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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:02:01.13 ID:8umytB1B0

    女「えーと…男さんですね?」

    男「はい、男です。宜しくお願いします。」

    女「私はこの会社の社長兼チーフデザイナーをやらせて貰っている女と言います。宜しくお願いします。」

    男「はい。」

    女「じゃ、まず志望動機だけ。聞かせてもらえますか?」

    男「はい。御社の企業理念を拝見させていただきまs…」

    女「あ、ちょっとちょっと。ストーップ。」

    男「えっ?」

    女「変に畏まったり、形式に当てはめようとしないでいいよ?正直に言っていいから。」

    男「は、はい…」(そう言われると逆に答えづらいな…)



 

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:08:28.84 ID:8umytB1B0

    女「〇〇大学なんて、良い所出てるんじゃない。どうしてうちなんかに?」

    男「えぇ、と。」

    男「お恥ずかしい限りですが…履歴書に書きました通り、私は大学を出てから二年間、まだ職に就いていません。」

    女「あれ、本当だ。卒業が二年前だね。」

    男(え、気付いてなかったのかよ…)

    女「うん、それで?」

    男(しかもスルー!?)

    女「どうしたの?続けて?」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:10:49.62 ID:8umytB1B0

    男「あっ、はい。働こうと決めて、求人広告を見ていたらこの会社の名前を見かけました。」

    男「学生の頃に洋服が好きだったので、」

    男「バイトをしてお金を貯めて、たまになんですが、ここの服を買わせて頂いていたのを思い出しました。」

    男「どのような形でも好きなことに関わる仕事が出来れば、」

    男「俺でも続けられそうかな、と思いまして。」

    女「ふむ…。洋服が好きなんだ?」

    男「はい、好きなだけでセンスは無いと思いますが。」

    女「えっ、と…。」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:12:40.23 ID:8umytB1B0

    女「えっ、と。うちの会社は、凄く小さいです。従業員も私を入れて三人。」

    男(…?)

    女「やっていることは殆んど趣味みたいなもので、規模が小さいから利益も殆んど出ていないんだ。」

    女「お金儲けが目的では無いから私はそれでいいんだけど、お給料は雀の涙だよ。申し訳ないんだけれど。」

    女「でもみんな文句言いながらも一生懸命やってくれてるから、有難いんだけどね?」

    男「はぁ」

    女「あははっ、随分気の抜けた返事だねぇ」にこっ

    男「もっ、申し訳ありません」

    女「まぁいいや、採用っ!」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:16:29.49 ID:8umytB1B0

    男「えっ?」

    女「何?嫌なの?」

    男「あ、いえ。普通もっと後日に連絡が来たりするものだと。」

    女「善は急げって言うじゃない。じゃあ明日は9時に来てね。」

    男「え、あっ、はい。」

    女「あ、服装は自由だから。でも他所様に伺うときはフォーマルな格好で行くから、ロッカーに一式入れとけばいいんじゃないかな。」

    男「はい…」(服装自由とか逆に困るっての…どうするかなぁ)

    女「まぁ書類とか手続き関係は後日ってことで。悪いんだけど私、もう出なくちゃいけなくてねぇ。」

    男「あ、お忙しい所お時間頂きまして有り難うございました。明日から宜しくお願いします。」ぺこり

    女「だからそんなに畏まらなくていいってば。これから一緒に働くんだから。ね?」

    男「あ、はい…」

    女「じゃ私出るけど、駅まで一緒に行く?」

    男「あ、はい。ご一緒させて頂きます。」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:19:48.07 ID:8umytB1B0
     

    しとしとしと…


    女「んー、雨の季節だねぇ」

    男「はい、もう梅雨入りしたんですよね。」

    女「雨ってさ、部屋に籠って作業とかしてる分には好きなんだけどなぁ。」

    男「あ、なんか分かりますそれ。」

    女「なんかアンニュイっていうか。でも意外と作業は捗っちゃったりして。」

    男「外に居る人たちは傘さして歩いてんのか、って思うと優越感だったり。」

    女「ははっ、そうそう。あー、うちの会社雨の日はお休みにしようかなぁ。今日は各々自宅で作業してください、ってさ。」

    男「あははは。それ賛成です。でも梅雨明けするまでは休みだらけになっちゃいますよ?」

    女「おおっ!」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:21:43.17 ID:8umytB1B0

    男「え?何ですか?」

    女「男君が笑ったの初めて見たなぁ、と思って。」にこっ

    男「あぁ、見苦しいものをお見せしてしまって。」

    女「いやいやっ、人間は笑った方がいいんだよ。寂聴さんが言ってたよ。」

    男「意外と渋い趣味をお持ちなようで。」

    女「あ、私は総武線なんだけど男君は?」

    男「あぁ、千代田線です。じゃあここで。」

    女「うん。じゃ改めて、明日から宜しくね。」

    男「はい、宜しくお願いします。失礼します。」

    女「はーい、じゃねー。」


    しとしとしと…

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:27:42.72 ID:NcldIWck0
    舞台は御茶ノ水か

