1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:10:39.54 ID:jV91RZGP0
新兵「やってしまった・・・」

新兵「やってしまったぞ・・・」

新兵「やばい・・・・」

新兵「・・・・・・」

新兵「・・・・どうしよう」




3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:15:13.38 ID:jV91RZGP0
新兵は

手元の紙を見た


新兵「はぁ・・・・」

新兵「この書類出さなきゃいけないのか」

新兵「しかもあれを書かなきゃいけないんだよね」


眉を潜める


新兵「どうしよう・・・・・」

新兵「気が進まない・・・・」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:20:00.88 ID:jV91RZGP0
とある町の一般人でしかなかった私は

長年の勉強の甲斐あってか

遂に『国構』という機関の軍試験に合格し

今現在私は

その機関内にいます


そしてさきほど

ある方からある書類を記入して出してくださいと言われました


それが今手元にある物で

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:24:35.73 ID:jV91RZGP0
私の試験時、この機関の試験は三つの考査で成り立っていました

筆記 実技 実演

実演とは実際の任務をこなす事で

その三つを全て合格して、初めてこの機関の兵隊となれます


ちなみにもう一つ


この機関の試験は、複数人のチームを組んで行う事ができます

というより普通は

知り合いなり仲間なりの複数人でチームを組んで試験を受ける方が大抵だそうです


事実、私もそうでした

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:29:17.63 ID:jV91RZGP0
そう


新兵「えっと・・・今までの経歴はっと・・・」

新兵「・・・・ロクな仕事してないな俺」


私も

自分含め“4人”でチームを組んで試験を受けました


新兵「メンバーの名前・・・・・・」

新兵「・・・・・」


しかし私は

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:31:41.10 ID:jV91RZGP0
新兵「・・・・・あんな事がなければ」

新兵「皆で話し合えたのに・・・・・」


たった“1人”で

書類を書く作業を行っています


ただっぴろいこの部屋で

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:34:22.13 ID:jV91RZGP0
新兵「・・・・・みんな」

新兵「みんなどこに行っちゃったんだよ・・・・・」

新兵「俺を置いて・・・・」













話は

入軍試験時に遡る

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:38:19.76 ID:jV91RZGP0
入軍試験時 第三 実演


試験官「今ここにいる君達は」

試験官「第一第二を見事通過した、いわば最も軍に近い人間達だ」

試験官「この第三試験も無事通過してくれると信じている」


試験官「さて、無駄話もここまでにして」


試験官「それではさっそく」

試験官「第三試験の概要を説明しよう」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:43:26.05 ID:jV91RZGP0
新兵「ここまで来たら、あとは合格するしかねーな」

兵1「もちろん」

兵2「だな」

兵3「まぁ、この第三試験は軽い確認みたいなもんだろ」


俺のチームの4人共全員

筆記実技を無事通過し、残るはこの実演試験のみ


これを合格してさえしまえば

晴れて俺達は軍の新兵になる

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:46:18.65 ID:jV91RZGP0
試験官「第三試験、実演の試験内容及び任務内容は『町の調査』」

試験官「それ故このような遠い町まで来てもらった」

試験官「あと、今回は筆記実技の時とは違い」

試験官「チーム内での協力も可とする」

試験官「個々が行う任務はこれから紙を配る」

試験官「その内容を頼りに、是非全力を尽くしてくれ」

試験官「再集合はここに3時間後」

試験官「それまでに任務を完了させ、尚且つここに着いていれば合格とする」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:50:23.55 ID:jV91RZGP0
『町中の自然調査だってさ』
『なにそれ・・・』


新兵「・・・なんか結構簡単そうな感じっぽいね」

兵1「俺達もそうだといいな」

兵2「俺らの任務はっと・・・・」


ペラ


新兵「・・・・どう?」

兵2「・・・・・・・」

兵3「なんだ?」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:54:39.29 ID:jV91RZGP0
兵2「・・・・意識調査だってさ」

新兵「意識調査?」

兵2「簡単に言うと、町に対する人々の感想的なのを」

兵2「聞いて調べて来いって事らしいけど」


兵1「・・・・ほらな」

兵1「やっぱり軽い確認程度なんだって」

新兵「・・・・学校の宿題レベルじゃないか」


兵3「いやでも分からんぞ」

兵3「もしかしたら、町の住人がみんな冷たいとか」

兵1「まさか」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 01:57:23.45 ID:jV91RZGP0
町の住人「・・・っていうところかしらねぇ」

新兵「ご協力ありがとうございました」

町の住人「いえいえ、お疲れ様です」


ガチャ

俺達は店を出た


新兵「・・・・・・」

新兵「・・・・余裕だ」

兵1「思った以上に確認程度だなこりゃ」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:01:13.21 ID:jV91RZGP0
紙に書かれていたのは、町の住人の意識調査


そして俺達は

なんら問題なく数十分で、任務を終えた


新兵「これで・・・・おkだよな?」

兵2「ああ、多分・・・」


試験官に手渡された紙の空欄に

調査結果を記す


兵1「じゃああとはこれを指揮官の所に持ってけば・・・・・」

兵3「合格・・・・?」

新兵「実感沸かねえな」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:03:31.29 ID:jkCKhTMD0
またお前か

勿論支援するけど

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:04:20.96 ID:jV91RZGP0
合格・・・・・合格・・・・・・


俺達はきっと

あの時心臓が恐ろしく高鳴っていただろう

同時に

今までの試験との難易度の違いに

心に余裕を持たされ

恐ろしく油断をしていただろう

そう、きっとそうだ

だからこそ俺は今



孤独な1人

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:07:24.25 ID:jV91RZGP0
全ての発端は

