引用元
超王道ジャンル「恋ノ病」

http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1236948147/


1 名前:猿避け支援歓迎  投稿日:2009/03/13(金) 21:42:27.12 ID:2GdHKXo90
−3月7日昼 自宅アパート 男の部屋−

妹「はいお兄ちゃん!親子丼できたよー」

男「おお、サンキュー!ほかほかじゃん」

妹「どうせ普段ロクなもの食べてないんでしょ?」

男「お察しの通りで。いただきまーす!」

妹「あ!粕汁も作ったから…はい!」

男「おお、気が利くなあ」

妹「てへへっ/////だってお兄ちゃんの妹ですからっ」



 
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:44:59.42 ID:2GdHKXo90
妹「ねえ、どう!?美味しい!?」

男「ツユの甘さと鶏肉の旨味が絶妙で、卵がフワトロ…文句の付け所がないな」

妹「そ、そんなに誉めなくてもっ//////」

男「いやいや、上出来だよ!ありがとうな」

妹「ま、まあ私が来たときくらいは美味しいもの食べてもらわないとねっ」

男「だな。一人暮らしはやっぱダメだ」

妹「…なんか変わったね。お兄ちゃん」

男「…へ?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:47:31.28 ID:2GdHKXo90
妹「なんか一人暮らし始めたお兄ちゃん、家にいた頃より雰囲気が変わった気がするよ」

男「そうかぁ?別に何も変わったことはないけど…」

妹「ねえ、家に帰って来ないの?お金キツイんじゃない?」

男「まあでもこっちの方が自由きくからな」

妹「そう…やっぱり戻ってきてくれないんだ…」

男「…どうした?」

妹「ううん…何でもない」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:49:38.66 ID:2GdHKXo90
男「ん?そういやお前昼から用事あるんじゃなかったっけ?」

妹「あ!忘れてた」

男「早く行かないといけないんじゃないか?」

妹「…もう行かないでおこっかな」

男「おいおい」

妹「だって…お兄ちゃんと一緒にいる方が楽しいし」

男「何言ってんだよ、途中まで送ってやるからさ」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:52:27.56 ID:2GdHKXo90
男「じゃあ駅まで一緒に行く―――」

妹「いいよ、玄関で」

男「い、いいのか?」

妹「うん…いい」

男「そ、そうか…じゃあ、またな。親子丼と掃除サンキュ」

妹「うん、じゃまた来るから。あ、あとゴミ捨てとくね」

男「何から何までゴメンな。じゃ、バイバイ」

妹「…バイバイ」

キィ… バタン

妹「………」

―――お兄ちゃんは全然私の気持ちに気づいてくれない。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:55:07.81 ID:2GdHKXo90
タタタ…

妹「…ここなら見えないよね」

―――このゴミ袋はお兄ちゃんの部屋から出たゴミばかり。

ガサゴソ…

妹「………」

―――でも全部持ち帰ると怪しまれるから…。

妹「…ふふ、うふふふふふっ」

ガサゴソ…

―――だから少しだけ持って帰るの。

妹「…オ兄チャン…うくっうくくくくっ」

―――大好きなお兄ちゃんのゴミなら何でも欲しい。何でも、なーんでも。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:57:24.70 ID:2GdHKXo90
妹「…あはっ、お兄ちゃんてば、パンツそのまま捨てちゃって」

妹「ハアハア…わあ、これ割り箸…あ、ティッシュもある…」

妹「えへ、えへへへへへっ///////大好き、お兄ちゃん」

ガサゴソ…

―――お兄ちゃんのものなら何でも欲しい。全てが欲し…。

妹「…何これ?」

―――どういう…こと…?

妹「…生理…用品?」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 21:59:43.35 ID:2GdHKXo90
妹「………っ」

―――お兄ちゃん、まさか女を連れ込んでる?

妹「へえ…」

―――そっか、そういうことなんだ。

妹「へえー、そっかそっか」

―――私以外の女があの部屋に、ね。

妹「…許さない」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:02:13.84 ID:2GdHKXo90
―――そんなのダメ。だってお兄ちゃんは私のもの。

妹「…あはっ」

―――いいわ。そんな女がいるのなら排除するから。

妹「うく、うくくくくく…」

―――私以外の女は絶対に許さないんだから。

妹「ふふっ…ふふふふ。あははははははははははっ!!」

―――どんな手段を使っても排除してやるわ。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:04:28.92 ID:2GdHKXo90
−3月7日夕方 自宅アパート前−

ガチャッ

男「さて新聞新聞っと」

女友「あ、男クンじゃん」

男「おおっす女友。なんだ、買い物帰り?」

女友「うん、1週間分の買いだめ」

男「だろうな、すげえ量だ」

女友「あ!部屋が隣だからって食料たかりに来ないでよね」

男「…ちっ、いま言おうとしてたところなのに」

女友「だから先に言ったのよっ」 

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:07:00.73 ID:2GdHKXo90
女友「そういえば昼間、妹さん来てたよね」

