1 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/25(月) 07:34:38.86 ID:DlI5vNB1O
澪「今年は律と違うクラス…か」
二年になったその日、私は少し憂鬱だった。
はっきりした理由はわからない、もしかしたら私だけクラスが違ったせいなのかとも思うけど…でも、和と一緒だ。そこまで不満は無いハズ。
帰りに律と寄った本屋で買った雑誌をぱらっと捲っても興味が出ない。
澪「…練習するか」
♪〜
澪「あ、違った…」
間違えてしまい手が止まると苦笑いを浮かべる。
そう言えば、いつもここは律が走るとこだな。とか思って直ぐに笑みに変わる。
って、私…さっきから律の事ばっか考えすぎだろ!
澪「今年は律と違うクラス…か」
二年になったその日、私は少し憂鬱だった。
はっきりした理由はわからない、もしかしたら私だけクラスが違ったせいなのかとも思うけど…でも、和と一緒だ。そこまで不満は無いハズ。
帰りに律と寄った本屋で買った雑誌をぱらっと捲っても興味が出ない。
澪「…練習するか」
♪〜
澪「あ、違った…」
間違えてしまい手が止まると苦笑いを浮かべる。
そう言えば、いつもここは律が走るとこだな。とか思って直ぐに笑みに変わる。
って、私…さっきから律の事ばっか考えすぎだろ!
2 :1:2009/05/25(月) 07:35:27.55 ID:DlI5vNB1O
澪「うっ…ダメだダメ。今日は寝ようっ」
楽器をしまってからベッドに身体を放り出す。
こうやってクラスが離れたんだし、もしかして律が自立する様に応援してやるべきなのかもしれない…。卒業したら今みたいに四六時中一緒じゃないんだし…
…そうだよ、な。少しは律に自立させなきゃ。私も少しは律に構わない様にしないとな。
そうして私はゆっくり瞼を閉じた。
3 :1:2009/05/25(月) 07:37:12.85 ID:DlI5vNB1O
澪「あんまり寝れなかった…」
翌朝、私はいつも律が迎えに来る時間より早く家を出た。
…一人だけでの登校はちょっと寂しい。…いや、だめだめ。
澪「そんなこと思ってたらダメだっ」
つい声に出してしまい、はっと周りを見回す。
よ、良かった…誰もいないや。
でも恥ずかしいから少し駆け足で学校へ向かった。
4 :1:2009/05/25(月) 07:39:19.52 ID:DlI5vNB1O
和「あ、澪。おはよう、今日は早いの?」
澪「の…和。おはよ。うん、ちょっと朝練でもしようかなって」
和「へー、頑張ってるのね」
昇降口に入り靴を履き替えるとそのまま並んで教室に入る。
鞄を置くとベースだけ持って教室を出る。
…どうしようかな。
朝練とは言ったけど、音楽室だと律が来るかもだし…
私の足は自然と屋上に向かっていた。
5 :1:2009/05/25(月) 07:40:48.30 ID:DlI5vNB1O
「きりーつ」
1限目が終わるチャイムが鳴り終わるより前にクラスの扉が開いた。
律「澪ー!!」
扉を開けたのは律。ざわざわとクラスがざわめく中、律はお構いなしにクラスに足を踏み入れる。
澪「り、律っ!まだ授業終わってないから!」
律「そんな事よりなんで朝は私を置いてったんだよー!」
澪「べ、別に理由はないけど…って一回出てけって!」
周りからクスクスと笑い声が聞こえて顔が赤くなるのを感じる。
漸く律が離れて挨拶が終わると、再び詰め寄られる。
6 :1:2009/05/25(月) 07:44:29.48 ID:DlI5vNB1O
律「でっ?なんでだよー」
澪「だからなんでもないって」
律「何でもないのに私を置いてくなよなっ。全くさー」
澪「…別にいいだろっ。律はさっさと教室戻れよ」
律「…なんだよー、澪のバーカっ!」
澪「なっ!」
バタバタと足音を立てて律が出て行く。…これでいい、んだよな。
7 :1:2009/05/25(月) 07:46:47.08 ID:DlI5vNB1O
その日の部活は、どこかぎこちないものだった。
練習が終わると私はなんとなく直ぐに音楽室を出た。
***
唯「澪ちゃん、どうしたのかなー?」
紬「ちょっと心配ね…」
律「…一人だけクラスが違うから、多分拗ねてんだよ。ほら、新入生にビラ配りにいこーぜっ」
14 :1:2009/05/26(火) 00:14:27.95 ID:s5DZclNmO
午後9時。
この3日間、私は律と一緒に学校へ行くことはなかった。
たかが3日、されど3日。
律とあんまり話さない日はなんだか長くて。新歓ライブも近いのに、私の心はみんなから離れていた。
ライブ、明日なのにな…
自業自得ではあるけど、溜め息を吐かずには居られなかった。
数学の宿題を片付けようと机に向かっても、練習しようとベースを手にしても捗らない。ただただ机に突っ伏すと、携帯が鳴った。
15 :1:2009/05/26(火) 00:15:50.47 ID:s5DZclNmO
澪「はい?」
紬「あ…澪ちゃん?」
澪「ムギ…どうかしたの?」
紬「う〜ん、私は大丈夫。ただ、律ちゃんの事が気になって電話したの」
澪「律の?」
ムギの言葉にドキッと胸が鳴る。
正直私は悔しかった。律は私とあまり話さなくなっても変わった様には見えないし、ましてやずっと唯と楽しそうにしていたから。
紬「律ちゃん、最近元気がないと思って。澪ちゃんなら理由を知ってるかなって思ったの」
澪「あ、あはは。私なら知ってるなんてないよ」
16 :1:2009/05/26(火) 00:17:02.41 ID:s5DZclNmO
紬「そう…?…あと、澪ちゃんも最近、演奏が落ち着かないというか…よね?何か悩みがあったら聞くけど…」
もしかして、ムギは遠まわしに私が律の事を避けていると言ってる?
…いや、まさか。わ、私そんな露骨にやってない…と思う…けど…
澪「あ、はは。ライブが近いと思うと緊張しちゃってさ」
紬「…………そう?それなら…いいけど。何かあったら私、なんでも聞くから言ってね?」
澪「うん、ありがとうムギ。それじゃおやすみ」
紬「ええ、おやすみなさい」
プツッと電話が切れると、身体が冷える様な熱くなる様な…妙な感覚。
17 :1:2009/05/26(火) 00:19:27.06 ID:s5DZclNmO
携帯を置くと、うさぎのぬいぐるみを手にしてベッドに寝転ぶ。
もう、限界かも。
律と…話したい。
…でもそれじゃあ、まるで私が律から自立出来てないみたいで嫌だ。
もう少し、もう少しだけ。
20 :1:2009/05/26(火) 00:38:39.59 ID:s5DZclNmO
次の日。唯が迎えに来た。
唯「えへへ、おはよー澪ちゃん!」
澪「お、おはよ。えっ、と…まだ準備出来てないんだけ…」
唯「じゃあ待ってる!」
満面の笑みで押し切られると、急いで準備をして家を出る。
澪「どうしたんだ?急に」
唯「うーんとね。澪ちゃん、りっちゃんとなんかあったのかなーって思って…」
つい足が止まる。
唯にまで、バレてる?
…でも、そんなこと…
23 :1:2009/05/26(火) 12:03:29.69 ID:s5DZclNmO
---
唯「澪ちゃん?」
唯に顔を覗き込まれてハッと身体がこわばる。
ぎこちない笑みを浮かべて首を横に振った。
澪「はは、まさか。そんな事無いってば」
唯「そう〜?最近二人の様子がへんな気がしたんだぁ。何でもないならいいんだけど…」
唯が離れて歩き出すと、ふと律と唯の仲が良さそうな瞬間を思い出す。
無意識の内にまた足が止まる。
なんだよ、唯ばっかりずるいじゃん。
唯「ほぇ?澪ちゃん?」
澪「ご、ごめん忘れ物!先に行ってて!」
24 :1:2009/05/26(火) 12:05:06.18 ID:s5DZclNmO
まるで唯から逃げるように駆け出す。
前も見ずに走った。
…気がつくと、小さい頃によく律と遊んだ公園に居た。
懐かしいな、ここ。
平日の朝だからか、子供の姿も無く、怖いくらいに静かな公園。
ブランコに近付いて鞄を置くと、腰掛ける。
キィ、と少し錆びた鎖の音。あの頃と変わって無い。
静かな公園に静かに響く音。
…授業はそろそろ始まったかな。
私が授業に出なくても、みんなはクラスが違うからきっとわからないよな…
俯くと、目頭が熱くなりじわっと涙が溢れる。
26 :1:2009/05/26(火) 20:41:09.59 ID:s5DZclNmO
---
澪「…律…」
どうして、私…こんなバカな事をしたのかな。
後悔したって遅い。
自立ができないのは、私の方だと…こんなに思い知らされるなんて。
澪「律ぅっ…」
嗚咽が漏れ、涙がぼたぼたと零れ落ちる。
律と話したい、律の笑顔が見たい、律と一緒にいたい。
涙は止まらない。
私はこんなに律が必要なのに。
…律は、私が居なくてもあんまり変わらない。
律、私の傍に居てよ。私の事を頼ってよ。私の事、想っててよ。
こんなわがまま、届かない。
27 :1:2009/05/26(火) 20:42:20.81 ID:s5DZclNmO
「澪!」
私の嗚咽だけが響く静かな公園に響いたその声は紛れもなく、私の待ち望む声。
澪「り、つ…?」
恐る恐る顔を上げると、公園の入り口に息を切らせた律の姿があった。
律はゆっくりと私の方へ歩き出し、目の前に立った。
律「おーおー、こんなに泣いちゃって」
ぎゅっと律に抱き締められて涙は更に溢れる。
澪「律…りーつー…っ…」
律「はいはい、私はここにいますよーっと」
少しおどけた口調の律。それとは裏腹に優しく慰める様に頭を撫でてくれる。
28 :1:2009/05/26(火) 20:43:47.47 ID:s5DZclNmO
---
律「…唯が澪の事、急に走ってったって言うから心配したじゃん」
澪「ごっ…め…ッ」
しゃがんだ律が、下から私を覗き込む。
律「…澪、さ…ここ暫く私を避けてた、よな。クラス変わって寂しかったんだろ?」
上手く話せない私は、ただ泣きながら必死に頷く。
律「私だって寂しかったんだぞー?…私にとって澪は唯とムギとは別なんだからさ」
澪「べ、…つ…っ?」
29 :1:2009/05/26(火) 21:11:16.95 ID:s5DZclNmO
---
律の言葉に、ゆっくり瞳を開く。
涙で滲んだ律の顔。
律がここにいてくれてる。それだけでまた涙が零れる。
律「私は澪の事、大好きだからな。澪と話が出来ないなんてつまらないだろ?」
そっと律の顔が近づくと私はぎゅっと目を閉じる。
頬へ何か柔らかいものが触れると、そのままその感覚が目尻まで這う。
律「泣くなよ、澪。私、澪の泣き顔も好きだけど笑ってる方が好きだからさ」
澪「……っ!」
律の言葉に、胸がじんとする。縋る様に律の制服の裾を掴む。
35 :1:2009/05/27(水) 07:08:46.77 ID:lPlFNbczO
澪「ごめん…なさい、律…」
律「…ん。…ったく、澪はほんっと私が居なきゃだめだなー」
むにむにと頬を弄られながらも、今回は文句を言わずにじっと律を見つめる。
36 :1:2009/05/27(水) 07:11:40.21 ID:lPlFNbczO
----
律「…仕方ない、今回はこれで許してやるよ」
澪「…え?」
ちゅ、と唇が触れ合った。でも私は、それがキスだと気付くまで数秒かかった。
気付いた頃にはかぁっと顔を真っ赤にしていたんだろう。
律「ほら、行くぞ澪!もう今日は授業サボってライブ練習だ!」
澪「う、うんっ…」
きっとこの繋がれた手を私から振り解ける日は来ないだろうと、そう思った。
37 :1:2009/05/27(水) 07:14:15.59 ID:lPlFNbczO
この話はここまでなんだ(・ω・`)
でも続きっぽいのは一応書いたんだが、見たい人いるんだろうか…w
38 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/27(水) 07:53:16.13 ID:Hy7iiXuHO
みたいなあ。
39 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/27(水) 12:38:50.58 ID:TGGKltt20
見たくないわけないだろう
まぁこれでも十分あったかいendだが
40 :1:2009/05/27(水) 13:10:07.59 ID:lPlFNbczO
>>38
>>39
ありがとー(;ω;)
一人でも待ってるなら書くよー。
もうちょいで昼休み終わるからいまはちょっとだけ。
41 :1:2009/05/27(水) 13:12:30.14 ID:lPlFNbczO
律「遊ぶぞーっ!」
澪「こら、まずは練習だろっ」
律「えー」
新入部員の梓も加わり、一段と賑やかになった今年の夏休み。私たちは今年もムギの別荘で合宿をする事になった。
あれから私と律はギクシャクした関係も無くなり、今までとなんら変わりなく互いに傍に寄り添っていた。
でも私はどこかそれに物足りなさを感じていて…。
42 :1:2009/05/27(水) 13:13:59.86 ID:lPlFNbczO
あの日、律がしてくれたキス。
私はずっと忘れられる事はなく、それを思い出すだけで心臓は高鳴るし、顔は真っ赤になって嬉しいような、恥ずかしいような…そんな気持ちになっていた。
…こんな風に思ってるの、私だけなのかな。
海だ!とはしゃぐ律を、少し複雑な気持ちで見つめていた。
49 :1:2009/05/28(木) 00:01:07.01 ID:Um0MSEfyO
練習が先か、遊ぶのが先か。多数決で思わぬ裏切りに合い遊ぶ事が先になった。
水着に着替えると、一応みんなで準備体操をしてからパラソルの下に腰掛ける。
綺麗な海…ムギはほんとにお金持ちなんだな…。とか、ぼんやり考えていると僅かな砂の擦れる音と共に隣に梓が腰掛けた。
50 :1:2009/05/28(木) 00:02:04.10 ID:Um0MSEfyO
梓「もうっ!強化合宿なら普通練習が先じゃないですかっ!?」
澪「あはは、ほんとだよ。多数決でこう決まっちゃったから仕方ないけどさ」
苦笑を浮かべながらビーチバレーをする律と唯に視線をやる。
…本当は練習がしたかったけど、律が楽しそうだからまぁいいか…
澪「ってよくないだろ!」
梓「えっ!?ど、どうしたんですかっ?」
澪「あ、な…なんでも…」
つい声に出す癖、治さなきゃ…凄い恥ずかしかった…
51 :1:2009/05/28(木) 00:03:58.73 ID:Um0MSEfyO
律「あーずさー、澪ー。んなとこ居ないで二人も来いよ〜」
火照った頬を冷まそうとパタパタと仰いでいると、律に声を掛けられる。
…あ、今なんかチクッとした。なんで?
