4 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:09:32.72 ID:wi8uzwPdO
2009年もはや二ヶ月が過ぎた。

今年はあの悪夢のような派遣切りの波が続き、スパゲティの輸入量が過去最高を記録し日本や世界のマスコミは大騒ぎだが、
たいていの人々は晴れ晴れとした気分ではないにしてもいつも生活しているように春を迎えた。


僕の名前は――――
(まーー…覚えてもらう必要はないですけど)


磯野カツオ 10歳…

5 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:14:11.56 ID:wi8uzwPdO
僕の場合は4月からの新しいクラスでの生活と
未だハッキリとしない将来のビジョンへの不安で頭がいっぱいの二ヶ月だった。



………あの奇妙な出来事に出会うまでは




今度の舞台は「サザエさん」!!
完全決着シリーズ第2部スタートォォォッ!!

第1話「俺たちはヤングだ」


※第2部となっていますが前作・のび太「これが…スタンド…」との繋がりはありません。あしからず。


この作者さんの他の作品
のび太「これが…スタンド…」


 
6 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:20:13.53 ID:wi8uzwPdO
バンッ!


カツオ「………」


坊主頭を朝日に向けて校門の前に立つ少年が一人。

カツオ「ちぇ〜〜、トラックに泥水はねられちまったよォ。せっかく新クラス初日のためにオニューの服で決めてきたのに…」


今は4月。全国各地の少年少女が、部屋の片隅でホコリをかぶっていたカバンを抱え、学校へと向かう。

そう、世に言う新学期の始まりである。


カツオ「新学期………ベネ」

8 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:24:45.23 ID:wi8uzwPdO
キイィィィン……

コオォォォン!!

カアァーーーン…

コオォォォン!!


ざわざわ…ざわざわ…


中島「磯野ォ!磯野ォ!!」

カツオ「中島ァ!!お前も同じクラスだったのか!」

中島「また一年よろしくな…」


こいつは『中島』

僕の唯一の親友だ。

他に友達がいないだけだろって?

そ…そんなことはない。
ほら、来た来た……

12 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:28:51.57 ID:wi8uzwPdO
花沢「磯野くうぅ〜〜〜ん!!」

カツオ「は、花沢さん……君もか……」

花沢「いやだァ!照れなくてもいいじゃなぁ〜〜〜い」

カツオ「ハハハ…困ったな…(ゲロゲロ〜〜〜)」


この人は花沢さん。家は不動産屋。
顔はマット・デイモンだ。


15 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:33:23.41 ID:wi8uzwPdO
【4月1日】〜教室〜


???「フッフゥ〜〜〜ン♪アッア〜〜〜〜〜ッ♪」


教室の時計は8時40分を示している。
新クラス初の、朝の会の始まりってやつだ…。

教室のドアを乱暴に開けて、この男が入ってきたのはこの時だった。


???「サラサラ……サラサラ……っとね…」

17 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:38:38.37 ID:wi8uzwPdO
その男は……一言で表すと……

その…

何て言うか……


中島「奇妙だ…」

カツオ「あ、中島も思った?」

中島「みんな思ってるだろ……なんだあの服」


服。

そうだよ、中島の言葉で気付いた。
この男、何が奇妙かって服装だよ。学校には似つかわしいほど個性的で、独創的なのだ。

黒板に自分の名前を書いているその男の服は……『奇妙』なのだ。

18 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:43:17.82 ID:wi8uzwPdO
カツオ「……」


一応……スーツにはスーツなんだが……
上着はまるでサイズが合ってない。わざとだろうか?

一昔前の不良のような出で立ちだ。

それになにより『奇妙』だったのは……

襟元に付いている『$』というマーク。

どこかのブランドだろうか?

19 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:48:01.52 ID:wi8uzwPdO
花沢「あら〜〜〜、私はああいう人、良いと思うわよォ〜〜。なんか『馬鹿』っぽくて」

カツオ「花沢さん、馬鹿な男が好きなんだ…」

花沢「……え?ちょっと、ヤダァッ!磯野君、嫉妬してるのォ!?も〜う、安心なさい、私は磯野君一筋よォッ!!」

カツオ「ち、違うよ、そういう意味じゃ……中島ァ〜〜」

中島「南無三」


21 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:53:09.49 ID:wi8uzwPdO

カツオ達の前方、黒板の前でチョークが音をたて砕けるッ!


???「いけねッ………力入れすぎちった……。どうにも加減ってモンがわからねェんだよなァ〜〜〜」

???「ゴホンッ!……え〜〜、諸君ッ!!」


生徒「ブフッww諸君だって……今時こんな言葉使うやつなんていたんだァ〜〜〜」

???「………あ?」

22 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/01(日) 23:57:52.72 ID:wi8uzwPdO
生徒「あ、い、いや…何でも…ないです……」

???「ニカァ!」

???「よろしいッ!」


カツオ「(げぇ〜〜〜アイツ、生徒にメンチ切りやがったよ…)」


???「え〜〜〜〜〜、ワタクシがこれから一年間ッ!アナタ方の担任となります、『虹村億泰』ですッ!
ふつつか者ですがヨロシクお願いしまァ〜〜〜〜す」



中島「こんな人が担任だなんて」

カツオ「日本の教育のレベルはここまで堕ちたんだね」


26 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:05:37.64 ID:sDnbx/0aO
【4月8日】〜教室〜


いつの間にか一週間も経っていた。
新しいクラスになっても相変わらず僕は中島とばかりつるんでいる。

まあ、何も変わらない退屈な日々だ。



だが、そんな中、僕の興味を引く『話』があったのだ。

28 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:11:38.19 ID:sDnbx/0aO
中島「噂?」

