5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:42:37.07 ID:mkjYFX+5O
    幼律「みおちゃんの髪きれーだねぇ!」

    幼澪「えぇっ?そんなことないょ……」


    ────────。

    幼律「みおちゃん左利きなんだぁ!すごいねぇー!」


    幼澪「えっ…あのぉ…そのぉ…」


    ───────。

    幼律「私達ずっと友達だよ?みおちゃん♪」


    幼澪「う、うん!」


    ───────。


    ん……夢…か。


    澪「ここは…」


    そうだ…確か律に頭を殴られて…………、律に……。

    涙が浮かんで来た…。律が私にそんなことをするなんて……。
    さっき見た夢と相まってボロボロ涙が溢れる。



最初から読む人はこちら
唯「バイハザ!」【前編】

前の話から読む人はこちら
唯「バイハザ!」〜ラクーンシティ編〜【パート3】

バイハザ!の全作品はこちら

 

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:44:40.39 ID:mkjYFX+5O
    澪「……」

    ゆっくり地面から起きあがる澪。その顔にもはや生きる気力はなかった。


    澪「そうだ…死のう。それが一番いい…。こんな場所で苦しんでまで生き残る必要ないよね…」

    澪は自分のデザートイーグルを取り出す。


    澪「これなら引き金を引いた瞬間に死ねる…。一瞬だから痛くないよねきっと。」

    自殺して律に後悔させてやるんだ。私が澪に冷たく当たったからだって
    そしてみんなに一生責められ続けて苦しんで最後には私のお墓の前で頭を擦り付けながら土下座する
    私はそれを悦に入って見てるんだ。
    私を大切にしないからいけないんだ


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:47:05.14 ID:mkjYFX+5O
    澪「ふへへ…ざまあ見ろ律……後悔してももう遅いんだから」

    デザートイーグルをこめかみに当て付ける。銃身はひんやりと冷たく、死の恐怖感が垣間見えた気がした。


    澪「じゃあね……バイバイみんな…」

    そうして澪は引き金を引いた。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:49:57.35 ID:mkjYFX+5O
    ───────。

    梓「ん……?」
    目を開けるとあの懐かしの部室だった。


    澪「やっと起きたか梓」

    梓「ここは…?」

    律「な〜に言ってんだ?我が田井中律が部長であらせられる軽音部の部室に決まっているじゃないか!寝ぼけてんのか〜梓?」

    梓「部室……」

    紬「余りにもあなたがぐっすり寝てたから起こさないでおいたのよ。はい梓ちゃん。あなたの分のお菓子とお茶よ。」

    梓「ありがとうご……あの、唯先輩は?」

    辺りを見渡しても唯の姿だけはなかった。


    律「ゆい?」

    澪「誰それ?」

    梓「えっ…」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:51:12.08 ID:mkjYFX+5O
    梓「誰って…唯先輩ですよ!」

    律「だから誰だっての。知らないよそんな人」

    澪「元々軽音部は4人だったじゃないか。律がドラムで、私がベース、むぎがキーボード、そして梓がギター」

    紬「二人とも、梓ちゃんは寝起きだから…ね?」

    律「それもそうか」

    律先輩がニカッと笑う


    澪「梓らしくないぞ?」

    澪先輩もそんな律先輩につられて少し微笑んでいる。むぎ先輩も…

    何で笑っていられるんですか…?唯先輩は、唯先輩が!


    梓「唯先輩のいない軽音部は軽音部なんかじゃありません!」

    それを言ったら瞬間辺りの景色は吹き飛んだ


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:53:58.36 ID:mkjYFX+5O
    「目が覚めたのね」

    梓「ここは……」

    自分は寝ているのか天井が見える。豪華な装飾品が飾りつけられており、灯りにはシャンデリアが使われている。


    「ずっと目が覚めないから心配したのよ?」

    梓は声の方に視線を向ける、


    梓「……和(のどか)さん…」

    和「覚えていてくれて嬉しいわ梓。二年ぶりね」

    そこには大人びた和の姿があった。
    STARSの制服に身を包み左耳にはイヤリングが輝く、あの頃とは違う大人の女性に思えた。
    眼鏡は健在で相変わらずの下の縁が赤色の眼鏡がとてもよく似合っている。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:58:13.95 ID:mkjYFX+5O
    梓「あの…唯…先輩は…?」

    和「……。」

    その話題になった途端目を背ける和。


    まさか…………

    和「大丈夫、生きてるわ。けれど早く治療しなければウイルスに犯されてゾンビになってしまう…。」

    複雑な気持ちだった、素直に生きていることは嬉しい、しかし危機的状態には変わらないのだから

    和の視線の方へ目線を動かすと横たわった唯先輩がいた。


    梓「唯先輩…………」

    左肩には痛々しく包帯が巻かれており、そこから血が滲み出していた。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:00:48.00 ID:mkjYFX+5O
    梓「早く助けないと……!」

    和「…応急措置はしたけど私の持っていたワクワク…じゃないワクチンじゃ一本じゃ抑えきれないみたい…。だからあなたに手伝ってほしいの」

    梓「…何でもやります!唯先輩を助ける為なら!」

    和「この先にラクーンシティ総合病院があるわ。そこならTウイルスのより強力なワクチンがあると思うの。それならこの唯の体内に入ったウイルスも抑えられる筈よ」

    梓「わかりました!」

    時は一刻を争う、私は直ぐ様起き上がり体の調子を確認する。


    梓「(オート治癒モードが発動したのか体は軽い…いけます!)」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:04:28.48 ID:mkjYFX+5O
    和「私は唯を守るためにここを離れるわけにはいかないわ。ここも安全なわけじゃないから。悪いけどお願いね」

    梓「はい!」

    ふと、言われて気付いた。唯先輩と一番付き合いが長いのは確か和さんだ。
    そんな和さんが今の唯先輩の状態を見て普通でいられるわけがない。きっと悩んでいた筈だ。
    病院へ行って直ぐ様唯先輩を治したい…けれど一人にしておけない。
    きっと背負って行こうとも考えただろう
    けれどそれを邪魔したのは、私だ

    私がのうのうと寝てる姿を見てきっと殺したいぐらい腹を立てたに違いない
    こいつがいなければって…


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:09:06.45 ID:mkjYFX+5O
    そう思うと不思議と涙が出てきた。


    梓「ごめ……んなさい…」

    機械の癖に


    梓「私のせいで……唯先輩を……」

    役立たずの癖に

    和は初めは驚いた様な顔をしていた、が、すぐに梓の元に行き抱き締めた。


    梓「え……」

    和「あなたは悪くない…。こんな姿になってまで…みんなを…唯を守ろうとしてくれたじゃない」

    和の梓を抱きしめる力が強くなる


    和「何で唯がこうなったかは知らない…けどあなたがその為に必死になって戦ってくれたことぐらいわかるわ…。ありがとう…梓、ありがとう…」

    和が梓に見せた二度目の涙だった。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:12:08.51 ID:mkjYFX+5O
    梓「……」

    暖かい、唯先輩も暖かいけど、和さんも暖かかった。
    あの時感じた暖かさと同じだった

    背中には冷たい雨が降り頻りる……けど、内側にはこの暖かな体温が感じられた

    私はあの時思わず微笑んでしまった、あんな状況下で、ボロボロになりながらも

    それでもこの暖かさは、人を優しい気持ちにさせてくれる


    今も同じだった。



    梓「ありがとうございます……和さん…。私…行きます」

    この暖かさを胸に、そしてまたあの暖かさを取り戻しに


    和「頼んだわよ、梓」
    涙ながら浮かべてくれた笑みを背にして


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:17:20.41 ID:mkjYFX+5O
    ────────

    カチンッ……、弾は出なかった。それはそうだ、弾はさっきゾンビ犬と戦った時になくなり、補充していなかったのだから。
    それを知っていながら私は引き金を引いたのだ。
    こうして自分の余韻に浸りたかった。悲劇のヒロインを演じたかったのだ