梓「行きませんっ!」
律「なんだよー。梓は運動苦手なのか?」
梓「んなっ!それくらい出来ますからっ!」
梓をからかう様にしながらも、なんだかんだで遊びに引きずり込む律。
…ああやって私も乗せられてるんだろうか…。
…あ、また。
またチクッとした。
56 :1:2009/05/28(木) 09:58:40.65 ID:Um0MSEfyO
紬「みーおちゃん、どうかしたの?」
澪「ひゃあっ!ムギ!?」
ぴと、と頬に冷たいものが当たると一気に体の熱が冷えた様に背筋がぞわっとした。
驚いて振り返ると、クーラーボックスを持ったムギが居た。
紬「うふふ、冷えてるでしょ?喉が乾くだろうからジュースを持ってきてたの」
澪「なるほど、さすがはムギ。ありがと」
さっきまで梓が座って居た場所にムギは腰を下ろす。
57 :1:2009/05/28(木) 09:59:42.74 ID:Um0MSEfyO
紬「それで…何かあったのかしら、澪ちゃん?」
目が合うと、改めてさっきの言葉を投げかけられた。
ムギの目は、じっと私を見ていて。なんだか何もかも見透かされているような、そんな気分になる。
澪「な、なんにもないって」
紬「そう?それならいいけど」
クスっと笑ったムギ。慌てて視線を逸らして砂浜を眺める。
やっぱりムギはただ者じゃない様な気がするんだ…。
60 :1:2009/05/28(木) 15:06:44.37 ID:Um0MSEfyO
唯「みぃーおーちゃーん〜っ!一緒に遊ぼうよぉ〜ん」
澪「うわっ!ゆ、唯…急に変な声だすなよっ」
突然後ろから抱きつかれたと思い軽くそちらを向くと、甘えたな声を出した唯にそのまま頬擦りをされる。
全く、唯のおねだりには適わない。
そう思っていると私の横をすり抜けてボールが唯の顔面に直撃した。
61 :1:2009/05/28(木) 15:07:52.13 ID:Um0MSEfyO
律「あ、ごっめーん!手が滑っちゃった!」
唯「もうっ!りっちゃんってばこの鬼畜ーっ!」
ボールを拾いに来た律が、目の前で唯と楽しそうに話ているのを見て少し嫌な気分になる。
…私はわがままなのかな…
律「ほら澪!いこーぜっ」
澪「えっ?わ、わわっ!」
66 :1:2009/05/28(木) 20:39:17.90 ID:Um0MSEfyO
ぐいっと手を引かれるとそのままみんなと少し離れた波打ち際まで連れて行かれる。
もう、なんなんだよ。
ちょっと不満そうに心の中で文句を言うけど、繋がれたままの手にドキドキして顔が熱くなる。
律「澪」
波が押し寄せて足を奪われそうになった瞬間、名前を呼ばれた。
束ねきれなかった髪が風で遊ばれるのを手で直して律を見つめた。
67 :1:2009/05/28(木) 20:44:24.45 ID:Um0MSEfyO
律「今年も水着、似合ってんじゃん!可愛いなっ」
多分、律にとっては何気ない一言。でも私の心臓はバクバクと鳴り響いて。
繋いだままの手からですら、私の鼓動がバレてしまうんじゃないかと言うくらいだった。
澪「あ、ありが、とう…」
68 :1:2009/05/28(木) 20:52:55.89 ID:Um0MSEfyO
練習も終わり食事を食べ終えた私達は各自少しだけ休憩時間になっていた。
とは言え、ムギには別荘を提供して貰ったし、唯は皿を割りそうだし…梓は唯に絡まれているしで、私だけは皿洗いをしていた。
私も少しは休みたかったかも…なんて。
ぼんやり洗っていると、ぽん。と肩を叩かれた。
69 :1:2009/05/28(木) 20:56:13.75 ID:Um0MSEfyO
律「澪、手伝ってやるよ」
澪「えっ?あ、悪いな」
律「気にすんなって〜」
カチャカチャと皿が重なる音が響く。
アイランドキッチンの向こう側で唯と梓がじゃれあって騒いでいるのが遠く感じた。
二人並んで洗うとすぐに片付いてしまって唯や梓、ムギの笑い声が戻ってくる。
70 :1:2009/05/28(木) 20:58:20.69 ID:Um0MSEfyO
律「澪」
澪「ん?」
律の方を向くと、唇が触れた。
こんな不意にだなんて、反則だよ…律。
71 :1:2009/05/28(木) 20:59:31.29 ID:Um0MSEfyO
律「…………さぁーってみんなー!お待ちかねの花火やるぞ花火ーっ!」
唯「待ってましたぁー!」
赤くなる私を、律はチラリと見て目を細めた。その表情にすら、ドキッとした…。
72 :1:2009/05/28(木) 21:02:47.05 ID:Um0MSEfyO
打ち上げも手持ちも無くなり、後は線香花火だけになると騒がしかった面々も静かに見入っている。
ぱちぱちと揺れる小さな火花を、私は眺めていた。
傍に誰かがしゃがんだと思い、視線を向けると律が居た。
77 :1:2009/05/28(木) 22:09:09.14 ID:Um0MSEfyO
律「綺麗だなーっ」
澪「そうだな。…あ」
その瞬間にしゅん、と火花が落ち、急に少し周りが暗くなった様な錯覚を覚える。
目が合うとつい笑ってしまって、二人で笑いあった。
78 :1:2009/05/28(木) 22:11:21.90 ID:Um0MSEfyO
だから、正面からの気配には、正直気付いてなかったんだ…
さ「やぁーっとついたぁああ」
澪「うわぁあああああああああ!!」
唯「さ、さわちゃん!?」
律「わっ!み、澪ーっ!」
79 :1:2009/05/28(木) 22:12:52.70 ID:Um0MSEfyO
気が付いたらリビングのソファーに横たわっていた。
紬「あ、気付いた?体は大丈夫?」
澪「ん…あれ?私なんで寝てたんだ?」
唯「あははー、さわちゃんが急に出て来てびっくりしたんだよね」
律「心配したんだからなっ!」
梓「先輩…大丈夫ですかっ…」
さ「ごめんねー?」
80 :1:2009/05/28(木) 22:13:51.22 ID:Um0MSEfyO
四方八方から声が聞こえてくる中、繋がれた手の温かさを感じた。
…律だった。
澪「せ、先生…」
でも先生の顔見てうっすら思いだす。うう、まだちょっとぞわぞわするっ…
律「ま、とりあえず風呂でも入って落ち着いたら寝ようぜ」
みんなそれぞれに賛成の声が上がり、浴室へ向かった。
81 :1:2009/05/28(木) 22:14:36.96 ID:Um0MSEfyO
夜。
広い部屋の広いベッドにポツリと自分一人で寝転んで天井を見上げる。
…天井も高いな。
暫くごろごろと転がってみても落ち着かない。
そうだ。
昼間の胸に何かが刺さるような感覚。あれはなんだったんだろう?
…あのとき…律が梓と私を呼んだ。
その後のは…律が梓と仲良くしてた。
96 :1:2009/05/29(金) 07:59:52.46 ID:Bm5RM37MO
……嫌だった。んだと思う。
私はこんなに律のことばっかり考えて余裕が無いのに、当の本人は梓にばっかり構って。
本当は私の名前を先に呼んで欲しかった…んだよ、私。
律に、会いたい。
今、会いたい。
97 :1:2009/05/29(金) 08:00:58.66 ID:Bm5RM37MO
ベッドから降りて扉へ向かう。薄暗い部屋に響くのは大きな扉が開く音。
廊下も薄暗くて、私の足音だけが響いた。
隣の律の部屋まで思ったより距離あったな。どれだけ広いんだよ、ここっ…
107 :1:2009/05/29(金) 23:02:37.17 ID:Bm5RM37MO
--
静けさを破る様にノックの音が響く。
張り裂けそうな心臓。
もう、寝たかな?
どきどき、高鳴る。
まだ、起きてるかな?