彼の一言


新兵「じゃあもうさっさと集合場所に向かおう」

新兵「予定時間より早くなるのはなんら問題ないだろ」

兵2「そうだな」

兵2「紙を失くしたりなんかしたら大変だからな」

兵1「・・・・・なぁなぁ」

新兵「ん?どした?」

兵1「ちょっと提案があんだけどさ」

兵1「・・・・せっかくこんな遠い町まで来たんだぜ?」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:09:09.58 ID:jV91RZGP0
兵1「ちょっとくらいさ」





兵1「散策でもしようぜ?」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:12:16.11 ID:jV91RZGP0
兵1「まだ2時間以上はあるんだろ?」

兵1「だったら少しくらい大丈夫だろって」

新兵「何言ってんだ」

新兵「観光なんか何時だってできるだろうが」

兵2「でもよく考えると次この町に来れるかも分からないし・・・」

兵3「確かに少しくらいなら・・・・・」

新兵「お前らまで・・・・・」


新兵「・・・・・・」

新兵「・・・・・・分かったよ、でも少しだけだぞ」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:16:11.60 ID:jV91RZGP0
結局多数決に負けて俺は妥協し

町中を少しだけ見て回る事にした


兵1「こう見回してみると」

兵1「俺達のいた町とは随分違うよなぁ」


しかし、改めて眺めてみると

実に整備された町だと分かる


兵2「俺達の町は特別だったんだろうよ」

新兵「・・・・その話はやめろ」

兵3「忘れないように喋らないようにって決めたろうが」

兵1「悪い悪い」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:20:06.47 ID:jV91RZGP0
そんな雑談を繰り返し

歩き始めて数十分

俺達・・・・いや、俺は


兵1「この壁画綺麗だなぁ・・・・」

兵2「凄いねこれ」

新兵「俺にはよく分からん・・・・・・・」


町の、ある場所の壁に描いてあった壁画

その裏に


何かがあるのを見つけた

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:24:07.38 ID:jV91RZGP0
新兵「・・・・ちょっとこれ見てくれよ」


新兵が見つけたのは


兵1「・・・・・穴?」


地面にぽっかり開いた、穴


兵1「なんだこれ」

新兵「分からん、後ろに回ってみたらあった」

兵3「あれじゃない?」

兵3「工事ミスとかなにかで穴開けちゃったとか」

兵3「ほら、きっとそれで隠れるように壁画があるんだよ」

新兵「なるほど」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:26:42.05 ID:jV91RZGP0
穴の中の先は

暗くてよく見えない


兵1「・・・・・よし、入ってみるか」

兵2「え、まじで?」

新兵「おいおい・・・・」


何を言ってるんだこいつは


新兵「どこに繋がってるかも分からん上に」

新兵「中がどうなってるのかも分からないんだぞ」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:29:58.49 ID:jV91RZGP0
兵1「大丈夫だって」

兵1「多分傾斜が斜めになってるから落下死とかはしねえよ」

兵2「そういう問題じゃないと思うけど」


兵3「どっちにせよ行くなら早く行こうぜ」

新兵「うあ、肩を掴むんじゃねえ」

兵1「いえーい決定ー」


兵2「・・・・緊張の糸が完全に切れてるな」


既に試験の事が頭から離れつつあった俺達は

吸い込まれるかのように

穴の中に入っていった

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:33:38.00 ID:jV91RZGP0
穴の中


兵1「結構長い滑り台だったな」

新兵「おい、どうやって帰るんだよ」

新兵「・・・・おまけに真っ暗だしよ」

兵1「どうしようね」


兵2「なぁ新兵、紙持っといてくれ」

兵2「俺の服ポケットねえんだよ」

新兵「あいあい」

兵3「う〜ん・・・・・」

兵3「しかし本当に何も見えん・・・・」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:37:19.27 ID:jV91RZGP0
穴の中は真っ暗

おまけに空気もよどんでいる


足元には水の感触もあり

もうなんていうか


新兵「・・・・気持ち悪い」

兵1「俺はこういう雰囲気好きだけど」

兵3「俺も俺も」

新兵「はは・・・そうですか」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:42:07.79 ID:jV91RZGP0
手探りで歩いて

いくらか経った頃


新兵「んん」

兵1「どうした?」

新兵「今少しだけ風が流れなかったか?」

兵2「俺も思った」


ヒュ〜


微かに風が流れているのを感じた

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:44:36.68 ID:jV91RZGP0
兵1「あ、ほんとだ」

兵3「じゃあもうそろそろ外に出るって事か?」

兵1「短いトンネルだなおい」


新兵「・・・・んん」

新兵「待て」



新兵「それ以外の音も何か聞こえるぞ」


兵1「?」

兵2「どんな音?」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:48:35.28 ID:jV91RZGP0
新兵「いや・・・・なんていうか・・・・」


バチャバチャ


新兵「水がはねる音っていうか」

兵2「俺も今聞こえた」

兵3「・・・聞こえるか?」


バチャバチャバチャ


兵1「あ、聞こえた」

兵3「なんだ?魚が跳ねてるのかな」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:52:03.24 ID:jV91RZGP0
新兵「こんな汚いであろう浅い水に魚がすめるわけが・・・」

兵2「じゃああれじゃね?」


バチャバチャバチャバチャ


兵2「誰かが歩いて水が跳ねてる音だろ」

兵1「こんなとこを?」

新兵「工事のおっさんが注意しに来たんじゃないか」

兵3「それまずくねーか」

兵1「大丈夫だろ、間違って迷ったって言えば」

新兵「・・・っていうかさ」


バチャバチャバチャバチャバチャ


新兵「段々音大きくなってないか」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:56:06.27 ID:jV91RZGP0
水音は