    澪「ふふ…は……どうすればいいのかな……」

    泣いても仕方ない、
    自殺も出来ない、
    喰い殺されるのは怖い、
    律に嫌われるのが怖い、

    何もかもが嫌だ
    やっぱり死のう
    そうしてポシェットから弾を取り出そうとした時だった、不意にこぼれ落ちた一つのウサギのキーホルダー


    澪「これは……」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:21:26.47 ID:mkjYFX+5O
    ラクーンシティ到着前──────。

    澪「何とか夜までには着きたいな〜」

    唯「そうだね〜。あっ!そうだ!」

    唯は自分の鞄をごそごそし出す。


    唯「はいこれ!澪ちゃんの分!」

    澪「…これは?」

    片手で運転しながら受け取ると、そこにはウサギのあしらわれたキーホルダーがあった。


    唯「みんなに会ったら渡そうと思って♪私が犬で〜澪ちゃんはウサギ!あずにゃんは当然猫でりっちゃんは熊さん!むぎちゃんはハムスターで和ちゃんは狼さん!憂の分もあるんだぁ」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:27:07.50 ID:mkjYFX+5O
    澪「唯……。」

    唯「みんながまた会えます様にって作ったお守りなの!えへへ…//」

    澪「そうだな…!私も諦めないよ唯!みんなに会ってこれ渡そうな」

    唯「うん!りっちゃんには澪ちゃんが渡してあげてね♪」

    そう言って熊のキーホルダーも渡して来る唯。

    澪「なっ、唯渡してよぉ//」

    唯「だ〜め!りっちゃんには澪ちゃんが渡さないとダメなの!」

    ずっと一緒に居て、一番りっちゃんのことをわかってあげられているのは、澪ちゃんなんだから


    ────────。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:31:11.57 ID:mkjYFX+5O
    澪「唯……ゆいぃ……」

    そう言えば律のことに夢中で唯達のことを忘れていた…。
    あんなにみんなのことを想い、優しい唯を…私は叩いたのだ。

    間違ってるのは私で、律だった。確かに今の律は正常じゃない

    謝っても謝りきれないことをしてしまった…。
    けれどまだやり直すことは出来るんじゃないか…。

    ポシェットからもう一つのキーホルダー取り出す。熊があしらわれており唯独特のセンスが伺われる。


    澪「可愛いクマ…唯らしい…」

    そうだ、私にはまだやることが沢山あるじゃないか

    赤みがかっていた目が完璧に黒に戻った。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:35:16.14 ID:mkjYFX+5O
    澪「唯達大丈夫かな…。やっぱりまずは律と合流して……」

    でもさっきの律は異常だった。あの律とどうやって話をするか……。

    「ノォォォォォォ!」

    澪「!?何っ?」

    この声はさっきの……!

    澪は急いで立ち上がり牢屋の方へ急いだ。



    ────────。


    澪「ベンさん!」

    牢屋が開いておりその前でもたれ掛かかりながら座っているベンがいた。

    ベン「ミオ……か。ヘマしちまったぜ……。まさか天井から……来るなんてよ…」

    澪「どうしたんですか?!」

    見た目に外傷はないがベンは明らかに苦しんでいる


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:39:44.72 ID:mkjYFX+5O
    ベン「ミオ…お前に…大切な人はいるか?」

    澪は力強く頷く


    ベン「そうか…俺にもいた……が…バイオテロのせいで……失った…。だから…バイオテロを引き起こした奴ら達が…許せない」

    澪「ベンさん…」

    ベン「ここの署長…ブライアン・アイアンズが…アンブレラと繋がってるんじゃないかと…俺は睨んで…張り込んだら…この様さ。これを…」

    ベンは一枚の紙を渡す。


    澪「これは…?」

    ベン「俺が調べたブライアンの記録だ……。頼む…あいつを…許さないで…うぐぁあ」

    澪「ベンさん!しっかり……ベンさん!」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:43:54.37 ID:mkjYFX+5O
    ベン「離れろ!ミオ!うぉぉぉぉぉぐぼぉ…」

    澪「ベンさん!」

    ベンは澪を突飛ばし背を向ける


    ベン「うああががアァァァ…胸が…苦…し…」

    胸の苦しみを抑えつけるように手をあてるが…それは容赦なくベンの体を食い破って来た

    ベンは澪に見せまいとそのままうつ伏せに倒れ込む。

    非道なジャーナリストと言われていたベンの最後の優しさだったのかもしれない。


    澪「ベン!!」

    ベンの異常な行動に思わず立ち竦んでしまった澪だったが、倒れた音で気を取り戻しベンに駆け寄り身を起こす


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:46:34.40 ID:mkjYFX+5O
    澪「ひっ…血が…」

    ベンを起こした澪の手にはべったりと血がついていた。
    二年前なら卒倒してたであろう血だが、今じゃそんな怖がる自分を失礼とさえ思っていた。


    澪「うっ……(血がなんだ…そんな場合じゃないだろっ…私!)」
    血と臓器が入り交じっているのを見て吐きそうになりながらもその原因を突き止めようとする澪

    ベンは左の肩口から心臓にかけてまるで中から食い破られたように裂けていた。

    ぐちゃ…


    澪「なに…」

    嫌な音が聞こえた。ベンの体の中から

    臓器かと思っていたそれは口をまるで笑ってるかの様にくねらせた

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:52:48.50 ID:mkjYFX+5O
    澪「ひぃっ」

    これには澪も思わずベンから手を離してしまった。

    その生物なようなものはベンの体を出て出口の方へ向かって行った。

    澪「一体何なんだ…ここは」

    泣きたい気持ちと吐瀉物を我慢しながらもベンの資料に目を通す余裕があったのは生きると言う確固たる目標があったからだろう。

    それと同時に澪の中にも逃げるだけじゃなくもうこんなことを二度と引き起こさせない為にもアンブレラと戦うと言う意志が芽生え初めていたのかもしれない


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:57:42.66 ID:mkjYFX+5O
    ブライアン・アイアンズとアンブレラについて─────

    どうやら俺の睨んだ通りやつらは繋がっているらしい。この警察署の地下には研究施設がありそこでウイルスやモンスターの研究をしているともっぱらの噂だ。
    何やら新しいウイルスを作っているらしい。Gウイルスと言うそうだ
    絶対署長の不正を暴いて失脚させてやる





    クソ!まさか捕まるなんて!だがおかげでわかったことがある。アイアンズ署長は恐ろしく変態だってことがな!



    なにやら外の様子がおかしい。バカ犬どもの鳴き声がいつも以上にうるさい

    これじゃ寝れやしねぇ


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:59:47.41 ID:mkjYFX+5O
    澪「ここのアイアンズ署長に話を聞いてみるのが一番か…。生きていればの話だけど」

    紙を折りたたみしまい込むと血の余り出ていない右肩の方からベンを持ち上げて先程ベンが寝ていたベッドに横たわらせる。その上からシートを顔までかけて手を合わせる澪


    澪「こんな所じゃ埋葬も出来ないけど…せめてこれぐらいはさせてくださいベンさん…。あなたとは少し話しただけだったけど…同じ職種であるあなたの気持ちは私が受け継ぎます。」

    もう逃げない……私はこの地獄を撮影し、世間に公表すると言う形で戦うんだ
    今まで死んで行った人の為にも


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:05:54.04 ID:mkjYFX+5O
    律「ルーク、ビショップ、ナイト、キングプラグをさせ……か。ほんとにこの警察署はカラクリ屋敷だな」

