魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
【パー ト1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
【11】【12】【13】【14】【15】【16】【17】【18】【19】【20】
【21】【22】【23】【24】【25】【26】【27】【28】【29】【30】
【31】【32】【33】【34】【35】【36】【37】【38】【39】【40】
【41】【42】【43】【44】【完】

〔書籍化〕まおゆう (著) 橙乃 ままれ


 

533 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 17:55:49.32 ID:jeE4iYgP
    ――大陸南部、名も無き開拓村の酒場

    〜♪ 〜〜♪

    奏楽子弟「〜♪ ……♪」

    年配の開拓民「……」じわぁ
    酔った村人「……いやぁ、良かっただよ!」

    酒場の娘「なんて上手いんでしょう」
    酒場の主人「おお、姉ちゃん。良い曲だったぜ。
     さぁ一杯やってくれ。そして気が向いたら
     もう一曲やっておくれよ!」

    奏楽子弟「ええ、もちろんっ!」
    年配の開拓民「楽士さん、ここいらでは見ない楽器だぁね」

    奏楽子弟「これは竜頭琴っていうの。甘い音色がするでしょう?」

    年配の開拓民「うんだぁ。なんだか優しい音だなぁ」
    酔った村人「ここいらにも吟遊詩人は来るけんど、
     大概は立ち寄るだけであんまり曲を聴かせてはくれないんだよ」

    酒場の主人「そうだなぁ」

    奏楽子弟「へぇ、それはなんで?」

    年配の開拓民「姉ちゃんはここらの人ではないんかい?
     綺麗な金枯れ葉色の髪だけんど」

    酔った村人「ふたっこ隣に氷の国っていうとこがあって
     そこは吟遊詩人のふるさと、って云われてるんだよ。
     王宮は詩人に優しいし、城下町には音楽ホールがある。
     冬には音楽祭もあるから、旅の吟遊詩人は冬を越すために
     氷の国へと訪れるんだぁ」

535 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 17:57:26.13 ID:jeE4iYgP
    酒場の主人「登録した吟遊詩人は、一定の腕前を認められれば
     恩給が出るんだよ。恩給が出れば、年を取っても食えるし
     だから、街に住み着く吟遊詩人もいるし、音楽を教えるように
     なるものもいる。だから吟遊詩人が多く住み着くし
     それで“ふるさと”って云われているわけだ。
     ここまでやってくる吟遊詩人は、氷の国へ急ぐ最中が多くて
     演奏は気もそぞろなのさ」

    奏楽子弟「へぇ! わたしは遠きところから旅をしてきたんですよ。
     その吟遊詩人のふるさと以外に、この辺の音楽や楽器で有名って
     云ったらどこでしょう?」

    年配の開拓民「うーん。どこだろうねぇ」
    酔った村人「そうだなぁ」

    酒場の主人「音楽っつったら、まぁ、ふたっつだねぇ」

    奏楽子弟「二つ?」

    酒場の主人「まずは今云った吟遊詩人の音楽だぁ。
     俺の姪っ子が氷の国に行ってるから、これはそこそこ詳しいよ」

    奏楽子弟「ありがたいです。わたしは音楽や、詩作、戯曲の
     話を集めるために旅をしているんです!」

    酒場の主人「そうかいそうかい! じゃぁ、話してあげるよ。
     でもその代わり、今晩はこの宿に泊まっておゆき。
     安くしておくからさ。
     そしてたっぷりと異国の音を客に聞かせてやっておくれ」

    奏楽子弟「はい!」

537 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 17:59:02.04 ID:jeE4iYgP
    酒場の主人「そうだなぁ、まずはさっき云った吟遊詩人の音楽だ。
     酒場や祭り……っていっても祠や道ばたやらで演奏するな。
     気軽で楽しくて騒がしい音楽だよ。俺は大好きだ。
     流行歌は吟遊詩人が諸国を旅して伝えてくれる」

    奏楽子弟「声楽なんですか?」

    年配の開拓民「声楽って何だい?」

    奏楽子弟「ああ、えっと。歌ですか?」

    酒場の主人「ああ、楽器を弾きながら一人で歌う。
     たまぁに二人連れなんて云うのもいるけれど、
     そんなのは滅多にみれない幸運だ。
     楽器はそうだなぁ。
     お嬢さんの持っている竜頭琴なんてのはみたことがないね。
     一番多いのは、リュート。それから、レベックに
     ギターン、ライアー。そんな楽器だね」

    奏楽子弟「ふぅむ。見てみたいですね」

    酒場の主人「そして、もう一つの音楽と云ったら、
     それは何と言っても教会音楽だよ」

    奏楽子弟「ふむ」

    酒場の主人「教会では精霊様を慰めたり称えたりするために
     毎日のように歌と音楽が捧げているんだよ。。
     こっちは声を出して歌うのがほとんどだ。
     こんな小さな村の修道会にはめったにないけれど
     大きな街の教会には聖歌隊っていうのがあるというよ」

539 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:00:08.72 ID:jeE4iYgP
    奏楽子弟「聖歌隊、ですか?」

    酒場の主人「そうさ。近隣の信者の中から
     歌の上手い人をあつめてね。
     多くは小さい男の子や女の子だ。
     子供の声は清らかだと云うからね。
     それで合唱をするんだよ。
     旅の吟遊詩人から聞くには随分と荘厳な音楽だという話だ。
     教会の音楽は、吟遊詩人のようにあちらこちらに出掛ける
     必要がないから、大きな楽器を使うこともあるらしい。
     時に花屋のように大きな楽器も作られるそうだ」

    酒場の娘「納屋!?」
    奏楽子弟「納屋って、あの農具を入れておく?」

    酒場の主人「そうさ、小さな家ほどもある
     大きな楽器だってあるそうだよ」

    酒場の娘「へぇぇ!!」

    奏楽子弟「びっくりするような話ですね」
    年配の開拓民「たまげた話だなぁ」

    酒場の主人「それに吟遊詩人は、大抵一人で旅をするから
     口を使う楽器は好まない。歌えなくなるからね」

    酒場の娘「そういえば、笛を吹く人はあまり見ないわねぇ」

    奏楽子弟「なるほど」

    酒場の主人「ファイフやミュゼットなんかは笛の仲間で、
     教会での音楽にも使用されるって聞くね。
     もちろん吟遊詩人でも頼めば演奏できる人は多いよ」

540 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:04:04.31 ID:jeE4iYgP
    奏楽子弟「ファイフは判ります……。えっと」