カツオ「うん。何だか只の噂に思えなくてさ」

中島「何で?」

カツオ「いや、大体噂ってのは人の関心を引き付けるような、突飛な内容というか大袈裟な内容のが多いだろ?」

中島「まあ…」

花沢「二人で何面白そうな話してんのよォ〜〜〜!!私も混ぜなさいよォ〜」

カツオ「は、花沢さん」

中島「ちょうどいいや、花沢さん、今磯野が面白い話をしてくれるそうだよ」

花沢「え〜〜?期待しちゃうわよォ〜〜」

カツオ「中島〜」

カツオ「しょうがないなあ……じゃあ話すぞ……」

カツオ「それはたまたま隣の奴らが話していたのを聞いたんだけど…」

31 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:19:02.42 ID:sDnbx/0aO
カツオ「その話ってのが実に……」

中島「実に?」

カツオ「しょーもないんだ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カツオ「さて…早く帰ってタラちゃんのパンツの中に菊の花を詰め込む作業をしないと…」


生徒A「お…俺の話を聞いてくれないか……」

生徒B「?」

生徒A「俺は昨日の放課後『奇妙』な体験をした」

生徒B「ほう」

32 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:22:39.10 ID:sDnbx/0aO
A「い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが…」

B「続けろ」

A「あ…ありのまま昨日起こったことを話すぜ!」

A「『俺が水道の蛇口を捻ると出てきたのは水だと思ったら熱湯だった』」

B「熱湯?」

33 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:25:39.84 ID:sDnbx/0aO
A「な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起こったのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……時が止まるとか時が加速するとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものね片鱗を味わったぜ……」


35 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:30:33.59 ID:sDnbx/0aO
B「………俺ね……人が本当の事を言っているかどうかわかるんだ」

A「お、俺は真実だけを言ったぜ!」

B「顔の皮膚を見るとわかるんだ。『汗』とかでテカるだろ?その感じで見分けるんだ。
『汗の味』を舐めればもっと確実にわかるかな」

A「………」

B「ペロォ」

A「ひゃっ」

B「この味は………」

B「しょっぱい」

A「当たり前だろ」




カツオ「(こりゃあ面白い事を聞いたぞ……)」

37 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:34:57.60 ID:sDnbx/0aO
カツオ「…というわけだよ」

カツオの話を聞き終えた中島はメガネをゆっくりと外した…


中島「磯野、そんな話を信じるのか?それなら『HUNTER×HUNTERがよく休載するのは作者がアフリカの子供達の為にマンガを描いてプレゼントしているから』って話を信じる方が心身ともに健康的だよ」

38 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:39:15.93 ID:sDnbx/0aO
カツオ「だからそれを僕達で確かめようぜ!放課後残ってさァ〜〜」

中島「磯野、僕達もう小六だよ?君、英語の一つでも話せるのかい?大国の政治家と渡り合える程の知識を持っているかい?」

中島「いや、話せないし、持っていない」

中島「君はクズだ。ゴミだ。チンカスだ」

カツオ「ぐッ……」

中島「僕にここまで言われて悔しくないのか?僕は君に頑張ってほしいんだ。わかるよな磯野?」

39 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:42:18.27 ID:sDnbx/0aO
カツオ「ギギ……」



カツオは泣いた。


自らの愚かさに絶望したから。



中島の優しさに気付いたから。



僕はビッグになるんだ。


こんなことはもう……やめよう。



中島「わかってくれたんだね」

カツオ「ああ……ああッ!」

花沢「いいわねぇ〜友情って…」


40 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 00:45:31.15 ID:sDnbx/0aO
【4月8日】〜学校・放課後〜

PM:8:00



カツオ「結局来てしまった」

窓の鍵を開けておいて良かった。
この時間なら生徒は誰も残ってないだろう。
僕だけが真実を確かめる権利があるのだ。

45 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 01:37:01.74 ID:sDnbx/0aO

カツオ「中島ァ…お前にもいつかわかる日が来るさ。こんな面白そうな事……みすみす見逃すわけにはいかないじゃないかァァァ〜〜〜」


磯野カツオ10歳。


依然、将来のビジョンは見えず。




カツオ「しかし……」

カツオ「夜の学校というのは昼と違って、不気味というか……」


当たり前のように電気のついていない廊下は、まるでカツオを地獄へと誘っているかのようであった。

しっかし、恐怖七不思議ぐらいあっても僕は良いと思うけどね。日本の学校ならさ。
それなのに、何?水が熱湯になる?水道局のミス?

現実的でそれはそれでありか……。


カツオは問題の水呑場へと向かった。

46 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 01:40:31.37 ID:sDnbx/0aO
カツオ「………」


カツオ「………」


カツオ「………」


おいおい……嘘だろ……。


後ろから足音が聞こえる。

ほ、ホラ。


ヒタ…


ヒタ…


ヒタ…


カツオ「ま、まさか…有り得ない。そんな非科学的な事があるわけない…。幽霊?いるわけない……」

50 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 01:45:02.17 ID:sDnbx/0aO
「……ううぅぅ〜〜〜……」


カツオ「う、嘘だ。声が聞こえる。しかし、嘘だ。声は聞こえるけど嘘でしょ?」


「……うぅぅぅ〜〜……」


カツオ「あああぁぁぁぁぁ来なきゃ良かった中島君僕が悪かった素直に君の言う通り家で勉強してれば良かったんだ」


「……ううぅぅぅ〜〜………です」


カツオ「ひいいぃぃぃぃぃぃぃ」


カツオ「……です?」

51 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 01:49:15.89 ID:sDnbx/0aO
タラオ「カツオ兄ちゃん、ぼーくでーすよ」

カツオ「げぇっ!?タラちゃん!?」


お…落ち着け…磯野カツオ……落ち着くんだ……

な…何で…ここにタラちゃんが…?

