbJV
男(落ち着いてきたと思ったら)

女「うぅ…ひっく…うぇえええ…」

男(今度は泣きだした…)

ガタッ

不良1「お?なんだ?男の弁当箱があるぞwwww?」

不良2「マジかよwwあいつ最近昼見ねぇと思ったら屋上にいたのかwwww」

男(や、やべっ!!隠れないと)

女「う…ぐすっ……うぅぅ…畜生ぉ…」

男「……」


11 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 09:46:29 ID:8XABdbJV

 


男「なんか用ですか?」

不良1「うはwwwこいつ自分からきやがったww」

不良2「んじゃちょっくら付き合ってもらいますかww」

女「糞ッ!!こっちはもうウインチェスターだ!!救援はまだか!?」

不良1「ん?なんか今聞こえなかったか?」
 
不良2「こいつと一緒に屋上で飯食うバカがいるわけないだろwww」

男(や、やばい…あんなとこ見つかったら
  女さんまでこいつらに目ぇ付けられる…)

不良1「ん〜でも確かに聞こえたんだがなぁ」

不良2「おいおいwwまた上んのかよwww」


12 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 14:19:28 ID:8XABdbJV

男「先輩そのシャツ格好いいと思って前あけてんですか?」

不良1「あ?」

男「だっさいから閉じたほうがいいと思いますよ」

不良2「おいおいwwwどうしたの男ぉwwww?反抗期www?」

不良1「へぇ〜クソなめたこと言ってくれんじゃん。おい、便所いくべ、便所」

男(くそっ…でも昼食わなくて良かったか…)


13 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 14:25:11 ID:8XABdbJV


キーンコーン

男「うぅ…」(女さんちゃんと教室に戻ってるな、よかった…にしても痛ってぇ…)

女「……」

男(うぷ…滅茶苦茶酒くさい……)

女「おい」

男「えっ、おっ俺?」

女「その傷どうかしたのか?」

男「あーいや、階段で転んじゃってね。ハハハ…」(我ながらベタな言い訳だな)

女「そうか」

男(もしかして俺のこと…心配してる…?)

女「……」

男「あっ、あのさ」(やっぱり…この子は――)

女「なんだ?」

男「……」

女「……」

男「いや…なんでもない」(よそう…俺なんかと話してたら女さんまで……)

女(むぅ…せっかくもっと会話するチャンスだったのに……にしてもその傷…)


14 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 14:35:24 ID:8XABdbJV


校門前

女(はぁ……私は一体なにをしたいんだ?自分で自分が嫌になってくる…違うとはっきり言ったのに…私は男が気づいてくれるのを心のどこかで期待して…今だって校門の前でやつを――)

男「〜」テクテク

女(きっ、来た!!ってなぜ隠れるんだ私…)

男(ん?アレもしかして女さんか?なにやってるんだ、あんなとこで?)

女(ぐ、偶然を装って…タイミング合わせて帰るか……家の方向は知ってるし…)

男(こっちの様子窺ってる?もしかして俺のこと待ってるとか……)

女(止まった?うっ…こっち見てる……ばれたか…?)


15 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 14:48:04 ID:8XABdbJV


男「〜」サッ


女(なっ!?そんな…避けられた?こっちからじゃないと相当遠回りに…)


男(俺のこと待ってたとしたらごめん、女さん……俺なんかと一緒に帰ってるとこみられたら女さんにまで…)


女(そうか…そうだよな……私は変わったんだ…昔とは
   違う…昔の私はもうとっくにあのナムのジャングルで――)


男(なんて自意識過剰だよな…ハハ、でも…もしあれが女ちゃんなら…俺は――)

 

女(やっぱり、やっぱり…私は…うぅ……帰ってきちゃ…いけなかったんだ…)ポロポロ


男(俺は――)


16 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 15:25:56 ID:8XABdbJV
翌日

キーンコーン

女(うぅ…今日も一日なにも話さなかった……やっぱり避けられてるんだな私…)ズルズル

 

不良1「うらあっ!!」バキィ

男「ぐあっ…」

 

女(ん…?今なんか用具室で人の声が聞こえたような……)

 

不良3「へへ…次は俺にやらせろよ…ふんっ」ドスッ

男「がはぁっ…」

 

女(これは…もしかして男の声?そのれにこのにぶい音……
   耳にこびりつくまでハノイ・ヒルトンで聞かされた――)

 

男「ぐふぅ…」


 

18 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 15:45:26 ID:8XABdbJV
ガラガラガラ

不良1「ッ!?んだテメェ!?」

不良3「誰だこいつ?こんな奴うちのガッコにいたか?」

男「なっ!?女さん…ばっ馬鹿…はやく逃げ――」ゼェハァ

女「…………」

男(なっ…なんて目をしてるんだ……まるで…まるで感情のない獣みたいな…)

不良1「なにガンつけてんだよ?おいコラ」ピシャッ

不良3「女だからっていい気になってんじゃねえぞ、おい」グリッ

男「ぐあぁっ…!!」(やばい…扉をふさがれた……どうにかして女さんだけでも…)


19 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 15:55:06 ID:8XABdbJV

女「………」ワナワナ

不良3「おい見ろよコイツwww震えてるぜwwwww」

不良1「あんま無理すんなwwじっくり可愛がってやるからよwwww」

男(この構図……どこかで…随分前にも……あの時はそう…たしか……)

女「……けろ」ボソッ

不良3「あ?」

不良1「なにいってんのコイツwww?」


20 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 16:22:36 ID:8XABdbJV
女「その汚ねぇ足を男からどけろっつってんだよ!!!!!!」ヒュ

バキイイイィィィ

不良3「ぎゃああああああっっ!!!!!」ゴロゴロ

男(なっ…!?金的をいきなり!?)

不良1「てっ、てめぇ!!ぶっころ」

ガキイイイィィィ

不良1「うぎゃああああっ!!!」ゴロゴロ

男(今度はみぞおちを!!なんて動きだ、まったく容赦が…)

女「――ッ!!ハアッ!!ハアッ!!このっ…!!この…ッ!!」ガキィィィィバキィイィィ

不良1「ごぼっ…!!」

不良3「ひっ…ひぃ…!!」

男(こっこれじゃあ、まるで――)


21 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 16:29:44 ID:8XABdbJV
女「うす汚ねぇ!!グークが…ッ!!ハァッ!!ハァッ!!死…ッ!!!」ガキィィィィバキィイィィ

不良1「……」ドクドク

不良3「…ぁが……だ…誰か…たす…」ゼェゼェ

男(――まるで女さんが一人、戦争の中にいるみたいだ……)

女「ハァッ!!死…ねッ!!ハァ!!ハァッ!!くたばりやがれ!!」ガキィィィィバキィイィィ

男「や、やめて女さん、それ以上は死ぬ!!死んじゃうよ!!」ガシッ

女「ハァッ…!!ハァッ…!!なせッ…!!」ガキィィィィバキィイィィ

不良1&3「……」ドクドク

男「女ちゃん!!」ガバッ

女「――ッ!?」

男「やめろっ…もう…やめて……くれ…頼む…」ズルズル

女「おっ、男……」


22 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 17:08:05 ID:8XABdbJV

男(女ちゃんの左足から血が…)

女「フフフ……」

男(女ちゃん…)

女「ハハ……ハハハ…ハハハハハハ!!アハハハハハハ!!!」ポロポロ

 

男(あの日以来…女さんは席についてる時もずっと
  そっぽむいて、俺が話かけても無視するようになった…)

男(連中のプライドがこんな小さな女の子に半殺しにされた事実を
  よしとしないのは明らかだから、表立った問題にはならなかった…でも)

校門前

女「なっ…」

男「女さん…」

女「……ふん」ズルズル

男「ま、待ってよ女さん!!」

女「……」ズルズル

男「女ちゃん!!」

女「……」ピタッ

男「ねぇ…やっぱり女ちゃん……なんだよね?」

女「ち、違う」


23 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 17:48:13 ID:8XABdbJV


男「この前は…その…ありがとう…」

女「……自分の身を守るためにやったことだ、あそこにはたまたまはいっただけで」

男「そんなこといってさ……昔もよくいじめられてた俺を助けてくれたよね?」

女「……」

男「俺は覚えてるよ……いつも俺を助けてくれた優しいけど不器用な女の子の事…」

女「そいつと私は違う。何度言わせる」

男「なぁ、一体なにがあったんだ?」

女「……」

男「女ちゃんが消えたあの日から今日までの間に一体」

女「その名で私をよぶなっ!!」


24 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 18:30:49 ID:8XABdbJV


女「おっ、お前のことが――」ブルブル

男「……」

女「――お前のことが大好きだった、世の中の右も左もわからないような世間知らずの女ちゃんは…
  あっ、あのベトナムの泥沼の中でくたばったんだ……っ!!もうっ、もう死んだんだよ!!!」

男「ベッ、ベトナム…?ベトナムに行ってたの?旅行かなん」

女「ああ、旅行だ…普通のソレと違うところは鉄砲担いで人殺しをする事くらい――」

男「なっ…」

女「殺したり殺されたり…楽しい、楽しい殺人ツアーだったよ……」

25 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 19:55:35 ID:8XABdbJV
男「そっ…その足も…顔の傷も…ベトナムで?」

女「…ああ」

男「なっ…なあ、女ちゃんがベトナムでどんな思いをしたのかは知らない…だけど」

女「……」

男「女ちゃんは女ちゃんだろ…違うのか?」

女「……あの時の私を見ただろう」

男「え?」

女「人殺しの私を…お前があの時止めてくれなかったら……私はあの
   2人を殺してた…きっとナムでやっきたように一辺の容赦もなく―――」

男「で、でもそれは俺を助けてくれるためで!!」

女「違うッ!!」


27 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 20:15:39 ID:8XABdbJV


女「私は楽しんでたんだ…!!殺しを……!!暴力を…!!ただのいじめをやめさせるためにあそこまでする必要はなかった…!!」

男「女ちゃん…」

女「だからっ…だから私に構うな……私の両手はガキ共や女の血で汚れてるんだ……」

男「でも!!ほっとけないよ、女ちゃんが倒した奴らの仲間はこの界隈にいっぱいいる…」(お前もまだガキで女だろ…)