男「声聞こえたか?うるさくてすまんな」

女友「いえいえ、仲睦まじいようで」

男「まあ、ちょっとシスコンじみてるかもしれんな」

女友「やだーきもーい(棒読み)」

男「そんなリアクションいらねえから」

女友「そういえばさ、男クン彼女とかいないの?」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:09:24.67 ID:2GdHKXo90
男「…彼女?」

女友「そ、彼女。いたら妹さんじゃなくて彼女にやってもらえばいいのに」

男「…いねえよ」

女友「いないんだ?へー」

男「何だよ、そのどうせ知ってましたけど的な顔は」

女友「おほほほほっ!いえいえこれは失敬失敬」

男「どうせ俺はモテないっつの」

女友「―――じゃあさ、好きな人とかは?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:11:59.43 ID:2GdHKXo90
男「は?」

女友「いるでしょ?好きな人くらい」

男「いや特には…」

女友「たとえばさ…女とかは?」

男「えっ…女っ!?」

女友「ほれほれぇ!声が裏返ってますぞよ?」

男「ち、違うって…これはそのっ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:14:34.01 ID:2GdHKXo90
女友「だって男クンがこのアパートに決めたの、女が住んでるからでしょ?」

男「違うって!大学で女がストーカーに悩んでるって聞いたから、その…」

女友「それを理由に家を探してるフリをして見事隣の部屋をゲットした、と」

男「い、言いがかりだ!」

女友「そしてそのまた隣に私も引っ越してきましたよっと」

男「ど、どうでもいいっつの!お前の話は」

女友「いいねえ、両隣に女の子なんて、男クンは日本中の童貞から殺意の念を送られること必至だねぇ」

男「…ちっ、言ってろ」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:16:43.77 ID:2GdHKXo90
女友「…そういえばさ、ここんとこ女のこと見ないんだけど…知ってる?」

男「へ?俺、昨日見かけたぞ?」

女友「たまたまかぁ、私あんまり見かけないんだよね」

男「まあもともと引きこもりがちなヤツだからな」

女友「4回生ともなると大学にも行かないしね」

男「電話でもしてみたら?」

女友「そうね、今夜にでも電話してみよっかな

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:19:57.01 ID:2GdHKXo90
男「…うう寒っ!じゃあ俺もう部屋入るぞ?」

女友「じゃね!」

男「うーい」

ガチャッ バタン…

男「………」

男「…女のことが好き、か」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:22:19.71 ID:2GdHKXo90
−3月7日夜 男自宅−

ピリリリリッ ピリリリリッ

男「…はいもしもし?」

『私だけど』

男「ああ、妹か」

『今、家からかけてるんだけど、私、携帯電話忘れてない?』

男「携帯電話…?いや別にないけ―――」

『明日、探しにに行ってもいいかな?』

男「いや、だからないって―――」

『探しに行くね?いいでしょ?』

男「えっ…あ、ああ、まあいいけど」

『分かった。じゃあ明日行くから』

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:25:36.84 ID:2GdHKXo90
男「つーか、なんかお前声のトーン低くないか?」

『そう?気のせいじゃない?』

男「いや、なんか言葉の端々にトゲがあるっていうか…」

『とにかく、明日行くから』

男「あ、ああ…分かった」

『…じゃ』

ブチッ ツーツーツー…

男「何なんだ一体…?」

男「………」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:27:41.55 ID:2GdHKXo90
−3月7日深夜 女友部屋−

トゥルルルル トゥルルルル

『もしもし?』

女友「あ、女?私だけど。久しぶりっ」

『久しぶりだね。そういえばしばらく会ってないカモ』

女友「今どこ?」

『い、いまっ!?え、えっと…』

女友「部屋にいる?行ってもいい?」

『あ!いまは部屋にはいないの!実家に帰省中だからっ』

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:31:21.64 ID:2GdHKXo90
女友「そういえば女の実家、めちゃくちゃ遠いよね」

『う、うん…そうなの…あはははは、しばらく戻らないって感じ』

女友「ま、でもそっちの方がたぶん安全だよ」

『どういうこと…?』

女友「だって男と離れてられるじゃん」

『………』

女友「絶対ストーカーの犯人、アイツだよ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:34:57.53 ID:2GdHKXo90
『そ、そうかな…?』

女友「決まってるって!アイツ、人の良さそうな顔してるけど、内心何考えてるか分かんないし!」

『い、いい人だと思うケド…』

女友「ストーカーの話をダシに都合よく女の隣室に引っ越してくるし!絶対にアイツしかいないって!」

『…う、うん』

女友「ま、男のヤツは私が監視してるから心配しないで!
    もし留守中の女の部屋に入ろうとしたりしたら、警察呼んでやるからっ」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:37:32.57 ID:2GdHKXo90
『あ、ありがと…ハア…ハア…』

女友「ね、ねえ。なんか息荒くない?調子悪いんじゃ…」

『ハア…ハア…ゴ、ゴメン!私…ちょっといま忙しいの!で、電話切っていい?』

女友「へ?あ、ちょっと…」

『フゥ…フゥ…じ、じゃあね、電話ありがとっ』

女友「あ、ちょっと女―――」

ブチッ ツーツーツー…

女友「切れちゃった…」

女友「………」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:39:35.78 ID:2GdHKXo90
―――もしかして女、何か隠してる?