扉が静かに開くと、暗い廊下に光が刺して律の姿が隙間から見えた。
108 :1:2009/05/29(金) 23:03:21.11 ID:Bm5RM37MO
律「…どうした?」
澪「あ、いやっ…部屋、広くて落ち着かなくてっ…一緒に寝ないか?」
律「あはは、澪は子供だからなー。…ほら、入んなよ」
招き入れられると電気を消してそのまま二人でベッドに寝転ぶ。
109 :1:2009/05/29(金) 23:04:42.71 ID:Bm5RM37MO
律「なんかこうしてると、修学旅行の事思いだすなー」
澪「え?」
律「怖い話の特集見て寝たら、澪が怖いからって私の布団に潜り込んできたのを思いだしたよ」
澪「あ、あー…そんな事もあった、かも…」
律「あったよ。朝起きたら澪が隣に寝てたから何かと思ったし」
110 :1:2009/05/29(金) 23:05:22.21 ID:Bm5RM37MO
一度目が合ってクスクス笑い合う。
笑いが収まるとどちらともなくぎゅっと手を握った。
律「……怖くなったり、寂しくなったらいつでも私のとこに来たらいいから」
澪「うん…」
律「おやすみ、澪」
澪「…おやすみ」
111 :1:2009/05/29(金) 23:08:11.96 ID:Bm5RM37MO
寄り添い合うみたいに向かい合って目を閉じる。
律が隣にいると思うだけでなんとなく穏やかな気分になった。
…おやすみ、律。
112 :1:2009/05/29(金) 23:09:49.11 ID:Bm5RM37MO
手を繋いで、目を閉じて。はっきりこの気持ちが繋がる。
私は、律がやっぱり好き。
これからもこの手が握るのは、私の手でありますようにとお願いをして、眠りについた。
113 :1:2009/05/29(金) 23:12:04.98 ID:Bm5RM37MO
合宿はここまでですっ><
今夏休みの話を書いてるとこだからもうちょい待ってくれたら嬉しいです><
それまでの繋ぎと言っちゃなんなんだが、唯憂唯の話…みたい人いる…?(・ω・`)
114 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/29(金) 23:18:37.97 ID:DEVhwl610
ああああ澪かわえええ
もちろん唯憂見たいであります
116 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/29(金) 23:30:53.18 ID:DEVhwl610
ふぉぉぉぉ(自重
118 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/29(金) 23:45:45.40 ID:ROW7aEOdO
何このスレ??
おもしれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
是非とも唯憂も見たいところですな
>>1頑張ってくれだぜ☆
119 :1:2009/05/30(土) 00:10:10.93 ID:K7C5JqEDO
---
お姉ちゃんが部活に入ってから初めての夏休みになった。
…とはいえ、夏休み中は毎日の様に部活がある…なんて事はないから、夏の暑さが苦手なお姉ちゃんは殆ど出掛けずにリビングにぐったり横になっていた。
唯「うーいぃー…あ゛ーつーいぃー…」
憂「ふふ、お姉ちゃんってば。そんなに暑いならかき氷でも作ろっか?」
唯「うんー…」
扇ぐのすら怠くなったのか団扇を持つ手をパタリと下ろしたお姉ちゃんを見て、つい笑ってしまいながらも立ち上がりキッチンへと向かう。
125 :1:2009/05/30(土) 02:22:39.17 ID:K7C5JqEDO
夏休みに入るからな、と思い、予め出していたかき氷器に氷をセットしてハンドルを回す。
じゃりじゃりと言う氷をかく音が、なんとも夏らしいな。なんて思ったり。
…お姉ちゃんは暑さにはあんまり強くない。
冷房もあんまり好きでは無いからあまりつける事もなく、これはほぼ毎年の光景だった。
126 :1:2009/05/30(土) 02:23:54.95 ID:K7C5JqEDO
こうしてかき氷を作ってあげると、お姉ちゃんは嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
…それだけでも私は幸せになってしまうから安いものだなぁ…。
でもでもっ、お姉ちゃんの笑顔は私の幸せだからしょうがないよね!
唯「ういぃー…」
憂「なぁに?もうちょっとで出来るよー」
唯「ありがとー…」
127 :1:2009/05/30(土) 02:26:09.48 ID:K7C5JqEDO
ありがとう。
そんな…お姉ちゃんのたった一言で気持ちがあったかくなって、ハンドルを回す手が早くなる。
お姉ちゃんの為。
私はそうして過ごしてる時が凄く好きなんだなぁ。
憂「あはは。いいよ、これくらい。あ、お姉ちゃん。いちごミルクでいいよね?」
唯「うんー」
128 :1:2009/05/30(土) 02:29:04.90 ID:K7C5JqEDO
2つのお皿に盛ったかき氷に、シロップと練乳をかけてお盆に乗せるとスプーンと一緒にリビングへと運ぶ。
憂「お姉ちゃん、出来たよ〜」
唯「うー」
のそのそと起き上がってお姉ちゃんはテーブルに向かって座った。
129 :1:2009/05/30(土) 02:30:20.60 ID:K7C5JqEDO
それでもスプーンを握る気力が無いのか、だれて机に突っ伏しているお姉ちゃんにまた笑みが零れる。
憂「お姉ちゃん、ほら…あーんして?」
唯「あー…ん…」
130 :1:2009/05/30(土) 02:31:43.81 ID:K7C5JqEDO
少し開いたお姉ちゃんの口にかき氷を運ぶ。
お姉ちゃんはその一口だけでも体が少し冷えたのか、幸せそうな顔でぶるっと震えると漸く体を起こした。
唯「えへへ、おいしー。やっぱりありがとー憂」
憂「あはは、どう致しまして」
131 :1:2009/05/30(土) 02:35:05.96 ID:K7C5JqEDO
テレビの電源を入れると夏休み特集と銘打って高校生バンドの特集をやっていた。
唯「あっ」
ステージの上に向けられる歓声やボーカルのパフォーマンス。
お姉ちゃんも、こんな風に演奏するのかなぁ。
だとすると、お姉ちゃんのファンがいっぱいついちゃうかも…だだだだって、お姉ちゃん可愛いし…っ!
で、でも大丈夫だよね…きっと。
お姉ちゃんはかき氷を食べながらぼーっと見入っていた。
私はそんなお姉ちゃんの横顔を見ながらかき氷を食べる。
132 :1:2009/05/30(土) 02:38:01.81 ID:K7C5JqEDO
…やっぱり、お姉ちゃんは可愛いなぁ。
不意に耳に飛び込んだギターの音。
私もテレビへと視線を向けると、男の人が凄い指の動きでソロを弾いていた。
すごいなぁ…。こういうのって凄く技術がいるんだろうな。
唯「すごいねー」
憂「うん。私、この曲好きだな」
その後は私も少しぼんやりしながらお姉ちゃんを見ていたのかも知れない。
知らない間にかき氷も食べ終え、番組も終わっていた。
133 :1:2009/05/30(土) 02:40:14.53 ID:K7C5JqEDO
唯「憂、憂!」
憂「えっ?な、なーにお姉ちゃん?」
唯「きいてきいてっ!」
憂「う、うんっ」
あ、危ない危ない。
ついぼーっとしちゃってたから、ちょっと焦りながらの返事になってしまう。
お姉ちゃんは、いきなり立ち上がったかと思うとギターを取り出した。
なんだろう?
じっと見つめていると、得意げな顔のお姉ちゃんは演奏を始めた。
134 :1:2009/05/30(土) 02:42:20.34 ID:K7C5JqEDO
…あ。これ。
それはさっき私が好きだと言った曲のギターソロだった。
凄い、お姉ちゃん。
なんだか、いつもと変わらない筈のお姉ちゃんがキラキラしていて…
私はどきどきうるさい心臓を落ち着かせるのに精一杯だった。
暫くして演奏が終わると、キラキラしたお姉ちゃんの目が向けられた。
すっかり見惚れてしまっていた私は、ハッとして拍手を送る。
150 :1:2009/05/31(日) 01:43:13.43 ID:4JgBI068O
憂「お姉ちゃんすごいっ!もうそんな事できるの?」
唯「えへへー。出来ちゃった!」
ピースをしながら自慢げに笑うお姉ちゃん。
私の為だけに演奏してくれたその姿は、ホントにキラキラ輝いていて。
憂「やっぱりお姉ちゃん、大好きっ」
唯「私も憂のこと大好きだよー」
151 :1:2009/05/31(日) 01:44:56.56 ID:4JgBI068O
二人で大好きだと言いあって笑い合う。
…でも…
私とお姉ちゃんの好き、は釣り合うことは…ないんだよね。
私のそれは、きっとお姉ちゃんのそれよりも数段と深い意味合いを持っている。
お姉ちゃんは、きっと知らない。
152 :1:2009/05/31(日) 01:46:05.19 ID:4JgBI068O
二人きりで笑い合ったりしていると、インターホンが鳴った。
憂「私が出るね」
唯「あ、うんー」
パタパタと玄関へと向かうと、鍵を開けて扉を開いた。
153 :1:2009/05/31(日) 01:47:15.97 ID:4JgBI068O
憂「はーい…あ、律さん、それに澪さんも」
律「ちーっす。唯の様子見に来たよ」
澪「突然邪魔してごめん、これお土産だから貰って?」
憂「わぁっ!ありがとうございますっ。この箱、駅前のケーキ屋さんですねっ。お姉ちゃん、ここのケーキ好きなんです」
154 :1:2009/05/31(日) 01:48:25.60 ID:4JgBI068O
澪さんからケーキの箱を受け取ると、二人を招き入れる。
憂「お姉ちゃんお客さんだよ〜」
唯「あー、りっちゃん澪ちゃん!」
澪「な、なんかどっかの漫才コンビみたいな呼び方するなよ」
律「あっはっは、まーいいじゃん。唯ー、練習してたのか?」
155 :1:2009/05/31(日) 01:49:40.54 ID:4JgBI068O
お姉ちゃんは一度ギターを出したからか、さっきのまま練習を続けていたようだった。
律さんの質問に、笑顔で頷くお姉ちゃんを見てから、出しっぱなしのお皿に気付いて、私はそれを持ってキッチンへ向かう。
えっと…暑いからアイスティーがいいかな?
アイスティーの準備をしながら、先ほどのケーキを開けてみる。
丁度4つあるとわかると、お皿に盛り直してアイスティーと共に運ぶ。
182 :1:2009/06/01(月) 16:46:01.83 ID:irn3Os7bO
扉が閉まるとスリッパを片付ける。この後はご飯を作らなきゃ。
お姉ちゃん、なんだったら喜んでくれるかなぁ…?昨日はハンバーグだったから…
メニューを考えると喜んでくれるお姉ちゃんの笑顔が浮かんで、一層気合いが入る。
そう言えばそろそろ野菜が切れるから買いに行かなきゃ。
183 :1:2009/06/01(月) 16:46:52.06 ID:irn3Os7bO
憂「おねーちゃーん?私八百屋さん行ってくるね〜」
先にリビングに戻っていたお姉ちゃんに声を掛けると、がたんっ、と少し大きな物音がしてすぐ、ばたばたと慌てた足音が近付き、お姉ちゃんが顔を出す。
184 :1:2009/06/01(月) 16:47:35.18 ID:irn3Os7bO
唯「待って待って、えへへ…私も行くよー」
憂「えっ?八百屋さんとかスーパーくらいだよ?」
唯「うんっ、憂と買い物に行きたいから」
そのお姉ちゃんの一言で、私の心はぱあっと晴れて行くのを感じた。
無意識のうちに頬も緩んで、多分ちょっと情けない顔になったと思う。
185 :1:2009/06/01(月) 16:48:39.69 ID:irn3Os7bO
憂「お姉ちゃん、髪跳ねてるよ」
唯「あ、ほんとー?」
髪に手を伸ばして梳いてあげる。お姉ちゃんの髪は柔らかいなぁ…
お姉ちゃんに触れているだけで幸せな気持ちになる。
186 :1:2009/06/01(月) 16:50:27.36 ID:irn3Os7bO
買い物が終わると、夕焼けの帰り道を二人並んで歩き出す。
上機嫌な私から伸びた影ですら、何だか嬉しそうに見えてくる。
唯「ねー憂。いっつもいっつもありがとうっ」
不意に隣のお姉ちゃんからギュッと手を握られる。最初は少し驚いてしまいながらも嬉しくなってしまう。
187 :1:2009/06/01(月) 16:51:37.69 ID:irn3Os7bO
唯「憂はいっつも頑張ってるから、ごほうびだよー」
憂「ごほうび?…!」
聞き返した瞬間にはお姉ちゃんの顔が目の前に合って。
ちゅ、と優しく唇に触れたものはお姉ちゃんの唇だった。
唯「えへへ、憂は大好きだから特別なんだよ!」
188 :1:2009/06/01(月) 16:52:34.17 ID:irn3Os7bO
憂「お姉ちゃん…っ」
かぁっと顔が熱くなるのを感じながらも、私は無意識の内にお姉ちゃんに抱き付いていた。
涼しい夕方。お姉ちゃんの体温が気持ち良い。
憂「ありがとう、お姉ちゃん。大好きだよ…」
189 :1:2009/06/01(月) 16:54:13.08 ID:irn3Os7bO
お返しの様にそっとキスをすると、お姉ちゃんは照れた様にはにかんで見せた。
唯「私も大好きーっ」
ギュッと手を握り直して家へと向かう。
伸びる並んだ影が、ゆらゆら揺れながら仲良く寄り添っていた。
…もしかしたら、私とお姉ちゃんの「好き」の天秤は、もう少しで釣り合うのかも知れない。
190 :1:2009/06/01(月) 16:56:14.59 ID:irn3Os7bO
姉妹の話はここまでです〜。次からは律澪の続きを書きますですよ(・ω・`)
191 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/01(月) 17:10:05.32 ID:xwYjVIL3O
唯憂はこっちまで頬が緩む
194 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/01(月) 20:32:01.84 ID:aIbsai/k0
かわいい姉妹だなぁ。ほんわか
209 :1:2009/06/02(火) 23:51:59.45 ID:7mBlmUrKO
合宿から帰って来ても夏休みはまだまだあった。
…でも、私としては2年にもなったんだし、来年の事を考えて夏期講習くらい受けておかないとちょっとだけ不安だった。
…だから私は、この暑い中、夏期講習を受けに学校へと来ていた。
でも、出ようと思った理由は実は他にもあって…
夏期講習は他のクラスも一緒に行うから、もしかしたら律も一緒に受けれるかも、と思っていた。
210 :1:2009/06/02(火) 23:52:49.10 ID:7mBlmUrKO
だけど昨日…律に夏期講習の話をすると、律は参加しない。ときっぱり言い切った。
そ…そりゃ、よくよく考えてみたら…あの律が夏期講習なんか受けにくるわけがないよなぁ…。
でも…やっぱり私は残念で寂しい。
講習だろうがなんだろうが、二人で隣合える事に意味があるから。
211 :1:2009/06/02(火) 23:56:43.65 ID:7mBlmUrKO
講習中、先生の話を聞きながらもつい律の事を考えてしまう。
律は今、何してるかな?律は今、私の事考えてくれてるかな?
