引用元
『GS美神 薔薇乙女大作戦!』
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1233579130/


 

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 01:20:19.56 ID:pe3crff00
「……最悪……… 」

横島の住むボロアパートの屋根。
朝、水銀燈は自らの寝床である鞄から身を起こし……昨日の事を改めて思い出して、呟いた。

真紅の様子でも見てやろうと行ったまでは良い。
何故かミーディアムと契約をしていらず、力を発揮できてない真紅を追い詰められたのはもっと良かった。
問題は……
それから、とんでもない年寄りと機械人形が乱入してきて………

そこからは思い出すのも嫌な地獄絵図だった。

周囲に爆発を撒き散らしながら迫る機械人形。しかも、どんなに逃げようと執拗に追ってくる。
横島の機転で下水道に逃げ込み……服に変な匂いが着いたのも、嫌な思い出。
でも、そのお陰で逃げ延びられたというのは……もっと嫌な記憶だった。

とりあえず水銀燈は、そんな鬱々な出来事と……
役に立つのか立たないのか判断しかねるミーディアム、横島の事は忘れて……いや、忘れる為、
背中から羽根を広げると、空の散歩へと出かける事にした。


 

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 01:21:39.01 ID:pe3crff00

「おーい、水銀と… 」
昼前になりやっと起きた横島は、着替えを済ませてからアパートの屋根へ向け、そう声をかけた。
だが……屋根に転がっているのは、中には誰も居ない鞄だけ。

「……出かけてるのか?……ま、いっか 」
横島は深く気にすることも無く、とりあえず勤め先の美神事務所へと向かう事にした。


横島が自給255円で働かされている美神事務所は、彼のアパートから一駅の所にある。

だが、超薄給の彼に電車に乗るという選択肢は無いし、
自転車を買う金があるならチキンラーメンに卵を乗せる方を迷わず選ぶのが横島だった。


そんな訳で、横島がテクテク歩きながら美神の事務所へと向かっていると……

「くっくっく……小僧…待っておったぞ…… 」
電柱の影から、マントを羽織った変質sy…ドクターカオスが不敵な笑みを浮かべ、彼の前に立ちふさがった。

(マズイ!……やっぱ、昨日の事怒ってんのか!? )
文殊という人間には過ぎた力を持ち、実力ではカオスを凌駕する横島ではあるが……
やっぱり、基本的にはヘタレ。

引き攣った愛想笑いを浮かべながら、横島はジリジリと後退り、逃げようとして……
『ゴー…ガシャン!』という……聞き慣れた音が背後から聞こえた。

振り向くまでも無い。だって……何回も同じ方法でマリアに捕まってるから。

 

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 01:24:24.24 ID:pe3crff00

…………

水銀燈はパタパタと空を飛び、時々ビルの屋上で羽を休めたり。
きままな散歩をしながら時間を潰していた。

気まぐれで、街の中にあった教会のステンドグラスから中を覗いてみたら、眼鏡の神父が野菜と戦っていた。
「……完全にイカレてるわぁ…… 」
げんなりとした表情で、水銀燈は呟く。

と……いくら化け物みたいだったとは言え……
彼女は野菜を見たことで、自分が長らく何も口にしていない事を思い出す。

人形であるローゼンメイデンにとって、食事は必要なものではなかったが……
それでも味覚というのは楽しみの一つでもあった。

「美神って女の所の方が……少しはマシな物がありそうね…… 」
水銀燈はそう呟くと、羽をパタパタさせながら美神の事務所の方向へと飛んでいく。



まさか……あんな光景が広がっているなど、夢にも思わずに………


 

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:01:06.05 ID:pe3crff00

「ふはひ、ほーへんははひふへーふほほほんへひふほはほほへんほは! 」
(つまり、ローゼンがアリスゲームを望んでいるとは思えんのだ)

「へほほへはへひゃ、ひはひはんはへっほふほふへーひは…… 」
(でもそれだけじゃ、説得力ねーしなあ……)



水銀燈は美神の事務所の扉を開け……その先に広がる光景に顔を引き攣らせた。

昨日戦った老人、ドクターカオスと横島が……
テーブルに置かれた茶菓子を食い散らかしながら、モフモフと叫んでいたからだ。

しかも、その隣では……
「この香り……ああ…これこそが紅茶よ……美神、良いリーフを揃えているわね 」
憎たらしい赤だるま真紅が、嬉しそうな顔で紅茶を飲んでいる。


そして……そんな光景に顔を引き攣らせていた水銀燈は……

『ニッコリ』と笑顔を浮かべながら手招きをする美神の顔を見て……とても嫌な予感がした。


 

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:04:39.88 ID:pe3crff00

「つまり、ドクターカオスの話を聞くに、どーもキナ臭い感じがしてきたから……
 あなたとの契約を切っちゃいたいのよ 」
美神は水銀燈を自分の向かいに座らせながら、実にアッサリとそう切り出した。
「こっちとしても、優秀な助手を無償で貸し出すわけにはいかなのよねー 」
そう言い、わざと困ったように肩をすぼめてみせる。

「み…美神さん…ついに俺の事を認めてくれたんですね!!という事は自給もドーンと800円くらいまd」
「交渉上の便宜くらい察さんかー!! 」
目をキラキラさせながら割り込んできた横島を、美神はボコボコに!


「……何よぉ……私より、そんなロートルの話を信じるの……… 」
水銀燈は不快感を隠さぬ表情で、テーブルを見つめたまま呟く。

「でもカオスは、あなたのお父様『死を欺きし者・サンジェルマン』ことローゼンと並び称される錬金術師……
 ……だったのよ? 」
美神はそう言い、先ほど「トイレを借りるぞ」と言い、カオスが出て行った扉を見つめた。


その扉の向こう側からは……
「おお!やはり新聞紙ではなくダブルロールだったか!!マリア!バレんように2、3個ガメておけ!! 」
「イエス・ドクター・カオス 」
非常にセコイ事をしているヨーロッパの魔王の声が聞こえてきた。

美神は…ちょっとだけ引き攣った笑みを浮かべ「ちょっと待っててね」と言うと、スタスタと部屋から出て行く。

 

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:07:47.21 ID:pe3crff00

何だか廊下の遠くから聞こえる、誰かの断末魔と激しく殴る音を聞き流しながら……
水銀燈は、何を考えているのか静かに目を瞑りながら紅茶を飲む真紅を横目で覗った。

真紅もその気配に気付いてか……紅茶のカップをテーブルに置くと、静かに口を開いた。

「……私は元々、アリスゲーム以外でお父様に会う方法を模索してた身ですもの。
 無駄足になるかもしれないけど……カオスの考えを、とりあえずは最後まで聞いてみるつもりよ 」