女友「………」

―――何か様子がオカシイ。

女友「…どうして?」

―――何を隠してるの?というより本当に実家に帰っているの?

女友「…っ」

―――もしかして既に男に監禁されてる、とか?

女友「さすがにそれはない、かな…」

―――ただ、この漠然とした不安は何だろう?

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:42:24.57 ID:2GdHKXo90
ガタッ

女友「…何の…音?」

―――ベランダから?

女友「男の部屋の方から?」

―――……窓越しに見るならバレないよね。

女友「確認しておいた方がいいわよね…」

―――男の部屋のベランダに誰かいる…?

女友「暗くて見えない…」

―――でも、男よね?ルームシェアとかしてないはずだし…。

女友「…アイツ、まさか女のベランダに通じている非常ドアこじ開けようとしてるの?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:45:12.67 ID:2GdHKXo90
女友「………ッ」

―――やっぱり、女をストーカーしてたの男だったんだ。

女友「…今、女はいないから部屋の物色でもするのかな」

―――今行って止めさせる?いやでも…ど、どうしよ?

女友「…あ」

―――これ、もし上手くいけば…。

女友「………ふふっ」

―――今しか、チャンスはない。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:47:37.20 ID:2GdHKXo90
―――ずっと男クンが好きだった。

女友「…今ここで弱みを握って」

―――でも男クンは女のことばっかり。

女友「徹底的に脅迫して…」

―――隣に引っ越してきたのにまだ振り向いてくれない。

女友「そして…くくっ」

―――コンナニ好キナノニ…。

女友「あはっ…いま行くからね?男クン」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:51:26.64 ID:2GdHKXo90
ガチャッ

女友「………」

―――女の部屋の合鍵の隠し場所は知ってる。

女友「…玄関から入るしかない、か」

―――部屋の中からわずかに音がする…まだいる。

女友「…よし」

ジャリ…カタン

女友「…ッ」

―――鍵は開いた。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:53:33.69 ID:2GdHKXo90
−女の部屋−

ガチャッ バタンッ

女友「男クンっ!?何してるのよッ!?」

―――…。

女友「…あれ?」

―――部屋の中、真っ暗?誰もいない?…いや、それよりも。

女友「な、何なのよこのニオイ…」

―――血のニオイ…?

女友「ねえ、いるんでしょ!?さっき見たのよ!」

シーン…

女友「…か、隠れてるの?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:55:50.82 ID:2GdHKXo90
女友「…どこにいるの!?出てきなさいよ!?」

―――どうして!?気配1つ感じられない。

女友「ねえ、ちょっと出てき―――」 ヌルッ

女友「きゃあっ!?」 ズルッ

―――何かにすべった!?」

女友「ちょ、ちょっと…何よこれ―――いやああああッ!?」

―――こ、これ…全部ハトの死骸…!?

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 22:58:32.16 ID:2GdHKXo90
女友「あ、あああ…ッ!?」

―――な、何これ!?意味が分からない気持ち悪いッ!?

女友「い、いや…何なのよこれッ!?」

―――に、逃げないとッ!?こんなの絶対におかし…。

ガッ

女友「―――ッ!?」

―――誰かに後ろから肩をつかまれたッ!?

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:01:04.27 ID:2GdHKXo90
女友「きゃあああああああああッ!?」

ガタッ ドタンッ

―――暗くてよく見えない。

?「死ねっ!死んでしまえッ!」

―――ただ自分がいま何者かに襲われているのは分かる。

女友「ちょっ…いやっ!?」

―――この声、どこかで…?

?「きゃははははははははははッ!アンタさえいなければおにい―――」

―――男クンじゃない…でも、本当に殺す気だ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:04:09.38 ID:2GdHKXo90
?「嫌がらせだけにしておこうかと思ったけど…帰ってきたのならちょうどいいわ!
   ぎゃははははははははッ!死んじゃえブーーースっ!」

―――もしかして私を女と勘違いしてるの?こいつ。

?「えへっ…えへへへへへへへへ…」

―――鉈みたいなものを持ってる…でも、コイツ明らかに非力だわ。

女友「くっ…ああああああああああああッ!!」

―――返り討ちに…してやるわ!

女友「ああああああああああああッ!!」

?「ひっ!?」

―――お前が死ね。死ね。死んでしまえッ!!

?「いやああああああああああああッ!」

ズブシュウゥゥゥゥッ

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:06:27.47 ID:2GdHKXo90
ドサッ ビクッ ビクッ 

女友「…ハア…ハア」

―――首から噴水のような血を出して、誰かは倒れた。

女友「………」

―――本当に死んだ?

女友「………ゴクリ」

―――私が殺したの?

女友「………」

―――ね、ねえ本当に私が殺した…の?