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:35:34.92 ID:8umytB1B0
    >>32 発覚早すぎワロタwww

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:30:54.14 ID:8umytB1B0

    ――翌日 事務所


    がちゃっ


    男「お早うございます。」

    パタンナー女「…お早うございます。」

    女「おっ、来たね。おはよっ!」

    女「じゃ、男君のデスクはこれなので、今日からしっかり業務に励んでねっ」にこっ

    女「とりあえず我が社員のメンバー紹介、なんだけど。まだ一人来てないんだよねぇ。」

    パタンナー女「…彼は昨日も帰りに千葉方面では無く東京方面の電車に乗っていた。」

    女「――はぁ…。今日も朝まで飲んで遅刻、ね。そろそろ減給しちゃおうかしら?」にやりっ

    パタンナー女「…我が社のこれ以上の減給は、基本的人権が保証されている日本国に於てあってはならないこと。違憲。違法。」

    女「むむぅ…」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:32:33.28 ID:8umytB1B0

    男(――ひょっとして…。この職場の人って皆…)


    がちゃっ


    デザイナー男「ややっ、これはこれは皆さん。お揃いのようで。」

    女「…あら、デザイナー男さん?今日もお早い出勤ねぇ?」ぴきっ

    デザイナー男「――痛いっ!女っ、やめろ!革靴の先端で臑を蹴るのは反則だっ!」

    男(――皆…変わってる?)

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:33:35.73 ID:ErXiSoms0
    このパタンナーは絶対メガネかけてる
    あとボブに近いショートカット

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:34:55.53 ID:bvsgdbjqO
    >>36
    いや、もう長門って言えよ

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:39:32.27 ID:8umytB1B0

    しゅごーっ ぷしゅーっ


    女「ん。よしっ、と。」

    女「みんな飲み物は行き渡ったよね?」

    男(会社にスチーマー付のエスプレッソマシーンがあるのかよ…)

    女「さてさて。じゃあ改めて自己紹介ターイム!」

    デザイナー男「おやおや、なんか合コンみたいだねぇ。」

    女「…は?」ぴきっ

    デザイナー男「ごめんなさい許して下さい、黙りますから。臑だけは止めて下さい。」

    パタンナー女「…口は禍の門。」

    女「第一ねっ、私は合コンなんて行ったこと無いんだからね!あ、一度も誘われなかったんじゃなくて、興味が最初から無かったんですっ。アンダスタン?」

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:42:30.24 ID:8umytB1B0

    男「えーと、自己紹介。俺からでいいですか?」

    デザイナー男「おぉ、ついに我が社の混沌と化した会話の舵を取るキャラが!」

    パタンナー女「…まず自らが混沌の大きな要因だということを自覚すべき。」

    女「はい皆黙る!男君が喋れないでしょ!」

    男「今日からお世話になる男です。出来るだけ早く仕事を覚えて皆さんの力になれるよう頑張りたいと思っています。よろしくお願いします。」

    女「はい。男君は総合職ってことで、まぁ色々やってもらうことになるんだけど。とりあえずそのお話はまた後でね。」

    男「はい。」

    女「じゃ次、パタンナー女ちゃんっ。」

    パタンナー女「…名前はパタンナー女。よろしく。」

    デザイナー男「えっ、それだけ?」

    パタンナー女「…質問があれば適宜答える。以上。」

    デザイナー男「まぁ、こういう奴だけど、(たぶん俺以外には)怒ってる訳じゃないからさ。安心していいよ。」

    男「は、はぁ…」

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:47:48.39 ID:isM0nYDM0
    パタンナーってなに?
    パンナコッタ?

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:53:05.32 ID:8umytB1B0
    >>46 いずれそのお話も入ると思いますが、パターンっていうのはデザイナーがデザインした画を元に、
       どのように生地をカットして縫い合わせればいいかの型紙を作る人です。
       デザイナーとは違った技術を要求されます。説明が後になってごめんなさいっ!

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:55:35.24 ID:8umytB1B0
    >>50 失礼しました、型紙を作ることを「パターン」それを行う人が「パタンナー」と呼ばれます。
       パンナコッタ食べたい

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:48:57.14 ID:8umytB1B0

    デザイナー男「んで、俺がデザイナー男ね。今まで男は俺一人だったからさ、嬉しいよ。一緒に頑張ろう。」

    男「はい、宜しくお願いします。」

    女「んで、私が女ね。まぁ一応形の上では社長ってことになってるんだけど、本職はデザインだからさ。
      外とのお仕事とかを少しずつ男君に任せていきたいなって思ってます。あ、これも後で話すね。おとめ座AB型!よろしく!」

    男「宜しくお願いします。」

    女「じゃ、今日の朝礼はこれくらいかな?二人は引き続き作業に当たってもらう感じで、何かあれば私のところまで。男君は朝礼終わったらここに残ってね、色々説明するから。」

    女「じゃ、皆。今日も宜しくお願いします。」

    パタンナー女「…宜しくお願いします。」

    デザイナー男「ほい、宜しく。」

    男「宜しくお願いします。」


    ―。

    ――。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 13:58:08.48 ID:8umytB1B0