どんどん大きくなっていく


新兵「・・・・誰か近づいてきてるのかな」

新兵「しかも一人や二人じゃないっぽい」


兵1「どういうこった?そんなに大掛かりな工事なのか?」

兵2「それかもしくは、別の事情があるとか」

兵1「別の事情?」

兵2「例えば、ここらへんは危険とか」

兵3「まじかよ」

新兵「まぁなんにせよ」

新兵「声をかけて説明すれば真っ暗でも気づいてくれるだろう」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 02:59:06.27 ID:jV91RZGP0
遂に水音は

4人の目の前で止まった


兵1「・・・・今目の前にいるのかな?」

兵2「暗くて分からん」

兵1「あのーすいません、実は俺達迷ってしまったんですけど・・・」


返事は無かったが

代わりに



金属音が聞こえた


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:02:12.61 ID:jV91RZGP0
カチャ


兵2「・・・今度は何の音だ?」

兵1「俺もよく分から」



ズドン



ビチャ



新兵「・・・・・・・」


新兵「・・・・・ん?」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:05:36.65 ID:jV91RZGP0
カチャ


ズドン


カチャ


ズドン


カチャ


ズドン


カチャ







ズドン


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:08:15.78 ID:jV91RZGP0
まず最初に


変な金属音がした


その次に


花火みたいな大きな音が聞こえた


交互に何回か聞こえた


そして


その後に


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:08:37.75 ID:NC+n7OgnO
これは・・


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:09:28.16 ID:jV91RZGP0
俺の顔に生暖かい何かの液体が付いた時






理解した

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:12:41.59 ID:jV91RZGP0
まさか・・・・・

撃たれた・・・・・・?


さっきの水音の主達に・・・・


銃で撃たれた・・・・・・?



新兵「・・・・・・げろ」

新兵「全員逃げろ!全速力だ!」

新兵「ひたすら逃げるんだ!」



無意識の内に叫ぶ俺


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:16:29.57 ID:jV91RZGP0
新兵「おい!聞いてんのかよ!」

新兵「返事くらいしろ!」


誰一人からも

反応がない


新兵「嘘だろ・・・・・」

新兵「まさか全員・・・・・」


カチャ

バチャバチャ


新兵「・・・・・くそっ」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:20:35.70 ID:jV91RZGP0
何度叫んでも


他の奴らからの反応はなく


叫び声と水音が地下道内をこだました


俺は


見えない背後を


何度も振り返りながらも




がむしゃらに突っ走った

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:23:24.61 ID:jV91RZGP0
集合場所


指揮官「あと5分か・・・・」

指揮官「てっきり全員なんなく通過すると思ってたんだがな」

指揮官「4人もまだ来てないとは」


ザワザワ


指揮官「おい、うるさいぞそこ!」


『指揮官・・・・・』

『そ、それが・・・・』


指揮官「なんだ?」

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:26:19.01 ID:jV91RZGP0
指揮官は見た


『彼が・・・・・・』

『ここに倒れてて・・・・』


隊員の肩に腕を乗せ

足を引きずっている


指揮官「・・・・・・」

指揮官「・・・どういうことだそれは」



血まみれの男を

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:30:08.45 ID:jV91RZGP0
あの後仲間がどうなったかを知らない


ただ自分が逃げるのに必死で

気づいたら外に出てて

俺は町の小さな病院に運ばれていた


後で他の人に聞いた話だと

俺は返り血まみれではあったが

怪我自体はさほど大したことは無く

むしろ脳のショックが大きかったせいで倒れたらしく

二日間ほど町の病院で寝続けだったそうだ


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:33:52.54 ID:jV91RZGP0
町の病院 病室


新兵「どういう事ですか・・・」

新兵「これからすぐ本部に帰るって・・・・」


問題は

まだ続いた


指揮官「言ったとおりそのまんまの意味だ」

指揮官「試験は終了した」

指揮官「これから本部で入軍式も行わなくてはならない」

指揮官「つまり、ここに何時までも留まる訳にはいかない」


新兵「ちょ・・・ちょっと待ってください!」

新兵「それじゃあ俺の仲間は見捨てるって言うんですか・・・・」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:36:57.90 ID:jV91RZGP0
指揮官「別にそういう訳ではない」


指揮官「君が寝ていた二日間」

指揮官「全員に協力してもらい、機関期限を延ばしてまで捜索をした」

指揮官「本人どころか何も見つからなかったがな」


新兵「二日・・・・・」

新兵「俺はそんなに寝ていたのですか・・・・」


指揮官「その通りだ」

指揮官「そして報告がもう一つ」


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:40:07.21 ID:jV91RZGP0
指揮官「おめでとう、君は無事試験を通過した」

指揮官「無事かどうかは分からないが」


指揮官「君が着ていた服に、あの依頼書が入っていた」

指揮官「内容も一応こなせていたので」

指揮官「君は合格ということにした」


新兵(そういえばあの紙・・・・)

新兵(あいつの代わりに持ってたんだっけ・・・)

新兵「そう・・・ですか・・・・」


指揮官「どうした、嬉しくなさそうだな」



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:43:30.76 ID:jV91RZGP0
新兵「そりゃあ・・・・・」

新兵「こんな事になってなかったら嬉しいですよ・・・・」


指揮官「だろうな」


指揮官「まぁしかし」

指揮官「これで十分すぎるほど分かっただろう」









指揮官「軍に入る事が、どういう事か」


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:47:44.29 ID:jV91RZGP0
指揮官「軍には、見捨てるという選択肢が常にあるという事」

指揮官「任務中の油断が、何を招くのか」

指揮官「取り返しのつかない失態を犯した時の、その感情」

指揮官「私も状況こそよく掴めてはいないが」


指揮官「こんな思いを二度としたくないと思うのなら」

指揮官「行動は考えてすることだな」


そう言い残し

彼は病室から出て行った


新兵「・・・・・・」


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:51:58.58 ID:jV91RZGP0
新兵「きついなぁ指揮官は・・・・」