    律「戻るのも癪だけど仕方ない…。」

    目標の研究室はこの先の下水処理場を抜けた先なのだから


    律「澪がまだ寝てると助かるんだけど」

    踵を返しまた下水道から犬舎のマンホールへ戻ろうと思っていた時だった。

    律「…………いつの間に」

    律が渡って来た赤い鉄の橋の上にそれはいた

    外見は何と例えればいいだろうか、産まれ落ちたエイリアンの様な感じと言えば伝わり易いだろうか。
    人間とはかけ離れた姿がそこにあった。


    「ウェ…、ウェ…、」
    何かを吐いている、こいつの子供か何かか。
    ゴキブリを彷彿とさせるそれは律へ向かって


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:08:42.73 ID:mkjYFX+5O
    律「ちっ…」

    右足のホルスターから素早くコルトM19を抜く。
    左手は使えない為右手だけの片手撃ちだ。

    エイリアンみたいな奴の口から出てきたゴキブリの様なモノを狙い撃つ

    コルト独特の鈍い銃声がする度ゴキブリの様なモノが弾け飛ぶ

    三匹いた内の二匹を仕留め最後の一匹に標準を定めた瞬間それは律に向かって飛びかかって来た。

    意志があるかは不明だが、このままではかなわないと思いの奇襲か


    だが律は顔色変えずに飛びかかって来たそれを銃で横から薙ぎ払う


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:12:57.71 ID:mkjYFX+5O
    律「本体は全く動かずか、これならハンターの方が優秀だな。」

    コルトの弾を腰のポシェットから取り出し弾を込める。


    「ウゥ……」

    また吐こうとしているのを見てコルトを構え、敵の顔面に撃ち込んだ。


    「ウォェッ」

    気持ち悪い鳴き声を上げ苦しむ化物。


    律「もっとくれてやる!」

    パァン!パァン!パァン!

    「グェ……」

    頭を下げ橋に伏す化物。


    律「なんだぁ?こんな雑魚だったとはな。弾使い過ぎたか」

    伏している化物を足蹴にする律


    律「まるで怪物の赤ん坊か。ははっ、怪物に赤ん坊もくそもないか」

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:16:41.98 ID:mkjYFX+5O
    律「さて、プラグ集めしないとな。こんな時一人なのは厄介だよな〜。また愛想振り撒いて協力でも促すか。でも梓以外使い物にならないからな〜梓に会ったら協力してもらおっと」

    そうして部屋を出ていく律



    グチャ─────
    グニュグニュ─────


    そう、この怪物、いや゛G ゛はまだ律の言う通り赤ん坊であった。

    形を変え姿を変え……今まさに、゛G ゛は進化する

    二段階目へと


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:18:40.07 ID:mkjYFX+5O
    夜の街をひたすら走った。
    早く、早く、早くと自分自身が急かす。
    ローラーは追跡者との戦闘で壊れたのか靴底から出ない為走るしかなかった。
    いくら博士が天才と言われていてもやはり義足と生身の接着点が地に足を着く度に痛く体全体に響く。
    その為に博士は靴にローラーをつけてくれていたのだと私はこの時理解した。

    梓「病院……病院……あった!」

    ゾンビの群れの向こうにラクーンシティ総合病院が見える。

    問題はゾンビをどうするか…こっちは丸腰だ。
    ゾンビ相手に近接戦闘も頂けない…

    梓「なら無視が一番!」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:21:39.53 ID:mkjYFX+5O
    このスルー、実はとても大事なことでバイオ上級者ならほとんどの敵はスルーだろう。
    それ故に上級者のバイオ動画はマラソン、等と定義されているぐらいだ

    梓は道端に落ちている缶を拾う。


    梓「(これを壁にぶつけて引き付けてる内に左側から抜けるっ…)」

    ゾンビは視覚、より嗅覚、聴覚が優れていることを梓は知っていた。

    梓「えいっ!」

    カランカラン


    「ウゥ……」

    缶の音に反応しゾンビが音のした方に向う。
    その逆側の壁に身を潜めていた梓は一気に駆け出す!


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:23:10.46 ID:mkjYFX+5O
    「ウゥ?!」

    梓「(っ…気づかれた!)」

    右側に固まっていたゾンビが梓を見て左側に集まって来る。


    梓「(道が……)」

    左側にも群がりとうとう道が塞がれる形になった。


    梓「(やっぱり戦うか……でも少しでも外傷を受けたらいくら私でも感染しちゃう……)」

    確かに梓は体の何割かは機械化したが残る半分以上は普通の人間なのだ。
    耐性が完璧である澪、律、唯、レオン達とは違う。一発受ければDEATH、ゾンビ化だ


    梓「なら!」

    道は自分で作るまで!
    梓は勢いよくゾンビの群れに突っ込んで行く


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:25:22.36 ID:mkjYFX+5O
    梓「えぇぇい!」

    ゾンビの群れに捕まる瞬間左側の壁を登るように横へ走る
    地面からだとまるで半月を描く様に
    少ない距離の壁走りだったがこれだけでも十分距離を稼げた
    梓は見事ゾンビの群れの向こう側へ着地し、また走り出す。

    これは壁がやや傾斜していたのと梓の第一歩目、右義足の脚力のおかげと言える


    梓「ク〜リア〜♪おっといけない……こんなことで喜んでる場合じゃなかったです」


    梓「あっ!……帰りどうしよう…………」

    病院の中に武器……あるかな……


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:25:33.26 ID:Tm7/VIIV0
    唯は耐性完璧なのにワクチン必要なの?


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:28:56.30 ID:mkjYFX+5O
    >>61
    3をやってもらえるとわかると思いますが抗体者でも強力なウイルスを受けると感染します。
    ジルもそれで感染しましたがカルロスに助けられました


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:30:01.67 ID:mkjYFX+5O
    病院の扉は開いておりすんなりと入ることが出来た。


    梓「お邪魔します……」

    病院のホールの中は薄暗く、静寂と病院と言うことが相まってこれ以上ない恐怖を演出している。大の大人でもこの状況下で病院へ入って行く人は少数だろう。


    梓「怖い、けど…それより唯先輩を助けたい…」

    その勇気が足を一歩一歩前へと押し出して行く。


    梓「……何か…いる」

    私以外の誰かがこの空気の流れにいる、
    梓は辺りを見渡す、増築をしていたのだろうか、そこらに鉄パイプが落ちている。
    その一つを拾い上げ構えを取った。


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:33:33.46 ID:mkjYFX+5O
    「…………!」

    梓「来た!」

    それは音もなく仕掛けてくる。暗闇の中、上空から梓に向かって飛びかかって来る。

    それを梓は横へ飛び回避


    梓「ハンター!?いや…違う、もっと大きい……」

    薄暗い中に浮かんで来たのは普通のハンターより一回り大きいものであった。
    頭から肩にかけて肉腫が覆っており普通のハンターより醜悪な姿をしている。
    また左側の腕が異常に発達しているため利き手は左手だと梓は瞬時に判断した。


    梓「これも元は人間で…こんな酷いことをする人達が…アンブレラ!!!」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:36:12.15 ID:mkjYFX+5O
    武器は鉄パイプ一本だがここは避けては通れないだろう。ワクチンを探すのに邪魔になると判断し、梓は戦闘の姿勢を取る。

    梓「(強くなる為に剣の訓練もした…今それが試されます…!)」

    その勝負が、今火蓋を切って落とされる

    まずはハンターの強化版、ハンターβが動く。梓に向かって突進してくる

    梓「……狙うは頭部…」

    梓は隣にあった机を左義手で投げる。

    ハンターβはこれを素早く飛びながら回避、そして尚且つ梓への攻撃姿勢を変えることなく左手を振り下ろそうとしている。


    梓「やっぱり左手ですか」ニヤリ

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:39:03.16 ID:mkjYFX+5O
    梓「(油断していた、まさかもう一体いたなんて…!)」

    背後から襲いかかって来たハンターβはその大きな左手で梓の背中を引っ掻く


    梓「きゃあぁぁっ!」

    背中に激痛が走る─────。

    負ってはいけない一撃を負い前のめりに倒れ込んでしまう梓

    そんな梓に遠慮せず飛び掛かる体勢を取るハンターβ。

    首狩り、と言う即死攻撃だ。多くのプレーヤーはこれで死んでしまったことも多々あるだろうハンターの一撃必殺とも呼べる技

    ハンターβは勢いをつけ梓へ向かって飛びかかる!