それから真紅は一呼吸はさみ、「貴方もどうかしら?水銀燈 」と小さな声で告げた。


水銀燈は……アリスゲーム以外の方法には興味が無かったが……

それでも、敬愛する父・ローゼン。それと研究を共にしたというカオスの行動。
それを通して……父の軌道が見えるのではないか、という思いは沸いてきた。

問題は、その事に誘ってきたのが真紅だという事。
それにカオスが、憎き真紅のミーディアムであるという事。

プライドの人一倍高い水銀燈は……どうしても首を縦には振りたくなかった。
かといって………


答えに窮した水銀燈は、チラリと横に座る自分のミーディアム……横島の方へと視線を泳がせる。

横島はその視線に気付いたのか……珍しく気を利かせ、頬をポリポリ掻きながら呟いた。
「えーっと……いや、俺はさ、ほら………昨日の事もあるし……おっさんを手伝ってもいいかなーなんて…… 」

 

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:11:47.95 ID:pe3crff00

水銀燈は一瞬、目を見開き……
それから、すっと息を吸い込む。そして次に彼女が正面を見据える頃には……
水銀燈お得意の、不敵な笑みを浮かべていた。

「全く……ミーディアムの我侭に付き合うのはシャクだけど……
 力の媒介からそう離れるのも褒められたものじゃあないわよねぇ……仕方ないわね 」



「おお、話はまとまったか! 」
ちょうどそのタイミングで、カオスが……額からドクドク血を流しながら帰ってきた。
その後ろからは美神が、手の平の埃をパッパと払いながら入ってくる。


カオスはソファーに座る横島と2体を等しく見渡してから、満足そうに頷くと口を開く。
「そうとなれば……向かうはドイツ、ワシらが昔使っていたアトリエじゃ! 」

そして、自分の席へと戻った美神に視線を向け、続けた。

「という訳で、旅費を貸してくれんか? 」
「絶・対・イヤ。 」
美神はニッコリ即答。
 

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:15:13.17 ID:pe3crff00
だが……今回ばかりは、カオスにも考えがあった。
まるで初登場の時のように、不敵な笑みを浮かべながらドクターカオスは美神に囁く。

「……研究所には錬金術の秘法が残っておるんじゃが………興味は無いのか?美神令子よ… 」



錬金術。
今では失われた、高度な魔術。
当然……その秘法は、市場に出るとたちまち値を吊り上げる。



そんな代物にお金が大好きな美神が興味を示さない訳も無く……こうして一行のドイツ行きが決定した。




「話はまとまったわね 」
と、カオスが先ほど言ったセリフと同じ言葉を、今度は真紅が口にした。

「初めからそう言ってくれれば……nのフィールドを通れば、ドイツなんてあっという間よ 」
そう言い、ピョンとソファーから飛び降りると、壁にかけられている鏡へと腕を伸ばした。

すると鏡は……まるで水面のように波立ち始め……異空間へと繋がる扉へと姿を変える……

「ほう…!これがnのフィールドか! 」
カオスは研究者らしく、未知なる存在への興味で顔をほころばせながら、何の迷いも無く鏡へと足を踏み入れた。
その後すぐに、真紅が鏡の中へと消える。
 

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:22:38.71 ID:pe3crff00

「へぇ、空間移動なんて便利なものね 」
美神は鏡に指先を当て、少し様子を探ったりするが……
やがて危険は無いと判断したのか、鏡から広がる世界、nのフィールドへと入っていった。

そして………

「嫌やー!!そういった空間には、決まって緑色のウジュルウジュルしたエイリアンが住んでるんやー!!
 俺は行かん!絶対に行かんぞー!! 」
横島はソファーにしがみつきながら、必死に妄言を垂れ流している。

水銀燈は、そんな横島の首根っこを小さな手で掴みながら……
「う、る、さい、わねぇ、さっさと……行きなさいよぉ!! 」
最後は後ろから思いっきり蹴飛ばして、nのフィールドへとぶち込んだ。

「ぎゃーーーぁぁぁ…… 」
横島の声が小さくなっていくのを聞き、それから水銀燈も鏡の中へ……nのフィールドへと消えてゆく。



「ドクター・カオス・トイレットペーパーの回収作業・終了しました 」
両手にトイレットペーパーを抱えたマリアが、主人が居るであろう部屋の扉を開いた頃……

水面のように揺らいでいた鏡の表面は、既に動きを止めていた。



 

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:25:30.97 ID:pe3crff00

「み…緑色のエイリアンがーー!!……あれ? 」
nのフィールドの…時間と空間が捻じ曲げられた、漂うような場所で、横島は目を覚ました。

周囲を見渡すと、真っ暗な空間の中にいくつもの扉が浮かんでいるという摩訶不思議な光景。

キョトンとしながら横島が周囲を見渡すと……水銀燈がお腹を抱え、自分を指差しながら笑っているのを発見した。
「あははは!馬鹿じゃないのぉ!何がエイリアンよ、怖がっちゃって!……あははは! 」


そんな能天気な光景を無視しながら、美神は一つの扉を開いて中を覗いてみる。
そこに見えたのは……
竜神族の小竜姫の住む、霊山・妙神山の光景。

全くもって謎の転送技術に、美神は眉間に皺を寄せて考え込むが……

「ここにある扉を使って、私たちは離れた地に存在する別の扉まで移動してるのよ 」
隣で真紅の発した言葉で、思考を途切れさせられた。
「私達にも、どういう原理かは分からないけど……こういうものだ、と理解したら、案外便利なのだわ 」
そう言うと、フィールドの中に無限に存在する扉の中を、ドイツへの扉を探して飛んでいった。

だが……ドイツへ繋がる扉を発見するより早く……ドクターカオスが声を上げた。

「くっくっく……研究所へ行くなら、ドイツへ行くよりこちらの方が早そうじゃ… 」
そして、皆の反応を待つ前にカオスは扉を開き……nのフィールドと通常の空間が繋がる………


 

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:29:43.42 ID:pe3crff00

「こ…ここは…!? 」
美神と横島は……いつか見たことのある光景に、思わず息を呑んだ。

埃が積もり、棚に並べられている資料も荒れ果ててはいるが……
そこは間違いなく、美神の持つ時間移動の能力が発動し、中世に飛ばされた時に訪れたドクターカオスの研究所。


「お前達が帰り際に何かと盗みおったせいで、あの時は苦労したもんじゃ…… 」
カオスは遠い記憶を懐かしむように研究所の中を見渡す。

そして、岩壁に手を当て……飛び出した一つの岩を、壁の中に押し込む。
すると、低い音を響かせ、まるで格納庫の扉のように岩壁が開く………!