    女「さてさて、男くん。」

    男「はい。」

    女「今日から男君は、我が社の社員の一人として身を粉にして働いて貰う訳なんだけれど。」

    男「はい。」

    女「なんと、我が社は現在10月に控える来年のS/Sのコレクションに向けて制作期真っ只中です!」ぱちぱちぱち

    男「えーと、すいません。エスエスっていうのは。」

    女「あぁ、ごめんごめん。S/SはSpring/Summerの略称で、春夏(物)ってこと。
      コレクションってのはモデルさんに洋服を着て貰って作品を紹介するショーのことね。
      ほら、『パリコレ』とか聞いたことあるでしょ?あれはパリで行われる世界最高峰のコレクションのことなんだ。」

    男「あぁ、なるほど。つまり10月にもう来年の春夏物の発表をしてしまう、と。」

    女「そうそう。せっかちで気が早い業界なのよー。えとっ、それで。男君のお仕事についてだね。」

    男「はい。」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:02:16.73 ID:8umytB1B0

    女「男君は今日から総合職、普通の会社でいったら総務ってところかなぁ。それをやって貰います。」

    男「はい。」

    女「それでゆくゆくは、問い合わせしてくれた販売店さんとかセレクトショップさんなんかに説明をしに行く営業みたいなことも、少しずつやって貰いたいと考えているのね?」

    男「大変そうですね…」

    女「うーん、楽な仕事ではないかな。でも初めは私が付いて教えながらやるから。」

    女「ほら、うちは他の二人があぁじゃない?だから今は私が細かい手続きとか、他所様との仕事をやってるんだけれど。」

    男(まぁ確かにあの二人に営業が出来るとは思えないな…)

    女「やっぱり一人だと限界があるんだよね。服を作る仕事もしなきゃいけないし。」

    女「だから、ね?男君が慣れてきたら、そういう仕事はお任せしちゃいたいと考えてるんだ。」

    女「あぁ、勿論報告と相談はしてもらうんだけどね?」にこっ

    男「はい、頑張ります。」

    女「それで、だ。」

    男「はい。」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:07:18.00 ID:8umytB1B0

    女「あぁ、そっか。ちょっと待ってて?」

    男「え、はい。」

    とてててて。


    がちゃ  ぱたん

    がさごそ


    女「んー、どれがいいかなぁ」


    がさごそ


    女「うーん、やっぱりこれかな?」


    男(…?)

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:08:21.67 ID:8umytB1B0

    とててて。


    がちゃ

    女「ん、お待たせっ。」

    ぱたん

    男「いえ。…それは?」

    女「これはね、次のシーズンに向けて今作ってるメンズのパーカーなんだ。まだ試作品なんだけどね。」

    男「へぇ、かっこいいですね。」

    女「そう?えへへっ、ありがとう。」にこっ

    男(――。)

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:13:51.15 ID:8umytB1B0

    女「それでね?」

    男「ああっ、はいっ。」あせっ

    女「これ、どうやって出来てるか。分かる?」

    男「えっ、いや…全然分からないです。」

    女「うん。まぁ、そりゃそうだよね。じゃ売るときに値段が幾らくらいになると思う?」

    男「えーと…1万5千円位でしょうか?」

    女「うーん、残念っ。大体その倍くらいかなぁ。」

    男「えっ」

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:14:54.47 ID:8umytB1B0

    女「高いと思う?」

    男「はい、正直…。」

    女「でもね、この商品でこの値段って会社として、必要な利益が出るギリギリのラインなんだ」

    男「そんなにですか?」

    女「うん。確かに高いけどね?それにはちゃんとした理由があって、値段が付いてるんだよ。」

    男「理由、ですか?」

    女「それを、まず分かって貰おうと思うんだ。どうやって洋服が出来ていて、何でこの値段になるのか。」

    男「…人に胸を張って勧められるように?」

    女「そう!分かってるじゃない、偉い偉いっ!」にこっ

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:16:05.66 ID:8umytB1B0

    男「ええと。それで俺は何をすれば?」

    女「明日、出掛けるよ。動きやすい格好してきて貰えればいいかなぁ。」

    男「え?どこにです?」

    女「ふふーん、まだ秘密!」

    男「はぁ。」

    女「あ、今日は事務の細かい仕事を少しずつ教えていくよー。」

    男「はい、お願いします。」


    ―。

    ――。

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:49:52.14 ID:8umytB1B0

    女(うーん、駄目だぁ。資料室に籠ってても全然思い浮かばないや。)

    女(あ、そういえば男君は教えといたファイルの処理終わったかな?)

