141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:25:52.94 ID:3qkvpVnX0
    家の中


母「ここがリビングで、こっちが居間」

母「トイレはすぐ横で、個人の部屋は全部2階よ」


母は

家の中を案内してくれた

そして私も

必死に聞いたり見たい

でも


母「・・・・やっぱり思い出せない?」


天使「やってしまった・・・」【前編】【中編】【後編】
友達「やってしまった・・・」【前編】【後編】
死神「やってしまった・・・」【前編】【中編】【後編】
兄「やってしまった・・・」【前編】【後編】
男「やってしまった・・・」【前編】【中編】【後編】
女「やってしまった・・・」【前編】【後編】




142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:31:20.23 ID:3qkvpVnX0
    やっぱり何も

    思い出す事はなかった


    女「・・・・ごめんなさい」


    母「いいのよいいのよそんな」

    母「ゆっくり思い出していきましょ」


    母は微笑む

    凄く薄く


    母「それより」

    母「今日は早いけどもう寝ましょう」

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:36:31.55 ID:3qkvpVnX0
    母「お風呂の入り方とかは分かる?」


    コクリ


    母「そう、良かった」

    母「じゃあ夜ご飯作っとくね」

    母「女が大好きだったものいっぱい作るから」


    母「それに明日」

    母「自転車も取りに行かなきゃね」



    女「・・・・・うん」

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:42:12.97 ID:3qkvpVnX0
    食後


    母「女の部屋はこの中ね」


    女「ここが・・・・・」


    母「そうそう」

    母「あなた昔っから本が大好きでね」

    母「部屋の中に多分たくさん本があるから」

    母「もし読みたい本とかあったら読んでみるといいかも」


    女「・・・・・・」

    女「・・・・ありがとうございます」

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:46:50.91 ID:3qkvpVnX0
    部屋


    女の子の部屋には見えないほどの

    たくさんの本

    もうこれは

    部屋というより書斎に近い

    しかもぬいぐるみどころか

    可愛いものと印象を受けるものが何も無い


    女「・・・・私って」

    女「変わってたんだなぁ・・・・・」


    女「まぁ本好きの私なら分からなくもないけど」

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:51:29.77 ID:3qkvpVnX0
    女「あれ」

    女「でも何で私、自分が本好きって事は覚えてるんだろう」

    女「記憶喪失って」

    女「そういう記憶は残るのかな・・・」


    少し不思議に思う


    何故か私は、所々覚えている事がある

    本好きな事とか

    自転車をあの図書館に忘れた事とか


    女「・・・・・・う〜ん」

150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 13:56:18.62 ID:3qkvpVnX0
    女「とりあえず」

    女「もう寝させてもらおう・・・・」


    私は端にあるベッドに入った


    女「なんか・・・」

    女「人の部屋で寝てるみたい」






    スヤスヤ

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:01:15.58 ID:3qkvpVnX0
    翌日


    お母さんと私は

    出かける支度をした


    お母さんは仕事を休み

    私も学校はしばらく休む事になったらしい

    学校の事も何も覚えていないけど


    母「じゃあまずは」

    母「自転車を取りに行きましょ」

153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:06:17.08 ID:3qkvpVnX0
    女「歩きで・・・・・?」


    母「うん」

    母「ついでに町の風景も見て行きたいなって」

    母「もちろん女の体調によるけど」

    母「まだ歩くのはきつい?」


    女「・・・・・いや」

    女「大丈夫です」

    女「それに」


    女「私も自分の町が見てみたいです」

156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:10:13.63 ID:3qkvpVnX0
    外


    私たちは

    色んなところを回った


    母「ここが公園」

    母「あなた昔はここの常連だったのよ」


    母「ここがケーキ屋」

    母「あなた本だけじゃなくて甘い物も好きだったのよ」


    母「あなたの学校や塾は」

    母「遠いから今度行きましょうか」

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:15:12.58 ID:3qkvpVnX0
    知らない人間から受ける

    知らない町の知らない思い出


    女「・・・・・・」


    何も分からない私は

    当然口から言葉なんか出ず


    静かに眺めるだけだった



    そして、そうしているうちに



    何も感じないまま図書館に着いてしまった

159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:20:19.66 ID:3qkvpVnX0
    自転車は外には無かった