     ごそごそ

    奏楽子弟「これですよね?」

    年配の開拓民「ああ、これは見たことあるなぁ」
    酔った村人「おう、うちの爺さんも祭りでは吹くぞ」

    酒場の主人「そうそう。これはちょっと変わった形を
     しているがファイフだね。これも吹けるのかい?」

    奏楽子弟「もちろん」

    酔った村人「一曲聴きたいぞ、お嬢さん!」
    酒場の主人「お願いできるかい?」

    奏楽子弟「ええ、おやすいご用です」

    〜♪ 〜〜♪

    奏楽子弟「〜♪ ……♪」

    年配の開拓民「ああ、良い音色だねぇ」
    酔った村人「まったくだ」

    酒場の主人「これだけ上手な吟遊詩人さんは初めてだ」
    酒場の娘「ええ、夢で聞いた音のようです」

551 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:30:25.84 ID:jeE4iYgP
    ――冬の国、王宮、予算編纂室

    商人子弟「おーい。おーい」
    従僕「はいぃ」ぱたたたたっ

    商人子弟「なにしてたんだ?」
    従僕「帳簿の整理と、清書をしてました」

    商人子弟「よし、えらいぞ」ぐりぐり
    従僕「えへへへぇ」

    商人子弟「何人か新入りも入れたけど、みんな辞めてっちまうなぁ」
    従僕「お仕事が大変だからですよ」

    商人子弟「そんなに大変か? 一日中座ってられるぞ」
    従僕「座ってるのが大変なんです。
     この国では、そんな仕事の人は滅多にいませんでしたから」

    商人子弟「そういうもんか?」
    従僕「はいです」

    商人子弟「お前は見かけの割には気合い入ってるな」
    従僕「他に行くところがありませんから」

    商人子弟「そうかそうか」
    従僕「えへへ〜」

    商人子弟「じゃぁ、念入りに仕込んでやろう」
    従僕「ひぇっ!?」

    商人子弟「なぁに、安心しろ。カエルは熱湯に入れると
     すぐ死ぬが、水に入れてから徐々に加熱すると
     随分長い間生きているらしいぞ?」

    従僕「も、もしかして、ひどいこと考えてますか?」
    商人子弟「ううん、ぜんぜん」 ふるふる

552 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:31:39.14 ID:jeE4iYgP
    従僕「ううううっ」

    商人子弟「そう半べそになるな。
     とりあえずは、お茶を入れてくれ」

    従僕「はーい」

    とぼとぼっ

    商人子弟「さぁって、あいつの仕事ぶりでも見てみるか。
     どれどれ。綺麗に清書してあるじゃないか。
     こっちのメモは……ははーん。
     判らなかった部分をまとめてあるんだな。
     後で質問するために。よく授業中にやったなぁ。
     懐かしい。
     がんばっているじゃないか、あのわんこ」

    ぺらっぺらっ

    商人子弟「ふむ」

    “馬鈴薯はとても美味しいです。
     美味しすぎてもう一個食べてしまいたくなるので、
     とても悲しいです。
     だから馬鈴薯はもっと作るべきだと思います”

    商人子弟「……なに考えてるんだ? あいつ」

    “今日は、侍女のお姉さんから、タマゴのお菓子をもらいました。
     お姉さんがお庭でお昼ご飯食べようと誘ってくれたんだけど
     怖くて逃げちゃいました。ごめんなさい”

    商人子弟「……あんまり真面目でもないな」

553 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:33:07.96 ID:jeE4iYgP
    従僕「お茶入りましたぁ」 ぱたたたっ

    商人子弟「ご苦労!」
    従僕「はい、お注ぎします!」

    とぽとぽとぽ

    商人子弟「うん、美味いぞ」
    従僕「ありがとうございます」

    商人子弟「さて、里戸制度と戸籍の方も順調のようだな」
    従僕「えっと、はい。今週分の追加戸籍も、清書しました」

    商人子弟「いいぞ。これで何とかやっと予算が組めそうだ」
    従僕「予算……?」

    商人子弟「ん、ああ。お金を使う予定のことだな」
    従僕「お小遣いですね」

    商人子弟「似たようなものだ。
     この冬の国では、国家の収益は主に税から
     成り立っているだろう?
     大まかに云って、税金や作物による直接納税になる。
     これが大体年に二回程度はいってくる。春と、秋だな。
     つまり、そこでお金があるわけだけど、
     これを無計画に使うと、他の季節にお金が無くなって、
     お腹が減る。
     使う予定をちゃんと立てましょうって事だ。
     大事だろう?」

    従僕「大事です。……けど、大事だから
     今までだってやっていたのでしょう?」

    商人子弟「規模が小さかったんだ。
     それこそ、商人一家の財布感覚さ」

554 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:35:07.64 ID:jeE4iYgP
    商人子弟「やることが増えたというのもある。
     冬の国は数年前まで、
     中央からの資金および食料を提供されて
     戦うような傭兵国家だったんだ。
     開拓民は多かったけれどそれは中央の圧政や重税を嫌って
     南の果てまでやってきた冒険者のような人たちが主体だった。

     当時この国でちゃんと生き抜いていけるかなんて云うのは
     賭けに近かったわけだからね。

     でもいまは馬鈴薯がある。
     馬鈴薯のお陰で支えられる人口が増えて、
     中央の経済的な呪縛から脱出した南部諸王国は、
     独自の予算を組む時期なんだ。
     今まで困れば困ったタイミングで、
     中央のお財布に泣きついていれば良かった様々なことを、
     これからは自分たちでやらなければならないからね」

    従僕「えっと、お兄さんが家を出てお父さんになった感じ?」

    商人子弟「そういうことだ」
    従僕「えへへ〜」

    商人子弟「三ヶ国通商のおかげで冬の国一国では
     どうにもならなかった製品が手に入るのは素晴らしい。
     けれど、やはり三ヶ国合わせても限界がある。
     鉄製品は鉄の国から購入することも出来るけれど
     年々需要が増しているのは、木材だ。
     我らの国には手つかずの原生林があるけれど、
     それだって無限ではないしね。
     それから馬も必要だし、真鍮なんかも欲しい。
     香辛料や衣料品も必要だろうね」

    従僕「んぅ……」メモメモ

555 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:36:50.29 ID:jeE4iYgP
    商人子弟「まぁ、こういったものはなにも国が
     あれこれ手配する必要はない。
     商人が運んできて売ってくれる」

    従僕「じゃぁ、僕たちは何をすれば良いんですか?」

    商人子弟「“何をすればいいか考える”のが最初の仕事だ」

    従僕「うーん、うーん」

    商人子弟「一番大事なのは?」
    従僕「……ごあいさつ?」

    商人子弟「それは、一番最初にするのだ」ごちん
    従僕「はぅぅ」

    商人子弟「さぁ、なんだ?」

    従僕「ごはん?