    梓「(トラ……いや…違う……私の強さは…)」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:44:44.47 ID:mkjYFX+5O
    梓「諦めない力…!」

    梓は瞬時に前方へ大きく前転、ハンターβの攻撃は地面に傷をつけるだけとなった。
    背をついた時に激痛が走る


    梓「我慢……っ」

    その前転時に別の鉄パイプを握りようやくハンターに向き直る。

    ハンターβも直ぐ様距離を詰めようとこっちへ向かって来ている。


    梓「いっけえぇぇぇ〜」

    梓は鉄パイプを左義手で持ち、振りかぶって投げた

    ヒュンッと空気を切る音を放ちながらそれはハンターβの頭の肉腫を捉えそのまま貫通し病院の壁に刺さり止まった。


    梓「はぁ…はあ…うっ……いたぃ……よ…」

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:46:54.07 ID:mkjYFX+5O
    何とか二匹を倒したものの背中には浅いとはいえ傷を負ってしまった。
    早くしなければ自分はゾンビになってしまう


    梓「急がないと…早く唯先輩にワクチンを」

    梓に自分に使うと言う選択肢はまるでなかった。

    自分はゾンビになっても構わないから血清を届けたいと言う気持ちの方が何倍も勝っていた。

    時に人間は自分の為ではなく誰かの為に力を出す。それは家族であり友人であり恋人を守りたいと言う思いが、梓を強くしている。

    思いの力は確かに存在した
    その証拠が彼女でありまた彼女を応援する力が彼女を助けているのだ。彼の様に


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:52:26.66 ID:mkjYFX+5O
    隣の医師詰め所から病院のマップを入手。
    医院長の手記によるとワクチンは4Fの402号室にあるワクチン素剤、B3にある研究室で培養液ベースを合成装置にかけワクチン培養液になりそれをワクチン素剤と組み合わせることにより成るらしい。

    梓「ここまでの過程を踏むってことはどうやら強力なワクチンみたいですね…」

    まずは4Fへ向かい資料室で病室の鍵を取りに向かう。
    エレベーターに乗り込み4Fのボタンを押す。


    梓「ふぅ……。ようやく一息つけます」

    若干背中が痒い、でも我慢しないと


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:55:30.94 ID:mkjYFX+5O
    エレベーターを出て直進、資料室で病室の鍵を入手。
    まず401号室でパスワードを控える、更に配置を把握。この部屋が402号室の謎を解く鍵らしい。死体があったが今は構っている場合じゃない

    402号室を開けるとさっきとほとんど同じ作りだ。部屋の隅に何かを乗せるような場所が3つある。


    梓「東から登った太陽は、時間と共にどこへ沈む……ですか」

    奥にあった椅子の様なものを西側の隅に寄せる。

    梓「うんしょ……うんしょ……」

    ガチャンと音がし、壁に掛けられていた絵が落ち金庫のようなものが現れる。パスワードを打ち込み、ワクチン素剤を入手


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:57:22.93 ID:mkjYFX+5O
    梓「次です!」

    エレベーターでB3へ行き研究室へ入る。


    梓「わっ」

    入った途端に見える大きい容器の中に液体と共に入った何か。ハンターみたいだがまたさっきのとは違う姿だ。


    梓「…………動かない……よね」

    梓は容器をコンコンと叩いてみたりして確認するが反応はない。
    どうやら何かしらの方法で眠らされているみたいだ。

    奥へ行くと培養液ベースがありそれを合成装置にかけると、ワクチン培養液が出来る。
    これを1:1の割合で混ぜることでワクチンが完成した。


    梓「やった!早く唯先輩の所に戻って……」
    梓は喜びのあまり容器の中の液が抜けていることに気づいていない


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:58:53.29 ID:mkjYFX+5O
    梓が横切った瞬間──────

    つん裂く様なガラスの割れる音がし、ハンターが飛び出してきた

    梓「ひゃぃっ!」

    戦っている余裕はない、逃げないと……。

    梓はダッシュで研究室を出る、だが追ってくる、 ハンターと言う名前の通りの狩り


    梓「エレベーターまで逃げられれば…っ」

    さっき通った廊下を全力疾走し、エレベーターのボタンを押す。
    しかしエレベーターは何故か一階におりそこから下がって来るのを待たなければならなかった。


    梓「さっきはそのまま4階にいたのになんで!」

    後ろから二匹のハンターγが迫る


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:03:39.82 ID:mkjYFX+5O
    武器は鉄パイプだけだ。相手のタイプがわからない以上先制攻撃は仕掛け難い。

    どうする……、どう凌ぐ……

    ハンター二匹が梓に襲いかかる。と、同時にエレベーターが開く。
    梓は鉄パイプを牽制の為投げつけその隙にエレベーターへ乗り込もうとすると……


    「なんだ!?」

    エレベーターには誰か乗って来ていた


    梓「あなたは……それより早くエレベーターを!」

    「いや間に合わない!伏せろ!」

    梓はその声と同時に伏せる。
    ショットガンがエレベーター直前まで迫っていた二匹のハンターを捉えた。

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:06:45.50 ID:mkjYFX+5O
    「ふぅ……何とかなったな。しかし君が何故ここに?」

    梓「お久しぶりです、レオンさん」

    レオン「梓、見違えたな。」

    梓「嫌味ですか?」

    レオン「骨が繋がらないのは知っていた。だが義手にするなんてな。だがさっき言ったのはそう言う意味じゃない。綺麗になったってことだ」

    梓「……そうやって誰でも口説くんですね」

    レオン「嫌われたものだな……すまない。社交辞令として受け取ってくれ。おいて行ったこと恨んでるのか?」

    梓「いえ…今はそれどころじゃなくて…。早く唯先輩の所へ行かない…と」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:11:13.99 ID:mkjYFX+5O
    レオン「唯?そう言えば律が見たと言っていたな…。梓、詳しく話してくれないか?」

    梓「だからそんな暇ないって…つぅ……」

    レオン「その背中…、ハンターにやられたのか。さっき見つけたワクチンがある。治療しよう」

    梓「触らないでっ!」

    レオン「……梓。」

    梓「……すみません。唯先輩の命が危ないんです。」

    レオン「その前に君がゾンビになってしまっては元も子もないだろう?治療する間でいい、話を聞かせてくれ。俺も君に言っておかなくてはならないことがある。律について」

    梓「律先輩について……?」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:14:18.89 ID:mkjYFX+5O
    ワクチンを射った後、梓の黒いシャツを脱がし包帯を巻く。

    梓「……気持ち悪くないんですか?義手なんて……」

    梓の左肩から金属の塊が剥き出しになっている。胴体との繋ぎ目が痛々しい。


    レオン「梓、お前はお前だ。どうなったってな」

    梓「みんなと同じこと言うんですね…。」

    レオン「気の利いたことが言えなくてすまないな(こんな小さな背中に背負っている物が多すぎる。梓も律も…)」

    梓「それで律先輩の話って何ですか?」

    レオン「律には口止めされてたんだがな。実は律、唯、澪の家族は生きているらしい」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:15:23.38 ID:mkjYFX+5O
    梓「そう…なんですか。(私の家族は…言うだけ無駄ですよね…)」

    レオン「あぁ。それをアンブレラに人質に取られている。これを知ってるの律と俺とクレアだけだ」

    梓「それで律先輩はちょっと変だったんですね…。」

    レオン「いや、確かに初めは悲観していたがアンブレラを倒そうと動き始めた時はもっと明るかった。だが場数を踏むにつれて段々とおかしくなってな…。」

    梓「おかしく…?」

    レオン「射撃や身体能力があの歳の女のものじゃない。下手すれば俺より優秀な位さ。」

    梓「レオンさんがヘタレなんです」

    レオン「泣けるぜ」

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:17:55.38 ID:Tm7/VIIV0
    レオン・・・(´;ω;`)ブワッ