…なんて思いながら時間はすぎる。
212 :1:2009/06/02(火) 23:57:50.35 ID:7mBlmUrKO
そう言えば、律に好きだとはっきり言って貰ったことはあまりない。
最初の1回か2回くらいなのかな。
…私も、あんまり言ったことない…から仕方ないけど。
ましてや付き合うなんてはっきりした約束は交わしていなかったし。
…律と私は、一緒に居るのが当たり前だったから。
だから、進歩はあれど…はっきりした関係の変化はない。
213 :1:2009/06/02(火) 23:58:35.85 ID:7mBlmUrKO
澪「…ふぅ」
昼休みになり、弁当を取り出していると和がゆっくりと近付いて来た。
和「澪、ご飯一緒にたべよ?」
澪「あ、うん」
和「さっきの問題、解けた?」
澪「あー、あれ。途中までは合ってたんだけどさぁ…」
214 :1:2009/06/02(火) 23:59:25.97 ID:7mBlmUrKO
いつも学校でするのと同じ他愛ない話。
…でも、今の私は物足りなさを感じてしまう。
和「……ちょっと澪?聞いてた?」
澪「…えっ?!な、なんだっけ?」
和「やっぱり聞いてなかったのね。まぁいいけどさ。…律の事でも考えてた?」
215 :1:2009/06/03(水) 00:00:18.93 ID:7mBlmUrKO
和の一言に、私はつい固まってしまう。
でもその言葉をやっと飲み込むと、ぼんっ!と音がなるくらいに顔が熱くなっていくのを感じた。
澪「うええぇっ?!な、何言って!!」
和「当たりなんだ?律の事、好きなのね。澪って結構わかりやすいよね」
216 :1:2009/06/03(水) 00:01:01.73 ID:7mBlmUrKO
クスクスと小さく笑ってみせる和を見て、私は恥ずかしくて居たたまれなくなる。
…うう、恥ずかしいっ。
…普通に考えたら女の子が女の子を好きだなんて…きっと一般的に考えておかしいんだろうとは思う。
でも和はそれをおかしいだなんて言う事もなく、ただ優しく笑っていた。
217 :1:2009/06/03(水) 00:01:59.93 ID:7mBlmUrKO
…これは私の勝手な考えなんだけど…私が律を好きな様に、もしかしたら和も唯を…
澪「もしかして…和…」
和「…ん。言わなくてもいいよ。私は…今の関係でも十分だから」
澪「和…」
…やっぱり、当たってるんだろうな。
219 :1:2009/06/03(水) 00:03:35.18 ID:7mBlmUrKO
講習も終わり、帰り支度が終わると和へと近づく。
澪「和、一緒に帰らないか?」
和「んー、そうしたいんだけど…これからちょっと用事があって。ごめんね」
澪「そっか。和も大変だなー。それじゃあまたな」
和「うん。じゃあね」
用事があるなら仕方ないよな…。残念だけど。
仕方なしに和と別れ、一人で校舎を出た。
220 :1:2009/06/03(水) 00:04:46.69 ID:3CAXpQciO
3時か…律は、何してるかな。
直ぐに律の事ばかりを考える自分に苦笑いを浮かべてしまう。
「澪っ」
門を出ると不意に呼び止められて、慌てて声の方を向く。
…慌てた理由なんて、一つしかない。
その声が…律の声だったから。
236 :1:2009/06/03(水) 20:31:52.82 ID:3CAXpQciO
澪「律!講習に出た訳じゃないのに何やってんだよー」
嬉しくて少しだけ声が高くなりながら律へと駆け寄る。
ああ、律だ。
…今日はずっと会いたいと思って勉強してた私に、神様からのごほうびなのかな。とか勝手に思ってしまうよ。
それでも私ばっかり会いたいなんて思ってたのがバレたら嫌だから、軽くからかう。
237 :1:2009/06/03(水) 20:33:34.52 ID:3CAXpQciO
律「なんだよー。迎えに来てやったのにさっ」
澪「迎え?」
律「そうだよ。一緒に出掛けようと思ってさ!」
ぎゅっと手を取られた瞬間、講習中に感じていた寂しさは一気に消えてしまった。
238 :1:2009/06/03(水) 20:35:41.02 ID:3CAXpQciO
律が、こうして私を待っていてくれた。
どうして心の中ではこんなに嬉しいのに、言葉には中々出せないんだろう。
ちゃんと、言わなきゃ。
嬉しいって。
ありがとうって。
…でも、言葉が、喉に引っかかって出て来ない。
素直になりきれない自分に、少しだけ嫌気がさす。
239 :1:2009/06/03(水) 20:36:25.56 ID:3CAXpQciO
律「澪?」
澪「えっ?」
律「ちゃんと聞いてろよなー。ほら、一回澪の家で着替えてから急いで出発だぞっ」
どこに?なんて聞く暇もなく律に力強く手を引かれて、足は勝手に動き出した。
240 :1:2009/06/03(水) 20:37:41.86 ID:3CAXpQciO
昔から律は、強引な所があるなぁ…。
でも、そんな行動が…いつも一歩引いてしまう私をそうやって勇気付けてくれているのはよくわかってる。
律の言う通りに、一度家で着替えるとバスに乗った。
241 :1:2009/06/03(水) 20:38:51.40 ID:3CAXpQciO
律「澪、ほら!」
澪「あ。これっ…」
並んで座るバスの中、律が鞄の中から二枚のチケットを取り出して見せた。
それは…遊園地の招待券。
242 :1:2009/06/03(水) 20:40:13.06 ID:3CAXpQciO
律「知り合いに譲って貰ったんだ。澪さ、ナイトパレード見たかったんだろ?」
合宿から帰ってきた後、律が私の家にあそびに来ていた日。
律が持って来た雑誌に載っていた夏休みのパレード特集があった。
243 :1:2009/06/03(水) 20:41:13.66 ID:3CAXpQciO
写真に収まったキラキラ輝くネオンが凄く綺麗で、私はずっとそれを見ていた。
口に出してパレードを見たいなんて言わなかったのに、律は分かっていたんだと思うとつい頬が赤くなる。
249 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/03(水) 23:20:03.81 ID:QaqhXhb6O
なんかすごくほほえましいです
264 :1:2009/06/04(木) 19:51:35.27 ID:mmEfGgAqO
澪「…うん」
律「へへ、よかった。朝から来れなかったけど、今日までらしいから間に合ってよかったよな!」
にかっと笑った律を見つめると胸を締め付けられる。
ありがとうって言わなきゃ。ちゃんと分かってる…分かってるんだ。
265 :1:2009/06/04(木) 19:52:20.45 ID:mmEfGgAqO
律「あ!ついた。降りるぞっ」
澪「う、うん」
…ああ…言いそびれちゃった。
どうしてなんだろう。もっと素直になりたいのになりきれないよ。
律は、こんな私…嫌いになったりしないよね…?
266 :1:2009/06/04(木) 19:55:12.18 ID:mmEfGgAqO
ジェットコースターにコーヒーカップ、バイキングにカーレース、それから…観覧車。
お化け屋敷行くのは嫌だから…逃げ出したけど。
私たちはまるで走り回るようにはしゃいでいた。
あっと言う間に時間は過ぎて行き、あたりも少し暗くなってくるとパレードが始まった。
267 :1:2009/06/04(木) 19:57:31.92 ID:mmEfGgAqO
人混みの中、離れないように強く握った手。
目の前を過ぎる煌びやかで賑やかなパレード。
眩しい光が差し込む中、私は律の様子が気になってちらりと視線を向ける。
268 :1:2009/06/04(木) 19:58:55.99 ID:mmEfGgAqO
…目が、あった。
その瞬間は長くて、周りの音も消えて。
律「澪…」
ゆっくり、重なる唇。
二人だけの世界。
297 :1:2009/06/05(金) 18:20:46.23 ID:478aD0WgO
パレードはあっと言う間に終わり、バスから降りて二人手を繋いで帰り道を歩いていた。
互いに少しだけ無言になりながら…でもその無言も苦じゃなくて。
…今なら、きっと素直になれる。
そんな気がした。
299 :1:2009/06/05(金) 18:21:31.20 ID:478aD0WgO
澪「律…」
律「ん?」
澪「今日は…いや、いつもありがとう…っ」
少し緊張しながら、私からキスをする。
恥ずかしくて顔を合わせていられないから、慌てて顔を背けた。
300 :1:2009/06/05(金) 18:22:32.72 ID:478aD0WgO
律「…言わなくても分かってるよ。私は澪の事がずっと好きなんだからなんでもわかるし」
律の小さな声が、私の心に染み込むように響く。
強く握った手の指が、自然に絡んだ。
301 :1:2009/06/05(金) 18:23:38.15 ID:478aD0WgO
私が、こうやって素直になれないのも…律は知っていて。
きっと…それでもいいんだと、言ってくれているんだ。
だから律は…
澪「…律、…す…好きだよ…」
こうやって、私が必死に言った素直な言葉も、笑って…
律「知ってる!」
…そう、答えるんだ。
…そんな律が、私はやっぱり…好きなんだ。
302 :1:2009/06/05(金) 18:25:49.60 ID:478aD0WgO
ただ、私は律をずっと好きでいよう。律はきっと応えてくれる。
何も不安になることはないんだから。
…な?律。
end+
303 :1:2009/06/05(金) 18:28:15.18 ID:478aD0WgO
この話はこれでおしまいです(・ω・`)
いま書いてる話、律澪より何やら和梓のが早く完成しそうなんだけど、そっち先でもいいですか?><
304 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 18:31:38.99 ID:G1VmmjvC0
おkおk
305 :1:2009/06/05(金) 18:35:40.84 ID:478aD0WgO
>>304
ぉK?よかった、ありがとー><
ちょっとアンニュイな和にしたから、ちょっとだけ今までと雰囲気変わるかもでふ(・ω・)
つかこんな短期間にこんなに沢山話書いたの初めてなのでネタが尽きそうです><
全部は叶えれないけどみたいネタがあったら教えてくだしあorz
306 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 19:25:53.53 ID:+MPSrjoOO
澪律良かったぜ
ちなみに俺は和ちゃんが大好きなんだぜ
次も期待
309 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 21:51:02.71 ID:TjHCDfYh0
おおおおおおおやかたさまぅああああ!!