    母「あれ・・・・」

    母「確か、ここだったわよね?」


    私は頷く


    母「預かってくれてるのかな・・・?」


    母「・・・っていうかやっぱり大きいわね」

    母「まるでお屋敷みたい」


    母は

    私と似たような事を言った


    母「まぁとりあえず入りましょうか」

163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:27:55.56 ID:3qkvpVnX0
    図書館 中



    母「やっぱり広い・・・・・」

    母「でもこの時間でも薄暗いのね・・・・」


    母「この雰囲気タバコが吸いたくなる・・・・」

    母「家に置いてきちゃったけど」


    管理人「おや」

    管理人「あなた方でしたか」


    母「あ」

167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:36:41.83 ID:p7nX+bexO
    >>163
    図書館内でタバコ吸うな母ww

164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:32:28.57 ID:3qkvpVnX0
    昨日と何一つ変わらない雰囲気

    変わらない容姿


    母「すいません勝手に入っちゃって」


    管理人「いえいえ」

    管理人「いつもの事ですよ」

    管理人「それより、その後娘さんは・・・?」


    母「それが変わらずで・・・・」

    母「しかも病院も相手にしてくれなくて・・・」

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:36:15.86 ID:3qkvpVnX0
    管理人「そうですか・・・・」

    管理人「それはお気の毒に・・・・」


    母「それで」

    母「とりあえず町を見せながらここまで来たんです」

    母「何か思い出してくれるかなって思って」

    母「あとついでに自転車も」


    管理人「ああ」

    管理人「自転車でしたら裏の方に止めてあります」


    母「そうですか」

    母「ありがとうございます」

168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:40:17.49 ID:3qkvpVnX0
    やっぱり変だ

    町も風景も覚えていないのに


    なんで私はこのおじさんを覚えているんだろう


    母「ではお邪魔になってしまっても悪いので」

    母「帰りますね」

    母「自転車の事といい娘の事といい」

    母「本当にありがとうございます」


    管理人「気にしないで下さい」


    管理人「それより」

169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 14:44:46.15 ID:3qkvpVnX0
    おじさんは言った


    管理人「せっかくですし」

    管理人「本を読んでいきませんか?」


    母「え?」


    管理人「悪くは無い本が揃っている自信はありますよ」

    管理人「それに

    管理人「娘さんも何かを思い出すかもしれませんし」


    母「・・・・・・」

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:00:24.99 ID:3qkvpVnX0
    確かにそうだ

    娘は多分、この図書館で記憶を失ったらしかった

    ならもしかして


    ここにいれば何かのきっかけで思い出すかも


    母「・・・そうですね」

    母「本好きな娘なら、ここは絶好の場所ですし」

    母「もしかしたら何か思い出すかも」


    母「・・・よろしかったら」

    母「しばらくいさせてもらってもよろしいでしょうか?」


    管理人「はい、全然大丈夫ですよ」

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:03:08.96 ID:3qkvpVnX0

    記憶喪失なのに

    ところどころ残る記憶


    そして

    他にも残っているものがある


    それは確か


    私が倒れた時の事

174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:07:14.65 ID:3qkvpVnX0
    母「ところで料金は・・・・?」


    管理人「お代はいりません」

    管理人「ご自由にどうぞ」


    母「え・・・・・?」

    母「無料、ですか・・・・?」


    管理人「はい」


    母「・・・こんなにもたくさんの本があるのに?」

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:11:54.33 ID:3qkvpVnX0
    管理人「はいそうですよ」

    管理人「私、本の為になるもの以外は興味が沸かないんですよ」

    管理人「かといってお金で本を買うのも好きじゃなくて」


    母「そうなんですか・・・」

    母「それじゃあ」

    母「お言葉に甘えて・・・・」


    母「女、管理人さんが好きな本読んでいいって」


    女「・・・・・・・」

176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:15:32.77 ID:3qkvpVnX0

    この会話も覚えている

    このやりとりは前も聞いた


    どういうことなんだろう

    記憶が残ってたら

    記憶喪失じゃないと思うんだけど


    そしてなにより

    私が倒れた時

178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:19:31.81 ID:3qkvpVnX0
    管理人「そうだ」

    管理人「新しく入った本があるんですよ」

    管理人「この本なんですが」


    そう言って管理人さんは

    本を差し出してきた


    母「これですか?」


    母「・・・・・でもなんで私に?」


    何故か娘じゃなくて

    私に

179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:24:31.86 ID:3qkvpVnX0
    管理人「いや、娘さんには一回勧めたので」