その指揮官が出て行くのと同時に

我慢していたのだろうか


新兵「・・・・うぐっ、ぐひっ」


突然泣いた


新兵「くぞう・・・・・ぢくじょう・・・・」

新兵「なんでごんな事に・・・・・・」


なぜか


泣いた


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:55:07.06 ID:jV91RZGP0
数時間後また指揮官がやってきては

突然「もう大丈夫だろう」などという理不尽な事を言われ

無理矢理、本部へ帰る用の大型車に詰め込まれた


もしかしたら指揮官は

泣くのを我慢していた俺を考慮してくれたのだろうか


ちなみに車の中に入った時に

少しばかり回りの視線が気になったが

俺は軽い会釈だけして席に着いた


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 03:57:58.31 ID:jV91RZGP0
俺の隣の席は








三席空いていた


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:01:19.60 ID:jV91RZGP0
本部に帰って来た俺達を

色んな人達が出迎えてくれた

きっと彼らは軍の人達で

合格のお祝いをかねて出迎えをしにきたのだろう


皆は笑って喜んでいた

中には胴上げしたり踊ったりする者もいて

みんな楽しそうに騒いでいた



その光景を眺めていた俺は

きっと怖い顔をしていた

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:05:05.03 ID:jV91RZGP0
軍中庭 入軍式


全員壇上に体を向け

整列した


総統「私は軍内で総統の立ち位置にいる者だ、よろしく」

総統「そして」


総統「改めて言おう、おめでとう」


総統「これからは世の為軍の為人の為に」

総統「諸君らのより一層の成長を期待したい」

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:08:18.01 ID:jV91RZGP0
総統「・・・・では、話はこれで以上」

総統「各自決められた寮へ向かってくれ」

総統「分からない者は、管理の人間に聞くといい」


総統「なお、本格的な任務の開始は少し先となる」

総統「それまでに準備を整えてきて欲しい」



総統「それでは解散とする」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:12:32.21 ID:jV91RZGP0
軍内


管理「新兵さんの階級は三級となっておりますね」

管理「三級の方の寮はあちらになります」

新兵「あ、ありがとうございます・・・」

管理「ちなみに」

管理「こちらの情報ですと、4人のチームを組んでなさっている」

管理「という話なのですが・・・」

管理「なので、部屋も4人用の広めの場所を・・・・」


新兵「・・・・・・」


新兵「・・・そのままで結構ですよ」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:17:27.36 ID:jV91RZGP0
寮 部屋前


管理「ここになっております」

新兵「呼び方は部屋でいいんですか?」

管理「はい、私達も普通にそう呼んでいます」

管理「あ、あとですね」

管理「部屋の中の机の上に書類がありますので」

管理「内容を書き添えた後提出していただけると有難いです」

新兵「はい」

新兵「了解しました」



72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:18:34.08 ID:jV91RZGP0
ここまでが


俺の昔話で






ここからが


私の今のお話

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:22:07.94 ID:jV91RZGP0
部屋内


新兵「あと抜けているところは・・・・・」

新兵「俺の名前・・・・・・・」


そうだ

もう自分の事を俺なんて言うのはやめよう


新兵「・・・よし」

新兵「書類全部埋まったぞ」


これからは

私は心を入れ替えよう


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:25:57.80 ID:jV91RZGP0
一人で使うには

広すぎる部屋の中


書類を目の前にして

私は誓う


もうあんな事になるのはごめんだ

これからは

決して心を揺らがせない

そんな軍の人間になろう

そうしていつか

私がそうなれたなら



もう一度行こう、あの町に


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:27:54.94 ID:jV91RZGP0
そう独り言を呟くと

新兵は、書類を提出しに部屋を出た


彼が思っている以上に早く







あの町に行く機会が出来るとも知らずに

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:31:09.38 ID:jV91RZGP0
同刻 総統室


特級兵1「珍しいですね」

特級兵1「総統直々のお呼び出しというのは」

特級兵2「でもなぜわざわざ・・・・?」

特級兵2「緊急でもなさそうですし・・・」


総統「まぁまぁ」


総統「とりあえず落ち着いてこれを見てくれたまえよ」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:35:08.05 ID:jV91RZGP0
『国構』

国間を制定する機関で『国構』

世界中の町や村、国の調査を活動の主とした

いわば世界規模の調査隊

唯一どの場所でも武装が認められ

それ故に

もちろん軍と呼ばれているからでもあるが

調査だけの仕事が回ってくるわけではなく

中には殲滅や捜索なんていう

危険な仕事もこなす機関でもある

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:39:09.74 ID:jV91RZGP0
そしてこの『国構』には

特別な階級制度が存在する


特級兵1「・・・・・なるほど」

特級兵1「確かにこれは一級以下に任せられる内容の任務ではないですね」


総統「情報の確実性には少し自信を欠くのだが」

総統「万が一の事も考えて、君達特級の人間に任せようと思ってね」


特級兵2「でも・・・まさかあいつが・・・・」


それは『級制』と呼ばれる制度

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:43:27.37 ID:jV91RZGP0
この機関の人間は

雑務を除けば、大きく6つの階級に分けられる


一級から五級までの兵と

特級の兵


総統、指揮官も特級の分類に含まれ

特級になれるのは機関内でも極僅か

当然、

危険な任務は特級に回されやすく


今回の場合も、それに添っている

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:48:17.31 ID:jV91RZGP0
特級兵1「・・・危険人物の捜索、ですか」


総統「軍の北東方向先に小さな森があるんだが」

総統「そこでその人物を見かけたとの報告があった」

総統「詳しくはそこに書いてあるから、説明するより読んだ方が早いだろう」


特級兵2「しかし」

特級兵2「この情報はどこから?」


総統「簡単に言えば、近くの村民の目撃情報だな」


特級兵2「なるほど」


総統「それでは頼むよ、お二人さん」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:52:09.97 ID:jV91RZGP0
2人は