女「私にはマリーンで叩きこまれた徒手格闘術がある…あんなヤツらが何匹かかってこようが…」

男「じゃ、じゃあ俺は!?俺だって奴らに狙われるかも知れないんだよ!?」

女「ぐ…」

男「それに…女さんだって一人じゃあ無理だよ……自分でもいったろ?もしかしたら加減できなくて――」

女「うっ、うるさい!!助けられるまでずっと…!!ずっと私のこと避けてたくせに……!!」グスッ

男「へ?」(声が震えてる……)


29 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 21:19:48 ID:8XABdbJV


男「な、なにを…?」

女「わっ私が…ぐすっ…こんな醜い面してるから避けたんだろっ…!?それとも…こっ…こんな……っ!!」ポロポロ

男「ちっ違う!!俺に構ったらあいつらにからまれると思って!!」

女「嘘だ…ひっく……こんなんになった私をみて…どうせお前も…お前も…あいつらみたいに…うぅ…」ポロポロ

男「おっ、女さんは醜くなんてないよ!!そのへんの女の子なんかよりずっと綺麗だ!!!」

女「なっ…///」


30 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 21:53:19 ID:8XABdbJV


女「そっ、そんな見え透いた嘘なんかに…ひっく…騙されると思ってるのか…うぅ…」グスッ

男「さっき女ちゃんは…俺のことを大好きだったていってくれた……」

女「あっ、あれは昔の話だ……」グスッ

男「俺は違う…女ちゃんがいない間も…俺はずっと女ちゃんのことを――」

女「男…おまえ……」

男「今だってそうだ…俺の知ってる女ちゃんはベトナムの泥沼の中で死んでなんかいない!!今ここに立ってる!!」ガシッ

女「おっ、おまえ、今自分が…!!その空っぽのオツムで何処で何を大声叫んでるのかわかっ」

男「――わかってる!!」


32 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 22:18:40 ID:8XABdbJV


男「わかってるよ!!学校でハブられてる俺が通学路で、気持ち悪い大声張り上げて
  女ちゃんが好きだって叫んでんだよ!!周囲の視線が痛いよ!!でも――」

女「……」

男「でも女ちゃんとまた仲良くなれるなら!!こんなことくらい俺は!!」

女「……ぅ」プルプル

男「……」

女「…うぅ…ひっく……」ポロポロ

男「女ちゃ…」

――――――ガシィッ!!

男「ぶふッ!?」

女「うわあああああ!!!!!男おぉぉぉ!!男ぉ!!私っ…!!私!!うぅっ…!」ポロポロ

男「ハハハ、いっ痛いよ…女ちゃんこそココどこだかわかってる…?」(これが…海兵隊仕込みのタックルか……やべぇ腰が…)

女「…ぐすっ…うっ、うるさい!!お前は…ひっく…黙って胸を貸してればいいんだ…うぅ…ふえ……ふえぇぇ///」ポロポロ



34 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 22:31:09 ID:8XABdbJV
男「…落ち着いた?」

女「うぅ…まあな……はっ恥ずかしいからこっち見ないでくれ///」

男「ごっ、ごめん…」(よく考えたら俺すごいこといってたな……今頃こっちまで恥ずかしくなってきた…///)

男「……///」テクテク

女「……///」ズルズル

男「あっ…ごめん、歩くの早かったね」

女「気にするな……」ズルズル

男「ねぇ…なんで…なんで急にベトナムなんかに?」


36 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 22:45:37 ID:8XABdbJV


女「……」ズルズル

男「べっ、別に答えたくないなら無理には……」

女「召集令状が来た…」ズルズル

男「へ?」(ていうか女さん日本人だよね?)

女「学生も召集されるようになってな――だがまあ大抵のやつは適当な理由をつけて徴兵を逃れた」ズルズル




37 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:11:11 ID:/2fQ2QFZ
なんで日本人なのに召集されるのだ

>>37すいませんリアリティは皆無です  細けぇこたあいいんだよ!!


39 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:22:07 ID:/2fQ2QFZ
了解
細けぇことはいいんだな


40 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:27:46 ID:lYOiKiMv
リアリティなんていらない。
面白いから問題ない。



38 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:17:59 ID:8XABdbJV


男「じゃあ女さんはなんで…」(学生つってもソレ大学生だろ…)

女「ホントになんでだろうな?中流以上の家庭、しかも学生ならいくらでも逃れる術はあった。でも多分あの頃はまだ――」ズルズル

男「まだ…?」

女「――まだ正義だとかそういう青臭いモンを信じてたんだ、悪逆非道のコミュニスト共からベトナム人を解放する……!!なんつってな…ハハハ…」ズルズル

男(お前何歳だよ……)

女「それにな…兵隊にいくのは殆どが貧乏人のガキで……徴兵制とはいっても実質、行き場のないそういうヤツらの志願で軍隊がもってたようなもんだ」ズルズル

男「……」

女「私にはそれが耐えられなかったし、臆病者にもなりたくなかった……自分から志願しようとまでは思わなかったが」ズルズル

男「……」

女「召集令状が来た時決めたんだ……私は逃げない、と」ズルズル


41 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 23:51:30 ID:8XABdbJV


女「無論みんなと離れ離れになるのは辛かった…そっその…お前とか……な///」ズルズル

男「……」

女「でも…徴兵だし…それにTVではこの戦争はもう終わりがけで…あと半年もしない内に終わるだろうって……」ズルズル

男「……」

女「だから私は…長くても一年……一年でベトナムから帰ってこれるだろうと思ってたんだ」ズルズル

男「……」

女「フフ、男…ここは笑う所だぞ……私がもう少し世間ってやつを知ってたら……」ズルズル

女「いくら当時でもベトナムの実情なんて簡単にわかったはずだ…だがお前がもう知ってる通りベトナムは――」ズルズル

男「……」ゴクッ

女「――最悪の戦場だった」ズルズル


96 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 15:16:42 ID:6Ys+tdUm

女「敵も味方も、戦闘員も非戦闘員もあったもんじゃない…昼までは鍬を持って畑を耕してた連中が夜には我々に銃を向ける…」ズルズル

男「……」

女「女やガキまでがだ……」ズルズル

男「……」

女「戦線なんてあって無いようなモンでどこにいようが毎日が常に死と隣り合わせだった……」ズルズル

男「……」


42 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 01:21:39 ID:KpK/u7l0
女「……で男は?」ズルズル

男「え?」ドキッ

女「男は私がいなかった数年間どうしてたんだ?」ズルズル

男「どうって普通にしてただけだけど」

女「じゃ、じゃあその…なんでヤツらに…」ズルズル

男「ああ…前あいつ等にいじめられてる子がいてね」ズルズル

女「……」ズルズル

男「クラスは違うし噂で聞いただけで、実際にいじめがあったのかどうか俺もよくわからなかった」

女「……」ズルズル

男「でもある日…見ちゃったんだ……校舎裏でその子がボコボコにされてるとこ…それで思わず」

女「――飛び出しちゃったってか?」ズルズル



43 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 13:42:20 ID:AFu889kY
擬音の「ズルズル」が気になってしようがないんだ。
これは何の音だ!?

>>43びっこひいてるんです 杖つかなきゃいけないほどじゃないけど
  左足引きずってる感じ



45 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 17:53:31 ID:KpK/u7l0
男「……うん、それで次の日から標的が俺にかわって…その子はしばらくしたら転校しちゃった」

女「プフッ」ズルズル

男「なっ、なにがおかしいんだよ!?」

女「いや…だってお前…フフ、本当にあの頃から変わってないんだと思ってな」ズルズル

男「む…」

女「あの頃からお前は……弱っちぃくせに正義感と優しさだけは人一倍あって…フフ」ズルズル

男「るせぇな…」

女「いらんことに頭つっこんで…結局いっつもお前が
   ピーピー泣いてるところを私が助けてやって…」ズルズル

男「……」

女「フフ……」グスッ

男「女ちゃん…」

女「なっ、なんでもない………」プイッ


47 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 18:18:01 ID:KpK/u7l0


翌日 学校

女「よう…」

男「おお、普通に話しかけてきてくれるようになったか」

女「なっ…なにいってるんだバカ野郎。で、でもいいのか?」

男「ん?」

女「私なんかと話してて…」

男「ま〜だいってんのか。そりゃお互い様だろ」

女「フフ、そうだな」

生徒達「あいつら仲良いな」「え、お前昨日あいつらが通学路で何してたか知らんの?」「え…ウソ、マジで?」ザワザワ


49 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 21:38:58 ID:KpK/u7l0


先生「え〜したがってここの解は」

女「……」ブルブル

男(さっきからずっと女ちゃんの手が震えてるんだけど…)

女「せっ、先生!!」ガタッ

先生「はい?なんですか?」

女「ちょっとトイレに――」

先生「まだ休み時間終わったばかりじゃないですか…すぐ戻ってきてくださいね」

女「Rog」ズルズル

先生(え?何?今の返事?)


50 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 21:54:03 ID:KpK/u7l0


女「ただいま…げふっ…帰還しました……」ズルズル

男(うわ…絶対こいつ飲んできたな……)

 

 

 

キーンコーン

男「う、やべ寝てた…」チラ

男(あれ?女ちゃんどこいったんだ?一緒に昼食おうと思ってたのに…)


51 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:01:47 ID:KpK/u7l0


女(ふう…男と一緒に飯食いたいがまずは…)クイクイ

女「んぐっんぐっ」

女「ぷはぁー」(コレだよな)

男(やっぱ屋上か、また飲んでるし……こっちに気付きそうにないな。よーし…)ジリジリ

女「はぁ…」(男まだ教室にいるかな…でもなんていって誘えば…むぅ…)

男(フフ…目標まで約3メートル、スキだらけだぜ…何かブツブツいってるな……)ジリジリ

女(なっ、なにを考えこんでるんだ私は…別にデッ…
   デートとかに誘うわけじゃ…ただ一緒に飯食うだけだ…)ブツブツ

男(目標まで約2メートル…よしっ!!)ジリジリ

女(一緒にお昼食べないか?うん、これだな…実に自然だ…フフフ…これでいこう…)ブツブツ

男(今だっ!!)

バッ!!


52 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:21:57 ID:KpK/u7l0

カッ

男「――うおっ!?」ドサッ

女「ッ!!」グイ

男「なっ!?お、俺だよ!!男っ…ぐ…がぁ…」(く、首を絞め…!?)