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:09:58.17 ID:2GdHKXo90
女友「あ…ああ…」

―――ワタシガ殺シタ…。

女友「いやああああああああああああッ!?」

バンッ ドタドタドタッ

女友「ああああああああああああああッ!!」

―――誰を殺したのかは分からない。

女友「―――――――ッ!!」

―――とにかく早くこの場から離れたかった。

―――――
―――


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:12:21.98 ID:2GdHKXo90
−3月8日昼 男自宅−

ジリリリリリリリリリッ

男「…ん…あ、ああ…げっ!?もう昼じゃんッ!?」

男「…やっべ!今日、妹来るのに…ん?」

男「…そういえば、深夜になんか女の部屋から大きな音が聞こえてきた気が?」

男「………」

男「寝ぼけてたのかな…?ま、いっか」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:14:44.48 ID:2GdHKXo90
ガチャッ キィ

男「実はもうその辺まで来てたりして…さすがに玄関からはまだ見当たらないな」

男「さて、じゃあ妹が来る前にシャワーでも浴びてお―――」

女友「………」

男「ってうおおッ!?お、女友か…いつからそこにいたんだよ!?」

女友「………」

男「…おい?」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:17:27.35 ID:2GdHKXo90
女友「ふふっ…うふふふふふ…」

男「何だよその不気味な笑いは…」

女友「あはっ…絶対にダメよ?それは…」

男「は?何を言ってるんだお前…」

女友「私だって諦めないんだから…うくくく」 フラッ

男「ちょっ…おいッ!?」

ガチャッ バタン

男「あ…!な、何なんだよ一体…」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:19:43.97 ID:2GdHKXo90
男「ま、とりあえず部屋に戻るとするか」

トントン

男「うおッ!?」

妹「………」

男「な、なんだお前かよ…気配もなく背後に立つなって…」

妹「そう?私はいつも通りだよ?」

男「い、いつも通りって…」

妹「ケータイ、ある?」

男「あ、ああ…とりあえず部屋に入ろうか」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:22:58.47 ID:2GdHKXo90
ガチャッ バタン

男「さあ、探す―――」

妹「………」 ジー

男「…どうした?顔になんかついてるのか?」

妹「いつ見ても完璧だね」

男「な、何が…?」

妹「………」

男「何なんだよ…ま、とりあえずケータイ探すか」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:25:09.02 ID:2GdHKXo90
男「…こっちはないぞ?そっちある?」

妹「………」

男「…おい?お前本当に探す気あるのか?」

妹「ふふっ…ふふふふふ」

男「な、何だよ突然笑い出して」

妹「ねえ、お兄ちゃん。半年前に突然お兄ちゃん1ヶ月間くらい旅に出たことあったよね?」

男「ッ!?」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:27:17.56 ID:2GdHKXo90
妹「どうしたの?あったでしょ、確か」

男「あ、ああ…そ、それが?」

妹「私たちに知らせることなく…どこへ行ったのかも分からない感じで」

男「ち、ちょっと旅に出たくなって…そ、それがどうしたんだ?」

妹「…別に。ただ、何となく聞いてみたくなっただけ」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:29:46.43 ID:2GdHKXo90
男「い、今さら?」

妹「そ、今さら、ね…ただ…」

男「ただ…?」

妹「あの頃からだよね、お兄ちゃん卵アレルギーなのに親子丼食べるようになったのって」

男「………」

妹「治ってよかったね、卵アレルギー」

男「あ、ああ…そ、そうだな」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:32:30.67 ID:2GdHKXo90
妹「ケータイ見つからないみたいだし、もういいよ」

男「いいのか…?」

妹「私、帰るわ」

男「あ、ああ…わ、分かった」

妹「…最後に聞いてもいい?」

男「な、何だ?」

妹「本当に何も思わないの?」

男「どういう意味だよ…?」

妹「…もういい。ごめんね、急に来て」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:34:35.51 ID:2GdHKXo90
男「じゃあな」

妹「………じゃ」

キィ バタン…

妹「………」

スタスタスタ…ピタッ

妹「………」

妹「クスッ…ふふっ、またね、『オネエサマ』…きゃははははははっ」 タタタタッ…

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:39:10.64 ID:2GdHKXo90
ガチャッ キィ

女友「フウ…フウ…」 キョロキョロ

女友「…ッ」

―――おかしい。今確かに『あの声』が…。

女友「ハア…ハア…」

―――男クンの妹だったのか、昨夜のやつは。

女友「…殺した、確かに私は殺したはず」

―――なのにどうして生きてるのよッ!?

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:41:11.83 ID:2GdHKXo90
−女の部屋−

ガチャッ キィ…

女友「ハア…ハア……」 ヒタヒタ…

―――まだあるはず…女の部屋に死体が…。

女友「だって…確かに首を切り落としたはず…確かに…」

―――間違いなくこの手で…。

ギイイイイッ…

女友「……う、うそ」

―――どうして?どうして死体が女の部屋にないのよッ!?

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:43:48.35 ID:2GdHKXo90
女友「嘘…嘘でしょう!?だって…だって確かにこの手で…!」

―――………ッ!