最高でございまする!感動しますた!
310 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 21:55:56.37 ID:TOo7Kg/VO
和梓wwwww
本当にやるとはwwwww
312 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 23:56:15.81 ID:bvjnqtHkO
お疲れさまでした。心暖かくなりました。
澪「律と違うクラス…」【後編】へつづく
引用元
澪「律と違うクラス…」
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1243204478/
澪「うっ…ダメだダメ。今日は寝ようっ」
楽器をしまってからベッドに身体を放り出す。
こうやってクラスが離れたんだし、もしかして律が自立する様に応援してやるべきなのかもしれない…。卒業したら今みたいに四六時中一緒じゃないんだし…
…そうだよ、な。少しは律に自立させなきゃ。私も少しは律に構わない様にしないとな。
そうして私はゆっくり瞼を閉じた。
3 :1:2009/05/25(月) 07:37:12.85 ID:DlI5vNB1O
澪「あんまり寝れなかった…」
翌朝、私はいつも律が迎えに来る時間より早く家を出た。
…一人だけでの登校はちょっと寂しい。…いや、だめだめ。
澪「そんなこと思ってたらダメだっ」
つい声に出してしまい、はっと周りを見回す。
よ、良かった…誰もいないや。
でも恥ずかしいから少し駆け足で学校へ向かった。
4 :1:2009/05/25(月) 07:39:19.52 ID:DlI5vNB1O
和「あ、澪。おはよう、今日は早いの?」
澪「の…和。おはよ。うん、ちょっと朝練でもしようかなって」
和「へー、頑張ってるのね」
昇降口に入り靴を履き替えるとそのまま並んで教室に入る。
鞄を置くとベースだけ持って教室を出る。
…どうしようかな。
朝練とは言ったけど、音楽室だと律が来るかもだし…
私の足は自然と屋上に向かっていた。
5 :1:2009/05/25(月) 07:40:48.30 ID:DlI5vNB1O
「きりーつ」
1限目が終わるチャイムが鳴り終わるより前にクラスの扉が開いた。
律「澪ー!!」
扉を開けたのは律。ざわざわとクラスがざわめく中、律はお構いなしにクラスに足を踏み入れる。
澪「り、律っ!まだ授業終わってないから!」
律「そんな事よりなんで朝は私を置いてったんだよー!」
澪「べ、別に理由はないけど…って一回出てけって!」
周りからクスクスと笑い声が聞こえて顔が赤くなるのを感じる。
漸く律が離れて挨拶が終わると、再び詰め寄られる。
6 :1:2009/05/25(月) 07:44:29.48 ID:DlI5vNB1O
律「でっ?なんでだよー」
澪「だからなんでもないって」
律「何でもないのに私を置いてくなよなっ。全くさー」
澪「…別にいいだろっ。律はさっさと教室戻れよ」
律「…なんだよー、澪のバーカっ!」
澪「なっ!」
バタバタと足音を立てて律が出て行く。…これでいい、んだよな。
7 :1:2009/05/25(月) 07:46:47.08 ID:DlI5vNB1O
その日の部活は、どこかぎこちないものだった。
練習が終わると私はなんとなく直ぐに音楽室を出た。
***
唯「澪ちゃん、どうしたのかなー?」
紬「ちょっと心配ね…」
律「…一人だけクラスが違うから、多分拗ねてんだよ。ほら、新入生にビラ配りにいこーぜっ」
14 :1:2009/05/26(火) 00:14:27.95 ID:s5DZclNmO
午後9時。
この3日間、私は律と一緒に学校へ行くことはなかった。
たかが3日、されど3日。
律とあんまり話さない日はなんだか長くて。新歓ライブも近いのに、私の心はみんなから離れていた。
ライブ、明日なのにな…
自業自得ではあるけど、溜め息を吐かずには居られなかった。
数学の宿題を片付けようと机に向かっても、練習しようとベースを手にしても捗らない。ただただ机に突っ伏すと、携帯が鳴った。
15 :1:2009/05/26(火) 00:15:50.47 ID:s5DZclNmO
澪「はい?」
紬「あ…澪ちゃん?」
澪「ムギ…どうかしたの?」
紬「う〜ん、私は大丈夫。ただ、律ちゃんの事が気になって電話したの」
澪「律の?」
ムギの言葉にドキッと胸が鳴る。
正直私は悔しかった。律は私とあまり話さなくなっても変わった様には見えないし、ましてやずっと唯と楽しそうにしていたから。
紬「律ちゃん、最近元気がないと思って。澪ちゃんなら理由を知ってるかなって思ったの」
澪「あ、あはは。私なら知ってるなんてないよ」
16 :1:2009/05/26(火) 00:17:02.41 ID:s5DZclNmO
紬「そう…?…あと、澪ちゃんも最近、演奏が落ち着かないというか…よね?何か悩みがあったら聞くけど…」
もしかして、ムギは遠まわしに私が律の事を避けていると言ってる?
…いや、まさか。わ、私そんな露骨にやってない…と思う…けど…
澪「あ、はは。ライブが近いと思うと緊張しちゃってさ」
紬「…………そう?それなら…いいけど。何かあったら私、なんでも聞くから言ってね?」
澪「うん、ありがとうムギ。それじゃおやすみ」
紬「ええ、おやすみなさい」
プツッと電話が切れると、身体が冷える様な熱くなる様な…妙な感覚。
17 :1:2009/05/26(火) 00:19:27.06 ID:s5DZclNmO
携帯を置くと、うさぎのぬいぐるみを手にしてベッドに寝転ぶ。
もう、限界かも。
律と…話したい。
…でもそれじゃあ、まるで私が律から自立出来てないみたいで嫌だ。
もう少し、もう少しだけ。
20 :1:2009/05/26(火) 00:38:39.59 ID:s5DZclNmO
次の日。唯が迎えに来た。
唯「えへへ、おはよー澪ちゃん!」
澪「お、おはよ。えっ、と…まだ準備出来てないんだけ…」
唯「じゃあ待ってる!」
満面の笑みで押し切られると、急いで準備をして家を出る。
澪「どうしたんだ?急に」
唯「うーんとね。澪ちゃん、りっちゃんとなんかあったのかなーって思って…」
つい足が止まる。
唯にまで、バレてる?
…でも、そんなこと…
23 :1:2009/05/26(火) 12:03:29.69 ID:s5DZclNmO
---
唯「澪ちゃん?」
唯に顔を覗き込まれてハッと身体がこわばる。
ぎこちない笑みを浮かべて首を横に振った。
澪「はは、まさか。そんな事無いってば」
唯「そう〜?最近二人の様子がへんな気がしたんだぁ。何でもないならいいんだけど…」
唯が離れて歩き出すと、ふと律と唯の仲が良さそうな瞬間を思い出す。
無意識の内にまた足が止まる。
なんだよ、唯ばっかりずるいじゃん。
唯「ほぇ?澪ちゃん?」
澪「ご、ごめん忘れ物!先に行ってて!」
24 :1:2009/05/26(火) 12:05:06.18 ID:s5DZclNmO
まるで唯から逃げるように駆け出す。
前も見ずに走った。
…気がつくと、小さい頃によく律と遊んだ公園に居た。
懐かしいな、ここ。
平日の朝だからか、子供の姿も無く、怖いくらいに静かな公園。
ブランコに近付いて鞄を置くと、腰掛ける。
キィ、と少し錆びた鎖の音。あの頃と変わって無い。
静かな公園に静かに響く音。
…授業はそろそろ始まったかな。
私が授業に出なくても、みんなはクラスが違うからきっとわからないよな…
俯くと、目頭が熱くなりじわっと涙が溢れる。
26 :1:2009/05/26(火) 20:41:09.59 ID:s5DZclNmO
---
澪「…律…」
どうして、私…こんなバカな事をしたのかな。
後悔したって遅い。
自立ができないのは、私の方だと…こんなに思い知らされるなんて。
澪「律ぅっ…」
嗚咽が漏れ、涙がぼたぼたと零れ落ちる。
律と話したい、律の笑顔が見たい、律と一緒にいたい。
涙は止まらない。
私はこんなに律が必要なのに。
…律は、私が居なくてもあんまり変わらない。
律、私の傍に居てよ。私の事を頼ってよ。私の事、想っててよ。
こんなわがまま、届かない。
27 :1:2009/05/26(火) 20:42:20.81 ID:s5DZclNmO
「澪!」
私の嗚咽だけが響く静かな公園に響いたその声は紛れもなく、私の待ち望む声。
澪「り、つ…?」
恐る恐る顔を上げると、公園の入り口に息を切らせた律の姿があった。
律はゆっくりと私の方へ歩き出し、目の前に立った。
律「おーおー、こんなに泣いちゃって」
ぎゅっと律に抱き締められて涙は更に溢れる。
澪「律…りーつー…っ…」
律「はいはい、私はここにいますよーっと」
少しおどけた口調の律。それとは裏腹に優しく慰める様に頭を撫でてくれる。
28 :1:2009/05/26(火) 20:43:47.47 ID:s5DZclNmO
---
律「…唯が澪の事、急に走ってったって言うから心配したじゃん」
澪「ごっ…め…ッ」
しゃがんだ律が、下から私を覗き込む。
律「…澪、さ…ここ暫く私を避けてた、よな。クラス変わって寂しかったんだろ?」
上手く話せない私は、ただ泣きながら必死に頷く。
律「私だって寂しかったんだぞー?…私にとって澪は唯とムギとは別なんだからさ」
澪「べ、…つ…っ?」
29 :1:2009/05/26(火) 21:11:16.95 ID:s5DZclNmO
---
律の言葉に、ゆっくり瞳を開く。
涙で滲んだ律の顔。
律がここにいてくれてる。それだけでまた涙が零れる。
律「私は澪の事、大好きだからな。澪と話が出来ないなんてつまらないだろ?」
そっと律の顔が近づくと私はぎゅっと目を閉じる。
頬へ何か柔らかいものが触れると、そのままその感覚が目尻まで這う。
律「泣くなよ、澪。私、澪の泣き顔も好きだけど笑ってる方が好きだからさ」
澪「……っ!」
律の言葉に、胸がじんとする。縋る様に律の制服の裾を掴む。
35 :1:2009/05/27(水) 07:08:46.77 ID:lPlFNbczO
澪「ごめん…なさい、律…」
律「…ん。…ったく、澪はほんっと私が居なきゃだめだなー」
むにむにと頬を弄られながらも、今回は文句を言わずにじっと律を見つめる。
36 :1:2009/05/27(水) 07:11:40.21 ID:lPlFNbczO
----
律「…仕方ない、今回はこれで許してやるよ」
澪「…え?」
ちゅ、と唇が触れ合った。でも私は、それがキスだと気付くまで数秒かかった。
気付いた頃にはかぁっと顔を真っ赤にしていたんだろう。
律「ほら、行くぞ澪!もう今日は授業サボってライブ練習だ!」
澪「う、うんっ…」
きっとこの繋がれた手を私から振り解ける日は来ないだろうと、そう思った。
37 :1:2009/05/27(水) 07:14:15.59 ID:lPlFNbczO
この話はここまでなんだ(・ω・`)
でも続きっぽいのは一応書いたんだが、見たい人いるんだろうか…w
38 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/27(水) 07:53:16.13 ID:Hy7iiXuHO
みたいなあ。
39 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/27(水) 12:38:50.58 ID:TGGKltt20
見たくないわけないだろう
まぁこれでも十分あったかいendだが
40 :1:2009/05/27(水) 13:10:07.59 ID:lPlFNbczO
>>38
>>39
ありがとー(;ω;)
一人でも待ってるなら書くよー。
もうちょいで昼休み終わるからいまはちょっとだけ。
41 :1:2009/05/27(水) 13:12:30.14 ID:lPlFNbczO
律「遊ぶぞーっ!」
澪「こら、まずは練習だろっ」
律「えー」
新入部員の梓も加わり、一段と賑やかになった今年の夏休み。私たちは今年もムギの別荘で合宿をする事になった。
あれから私と律はギクシャクした関係も無くなり、今までとなんら変わりなく互いに傍に寄り添っていた。
でも私はどこかそれに物足りなさを感じていて…。
42 :1:2009/05/27(水) 13:13:59.86 ID:lPlFNbczO
あの日、律がしてくれたキス。
私はずっと忘れられる事はなく、それを思い出すだけで心臓は高鳴るし、顔は真っ赤になって嬉しいような、恥ずかしいような…そんな気持ちになっていた。
…こんな風に思ってるの、私だけなのかな。
海だ!とはしゃぐ律を、少し複雑な気持ちで見つめていた。
49 :1:2009/05/28(木) 00:01:07.01 ID:Um0MSEfyO
練習が先か、遊ぶのが先か。多数決で思わぬ裏切りに合い遊ぶ事が先になった。
水着に着替えると、一応みんなで準備体操をしてからパラソルの下に腰掛ける。
綺麗な海…ムギはほんとにお金持ちなんだな…。とか、ぼんやり考えていると僅かな砂の擦れる音と共に隣に梓が腰掛けた。
50 :1:2009/05/28(木) 00:02:04.10 ID:Um0MSEfyO
梓「もうっ!強化合宿なら普通練習が先じゃないですかっ!?」
澪「あはは、ほんとだよ。多数決でこう決まっちゃったから仕方ないけどさ」
苦笑を浮かべながらビーチバレーをする律と唯に視線をやる。
…本当は練習がしたかったけど、律が楽しそうだからまぁいいか…
澪「ってよくないだろ!」
梓「えっ!?ど、どうしたんですかっ?」
澪「あ、な…なんでも…」
つい声に出す癖、治さなきゃ…凄い恥ずかしかった…
51 :1:2009/05/28(木) 00:03:58.73 ID:Um0MSEfyO
律「あーずさー、澪ー。んなとこ居ないで二人も来いよ〜」
火照った頬を冷まそうとパタパタと仰いでいると、律に声を掛けられる。
…あ、今なんかチクッとした。なんで?