女「くッ!!ハアッ!!ハアッ!!畜生ッ!!畜生がッ!!」グイィィィ

男「ぐ…げぇ……女ちゃ…」(――あの時と同じ目だ……感情のない獣のような…)

女「畜生ッ!!死ねッ!!くたばりやがれッ!!グークがッ!!」グイィィィ

男「…がっ……ぐぅ…」(だめだ…意識が遠くなっていく…俺は……)

女「殺してやる!!よくもッ!!よくもダイクをッ!!こ、このッ!!」グイィィィ

男「おっ…女…ちゃ…」(俺はここで…)


53 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:43:08 ID:KpK/u7l0


女「――ッ!?おっ、男!?」パッ

男「げほっ…ごほっ…!!」

女「なっ…!?」(まさか――)

男「ごほっ…!!おっ…げほっ…女ちゃ…」

女「だっ、大丈夫か!!?なあ男!!おい!!?」(まさか私は男を手に――)

男「げほっ…びっ、びっくりしたぁ」ゼェゼェ

女「おっ…男……わっ…私は…私は…」(――そっ、そんな…バカな…そんなこと……絶対に…)

男「ふぅ…ごほっ…も、もう大丈夫だよ」ゼェゼェ


56 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:25:50 ID:KpK/u7l0


女「すっ、すまない…こんな……私…」(絶対にありえない…ナムでは…こんなこと一度だって……私は…)

男「わ、わざとじゃないんだろ?ならもういいって」

女(……私は一体何なんだ?)

女(戦場と学校、男とVCの区別すらつかないのか?)

女(一番大切な人を守ることはおろか……危うくこの手で……こっ、殺――)

男「女ちゃんってば!!」

女「っ!!」

男「もう気にしてないからさ……本当に大丈夫、飯一緒に食おうよ」

女「……」

男(目に涙が…)


58 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 00:05:16 ID:I5mG0H4j

男「いただだきまーす」カパッ

女「……」

男「……」ムシャムシャ

女「……」

男「……」ムシャムシャ

女「……」グスッ

男(うっ…空気が重い…やっぱりまだ気にしてるのか……なんとかして話を…)

男「おっ、女さんのご飯は?」


59 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 00:19:13 ID:I5mG0H4j


女「……」パサッ

男「へ…?これだけ?」(トースト一枚…)

女「ピーナッツバターサンドだ…おいしいぞ…」

男「そんなんで足りるの?」(チャーリーブラウンか、お前は)

女「足りるも足りないもこれで『足りさせる』しかない」

男「はぁ」

女「それに私にはコイツが――」コトッ

男(酒か…)

女「…いっ、いやなんでもない」

男「あ、全然いいよ…俺だってちょっとは飲むときあるしさ、別に隠さなくても」

女「そ、そうか?」


60 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 00:33:45 ID:I5mG0H4j


女「うっ…」グゥ〜

男「やっぱ足りないんじゃん、俺の弁当わけようか?」

女「いっ、いやそれは悪い…」

男「じゃあ購買部でなんか買ってきたら?そんなんじゃ身体に悪いよ」

女「金が無くてな…」

男「バイトとかしないの?」

女「……お前ならこんな傷だらけの薄気味悪いアル中ベトナム帰還兵と一緒に働きたいか?」

男「えっ…」(やべ…地雷踏んだか…?)

女「さっきお前自身が身をもって体験しただろう…
  こんなヤツ雇ってくれるところなんてアメリカ中何処にもない…」

男「ごっ、ごめん…」(ここ日本なんだけどな……)

女「なに、本当のことをいったまでだ。あやまることはない。つまり――」

女「ネコの金玉ほどの戦傷者手当じゃコイツが限界ってことだ、まあ安い酒くらいはどうにか飲める」

男(ネコの金玉て…ベトナムにいってから言葉づかいまで……)


61 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 00:47:52 ID:I5mG0H4j


男「あの…戦傷ってさ…その…」

女「ああ、この足だ。なんでこうなったってか?」

男「う、うん…」

女「ブービートラップだ」

男「ぶーびーとらっぷ?」

女「まあ簡単にいえば即席の罠だな、私がかかったのは竹槍に糞を塗りたくってある落とし穴だ」

男「な、なんでその…糞なんか…」

女「決まってるだろう、傷口を腐らせるためだ…おかげであと一歩で膝から下を無くすとこだった」

男「でもそんな罠じゃ相手を殺すことなんて…」

女「そりゃそうだ、奴等はハナっからそんなモンで我々を殺す気なんてないんだからな」

男「え…?じゃあなんで?」

女「一人の負傷兵を運搬するのに必要な人数は最低でも2人、これだけで負傷兵を含めて3人分の戦力をロストしたことになる……罠が仕掛けられてるのは奴等の庭ジャングルの奥深く――」

男「そ、それって…」

女「ああ…それが奴等の常套戦法、負傷兵をLZに運搬するまでに死体の山が出来るって寸法だ」


62 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 01:00:26 ID:I5mG0H4j
キーンコーン

先生「はい、じゃあ掃除の班今日は机下げるだけでいいよ」

男「女ちゃん、一緒に帰ろ」ガタッ

女「あ、ああ…」

男「どうかしたの?」

女「い、いや」(ついさっきあんなことをしたのに…なんで……本当に…本当に気にしてないのか?)

 

 

男「〜ってことがあってね」

女「フフ…」ズルズル

男「でさぁ、その時うちの母さんったら…」


63 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 01:23:42 ID:I5mG0H4j


ヌッ

男「ッ!?」

女「……」

男(まっ、曲り角にホームレスの人が寝てる…危うく踏みそうになった……)

女「……」

男「ふぅ、危なかっ……ん?女さん?」

女「……」

男(めっちゃ凝視してる…)

女「……」

男「女さん?」

女「っ…どうした?」

男「えっ、えと…あの人がどうかしたの?」(コッチの台詞だよ…)


64 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 01:31:26 ID:I5mG0H4j


女「ああ、一歩間違えば私もああなっていたかと思うとおもわずな……」ズルズル

男「え…」

女「あいつの首から顔にかけてひどい火傷の跡があった。みたか?」ズルズル

男「いや帽子でよく見えなかったからあんまり…」

女「あの火傷の跡は間違い無い……ナムで何度もみたナパームのソレだ」ズルズル

男「じゃ…じゃあ、あの人も帰還兵なの?」

女「おそらくな……」ズルズル

男「……」

女「別にそんな驚く様な事じゃない…なんたって全米の路上生活者の8割はベトナム帰りって話だからな」ズルズル


89 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 04:37:29 ID:6Ys+tdUm


男「はっ、8割も!?」

女「ああ、もっとも当時は徴兵逃れのためにホームレスになる腰抜けのが多かったがな…」ズルズル

男「そんな…もう戦争は終わったのに…」

ピタッ…

女「終わった――か。フフ、そいつはお偉方連中に限ってはの話だな」

男「女ちゃん…」

女「我々は違う。ベトナムを離れて多くの歳月が過ぎた今でも…我々の心はいまだあのジャングルの中を彷徨ってる……」

男「……」

女「…我々の戦争は…終わってないんだ……」

 

男(なんでだよ…なんで皆の代わりに戦った人……逃げずに義務を果たした人ばかりが…こんな…こんなっ――)

 

68 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 14:49:10 ID:I5mG0H4j


女宅

バラバラバラ…

小「よし、村人は全員ここに集めたな。いいか、徹底的に調べろ。
  この村にはVC容疑者、および連中の武器が隠してある可能性が高い」

村「○□○△×!!」「うぅ…○△…ふえぇぇ…」「…〇△〇×」ザワザワ

兵1「訳わかんねぇ事ごちゃごちゃいってんじゃねぇ!!」バキィッ

女「……」

小「少しでも怪しい素振りをみせたら迷わず撃て、容赦するな。
  女、お前はブートだから軍曹にしっかりはりついてろ」

女「ろ、rog!!」

兵2「オラオラオラ!!」タタタタン!!

軍「ニック!!豚なんて撃って遊んでんじゃねぇ、あっち調べてこい!!」

女(こんな…)


69 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 14:58:54 ID:I5mG0H4j
ゴオオオォォォ……

兵3「ハッハッハッ!!連中の家はよく燃えやがるぜ」

村「―――○△×!!」ガバッ

兵3「てめぇなにしやがる!!」ガキィッ

村「…うぅ」ゲホッ

兵3「軍曹殿。こいつ怪しいぜ、VCかもしれねぇ」

軍「よし、自白がとれるまで尋問しろ。おいロイはどこだ!!通訳してくれ!!」

女(こんなの…ただの焼き打ちじゃないか……)

女(私は…ベトナムの民衆を…コミュニスト共の毒牙から守るために…来)


70 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:20:13 ID:I5mG0H4j


軍「女ッ!!聞いてるのか!?」グイッ

女「ッ!!」

軍「なにボーッとしてやがる、しっかりケツについてろ!!」

女「rog…」

軍「どうした?この有様をみて何かご立派な事でも考えてたのか?さすが坊ちゃん出は違うな」

女「……」

軍「ここじゃ考えるだけ無駄だ。捨てちまいな、そんなモン。寿命を縮めるだけだ。」


71 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:34:57 ID:I5mG0H4j


軍「よし、女。テメェも俺のケツに張り付いてる
  だけじゃ退屈だろ。だからいらねぇ事も考える」

女「……」

軍「ココで見といてやるからあのボロ小屋を調べてこい。村人を
  集める時に軽く踏み込んだだけだからな、なにかないとも限らん」

女「…rog」

 

バタンッ
 
女「ッ!!」

女(怪しいものは特に何も…ん?)

女(……あそこに何かいる?)チャキ

女「……」ドキドキ

バッ

少「ひっ!!」ブルブル

女(ガキか…)


72 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:37:55 ID:I5mG0H4j

軍(女の奴、大丈夫か?妙に遅いな…)


兵4「○×△△?」

村「――○×□○△△!!」フルフル

兵3「なんだって?」

兵4「私はVCなんかじゃない、武器の隠し場所もしらないしそんな連中がこの村に来たのを見たことも――」

兵3「んだと…」スチャ

ガッキィィィィ!!

