1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:09:01.07 ID:BFiLFJCe0
    ヒカル「なぁ佐為」

    ヒカル「オレもう23だよ」

    ヒカル「あれから10年なんだな」


    聞こえるはずのないその声を
    進藤ヒカルはつぶやきつづける
    今日は5月5日、佐為と別れた日

    佐為の秘密――アキラには言うと
    言ったけど、結局は言わないまま墓に
    行くんだろうとヒカルは思っている
    幽霊に碁を教えてもらったなど誰が信じるか
    アキラは信じてくれるかもしれない
    けど、いう気にはなれないのだ

    ふっきれたと思っていた後悔の念は
    まだまだヒカルを捕らえて離さない

    あのころの期待の新星棋士は
    もう囲碁界をしょって背負う青年になっていた



ヒカルの碁 主題歌全集





11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:11:20.51 ID:BFiLFJCe0

    アキラ「進藤。何ブツブツ唱えてるんだ
        キミはこの季節にはいつも変になるな」

    ヒカルのライバル、塔矢アキラは
    あのおかっぱ頭を潜め、ショートになっていた
    甘いマスクは健在で彼が婚約したと知ったとき
    泣いた女性は数知れずとのこと



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:13:33.34 ID:dcGZv8CxO
    アキラくんがおかっぱじゃないとは…


17 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:14:12.27 ID:BFiLFJCe0
    アキラ「碁会所なんて久々だな」

    ヒカル「だな。でもお前があの受付の人と
        結婚するなんて人生何が起こるか
        わかんないぜ」

    アキラ「市河さんを悪く言うな」

    ヒカル「別に悪くいってねーよ。
        たく嫁さんのことになるとすぐ
        かっかするんだから。
        てかなんで苗字呼びなんだよ」

    碁会所は相変わらずジジババが多いけど、
    着実に子供の数は増えてきてる
    未来のオレ達を一目でも見ていこうと、
    忙しい合間をぬってきたわけだ


19 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:15:50.72 ID:BFiLFJCe0

    アキラ「やぁ」

    ヒカル「ちわー」

    市河「あら、あなた、進藤クン。
       久しぶりね〜。今日は休み?」

    ヒカル「まぁね。ってか何?あの人だかり」

    ヒカルが指差したソコには立派なギャラリーが
    集まっていた

    市河「それがね、今朝スゴイ碁打ちさんが現れたの。
       北沢さんに36子置き、しかも後手でコミなし
       で勝っちゃったの。」

    アキラ「36子?北沢さんていうと自称初段の?」

    市河「そ。まぁ腕は確かだけどね。
       で、北沢さんてあの性格でしょ?
       勝つまでやるぞー!って言って今24局目。
       全部負けてるけどね」

21 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:18:55.98 ID:BFiLFJCe0

    ヒカル「どんなやつだよ。こっからじゃ
        ギャラリーで全然見えないぜ」

    市河「それがすんごい美人!平成の大和撫子って感じなのよ〜」

    ヒカル「女のゆう美人は信用できねぇ・・・」

    アキラ「失礼だな」

    ヒカル「お前が怒るのな。江戸川や小島は?」

    江戸川と小島は最近碁会所にきてる小学生だ
    バーロォバーロォうるさいが、
    弟みたいでかわいいやつらだ

    市河「今日はゴールデンウィーク中だから
       どちらも旅行ですって」


23 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:20:07.82 ID:BFiLFJCe0
    ヒカル「おもしろくねーなぁ。ってあっちは
        おわったみたいだな」

    北沢「ちくしょー!!」

    アキラ「負けたみたいだ」

    ??「ありがとうございました」

    かぼそくも、凛とした声がひびいた
    どうやら対戦者が帰るらしい
    平成の大和撫子を拝んでやろうと
    オレは目をやった



    すんごい美人がそこにいた


25 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:21:17.31 ID:BFiLFJCe0



    着物をまとったその姿は、オレが見たどの
    TVなんかでやってる和服美人より自然で
    今時珍しい黒髪ロングを腰までのばしていて
    それでいて痛むことなくなおかつ似合っている

    そしてその面影はどことなく・・・


    ??「では私はこれd・・・アッーーー!
       ヒ、ヒカル?!ヒカルじゃないですかーーー!!
       元気でした?私ですよ私!!!!」

    ヒカル「さ・・・・・い?」

    そんな馬鹿な
    お前成仏しただろ?


    佐為?「ヒカルっっっ!!」

26 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:22:14.38 ID:BFiLFJCe0
    ガバっと抱きつかれ、オレはしばし
    思考が停止した
    その様子をアキラと市河さんが呆然と
    して見てる(もちろんギャラリーも


    佐為?「あ、いきなりこんなこと言われても
        信じれませんか?一局打ちましょうか?
        そうだ、打ちましょう♪」

    佐為?に強引に勝負を持ちかけられ
    停止していた思考が徐々に働き出した
    一子一子打つごとに推測だったモノが
    確信に変わった


    ヒカル「この打ち方・・・お前ほんとに」

    佐為「はい、藤原佐為です。
       ヒカル、私は戻ってきました」


36 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 22:26:43.13 ID:BFiLFJCe0

    佐為によると、気がつくと碁会所の前に
    このままの姿でいたらしい
    自分の使命を果たしたはずなのに何故か
    現世によみがえった彼はなぜか美少女に
    なっていた
    しかし元から女顔だったため、ヒカルにとってはさして違和感はなかった

    アキラは「え?え?」と終始うろたえっぱなし
    だったし(こいつは碁以外のことに関すると
    まるっきり駄目な社会不適応者だ)、
    市河さんが「どうゆうこと?!
    進藤クンの・・・キャーvvそうゆうことvv」
    などと言ってうるさかったのでオレは佐為を連れて
    碁会所から急いで一人暮らしのマンションに
    戻った

    あたりはもう真っ暗だ


    ヒカル「なんか心当たりとかないの?戻ってきた理由」

65 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 23:12:50.87 ID:BFiLFJCe0