    管理人「それに」

    管理人「お母さんもずっと待ってるだけじゃあ暇でしょうから」


    母「・・・・・・」

    母「・・いいんですか?私まで」


    管理人「ええ、どうぞどうぞ」


    母「それじゃあ・・・・・」

    母「読ませてもらっちゃおうかな・・・・」


    母は本を受け取った

180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:28:15.49 ID:3qkvpVnX0
    完全に思い出した


    私は倒れる前に

    勧められた一冊の本を開いた

    その瞬間に、その本に吸い込まれたような

    そんな感じがして

    そうして気付けば倒れてて

    大体の記憶を失ってた






    大声で叫んだ

181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:29:46.86 ID:3qkvpVnX0
    女「・・・・・だめ」













    女「その本を開いちゃだめ!」

183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 15:34:31.09 ID:3qkvpVnX0
    そうだ


    私があの時読んだ二つの本の話

    そのどちらもが

    一部の記憶だけ失った人のお話だった


    そして私も

    一部の記憶は残っている


    じゃああの本は

    私が開いたあの本は

    母が開こうとしたあの本は

187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:00:20.88 ID:3qkvpVnX0
    『私、本のためになるもの以外興味が無いんですよ』


    じゃあ

    本の為になるものには興味があるって事?


    『こんな辺鄙なところまで』


    それは

    周りに気づかれない様にしてるって事?


    『お金取りませんよ』


    なら




    別の何かは徴収するってこと・・・・?

188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:05:38.80 ID:3qkvpVnX0
    私は驚いた

    ずっと静かだった娘が


    急に大声で叫ぶから

    母「ど、どうしたのよ急に・・・」

    母「もしかしてこれ読みたかった?」


    女「・・・違うの」

    女「その本は・・・・・」





    女「・・・記憶を奪う本なの!」

189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:08:34.55 ID:3qkvpVnX0
    管理人「・・・・・・」


    母「い、いきなりどうしたのよ・・・・?」

    母「よく意味が・・・・・」


    女「私・・・・・」

    女「私、覚えてる事があるの・・・」


    母「覚えてる事?」

192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:12:24.49 ID:3qkvpVnX0
    女「私も」

    女「昨日お母さんと同じ様に本を勧められた」


    女「それで」

    女「そのとき本に吸い込まれるような感じがして」


    女「その後気づいたら記憶が無くなってた」

    女「だからきっとその本は・・・・」


    母「・・・・・・」


    管理人「・・・・・」


    彼は無表情のまま

    何も言わない

191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:12:22.31 ID:p7nX+bexO
    「お代はいりません」が喪黒福造で再生された

193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:16:01.87 ID:3qkvpVnX0
    >>191なんか共感した


    母「でもいくらなんでもそんな話・・・・」

    母「それこそ小説じゃないんだから・・・・」


    女「・・・・・・」

    女「・・・・でも」



    女「多分証拠もある」


194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:19:55.57 ID:3qkvpVnX0
    そう言うと彼女は

    いきなり本棚を探り始めた


    あの例の2冊の本があった本棚を


    管理人「・・・・・・」


    彼は口を開かない




    女「・・・・・・・」


    女「・・・あった!」

    女「これ!」

196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:23:15.32 ID:3qkvpVnX0
    女「この本」


    母「これ・・・・?」


    娘が差し出した本

    タイトルは


    母「『女の子の思い出』・・・・・」


    女「多分これだと思うんです」

    女「読んでみてください」


    母「・・・・うん」


    何も理解できないながらも

    とりあえず本を開いた

197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 16:29:08.21 ID:3qkvpVnX0
    --------------------------
    ある所に女の子がいました

    その女の子はとにかく本が大好きでした

    本の事になると他が見えなくなるくらい本好きでした

    そんなある日

    女の子はある所で、不思議な本を読みました

    そして女の子は

    その本の素晴らしさに虜になりました

    しかし

    女の子は、代わりに大事な事を忘れてしまいました
    ---------------------------

218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:17:29.68 ID:3qkvpVnX0

    母「あ・・・・あ・・・・・・」

    母「これ・・・・・・」

    母「このお話・・・・・・」


    女「多分」

    女「・・・・私のお話」


    女「きっとあの本は、開いた人の記憶とか思い出を奪って」

    女「そのお話を本にする・・・・とか」


    女「だからきっと私は記憶喪失なのに」

    女「本の事とかは覚えてた」

219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:22:18.71 ID:3qkvpVnX0
    女「昨日見た時はこの本は多分無かったですし」