こ…こういう時は『素数』を数えるんだ……

1…2…3…4………

あ…あれ?素数って何だっけ?

…ま、まあいい…


カツオ「タ、タラちゃん、何でここに?」

56 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 01:58:00.71 ID:sDnbx/0aO
タラオ「ジャックのマネです」

タラオ「カツオ兄ちゃん、コソコソとしているからつけてきたです」


ジャック……?

ああ、ジャックバウアーのマネか…。
最近、姉さんが借りて来ている『24』をタラちゃんも一緒になって見ていたからな。
ちなみにマスオさんはOC派。

カツオ「ったく…姉さん、自分の子供ぐらいちゃんと見とけよな…」

タラオ「ですー」

カツオ「それでタラちゃん、ちゃんと姉さんに言ってきたんだろうね?」

タラオ「何も言ってなーいです」

58 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 02:02:31.00 ID:sDnbx/0aO
カツオ「えぇっ!?そ、それはヤバイよ…今頃大騒ぎになってるんじゃないか……」

カツオの頭に、

『幼児失踪』の見出しの朝刊が浮かんだ。


タラオ「だーいじょうぶです。手紙書いてきましたから」

カツオ「手紙?」

タラオ「『警察には伝えないでほしい』ってジャックが言ってたのをそのまま書いたです」

カツオ「タラちゃん……二度と海外ドラマなんて見るんじゃないよ…」

60 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 02:06:13.54 ID:sDnbx/0aO
困った事になった。
このクソガキのせいで僕の『夜のドキドキ学校潜入!謎の噂の真実を追え!』計画が台なしだよ…


タラオ「夜の学校って危険な香りがするです〜〜」


人の気持ちも知らないで楽しそうにしやがって……

カツオ「どうしたもんか…」

61 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 02:10:19.25 ID:sDnbx/0aO
タラオ「ですですですです〜〜〜〜!!」

カツオ「あッ!コラ!タラちゃん待って!!」

タラオ「ま〜たないです!」

いきなりトチ狂ったかのようにタラオは暗闇へと走って行ってしまった。

カツオ「なんて躾のなってない子供だ……。帰ったら姉さんにちゃんと言わないとな」

カツオ「放っておくわけにもいかないか……」


そしてカツオもまた、暗闇に向かって廊下を走って行ったのであった。

63 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 02:18:54.00 ID:sDnbx/0aO
〜2階・渡り廊下〜


カツオ「ハアハア……一体どこへ行ったんだ…?」

カツオはキョロキョロと頭を動かすが…

既に人気の無い夜の学校ッ!すなわち電気もついていないッ!

辺りは暗闇ッ!


カツオ「クソォ〜〜〜まずはタラちゃんを見つけないと噂の真相を確かめる所じゃない!もしもタラちゃんに何かあったら僕はおしまいだ!」


「………ですぅ〜〜……」


カツオ「ハッ!」

カツオ「今確かに声がした……あっちかッ!!」

66 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 02:30:20.19 ID:sDnbx/0aO
〜2階・音楽室前廊下〜


カツオは肩で息をしながら、声を頼りにここまでたどり着いた。


カツオ「ヒイヒイ……どこだよ…タラちゃん……」

夜の音楽室ってのは不気味だ……
ベートーベンやモーツァルトの絵が動いたり、誰もいないはずなのにピアノのが鳴ったり……

だがそんなことよりまずはタラオをなんとかしなければ。
その後にいくらでも幽霊の相手をしてやる。


タラオ「見つかったです〜」

カツオ「タ、タラちゃん……やっと見つけたよ…」

タラオは音楽室の前にある水呑場のシンクに腰掛けていた。

ん?水呑場……

……あの水呑場……

何だっけ。あれ?僕は何しに学校にきたんだっけ?


………そうそう!音楽室の前の水呑場の蛇口を捻ると水が熱湯に変わる……

67 名前:◆.LMqmG8Hlg  投稿日:2009/03/02(月) 02:37:08.15 ID:sDnbx/0aO
タラオ「はあ〜〜〜、走ったら喉が渇いたです。おや!こんな所に水呑場があるです!」

カツオ「タラちゃん駄目だッッ!!!」

タラオ「これはカツオ兄ちゃんの水呑場ですか?違うです〜〜。
だから僕を止める権利は無いですぅ。いただきますです〜〜〜〜」

タラオは勢いよく蛇口を捻るッ!!


カツオ「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!

タラオ熱湯で大ヤケド


元はといえばこんな時間に学校に行った僕の責任


姉さん、マスオ兄さんとの確執


ワカメぐれる


一家離散


71 : ◆.LMqmG8Hlg :2009/03/02(月) 02:55:42.83 ID:sDnbx/0aO
僕が最悪のケースを予想し、叫んだ時だった。

タラちゃんが誰かに抱えられるように宙に浮いたのだ!

幻なんかじゃない……現実だ……


カツオ「に…虹村先生……」


億泰「おっとオォォ〜〜〜、危なかったなボウヤ。もし熱湯だったら大変なことになってたぜェ〜〜〜。
それに磯野、そのよォ、なんつーか、名字で呼ばれるの慣れてねぇからよォ、億泰先生でいいぜェ?
なんだかむず痒くなっちまう」