    佐為「そうですね・・・神の一手を極めるのは
       私じゃないと悟って清く成仏したはずなので・・・」

    そういって佐為はうーんとうなった
    そうだよな、とオレはうんうんと心の中でうなずく
    なんでかオレは喜びより疑念の方が心境的に大きい
    一回死んだと思ったら生まれ変わって美少女になるなんて
    こんな都合のいいことがあるのか
    いや、あってよかったのだとヒカルは無理やり納得する
    こうしてあの日の師匠が帰ってきた
    それだけでいいじゃないかと

    しかし


    ヒカル「お前その・・・若返ってないか?」


66 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 23:13:39.66 ID:BFiLFJCe0
    佐為「へ?あぁ、そうですね
       元の私に比べたら幾分か」

    ヒカル「高校生くらいにみえるぞ;」

    霊体だったころの佐為はどう贔屓目に見ても
    20代半ばといった印象だったが、
    今の美少女佐為はそれこそ16〜18の少女だ

    佐為「そうですね。
       まぁ碁を打つのに外見は関係ないですから♪」

    なんつう考えなしだ・・・
    まぁ、こっちとしても長髪の野郎よりは
    かわいらしい女の子の方がいいけどな、とヒカルは
    考え自己嫌悪におちいる


    ヒカル(すっかり考えもおっさんぽくなったな・・・)

    そんなヒカルを尻目に、佐為は部屋の中を物色し始めた


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 23:17:02.85 ID:/q0QxbgI0
    なんで俺にはかわいい少女の霊が取り憑かないのかな

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 23:19:52.01 ID:3ZAGEXWo0
    囲碁始めてみるといんじゃね?

78 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 23:32:08.27 ID:BFiLFJCe0

    ヒカル「何してんだよ!」

    佐為「ヒカル!碁盤は?!」

    ヒカル「あるから!そんないじんな!!」

    佐為「どこにもないじゃないですか!
       まさかヒカル、碁をやめて・・・?!」

    ヒカル「あほ!部屋掃除するのに邪魔だったから
        どかしただけだ。
        今トイレにあr

    佐為「ひぃぃ!ひ、ヒカルの不潔!!」

    佐為の目線の先にはベットの下――
    AV倉庫があった
    和谷なんかの碁打ちが集うオレの家は
    実家住まいのヤツがアダルト〜な
    ビデオや写真集を隠すうってつけの場所となっている
    野郎共の欲望が詰まったこの部屋は、
    つまりオレに彼女がいないことも示していた

80 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 23:34:01.17 ID:BFiLFJCe0
    ヒカル「あぁわりぃ。でもお前も元男だろ?
        そんなにうろたえなくてもさ;」

    佐為「わっ私はこんなもの見ません///!!
       ヒカルなんて最低です!
       あのころのかわいいヒカルを返してください!」

    そういって顔を真っ赤にして頭をカポカポたたいてくる
    生前が男とは思えない清純っぷりに
    ヒカルは困惑しながらも

    ヒカル(ま、1000年ありゃぁ性欲も消えるわな・・・)

    と己を納得させた

84 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 23:47:03.43 ID:BFiLFJCe0

    ヒカル「ごめんてばー」

    佐為「・・・」

    ヒカル「悪かったって〜〜〜」

    あまりにも佐為の反応が面白かったので、
    その中から一番ヌルイと思われるエロ本を出し(オレの優しさだな)、
    佐為に見せびらかしたのがまずかった
    ほれほれ〜とページをめくって
    目の前につきだし、その度「ひぃぃ///」だの
    「変態///」だの反応がある内はよかったのだが、
    だんだん声も小さくなり、しまいには

    「ぐすんぐすん・・・ヒカルのばかーー!」
    と泣き出してしまった

    こいつは確かによく喜怒哀楽を体中で表現するが、
    女の子でソレをやられると流石に
    罪悪感にかられた


85 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/12(金) 23:48:08.47 ID:BFiLFJCe0
    ヒカル「なぁ〜」

    佐為「・・・ぐすっ・・・」

    ヒカル「打とうぜ〜〜」

    佐為「!・・・ぐすん・・・」

    ヒカル「今反応しただろぉ〜
        もうやらねえからぁ〜」

    佐為「ヒカルなんて・・・私に勝てないくせに・・・」

    ヒカル「それ関係ねーだろ;」

    佐為「そういうことばっか・・・ぐすっ・・・
       覚えて・・・」

    ヒカル「ほんじゃぁ勝負するか?」

    佐為「え?」

87 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 00:00:20.30 ID:BFiLFJCe0

    ヒカル「オレとお前、どっちが強いか」

    佐為「そりゃもちろん・・・」

    ヒカル「オレだってこの数年、何もしてなかった
        ワケじゃないぞ?」

    佐為「・・・」

    ヒカル「一週間だ」

    佐為「?」

    ヒカル「一週間くれ。
        一週間後、お前と勝負する」

    佐為「勝てませんよ・・・」

    ヒカル「本因坊、オレあの桑原のじじぃから
        勝ち取ったんだぜ」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/13(土) 00:42:31.60 ID:XeAobP9u0
    ヒカルは桑原のじいちゃん殺して包淫棒うばいとったのか……あの人何歳だったの?

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/13(土) 00:43:33.84 ID:0P7CgLn3O
    >>115
    その変換だといろいろ誤解を生む

90 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 00:03:25.03 ID:jG7tHvzD0
    佐為「!本因坊・・・!」

    ヒカル「だからオレは今進藤本因坊。
        笑っちゃうよな、オレが本因坊だぜ。
        でもお前に不足はないだろう?
        ホントの本因坊さん」

    佐為「・・・そうですね、
       ヒカルがどのくらい強くなったのか。
       私はまだ確かめてません。
       こうゆう知識ばっかり肥やしてるかも
       しれないですしね・・・」

    ヒカル「だー!///なんかオレまで
        恥ずかしくなってきた///
        生理現象だししゃーねぇだろ!!」

95 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 00:11:00.80 ID:jG7tHvzD0
    佐為「よくないですよ!
       塔矢アキラをご覧なさい!
       あの者はけっしてこのような物を
       見てはいませんよ!」