女友「…誰?誰かこの部屋の中にいるの?」

―――視線を感じる…私を見てあざ笑うかのような視線…。

女友「誰がいるのよッ!?ねえ、誰なのッ!?」

シーン…

―――気のせい、か…私、何かおかしくなっていってる?

女友「…何なのよ、一体何がどうだって言うのよ!」

ガチャッ バタンッ!

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:45:52.12 ID:2GdHKXo90
−同時刻 アパート前街路−

妹「………」

―――女さんの部屋から誰か出てきた?

妹「………?」

―――何か叫びながら?何あの人、頭おかしいんじゃない?

妹「………ッ」

―――あ、こっちを見てる。てゆーかもしかして睨まれてる?

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:48:00.72 ID:2GdHKXo90
妹「………?」

―――何か必死にこっちに向かって叫んでる…けどよく聞こえない。

妹「………」

―――とりあえず、微笑み返しておきましょう。

妹「…ニッコリ」

―――さ、いったん帰りましょ。『確証』は得たから。

妹「ふふっふふふふふふふふ…」

―――さて、どうやって調教しようかしら、ね?

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:50:12.51 ID:2GdHKXo90
−3月8日夜 女友自宅−

トゥルルルル トゥルルルル

『もしもし?』

女友「…私」

『女友…?どうしたの?』

女友「あは…あはははは…」

『ちょっ何?何かあったの…?』

女友「もう…何が何だか分からない」

『何のこと…?』

女友「ねえ…聞いてよ女」

『う、うん…』

女友「幽霊って本当にいるのかな?」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:52:18.00 ID:2GdHKXo90
『ゆ、幽霊…?な、何の話…?』

女友「生きてたのよッ!この手で確かに殺したはずなのにッ!」

『こ、殺した…?ちょ、ちょっと何のこと…?』

女友「アイツ、男の妹よッ!昨夜確かに首を切り落としたのにッ!なのに今日の昼間歩いていたのよッ!?」

『男クンの妹を殺したって…どういうこと?』

女友「そうよ殺したの!鉈みたいなので襲ってきたから…あはははっ!
    返り討にしちゃった!ざまーみろよねッ!ぎゃはははははははっ」

『あ、えっと…女友?』

女友「なのに…なのに今日の昼間、私に笑いかけてきたのよ!」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:54:21.15 ID:2GdHKXo90
女友「おかしい!何かがおかしい!だって生きているはずがない!そんなのおかしいじゃないッ!」

『いや、だから…』

女友「アイツ妹のくせにアンタに嫉妬してたっぽいよ?気持ち悪い、吐き気がするわ!
    だって男クンは私のものよ?」

『………ッ』

女友「私が目をつけたの!私が好きなの!だから男クンの隣に引っ越したのに…」

117 名前:※もし投下が止まったら猿食らったとご理解ください  投稿日:2009/03/13(金) 23:56:37.22 ID:2GdHKXo90
女友「まあそりゃあね。男クンは女目当てで引っ越したんだけど、そんなの関係ないわ。
    いずれ私の方に振り向かせたらいいだけだもの」

『………』

女友「でもね、私がこんなに好きなのに、昨夜留守中の女の部屋に忍び込もうとするなんてどういうこと!?」

『…それで?』

女友「だからね、私も行ったの!弱み握ったら言いなりになるかもなーって!
    きゃはははっだってチャンスじゃん」

『その後は?』

女友「そしたら部屋中ハトの死骸だらけで…いきなり後ろから男クンの妹に襲い掛かられたのよ」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/13(金) 23:58:41.63 ID:2GdHKXo90
女友「アイツ、本当に頭おかしいんじゃない?よかったね、女が家にいなくて!アイツ鉈振り回してたからさぁ」

『それで…どうなったの?』

女友「だから私が返り討ちにしたの。鉈でバッサリ首を切り落としてやったんだから…なのに…なのに昼間生きていて私に…!」

『…るよ』

女友「えっ?なんて聴こえない―――」

『生きてるよ。だって本当に男クンの妹、昼間にアパートに来てたし』

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:00:53.58 ID:iuJ12rDh0
女友「違うのよ!私は確かに殺したの!この手で!ちゃんと確認もした!
    絶対に…生きてるはずなんて!」

『だって…本当に昼間、男クンの部屋を訪れてたし…間違いないよ』

女友「うそ…?じゃあ本当に…えっでもそんなことあり得るはずが…」

『ふふ…ふふふふっ。ねえ、女友本当に頭おかしいんじゃない?』

女友「ちょっ!アンタ親友の私に何てこと―――ッ!?」

―――ちょっと待って。女はどうしてアパートに男クンの妹が来たことを知ってるとか言い出すの?