タラオ「何わけのわからない事言ってるですか!僕は水が飲みたいんです!離すです!」

タラオはジタバタと億泰の持ち上げられながら暴れている。

73 : ◆.LMqmG8Hlg :2009/03/02(月) 03:07:39.62 ID:sDnbx/0aO
カツオ「億…泰先生……その……」


億泰「……磯野ォ…何でこんな時間に学校に来たんだァ?」

カツオ「………えっと……友達が、水が熱湯に変わる水呑場があるって言ってて…それを確かめようとして」

億泰「…まァよ、俺も若いころはやんちゃばっかしてたから、磯野の気持ちはわかるけどよォ…」

その服装はどうやら『やんちゃ』には入らないらしい。

億泰「水が熱湯に変わるなんて、そんな馬鹿な話は無いと思うぜェーー?ホラ…」

億泰は勢いよく出ている水……いや、熱湯か水かはわからないが、それを手で触った。

 億泰「何ともないぜ?冷たい冷たい水だァ」

タラオ「じゃあ飲ませるです!!」


408 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/02(月) 22:09:10.55 ID:MLDxj6AO

カツオ「あれーー……やっぱり只の噂だったのかなァ〜」

億泰「まァ、そんなガッカリなさるなって!ホラ、お家の方には俺から言っといてやるから、さッ、帰った、帰った…」

億泰はカツオにタラオを預けると、そのガタイの良い体には似つかわしいほど、かわいらしくカツオ達に小さく手を振った。


カツオ「ご迷惑かけてすみませんでした。どうやら僕の『見当違い』だったみたいです。さようなら」

億泰「おゥ、きぃーつけて帰りなァーー」


410 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/02(月) 22:18:55.56 ID:MLDxj6AO
〜校門前〜


タラオ「カツオ兄ちゃん、あんなやつの言うこと素直に聞くんですかー?」


カツオ「………いや、帰るわけないさ」


カツオ「帰れるわけないさ」


カツオの表情は暗く、濁っていた!
しかしその瞳の奥には確かに輝くものがあったのだ!

カツオ「さっき億泰先生はこう言った…」

カツオ「『熱湯が出たら危ない』……とね」

カツオ「僕は学校に着いてから『熱湯』の話は一言も口には出していない…」

カツオ「ましてや」

カツオ「この噂好きの僕がこの話を知ったのは昨日だ。中島やあの花沢さんでさえ知らなかった」

カツオ「それなのに最近赴任したばかりの億泰先生がそんな噂話に通じていると考えるのは難しい…」

カツオ「あの男……くせぇ…くせぇぞォ…」

411 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/02(月) 22:28:56.77 ID:MLDxj6AO
〜学校・一階玄関前〜


僕はタラちゃんを一人で家に帰させた。
もちろんあのタラちゃんが大人しく帰るわけもなく、ちゃんと帰ったら僕のブタさん貯金箱を割らせる権利をあげるという約束をした。



カツオ「…ったく、タラちゃんってなんであんなワガママなんだよ。僕の小さい頃はあそこまで酷く無かったぞ」

カツオは暗闇の玄関で腕を組んで立っている。

カツオ「……そうだよ…そもそも億泰先生はこんな時間に何をしていたんだ?さっき職員室の前を通った時、電気は点いていなかった」

謎は深まり、闇も深まる…


420 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/07(土) 23:07:51.81 ID:9tMNuIAO
カツオは学校中を歩き回った。億泰先生を見つけ、一体何の目的で学校に居るのかを確かめるために。

例の『噂』が、カツオの億泰に対する不信感へと繋がっていた。

……だが億泰先生に見つかったら、

もしも、

もしかしたら、

最悪の事態になってしまうかもしれない……

そんな恐怖もカツオは感じていたのだ。

暗闇を利用し、慎重に、カツオは億泰先生を捜した。

421 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/07(土) 23:16:46.48 ID:9tMNuIAO
カツオ「………」


ガララッ


カツオ「……誰も…いないみたいだなァ」

カツオはドアに片手を預けたまま、闇に包まれた教室を見渡す。

カツオの頭上に存在している札に、ぼんやりと『5‐…』と書いてあった。

この暗さでは後半部分が良く見えないが……

まぁ、隣にある教室との位置関係から見て『5‐2』であろう。

カツオはそう納得し、教室内に入った。

422 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/07(土) 23:22:54.39 ID:9tMNuIAO
カツオが教室の中央辺りに足を進めた時…

カツオの鼻に生臭い臭いが入ってきたッ!


カツオ「うォエッ!」

思わず鼻を指で摘むカツオ!

カツオ「く、く、なんて臭さだよォ〜〜〜ッ」

カツオ「まるで、腐った魚みたいな……足の爪に溜まったカスみたいな……」


カツオの脳裏を掠めた臭いの元…


カツオ「金魚かァ〜〜〜〜?」

423 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 12:10:11.37 ID:ozEXUMAO
カツオの通う小学校では、金魚を飼育することで命の尊さを知ろう。
…という事で上級生のクラスには金魚が飼われている水槽が教室の後ろにある棚に置かれていた。


カツオ「飼育係のやつ、また水取り替えるの忘れてるな。忘れるなら飼育係なんかになるなって話だよ」

金魚の世話はクラスで決められた飼育係が行うことになっていた。
餌なんか横にあるやつからパラパラ入れればいいだけなのだが、水の取り替えになると遊び盛りの小学生には煩わしい事であるらしく、やらないことが多々あったのだ。

424 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 12:16:28.29 ID:ozEXUMAO
カツオ「………」

カツオ「……ああもう!」

カツオはぶつぶつ文句をいいながら水槽に近付いた。

カツオ「しょうがないなぁ………明日朝行ってこんな臭い嗅ぐのも嫌だからな。取り替えるか……。もしかしたら早川さんが僕が取り替えた事を知って胸キュンポイント上がっちゃうかもしれないし」

カツオ「よっと」

カツオは水槽を両手で持ち上げ、廊下の水呑場へと持って行った。

425 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 12:26:12.54 ID:ozEXUMAO
カツオ「まずは金魚を別の入れ物に移して………と」