梓「行きませんっ!」
律「なんだよー。梓は運動苦手なのか?」
梓「んなっ!それくらい出来ますからっ!」
梓をからかう様にしながらも、なんだかんだで遊びに引きずり込む律。
…ああやって私も乗せられてるんだろうか…。
…あ、また。
またチクッとした。
56 :1:2009/05/28(木) 09:58:40.65 ID:Um0MSEfyO
紬「みーおちゃん、どうかしたの?」
澪「ひゃあっ!ムギ!?」
ぴと、と頬に冷たいものが当たると一気に体の熱が冷えた様に背筋がぞわっとした。
驚いて振り返ると、クーラーボックスを持ったムギが居た。
紬「うふふ、冷えてるでしょ?喉が乾くだろうからジュースを持ってきてたの」
澪「なるほど、さすがはムギ。ありがと」
さっきまで梓が座って居た場所にムギは腰を下ろす。
57 :1:2009/05/28(木) 09:59:42.74 ID:Um0MSEfyO
紬「それで…何かあったのかしら、澪ちゃん?」
目が合うと、改めてさっきの言葉を投げかけられた。
ムギの目は、じっと私を見ていて。なんだか何もかも見透かされているような、そんな気分になる。
澪「な、なんにもないって」
紬「そう?それならいいけど」
クスっと笑ったムギ。慌てて視線を逸らして砂浜を眺める。
やっぱりムギはただ者じゃない様な気がするんだ…。
60 :1:2009/05/28(木) 15:06:44.37 ID:Um0MSEfyO
唯「みぃーおーちゃーん〜っ!一緒に遊ぼうよぉ〜ん」
澪「うわっ!ゆ、唯…急に変な声だすなよっ」
突然後ろから抱きつかれたと思い軽くそちらを向くと、甘えたな声を出した唯にそのまま頬擦りをされる。
全く、唯のおねだりには適わない。
そう思っていると私の横をすり抜けてボールが唯の顔面に直撃した。
61 :1:2009/05/28(木) 15:07:52.13 ID:Um0MSEfyO
律「あ、ごっめーん!手が滑っちゃった!」
唯「もうっ!りっちゃんってばこの鬼畜ーっ!」
ボールを拾いに来た律が、目の前で唯と楽しそうに話ているのを見て少し嫌な気分になる。
…私はわがままなのかな…
律「ほら澪!いこーぜっ」
澪「えっ?わ、わわっ!」
66 :1:2009/05/28(木) 20:39:17.90 ID:Um0MSEfyO
ぐいっと手を引かれるとそのままみんなと少し離れた波打ち際まで連れて行かれる。
もう、なんなんだよ。
ちょっと不満そうに心の中で文句を言うけど、繋がれたままの手にドキドキして顔が熱くなる。
律「澪」
波が押し寄せて足を奪われそうになった瞬間、名前を呼ばれた。
束ねきれなかった髪が風で遊ばれるのを手で直して律を見つめた。
67 :1:2009/05/28(木) 20:44:24.45 ID:Um0MSEfyO
律「今年も水着、似合ってんじゃん!可愛いなっ」
多分、律にとっては何気ない一言。でも私の心臓はバクバクと鳴り響いて。
繋いだままの手からですら、私の鼓動がバレてしまうんじゃないかと言うくらいだった。
澪「あ、ありが、とう…」
68 :1:2009/05/28(木) 20:52:55.89 ID:Um0MSEfyO
練習も終わり食事を食べ終えた私達は各自少しだけ休憩時間になっていた。
とは言え、ムギには別荘を提供して貰ったし、唯は皿を割りそうだし…梓は唯に絡まれているしで、私だけは皿洗いをしていた。
私も少しは休みたかったかも…なんて。
ぼんやり洗っていると、ぽん。と肩を叩かれた。
69 :1:2009/05/28(木) 20:56:13.75 ID:Um0MSEfyO
律「澪、手伝ってやるよ」
澪「えっ?あ、悪いな」
律「気にすんなって〜」
カチャカチャと皿が重なる音が響く。
アイランドキッチンの向こう側で唯と梓がじゃれあって騒いでいるのが遠く感じた。
二人並んで洗うとすぐに片付いてしまって唯や梓、ムギの笑い声が戻ってくる。
70 :1:2009/05/28(木) 20:58:20.69 ID:Um0MSEfyO
律「澪」
澪「ん?」
律の方を向くと、唇が触れた。
こんな不意にだなんて、反則だよ…律。
71 :1:2009/05/28(木) 20:59:31.29 ID:Um0MSEfyO
律「…………さぁーってみんなー!お待ちかねの花火やるぞ花火ーっ!」
唯「待ってましたぁー!」
赤くなる私を、律はチラリと見て目を細めた。その表情にすら、ドキッとした…。
72 :1:2009/05/28(木) 21:02:47.05 ID:Um0MSEfyO
打ち上げも手持ちも無くなり、後は線香花火だけになると騒がしかった面々も静かに見入っている。
ぱちぱちと揺れる小さな火花を、私は眺めていた。
傍に誰かがしゃがんだと思い、視線を向けると律が居た。
77 :1:2009/05/28(木) 22:09:09.14 ID:Um0MSEfyO
律「綺麗だなーっ」
澪「そうだな。…あ」
その瞬間にしゅん、と火花が落ち、急に少し周りが暗くなった様な錯覚を覚える。
目が合うとつい笑ってしまって、二人で笑いあった。
78 :1:2009/05/28(木) 22:11:21.90 ID:Um0MSEfyO
だから、正面からの気配には、正直気付いてなかったんだ…
さ「やぁーっとついたぁああ」
澪「うわぁあああああああああ!!」
唯「さ、さわちゃん!?」
律「わっ!み、澪ーっ!」
79 :1:2009/05/28(木) 22:12:52.70 ID:Um0MSEfyO
気が付いたらリビングのソファーに横たわっていた。
紬「あ、気付いた?体は大丈夫?」
澪「ん…あれ?私なんで寝てたんだ?」
唯「あははー、さわちゃんが急に出て来てびっくりしたんだよね」
律「心配したんだからなっ!」
梓「先輩…大丈夫ですかっ…」
さ「ごめんねー?」
80 :1:2009/05/28(木) 22:13:51.22 ID:Um0MSEfyO
四方八方から声が聞こえてくる中、繋がれた手の温かさを感じた。
…律だった。
澪「せ、先生…」
でも先生の顔見てうっすら思いだす。うう、まだちょっとぞわぞわするっ…
律「ま、とりあえず風呂でも入って落ち着いたら寝ようぜ」
みんなそれぞれに賛成の声が上がり、浴室へ向かった。
81 :1:2009/05/28(木) 22:14:36.96 ID:Um0MSEfyO
夜。
広い部屋の広いベッドにポツリと自分一人で寝転んで天井を見上げる。
…天井も高いな。
暫くごろごろと転がってみても落ち着かない。
そうだ。
昼間の胸に何かが刺さるような感覚。あれはなんだったんだろう?
…あのとき…律が梓と私を呼んだ。
その後のは…律が梓と仲良くしてた。
96 :1:2009/05/29(金) 07:59:52.46 ID:Bm5RM37MO
……嫌だった。んだと思う。
私はこんなに律のことばっかり考えて余裕が無いのに、当の本人は梓にばっかり構って。
本当は私の名前を先に呼んで欲しかった…んだよ、私。
律に、会いたい。
今、会いたい。
97 :1:2009/05/29(金) 08:00:58.66 ID:Bm5RM37MO
ベッドから降りて扉へ向かう。薄暗い部屋に響くのは大きな扉が開く音。
廊下も薄暗くて、私の足音だけが響いた。
隣の律の部屋まで思ったより距離あったな。どれだけ広いんだよ、ここっ…
107 :1:2009/05/29(金) 23:02:37.17 ID:Bm5RM37MO
--
静けさを破る様にノックの音が響く。
張り裂けそうな心臓。
もう、寝たかな?
どきどき、高鳴る。
まだ、起きてるかな?
扉が静かに開くと、暗い廊下に光が刺して律の姿が隙間から見えた。
108 :1:2009/05/29(金) 23:03:21.11 ID:Bm5RM37MO
律「…どうした?」
澪「あ、いやっ…部屋、広くて落ち着かなくてっ…一緒に寝ないか?」
律「あはは、澪は子供だからなー。…ほら、入んなよ」
招き入れられると電気を消してそのまま二人でベッドに寝転ぶ。
109 :1:2009/05/29(金) 23:04:42.71 ID:Bm5RM37MO
律「なんかこうしてると、修学旅行の事思いだすなー」
澪「え?」
律「怖い話の特集見て寝たら、澪が怖いからって私の布団に潜り込んできたのを思いだしたよ」
澪「あ、あー…そんな事もあった、かも…」
律「あったよ。朝起きたら澪が隣に寝てたから何かと思ったし」
110 :1:2009/05/29(金) 23:05:22.21 ID:Bm5RM37MO
一度目が合ってクスクス笑い合う。
笑いが収まるとどちらともなくぎゅっと手を握った。
律「……怖くなったり、寂しくなったらいつでも私のとこに来たらいいから」
澪「うん…」
律「おやすみ、澪」
澪「…おやすみ」
111 :1:2009/05/29(金) 23:08:11.96 ID:Bm5RM37MO
寄り添い合うみたいに向かい合って目を閉じる。
律が隣にいると思うだけでなんとなく穏やかな気分になった。
…おやすみ、律。
112 :1:2009/05/29(金) 23:09:49.11 ID:Bm5RM37MO
手を繋いで、目を閉じて。はっきりこの気持ちが繋がる。
私は、律がやっぱり好き。
これからもこの手が握るのは、私の手でありますようにとお願いをして、眠りについた。
113 :1:2009/05/29(金) 23:12:04.98 ID:Bm5RM37MO
合宿はここまでですっ><
今夏休みの話を書いてるとこだからもうちょい待ってくれたら嬉しいです><
それまでの繋ぎと言っちゃなんなんだが、唯憂唯の話…みたい人いる…?(・ω・`)
114 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/29(金) 23:18:37.97 ID:DEVhwl610
ああああ澪かわえええ
もちろん唯憂見たいであります
116 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/29(金) 23:30:53.18 ID:DEVhwl610
ふぉぉぉぉ(自重
118 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/05/29(金) 23:45:45.40 ID:ROW7aEOdO
何このスレ??
おもしれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
是非とも唯憂も見たいところですな
>>1頑張ってくれだぜ☆
119 :1:2009/05/30(土) 00:10:10.93 ID:K7C5JqEDO
---
お姉ちゃんが部活に入ってから初めての夏休みになった。
…とはいえ、夏休み中は毎日の様に部活がある…なんて事はないから、夏の暑さが苦手なお姉ちゃんは殆ど出掛けずにリビングにぐったり横になっていた。
唯「うーいぃー…あ゛ーつーいぃー…」
憂「ふふ、お姉ちゃんってば。そんなに暑いならかき氷でも作ろっか?」
唯「うんー…」
扇ぐのすら怠くなったのか団扇を持つ手をパタリと下ろしたお姉ちゃんを見て、つい笑ってしまいながらも立ち上がりキッチンへと向かう。
125 :1:2009/05/30(土) 02:22:39.17 ID:K7C5JqEDO
夏休みに入るからな、と思い、予め出していたかき氷器に氷をセットしてハンドルを回す。
じゃりじゃりと言う氷をかく音が、なんとも夏らしいな。なんて思ったり。
…お姉ちゃんは暑さにはあんまり強くない。
冷房もあんまり好きでは無いからあまりつける事もなく、これはほぼ毎年の光景だった。
126 :1:2009/05/30(土) 02:23:54.95 ID:K7C5JqEDO
こうしてかき氷を作ってあげると、お姉ちゃんは嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
…それだけでも私は幸せになってしまうから安いものだなぁ…。
でもでもっ、お姉ちゃんの笑顔は私の幸せだからしょうがないよね!
唯「ういぃー…」
憂「なぁに?もうちょっとで出来るよー」
唯「ありがとー…」
127 :1:2009/05/30(土) 02:26:09.48 ID:K7C5JqEDO
ありがとう。
そんな…お姉ちゃんのたった一言で気持ちがあったかくなって、ハンドルを回す手が早くなる。
お姉ちゃんの為。
私はそうして過ごしてる時が凄く好きなんだなぁ。
憂「あはは。いいよ、これくらい。あ、お姉ちゃん。いちごミルクでいいよね?」
唯「うんー」
128 :1:2009/05/30(土) 02:29:04.90 ID:K7C5JqEDO
2つのお皿に盛ったかき氷に、シロップと練乳をかけてお盆に乗せるとスプーンと一緒にリビングへと運ぶ。
憂「お姉ちゃん、出来たよ〜」
唯「うー」
のそのそと起き上がってお姉ちゃんはテーブルに向かって座った。
129 :1:2009/05/30(土) 02:30:20.60 ID:K7C5JqEDO
それでもスプーンを握る気力が無いのか、だれて机に突っ伏しているお姉ちゃんにまた笑みが零れる。
憂「お姉ちゃん、ほら…あーんして?」
唯「あー…ん…」
130 :1:2009/05/30(土) 02:31:43.81 ID:K7C5JqEDO
少し開いたお姉ちゃんの口にかき氷を運ぶ。
お姉ちゃんはその一口だけでも体が少し冷えたのか、幸せそうな顔でぶるっと震えると漸く体を起こした。
唯「えへへ、おいしー。やっぱりありがとー憂」
憂「あはは、どう致しまして」
131 :1:2009/05/30(土) 02:35:05.96 ID:K7C5JqEDO
テレビの電源を入れると夏休み特集と銘打って高校生バンドの特集をやっていた。
唯「あっ」
ステージの上に向けられる歓声やボーカルのパフォーマンス。
お姉ちゃんも、こんな風に演奏するのかなぁ。
だとすると、お姉ちゃんのファンがいっぱいついちゃうかも…だだだだって、お姉ちゃん可愛いし…っ!
で、でも大丈夫だよね…きっと。
お姉ちゃんはかき氷を食べながらぼーっと見入っていた。
私はそんなお姉ちゃんの横顔を見ながらかき氷を食べる。
132 :1:2009/05/30(土) 02:38:01.81 ID:K7C5JqEDO
…やっぱり、お姉ちゃんは可愛いなぁ。
不意に耳に飛び込んだギターの音。
私もテレビへと視線を向けると、男の人が凄い指の動きでソロを弾いていた。
すごいなぁ…。こういうのって凄く技術がいるんだろうな。
唯「すごいねー」
憂「うん。私、この曲好きだな」
その後は私も少しぼんやりしながらお姉ちゃんを見ていたのかも知れない。
知らない間にかき氷も食べ終え、番組も終わっていた。
133 :1:2009/05/30(土) 02:40:14.53 ID:K7C5JqEDO
唯「憂、憂!」
憂「えっ?な、なーにお姉ちゃん?」
唯「きいてきいてっ!」
憂「う、うんっ」
あ、危ない危ない。
ついぼーっとしちゃってたから、ちょっと焦りながらの返事になってしまう。
お姉ちゃんは、いきなり立ち上がったかと思うとギターを取り出した。
なんだろう?
じっと見つめていると、得意げな顔のお姉ちゃんは演奏を始めた。
134 :1:2009/05/30(土) 02:42:20.34 ID:K7C5JqEDO
…あ。これ。
それはさっき私が好きだと言った曲のギターソロだった。
凄い、お姉ちゃん。
なんだか、いつもと変わらない筈のお姉ちゃんがキラキラしていて…
私はどきどきうるさい心臓を落ち着かせるのに精一杯だった。
暫くして演奏が終わると、キラキラしたお姉ちゃんの目が向けられた。
すっかり見惚れてしまっていた私は、ハッとして拍手を送る。
150 :1:2009/05/31(日) 01:43:13.43 ID:4JgBI068O
憂「お姉ちゃんすごいっ!もうそんな事できるの?」
唯「えへへー。出来ちゃった!」
ピースをしながら自慢げに笑うお姉ちゃん。
私の為だけに演奏してくれたその姿は、ホントにキラキラ輝いていて。
憂「やっぱりお姉ちゃん、大好きっ」
唯「私も憂のこと大好きだよー」
151 :1:2009/05/31(日) 01:44:56.56 ID:4JgBI068O
二人で大好きだと言いあって笑い合う。
…でも…
私とお姉ちゃんの好き、は釣り合うことは…ないんだよね。
私のそれは、きっとお姉ちゃんのそれよりも数段と深い意味合いを持っている。
お姉ちゃんは、きっと知らない。
152 :1:2009/05/31(日) 01:46:05.19 ID:4JgBI068O
二人きりで笑い合ったりしていると、インターホンが鳴った。
憂「私が出るね」
唯「あ、うんー」
パタパタと玄関へと向かうと、鍵を開けて扉を開いた。
153 :1:2009/05/31(日) 01:47:15.97 ID:4JgBI068O
憂「はーい…あ、律さん、それに澪さんも」
律「ちーっす。唯の様子見に来たよ」
澪「突然邪魔してごめん、これお土産だから貰って?」
憂「わぁっ!ありがとうございますっ。この箱、駅前のケーキ屋さんですねっ。お姉ちゃん、ここのケーキ好きなんです」
154 :1:2009/05/31(日) 01:48:25.60 ID:4JgBI068O
澪さんからケーキの箱を受け取ると、二人を招き入れる。
憂「お姉ちゃんお客さんだよ〜」
唯「あー、りっちゃん澪ちゃん!」
澪「な、なんかどっかの漫才コンビみたいな呼び方するなよ」
律「あっはっは、まーいいじゃん。唯ー、練習してたのか?」
155 :1:2009/05/31(日) 01:49:40.54 ID:4JgBI068O
お姉ちゃんは一度ギターを出したからか、さっきのまま練習を続けていたようだった。
律さんの質問に、笑顔で頷くお姉ちゃんを見てから、出しっぱなしのお皿に気付いて、私はそれを持ってキッチンへ向かう。
えっと…暑いからアイスティーがいいかな?
アイスティーの準備をしながら、先ほどのケーキを開けてみる。
丁度4つあるとわかると、お皿に盛り直してアイスティーと共に運ぶ。
182 :1:2009/06/01(月) 16:46:01.83 ID:irn3Os7bO
扉が閉まるとスリッパを片付ける。この後はご飯を作らなきゃ。
お姉ちゃん、なんだったら喜んでくれるかなぁ…?昨日はハンバーグだったから…
メニューを考えると喜んでくれるお姉ちゃんの笑顔が浮かんで、一層気合いが入る。
そう言えばそろそろ野菜が切れるから買いに行かなきゃ。
183 :1:2009/06/01(月) 16:46:52.06 ID:irn3Os7bO
憂「おねーちゃーん?私八百屋さん行ってくるね〜」
先にリビングに戻っていたお姉ちゃんに声を掛けると、がたんっ、と少し大きな物音がしてすぐ、ばたばたと慌てた足音が近付き、お姉ちゃんが顔を出す。
184 :1:2009/06/01(月) 16:47:35.18 ID:irn3Os7bO
唯「待って待って、えへへ…私も行くよー」
憂「えっ?八百屋さんとかスーパーくらいだよ?」
唯「うんっ、憂と買い物に行きたいから」
そのお姉ちゃんの一言で、私の心はぱあっと晴れて行くのを感じた。
無意識のうちに頬も緩んで、多分ちょっと情けない顔になったと思う。
185 :1:2009/06/01(月) 16:48:39.69 ID:irn3Os7bO
憂「お姉ちゃん、髪跳ねてるよ」
唯「あ、ほんとー?」
髪に手を伸ばして梳いてあげる。お姉ちゃんの髪は柔らかいなぁ…
お姉ちゃんに触れているだけで幸せな気持ちになる。
186 :1:2009/06/01(月) 16:50:27.36 ID:irn3Os7bO
買い物が終わると、夕焼けの帰り道を二人並んで歩き出す。
上機嫌な私から伸びた影ですら、何だか嬉しそうに見えてくる。
唯「ねー憂。いっつもいっつもありがとうっ」
不意に隣のお姉ちゃんからギュッと手を握られる。最初は少し驚いてしまいながらも嬉しくなってしまう。
187 :1:2009/06/01(月) 16:51:37.69 ID:irn3Os7bO
唯「憂はいっつも頑張ってるから、ごほうびだよー」
憂「ごほうび?…!」
聞き返した瞬間にはお姉ちゃんの顔が目の前に合って。
ちゅ、と優しく唇に触れたものはお姉ちゃんの唇だった。
唯「えへへ、憂は大好きだから特別なんだよ!」
188 :1:2009/06/01(月) 16:52:34.17 ID:irn3Os7bO
憂「お姉ちゃん…っ」
かぁっと顔が熱くなるのを感じながらも、私は無意識の内にお姉ちゃんに抱き付いていた。
涼しい夕方。お姉ちゃんの体温が気持ち良い。
憂「ありがとう、お姉ちゃん。大好きだよ…」
189 :1:2009/06/01(月) 16:54:13.08 ID:irn3Os7bO
お返しの様にそっとキスをすると、お姉ちゃんは照れた様にはにかんで見せた。
唯「私も大好きーっ」
ギュッと手を握り直して家へと向かう。
伸びる並んだ影が、ゆらゆら揺れながら仲良く寄り添っていた。
…もしかしたら、私とお姉ちゃんの「好き」の天秤は、もう少しで釣り合うのかも知れない。
190 :1:2009/06/01(月) 16:56:14.59 ID:irn3Os7bO
姉妹の話はここまでです〜。次からは律澪の続きを書きますですよ(・ω・`)
191 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/01(月) 17:10:05.32 ID:xwYjVIL3O
唯憂はこっちまで頬が緩む
194 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/01(月) 20:32:01.84 ID:aIbsai/k0
かわいい姉妹だなぁ。ほんわか
209 :1:2009/06/02(火) 23:51:59.45 ID:7mBlmUrKO
合宿から帰って来ても夏休みはまだまだあった。
…でも、私としては2年にもなったんだし、来年の事を考えて夏期講習くらい受けておかないとちょっとだけ不安だった。
…だから私は、この暑い中、夏期講習を受けに学校へと来ていた。
でも、出ようと思った理由は実は他にもあって…
夏期講習は他のクラスも一緒に行うから、もしかしたら律も一緒に受けれるかも、と思っていた。
210 :1:2009/06/02(火) 23:52:49.10 ID:7mBlmUrKO
だけど昨日…律に夏期講習の話をすると、律は参加しない。ときっぱり言い切った。
そ…そりゃ、よくよく考えてみたら…あの律が夏期講習なんか受けにくるわけがないよなぁ…。
でも…やっぱり私は残念で寂しい。
講習だろうがなんだろうが、二人で隣合える事に意味があるから。
211 :1:2009/06/02(火) 23:56:43.65 ID:7mBlmUrKO
講習中、先生の話を聞きながらもつい律の事を考えてしまう。
律は今、何してるかな?律は今、私の事考えてくれてるかな?