    ヒカル「あいつだってやることやってるよ!
        結婚したんだぜ、10も上のヒトと!
        てかこの話おわり!お前もフロ入って
        寝ろ!」

    佐為「け、結婚?!はぁ、人は見かけによらない
       というか・・・」

    ヒカル「もー、いいからさっさとフロ入れ!!」

    佐為「はい・・・」

    ヒカル(なんだぁ、急に素直になって・・・)




    ――1時間後

105 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 00:28:00.59 ID:jG7tHvzD0
    碁盤に向かい、ヒカルは高永夏(コヨンハ)の
    棋譜を並べていた

    ヒカル(あの日本惨敗の北斗杯の翌年、オレが大将で
        コイツに勝ったが、まだまだ習うことは多い。
        そういやアイツも結婚したんだったな・・・)

    韓国棋士界の中でカルト的人気を誇る高永夏は
    去年の暮れ、通訳の女性と結婚した
    アキラに続いての知り合いの既婚者の登場に、
    ヒカルはうらやましいだとか妬みの気持ちはなく、
    純粋に「よくやるなぁ〜」と思ってた

    女というモノはやたらと自分達の時間について
    大切にしたがる
    以前、あかりが「私と碁、どっちが大事なの?!」と
    つめよってきた
    あかりによるとオレ達は付き合ってたらしい
    オレは好きだとか、付き合おうとか言った覚えは
    ないのだが、周囲の反応はいたってオレに対して冷たかった
    塔矢は「キミ・・・男としてどうなんだ?」っていうし
    和谷も「お前なぁ;そりゃちゃんとケジメつけなきゃなぁ」なんていうし
    そんなこんなであかりはオレじゃなく、
    二十歳の誕生日にオレがシャレで紹介した越智と婚約した

    あかりいわく、「ちゃんと私との時間を大切にしてくれる」と
    言っているが、あの男尊女卑キノコにそんな心遣いが
    あるとは思えない
    人は見た目じゃないというが・・・うーん・・・

130 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 00:57:40.12 ID:jG7tHvzD0

    別にオレは女が嫌いってワケじゃぁない
    ちゃんとした異性愛者だ
    だけど、それにかける時間がもったいないと思う
    今の時間でどれくらい碁が打てるかとか、
    そうゆうことばっかり考えてしまうのだ
    (それがモテない理由だとみんな言う)

    「だったら女性棋士ならいいんじゃない?」というのは
    4年前に念願の女流プロになった奈瀬だ
    「あんたの思想に女としては反感を覚えるけど、
    棋士としてはあながち間違いじゃないと思うわ。
    女流だったらあんたと合う人いるかもね。
    あたしは絶対カンベンだけど」

    女流、か


133 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:00:51.99 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「おーい佐為!
        フロまだあがんねぇの?」

    佐為「ひ、ひがるぅー;」

    ヒカル「どーしたぁ?」

    佐為「帯がとれませぇん・・・」

    まだその段階かよ!


137 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:06:28.12 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「早くいえよ;」

    佐為「だってヒカルが・・・」

    ヒカル「なんもやってねぇよ;
        オレも入りたいんだけど・・・
        帯とってやるから開けていいか?」

    佐為「!はい・・・
       あ、でもなんか負けた気が・・・」

    ヒカル「何にだ」

    ヒカルはガラッと扉をあけた


145 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:14:48.96 ID:jG7tHvzD0
    そこには悪戦苦闘する佐為の姿

    ヒカル(そうだ・・・こいつ女だったんだ・・・)

    全国の女性が聞いたら総すかんを食らうような
    ことをヒカルは思った
    だって帯を必死に解こうとする佐為は
    目にいっぱいの涙を浮かべて、
    疲れてちょこんと座っている


    ヒカル(なんかえろー・・・)

    その様子がヒカルの神経をなでた
    思わず顔が赤くなる


    ヒカル(や、こいつ佐為だし・・・)

    アブノーマルな世界に飛び込む気は
    さらさらないが、
    この光景は色々とまずいと思う


    佐為「ヒカル・・・脱がして下さい」

148 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:22:09.62 ID:jG7tHvzD0

    ヒカル「知らん!」

    佐為「え・・・え?!
       なんでですか、ヒカルぅ〜〜」

    ヒカル「今日はそのまんまで寝ろ!
        明日誰かにとってもらえ!」

    佐為「ヒカルぅぅ!
       怒ってますか、ねぇねぇ!」

    あっさり立場が逆転したことに気づいてない
    佐為はヒカルの機嫌を取ろうとする


    佐為「もう・・・なんなんですか・・・
       あ、碁打ちましょうよ!
       一週間までにはまだまだ時間があることですし♪」

    ヒカル「オレは勉強中だ」

    佐為「私とした方が絶対勉強になりますって」

    ヒカル「知らん!!」

    佐為「ヒカルぅぅ〜〜」



    そんなこんなで夜が明けた

153 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:29:35.13 ID:jG7tHvzD0
    佐為「今度はヒカルがベッドですよ」

    ヒカル「あぁ、いいっていいって」

    昨日の夜は佐為がベッド、ヒカルが
    こたつ(一年中出してある)で寝た

    佐為は最後まで「いっしょに寝ましょうよ〜」と
    言ってきたが、冗談じゃない
    流石に佐為とはいえ女といっしょのベッドに
    入るというのは気が引ける


    ヒカル(つーか、こいつ昨日さんざんオレに
        最低最低言ってたけど、
        お前の方がどうなんだよ・・・)

    佐為「今日はいっしょに寝ましょうね♪」

    ヒカル「はいはい;」

    ヒカル(平安人はようわかんねー・・・)

163 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:50:21.54 ID:jG7tHvzD0
    朝食を食べ、オレはこれからどうしようかと
    一人考えていた


    ヒカル(棋院にでも連れて行くか?
        や、でももし緒方センセイに見つかったら?
        あの人40だってのにまだまだ元気だからなぁ・・・
        それにもし佐為って呼んでるとこみられたら・・・
        ま、流石にsaiはもう覚えてないか)