カツオ「………随分大人しいな……」

カツオは飼育係ではないので、実際金魚を網ですくう時の様子は分からなかったが、
あまりにも大人しい金魚の様子にはカツオでも違和感を感じていた。

その違和感も網ですくった金魚を見て確信へと変わった。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


カツオ「こ…こいつ…」

カツオ「死んでる…」

カツオは動かない金魚を一匹移し替え、また水槽の中にいる金魚を網ですくった。


カツオ「こ、こいつもッ!!」

カツオ「こいつもッ!!」

カツオ「こいつもだッ!!」

426 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 12:29:55.44 ID:ozEXUMAO
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド


カツオ「ぜ、全滅……」


金魚は動かない。
一匹たりとも。


カツオ「こ、これってスゲーヤバイんじゃねぇのかァ〜〜〜??金魚を全部死なせたなんて億泰先生が知ったら……
あの人恐そうだし…飼育係のやつただじゃ済まないぞォ!!」



427 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 12:37:36.64 ID:ozEXUMAO
ガタッ!

ザバアァァァァ


カツオ「あッ!!しまった水槽がッ!」

カツオは動揺のあまり水槽を倒したッ!
敷き詰められた小石や、金魚が隠れるのに最適だと入れた空洞がある太い木のカケラが流れるッ!

カツオ「クソッタレ!!」

慌てて水呑場に散乱した水槽の中身を戻す。

カツオ「早く…早くしないと億泰先生が………熱ッッ!!!」


ドドドドドドドドド


カツオ「な、なんだこの『水』は……?この水槽から流れ出た『水』の……不自然な熱さは……ッ?」

430 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 16:55:25.63 ID:ozEXUMAO
カツオ「こ…これは…!!」

嫌な予感がする。
もしやこれは…

カツオ「この金魚はもしかして……『水』が汚いからとか、そんな理由で死んだんじゃない…!?だ、誰かがこの水槽に『熱湯』を入れて金魚を殺したのかァッ!?」

カツオ「だ、だが待て……待つんだ……一体誰が何故そんなことを?そして分からないのが…」

カツオ「わざわざ水槽の中の金魚を別の容器に移し、中の『冷たい』水を捨て、空になった水槽に『熱湯』を入れ、金魚を再び水槽の中に戻したってのか…!?」

431 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 17:17:11.08 ID:ozEXUMAO
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


???「………」


暗闇の向こうにカツオは人の気配を感じるッ!

カツオ「誰だッ!?」


???「………」

カツオ「いるんだろ!?そこにッ!分かってるんだぞッ!」


???「………」


カツオ「(誰だ…?身の丈からして億泰先生じゃあない。僕と同じくらいだ……)」

カツオの呼びかけにその人影は答えることなく、カツオとは正反対の方向に歩きだした。

カツオ「……!!あいつ…何か知っているッ!!待てェッ!」

432 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 17:26:26.40 ID:ozEXUMAO
カツオ「(さっきの水槽に入っていた『熱湯』……)」

カツオ「(そして僕がここに来る理由となった『噂』…)」

カツオ「(なにか…なにか胸騒ぎがする……僕の予想を超える何かが、この学校で起きているのか…?)」


???「…………」

カツオ「!」

足を止めた……?

433 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 17:38:12.87 ID:ozEXUMAO
???「わたしが……聞いておきたい事は…………だ……磯野カツオ」

カツオ「………ッ!僕の名前を……やはりッ!」

???「私を追って…どうする気だ?」

カツオ「(この『声』……大人だ。それも中年以上の)」

カツオ「どうするもこうするもッ!!」

???「困る………とても困るんだ。君が私の後を追って捕まえようとすると…」

カツオ「捕まえる?何を言ってるんだ?僕はそんな気はさらさら………オマエェッ!!」

カツオ「口を滑らしたなァッ!!『金魚』を殺したのはオマエかァーーーーーッ!!」

???「君は私を捕まえて…警察に言うんだろ?困る…困るんだそんなことされては……。
この不況の中やっと見つけたこの仕事、給料なんてクソだがそれでも私は妻と子供と幸せに暮らしているんだ……
それなのに…君は私の幸せを壊そうとするんだな……困った……君を殺すしかないじゃないか」

カツオ「こ、コイツッ!!!」

434 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 17:53:19.32 ID:ozEXUMAO
カツオ「(殺す!?こいつ何言ってるんだ!?僕はただこいつに『聞こう』としただけなのにッ!」

???「ぶつぶつ……困る…警察だけは……困る……言われる前に……ぶつぶつ」

カツオ「こ、こっちに近付いてくるッ!!」

???「ぶつぶつ……顔を見られたんだ……ならしょうがないさ…しょうがない……うん…しょうがない……ぶつぶつ」

カツオ「顔!?僕は顔は見てないッ!!」

???「………」

カツオ「本当だッ!この暗さで、この距離ならオマエの顔は見えないッ!!この事は誰にも言わないから黙って家に帰る僕を見送ってくれッッ!!!」

???「…………」

カツオ「ハアハア……ハアハア…」

???「そんな嘘で大人を騙せると思ったかァーーーッ!!!!このクソガキがあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

435 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 17:58:04.26 ID:ozEXUMAO
カツオ「こ、コイツイカレてやがるッ!!」

???「逃がさねぇぇぇぇぇぞォォォ!!!!」

カツオ「に、逃げなきゃ……殺されるッ!!」


カツオは震える足を無理矢理動かし、全速力で逃げ出した!

カツオの顔は汗か、それとも涙か、よくわからない液体でぐちゃぐちゃになっていた。

カツオ「(死にたくない…死にたくない…死にたくない…!!)」

437 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 18:16:07.51 ID:ozEXUMAO
カツオは走った。

ただ闇雲に。

あのイカレた男から逃げるために。

そしてカツオは混乱していたッ!