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:03:37.50 ID:iuJ12rDh0
『あはっ…あはははははははははははッ!狂ってるわね、女友っ!きゃははははははははははッ!!』

女友「ね、ねえ…女は本当に実家に…」

『ねえ、私はいまどこにいると思う?』

女友「どこって…ね、ねえどういうこと―――」

『ハア…ハア…かわいいね、女友。ふふっ、ふふふふふ…』

女友「いや…何どういうこと!?全然意味が分からな―――」

『そろそろ終わりにしましょう?今から女友に会いに行くね』

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:06:08.20 ID:iuJ12rDh0
ブチッ ツーツーツー

女友「ちょっと、もしもし!?もしもしっ!?」

女友「どういうこと…?もう何が何だか分からない!
    私は男クンが好きで、男クンの妹を殺して、でも実は生きてて、女が今から私に会いに来る、の…?」

女友「いや…何これ!?もう気が狂いそう!怖いっ寒いよ!誰か…誰か助けてよぉッ!!」

ガチャッ バタンッ!!

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:10:28.62 ID:iuJ12rDh0
ドタドタドタッ

女友「助けて男クン!」

シーン…

女友「どこ!?どこにいるの!?ねえ、どこにいるのよおおッ!?」

ガタン バタン

女友「私、もう何も分からない!何も分からないの!」

女友「どこ!?どこなの!?どこにいるのよ男ク―――ッ!?」

―――バスルームから…血のニオイ?

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:12:46.95 ID:iuJ12rDh0
女友「ハア…ハア…」

―――全身から汗が吹き出ている。

女友「…ゴクリ」

―――本能が危険だと叫んでいる。

女友「違う…そんな、そんなはずは…」

―――この扉の向こうには見てはならないものがあると確信している。

女友「そんなの…そんなの絶対に…!」

―――それでもこの扉を開けなくてはならない。

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:15:13.65 ID:iuJ12rDh0
ガチャッ キィッ

女友「うぐッ!?きゃあああああああああああッ!?」

ドサッ ガタン バタン

女友「いやッ!?いやだッ!?そんなのッ!?
    意味が分からない!そんなのあり得るわけがないッ!」

―――そこに吊るされていたのは。

女友「うぐッ!?げえぇぇぇッ!?がふっごほっ!?」

―――いつ死んだのかも分からないくらい腐りきった男クン。

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:17:37.85 ID:iuJ12rDh0
女友「…あ、ああッ!?」

―――じゃあ私がさっきまで会っていた男クンは誰!?

女友「だって…そんなこと…!?」

―――私は誰と会っていたっていうのよッ!?

ガチャッ バタン

女友「ひいッ!?」

―――振り返るとそこには…。

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:19:56.78 ID:iuJ12rDh0
男「くふっくふふふふふふ…」

―――鉈を持った『男クン』が立っていた。

女友「…いや…近寄ってこないでッ!」

―――ただ明らかに違うのは。

男「ねえ、いまの女友はとってもかわいいよ?」

―――声が女だった。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:22:42.98 ID:iuJ12rDh0
男「驚いた?そうよね。ふふっ、うふふふふふふ…」

女友「ガクガク…あ、ああ…」
男「私ね、ずっとアナタのことが好きだったの。
   でもアナタは男クンのことを病的に愛していたでしょ?クスッ…だから、入れ替わっちゃった♪」

女友「うそ…うそでしょ…?」

男「半年前に男クン旅に出たじゃない?あの時に、ね?まあ旅に出たのは天国だったけど」

女友「そんな…そんなの…」

男「だって…そうでもしなくちゃアナタは私に振り向いてくれないもの」

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:25:03.55 ID:iuJ12rDh0
男「ずっとね、アナタは私が男クンだと思って見てきたでしょ?
  騙されてると露知らず…クスッ、最高だったわ」

女友「あ…う…」

男「知ってるわよ?アナタが24時間となりの部屋から盗撮監視していたの。
   だから本物のように演技したわ。24時間ずっと男クンとして」

女友「嘘、そんなことできるわけ…」

男「あはっ、すっかり騙されてたのね。かわいいわっ」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:27:05.15 ID:iuJ12rDh0
男「騙されてるとも知らずにストーカー紛いのことを私にするアナタがどうしようもなく可愛くて愛おしくて…うふっうふふふふふふ…」

女友「そ、そんな…」

男「でもね、それも今日でオシマイ。やっと…アナタは私の理想的な顔をしてくれた…あはっ」

女友「い、いやあ…」

男「そう、その恐怖に満ちた苦悶の表情!最高よ、かわいいわ女友っ」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:29:07.42 ID:iuJ12rDh0
男「気が狂ったような、恐怖で引きつったような…その絶望的な顔のままでいて欲しいの!
   ね、そして永遠に私を楽しませて?」

ジリッ ジリッ

女友「や、やめ…ちょっ…来な…」

男「大丈夫♪痛いのは一瞬だけ!剥製にしたら丁寧に保管してあげるから、ね?いいでしょう?」

女友「いやッ!?いやああああああああッ!」

男「いいわ!最高よその声と表情ッ!でももう終わりよ?さ、じっとしていて」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:31:22.20 ID:iuJ12rDh0
女友「―――ッ!―――ッ!」

男「最後まで男クンに嫉妬していたわ。もう殺しちゃったけど。天国で男クンに会えるといいね?」

女友「―――ッ!―――ッ!」

男「あはははっ!バイバイ女友。これからは物言わぬ美しい顔だけで私を楽しませてね」

女友「―――――――――――――――ッ!」

ヒュンッ!