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:19:28.03 ID:mkjYFX+5O
    梓「冗談はともかくその身体能力向上がいけないことなんですか?こんな中で実戦経験を積んでいれば強くなるのは当たり前だと思いますけど」

    レオン「それだけならいいんだが性格面でもおかしくなって来てな。無機質と言うか…無関心と言うか」

    梓「家族の事とか色々重なって辛くなってるんじゃないですか?」

    レオン「……そうかもな…。だが他にも何か要因があると思えるんだが…」

    梓「次に律先輩と会ったら色々と話してみます。」

    レオン「そうしてくれると助かる。よし、これでいいだろ」

    梓「包帯巻くの上手いですね。ありがとうございます」

    レオン「その格好じゃ寒いだろう。これを着ろ」

    レオンは自分の着ていた茶色の革のジャンパーを梓に被せた。

    梓「ありがとう…ございます…///」

    この人も苦労しているのは髪の毛を見てわかった。昔の時は完璧な茶髪だったのに対し今はそれが白みがかっている
    これは染めたと言うより自然とそうなったような色だった。
    レオンを邪険にした自分はまだ子供なんだなと反省する

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:21:11.34 ID:mkjYFX+5O
    レオン「じゃあ今度はそっちが話してくれよ」

    梓「その前に聞かせてください。レオンさんは何故ここに?」

    レオン「俺は律とここへ来たんだ。生存者がいないか色々なところを歩き回ったんだが出会うのはゾンビばかりでな。人間と出会ったのは君が初めてさ。病院なら…と思ったがこの街に生き残りは君達と俺と律だけみたいだ」

    梓「そうだったんですか。私の話はエレベーターに乗りながら話します」

    レオン「あぁ」

    二人はエレベーターに乗り込み1Fのボタンを押す。


    1F──────

    『ピッピッピッ』

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:24:11.99 ID:mkjYFX+5O
    梓はレオンに一通り端的に話した。自分がここへ救助活動をしに来たこと、その途中で唯先輩達に出会ったこと、そして律先輩達と別れた後追跡者に追われ唯先輩が重傷を負ったこと等
    話自体は短いもので1Fにつく頃には終わっていた


    レオン「なるほど、それで病院にワクチンを」

    梓「はい。だから急がないと駄目なんです」

    レオン「それはすまないな。俺はまだやることがあって一緒に行ってはやれないが…お互い生きていればまた会うことになるだろう。」

    梓「はい。それじゃあ。色々ありがとうございました、レオンさん」

    エレベーターを出て走る梓。


    レオン「梓!」

    梓「はい?」

    レオン「あまり自分を責めるなよ。後律のことを頼む」

    梓「わかりました。ありがとうございます」
    病院を出る梓をレオンただ目で追っていた。


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:25:38.36 ID:mkjYFX+5O
    レオン「仲間か…良いものだな」

    ピッ…ピッ…ピッ…


    レオン「何の音だ?」
    エレベーターを降りたレオンがその音がする所へ行く。
    小さいがピッ…ピッ…っと電子音を刻む音がする。


    レオン「テーブルの下か?」

    患者が待つための椅子の前に置かれたテーブルのにそれはあった。

    レオン「まさか─────」

    ピッ…ピッ…ピッ…ピー


    ────────。


    梓「ゾンビがいない。きっとレオンさんが倒してくれたんだ。感謝しないと─────」
    ズォッ────
    病院を出たばかりの梓の体が浮く。その後に爆発の轟音が辺りに響き渡った。


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:29:36.98 ID:mkjYFX+5O
    梓は少し爆風に飛ばされたが病院と距離を取っていたためほとんど無傷だった。


    梓「まさか…………」

    後ろを振り返ると赤々と燃えている病院があった。さっきまであの中に居たと思うと背筋が凍る。


    梓「レオン…さん?レオンさん!聞こえますか?!レオンさん!」

    焼けている病院の出入口に向かって叫ぶ梓。当然返事など返って来なかった。

    梓「レオン……さん。誰がこんなことを……!」

    だがここで立ち止まっていても仕方がない。反省は先に繋がるが後悔は何も産まない。梓は今自分に出来ることをやるために時計塔へまた戻る。
    レオンの革のジャンパーの暖かさを感じながら。


    梓「そんな簡単に死にませんよね…レオンさん。必ず生きてまた会いましょう……」

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 03:30:35.73 ID:mkjYFX+5O
    ───────。

    「梓……しぶといですねさすがに。でもレオン・S・ケネディを仕留めたのは大きい。これでウェスカー郷の邪魔をするものを一人減らした……」

    レオン「誰が誰を仕留めたって?お嬢さん」

    「!?まさかあの爆発で生きてるなんて」

    レオン「爆発する前に窓から飛び出しただけさ。もう少し早く仕掛ければな。さて、案内してもらおうか?そのウェスカーと言うやつの所に」

    ジュン「くっ……」

    後ろから銃を突き付けられたジュンは両手を上げたまま歩き始めた。

    レオン「(ようやく尻尾を出したな…アンブレラ!)」

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:07:37.86 ID:mkjYFX+5O
    ───────。
    これは夢なのだろう、そうわかるくらい夢とわかる夢だった。

    私達がステージ歌っている。

    それを聴いて皆が感動してくれている。

    これは私達の夢だ。覚めても、覚めない夢だ。

    私達はいつから歌い、奏でることをやめ傷つけることを選んだのだろう。状況に縛られ、流され、身動き出来なくなっていたんだ。
    こうなれば素晴らしいと思った。聴くもの全てを優しい気持ちにするような…
    自分に出来るだろうかそんなことが
    違った、私はもうそうすると決めていたんだ。

    私の歌、みんなに届くといいな─────。


122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:13:30.87 ID:mkjYFX+5O
    ────────。


    梓「はあ…和さん!はあ…ワクチン…はあ…持って…来ました!」
    息を整えるのも忘れ和にワクチンを渡す。


    和「ほんと!?良かった…。すぐに投与するわ」

    和が受け取ったワクチンを唯に射ち込む。


    唯「んっ……あっ……あ……」

    和「唯……大丈夫?」

    和の言葉に反応しゆっくりと目を開ける唯。


    唯「のどか……ちゃん?それにあずにゃんも……」

    梓「唯先輩……唯せんぱぁい!」

    泣きながら唯に抱きつく梓


    唯「よしよしだよあずにゃん」

    梓「えっぐ……ひっく……ゆ゛い゛せんぱい…よ゛かった…」

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:20:26.26 ID:mkjYFX+5O
    和「気分はどう?痒みとか頭痛かったりしない?」

    唯「大丈夫〜……ちょっとお腹が痛いけど」

    梓「そう言えばあの化物にいっぱいお腹叩かれて……唯先輩!」ガバッ

    唯「あっ、あずにゃん?!いきなり服脱がせるなんて……大胆だよぉ//」

    梓「…………」プニプニ

    唯「お腹つつかないで〜///くすぐったいよぉ//」

    梓「痛くないですか?」

    唯「そんなには…。多分折れたりもしてないと思う」

    梓「でも壁すら粉々にするあのパンチをくらって無事だなんて……」

    和「多分これのおかげね」

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:24:39.98 ID:mkjYFX+5O
    和が持っているのは防弾チョッキの様な物だった。

    梓「それは?」

    和「S.T.A.R.S.の特注品の衝撃吸収型の防弾チョッキよ。普通の防弾チョッキは至近距離何かで弾を受けるとその衝撃でも骨が折れたり気を失ったりするのよ。それで考え出されたのがこれってわけ。
    技術部じゃないからどうなってるかは詳しく知らないんだけどね。でも何で唯がこれを?」