一礼後、総統室を後にした


総統「・・・・・・」

総統「さて書記官」

書記官「は、なんでしょうか」

総統「彼らは」



総統「・・・・・どう動くんだろうね」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 04:57:11.44 ID:jV91RZGP0
軍北東の森


情報によるとこの森は

四季を問わず常に木々が緑色をしているという

有名且つ少々特異な森らしい


特級兵1「面積自体はなさそうだが」

特級兵1「こう緑が深いと捜索も大変だな」

特級兵2「ですね」

特級兵1「てかよくその村民も見つけられたなぁ」

特級兵2「あ、そういえば奥の方で見つけたって書いてありますね」

特級兵1「先に言え先に」

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 05:01:12.37 ID:jV91RZGP0
軍北東の森 奥


特級兵1「ここらへんか?」

特級兵2「これによると、そうっぽいですね」

特級兵2「ちなみにその村民は木こりだそうですよ」

特級兵1「なるほど、それでこんな奥に」

特級兵1「・・・・っていうか」


2人は、周りを見回す


特級兵1「・・・かなり大変だぞこんな視界の悪い中で探すの」

特級兵2「ですね」

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 05:05:07.20 ID:jV91RZGP0
特級兵2「わざわざ同じ事を二回言ってしまうほど大変って事ですね」

特級兵1「からかうんじゃないよまったく」

特級兵2「それよりどうやって探します?」

特級兵2「とてもじゃないけど捜索は大変・・・ってこれ言うの三回目ですねふふ」


特級兵1「程ほどにしとこうな」

特級兵1「そもそもその心配は無い」


特級兵1「これがあるからな」

特級兵2「・・・・おお?」

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 05:09:07.87 ID:jV91RZGP0
特級兵1は

謎の機械を取り出した


何かで例えるなら

パソコンにアンテナが付いたような物を


特級兵2「・・・・なんですかそれ」

特級兵1「対人間探索反物レーダー」

特級兵1「ごめん正式名称忘れた」

特級兵2「でしょうね、なんか難しそうな名前っぽいですもん」

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 05:14:55.97 ID:jV91RZGP0
特級兵1「ともかくこの機械はあれだ」


特級兵1「一定範囲内に存在する人間を探知できるというやつだ」

特級兵1「正確には、人間程度の大きさの生体反応がある生物を探知する」


特級兵2「なるほど」


特級兵1「もちろん木や建物もレーダーが貫通するから」

特級兵1「何かが邪魔で探知しないという事も無い」


特級兵2「素晴らしいですね」

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 05:20:08.78 ID:jV91RZGP0
起動させてから数時間


特級兵1「・・・・・・」

特級兵2「・・・・何も反応しませんね」


レーダーは

何の反応も示さない


特級兵2「という事はこの周りには人がいないって事ですかね?」

特級兵1「・・・・・・」


機械を見つめる二人


特級兵1「・・・・・おかしいな」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 05:26:22.85 ID:jV91RZGP0
特級兵2「機械の調子が、ですか?」

特級兵1「違うそうじゃない」

特級兵1「・・・このレーダーはお前が思っている以上に探索範囲が広いんだが」

特級兵2「ん?どういう?」

特級兵1「つまり」

特級兵1「森の中だけじゃなくて、森の外まで探知できるくらい高性能なんだこの機械は」

特級兵1「で、だ」



特級兵1「・・・森の外にすら人の反応が無い」

特級兵2「??」

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 13:38:04.11 ID:jV91RZGP0
特級兵1「その村民は木こりなんだろ?」

特級兵1「なら当然、森の近くに村や町があってもおかしくないはずだ」

特級兵1「だがこの森の中は勿論、森の外の周りにすら人がいない」

特級兵1「おまけに人が集まっていればそれだけレーダーに反応しやすくなるんだから」

特級兵1「外にまで何の反応も無いのは変だな」


特級兵2「・・・・それじゃあ」

特級兵2「この情報はガセ、って事ですか?」


特級兵1「・・・・・・」


特級兵1「それだけならまだマシだ」

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 13:42:34.57 ID:jV91RZGP0
特級兵1「不自然すぎる」

特級兵1「総統直々のお達しなのに」

特級兵1「この確実性の無さ」


特級兵2「うーん・・・」

特級兵1「なのにわざわざ特級の人間をよこすなんて明らかにおかしい」

特級兵2「でもじゃあなんで・・・」

特級兵1「それはまだなんとも言えんが」



特級兵1「とりあえず本部に戻るべきだろう」

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 13:46:34.27 ID:jV91RZGP0
(おかしい・・・)

(おかしすぎる・・・・)


特級兵1は機械の電源を切り

2人は森の外に出た


(どういうことなんだ・・・)

(一体・・・・)


そして

来た車に乗り込み、本部に一度帰還する事にした


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 13:50:33.86 ID:jV91RZGP0
特級兵1「・・・・一体」

特級兵1「どういう事ですかこれは」


総統室

中からは怒号が聞こえる


総統「落ち着いてくれ」

総統「許可無し所か上司に怒号だなんて」

総統「君らしくもないぞ」


特級兵1「御託はいいんですよ」

そう言い放つと同時に


バンッ

書類を机に叩き付けた

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 13:55:33.61 ID:jV91RZGP0
特級兵1「単刀直入に言わせてもらいます」