    商人子弟「だな。食料だ。
     こいつについては馬鈴薯がある。
     それから、輪作指導による家畜もだんだんと殖えてきた。
     特に豚は農民の口にまで十分に回るようになったな。
     
     小麦や大麦もバランスを考えて作っているようだ。
     後のことを考えると、乳製品や果物なんかも欲しい。
     さて、どうする?」

    従僕「えっと、欲しいものは、
     作るか買うかしないと、手に入りません」

    商人子弟「そうだな。もっともだ。冴えてるな」
    従僕「えへへ〜」

556 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:39:07.78 ID:jeE4iYgP
    商人子弟「お金を出して買うのは簡単だ。
     特に今から予算を組もうとする時にはそうだな。
     でも、簡単なことばかりをしていると、
     どんどんお金が無くなって行く。
     重要なのは“費用対効果”だ。

     たとえば、“乳製品を買うべきだ!”なんて云う声は
     疑って掛かるべきだ」

    従僕「そうなんですか?」

    商人子弟「まぁ、会計や金を扱い場合は
     何でも疑って掛かった方が良いというのは基本だが、
     この場合はもうちょっと色々考えなければならない。

     まず“必要”と云う言葉についてだ」

    従僕「必要は、ひつよーですよ?」

    商人子弟「必要ってのは、無いと死んじゃうことを云うんだぞ?
     そう考えると、“本当の意味で必要”ってのは多くはない。
     気をつけなければならないのは、それがどれくらい必要で、
     どれくらいのお金がかかるか。これが一つ目」

    従僕「はい」めもめも

    商人子弟「そして、二点目が重要だ。
     “同じお金があったら他に何が出来るか?”」

    従僕「……?」きょとん

558 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:41:21.83 ID:jeE4iYgP
    商人子弟「だってそうだろう?
     たとえば従僕の家には何にもご飯がないとする」

    従僕「哀しいです」じわぁ

    商人子弟「で、パンを買うべきだ!」
    従僕「パンは美味しいですね! 買うべきです!」

    商人子弟「そうだな、美味しい以前に食べないと
     お腹が減って死んでしまうかも知れない。
     だから“パンが必要”だ」

    従僕「必要です」

    商人子弟「で、パンを買った。二個買えた!」
    従僕「はいっ!」

    商人子弟「でも、同じ値段で馬鈴薯だったら
     二袋買えたかも知れないんだぞ?」

    従僕「……え」

    商人子弟「な? “パンを買うべきだ!”と云う声に対して
     パンのことだけを考えちゃ駄目だ。お金には限りがあるからね。
     予算という一つの財布でやりくりするには、
     ありとあらゆる事に詳しくなければ間違ってしまう。
     馬鈴薯が二袋あったら、パン二個よりもおなかいっぱいだろう?
     
     だから“パンを買うべきだ”とか
     “パンを買わないなんておかしい”とか
     “お金は食べられない。お金の問題じゃない。パンを
     買わないなんて人殺しと一緒だ!”なんて言葉に
     騙されちゃいけない。同じ金額で別の救い方も出来るからね」

    従僕「はいっ」

560 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:48:32.92 ID:jeE4iYgP
    商人子弟「そう考えれば、そもそも“パンを買うべきか否か?”
     なんて云う考え方自体がすでに引っかけ問題なんだ。
     大事なのは“色んな欲しいものの中で優先順位をつける事”と
     “欲しいものを出来るだけ安く、沢山手に入れられる方法を
     考える”事だ。
     そのためには、いろんな事を勉強しなければならない」

    従僕「大変そうです……」

    商人子弟「まぁ、ゆっくりでいいさ。
     判らないことは詳しい人に聞けば良いんだ」
    従僕「はい……」

    商人子弟「さっきの話で云えば“パンを買うか、それとも
     買わないか”じゃなくて“食料を買うなら何が良いか?”とか
     “同じ金額で健康でお腹いっぱいにになるためにはどうしよう”
     っていう考えをするべきなんだな」

    従僕「……うーん。判ってきました」

    商人子弟「ってところで、宿題だ」
    従僕「えぇ!?」

    商人子弟「我が冬の国では、もうちょっと乳製品に出回って欲しい。
     具体的に云うと、ミルクよりはチーズだ。
     保存食の問題でもあるし、一種類の食品に比重が偏ると
     凶作が恐ろしいからね。
     チーズはたべたことあるだろう?」

    従僕「あります!」

561 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 18:51:24.50 ID:jeE4iYgP
    商人子弟「なので、チーズの勉強をすること。
     チーズをみんなに一杯食べて貰って、
     なおかつお金がかからない。
     そういう方法を考えること」

    従僕「ふぇぇぇー」

    商人子弟「何事も目的があればよく考えるようになるのっ」
    従僕「ヒントっ。ヒント下さいよぅ」

    商人子弟「ヒントなんてないよ。正解なんて無いんだから」
    従僕「じゃぁ、子弟様だったらどうするんですか?」

    商人子弟「考えてないから判らないよ。
     でもまぁ、そうだなぁ。沢山チーズを
     外国から買ってきて、そいつを冬の国のみんなに売る」

    従僕「じゃぁ、その方法で!」

    商人子弟「な〜んて方法は失格だな。
     少なくともその1/10くらいの
     予算でどうにかする方法を考えないと」

    従僕「うー……」

    商人子弟「さって、じゃ。課題を出し終わったところで、
     本日の書類整理に移るか、従僕くん」

    従僕「はぁい、子弟様っ!」

566 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 19:31:13.62 ID:jeE4iYgP
    ――冬越しの村、魔王の屋敷、執務室

    魔王「修道院から送ってもらった年度別の輪作障害研究は
     どこだったかな」
    メイド姉「こちらになります」

    ばさばさばさっ!

    魔王「ううっ」
    メイド長「あらあら、まぁまぁ。大丈夫ですか?」

    魔王「すまぬ、書類を崩してしまった」
    メイド姉「すぐに整理しますから、大丈夫ですよ」

    魔王「左腕が不自由なだけでこんなにもふらつくとは」
    メイド長「もうじき包帯も取れます。それまでですよ」

    メイド姉「こちらが今日届いたお手紙です」

    魔王「む、そうか。確認しなくてはな」

    メイド長「これは冬寂王からのお給金」
    メイド姉「ええ」

    魔王「なんだ。貴族とか云って名誉爵位ではなかったのか?」

    メイド長「文官の一種ですからね。
     まおー様は、顧問的な立場だということですよ。
     律儀に毎年四回送って下さっているんです」

    メイド姉「金庫に入れてありますよ?」

    魔王「そうだったのか。気が付かなかった」
    メイド長「まぁ、まおー様は経済学者ですけれど、
     金銭への執着はかなり薄いですからね」

567 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 19:32:17.77 ID:jeE4iYgP
    魔王「執着するには、貨幣というのはあやふやすぎるのだ」
    メイド長「あらあら。研究対象ですのに」

    魔王「わたしが研究しているのは経済を通した
     魂持つ者の相互関係および社会形成であって、
     そこから独立した金融の資産価値なんて無いも同然だ。
     えーっと……」