村「ガハッ…!!」

兵3「糞野郎が!!まだそんな事いってんのか!!いい加減吐きやがれ!!」


軍曹(コレでいいんだ。これが…戦争だ……)


73 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:46:31 ID:I5mG0H4j

少「……」ブルブル

女(こいつ…おそらく…私達が来た時に怖くて隠れてたんだな……)

少年「……」ブルブル

女(こんなに怯えて…可哀そうに……)

ソッ…

少年「――っ!!」

女「よしよし…私は怖くない……怖くないぞ…」ナデナデ

軍「おーい!!どうした!?なんかあったのか!?」トントン

女「!!」(やばい!!こっちに来る!!)


74 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 15:52:48 ID:I5mG0H4j

女「なっ、なんにもありません!!この家はクリアです!!」

少年「……」

女「ぼっ…坊主…私達が去るまで大人しく隠れてるんだぞ……」ナデナデ

少年「……」

女「フフ…じゃあな……」クルッ

少年「……」

女(フフ…どこにいっても可愛いもんだな……ガキってのは…)

――チャキッ


90 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 04:38:48 ID:6Ys+tdUm


女「なっ――」

ドゴッ

女(メ、メットに弾が…)

少「ッ!?ハァッ!!ハァッ…!!」カチッ

女「……」

少「ハッ…ハアッ…ハァ!!」カチッ

女「……」

少「ハアッ…!!○△…!!ハァッ!!」カチッ、カチッ

女「……」チャキ…

少「!!」

パアアァァァン


76 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 16:22:09 ID:I5mG0H4j
少年「……ぁ…ぅ」ドクドク

女「……」

少年「……ぉ…女…ちゃ…」ドクドク

女「えっ…」

少年「…ぉ…俺だよ…男だよ…」ドクドク

女「そっ…そんな…なんで…」

男「…酷い…よ…お…俺を…撃つなんて…」ドクドク


77 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 16:41:49 ID:I5mG0H4j
女「うわあああああああああ!!!!!」ガバッ

女「ハアッ…!!ハァッ…!!」(まっ、またあの夢か…)

女「うぅ…」(まだ1時半ってことは…30分しか寝てないのか…)

女「畜生ぉ…」(前はうなされてたとはいえ、3時間は寝れたのに……あれ以来…)
   
女(あれ以来ずっとこんな夢だ…私が……私が…男を――)

女「畜生おぉぉ!!クソッ!!クソッ!!!!」ガンッガンッ


隣「うっせーんだよ!!今何時だと思ってんだ!!」ドンドンドン


女「畜生っ……なんで……なんでっ…」グスッ


79 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 20:23:07 ID:I5mG0H4j

女(だめだ、眠れん…最近は睡眠薬も効かなくなってきた…)

女(飲みにいくか…今月はまだたいして使ってないしな……)

某BAR

女「マスター、一番安い酒を…」

 


女「ひっく…うぃぃ…」

?「おい」

女「ん?」クルッ

?「やっぱりだ!!お前女だろ!!懐かしいなぁ!!!」

女「なっ…!!トンプソン!!トンプソンじゃないか!!」

ト「へへ、68年のテト以来だな…」ガシッ


88 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 04:28:37 ID:6Ys+tdUm
女「どうだそっちは?」

ト「みての通りだ…五体満足で帰れたから日雇いくらいならできるがな…」

女「そうか…」

ト「あっ、悪りぃ…足やられたのか?」

女「ああ…テトの後にフィンガーチャージでな…」

ト「お前さんのほうはどうなんだ?」

女「たいした傷じゃないし戦傷者手当がもらえるからな…なんとかやってけてる」

ト「随分と飲ってるな。ナムでもそんな飲んでなかったぜ」

女「嫌なことがあってな…なに…こんなの水みたいなもんだ…」


91 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 04:41:48 ID:6Ys+tdUm

 

女「そっ、そうだ。軍曹…ロバート軍曹の事誰から聞いてないか…?」

ト「ん、ああ。お前軍曹の事好きだったもんな」

女「帰還してからの噂全然聞いてないんだ…何か知らないか?何でもいいから教えてくれ」

ト「い…いや…」(やっぱり…コイツ責任感じてるのか……)

女「!!なにか知ってるのか?」

ト「……」

女「……」

ト「いいか……?こ、これはただの噂だぜ…」

女「……ああ」ゴクッ

ト「パープルハートを持って帰ってきた軍曹は…職にあぶれて路上生活者になってたところを…」

女(まさか――)

ト「チンピラのケンカに巻き込まれて殺されたって…」


92 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 04:52:35 ID:6Ys+tdUm


女(そんな…)

ト「ホームレス狩りにやられたっつー話もあるがな、いずれにせよ殺されたって話だ」

女(私のせいだ……)

ト「まあこいつはただの噂だ…あんまり深く考…」

女(私があの時…死んでいれば…)

女(軍曹が殺されることはなかった……)

ト「おいっ!!」

女「っ…」

ト「よせ…こんなのタダの噂だ…事実だったとしてもお前のせいなんかじゃねぇよ」


93 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 04:59:22 ID:6Ys+tdUm
女「……」

ト「なっ、なあ。いいもんわけてやるよ」ソッ…

女「ッ!!お前これもしかしてジョイン」

ト「馬鹿野郎!!声が出けぇよ、ここいらにはコイツを買いにきたんだ…」ヒソヒソ

女「しっ、しかしお前」

ト「おいおい、ナムじゃ皆やってただろ。ガンボジアンレッドの味を忘れたのか?」

女「いやでも…」(だめだ…この匂いは…くぅ……)

ト「そんな安もんの酒よりずっと効くぜ、いいから一つ吸ってみな。嫌な事全部忘れちまうからよ」グイッ

女「ん!!むがっ…」


94 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 07:02:41 ID:6Ys+tdUm
女「おっ、お前無理やり」スパー

ト「ん?じゃあ返してくれ」

女「いっ、いや…」

ト「フフ…わかるぜ……お前マトモになろうとしてんだろ?」

女「……」

ト「ナムじゃ酒、女、ドラッグ、殺し、のオンパレードだったからな…」



95 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 11:56:39 ID:6Ys+tdUm
ト「だがな。この国にとっちゃ俺達はもう厄介モン、居場所なんてないんだ。努力するだけ無駄さ…」

女「わ、私は…」

ト「じゃあな、俺はそろそろいくぜ。この後日雇いの仕事があるからな…」ガタッ

女「ああ…」

パサッ

ト「こいつは俺からのプレゼントだ、今日は久し振りに戦友に会えて気分がいいからな。達者でな」

女(こんなに…ジョイントを……)


97 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 17:55:30 ID:6Ys+tdUm

男「おはよう女さん…ってなんか最近すごい疲れてない?」

女「ああ、ここんとこ眠れなくてな。まあ前からだったが最近特にな…」

男「そう…」(やっぱり前屋上で見た時みたいにうなされてるのかな…)

女「気にするな、私は大丈夫だ」

男「う、うん」(前にもまして酒くさいし…俺はなんの力にも…なれないのか…)

女(優しいな…男は…私は……私はそれなのに…)


99 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:20:51 ID:6Ys+tdUm
68年1月3日――――ダナン近郊

タタタン…パラ……タタタ!!

軍「糞ったれ!!ヘリはッ!?ヘリはまだか!?」

通「もうすぐ到着するそうです!!それまで持ちこたえてくれと!!」

軍「畜生!!何回目の『もうすぐ』だ!!」タタタン…!!

ト「ハァッ…!!ハァッ!!一体奴らどれだけいるんだ!?」タタタタタ…!!

兵1「も、もう、だめだぁ!!死ぬんだ!!俺達はここで皆殺しにされるんだ!!」ダッ

ガシッ

軍「うっせぇんだよ!!どこへいく!?ここがテメェの墓だ!!わめいてる暇があったら一人でもグークを――」

―――ヒュルルル

女「伏せろッ!!迫撃砲だ!!」


100 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 01:46:55 ID:RjSjf6gw
パラパラパラ…

軍「誰か!!やられたヤツはいないか!?」

兵2「大丈夫です!!全員なんとか生きてます!!」

兵3「ハァッ…!!ハァッ!!」

兵1「ひいぃぃ…」ブルブル

軍「ハハッ!!まるで奇跡だな!!キリスト様様だぜ!!」

女(畜生…なんてヤツらだ…こんな距離で迫撃砲なんて使ったら味方まで巻き込むぞ…)

ト「クソッ!!このままじゃアラモの二の舞だッ!!」


101 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 05:12:07 ID:RjSjf6gw

バラバラバラ

兵3「おい見ろ!!ハハッ、ヘリだ!!ヘリが来たぞ!!」

兵1「たっ…助かったぁ!!」

バッバッバッバッ

パ「グズグズするな!!早く乗れ!!」

女「軍曹、援護します!!早く皆を……!!」

軍「よしテメェら!!重いモンは置いていけ!!全力で走るんだ!!」

 


タタタン…パラ……タタタ!!

軍「女!!全員収容した!!お前も早く乗れ!!」

ト「急げ!!とっとと来い!!」

 

V「○□××!!」

女「Ro―」(なっ…!?こんな近くに――)

V「○×△GI!!」チャキッ

 

ト「女アァァ!!!」

 

102 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 05:12:53 ID:RjSjf6gw

タタタン…パラ……タタタ!!

女「ハァッ…ハア…ハァ!!」(くっ、くそ!!グレネードか…)

女「ち、畜生……」ムクッ

 

パ「まだか!?早く離陸させてくれ!!」

軍「うっせぇ黙ってろ!!奴はまだ生きてる!!」

ト「……頼む、あいつを…助けてやってくれ…神様…」

兵1「……」

 

女「ハァ…ハァッ…!!」(まずい…爆発のショックで…真っ直ぐ歩けない…)

女「クソッ!!ハァッ…ハァ…」ヨタヨタ

 

 

タタタン…パラ……タタタ!!

兵1「もう限界だ!!これ以上待ってたら俺達まで殺される!!」

パ「そいつのいう通りだ!!もう離陸するぞ!!」

兵2「とっとと出せ!!」

兵3「このままじゃ皆殺しになるぞ!?女だって自分の為に皆を危険にさらす事は望んじゃいない!!」

ト「そんな……」

軍「テメェらそれでもマリーンかッ!?もういい!!勝手にしろ!!」ダッ


103 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 12:41:07 ID:RjSjf6gw
兵2「なっ!?軍曹!!」

パ「畜生!!いかれてやがる!!もう出すぞ!!」

――チャキ

ト「やってみろ…テメェのオツムを吹っ飛ばすぞ……!!」

兵1「へ…?そんなまさか…?」

ト「お前ら、軍曹を援護しろッ!!全力射撃だ!!」タタタタ…!!