特級兵1「なぜこの依頼を総統自ら」


特級兵2「おい・・・口が過ぎるって・・・・・」


特級兵1「捜索をしてみた上に」

特級兵1「本部に帰還する前に森の外を少し回ってもみましたが」

特級兵1「町村どころか人の影すら見当たりませんでしたよ」

特級兵1「この“村民”の詳細を詳しく聞きたいものですね」

特級兵1「そもそもあの深い緑の中で人の顔を判別できるのかも怪しいですしね」


特級兵2「おい!いい加減にしろよ!」


総統「・・・・・・」

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:00:13.41 ID:jV91RZGP0
特級兵1「それに」

特級兵1「知名度の高い森にわざわざ逃げ込むなんて話もおかしい」


総統「・・・・・・・」


総統の顔が曇る


特級兵1「もしこんな重大なミスを犯しているのでしたら」

特級兵1「機関の管理体制を問わざるを得ません」


特級兵1「・・・もし別の考えをお持ちでこのような事を行ったのなら」

特級兵1「私はあなたに失望します」


109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:05:13.21 ID:jV91RZGP0
総統「・・・・・・・」



総統「・・・・さすがだよ」



総統「私が悪かった」





本当の事を話そう



110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:10:13.11 ID:jV91RZGP0
特級兵1「本当の事?今度は開き直りですか?」


総統「いや、そうではない」


特級兵1「では何の事なのでしょうか?」


特級兵2「だからその口調やめろって・・・・」

特級兵2「・・・・・・・」

特級兵2「・・・でも、俺もその本当の事とやらを聞きたいです」


総統「・・・・・ああ」

総統「これから本当の事を話させてもらうよ」

総統「謝罪もこめて」


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:15:19.07 ID:jV91RZGP0
総統「じゃあまず、謝罪からさせてもらうよ」

総統「手間をかけさせて本当にすまない」

総統「だが、名目が必要だった」


特級兵1「・・・・・」

特級兵2「名目・・・・ですか?」


総統「そう」


総統「私が任務の依頼で君達を呼び出し」

総統「その任務の情報は外れに終わったという」

総統「そんな名目が」

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:20:05.71 ID:jV91RZGP0
総統「私は安易に人材を呼べる立ち位置じゃなくてね」

総統「最初に君達を呼び出した時も、それなりの手続きを行った」

特級兵2「??」


特級兵1「・・・・要は」

特級兵1「私達が総統に呼ばれても不自然が無い理由を作りたかったって事ですか」


総統「その通りだ」

総統「ちなみにこの依頼は全部捏造、もちろん村民の話も」

総統「隣にいる書記官に内密にやってもらった」


書記官「どうも」


特級兵1「・・・・・・」

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:26:09.85 ID:jV91RZGP0
総統「重要な任務があって、その情報が外れだという名目があれば」

総統「君達が私に呼び出された理由も2回も総統室に来る理由も

総統「皆それぞれに理解してくれるだろう」

総統「下手に怪しまれずに済む」


特級兵2「・・・・・でも」


特級兵2「それに何の意味が?」


特級兵1「なるほど」

特級兵1「・・・・・つまり」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:29:54.19 ID:jV91RZGP0
特級兵1「・・・・これからする話こそが」




特級兵1「本当の依頼、ってことですか」




特級兵2「本当の・・・・・」




特級兵2「依頼・・・・・?」



116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:34:21.50 ID:jV91RZGP0
総統「そう」

総統「これから私がする話は、ここにいる者だけにしか話さない話」

総統「だから誰にも怪しまれないような手筈を行った」


特級兵1「そして」

特級兵1「ここだけの秘密という事は、内部の人間にも知られてはいけないという事」

特級兵1「つまり、本題の依頼というのは・・・」



特級兵2「・・・・・・」


特級兵2「・・・・『内部調査』、ですか」

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:39:17.30 ID:jV91RZGP0
一気に話し終えて疲れたのか

総統は一度席を立ち

大きく背伸びをした


総統「はぁ・・・・疲れた」


書記官「では」

書記官「続きは私の方から話をした方がよろしいでしょうか」


総統「ああ、悪いねお願い」


書記官「かしこまりました」

書記官「・・・それでは、さっそく続きを」

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:44:29.37 ID:jV91RZGP0
書記官「お二人様、これを見ていただけますか?」


そう言うと書記官は

1枚の書類を取り出した

今度は、誰かの顔写真が貼ってある


特級兵1「顔付きか」

特級兵2「この人は?」


書記官「先の入軍試験で、新しく階級制三級に配属された者です」


特級兵2「いきなり三級配属・・・」

特級兵1「で?こいつがどうしたんだ?」


121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:48:31.13 ID:jV91RZGP0
書記官「この人材は少し変わっておりまして」

書記官「入軍試験の実演考査中に」


書記官「・・・お仲間を3人失っているのですよ」

書記官「そのまんまの意味で」


特級兵1「そんな馬鹿な」


特級兵1「今期の実演試験がそんな難しいなんて話も」

特級兵1「チームの中の一人だけが合格なんて話も聞いた事が無い」


書記官「ですから、“変わった人材”なのですよ」

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:52:33.94 ID:jV91RZGP0
総統「なんでもそいつは」

総統「『町中の暗い地下道に迷い込んだ時、突如銃で襲われた』と言っていたらしい」


総統は喋り始めた


書記官「総統、もう大丈夫なのですか?」

総統「ああ平気だすまない」


総統「・・・そして」

総統「現地にいた指揮官達に他の新兵達にも協力してもらい調べさせた」

総統「しかし、地下道らしき物も彼の仲間も見当たらなかったどころか」

総統「それらしき手がかりも無かった」


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:56:40.89 ID:jV91RZGP0
総統「彼の言っていることの裏づけが取れず」

総統「仲間の行方も分からず」


総統「しかし、それでも現実に彼は軍に合格している」


総統「これらの結果から」

総統「私達はある仮説を立てたのだよ」


特級兵1「仮説・・・・?」


総統「そう」


125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 14:59:23.79 ID:jV91RZGP0
総統「もしかしてこいつは」