    がさごそ

    メイド長「どうされました?」

    魔王「いや、その……。おかしいな」

    メイド姉「ふふふっ。氏族会議の議事録と、
     九族大路の計画書ですよね? こちらですよ」

    魔王「それだそれだ!」
    メイド長「ふふふっ」

    魔王「ほら。わたしがいなくても、魔族は魔族で上手く
     行っているじゃないか」

    ぺらっ

    メイド長「ふぅん。道路の再建、か。前の乱世で
     随分橋が壊されてしまったからなぁ」

    メイド姉「……」
    メイド長「橋ですか」
                                       
568 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 19:34:16.77 ID:jeE4iYgP
    魔王「橋は戦略重要な拠点になることが多い。
     交通の要所だからな。
     場合によっては行軍の速度をも左右する。
     そのため、石で作った方が良い場所でも
     わざと木造で作り、いざという時は燃やせるように
     しておくこともあるくらいだ」

    メイド長「再建と云うことは、とりあえずの平和を
     みんなが認めた、と云うことでしょうね」

    魔王「そうだな。蒼魔族の問題は残っているが……」
    メイド長「時間が掛かるかも知れませんね……」

    メイド姉「あの……」

    魔王「ん、なんだ? メイド姉」

    メイド長「……?」
    メイド姉「いえ、その」

    魔王「どうしたんだ? 身体の調子でも悪いのか?」
    メイド長「――」

    メイド姉「いえ、その。あの、お茶を沸かして参ります」

    魔王「ああ、頼んだだぞ」

    がちゃん。とてて……

    メイド長「――」

575 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:28:04.64 ID:jeE4iYgP
    ――聖王国某所、秘密大鉄工所

    ガァン! ゴォン!!

    作業監督「温度を上げろ! 薪をくべろっ!」

    労働者「おうっ! あぅっ!」

    作業監督「ちんたらするなっ! メシを抜かれたいのかっ!!」

    ガァン! ゴォン!!

    作業監督「高炉を休ませるな! ガンガン炊くんだ!!」

    労働者「はぁっ……はぁ……」

    労働者「熱い……水を……」

    作業監督「もう少しで休憩だ! さぁ、働けっ! 働けっ!」

    かつん

    かつん、かつん……

    職人の長「作業は進んでいるな。
     よしよし、純度の高い鉄で鋳造を行えばそれだけ精度も上がる」

    技術者「そうですね」

    王弟元帥「どうなのだ? 量産の方は?」

576 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:29:50.48 ID:jeE4iYgP
    職人の長「はぁ。マスケット銃は今月にでも追加で800丁が
     お渡しできるかと思います」

    聖王国将官「合わせれば、そろそろ5000を越えますな」

    王弟元帥「遅いな。もっと早く作れんのか?」

    職人の長「やはり精度の問題がありまして、その……」

    王弟元帥「ふむっ。カノーネのほうはどうだ?」

    職人の長「そちらのほうが、肉厚に作れる分
     歩留まりはよいですな。毎月二個のペースで鋳造できます」

    王弟元帥「カノーネは問題なさそうだな」

    職人の長「はぁ、ただいま『The genius's Manuscript』に
     当たらせている者を呼んでおりますので」

    コンコンッ

    職人の長「入るが良い」

    技術者「お呼びでしょうか?」
    熟練技師「やって参りました」

    王弟元帥「この者達か?」

    職人の長「はっ。
     お渡し下さった『The genius's Manuscript』には
     様々なスケッチや覚え書きがございました。
     マスケットやカノーネは試作品がありましたから
     複製を作るのは早かったのですが、それ以外についても
     調査せよとの御指図でしたゆえ」

    王弟元帥「判っている。指示したのはわたしだ」

577 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:32:00.41 ID:jeE4iYgP
    職人の長「はっ。恐縮でございます」

    王弟元帥「で、どうなのだ」

    技術者「その……」ちらちら

    王弟元帥「構わない。余は能力ある者に敬意を感じる。
     直答を許すから、詳しく聞かせよ」

    技術者「では、その」

    熟練技師「まずは、この『The genius's Manuscript』は
     素晴らしいですね。まさに精霊様の下された天恵の書!
     詳しい仕組みは判らずとも、残されたスケッチを見るだけで
     どんどんと新しいアイデアがわいて参ります!」

    技術者「はい。このマスケットを中心に実に様々な考察が
     描かれています」

    熟練技師「たとえば、この石炭なるものは、
     大地から掘れる石でありながら、燃えまする」

    王弟元帥「ふむ、北の地で取れるというものか」

    技術者「『The genius's Manuscript』には、この石炭を
     蒸し焼きにして純度を高め、コウクスなるさらなる燃料を
     作る方法がシルされています。このコウクスをつかえば、
     より強力な鉄を作ることが出来ます」

    熟練技師「また『The genius's Manuscript』にはこのような
     スケッチがあり……これはわたしが大きく描き写し、
     整理したものでございますが」

    王弟元帥「これは……撃鉄周辺の構造か?」

    熟練技師「殿下におかれましては、銃のことが判りますので!?」

578 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:34:49.79 ID:jeE4iYgP
    王弟元帥「おのれの指揮する軍の武器ぞ。判らぬでどうする」

    熟練技師「はっ! 恐れ入ります。
     では説明させて頂きますと、これはおそらく
     マスケットの改良と申しますか、
     いわば後継にあたるものかと考えられます」

    王弟元帥「ふむ」

    熟練技師「撃鉄によって打ち付けられたこの部分には、
     火打ち石がはめ込まれていまして、
     これがそのすぐ下に作られた小さな部屋の蓋を破り、
     打ち付けられます」

    王弟元帥「この部屋はどれくらいのサイズなのだ?」

    熟練技師「図では大きく描かれていますが、
     実際には指先でつまめるほどのものです。
     しかし、打ち破った蓋は開閉式に作られ、
     直後にバネ仕掛けにより閉まります。
     これにより、火うち石の火花が部屋に
     閉じ込められることになるのです。
     この仕掛けにより、火縄のないマスケットが開発できるわけです」

    王弟元帥「ふむ」

    熟練技師「えー……。お解りになられましたでしょうか?」
    王弟元帥「理解した。運用と生産の問題点は?」

    熟練技師「運用においては、私どもには今ひとつ
     理解しかねますが、まず火口、火縄の必要がなくなり
     発射の際の姿勢が自由になります。
     さらには雨などの悪天候に強く、火縄がないせいで、
     狭い場所での射撃が可能です」

    王弟元帥「狭い場所……。密集隊形か」

579 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:38:03.39 ID:jeE4iYgP
    熟練技師「命中精度は多少下がると予想されます。というのも」
    王弟元帥「時間差で引火するからだろう?」

    熟練技師「その通りでございます。
     生産においてはマスケットに比べてやはり精密な作業が
     必要とされるために、一部の高度な技術を持つ職人を
     導入する必要があり」