―――――
―――


181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:34:17.09 ID:iuJ12rDh0
−3月9日早朝 男の部屋−

キィ…バタン

男「ふう…」

―――『作業』の続きはあとでしよう。ちょっと休憩。

男「………」

―――とても疲れているのが分かる。

男「………」

―――欲しくてたまらなかった女友を独占した今。

男「…なのに」

―――不思議と心はまったく満たされていない。

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:36:42.38 ID:iuJ12rDh0
―――人を愛するということはどういうことだろう。

男「ここまでする必要、あったのかな…?」

―――女なのに女友を好きになって、好きになりすぎて。

男「気がついたら…こんなことに」

―――私はこんなことが本当にしたかったのかな?

男「………」

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:38:47.81 ID:iuJ12rDh0
―――私はこれからどうやって生きていけばいいのだろう。

男「私は女?それとも…男クン?」

―――もうどっちだかまったく分からない。

男「…あれ?」

―――頬に温かいものが流れたみたい。

男「おかしいな…ちょっと前まで好きで好きで殺したかったのに…?」

―――私の中の『狂気』はいつのまにか消え去っていた。

男「あは…あはははは…遅すぎるよ、そんなの遅すぎる」

―――もう、戻ることは出来ないのに。

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:40:52.15 ID:iuJ12rDh0
男「グスッ…あれれ?私は自分が狂っていると自覚して、それでずっと来たのに…」

―――今になって『狂気』が去って…。

男「私は…私は…」

―――もう、戻ることはできない。戻ることは…。

男「モウ戻ル事ハデキナイヨネ…?」

―――その時、自分の中で何かが弾け飛ぶのが分かった。

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:42:55.49 ID:iuJ12rDh0
男「いやああああああああああああああッッ!!!!」

ガタン バタン ドガシャアアッ

男「がああああああああああああああああああッ!!!」

ドタドタドタドタッ

―――もう、何も考えられない。

男「あうあッ!!ぎゃあああああッ!!」

ガシャン ドザザザザザッ

―――この咆哮の意味は分からない。ただただ暴れたい。

ガチャッ ズンッ

男「ハア…ハア…」

―――もしかしたら単にとりあえず外の空気が吸いたかったのかもしれない。

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:45:45.15 ID:iuJ12rDh0
−アパート廊下−

男「フウ…フゥ……」

―――満月は西に沈みかけている。

男「………」

―――月明かりに照らされた自分の掌が血まみれであることに気づく。

キィ キィ…

男「あ……」

―――ふと見てみると、なぜか自分の部屋の扉が開いていた。

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:48:37.62 ID:iuJ12rDh0
男「ど、どうして…」

―――さっきは確かに閉まっていたはず…?

男「もしかして…」

――中に誰かいるの?

男「………ッ」

ヒタ…ヒタ…

―――誰でもいい。誰か、私に救いをください。

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:51:48.16 ID:iuJ12rDh0
−女の部屋−

男「………?」

―――暗闇の中から血生臭いニオイがする。

男「………」

―――よく見えないけれど、そこら一体に小動物の死骸が転がっている。

男「誰が…置いたの?」

―――考えられるのは…男クンの妹。

男「私の部屋に侵入したのかしら?」

―――ブラコン倒錯の強い妹だったから嫉妬心からそれはあり得る…しかし。

男「じゃあ、女友が言っていたのは本当ってこと…?」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:53:55.92 ID:iuJ12rDh0
―――窓からもれる月明かりで、リビングに何か吊るされているのがうっすら分かる。

男「…?」

―――電気…電気のスイッチはどこだったっけ?

男「…あ!」

パチン パッ

男「――――ッ!?」

―――天井から吊るされていたのは男クンの妹の首だった。

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 00:56:02.24 ID:iuJ12rDh0
男「そ、そんな…う、嘘でしょ!?」

―――女友が言っていたのは本当ってこと…?

男「どう見たって死んで1日以上経過している…」

―――じゃあ…じゃあ昼間に見た男クンの妹は一体…。

男「誰だと言うの―――」

?「今晩は、オネエサマっ♪」

男「―――ッ!?」

216 名前:猿でした。  投稿日:2009/03/14(土) 01:29:44.51 ID:iuJ12rDh0
?「きゃはっ!美しいです…美しいですよオネエサマっ」

男「アナタ…男クンの妹…?ど、どういうこと!?」

?「あははははっ!私たちが双子だってことを知らなかったんですね?」

男「双…子…?」

双妹「そこで死んでいるのが女友サンに殺された私の姉、そして私は今日の昼間にオネエサマにお会いした妹です」

男「………」

―――その瞬間、私は底知れぬ恐怖と天上の安らぎを感じた気がする。

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:31:56.58 ID:iuJ12rDh0
双妹「ずっとお慕いしておりました。姉と交代で兄のアパートを訪れていて、半年前、アナタが兄と入れ替わった瞬間から恋に落ちたんです」