そこに置かれていた巨大な物体を見つめながら、カオスが口を開いた。

「……プロトタイプだからと、何かと詰め込みすぎて……お陰で制御が不安定になってしまったが……
 貴様らが帰った後、破壊されたバロン(犬型ロボ・コミック参照)の人工知能により制御を可能にしたワシの作品…… 」

それは……中世のヨーロッパで天才と恐れられていた頃のドクターカオスの傑作。
漆黒のシルエットに、現代のステルス戦闘機を連想させる両翼……

「その名も、カオスフライヤー・序章(オーベルテューレ)じゃ!! 」

そこには、世界の空を支配するに相応しい、科学と魔術が融合した巨大戦闘機が眠っていた。



 

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 02:32:52.14 ID:pe3crff00

「ところで、カオスフライヤーって…… 」
戦闘機を見ながら大爆笑しているドクターカオスに聞こえぬよう、小声で横島は美神に声をかける。

確か……現役バリバリの頃のカオスが作って、暴走した挙句に自爆した機体。

「……俺、パスしていいっすか? 」
「あ、私もパス 」

このおっさんの発明はロクもんじゃない。
そう心に刻まれている美神と横島は、小声で逃げる算段を相談し始めていた。




  − 少女人形はお父様の夢を見る その4 −


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:05:47.40 ID:pe3crff00
「ふはははーー!!こうしていると中世の空を姫とデートした事を思い出すのう!! 」

戦闘機・カオスフライヤーで空に銀の糸を走らせながら、カオスは高らかな笑い声を発する。

その後部座席では…
「過ぎた事とはいえ、このおっさんは300も年下の相手と…… 」
横島が歯を食いしばりながら血の涙を流していた。


「凄いじゃない。見直したわ、カオス 」
「まぁ、お父様と肩を並べてた、ってのも嘘じゃなさそうねぇ… 」
真紅と水銀燈は、文字通り飛ぶように過ぎ去る風景を眺めながら呟く。



中世に利用していたカオスの研究所から飛び立った戦闘機は……
流石に、現役時代に作っただけの事はあり、文句無しの性能を誇っていた。

「…今のあんた見てるとピンと来ないけど、一応『ヨーロッパの魔王』だったのよねえ… 」
乗り込むまで散々ゴネていた美神は、ちょっと感心したような表情で言う。

「一応とはなんじゃ!一応とは!! 」
「カオス!前を見て操縦して頂戴!! 」


そんなこんなでカオスフライヤーは、あっという間にドイツ上空にまで到着した。



ちなみに、その戦闘機だが…着陸した後、例の如く、自爆して雲になっていた。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:09:52.37 ID:pe3crff00

「この場所でワシとローゼンは人工魂魄の研究をしておった。…ずっと昔の話じゃがな 」

岩山に掘られた、中世に作られたとは思えない金属張りの道を進みながらカオスは説明をする。
そして、その通路は一枚の鋼鉄の扉によって終点を迎えていた。

「誰にもワシらの成果を荒らされぬように、この扉には暗号がかけてある 」

そう言い、カオスは扉に手を触れ……指先から霊力を迸らせながら、解除の呪文を唱えた!

「我が名はドクター・カオス!!主の帰還と知り、その禁忌の扉を今こそ開き―――へぶぅ!? 」
詠唱が終わる前に、長年放置され劣化の進んでいた扉は爆発した。

「………おーい、カオスのおっさーん? 」
鉄の扉の下敷きになり、血を流しながらピクピク痙攣するカオスに、横島は引き攣った顔で声をかける。

真紅と水銀燈は、ここに来て手がかりでもあるカオスの死(?)に、顔色を青くする。


そんな全てを…というよりカオスを無視して、美神は吹き飛んだお陰で開いた扉をくぐり…
「へぇ!あなた達も、こっちに来てみなさいよ! 」
未だに通路に残る横島と真紅、水銀燈を呼んだ。


そして、扉をくぐった先には ――――

一面に広がる、全ての季節の花。
洞窟内だというのに、周囲はまるで昼のように明るい。
中心には一軒の大きな屋敷が建つだけ。
 

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:14:11.38 ID:pe3crff00

「これは!? 」
存在そのものが異質な空間に、横島は驚きながら美神へと解説を求める。

美神は屈み、地面を少し触り…それから、横島たちへと振り返った。
「地面や…いいえ、地面だけじゃないわ。そこら中に精霊石が埋め込まれていて、
 その力がこの場を霊的に満たしているお陰で、こんな特殊な空間になっているのよ 」

それから改めて周囲を見渡し…呟いた。
「これだけの精霊石……魔術全盛の中世だという事を考えても、莫大な予算が必要よ……
 ふ…うふふふ……これはかなりの実入りが期待できそうね! 」

横島は、そんな美神の横顔を見て……
ああ……今日も悪い事考えてる顔してるなぁ……と、思った。


その頃、真紅と水銀燈は……目に前に建つ屋敷に視線を向けながら、震える声で話していた。

「ここは…でも、こんな場所は…… 」
「ええ、一度も来た事は無いわ…それなのに…… 」

そんな中、やっと起きたカオスは首をコキコキ言わせながら二体に近づく。

「恐らく、人付き合いが苦手なローゼンの事。ワシと違い、新たなパトロンを見つけられず、
 ずっとこの地で研究を続け、お主達を作ったんじゃろう 」

ちなみに真紅と水銀燈は、その言葉より「どうして、アレでまだ生きているの!?」と驚いていた。

 

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:18:17.25 ID:pe3crff00
「…さ、行くぞ 」
カオスは真紅と水銀燈を促し、ローゼンの手がかりを探しに屋敷へと向かう。

その頃、彼ら背後では…美神令子監修のもと、横島がせっせと地面を掘りながら精霊石を探していた。


………

……




特殊な霊的処置が施されているのか、屋敷の劣化は思いのほか少ない。
足音を殺す為に貼られた赤い絨毯の上を、カオスが。それに続き、真紅と水銀燈が進む。

「ここでは数多くの錬金術師が研究をしておった… 」
カオスは迷い一つ無い足取りで進みながら、口を開いた。

「文字通り、金を作ろうとする者。空を目指した者。そして…ワシらのように、魂を作ろうとした者… 」
廊下に何枚も並んだ扉や、窓から見える景色を見ながら、真紅と水銀燈はカオスの話に耳を傾ける。

「そういった錬金術師達が、その秘法を小出しに売り……資金を出し合って築いたコロニーが、ここじゃ… 」
時折、寂しそうな目を一枚の扉に向けたりしながらカオスは廊下を進む。