    王弟元帥「つまりは、数多くは作れぬ、と」
    熟練技師「はい」

    王弟元帥「長」
    職人の長「はいっ」

    王弟元帥「量産する方法を考えよ」
    職人の長「ええっ!?」

    技術者「……」

    王弟元帥「それが長の役割であろう」

    職人の長「は、はぁ」

    技術者「恐れながら、陛下」
    王弟元帥「申すが良い」

    技術者「これらの武器は様々な部品で作られております。
     新しいアイデアの武器もそうですが、
     全ての部品が全て高度な技術を要するわけではございませぬ」

    王弟元帥「ふむ」

580 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:40:46.40 ID:jeE4iYgP
    技術者「そこで、現在のように職人が一丁一丁仕上げるのではなく、
     たとえばある部品だけを作り続ける職人、別の部品を作る職人
     と云うように仕事を分けるのはいかがでしょう?」

    王弟元帥「おお!」

    技術者「そうすれば、一人の職人が覚える仕事の量は
     少なくても構わないと云うことになります。
     中級程度の技術は必要ですが、
     彼らも部品一個だけであるのならば、
     腕利きの職人に比肩する速度で
     仕事をこなせるようになるわけです。
     また新しい職人の育成も早くなります」

    職人の長「しかし、それではギルドの立場はどうなるっ!
     長い間、技術の保全に努めてきた我らの立場は。
     職人を育成して親方として束ねてきたギルドの利益を
     害する考えだっ!」

    技術者「はぁ……」

    王弟元帥「ふっ。長殿。その件についてはわたしから
     提案しようではないか。
     この件で技術が仮に漏洩したとしても
     聖王国の影響範囲内であれば、
     全てのマスケット、およびその関連技術を取り扱うためには、
     銅の国の鉄工ギルドの許可、もしくは親方証が必要だという
     法律を作れば良かろう? 勅書でもよい」

    職人の長「ほ、本当でございますかっ!?」

    王弟元帥「ああ、この『The genius's Manuscript』は
     鉄の国からもたらされたもの。
     このままでは銅の国の技術は鉄の国に置いて行かれよう?
     ……それを考えれば、悪い話ではあるまい」

582 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 20:43:35.58 ID:jeE4iYgP
    王弟元帥「よし、では話は決まったな。
     熟練技師、技術者、だったな?」

    技術者「はいっ!」
    熟練技師「はっ!」

    王弟元帥「余は汝らの若い力に期待しておる。
     これからも長を助け、改革し、作業にいそしんでくれよ」

    技術者「こ、光栄でありますっ!」
    熟練技師「身命にかえましてっ!」

    王弟元帥「うむ。では、余は忙しい。残る話は次の機会としよう」

    職人の長「お送りいたします、殿下っ!」

    バタバタッ

    王弟元帥「よい。作業があるであろう? 余は期待しているのだ」

    聖王国将官「長どの、ここでよいですよ。
     あとは技師達や作業者達と話をお詰め下さい」


    ガチャン。
    ――ザッザッザ、ザッザッザ

    王弟元帥「将官」
    聖王国将官「はっ」

    王弟元帥「時期を見て、あの長は切れ。
     若手に権力を握らせて工房の運転速度を最大化するのだ」

    聖王国将官「心得ました」

587 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:01:50.88 ID:jeE4iYgP
    ――冬越しの村、魔王の屋敷、夜の執務室

    さらさらさら……

    メイド姉「……」

    さらさらさら……
    とさっ。

    メイド姉(これで、二年分の整理はお仕舞い。
     ……後は、今月の財務諸表の写しを)

    さらさらさら……

    魔王「……」

    さらさらさら……

    魔王「メイド姉」

    メイド姉 びくっ 「あっ。当主様!」

    魔王「根を詰めすぎだ」
    メイド長「ええ、身体をこわしてしまいますよ?」

    メイド姉「それにメイド長様も……。すみません。えっと
     何かご用でしたでしょうか?」

    魔王「何を焦っておるのだ?」

    メイド姉「……」

589 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:04:47.72 ID:jeE4iYgP
    メイド姉「いえ……」

    魔王「ん?」

    メイド姉「焦っているわけではありません。――当主様」

    魔王「……?」
    メイド長 こくり

    メイド姉「当主様にお願いがございます」
    魔王「どうした?」

    メイド姉「お暇を頂きたく思います」

    魔王「……」
    メイド長「――」

    魔王「どこへゆくのだ?」

    メイド姉「わかりません。けれど
     ――ここではないどこかへ」

    魔王「妹には?」

    メイド姉「話してあります。
     あの娘には、ここでかなえる夢がありますから。
     ……すみません、こんな我が儘を。
     当主様やメイド長様に救って頂いた身でありながら。
     本当に申し訳ありません」

    魔王「そう……か……」
    メイド長「まおー様」

590 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:07:27.61 ID:jeE4iYgP
    魔王「判っている」
    メイド長 こくり

    魔王「……」ふわり
    メイド姉「あ……」

    魔王「何を見るのだろうな、その二つの瞳で。
     ……これがお別れではあるまい?」

    メイド姉「はい、きっと……きっと戻って参ります」

    魔王「では行くが良い。そなたには翼にはその力があるのだ。
     おのれの運命と巡り会いに行くのであろう?」

    メイド姉 こくり

    魔王「ここを嫌って出て行くのでは、無かろうな?」

    メイド姉「いいえっ。
     この家は、わたしの生きてきた全部のっ
     全ての中で、一番暖かくて、一番優しくて……
     い、ちばんっ。……大事な、場所ですっ。
     本当は出て行きたくなんて無かった、ですっ。
     
     でも、そうしないと。
     きっと、わたしは許せなくなります。
     わたしは沢山の人に。……沢山の責を負っているから。
     
     わたしが。――わたしが自分で歩くのを止めるのは、
     ひどく不実なことに思えるんです……。
     
     あの日、あの広場で叫んだから。
     
     わたしには“叫んだもの”として、
     やらなければならないことがあるように思うんです」

591 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:09:06.84 ID:jeE4iYgP
    魔王「そなたが負うべき事などなにもない」
    メイド姉「では、わたしが選びたいんです」

    魔王「……」
    メイド長「お行きなさい」

    メイド姉「はいっ」

    魔王「わたし達の教えを受けたものとして旅立ってくれるな?」

    メイド姉「はい。ご厚情も、ご恩も忘れません。
     きっと何かを見つけて帰ってきます」

    魔王「何を」

    メイド姉「たぶん――戦いの意味を見つけに」

    魔王「……っ」
    メイド長「――」

    メイド姉「他の誰でもなく
     わたし自身が見いださないといけないのだと思います」

    魔王「……止める言葉を持たないな」
    メイド長「はい……」

    メイド姉「大丈夫ですっ。
     わたしは結局メイドにはなれなかったのかもしれませんが、
     メイド長の授けて下さったものはメイドを超えると信じます。
     当主様、勇者様、女騎士様、子弟の皆さん方……。
     授かった数多の教えは、どんな黄金より勝る宝ですから」