    女「今日入荷したにしても」

    女「こんな古ぼけてるわけないです」


    女「・・・・・・」

    女「・・・・・管理人さん」


    管理人「・・・・・・」


    まだ口を開かない

221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:28:00.35 ID:3qkvpVnX0
    長い沈黙

    広い静寂


    その静かさは

    洋館の元々の暗さも合わさって

    より一層不気味な時間になった


    そして




    管理人「・・・・・・フフ」


    彼は口を開いた

223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:33:13.18 ID:3qkvpVnX0
    管理人「・・・・素晴らしい」

    管理人「実に素晴らしい!」


    先ほどとは打って変わっての

    響く大声


    女「・・・・・・」


    管理人「まるでそう!」

    管理人「推理小説の犯人役にでもなったみたいに!」

    管理人「追い詰められる緊張と興奮」


    管理人「たとえ擬似でもこの年で味わえるとは」

    管理人「本好きの私にはたまりません」

225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:37:47.23 ID:3qkvpVnX0

    母「じゃあ・・・・・」

    母「本当にそんな事が・・・・・」


    管理人「ええそうです」

    管理人「まさにその通りですよ」


    管理人「そうだ」

    管理人「説明も含めまして」


    管理人「私のお気に入りの昔話を話しましょうか」


    管理人「きっと本好きのあなたなら」

    管理人「気に入るはずですよ」


    女「・・・・・・」

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:41:53.61 ID:3qkvpVnX0
    --------------------------
    昔、まだ若い青年がおりました

    その青年は無類の本好きで

    希少な本があると聞けば、辺境にまで赴く変わり者でした

    そんな青年でしたから

    当然の如く本の情報や噂には詳しく

    本への欲求へ向かう内に

    ふと気づけば

    図書館を開館できるくらいまで本を持っていました
    ---------------------------

227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:45:27.17 ID:3qkvpVnX0
    ---------------------------
    そんな青年がある日

    とても興味をそそられる情報を手にいれました

    『人の思い出をお話にする本』

    青年はとても惹かれました

    その情報を元に長年の苦労を費やし

    青年は遂に

    その本を手に入れました

    そして



    青年は、その本を開きました
    ----------------------------

228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:49:28.61 ID:3qkvpVnX0

    母「じゃああなたも・・・・・」


    管理人「ええ、開いてしまいましたよ」

    管理人「おかげで今の私に残っている記憶は」

    管理人「この洋館内の本の内容だけ」

    管理人「あと、来たお客様を少々くらいですか」


    管理人「・・・・でも私は」


    管理人「あなたとは違う道を進んだんですよ」


    女「違う道・・・・?」

229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:54:17.71 ID:3qkvpVnX0
    管理人「そう」

    管理人「私は昔の記憶を探そうだなんて考えなかった!」


    管理人「終わった事などどうでもいい!」

    管理人「いやむしろ!」

    管理人「足枷が無くなってせいせいしました!」


    女「そんな・・・・・」


    管理人「あなたにも分かりませんか?」

    管理人「何にも邪魔されずに、一つに熱中したいこの気持ちが」




    「本好きの、あなたなら」

232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 19:57:42.64 ID:3qkvpVnX0
    もしこの人が

    冗談で言っているのなら

    私はよくそんな悪い冗談が言えるものだと

    軽蔑します


    もしこの人が

    本気で言っているのなら

    私はなんでそうなってしまったのかと

    憐れみを感じます


    そう



    つまりは

233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:01:44.15 ID:3qkvpVnX0
    女「・・・・・分かりません」


    女「そんなの、理解できません」


    管理人「・・・・・・・」


    彼は首を傾げる


    管理人「・・・・なぜ」

    管理人「なぜなんです?」

    管理人「本が好きなのに?」



    女「・・・確かに」


    女「確かに本は好きです・・・・・」

234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:05:14.68 ID:3qkvpVnX0
    私の隣に立っている女性


    女「でも・・・・・・」


    不安でいっぱいだった私を


    女「私には・・・・・」


    ひたすら引っ張ってくれた女性

    笑いかけてくれた


    お母さん


    女「本よりも」

    女「ずっと大事な物があるんです」

235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:09:27.56 ID:3qkvpVnX0
    言い終えた私は