    女(よいしょ…っと。)


    とててて。

    がちゃっ


    女「やっほ、男君。どんな感じー?」

    男「あ、はい。今、原画をフォトショに取り込んで、シーズン毎に並べ直した所です。デザイナー男さんと女さんの画は一応別けてあります。」

    女「えっ、なにそれ凄いっ!」

    男「いえ…。」

    デザイナー男「どれどれ? ――へぇ、パソコンってこんなことも出来るのか。」

    パタンナー女「…アナログ人間の巣窟である我が社には貴重な能力。デジタル化。」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:54:32.18 ID:8umytB1B0

    女「え?なに?私頑張って教えなきゃ、とか思ってたのが凄い恥ずかしいんですけど!」

    男「いえ、やっぱり知らないソフトの使い方は教えていただかないと何もできませんよ。」

    女「え、いやいやぁ」にへらっ

    パタンナー女「…部下に顔を立てられる上司の図。」

    女「うっ…」

    デザイナー男「ってか社長さん、もう定時だ。男君は上がりじゃないの?」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 14:57:12.58 ID:8umytB1B0

    女「いけない、本当だ。男君上がりですっ、お疲れ様!」

    男「え、あぁ。はい。」

    女「明日も9時に来てね!お姉さんとイ・イ・ト・コ・ロに行く約束だからねー!」

    男「あ、はい。」

    デザイナー男「なんだよそれ?お姉さん、俺も連れてって欲しいんだけど!」

    女「あんたはいいの。黙って仕事しなさい?」

    デザイナー男「はい…」

    女「じゃ、男君。また明日ね!」

    デザイナー男「お疲れ!今度一緒に飲みに行こう!」

    パタンナー女「…悪の誘いに乗ってはいけない。お疲れ様。」

    男「はい、お先失礼します。」ぺこり


    きぃ ぱたん


    ―。

    ――。

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:03:11.14 ID:8umytB1B0
    ――翌日 事務所

    がちゃ

    男「お早うございます。」

    パタンナー女「…お早う。」

    女「おっはーっ!」

    パタンナー女「…古い。時代を感じる。」

    女「うぐっ…。し、しかしマヨネーズは正義だよ?」

    パタンナー女「…あれは卵から出来た油。コレステロールの塊。絶対悪。」

    女「む、むぅ…。」

    男「タイムカード押しちゃいますねー。」


    がしゃこん

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:04:57.90 ID:8umytB1B0

    女「よし、じゃ少し早いけど朝礼。始めようかっ。」

    男「え、デザイナー男さんはいいんですか?」

    女「あぁ、デザイナー男君は始発で帰ったからさ。今日は昼から出ればいいって言ってあるんだ。」

    パタンナー女「…昼夜逆転。ダメ男の典型。」

    女「まぁまぁ、そう言わずにさ。よし、じゃまずはコーヒー淹れようかなっ。」

    とててて。

    しゅごーっ ぷしゅー

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:09:06.45 ID:8umytB1B0

    男「あの、気になってたんですけど。あれ、エスプレッソマシーンですよね。凄い高そうな。」

    パタンナー女「…社長の趣味。昔、洋服のデザインと引き換えに貰ったものらしい。」

    男「なんか凄いですね…」

    女「男君、なにがいいー?エスプレッソ、ラテ、カプチーノ、ブラック、アメリカンと何でもござれだよー。」

    男「あ、ブラックでお願いします。」

    女「あいあいー。」


    しゅごーっ ぷしゅー

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:14:54.30 ID:8umytB1B0

    女「よし、っと。それじゃ朝礼始めるね。」

    女「まずは今日の予定から。朝礼終わったら私と男君は出るから。帰りは夕方になるかなぁ。」

    男(夕方って…いったいどこ行くんだ?)

    女「直帰するか戻るかは追って連絡するから。パタンナー女ちゃん電話番よろしく。何かあったら私の携帯に連絡入れてね。」

    パタンナー女「…了解。ダメ男はどうする?」

    女「12時になっても来ない場合は寝てる可能性大だから、家に電話してあげて。
      あ、あとレーヨンのカットソー、あれまだデザインいじるかも知れないから、まだパターン引かなくていいよ。」

    パタンナー女「…了解。」

    女「よしっと。んじゃ皆今日も宜しくお願いします。」

    パタンナー女「…宜しくお願いします。」

    男「宜しくお願いします。」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:18:26.57 ID:8umytB1B0