592 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:10:48.81 ID:jeE4iYgP
    魔王「……判った」

    メイド姉「当主様、ここにある二年分全ての帳簿の整理は
     終わっております。目録は全てこちらの小棚へと
     まとめておきました。諸表はこちらの引き出しです」

    魔王「うむ」

    メイド姉「えっと、僭越なお節介なのですが、
     もし、他の方が作業されることも考えて、
     仕事を引き継げるように覚え書きの帳がこちらにあります」

    魔王「……ん」

    メイド長「よくぞ、ここまでものにしましたね」
    メイド姉「先生が優秀でした」

    魔王「何時、発つのだ?」

    メイド姉「夜明けと共に」

    魔王「少しでも眠ると良い」
    メイド姉「はい。失礼します。あの……」

    メイド長「――」

    メイド姉「お二人が、大好きです」

    かちゃん。とっとっとっと

    魔王「止められなかった」
    メイド長「それが正しいのです」

    魔王「メイド長……。手放させてしまったな」

    メイド長「――いえ。何の問題があるでしょう。
     どこにいても、何をしていても
     彼女はわたしの自慢であることに何の代わりもないのですから」

610 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:49:39.53 ID:jeE4iYgP
    ――――地下世界(魔界)、鵬水湖の畔、仮設会議場

    ギィッ

    銀虎公「遅れたか? すまぬな」

    火竜大公「いやいや、気にすることはない。
     まだ時間ではないのだ。我らは妖精女王土産の茶を
     飲んでおったのみだ」
    妖精女王「はい」

    巨人伯「……うま……い」
    勇者「なかなかいけるぞ−?」

    銀虎公「ではわしも一杯貰おうかな」

    ギィッ

    碧鋼大将「失礼いたす」
    東の砦長「待たせて申し訳ねぇ」

    紋様の長「おお、お二人も」

    鬼呼族の姫巫女「これで揃ったようだな」

    火竜大公「では、おほんっ。第二回の会議を始めるとするか」

    妖精女王「今日のお話は?」

    巨人伯「……まずは、前回の、続き」
    紋様の長「そうだな、蒼魔族の件からとしよう」

    東の砦長「どんな案配なんだ?」
    鬼呼族の姫巫女「妖精族から報告して貰おうか」

611 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:50:46.72 ID:jeE4iYgP
    妖精女王「はい。……まず、大きな動きはありません。
     蒼魔族の少なくとも50名を越える規模での部隊は
     その領土から一回も出ておりません」

    紋様の長「ふぅむ」

    妖精女王「あの後、蒼魔の新王が都にたどり着いてから
     しばらくの間、蒼魔の領土には高い緊張感がありました。
     蒼魔の新王の軍は蒼魔の領土全体を巡回していましたが、
     現在は多少落ち着きを取り戻したようです。
     もちろん各所にはかなり大人数の警邏が行われていますが」

    東の砦長「つまり、戦時下って云う雰囲気かい?」

    妖精女王「ええ、そうです。
     少なくとも蒼魔一族は現在を交戦状態、つまり何時
     奇襲をかけられてもおかしくない状態だと認識していることは
     確かなことです」

    巨人伯「おれたち、奇襲なんて……しないのに」

    銀虎公「戦の準備とか軍備増強の様子はないのか?」

    妖精女王「それは判りません。
     いえ、偵察の妖精が訓練の様子などは見ていますし、
     武装もしているようですが……なんといいますか。
     蒼魔族ではそれが“日常”である可能性も否定できなくて」

    鬼呼族の姫巫女「ふふっ。まさにそうだな」

    妖精女王「今でも警戒は続けておりますが
     そのほかに特別な報告はないのです。申し訳ありませんが」

    東の砦長「いやいや、動きがないのも重要な情報だろう」

612 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:51:40.66 ID:jeE4iYgP
    紋様の長「と、なると、前回の続き。蒼魔族の処遇の問題か」

    勇者「……」

    銀虎公「俺から口火を切って良いか?」

    火竜大公「うむ」

    紋様の長「よろしく頼む」

    銀虎公「我ら獣牙の一族は戦に生きる一族。
     とはいえ、この世界の内側で暮らしていて、
     事の理非程度は弁えているつもりだ。
     戦で打ち破るならばともかく、
     “蒼魔族を皆殺し”と云うのがいくら何でも
     行き過ぎで無法な行いであると云うことは、判る」

    火竜大公「しかり」
    妖精女王「その通りです」

    銀虎公「あー。我らは、上手ではないが、手紙を出すのだ。
     どうだろう、手紙を出すというのは?」

    妖精女王「手紙?」
    巨人伯「……だれに?」

    東の砦長「ああ、降伏勧告のことか?」

    銀虎公「そうだ! そのカンコクだ。それが言いたかったのだ」

613 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:53:00.20 ID:jeE4iYgP
    碧鋼大将「ふぅむ、それは考えてみなかった」
    火竜大公「なるほど……」

    銀虎公「その手紙には書くつもりだ。

     お主達は、卑怯者だぞ、とな。
     敵を討ちたければ戦場で堂々とすればよい。
     文句があるのならはっきりと言えばよい。
     それを影からこそこそと、それは武人のやる事ではない。
     そのようなひねくれた態度では、もはやどこの一族からも
     蒼魔族は、威厳のある一流の氏族とは認められぬだろう。
     申し開きがあらば、即座にするが良い。
     もしそれが望みであれば
     戦場でお相手いたす。

     ――そんな具合だ」

    東の砦長「ふぅむ。考えたな。全面降伏しろって云う話
     じゃないわけだ」

    鬼呼族の姫巫女「ほほぅ」

    銀虎公「全面降伏しろって云う話にするならば、
     前回云っていた“蒼魔族全てが意固地になる”
     ってやつがあるのだろう?
     領地を押し包んで総攻撃する! とか云うと、
     蒼魔族は“自暴自棄”になるかもしれぬ」

    碧鋼大将「うむ」

    銀虎公「そこで、申し開きをさせてやろうというのだ。
     ただ、申し開きは、ここでやらせる」

    火竜大公「ほほぉ!」

614 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 21:53:55.26 ID:jeE4iYgP
    銀虎公「そうしたら、奴らももう一度会議に
     出てこざるを得ないだろう?
     この会議は忽鄰塔に似ているが、そのものではない。
     奴らの奇妙な前例を用いた策略は通用しない」

    碧鋼大将「それはそうだな」

    火竜大公「そして会議に出てきたら、奴らにはっきりと告げる。
     お前達のやり方は無法で不愉快だ、とな。
     もし詫びる気があるのならば、証明させる」

    妖精女王「証明とは?」

    銀虎公「まずは、親王と将軍クラスの首全てだろうな」

    妖精女王「殺す……のですか?」

    東の砦長「いや、それは仕方ないだろう。
     ここは銀虎公殿が正しいと俺は思う」

    鬼呼族の姫巫女「そうじゃな」

    銀虎公「その上で、しばらくの間は、蒼魔族の領地に
     我らのどの氏族か、混成でも良いが軍団を置いて様子を
     見させるべきだろう。賠償金も取るべきかも知れないが
     金の細かいことは俺には判らぬ」