階段を降り、玄関に向かえば、カツオは運動が得意で体力もある。中年の男からはたやすく逃げることが出来ただろう。

しかしカツオはただあの男から離れるために走った!

そしてこの階の端っこにある教室へと逃げ込んだのだ。


カツオ「ガクガクブルブル」


どこだーーい……

磯野カツオくーーーん…

殺さないから出ておいでーーーーー……


教室の隅で震えるカツオの耳に、廊下からの声が聞こえる。

カツオ「嘘だ…嘘だ…出て行ったら殺される……」

438 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 18:33:24.42 ID:ozEXUMAO
磯野カツオが最も恐れる事………

それは『死』

当たり前の事だと笑われるかもしれないが……カツオにとっては『死』は恐怖で、忠実で、偉大なものだった。

カツオには『夢』がある。

単純だが簡単ではない。

『ビッグ』になること。

そしてカツオは夢を叶えることを当たり前だと思っていた。

なんでも良い、仕事で成功するとか、テレビに出て有名になるとか、なんでも良かった。

そしてカツオはそれを叶える『自信』と『覚悟』があった。

だがそんな『自信』も『覚悟』も簡単にゴミクズにしてくれるのが『死』

カツオが最も避けなければいけない事態。

それがカツオの目の前で今にも首を狩ろうと静かに息を立てていた。

439 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 18:39:46.94 ID:ozEXUMAO
カツオ「ハアーーッ、ハアーーッ!」

カツオ「死ぬわけにはいかない……この磯野カツオには『夢』があるッ!!…何とかしてここをやり過ごさなければ…」


恐怖からか、緊張からか、汗だくになった顔を手で拭う。


カツオ「ハア…ハア………………ッ!?」


カツオは自分の顔に、鼻、目、口、そして汗、
それら以外のものがあることに気付いた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


『エフ、エフウゥゥゥゥゥゥーーーーー』

カツオ「な、何なんだよ『コイツ』は………!!?」

440 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 18:45:00.40 ID:ozEXUMAO
『エフ、エフ………』


カツオの顔でうごめくその物体。
動物とも、虫ともつかないその形。

カツオ「ひ……ひぃ……コイツ…いつの間に僕の顔にィィ………」

カツオはその形に生理的恐怖を覚え、払うことも出来ないほど体が固まってしまった。


カツオ「は…早く、取らないと……」

『エフエフウゥゥゥゥゥゥ!!!』


ジュウウゥゥ


カツオ「あ……うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

441 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 23:35:02.54 ID:ozEXUMAO
突如カツオの顔を襲う刺激ッ!

カツオ「ああぁぁぁ!!!か、顔が……ッ!熱いッ!!」

カツオは咄嗟に顔にくっついていた『生き物』を振り払った。


『エフエフウゥゥゥゥゥゥ』

カツオ「ハアハア!……何が起こったんだ!?今、僕の顔を襲った『熱さ』はなんだ!?」

カツオ「こいつがやったのか……!?」



ガララッ!


???「みぃ〜〜〜つけたァ〜〜〜〜!!」



442 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 23:47:18.64 ID:ozEXUMAO
カツオ「あ……あ…」


『生き物』はチョロチョロと男の元に素早く移動し、男の肩の上に乗った。


???「よしよし、良くやったぞ『ホット・チップ』」

男は愛おしそうに、その『ホット・チップ』と呼んだ『生き物』を指で撫でた。

『エフ、エフ』


カツオ「そ、それは何なんだ!?お前が飼ってるのか!?」


???「ピクッ」


???「お前……見えるのか…?」

444 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 23:51:12.82 ID:ozEXUMAO
カツオ「は……?」


『見える?』

あの男は何を言っているんだ?見えるもなにもそこにいるじゃないか。そしてお前はソレを指で撫でているじゃないか?

カツオは男の言った言葉の真意を探ろうとしたが、男は続けた。


???「やはりお前も『スタンド使い』か………やはりなぁ…やはり……困った……もしやとは思ったが……ああ、困った」



445 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/08(日) 23:58:12.78 ID:ozEXUMAO
カツオ「な……さっきから……お前は何を言ってるんだ…?……ス…スタンド使い?…訳が分からない…」


カツオの耳に入ってくる聞き慣れない単語。

『スタンド使い』?

そして僕も……?

これは夢か……?


カツオ「そ、そうだ、夢だよこれはァ……この学校にきてから理解不能な事ばかり起きてる……きっと夢なんだ…」


???「でも『スタンド』は発現していないようだ………今のうちに殺すか」


447 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 01:26:05.00 ID:5Gj2kcAO
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド


カツオ「こ、殺される……?夢なのに……いやだ……夢だとしても…殺されるのは……」


???「一度人間で試してみたかったんだ……私の『能力』で人間はどのような状態になって苦しむのか……」

男は目の前に並べられたている机を足で蹴飛ばしながらカツオに近付いて行く。


カツオ「ぼ…僕には『夢』があるんだ……!それなのに……」


???「『夢』だと?」

???「オマエみたいな世間を知らないガキが『夢』を語るなど……」

カツオ「う……うるさいッ!!僕にだって『夢』はあるッ!!そしてそれを叶えるんだッ!!」

???「叶える叶えないを決めるのはオマエではない……オマエのこれからを決めるのはこのわたしだ」


???「乳臭い小学生ごときがわたしに向かって得意顔に語るんじゃあないッ!!!」

448 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 01:33:20.15 ID:5Gj2kcAO
汗だくのカツオの顔目掛けて『ホット・チップ』が走り出したッ!