「最も、真に才能のあった錬金術師は…結果論に過ぎんが、ワシとローゼンだけじゃったがな… 」
そしてカオスは、屋敷の最奥にある一枚の扉の前で立ち止まった。

「しかし、ローゼンの部屋はどこじゃったかな? 」

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:22:52.48 ID:pe3crff00


「?? 」
地面からせっせと精霊石を掘り起こしていた横島は、ふと顔を上げた。
「ほら!横島君!さっさと掘りなさい!時間は有限なのよ!? 」
監督の美神が、ビシィ!と厳しく指示を出す。

「え?いや…今、誰かが殴られたみたいな音、しませんでしたか? 」
「…何?つまり殴られたいの? 」
「いーえ!!めっそーもない!!さー!キビキビ掘るぞー!! 」



「お主たちはローゼンの娘じゃろ!?だったら、親子の力で何とか分かるもんじゃないのか!? 」

ほんのちょっと頬を腫らしたカオスは、先ほどまでのシリアスな表情が嘘のような顔で真紅と水銀燈に詰め寄る。

「全く、肝心な時に使えないのね… 」
「ホント、まるで分度器みたいな人間ねぇ… 」
真紅と水銀燈は、勝手な感想を言いながら、カオスを無視して一枚一枚扉を開けては中を覗いてみていた。


ドロドロに解けた気味の悪い生物が、試験管に並べられた部屋。
壁一面に、巨大な翼を持つ何かの絵が書かれた部屋。
小石や岩に紛れて、割れた宝石がゴロゴロ転がる部屋。
壁一面に人形の手や胴体部分が飾られた部屋。

「おお!ここじゃ! 」
カオスはそう叫ぶと、真紅と水銀燈を押しのけて部屋へと飛び込む。
そして壁に立てかけられていた資料を適当に掴み、カオスは熱心な表情でそれを読み解き始めた。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:27:56.35 ID:pe3crff00
だが、真紅と水銀燈は…
部屋の中心にまで足を踏み入れると、まるで触れることですら恐れ多いといった表情で周囲を見るばかり。

まるで聖域に何かの間違いで足を踏み入れてしまったかのような…
全身に鉛を付けられたかのような圧迫感を、二体は全身に感じていた。


「…カオス…何か分かったの…? 」
まるで肺に穴が開いたかのように漏れる息で、それでも真紅はそう搾り出す。

「ええい!ちょっと待っておれ!!…えっと…これはつまり…いや…しかし… 」
カオスはブツブツ言いながらローゼンの資料に目を通す。

だが、全盛期の頃ならいざ知らず、今のカオスの頭脳はかなり劣化が進んでいる。
まるで友人の名前が思い出せないような歯がゆさを感じながら、カオスは資料を読み続ける…


すると、開きっぱなしになっていた扉が、風も無いのに突然…閉まった。


「やれやれ…かってのヨーロッパの魔王がこの御様相とは… 」

突然の声に、三者が振り返ると…そこには見慣れぬ男が一人。
 

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:33:50.56 ID:pe3crff00
「…ほう…随分と久しいな 」
カオスは持っていた資料を手近に有った机に放り投げると、男に向かって鋭い視線を返す。

「…誰なの? 」
相変わらずの息苦しさを感じながらも、真紅は男を睨むカオスに声をかけた。

「ワシらと一緒に錬金術に励んでいた一人じゃよ。不老不死の研究をしとった。…才能は無かったがな 」
カオスは男から視線をそらさず、小さな声でそう答える。

「クックック…才能、ですか。いやはや天才はお厳しい! 」
男は…まるで気がふれているかのように笑いながら額に手を当てる。

「…少なくとも、研究費欲しさに他人の成果を勝手に売った男に遠慮する理由は無いのでな…… 」
カオスは気取られぬよう静かに…長いマントで隠された足を少し動かす。

その瞬間、男は指を一本立て…再び、笑みを浮かべた。

「不老不死の研究には莫大な資金が必要なのですよ。貴方のような、不完全で醜い不死の場合とは違うのでね。
 ですが…お陰で私は、貴方ともローゼンとも違う、私だけの不老不死を手にしたのです! 」

そう言うと、男の体から風が起こり…やがてその風は埃を巻き込みながら、男を中心に竜巻のように舞い上がる!

「クックック…兎の耳は何も聞き逃しません。さて?どうします? 」

風が止んだ時……
そこに立っていたのは、人間ではなかった。

体つきや服装は人間のそれではあったが、その顔は…兎そのもの。
 

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:38:03.92 ID:pe3crff00

「…魔装術…いや、すでに完全に魔族に堕ちおったか…ラプラスよ! 」
カオスはその姿に戦慄を覚えた。

自らの霊力を鎧と化し戦う魔装術。
術者の戦闘力を遥かなる高みまで押し上げる脅威の技。
だが、一歩使い方を間違えれば…術者は魔道に堕ち、その身は魔族へと変貌を遂げるという禁忌の術。


正直、カオスに勝ち目のある相手ではなかった。





  − 少女人形はお父様の夢を見る その5 −

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:39:53.83 ID:pe3crff00

「ラプラスの魔…どういう事なの… 」
全てを横で聞いていた真紅と水銀燈も、見慣れた相手に…息苦しさも忘れ、刺すような言葉を投げかけた。

「クックック…天才などと呼ばれてお高くとまっていたローゼンが…
 自らの発案したnのフィールドで行方不明になった時は、流石に神の存在を信じましたよ!
 お陰で、彼が生涯をかけて作った玩具に殺し合いをさせて遊ぶことが出来ました! 」


姉妹同士で殺し合い、最後に生きた者のにが父・ローゼンに会える。
それを知ったのはいつか?
真紅にも水銀燈にも記憶は無い。
だが、彼女達の戦いの記憶は…その始まりには…常にこの兎が……


「クッ…! 」
水銀燈は怒りに顔をゆがめながら、ラプラスの魔に襲いかかろうとする!
だが…
そんな彼女が足を踏み出す直前、その視界は一枚のマントに覆われた。

顔を上げると…下がっていろと背中で語る、ドクターカオスの姿が!


「親友の娘をもてあそんだ貴様は…ワシの長い人生の中でも最も唾棄すべき存在じゃ… 」
カオスは鋭くラプラスの魔を睨みつける。

だが…彼の実力では勝ち目が無いことは誰の目にも明らかだった。

 

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:41:39.73 ID:pe3crff00
にもかかわらず、カオスはその顔に笑みすら浮かべる!
「知らんかったのか!全部喋った悪党に残された道は、敗北だけだとな! 」
そしてカオスはマントから腕を出し、高く掲げると同時に叫んだ!