    碧鋼大将「悪くない案のように思えるな」
    火竜大公「そうだな」
    妖精女王「……ええ」

    巨人伯「……のってくる……かな」
    鬼呼族の姫巫女「そこが一番の問題であろうな」

623 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 22:26:49.01 ID:jeE4iYgP
    銀虎公「いやいや、そこはそれで考えてあるのだ!」
    碧鋼大将「とは?」

    銀虎公「前回、衛門族の長が言っておられただろう?
     事が終わった後に理非の大事さが聞いてくると。
     一回の警告もせずに攻撃をしたらそれは不意打ち。
     ある意味、蒼魔族と同じだ。
     
     この手紙を出すことにより、いわば“申し開きのチャンス”を
     あたえてやるのだ。その上で無視をするなり、
     ご託を述べるようならば、
     それは、奴らが戦争をしたいと云っているも同じだ。
     その時はまさに合戦にて決着をつけるしかない。
     
     もしかりに、蒼魔族の軍勢を戦場で滅ぼした後でも
     蒼魔の都に戻り、その民に云うことが出来るだろう?
     
     お前達の長と軍は、斯く如くこのように無法を行った。
     ゆえに氏族会議はこれを処断したが、
     これはけして私心からではない。とな」

    東の砦長(随分よく考えてきたじゃないか。虎の旦那。
     俺はあんたをちっとは見直したよ)

    鬼呼族の姫巫女「よく考えられた案であるな! 銀虎公どの」

    銀虎公「はははっ! なんてことはない。
     俺は考え事は苦手だしな。
     そこで獣牙の長老会に知恵を求めたのだ。
     久しぶりに頼られた爺どもは鼻血を流して喜んでな!
     三日三晩議論をして考えてくれたのだ。
     あやつらは腰抜けではあるのだが、こういう時には役に立つ」

625 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 22:28:18.80 ID:jeE4iYgP
    碧鋼大将「ははははっ! そうでありましたか」

    銀虎公「やはり、いまひとつか?
     爺の考えた手だからなぁ。
     俺としてはもっとはっきりした策も好みなのだが
     今回はこのような手段が良いとも思ったのだ」

    火竜大公「いえいえ、立派な作戦でしょう」
    妖精女王「はい」

    紋様の長「よい部の民を抱えるのも、長の資質、器量です」

    東の砦長(まったくだ)

    鬼呼族の姫巫女「いかがだろう。ご老公どの、皆の衆。
     このような対応がもっとも当面は妥当だと考えるが」

    勇者 こくり

    碧鋼大将「異議はない」
    紋様の長「まったくもって」

    火竜大公「では、そのような手紙を届けるとしよう。
     書面については、そうだな……。
     人魔の族長、紋様殿に頼むとしよう」

    紋様の長「心得た」

    東の砦長(それもよく考えた対応だ)

    鬼呼族の姫巫女「鬼呼族からの書状だといらぬ感情を
     かきたててしまうでしょうしな」

    碧鋼大将「さて、他にもあるかな」

626 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 22:29:11.27 ID:jeE4iYgP
    東の砦長「今回は、申し訳ないが衛門一族から
     願いたいことがある」

    鬼呼族の姫巫女「ほほぉ、どのようなことだ?」

    東の砦長「その前に、我が街で重要な仕事を
     行なっている担当者を一人を呼んでもかまわぬか?
     今回の願いに関係があるのだ」

    鬼呼族の姫巫女「かまわぬだろう?」

    銀虎公「うむ」
    火竜大公「よろしい認めよう」

    東の砦長「よし、入ってくれ」

    がちゃり

    鬼呼族の姫巫女「ほほう」にやり
    勇者「あー」

    火竜大公「……このような場所にっ」

    火竜公女「お召し頂き感謝しまする。
     衛門一族の長よりのお招きに頂き参上いたしました。
     我、火竜一族を出身とする火竜公女と申すもの。
     いごおみしりおきくださいますよう」ふかぶか

    勇者「うー」

    銀虎公「これはこれは。……子煩悩で誰にも見せないって云う
     話だったのではなかったのか」

    火竜大公「うぉっほん!!」 ぼうっ

628 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 22:31:06.00 ID:jeE4iYgP
    妖精女王「して、お話とは」

    東の砦長「まずは、わが衛門一族の本拠地、
     開門都市の現状から述べさせて貰う。
     まず我が街は……人間どもに荒らされてな。
     俺もその軍の中にいたから、
     このような言い方は好きではないし本来は出来ないのだが、
     街はともかく周囲の農地や街道は
     めちゃくちゃになってしまった」

    鬼呼族の姫巫女「うむ」

    銀虎公「あのあたりは大規模な攻防戦が何ヶ月持つづいたからな」

    碧鋼大将「さもありなん」

    東の砦長「もっとも今では人の行き来も復活して、
     もとより沼地やら山奥にあるわけでもない、
     平野の都市だから、随分復興もしてきた。
     そこは心配には及ばない。皆、明るく働いてくれている。
     
     しかし、ここまで復興してくると、
     今度は交易が盛んになってきてな。
     元々交易の要衝であった街だ、無理もないのだが
     そうなると、踏み固めた程度の街道では馬車の旅に不足がある」

    鬼呼族の姫巫女「ふむ」
    火竜大公「で、あろうな」

    東の砦長「もちろん我が氏族の領地のことであれば
     我が氏族が総力を持って整えればよいのだが
     事が交易となるとそうも行かない」

631 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 22:35:13.35 ID:jeE4iYgP
    鬼呼族の姫巫女「衛門一族の領地は確か……」

    火竜大公「魔王どの直轄宣言だから、開門都市および
     その周辺馬で2日、くらいであろうな」

    妖精女王「そのくらいでしょうね」

    東の砦長「で、調べてみたところ、長い戦乱でこの世界の
     街道という街道は荒れ果てて、
     橋はあちこちで焼け落ちているそうじゃないか。
     それを修理したり、何とかしたいという話だ」

    鬼呼族の姫巫女「ふむ」

    碧鋼大将「それは我が一族の願いでもあった、しかし」
    妖精女王「そう、莫大な労力が掛かりますよ」

    東の砦長「その辺は、専門家を連れてきたので聞いてくれ」

    鬼呼族の姫巫女「ほほう」

    火竜公女「はい。
     今回開門都市自治委員会の依頼を受けて調査をしました。
     この街道敷設は十分に利益をあげる、と思われまする」

    碧鋼大将「は?」

    銀虎公「おいおい、道を造るだけで何で利益が上がる」

    火竜大公「話してみよ」

645 :以下、パー速民が(ry[sage]:2009/09/24(木) 23:14:48.53 ID:jeE4iYgP
    火竜公女「まず、我らは長い長い戦乱を過ごして参りました。
     前魔王殿はそう言った戦乱を傍観したばかりか
     奨励すらなさいましたゆえ。
     また今魔王どのはご病気が続きました」