    佐為「ヒカルっ、打ちましょ打ちましょ」

    ヒカル(こいつの着物も一晩着てくずれてるしなぁ
        こんなの連れまわしてたらオレがつかまるぞ)

    ヒカルは今、立派な成人男性
    そんなのが崩れた衣服を装備する美少女を
    そばに置いていたらどうなるか
    一発でお縄だ


    ヒカル(どうしたもんか・・・)

    ヒカルがモンモンとしている時に
    そいつは来た

    ピンポーン


165 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:56:25.82 ID:jG7tHvzD0
    ただ今の時刻は午前9時
    こんな微妙な時間に来るやつは一人しかいない


    アキラ「おーい進藤、いないのか」

    ヒカル「いるよいるよ、やっぱOKPか」

    アキラ「OKP?」

    ヒカル「おかっぱのことだよ」

    アキラ「もう違うぞ」

    ヒカル「はいはい、で、何のよう?」

    アキラ「キミ、昨日の女性・・・
        saiといってたね?」

    ヒカル「!」

167 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 01:59:46.79 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「あのsaiか?」

    ヒカル「・・・」

    アキラ「みたところ、女性というより
        少女だが」

    ヒカル「・・・」

    アキラ「忘れてると思ったか?
        忘れられるはずがないよ、伝説だ」

    佐為「ひゃぁ〜〜!!!」

    ヒ&ア「!」

168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/13(土) 02:00:20.48 ID:Zjto9e0T0
    確かアキラは囲碁関係だけ記憶力がよかったんだよな

176 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:16:11.14 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「なんだ?女性の声・・・はっ!
        まさか、邪魔だったか」

    ヒカル「ちげえ!はっ!じゃねえよ!!」

    佐為「ヒカルう!この小さな塊が
       動きました〜〜!!なんですかコレ!
       ってヒカルどこですか?
       あ、こんなとこに・・・」

    アキラ「!」

    佐為「!あ、あなたは・・・」

    ヒカル「ええっと、これは・・・」

    アキラ「進藤・・・!昨日のあの子じゃないか・・・キミってやつは
        まだこんな少女を・・・!!」

    ヒカル「ち、違うって!こいつは泊めただけだ
        なぁ、佐為・・・」

177 :ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:17:48.72 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「!やっぱりsaiなのか?!」

    ヒカル「お前らウルサイからとりあえず入れ!」

    佐為「この塊は・・・」

    ヒカル「だー!!それはケータイってゆーんだよ!
        お前ってホント間がわりぃな!」

    佐為「ぐすん・・・だって・・・」

    アキラ「キミは女性に向かってなんてことを・・・」

    ヒカル「フェミニストはちょっと黙っとけ!」

    この混乱の中で、ヒカルは気付いた
    別に佐為がsaiとバレてもいいんじゃないかと。
    あのころはヒカルの体に憑いている霊という
    非常に説明しにくい状態の佐為だったが、
    今は実体もあり、なおかつその腕はまさしくsai
    なにを隠すことがあろうか


    ヒカル「そう・・・コイツがあのsaiだ」

180 :棋聖転生:2009/06/13(土) 02:23:23.02 ID:jG7tHvzD0
    とりあえず佐為とアキラを中にいれ、
    落ち着いたところで言った


    アキラ「そうか・・・でもにわかには
        信じられないな。失礼ですが、
        一局打ってもらってもかまいませんか?」

    ヒカル(にわかにって・・・
        さっきまで必死こいて追及してたの
        どこのどいつだよ;
        こいつ打ちたいだけだろ・・・)

    あのsaiと・・・

    佐為「いいでしょう。
       互い戦でよろしいでしょうか?」

183 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:24:50.71 ID:jG7tHvzD0
    ちょっと寝ます
    サーセンww


184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/13(土) 02:26:03.33 ID:qT9o+s860
    >>183
    お前って奴は…少年漫画を分かってやがる




185 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:26:28.48 ID:jG7tHvzD0
    やっぱ寝れない☆
    続き書きます
    サーセンww


193 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:34:17.69 ID:jG7tHvzD0


    アキラ「はい。
        おい、進藤、碁盤」

    ヒカル「うるせーな。
        そんなんじゃ市河さん逃げてくぞ」

    アキラ「ふざけるなっ!晴美はそんな軽い女じゃない!」

    ヒカル「(軽い・・・?)
        ま、とにかく早く打てよ」

    佐為「では私が握りましょう」


    ――30分後

195 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:43:45.00 ID:jG7tHvzD0

    アキラ「ありがとうございました・・・」

    佐為「ありがとうございました」

    ヒカル「ま、結果は目に見えてたワケだが」

    アキラの健闘ぶりもむなしく、
    もちろん佐為の勝利


    アキラ「ボクはまだまだ弱いな」

    佐為「そんなことありませんよ。
       あなたは以前よりとっても
       強くなられた。
       ただ私がそれより強かっただけです」

    あっけからんという佐為に
    イヤミはこれっぽっちも見当たらない
    佐為にとっての事実を述べているだけなのだ


    アキラ「以前・・・ネット碁で打ったときですか?」

    佐為「え、ええと・・・;
       そうですね、そう、あのころより
       ぐーんと」

    ヒカル(ホントはもっと前から打ってるけどな)

200 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 02:53:29.85 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「あ、そーだ。
        なぁ、お前の知り合いに着物の
        着付け出来る人とかいねぇ?」

    アキラ「?母さんが出来るが・・・
        進藤・・・着るのか?」

    ヒカル「あほか。こいつだよ、佐為。
        ご覧の通りあのまんま寝ちゃってサ。
        こいつも自分で脱げねえし
        着られねえしで困ってんのよ」

    アキラ「進藤、キミは佐為さんに
        何にもしてないね?」

    ヒカル「ったりめーだろぉ、な、佐為」

    佐為「?はい。私の帯もとれませんものね、
       ヒカル」

    ヒカル(・・・)

    アキラ「キミ・・・!
        ・・・まぁ、佐為さんも
        嫌じゃないし、これでいいのだろうか・・・ブツブツ・・・」

    ヒカル「そーゆーことじゃねぇよぉぉ!
        誤解すんなって!!!」

202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/13(土) 02:57:55.33 ID:CIytEj3oO
    アキラがもの凄く真面目にエロいこと考えてるwwww