    がたんごとん がたんごとん…


    男「女さん、そろそろ教えてくださいよ。どこ行くんですか?」

    女「うーん、まぁいいかぁ。今から行くのは綿花を栽培してる農家さんの所だよ。」

    男「綿花、ですか」

    女「うん、服が出来るまでのスタート地点だよね。」

    男「まぁ、確かに。」

    女「何年か前から綿はそこの農家さんの所のを使わせて貰ってるんだ。」

    男「ほう」

    女「男君。オーガニックコットンって、知ってる?」

    男「えぇ、聞いたことはあります。」

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:23:47.54 ID:8umytB1B0

    女「なら話は早いね。まぁ要は化学肥料とか農薬を使わないで育てた綿のことなんだけどね?」

    男「無農薬栽培、ですか。」

    女「うん。しかも正式には過去三年間、化学肥料とか農薬を使ってない土地じゃないとオーガニックだって認められないらしくて。」

    男「厳しいんですね。」

    女「うん。綿ってさ、柔らかいから虫も大好きな訳だよ。」

    男「なら無農薬で育てるのは大変そうですね。」

    女「そう。普通、綿花の畑には大量の農薬が使われるものなんだって。」

    男「ふむ。」

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:25:38.14 ID:8umytB1B0

    女「綿って水分を吸いやすいし、根っこから吸収した農薬は洗っても流せないよね。」

    男「えぇ」

    女「だからね。普段私たちが身に付けている衣服は農薬が残留してるものが殆どなんだ。」

    男「なんだか恐ろしい話ですね。」

    女「特に肌にアレルギーを持ってる人だね。
      かぶれちゃったり、痒くなっちゃったりするから。大事な事なんだよ。」

    男「…なるほど。無農薬は手間がかかるし取れる量も少なくなる。これが値段が張ってしまう理由ですか。」

    女「勘が鋭くて助かるなぁ。うん。まぁ幾つかある理由の一つ、だね。」

    男「ふむ…」

    車掌「次はー、〇〇。〇〇です。お降りの方はお忘れものございませんよう…」

    女「お、ちょうど着くね。降りるよっ。」

    男「あ、はい。」

    がたんごとん がたんごとん…

    ―。

    ――。

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:30:31.59 ID:8umytB1B0

    女「ほい、ここだよっ。」

    男「うわ、広いですね…」

    女「あっ、おじさーん!お久し振りですー!」

    農家「あぁ、なんだお前また来たのか。」

    女「はは、毎回毎回そんなに邪険にしないでくださいよ。」

    農家「今日は何の用だ。」

    女「今年もいい綿が出来てるかなー、って視察と。」

    農家「当たり前だ。今年はここ数年で一番いい。」

    女「おっ、それは期待しちゃいますよ。」にやっ

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:35:04.63 ID:8umytB1B0
    女「あと、うちにニューフェイスが来たので。彼にここを見て貰いたくて。」

    男「男です。宜しくお願いします。」ぺこり

    農家「…ふん。見るのは勝手だが邪魔はするなよ。」

    女「あ、今日は男君が是非お手伝いをしたいとのことなので!」

    男(えっ!?)

    農家「…今から虫取りだ。着いてこい。」


    ざっざっざっ…


    男「あ、えっ?」(虫取り?…クワガタ?)

    女「頑張ってねっ!」にこっ

    農家「おい!さっさと来い!」

    男「は、はいっ!」


    ざっざっざっ…

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:42:28.59 ID:8umytB1B0
    女「ふぅ…」(さて、と。男君には悪いけど、私は日陰で見学と洒落込みますかねっ。)

    女(結局昨日も眠れなかったしなぁ。一度家に帰れたのが救いだね。家が事務所の近くでよかったぁ。)

    女(やばい、また倒れる前に点滴打ちに行かないと…)ふらっ


    ピルルルル ピルルルル


    女(くそう…誰よ)

    ぱかっ

    女(――はぁ、よりによって…)

    ぴっ

    女「はい、女です。」


    ―。

    ――。

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:48:13.34 ID:8umytB1B0

    農家「虫は大別して二種類いる。」

    男「二種類、ですか?」

    農家「こいつが綿を食う害虫。そしてこいつが、その害虫を食うために俺が放した益虫だ。」

    男「あぁ、なるほど。そうやって農薬を使わない工夫をしてるんですね。」

    農家「御託は要らん。害虫は殺せ。以上だ。」

    男「は、はい。」

    農家「お前が先に歩け。見逃した分は俺が取る。」

    男「はい。」

    農家「さっさと行け。」

    男「は、はい。」(この人怖ぇよ…)

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:52:16.85 ID:8umytB1B0

    男「…。」

    農家「…。」

    男(き、気まずい…)

    農家「おい。」

    男「はっ、はいっ!」

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:53:47.71 ID:8umytB1B0

    農家「あの女、あんな所で寝てるぞ。」

    男「…え?」


    女「すぅ、すぅ…」


    男「…あ。」

    農家「あれが俺の家だ。運んでやれ。」

    男「えっ?」

    農家「さっさと行け。」

    男「は、はいっ。」

    農家「台所のやかんに麦茶がある。持って戻ってこい。」

    男「あ、はいっ。」


    ざっざっざっ…


    農家「…ふん。」

119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 15:57:53.18 ID:8umytB1B0

    男「女さん、こんなところで寝ちゃ駄目ですよ」ゆさゆさ

    女「…すぅ、すぅ…。んぅ…」

    男「女さーん?」ゆさゆさ

    女「すぅ…すぅ…」

    男(駄目、か。てかよく見ると目の下クマあるじゃんかよ…)

    女「ん…すぅ…」

    男(なるほど、どうやらこれが役得って奴みたいだな。)

    男「んしょ、っと。」

    女「すぅ…すぅ…」

    男(軽いなぁ。ちゃんとメシ食ってんのかなぁ。)

    女「…すぅ」

    男(寝息がっ…!いかんいかん、素数をっ、素数を数えるんだ!)