    唯「署のみんながアメリカ危ないからつけてけって。」

    和「確か各警察署に試作品として送ってたわね(その一つをつけさせてもらえるなんて…唯は相変わらずどこでも大事にされてるわね)」

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:29:53.68 ID:mkjYFX+5O
    梓「なら遠慮なく」ぎゅっ

    梓は覆い被さる様に唯に抱きついた。


    唯「あずにゃん…」

    梓「お帰りなさい…唯先輩」

    唯「ただいま、あずにゃん♪」

    ────────。

    唯はやはり疲れていたのか少し喋った後また眠ってしまった。

    和と梓は唯のことが一段落した為、今までの事とこれからの事を話し合っていた。


    和「そう……「俺」はあなたを守って…。」

    梓「はい…」

    和「でもその後かどうかわからないけど「俺」から梓は心配するな、ちゃんと脱出させるって連絡をもらったわ。だから私は唯達の脱出協力に専念出来たの」

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:35:16.51 ID:mkjYFX+5O
    梓「はい…、私も死んだと思って俺さんは生きてました。追跡者に私達が殺されそうになった時に助けてくれたんです。私はすぐ気を失ってしまってそれからどうなったかはわからないですけど…」

    和「実は私があなた達を見つけたのはこの時計塔の前なのよ。RPDへ急いで向かってた時なんだけどね。あなた達が二人してここの入口にもたれ掛かってたのを見て…」

    梓「俺さんがここまで連れて来てくれたんでしょうか?」

    和「わからないわね…体に風穴開いて生きてるなんて……いや「俺」ならあり得るけど」

    梓「しぶとそうですよね俺さんって」

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:41:27.31 ID:mkjYFX+5O
    和「次に会ったらS.T.A.R.S.にあんたの席ないから!って言っておいて。ただみんなは心配してる、私も含めてって」

    梓「はい」

    苦笑いする梓。やっぱり和も心配していたのだろう。生きてるとわかった途端笑顔の回数が増えていた。


    和「そろそろ行くわ。唯が心配だけど…梓がいてくれれば安心だわ」

    梓「ラクーンシティ警察署にですか?」

    和「えぇ。私達の他にも生存者がいるかもしれない、それにちょっと話し合わなきゃならない人がいるのよ」

    梓「律…先輩ですか」

    和「……そうよ」

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:46:06.09 ID:mkjYFX+5O
    和「知ってるかもしれないけど律とはこの二年間で何度か会ったわ。何度も協力を促したり救助活動を手伝ってほしいと言った。けど彼女はそれを無視してずっと何かを探してる」

    梓「何か…?」

    和「何か…はわからない。けれど前に彼女は……とうとう私の隊の……。新米の隊員が律のことを生存者と思って保護しようとしたらしいのよ。
    でも律はそれを拒否してね。それだけならいいんだけど新米は正義感が強いから…女の子一人にはさせられないって無理矢理連れていこうとしてね…脚を撃たれたわ」

    梓「律先輩が…人を…」

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 12:50:50.75 ID:mkjYFX+5O
    和「いくらなんでもやり過ぎよね。それから彼女はS.T.A.R.S.でも危険視されてね、見つけ次第連行せよって命令が出てるの」

    梓「そんな…信じられません…」

    和「私もよ。確かに律は二年前と随分変わった。でもそんな人を撃つ様な真似はどんなに変わってもする人とは思えないの。」

    梓「……。律先輩……家族をアンブレラに人質にされてるみたいなんです。レオンさんが言ってました」

    和「レオン・S・ケネディ、律の相棒って話よね。彼は良く私達に協力してくれるわ。それにしてもそんな事情があったなんて…言ってくれれば協力するのに…」

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:03:49.18 ID:mkjYFX+5O

    梓「言えない理由があるんだと思います…きっと。律先輩は今何もかも自分で背負い込んで…自分で解決しようとしてる。だから気持ちが焦って…イラついて…」

    和「そうだとしても、もし本当に私の部下を撃ったのが彼女なら…責任は取ってもらわないとね。勿論…全てが終わった後に」

    梓「はい…。だから律先輩に会ったら言っておいてください。私達は今でも、軽音部の仲間だって」

    和「わかったわ。じゃあ唯のこと、頼んだわね」

    梓「はい!」

    唯「のどかちゃん…………これ…」

    梓「先輩、起きてたんですか?」

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:14:21.76 ID:mkjYFX+5O
    和「何これ?」

    唯が手に持っていたのは狼?のキーホルダーだった。


    唯「お守り…作ったの。みんながまた集まって楽しく出来ますようにって…。あずにゃんにもあるんだぁ」ニコ

    唯がポケットから出した猫のキーホルダー。しかしそれは殴られた時の衝撃か片目がなくなっていた。それに気づきそれを引っ込める唯

    唯「あっ…」

    梓「いいんです。この方が私にそっくりですから…」

    唯「ごめんね…」

    唯の優しさに梓は涙を溜める。壊れてしまったキーホルダーを梓の体に見立てて欲しくなかった唯の優しさに…


139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:19:18.98 ID:mkjYFX+5O
    梓「先輩っ//」ギュッ

    唯「あずにゃん暖かぁい//」

    和「ラブラブねあなた達。妬けるわ」

    唯「和ちゃんもおいで〜」

    こっちに来いと言わんばかりに手招きする唯。


    和「遠慮しとくわ。私には似合わないもの。でも何で私は狼なの?そんな怖いイメージかしら私…」

    唯「昔クリスさんが和ちゃんがすたぁーずの狼って言ってたからだよぉ」

    和「あぁ…なるほど…それで。でもまあ嬉しいわ。ありがとう唯」

    唯「えへへ//」

    和「じゃあもう行くわね。あなた達も気をつけて」

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:23:32.62 ID:mkjYFX+5O
    梓「はい!色々お世話になりました」

    唯「りっちゃんのことよろしくね。私達もすぐ行くから!」

    和「えぇ。粗方街と警察署を探してみて生存者がいなければこの街から脱出するわよ。無線は私が外と連絡する様しかないから…まあきっとまた会えるでしょ。このお守りがあるから」

    唯「うん♪」

    和が名残惜しくも部屋を出て行こうとした時地面がグラツク。

    和「なっ、何?」

    唯「地震??」アタフタ

    梓「違う…これは」

    梓は天井を見上げる。すると上の階から段々と盛り上がって来ている。

    梓「また奴が…来た」

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:25:38.38 ID:mkjYFX+5O
    和「梓!唯を連れて隠れて」

    梓「でも…っ」

    和「いいから!」

    梓は言われた通り寝ている唯を抱き抱える。


    唯「また来たんだ…。でも……」

    ゴォン、ゴォンと天井が叩きつけられついには轟音と共に穴が開き、そこから奴が現れる。


    追跡者「スターズ…!!!」

    ようやく本物に会えたと言わんばかりに和を見据える。


    和「へぇ…こいつが唯を。丁度いいわ」

    腰に差している刀の柄に右手を添える。
    時代劇などで見られる居合い抜きのポーズを取る和


    和「本物のS.T.A.R.S.の力、見せてあげる」

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:29:20.84 ID:mkjYFX+5O
    唯と梓は部屋にあった祭壇の後ろに隠れて様子を伺っていた。

    梓「前と形状が違ってる…」

    上半身の黒いコートはなくなっておりオオドイロの肌が露出している。触手が前より全面に押し出されており異様に膨張していた。


    追跡者「スターズ…!」

    和に向かって走り出す。


    梓「前より明らかに遅い…」

    右手を振りかぶり和に向かって振り下ろす。膨張した腕がブォッとうねりをあげる


    和「…………」

    手は出さずにバックステップで避ける。敵との間合いを再度確認する。

    その距離をまた詰めようと追跡者は走る、が──────。

    和「はぁッ!」

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:37:51.95 ID:mkjYFX+5O
    刀を抜き出す前、鞘の頭部にあるボタンを左の親指で押す。
    すると中から空気が圧縮され刀を押し出し、通常の何倍もの抜き出し速度を可能にする