205 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 03:11:16.35 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「ボクの家か・・・
        それよりも近いところがあるよ。」

    ヒカル「え?」

    アキラ「緒方さんの家」

    ヒカル「・・・は?や、確かに近いけどさ・・・」

    アキラの話によると、
    緒方センセイの妹さんが着付け教室を開いてるらしい
    その妹さんは近々結婚する予定だったらしいのだが、
    突然婚約を破棄され、実家に帰るのも
    情けないということで、緒方センセイの家に
    居候しているとのこと
    なので今行けば緒方センセイのコネもあり、
    無料で着付けしてもらえると、
    緒方センセイ自身がふれまわっているそうだ


206 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 03:13:53.39 ID:jG7tHvzD0

    ヒカル「へぇ・・・初耳だな。
        てか、後半もうちょいマイルドに
        いってくれよ;緒方妹さん可哀想だろ;」

    アキラ「はっ、すまない。
        ボクとしたことが・・・」

    ヒカル「佐為、それでいいか?」

    佐為「緒方というと、いつぞやの
       酔った席で強引に・・・


    アキラ「え?」


    ヒカル「佐為、黙っとけ」

209 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 03:20:59.29 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「ま、エロの伝道師緒方センセイが直接
        関わるわけじゃないしな」

    アキラ「キミはいつも失礼だな」

    佐為「とりあえず私はこの着物をどうにかしたいです」

    ヒカル「よーし決定。
        塔矢、乗せろ。」

    アキラ「・・・キミはいつも失礼だな」

    ヒカル「佐為もこんなでっかい車は初めてだろ?」

    佐為「え、ええと・・・
       すみません、その、くるまという物に
       乗せていって下さいませんか?」

    アキラ「はい」

    ヒカル(エロOKP・・・市河さんに逃げられろ)

    アキラ「何か言ったかい?それとボクは
        おかっぱじゃないよ」

    ヒカル「聞こえてるじゃねえか・・・」

211 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 03:32:53.76 ID:jG7tHvzD0
    佐為「どうでした?」

    ヒカル「おっけー」

    緒方家に電話をし、午前中、それも
    貴重な休みの日だってのにおっけーを
    もらってしまった

    正直、まだ緒方センセイを信用してない
    ヒカルは腹をくくらざるをえなかった


    ヒカル(オレがくくっても意味ないけどさ)

    (塔矢の)車を走らせ10分
    そのマンションはあった


212 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 03:34:28.07 ID:jG7tHvzD0
    佐為「大きい家ですねぇ・・・」

    ヒカル「だな。センセイの家は・・・
        げっ、27階?
        前は25階じゃなかったっけ?」

    アキラ「変えたんだろ。
        緒方さんは変なところで飽きっぽいからな」

    ヒカル「なるほど、女も家もアクセサリー
        ってわけか」

    佐為「ヒカル!私は装飾品ですか!」

    ヒカル「さしずめダイヤあたりかな」

    佐為「なっ!ヒカルなんてガマガエルです!
       ゲコゲコ言ってたらいいんです!」

    ヒカル「それカエル差別だぞ・・・」

    アキラ「何言ってるんだ。エレベーター来たぞ」

224 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 04:40:23.18 ID:jG7tHvzD0
    ピンポーン

    ヒカル「なんかチャイムの音が豪華だな」

    アキラ「気のせいだろ」

    ガチャ

    緒方「おぉ、野郎二人はいいんだよ。
       着付けしたいって言ってる娘はどこだ?」

    ヒカル「こんなに俺たちの事ないがしろにする
        人だったかな・・・」

    佐為「はい、私です」

    緒方「かわいい、合格。
       さ、入って。
       お前らは外な」

    ヒ&ア「え・・・」

    バタン

    ヒ&ア「・・・」

227 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 04:44:08.13 ID:jG7tHvzD0

    佐為「えっと・・・」

    緒方「大丈夫、怖がらなくていい」

    とは言うものの、目が笑っていない
    緒方を見て、佐為はかすかにたじろんだ


    緒方「君が、saiなんだろ?」

    佐為「!」

232 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 04:55:23.74 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「おい」

    アキラ「・・・これは」

    ヒカル「これは、じゃねえよ。
        アイツ地味に貞操の危機だぞ」

    アキラ「まさか、緒方さんでも
        いきなりそんな・・・」

    ヒカル「汗ダラダラだぞ」

    アキラ「あ、そうか」

    ヒカル「?」

    アキラ「ボクが佐為さんの事電話で言ったから・・・・」

    ヒカル「は?」

    アキラ「キミが緒方さんの所に電話したとき、
        ボクがいることを告げなかっただろ?
        だからさっき車を降りた後かけたんだ。
        ボクもいるけど大丈夫ですかって」

    ヒカル「変なとこで律儀だよな」

233 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 05:00:41.83 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「そしたら緒方さんが佐為さんのこと進藤の女か?
        ってしつこく聞いてくるからさ」

    ヒカル「言っちゃったのか・・・」

    アキラ「ごめん・・・」

    ヒカル「じゃあ何か、純粋にsaiとしての興味に
        オレ達が邪魔だったから締め出されたわけか」

    アキラ「そうだね、多分」

    ヒカル「くそー、こんな豪華なトコじゃなかったら
        無理やりにでもドアこじあけるのにさ・・・」

    アキラ「キミはどこでもやるだろう」

    ヒカル「うるせー」

237 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 05:10:20.35 ID:jG7tHvzD0
    緒方「本当に・・・君が・・・sai?」

    佐為「えぇ」

    こくりと頷くそのあどけない少女の影に、
    とてもじゃないがあの盤面上のsaiの
    気迫は微塵も感じさせなかった
    アキラからはさっき連絡があったばかりで
    しばし混乱していた緒方は、
    目の前の少女を見て我に返った
    あの伝説の――噂では塔矢名人の引退にも
    一役買っていたという――saiが
    こんな年端もいかない子供だと?