    妖精女王「そう……ですね……」

    火竜公女「第一に示すべき事は、
     戦をする人手があって、道を造る人手がない
     などと云うことはあり得ぬ、と云うことです」

    鬼呼族の姫巫女「それはそれで、道理よな」

    火竜公女「新しい街道を造れば、人も物も流れまする。
     物の流れは、豊かさへの第一歩。
     何か足りない物があれば隣国から買えばよいのです。
     あまりたる物があれば、隣国へ売ればよいのです。
     そして、売り買いを行えば、税が入りまする」

    紋様の長「税か」
    勇者「……ふむ」

    火竜公女「こたびの計画では、こちらの地図に示したとおり」

    ばさりっ!

    火竜公女「9本の本街道を考えまする。
     これらは現在の旧街道を利用しますゆえ、
     その長大さと比較して短期間で作れる見通し。
     これを九族大路と称しまする。
     さらには、今後の展開として、この九街道を補佐する
     18の街道も視野にいれまする」

    碧鋼大将「なんと壮大な!」

646 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 23:16:03.98 ID:jeE4iYgP
    火竜公女「これら街道は、必要があれば土を盛り上げ
     谷を削り、可能な限り石畳で作りまする」

    銀虎公「何故か?」

    火竜公女「この世界を悩ませてきた、
     大規模な河川の氾濫に対する備えとしてゆえです。
     道の左右には一定の間隔で槐の木を植え、
     この根を持って大地を抱き、土の流れを防ぎまする。
     また、この九族大路の要所には水路を平行して作り
     水利をはかりまする」

    紋様の長「水利とは?」

    火竜公女「これは受け売りでございまするが、
     この地下世界、我らが故郷には、
     水のある場所と無い場所の差が激しすぎまする。
     ある場所は大河の氾濫に怯え、
     無い場所では実りのない赤茶けた大地。
     これでは豊かな場所を奪い合い、戦乱が生じるも必定。
     水のある地域からは水を抜き安全を確保し、
     無い地域へと水を少しでも運ぶ方策を練るべきかと」

    火竜大公「……これだけの計画をどれだけの期間で
     行おうというのだ」

    火竜公女「九族大路を9年。
     その後18枝道をもって18年」

    鬼呼族の姫巫女「それだけの人手、金をどうする?」

    火竜公女「今回のお願いはそれでございまする」

648 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 23:17:23.16 ID:jeE4iYgP
    銀虎公「とは?」

    火竜公女「債符を興しまする」

    碧鋼大将「債符?」

    火竜公女「はい。債符は木の札のような物で、
     番号が振ってあり登録が必要でありまする。
     これを大量に作りますゆえ、買って頂きたい。
     債符を持った商人は、債符ひとつにつき一台の馬車を
     あたらしく作った九族大路において税を払うことなく
     通行させる、とすればいかがでしょう」

    鬼呼族の姫巫女「ふぅむ、つまりは事前に税を集める訳か」

    火竜公女「御意」

    紋様の長「その債符は高いのか?
     普通の商人では買えなくなってしまうのではないか」

    火竜公女「あまりにも高い、つまり後で税を払った方が
     安くつくというのであれば本末転倒。
     ですがその場合、その判断も商人の才覚ゆえ
     あとから税を払おうと考える方は、それで宜しいでしょう。
     しかし、税なり債なるものは
     その重さ軽さよりも、
     不公平であることにがもっとも民の反感を買うと思いまする。
     
     説明をし、街路の有用性を説き、上位に当たる者から
     積極的に債符を買えば必ずや上手く行くと考えまする」

649 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 23:18:53.73 ID:jeE4iYgP
    火竜公女「また、これらの道が通るところは交通の要と
     なりましょう。
     氏族の長がたならばお解りかと思いまするが、
     小さき街は大きくなり、今はなにも無き村であっても
     新しく街になる可能性もありまする。
     水路が引かれた地にため池を作れば、新しい畑も作れましょう。
     この計画は、必ずや子々孫々にわたる益をもたらしまする」

    妖精女王「……」
    巨人伯「……俺たち、お金は、少ない」

    火竜公女「心得ておりまする。
     巨人が一族の方には、逆にこちらから債符をお送りしたいほど。
     資金の代わりに、その強き腕を街道敷設にお貸し下さい」

    勇者「……魔王なのか? 誰が鍛えたんだこれ」

    銀虎公「我が領土にも水が来るのか」
    火竜公女「必ずや」

    火竜大公「……」

    紋様の長「わたしたち人魔一族は、通例を破ってでも、
     この案には真っ先に賛成させて頂きましょう。
     我ら人魔は雑多な族のあつまり。
     あちこちの街に散らばって生きています。
     これだけの街道があれば、我らが受ける恩恵は計り知れない」

    東の砦長「かたじけない」

    鬼呼族の姫巫女「面白い。即答は出来ぬが、国元へと帰り
     急ぎその裏付けを検討させよう。前向きな答えを
     期待してくれても良い」

    火竜大公「娘よ」

    火竜公女「火竜大公におかれましては、いかがでしょう?」

651 :以下、パー速民が(ry[saga]:2009/09/24(木) 23:20:43.76 ID:jeE4iYgP
    火竜大公「良かろう。支持しよう」

    妖精女王「わたし達は、どのようなことが出来るか
     検討してみるとします」

    巨人伯「おれたちは……支持する」

    碧鋼大将「我らは保留だ。鉄が来るのは有り難いが
     我らがどれほどに受け入れてもらえるのかは
     部の民に相談することなく、軽々に返事は出来ぬ」

    鬼呼族の姫巫女「意見が割れた時は過半数、と云う話だったが
     この話は明確な反対があるわけでもない。
     今しばらく時間を取っていただき、
     氏族の中での意見も聞いてみたいが、よろしいか?」

    火竜大公「うむ、それが適当であろう」

    妖精女王「判りました」
    巨人伯「おう……」

    東の砦長「かたじけないな。長の方々」

    鬼呼族の姫巫女「なんの。火竜老公の美しい娘御を
     みれて眼福であったぞ」

    火竜公女「次回までには、今少し詳しい計画図をお持ちしまする」

    東の砦長「助かったぜ。やつにも礼を言っておいてくれ」

    火竜公女「承りました」にこっ




魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」【パート24】へつづく

〔書籍化〕まおゆう (著) 橙乃 ままれ

転載元
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/kako/1253/12531/1253172466.html
 

最新記事50件