    ブオッ…


    和の繰り出す斬撃に一陣の風が吹いた、
    それと同時に追跡者の右腕が飛ぶ。一瞬の内に和の銀の切っ先は追跡者の腕を捉えていた。


    追跡者「スターズ!」

    だが追跡者は止まらず左腕を突き出しながら突進。その必死さが恨みの深さを伺わせる。


    和「くっ…」

    首を狙ったつもりがだいぶズレてしまったことに和は自分の未熟さを思い知る。この刀は居合い抜きには最高の刀だが、抜いたままならただの刀に成り下がることを知っていた。


150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:41:37.80 ID:mkjYFX+5O
    和「はあ!」

    向かってきた追跡者の突き出した左腕を斬り落とそうと刀を振り下ろす。しかし膨張している太い腕を斬り落とすのは容易ではなく、刃は肉を途中までえぐり止まる


    和「ちぃっ」

    追跡者「ォォォ!」


    追跡者は体に巻き付いている触手を動かし和を捕まえようとするが和は追跡者の胴体を足蹴にしてまた距離を取った。


    和「このっ!」

    追跡者「スターズ…」

    さっき斬り落とした右腕がみるみるうちに再生していく、、、


    和「これは厄介ね…。」

    和は紫色の血がこびりついた刀を一度振るって血を飛ばし、また刀を鞘に収める。


    唯「もうやめて!!!」

    唯が珍しく声を荒げる


    和「唯?!」

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 13:44:50.51 ID:mkjYFX+5O
    梓「唯先輩危ないですから!」

    唯「私にはわかる…彼は本当はこんなことをしたくないって言ってる」

    和「何でそんなこと…」

    唯「私の首を絞めている時に…ごめんなさいごめんなさいって…言ってたから…」

    梓「そんなわけないです!こいつは唯先輩を!」

    追跡者「ウゥ……ォォォ!」

    唯「もうやめよう?あなたもこんなことしたくないんだよね?」

    唯が追跡者へ向かってゆっくり近づく


    和「唯!!!」

    カチン─────

    唯「やめて和ちゃん!」

    居合い抜きの構えを取った和を制止する唯


    和「でも!」

154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:01:26.11 ID:mkjYFX+5O

    唯「大丈夫…怖がらないで。あなたは本当は優しい人…。」

    梓「バカなことはやめてください先輩!」

    梓が大声で叫ぶ。唯がやっていることを信じられないと言った表情を浮かべる

    唯はそんな梓の心配を他所にどんどん追跡者との距離を詰めていく。

    追跡者「……」

    徐々近づく唯に警戒はするものの手は出してこない。二人の距離は5m…4m、ついには3mにまで縮まった。

    唯は両手を胸に当て目を瞑る、そして────



    唯「何でなんだろ 気になる夜 キミへの この想い便せんにね 書いてみるよ」

    歌い始めた────。


158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:08:12.33 ID:mkjYFX+5O
    唯「もしかして 気まぐれかもしれない それなのに枚数だけ 増えてゆくよ」

    梓「この歌は…」

    唯が作った放課後ティータイムの曲の一つ、「私の恋はホッチキス 」。乙女のふと気になる人を想って気持ちをとりあえず何かに表してみる…と言う恋をテーマしているこの曲は唯がメインボーカルをしていて、唯のお気に入りの曲でもあった。


    唯「好き確率 割り出す 計算式 あればいいのに」

    ───────。


    ウェスカー「何だ…この歌は」

    脳髄にはっきり響いてくる歌声。全身に鳥肌が走る────


    ウェスカー「そうか…そうだったのか!ははは…面白い…!」

    こうでなくてはな…


161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:14:56.88 ID:mkjYFX+5O
    唯「キラキラ光る願い事も ぐちゃぐちゃヘタる悩み事も そうだホッチキスで綴じちゃおう」

    追跡者「グ……オォッ……」

    和「まさか……唯の歌を聴いて反応してるの…?」

    梓「先輩……」

    唯先輩は歌はあの時と変わらず…上手い、とは言えなかった。けれどここまで心に響く歌声を私は他に聴いたことがあるだろうか。
    心臓に直接刻み込まれているようなドキドキする感覚────
    何だろう…暖かい


    唯「始まりだけは軽いノリで 知らない内に熱くなって もう針がなんだか通らない ならまたあした」

    この気持ちがみんなに届きますように…


162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:20:25.27 ID:mkjYFX+5O
    追跡者「ウォォ!……サ…」

    大きく膝を曲げるとそのままさっき出てきた天井へジャンプし何処かへ消えて行った


    梓「助かった…」

    いや、違う。間違いなくこれは唯先輩の歌が関係している…。そう思わずにはいられなかった。


    唯「良かっ……」

    力なくふらつく唯、床へ倒れる前に和が抱き止め「唯、大丈夫?」と小さく声をかける。

    唯「うん。私ね……決めたの。私はこの歌で戦うって…」

    ただの一般人なら何をふざけたことをと言われるかもしれない。
    だが一度バイオハザードをくぐり抜け自分も死に直面した彼女がそう言ったのだ


163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:25:58.58 ID:mkjYFX+5O
    和「あなたなら…出来るかもしれないわ…唯」

    何故そうなったか原理も論理も理論も推測もいらない。

    彼女の歌はただ彼の心を奮わした。それだけのことだ

    路上でライブしている人の歌を上手いと思い聴き入る行為、それにどんな理由があるだろうか。
    ただ自分を満たす何かと感じとり、それを聴いているだけで心が安らぐ

    歌にはそれだけの力がある。


    何も武器は、戦う手段は銃だけでない、と唯は証明したのだ。


    梓「さっき…私のことを見てアズサって…」

    私のことを知っている…誰?まさか……
    でもそんなわけない。だって、だって彼は生きて戦ってたんだから…

164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:30:53.31 ID:mkjYFX+5O
    地下下水道───────。

    「ん……どこやここは?」

    目覚めると見知らぬ場所にいた。俺は一体……


    「そうや、俺は何かを探してて……あ〜わからん。」

    考えると頭が鈍痛に見舞われる。そう言う時は考えないことに限る


    「しかしなんやえらい薄暗いのぉ。とりあえずお日さん浴びたいわ」

    目の前のマンホールへの繋がるはしごは落ちている為他を探す


    「つか俺の名前ってなんやったっけ……」

    思い出せそうなんやけどなぁ


    しばらく歩くと狭い通路の横にはしごがついているのを発見

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:35:57.24 ID:mkjYFX+5O
    「うぉこわっ!なんやデカいクモおるやん…気持ち悪っ。はよ出よ」

    そうしてはしごを登る全身黒の男─────。

    地下犬舎────────。


    澪「さっき唯の声が聞こえた気が…」

    犬舎の水道を捻りじゃばじゃばと血でまみれた手を洗う。喉が乾いたがさすがに飲む気にはなれなかった。


    カツン、カツン、カツン


    澪「ん?」

    前のマンホールから誰かが上がってくる靴音がする。


    澪「律かな…?」

    シュー、シュー


    『ターンターンターンタタターンタタターン ターンターンターンタタターンタタターン』

    澪の脳内にダースベイダーが登場した時の音楽が流れる


168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:39:23.53 ID:mkjYFX+5O
    黒いマスクに黒い服装、息をするたびシュゴーと空気が漏れる音がしている男?がマンホールから出てきた。


    澪「」ポカーン

    何だろう、新手のモンスターだろうか。撃った方がいいのだろうか
    澪が呆気に取られていると段々それは近づいて来る。


    澪「ひぃっ」

    思わず情けない声をあげてしまう。あっちもこちらに気づいているのかじりじりと慎重ににじりよって来ている。


    だが次の瞬間────


    「この先私はあなたの剣となり盾となりお守り致しますお姫様」

    澪「へ?」

    急にそんなことを言わながら頭を下げられた


169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 14:44:53.53 ID:mkjYFX+5O
    ふーようやく下水道生活からはおはらばや。上はどこに繋がってるんかいな〜。

    マンホールを登りきり辺りを見渡すとどこかの建物内部の様だった。

    なんや建物の中かいな…あ〜あどっちら…け…?