「マリア!!やれぃ!! 」



………その頃、遠く離れた島国、日本の美神事務所で。

「あ、マリアさん、ついでにお洗濯物取り込んどいてもらえますか? 」
「イエス・ミス・おキヌ 」



………で、再びドイツの研究所

「…マリアは日本に置いてきたのだわ 」
「ぬわにぃーーー!? 」
冷め切った真紅の呟きと、顎が外れんばかりに叫ぶドクターカオスの声が響き渡った。


 

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 03:43:56.96 ID:pe3crff00

「………クク…クックック…いやはや、不完全な不老不死はかくも醜く愚かな事。
 いいでしょう。魔族の力を手にし、死も老いも無い私の力…貴方にも見せてあげましょう! 」

ラプラスの魔がそう叫ぶと……突如として、三者の足元が波打つように揺れ…
「nのフィールド…その全てを私が支配する世界!…ショーは終わりに相応しいステージへ…! 」
言い終わらぬ内に、まるで足元に底なし沼でも出現したかの如く、全てが床へ沈み始める。

「ぬぅ!?いかん!! 」
カオスは咄嗟に叫ぶが、回避する術など無く…そのまま三者はnのフィールドへと飲み込まれていった…


…………


無限に広がる闇の中に、巨大な木が一本生えているだけの空間。
上と下の判断も定かではない、重力の狂った世界。

そこに放り出されたカオスと真紅、水銀燈は…
目の前で邪悪な笑みを浮かべる、兎の顔をした魔族…ラプラスの魔と対峙していた。

カオスは、考える。

(霊圧から考えるに…低級魔族か…よくて中級といった所じゃろうな…)
美神や横島なら、軽くひねる事も出来るだろう。
(だが、ワシには…)

カオスは力の差に空気が震えるような錯覚を感じながら…覚悟を決めた。
 

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:06:35.04 ID:pe3crff00

「真紅、水銀燈…ワシにはnのフィールドの事はよく分からん。解析する時間も無い。
 だから…ワシが時間を稼いでる間に、貴様らが美神と横島を呼んで来い 」

それだけを告げると、カオスは二人を乱暴に突き飛ばした。

「愚か者め!!天才の放つ一撃を喰らうがいい!! 」
得意の武器にして唯一の手段。
胸に刻まれた魔方陣から放たれる光線を、ラプラスの魔に向けて乱射する!


「カオス… 」
光線を乱射するカオスと、それを笑いながら避けるラプラスの魔。
その姿を見つめながら、真紅は心配そうに呟く。

水銀燈はそんな真紅の腕をガシッと掴むと、そのまま駆け出した。
「あのロートルは殺しても死なないわぁ…だから…」
nのフィールドからの出口を探し、水銀燈は羽を広げ、飛ぶ。

ラプラスの魔……今まで自分達の運命をもてあそんだ憎き相手。
確かに、許すべき相手ではないが…

アリスゲームに重きを置き、姉妹達の仲でも武闘派に分類される水銀燈には…それ以上に、思うことがあった。

「…ラプラスの魔…まさか…あれ程だったとはね… 」
こみ上げてくる激しい憎悪と、圧倒的な戦力差という現実。
水銀燈は小さく舌打ちをしながら、徐々に遠ざかる戦場を睨みつける事しか出来なかった。


144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:00:36.70 ID:pe3crff00


「オーケー、いったん休憩にしましょ 」
一切働いてないにも関わらず美神は、自分の都合だけで地面を掘り返す横島にそう告げた。

自分の都合。
もちろん、掘り返した精霊石の数と量を計算し、どれ位の値打ちになるか試算したかったからだ。

ともあれ、そんな事情でも、地面を掘るという重労働から開放された横島は…
「み……み…ず…… 」
脱水症状寸前の、ガリガリになった体で地面を這っていた。

そのままズルズルと、まるで悪霊みたいに移動し、噴水に溜まった水に顔を近づけ…―――


―――…その頃、nのフィールド

「水銀燈!出口を見つけたわ!! 」
「ええ!!さっさと横島と美神を呼ぶわよぉ!! 」


再び、噴水前。

横島は水を飲もうと噴水に顔を近づける。
その瞬間、その水が淡い輝きを放ち始め…

水溜りをnのフィールドの出口にした真紅と水銀燈。
まさに水を飲まんと、顔を近づけていた横島。

一人と二体は…派手に、正面から激突した!

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:02:18.95 ID:pe3crff00
「きゃぁ!? 」
nのフィールドから抜けた瞬間、何かにぶつかり…真紅と水銀燈はそのまま地面に倒れる。

そして横島は…
「目がァァ!!目がァァァ!!!? 」
両手で顔面を押さえながら、地面を悶絶していた…


「横島!地面とじゃれてる場合じゃないわ!!さっさと起きなさいよぉ! 」
水銀燈はジタバタと暴れる横島の首を締めながら、ガクガク揺さぶる。

「美神!カオスが…このままじゃあカオスが…!! 」
真紅は精霊石の山を眺めながら、幸せそうにトリップしている美神に掴みかかる。


「え?ちょっとどういう事? 」
我に返った美神は、とりあえず真紅から改めて事情を聞き……
「イヤよ 」
と即答した。

「私はタダ働きはしない主義なの 」
そう言い、再び精霊石の値段を計算し始める美神。

だが、真紅も水銀燈も…ここで退く訳にはいかなかった。


美神にとってお金が大事なように…彼女達にとって最も大切なのは、誇り。
傷つけられた矜持を取り戻す為にも…
ラプラスの魔に一矢報いる為にも、真紅と水銀燈は退く訳にはいかなかった。


151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:08:23.63 ID:pe3crff00
だが…良くも悪くも真っ直ぐな真紅の言葉は、目が¥マークになっている美神には一向に効かない。

真紅はまだ美神を説得できないのかとやきもきしていた水銀燈だったが…
そんな光景に、ついに痺れを切らした。

「ねぇ…美神ぃ?貴方がここに来る条件って…あのロートルにお金を貸す事…だったわよねぇ…? 」
水銀燈は背中から羽を広げ、美神の周りをねちっこく飛びながら猫なで声で囁く。

「う゛ 」
美神が一瞬、ギクリと身を強張らせる。
そして、それを見逃す水銀燈ではない。
ほんのちょっぴり冷や汗の流れる美神の顔に、自分の顔を近づけ…さらに続けた。

「でも、ここに来るのにnのフィールドと戦闘機使っちゃったし…
 あらぁ?ひょっとして…貴方…全然役に立ってないじゃなぁい。ふふふ… 」
小声で囁き、それから美神の眼前に積み上げられた精霊石を一つ、パッとつまみ上げた。
「ふふふ…そんなジャンクには…コレ、要らないわよねぇ? 」

その瞬間!美神はキレた!