    女「ん、くふぅ…。すぅ…」

    男(2、3、5、7、11、13、17、19、23、29……。)

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:01:20.68 ID:8umytB1B0
    ―。

    ――。


    男「すいません、お待たせしました。」

    農家「まぁいい。麦茶、二つ注げ。」

    男「あ、はい。」

    とぷとぷとぷ

    農家「飲め。」

    男「あ、頂きます。」

    農家「…。」


    ごくっごくっごくっ

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:03:40.71 ID:8umytB1B0

    男「ぷはっ、うまいです。」

    農家「ただの麦茶だ。世辞はいらん。」

    男「いや、やっぱり汗を流した後は冷やした麦茶ですよ。」

    農家「…口の上手い奴はどうも信用できん。」

    男「ははは、そうですか。」にこっ

    農家「信用できん…が、あの女が選んだ部下だ。」

    男「女さん、ですか?」

    農家「あんな小娘だが中々見所のある奴だ、あれは。」

    男「――俺も、そう思います。」

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:08:08.00 ID:8umytB1B0

    農家「…ふん。喋りすぎた。女が起きたら連れて帰れ。俺はまだ畑に用がある。」


    ざっざっざっ…


    男「あ、あのっ!」

    農家「…なんだ。」

    男「ありがとうございました!」ぺこり

    農家「…ふん。」

    農家「あぁ。あの女に伝えておけ。」

    男「はい?」


    ―。

    ――。

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:12:43.08 ID:8umytB1B0

    女(…あれ?ここ何処だろう?)

    女(あったかい…)

    女(深くて、温かい泥の中みたいな…)

    女(え、あれは…お母さん?)

    女母「…。」

    女(…っ!)

    女(お母さん!何処行ってたのよ!)

    女(私、ずっと…っ。ずっと探してたんだからね!ねぇお母さんっ!)

    女母「…。」ふるふる

    女(なんか言ってよ!首振るだけじゃ何も分かんないよ!ねぇっ、ねえ!)

    女母「…。」ぺこり

    女(お母さん!何処行くの、駄目っ!何か答えてよ!)

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:14:48.36 ID:8umytB1B0

    女母「…。」にこっ


    とてとてとて…


    女(お母さん!行っちゃ駄目!どうしてそうやって逃げるの!?ねぇ!)


    ――さん。


    女(もう、何で足が動かないのよ!お母さん待って!待ってっ!)


    とてとてとて…


    ――女さんっ。


    女(もう、誰よ!邪魔しないでよ!お母さんっ!)


    ――女さんっ。起きてください。会社戻りますよ。


    女(…へ?会社?)

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:16:25.66 ID:8umytB1B0

    ぱちっ


    男「あぁ、お早うございます。すいません起こしちゃって。」

    女「あれ?…あ、ねぇお母さんは?何処行ったの?追いかけないと…」ぽけー

    男「へっ?」

    女「えっ?」

    男「…あぁ、お母さんの夢を見てたんですか?」くすっ

    女「――っ!あっ、いや!あのっ!ち、違うんだ!違うんだよ男君っ!」かああっ

    男「あははは、そんなに焦らなくて大丈夫ですよ。」

    女「い、いやっ!そうじゃなくてっ!」あせあせっ

    男「農家さんがもう帰って良いって言ってました。会社戻りましょう。」

    女「…分かった。」(むう。なんだい、年下の癖に妙に大人ぶっちゃってさっ)

    男「行きましょう。今戻れば夕方前には着けそうです。」

    女(なんか…母親の夢見るなんてこっちが年下みたいで恥ずかしいじゃないのさ、うぅ…。)

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:18:45.52 ID:8umytB1B0

    女(もう、消化した筈だったんだけどなぁ…。)

    男「…女さん?」

    女「あ、あひゃい!?う、うん分かった、行こうかっ!」あせっ

    男(…?)

    男「――あぁ、そうだ。女さん。農家さんが女さんに伝言を、と。」

    女「へ?伝言?」

    男「はい、『去年と同じ量を用意しておく。俺の綿を使うからにはいい仕事をしろ。』だそうです。」

    女「あははは、おじさんも相変わらずツンデレだなぁ。」

    男「ははっ。ええ、全くです。」

    女「ん、何か元気出たなっ。来て良かった。よし、じゃあ戻ろうか!」にこっ

    男「はい。」


    ―。

    ――。

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:29:28.58 ID:8umytB1B0

    ――同刻 事務所


    がちゃ


    デザイナー男「うぃ、おはよー。」

    デザイナー男(…って、あれ?誰もいないのか?)