兵2「クッソオオオオオオ!!もうどにでもなりやがれ!!」タタタタタン…!!

兵3「畜生!!畜生!!畜生オォォォ!!」タタタタタタ…!!

パ「おっ、お前ら……!!」

 

 

タタタン…パラ……タタタ!!

軍「ハァッ!!ハァッ!!」

女(なっ…!?軍曹……!?)

軍「肩につかまれ!!」ガシッ

女「わっ…私のことは放ってお」

軍「黙れ!!馬鹿野郎ッ!!」

女「ぐ…軍曹……」


104 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 12:46:59 ID:RjSjf6gw
タタタン…パラ……タタタ!!

ト「よし!!あともう少しだ!!」タタタタタン…!!

兵1「ヒィイィイイィィイィィィ!!」タタタタ…!!

 

女「ぐ、軍曹!!もう大丈夫です…!!自分で走れます……!!」

軍「そうか!!よしヘリまで走るぞ…!!」

 

V「………」ジリジリ…

 

タタタン…パラ……タタタ!!

女「ハァッ!!ハァ…ハァ!!」

軍「ハァ…ハァ…!!よしもうそこがゴール…」

V「○×○△!!」ヒュ

――カラン

軍「ッ!!」ドンッ

女「ぐ、軍曹なにを――」


105 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 14:24:05 ID:RjSjf6gw
軍「ぐああああ!!クソッ!腕がぁッ――!!」ジュウゥゥ…

女「なっ…」

V「ダーイ○○□△!!」バッ


ト「糞ッ…!!もうすぐソコだ!!軍曹を背負ってくる!!援護しろ!!」

 

 

軍「ぐっ…うがあああっ…!!」ジュウゥゥゥ…

女「貴様アアァァァァァ!!」ダッ!!

――ガシィッ!!

V「ッ!?○×△△!!」ドサッ

女「ハアッ!!死ねっ!!ハァッ…ハァッ…!!」ギュウゥゥゥ

V「○△…!!…□○○…ヘ…ヘル…プ……」

女「ハアッ…ハアッ!!畜生ッ!!畜生がッ!!」ギュウウゥゥ

V「…□×…おっ………」

女「畜生ッ!!ハアッ…!!ハァッ!!――ッ!?」ギュウウゥ

男「…お…俺…だよ……おん…な…ちゃ…」ガクッ

女「―――――!!!!!」


106 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 14:24:58 ID:RjSjf6gw

女「うわあああああああああ!!!」ガバッ


隣「テメェ!!毎晩毎晩なんなんだ!!?いい加減にしやがれ!!」ドンドンドン


女「ハァッ…ハァ…」(ゆ、夢か…また…)

女(またあの時の…トンプソンと会った日からずっとだ……)

女(わっ、私はいつになったら悪夢から……ぐっ軍曹…私を――)

女(私を許してください……)

ガサッ

女(も、もう耐えられない……一服…一服だけなら……)

女(男に…迷惑だって……)


107 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 14:58:52 ID:RjSjf6gw
女「よう、男」ツヤツヤ

男「あ…おはよう。なんか最近元気そうだね」(おまけに酒臭くないし…)

女「ああ。ぐっすり眠れるようになってな。昨日なんて5時間半も寝たぞ」

男「そ、そう…よかった」(5時間半『も』?)

女「フフフ…こんなにゆっくり眠れたのはナムから帰ってきて初めてだ」

 


女「……」プルプル

男(う…また震えてる……)

先「こうしてローマは共和せ」

女「先生!!」バッ

先「はい…早くね……」

女「rog」

 

ガラガラッ

女「ただいま帰還しました」

男(やっぱり酒くさくない…ホントにトイレなのか?にしては毎日、毎日……)


108 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 17:56:17 ID:RjSjf6gw
男「やっべぇ遅刻した……おはよう、女ちゃ――ってアレ?」

委「女さんならまだ来てないわよ」

男「え…でももう三時間目……」(初めて話しかけられたな…)

委「この分じゃ今日は休みじゃないからしら?で頼みたいことがあるんだけど」

男(そんな…今まで一回も休んだことなんて……)

委「ちょっと聞いてる?この手紙を女さんの家にいって渡しといてほしいのよ。月曜までに出してほしいから」

男「は、はい」(ついでに女ちゃんの様子もみれるな…それにあの話もできるし……)

委「ありがと」(よかった…女さんおっかなそうなんだもん)

 

 

 

男「え〜と…確かこの辺だったな…」キョロキョロ

男「お…ここだ」トントントン

男(2階の何号室だったっけ?ん?)

男(これは…明らかに……女ちゃんの――)

ゴンッ!!

男「痛っ!?」


109 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 20:12:58 ID:RjSjf6gw
女「なっ…お、男?どうしてココに…」

男「痛てて…てっ手紙届けに来たのと…一つお話が…」

女「すっ、すまん。寝坊して寝過してしまっててな…」

男(女ちゃんが寝坊!?)

女「と、とりあえず中に――いや待った!!そこで待っててくれ!!」

バタンッ

女(アレを隠さないとな)

 

 

男(フフ、女ちゃんも女の子だな…今頃必死に部屋の片づけしてるんだろうな)

女「もういいぞー!!」

男(早っ!?)

ガラッ

男「おじゃましま――」

女「どうした?」

男「え…片づけてたんじゃ…」

女「だから片づいてるだろ」

男(部屋中にゴミと暴れまわった跡らしき穴が……)


110 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 20:22:54 ID:RjSjf6gw
女「さっきはすまなかった。いきなり起きて制服も着ずに慌てて部屋を飛び出してしまったんだ」

男「え…まさかその格好のままで寝てるの?」(軍服…)

女「私服はこれしかなくてな、それにナムには寝巻きなんてモン無かったからな。もう慣れた」

男「……」

女「そんな顔をするな。ベットで寝れるだけで満足だ私は。街頭で寝てる戦友だって多いんだからな…」

男「そう…」

女「よし、とっておきの酒を持ってきてやろう」

 


ドンッ

女「フフ、家にある唯一の高級品だ」

男「はあ…」(そういえば家にも意外とお酒とか転がって無いしまず酒臭くないな)

女「ぷはぁー!!ひさしぶりにこっちもいいもんだな!!」グビッ

男「へ?『こっち』って?」

女「いっ、いやなんでもない…どうした?なんかさっきから元気ないぞ」

男「あ…あのさ…表の張り紙って…」


111 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 20:39:37 ID:RjSjf6gw
女「ああ、帰還兵専門の高利貸しにちょっと金をな…」

男「なっ…」

女「安心しろ。たいした額じゃない。」

男「でっ…でも前は戦傷手当でなんとかやってけてるって」(たいした額じゃないのに『金返せ泥棒!』とか張られるもんなのか…?)

女「ウッ…い、いや贅沢するようになったからというか……」オロオロ

男「どのへんが前より贅沢なの…?」(むしろ酒も減ってるつか飲んでないくさいし…)

女「うっ、うるさいな!!なんだっていいだろ」

 


女「とっ…とりあえずお前も飲め!!」

男「うん…」

女「どうした?まだなんかあるのか?」

男「他にも扉に『ベビーキラー』とか『人殺し』って…」

女「ああ…そいつは自称平和主義者のクソガキ共の仕業だ、高利貸しとは関係ない」

男「そんな…」

女「それに事実といえば事実だからな、何、気にしてないさ……」


112 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 20:48:45 ID:RjSjf6gw
男「でっ、でも女さんは義務を果たしただけだろ!?なのに…こんな…」

女「私みたいな階層の人間が徴兵されてナムにいったって志願したのと同じことだ。逃げようと思えば簡単にできたんだからな。もっとも今の私は当時志願してた連中と同じかそれ以下だが…」

男「しッ志願した人だってみんなのかわりに戦ったのに…!!」

女「そいつは違うな。ヤツらに言わりゃ人殺しをしたくてナムにいったキチガイ野郎共だ。だから――」

男「……」

女「たとえ帰還兵の内、戦死者の2倍もの人間がホームレスになり、3倍もの人間が自殺しようが、全部自業自得。自己責任って訳だ」

男(こっ…これが……女ちゃんを取り巻く…現実なのか……)

 

 

男「……」ポロポロ

女「おっ…男?」(まさか…泣いてる…のか?)

男「こっ、こんなの……酷過ぎるよ…」ポロポロ

女「だ…だからってなにもお前が泣くことは……私は…」(こんなに…こんなに私のことを…心配してくれて…)

男「うぅ…ひっく…」ポロポロ

女「私は大丈夫だ…だって私には……お前が――」ソッ…

男「うっ……おっ…女ちゃん……」グスッ

女「―――お前が……い、いてくれるんだからな///」ナデナデ

男「……///」


113 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 20:56:13 ID:RjSjf6gw
女「フフフ…あの頃もこうやっていじめられて泣いてたお前をよく……懐かしいな」ナデナデ

男「うっ、言うなよ……//」

女「ところで…お話ってなんだ……?」ナデナデ

男「あっそうだ…忘れてた」

女「?」ナデナデ

男「……ってもう頭撫でてくれてなくていいよ。泣いてないよ…」

女「いいではないか」ナデナデ

男「くぅ…」(なんで俺が慰められてるみたいに…)

 


男「その…これ…」サッ

女「ん?映画のチケット…これがどうかしたのか?」

男「いや、俺とさ…」(に、鈍いなオイ…)

女「俺と?」

男「2人で行かない?」

女「……」

男「お、女さん…?」


114 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 21:16:33 ID:RjSjf6gw
女「これって…その…もしかして……」プルプル

男「え…」

女「デ…デデデ、デートだったり……するのか///?」カアアァァァァ

男「ま、まあそうなるかな」

女(や、やっぱり……)

男(え…なにこの沈黙……)

女「…あ…あり」(やっぱり男も私のことを……こんな…私のことを……)

男「ちょ…女さん?」

女「ありがとう…本当に…うぅ……ありがとう…」グスッ

男「ど、どういたしまして」(んな大袈裟な…)

 


男「明日で大丈夫かな?」

女「大丈夫だ!!例え7.62mm弾で恥骨を撃ち抜かれようとも絶対にいく!!」

男「むっ…無茶しないでね?」(なんだ、その下品な例え)

女「Rog!!」

男「えーと時間は…9時に駅前でいい?」

女「0900時駅前集合だな!!rog!!」ビシッ!!