総統「“密偵”なのではないかと」

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:04:15.58 ID:jV91RZGP0
特級兵2「スパイ、って事ですか」


総統「そう」

総統「『わざとあの町で事件に巻き込まれたように見せかけ』」

総統「『どこかの組織とのパイプ役に、一人だけ試験に合格させ軍に侵入』」

総統「『そして軍内の情報を他の仲間を通して秘密裏に漏洩させる』」


書記官「そしてそのパイプ役こそが」

書記官「この新兵ではないかと考えています」


特級兵1「ふむ」

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:10:49.54 ID:jV91RZGP0
総統「軍内部の人間を買収するより遥かに簡単で確実で」

総統「且つ発覚しにくいという利点」

総統「それらを考えると」

総統「決してありえない可能性ではないと考えている」


書記官「少し想像に過ぎるお話でもありますが」

書記官「何か起こる前に改めて調査するのもありと判断いたしました」


総統「そう」

総統「そこで」



総統「君達に頼みたい事があるのだよ」

132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:17:13.39 ID:jV91RZGP0
特級兵1「いよいよ本題ですか」

特級兵2「・・・・というと?」


2人は首を傾げる


総統「実はこの新兵は今度」

総統「初任務を受ける予定なのだが」


総統「その任務を『合同任務』にしようと思う」


書記官「というより」

書記官「既にそうなっております」


特級兵1「・・・・・・・」

特級兵2「・・・・・・・」


133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:23:04.60 ID:jV91RZGP0
『合同任務』

級の違う2チームで部隊を組み

数少ない他階級との接触機会を作る為のシステム


特級兵2「・・・・・・・」

特級兵2「まさか・・・・」


特級兵2「その新兵と、その町に行けって言うんじゃ・・・・」


総統「安心してくれ」

総統「簡単な任務を取り付けておいたから」


特級兵1「そういう問題じゃないと思いますけれども」

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:27:17.08 ID:jV91RZGP0
総統「考えたあらすじはこう」


総統「ある町で行方不明者が続出する事件が起きている」

総統「そこで我々に依頼が来た」

総統「その町は新兵君にも関わりの深い町という話も聞いているので」

総統「ここは君の知恵も借りる為に合同任務を提案させてもらった」


総統「という感じだ」


書記官「思いっきり人の傷口掘り返してはいますが」

特級兵2「その新兵さん可愛そう・・・・」

特級兵1「ひでえなおい」

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:35:13.46 ID:jV91RZGP0
総統「まぁ本人もその町に再び行きたいと思っているだろう」

総統「彼の過去話を払拭するためにも」

総統「彼の疑いを晴らすためにも」

総統「都合の良い機会だと思うんだ」


総統「というわけで」

総統「是非ともお二人にお願いしたい」


書記官「だからもう決まっちゃってるんですけどね」


特級兵1、2「・・・・・・」


138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:38:06.65 ID:jV91RZGP0
特級兵2「・・・・分かりました」

特級兵2「行かせてもらいますよ」


特級兵1「決まっているのでは、仕方が無いですからね」


総統「やっと敬語に戻った」

総統「すまないな」

総統「それでは宜しく頼むよ」


特級兵1「そうだ、」

特級兵1「その新兵の本名は?」

139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:43:11.39 ID:jV91RZGP0
特級兵1「この書類にも新兵って書かれていますし」

特級兵2「どこにも書いて無いですね」


書記官「えっとですね・・・・」


書記官は手元に持っていたレポートらしき物をめくった

きっとあれには

軍内部の人間の情報がまとめられているのだろう







書記官「彼の名前は・・・・・・」


140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:48:27.05 ID:jV91RZGP0
総統室前


やばい

恐ろしく緊張している


ログ「ああ緊張する・・・・」

ログ「よりにもよって初任務が」



ログ「『合同任務』だなんて・・・・・」

ログ「しかも・・・・」


ログ「あの入軍式で見たあの総統直々に」

ログ「任務のお達しとは・・・」


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 15:53:27.04 ID:jV91RZGP0
今日は私の

軍に入ってから初の任務の日

なので最初に私は

緊張と不安を抱えながら


任務を受注する受付管理に行ったのだが・・・・


ログ「・・・・・・」

ログ「・・・・入って・・・ないんですか?」

管理1「はい」

管理1「三級新兵のログさんの任務リストには」

管理1「何も入っていませんね」


ログ「あれれ・・・・・・」


142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:00:23.95 ID:jV91RZGP0
ログ「今日初任務の予定なのですが・・・・」

ログ「本当に入ってないんですか・・・?」


管理1「一応何度か確認もしてみましたが」

管理1「入っていませんね・・・・」

管理1「ミスや不具合もなさそうです」


ログ「えええ・・・・・」

ログ「何でだあ・・・・・・?」




ピーンポーンパーンポーン


143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:04:54.97 ID:jV91RZGP0
[軍内放送]

[三級官隊新規一般兵、ログさん]

[総統室にお越し下さい]


ログ「・・・・・・・」

管理1「・・・・・・・」

ログ「・・・・・今の」

管理1「・・・・あなたの事っぽいですね」

管理1「という事はもしかしたら」


管理1「初任務は『合同任務』かもしれません」

ログ「合同・・・・任務・・・?」

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:10:51.21 ID:jV91RZGP0
管理1「他階級の方と一緒に任務を行う制度の事ですよ」


管理1「特級の方と一緒の任務の場合は稀に」

管理1「受付ではなくてこのような放送で呼び出す場合があるんです」


ログ「じゃあ私はもしかしたら・・・」


思わず身震いする


管理1「もしかしたら特級の方との合同任務かもしれませんね」


ログ「あわわわ・・・・・」

ログ「あばばば・・・・・」

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:15:17.34 ID:jV91RZGP0
いきなり最初の初っ端で