    まして、あれは8年ほど前・・・

    緒方は信じられなかったが、
    塔矢アキラが嘘をつくとは思えないし、
    そういった嘘にだまされるとも思えない

    ならば・・・

    緒方「一局、打ってくれるか?」

    佐為「はい」

    盤面を見るまでだ


246 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 05:20:57.06 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「あのさ」

    アキラ「なんだ?」

    ヒカル「お前、結婚して幸せ?」

    アキラ「ぶっ!進藤、どうした?」

    アキラはヒカルからそんなことを問われたのは
    初めてだった
    囲碁の世界に生きている彼らにとって、
    恋愛というのは関係ないし、
    話すこともないだろうとお互いに
    割り切っていたからだ

    アキラが市河と結婚した時も、
    根掘り葉掘り聞かずに、ただ
    「おめでとう」とだけ言ったヒカルが
    自分からそういったことを質問する
    なんてどうしたのだろう

    しかし、根が真面目なアキラはとりあえず自分に問われた問いに
    答えるべく、


    アキラ「・・・幸せ、かな」

    と本心を口に出した


249 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 05:25:37.06 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「ほんとか?」

    アキラ「あぁ。
        なぜ疑う?」

    ヒカル「だってよぉ、まぁ確かに市河さんも囲碁打てるけど・・・」

    アキラ「囲碁?今は関係ないだろ」

    ヒカル「でもお前の場合、囲碁できないヤツは
        人としてみなさない傾向があるからさ」

    アキラ「進藤・・・君はボクの何を見てきた・・・」

    ヒカル「あははっわりぃ。
        でもさ、どーゆーときが幸せなわけ?」

281 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 09:49:07.14 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「そりゃ、いっしょにいるときとか」

    ヒカル「うんうん」

    アキラ「話してるときとか」

    ヒカル「うんうん」

    アキラ「・・・ま、毎日、だな・・・///」

    ヒカル「お前もゆうようになったな;」

    ヒカル(「碁を打ってるとき」とかじゃねーんだ・・・
        こいつの事だから四六時中打ってるだけだと
        思ってたけど、こいつも人間なんだな)

    アキラ「キミの思っていることは手に取るようにわかるよ」

    ヒカル「ギクッ」

    アキラ「好きな人と一緒にいる時間と碁を打つ時間は
        ちゃんと分けてあるよ」

    ヒカル「あっそ・・・」

288 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 10:00:50.54 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「キミは」

    ヒカル「ん」

    アキラ「結婚しないのか?」

    ヒカル「・・・あははっ!オレが?!
        塔矢、お前たまに面白いことゆーよな!」

    アキラ「至極真面目な話だが」

    ヒカル「そうだな、オレは」

    ――女流だったらあんたと合う人いるかもね

    ヒカル「・・・いねぇよ」

    アキラ「嘘だっ!」

290 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 10:02:06.86 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「なんだよ;」

    アキラ「キミの顔は嘘をついている」

    ヒカル「お前たまに気持ち悪いよな;」

    アキラ「なっ!」

    ヒカル「キモいつったの!聞こえてねーの?
        と・う・や・あ・き・ら・く・ん?」

    アキラ「・・・」

    ヒカル(ありゃ?のってこねー・・・)

    いつもだったら、ここからやけに低俗な喧嘩の応酬が
    始まるのだが、アキラは煽られなかった

    ヒカル(なんだよ・・・)

    気まずいまま時は過ぎた


295 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 10:14:11.69 ID:jG7tHvzD0
    緒方は震えた
    久しく忘れていたその感覚を思い出したからだ

    緒方(こいつは・・・)

    前にプロ棋士の倉田と飲んだとき、
    あいつが興味深い話をしていた

    ――ほんとに強いやつは下からくるんですよ

    現に今、進藤ヒカルと塔矢アキラといった
    ひよっこが囲碁界に旋風を巻き起こした

    緒方(確かに、あの時も震えたな
       ようやく若手が育った歓喜に、ってやつか。
       だが、この震えは・・・)

    緒方(・・・恐怖か、
       自分もまだまだ若いな)

    緒方「ありがとうございました」

    佐為「ありがとうございました」

299 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 10:25:59.82 ID:jG7tHvzD0
    その端整な顔からは想像できない
    厳しい瞳
    一手一手打つごとに見えるあの気迫
    そしてネットでも浮いたやたらと
    古い定石を使うクセ・・・

    フーっとたばこで一服し、
    震えをおさまらせた緒方は結論した


    緒方(こりゃ大変だ・・・
       この娘は、saiだ・・・)

    佐為「あ、あの・・・着物のなおしが・・・」

    緒方「あっ・・・
       (忘れてた・・・
       (あのsaiがくるってんで
       起こすの忘れてたけど、あいつ寝起き悪いし
       めんどくせえな・・・
       うーん・・・
       着付けくらい、おふくろに習ったから
       出来るだろう)」

    緒方「オレがやるよ」

    佐為「え?」

305 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 10:34:15.37 ID:jG7tHvzD0
    緒方「別にやましい気持ちはないぜ?」

    緒方は本心で言った
    先ほどまで可憐な美少女だった彼女は、
    もう彼には一人の崇高な棋聖にしか
    見えていなかったのだ
    それに自分だって、みずしらずの
    女性をどうこうしようなどとは考えない

    しかし、だからといって
    自分の着替えをはい、手伝って下さいと
    今日会ったばかりの野郎に頼める
    女性はいるのだろうか?