    デザイナー男(まぁいいや、眠い。とりあえずコーヒー飲みてぇ。)

    ぷしゅーっ しゅこー

    デザイナー男(わざわざ屋上の喫煙所まで煙草吸いに行くのかったるいな…)

    デザイナー男(誰も居ないし、いいかぁ。)


    しゅぼっ じりじりっ…


    デザイナー男「ふーっ…」(しかし何で誰もいないんだ?あぁ、資料室に誰か居ねぇかな。)

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:31:40.08 ID:8umytB1B0

    がちゃっ


    デザイナー男「おいおい、なんだよ。居るじゃんかよ。」

    パタンナー女「…!」あせっ

    デザイナー男「よっ。資料なんか漁って何してんの?」

    パタンナー女「…くっ、来るな。煙草。事務所内禁煙。」

    デザイナー男「ありゃ、そうでした。消してくるわ。」

    パタンナー女「…ついでに私にもコーヒー。ブラック。」

    デザイナー男「へいへい。お嬢様少々お待ち下さいねっと。」

    パタンナー女(…危ない、所だった。早く片付けないと。)あせっ


    ぷしゅーっ しゅこーっ


    ―。

    ――。

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:36:52.87 ID:8umytB1B0

    ――夕方 事務所


    がちゃ


    女「ただいまー。」

    男「戻りました。」

    デザイナー男「おお、お帰り。お土産は?」

    女「ほい、コージコーナーのコーヒーゼリー!」

    デザイナー男「おっ、いいね。」

    女「コーヒーゼリーなら太らないからねっ。」にぱっ

    男(そんなことないと思うけど。)

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:39:06.26 ID:8umytB1B0

    デザイナー男「ちょうど行き詰ってた所だったんだわ。皆のコーヒー淹れるよ。」

    男「あ、そんな俺がやります。」

    デザイナー男「ああ、いいって。座ってなよ。」

    男「あ、はい。じゃ、お願いします。」ぺこり

    ういーん ぷしゅーっ しゅこー

    パタンナー女「…社長、上から電話があった。」

    女「あぁ、わざわざ私の携帯に掛け直してくれたよ。これ食べたら行かなきゃなんだ。」

154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:41:58.71 ID:8umytB1B0

    男「…上?」

    女「あぁ。うちの親会社のことね。うちは一応独立した会社なんだけど、
      株式とか色々そこが持ってるからさ。意味合い的にも法的にも子会社ってことになるんだ。」

    男「ふむふむ。」

    デザイナー男「お待たせ、っと。まぁ口煩いだけの連中だよ。愛想笑いして頭下げてる分には実害は殆ど無いさ。」

    パタンナー女「…あいつらは嫌いだ。」

    女「こらこら、こうやってやってけるのも上のおかげなんだから。そう文句ばっか言わないの。さ、食べるよ!私の奢りだから心して食すように!」

    パタンナー女「…頂きます。」はむっ

    男「頂きます。」ぱくっ

    女(デザイナー男君。後でちょっと。)ぼそっ

    デザイナー男(…ん、了解。)ぼそっ

    女「うん、美味しい!」はむっ

    デザイナー男「ん、やっぱりシュークリームよりもこっちだよなぁ。」ぱくっ


    ―。

    ――。

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:46:16.11 ID:8umytB1B0

    女「じゃ、行ってくるね。皆定時になったら自由に切り上げちゃっていいから。」

    パタンナー女「…了解。行ってらっしゃい。」

    男「はい、行ってらっしゃい。」

    デザイナー男「さて、俺は屋上で一服してくるかね。」

    パタンナー女「…サボリ。良くない。」

    女「まぁまぁ。じゃ、また明日ねっ!」


    がちゃ ぱたん

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:33:10.50 ID:tiHPdQORO
    ブランドはどういう設定?

162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:53:13.38 ID:8umytB1B0
    >>146 大手アパレルの形式上は子会社。ドメブラで、昨年から所謂「東コレ」に参加。
       ターゲットは20〜30くらいの会社員。大学生も。
       東コレ参加シーズンよりウィメンズの製作も開始。フラッグショップは構えていないのでセレクトショップやzozoなどで販売している。
       質の高さの割りに低い価格設定のため売り上げはそこそこあるが、経営は苦しい。

    って感じでしょうか。正直設定甘いです。ちゃんと投下もするんで臑蹴らないで下さい。ww

164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:54:47.76 ID:8umytB1B0

    ――屋上 喫煙所


    しゅぼっ じりじり…


    デザイナー男「ふぅーっ…。――それで?」

    女「さっきの上の件なんだけどね。」

    デザイナー男「あぁ。これから会議だろ?ご苦労様だな。」ふぅーっ

    女「それが…。どうやら今回は本気みたいなんだよね。」

    デザイナー男「…あぁ。――そりゃ、参ったな。」ぽりぽり

    女「まぁ会議出てみないと分かんないんだけど、多分。」

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:57:15.39 ID:8umytB1B0

    デザイナー男「…あっちも本腰入れないと、ってことか。」

    女「うん。お願い、していい?」

    デザイナー男「…了解。」

    女「ま、そういうことで。じゃ行ってくるねっ。」

    デザイナー男「あぁ、頼んだ。」

    女「内容は連絡入れるから。」

    デザイナー男「了解。…色々押しつけて済まない。」

    女「いいのいいの。じゃねっ。」


    とてとてとて…


    デザイナー男「ふぅーっ…」(…さて、と。どうするかなぁ。)