パシッ!と水銀燈の手から精霊石の欠片を奪い取る。
頬をピクピクさせながら、悪鬼ですら逃げ出しそうな表情で、水銀燈に顔を近づけた。
「前金よ、ま・え・き・ん!! 」



そんな光景を、少し離れて見ていた横島と真紅は…

「…水銀燈って、おっかねーなー…」
「そうね。人を怒らせる事では、彼女以上は居ないでしょうね 」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:10:56.48 ID:pe3crff00
………

……




「クックック…トリビァル!実に!滑稽ですな! 」
カオスの怪光線を、まるで馬鹿にしたように跳ねながら避けるラプラスの魔。

「なんの!ワシとて伊達や酔狂でヨーロッパの魔王と呼ばれておらんわ!! 」
そう叫び攻撃の手を一向に緩めないカオスではあったが…
全盛期の頃ですら肉弾戦はしてこなかった彼にとって、これは強がり以外の何ものでもなかった。


「いやはや、かつての友人を痛めつけるのは…とても心が痛みますなあ 」
ラプラスの魔はおどけたようにそう言い…指をパチンと鳴らすと同時に突然姿を消す!

「!! 瞬間移ど―――ぐぅ!? 」
カオスが目を見張り、最後まで言葉を発する前に…その頭上から雨のように霊波の弾丸が降り注いだ!


ラプラスの魔は…勝利を確信したかのような醜悪な笑みをその兎の顔に浮べる。
だが…カオスは全身から血を流しながらも、揺れる足取りで、それでも立ち上がった。

「くっくっく…見よ、ラプラス。これが…貴様には辿り着けなかった不死の秘法よ… 」
 

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:13:08.70 ID:pe3crff00

圧倒的な力の差を見せられ、なおも屈さぬカオスの姿に…
ラプラスの魔は、その兎の顔にもはっきりと見て取れる不快感を滲ませた。

「綺麗は汚い、美しいは醜いが真理なら、天才もまた狂人なり。
 …どうも貴方は、狂気に取り込まれているように見えますが? 」

「フッ…貴様のような才能の無い人間には分からんじゃろう…天才同士の絆、というやつが… 」
カオスは、ラプラスの魔にニヤリと笑みを向け…そして、小さな声で、呟いた。

「勝ったぞ…来おったわ…!! 」

ドクターカオスの見つめる先…その空間が歪み始め…

「カオス!無事なの!? 」
「ラプラスゥ!決着を付けに戻ってきてあげたわよぉ…! 」
真紅と水銀燈、二体のローゼンメイデン。そして…

「後でたっぷり徴収してやるんだからね!! 」
「えーい!もうどうにでもなれだー!! 」
世界最高峰のゴーストスイーパー二人が登場した!!


 

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:15:26.59 ID:pe3crff00

「…見たところ、中堅くらいの敵ね 」
美神はラプラスの魔の姿を見るなり、そう口にする。
「…最悪、横島君一人でも何とか勝てそうな相手ね。でも…こっちは三人と二体! 」
美神はそう言うと、フトモモに付けていた神通棍を取り出し、霊力を通わせた!
「一気にカタをつけるわよ!! 」

同時に、横島が、真紅が、水銀燈が…あと、ちょっと遅れてカオスも、一斉にラプラスの魔へと攻撃を放つ!!


だが…そんな上級魔族ですら消し飛ばしそうな一撃は…
ラプラスの魔の目の前で、突如として掻き消えてしまった…


「ククク…はてさて、貴方たちの放った攻撃は、一体どこへ行ったのでしょう? 」
呆然とする一行を前に……ラプラスの魔は、その兎の顔に醜悪な笑みを浮かべる。
そして、右手にステッキを持つと…おどけた仕草で、それを宙に投げた。

瞬間、ステッキは空間の中に消え去り…
そして…いつの間にかステッキは、今度はラプラスの魔の左手に握られている。

「正解は兎の穴。nのフィールドの別の場所へと行ってしまいました 」
ラプラスの魔は小さく笑い声を上げながら、ピョンピョン跳ねるように瞬間移動を繰り返してみせた。


nのフィールド。異なる場所同士を繋ぐ扉と扉の狭間。
その全ての法則を利用し、一切の攻撃を別の場所へと移転させる。
これでは…水中の魚に火を当てる方が容易い。

 

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:17:17.69 ID:pe3crff00

「こういった変な場所はあんたの専門でしょ!?何か方法は無いの!? 」
美神は、カオスの胸倉を掴んで揺すり、打開策を考えさせる。

「い…いや、ちょっと待て!いきなり言われてもだな! 」
カオスは目を白黒させながら必死に考えをまとめようとするが…
「…適当な扉から、通常空間に押し出す…というのは、どうじゃ? 」
結局、シロウトでも思いつきそうなアイデアを披露する事となった。

「…それしか無さそうね… 」
美神は爪を噛みながら、悔しそうにそう呟き…

「ブラボォ!それは名案です!!ですが…できますかな? 」
その時、突如として頭上から聞こえたラプラスの声が全てを遮った。

「!! 危ない!散って!! 」
美神は反射的にそう叫ぶが…それより、ラプラスの魔が指をパチンの鳴らす方が早かった。

瞬間、美神の周囲には札束が。カオスの周囲には千切れたノート。横島の周りにはピンクな本が出現し…
そしてそれらは、三人の手足に纏わりつき、ガッシリと空間に固定した!

「くっ…この兎づら… 」
「ぬぅ!? 」
「な…なんじゃこりゃー!? 」
三人は何とか、それを振りほどこうとするも…思うようにいかない。

 

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:19:58.35 ID:pe3crff00
その様子にラプラスの魔は、目を細め…それから、真紅と水銀燈へと視線を向けた。

「ローゼンメイデンの残る5体には…貴方達はアリスゲームで相打ちになった、と伝えるとしましょう。
 まあ、楽しみは減るでしょうが…知りすぎたお嬢さんにはお仕置きが必要ですし…仕方ありませんな 」

「くっ…ラプラスゥゥゥ!!! 」
水銀燈は怒りに背中の羽を大きく広げ…そこから散弾のように羽根の弾丸を飛ばす!