…なんて思いながら時間はすぎる。
212 :1:2009/06/02(火) 23:57:50.35 ID:7mBlmUrKO
そう言えば、律に好きだとはっきり言って貰ったことはあまりない。
最初の1回か2回くらいなのかな。
…私も、あんまり言ったことない…から仕方ないけど。
ましてや付き合うなんてはっきりした約束は交わしていなかったし。
…律と私は、一緒に居るのが当たり前だったから。
だから、進歩はあれど…はっきりした関係の変化はない。
213 :1:2009/06/02(火) 23:58:35.85 ID:7mBlmUrKO
澪「…ふぅ」
昼休みになり、弁当を取り出していると和がゆっくりと近付いて来た。
和「澪、ご飯一緒にたべよ?」
澪「あ、うん」
和「さっきの問題、解けた?」
澪「あー、あれ。途中までは合ってたんだけどさぁ…」
214 :1:2009/06/02(火) 23:59:25.97 ID:7mBlmUrKO
いつも学校でするのと同じ他愛ない話。
…でも、今の私は物足りなさを感じてしまう。
和「……ちょっと澪?聞いてた?」
澪「…えっ?!な、なんだっけ?」
和「やっぱり聞いてなかったのね。まぁいいけどさ。…律の事でも考えてた?」
215 :1:2009/06/03(水) 00:00:18.93 ID:7mBlmUrKO
和の一言に、私はつい固まってしまう。
でもその言葉をやっと飲み込むと、ぼんっ!と音がなるくらいに顔が熱くなっていくのを感じた。
澪「うええぇっ?!な、何言って!!」
和「当たりなんだ?律の事、好きなのね。澪って結構わかりやすいよね」
216 :1:2009/06/03(水) 00:01:01.73 ID:7mBlmUrKO
クスクスと小さく笑ってみせる和を見て、私は恥ずかしくて居たたまれなくなる。
…うう、恥ずかしいっ。
…普通に考えたら女の子が女の子を好きだなんて…きっと一般的に考えておかしいんだろうとは思う。
でも和はそれをおかしいだなんて言う事もなく、ただ優しく笑っていた。
217 :1:2009/06/03(水) 00:01:59.93 ID:7mBlmUrKO
…これは私の勝手な考えなんだけど…私が律を好きな様に、もしかしたら和も唯を…
澪「もしかして…和…」
和「…ん。言わなくてもいいよ。私は…今の関係でも十分だから」
澪「和…」
…やっぱり、当たってるんだろうな。
219 :1:2009/06/03(水) 00:03:35.18 ID:7mBlmUrKO
講習も終わり、帰り支度が終わると和へと近づく。
澪「和、一緒に帰らないか?」
和「んー、そうしたいんだけど…これからちょっと用事があって。ごめんね」
澪「そっか。和も大変だなー。それじゃあまたな」
和「うん。じゃあね」
用事があるなら仕方ないよな…。残念だけど。
仕方なしに和と別れ、一人で校舎を出た。
220 :1:2009/06/03(水) 00:04:46.69 ID:3CAXpQciO
3時か…律は、何してるかな。
直ぐに律の事ばかりを考える自分に苦笑いを浮かべてしまう。
「澪っ」
門を出ると不意に呼び止められて、慌てて声の方を向く。
…慌てた理由なんて、一つしかない。
その声が…律の声だったから。
236 :1:2009/06/03(水) 20:31:52.82 ID:3CAXpQciO
澪「律!講習に出た訳じゃないのに何やってんだよー」
嬉しくて少しだけ声が高くなりながら律へと駆け寄る。
ああ、律だ。
…今日はずっと会いたいと思って勉強してた私に、神様からのごほうびなのかな。とか勝手に思ってしまうよ。
それでも私ばっかり会いたいなんて思ってたのがバレたら嫌だから、軽くからかう。
237 :1:2009/06/03(水) 20:33:34.52 ID:3CAXpQciO
律「なんだよー。迎えに来てやったのにさっ」
澪「迎え?」
律「そうだよ。一緒に出掛けようと思ってさ!」
ぎゅっと手を取られた瞬間、講習中に感じていた寂しさは一気に消えてしまった。
238 :1:2009/06/03(水) 20:35:41.02 ID:3CAXpQciO
律が、こうして私を待っていてくれた。
どうして心の中ではこんなに嬉しいのに、言葉には中々出せないんだろう。
ちゃんと、言わなきゃ。
嬉しいって。
ありがとうって。
…でも、言葉が、喉に引っかかって出て来ない。
素直になりきれない自分に、少しだけ嫌気がさす。
239 :1:2009/06/03(水) 20:36:25.56 ID:3CAXpQciO
律「澪?」
澪「えっ?」
律「ちゃんと聞いてろよなー。ほら、一回澪の家で着替えてから急いで出発だぞっ」
どこに?なんて聞く暇もなく律に力強く手を引かれて、足は勝手に動き出した。
240 :1:2009/06/03(水) 20:37:41.86 ID:3CAXpQciO
昔から律は、強引な所があるなぁ…。
でも、そんな行動が…いつも一歩引いてしまう私をそうやって勇気付けてくれているのはよくわかってる。
律の言う通りに、一度家で着替えるとバスに乗った。
241 :1:2009/06/03(水) 20:38:51.40 ID:3CAXpQciO
律「澪、ほら!」
澪「あ。これっ…」
並んで座るバスの中、律が鞄の中から二枚のチケットを取り出して見せた。
それは…遊園地の招待券。
242 :1:2009/06/03(水) 20:40:13.06 ID:3CAXpQciO
律「知り合いに譲って貰ったんだ。澪さ、ナイトパレード見たかったんだろ?」
合宿から帰ってきた後、律が私の家にあそびに来ていた日。
律が持って来た雑誌に載っていた夏休みのパレード特集があった。
243 :1:2009/06/03(水) 20:41:13.66 ID:3CAXpQciO
写真に収まったキラキラ輝くネオンが凄く綺麗で、私はずっとそれを見ていた。
口に出してパレードを見たいなんて言わなかったのに、律は分かっていたんだと思うとつい頬が赤くなる。
249 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/03(水) 23:20:03.81 ID:QaqhXhb6O
なんかすごくほほえましいです
264 :1:2009/06/04(木) 19:51:35.27 ID:mmEfGgAqO
澪「…うん」
律「へへ、よかった。朝から来れなかったけど、今日までらしいから間に合ってよかったよな!」
にかっと笑った律を見つめると胸を締め付けられる。
ありがとうって言わなきゃ。ちゃんと分かってる…分かってるんだ。
265 :1:2009/06/04(木) 19:52:20.45 ID:mmEfGgAqO
律「あ!ついた。降りるぞっ」
澪「う、うん」
…ああ…言いそびれちゃった。
どうしてなんだろう。もっと素直になりたいのになりきれないよ。
律は、こんな私…嫌いになったりしないよね…?
266 :1:2009/06/04(木) 19:55:12.18 ID:mmEfGgAqO
ジェットコースターにコーヒーカップ、バイキングにカーレース、それから…観覧車。
お化け屋敷行くのは嫌だから…逃げ出したけど。
私たちはまるで走り回るようにはしゃいでいた。
あっと言う間に時間は過ぎて行き、あたりも少し暗くなってくるとパレードが始まった。
267 :1:2009/06/04(木) 19:57:31.92 ID:mmEfGgAqO
人混みの中、離れないように強く握った手。
目の前を過ぎる煌びやかで賑やかなパレード。
眩しい光が差し込む中、私は律の様子が気になってちらりと視線を向ける。
268 :1:2009/06/04(木) 19:58:55.99 ID:mmEfGgAqO
…目が、あった。
その瞬間は長くて、周りの音も消えて。
律「澪…」
ゆっくり、重なる唇。
二人だけの世界。
297 :1:2009/06/05(金) 18:20:46.23 ID:478aD0WgO
パレードはあっと言う間に終わり、バスから降りて二人手を繋いで帰り道を歩いていた。
互いに少しだけ無言になりながら…でもその無言も苦じゃなくて。
…今なら、きっと素直になれる。
そんな気がした。
299 :1:2009/06/05(金) 18:21:31.20 ID:478aD0WgO
澪「律…」
律「ん?」
澪「今日は…いや、いつもありがとう…っ」
少し緊張しながら、私からキスをする。
恥ずかしくて顔を合わせていられないから、慌てて顔を背けた。
300 :1:2009/06/05(金) 18:22:32.72 ID:478aD0WgO
律「…言わなくても分かってるよ。私は澪の事がずっと好きなんだからなんでもわかるし」
律の小さな声が、私の心に染み込むように響く。
強く握った手の指が、自然に絡んだ。
301 :1:2009/06/05(金) 18:23:38.15 ID:478aD0WgO
私が、こうやって素直になれないのも…律は知っていて。
きっと…それでもいいんだと、言ってくれているんだ。
だから律は…
澪「…律、…す…好きだよ…」
こうやって、私が必死に言った素直な言葉も、笑って…
律「知ってる!」
…そう、答えるんだ。
…そんな律が、私はやっぱり…好きなんだ。
302 :1:2009/06/05(金) 18:25:49.60 ID:478aD0WgO
ただ、私は律をずっと好きでいよう。律はきっと応えてくれる。
何も不安になることはないんだから。
…な?律。
end+
303 :1:2009/06/05(金) 18:28:15.18 ID:478aD0WgO
この話はこれでおしまいです(・ω・`)
いま書いてる話、律澪より何やら和梓のが早く完成しそうなんだけど、そっち先でもいいですか?><
304 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 18:31:38.99 ID:G1VmmjvC0
おkおk
305 :1:2009/06/05(金) 18:35:40.84 ID:478aD0WgO
>>304
ぉK?よかった、ありがとー><
ちょっとアンニュイな和にしたから、ちょっとだけ今までと雰囲気変わるかもでふ(・ω・)
つかこんな短期間にこんなに沢山話書いたの初めてなのでネタが尽きそうです><
全部は叶えれないけどみたいネタがあったら教えてくだしあorz
306 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 19:25:53.53 ID:+MPSrjoOO
澪律良かったぜ
ちなみに俺は和ちゃんが大好きなんだぜ
次も期待
309 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 21:51:02.71 ID:TjHCDfYh0
おおおおおおおやかたさまぅああああ!!
最高でございまする!感動しますた!
310 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 21:55:56.37 ID:TOo7Kg/VO
和梓wwwww
本当にやるとはwwwww
312 :ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/06/05(金) 23:56:15.81 ID:bvjnqtHkO
お疲れさまでした。心暖かくなりました。
澪「律と違うクラス…」【後編】へつづく
引用元
澪「律と違うクラス…」
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1243204478/
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