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 16:59:12.21 ID:8umytB1B0

    ――数週間後 事務所


    ガガガガガガガ…


    女「――で、出来たぁ…」くたぁ

    パタンナー女「…今時プロのデザイナーが試作のミシンを踏むのは珍しい光景。世界遺産。」

    デザイナー男「どれどれ?…メンズのジャケットね。へぇ、アームホールは一部切り返しか。面白いねぇ。」

    女「へへん、今作は自信作ですっ。袖裏も半分で切り返して違う柄を使用しています!」

    デザイナー男「ほう、芸が細かいねぇ。」

    女「へへへん。あっ、男君!」

    男「え、はい?」

167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:00:41.27 ID:J/j9yFzd0
    >>166
    ミシン?今、服飾関係のデザインって
    ホールガーメントっていう全自動の織機で編むんじゃないの?

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:04:14.00 ID:8umytB1B0
    >>167 布になった状態から縫っている設定です。俺も全然詳しくないので…
       そこでお仕事されてる方から見ると変かも知れませんがご容赦をっ。

168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:01:08.74 ID:8umytB1B0

    女「ちょっとこれ着てみて!」

    男「へ?俺がですか?」

    女「ほい!サイズは大体合ってるはずだから。」

    男「はぁ」


    するっ


    男「えっ…?」

    女「どう?どう?」わくわく

    男「え、これ凄い軽い…です。」

    デザイナー男「うん、かっこいいじゃん。俺も早くボトム考えないとなぁ。」

    パタンナー女(…あのジャケットは一昨日私がパターン引いたばかり。それであの出来?)

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:05:33.24 ID:8umytB1B0

    男「なるほど、春夏ならこれくらいの生地感が丁度いいんですね。」

    パタンナー女(…これだから社長には敵わない。)

    女「ふふん、気に入った?」

    男「あ、はい。着やすいだけじゃなくて凄いかっこいいです。」

    女「ふふふんっ。でしょでしょ?」にぱっ

    パタンナー女(…っ。何が足りない?才能?努力?)

    女「あ、それ一度縫製の工場にサンプルとして預けるけど、返ってきたら男君にあげるからっ!」

    男「え?いいんですか?」

    女「もちろん!」にこっ

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:07:28.05 ID:8umytB1B0

    女「あ、みんな時間取らせてごめんっ。作業に戻ってー。」

    デザイナー男「うし、俺もテンポあげるかね。」

    パタンナー女「…雑な仕事にならないように。ダメ男は社長ほど器用じゃない。」

    デザイナー男「うっ…。」

    女「あははは、えへんっ。私これでもチーフデザイナーですからっ!」

    男(よく分かんないけど、やっぱ女さんって凄い人なんだな…)

    ―。

    ――。

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:10:01.72 ID:8umytB1B0

    女「男君、定時だよー。お疲れ様、お上がりなさいっ。」

    男「あの、」

    女「ん?」

    男「俺、いつも帰るの最初ですよね。皆さん何時まで残ってるんですか?」

    女「あははっ、まぁ今は制作期だからね。でも日に依るよ?」(ううっ、今日で会社に三泊目だなんて社長としても女としても言えない…)

    男「ふむ。女さん。」

    女「ん?なに?」

    男「時間がある時でいいので…」

    女(え?なに?これっ。ひょっとして…
      い、イマドキOLが経験するという後輩からのデ、デートの誘いって奴ですかっ!?ち、ちょ待っ!)あたふたっ

176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:12:23.89 ID:Toug/KIm0
    女社長が可愛すぎるwwww

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:14:06.91 ID:8umytB1B0

    男「事務とか細かい仕事を俺にもっと教えて貰えませんか?」

    女「…へっ?」ぽかーん

    男「あ、いや。俺も段々慣れてきましたし。女さんに制作に集中して貰えるように出来るだけ仕事覚えたいな、と。」

    女「うーん。男君はよくやってくれてるよ。元からパソコンが得意だったみたいだし、かなり助かってる。既に貴重な戦力だよ。」

    男「いえ。まだ出来ます。やらせて下さい。」

    女「そう言ってくれるなら、もう少しお仕事任せちゃうけど…本当にいいの?」

    男「はい、お願いします。一人だけ定時上がりの仲間はずれは良くないですよ。」

    女「あははは、じゃあ今から帳簿関係も教えちゃおうかなっ。」

    男「はい、スポンジの如き吸収力を発揮します。」(この人…笑った顔がいいなぁ。)

    女「あはははっ、男君って真顔で冗談言うよね。」にぱあっ

    男(くそ、この人は俺にどこまで素数を数えさせるつもりなんだ…)

    女「じゃ、準備してくるからちょっと待っててねっ」


    とてててて


    男(――277、281、283、293、307、311、313、317、331…)

178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/20(土) 17:14:53.21 ID:Ti20PGKy0
    数えすぎwwwwwwww


女社長「まぁいいや、採用っ!」【中編】へつづく

引用元
女社長「まぁいいや、採用っ!」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1245470521/

 

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