ラプラスの魔はそれを瞬間移動で避け…だが、避けた先では真紅が握ったステッキで斬りかかる!
「…クックック…危ない所でした… 」
だが、ラプラスの魔はそれを同じように握ったステッキで受け止め、笑みを浮かべていた。



「だー!!全然勝負になってないじゃねーかー!! 」
横島は全く動けぬまま、ただ戦いを見る事しか出来なかった。
ジタバタとわめき散らすも、何の意味も為さない。

「落ち着きなさい!もし彼女達が負けたら、私達はこんな無防備な状態であいつと戦う事になるのよ!?
 その前に何か打開策を…! 」
美神が混乱した横島に、そう喝を入れる。

その一言で我に返った横島は…ラプラスの魔と戦う、水銀燈と真紅を見た。

瞬間移動を繰り返し、猫が鼠をなぶるように一撃離脱を繰り返すラプラス。
真紅と水銀燈は今のところは、何とか持ちこたえてはいるが…どう見ても、勝ち目は無さそう。
 

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:22:04.91 ID:pe3crff00

「こーなったら死ぬ前にせめて、そのチチの感触をーーーー!!! 」
横島は両手を美神の胸目掛けて突き出し…
「だからその発想は止めんかーー!! 」
顔面が陥没しそうな右ストレートをもらっていた。


「……え? 」
気が付くと…美神の片手と、横島の両手だけは動けるようになっている。
「んな理不尽な… 」
横島が小声でツッコミを入れたが、皆、聞かなかった事にした。

だが、手が動くとは言え…足が動かないままでは、援護に駆けつける事など出来はしない…

「こうなれば横島君。ここから霊力をあの二人に送って、少しでも戦況を有利にするしかなさそうよ 」
そう判断すると、美神は真紅に…横島は水銀燈に手をかざし、ありったけの霊力を送り始める。


 

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:24:17.28 ID:pe3crff00
「クックック…可憐なお嬢さんが必死に足掻くさまは、見ていて大変心苦しいものです 」
ラプラスの魔は狂的な笑みを浮かべながら、真紅と水銀燈に迫る。

そして…ラプラスの持つステッキが、水銀燈の胸を穿とうとした瞬間…!

水銀燈は一瞬、電撃でも走ったかのように身を強張らせたかと思うと…
目にも留まらぬ速さで、逆にラプラスの背後に回りこんだ!

「これは… 」
水銀燈は、全身から溢れる力に、自分の手を見る。
そして、さらに視線を落とし…自分に向け、ありったけの力を送っているミーディアム・横島に気が付いた。
「……ふぅん…案外、やれば出来る子だったのねぇ…? 」
ニヤリと笑みを向け、そして改めてラプラスの魔に視線を戻す。

「そらそらぁ!!! 」
背中の翼から羽根を飛ばすという攻撃は同じではあるが…
その速度は飛躍的に伸び、空気との摩擦で羽根は炎を帯び、さらに爆発的に加速する!!

「!! これは…!? 」
ラプラスは瞬間移動でかろうじてそれを避けるも……避けそこね、腕に刺さった羽根を憎憎しげに抜き放った。

その、ほんの一瞬。
ラプラスが腕の傷に気を取られた一瞬。

「貰ったわ!! 」
彼の頭上から、そう叫び真紅がステッキを振り下ろした!

だが、それを振り向きざまに受け止めたラプラスは…何かに気付いたのか、再び笑みを浮かべ始めた。

 

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:26:22.89 ID:pe3crff00

「ちょっと美神さん!自分だけ楽してないでしょーね!? 」
必死に霊力を送りながら、横島は隣に立つ美神へと叫んだ。

霊力を送り始めてから水銀燈の動きが圧倒的に上がったのに対し…真紅は、大した変化を見せてない。
ラプラスの魔もそれに気付き、先ほどから執拗に真紅を狙って攻撃をしてくる。


美神さんの事だ。どーせ出し惜しみでもしてるんだろう、と横島は思ったが…そうではなかった。

「……私だって本気よ 」
美神にしては珍しい、苦しそうな声が帰ってくるだけ。
「……きっと…その契約の指輪ね…。彼女達に力を送るのは、それを通さないと難しいのよ… 」

美神の声に、横島はハッとし自分の指に…半ば無理やり付けられた契約の指輪を見た。
そして…nのフィールド上空で戦う水銀燈、真紅と視線を移し…最後に、真紅のミーディアムへと視線を向けた。

真紅のミーディアム…ドクターカオスは、相変わらず四肢を拘束されたままうんうん唸っているだけ。

「カオスのおっさん!あんたも頑張らんかー! 」
横島は自分がギャグ補正で抜け出した事も忘れてそう叫ぶが…そんな事では解決にならない。

「よし分かった!俺が今からボケるから、おっさんはツッコミをいれてくれ!その拍子に…! 」
何だか、真面目な顔をして馬鹿な事を言う横島に、カオスと美神はちょっとだけ変な汗が出るのを感じていた。
 

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:28:30.89 ID:pe3crff00
 
「しかし…なるほど、ミーディアムか… 」

カオスは少し考え「ふむ…それなら… 」と呟くと、横島を真っ直ぐに見ながら、言った。

「小僧…ワシを脱がせろ 」
「イヤじゃボケーー!!! 」

ボケ老人の突然のイカレ発言に、横島は思いっきりカオスの顔を殴る!

ブフゥ、と血を吐きながらカオスが弁解を始める。
「いや、違う!断じてそういう意味ではない!!
 手は動かずとも、胸の魔方陣が出てさえおれば霊力が送れる!! 」
「それでもイヤじゃー!!初めて脱がせる相手がこんなジジイだなんてイヤじゃー!! 」

横島は散々ごねるも、美神にガンガン頭を殴られ…血の涙を流しながらカオスのマントを開き…


見るに耐えない光景に、横島は目から血を噴き出した。




 

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:30:39.35 ID:pe3crff00

「いやはや…ほんの一瞬は焦りましたが…まあ、それも余興と考えればいい思い出ですな 」
ラプラスは真紅の攻撃をことごとくはじき返しながら、醜悪な笑みを浮かべる。

水銀燈が援護にまわるも…ラプラスは水銀燈を完全に無視し、執拗に真紅だけを狙い続けていた。

「ふむ。もう一人のお嬢さんが退屈してしまわない内に…そろそろ切り上げても構わないでしょうか? 」
ラプラスはそう言い、真紅を弾き飛ばすと…体勢を立て直すより早く距離を詰めてきた!

「くっ!?もう…」
反応が間に合わない。
真紅が覚悟を決めかけた瞬間…!!

「フハハハー!!真紅よ!!受け取るがいい!! 」

カオスから放たれた怪光線が、真紅を包みこんだ!!