    お母さんに笑いかけた


    母「女・・・・・・」


    管理人「・・・・そうですか」

    管理人「やはり」

    管理人「私ほどの本好きは早々いないものですね・・・」


    管理人「・・・まぁいいでしょう」

    管理人「別に同士がいなくとも、本は読めます」


    管理人「それより」

237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:13:41.63 ID:3qkvpVnX0

    管理人「残念ながら」

    管理人「このお話は、ハッピーエンドにはなりえませんよ」


    女「・・・・・」


    管理人「一旦本になった記憶を取り戻す方法は」

    管理人「持ち主の私にも分かりませんからねぇ」


    母「・・・・・・」


    管理人「それに私がたとえ知っていたとしても」



    管理人「私は、円満で解決するお話が大嫌いでしてね」

238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:16:41.53 ID:3qkvpVnX0
    管理人「都合の良い設定で都合よくみんな幸せ」

    管理人「ああそんなのは反吐が出る!」


    管理人「真に美しいのは」

    管理人「敗北と支配に満ちたバッドエンド!」


    管理人「それこそ小説!」

    管理人「それこそが本当のお話!」


    管理人「あなたの記憶は戻らない!」

    管理人「それが現実!」

240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:22:05.77 ID:3qkvpVnX0
    荒んだ声

    引きつった形相

    もうそこに紳士のおじさんの面影は無く

    ただの狂人にしか見えない


    もうこの人は

    救いようが無い


    本という呪いにかかり

    抜け出せなくなった人

    そんな彼を救うには




    こうするしかない

242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:26:06.05 ID:3qkvpVnX0

    母「・・・・あなたがおっしゃりたい事は」

    母「よく分かりました」


    管理人「それはそれは」

    管理人「人に理解してもらえるのは嬉しい事です」

    管理人「たとえ、それが上辺だけの理解でも」


    母「・・・・・・そうですね」

    母「きっと、上辺だけの理解でしょうね」

    母「なので私は」


    母「こういう選択を取ります」

244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:28:50.85 ID:3qkvpVnX0
    母は














    ポケットからライターを取り出した

248 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:33:16.17 ID:3qkvpVnX0
    母が持っているのは

    きっとタバコを吸うためのライター


    母「タバコは置いてきちゃったけど・・・・」

    母「まさか、こんなとこで役に立つなんてね」


    彼の顔が

    みるみる青ざめる


    管理人「な、な、な・・・・・・・」


    管理人「な、なにをす、する気ですか・・・?」

251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:38:05.30 ID:3qkvpVnX0
    母「そんなの決まっています」

    母「こうするんです」


    母は

    手に持っていた本とライターを掲げ


    管理人「ま、まさか・・・・・」


    管理人「や、やめてくれ・・・・・・」




    シュボ



    本に火をつけた

255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:52:12.84 ID:3qkvpVnX0

    母はすぐに本を投げ捨てた

    暗い館内を照らす火


    本はみるみる燃えて行く


    管理人「あああ・・・・・あ・あ・あ・あ・・・・」

    管理人「なんてことを・・・・」


    彼は

    本に近寄った


    管理人「早く・・・・消さないと・・・・」

    管理人「早く・・・・・」

256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:55:21.74 ID:3qkvpVnX0
    彼は本に手を伸ばした

    すると火は

    彼の服に燃え移った


    管理人「ひ、ひゃああ・・・・・」

    管理人「水・・・・水・・・・・・」


    見るからに動揺している


    管理人「燃える・・・燃えてしまう・・・!」

    管理人「本も・・・・私も・・・・・!」

258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 20:59:22.63 ID:3qkvpVnX0
    火の恐怖におびえたのか

    はたまた焦りで何も見えていないのか

    彼は突如走り回り始めた


    そして当たり前のように

    火は回りの本にも燃え移り


    あんなに暗かった館内に


    赤と黄色の照明が


    ひたすら点滅を繰り返した

262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:04:47.02 ID:3qkvpVnX0

    その後私たちは無事に逃げのび

    この事は忘れる事にした


    後日に人づてに聞いた話だと

    あの図書館は一晩中燃え続けたらしく

    周りの木々に飛び火してたら

    近所まで危なかったと聞いた


    それを聞いて少しばかり罪悪感を感じたものの

    私達は



    ほぼハッピーエンドの結末を喜んだ

264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:09:32.31 ID:3qkvpVnX0
    とある日