男「う、うん…」(テンション高いな…)

女(フフ、男とデートかぁ♪)


115 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 22:30:35 ID:RjSjf6gw
女(明日は男との初デート!!絶対に今日みたいな遅刻は許されん!!)

女(今日は徹夜、ショイントも抜きだな。何、ベトナムでは一睡もとらないなんてザラにあったことだ!!)

 

女(うぅ…ドキドキして全然眠くはならないが……暇だな…)

女(よし!!明日の作戦を考え――とはいっても服だってコレ一着しかないしプランも男がもう考えてるんだろうな…)

女(じゃ…じゃあ目標を決めるか!!あ…明日は…デートが終わるまでに……き…キキキ///)

女(いやいやいやいや!!あっ焦りすぎだぞ…女よ……戦いにおいて焦りは一番の敵だ)ブンブンブン!!

女(よっ…よし…手だ、テートが終わるまでに手をつないでみせる…フフ…これなら妥当な目標だな)

 

 

女(ああああああ!!!!やることねええぇぇ!!)

女(こうなったらもう待ち合わせ場所にいっておくか!!あ、明日の下見をかねて!!)

※現在の時刻午後11時

 

男(待ち合わせ場所にでっかいダンボールハウスが…昨日までなかったのに……)

女「おお!!男、早いな!!!まだ20分前だぞ!!」ガサッ

男「待ったかな…?」

女「いや少し前(8時間40分前)に来たばかりだ!!」

男「そ、そう…」(明らかに一晩中いた形跡が…)


117 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 22:54:32 ID:RjSjf6gw
男「ハハ、お互い随分早めに来ちゃったね」

女「ああ!!」

男「じゃ…じゃあまず映画館いこっか」

女「Rog!!」

男「ハハハ…」(相変わらずテンション高いなぁ…)

女「〜♪」

男(でも勇気を出して誘ってよかった…こんな明るい女ちゃんあの頃以来だ……)

女(フフ…映画館か……手をつなぐ絶交のチャンスだな…いきなり目標制圧か?)

 


映画館内〜上映中

男「……」

女「……」チラッ

男「…おっ」

女(くそぅ…男が気になって映画に集中できん……)

男「……ん」ガサゴソ

女(まだ…だよな?こういうのは盛り上がってきた時に――)ガソゴソ

コツン

男「あッ…ご、ごめん…」

女「わっ、私こそ……///」


119 :創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 23:52:53 ID:RjSjf6gw
男「はあ〜おもしろかったね。途中ちょっと泣いちゃったよ、ハハ」

女「そ、そうだな…」(結局目標達成ならず…か。なに、まだ先がある…!!)

男「女ちゃんはどうだった?こういう映画弱かったよね?」

女「ん…いや…向こうから帰ってきてから余り泣けなくなってな」

男「でも俺まだ女ちゃんって結構よく泣くイメージなんだけど…」

女「そっ…それは…お前が――」

男「お、俺?」

女「…お前が……関わった時だけだ」ボソッ

男「え?最後なんて?」

女「うっ、うるさい///!!それより次!!次はどこにいくんだ!?」

 

 

 

男「じゃあさ、ご飯食べに行かない?」

女「おお!!」

男「なんか食べたいモノある?」

女「ん、ベトナム料理以外ならなんだっていいぞ!!――あっ」

男「どうかした?」

女「そ…その、お金が…できたら安い所が……」

男「じゃあ俺が払うよ」

女「いやそんな…悪い…」

男「こういう時は男が払うもんだよ」

女「っ…いや…でも…」


120 :創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 13:38:14 ID:gRq4ym5T
マクド

男「ほんとにいいのに…」

女「すまん…」


カ女「フフ♪次はどこにいくの?」

カ男「この近くにおいしい店があるからそこにいこう」

カ女「うんっ!!」ギュッ


男「はぁ…」(デートのプラン立ててきたんだけどなぁ…)

女(うっ…カップルをじっとみてる……男もやっぱりあんなデートをしたいんだろうな…)

 

 


男「でっ、でもマックも結構おいしよね!!」(やべっ…女ちゃんのテンションが…)

女「ああ…」

男(MサイズポテトとSサイズのコーヒー…そんなにお金が……)

女「うぷ…」

男「食欲ないの?」(しかももてあましてるっぽいし…)

女「ナムから帰ってから余り食欲がな…まあ毎日ピーナッツバターサンドだったから胃が小さくなったんだろうな」

男「そう…」


121 :創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 13:47:32 ID:gRq4ym5T
モブ「ちょっとあの子見た?」 「軍服着てるぞ…」 「髪ボサボサだし傷だらけだわ…なんか怖い」ヒソヒソ


女「……」

男(うっ…俺達の周りだけ人が誰も……)

女「……」グスッ

男「つ、次どこいくか話そうか…!!」(やばい、やばい、やばい!!今絶対泣きかけてた!!)

女「…ああ」(ん?今はいってきた男…でかい鞄を店の入り口のテーブルの下に…)

男「でさ〜」

女(出口のテーブルの下にも荷物が…)

 


女(しかもはいってきた男…荷物を置いたらすぐ奥のトイレに入った……これは――)

男「ん?」

女(ベトナム……67年8月3日……サイゴン………)

男「女…ちゃん?」

女「ハァ…ハァッ…ハアッ……」(チョロン地区……ジェームズ伍長……デイビス上等兵………)

男「だっ…大丈夫?」(目が…)

女「ハァッ…ハアッ……ハアッ…!!」ブルブル

男(女ちゃんの目が……あっあの時の――)


123 :創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 13:59:16 ID:gRq4ym5T

女「伏せろオオオオオオ!!!!」ガバッ

男「なっ…!?」

ガッシャアアアアン


モブ「なッ、何今の声!?」「あ、あそこの子がいきなり…」「ありゃイカレてるな」ザワザワ


女「ハアッ…!!ハァ…!!ハァッ!!」

男「お…女ちゃ……苦ふぃいでふ…」(胸が顔に…)

女「――――ッ!?」バッ

 


男「痛つつ……」ムクッ

女「すっ、すまん!!つい!!」(おっ、男を押し倒してしまった……)

男「いいよ…俺を守ろうとしてくれたんだろ?それに――」

女(しっ、しかも…男の顔が……むっ…胸に///)

男「いやなんでもないです…」(危っぶね…危うく変態発言をしそうに…)

女「……///」

男「……///」

ザワザワ… ヒソヒソ…

男「出ようか…」

女「ああ…」


124 :創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 14:23:45 ID:gRq4ym5T
女「……」ズルズル


カ女「フフ♪見てこの服!!新しく買ったの!!似合う?」

カ男「あっ、それ新しい服?」

カ女「んもー!!それくらい気づけー!!」ポカポカ

カ男「ハハ、痛てぇよ」


男「で、でさ次に行く所なんだけど」

女「な…なぁ…もう帰ってもいいんだぞ……」ズルズル

男「え、そんななんで…」

女「だっ、だってさっきも…私は……男に…迷惑を……」ズルズル

男「別にあんなことくらい気にしてないよ、今だってすごい楽しいしさ」

女「男…」ズルズル

男「だからさ、俺に付き合ってくれよ」

女「うっ…」グスッ

男「ホラ、やっぱり女ちゃんよく泣くじゃん」

女「うっ…うるさい…泣いてなど……いない…」(なんで…なんでこんなに……優しいんだよ…コイツは…)


125 :創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 20:20:25 ID:gRq4ym5T


ザワザワ… ヒソヒソ…

女「……」

男「う〜ん…」


カ女「ねぇねぇ!!これカ男に似合うんじゃない!?」

カ男「え〜俺はコッチのがいいな」


女(なんて…なんて華やかな世界なんだ……なのに…)

男「こっちの方がいいかなぁ…」

女(なのに…鏡に移ってる私の姿は……)

男「いや、やっぱこっちも…」

女(醜い浮浪者?それとも化け物か?フフ、場違いにも程があるな……)

 


女「……」グスッ

男「こっこれ着て見てくれない?」ドッサリ

女「なっ…」(山のように服が…)

男「絶対似合うと思うからさ!!」

女「いっ、いや別にこれなら体に当ててみるだけで!!」

男「ホラホラ、更衣室はあっちですよ〜」グイグイ

女「うぅ…」ズルズル


126 :創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 21:06:17 ID:gRq4ym5T

女「じゃ、じゃあ着てくるから……終わったら声を…かける」

男「う、うん!!前のソファーでまってるから!!」


女(うっ…こんな服着るのなんて何年ぶりだろう…ワンピースってこんなにヒラヒラしてたっけ…)ヌギヌギ

女(私なんかに…こんなモノ着せて似合うはずないのに……)ヌギヌギ

パサッ

女(あらためてこうやって見ると…酷い身体だな……ここにも傷が…)

女「…うぅ……」グスッ

女(仕方ない…着るか……)

 


女(き、着終わったけど…むっ……胸元まで空いてるぞ…肩もだしてて…)

女(…これじゃあ傷が全部丸見えだ……それに…)

女(こんなに軽いモノだったか…?…スースーして…なんか頼りない感じ…)


男「女ちゃん遅いなぁ…」


女(うぅ…こんな姿を見せるのか……///)


男「女ちゃんまだー!?」


127 :創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 03:10:46 ID:yqrrUcml
―――カラカラカラ

女「……///」カアァァァァ

男「……っ」

女(フフ…言葉もでない程アレか…いっそ笑ってくれ……)

男「……」プルプル

女(だから嫌だといったんだ……)

男「っごい!!すっごい!!似合ってるよ!!」

女「…えっ?」

男「まっ、まさかここまで似合うなんて…!!」

 


女「そっ、そんな無理しないでくれ……!!別に今さら傷ついたりなど――」

男「何いってんだよ女ちゃん!!目ぇ大丈夫!?」

女「お、お前……」

男「女ちゃん痩せてるし黒い長髪が白いワンピースに映えてすっごい可愛いよ!!」

女「なッ!?わっ…私が……かっかかか可愛い///!!?」カアァァァァ

男「うんうん!!」

女(男…ありがとう……たとえそれが言葉だけだとしても私には…)


128 :創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 03:23:13 ID:yqrrUcml
男「じゃ、じゃあこれ買おうよ!!」

女「いっ…いや値札をみたが私にはとても……」

男「俺が払う!!俺が払うからさ!!!」

女「だっ…それはだめだ……私なんかにお金を…返せるあてもないし…」(だめだ…)

男「返さなくていいよ!!これを普段着てくれるだけでさ!!」

女「でっ…でも……」(だめだ…男に甘えたら……男は優しいから……)

男「本当にだいじょ」

女「いいっていってんだろ!!!」

 


女(ッ!?いっ、いきなり声が!?そっ…そんなどうして…)

男「なっ…」

女「ちっ、違!!すまん!!怒鳴るつもりなんて!!急に声が出てしまって……!!」

男「い…いや…謝らなくていいよ……無理に勧めたのが悪かったね…ハハ…」

女「そっ、そんなこと…」

男「……」シュン…

女「か、買えはしないけど他にも男が持ってきた服あるだろ!?きっ、着てくる!!」ダッ


129 :創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 09:50:27 ID:h+xEfyyt
女(ばっ…馬鹿野郎…!!なんで怒鳴ったりなんか…!!)