『エフエフウゥゥーーーッ!!』


カツオ「ううッ!?」


???「オマエの顔は『汗だく』だ……『ホット・チップ』の『能力』を発揮するのに充分な水分量だ」


???「地球上の水棲生物が生息可能な最高水温は摂氏32度以下らしい……金魚で試し済みだ」

カツオ「コイツが……ッ!水を熱湯に変えたとでも……ッ」

カツオ「!!さっきの顔の『熱さ』は………」

???「今度はじっくり最後までやらせてもらう」


『エフエフウゥゥーーーッ!!』

カツオ「や、やめろオォォォォォ!!!」

449 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:24:10.02 ID:5Gj2kcAO
バアアァァァァァ


カツオの体が熱くなるッ!


カツオ「あ、熱いッ!!けれどこの『熱さ』はッ!気持ちが良いィッ!!」


カツオの体を熱くさせるもの、それは目前まで迫っていた『ホット・チップ』のせいなどではなくッ!

カツオ自らの肉体が心臓の鼓動を高ぶらせ!流れる血液がその鼓動を全身へと循環させ!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド


カツオ「……ハア……ハア……」

カツオ「これが…スタンド…?」


『スタンド』と呼ばれる『ソレ』をカツオの肉体から解き放ったッ!!

450 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:28:40.59 ID:5Gj2kcAO
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


カツオ「ぼ、僕の『スタンド』……なのか…?」


???「ぐうぅッ!!やはりッ!やはりお前も『スタンド』をォッ!!?」

カツオ「僕の『夢』を守ってくれる……僕自身のエネルギーの固まり…」

カツオ「『夢』を想う『気持ち』が集まって固まれば『力』になるッ!!」

カツオ「この概念!!」

452 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:33:18.04 ID:5Gj2kcAO
『エ、エ、エフエフウゥゥゥゥゥゥ!!!』

???「こ…困ったッ!!予測はしていたッ!だ、だが本当にお前が『スタンド』を……ッ!!」

???「クッ……!」

???「五十年生きてきた男の人生の教訓だああァァァァァーーーーーッ!!!
『ホット・チップ』ウゥゥ!!」

???「殺られる前に殺れエェェェェェ!!!」

453 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:39:07.74 ID:5Gj2kcAO
『エエェェフエエェェファァァァァ!!!!』


ヒュンッ


ガッ!


『エフッ!』


襲い掛かってきた『ホット・チップ』を、カツオの横にいる『スタンド』はいともたやすく捕まえた。


???「ぐえッ!……な、な、な、は、速い……」

カツオ「これで……五分だな」

454 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:44:52.27 ID:5Gj2kcAO
カツオは感じたッ!

『スタンド』の圧倒的な『力』をッ!

自分の横で、散々自分を苦しめた『生き物』を、やろうと思えばいつでも潰してしまう事が出来るほどの『力』を持つ『スタンド』が…

まさか自分の『スタンド』とやらなんて。


カツオ「さて……この場合僕は何をすべきか?」

455 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:54:46.71 ID:5Gj2kcAO
???「ぐ、ぐるじィィ〜〜〜!!」


カツオ「殺そうと思えば……この『スタンド』の手に、軽く力を入れるだけでコイツは潰れる……」


カツオの『スタンド』の手の中で、『ホット・チップ』は苦しそうにもがいている。

そして『ホット・チップ』の『飼い主』の男も同じように苦しんでいた。


カツオ「………おい」


???「うげェェ〜〜〜!!」

456 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 20:58:59.13 ID:5Gj2kcAO
カツオ「一々苦しそうな声を出すんじゃあないッ!!力は緩めただろうがッ!」


???「ウゥ………なんだ………」


カツオ「もし……僕がコイツを潰したらお前はどうなるんだ?」


???「そんなことしたら死んじまうじゃねえぇぇぇぇぇかよおォォォォォ!!!!!頼むから止めてくれよオォォォォォ!!」


カツオ「死ぬ……ッ?」

458 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:19:06.41 ID:5Gj2kcAO
???「ああそうだよオォォォォォ!!!!『スタンド』が消滅すれば『スタンド使い』も死んじまうんだアァァァァァ!!!」


カツオ「そ…そうなのか…?お前、嘘をついてるんじゃないのかッ!!」

???「嘘なんかついてねぇぇぇよおぉぉぉぉ〜〜〜……なんだよォ、お前が1番知ってるはずの事だろおぉ!!」


カツオ「僕が1番…?何故だ!?何故僕が!?お前は何を知っているッ!?」


???「………へッ、こりゃあ傑作だ。まさか本当に何も知らないとはなァ!!」

459 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:23:57.68 ID:5Gj2kcAO
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


この男は何を知っている?

僕の何を知っているんだ?

こんなハゲかかった頭の中年親父が何故?

僕さえ知らない僕自身の事を知っている?



カツオ「……言え。知っている事を全てッ!!」


???「………困った………それは出来ない」

460 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:31:39.31 ID:5Gj2kcAO
カツオ「なに…?」


男は息を殺して笑っている。


カツオ「お前………ッ!!言わなければ殺すぞ!!」


『スタンド』の手に力が入る。


グググ…


『エフ……エフ…』


???「うげ……!」


カツオ「頼む……言えッ!出来れば殺したくなんてない……」


???「ククク………殺す?殺せるのかいお前に。この私が……」


カツオ「………」


???「もうすぐ死ぬのに?」


カツオ「な…んだと…?」

461 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:40:40.38 ID:5Gj2kcAO
???「私は先程までタバコを吸っていた……」


???「お前がこの教室にいると知って、急いで飛び込んだ時にタバコはそこら辺に捨てたがね…」


???「だがタバコの火はまだ生きていたんだ……煙をたっぷり出しながらねェ」


カツオ「ま…まさか…」


???「今時の学校ってどの教室にも『スプリンクラー』が設置してあるんだねェ。私が通っていた頃はそんなもの無かったよ」


???「ガキの命守るためだかしらねぇが、無駄な事に税金使いやがってと当時は思ったが……今は感謝しないとなァ〜〜〜」


???「煙を感知した『スプリンクラー』は『ホット・チップ』を捕まえているテメーの頭上にあるッ!!」

???「ガキの命を守るための『冷たい水』が『ホット・チップ』の能力によって『熱湯』に変わりガキの命を奪うぜエェェェェェェェェ!!!!」


スプリンクラー「ギギギ……」


カツオ「やれやれだぜ」

463 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:46:23.98 ID:5Gj2kcAO
ドゴォォンッ!!