「これは…!? 」
突如として…ただでさえ奇妙なnのフィールド。それがさらに妙な雰囲気に包まれた事に…真紅は驚き、呟いた。

まるで、時の流れが歪んだかのように、全てがゆっくりに見える。

そして真紅は…蝸牛の如くゆっくり迫るラプラスの正面から体をずらし、周囲を見渡した。

「カオス……これが…不死を手に入れた貴方の見る時間なのね… 」
そして、この世界を共有できたのは…ローゼン…お父様だけ。
だからカオスは、お父様の事を親友と呼び、私達を親友の娘と呼び…助けてくれた。

真紅は彼から送られてくる霊力を通し、父と同じ時を…彼の存在を通して、父の存在を感じられた気がした。

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:32:53.08 ID:pe3crff00

「ありがとう、カオス… 」
真紅は小さく呟き、光の柱の始まる場所…ドクターカオスの居るであろう場所を見つめた。

そこに立っていたのは…まあ、カオスで間違い無かった。
ただ、ちょっと問題があるとすれば…上半身裸な事。

レディーとしての教養を十二分に重ね、さらにもう一度重ねたような真紅にとって、
それはちょっと、刺激的すぎる光景。

少し頬を赤らめながら視線を逸らし、真紅は消え入りそうな声で呟いた。
「全く……人間の雄は想像を絶する下劣さね… 」

それから、すっと息を吸い込み…
そして、異様にスローな動きで、今更ながらに驚きの表情を浮べているラプラスの魔へと真紅は向き直った。

「………」

何を言うべきだろう。
決着の予感に、真紅は心の隅でそう考える。

だが…
とりあえず、この兎には…軽いお仕置きが必要ね。
真紅はそう考えると、右手に持っていたステッキを左手に持ち替え…

そのまま、右手で、固めた拳で、ラプラスの顔面を打ち据えた!!
 

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:35:42.45 ID:pe3crff00
「グハ…ッ!! 」
真紅の全力の一撃を前に、ラプラスは吹き飛び…その先には水銀燈!!

「チェックメイトってやつよぉ!!そらそらァ!! 」
ラプラスの背中に、ナイフのように尖った羽が無数に突き刺さる!

「グ…ガ…ァ……!! 」

突き刺さった羽の威力は留まらず、ラプラスはnのフィールドに存在する世界樹へと叩きつけられる!
そして…そのまま倒れるように空間に漂うだけとなった……。

真紅が、最早動く事すら叶わないであろうラプラスに近づく。
するとラプラスの魔は…その口からゴボ、と血を吐きながら、小さな、震える声を発した。

「私の…負けです…可憐な…お嬢さん……最後に…一つ…
 本当は…私は…ローゼンの居所を知っています……案内して…差し上げましょうか…? 」

その顔は、表情を読みにくい兎という事を差し置いても、苦痛以外のものは読み取れない。

一瞬の思考。期待と迷い。
やがて真紅は、無言でラプラスの魔の腕を掴むと…そのまま、二人で移動を始めた。

 

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:37:30.10 ID:pe3crff00

「クッ…クク…感謝…します………ああ…あそこの扉を…抜けた…先…です… 」
真紅が正面しか見てない事を上目に確かめながら、ラプラスの魔は震える唇をニヤリと持ち上げる。

だが…
「全く、面倒なものね。……正面にしか撃てないなんて 」
真紅はそう呟くと、掴んでいたラプラスの腕を離した。

「…?一体…何を…? 」
ラプラスは…嫌な予感に身を震わせる。

「何を?…勿論、カオスの出す、あの変な光線の事よ。
 彼が動けないんじゃ貴方に動いて貰うしかないでしょ? 」

「私は…!ローゼンの居場所を…! 」
ラプラスはなおも醜く、そう繰り返す。

「私達、ローゼンメイデンの誇りを傷つけた貴方の言葉…今更、この真紅が信じるとでも思ったの 」
真紅は最後そうに言うと、空間をタン、と踊るように軽やかな足取りで蹴り、後ろに飛んだ。

 

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:39:45.77 ID:pe3crff00

そして…真紅の体によって隠されていた視界の先には…

羽を広げた水銀燈と…極限まで溜めた霊力を放たんとする美神と横島…そしてドクターカオスの姿が…!!



「「「「「 極楽へ… 」」」」」

   「行かせてあげるわ!! 」
   「行かせてやるぜ!! 」
   「ゆくがいい!!! 」
   「イッちゃいなさぁい!! 」
   「行きなさい!!! 」


「ウ…ウオォォォォオオオオォ!!……ォ………………… 」


巨大な光の柱がラプラスの魔を貫き…―――



―――…そして、全てが終わった。





 

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:44:59.14 ID:pe3crff00
「カオス…シャツ位着たらどうなの? 」


失踪した父の足取りを改めて探す為、nのフィールドの研究をカオスと共に進める事にした真紅は…
ボロアパートの一室で、彼のマントの下についての改善策をやたらと模索していた。

「フッ、何を言うかと思えば。良いか真紅よ。
 この胸の魔方陣はワシの最大の武器にして錬金術の集大成でじゃな。それで…えっと… 」

何だか胸を張って切り出しておいても、結局は尻すぼみに終わるカオスの説明に…
真紅は深いため息をつきながら「もういいわ」と短く答えた。


マリアの淹れる紅茶は相変わらずお湯にしか思えないし、
水銀燈はアリスゲームが無くなったというのにちょっかいを出してくる。

それでも…姉妹で争わず、皆で父に会える日が来るかもしれない。
その希望が有るというだけで、真紅にとっては毎日が掛け替えの無い素敵なものにも思えてきた。


と、そんな平穏な生活を送っていると…トントン、と扉をノックする音。

「何じゃ? 」
カオスはマリアを引き連れながら玄関の扉を開け…家賃の回収に来た大家さんとバッチリ目が合った。

「……大丈夫なの?カオス 」
真紅は心配げにカオスに近づくが…当のカオスはというと、日ごろと違い力強い声で答える。
「フッ…ワシを誰じゃと思っている。
 この前の研究所で、ちゃっかり目処はつけてきたわ! 」
 

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/03(火) 04:48:39.51 ID:pe3crff00

そして、カオスは懐から一つの妙な小石を取り出し、怪しげな笑みを浮べながら大家さんに見せ付けた。

「見るがよい、大家のババアよ…これは偉大な錬金術の秘法でじゃな…… 」
「家賃ってのは現金で払うもんだ、って言ったろ? 」

「フッ……これだから無知なる者は………
 よいか?この石は呪術関係者なら喉から手が出るほどに………――― 」


数分後、そこにはボロゾーキンみたいになったカオスと真紅、マリアの姿が!


「も…もう少し待って頂戴…」
真紅には虫の息でそう告げるのが精一杯だった。





  − 少女人形はお父様の夢を見る 完 − 

 

最新記事50件