    受付「先生」


    医者「ん?どうしたんだい?」


    受付「実は」

    受付「雑誌の記者の方がお見えになっていまして」


    医者「ああ、そうだったね」

    医者「ちゃんと事前に連絡もらってるから通してもらって」


    受付「分かりました」


266 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:13:26.68 ID:3qkvpVnX0
    記者「どうもすいません」

    記者「忙しいところをお時間を頂いて」


    医者「いえいえ、構いませんよ」


    記者「それじゃあさっそく、時間も限られていますので」


    記者「実は今度」

    記者「ちょっと変わった患者さん特集というのをやろうと思いまして」


    医者「ほう」


    記者「それで、是非現役のお医者様にお話を聞きたいなと」

    記者「そんな考えで赴いた次第です」

267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:17:23.45 ID:3qkvpVnX0
    記者「もちろん個人情報は聞きませんし書きません」

    記者「出来れば程度で結構です」


    医者「・・・・・・」

    医者「・・・・なるほど」


    記者「それで、何かありませんか?」


    医者「うーん・・・・・」

    医者「あ」


    医者「そういえば、この前に記憶喪失の変わった患者さんが・・・・」

269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:21:11.55 ID:3qkvpVnX0
    それから数十分に及ぶインタビューを終えた私は

    帰る記者を見送った

    だが


    医者「・・・・おかしいなぁ」


    首を傾げる


    受付「?どうしたのですか?」


    医者「いや」

    医者「あの記者は敏腕で有名な人だったはずなんだが・・・・」

    医者「なんだかあっけなく終わってしまったよ・・・・」


    受付「・・・そうなのですか」

271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:24:18.08 ID:3qkvpVnX0
    頭を掻きながら

    メモを取った手帳を見る


    記者「・・・・・・」

    記者「・・・・だめだ」


    記者「こんなんじゃ、話にならない」



    そう一言呟くと

    記者は

    手帳を投げ捨て


    どこかに向かって歩いていった

273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:26:25.08 ID:3qkvpVnX0
    そう

    物語は

    常に繋がっている


    あらぬところから

    一本の線を見せながら


    そして

    その線を辿った先に








    何かしらの結末がある


    fin

274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:27:12.34 ID:0wI67XsG0
    乙
    不思議な感覚です・・

278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:29:07.19 ID:6W5t5YkcO
    おつ!
    不思議な話だった

279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:29:33.70 ID:JEdad7hfO
    乙ですハクの人。

    つ饅頭とお茶セット


    今回はライトでしたね。

280 : 【大吉】 :2009/05/01(金) 21:30:02.52 ID:u2Vgn+hbP
    >>46か!

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:14:49.77 ID:3qkvpVnX0
    --------------------------
    ある所に記者がいました

    その記者は、どんな記事でも書く曲者でした

    書かれた他人の気持ちなど知らずに

    しかしある日

    記者はある所で、心の大切さを知りました

    そして記者は

    ボランティアをするようになりました

    しかし

    記者としての才能は無くなってしまいました
    ----------------------------

283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:33:21.17 ID:3qkvpVnX0
    >>280そうです、本の被害者達は実は繋がっているっていう感じにしました

    皆様支援保守等ありがとうございました
    次もしまた会いましたら是非宜しくお願いいたします

285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:36:02.24 ID:+SuhIniG0
    >>280
    まったく気付かなかったわorz

288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 21:59:42.05 ID:JEdad7hfO
    世界は狭いのな。

289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 22:01:44.04 ID:0wI67XsG0
    >>288

    狭いって?

291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 22:14:03.37 ID:JEdad7hfO
    >>289
    狭いって言わないかな…
    うーん、例えが思いつかない。

294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 22:31:29.97 ID:0wI67XsG0
    >>291
    >本の被害者達は実は繋がっているっていう感じ
    これが、狭い、かな

290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 22:08:42.27 ID:uXkdnLesO
    追い付いてそして今読み終わった
    >>1乙
    このシリーズ好きだ
    椅子で寝ちゃう>>1はもっと好きだ!!

    次作に期待してるよ!


女「やってしまった・・・」おしまい


引用元
女「やってしまった・・・」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1241105341/


 

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