男「………」

双妹「見た目はそっくりですが、すぐに兄ではないことに気がつきました。
   同時に狂おしいほどの恋に目覚めたんです、オネエサマ」

男「………」

―――たぶん、私は神か悪魔のどちらかと対峙しているのだと思った。

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:34:01.45 ID:iuJ12rDh0
双妹「オネエサマはいま苦しんでおいでですね?私がオネエサマを苦しみから解放して差し上げます」 キラッ

男「…え、ああ…えっと」

双妹「ねえ、オネエサマのためなら私なんでもしますよ…?」

―――手に持っているのはアイスピック…?ダメ…もう何も考えられない。

双妹「好きなんです、愛しているんですオネエサマのこと。
    たとえ外見が醜い兄のそのままであっても…。
    いやその醜い姿に苦しむオネエサマを愛しているんです」

男「え、ええ…うん…うん」

―――もはや、抗うことはできない。

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:36:07.93 ID:iuJ12rDh0
双妹「私とお付き合いしてください。そして永遠に愛し合いましょう」

男「う、うん…いい…よ…」

双妹「ほ、本当ですか!?やった、嬉しいですオネエサマ」

男「私…も…嬉しい…かも」

―――もう何も考えられない。私はただ、疲れた。

双妹「では愛の儀式です。椅子にお座りください」

男「は、はい…」

―――たぶんこの娘は女神だ。女神なんだ。

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:38:29.51 ID:iuJ12rDh0
―――女神はそっと私の頭を包む。

男「………」

双妹「痛いのは少しだけです。ちょっとだけ我慢してください」

―――温かい、溶けるようなぬくもり。

男「あ…う…」

―――こめかみに何かが添えられたが、もうよく分からない。

双妹「ではいきますね…クスッ。愛しています、オネエサマ」

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:40:34.23 ID:iuJ12rDh0
男「は…い…」

―――クチュッ。

双妹「ともに愛し合いましょう、オネエサマ」

男「―――ッ」

―――こめかみから何かが侵入した瞬間、私はかつてない闇の中に体が堕ちていくのが分かった。
     痛みはなかった。ただただ、限りなく虚無に近い安らぎがあって、気がつくと私は考えることを止めていた。

―――――
―――


234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:42:37.28 ID:iuJ12rDh0
−エピローグ−

ガラガラガラガラ…

双妹「〜♪」

―――今日も私は愛しい人を車椅子に乗せて、公園へデートに来ます。

双妹「もうすっかり春ですね、オネエサマ」

男「………」

双妹「そうですか、気分が晴れやかなのはいいことです」

―――オネエサマは喋りませんが、私には分かります。だって愛していますから。

双妹「あちらにベンチがあるので行きましょう」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:44:52.30 ID:iuJ12rDh0
双妹「ここなら誰にも見られないので、車椅子のフードを外しますね」

男「………」 コロコロ…

双妹「もう!オネエサマはその玩具大好きですね。
    そろそろ皮膚がボロボロになってきましたよ?剥製の首とはいえ、有機物ですから」

―――この『玩具』はオネエサマが前に恋をしていた人だそうです。
     ちょっと嫉妬しますが、オネエサマはこれで手遊びするのが大好きなので、我慢します。

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:47:20.46 ID:iuJ12rDh0
双妹「いい季節ですね。春はうららかです」

男「………」 コロコロ…

双妹「それではそろそろ行きましょうか」

男「………」 コロコロ…

双妹「ねえ、オネエサマ?」

男「………」 コロコロ…

双妹「人を愛することは素晴らしいことですね」

男「………」 コロコロ…

双妹「好きです、オネエサマ…永遠に…ふふっあははははははははははははっ!!」






―――恋は狂気である。
        プラトン「饗宴」より


Fin

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします  投稿日:2009/03/14(土) 01:50:28.12 ID:iuJ12rDh0
ここまでクソスレに付き合ってくれてありがとう。

今回はどんでん返しを交えて、ヤンデレを超えた「ヒクほど情熱的な恋」を目指してみたがいかがだっただろうか。
ヤンデレ好きの>>1としては、こういうのが大好きなのだが…まあヤンデレそのものでは決してない。
あくまでちょっと歪んだ恋としてご理解いただきたい。

発想の原点は絶望先生に出てきた「ストーカー数珠つなぎ」という言葉。
ヤンデレっぽい人ばっか数珠つなぎにしたらどうだろうという感じで作ってみた。
ちょっと無理があるけど温かく許してやって欲しい。

一応補足。後半もずっと「男」と表記しているが本物の「男」は最初から死んでいるので終始「女」である。
例によって、他にも説明不足のところがあるが、材料は本文中にすべてでているので想像で補完していただけると幸いである。
なお、余談だが個人的に最後の首の剥製で遊ぶ廃人と化した元女の男を、車椅子で引き回す少女という絵面がとても気にって入る。

ここんとこずっとダークなので次は心温まるお話にしたいなあと思いつつ、いつもダークになってしまう…。
また何か書いたら読んでやってくれ。じゃあな、おやすみ(´・ω・`)ノシ 
 

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