女「ぅ…うぅ……ひっく…」(わっ、私は…うぅ…嬉しかったのに……可愛いって言われて…)

女「…ぐすっ…ふぇ…ふえぇぇぇ」(嬉しかったのに!!)


男(滅茶苦茶泣き声が聞こえてくる……)


女「ふぇっ…ふえぇぇぇぇ……」(声がっ!?声が抑えられない!?どっどうして…)

女「…うぅ…ふぇぇぇ……ひっく…」(泣くな!!泣くんじゃない!!これ以上男に心配を……!!)

女「ふえぇぇ…ぐすっ……」(やっやだ…こんな…ふっ…震えが……震えが止まらない)


男「女ちゃん、全然気にしてないよ。だから泣かなくても…」

女「だっ、黙れ!!!泣いてなどいない!!」ブルブル

男「……」

女(なっ…また怒鳴って……)ブルブル

男「女ちゃん…」

カララッ!!

女「す、すまん…便所にいってくる!!」ダッ

男「おっ女ちゃん、上!!上まだ下着だけだよ!!」

 

 

バタンッ

女「ハアッ…ハッ…ハアッ!!」ガサガソ

女「ハァ…!!ハアッ…!!」(こっ、こいつだ!!昨日からこれをまだ一服もしてないから…)

女「クッ!!ハァッ…ハアッ…!!」(一服、一服だけ…!!)

スゥーハァー

女「ハァッ…ハァッ……」

女「フゥ…」(震えが…治まった……)


131 :創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 18:09:08 ID:5msBDhp3
女子トイレ前

男(こっ、ここにいるのか?鍵しまってないけど…明らかに誰かいる感じだし)

男(女ちゃん…あんな格好で……泣いてるのを聞かれたくなかったのかな?)

男(でも…だとしたらなんで泣き声が聞こえてこないんだ?もしかして女ちゃんじゃない?)


女「へへ…フフフ…」


男(いや…女ちゃんの声だ……でもなんで笑って…ン?)

男(煙が天井に…それにこの変な匂いはまさか――)

 

――バンッ

女「なっ、おっ男!?」

男「……女ちゃんソレは何?」

女「こっ…これはタバコというか、その…」

男「いっ…いくら俺でもソレがタバコじゃないことくらいわかるよ」

女「……」

男「やっとわかったよ…」

男「何で急にお酒を飲まなくなったかも、眠れるようになったかも、お金を借りてるのかも――」


132 :創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 18:20:40 ID:5msBDhp3
女「なっ…何が悪い!?良い事だって…!!」

男「良い訳ねぇだろ!!!」

女「ッ…!!」ビクッ

男「なっ…なんで俺に……俺にッ!!」ポロポロ

女「……」

ガシィ

男「こんな!!こんなものッ!!」グシャア

女「――――ッ!!貴様アァァァァ!!」


―――バキイイイイィィィ!!!


男「ぐわぁッ!!」

ガッシャアアアアアン

男「ぐぅ…ぁが……!!」ゴロゴロ

女「あ…ぁ……」

男「…ぐっ…げふっ…!!」ゴロゴロ

女「…う…ぁ…ひっ……」

 

女「うわあああああああぁぁぁ!!!!!」ダッ

 

133 :創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 18:48:15 ID:5msBDhp3
男(次の日から女ちゃんは学校には来るが、ずっと机に突っ伏してるようになった。俺を無視するためか寝たふりをしてるつもりみたいだ。ただ震えが激しくってとても見れたもんじゃない)

男(例のトイレにもいかないようになったし段々震えも小さくなっていった。どうやらマリファナを断とうとしてるみたいだ……だけど)

男(そんな学校生活が続く内に少しづつだが女ちゃんは学校をよく休むようになっていった……)

 

女宅

女(うぅ…昨日も一睡もできなかった……もう登校の時間か…でも)

女(でも行きたくない…男が隣にいるのに……寝たふりしてないといけないなんて…)

女(もう3日連続になるけど……興奮したら何をするか…自分でも…)

女「……」グスッ

女「…こんなの」

女「こんなの地獄だ……いっそあの時――」

 

グウゥゥゥ

女(そういえば…もう2日前からなんも食ってないな……死んでしまうぞ…)

女(フフフ…それもいいかもな……)

女(だがまあ……わざわざ餓死ってのもな……コンビニいくか…)

女「…ッ」ヨタッ

女(くっ…クソッ、まともに歩けん……)ヨタヨタ


134 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 13:24:14 ID:h4bu30Wl
女(眩しいな……こんなに太陽が…)フラフラ

モブ「ヒッ!?」

女(フフ……こういう反応にも…もう何も感じないな………)フラフラ

ワイワイ、ガヤガヤ

女(豊かな国だな…ナムとは違って……もうベトナムなんて単語は
  ヤツらにとってはノスタルジーの対象でしかないんだろうな……)フラフラ


男「〜」

?「〜♪」


女(ん?あそこにいるのは…)

 


?「――」

男「〜〜」


女(あれは男…?隣にいるのは――)

女(――女の子だ……しかもすごい可愛い…こっ、これって……)ブルブル

女(ち、違う…!!そんなハズはない!!これはなにかワケが……!!)


男「♪」

?「〜♪」


女(二人とも……服をみてるのか………?)

女(…服を身体にあわせて……すごい楽しそうだ…い……)ブルブル

女(いっ、いや…嫌だ…こんなの嫌だ…違う……おっ…男だって…私を…私のことを……!!)ポロポロ

―――ハッ


135 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 13:36:20 ID:h4bu30Wl
女(…なんだ?この鏡に映ってるやつれた女は?髪はボサボサ、服は土にまみれ、傷だらけの死人のような顔をした……)

女(向こうの女ときたらどうだ?髪は綺麗で服は洒落てて、傷ひとつないなめらかな肌…女の子らしい笑顔…)

女(そうだ。そうだよな。わかりきってた事じゃないか。当たり前だ。至極当然。)

女(私が勘違いしていただけなんだ。)

女(フフ、そうか。勘違いか…)ブルブル

女(滑稽だな…こんなにも長い間私は――)ブルブル

女(私は―――)


136 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 13:54:40 ID:h4bu30Wl
女宅

女「……」ゴトン

女(思い残すことはない)

女(いじめもなくなった今男はああやってちゃんと彼、いや友達を…)

女(フフフ、このごに及んでまだ私はつまらない意地を張るか……まあでも)

女(充分幸せだったな、私は。祖国にも、軍にも、国民にも見捨てられても私の傍には)

女(――お前がいた。)

 


女(勘違いだったとはいえ、いい夢を見れた)

女(さてと、そろそろいくかな。軍曹やジェームズ達も待ってるだろうしな)

女(フフ『Once a Marine, Always a Marine.』か、死んだらどうなんだろな?)

女(まあ海兵隊だろうとなかろうと、私はどうせ地獄行きだ)

女(むこうでもお前に会いたかったが……まあお前にゃどうせ無理だろうな、フフ)

女(これで今度こそ……今度こそ―――)

女(―――サヨナラだ。)ジャキッ

 


※Once a Marine, Always a Marine. 一度なったら、常に海兵 
 つまり退役しても海兵隊としての誇りをもてと

 

137 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 15:32:28 ID:h4bu30Wl
女「…ハァッ…ハァ……ッ!!」キチチ…

女「ハァッ…ハアッ……!!」キキ…

――バサッ

女「ッ!?」

ダダダダッ

女「なっ…!?よ、よせッ!!来るな!!」

 

 

 

ズガアアァァァァン

女「な…なんで……」

男「なんで…だと?」ポタポタ

女「……」

男「それはこっちの台詞だ!!!」

女「ッ!!」ビクッ

男「何でっ…!!何でこんなことを……!?」


138 :創る名無しに見る名無し:2009/05/21(木) 19:29:24 ID:zqvJWPnU
女「お、男……腕から血が…」

男「うるせえっ!!掠っただけだ!!しっ…質問に答えろ!!」

女「……」

男「答えろ!!答えてくれ!!頼む……!!」

女「……」

男「…頼む」

女「とっ、止めたのは――」

 

 

 

 

女「―――私の事が好きだからか?」

男「あっ、当たり前だろ!!好きな人に死んで欲しくない奴がこの世いるかよ!!」

女「その好きというのはどういう『好き』だ?」

男「えっ…そ、それはその…」

女「……」

男「……友達とかじゃなく…おっ…女の人として…」


139 :創る名無しに見る名無し:2009/05/22(金) 01:37:17 ID:AFpzQEg7
女「――嘘をつくなっ!!」

男「なっ…!?」

女「そっ、そんなハズがないだろう!?私は見たんだ!!お前が他の女の子と買い物をしてる所を!!」

男「いっ」

女「お前がッ!!お前が私に一回も見せたことのない笑顔で!!お前たちはっ…!!」

男「そっ、それは違う!!アレは…!!」

女「もう…いいんだ……わっ、私はお前を責めてるつもりはない……」

 

 