    緒方も日常時ならそのような
    常識的な考えが働いたかもしれない
    だが、アドレナリン大放出中の彼には
    そこまで考えが及ばなかった
    女性が聞いたら、少し距離を
    置かれることでも、

    佐為「あ、いいんですか?」

    相手が佐為なのが幸いした


328 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:13:29.16 ID:jG7tHvzD0

    ヒカル「なぁ、あれから一時間だぜ」

    アキラ「・・・少しまずいな」

    ヒカル「おとなしく碁を打ってくれてると
        いいけど・・・
        てか着付けにいったんだよな、俺たち。
        大丈夫かな」

    アキラ「いや、いくらあの緒方さんでも・・・」

    ヒカル「お前まずいっつったじゃん;」

    扉の前にずっと居てるというのもアレなので、
    いったんアキラの車に戻った二人は
    もんもんとしていた


329 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:14:42.95 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「よし、トサカに来た!上に行こう!」

    アキラ「えっ」

    ヒカル「いいだろ、正当防衛正当防衛!」

    アキラ「正当・・・?」

    ワケのわからないことを言うのは
    それだけヒカルがあせってる証拠だと
    アキラは一人で合点し、
    二人は27階の緒方家に舞い戻ってきた


    アキラ「何してるんだキミは」

    ヒカル「聞き耳。見ればわかんだろ。
        探偵の基本基本」

    アキラ「ボクらは碁打ちだ」    

    ヒカル「わーってるよ。
        ・・・でも流石に頑丈だな、
        全然物音が聞こえねえし」

    そういってヒカルは扉にグイグイと
    耳をおしあてた


330 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:15:32.34 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「ん〜・・・あっ!
        佐為の声だ」

    佐為「・・・ぅ・・・あっ・・・・・・」

    ヒカル「・・・」

    ヒカル「おがた、てめぇぇ!!!」

    ドンドンドンっとヒカルが扉をたたく


    アキラ「ど、どうしたんだい?」

    ヒカル「開けろっ!!佐為!大丈夫か???」

    アキラ「何をしてるんだ、人がくるだろう」

    ヒカル「あいつはやっぱりエロ棋士だ!
        開けろってば!」

    アキラ「何を聞いたんだキミはっ」

    バンっ!
    そのとき扉が勢いよく開いた


338 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:25:13.06 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「いてっ」

    緒方「全く君らは・・・
       少しは常識を覚えなさい」

    ヒカル「だって佐為がっ」

    緒方「え?ああ、確かに彼女は
       艶やかな声を出していたが・・・
       あれは帯がきつくてうなっていただけだ。
       少ししめすぎたかもしれないな。
       反省するよ」

    ヒカル「は?てかアンタがやってんのかよ!
        妹は?!」

    緒方「寝てる」

    ヒカル「起こせよ!」

    緒方「めんどうくさい。
       オレがやっても出来は一緒だから
       いいだろ?」

    ヒカル「よくねぇよ!」

    佐為「ヒカル、折角よくしてもらったのに
       その言い草はなんです」

340 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:26:11.75 ID:jG7tHvzD0
    そういって奥から出てきた佐為は、
    朝のボロボロさはどこ吹く風、
    髪をアップにし着物もカチリと着こなし、
    どこへ出しても恥ずかしくない
    和装令嬢と変貌をとげていた


    緒方「美人すぎてオレには手がだせねえよ。
       女は多少不細工な方がそそる。
       それに、オレは帯を手伝っただけだ」

    ヒカル「髪も変わってますけど・・・」

    緒方「それもやったけど」

    ヒカル「帯だけじゃねーじゃん!」

    髪を結うなんて芸当がこの人に
    出来たのは素直に驚きだ


345 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:32:48.36 ID:jG7tHvzD0
    佐為「ヒカルっ!失礼ですよ!
       それに、ひ、ヒカルの方が
       破廉恥じゃないですか・・・///」

    緒方センセイとアキラが「え?」という目で
    ヒカルを見てくる


    ヒカル「あー、お前はほんとに
        ややこしいことばっかすんな!」

    緒方「君・・・人には散々いっといてだな・・・」

    アキラ「やっぱりキミは!!」

    ヒカル「もぅ!めんどいなぁ!行くぞ、佐為!!」

    佐為「あ、はい。あ、でもお金・・・」

    緒方「いいよ。あのsaiと打てたし。
       それに娘といてるみたいだったしな」

    ヒカル「娘・・・?」

346 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:37:58.38 ID:jG7tHvzD0
    そっか、緒方センセイにとって佐為はそれくらい
    見た目も離れてるしな・・・

    じゃあなんだ、オレのモンモンとした
    気持ちは全部杞憂だったのか・・・

    なんだか今までの自分の慌てっぷりに
    急に恥ずかしくなったヒカルは

    「・・・なんかオレセンセイの事誤解してた・・・」
    と謝った

    緒方「いや、案外お前らの思ってる通りだぞオレは」

    ヒカル「・・・」

    今度は謝ったことが恥ずかしくなった


350 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:47:22.35 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「なぁ、棋院いかね?
        オレここ最近休みだったから
        すっかりご無沙汰でさ」

    緒方家を去り、アキラの車に乗り込んだ
    3人は、これからの予定について考えてた
    家でずっと碁を打つのも悪くないが、
    佐為もいることだし、どこかへ行こうかと
    アキラが提案してきた

    アキラ「棋院か。
        芸がないが仕方がないな。
        いいですか?佐為さん」

    佐為「えぇ。
       (ヒカル、偽者の魚はまだありますか?)」

    ヒカル(なくなった)

    佐為(え・・・)

    ヒカル(嘘だって、泣くなよ)

    佐為(もう・・・)

355 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 11:57:23.55 ID:jG7tHvzD0
    アキラ「着いたよ」

    佐為「変わってませんね、ここも」

    アキラ「来たことがあるんですか?」

    佐為「えぇ、何度も。
       ね、ヒカル♪」

    ヒカル「ま、まぁな」

    ヒカル(こいつ連れてったら思いっきり
        冷やかされるだろうな・・・
        和谷とか和谷とか和谷とか・・・)

    あいつ棋力はオレに負けてるくせに
    人をおちょくるのはいっちょまえに出来る
    からな・・・とヒカルが考えながら車から
    降りると、棋院の前には見知った
    夫婦がいた


    ヒカル(げっ・・・越智とあかり・・・)

362 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:09:11.86 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル(なんだよ・・・なんかいい雰囲気だな・・・)

    手をつないだまま見つめあってる二人は、
    今にもキスしそうなムードだ
    結婚当初は誰もが破局が目の前だと
    口をそろえていってたが(オレも一年以内に離婚にかけてた)、
    蓋を開けてみると見事なおしどり夫婦だ
    むしろうっとおしいぐらいの熱々っぷりで、
    若干オレ達はイライラしてた

    そのままあかりにうつつを抜かして、
    碁もないがしろにしてしまえと和谷は妬み半分で
    言ってたが(こいつも女にモテない。顔はいいんだがな)、
    越智は力を落とす所か逆にドンドン力を
    つけてきている

    越智いわく、愛を棋力に変えているらしい
    そんときはなんかイラっときた

376 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:20:17.51 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「(キノコのラブシーンとか見たくねえよ・・・)
        な、裏口から入ろうぜ」

    アキラもそれを見たのか、「あぁ・・・」と力なく言った


    佐為「え、なんでですか?」

    ヒカル「いいから」

    佐為「え、でも偽者の魚は玄関に・・・」

    ヒカル「また見せてやるよ」

    佐為「またっていつですかぁ!」

    ジタバタする佐為
    こいつそんなに魚に執着してたかな?