軍内でも一握りしかいないという特級の人と

合同任務なんて


ログ「まだ正式な任務は初めてなんですけど私」

管理1「良い経験になりますよ」

ログ「どう考えても苦い思い出になると思いますけど」

管理1「それよりいいんですか?」

ログ「?」



管理1「・・・・・総統は凄く人を待つのが嫌いなんですよ」

ログ「すいませんすぐ行ってきます」


148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:20:32.44 ID:jV91RZGP0
そんな経緯を重ねて

私は今

総統室の前に立っている


ログ「落ち着け俺・・・じゃなくて私・・・・」

ログ「別に説教されるわけじゃないんだきっと・・・」

ログ「そう信じたい・・・・・」

ログ「でも合同任務もそれはそれで嫌だ・・・・」


扉の前でモジモジする私

何してんだ私は


ログ「・・・・・よし」

150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:25:32.23 ID:jV91RZGP0
ログ「行こう」

ログ「いつまでも待たせるわけにはいかないし」


手が汗で湿り

額からも汗が垂れ


息も少しばかり荒れている


ログ「・・・・・かなり動揺しとるな私は」

ログ「だが」





ログ「入るぞ」


153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:40:52.39 ID:jV91RZGP0

ログ「私この度三級官隊に配属されました」

ログ「新兵のログと申します!」

ログ「どうか宜しくお願い致します!」

ログ(こんな言葉遣いでいいのか・・・・・?)


入るなり私は

大声で言った


総統「ああ、よろしく」

書記官「宜しくお願いします」

特級兵1、2「よろしく」


ログ(大丈夫そうだ・・・・)


154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:46:15.00 ID:jV91RZGP0
総統室に入った時

中には4人いた


一人は総統

もう一人は恐らく総統の付き人


つまり、残りの2人は


総統「こちらも紹介しよう」

総統「まず、隣にいるのが私の書記官」

書記官「改めて宜しくお願いします」


総統「そして」

155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:51:11.02 ID:jV91RZGP0
総統「話は管理から聞いているかもしれないが」

総統「そこにいる2人が」

総統「今回の君の『合同任務』のお相手」


総統「特級のお二人さんだ」


特級兵A「どうも」

特級兵B「どうか宜しくお願いします」


ログ「宜しくお願いいたします」

ログ(やっぱりこの2人は特級の人達か・・・・)

156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 16:56:17.76 ID:jV91RZGP0
総統「さて」

総統「『合同任務』自体についてはご存知かい?」


ログ「はい、大丈夫です」


総統「それは良かった」

総統「ならさっそく任務内容の説明に入ろう」

総統「それじゃあ書記官」


書記官「かしこまりました」

書記官「それでは、特級お二方と三級の新兵さんの」


書記官「今回の『合同任務』についてお話いたします」

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:01:40.59 ID:jV91RZGP0
書記官「今回の任務は」

書記官「ある町での行方不明事件の調査、です」


ログ「と、言いますと・・・」


書記官「その町では最近」

書記官「突如人が行方不明になる、との情報が入っております」

書記官「そこであなた方お三方には」

書記官「その町で何が起きているのかを調べていただきたいのです」


特級兵1「そうかそうかなるほどなるほど」

特級兵2(・・・・不自然な演技だ)


158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:06:00.48 ID:jV91RZGP0
ログ「しかし・・・・」

ログ「なぜ新兵の私にいきなりこのような任務を・・・」


書記官「それは私達も凄く悩みました」

書記官「ですが」

書記官「あなたは新規から三級に配属されるほどの有能者」

書記官「ですから決して出来なくはない任務であると判断したというのと」


書記官「もう一つは」


書記官「この参考資料を見ていただければ分かります」


159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:11:06.36 ID:jV91RZGP0
私は

資料を手渡しで受け取った


そしてその資料には

見覚えのある風景が載っている


ログ「これは・・・・・・」


書記官「そうです」

書記官「その挿し絵の町及び、今回任務で行っていただく町は」



書記官「あなたが入軍試験時に行った」

書記官「その町なのですよ」


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:15:26.47 ID:jV91RZGP0
あの日のことは


思い出すだけで吐き気がする


私がまだ


私を俺と呼んでいた頃の




忘れる事も思い出す事もしたくない


そんな思い出


161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:20:26.42 ID:jV91RZGP0
思わず唖然とした


ログ「そんな・・・・・」


総統「・・・正直君にはつらい任務かもしれないが」

総統「あの町に一度行った事のある実力者で」

総統「尚且つ手の空いてる者を探したら、君を見つけてね」


総統「これは色んな意味でのチャンスだと」

総統「私は思った」

163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:25:22.67 ID:jV91RZGP0
総統「新しい兵の実力を見れる」

総統「過去の払拭もできるかもしれない」

総統「さらに事件の解決も出来るかもしれない」


総統「これはいわば」

総統「君のための機会でもあるんだ」

総統「どうか引き受けてはくれないかな?」


ログ「私のための・・・・」


特級兵1(なんとも都合がいい話を)

特級兵2(ああ・・・可愛そうに・・・・)


164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:31:09.08 ID:jV91RZGP0
言葉を吐き出した時の

総統の表情


あの何かが胸に詰まっているような

にが苦しい表情


私のことを思ってそんな表情をしているのなら

当然



私も答えなければならないだろう

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  :2009/05/14(木) 17:34:03.40 ID:jV91RZGP0
すべき事は

ログ「・・・・・・」

考えるべき事は一つ

ログ「・・・・・やります」







ログ「その任務、喜んで努めさせていただきます」


私は笑顔でこう言った



新兵「やってしまった・・・」【後編】へつづく

引用元
新兵「やってしまった・・・」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1242231039/


 

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