女「当たり前の事だ…むしろせいせいしてる……」

男「な、なにを…」

女「だってそうだろ…?こっちはアル中でシャブ中で人殺しで障害持ちの兵隊崩れ……向こうは可愛い女の子……」

女「向こうが好きで当然だ…むしろ好きじゃなきゃおかしい……違うか?」

男「……」

女「だけどな……私はお前が…好きだったんだ……」


140 :創る名無しに見る名無し:2009/05/22(金) 01:41:42 ID:AFpzQEg7
女「マヌケな私は…お前が私といてくれるのを…お前が映画館に誘ってくれたのも……」

女「おっ…お前も私のことを…すっ…好きだなんて……うぅ…」グスッ

男「……」

女「知ってたのにな…フフ……お前が優しい人間だって…バカがつくほど優しい人間だって――」

女「ずっとずっと前から……知ってたのにな……」

男「……」

 

女「私はナムにいって変わった……さっきいったようなことだけじゃない…」

女「幾つもの眠りの無い夜を過ごし、幾つもの死線を越えていく内に……お前に対する気持ちに…気づいたんだ……」

女「例え離れていても…お前がいたから……私は……っ」

男「……」

女「もうっ…もう耐えられないんだよ……」

女「お前が『優しい』から…私と一緒にいることにもう耐えられないんだよ!!」


144 :創る名無しに見る名無し:2009/05/23(土) 23:27:37 ID:sdJo07VQ
女「お前ともういたくないんだ……お前に同情や憐憫の念でやさしくされるのは私にとって死っ……」グスッ

女「…死ぬより……辛いんだ……」ポロポロ

男「……」

女「うぅ…ぐすっ…うええぇぇ……」ポロポロ

男「…ざけんな」ボソッ

 

 

男「ふざけんなッ!!!」ガッ

―――ドサッ

女「なっ!?」

男「なんで!!なんで信じてくれないんだ!?俺がッ!?俺が優しさなんかでデートいったり一緒に飯くったりする人間だと!?」

男「お前は…!!俺のことなんもわかっちゃくれてなかったのか!!?」

女「でっ、でもっ…!!」

男「好きだからに決まってるだろ…愛してるからに決まってるだろ……!!お前がいうような優しい人間なら――」

男「俺はこんなに弱っちくなんかねぇ!!!お前に守られて俺はッ!!俺はただそれに甘えていただけだ!!」

女「おっ…男…」


147 :創る名無しに見る名無し:2009/05/23(土) 23:38:24 ID:sdJo07VQ

女「なっ…なんで…私には傷だって…それに…」

男「そんなもんで…そんなもんで俺を信じれなかったのか……!?たかがこんなモンで!!?」

女「おっ…お前を殺しかけ……」

男「ハッ!?あれが殺しかけた!!?いくら弱っちぃからってあんなもんで俺が!?俺をなめるんじゃねぇ!!」

女「おっ…男……」

男「……」ゼェゼェ

女「そっ、それでも……それでも私は……私はどうしたってお前を………」

 

 

女「…お前を信じれないんだよ」

女「こんな…こんな……私を…愛してくれるなんて………」グスッ

男「……」

女「ナムで私は何をしたと思う?きゅ…9歳かそこらの子を…撃ってきたとはいえ……」ブルブル

女「殺したんだぞ…しかもジャミングをおこして抵抗できない状態で……」

男「……」

女「そんな人間がっ…一番大切な人から愛されるなんてこと……あるはずがないじゃないか……」

女「男……私はな…」

女「私は68年1月3日のダナンで…死ぬハズだったんだ……」


148 :創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 15:23:58 ID:2MsIPOai
女「だけどな、死に損なった…生き延びてしまった……」

男「……」

女「フフ、でも世の中そう都合よくはいかないんだな……だから私の代わりに軍曹は……」グスッ

女「因果なんだ……分不相応な出来事はどこかで割り引かれる……私には私にあった幸せがある…… …」

女「酔いに任せてマスターにくだをまく…これくらいが私に与えられるべき最大限の幸せだ……」

男「……」

女「楽しかった…お前と一緒にいれて……だけどな、楽しすぎた…そのツケをお前に払わせることなんかできない……」


151 :創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 19:08:32 ID:2MsIPOai
女「そして…お前が私を……愛してくれるハズが――」

――チュ

女「――ッ!!?」

男「払うよ、全部払う…だから信じてくれ……」

女「なっ…そっ…」

男「どんなツケだろうがどんな因果だろうが受け止めてやる」

女「そんな…やっ…やめろ……私は気づいたんだ……私がこんな幸せであっていいハズが…」

男「だから俺が全部そんなもん引き受けてやるっていってるだろ」


152 :創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 23:33:50 ID:2MsIPOai
女「よっ……よせ…死んでしまうぞ…ぐっ、軍曹みたいに……」ブルブル

男「女ちゃんが俺の事を信じてくれるならそんなリスクくらい……」

女「うそっ…嘘だ…こっ…こんな…」

男「こんなこと嘘でいうか…女ちゃんが壊れていくのも死んでしまうのも俺にはとても耐えられない」

女「…お…とこ……」

男「今度は俺が強くなる番だ、俺が女ちゃんを守る番だ。」

女「…うぅ…ぉ…とこ…」

男「これ以上何も女ちゃん一人が……背負う必要なんてないんだ!!」


153 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 15:10:55 ID:iGXuTGOC
女「しっ…信じていいのか?」

男「何度も言ってるだろ」

女「あっ……甘えてもいいのか?」

男「もちろん」

女「じゃっ…じゃあもう一回キスしてもらっても――」

――チュ

男「どうだ?」

女「…っ」


154 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 16:05:23 ID:iGXuTGOC
女「げっ…現実…だ…やっ、やっぱりこれは……ゆっ…夢じゃないんだな……?」ペタペタ

男「当たり前だろ」

女「フフ…嘘だろ……きゅっ…急に消えたり…してくれるなよ?」ペタペタ

男「ああ」

女「――っ!!」

ギュウウゥゥ

女「男…おとこぉ…ほんとに…うぅ……」ポロポロ

男「ちょ…くっ苦しいよ…」

女「ほんとに…ぐすっ……男なんだ……」ポロポロ

男「女ちゃん…」

女「わっ…私は…えぐっ…うっ…うぅ……」ポロポロ

男「……」

女「うわああああぁぁぁ!!!ずっと!!ずっとこうなれたらって!!わっ、私は!!ナムの地獄にいた時から!!」ポロポロ


隣「うるせええええええ!!!!ぶっ殺すぞ!!!!死ね!!死んじまえ!!!」ドンドンドン


156 :創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 12:08:22 ID:o77IQ1tg
女「うぅ…ひっく……///」グスッ

男「フフ、まだ泣いてる。ホント泣き虫だよなぁ」

女「うっ…うるさぃ……ぐすっ……わっ、私より……弱わっちぃくせに…うぅ……///」スリスリ

男「あっ…そっ、そうだ」グイッ

女「っ…どっ…どこに……」ウルウル

―――パサッ

男「はい、コレ」

女「なっ…服?」

男「女ちゃん寝巻きもないし外着もないだろ?妹といいの探しに行ったんだ」

女「あっ、あの女の子は…妹だったのか……?」

男「うん。俺センスないってよくいわれるからさ。サイズも女ちゃんに近いし
頼んだんだ。そりゃまあ家族だからね……」

女「……」チャッキ

男「女ちゃんにみせたことない顔ってのは確かにあったかも――」

ガンガンガンッ!!

男「おっ…女ちゃんなにを!?」

女「祝砲だ……私は…私はこの日を…一生忘れない……」グスッ

 

隣人「もしもーし、なにコレ?嫌がらせですか?ねぇ嫌がらせですか?」トントン

 

157 :創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 20:41:06 ID:o77IQ1tg
女「これから私は…男と…その……つ、付き合ってるってことで…いいんだよな?///」

男「ああ、それにね。できたら結婚もしたい」

女「なっ!?けっけけけけけ結婚!!?///」カアァァァァァ

男「いや?」

女「いっ…嫌じゃないけど…男の両親とか…お前自身にますます負担を……」

男「だからいったろ?女ちゃんを守るって、戦うんだよ」

女「きっ、君の両親とか……!?それは…」

男「違う、政府とだ」


158 :創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 15:02:10 ID:0LQ2LSix
男「実はあのデート以来俺はこれでも色々勉強した……」

女「男…」

男「調べて見てびっくりしたよ…退役軍人局の怠慢…軍病院のたらい回し…IMA捜索の予算削減……女ちゃんだって…」

男「女ちゃんだって明らかにPTSDだったのに……女ちゃんの睡眠薬…見た事あるけどあれが治療の代わりにだされたモノだと知った時は…」ブルブル

女「従軍以前から情緒不安定だったとか…色々理由をつけられてな……」

男「ああ、ヤツらの常套手段らしいね。これは――」

女「……」

男「これは完全に合衆国への忠誠を誓った女ちゃん達への裏切り行為だ」

女(こんな……)

男「しかもヤツらは懲りずに第2第3のベトナムを作ろうとしてる。
  帰還兵問題を放っておいてね……」ギリッ

女(こんな目も…できたんだな…男……)


159 :創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 16:01:44 ID:0LQ2LSix
男「今も街頭には多くの無名の英雄達が雨露を凌ぐ場所すら無く、貧困と飢えといわれなき迫害に苦しんでいる……」

女(強くなったんだ……男は…私が思ってたよりずっと……ずっと……)

男「俺は決めたんだ」

男「この先もっともっと勉強してこの現状をたくさんの人に知ってもらうようにする。
女ちゃんをこの理不尽から救い出すために…」

女「男…お前……」

男「……でもこの戦いはきっとこの先何十年もかかる…どんな時も傍にいて
どんな時も一緒に戦ってほしい……いいかい?」

女「こっ…答えるまでもないだろ……これは私の…いや我々の戦争だ……」グスッ

男「じゃっ、じゃあ結婚……してくれますか?」

女「ひゃ…」グスッ

男「……」

女「……ひゃい///」

 

2人の戦争はまだ始まったばかり――完

 


160 :創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 16:02:38 ID:TvtLpNGf
乙! 


161 :創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 16:10:06 ID:0LQ2LSix
長々と駄文に付き合ってもらってすいませんでした

一応これで完結です。ありがとうございました




転載元
たしかあったジャンル「ベトナム帰還兵」
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241804345

 

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