    5mほど離れたとこに私は女神を見た。
    こんな暗い中でも彼女は輝いており、まるでその美しさはヴィーナス!いや意味同じやん

    きっと自分は彼女に会うためにここにいるのだろうと直感的に把握した。そう…全ては運命なのだ

    私は彼女に跪く。

    彼女の為ならこの命惜しくはない!


176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:03:14.93 ID:mkjYFX+5O

    澪「えっ…、あの、…どう言う意味でしょうか?」

    生存者にしてはやたら格好が怪しい為に素直に喜べない澪。


    「好きってことさ」

    澪「はあ?あのふざけるならいい加減に…」

    「ふざけてなどいません!この気持ち、まさしく愛です」

    澪「そんなこと言われても…」

    「おっと私としたことが名前を聞くのを忘れていた。名前を教えてくださいハニー」

    澪「え、っと…秋山…澪です」

    「澪…か!素晴らしい名前だ!最高だ!私達の子供にはなんてつけ(ry」

    澪「いい加減にしろっ」

    久しぶり澪のツッコミが発動したのだった。


177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:06:54.64 ID:mkjYFX+5O
    ───────。


    澪「それであなたは何も覚えてないと?」

    「そやねん。気づいたらここにいたんでさぁ…」

    澪「(何かしゃべり方がころころ変わる人だなぁ)あなたはこれからどうするんですか?」

    「あなたとの合体を所望す(ry」

    スパコーン


    澪「ふざけるなっての」

    「冗談はともかく自分はあなたと共に行きます。話を聞く限りここは危ない場所なのだろう?一人では心配だ」

    澪「(確かに一人より二人だけど…まあ悪い人じゃなさそうだしいいか)わかりました。そう言えばあなたの名前は?」

179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:10:12.87 ID:mkjYFX+5O
    「ハンク、死神のハンクだ」

    名前…と言われて突然頭に浮かんで来た。気を失う前に誰かにそう呼ばれたような…


    澪「死神ハンクさん?なんか変な名前ですね…まあ長いからダースベイダーさんでいいよね?」

    ハンク「いやそっちの方が長いやん!ハンクでええよみーちゃん」

    澪「次その名前で呼んだら撃ちますね。」

    ハンク「気をつけます姉さん…(ぉ〜こわっ)」

    澪「私は今から署長室に行くんだけどついて来てくれますか?ハンクさん」

    ハンク「あぁ、君を守るためなら地獄でも共に行こう」

    二人は署長室へ向かった。


180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:11:52.26 ID:mkjYFX+5O
    日本、病室──────。

    歌が聴こえた。唯ちゃんの、懐かしい声だった。


    斎藤「今日も空が綺麗ですよ、お嬢様。そう言えば毎日通う花屋さんから鈴蘭とマリーゴールドをもらいました。花言葉は幸せの訪れと健康だそうです。早く元気になってください…お嬢様。みんなお嬢様の目覚めをお待ちしてますよ…」

    あれから二年間紬お嬢様は眠り続けていた。医者の話では外傷はないが心の問題らしい。彼女自身が目覚めたくないと思ってると言うことだろうか

    伸びたブロンドの髪が何とも美しかった。幼い頃見た彼女と違い随分と大人になっていた。思わず胸が締め付けられる。
    恋などと言う甘いものではない、家臣としての苦しみだった


182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:13:17.30 ID:BG95v0qJO
    あれ?

    斎藤…?

    …あれ?


183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:14:10.43 ID:mkjYFX+5O
    「─────…いい、匂いね」

    斎藤「お嬢様!?目を覚まされたんですか?!待ってください今医者を…」

    紬「貴方は…?」

    斎藤「憶えておられませんかお嬢様?無理ありませんか…幼い頃に少し遊んだぐらいですから」

    紬「…………」

    面影が誰かに似ている。私を常に支えてくれて…私の気持ちをわかっていながらいつもとぼけていた彼を思い出した。


    紬「斎藤……。」

    斎藤「そうです。お久しぶりですお嬢様」

    紬「でも貴方は死んで……」

    斎藤「あぁ、やっぱりそちらの斎藤でしたか。勘違いしてしまいました。それは兄です」

    紬「お兄さん…そう」

184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:17:45.08 ID:mkjYFX+5O
    紬「……昔斎藤が連れてきた人がいた。その子は私と同い年くらいで……それが貴方なのね」

    斎藤「はい。私達斎藤家は代々琴吹家に仕えております。兄があの事件で亡くなったと聞き…お嬢様の元へ来たのです」

    紬「そう…でももういいのよ。琴吹家は私の代で終わり…お父様も死んでしまってお母様もきっと死んでしまったわ…。」

    斎藤「でも、あなたがいらっしゃるじゃないですか……」

    紬「もういいの……私も本当は死んでいたから。仲間も裏切って……今の私には何も残っていない。だからいいの……」

    斎藤「……ざけんなよ」

188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:24:30.82 ID:mkjYFX+5O
    紬「えっ…」

    斎藤「ふざけんなって言ってんだ!!!」

    斎藤が強く叫んだ


    斎藤「兄はそんなあなたを守るために死んで行ったんじゃない!いつも明るく周りに気を配り使用人、執事関係なく人を平等に大切してくれると兄はいつも言ってた!そんなあなたをずっと守って行きたいと!」

    紬「斎藤……」

    斎藤「一つ聞かせてくださいお嬢様。兄は…駄目な執事でしたか?」

    紬「…いえ、とても素晴らしい方でした。」

    斎藤「兄も、その言葉を聞いて天国で喜んでると思います。」

    紬「でも主君に声を荒げて意見するなんてまだまだね。お兄様はそんなこと一度もしなかったわよ?」

    斎藤「うっ……すみませんお嬢様」

    紬「ふふ、冗談よ。あなたもお兄さんに負けないくらいいい執事よ」

    斎藤「勿体無いお言葉です。さあお嬢様、この斎藤めに何なりとご命令を」

189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:27:54.20 ID:mkjYFX+5O
    斎藤……あなたは本当にいつまでも、私を見守ってくれてたのね…。ありがとう。あなたの為にも私はまた夢を目指します。
    だから…………

    紬「現在の琴吹家の株、市場状況は?」

    斎藤「二年前と比べ少し落ち込みましたが爺やが代理の取締役として機能しているのでしばらくは問題ありません」

    紬「二年?!私はそんなに眠ってたのね…」

    通りで髪が腰をすぎて太もも辺りまで来ているわけだと納得した。

    紬「経営はしばらく爺に任せるわ。それより今起こっているバイオテロについて調べて」

    斎藤「それなら琴吹家の衛星カメラで既に」

    紬「いい仕事ぶりね斎藤」

    斎藤「はっ」

190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 15:31:22.31 ID:mkjYFX+5O
    斎藤「アメリカのラクーンシティで大規模なバイオハザードが起こっている模様です。しかし政府の発表がないことを考えるとこれを引き起こした人物達と裏で繋がっていて黙殺してると考えるのが妥当かと」

    紬「救助活動へ向かいます。琴吹家の総力をあげなさい。尚私は先に向かいます。一番速いジェット機を用意して」

    斎藤「了解致しました。」

    斎藤は携帯を取り出し何処かへ電話する


    斎藤「今ここに沢庵レクイエムを発動。お嬢様の命令だ、全力で支援せよ!後SR‐71A至急用意しろ!今すぐにだ!」

    だから…天国から見守っててくださいね。
    斎藤──────。



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唯「バイハザ!」〜ラクーンシティ編〜【パート5】へつづく

引用元
唯「バイハザ!」〜ラクーンシティ編〜
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1248442576/
 

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