380 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:23:55.57 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「だー、わかったわかった明日明日」

    佐為「!ほんとですね!約束ですよ!
       はい、ゆびきりげんまん♪」

    ヒカル「へいへい・・・」

    白くてスラリとした小指をオレの小指に
    からめてきた
    あたたかい指先にオレはふと気付いた

    あ、そうだ
    こいつは生きてるんだ


383 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:29:06.31 ID:jG7tHvzD0
    あの約2年、オレに憑いていた佐為は
    実体もなく、オレの魂と一体化してた
    けど、今のコイツはちゃんとした「人間」だ
    他の人にも見えるし、触れられる
    オレ以外のヤツにも


    佐為「・・・のーます、指きった!」

    ヒカル「・・・」

    佐為「?ヒカル?」

    なんだこの気持ち・・・


    ヒカル「なんでもねぇ」

    そう、なんでもないんだ


387 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:41:59.05 ID:jG7tHvzD0


    和谷「おーっす」

    和谷はよくもわるくも和谷だ
    囲碁界の中堅として頑張ってはいるものの、
    今だにタイトルだとかそういったものに恵まれない
    実力は申し分ないのだが、何せ同期が
    あのヒカルとアキラだ
    目立たないのは当然ともいえよう


    ヒカル「おぉ、和谷ぁ」

    アキラ「やぁ」

    和谷「相変わらずお前ら仲いいな・・・って!」

    佐為の姿をみるなり、和谷は
    オレを連れ出した


388 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:43:18.15 ID:jG7tHvzD0
    和谷(どうしたんだよ、あんなかわいい子!
       しかも着物ってポイント高すぎだろ!!)

    ヒカル(えーっと・・・)

    佐為だとゆうべきか・・・
    こいつもsaiのことは覚えているだろうが、
    言ったら絶対面倒くさいことになる


    ヒカル(・・・saiだ)

    和谷(!えっ??)

    長年の戦友に伝説の人物のことを黙るのは流石に気が引け、
    ヒカルとしては珍しい面倒ごとに自ら足を
    つっこむ形となった


394 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:57:06.73 ID:jG7tHvzD0
    和谷(お前気でも狂ったか?
       あのsaiだろ?どうみても
       女の子じゃねえか!しかもかなり上玉の)

    ヒカル(saiは男だって誰が決めた?)

    和谷(!)

    ほんとは男だけどね
    ヒカルは心の中で和谷にサーセンと謝った


    和谷(え、でもさぁ・・・)

    ヒカル(ま、とりあえず打ってみろって)

    和谷(あ、ああ・・・)

    ヒカル「佐為〜」

    佐為「はい?」

    ヒカル「こいつがお前と打ちたいって」

398 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 12:59:15.96 ID:jG7tHvzD0
    佐為「!ほんとですか!!
       打ちましょ打ちましょ♪
       あ、勝手に上がってもいいのでしょうか?」

    ヒカル「今日は大会もないしな、大丈夫だろ。
        こいつは和谷。せいぜい遊んでやってくれ」

    和谷「お前なあ!」

    ヒカル「じゃぁオレは外で涼んでくる」

    アキラ「ボクは見とくよ」

    和谷「え、あ、ちょ・・・
       しんどぉ・・・;」

    友達の友達というのは実に微妙な仲だ
    アキラもいるとはいえ、
    フォローもなにもなくいきなり打て!
    と言われれば、和谷でなくてもあせるだろう


    和谷(う〜ん、しかしどこからどう見ても
       現代の大和撫子だなぁ・・・)

402 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 13:05:28.60 ID:jG7tHvzD0
    和谷(saiって・・・
       進藤・・・あいつ酔ってたかな?)

    佐為「今日は対局がたくさん出来て
       うれしいです♪」

    ニコニコと笑う佐為に和谷は
    癒されながら、でもしかし
    どこか違和感を感じた


    和谷(・・・目の前にいるのに
       どこか遠いところにいる気がする・・・
       錯覚か?)

    佐為「私が黒ですね。
       では、おねがいします」

    和谷「おねがいします」

    アキラ(・・・)

404 :棋聖転生 ID:BFiLFJCe0:2009/06/13(土) 13:12:36.06 ID:jG7tHvzD0
    ヒカル「ふう・・・」

    売店で一息ついたヒカルは、
    売り物の扇子をみていた


    ヒカル(いまいちあいつしっくりこねぇと思ったら
        これが足りねぇんだな
        トレードマークだったのに)

    碁石を持てない佐為に、
    扇子で場所を教えてもらいオレが
    二人分の碁石を並べて対戦していたことは
    今やいい思い出だ


    ヒカル(あいつに買ってくか。
        や、どうせならもっといいのが
        欲しいな。しかもオレと
        おそろいになるし・・・)

    佐為が去ったあと、ここの売店で買った
    扇子をヒカルは今でも大事にしていた


    本田「あれ?進藤?」

    ヒカル「!本田さん」

405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/13(土) 13:13:29.43 ID:gg+1VbuP0
    本田まだいきてたのか


ヒカル「さ・・・い?」【後編】へつづく

完全予約生産限定 DVD-BOX 「ヒカルの碁」全集


引用元
ヒカル「さ・・・い?」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1244812141/l50
 

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