『エホォッ!!』


???「ぶほっ」



カツオの『スタンド』によってスプリンクラーに思い切り投げ付けられた『ホット・チップ』は、スプリンクラーにめり込み、上手い具合に蓋の役割を成していた。


カツオ「ホントだ、気絶してらぁ」


???「………」


カツオ「こいつ……用務員のオジサンッ!?……ヤバイ事になってるようだ…僕の知らない所で……」

464 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:51:04.45 ID:5Gj2kcAO


億泰「磯野」


カツオ「ビクゥ!!」


扉に立っていたの億泰先生であった。
カツオは突然の声に少しちびってしまった。


カツオ「お…億泰先生か……脅かさないでよ……」

股間の不愉快な暖かさに感づかれないようカツオは振る舞った。


億泰「わりィわりィ。……ソイツは?」


カツオ「あ………あの……その……これは………信じてもらえないかもしれないんですが……」


億泰「話してみ」

465 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:55:20.15 ID:5Gj2kcAO
カツオは話した。

ありのままの事実を。嘘偽りなく。

用務員のおじさんが襲ってきたこと。


『熱湯』の『噂』はこいつの仕業だったこと。


そして『スタンド』のこと……


こんな話、カツオは信じてもらえるとは思わなかった。自分だっていきなり聞かされたら信じないだろう。子供が悪事を隠すための嘘だと。


だが、億泰先生は、馬鹿にすることなく、呆れることなく、怒ることなく、真剣に、僕の話に耳を傾けていた。

466 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 21:59:47.25 ID:5Gj2kcAO
全てを話し終えたカツオは億泰先生の顔を見たあと、俯き、呟いた。


カツオ「……信じて……もらえないですよね……こんな話…」


億泰は腕を組んだまま、一言も発せず、カツオの話を聞いていた。

カツオがこれからの事を最悪な方向へと予想しながら億泰先生の言葉を待っていた。



億泰「見せてみろよ」


ただ一言、億泰先生はカツオに向かって言った。


カツオ「え……?」


億泰「『スタンド』をさ。お前の。俺に見せてくれよ」

467 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 22:03:46.58 ID:5Gj2kcAO
カツオ「………」


馬鹿にしているんだろうか?
出せっこないと思ってるから……


カツオ「……はい」


カツオはそう言うと、『スタンド』を出した。


用務員のおじさんが言っていた事を思い出す。
『スタンド』は誰にでも見えるものではない……?
もし、それが本当で億泰先生には見えなかったら……



億泰「良いスタンドじゃねえか!」


カツオ「!!」

468 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 22:11:03.38 ID:5Gj2kcAO
カツオ「………見えるんですか……?……『スタンド』が……?」


億泰「ったりめーだろォ〜〜〜、俺だって『スタンド使い』だもん」


カツオ「ええッ!?」


億泰「オメーよりスタンド使い歴は長いぜぇーーー!!なんたって高校生の頃からだもんな……アレ?確かそうだよなァ〜〜〜?兄貴に刺されてから……」


カツオ「さ…刺された?」


億泰「ああ、それはコッチの話ってやつよ!!詳しい事は明日話してやるよ………後の事は俺に任せろッ!もう遅い、ご両親も心配してるだろーから送ってってやるよ」


カツオ「あ、ありがとうございます」


億泰「いーってことよッ!!」

469 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 22:18:06.16 ID:5Gj2kcAO
〜億泰の車中〜


もう少しで家に帰れる……夢みたいだ。

二度と家には帰れないと思ってたけど………


しかし疲れた……

今日は色々ありすぎた。


『スタンド』?

一体これは何なのだろう。
そして僕は『スタンド』について詳しいはず…?
あの男が言ってた事……僕は……

明日億泰先生が話してくれる…

何が起きているのか、これからどうなるのか…


もうすぐ家に着く…


今日は疲れた……







用務員のおじさん
【ホット・チップ】
再起不能


スプリンクラー代、億泰負担



TO BE CONTINUED→→

470 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 22:23:16.07 ID:5Gj2kcAO
これまでのスタンド


【スタンド名】ホット・チップ
【本体】用務員のおじさん
【破壊力】―
【スピード】B
【射程距離】50〜100m
【持続力】C
【精密動作性】B
【能力】
「スタンドが触れた水を熱湯に変える」
「汗などの液体も熱くさせることが可能なよう」

472 名前: ◆.LMqmG8Hlg saga 投稿日:2009/03/09(月) 22:26:26.36 ID:5Gj2kcAO
【スタンド名】???
【本体】磯野カツオ
【破壊力】A
【スピード】A
【射程距離】2〜3m
【持続力】B
【精密動作性】B
【能力】
不明

473 名前: ◆.LMqmG8Hlg #ちんちん 投稿日:2009/03/09(月) 22:28:34.97 ID:5Gj2kcAO
やっと最初の話終わったww
このペースじゃいつ終わるか……

しかしこんなんでも見ててくれる人には感謝過ぎてイッちゃう!!!



つ次回は気長に待てw


引用元
カツオ「これが…スタンド…」

http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1235916147/

 

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